JP6534380B2 - スフェロイド作製用デバイス、スフェロイドの回収方法及び製造方法 - Google Patents

スフェロイド作製用デバイス、スフェロイドの回収方法及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は均一な大きさのスフェロイドを大量かつ高密度に培養するのに適したデバイス、およびそれを用いる方法に関する。
三次元培養法は二次元培養方法よりもより正確に生体組織の機能を模倣できることが非特許文献1に示されている。さらに、多能性幹細胞やiPS細胞を効率的に分化させる方法のひとつとしても三次元培養法が有用であることが非特許文献1に示されている。このような技術を使って、三次元培養した人工組織を体内に戻して失われた機能を再建・補完する試みがなされている。また損傷した組織修復を助ける再生医療に応用する試みがなされている。また医薬品の毒性や検査に利用する試みがなされている。とりわけ、再生医療及びその研究のためには、大きさや形が均質な細胞塊を大量に作製する必要がある。これに加えて、現行の方法より簡便で低コストの方法が必要となる。
[大きさや形の均一な細胞塊を作製することの意義]
肝細胞の場合には生体内の機能をin vitroで再現できないといった問題がある。この問題の一例は、肝細胞の二次元培養の場合には肝細胞が本来有している薬物代謝機能が低下することである。この問題を解決する手段として、非特許文献2に挙げられているような細胞塊を形成させる方法がある。この方法で作製した細胞塊は二次元培養した細胞と比較して格段に機能が向上することが示されている。
in vitroで胚性幹細胞や誘導性多能性幹細胞を目的細胞に分化させる場合について、胚様体、embryoid bodyと呼ばれる細胞塊を形成するなどして発生分化のプログラムが起動し目的細胞に分化させることができる。非特許文献3には、細胞塊の大きさによって分化の方向性が変化することが報告されている。
[大きさや形の均一な細胞塊を大量に作製する技術について]
非特許文献4には、ハンギングドロップ法と呼ばれる液滴中で培養する方法が開示されている。また底がU字またはV字の低接着プレートが開示されている。さらにバイオリアクターを用いた大量培養法が開示されている。ハンギングドロップ法やU字プレートは、均質な大きさや形の細胞塊を作製するのに適している。一方、これらを用いても1ウェルに1個の細胞塊しか作製できないため大量培養に適していない。ハンギングドロップ法は広く研究に応用されているが、数百、数千個以上のオーダの細胞塊を一度に作製するような大量培養には適していない。
さらに非特許文献4には低接着容器を使用する方法が示されている。またローラーボトルを使用する方法も開発されている。さらにゲルやビーズに固定化して懸濁培養する方法も開発されている。これらの方法は高密度に数千個の細胞塊が作製できるものの、作製された細胞塊が不均質にとなるといった問題がある。低回転のローラーボトルであって比較的均質な細胞塊を大量に作製できるものが開発されている。しかしながら、いずれの方法も操作が複雑で大掛かりな装置が必要となる。さらに、ローラーボトルなどの回転数を厳密にコントロールしても、近接する任意の細胞及び細胞塊が溶液内で不規則に会合して新たな細胞塊を形成する場合もある。このため均一な大きさの細胞塊を得ることは困難である。
例えば、特許文献1には、細胞塊の集団を、大量かつ簡便に生産する方法の一例を開示している。かかる集団では細胞塊の大きさや形などの形態と、細胞外の性質とが均一になっている。特許文献1に開示された方法では、少なくとも下側の一端が開口している空洞部を有する構造体の空洞部内に、細胞を含む培養液を注入する。この時、前記培養液の一部を前記開口端より下側に突出させる。この方法では前記培養液の前記突出部分で細胞を培養する。この方法では、上方の一端が閉鎖されている場合に培養液の空洞部内への注入することの問題がある。また培養液の突出部分の形成の工程が煩雑であるという問題がある。またかかる工程においては注入量の精確な調整を要するという問題がある。また、かかる方法は両端が開口している場合は培養液の注入(吸引)は効率的に行える方法であるものの別の問題を有している。別の問題とは注入された培養液の状態を維持するために上端を閉鎖するか、あるいは吸引圧を維持する機構が別途必要なことである。さらに、この様式では細胞の代謝に関与できる培養液の量が空洞部の容積で規定されるため新たな制限が生じている。新たな制限の一つは用いる細胞の代謝活性に応じて細胞濃度や培養期間が制限されることである。かかる新たな制限により、作成可能な細胞塊の大きさや細胞の種類も制限を受ける。また、特許文献2には、特許文献1に比べ培養液の注入が容易な懸濁プレートが開示されている。特許文献2では、培養液が第1表面から第2表面に連通する構造が開示されている。しかしながら、特許文献2の様式では作成する細胞塊の数に比例して注入操作の回数が増加する。このため、なお工程の煩雑さの問題は免れない。
特許第5074382号公報 国際公開第2010/031194号
Kenneth M. Yamada、他著、"Modeling Tissue Morphogenesis and Cancer in 3D"、Cell 130、2007年9月24日、pp.601−610 Erik Eschbach、他著、"Microstructured Scaffolds for Liver Tissue Cultures of High Cell Density: Morphological and Biochemical Characterization of Tissue Aggregates"、Journal of Cellular Biochemistry 95、2005年、pp.243−255 CL Bauwens、他著、"Control of Human Embryonic Stem Cell Colony and Aggregate Size Heterogeneity Influences Differentiation Trajectories"、Stem Cells 26、2008年、pp.2300−2310 Sasitorn Rungarunlert、他著、"Embryoid body formation from embryonic and induced pluripotent stem cells: Benefits of bioreactors"、World Journal of Stem Cells 1(1)、2009年12月31日、pp.11−21
上述したように、従来のハンギングドロップ法用の容器を用いた培養方法、及びロータリーボトルを用いた培養方法には一長一短がある。このため形や大きさの均質な細胞塊を大量に作製することは困難であった。また、かかる細胞塊を数百、数千個オーダで簡便かつ大量に作製することは特に困難であった。
本発明はこのような課題を鑑み発明されたものである。
発明者らは、細胞を培養するデバイスと培地との間で生じる物理現象を検討した。その結果、簡易な手法でスフェロイドを作製するデバイスを実現させた。
本発明にかかるスフェロイド作製用デバイスの一態様は、第一表面、第二表面、及び複数の壁面を少なくとも備える。第二表面は、第一表面の裏面となる面である。各壁面は、第一表面と第二表面との間を貫通する複数の孔を形成する。加えて、第一表面の開口部の内接円の相当直径が第二表面の開口部の内接円の相当直径より大きい。本態様によれば、スフェロイドを簡易にかつ大量に作製するのに適したデバイスを提供することができる。かかるデバイスは上側に配置される第一表面から培地を注入し、下側となる第二表面から作製したスフェロイドを回収することを可能とする。そのため、細胞の播種工程、及び細胞の培養工程の操作が容易になる。したがって、これらの作業に要する時間を削減することができる。加えて、スフェロイド作製用デバイスに、第二表面から第一表面へ向かって大きくなる孔を形成することには以下の長所がある。まず第一表面から第二表面へ向けて培養液が浸入し易すい。また落ち込んだ細胞の密度が第二表面近傍でより高くなるのでスフェロイド形成が助長される。これらに加え、デバイス自体の製造が容易になる。
スフェロイド作製用デバイスの一態様において、各孔により形成される開口部の内接円の相当直径が前記第二表面の開口部の内接円の相当直径の長さ以上であることが好ましい。第二表面の開口部の内接円の相当直径が200マイクロメートルから1センチメートルの範囲であることが好ましい。各壁面の少なくとも一部分は、前記第二表面に対して1度より大きく、90度より小さい角度の傾斜を有することが好ましい。疎水性の材料を用いる場合には、デバイスの材質と培地との接触角を考慮して、第二表面の開口部の外接円の相当半径(相当直径の半分の長さ)を決定することが好ましい。親水性の材料を用いる場合には、デバイスの材質と培地との接触角を考慮して、第二表面の開口部の内接円の相当半径を決定することが好ましい。
また、上述したスフェロイド作製用デバイスを用いて作製したスフェロイドを回収する方法の一態様は、スフェロイド作製用デバイスの前記第二表面を水、培地及び緩衝液のうちの1つから選択される溶液と接触させてスフェロイドを回収する方法である。あるいは、第一表面から圧力を加えることによってスフェロイドを第二表面の開口部から回収する方法である。これらのいずれかの回収方法によれば、スフェロイドをかつ損傷させることなく容易に回収することができる。
さらに、上述したスフェロイド作製用デバイスを用いるスフェロイドの製造方法の一態様は、各孔に細胞を含む培地を、第一表面から注入し、各孔で液滴を形成させ、液滴の部分で細胞を培養し、スフェロイドを作製する方法である。かかる方法で作製したスフェロイドを回収するために、上述した回収方法を用いることが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、均一なスフェロイドを簡易な手法で大量に作製するのに適したスフェロイド作製用デバイス、並びにスフェロイド回収方法及びスフェロイド製造方法であって、均一なスフェロイドを大量に作製するのに適した簡易な方法を提供することができる。
一実施形態にかかるスフェロイド作製用デバイスの一例を示す図である。 図1に示すスフェロイド作製用デバイスのII−II線に沿った断面図である。 スフェロイド作製用デバイスの詳細を説明する図である。 一実施形態のスフェロイド作製用デバイスを用いる細胞培養容器の一例を示す図である。 液滴にかかる力を説明する図である。 壁面の材質と培地との接触角を説明する図である。 角度θを説明する図である。 液面と水圧との関係を説明する図である。 図8より水圧が大きい場合の液面と水圧との関係を説明する図である。 図8及び図9より水圧が大きい場合の液面と水圧との関係を説明する図である。 液面と水圧の釣り合っているときの第二表面の開口部での表面張力を説明する図である。 気体と水圧の釣り合っているときの第二表面の開口部での表面張力を説明する図である。 スフェロイドを作製する工程を説明する図である。 スフェロイドを作製する工程の他の一例を説明する図である。 スフェロイドを回収する手法(培地の利用)を説明する図である。 スフェロイドを回収する他の手法(加圧)を説明する図である。 スフェロイド作製用デバイスの断面の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの断面の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの断面の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの断面の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの断面の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの断面の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの開口部の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの開口部の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの開口部の他の形状例を示す図である。 スフェロイド作製用デバイスの開口部の他の形状例を示す図である。 実施例で用いるスフェロイド作製用デバイスの形状を説明する図である。 図27のXXVIII−XXVIII線に沿った断面図である。 実施例で用いる細胞培養容器の構成を説明する図である。 図29のXXX−XXX線に沿った断面図である。 実施例1のスフェロイド回収前の培養面の写真である。 図31を拡大した写真である。 実施例1及び比較例1について、回収後のスフェロイドの顕微鏡写真である。 実施例1について、スフェロイド回収後のデバイス表面の写真である。 比較例1のスフェロイドの写真である。 実施例1及び比較例1の粒径直径分布を表すグラフである。 実施例1の細胞数を変えた場合の粒径直径分布を表すグラフである。
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
実施形態1
図1に一実施形態にかかるスフェロイド作製用デバイスの一例を示す。また、図2に図1に示すスフェロイド作製用デバイスのII−II線に沿った断面図を示す。スフェロイド作製用デバイス1は、液滴形状に形成した培地の中で細胞を培養することで、細胞を凝集させて得られるスフェロイドを作製するデバイスである。スフェロイドは、細胞が多数凝集して三次元になったものである。
スフェロイド作製用デバイス1は、第一表面11、第二表面12、及び壁面13を少なくも備える。図1は、スフェロイド作製用デバイス1を第一表面11側から見た図を示している。
第一表面11は、スフェロイド作製用デバイス1の上面であり、細胞を培養するときに培地等を注入する上側の面となる。
第二表面12は、第一表面11と対向する面である。第二表面12は、スフェロイド作製用デバイス1の底(底面)を形成し、上面(第一表面11)に対する裏面となる。
壁面13は、第一表面11と第二表面12とを貫通する孔(貫通孔)を形成する。また、壁面13は、第一表面11と第二表面12とに開口部を形成するとともに、第一表面11と第二表面12とを連通させる働きをする。
加えて、一実施形態のスフェロイド作製用デバイス1において、壁面13によって形成される孔は、第一表面11に近い方に形成される開口部に比べ、第二表面12に近い方に形成される開口部が小さくなるように設計される。開口部の大きさは、相当直径を用いて比較する。
「相当直径」は内接円の相当直径と外接円の相当直径の総称として用いる。「外接円の相当直径」は、開口部に外接する円の直径であり、第二表面12と平行な平面上に描いた外接円の直径として用いる。例えば、第一表面11と第二表面12との間に形成される孔の開口部の相当直径は、第二表面12と平行な平面上に外接円を描いたときの直径を用いる。「内接円の相当直径」は開口部に内接する円の直径であり、第二表面12と平行な平面上に描いた内接円の直径をいう。例えば第一表面11と第二表面12との間に形成される孔の開口部の相当直径は、第二表面12と平行な平面上に内接円を描いたときの直径を用いる。図中、符号「D」で示す長さは、外接円の相当直径Doutまたは内接円の相当直径Dinとのいずれかであり、DoutとDinとを厳密に区別しないで示す。
開口部の大きさの詳細については以下に図3を参照して説明する。
ここで、図1、2に加え、図3を参照して、スフェロイド作製用デバイス1の構成をより詳細に説明する。図3は、スフェロイド作製用デバイスの詳細を説明する図である。図3では、図2に示す断面の図を用いて示すが、説明を容易にするため断面を示す斜線を省略する。
スフェロイド作製用デバイス1は、角度θi、第二表面12の開口部の外接円の相当直径Doutまたは第二表面12の開口部の内接円の直径Din、デバイスに使用する材質、及び、細胞培養に用いる培地8を少なくとも考慮して設計される。加えて、厚みT、上面の幅Wなどを考慮することが好ましい。
角度θiは、壁面13の斜面が、第二表面12に対してなす角度である。壁面13では、斜面の少なくとも一部分が第二表面12に対して角度θiを有すればよい。一方で孔を形成する壁面13全体が一様な角度θiの斜面でなくてもよい。角度θiは、1度より大きく90度より小さいことが好ましく、30度から80度の範囲がより好ましい。これは、孔に培地8が入りやすくするためである。あるいは、播種した細胞の全てが壁面13に留まることなく液滴下部まで自重で沈降するようにするためである。これにより、効率よく細胞を培養することができる。
厚みTは、第一表面11から第二表面12までのスフェロイド作製用デバイス1の厚みである。厚みTは、培地8の重さに耐えられる厚みであればよい。
第二表面12の開口部の外接円の相当直径Doutは、第二表面12に形成された開口部に外接する外接円の直径である。
第二表面12の開口部の内接円の相当直径Dinは、第二表面12に形成された開口部に内接する円の直径である。また、外接円の相当半径Routは、外接円の相当直径Doutの半分の長さである。内接円の相当半径Rinは、内接円の相当直径Dinの半分の長さである。
一実施形態では、第一表面11の開口部の内接円の相当直径が第二表面12の開口部の内接円の相当直径Dinより大きくなるように設計される。
加えて、第二表面12の開口部の内接円の相当直径Dinは、所望するスフェロイドの大きさの1倍から10倍の相当直径(例えば、200μm〜1cm)であることが好ましい。さらに加えて、単位面積当たりの孔の数が多いほど、小さい面積で多くの細胞塊を作製できることから、所望の細胞塊の直径の1倍〜2倍にすることがより好ましい。
上面の幅Wは、一つの孔を形成する壁面13と、隣接する別の孔を形成する壁面13との間の幅である。また上面の幅Wは、第二表面12に対して、角度θiをなす壁面13が終了する位置の幅である。言い換えると、隣接する孔を形成する二つの壁面13は第二表面12から第一表面11へ向かう斜面を有するところ、上面の幅Wは、かかる斜面が角度θiを有することを可能にする端部の幅であるともいえる。
図3は、培地8の高さ(深さ)が高さ(深さ)Hとなるまで、第一表面11から(第一表面11の開口部から)、孔とスフェロイド作製用デバイス1上部の空間とに培地8を注入した状態を模式的に示す。図4に示すように、かかる空間はウェル容器91内の空間に相当する。図3に示すスフェロイド作製用デバイス1の構成例では、第二表面12の開口部から培地8が突出するように、培地8が注入される。第二表面12から突出した部分は液滴81である。言い換えると、液滴81が形成されるように、培地8をスフェロイド作製用デバイス1へ注入する。液滴81は、細胞を培養して、スフェロイドを形成する際に、三次元の細胞培養器として働く。ここで、液滴81の下向きの液面は、所定の曲率半径を有する曲面で形成されている。液滴を囲んでいる空気及び液体の圧力差ΔP(P−Pair)はヤング−ラプラスの関係式、ΔP=Hρ=γ(1/r1+1/r2)で表される。ここでγは液体の表面張力[g/cm]、r1,r2は直交する曲率半径である。液滴81の表面を球面と想定した場合はr1=r2となる。かかる曲面は下に凸になるので、液滴81が形成される。
図3の変形例として、第一表面11から(第一表面11の開口部から)培地8を注入する際に、培地8の高さ(深さ)Hが上述の高さ(深さ)より低くなるように注入を調整することができる。この場合、図3に示すスフェロイド作製用デバイス1の構成例において、第二表面12の開口部から第一表面11の開口部を結んでいる斜面(壁面13)の途中で培地8が留まるように、培地8を注入する。後述する図14に、斜面の途中で培地8を留めて細胞を培養している状態を模式的に示している。
デバイスに使用する材料の材質、細胞培養に用いる培地の性質、相当直径等の、スフェロイド作製用デバイスの設計に関する詳細事項については、図面を参照して後述する。
なお、図3において、厳密には壁面13を、第二表面12に対して角度θiを維持する面をいう。また第一表面11と壁面13とのあいだの斜面を、上面ということもある。あるいは、第一表面11を広くとらえ、第一表面11が、第二表面12と平行とならない面(上面)も含むように表すこともある。これらが本発明の一態様にかかる本質ではない場合にはこれらを厳密に区別しない。
図4に、一実施形態のスフェロイド作製用デバイスを用いる細胞培養容器の一例を示す。細胞培養容器9は細胞培養容器の基本構造の一例である。細胞培養容器9では、スフェロイド作製用デバイス1がウェル容器91に装着される。さらにウェル容器91の外側にシャーレ92が配置される。
スフェロイド作製用デバイス1とウェル容器91とは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。ウェル容器91は、培地8を入れる空間を提供するものであるため、細胞に対して毒性がなければどのような材質であっても良い。一方、シャーレ92は、スフェロイド作製用デバイス1の第二表面12や液滴81と接触しないような形状であればよい。
スフェロイド作製用デバイス1が装着される容器は図4に示す構成物に限られることはない。細胞をスフェロイド作製用デバイス1で培養する際には、マルチウェルプレートやシャーレなどにスフェロイド作製用デバイス1を装着して使用してもよい。スフェロイド作製用デバイス1は、第二表面12(底面)や液滴81がマルチウェルプレートやシャーレと接触しなければどのような方法で用いてもよい。
以下に、スフェロイド作製用デバイスの設計の詳細について説明する。スフェロイド作製用デバイス1の材質及び表面と、第二表面12の開口部の内接円の相当直径Dinまたは外接円の相当直径Doutとの設計にあたっては以下の物理現象を考慮して設計を行うことが好ましい。特に、壁面13の材質と培地8との接触角θcを考慮することが好ましい。その理由は、スフェロイド作製用デバイス1の接触角θcが、デバイスに用いる材料の材質、培地の性質等により影響を受けるためである。以降の説明ではまず、接触角θcに関係する物理現象に応じたスフェロイド作製用デバイス1の設計について検討する。その後、他の要素について説明する。
図6に壁面13に表れる材料の材質と培地8との接触角θcを説明する模式図を示す。接触角θcは固体に対する液体の接触角である。接触角θcはかかる固体及び液体の性質から定まる。γは固体の表面張力[g/cm]、γSLは固液表面張力[g/cm]、γは液体の表面張力[g/cm]である。
接触角θcは、固体と液体との性質から定まる。具体的には、スフェロイド作製用デバイス1に用いる材料材質(壁面13に表れる材料の材質)と培地8の性質で決まることになる。
<接触角θcの検討>
(1)接触角θcが−1<cosθc≦0の範囲に含まれる場合
この場合、液滴の大きさは接触角に影響されることがない。角度θ=90度が許容範囲になる。
接触角θcが、−1<cosθc≦0の範囲に含まれる場合には、一般にはスフェロイド作製用デバイス1が疎水性の材質であるといえる。このときの第二表面12の開口部の内接円の直径Dinは第一表面11の開口部の内接円の直径よりも小さい。これに加えて、外接円の相当直径Doutの大きさが重要となる。
図5に液滴81にかかる力を説明する図を示す。図5では液滴81の形状が半球であることを前提とする。第2表面は水平に置かれているものとする。また、液滴81は、実際には培地8との境界がない連続する液体である。ここでは説明を容易にするため、図5では液滴81と定義して説明する範囲を培地8とは異なる斜線を用いて表す。
液滴81にかかる力であって、重力と並行に働いている力として、F0からF2が存在する。
F0は、液滴81にかかる重力の力であり、以下の式により算出する。
F0=体積×比重
=V・α
F1は、液滴81が液(培地8)から受ける水圧に由来する力であり、以下の式により算出する。
F1=水圧×面積=pS
大気圧の場合は
F1=液上面から液滴までの深さ×液体の密度×面積
=HρS
F2は、液面の辺縁で発生する液体の表面張力に由来する力であり、以下の式により算出する。
F2=外周×液体表面張力×角度
=Lγsinθ
液体の表面張力γは、Wilhelmy法など様々な方法で測定することができる。または販売元から情報を入手することが可能である。さらに、接触角θcは使用する液体(培地や緩衝液)と材料を、液適法や気液法よって測定することができる。
図8の場合、水面が壁面で止まるための条件にはγSLも関与してくる。一方、図9のような場合に液滴が保持されるための条件にはγSLは関与しない。この時γSLは第2表面の方向に想定される。
上記各式において、体積Vは液滴81の体積[cm]、比重αは培地8の比重、高さHは培地8の上面から液滴81の下端までの深さ[cm]に等しい高さ、密度ρは、培地8の密度[g/cm]である。
面積Sは液滴81が発生する位置(孔の中で液滴が形成される位置)の開口部の面積の大きさである。ここでは、面積Sは第二表面12と接する境界の面積[cm]であり、第二表面12の開口部の面積と同じである。
水圧pは第二表面12の開口部での水圧[g/cm]である。外周の長さLは液滴が第二表面12と接する境界の長さ[cm]である。Lは第二表面の開口部の周囲の長さと一致する。固液表面張力γSLは、壁面13と培地8との表面張力(界面張力)[g/cm]である。角度θは、液滴81の表面が水平面あるいは水平に置いた第二表面12となす角度である。図5で液滴81を半球とした場合は角度θ=sin90°=1となる。角度θは液滴81が接している辺縁部における接面と、水平面とのなす角である。あるいは角度θは該接面と、水平に置いた第二表面12とのなす角である。図7に角度θを説明する図を示す。
そして、以下の式1の関係が成り立つときに液滴81がスフェロイド作製用デバイス1に保持される。
F0+F1<F2・・・・式1
さらに、図8に示すように液滴が壁面13に留まる場合、上述した計算式により、F2は以下の式で表すことができる。
F2=LγSLsinθ+Lγsinθ
(θは壁面の傾斜角である。)
よって式1(F0+F1<F2)は次のように式2で表すことができる。
Vα+pS<LγSLsinθ+Lγsinθ・・・式2
また、図9に示すように液滴が第2表面12と連続する場合、F2は以下の式で表すことができる。
F2=Lγsinθ
よって式1(F0+F1<F2)は次のように式3で表すことができる。
Vα+pS<Lγsinθ ・・・式2−2
ここで、ある接触角θcをもつ素材を用いて、培地8を高さHまで入れるとする。液滴81がくびれ始めるときは例えば、第二表面12から外側に突出し始める。このときF0+F1=F2となる。このときの角度θは90度(sin90=1)となる。
液滴81の体積をV、第二表面12の開口部の外接円の相当半径をRout、比重をαとすると、以下の式のように表すことができる。
F0=((4/3)πRout÷2)×α=(2/3)πR・α
ただし、液滴81が半球であるとして、体積Vを[(球の体積)÷2]とする。
さらに、開口部の面積S及び外周の長さLを相当半径Rで表すと、以下のように表すことができる。
S=πRout、L=2πRout
式3より
(2/3)πRout・α+pπRout
=2πRoutLγsin90
ただし、sin90=1。
よって、
(2/3)αRout+pRout=2γ・・・式3
即ち、式3の外接円の相当半径Routが第二表面12の開口部の最大相当半径であることが好ましい。また第二表面12の開口部の直径は2Rout以下に設定することが好ましい。細胞塊が重力から受ける力(Fc)も考慮して設計することがより好ましい。
上述したように、接触角θcが−1<cosθc<0(接触角90°以上、θはθcを超えられない)の範囲に含まれる場合には、第二表面12の開口部の外接円の相当直径Doutを、式3で算出した外接円の相当半径の2倍以下にすることが好ましい。かかる態様によりスフェロイド作製用デバイス1に液滴を維持することができる。
(2)接触角θcが0<cosθc<1の範囲の場合
接触角θcが0<cosθc<1の範囲である場合には、一般にはスフェロイド作製用デバイス1が親水性の材質であるといえる。このような材料を用いる場合の第二表面の開口部12の大きさの設計に際しては、内接円の相当直径を用いる。
図8乃至9を用いて液面と水圧との関係を説明する。図8の水圧p1を基準にすると、図9は図8より水圧p2が大きい場合(p1<p2)を示す。図10は、図8及び図9より水圧が大きい場合(p1<p2<p3)を示す。図8は、水圧p1の大きさと液面とが釣り合っていて、液体は落下せず停止する状態を示す。図9は、水圧p2が水圧p1より大きいため、液面がより第二表面12に近くなっている状態を表す。図9では水圧p2の大きさと液面との間でバランスが成立している。図5に示す高さHを高くすればするほど(培地8の量を多くすればするほど)水圧が大きくなる。その結果、θが接触角θcを超えた時点で図10に示すように液体とデバイスおよび空気が接する三重線が移動する。したがって液面が第二表面12の開口部からまわり込み、第二表面12上に付着する。図10のような状態になると、スフェロイド作製用デバイス1の上部から液体が持続的に供給される。この結果、液滴が増大して滴下し、各孔に1個の液適を安定的に保持することが困難となる。即ち、図8または図9で表す状態にあることが好ましい。
そこで、以下のような条件となるようにスフェロイド作製用デバイス1を設計することが好ましい。図12は、液面と水圧の釣り合っているときの第二表面12の開口部での表面張力を説明する図である。図11は、図9の状態となるように調整した場合を示す。
図10の状態にならないときの条件は、固体の表面張力γが固液界面張力γSLと液面の表面張力(γcosθ)の和を超えない時となる。即ち、
γ≦γSL+γcosθ・・・式5
これをYoungの式(γ=γSL+γcosθ)と比較すると、θ≦θのとき、液滴は安定に維持される。
図6に壁面13の材質と培地8との接触角θcを説明する模式図を示す。接触角θcは固体に対する液体の接触角であり、固体・液体の性質で決まる。γは固体の表面張力[g/cm]、γSLは固液表面張力[g/cm]、γは液体の表面張力[g/cm]である。
接触角θcは、固体と液体との性質で決まり、具体的には、スフェロイド作製用デバイス1の材質(第二表面12や壁面13の材質)と培地8の性質で決まることになる。
固体の表面張力γSLは、例えば、インターネット上の情報(http://www.surface-tension.de/solid-surface-energy.htmなど)、あるいは購入元などから得られる情報として入手することが好ましい。あるいは、Zisman法を用いて算出してもよい。液体の表面張力γは、Wilhelmy法など様々な方法で測定することができる。または販売元から情報を入手することが可能である。さらに、接触角θcは使用する液体(培地や緩衝液)と材料を、液滴法や気液法よって測定することができる。よって、γSLについては、γとγの値を用いて、γSL=γcosθc−γの式に代入して導き出すことができる。
よって式5は
γ≦γcosθc−γ+γcosθc
γcosθc−γ≧0・・・式6
さらに、図12に示すように、液滴81の下向きの液面は、ヤングーラプラスの式に従って、液滴を囲んでいる空気と液体の圧力差ΔP(P−Pair)は
ΔP = p=γL(1/r1+1/r2)・・・式7
ただし大気圧の場合は
ΔP=Hρ=γL(1/r1+1/r2)・・・式7−2
の関係式で表され、曲面を形成して下に凸になり、液滴を形成する。ここでγは液体の表面張力[g/cm]、r1[cm],r2[cm]は表面の1点で直交する曲率半径である。
液滴81の表面を球面と想定した場合はr1=r2となる。よって
p=γL×(2/r)・・・式8
大気圧の場合は
Hρ=γL×(2/r)・・・式8−2
また、上述したように、第二表面12に液滴がまわりこみ始めた瞬間に液滴を保持することが困難になる。このことを踏まえ、接触角θcが0<cosθc<1の範囲のにおいて、θ=θとなった状態での諸条件と第二表面12の開口部の内接円の相当直径Dinとの関係を、図12を参照して考察する。
大気圧下について、培地が、ρ、γLで、γの値の材料を用い高さH[cm]まで培地を入れる場合について、
式6からcosθc>γ/γを満たす材質を選択する。
曲率半径から想定される円の中心から下に垂直な補助線を引くと、
Din=2r・sinθ
ここで、式8−2より、r=2HργLであるから、
Din=4・γL・sinθ/Hρ・・・式9
これに、液適が第二表面12にまわりこみ始める限界、すなわちθ=θを代入すると、液滴を保持できる内接円の最大直径Din(max)は、
Din(max)=4・γL・sinθ/Hρ・・・式9−2
となる。
すなわち、この値よりも小さい内接円の直径となるように設計することが好ましい。
このような条件で設計する際に、接触角θcに関わらず(言い換えるとデバイスの材料が疎水性であるか親水性であるかに関わらず)、培地中のタンパク質の材質への吸着を考慮することが好ましい。このため、第二表面12の開口部の大きさは、導き出された相当半径Rの最大値の20−80%の値にすることが好ましい。さらに、培地8の高さHに由来する水圧が、導き出された最大の水圧pの50−80%の範囲になるように培地8の高さHを調節して、培地量を調整することがより好ましい。
上述したように、接触角θcに応じて内接円の相当直径Dinまたは外接円の相当直径Doutを設計することにより、液滴が適切に形成されるスフェロイド作製用デバイス1を作製することが可能になる。言い換えると、スフェロイド作製用デバイス1に用いる材質と、細胞培養に使用する培地8の性質とに応じたスフェロイド作製用デバイス1を設計・作製することが可能になる。これにより、スフェロイド作製用デバイス1によって細胞培養に適する液滴が形成されるので、スフェロイド作製用デバイス1を用いてスフェロイドを効率よく、大量に作製することが期待できる。加えて、スフェロイド作製用デバイス1を用いて適切な液滴を形成させることにより、均一なスフェロイドを作製することが期待できる。
なお、上記(1)から(3)では、接触角θcの値がとる範囲に応じて、スフェロイド作製用デバイス1を設計するときに用いる計算式を提示した。これは、スフェロイド作製用デバイス1の材質、または培地8の性質に応じて、複数の設計手法を試験することが好ましいためである。また、これは、適宜好ましい計算式を用いてスフェロイド作製用デバイス1を設計、製造するためである。
<上面の幅>
空間と空間を仕切る壁の上面の幅Wは5mm以下が好ましい。また上面(第一表面11及びその近傍)に細胞が滞留または静置しないようにするために2mm以下がより好ましい。上面の幅Wとあわせて、上面の形状(第一表面11から上面の幅までの上部の形状)についても考慮することが好ましい。これについては、図17乃至22を参照して後述する。
<スフェロイド作製用デバイスの材質>
スフェロイド作製用デバイス1は、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、熱可塑性エラストマ塩化ビニル系樹脂、シリコーン樹脂及びシリコン樹脂のうちの1つ、またはこれらの組み合わせからなる樹脂成形品であることが好ましい。これは、安価かつ大量にデバイスを製造するためには、成形加工が可能な樹脂を使用するためである。
また、スフェロイド作製用デバイス1が上述した樹脂成形品である場合に、少なくとも壁面13に、プラズマ処理、コロナ放電、UVオゾン処理のうちの1つ、またはこれら組み合わせからなる表面改質処理方法により官能基を形成させることが好ましい。スフェロイド作製用デバイス1全体に官能基を形成させてもよい。これは、疎水性が高すぎる場合や開口部が小さい場合は親水性を付与することで、開口部への培地の流入をスムーズに行うことができるからである。
さらに、スフェロイド作製用デバイス1が上述した樹脂成形品である場合に、少なくとも壁面13に、無機物、金属、合成ポリマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、生体由来ポリマーのうちの1つ、またはこれらの組合せからなる物質が被覆されていることが好ましい。またスフェロイド作製用デバイス1全体にこれらの物質を被覆してもよい。これは、上記と同じ理由による。加えて、表面を上述した材料でコートすることで、より疎水性の表面を作成することは非常に有効である。これは同じ相当直径の孔を有するデバイスであっても、表面張力の小さい培地を使用する場合には、表面が疎水性であることが、表面が親水性であることよりも有効となるからである。
また、スフェロイド作製用デバイス1が、金属、ガラスなどの無機物のうちの1つ、またはこれらの組み合わせからなる成形品であることが好ましい。スフェロイド作製用デバイス1が上述した成形品である場合に、少なくとも壁面13に、プラズマ処理、コロナ放電、UVオゾン処理のうちの1つ、またはこれら組み合わせからなる表面改質処理方法により表面を改質することが好ましい。スフェロイド作製用デバイス1全体の表面を改質してもよい。これは、上記と同じ理由による。加えて、表面を上述した材料でコートすることで、より疎水性の表面を作成することは非常に有効である。これは同じ相当直径の孔を有するデバイスであっても、表面張力の小さい培地を使用する場合には、表面が疎水性であることが、表面が親水性であることよりも有効となるからである。
あるいは、スフェロイド作製用デバイス1が上述した成形品である場合に、少なくとも壁面13に、無機物、金属、ポリマー、ダイマー、トリマー、テトラマーのうちの1つ、またはこれら組合せからなる物質が被覆されていることが好ましい。スフェロイド作製用デバイス1全体に、これらの物質が被覆されていてもよい。これは、上記と同じ理由による。加えて、表面を上述した材料でコートすることで、より疎水性の表面を作成することは非常に有効である。これは同じ相当直径の孔を有するデバイスであっても、表面張力の小さい培地を使用する場合には、表面が疎水性であることが、表面が親水性であることよりも有効となるからである。
さらに加えて、上述した加工に加え、少なくとも壁面13の表面、あるいはスフェロイド作製用デバイス1全体に、ナノメートルオーダの微細構造を有することが好ましい。微細構造は、例えば表面を凹凸に加工した構造である。材料表面の性質はデバイスの材料によって既定されるのではなくて、材料表面の性質によって既定される。このため、同じ材料であっても表面の親疎水性を後処理によってコントロールすることができるので、どんな材料をデバイスの材料として使用してもよい。
<スフェロイドの回収方法>
上述したスフェロイド作製用デバイス1を用いてスフェロイドを作製する方法の概略及び作製したスフェロイドの回収方法について説明する。
図13に、図4に示す細胞培養容器9を用いてスフェロイドを作製する工程を説明する図を示す。スフェロイド作製用デバイス1の各孔に、細胞を含む培地8を、第一表面11の側から各孔へ注入する。上述したように適切にスフェロイド作製用デバイス1を設計することで、培地8がスフェロイド作製用デバイス1の底(第二表面の開口部)から突出するので、培地の液滴を形成することができる。培地8に含まれる細胞は、液滴部分で凝集してスフェロイド7を形成する。細胞培養中は、例えば、培地8の上澄みを取り出し、新たな培地を補充して培地8を交換する。
図14に図4に示す細胞培養容器9を用いてスフェロイドを作製する工程の他の一例を説明する図を示した。図14は、液滴が第二表面12の開口部に到達せず途中で停止している状態を表す図である。上述したように適切に設計されたスフェロイド作製用デバイス1に、設計時の高さHよりも低い高さまで培地を添加した場合にはこのような現象が起きる。このような場合であっても、培地8に含まれる細胞は、液滴部分で、凝集してスフェロイド7を形成する。細胞培養中は、例えば、培地8の上澄みを取り出し、新たな培地を補充して培地8を交換することができる。スフェロイドを回収する際は、培地を第一表面11側から添加しHを大きくする、または第一表面側の圧力を高くすることにより、例えば、以下に示した図14のような状態にすることで、図15または図16の手法で回収可能となる。
作製したスフェロイド7は、例えば、図15、16に表す手法で回収する。以下に述べる方法によれば、スフェロイド7を損傷することなく回収することが可能になる。
図15は、シャーレ92に回収用溶液を入れ、第二表面と接触させてスフェロイド7を回収する手法を表す。回収用溶液は、例えば、培地8、水、または緩衝液のいずれかから選択することができる。スフェロイド作製用デバイス1を用いて細胞を培養することで作製したスフェロイド7は、かかる手法により取り出す。かかる手法の好ましい態様は、液滴を回収用溶液側に移動させることで、スフェロイドを回収するものである。液滴を移動する際には、第二表面12側に形成されている液滴を回収用溶液と接触させることが特に好ましい。
図16は、細胞培養容器9を蓋93で閉じた上で第一表面11側から圧力を加えてスフェロイド7を回収する手法を表す。第一表面11側から圧力を加えると、液滴が破壊される。その結果、培地8がシャーレ92に流れ出すことにより、スフェロイド7を回収できる。スフェロイド作製用デバイス1を用いて培養したスフェロイドを取り出す際は、このように液滴を破壊するのが好ましい。液滴を破壊する際にはどのような方法で第一表面11側から圧力をかけてもよい。例えば培地8を液滴が破断するまで添加する方法でもよい。また第一表面11側を密閉し気体を流しこんで加圧する方法などであってもよい。
以上説明したように、本実施形態のスフェロイド作製用デバイス1によれば、複数の孔に液滴を発生させ、スフェロイドを作製することができるため、スフェロイドを効率よく、大量に作製することができる。その際、複数の孔の大きさを同じにすることにより、均一なスフェロイドを作製することができる。加えて、スフェロイド作製用デバイス1には、培地を第一表面11(上側)から注入することが可能である。さらに培地を第一表面11側から交換することが可能である。このためスフェロイド作製用デバイス1の操作は容易である。さらに加え、スフェロイド作製用デバイス1を物理現象に基づいて設計することにより、その構造を簡易なものとすることができる。これにより、例えば、特許文献2に記載の懸濁プレートに比べ、スフェロイド作製用デバイス1自体を容易に製造することができる。その結果、スフェロイドを作製するコスト、作業時間を大幅に削減することができる。
実施形態2
実施形態1では、図1,2に示すような孔の形状を有するスフェロイド作製用デバイス1を説明したが、孔の形状はこれに限られるものではない。例えば、図2に示す断面ではなく、図17乃至22に表される形状の断面を有するスフェロイド作製用デバイス1a〜1fであってもよい。スフェロイド作製用デバイス1a〜1cは、図2と同様に、壁面13が、第二表面12との境界から、角度θiを有する斜面で構成されている例である。一方、図20に示すスフェロイド作製用デバイス1dは、角度を有する斜面が壁面13の途中から形成されている例である。
また、上面の形状は、図2、図17乃至22に一例として示すように、球の一部の形状(図2、20乃至22)や平坦(図19)であってもよい。あるいは上面の形状は、円錐または多角錐の頂点のような形状(図17,18)であってもよい。スフェロイド作製用デバイスの一態様において、細胞が上面に滞留または静置することを防止するために、上面の形状は球形、円錐または多角錐の頂点の形状であることがより好ましい。加えて、図には示していないが、第一表面11の開口部から孔へ入り口は垂直で第二方面12の開口部周辺だけ傾いているような形状でも良い。
ここで、図20〜図22に示すスフェロイド作製用デバイス1dについて説明する。相当直径D及び角度θiはデバイスの第二表面12の開口部において培地と触れる位置における相当直径及び角度である。ここでデバイスの形状は図20、図21または図22のようなデバイスの形状であっても良い。図20は、レベル2からレベル3までの壁面13が角度を有している場合を表す図である。図中ではレベル3の開口部の内接円の相当直径がレベル4の内接円の相当直径と同じである。この場合にはレベル4の位置が内接円の相当直径Din及び角度θiの基準となる。図21は、レベル3からレベル4までの壁面13が角度を有する場合の一例を表す図である。図中ではレベル3の開口部の内接円の相当直径がレベル4の内接円の相当直径Dより大きい。この場合にはレベル4の位置が内接円の相当直径Din及び角度θiの基準となる。このとき、レベル3からレベル4までの壁面13の斜度、すなわち角度θiは、レベル2からレベル3までの壁面13の斜度よりも小さいことが好ましい。
さらに、図22に示すようにレベル2からレベル3までの壁面13が角度を有していてもよい。かかる場合、レベル3の開口部の内接円の相当直径よりレベル4の開口部の内接円の相当直径が大きい。このとき、壁面13の中で培地が触れる最も下のレベルはレベル3である。したがってレベル2からレベル3の斜度が角度θiとなり、レベル3の位置が内接円の相当直径Dinとなる。図20乃至22において、角度θiは、第二表面(下面)または第二表面側の開口部であって、液面が触れる位置の角度となる。
実施形態1では、図1,2に示すような第一表面11及び第二表面12に形成される開口部が円形である場合を説明した。しかしながら、開口部の形状はこれに限られるものではない。例えば、開口部が、図23乃至26に示すような形状を有するスフェロイド作製用デバイス1g〜1jであってもよい。図1、2で説明したように、スフェロイド作製用デバイス1は、培地と接触する部分として、第一表面11(上面)と、第一表面11の開口部と、第二表面12(下面)の開口部とを備えることが好ましい。さらに第一表面11の開口部の内接円の相当直径が第二表面12の開口部の内接円の相当直径Dinよりも大きいことが好ましい。そのため、孔の形状は、スフェロイド作製用デバイス1g〜1jに示すように、円でもよく四角、八角形のような多角形であってもよい。さらに、第一表面11の開口部の形状と第二表面12の開口部の形は異なっていてもよい。図23乃至26の各図では、第一表面11の開口部(または、上面の幅Wの位置の開口部の形状)を実線で表している。また、第二表面の開口部を点線で表している。これらの開口部は、スフェロイド作製用デバイス1g〜1jを第一表面11側から見たときの4つの孔として表されている。
加えて、スフェロイド作製用デバイスの一態様では、例えば、薄いシート状のフィルムにポンチで穴を開けてもよく、金型を作製して樹脂を流し込み成形してもよい。このとき、上面の開口部の内接円の相当直径が下面の開口部の内接円の相当直径Dinよりも大きい空間となるようにする。さらに、培地の重量を支えるために、フィルムや樹脂を補強するための支えをつけても良い。フィルムや樹脂の厚くするような場合、軽量化を図るために中を空洞にしてもよい。
スフェロイドを作製する試験を実施した。まず図27、28に示す形状のスフェロイド作製用デバイス1xを設計・製造した。次にスフェロイド作製用デバイス1xを図29、30に示すウェル容器91xに装着した。スフェロイド作製用デバイス1xを備えた、図29、30に示すウェル容器91xを6ウェルプレート(図示しない)に装着した。このとき、液滴81及び第2表面12がウェルプレートの底に接触しないことを確認した。
図27に第一表面から見た図を示す。また図28に、図27のXXVIII−XXVIII線に沿った断面図を示す。また、図29に第一表面から見た図を示す。また図30に、図29のXXX−XXX線に沿った断面図を示す。
スフェロイド作製用デバイス1xは、一ピッチPIを1.00mmとし、以下の大きさで作製した。
第二表面12xの相当直径D:0.25mm
角度θi:67.5度
厚みT:0.74mm
上面の幅W:0.184mm
ウェル容器91xについては、以下の大きさとした。
ウェル容器の内周の直径L1:31mm
ウェル容器の高さL3:1.5cm
1.培養容器
[実施例1]
接触角θcが−1<cosθc<0の範囲にある材料を使用した。スフェロイド作製用デバイスの材質としてシリコーン(メーカー:KCC、グレード:SL7260)を用いた。培地として、10%FBS添加DMEM/F12を用いた。以降では、培地Aと記載する。
<スフェロイド作製用デバイスの設計>
上述した式3(以下に再掲)を用いる。
(2/3)αR+pR=2γ・・・式3
本実施例では、純水の条件で設計を行った。
・純水の密度及び比重:1.00(文献値)
・液体の表面張力γ:7×10−2[g/cm]
培地Aの液体の表面張力γは、Wilhelmy法など様々な方法で測定することができる。または販売元から情報を入手することが可能である。純水のデバイスの材質に対する接触角θcを液滴法により測定したところ、91度度(cos91度=−0.017)であった。なお、本実施例で使用した培地と純水は、この接触角θcについて、近傍の値を示すものである。
・培地の高さHは、1cm以内になるように設計する。
培地Aを使うとき、式3に上述した値を代入して外接円の相当半径Routを求める。
(2/3)×1.00×R+1×1.00×R=2×7×10−2
R=0.123、−1.629
ここで、外接円の相当半径Routは正の値であるため、以下の値が決まる。
R=0.123cm=1230μm
外接円の相当直径Doutを算出値の23%の285μmとした。この際、タンパク質の吸着による疎水性の低下やスフェロイドの重力から受ける力と、培地交換や運搬の際の振動により液適が保持できなくなる可能性とを考慮した。角度θiは67.5度とした。また開口部が1mmとなるようにした。図14に示すように、液滴がデバイスの側面の途中で止まることで、デバイスが確実に液滴を保持することができるように設計した。図30の91xの直径が31mmとなるようにした。
[比較例1]
低接着性容器は直径5cmのガラスシャーレの底に、信越化学社製のシリコーン樹脂(KE−1603(A/B)を貼り付けたものを使用した。
2.培養方法
(1)培地10mL中にマウスES細胞を250万個含むように調整した細胞懸濁液を図30に示すウェルに添加した。かかる細胞を2日間培養した。この細胞懸濁液は実施例及び比較例の両方で使用した。尚、この細胞懸濁液を用いることで、1つの開口部に入れることのできる細胞数は1250個/開口部である。さらに他の実施例では、1つの開口部あたりに入る細胞数の量を1500、1000、500個となるように調整した細胞懸濁液を調整した。これらの実施例でも同じく2日間培養を行った。
(2)実施例では第二表面12を培地に接触させて、スフェロイドを回収したものを観察した。比較例は細胞懸濁液を他の容器に移さず、培養している容器を使ってスフェロイドを観察した。
(3)倒立顕微鏡で観察し、得られた画像を用いて直径を計測した。
3.結果
図31,32に実施例1について、スフェロイド回収前のデバイスと細胞の顕微鏡写真を示す。図32は、図31の拡大図である。実施例1では、各開口部内にスフェロイドが形成されていた。
図33に、実施例1及び比較例1について、回収後のスフェロイドの顕微鏡写真を示した。
図34に、実施例1について、スフェロイド回収後のデバイス表面の写真を示した。図31で見られたスフェロイドがほぼ全数回収されていた。ただし、端については残存しているものも見受けられた。回収率は95%以上であった。回収率は、式(細胞が残存していない開口部の数/開口部の総数)×100)により求めた。
図35に比較例1のスフェロイドの写真を示す。
また、図36に実施例1及び比較例1の粒径直径分布を表すグラフを示す。図36のグラフ作成においては、図33(左側の実施例1の写真、右側の比較例1の写真、)の×75のレンズで撮影し、スフェロイドの画像を取り込んだ。取り込んだ画像を任意に下記表1のデータ数だけ選択し、各々のスフェロイドの直径を計測した。
このときの細胞塊の直径の平均値(μm)と、標本標準偏差(SD)と、ばらつき(SDを直径の平均値で除したもので定義される)を表1に示した。SD/平均直径の値から分かるように、実施例1のばらつきは比較例1のばらつきの1/3以下であった。
Figure 0006534380
図37に実施例1の細胞数を変えた場合の粒子直径分布を示す。
さらに、細胞数を変えた場合であっても、均一な直径の細胞塊を形成させることができるかを検討した。表2に検討結果を示す。今回設計した相当直径Dでは1500、1000細胞/開口部の時に比較例と比較と比較して10%程度低いばらつきとなった。500細胞/開口部の場合には、比較例と同等のばらつきとなった。
Figure 0006534380
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
この出願は、2014年2月25日に出願された日本出願特願2014−034577を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1、1a〜1h、1x スフェロイド作製用デバイス
7 スフェロイド
8 培地
9 細胞培養容器
11、11x 第一表面
12、12x 第二表面
13、13x壁面
9 細胞培養容器
91、91x ウェル容器
92 シャーレ
93 蓋

Claims (21)

  1. 第一表面と、
    前記第一表面の裏面となる第二表面と、
    前記第一表面と前記第二表面との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面と、を備え、
    前記第一表面の開口部の内接円の相当直径が前記第二表面の開口部の内接円の相当直径より大きく、
    前記第一表面及びその近傍の断面形状が半円状又は三角形状である、
    スフェロイド作製用デバイス。
  2. 前記第二表面の内接円の開口部の相当直径が200マイクロメートルから1センチメートルの範囲である請求項1記載のスフェロイド作製用デバイス。
  3. 各壁面の少なくとも一部分は、前記第二表面に対して1度より大きく、90度より小さい角度θiの傾斜を有する請求項1または2記載のスフェロイド作製用デバイス。
  4. 前記各孔には前記第一表面から培地が注入され、
    前記各壁面を構成する材質の表面と前記培地との接触角θcが、−1<cosθc≦0の範囲であるとき、前記第二表面の外接円の開口部の相当直径の半分である外接円の相当半径Rout(cm)が、
    計算式 (2/3)αX+pX=2γ
    ただし、pは前記第二表面の開口部での水圧[g/cm]、αは前記培地の比重、γは液体の表面張力[g/cm]、
    で定義される変数Xの値以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  5. 前記各孔には前記第一表面から培地が注入され、
    前記各壁面を構成する材質の表面と培地の接触角θcが0<cosθc<1の範囲であるとき
    計算式 γcosθc−γ>0
    であって、かつp=γL×(2/r)、
    ただし、pは前記第二表面の開口部での水圧[g/cm]、γは液体の表面張力[g/cm]、rは曲率半径[cm]、γは液体の表面張力[g/cm]、
    をみたすように内接円の相当直径を設計することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  6. 一つの孔を形成する壁面と、隣接する別の孔を形成する壁面との間の幅であって、二つの壁面が前記第二表面に対して前記角度θiの傾斜を有する前記第一表面に近い端部の幅が5ミリメートル以下である請求項3記載のスフェロイド作製用デバイス。
  7. 前記スフェロイド作製用デバイスが、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、熱可塑性エラストマ塩化ビニル系樹脂、シリコーン樹脂及びシリコン樹脂のうちの1つ、またはこれらの組み合わせからなる樹脂成形品である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  8. 前記複数の壁面に、プラズマ処理、コロナ放電、UVオゾン処理のうちの1つ、またはこれら組み合わせからなる表面改質処理方法により官能基を形成させた請求項7記載のスフェロイド作製用デバイス。
  9. 前記複数の壁面に、無機物、金属、合成ポリマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、生体由来ポリマーのうちの1つ、またはこれらの組合せからなる物質が被覆されている請求項7記載のスフェロイド作製用デバイス。
  10. 前記複数の壁面の表面に、ナノメートルオーダの微細構造を有する請求項8乃至9のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  11. 前記スフェロイド作製用デバイスが、金属、ガラスなどの無機物のうちの1つ、またはこれらの組み合わせからなる成形品である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  12. 前記複数の壁面に、プラズマ処理、コロナ放電、UVオゾン処理のうちの1つ、またはこれら組み合わせからなる表面改質処理方法により表面を改質した請求項11記載のスフェロイド作製用デバイス。
  13. 前記複数の壁面に、無機物、金属、ポリマー、ダイマー、トリマー、テトラマーのうちの1つ、またはこれら組合せからなる物質が被覆されている請求項11または12に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  14. 前記複数の壁面の表面に、ナノメートルオーダの微細構造を有する請求項11乃至13のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイス。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイスの前記第二表面を水、培地及び緩衝液のうちの1つから選択される溶液と接触させてスフェロイドを回収する、スフェロイド回収方法。
  16. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイスにおけるスフェロイド培養方法であって、
    前記第一表面の上部には培地を注入可能な空間が形成されており、
    前記各孔には、前記第一表面から細胞を含む培地が注入され、
    さらに、前記空間に、前記細胞を含む培地が注入される、スフェロイド培養方法。
  17. 請求項16に記載のスフェロイド培養方法によって培養されたスフェロイドを、前記スフェロイド作製用デバイスの前記第一表面から気体の圧力を加えることによって前記第二表面の開口部から流し出すスフェロイド回収方法。
  18. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載のスフェロイド作製用デバイスを用いるスフェロイド製造方法であって、
    前記第一表面の上部には培地を注入可能な空間が形成されており、
    前記各孔に細胞を含む培地を、前記第一表面から注入し、
    さらに、前記細胞を含む培地を注入し、
    前記各孔で液滴を形成させ、
    前記液滴の部分で前記細胞を培養し、スフェロイドを作製するスフェロイド製造方法。
  19. 前記第二表面を水、培地及び緩衝液のうちの1つから選択される溶液と接触させてスフェロイドを回収する、請求項1記載のスフェロイド製造方法。
  20. 前記第一表面から気体の圧力を加えることによって、前記液滴を破壊してスフェロイドを前記第二表面の開口部から流し出す、請求項1記載のスフェロイド製造方法。
  21. 前記細胞を含む培地の液面が、前記第二表面の開口部からまわり込まないように、前記液滴を形成する、請求項18乃至20のいずれか一項に記載のスフェロイド製造方法。
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