JP2019062832A - スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法 - Google Patents

スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019062832A
JP2019062832A JP2017193117A JP2017193117A JP2019062832A JP 2019062832 A JP2019062832 A JP 2019062832A JP 2017193117 A JP2017193117 A JP 2017193117A JP 2017193117 A JP2017193117 A JP 2017193117A JP 2019062832 A JP2019062832 A JP 2019062832A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
spheroid
recovery
recovery solution
culture medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017193117A
Other languages
English (en)
Inventor
昭一郎 角
Shoichiro Sumi
昭一郎 角
寿幸 緒方
Hisayuki Ogata
寿幸 緒方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Kuraray Co Ltd
Kyoto University
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Kuraray Co Ltd
Kyoto University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd, Kuraray Co Ltd, Kyoto University filed Critical Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority to JP2017193117A priority Critical patent/JP2019062832A/ja
Publication of JP2019062832A publication Critical patent/JP2019062832A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製することができ、大型化や自動化に適したスフェロイド製造デバイス、及びスフェロイドの製造方法を提供する。【解決手段】スフェロイドを製造及び回収するためのデバイスであって、スフェロイドを培養するための第一の基板と、第一の基板の一方側に対向するように配置された第二の基板と、第二の基板へ回収溶液を流入させるための回収溶液流入部と、第二の基板上を流れる、スフェロイドを含有する回収溶液を回収するためのスフェロイド回収部と、を備え、第一の基板は、第一の基板の他方側の第一面と、第一の基板の一方側の第二面と、第一面と第二面との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面と、を備え、第一の基板の第二面と第二の基板間の間隙gが、回収溶液流入部から回収溶液を流入させた際の、回収溶液の、第二の基板からの液滴高さGより小さいデバイス。【選択図】なし

Description

本発明は、スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法に関する。
スフェロイドとは、細胞が凝集した細胞塊である。再生医療技術の研究開発や臨床応用において、大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製する需要がある。例えば、細胞移植を行う場合等には、スフェロイドを大量に準備することが必要となる。
例えば、特許文献1には、液滴中で大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製することができるスフェロイド作製用デバイスが記載されている。特許文献1に記載のデバイスでは、液滴中でスフェロイドを作製した後、デバイスを移動し、スフェロイドを含む液滴を回収用の溶液と接触させ、液滴を崩壊させてスフェロイドを回収するか、スフェロイドを含む液滴に圧力を加えて液滴を崩壊させてスフェロイドを回収する。
国際公開第2015/129263号
今後、より大量のスフェロイドを作製するために、スフェロイド作製用デバイスを大型化し、培養面積を拡大することが考えられる。また、スフェロイド作製用デバイスを自動培養装置に組み込んでスフェロイドの製造を自動化することが考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載のデバイスは、作製したスフェロイドを回収するためにデバイスを移動させる必要がある。ところが、特許文献1に記載のデバイスは、移動させるとスフェロイドを含む液滴が崩壊したり、培地がデバイスからこぼれたりしやすく、この傾向はデバイスを大型化した場合により顕著となる。このため、特許文献1に記載のデバイスは大型化や自動化に改良の余地がある。
そこで、本発明は、大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製することができ、大型化や自動化に適したスフェロイド製造デバイス、及びこれを用いたスフェロイドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、スフェロイドを製造及び回収するためのデバイスであって、スフェロイドを培養するための第一の基板と、前記第一の基板の一方側に対向するように配置された、培養したスフェロイドを回収するための第二の基板と、前記第二の基板へ回収溶液を流入させるための回収溶液流入部と、第二の基板上を流れる、スフェロイドを含有する回収溶液を回収するためのスフェロイド回収部と、を備え、前記第一の基板は、前記第一の基板の他方側の第一面と、前記第一の基板の一方側の第二面と、前記第一面と前記第二面との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面と、を備え、前記第一の基板の第二面と前記第二の基板間の間隙gが、回収溶液流入部から回収溶液を流入させた際の、前記回収溶液の、第二の基板からの液滴高さGより小さいデバイスである。
本発明の第二の態様は、スフェロイドの製造及び回収方法であって、上述したデバイスの第一の基板の第一面に細胞を播種する工程1と、前記工程1により前記第二面に形成される下向き水面上でスフェロイドを培養する工程2と、前記回収溶液流入部から前記回収溶液を前記第二の基板からの液滴高さがGになるように流入させる工程3と、前記回収溶液が、前記下向き水面と、回収溶液流入部側からスフェロイド回収部側へ接触していくことにより、前記下向き水面上のスフェロイドが、前記第二の基板に移動し、更に、前記スフェロイド回収部へ移動する工程4を含む、スフェロイドの製造及び回収方法である。
本発明によれば、大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製することができ、大型化や自動化に適したスフェロイド製造及び回収デバイス、及びこれを用いたスフェロイドの製造及び回収方法を提供することができる。
(a)は、実施例で作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの写真である。(b)は、(a)のスフェロイド製造及び回収用デバイスのb−b’線に沿った模式的な矢視断面図である。 (a)は、スフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板の一例を示す上面図である。第一の基板を第一面側から見た状態を示している。(b)は、(a)に示す第一の基板のb−b’線に沿った矢視断面図である。 第一の基板の第一面側に細胞を含む培地を入れた状態を示す断面図である。図2(b)に示した第一の基板の断面図に相当する。 スフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板の第二面から突出した下向き水面の上でスフェロイドを培養している状態を示す模式断面図である。 壁面の表面の材質と培地との接触角θcを説明する模式図である。 下向き水面にかかる力を説明する図である。 角度θを説明する図である。 下向き水面が、孔の第二面から突出しない状態で形成された場合を説明する模式図である。 下向き水面が、孔の第二面から突出した状態で形成された場合を説明する模式図である。 図8及び図9よりも水圧が大きい場合を示す図である。 下向き水面と水圧が釣り合っているときの第二面の開口部における表面張力を説明する図である。 下向き水面が図9に示す状態である場合を説明する図である。 (a)〜(d)は、スフェロイド製造及び回収用デバイスで製造したスフェロイドを回収する様子を説明する模式断面図である。 (a)は実施例で作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板を第二面側から観察した光学顕微鏡写真であり、第二面付近に焦点を合わせたものである。(b)は(a)と同視野の光学顕微鏡写真であるが、第一面付近に焦点を合わせたものである。(c)は作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板の第二面側を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。(d)は作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板を孔の軸線方向に切断した断面SEM写真である。 (a)〜(c)は、スフェロイド製造及び回収用デバイスで製造したスフェロイドを回収する様子を示す写真である。 (a)及び(b)は、実施例において製造及び回収したスフェロイドの顕微鏡写真である。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
[スフェロイド製造及び回収用デバイス]
一態様において、本発明は、スフェロイドを製造及び回収するためのデバイスであって、スフェロイドを培養するための第一の基板と、前記第一の基板の一方側に対向するように配置された、培養したスフェロイドを回収するための第二の基板と、前記第二の基板へ回収溶液を流入させるための回収溶液流入部と、第二の基板上を流れる、スフェロイドを含有する回収溶液を回収するためのスフェロイド回収部と、を備え、前記第一の基板は、前記第一の基板の他方側の第一面と、前記第一の基板の一方側の第二面と、前記第一面と前記第二面との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面と、を備え、前記第一の基板の第二面と前記第二の基板間の間隙gが、回収溶液流入部から回収溶液を流入させた際の、前記回収溶液の、第二の基板からの液滴高さGより小さいデバイスを提供する。
ここで、回収溶液としては、スフェロイドに有害でない限り種々の溶液が使用可能であるが、スフェロイドの培養に用いる培養液と同種の培養液であることが好ましい。
図1(a)は、本態様のスフェロイド製造及び回収用デバイスの一例を示す写真である。図1(b)は、図1(a)のスフェロイド製造及び回収用デバイスのb−b’線に沿った模式的な矢視断面図である。
図1(b)に示すように、本態様のスフェロイド製造及び回収用デバイス100は、スフェロイドを培養するための第一の基板110と、第一の基板110の一方側に対向するように配置された、培養したスフェロイドを回収するための第二の基板120と、第二の基板120へ回収溶液を流入させるための回収溶液流入部130と、第二の基板120上を流れる、スフェロイドを含有する回収溶液を回収するためのスフェロイド回収部140と、を備え、第一の基板110は、第一の基板110の他方側の第一面112と、第一の基板110の一方側の第二面111と、第一面112と第二面111との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面113と、を備え、第一の基板110の第二面111と第二の基板120との間隙gが、回収溶液流入部130から回収溶液を流入させた際の、回収溶液の、第二の基板からの液滴高さGより小さい。間隙gは、第一の基板110の第二面111と第二の基板120との間の距離と同義である。
本態様のスフェロイド製造及び回収用デバイス100において、第一の基板110は、スフェロイドを培養するためのものである。より具体的には、第一の基板110は、第一の基板110の他方側の第一面112に細胞懸濁液を添加することにより、第一の基板110の一方側の第二面111に後述する下向き水面311を形成して、その上で細胞を培養し、スフェロイド410を製造するためのものである。第一の基板の詳細については後述する。
(第二の基板)
図1(a)及び(b)に示すように、本態様のスフェロイド製造及び回収用デバイス100は、第二の基板120を備えることを特徴の1つとする。スフェロイド製造及び回収用デバイス100において、第二の基板120は、第一の基板110の一方側(第二面111側)に対向するように配置されている。第二の基板120は、製造したスフェロイドを回収するためのものである。
ここで、第二の基板120の作用についてより具体的に説明する。図13(a)〜(d)は、本態様のスフェロイド製造及び回収用デバイス100で製造したスフェロイドを回収する様子を説明する模式断面図である。図13(a)は、下向き水面311の内部(上)でスフェロイド410を培養している状態を示す図である。
図13(b)は、回収溶液を、回収溶液流入部130から、第二の基板120からの液滴高さがGになるように流入させた状態を示す図である。図13(b)に示すように、回収溶液は、第1の基板110と第2の基板120との双方に接触し、下向き水面311を崩壊させる。その結果、スフェロイド410が第二の基板上に流出する。
続いて、図13(c)に示すように、下向き水面311の崩壊は、スフェロイド製造及び回収用デバイス100の回収溶液流入部130側からスフェロイド回収部140側に向かって連鎖的に進行する。
そして、図13(d)に示すように、流出したスフェロイド410がスフェロイド回収部140に回収される。
以上のスフェロイドの回収は、スフェロイド製造及び回収用デバイス100を移動させなくても実施することができる。このため、下向き水面311の意図しない崩壊や、培地がデバイスからこぼれる等の問題が生じにくく、デバイスの大型化や自動培養装置への組み込みも容易である。更に、スフェロイド410の回収において、スフェロイド410に与えるストレスを最小限に抑制することができ、高品質なスフェロイドを製造することができる。
第二の基板120は、回収溶液流入部130から流入させた回収溶液をスフェロイド回収部140へと誘導し、下向き水面311を崩壊させながらスフェロイドを回収することができればその形状や材質は特に限定されない。第二の基板120の形状は例えば平板状であってもよい。また、第二の基板120は、回収溶液が、回収溶液流入部130からスフェロイド回収部140に向かって流動しやすいよう、傾斜を有していてもよい。ただし、第二の基板120が傾斜を有している場合においてもg<Gは満たされる必要がある。
第二の基板120の材質としては、一般的な細胞培養容器に用いられる材質を用いることができ、例えば、ガラス、金属、シリコンウェハ、ポリジメチルシロキサン、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
間隙gは、スフェロイド410を効率よく回収することができる限り、第一の基板110の全面にわたって実質的に一定であることが好ましい。ここで、実質的に一定であるとは、設計上一定であることを意味し、加工精度等の要因により部分的に間隙gの大きさが異なることを許容することを意味する。
第一の基板110の第二面111と第二の基板120の間の間隙gが小さすぎると、下向き水面311が第二の基板120に接触してしまい、下向き水面311を維持することができない場合がある。したがって、間隙gは、少なくとも回収溶液流入部130の近傍において、第二面111の開口部の面積に相当する円の半径(以下、符号「R」で表し、「相当半径」という場合がある。)よりも大きいことが好ましい。ここで、回収溶液流入部130の近傍とは、回収溶液流入部130に最も近接した下向き水面311を含む領域を意味する。例えば、第二面111の開口部の相当半径が250μmである場合、間隙gは、少なくとも回収溶液流入部130の近傍において、250μmを超える大きさであることが好ましい。ただし、第二面111の開口部の相当半径が250μmである場合であっても、下向き水面311が第二の基板120に接触しない限り、gを250μm以下にすることもできる。
また、培養したスフェロイド410の回収時には、スフェロイド410は、間隙gを回収部140に向かって移動することになる。このため、間隙gが小さすぎると、スフェロイド410が第一の基板110の第二面111又は第二の基板120に引っ掛かり、間隙gを移動することが困難な場合がある。この場合、スフェロイドを回収することが困難になる場合がある。このため、間隙gは、製造目的であるスフェロイド410の直径よりも大きいことが好ましい。
一方、間隙gが大きすぎると、回収溶液を回収溶液流入部130に流入させた場合に第二の基板120上に形成される液滴が、下向き水面311と接触することができず、下向き水面311を崩壊させることができない場合がある。この場合、スフェロイド410を回収することができない。そこで、間隙gは、回収溶液流入部130から回収溶液を流入させた際の、回収溶液の、第二の基板120からの液滴高さGよりも小さく設定する。間隙gが高さGよりも小さいとは、すなわち、回収溶液を回収溶液流入部から流入させた結果、回収溶液が第1の基板110と第2の基板120との双方に接触することを意味する。
液滴高さGは、回収溶液流入部130に導入する回収溶液の量及び第二の基板120の接触角にも影響される。回収溶液の量は、デバイスの大きさに応じて適宜設定することができ、例えば100μL〜10mLであってもよい。所定量の回収溶液を回収溶液流入部から流入させた結果、回収溶液は第二の基板120上に溜まり、高さGの液滴を形成する。
また、第二の基板120の水に対する接触角が50°〜120°であると、回収溶液を回収溶液流入部130に流入させた場合に第二の基板120上に形成される液滴が、下向き水面311と接触しやすい傾向にある。また、第二の基板120の水に対する接触角が上記の範囲であると、崩壊した下向き水面311上に存在していた培地やスフェロイド410が間隙gを回収部140に向かって効率よく移動しやすい。このため、スフェロイドの回収を効率よく行うことができる傾向にある。また、第二の基板120の水に対する接触角が上記の範囲であると、スフェロイドが第二の基板に接着することを抑制できる傾向にある。
第二の基板120の材質の水に対する接触角が上記の範囲から外れる場合には、例えば第二の基板120の表面に表面改質処理を行ったり、第二の基板120の表面に表面改質剤を被覆することにより、接触角を調整することができる。
表面改質剤としては、細胞に毒性を示さない限り特に限定されず、無機物、金属、合成ポリマー若しくは生体由来ポリマー又はこれらの組合せ等が挙げられる。より具体的には、例えば、シランカップリング剤、フッ素含有ポリマー等を第二の基板120の表面に塗布して被覆を形成することができる。
スフェロイド回収部140の形状は、図13(a)〜(d)等に示したものに限定されず、例えば、スフェロイド製造及び回収用デバイス100を組み込む自動培養装置の構造等に応じて適宜変更することができる。
例えば、回収溶液を流入させて下向き水面311を崩壊させ、スフェロイドを第二の基板120上に流出させた後、第一の基板110及び第二の基板120の間隙gの出口から直接スフェロイドを回収してもよい。この場合、スフェロイド回収部140は間隙gの出口であるということもできる。
スフェロイド製造及び回収用デバイス1個あたりのスフェロイド回収部140の数は1個には限定されない。しかしながら、スフェロイドの回収を容易にする観点からは、一般的にはスフェロイド回収部140の数は少ないことが好ましい。したがって、スフェロイド製造及び回収用デバイス1個あたりのスフェロイド回収部140の数は1個であることが好ましい。
また、スフェロイド製造及び回収用デバイス1個あたりの回収溶液流入部130の数も1個には限定されない。しかしながら、スフェロイドの回収を容易にする観点からは、一般的には回収溶液流入部130の数は少ないことが好ましい。したがって、スフェロイド製造及び回収用デバイス1個あたりの回収溶液流入部130の数は1個であることが好ましい。
また、スフェロイド回収部140と回収溶液流入部130とをできるだけ離れた位置に設けることにより、スフェロイド回収部140と回収溶液流入部130との間に存在する下向き水面311の数を増加させることができる。その結果、回収溶液流入部130に回収溶液を流入させる最小限の操作により、崩壊させることができる下向き水面311の数を増加させることができる。このため、スフェロイド回収部140と回収溶液流入部130とをできるだけ離れた位置に設けることにより、効率よくスフェロイド410を回収することができる。
(第一の基板)
続いて、第一の基板について説明する。第一の基板は、第一の基板の他方側の第一面と、第一の基板の一方側の第二面と、第一面と第二面との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面を備えるものであれば、特に限定されないが、以下のような形態であることが好ましい。
図2(a)は、スフェロイドを培養するための第一の基板110の一例を示す上面図である。図2(a)は、第一の基板110を第一面112側から見た状態を示している。また、図2(b)は、図2(a)に示す第一の基板110のb−b’線に沿った矢視断面図である。
図2(b)に示すように、第一の基板110は、第一面112と、第二面111と、第一面112と第二面111との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面113と、を備える。壁面113は、第一の基板110の第一面112と第二面111とを貫通する孔を形成する。また、壁面113は、第一面112及び第二面111に開口部を形成する。ここで、第一の基板110の第一面112はその前面が開口部を形成しており、平面部分が存在しないことが好ましい。
壁面113によって形成される孔は、第一面112側の開口部に比べて、第二面111側の開口部が小さくなるように設計される。孔の開口部の形状は円形であるとは限らず、また、略円形であったとしても真円でない場合がある。そこで、以下、孔の開口部の大きさを、開口部の面積に相当する円の直径(以下、符号「D」で表し、「相当直径」という場合がある。)を用いて比較する。ここで、開口部の面積に相当する円とは、開口部の面積と同じ面積を有する円を意味する。また、本明細書において、開口部の面積に相当する円の半径を符号「R」で表し、「相当半径」という場合がある。
続いて、第一の基板110の構造をより詳細に説明する。図3は、第一の基板110の第一面112側に細胞を含む培地310を入れた状態を示す断面図であり、図2(b)に示した第一の基板110の断面図に相当する。図3に示すように、第一の基板110を適切に設計すると、添加した培地310が孔の第二面111側の開口部に下向き水面311を形成する。
図3において、角度θiは壁面113が第二面111に対してなす角度である。角度θiは、壁面113の全体にわたって一様でなくてもよい。角度θiは壁面113の少なくとも一部分において1°より大きく90°より小さいことが好ましく、30°〜80°であることがより好ましい。これにより孔に培地310が入りやすくなる。また、培地に添加した細胞が壁面113に留まらず、下向き水面の頂点付近まで沈降しやすくなる。この結果、スフェロイドを効率よく形成することができる。
図3において、厚さTは、第一の基板110の厚さである。厚さTは、培地310の重さに耐えられる厚さであればよい。例えば、厚さTは、第二面111側の開口部の相当直径Dより大きくてもよい。
本態様のスフェロイド製造及び回収用デバイス100において、壁面113によって形成される孔は、第一面112側の開口部に比べて、第二面111側の開口部が小さい。また、第二面111側の開口部の相当直径Dは所望のスフェロイドの直径の1〜10倍程度であることが好ましい。第二面111側の開口部の相当直径Dの最小値が、スフェロイドの直径+2SD(ここで、SDはスフェロイドの直径の標準偏差を表す。)であれば、95%以上のスフェロイドを回収することができる。
ここで、スフェロイドの直径は、スフェロイドを平面上に投影した場合の投影面積に相当する円の直径としてよい。孔の第二面111側の開口部の相当直径Dは、例えば200μm〜1cmであってもよい。
また、単位面積当たりの孔の数が多いほど単位面積当たり多くの細胞塊を作製できることから、第二面111側の開口部の相当直径Dは、所望のスフェロイドの直径の2〜5倍程度であることが好ましい。
図3において、幅Wは、一つの孔を形成する壁面113と、隣接する別の孔を形成する壁面113との間の幅である。幅Wは、第二面111に対して角度θiをなす壁面113が終了する位置における幅である。隣接する孔を形成する二つの壁面113は、それぞれ第二面111から第一面112へ向かう斜面を有するところ、幅Wは、かかる斜面が角度θiを有することを可能にする端部の幅であるともいえる。
図3は、培地310の高さがHとなるまで第一面側から培地310を添加した状態を示す。図3では、第一の基板110の第一面112側に細胞を含む培地310を入れた状態を示す断面図であり、第一の基板110に形成された孔の第二面111側の開口部から培地310が突出するように培地310が注入される。
第二面111から突出した部分は下向き水面311を形成する。下向き水面311は、細胞を培養して、スフェロイドを形成する際に、三次元の細胞培養器として機能する。図4は、第二面111から突出した下向き水面311の上でスフェロイド410を培養している状態を示す模式断面図である。
下向き水面311は、所定の曲率半径を有する曲面で形成されている。下向き水面を囲む空気の圧力(Pair)及び下向き水面に上方からかかる圧力の絶対値(P)の圧力差ΔP(P−Pair)はヤング−ラプラスの関係式で表される。ヤング−ラプラスの関係式を下記式(1)に示す。下記式(1)において、培地上面にかかる大気圧と下向き水面にかかる大気圧(Pair)はほぼ同じと考えて無視できる。
ΔP=Hρ=γ(1/r1+1/r2) …(1)
[式(4)中、Hは培地310の高さを表し、ρは培地310の密度を表し、γは培地310の表面張力(gf/cm)を表し、r1及びr2は直交する曲率半径を表す。]
下向き水面311を球面と想定した場合には、r1=r2となる。このような曲面は下向きに凸になるので、下向き水面311が形成される。
続いて、スフェロイド製造及び回収用デバイスの設計の詳細について説明する。スフェロイド製造及び回収用デバイス100の材質、孔の開口部の相当直径Dの設計にあたっては以下の物理現象を考慮することが好ましく、特に、壁面113の表面の材質と培地310との接触角θc、及び、第二面111の表面と培地310との接触角を考慮することが好ましい。
以下、まず、接触角θcに関係する物理現象に応じたスフェロイド製造及び回収用デバイス100の設計について説明する。図5は、壁面113の表面の材質と培地310との接触角θcを説明する模式図である。
図5中、θcは固体(壁面113の表面の材質)に対する液体(培地310)の接触角を表し、γは固体の表面張力(gf/cm)を表し、γSLは固液表面張力(界面張力)(gf/cm)を表し、γは液体の表面張力(gf/cm)を表す。
ここで、接触角θcは、固体と液体との性質から定まる。具体的には、壁面113の表面の材質と培地310の性質により決まる。
《接触角θcが−1<cosθc≦0の範囲に含まれる場合》
以下、接触角θcが−1<cosθc≦0の範囲に含まれる場合について説明する。この場合、一般的に、壁面113の表面の材質が疎水性の材質であるといえる。また、この場合、下向き水面の大きさは接触角θcに影響されない。
図6は、下向き水面311にかかる力を説明する図である。図6では、下向き水面311の形状が半球であるものとする。また、第2面111は水平であるものとする。図6に示すように、下向き水面311にかかる力であって、重力と並行に働く力として、F0、F1及びF2が存在する。
F0は、下向き水面311にかかる重力であり、下記式(2)により表される。
F0=体積×比重=V・α …(2)
[式(2)中、Vは下向き水面311の体積(cm)を表し、αは培地310の比重を表す。]
また、F1は、下向き水面311が培地310から受ける水圧であり、下記式(3)により表される。
F1=水圧×面積=p・S …(3)
[式(3)中、pは第二面111の開口部における水圧(gf/cm)を表し、Sは下向き水面311が形成される第二面111の開口部の面積を表す。]
また、大気圧の場合は下記式(4)により表される。
F1=液上面から液滴までの深さ×液体の密度×面積=HρS
[式(4)中、Hは培地310の上面から下向き水面311の下端までの深さ(cm)を表し、ρは培地310の密度(g/cm)を表し、Sは下向き水面311が形成される第二面111の開口部の面積を表す。]
また、F2は、下向き水面311の辺縁で発生する液体の表面張力に由来する力であり、下記式(5)により表される。図7は、式(5)中の角度θを説明する図である。
F2=外周×液体表面張力×角度=Lγsinθ …(5)
[式(5)中、Lは第二面111の開口部の外周の長さ(cm)を表し、γは培地310の表面張力を表し、θは下向き水面311の辺縁部が第二面111となす角度を表す。]
ここで、第二面111の表面と培地310との接触角が図7に示す角度θよりも小さいと培地310が第二面111に回り込んで、下向き水面311が維持できない。
液体の表面張力γは、Wilhelmy法等の様々な方法で測定することができる。また、液体の販売元から情報を入手することができる。また、接触角θcは、使用する液体(培地や緩衝液)と材料(壁面113の材質からなる材料)を用いて、液滴法や気液法よって測定することができる。
図8は、下向き水面311が、孔の第二面111から突出しない状態で形成された場合を説明する模式図である。図8に示すように、下向き水面311が壁面113の途中に形成されるための条件にγSLが関与する。γSLは固液表面張力(gf/cm)を表す。
また、図9は、下向き水面311が、孔の第二面111から突出した状態で形成された場合を説明する模式図である。図9のような場合には、下向き水面311が保持されるための条件にγSLは関与しない。この時γSLは第2表面の方向に想定される。そして、下記式(6)の関係が成り立つときに下向き水面311が保持される。
F0+F1<F2 …(6)
また、図8に示すように下向き水面311が壁面113の途中に形成される場合、上述した計算式により、F2は下記式(7)で表すことができる。
F2=LγSLsinθi+Lγsinθ …(7)
[式(7)中、θiは壁面113の傾斜角を表し、θは下向き水面311の辺縁部が第二面111となす角度を表す。]
よって、上記式(6)は、下記式(8)で表すことができる。
Vα+pS<LγSLsinθi+Lγsinθ …(8)
また、図9に示すように下向き水面311が第2面111と連続する場合、F2は下記式(9)で表すことができる。
F2=Lγsinθ …(9)
よって、上記式(6)は、下記式(10)で表すことができる。
Vα+pS<Lγsinθ …(10)
ここで、ある接触角θcをもつ素材を用いて、培地310を高さHまで入れるとする。下向き水面311が崩壊を始めるときは、例えば、下向き水面311が第二面111から外側に突出し始める。この場合、下記式(11)が成り立つ。このときの角度θは90°(sin90°=1)である。
F0+F1=F2 …(11)
ここで、下向き水面311の体積をV、第二面111側の開口部の相当半径をR、培地310の比重をαとすると、下記式(12)のように表すことができる。式(12)においては下向き水面311が半球であるとして、体積Vを球の体積÷2とした。
F0=((4/3)πR÷2)×α=(2/3)πR・α …(12)
更に、開口部の面積S及び外周の長さLを相当半径Rで表すと、下記式(13)及び(14)のように表すことができる。
S=πR …(13)
L=2πR …(14)
そこで、上記式(11)より、
(2/3)πR・α+pπR=2πRLγsin90° …(12)
ここで、sin90°=1であるため、
(2/3)αR+pR=2γ …(13)
すなわち、上記式(13)の相当半径Rが第二面111の開口部の最大相当半径である。また第二表面111の開口部の直径は2R以下に設定することが好ましい。
したがって、第一の基板110に形成された孔に、第一面112から、壁面113を構成する材質の表面との接触角θcが−1<cosθc≦0である培地310が注入された場合に、孔の第二面111の開口部の面積に相当する円の半径R(cm)が、下記式(F1)で定義される変数Xの値以下であることが好ましい。また、細胞塊が重力から受ける力(Fc)も考慮することがより好ましい。
(2/3)αX+pX=2γ …(F1)
[式(F1)中、αは培地310の比重を表し、pは第二面111の開口部の水圧(gf/cm)を表し、γは培地310の表面張力(gf/cm)を表す。]
このように、接触角θcが−1<cosθc≦0(接触角90°以上、θはθcを超えられない)の範囲に含まれる場合には、第二面111の開口部の相当直径Dを、式(13)で算出した相当半径Rの2倍以下にすることが好ましい。これにより、第一の基板110に下向き水面311を維持することができる。
《接触角θcが0<cosθc<1の範囲に含まれる場合》
以下、接触角θcが0<cosθc<1の範囲に含まれる場合について説明する。この場合、一般的に、壁面113の表面の材質が親水性の材質であるといえる。
図8及び図9を用いて液面と水圧との関係を説明する。図8に示す水圧p1を基準にすると、図9は図8よりも水圧p2が大きい場合(p1<p2)を示す。図10は、図8及び図9よりも水圧が大きい場合(p1<p2<p3)を示す。
図8では、水圧p1の大きさと液面とが釣り合っていて、液体は落下せず停止している。図9では、水圧p2が水圧p1より大きいため、液面がより第二面111に近くなっている。図9では水圧p2の大きさと液面との間でバランスが成立している。
図6に示す高さHを高くすればするほど(培地310の量を多くすればするほど)水圧が大きくなる。その結果、θが接触角θcを超えた時点で、図10に示すように培地310、第一の基板110及び空気が接する三重線が移動する。この結果、液面が第二面111の開口部からまわり込み、第二面111上の開口部から離れた位置に形成される。
図10のような状態になると、第一の基板110の上部から培地310が持続的に供給される。その結果、下向き水面311が増大して滴下し、第一の基板110上の各孔に1つずつ下向き水面311を安定的に保持することが困難となる。したがって、下向き水面311は、図8又は図9で示す状態にあることが好ましい。
そこで、以下のような条件となるようにスフェロイド製造及び回収用デバイス100を設計することが好ましい。
図11は、下向き水面311と水圧が釣り合っているときの第二面111の開口部における表面張力を説明する図である。図12は、下向き水面311が図9に示す状態である場合を説明する図である。
下向き水面311が図10の状態にならないためには、固体の表面張力γが固液界面張力γSLと液面の表面張力(γcosθ)の和を超えないことが必要である。すなわち、下記式(14)が満たされることが必要である。
γ≦γSL+γcosθ …(14)
式(15)をYoungの式(γ=γSL+γcosθc)と比較すると、θ≦θcである場合に、下向き水面311が安定に維持されることがわかる。
図5に壁面113の材質と培地310との接触角θcを説明する模式図を示す。図5中、θcは固体(壁面113の表面の材質)に対する液体(培地310)の接触角を表し、γは固体の表面張力(gf/cm)を表し、γSLは固液表面張力(界面張力)(gf/cm)を表し、γは液体の表面張力(gf/cm)を表す。
ここで、接触角θcは、固体と液体との性質から定まる。具体的には、壁面113の表面の材質と培地310の性質により決まる。
固体の表面張力γは、例えば、インターネット上の情報(http://www.surface-tension.de/solid-surface-energy.htm等)や、購入元等から入手することが好ましい。あるいは、Zisman法を用いて算出してもよい。また、液体の表面張力γは、Wilhelmy法等の様々な方法で測定することができる。また、液体の販売元から情報を入手することができる。また、接触角θcは、使用する液体(培地や緩衝液)と材料(壁面113の材質からなる材料)を用いて、液滴法や気液法よって測定することができる。
したがって、γSLは、γとγの値を用いて、γSL=γcosθc−γの式に代入して導き出すことができる。
したがって、式(14)は、
γ≦γcosθc−γ+γcosθc …(15)
γcosθc−γ≧0 …(16)
さらに、図11に示すように、下向き水面311を囲む空気の圧力(Pair)及び下向き水面に上方からかかる圧力の絶対値(P)の圧力差ΔP(P−Pair)はヤング−ラプラスの関係式で表される。ヤング−ラプラスの関係式を下記式(17)に示す。
P=Pair+ΔP
=Pair+γ(1/r1+1/r2) …(17)
[式(17)中、r1及びr2は直交する曲率半径を表す。]
下向き水面を囲む空気の圧力(Pair)を無視する場合には、
P=p=Hρ=γ(1/r1+1/r2) …(18)
[式(18)中、pは第二面111の開口部における水圧(gf/cm)を表し、Hは培地310の上面から下向き水面311の下端までの深さ(cm)を表し、ρは培地310の密度(g/cm)を表し、r1及びr2は直交する曲率半径を表す。]
このような曲面は下向きに凸になるので、下向き水面311が形成される。下向き水面311の表面を球面と想定した場合はr1=r2となる。よって
p=γ×(2/r) …(19)
Hρ=γ×(2/r) …(20)
また、上述したように、第二面111に下向き水面311がまわりこみ始めた瞬間に、下向き水面311を保持することが困難になる。このことを踏まえ、接触角θcが0<cosθc<1の範囲において、θ=θcとなった状態での諸条件と第二面111の開口部の相当直径Dとの関係を、図11を参照して考察する。
大気圧下について、密度ρ、表面張力γの培地311と、表面張力がγである材質を壁面113の表面の材料に用い、高さH(cm)まで培地311を入れる場合について、式(16)からcosθc>γ/γを満たす材質を選択する。
曲率半径から想定される円の中心から下に垂直な補助線を引くと、
D=2r・sinθ …(21)
ここで、(20)より、r=2Hργであるから、
D=4・γL・sinθ/Hρ …(22)
式(22)に、下向き水面311が第二面111にまわりこみ始める限界、すなわちθ=θcを代入すると、下向き水面311を保持できる最大直径D(max)は、下記式(23)で表される。
D(max)=4・γL・sinθc/Hρ …(23)
すなわち、D(max)の値よりも小さい相当直径Dとなるように設計することが好ましい。したがって、第一の基板110に形成された孔に、第一面112から、壁面113を構成する材質の表面との接触角θcが0<cosθc<1である培地310が注入された場合に、下記式(F2)及び(F3)が満たされることが好ましい。
γcosθc−γ>0 …(F2)
p=γ×(2/R) …(F3)
[式(F2)及び(F3)中、γは培地310の表面張力(gf/cm)を表し、γは壁面113の表面の材質の表面張力(gf/cm)を表し、pは第二面111の開口部での水圧(gf/cm)を表し、Rは孔の第二面111の開口部の面積に相当する円の半径(cm)を表す。]
このような条件で設計する際に、接触角θcに関わらず(いいかえると基板110の材料が疎水性であるか親水性であるかに関わらず)、培地中のタンパク質の材質への吸着を考慮することが好ましい。このため、第二面111の開口部の大きさは、導き出された相当半径Rの最大値の20〜80%の値にすることが好ましい。さらに、培地310の高さHに由来する水圧が、導き出された最大の水圧pの50〜80%の範囲になるように培地310の高さHを調節して、培地量を調整することがより好ましい。
上述したように、接触角θcに応じて相当直径Dを設計することにより、下向き水面311が適切に形成されるスフェロイド製造及び回収用デバイス100を作製することができる。いいかえると、スフェロイド製造及び回収用デバイス100に用いる材質と、細胞培養に使用する培地310の性質とに応じたスフェロイド製造及び回収用デバイス100を設計・作製することができる。
その結果、スフェロイド製造及び回収用デバイス100によって細胞培養に適した下向き水面311が形成されるので、スフェロイド製造及び回収用デバイス100を用いてスフェロイドを効率よく、大量に作製することができる。また、スフェロイド製造及び回収用デバイス100を用いて適切な下向き水面311を形成させることにより、均一なスフェロイドを製造することができる。
上述した説明では、接触角θcの値がとる範囲に応じて、スフェロイド製造及び回収用デバイス100を設計するときに用いる計算式を提示した。これは、スフェロイド製造及び回収用デバイス100の材質、又は培地310の性質に応じて、複数の設計手法を適用することが好ましいためである。
具体的な壁面113の表面の材質としては、例えば、ガラス、金属、シリコンウェハ、ポリジメチルシロキサン、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
壁面113には、細胞が接着しにくいことが好ましい。そこで、壁面113には表面改質処理が行われていてもよい。あるいは、壁面113に表面改質剤が被覆されていてもよい。
表面改質剤としては、細胞に毒性を示さない限り特に限定されず、無機物、金属、合成ポリマー若しくは生体由来ポリマー又はこれらの組合せ等が挙げられる。より具体的には、例えば、シランカップリング剤、フッ素含有ポリマー等を壁面113に塗布して被覆を形成することができる。
また、壁面113の形状は単一の角度を有する斜面に限られず、複数の異なる角度を有する斜面であってもよく、曲面であってもよい。また、孔の第一面112又は第二面111における開口部の形状は、真円、楕円等の円形であってもよく、四角形、六角形、八角形等の多角形であってもよい。
他の形態として、例えば、特許第5074382号公報に開示された方法を用いた、少なくとも下側の一端が開口している空洞部を有する構造体の空洞部内に、細胞を含む培養液を注入し、前記培養液の一部を前記開口端より下側に突出させる基板も含まれる。あるいは、国際公開第2010/031194号公報に開示された方法である、培養液が第1表面から第2表面に連通する構造を有する基板も含まれる。
[スフェロイドの製造及び回収方法]
一態様において、本発明は、スフェロイドの製造及び回収方法であって、上述したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板の第一面に細胞を播種する工程1と、工程1により第二面に形成される下向き水面上でスフェロイドを培養する工程2と、回収溶液流入部から回収溶液を、第二の基板からの液滴高さがGになるように流入させる工程3と、回収溶液が、下向き水面と、回収溶液流入部側からスフェロイド回収部側へ接触していくことにより、下向き水面上のスフェロイドが、第二の基板に移動し、更に、スフェロイド回収部へ移動する工程4と、を含む、製造及び回収方法を提供する。
本態様の製造及び回収方法において、工程3及び工程4は、図13(a)〜(d)を参照しながら上述したものと同様である。本態様の製造及び回収方法によれば、下向き水面の意図しない崩壊や、培地がデバイスからこぼれる等の問題を抑制しながら効率よくスフェロイドを製造及び回収することができる。また、スフェロイド製造及び回収用デバイスの大型化や自動培養装置への組み込みを行うことにより、スフェロイドの製造効率を向上させることも容易である。また、スフェロイドに与えるストレスを最小限に抑制しつつスフェロイドを回収することができるため、高品質なスフェロイドを製造及び回収することができる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[スフェロイド製造及び回収用デバイスの作製]
実施例1のスフェロイド製造及び回収用デバイスを作製した。図1(a)に作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの写真を示す。第一の基板110における孔、孔の第一面111の開口部、孔の第二面112の開口部、壁面113の形状は図14(a)〜(d)に示す形状とした。図14(a)は作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板を第二面112側から観察した光学顕微鏡写真であり、第二面112付近に焦点を合わせたものである。図14(b)は図14(a)と同視野の光学顕微鏡写真であるが、第一面111付近に焦点を合わせたものである。図14(c)は作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板の第二面112側を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図14(d)は作製したスフェロイド製造及び回収用デバイスの第一の基板を孔の軸線方向に切断した断面SEM写真である。
実施例1のスフェロイド製造及び回収用デバイスでは、一ピッチPIを1.00mmとした。また、孔の第二面111の相当直径Dを0.50mmとした。また、壁面113の角度θiを78°とした。また、第一の基板110の厚さTを1.1mmとした。
第一の基板110の材質としては、接触角θcが約0°であるものを使用した。具体的には、ガラス基板を疎水性コートして使用した。
また、第二の基板の材質としてはポリカーボネートを使用した。純水のポリカーボネートに対する接触角を液滴法により測定したところ、約90°であった。
[スフェロイドの培養及び回収]
実施例1のスフェロイド製造及び回収用デバイス100を用いてスフェロイドを培養し、回収した。培地として、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM/F12を用いた。なお、この培地と純水は、接触角θcについて近傍の値を示すものであった。
まず、実施例1のスフェロイド製造及び回収用デバイス100の第一の基板110の第一面112に、培地の高さHが1cm以内になるように細胞を懸濁した培地を添加した。具体的には、マウスES細胞を7.8×10個/40mLの細胞密度で懸濁した培地を40mL添加した。その後細胞を2日間培養した。
続いて、培養したスフェロイドを回収した。まず、回収溶液流入部130に回収溶液を1mL注入した。回収溶液としては培地を用いた。図15(a)は、回収溶液を注入した直後のスフェロイド製造及び回収用デバイス100を示す写真である。
回収溶液を注入した結果、回収溶液流入部130側からスフェロイド回収部140側に向かって、下向き水面311が順次崩壊していき、スフェロイドが第二の基板120上に放出された。図15(b)は、下向き水面311が崩壊し、培地が第一の基板110の第二面111と第二の基板120との間隙gを満たしていく状態を示す写真である。
続いて、間隙gの培地は、スフェロイドと共にスフェロイド回収部140に流入した。この結果、スフェロイドが回収された。図15(c)はスフェロイドを含む回収溶液がスフェロイド回収部140に回収された状態を示す写真である。
図16(a)及び(b)は、回収したスフェロイドの顕微鏡写真である。図16(a)は倍率10倍で観察した写真であり、図16(b)は、倍率75倍で観察した写真である。その結果、大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製できたことが確認された。
以上の結果から、実施例1のスフェロイド製造及び回収用デバイス100を用いることにより、スフェロイド製造及び回収用デバイスを移動させなくても、スフェロイドを容易に回収することができることが明らかとなった。
本発明によれば、大きさや形が均一なスフェロイドを大量に作製することができ、大型化や自動化に適したスフェロイド製造デバイス、及びこれを用いたスフェロイドの製造方法を提供することができる。
100…スフェロイド製造及び回収用デバイス、110…第一の基板、120…第二の基板、130…回収溶液流入部、140…スフェロイド回収部、111…第二面、112…第一面、113…壁面、310…培地、311…下向き水面、410…スフェロイド、F0,F1,F2…力、g…間隙、G…液滴高さ、D…相当直径、R…相当半径、θi…角度、T…厚さ、H…高さ、PI…ピッチ、W…幅。

Claims (8)

  1. スフェロイドを製造及び回収するためのデバイスであって、
    スフェロイドを培養するための第一の基板と、前記第一の基板の一方側に対向するように配置された、培養したスフェロイドを回収するための第二の基板と、前記第二の基板へ回収溶液を流入させるための回収溶液流入部と、第二の基板上を流れる、スフェロイドを含有する回収溶液を回収するためのスフェロイド回収部と、を備え、
    前記第一の基板は、
    前記第一の基板の他方側の第一面と、
    前記第一の基板の一方側の第二面と、
    前記第一面と前記第二面との間を貫通する複数の孔を形成する複数の壁面と、を備え、
    前記第一の基板の第二面と前記第二の基板間の間隙gが、回収溶液流入部から回収溶液を流入させた際の、前記回収溶液の、第二の基板からの液滴高さGより小さいデバイス。
  2. 第二の基板の水に対する接触角が50°〜120°である、請求項1に記載のデバイス。
  3. 少なくとも一部の材質が、ガラス、金属、シリコンウェハ、ポリジメチルシロキサン、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂又はポリプロピレン系樹脂である、請求項1又は2に記載のデバイス。
  4. 前記孔は、前記第二面の開口部の面積に相当する円の直径が200μmから1cmの範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
  5. 複数の前記壁面のそれぞれの少なくとも一部分は、前記第二面に対して1°より大きく、90°より小さい角度の傾斜を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
  6. 前記孔に、前記第一面から、前記壁面を構成する材質の表面との接触角θcが−1<cosθc≦0である培地が注入された場合に、前記孔の前記第二面の開口部の面積に相当する円の半径R(cm)が、下記式(F1)で定義される変数Xの値以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
    (2/3)αX+pX=2γ …(F1)
    [式(F1)中、αは前記培地の比重を表し、pは前記第二面の開口部の水圧(gf/cm)を表し、γは前記培地の表面張力(gf/cm)を表す。]
  7. 前記孔に、前記第一面から、前記壁面を構成する材質の表面との接触角θcが0<cosθc<1である培地が注入された場合に、下記式(F2)及び(F3)が満たされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
    γcosθc−γ>0 …(F2)
    p=γ×(2/R) …(F3)
    [式(F2)及び(F3)中、γは前記培地の表面張力(gf/cm)を表し、γは前記材質の表面張力(gf/cm)を表し、pは前記第二面の開口部での水圧(gf/cm)を表し、Rは前記孔の前記第二面の開口部の面積に相当する円の半径(cm)を表す。]
  8. スフェロイドの製造及び回収方法であって、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイスの前記第一の基板の第一面に細胞を播種する工程1と、
    前記工程1により前記第二面に形成される下向き水面上でスフェロイドを培養する工程2と、
    前記回収溶液流入部から前記回収溶液を前記第二の基板からの液滴高さがGになるように流入させる工程3と、
    前記回収溶液が、前記下向き水面と、回収溶液流入部側からスフェロイド回収部側へ接触していくことにより、前記下向き水面上のスフェロイドが、前記第二の基板に移動し、更に、前記スフェロイド回収部へ移動する工程4と、
    を含む、製造及び回収方法。
JP2017193117A 2017-10-02 2017-10-02 スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法 Pending JP2019062832A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017193117A JP2019062832A (ja) 2017-10-02 2017-10-02 スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017193117A JP2019062832A (ja) 2017-10-02 2017-10-02 スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019062832A true JP2019062832A (ja) 2019-04-25

Family

ID=66337131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017193117A Pending JP2019062832A (ja) 2017-10-02 2017-10-02 スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019062832A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015129263A1 (ja) * 2014-02-25 2015-09-03 株式会社クラレ スフェロイド作製用デバイス、スフェロイドの回収方法及び製造方法
US20160097028A1 (en) * 2014-10-03 2016-04-07 Academia Sinica Microfluidic device for cell spheroid culture and analysis
WO2017033958A1 (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 Necソリューションイノベータ株式会社 細胞インク、細胞インクの製造容器、細胞インクの製造キット、細胞インクの製造方法、インクカートリッジ、立体造形物の製造方法、および立体造形物
WO2017115865A1 (ja) * 2015-12-29 2017-07-06 株式会社クラレ 幹細胞の凝集塊の集団の調製方法
US20170252744A1 (en) * 2014-10-17 2017-09-07 Ecole Polytechnique Method for handling microdrops which include samples

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015129263A1 (ja) * 2014-02-25 2015-09-03 株式会社クラレ スフェロイド作製用デバイス、スフェロイドの回収方法及び製造方法
US20160097028A1 (en) * 2014-10-03 2016-04-07 Academia Sinica Microfluidic device for cell spheroid culture and analysis
US20170252744A1 (en) * 2014-10-17 2017-09-07 Ecole Polytechnique Method for handling microdrops which include samples
WO2017033958A1 (ja) * 2015-08-24 2017-03-02 Necソリューションイノベータ株式会社 細胞インク、細胞インクの製造容器、細胞インクの製造キット、細胞インクの製造方法、インクカートリッジ、立体造形物の製造方法、および立体造形物
WO2017115865A1 (ja) * 2015-12-29 2017-07-06 株式会社クラレ 幹細胞の凝集塊の集団の調製方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING (2003) VOL.83, NO.2, PP.173-180, JPN6021030992, ISSN: 0004566451 *
LAB ON A CHIP (2016) VOL.16, NO.8,PP.1505-1513, JPN6021030991, ISSN: 0004566450 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yu et al. Superwettability of gas bubbles and its application: from bioinspiration to advanced materials
George et al. Recent progress in fabricating superaerophobic and superaerophilic surfaces
US11208625B2 (en) Spheroid-producing device, method for recovering spheroids, and method for producing spheroids
Cui et al. Bioinspired smart materials for directional liquid transport
Bai et al. Biomimetic “cactus spine” with hierarchical groove structure for efficient fog collection
Si et al. Liquids unidirectional transport on dual-scale arrays
Xiao et al. Bioinspired slippery cone for controllable manipulation of gas bubbles in low-surface-tension environment
Yi et al. Cactus‐inspired conical spines with oriented microbarbs for efficient fog harvesting
Xue et al. Superhydrophobic cones for continuous collection and directional transportation of CO2 microbubbles in CO2 supersaturated solutions
WO2005123242A1 (ja) 構造体ならびにこれを用いたチップ、および親/疎液性の制御方法
Lewandowski et al. Orientation of a nanocylinder at a fluid interface
US20130084634A1 (en) Microfluidic hanging drop chip
Shi et al. Ladderlike tapered pillars enabling spontaneous and consecutive liquid transport
Li et al. Bioinspired, peg-studded hexagonal patterns for wetting and friction
Ma et al. Geometrical effect, optimal design and controlled fabrication of bio-inspired micro/nanotextures for superhydrophobic surfaces
KR20160030474A (ko) 코어 유리 및 클래드 유리를 갖는 유리 시트 형성 장치 및 방법
JP2019062832A (ja) スフェロイドを製造するためのデバイス、スフェロイドの製造及び回収方法
Speranza et al. High-definition polymeric membranes: Construction of 3d lithographed channel arrays through control of natural building blocks dynamics
CN106391152B (zh) 通道上下两壁面指定位置可变形的微流控芯片
CN110325736A (zh) 用于包括克服外部压力的定向流体输送的表面
Lo et al. Dropwise condensation on single-micro-scale roughness hydrophobic surfaces
US10927005B2 (en) Method for manufacturing doubly re-entrant microstructures
Yu et al. Shaping micro-clusters via inverse jamming and topographic close-packing of microbombs
Tu et al. Anisotropic spreading of bubbles on superaerophilic straight trajectories beneath a slide in water
Hashimoto et al. Slit between Micro Machined Plates for Observation of Passing Cell: Deformation and Velocity

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180118

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20200811

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200811

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210810

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20211008

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211207

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20211203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220405