JP6534040B2 - タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法 - Google Patents

タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6534040B2
JP6534040B2 JP2015181205A JP2015181205A JP6534040B2 JP 6534040 B2 JP6534040 B2 JP 6534040B2 JP 2015181205 A JP2015181205 A JP 2015181205A JP 2015181205 A JP2015181205 A JP 2015181205A JP 6534040 B2 JP6534040 B2 JP 6534040B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tile
threshold
abnormal sound
sound
deterioration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015181205A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017058165A (ja
Inventor
周男 ▲高▼橋
周男 ▲高▼橋
名知 博司
博司 名知
貴▲恵▼ 船越
貴▲恵▼ 船越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP2015181205A priority Critical patent/JP6534040B2/ja
Publication of JP2017058165A publication Critical patent/JP2017058165A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6534040B2 publication Critical patent/JP6534040B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法に関するものである。
従来、建物の外壁や床に貼設されたタイルでは、経年劣化等によって浮き、剥離、割れのような異常が生じることがある。特に外壁等のタイルでは浮き、剥離、割れによってタイル陶片が剥落すると大きな事故につながるおそれがあることから、これを未然に防止するための取り組みとして、タイルの劣化状況を診断(検査、調査)することが行なわれてきた。
タイルの劣化診断方法としては、外観目視法、打音検査法、反発法、赤外線診断法等がある。このうち、打音検査法は、熟練した検査員がテストハンマーでタイル面を叩き、劣化部と健全部の微妙な音の違いを聞き分けることにより、外観では判別しにくいタイルの浮きや剥離の有無を比較的容易に判別できるため多用されている。
一方、打音検査法と同様、劣化部と健全部の微妙な音の違いによって劣化部分を特定するものとして、擦過法を用いた劣化診断方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。擦過法は、例えば、直径20mm程度の金属球を検査対象のタイル面に押し付け、タイル面を金属球で擦るように移動させ、その時に発生する音(擦過音)からタイルの浮きや剥離等の劣化部分の有無を判別し、劣化部分の位置を特定するものである。
また、この擦過法は、金属球を検査対象面のタイル面に押し付けた状態を維持しつつ移動することによる擦過音を捉える手法であるため、打音検査法と比較し、ロボット等で自動化を図りやすい。すなわち、ロボット等を操作し、マイクロフォンで録音された擦過音を検査員がコンピュータ等で分析することで診断を行うことができるため、検査員の経験や資質といった個人差の影響が少なく、高精度で診断を行うことが可能になる。
この擦過法を用いたタイルの劣化診断技術として、本発明者の一人は、既に特許文献2に示すような技術を提案している。この特許文献2は、図6に示すように、取得した擦過音データに対するノイズ除去等のデータ処理を施し、タイルの浮きや剥離等の有無を判定するものである。より具体的には、例えば、診断を行う前に予め外壁の一部分で正常部分を確認しておき、この正常部分の擦過音データ(正常音)を取得する。この正常部分の擦過音データとの比較により、正常音から乖離した音を生じた部分を、タイルの浮きや剥離等を表す異常音と判定する。擦過音マイクには、擦過音の他に、風音、機械音および外部環境音が、図7に示すように原波形として記録される。記録された音をフィルター処理して、図8に示すように異常音のみを抽出する。抽出した異常音およびその記録時間に基づいて、タイルの浮きや剥離等の有無、位置を特定する。
実開平7−34367号公報 特開2015−28467号公報
ところで、タイルの浮き(または剥離)の種別は、浮いた位置によって、モルタル等の下地からタイル陶片が浮いたり剥離した「陶片浮き」と、外壁等からモルタル等の下地自体が浮いたり剥離した「下地浮き(モルタル浮き)」とに大別できる。浮きの種別によって補修方法が異なることから、劣化診断段階で浮きの種別まで把握できれば、補修計画が立て易くなるので望ましい。しかしながら、上記の特許文献2の劣化診断方法では、こうした浮きの種別を判定することまではできない。このため、浮きの種別を識別することのできる劣化診断技術が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイルの浮きの種別を識別することのできるタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイルの劣化診断装置は、擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断装置であって、前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出手段と、前記異常音抽出手段で抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定手段を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断装置は、上述した発明において、前記浮きの種別判定手段は、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター部と、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター部とからなることを特徴とする。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断装置は、上述した発明において、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定手段をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明に係るタイルの劣化診断方法は、擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断方法であって、前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出ステップと、前記異常音抽出ステップで抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定ステップを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断方法は、上述した発明において、前記浮きの種別判定ステップは、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター処理ステップと、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター処理ステップとからなることを特徴とする。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断方法は、上述した発明において、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定ステップをさらに備えることを特徴とする。
本発明に係るタイルの劣化診断装置によれば、擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断装置であって、前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出手段と、前記異常音抽出手段で抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定手段を備えるので、タイルの浮きの種別を容易に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断装置によれば、前記浮きの種別判定手段は、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター部と、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター部とからなるので、ハイパスフィルター部を通過した異常音を陶片浮きの発生箇所として抽出し、また、ローフィルター部を通過した異常音を下地浮きの発生箇所として抽出することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断装置によれば、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定手段をさらに備えるので、劣化診断対象のタイル毎に時間−周波数解析に基づいた閾値を設定することで、診断対象のタイルの厚さや材質などに応じて、タイルの浮きの種別を識別する劣化診断が可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係るタイルの劣化診断方法によれば、擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断方法であって、前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出ステップと、前記異常音抽出ステップで抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定ステップを備えるので、タイルの浮きの種別を容易に識別することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断方法によれば、前記浮きの種別判定ステップは、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター処理ステップと、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター処理ステップとからなるので、ハイパスフィルター処理ステップで通過した異常音を陶片浮きの発生箇所として抽出し、また、ローフィルター処理ステップで通過した異常音を下地浮きの発生箇所として抽出することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断方法によれば、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定ステップをさらに備えるので、劣化診断対象のタイル毎に時間−周波数解析に基づいた閾値を設定することで、診断対象のタイルの厚さや材質などに応じて、タイルの浮きの種別を識別する劣化診断が可能となるという効果を奏する。
図1は、時間−周波数解析による浮きの種別の識別例を示す図であり、(1)は陶片浮き、(2)は下地浮きを示している。 図2は、本発明に係るタイルの劣化診断装置の実施の形態を示す概略構成図である。 図3は、本発明に係るタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法の実施の形態の説明図である。 図4は、本発明に係るタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法の実施の形態の説明図である。 図5は、本発明に係るタイルの劣化診断方法の実施の形態を示す概略フローチャート図である。 図6は、従来のタイルの劣化診断技術の概略的な処理手順図である。 図7は、従来の擦過音記録部に記録された原波形の一例を示す図である。 図8は、従来のフィルター処理後の異常音の波形の一例を示す図である。
以下に、本発明に係るタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(タイルの劣化診断の原理)
まず、本発明に係るタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法の原理について説明する。
一般に、タイルの打音に関して、陶片浮きでは高音域、下地浮きでは低音域の打音が得られることが経験上知られている。本発明者は、擦過音についても同様の傾向があると考え、プレス成形の磁器質タイル(厚さ7mm)の劣化診断で得られた異常音の擦過音信号を時間−周波数解析し、浮きの種別毎の周波数特性について調べた。この結果を図1に示す。この図に示すように、陶片浮きと下地浮きとで周波数に明確な差があり、周波数4.5kHzを閾値として浮きの種別を区別できることが判る。すなわち、4.5kHz以上の周波数成分で異常な波形が検出された場合には陶片浮き、4.5kHz未満の周波数成分で異常な波形が検出された場合には下地浮きと識別することが可能である。なお、タイルの材質や厚みの違いに影響して音が変わるため、タイルの種類ごとに周波数の閾値を決める必要がある。
このように、本発明に係るタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法では、診断対象のタイル毎に閾値となる周波数を時間−周波数解析により予め設定しておき、設定した周波数の閾値を用いて、タイルの浮きの種別を識別しながら劣化診断することになる。
(タイルの劣化診断装置)
次に、本発明に係るタイルの劣化診断装置の実施の形態について説明する。
図2に示すように、本発明に係るタイルの劣化診断装置10は、擦過部材12をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断装置であって、擦過音記録手段14と、異常音抽出手段16と、浮きの種別判定手段18と、可視化手段20と、閾値設定手段22とを備える。
擦過部材12は、タイル面に当接する金属球を備えた従来の擦過棒などにより構成することができる。擦過部材12には、必要に応じてモーター等からなる移動進退機構などを設けることができる。
擦過音記録手段14は、擦過部材12に内蔵またはその近傍に設けられ、図示しないエンコーダによって検出される位置データに対応した位置で発生する擦過音を捉えて記録するものである。擦過部材12がタイル面を押し付けながら所定方向に移動することで、擦過音が発生し、エンコーダによる擦過部材12の位置データとともにこの位置データに対応した位置で発生した擦過音が擦過音記録手段14に記録される。後述するように、記録された擦過音データをフィルター処理することでタイルの浮きや剥離等の劣化の有無が判別されることとなる。
異常音抽出手段16は、擦過音記録手段14に記録された擦過音データに基づいて、タイルの浮きや剥離等の劣化を表す異常音を抽出するものであり、コンピューターなどを用いて構成される。擦過音記録手段14に記録された擦過音データには、上述したように、擦過音の他に、風音、モーターや振動等の機械音、自動車等の外部環境音も含まれている。そこで、この異常音抽出手段16は、風音、機械音、外部環境音などのノイズ音を減衰処理するとともに、浮きや剥離等の劣化が生じているタイルの擦過音を強調させる処理を行い、予め設定した閾値以上の音信号を浮きや剥離等の劣化と判定して、これを異常音として抽出する。
より具体的には、例えば、記録された擦過音データに対して、予め設定した所定の周波数成分を除去する周波数フィルター処理を施す。この処理の後、浮き等の劣化が生じている可能性がある部位を抽出し、所定のノイズ成分をカットした後の擦過音データを自乗する演算処理を行い、健全部の擦過音データと劣化部の音データとの差を拡大させ、強調処理する。そして、設定したタイル面の範囲の擦過音データを順番に積分処理するとともに、処理後の値を予め設定した閾値と比較し、この閾値を上回る擦過音データが発生した箇所を浮き等の劣化部分を示す異常音として抽出、特定する。
浮きの種別判定手段18は、異常音抽出手段16で抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定するものであり、コンピューターなどを用いて構成される。ここで、陶片浮きとは、上述したように、モルタル等のタイルの下地からタイル陶片が浮いたり剥離した状態をいい、下地浮きとは、モルタル等のタイルの下地自体が外壁等から浮いたり剥離した状態をいう。この浮きの種別判定手段18は、閾値以上の周波数成分を減衰せずに閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター部18Aと、閾値未満の周波数成分を減衰せずに閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター部18Bとからなる。ハイパスフィルター部18Aを通過した異常音を陶片浮きの発生箇所として抽出し、また、ローフィルター部18Bを通過した異常音を下地浮きの発生箇所として抽出することができる。
可視化手段20は、異常音抽出手段16および浮きの種別判定手段18の処理結果を可視化するためのものであり、ディスプレイやプリンターにより構成される。より具体的には、可視化手段20は、異常音抽出手段16により抽出した異常音に基づいて、劣化部分の発生箇所を特定し、全体範囲における劣化部分の存在位置、大きさなどをグラフィック処理、マッピング処理して可視化する。また、可視化手段20は、浮きの種別判定手段18により抽出した陶片浮き、下地浮きに基づいて、その発生箇所を特定し、全体範囲における陶片浮き、下地浮きの存在位置、大きさなどをグラフィック処理、マッピング処理して可視化する。可視化された情報を見ることで、ユーザーは劣化部分の発生箇所、浮きの種別、その位置を容易に把握することができ、将来のタイルの補修計画の立案に役立てることが可能となる。
閾値設定手段22は、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、閾値を設定するものである。例えば、上述したようなプレス成形の磁器質タイル(厚さ7mm)の場合には(図1を参照)、周波数4.5kHzを閾値に設定することができる。なお、上述したように、タイルの材質や厚みの違いに影響して音が変わるため、タイルの種類ごとに周波数の閾値を決める必要がある。劣化診断対象のタイル毎に時間−周波数解析に基づいた閾値を設定することで、診断対象のタイルの厚さや材質などに応じて、タイルの浮きの種別を識別する劣化診断が可能となる。
上記構成の動作および作用について説明する。
タイルの劣化診断装置10を直接ワイヤー等で支持し、あるいは台車等に搭載して検査対象面のタイル面に沿うように配置する。そして、擦過部材12をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段14で捉える。
異常音抽出手段16が、記録された擦過音データから、タイルの浮きや剥離等の劣化を表す異常音を抽出する。ここまでの処理で、タイルの劣化の有無までを診断することができる。続いて、浮きの種別判定手段18が、抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する。この判定結果は、可視化手段20により可視化表示される。この判定によりタイルの劣化の態様、すなわちタイルの浮きの種別まで容易に識別することが可能となる。
図3は、陶片浮きの識別処理とその可視化の一例を示したものである。この図に示すように、図3(1)の異常音抽出手段16による処理後の波形に対し、ハイパスフィルター部18Aの処理を施すと図3(2)の波形が得られ、ローパスフィルター部18Bの処理を施すと図3(3)の波形が得られる。図3(2)から陶片浮きが生じており、図3(3)から下地浮きが生じていないことが判る。これらの結果を合成してタイル上にプロットすると図3(4)が得られる。図3(4)を見ることで、タイルの浮きの種別およびその発生位置を容易に把握することができる。図3(4)の例では、左右に複数配列したタイルのうち、×印で示した左側の7箇所に陶片浮きが生じている。
図4は、下地浮きの識別処理とその可視化の一例を示したものである。この図に示すように、図4(1)の異常音抽出手段16による処理後の波形に対し、ハイパスフィルター部18Aの処理を施すと図4(2)の波形が得られ、ローパスフィルター部18Bの処理を施すと図4(3)の波形が得られる。図4(2)から陶片浮きが生じず、図4(3)から下地浮きが生じていることが判る。これらの結果を合成してタイル上にプロットすると図4(4)が得られる。図4(4)を見ることで、タイルの浮きの種別およびその発生位置を容易に把握することができる。図4(4)の例では、左右に複数配列したタイルのうち、×印で示した中央右寄りの5箇所に下地浮きが生じている。
上記の実施の形態において、異常音抽出手段16は、上述した方法の代わりに以下のような方法で異常音を抽出してもよい。すなわち、予め作業員が詳細に確認するなどして正常部分を特定しておき、本発明のタイルの劣化診断装置10でこの正常部分の擦過音データを取得し、ノイズを表す所定の周波数成分を除去するフィルター処理を施す。続いて、タイルの劣化診断装置10でタイル面の検査を行い、擦過音を記録し、擦過音記録手段14に記録された擦過音データに対して、ノイズを表す所定の周波数成分を除去するフィルター処理を施す。次に、予め取得した正常部分の擦過音データを用い、診断対象の擦過音データに対してスペクトル減算処理を行う。つまり、周波数領域で(正常部分の擦過音データ)−(正常部分の擦過音データ)の処理を実施する。得られたデータを自乗する演算処理を行って強調処理し、設定したタイル面の時間の範囲の擦過音データを順番に積分処理するとともに、処理後の値を予め設定した閾値と比較し、この閾値を上回る擦過音データが発生した箇所を浮き等の劣化部分を示す異常音として抽出、特定する。このようにしても、上記の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
上記の実施の形態において、タイルの劣化診断装置10が、上記の特許文献2に示されるような構成を具備してもよい。すなわち、金属球および擦過棒を有する擦過機構部を一方向に往復移動させるための往復移動機構部と、擦過棒を他方向に進退移動させ、金属球をタイル面に押し付け、離間するための擦過棒進退機構と、引張用弾性部材と、圧縮用弾性部材とを備えて構成してもよい。このような構成とすることで、特許文献2に示されるように、検査対象面のタイル面に多少の段差があっても、金属球をタイル面に押し付けつつこの段差を乗り越えて移動させることができる。これにより、擦過動作を停止させることなく連続して診断(検査、調査)を行うことが可能になるとともに、好適にタイル面に金属球を擦過させ、段差に起因したノイズの発生を抑えた擦過音を捉えることができ、信頼性の高い診断を行うことが可能になる。
(タイルの劣化診断方法)
次に、本発明に係るタイルの劣化診断方法の実施の形態について説明する。本実施の形態では、上記のタイルの劣化診断装置10を方法に適用する場合を例にとり説明する。
本発明に係るタイルの劣化診断方法は、擦過部材12をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段14で捉えてタイルの劣化の有無を診断する方法である。
まず、図5および図2に示すように、擦過音記録手段14で擦過音データを取得し(ステップS1)、取得した擦過音データに対するノイズ除去、有意データの強調等のデータ処理を行う(ステップS2)。これによりタイルの浮きや剥離等の劣化を表す異常音を抽出する(ステップS3)。ここまでの処理が異常音抽出ステップに相当する。異常音抽出ステップは、上記の異常音抽出手段16に相当する。
続いて、上記の異常音抽出ステップ(S1〜S3)で抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する(浮きの種別判定ステップ)。この浮きの種別判定ステップは、上記の浮きの種別判定手段18に相当する。
また、浮きの種別判定ステップは、閾値以上の周波数成分を減衰せずに閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター処理(ステップS4)と、閾値未満の周波数成分を減衰せずに閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター処理(ステップS6)とからなる。ハイパスフィルター処理(ステップS4)は、上記のハイパスフィルター部18Aに相当し、ローパスフィルター処理(ステップS6)は、上記のローフィルター部18Bに相当する。
ハイパスフィルター処理(ステップS4)の結果、陶片浮きの有無および位置が特定される(ステップS5)。ローパスフィルター処理(ステップS6)の結果、下地浮きの有無および位置が特定される(ステップS7)。
ステップS5、S7で得られた結果は、それぞれ作図処理され(ステップS8)、可視化手段20により可視化表示される(ステップS9)。
上記のステップS9の可視化表示では、浮きの種別判定ステップ(S4〜S7)で抽出した陶片浮き、下地浮きに基づいて、その発生箇所を特定し、全体範囲における陶片浮き、下地浮きの存在位置、大きさなどをグラフィック処理、マッピング処理して可視化する処理を行う。
本実施の形態によれば、浮きの種別判定ステップ(S4〜S7)の判定処理によりタイルの劣化の態様、すなわちタイルの浮きの種別までを容易に識別することができる。また、ステップS9で可視化された情報を見ることで、ユーザーは浮きの種別と発生位置を容易に把握することができ、将来のタイルの補修計画の立案に役立てることが可能となる。
上記の実施の形態において、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、浮きの種別判定ステップ(S4〜S7)で用いる閾値を設定する閾値設定ステップ(上記の閾値設定手段22に相当)をさらに備えてもよい。この場合、劣化診断対象のタイル毎に時間−周波数解析に基づいた閾値を設定することで、診断対象のタイルの厚さや材質などに応じて、タイルの浮きの種別を識別する劣化診断が可能となる。
以上説明したように、本発明に係るタイルの劣化診断装置によれば、擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断装置であって、前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出手段と、前記異常音抽出手段で抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定手段を備えるので、タイルの浮きの種別を容易に識別することができる。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断装置によれば、前記浮きの種別判定手段は、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター部と、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター部とからなるので、ハイパスフィルター部を通過した異常音を陶片浮きの発生箇所として抽出し、また、ローフィルター部を通過した異常音を下地浮きの発生箇所として抽出することができる。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断装置によれば、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定手段をさらに備えるので、劣化診断対象のタイル毎に時間−周波数解析に基づいた閾値を設定することで、診断対象のタイルの厚さや材質などに応じて、タイルの浮きの種別を識別する劣化診断が可能となる。
また、本発明に係るタイルの劣化診断方法によれば、擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断方法であって、前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出ステップと、前記異常音抽出ステップで抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定ステップを備えるので、タイルの浮きの種別を容易に識別することができる。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断方法によれば、前記浮きの種別判定ステップは、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター処理ステップと、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター処理ステップとからなるので、ハイパスフィルター処理ステップで通過した異常音を陶片浮きの発生箇所として抽出し、また、ローフィルター処理ステップで通過した異常音を下地浮きの発生箇所として抽出することができる。
また、本発明に係る他のタイルの劣化診断方法によれば、異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定ステップをさらに備えるので、劣化診断対象のタイル毎に時間−周波数解析に基づいた閾値を設定することで、診断対象のタイルの厚さや材質などに応じて、タイルの浮きの種別を識別する劣化診断が可能となる。
以上のように、本発明に係るタイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法は、建物の外壁や床に貼設されたタイルの経年劣化等による浮き、剥離、割れなどの異常の有無を診断するのに有用であり、特に、タイルの浮きの種別を識別するのに適している。
10 タイルの劣化診断装置
12 擦過部材
14 擦過音記録手段
16 異常音抽出手段
18 浮きの種別判定手段
18A ハイパスフィルター部
18B ローパスフィルター部
20 可視化手段
22 閾値設定手段

Claims (6)

  1. 擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断装置であって、
    前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出手段と、
    前記異常音抽出手段で抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定手段を備えることを特徴とするタイルの劣化診断装置。
  2. 前記浮きの種別判定手段は、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター部と、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター部とからなることを特徴とする請求項1に記載のタイルの劣化診断装置。
  3. 異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のタイルの劣化診断装置。
  4. 擦過部材をタイル面に押し付けつつ移動させて発生する擦過音を擦過音記録手段で捉えてタイルの劣化の有無を診断するタイルの劣化診断方法であって、
    前記擦過音記録手段で捉えた擦過音に基づいて、タイルの劣化を表す異常音を抽出する異常音抽出ステップと、
    前記異常音抽出ステップで抽出した異常音のうち、予め設定した所定の閾値以上の周波数成分の異常音を陶片浮きと判定し、前記所定の閾値未満の周波数成分の異常音を下地浮きと判定する浮きの種別判定ステップを備えることを特徴とするタイルの劣化診断方法。
  5. 前記浮きの種別判定ステップは、前記閾値以上の周波数成分を減衰せずに前記閾値未満の周波数成分を低減するハイパスフィルター処理ステップと、前記閾値未満の周波数成分を減衰せずに前記閾値以上の周波数成分を低減するローパスフィルター処理ステップとからなることを特徴とする請求項4に記載のタイルの劣化診断方法。
  6. 異常音に対する時間−周波数解析の結果に基づいて、前記閾値を設定する閾値設定ステップをさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載のタイルの劣化診断方法。
JP2015181205A 2015-09-14 2015-09-14 タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法 Active JP6534040B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015181205A JP6534040B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015181205A JP6534040B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017058165A JP2017058165A (ja) 2017-03-23
JP6534040B2 true JP6534040B2 (ja) 2019-06-26

Family

ID=58389643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015181205A Active JP6534040B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6534040B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04122363U (ja) * 1991-04-22 1992-11-02 有限会社ニツケンレジテツク 外壁打診用検査具
JP2915704B2 (ja) * 1992-06-17 1999-07-05 株式会社熊谷組 建築物壁仕上げ部の剥離検出方法
JPH0980033A (ja) * 1995-09-14 1997-03-28 Takenaka Komuten Co Ltd 建物の壁タイルの剥離の判定方法
JPH09257765A (ja) * 1996-03-19 1997-10-03 Fujita Corp 壁面剥離診断装置
JP4952054B2 (ja) * 2006-05-19 2012-06-13 株式会社大林組 タイル貼り付け面の剥離診断方法、タイル貼り付け面の剥離診断装置
JP2010243404A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Mitsubishi Electric Building Techno Service Co Ltd 壁表層部の剥離診断装置
JP6361912B2 (ja) * 2013-07-04 2018-07-25 清水建設株式会社 タイルの劣化診断装置及びタイルの劣化診断方法
US10048230B2 (en) * 2013-11-14 2018-08-14 The Boeing Company Structural bond inspection
JP6431677B2 (ja) * 2014-03-19 2018-11-28 東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社 壁面不良検査装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017058165A (ja) 2017-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110419012B (zh) 诊断设备、诊断系统、诊断方法和程序
JP5138713B2 (ja) 渦電流検査装置及び渦電流検査方法
JP2008164613A (ja) 複雑な幾何学形状を有する部品を検査するための多周波画像処理
JP2006292747A (ja) 渦電流探傷検査方法及びシステム
JP6133112B2 (ja) 転がり軸受の診断装置および転がり軸受の診断方法
US8183862B2 (en) Eddy current testing device
JP2007114052A5 (ja)
EP1813921A1 (en) Method of extracting, device for extracting and device for inspecting abnormal sound
US7609874B2 (en) System and method for prediction of pitting corrosion growth
JP4488308B2 (ja) 構造物表面のひび割れ検出方法
JP2012018066A (ja) 異常検査装置
JP2007155724A5 (ja)
JP3966500B2 (ja) 異音による不良検査装置
JP2010266327A (ja) 設備診断装置及び設備診断方法
JP4180578B2 (ja) 交流電磁場測定法による探傷検査装置及び方法
JP6534040B2 (ja) タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法
JP3920715B2 (ja) 振動信号の処理方法
JP6361912B2 (ja) タイルの劣化診断装置及びタイルの劣化診断方法
JP2007292700A (ja) 静止誘導機器の部分放電位置特定方法
Aarthi et al. Detection and analysis of surface defects in metals using wavelet transform
JP3799552B2 (ja) 超音波による配管劣化診断方法
JP6796827B2 (ja) タイルの劣化診断装置およびタイルの劣化診断方法
Jiang et al. Rolling bearing quality evaluation based on a morphological filter and a Kolmogorov complexity measure
JP4998706B2 (ja) 変圧器の内部異常診断方法
JP5428994B2 (ja) 機械設備の異常診断方法、装置及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190515

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6534040

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150