JP6538326B2 - レール検査装置およびレール検査方法 - Google Patents
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また特許文献1には、垂直探触子型の超音波プローブを走行レール上面に接触させて、該走行レールの亀裂を探傷することが記載されている。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、走行レールの亀裂をより確実に検出可能なレール検査の技術を提供することを目的とする。
このように、本発明によれば、走行レール上面に偏磨耗が発生していても、超音波探触子の探傷方向が変化することなく探傷が可能となる。すなわち、走行レールの亀裂をより確実に検出可能となる。
本実施形態の検査台車1は、図1〜図3に示すように、台車フレーム1aと、レール4の上面に沿って転動可能な複数の走行輪2とを有する。走行輪2は、走行方向に間隔を開けて複数配置されている。本実施形態の走行輪2は、磁輪から構成されて、磁石によってレール4上面に磁着可能となっている。もっとも走行輪2は磁輪でなくても良い。
タイヤ式超音波プローブ5は、図2に示すように、回転しない固定軸51と、その固定軸51に軸受55を介して回転可能に連結するタイヤ52とから構成される。固定軸51の軸方向中央部は拡径部51Aとなっていて、その拡径部51A内に室56が形成されている。
そして、円環状の膜体52Aを拡径部51Aの径方向外周側に同軸に配置された状態で、一対の円板状の側面板52Bが、拡径部51Aを挟み込むようにして取り付けられる。各側面板52Bの内径側は、固定軸51に対し軸受55を介して回転可能に支持される。各側面板52Bの外周側は、ボルトなどの取付け具によって、補強板57と結合されている。これによって、膜体52Aは、一対の側面板52Bと共に回転可能となっている。
また、側面板52B、膜体52A、拡径部51Aの外径面とで囲まれる密封空間に、接触媒質53が充填されている。そして、その接触媒質の流体圧によって、膜体52Aは、一対の側面板52Bよりもタイヤ52外径方向に凸状に張り出し転動面を形成する。接触媒質53としては例えば水を例示可能である。
また、図2に示すように、超音波探触子54が、拡径部51A内に形成した室56の底面に設置されている。このとき、超音波探触子54のセンサ部を、底面側(レール4側)に向けている。室56の底面は、例えば薄板の樹脂製である。本実施形態では、3個の超音波探触子54が室56の底面に配置されている場合を例示している。
垂直探触子54Aは、垂直方向下方に探傷方向が設定されている。2つの斜角探触子54B、54Cはそれぞれ、探傷方向を垂直探触子54A側に傾けて設置されている。その垂直方向に対する傾き角は、例えば30度〜60度の範囲で設定すれば良い。図4では傾き角が45度の場合を例示している。これによって、3方向から探傷が行われる。
レーザ距離計9は、レール4上面との上下方向の距離を検出する。レーザ距離計9は距離検出器を例示するものであり、距離が計測出来れば他の公知の距離検出器を採用しても構わない。また、距離検出方向である上下方向は、鉛直方向に限定されず、斜め下方に向けての上下方向であっても良い。また図1では、レーザ距離計9を台車フレーム1aの後側に設置する場合を例示しているが、前側であっても良い。この場合には、レール4の探傷に先立って上下距離(レール4上面の高さ)が検出される。
それぞれ対を成す支持ローラ3は、図1及び図3に示すように、走行レール4の上側フランジ部(頭部)をレール4幅方向両側から挟み込むように配置される。各支持ローラ3は上下軸周りに回転自在に取り付けられており、その上下軸の上部が台車フレーム1aに固定されている。
上記構成のレール検査装置を搭載した検査台車1は、図5に示すように、牽引部によって天井クレーンのクレーン電気室11に連結される。そして、タイヤ式超音波プローブ5の各超音波探触子54及びレーザ距離計9の検出結果が、クレーン電気室11内のUT探傷器に供給されるようになっている。
検査台車1を天井クレーンで牽引することで、検査台車1は走行レール4上を走行する。このとき検査台車1に搭載したレール検査装置の超音波探触子54によって、連続的に走行レール4の非破壊探傷が行われると共に、レーザ距離計9によってレール4上面の段差を検出可能となる。
また走行レール4は、複数のレール4を繋いで走行長さを確保するが、図6に示すように、レール4間に所定以上の段差があると走行に支障が出る可能性がある。そのレール4の段差をレーザ距離計9によって検出する。
(1)走行レール4上を転動可能なタイヤ52と、タイヤ52の中心軸側に配置されて探傷方向を常に走行レール4側に向けた超音波探触子54と、を有するタイヤ式超音波プローブ5を備える。タイヤ52は、一対の側面部と、可撓性の膜体52Aからなり且つ走行レール4上面に接触する転動面と、を有する。転動面と超音波探触子54のセンサ部との間に接触媒質53が充填され、その接触媒質53の流体圧によって、膜体52Aからなる転動面が、一対の側面部よりも走行レール4側に張り出している。
この結果、レール長手方向からみて、各超音波探触子54の探傷方向が垂直方向に保持されたままとなり、レール4上面の磨耗の有無に関係なく、図7(a)のような広域な探傷範囲が確保出来る。即ち、レール4上面の形状に関係なく、レール4腹部(ウエブ部)の亀裂を広範囲に探傷可能となる。
更に、ノズル8から転動面に水を吹き付けることで、転動面とレール4上面との間での超音波の減衰を低減されることができて、測定精度を所定以上の精度にすることが可能となる。
この構成によれば、転動面がより確実に走行レール4上面に対して面で密着するようになる。例えば振動などで台車フレーム1aが上下動しても、タイヤ式超音波プローブ5をレール4側に付勢することで、レール4上面が偏磨耗していたとしても、確実に転動面が密着した状態を確保可能となる。
レール4に発生する亀裂は、あらゆる方向に生じるため、垂直探傷のみでは亀裂の一部を見逃す恐れがある。これに対し、この構成によれば、3方向から探傷を行うことで、あらゆる方向の亀裂を漏れなく検知可能となる。
例えば、図4における亀裂Aのように横方向に延びる亀裂は、垂直探触子54Aで精度良く検出可能である。一方、亀裂B、Cのように上下方向に延びる亀裂は、垂直方向からの超音波からの反射波の戻り(反射エコー)が小さい為、精度良く検出できない可能性がある。
ここで、垂直探触子54Aは、レール4の底面反射エコーに加えて欠陥反射エコーを検知することで亀裂の有無を判定している。これに対し、斜角探触子54B、54Cは、欠陥反射エコーだけによって亀裂の有無を判定する。このため、垂直探触子54Aの方が精度が良い。このため、垂直探触子54Aで主に疵の判定を行い、斜角探触子54B、54Cの検出を従として判定することが好ましい。
天井クレーンの点検は、高所且つ狭隘な場所での作業となるが、本実施形態では、そのような場所での直接の目視点検が不要となる。
(5)検査台車1に搭載されて走行レール4との上下方向の距離を検出するレーザ距離計9を備え、レーザ距離計9の検査結果に基づき走行レール4の継ぎ目部を検出する。
この構成によれば、亀裂の探傷と併せて、図6のような、レール4継ぎ目部の所定以上の段差も検出可能となる。
この構成によれば、走行する検査台車1やタイヤ式超音波プローブ5がレール4幅方向に傾くことが抑制されて、より走行中の探傷精度が向上する。
1a 台車フレーム
2 走行輪
3 支持ローラ
4 走行レール
5 タイヤ式超音波プローブ
6 水タンク
7 供給配管
8 ノズル
9 レーザ距離計
10 ショックアブソーバ
11 クレーン電気室
12 バネ
51 固定軸
51A 拡径部
52 タイヤ
52A 膜体
52B 側面板
53 接触媒質
54 超音波探触子
54A 垂直探触子
54B、54C 斜角探触子
56 室
57 補強板
Claims (9)
- 走行レール上を走行可能な検査台車に搭載されて、超音波によって上記走行レールを非破壊探傷するレール検査装置であって、
上記走行レール上を転動可能なタイヤと、上記タイヤの中心軸側に配置されて探傷方向を常に上記走行レール側に向けた超音波探触子と、を有するタイヤ式超音波プローブを備え、
上記タイヤは、一対の側面部と、可撓性の膜体からなり且つ上記走行レール上面に接触する転動面と、を有し、
上記転動面と上記超音波探触子のセンサ部との間に接触媒質が充填され、その接触媒質の流体圧によって、上記膜体からなる転動面は、上記一対の側面部よりも上記走行レール側に張り出し、
上記タイヤ式超音波プローブを、上記検査台車に対し、上下に軸を向けたショックアブソーバを介して支持させると共に、上記走行レール側に付勢する付勢機構としてのバネを備えることを特徴とするレール検査装置。 - 上記超音波探触子として、垂直探触子と、上記タイヤの転動方向で上記垂直探触子を挟んで配置される一対の斜角探触子とを備え、上記各斜角探触子の探傷方向は、上記垂直探触子側に傾いていることを特徴とする請求項1に記載したレール検査装置。
- 上記走行レールは天井クレーン用の走行レールであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したレール検査装置。
- 上記検査台車に搭載されて上記走行レールとの上下方向の距離を検出する距離検出器を備え、
上記距離検出器の検査結果に基づき上記走行レールの継ぎ目部を検出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したレール検査装置。 - 上記走行レール上を転動する検査台車の走行輪とは別に、上記走行レールを幅方向から挟み込む一対の支持ローラを備え、各支持ローラは、上下軸周りに回転可能な状態で上記検査台車に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したレール検査装置。
- タイヤ式超音波プローブを走行レール上面に沿って転動させて、上記タイヤ式超音波プローブによって上記走行レールの非破壊探傷を行い、
上記タイヤ式超音波プローブは、上記走行レール上を転動可能なタイヤと、上記タイヤの中心軸側に配置されて探傷方向を常に上記走行レール側に向けた超音波探触子と、を備え、
上記タイヤは、一対の側面部と、可撓性の膜体からなり且つ上記走行レール上面に接触する転動面と、を有し、
上記転動面と上記超音波探触子のセンサ部との間に接触媒質が充填され、その接触媒質の流体圧によって、上記膜体からなる転動面は、上記一対の側面部よりも上記走行レール側に張り出すことで、上記膜体からなる転動面を上記レール上面に密着状態とし、
上記タイヤ式超音波プローブを、検査台車に対し、上下に軸を向けたショックアブソーバを介して支持させると共に、走行レール側に付勢する付勢機構を備えることを特徴とするレール検査方法。 - 上記超音波探触子として、垂直探触子と、上記タイヤの転動方向で上記垂直探触子を挟んで配置される一対の斜角探触子とを備え、上記各斜角探触子は、上記垂直探触子側に傾いていることを特徴とする請求項6に記載したレール検査方法。
- 上記走行レールとの上下方向の距離を検出する距離検出器を備え、上記距離検出器の検査結果に基づき上記走行レールの継ぎ目部を検出することで、継ぎ目部での段差量を判定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載したレール検査方法。
- 上記タイヤ式超音波プローブは、上記走行レール上を走行可能な検査台車に搭載され、
上記走行レール上を転動する検査台車の走行輪とは別に、上記走行レールを幅方向から挟み込む一対の支持ローラを備え、その一対の支持ローラによって、転動するタイヤ式超音波プローブの幅方向の揺動を抑制することを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載したレール検査方法。
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