JP3645571B2 - 関節の状態を矯正する装置 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、カイロプラクティック(指圧療法)調整装置に係る。特に、本発明は、カイロプラクティック調整装置と共に使用して、脊椎区分の相対的なコンプライアンスを評価しそして矯正する方法及び装置に係る。
先行技術の説明
脊柱処置療法の制御されたテストは、診察者の要求を満足するものとして認識されていない。しかしながら、脊柱処置療法は、背中の痛みが弱い処置療法として一般に受け入れられている。
脊柱処置療法は、患者の健康に効果を与える目的で、脊柱及びその周りの組織を動かし、調整し、操作し、牽引力を付与し、マッサージし、刺激し、又は他の方法で作用を与えるのに使用される手法である。処置の基礎となる主な理論は、椎間板脱出症の軽減、後関節機能不全の矯正、固定又は閉塞した脊椎関節の可動化、神経根圧迫の軽減、反射機能の正常化及び筋肉の弛緩を含む。
脊柱の構造に対する処置の効果を考えると、処置により効果を与えることのできる脊柱関節内の動きに対してバリアが存在するという仮定に至る。各脊柱関節の運動範囲を表すモデルが図1Aないし1Dに示されている。運動の「能動的」な範囲は、筋肉のみにより与えられる運動である。ここで、脊柱関節の中性位置をNで示し、そして筋肉活動の限界をMAで示す。
能動的な範囲とは、通常の運動が行われて、関節の周囲の筋肉のてこ作用容量により制限される動きの範囲である。能動的な運動範囲を越えたところに「受動的」な運動範囲があり、ここでは、外部からの力を使用して、「能動的」な運動範囲を越えて伸張を行う。「受動的」な運動範囲の限界PBは、いわゆる「生理学的バリア」である。この範囲を越えると、靱帯を破壊せずに関節を動かすことのできる小さな運動範囲がある。この運動範囲は、関節の運動方向の急激な押圧力(スラスト)によって入ることができる。この範囲の限界は、「解剖学的バリア」ABであり、これを越えると、靱帯の切断又は骨折が生じる。
正常の動きは、図1Aに示すように、筋肉の痙攣、関節の固着及び骨の拘束を含む3つの状態のいずれかにおいて制限される。図1Bにおいては、関節の周囲の筋肉が痙攣状態にあり、正常な運動範囲が制限される。図1Cにおいては、関節が片側で固着し、生理学的なバリアを中性位置に向かって引っ張る。この運動制限のメカニズムは、関節滑膜締め付け及び椎間板ヘルニアを含む。図1Dにおいては、棘突起の形成又は変形により骨構造体の動きが阻止されている。
最初の2つの例では、筋肉の痙攣を解放し及び/又は収縮した筋肉を伸ばすという処置により関節に対する動きを回復させることができる。関節の固着により動きが制限される例では、副生理学的スペースに操作押圧力を付与して靱帯を伸ばしそして脊椎関節突起を開くことにより動きを回復できる。骨の運動障害は、処置を受け入れられない。
固定した脊椎分節の識別は、慣習的に、脊柱の触診により行われており、そして最近では、X線イメージ増倍管で脊柱の動きを観察することにより行われている。しかしながら、このプロセスは、それを行うのに熟練度を必要とし、しばしば低速で、且つあまり正確でない。
発明の要旨
そこで、本発明の目的は、診察者が2つ以上の脊椎区分の相対的なコンプライアンスを客観的に決定することができ、又は単一の脊椎区分の可動性をそのいずれの自由度においても評価できるようにすることである。
本発明の別の目的は、特定の脊椎又は脊柱区分の可動性又はコンプライアンスを客観的に評価し、そして固定した区分を正常なコンプライアンスに回復することである。
本発明の更に別の目的は、固定した脊椎区分を客観的に矯正する装置を提供することである。
診察者が2つ以上の脊椎区分の相対的なコンプライアンスを客観的に決定しそして矯正できるようにする方法及び装置が開発されている。本発明は、更に、診察者が単一の脊柱区分の可動性をそのいずれの自由度においても客観的に評価できるようにする。1つの実施形態は、脊柱の少なくとも2つの区分に等しいエネルギーインパルスを付与することにより実施される。エネルギーインパルスは、等しいエネルギーインパルスに応答して各区分から受け取られ、力波形が発生されて記録される。力のピーク及び力の最大変化率が、各波形から時間と共に抽出される。力波形、力のピーク、及び力の最大変化率が表示される。
脊柱のコンプライアンスを客観的に評価するための別のカイロプラクティック調整方法は、低い一定のエネルギーインパルスを各特定の脊柱区分に付与することにより達成される。このインパルスから生じる力波形が記録され、そしてその付与されたインパルスにより発生された力波形が比較され、過剰可動度及び過少可動度の区分が決定される。過少可動度と識別された脊柱の区分には、矯正のための高エネルギー押圧力が付与される。
本発明のこれら及び他の目的、並びにその意図された多数の効果は、添付図面を参照した以下の詳細な説明より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
図1Aないし1Dは、可動性及び処置の概念的モデルを示す図である。
図2は、基板に付与される等しいエネルギーのインパルス荷重に対する硬質及び柔軟基板の力対時間応答を示すグラフである。
図3は、本発明のシステム全体を示す図である。
図4は、システムが最初に始動されるときの本発明の動作を示すフローチャートである。
図5は、本発明のシステムのオペレータが使用できる主たる動作のフローチャートである。
図6は、オペレータが全システムと対話するための主分析パネルを示す図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
添付図面に示された本発明の好ましい実施形態の説明において、明瞭化のために特定の用語を使用する。しかしながら、本発明は、このように選択された特定の用語に限定されるものではなく、各々の特定の用語は、同様の目的を果たすために同様に動作する全ての技術的等効物も包含するものとする。
本発明の第1の段階は、評価しようとする各脊椎又は脊柱区分のコンプライアンスの尺度を得ることである。以下に詳細に述べるように、この尺度は、脊柱の各部分に低エネルギーインパルスを順次に付与することにより得られる。各インパルスは、好ましい実施形態では、1ミリ秒の周期にわたって生じる等しいエネルギーで構成される。
この付与された低エネルギーインパルスに応答して、評価されている脊柱区分は、エネルギー応答を発生する。このエネルギー応答がシステムにより感知されそして記録される。低エネルギーインパルスは均一であるから、脊柱構造体の抵抗の変化が、力の変化率を定める。筋肉及び接続組織、並びに個人の身体構造の大きさや体格の相違により、2人が同じコンプライアンス測定値をもつことはない。これら脊柱区分の抵抗の変化は、それに対応するエネルギー応答の変化を生じさせる。
脊柱の異なる区分のコンプライアンスの測定値を比較すると、固定した関節はコンプライアンスが最も低いので、どの関節が固定したかを指示する。固定した関節又は脊柱区分は、脊柱処置療法の候補となる。脊柱の堅固に固定した部分又は関節は、同じエネルギーインパルスに対し、容易に動き即ちコンプライアンスのある脊柱部分よりも、高いピーク力を発生する。このピーク力は、上昇する力インパルスの傾斜がゼロとなる点として定義される。ピーク力への最初の接触から力が上昇する率は変化する。その増加率は、堅固な関節・対・従順な関節では著しく急傾斜となる。変化率及びピーク力は、システムにより記録される。
検査されている脊椎区分の相対的なコンプライアンスは、2つの方法のいずれかにより決定される。第1の方法は、各脊椎区分において行われた各付与力・対・時間記録から最大の力を抽出することである。第2の方法は、波形の一次導関数を取り出し、そして時間に伴う力の最大変化率を選択することである。
図2を参照すれば、曲線10、20及び30は、各々、硬質、中間及び柔軟な基板に対する等しいエネルギーのインパルス荷重の応答として力・対・時間を示している。曲線10の力・対・時間は、インパルスエネルギーが非弾力性即ち非コンプライアンス物体に当たったときに高いピークへと急激に上昇する。曲線30で示すように、よりコンプライアンスのある即ちより弾力性のある表面にエネルギーが消散されるときには、上昇がゆっくりであり、ピークも低い。
本発明は、図2に示された力の変化率を使用する。当該脊柱区分が低エネルギーインパルスを受け、そして力・対・時間の波形が記録された後に、各波形に対する最大導関数即ち最大ピークがバッファに記憶される。脊椎区分のコンプライアンスの相対的な尺度を得るために、各最大値が、次いで、バッファの最大傾斜又はピークで除算される。
このプロセスは、1組の数値を発生し、その最大値は1に等しい。これら数値は、検査されている脊椎区分で識別されたグラフ又は一連の棒グラフとして表示される。この表示は、医師が、診断中の脊柱のコンプライアンスの最大及び最小領域を識別できるようにする。この手順は、調整後に脊柱の同じ区分に対して繰り返され、脊柱区分のコンプライアンスに対する調整の作用の客観的記録を形成する。これで、医師は、選択された脊柱区分の相対的なコンプライアンスを客観的に決定し、そして分析結果を記録及び表示することができる。
治療は、インパルスのエネルギー内容を、低エネルギーの診断インパルスから治療インパルスへと増加することにより同じ装置で行われる。このとき、インパルスは、特定の脊椎に対して通常のやり方で定められた角度及び位置に付与される。治療インパルスは、適当な患者応答及び/又はコンプライアンスが得られるときまで1回以上付与される。
関節が可動化されたという確認を得るために、診断インパルス手順が繰り返される。インパルスのエネルギー内容は、診断へと復帰され、そして最初の診断段階と同じ脊柱区分にインパルスが付与される。関節が可動化された場合には、ピーク力が、患者の脊柱の他の区分と同等の値まで減少される。
図3には、本発明の全システム100が示されている。カイロプラクティック調整装置110は、診断インパルス及び調整力を患者に与えるのに使用される。診断インパルスは、予め選択された均一の小さい力のインパルスより成る。好ましい実施形態では、フィッシャー・サイエンティフィック社により製造された♯8ラバーストッパより成る標準的な患者シュミレータにおいてシステムを校正するときには、診断インパルスが15ポンドである。診断インパルスは、最初に、診断者が患者に対して装置でプリセット圧力を確立することを必要とすることにより得られる。このプリセット患者圧力(又は予荷重)は、インパルスのエネルギーを最初に患者に伝達するところのセットポイントとして使用される。診断インパルスのエネルギーは均一でありそして患者の脊柱に対して同じ予荷重で与えられるので、非常に再現性の良いエネルギー伝達が達成される。
調整装置110は、これとヘッド組立体130との間に接続された力トランスジューサ120を有している。力トランスジューサ120は、クオツクリスタルを備え、脊柱の応答エネルギーを測定するのに使用される。脊柱応答とは、カイロプラクティック調整装置110により付与された診断インパルス力に応答して脊柱関節又は区分により与えられる動的な力及び短時間の静的な力を指す。力トランスジューサ120は、脊柱応答エネルギーを測定し、そしてそれに比例する電圧出力を電圧出力ライン114に発生する。
好ましい実施形態では、ヘッド組立体130は、患者の脊柱をまたぐように使用できる二股先端フォークヘッドより成る。ヘッド組立体130の各枝の端には患者に接触する先端140がある。フォークヘッドの枝の中心−中心間隔は、種々の脊柱比率を受け入れるために20、30及び45mmとなっている。
調整装置110は、エバンス氏等の1989年6月27日付けの「カイロプラクティック調整装置(Chiropractic Adjustor)」と題する米国特許第4,841,955号に開示された調整装置である。エバンス氏等により示された調整装置は、単一のヘッド及び先端を含むヘッド組立体を有する。先端140を有するヘッド組立体130は、従来型のものであり、この技術で良く知られている。
力トランスジューサ120は、電圧出力ライン114を経て信号コンディショニング及び力トランスジューサ励起要素170に接続される。両方向性アナログ/デジタル(A/D)コンバータボード180は、要素170から受け取った信号をデジタル信号に変換し、これは、中央処理ユニット(CPU)190に受け取られる。CPU190は、力情報を受け取り、そしてそれをハードドライブ200又はフロッピーディスク230に記憶する。この情報は、更に、モニタ210に表示されると共に、プリンタ220でプリントされる。更に、マウス又はトラックボール(図示せず)がCPU190に接続され、オペレータがディスプレイモニタ210と対話できるようにする。任意であるが、モニタ210は、タッチスクリーン装置を備えてもよい。
トランスジューサ120から電圧出力ライン114を経て受け取られた力情報に応答して、CPU190は、カイロプラクティック調整装置110に命令を送る。CPUは、両方向性A/Dコンバータ180及びインターフェイスボード160を経て内部電子ボード150に信号を送信する。信号は、次いで、内部電子ボード150からワイヤ112を経て調整装置110へ送られる。このように、CPU190は、カイロプラクティック調整装置110により患者へ送られるべき力を、以下に述べるように、システムオペレータにより選択されたように制御する。
CPU190は、更に、4つのLEDインジケータライト(図示せず)を有するハウジングを備えている。第1のLEDは、電源がオンであることを示す。第2のLEDは、調整装置が作動されたことを示す。第3のLEDは、調整装置がオンであることを示す。第4のLEDは、センサがオフであることを示し、ライン112又は114に切断が考えられることを指示する。
図4を参照し、コンピュータの動作を以下に説明する。ステップ400においてコンピュータがオンにされると、メインスクリーンは、ステップ405においてモニタ210にメッセージ「患者ディスクを挿入せよ」を表示する。このメインスクリーンは、4つの追加オプション「プログラムのクイット」410、「校正」415、「コンピュータのシャットダウン」420、及び「患者ファイルの復帰」425も表示する。「プログラムのクイット」410は、オペレータがコンピュータのオペレーティングシステムに入れるようにする。好ましい実施形態は、マッキントッシュコンピュータ及びオペレーティングシステムを使用する。コンピュータのオペレーティングシステムにおいては、プログラムの更新が実施され、そしてインターフェイスを切り換えることができる。
オペレータが「校正」モード415を選択する場合には、オペレータ、患者に対してシステムを使用する前にシステム及びカイロプラクティック調整装置110を校正することができる。校正モードは、オペレータが均一な表面上でヘッドを順次に10回作動することにより成る。システムは、エネルギー応答の平均力を取り出し、そして力が互いに裕度内にあるかどうかチェックする。
オペレータが「コンピュータのシャットダウン」420を選択した場合には、ファイルがハードドライブ200及びフロッピーディスク230の両方にセーブされ、そしてコンピュータは、それ自体をシャットオフする準備をする。ハードドライブ200は、その特定の患者の過去15回の通院を記憶している。「患者ファイルの復帰」425が選択された場合には、フロッピーディスク230からの情報がハードドライブ200にダウンロードされる。これは、例えば、ハードドライブ200が破壊されるか又はその他欠陥となった場合に必要となる。
或いは又、「患者ファイルの復帰」機能は、患者フロッピーディスク230に記憶されたファイルを、ハードドライブ200に記憶された対応するファイルと自動的にチェックすることにより行ってもよい。フロッピーディスク230に記憶されたファイルがハードドライブ200に記憶されていない場合には、これらファイルがハードドライブに自動的にコピーされる。このプログラムは、ハードドライブから偶発的に除去された患者ファイルを復帰させる必要性を排除し、オフィスのいかなるコンピュータの又はいかなる他のオフィスの患者ディスクも使用できるようにする。
図5を参照すれば、ステップ500においてフロッピーディスク230が挿入されると、3つの結果が考えられる。ディスクがフォーマットされていない場合には、ディスクを読み取れないというメッセージが現れる。次いで、コンピュータは、ディスク230をフォーマットすべきかどうかオペレータに尋ねる。
ディスク230は、適切にフォーマットされているが、患者の番号が入力されていない場合には、数字キーパッドを有する新たな患者エントリーパネルが表示される。次いで、オペレータは、新たな患者番号を入力することができ、プログラムは、その入力された番号が以前に別の患者に指定されていないかどうかチェックする。別の患者に指定されている場合には、プログラムは、同じ患者に対して第2のディスクをフォーマットすべきかどうかオペレータに尋ねる。
挿入されたディスク230が適切にフォーマットされ、そして有効な患者番号がステップ505において得られると、プログラムは、本発明のプログラムの主部分に対応する主分析パネル600へ続く。主分析パネル600において、オペレータは、患者データの収集を開始する。主分析パネル600において、オペレータは、ステップ510において患者を調整するか、ステップ515において分析を実行するか、又はステップ520において評価を終了するかの選択肢を有する。これらの動作は、図6を参照して以下に説明する。
図6には、頸部、胸部又は腰部領域に各々対応する3つの表示領域610、620及び630を有する主分析パネル600が示されている。各々の表示領域610、620及び630は、表示バー615、625及び635で各々分離された上下の表示部分を有している。各表示領域610、620及び630の真下には、脊柱インジケータ617、627及び637のグループが各々配置されている。脊柱インジケータ617は、頸部の後頭部の脊柱部分C1及びC2ないしT3に対応する。同様に、脊柱インジケータ627は、胸部脊柱部分T4ないしT12に対応し、そして脊柱インジケータ637は、腰部脊柱部分L1ないしS5に対応する。
患者分析515を開始するために、オペレータは、所望の表示領域をクリックすることにより表示領域610、620又は630のいずれかを選択する。ここに示す例では、オペレータは、表示領域610をクリックする。表示領域610は、ここでは、黄色から青色への表示バー615の色の変化で示されたように、アクティブな表示領域となる。同様に、第1の脊柱インジケータ617、ここでは、後頭部に対応するインジケータは、黄色から青色に切り換わり、システムは可聴ビープを発生する。オペレータは、患者の分析を実行しないと判断すると、インジケータ617において単にクリックする。インジケータ617は、透明となって、読みが得られず、システムは、更に別の機能に対して準備を行う。
ここに示す例では、後頭部の脊柱インジケータ617は、青色に変わって、システムが分析を開始する準備をしていることを指示する。医師は、最初に、適切な分析位置を決めるために患者の脊柱を触診する。次いで、オペレータは、患者の脊柱の所望の位置に調整装置110を配置する。調整装置110を患者に対して押し付けると、調整装置110は自動的に作動されて、単一の小さな力の診断インパルスを患者に付与する。この診断インパルスに応答して、トランスジューサ120は、患者の後頭部の脊柱から応答を受け取る。
システムは、後頭部からの応答を記録し、そして次の脊柱インジケータ617(ここに示す例ではC1)が黄色から青色へ切り換わる。同様に、後頭部のインジケータ617が青色から黄色へ切り換わる。従って、システムは、患者の脊柱のC1に次の診断インパルスを与える準備ができたことを指示する。このようにして、オペレータは、表示領域610に対応して、頸部の脊柱部分の残り部分へ順次に力を付与する。各力が付与されると、システムは、トランスジューサ120からの応答信号を記録し、そして脊柱インジケータライト617は、最後の脊柱部分に力が付与されて記録されるまで、スクロールする。更に、システムは、各読み取りがなされた後に可聴ビープを放射し、これは、システムが情報を記憶しそして次の診断インパルスを付与する準備ができたことを指示する。
所与の表示領域610に対して全ての入力が受け取られた後に、CPU190は、以下に述べるように、全ての読みをその区分の最も高い読みに対して正規化する。この正規化の結果が表示領域610の下部に表示される。例えば、脊椎区分C2から受け取った応答が最も高いエネルギーを有する場合には、1の正規化として指示される。従って、残りの脊椎区分の各々は、C2に対して相対的な応答エネルギーを指示する。
この情報を表示することにより、オペレータは、各脊椎区分に付与された均一な診断エネルギーインパルスに応答して変化をチェックする。高い応答は、構造体が他のものと同様に迅速に動かず、固定状態にあることを指示する。低い応答は、特定の脊椎区分が近傍の固定状態を補償することを指示する。
エネルギー応答、患者の経過、患者の訴え、患者への触診、関節間の異常、静X線、及び動X線に基づいて、医師は、ステップ510において、調整されるべき脊椎区分を選択する。医師は、「脊椎区分の選択」640を選択し、その後、選択インジケータ650から調整されるべき脊椎区分を選択する。医師は、彼が各脊椎区分を調整しようとする順序に基づいて脊椎区分を選択すべきである。所望のインジケータ650の各々が選択されると、調整されるべき順序及び脊椎区分が待ち行列ディスプレイ645に表示される。或いは又、「脊椎区分の選択」640のボタンを排除して、オペレータが、特定の脊椎区分を単に選択するだけで選択プロセスを開始するようにしてもよい。
更に、特定の脊椎区分の選択をより正確に指示するために3つのボタン「マニュアル」、「左」及び「右」(図示せず)が設けられてもよい。例えば、「左」ボタンを押し、次いで、区分C1を選択すると、C1の左側が選択される。これは、ヘッド組立体130に単一の枝先端140が使用される場合に特に適用できるものである。
選択が行われた後に、医師は「調整」ボタン665を操作する。ビープ音は、プログラムの実行の準備ができたことを指示する。更に、表示領域660は、現在調整されている現在脊椎区分を待ち行列ディスプレイ645から指示する。
医師は、力セレクタ655のバーをスライドさせることにより付与すべき適切な力を選択する。次いで、医師は、適切な駆動ライン及び調整されるべき脊柱上のポイントを選択し、調整装置110を当てる。調整装置110は、患者の脊柱に対して滑らかに押圧されねばならない。調整装置110は、プリセット接触圧力が得られたときに作動され、多数の迅速な調整を与える。医師は、調整手順をいつでも停止することができるし、又は脊柱区分が安定化するまで待機し、そのとき、システムが自動的に停止するようにしてもよい。
本発明は、臨床学的判断の実行に加えて作用する終了手順を医師に与える。この終了手順は、関節の安定化の状態が得られたときに調整が効果的に完了するという概念において構成される。各調整インパルスは、力トランスジューサ120の出力ライン114にエネルギー応答の力波形を発生する。上記したように、この力波形は、両方向性A/Dコンバータ180及びデジタルコンピュータ190を用いて記録される。力波形の最大値即ちピーク値が抽出され、そして現在調整シーケンスにおいて以前の力波形と比較される。
この比較を行うために種々の方法を定義することができる。1つの例は、最後の調整インパルスに対する現在ピーク力を以前の5つの波形の平均値と比較することである。その差が許容範囲内である場合には、安定化状態に達したと考えられ、調整が停止される。第2のそしてより確実な方法は、最後の3つの調整の平均値をそれ以前の全ての調整の平均値と比較することである。この比較方法は、現在調整シーケンスにおけるランダムな変化が所定の許容レベル内に入る見込みを低減させる。
許容レベルは、調整装置を作動位置に保持するのを百回繰り返しそしてそれを別々に10回行うことにより決定される。各繰り返しの最大値が記録され、そして3ポイント及び5ポイントの連続平均値が計算される。平均値の差の最大値が許容レベルとして使用される。この差は、10ないし35ポンドの力範囲にわたり0.001ポンドの力から0.008ポンドの力までである。
この方法は、多数のインパルス調整に対する客観的な終了手順を医師に与えるものである。この手順は、各調整インパルス中のピーク力の調整に依存する。終了の基準は、関節安定化の概念に基づく。安定化は、基本的な構造体がインパルスのもとでもはや動かない点において得られる。調整インパルス間のピーク力の最小の変化が、調整インパルスがエネルギー応答出力において本質的に一定であるようになったときに、安定に達する。調整されている脊柱区分が安定化されると、調整は終了となる。選択された脊椎区分が調整された後に、脊椎区分と、矯正に必要な力付与の回数が、表示領域662に指示される。
医師が調整手順を停止しようとする場合には、調整装置を患者の脊柱から取り去ることによって行う。脊椎区分及び行われた力付与の回数が、表示領域662に指示される。この場合に、医師は、「調整クリア」ボタン670を選択することにより次の脊柱区分へと進む。これは、調整プログラムをキヤンセルし、調整されるべき次の脊椎区分へ進むか、又は待ち行列ディスプレイ645にそれ以上の区分がない場合にはプログラムが終了となる。
これに対する例外は、番号「0000」(即ち4つの0)をもつ患者ディスクが使用されるときである。この場合には、「新たな患者」ボタン(図示せず)がディスプレイに加えられる。これは、医師がフロッピーディスクを交換する必要なく、多数の患者に対して分析及び調整を行えるようにする。むしろ、医師は、各患者が評価された後に「新たな患者」ボタンを単に選択するだけである。これは、スクリーンをクリアして第1の患者に対する情報をセーブし、そして医師が次の患者の評価へと進めるようにする。このモードにおいては、脊椎区分を選択せずに「調整」を選択すると、医師は、結果を記録せずに任意の順序で10個の脊椎区分を調整することができる。「調整クリア」ボタン670を選択すると、完了していない全ての調整が打ち消される。別の実施形態では、オペレータは、10個の調整に限定されるものではない。オペレータは、「調整クリア」ボタン670を操作するまで、いかなる回数の調整を続けることもできる。
待ち行列の全ての脊椎区分が調整された後に、医師は、胸部又は腰部表示領域620、630のいずれかをクリックすることにより脊柱の別の区分の分析及び調整へと進むことができる。或いは、医師は、頸部表示領域610においてクリックすることにより頸部領域を再チェックすることができる。一般に、調整後の分析を行う前に他の領域へ進むことにより脊柱を休止できるのが便利である。
医師は、調整後の分析を行うことにより、脊椎の各区分を正規化に対して再テストすることができる。これは、表示領域610の下部においてクリックすることにより行われる。これは、結果を調整前の分析から表示領域610の上部へ移動させる。次いで、医師は、最初に行ったのと同様に、同じ診断インパルスを用いて、テストを再実行する。
調整後の分析の結果は、表示領域610の下部に表示される。従って、調整後のコンプライアンスを、調整前のコンプライアンスの測定値と容易に比較することができる。調整後の結果は、比較的まっすぐな線にならねばならない。というのは、多数の調整エネルギー力により問題の脊椎区分が矯正されたはずだからである。
主分析パネル600から、医師は、全図又は横方向図へ進むか或いは患者ファイルを再検討するように任意に選択することができる。これは、モードセレクタ680から所望のモードを選択することにより行われる。図6は、選択されたモードが「SEG」即ち区分図であることを示している。しかしながら、医師が、特定の脊椎区分の横方向応答を評価したいと仮定する。これは、モードセレクタ680の「LAT」位置の上でカーソルをクリックすることにより行われる。その作動時に、横方向分析パネルが表示される(図示せず)。横方向応答パネルは主表示パネル600と同様である。しかしながら、横方向応答パネルは、図6に示された表示領域610、620、630に比して、単一の表示領域しか有していない。この単一の表示領域は、上部及び下部を有する。しかしながら、この単一の表示領域は、図6に示す多数のインジケータのグループ617、627及び637に代わって、左右のインジケータしか有していない。
この横方向分析パネルに対して行われる手順は、主分析パネル600で行われたものと同様である。脊柱が触診されて、当該脊柱区分の位置が決められる。横方向分析パネルの場合には、単一先端の調整ヘッド(図示せず)が調整装置110と共に使用される。先端は、患者の脊柱の左側に配置され、そして装置が作動するまで滑らかに押圧される。次いで、装置110は、同じ脊柱区分の右側に配置され、再び作動される。
横方向応答のディスプレイは、左側の脊椎区分の相対的な横方向コンプライアンスを右側のコンプライアンスと比較して表示する。調整を行うべき場合には、医師は、横方向応答パネルを去ることなく行うことができる。調整後の横方向応答は、上記段階を繰り返すことにより観察できる。
モードセレクタ680によって選択できる別の表示モードは、頸部図(図示せず)である。この図においては、3つの頸部表示パネルが、各々、中性、左及び右と表示される。中性の表示パネルは、首を最大の受動的運動範囲に振った(前方に曲げた)ときにコンプライアンスをチェックするのに使用される。右の表示パネルは、首を振って右へねじったときにコンプライアンスをチェックする。更に、左の表示パネルは、首を振って左へねじったときにコンプライアンスをチェックする。
或いは又、医師は、モードセレクタ680から「REV」を選択することにより患者のファイルを調査することができる。「REV」オプションは、有効な患者番号が存在するときにのみ、モードセレクタ680に現れる。「REV」オプションは、個別のボタンとして設けられることが当業者に明らかであろう。このモードにおいては、医師は、以前の臨床学的評価の間に記録された患者データの表示された概要を検討しそしてプリントすることができる。コンピュータは、通院の日付、各脊椎区分に与えた調整の回数、及びその調整に用いた力のレベルを抽出しそして表示する。データは、ディスプレイの底部においてチャートに表示される。通院の情報を含む同様のチャートが、プリントボタンの操作によりプリントされる。医師は、「最後の通院」ボタン(図示せず)を選択することにより各通院の特定の情報をスクロールすることができる。これは、行われた調整を表示領域610、620及び630に表示する。
医師は、モードセレクタ680のスライドコントローラの「FULL」の上にカーソルを配置することにより全図を任意に選択できる。この全パネル表示においては、脊柱の全長が1つの大きな表示領域に表示される。本質的に、全パネル表示は、表示領域610、620及び630の各々を結合して、単一の長い表示を形成する。
処置が完了した後に、医師は、ステップ520において、「評価終了」675を選択し、患者の評価を終了することができる。システムは、患者の情報をハードドライブ200からフロッピーディスク230へ記憶する。ハードドライブ200は、特定の患者の過去15回の通院を記憶する。次いで、プログラムは、図4のステップ405に対応して、「患者のディスクを挿入せよ」のパネルに復帰し、そしてフロッピーディスクがフロッピードライブからイジェクトされる。
以上、本発明を詳細に説明したが、請求の範囲により規定された本発明の精神から逸脱せずに、種々の変更がなされ得ることが当業者に明らかであろう。

Claims (6)

  1. 関節の状態を矯正する装置において、
    既知の力を有する少なくとも1つの機械的な診断インパルスを関節に付与する手段を備え、上記既知の力は、インパルスが関節にプリセットエネルギーを与えるようなものであり、
    上記少なくとも1つの機械的な診断インパルスに応答して関節から応答を受け取るための手段と、
    その受け取った応答に基づいて関節の状態を決定する手段と、
    上記決定に基づいて関節に少なくとも1つの調整力を付与する手段とを備えたことを特徴とする装置。
  2. 上記診断インパルスは、低エネルギーの機械的な力である請求項1に記載の装置。
  3. 上記受け取る手段は、力トランスジューサより成る請求項1に記載の装置。
  4. 上記機械的な診断インパルスを与える手段及び上記調整力を与える手段は、単一の調整装置より成る請求項1に記載の装置。
  5. 上記調整力は、上記機械的な診断インパルスより大きな力である請求項1に記載の装置。
  6. 上記既知の力は、少なくとも1つの機械的な診断インパルスを与える上記手段により脊柱区分に所定の圧力を付与した際にインパルスを与えることにより確立される請求項1に記載の装置。
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