JP6534269B2 - 管状構造物、細胞構造体の製造方法、及び管状構造物の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)生体親和性高分子ブロックと、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されている細胞構造体により構成されている管状構造物。
(2)人工血管である(1)に記載の管状構造物。
(3)上記細胞構造体が、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞の合計細胞数について細胞1個当り0.0000001μg以上1μg以下の生体親和性高分子ブロックを含む、(1)又は(2)に記載の管状構造物。
(4)線維芽細胞が皮膚線維芽細胞であり、血管内皮細胞が臍帯静脈血管内皮細胞であり、平滑筋細胞が膀胱平滑筋細胞である、(1)から(3)の何れか一に記載の管状構造物。
(5)上記生体親和性高分子ブロック一つの大きさが10μm以上300μm以下である、(1)から(4)の何れか一項に記載の管状構造物。
(7)上記生体親和性高分子ブロックがリコンビナントペプチド又は化学合成ペプチドからなる、(1)から(6)の何れか一に記載の管状構造物。
(8)上記リコンビナントペプチドがリコンビナントゼラチン又は化学合成ゼラチンである、(1)から(7)の何れか一に記載の管状構造物。
(9)上記リコンビナントゼラチン又は化学合成ゼラチンが、下記式1で示されるものである、(8)に記載の管状構造物。
式1:A−[(Gly−X−Y)n]m−B
式1において、n個のXはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、n個のYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示し、mは2〜10の整数を示し、nは3〜100の整数を示し、Aは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示し、Bは任意のアミノ酸又はアミノ酸配列を示す。
(10)上記リコンビナントペプチド又は化学合成ゼラチンが、
配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ生体親和性を有するペプチド;又は
配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ生体親和性を有するペプチド;
の何れかである、(7)から(9)の何れか一に記載の管状構造物。
(11)上記生体親和性高分子ブロックにおいて、上記生体親和性高分子が熱、紫外線又は酵素により架橋されている、(1)から(10)の何れか一に記載の管状構造物。
(12)上記生体親和性高分子ブロックが、生体親和性高分子の多孔質体を粉砕することにより得られる顆粒の形態にある、(1)から(11)の何れか一に記載の管状構造物。
基板と糸状体または針状体とを備える支持体の上記糸状体または針状体に、生体親和性高分子ブロックと、細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されている、複数個の細胞構造体を貫通させ、上記複数個の細胞構造体により上記任意の形状が形成されるように細胞構造体を配置する工程A、および
工程Aにおいて配置された細胞構造体を培養し、近接する細胞構造体同士を融合させる工程B、
を含む、細胞構造体の製造方法。
(14)更に、工程Bにおいて任意の形状を形成した細胞構造体を、糸状体または針状体から引き抜く工程Cを含む、(13)に記載の細胞構造体の製造方法。
基板と糸状体または針状体とを備える支持体の上記糸状体または針状体に、生体親和性高分子ブロックと、細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されている、複数個の細胞構造体を貫通させ、上記複数個の細胞構造体により管状構造物の形状が形成されるように細胞構造体を配置する工程A1、ここで上記細胞は、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞とを含み、および
工程A1において配置された細胞構造体を培養し、近接する細胞構造体同士を融合させる工程B1、
を含む、管状構造物の製造方法。
(16)更に、工程B1において管状構造物の形状を形成した細胞構造体を、糸状体または針状体から引き抜く工程C1、及び工程C1で得た細胞構造体を培養する工程D1を含む、(15)に記載の管状構造物の製造方法。
[管状構造物]
本発明の管状構造物は、生体親和性高分子ブロックと、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されている細胞構造体により構成されている。なお、本発明で用いる細胞構造体は、本明細書中において、モザイク細胞塊(モザイク状になっている細胞塊)と称する場合もある。
本発明で用いる細胞構造体は、生体親和性高分子ブロックを含む。生体親和性高分子ブロックについて以下に説明する。
(1−1)生体親和性高分子
生体親和性とは、生体に接触した際に、長期的かつ慢性的な炎症反応などのような顕著な有害反応を惹起しないことを意味する。本発明で用いる生体親和性高分子は、生体に親和性を有するものであれば、生体内で分解されるか否かは特に限定されないが、生分解性高分子であることが好ましい。非生分解性材料として具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル、ステンレス、チタン、シリコーン及びMPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)などが挙げられる。生分解性材料としては、具体的にはリコンビナントペプチド又は化学合成ペプチドなどのポリペプチド(例えば、以下に説明するゼラチン等)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸コポリマー(PLGA)、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、コンドロイチン、セルロース、アガロース、カルボキシメチルセルロース、キチン、及びキトサンなどが挙げられる。上記の中でも、リコンビナントペプチドが特に好ましい。これら生体親和性高分子には細胞接着性を高める工夫がなされていてもよい。具体的には、「基材表面に対する細胞接着基質(フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン)や細胞接着配列(アミノ酸一文字表記で表される、RGD配列、LDV配列、REDV配列、YIGSR配列、PDSGR配列、RYVVLPR配列、LGTIPG配列、RNIAEIIKDI配列、IKVAV配列、LRE配列、DGEA配列、及びHAV配列)ペプチドによるコーティング」、「基材表面のアミノ化、カチオン化」、又は「基材表面のプラズマ処理、コロナ放電による親水性処理」といった方法を使用できる。
化学合成ペプチド又は化学合成ゼラチンとは、人工的に合成したペプチド又はゼラチンを意味する。ゼラチン等のペプチドの合成は、固相合成でも液相合成でもよいが、好ましくは固相合成である。ペプチドの固相合成は当業者に公知であり、例えば、アミノ基の保護としてFmoc基(Fluorenyl-Methoxy-Carbonyl基)を使用するFmoc基合成法、並びにアミノ基の保護としてBoc基(tert-Butyl Oxy Carbonyl基)を使用するBoc基合成法などが挙げられる。なお、化学合成ゼラチンの好ましい態様は、本明細書中後記の(1−3)リコンビナントゼラチンに記載した内容を当てはめることができる。
リコンビナントゼラチンについては、本明細書中後記する。
本発明で用いる生体親和性高分子は、架橋されているものでもよいし、架橋されていないものでもよいが、架橋されているものが好ましい。架橋されている生体親和性高分子を使用することにより、培地中で培養する際及び生体に移植した際に瞬時に分解してしまうことを防ぐという効果が得られる。一般的な架橋方法としては、熱架橋、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなど)による架橋、縮合剤(カルボジイミド、シアナミドなど)による架橋、酵素架橋、光架橋、紫外線架橋、疎水性相互作用、水素結合、イオン性相互作用などが知られている。本発明ではグルタルアルデヒドを使用しない架橋方法を使用することが好ましい。本発明では、アルデヒド類又は縮合剤を使用しない架橋方法を使用することがより好ましい。即ち、本発明における生体親和性高分子ブロックは、好ましくは、グルタルアルデヒドを含まない生体親和性高分子ブロックであり、より好ましくは、アルデヒド類又は縮合剤を含まない生体親和性高分子ブロックである。本発明で使用する架橋方法としては、さらに好ましくは熱架橋、紫外線架橋、又は酵素架橋であり、特に好ましくは熱架橋である。
本発明で言うリコンビナントゼラチンとは、遺伝子組み換え技術により作られたゼラチン類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドもしくは蛋白様物質を意味する。本発明で用いることができるリコンビナントゼラチンは、コラーゲンに特徴的なGly−X−Yで示される配列(X及びYはそれぞれ独立にアミノ酸の何れかを示す)の繰り返しを有するものが好ましい。ここで、複数個のGly−X−Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましくは、細胞接着シグナルが一分子中に2配列以上含まれている。本発明で用いるリコンビナントゼラチンとしては、コラーゲンの部分アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有するリコンビナントゼラチンを用いることができる。例えばEP1014176、US特許6992172号、国際公開WO2004/85473、国際公開WO2008/103041等に記載のものを用いることができるが、これらに限定されるものではない。本発明で用いるリコンビナントゼラチンとして好ましいものは、以下の態様のリコンビナントゼラチンである。
この最小アミノ酸配列の含有量は、細胞接着・増殖性の観点から、タンパク質1分子中3〜50個が好ましく、さらに好ましくは4〜30個、特に好ましくは5〜20個である。最も好ましくは12個である。
好ましくは、リコンビナントゼラチンはテロペプタイドを有さない。
好ましくは、リコンビナントゼラチンは、アミノ酸配列をコードする核酸により調製された実質的に純粋なポリペプチドである。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド;
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ生体親和性を有するペプチド;又は
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上(さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ生体親和性を有するペプチド;
である。
本発明では、上記した生体親和性高分子からなるブロック(塊)を使用する。
本発明における生体親和性高分子ブロックの形状は特に限定されるものではない。例えば、不定形、球状、粒子状(顆粒)、粉状、多孔質状、繊維状、紡錘状、扁平状及びシート状であり、好ましくは、不定形、球状、粒子状(顆粒)、粉状及び多孔質状である。不定形とは、表面形状が均一でないもののことを示し、例えば、岩のような凹凸を有する物を示す。なお、上記の形状の例示はそれぞれ別個のものではなく、例えば、粒子状(顆粒)の下位概念の一例として不定形となる場合もある。
生体親和性高分子ブロックの製造方法は、特に限定されないが、例えば、生体親和性高分子の多孔質体を、粉砕機(ニューパワーミルなど)を用いて粉砕することにより、顆粒形態の一例である不定形の生体親和性高分子ブロックを得ることができる。
生体親和性高分子の溶液を、溶液内で最も液温の高い部分の液温である内部最高液温が、未凍結状態で、溶媒融点より3℃低い温度(“溶媒融点−3℃”)以下となる、凍結処理により凍結する工程a;及び
上記工程aで得られた凍結した生体親和性高分子を凍結乾燥する工程b:
を含む方法により、生体親和性高分子ブロックを製造することができる。
本発明ではさらに好ましくは、上記工程bで得られた多孔質体を粉砕することによって、顆粒の形態の生体親和性高分子ブロックを製造することができる。
本発明で用いる細胞は、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞であり、より好ましくは、皮膚線維芽細胞、臍帯静脈血管内皮細胞および膀胱平滑筋細胞である。本発明においては、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞を使用する限り、上記3種以外の細胞を使用してもよいし、上記3種類の細胞のみを使用してもよい。使用する細胞として、好ましくは脊椎動物由来細胞であり、特に好ましくはヒト由来細胞である。細胞の由来は、自家細胞又は他家細胞の何れでも構わない。
また、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞としては、正常ヒト由来(成人又は小児)の初代細胞でもよいし、株化細胞でもよい。
膀胱平滑筋細胞などの血管内皮細胞は、例えば、平滑筋αアクチン陽性、またはCD90陰性により検出することができる。
本発明においては、生体親和性高分子ブロックと上記の所定の細胞とを用いて、複数個の細胞間の隙間に複数個の生体親和性高分子ブロックをモザイク状に3次元的に配置させることによって細胞構造体を作製する。生体親和性高分子ブロックと細胞とがモザイク状に3次元に配置されることにより、構造体中で細胞が均一に存在する細胞構造体が形成され、外部から細胞構造体の内部への、培地成分などの栄養の送達が可能となる。
細胞構造体は、生体親和性高分子ブロックと、細胞(線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞)とを混合することによって製造することができる。より具体的には、細胞構造体は、生体親和性高分子ブロックと、細胞とを交互に配置することにより製造できる。製造方法は特に限定されないが、好ましくは生体親和性高分子ブロックを形成したのち、細胞を播種する方法である。具体的には、生体親和性高分子ブロックと細胞含有培養液との混合物をインキュベートすることによって、細胞構造体を製造することができる。例えば、容器中、容器に保持される液体中で、細胞と、予め作製した生体親和性高分子ブロックとをモザイク状に配置する。配置の手段としては、自然凝集、自然落下、遠心、攪拌を用いることで、細胞と生体親和性基材からなるモザイク状の配列形成を促進又は制御することが好ましい。
本発明の管状構造物の製造方法については後記する。
本発明の管状構造物の一例の模式図を図1に示す。図1においては、管状構造物の内径21、外径22、及び長さ23を示す。本発明の管状構造物は、略円柱状の形状の構造体の内部に略円柱状の空洞を有する構造を有している。但し、断面の形状は厳密な円に限定されるわけではなく、楕円など円に類似する形状であればよい。
本発明の管状構造物の内径は、人工血管としての用途を考慮した場合には、1mm以上6mm未満が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましく、1mm以上3mm以下がさらに好ましい。
本発明の管状構造物の外径は、人工血管としての用途を考慮した場合には、3mm以上10mm以下が好ましく、3mm以上8mm以下がより好ましく、3mm以上5mm以下がさらに好ましい。
内径と外径の差は、管状構造物の強度などの観点から、1mm以上9mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。
本発明の管状構造物の長さは、人工血管としての用途を考慮した場合には、3mm以上300mm以下が好ましく、3mm以上150mm以下がより好ましい。
ここで、内径及び外径とは、本発明の管状構造物の断面を円に近似した場合の内径及び外径を意味する。
本発明の管状構造物は、人工血管、人工尿管、又は人工消化管などとして使用することができ、好ましくは人工血管として使用することができる。具体的には、本発明の細胞構造体は、例えば、人工血管、人工尿管、又は人工消化管の移植が必要な部位に移植の目的で使用できる。
移植方法としては、切開、内視鏡といったものが使用可能である。
本発明はさらに、生体親和性高分子ブロックと細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されており、かつ任意の形状を有する細胞構造体の製造方法に関する。本発明による細胞構造体の製造方法は、基板と糸状体または針状体とを備える支持体の上記糸状体または針状体に、生体親和性高分子ブロックと、細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されている、複数個の細胞構造体を貫通させ、上記複数個の細胞構造体により上記任意の形状が形成されるように細胞構造体を配置する工程A、および工程Aにおいて配置された細胞構造体を培養し、近接する細胞構造体同士を融合させる工程Bを含む。本発明による細胞構造体の製造方法はさらに、工程Bにおいて任意の形状を形成した細胞構造体を、糸状体または針状体から引き抜く工程Cを含んでいてもよい。
上記の(4)細胞構造体の製造方法により得られた細胞構造体(モザイク細胞塊)は、例えば、
(a)細胞構造体(モザイク細胞塊)同士を融合させる、又は
(b)分化培地又は増殖培地下でボリュームアップさせる、
などの方法により、本発明の管状構造物を製造することができる。融合の方法、およびボリュームアップの方法は特に限定されない。細胞構造体を融合させる場合には、例えば、複数個の生体親和性高分子ブロックと複数個の細胞とを含み、上記複数の細胞により形成される複数個の隙間の一部または全部に、一または複数個の上記生体親和性高分子ブロックが配置されている細胞構造体を複数個融合させることができる。
即ち、融合は、基板と糸状体または針状体とを備える支持体の上記糸状体または針状体に、生体親和性高分子ブロックと、細胞とを含み、複数個の上記細胞間の隙間に複数個の上記高分子ブロックが配置されている、複数個の細胞構造体を貫通させ、記複数個の細胞構造体により管状構造物の形状が形成されるように細胞構造体を配置する工程A1、および工程A1において配置された細胞構造体を培養し、近接する細胞構造体同士を融合させる工程B1を含む方法により行うことが好ましい。ここで用いる細胞は、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞を含む。
リコンビナントペプチド(リコンビナントゼラチン)として以下のCBE3を用意した(国際公開WO2008/103041号公報に記載)。
CBE3:
分子量:51.6kD
構造: GAP[(GXY)63]3G
アミノ酸数:571個
RGD配列:12個
イミノ酸含量:33%
ほぼ100%のアミノ酸がGXYの繰り返し構造である。CBE3のアミノ酸配列には、セリン、スレオニン、アスパラギン、チロシン及びシステインは含まれていない。CBE3はERGD配列を有している。
等電点:9.34
GRAVY値:−0.682
1/IOB値:0.323
アミノ酸配列(配列表の配列番号1)(国際公開WO2008/103041号公報の配列番号3と同じ。但し末尾のXは「P」に修正)
GAP(GAPGLQGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPIGPPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPIGPPGPAGAPGAPGLQGMPGERGAAGLPGPKGERGDAGPKGADGAPGKDGVRGLAGPP)3G
[PTFE厚・円筒形容器]
底面厚さ3mm、直径51mm、側面厚さ8mm、高さ25mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製円筒カップ状容器を用意した。PTFE製円筒カップ状容器は、曲面を側面としたとき、側面は8mmのPTFEで閉鎖されており、底面(平板の円形状)も3mmのPTFEで閉鎖されている。一方、上面は開放された形をしている。よって、円筒カップ状容器の内径は43mmになっている。以後、この容器のことをPTFE厚・円筒形容器と呼称する。
溶媒を凍結する際の温度プロファイルを図3に示す。融点以下で未凍結状態を経た後、凝固熱が発生し温度上昇が始まり、この段階で実際に氷形成が始まる。その後、温度は0℃付近を一定時間経過していき、この段階では、水と氷の混合物が存在する状態となっていた。最後0℃から再び温度降下が始まるが、この段階では、液体部分はなくなり氷となる。測定している温度は氷内部の固体温度となり、液温ではなくなる。上記の通り、凝固熱が発生する瞬間の内部最高液温を見れば、内部最高液温が未凍結状態で「溶媒融点−3℃」を経た後に凍結したかどうかが分かる。
実施例2で得られたCBE3多孔質体をニューパワーミル(大阪ケミカル社製、ニューパワーミルPM−2005)で粉砕した。粉砕は、最大回転数で1分間×5回、計5分間の粉砕で行った。得られた粉砕物について、ステンレス製ふるいでサイズ分けし、25〜53μm、53〜106μm、106μm〜180μmの顆粒形態のCBE3ブロックを得た。その後、窒素下で160℃で熱架橋(架橋時間は8〜48時間)を施して、リコンビナントペプチドブロックを得た。以下、すべて53〜106μmのブロックを用いた。
細胞のみのスフェロイドの作製は、以下の様にして行った。下記の正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)(10000cells/well)、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)(8000 cells/well)およびヒト膀胱平滑筋細胞(HBdSMC)(2000 cells/well)を各細胞の専用培地(下記)を等量ずつ含む培地200μl/wellに懸濁したものを調製し、PrimeSurface 96-well plate (住友ベークライト)の各ウェルに撒いた。培養はCO2インキュベータ中にて37℃で3日間行った。
NHDFは、http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007858を参照。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(成人):Normal Human Dermal Fibroblasts (NHDF), adult donor、Takara、C-12302
専用培地は、線維芽細胞増殖培地キット:Fibroblast Growth Medium Kit、Takara、C-23110
HUVECは、http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007840を参照。
ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cells:HUVEC)、Takara、C-12200
専用培地は、内皮細胞増殖培地2キット:Endothelial Cell Growth Medium 2 Kit、Takara、C-22111
HBdSMCは、http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007871を参照。
ヒト膀胱平滑筋細胞(Human Bladder Smooth Muscle Cells:HBdSMC)、Takara、C-12571
専用培地は、平滑筋細胞増殖培地2キット:Smooth Muscle Cell Growth Medium 2 Kit、Takara、C-22062
NHDF(5000 cells/well)、HUVEC(4000 cells/well)およびHBdSMC(1000 cells/well)(比較例1に記載したもの)に実施例4で作製したCBE3ブロック(53〜106μm) (7.5μg/well)を加えたものを各細胞の専用培地(比較例1に記載したもの)を等量ずつ混合した培地200μl/wellに懸濁してPrimeSurface 96-well plate(住友ベークライト)の各ウェルに撒いた。次にプレート遠心機で600g、5分間遠心することにより細胞とCBE3ブロックとの混合物をウェルの底に集めた後、CO2インキュベータ中にて37℃で3日間培養した。
透水性試験は、ISO7198の8.2.3" Determination of integralwater permeability/leakage"を参考にして実施した。透水性試験では流路内圧を30秒間隔で段階的に4、8、12、16kPaの順に上げていく方法を用いた。この過程で構造体の側壁からの液の漏出または構造体の亀裂による液漏れの有無を観察した。なお、生体組織を扱っているため、流路内の溶媒は水でなくPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を用いた。装置の全体図を図6に示す。減圧器2により4、8、12、16kPaとし、ポンプは0.1MPa以上である。
引張り強度試験は、ISO 7198の8.3.1"Determination of circumferential tensile strength"に準じて実施した。装置はTissue Puller-560TP(DMT社)を用いた。本装置に管状構造物を取り付け、一定速度で管状構造物の円周方向に引っ張ったときの最大引張り荷重(mN)を測定した。さらにこの値を管状構造物片の長さで割った値を管状構造物の長さ当りの引張り強度(mN/mm)として示した。
22 外径
23 長さ
10 支持体
11 基板
12 糸状体または針状体
1 重量計
2 減圧器
3 ポンプ
4 圧力計
5 注入チューブ
6 検体
7 栓
8 気圧式送液用ボトル
9 1%ヒト血清含有PBS(リン酸緩衝生理食塩水)
Claims (3)
- 生体親和性高分子ブロックと、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞とを含み、前記生体親和性高分子ブロック一つの大きさが1μm以上1000μm以下であり、複数個の前記細胞間の隙間に複数個の前記高分子ブロックが配置されている細胞構造体により構成されており、生体親和性高分子がリコンビナントゼラチン又は化学合成ゼラチンであり、内径が1mm以上である人工血管の製造方法であって、
基板と糸状体または針状体とを備える支持体の前記糸状体または針状体に、生体親和性高分子ブロックと、細胞とを含み、複数個の前記細胞間の隙間に複数個の前記高分子ブロックが配置されている、複数個の細胞構造体を貫通させ、前記複数個の細胞構造体により管状構造物の形状が形成されるように細胞構造体を配置する工程A1、ここで前記細胞は、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞とを含み、および
工程A1において配置された細胞構造体を培養し、近接する細胞構造体同士を融合させる工程B1、を含み、
更に、工程B1において管状構造物の形状を形成した細胞構造体を、糸状体または針状体から引き抜く工程C1、及び工程C1で得た細胞構造体を7日間以上培養する工程D1を含む、人工血管の製造方法。 - 前記細胞構造体が、線維芽細胞、血管内皮細胞および平滑筋細胞の合計細胞数について細胞1個当り0.0000001μg以上1μg以下の生体親和性高分子ブロックを含み、
線維芽細胞が皮膚線維芽細胞であり、血管内皮細胞が臍帯静脈血管内皮細胞であり、平滑筋細胞が膀胱平滑筋細胞であり、
前記生体親和性高分子ブロック一つの大きさが10μm以上300μm以下であり、
前記管状構造物が、内径1mm以上6mm未満、外径3mm以上10mm以下、及び長さ3mm以上300mm以下を有する、
請求項1に記載の人工血管の製造方法。 - 前記リコンビナントペプチド又は化学合成ゼラチンが、
配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ生体親和性を有するペプチド;又は
配列番号1に記載のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ生体親和性を有するペプチド;
の何れかであり、
前記生体親和性高分子ブロックにおいて、前記生体親和性高分子が熱、紫外線又は酵素により架橋されており、
前記生体親和性高分子ブロックが、生体親和性高分子の多孔質体を粉砕することにより得られる顆粒の形態にある、
請求項1又は2に記載の人工血管の製造方法。
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JP2015054842A JP6534269B2 (ja) | 2015-03-18 | 2015-03-18 | 管状構造物、細胞構造体の製造方法、及び管状構造物の製造方法 |
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