JP6533220B2 - 慢性炎症性疾患を処置および/または予防するための株 - Google Patents

慢性炎症性疾患を処置および/または予防するための株 Download PDF

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Description

本発明は炎症性疾患の分野に関する。本発明は特に、慢性炎症性疾患、特に慢性炎症性リウマチを処置および/または予防するためのプロバイオティクス株の使用に関する。
炎症は身体への内因性または外因性攻撃に反応する身体の防御機構である。物理的、化学的または感染的原因が、炎症の外因性の要因の起源となり得る。代謝の原因、血管新生問題、または異常免疫反応が、炎症の内因性の要因の起源となり得る。これらの要因のうちの1つの存在下で、炎症機構が一連の連続した段階:
− 鬱血(充血)、炎症性水腫および白血球漏出を引き起こす血管滲出反応、
− 炎症性肝肉芽腫の形成からなる細胞反応、
− 病巣精巣術、ならびに
− 損傷部位の修復および治癒
により反応する。
しかしながら、炎症は時折、関節リウマチにおける自己免疫などの病原体または内因性の作用物質の持続性に起因して有害になり得る。その後、身体に対する損傷により、関節組織などの組織の破壊を伴う制御されていない免疫反応および慢性炎症が発症し続ける。
関節リウマチは、対称的に関節に影響を及ぼし、目覚めたときに関節の痛み、腫れおよびこわばりをもたらす、自己免疫、進行性、慢性、炎症性リウマチ疾患である。それは、ほとんどの場合、程度の差はあるが、長期間の鎮静が入り交じる炎症の噴出により進行するので進行性と呼ばれる。それはまた、他の組織においても発生する場合があり、その後、それらの関節外症状は患者の生命を危険にさらす可能性がある。
関節リウマチは、女性に優勢で集団の約1%に影響を及ぼし、男性の症例についてはその3分の1であり、発生率は年齢と共に増加することが知られている。最初の症状は指または足の小さな関節に現れる。時間の経過と共に、慢性炎症は骨および軟骨の破壊ならびに進行性の障害を導く。炎症が持続する場合、軟骨、周囲の骨組織、腱および関節周囲の靱帯を破壊する可能性がある。したがって、この疾患はしばしば関節変形および障害を導く。関節リウマチはより特には、滑液中の炎症細胞の異常な浸潤を導く、関節滑膜の炎症により特徴付けられる。
最初、滑膜および関節内空間内の炎症細胞(CD4、単球、多形核白血球、好中球を含むリンパ球)の流入を可能にする血管の異常増殖が起こる。次いで、滑膜線維芽細胞の過形成ならびにリンパ球(T、CD4およびB)およびマクロファージの浸潤により、滑液パンヌスの形成が導かれ、これにより、滑膜炎とも呼ばれる滑膜の炎症がもたらされる。これらの異なる細胞は異常に増殖し、骨および軟骨に侵入し、大量の炎症性サイトカインおよびメタロプロテイナーゼを産生し、破骨細胞の形成および活性化を誘発する。特に豊富な炎症性サイトカインは、TNF−α(壊死因子α)、IL−1、IL−6、IL−12およびIL−17であり、用語ILはインターロイキンを指す。
関節の破壊が骨浸食および軟骨変性に続発する。浸食はサイトカインRNAKLによって促進されるのに対して、軟骨融解はメタロプロテイナーゼ酵素によって促進される。これらの2つの分子はTNF−αおよびIL−1の作用下で滑膜を補う細胞によって産生される。
次いで細胞はこの分解に対抗しようとするが、骨を製造する役割を果たす破骨細胞は、制御されていない様式で骨を産生し、それにより、関節の変形および骨化を引き起こす。
関節リウマチの治療は、関節損傷および変形を防ぐために炎症過程を遅延させるために疾患の発見後、可能な限りすぐに開始されるべきである。
従来の治療は関節の炎症およびサイトカイン産生を抑制するために抗炎症剤を投与することからなる。免疫系の免疫調節医薬も使用される。新たな現在の治療は特にTNF−αまたはIL−1遮断剤、例えば、エタネルセプト(Etanarcept)、インフリキシマブ(Infliximab)、アダリムマブ(Adalimumab)およびセルトリズマブペゴル(Certolizumab pegol)に焦点を当てている。
処置に対する反応は個体間および疾患の段階の間で異なる。したがって、既存の処置に対する患者の抵抗性についての新たな解決策を提供するために代替の処置の探索が重要である。
さらに、関節リウマチの処置は、非常に高価な抗炎症治療およびもたらされ得る患者の障害のために社会にとってかなり代償が大きい。実際に、炎症性疾患に対する処置は、結果を得るのに長期間かかる、すなわち疾患の進行、炎症の再発を停止させ、疾患を鎮静の状態に安定化させ、維持するのに長期間かかる。
同様に、患者による抗炎症薬の長期間の使用は、体重増加、胃腸障害ならびに/または骨粗鬆症および高血圧の高い危険性などの副作用を引き起こす可能性がある。
したがって、プロバイオティクスは興味のある代替であり得る。「プロバイオティクス」という用語は、十分な量で組み込まれた場合、従来の栄養学的効果より、健康、快適性および生活に対してプラスの効果を与える、生きている微生物を定義するために使用される。
特許文献1は、抗真菌反応を刺激するため、ならびに自閉症から膣感染症および子宮内膜症に及ぶ多くの非常に異なる病変(それらの中で関節リウマチが言及されている)を処置するために枯草菌(Bacillus subtilis)、バチラス・コアグランス(Bacillus coagulans)およびエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)から選択される少なくとも1つの細菌を含む抗真菌組成物の使用を開示している。その文献は、抗真菌組成物に使用できる細菌の特定の菌株を開示していない。
特許文献2は、自閉症から膣感染症および子宮内膜症に及ぶ多くの非常に異なる病変(それらの中で関節リウマチが言及されている)を予防および/または処置するために、細菌の3つの菌株、すなわち、枯草菌、バチラス・コアグランスおよびエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)またはフェカーリスを含む、このような組成物を開示している。その文献は、組成物に使用できる細菌の特定の株を開示していない。
さらに、酵母菌株であるか、細菌株であるかに関わらず、所与の株のプロバイオティクス効果は、この株に特異的であることは知られており、種類またはさらに種は考慮されない。また、既存のものの代わりとして、費用が低く、副作用が少ない、慢性炎症性疾患を予防および/または治療するための新規治療を見つける必要性が依然として存在する。
国際公開第2007/133188号 国際公開第2009/026306号
したがって、本発明は、慢性炎症性疾患の治療および/または予防に使用するための細菌プロバイオティクス株に関する。
本発明者らは驚くべきことに、枯草菌株CU1が慢性炎症性疾患の処置および/または予防に有益な効果を有することを発見した。枯草菌株CU1は、CNCM、National Collection of Microorganism Cultures、Pasteur Institute、25 rue du Docteur Roux、F−75725 Paris Cedex 15に2001年10月25日に番号I−2745として寄託された。
枯草菌株CU1はFR2837835に初めて記載された。その文献は、免疫系の免疫調節剤として枯草菌株CU1およびH.ピロリ(H.pylori)に対する組換え生ワクチンを産生するためのその使用を記載している。
「株」とは、細胞の比較的同種の集団を指す。特に、株は、単一細胞から得られた細胞集団であるクローンの単離から得られる。「枯草菌株CU1」、「プロバイオティクス株CU1」、「番号I−2745としてCNCMに寄託された枯草菌株」および「株CU1」という用語は同義語である。
したがって、本発明は、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、2001年10月25日に番号I−2745としてCNCMに寄託された枯草菌株CU1に関する。本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、2001年10月25日に番号I−2745としてCNCMに寄託された枯草菌株CU1を培養することによって得られる細胞に関する。本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、2001年10月25日に番号I−2745としてCNCMに寄託された枯草菌株CU1を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関する。「2001年10月25日に番号I−2745としてCNCMに寄託された枯草菌株CU1を培養することによって得られる細胞」、「バイオマスCU1」、「株CU1を培養することによって得られる細胞」または「細胞CU1」という用語は、本明細書において同義語である。株CU1および前記株を培養することによって得られる細胞CU1は、慢性炎症性疾患を予防および/または処置するための代替処置の構成要素となり、費用は低く、従来の処置の副作用を有さない。
「慢性炎症性疾患」という用語は、慢性炎症性リウマチ、乾癬、慢性膵炎、セリアック病、橋本甲状腺炎、クローン病、エリテマトーデス、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎および血管炎からなる群から選択される疾患を意味する。
「疾患の処置」という用語は、疾患を治癒させるため、炎症の強さを減少させるか、または鎮静の状態に維持するために疾患を安定化させることなどによって、その症状または不快感を緩和するために疾患を処置することを意味する。
「鎮静の状態」という用語は、炎症が再発する間の間隔を意味する。
「疾患の予防」という用語は、例えば、疾患を発症する危険性のある被験体における疾患の発症の回避、または疾患が既に存在する場合、疾患の炎症の再発の遅延を意味する。
本発明は特に、枯草菌株CU1もしくは前記株を培養することによって得られる細胞、または慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関し、前記慢性炎症性疾患は慢性炎症性リウマチであることを特徴とする。「慢性炎症性リウマチ」とは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、ベーチェット病、強皮症、若年性特発性関節炎および慢性萎縮性多発性軟骨炎からなる群から選択される疾患を意味する。
好ましい実施形態において、本発明は、関節リウマチの処置および/または予防に使用するための、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関する。本発明者らは驚くべきことに、プロバイオティクス枯草菌CU1、および特に前記株を培養することによって得られる細胞の使用により、以下が可能になることを見出した:
− 実施例1および2に実証されるように、TNF−α、IL−1、IL−12、IL−17などの炎症性サイトカインの産生を減少させること、
− 実施例2に実証されるように、IL−10などの抗炎症性サイトカインの産生を刺激すること、
− 実施例1に実証されるように、関節リウマチにおける炎症の重症度または罹患関節の数などの肉眼的症状を遅延および/または減少させること、
− 実施例1に実証されるように、滑液中の免疫細胞の浸潤を減少させること、
− 実施例1に実証されるように、軟骨、骨の破壊、および関節の変形を生じる関節損傷を減少させること。
実際に、TNF−αならびにインターロイキンIL−1、IL−12およびIL−17は、炎症性疾患において中心的な役割を果たす炎症性サイトカインである。それらの過剰分泌は慢性炎症を生じ、関節リウマチの場合、不可逆的関節損傷およびそれらの変形を生じる。
「肉眼的症状」という用語は、1987年に改訂されたアメリカリウマチ学会(American College of Rheumatology(ACR))の基準(Arnett FCら、Arthritis Rheum.1988;31:315−24を参照のこと)に従って、炎症の重症度、炎症により罹患した関節の数、および関節の変形などの裸眼で見ることができる症状を意味する。
「免疫細胞」という用語は、マクロファージ、リンパ球、循環多形核球および単球白血球を指す。関節内、より特には滑膜内への免疫細胞の浸潤は、軟骨および隣接する骨組織の破壊に関与する滑液パンヌスを生じる。
したがって、本発明者らは、CU1細胞の投与が、実施例1に記載されるように、滑液パンヌスの形成を減少させ、阻止する効果を有することを発見した。
「関節損傷」とは、軟骨基質からのプロテオグリカンの喪失による軟骨、および骨関節の段階的な破壊、ならびに前記関節の段階的な変形を指す。関節の変形は破骨細胞による関節の制御されていない骨化に起因する。この変形は、患者の自律および障害の喪失を引き起こすことによって大きな影響を与える帰結となり得る。
したがって、本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関し、少なくとも1つの炎症性サイトカインの産生の減少および/または少なくとも1つの抗炎症性サイトカインの増加した産生を誘導することを特徴とする。
炎症性サイトカイン(この産生は、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物によって減少する)は、TNF−α、インターロイキンIL−1、インターロイキンIL−12またはインターロイキンIL−17からなる群から選択される。
抗炎症性サイトカイン(この産生は、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物によって増加する)は、例えばインターロイキンIL−10である。
本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関し、少なくとも2種の炎症性サイトカイン、好ましくは少なくとも3種の炎症性サイトカインの産生の減少、および/または少なくとも1種の抗炎症性サイトカイン、例えばインターロイキンIL−10の産生の増加を誘導することを特徴とする。
好ましい実施形態において、本発明は、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関し、TNF−α、インターロイキンIL−1、インターロイキンIL−12およびインターロイキンIL−17の産生の減少、ならびにインターロイキンIL−10の産生の増加を誘導することを特徴とする。
本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関し、ヒトおよび獣医学的使用を意図することを特徴とする。獣医学的使用は、ブタ、ウシ、ヒツジ、またはヤギなどの家畜だけでなく、ネコ、イヌ、ウマまたはウサギなどの飼育動物にも関する。
好ましい実施形態において、本発明は、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、枯草菌株CU1、または前記株を培養することによって得られる細胞、または前記株を培養することによって得られる細胞を含む組成物に関し、ヒトの使用を意図することを特徴とする。
細胞CU1は、Biotechnology、第5版、R.Scriban、Tec.& Doc.Edition、1999 ISBN:2−7430−0309−Xというタイトルの文献に記載されているように、当業者に周知の方法に従って、培地中で枯草菌CU1を培養することによって得られる。典型的に、株CU1を培養することによる細胞CU1の産生方法は、
− 株CU1を培地に播種する工程、
− 細胞増殖のために好気性条件下で培養する工程、
− その培地からバイオマスを分離して細胞CU1を得る工程
を含む。
このように得られた細胞はほとんど栄養型である。細菌の「栄養型」とは、好適な条件下に置かれる細菌の形態を指す。「主に栄養型」という用語は、細胞の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が栄養型であることを意味する。好適な条件の例は、細菌増殖に好適な温度およびpHでの非限定的な培地である。非限定的な培地は、細胞増殖に必要な全ての栄養素を含有する。
細胞CU1の産生方法はまた、好気性条件下で培養する工程と、その培地からバイオマスを分離する工程との間に好適でない条件に細胞を置く工程からなる中間工程を含んでもよい。そして、このプロセスの終わりに得られた細胞CU1は主に胞子形成型である。
細菌の「胞子形成型」とは、好適でない条件下に置かれた細菌の形態を指す。
「主に胞子形成型」という表現は、細胞の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が胞子形成型であることを意味する。したがって、胞子形成型は、困難な培地、例えば、栄養素の欠乏、すなわち限られた栄養素の培地、水分ストレス、pHもしくは温度の大きな変化の培地、または消化管を通るときに細胞が耐えることができる抵抗性の形態である。
細胞CU1を好適でない条件に置くことは、例えば、細菌の培養培地を新しくせず、限られた培養培地を使用して培養培地中への供給物を停止し、温度を変化させ、pHを変化させ、培養培地中で20%より高いO圧力、および放出気体中で1.5%未満のCO圧力を維持するようにエアレーションおよび/または撹拌を制御すること、またはこれらの組み合わせによって達成される。約0.75g/Lの量で培養培地中にグルタミン酸を加えることによって主に胞子形態である細胞CU1を得ることも可能である。
したがって、本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、株CU1を培養することによって得られる細胞、または前記細胞を含む組成物に関し、前記細胞が胞子形成型および/または栄養型であることを特徴とする。好ましい実施形態において、細胞CU1は主に胞子形成型である。細胞CU1の産生方法はまた、細胞CU1を乾燥させて乾燥形態の細胞CU1を得る、後の工程を含んでもよい。乾燥は、例えば、凍結乾燥、流動床乾燥、または噴霧乾燥である。したがって、本発明は、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、株CU1を培養することによって得られる細胞、または前記細胞を含む組成物に関し、前記細胞は乾燥形態であることを特徴とする。「乾燥形態の細胞」とは、細胞CU1の産生方法の終わりに得られるバイオマスが、90%超の乾燥物質、好ましくは95%超の乾燥物質を含むことを意味する。
1日用量は、動物の種類、その体重、投与様式および治療または予防のいずれかの処置の種類に依存する。本発明はさらに、ヒトでの使用を意図する場合、1.10CFU〜1.1011CFU、好ましくは5.10CFU〜1.1010CFUの量で細胞CU1を毎日使用するための、上記に定義した細胞または組成物に関する。本発明はさらに、獣医学的使用を意図する場合、1.10CFU〜1.1011CFU、好ましくは1.10CFU〜1.1010CFUの量で細胞CU1を毎日使用するための、上記に定義した細胞または組成物に関する。CFUという用語は、コロニー形成単位を指す。
本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、上記に定義される組成物に関し、その組成物が、食品成分、栄養補助食品または医薬組成物であることを特徴とする。食品成分とは、任意の食品、飲料、または菓子を指定する。食品成分は、例えば、飲料、シリアルバー、チューイングガム、乳製品、例えば、発酵乳製品であってもよい。
「栄養補助食品」という用語は、その目的が通常の食事を補助し、単独または組み合わせで、濃縮された栄養源であるか、または栄養学的効果もしくは生理学的効果を有する他の物質である、食品を指定する。栄養補助食品は、カプセル剤、トローチ剤、錠剤、丸剤および他の同様の形態、粉末パック、液体が充填されたアンプル、スポイトを備えたバイアルおよび測定される少量の単位で摂取することを意図する液体または粉末製剤の同様の形態などの投薬形態で市販されている。医薬組成物はさらに、薬学的に許容可能な担体を含む。本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、上記に定義される組成物に関し、その組成物は、経口または局所投与、好ましくは経口投与を意図することを特徴とする。したがって、本発明は、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、上記に定義される組成物に関し、その組成物は、カプセル剤、トローチ剤、丸薬、錠剤、軟質カプセル剤、粉剤、懸濁剤、液剤、顆粒、ゲルまたはクリームの形態である。
本発明はまた、慢性炎症性疾患の処置および/または予防に使用するための、上記に定義される組成物に関し、その組成物はさらに別の有効成分を含むことを特徴とする。他の有効成分は好ましくは、抗炎症活性、免疫系の免疫調節活性および/または鎮痛活性を有する有効成分からなる群から選択される。有益な実施形態において、他の有効成分は、枯草菌株ではなく、好ましくは細菌株ではなく、より好ましくはプロバイオティクス株ではない。
好ましい実施形態において、本発明に係る組成物は、細菌の任意の他の株を排除して株CU1を培養することによって得られる細胞を含有する。別の好ましい実施形態において、本発明に係る組成物は、酵母または細菌の任意の他の株を排除して株CU1を培養することによって得られる細胞を含有する。別の好ましい実施形態において、本発明に係る組成物は、唯一の有効成分として株CU1を培養することによって得られる細胞を含有する。
本発明はまた、株CU1を培養することによって得られる有効量の細胞、または前記細胞を含む有効量の組成物を患者に投与することを含む、前記患者における慢性炎症性疾患を処置および/または予防するための方法に関する。本発明はより特には、株CU1を培養することによって得られる有効量の細胞、または前記細胞を含む有効量の組成物を患者に投与することを含む、前記患者における慢性炎症性疾患を処置および/または予防するための方法に関し、その慢性炎症性疾患は慢性炎症性リウマチである。好ましい実施形態において、本発明は、株CU1を培養することによって得られる有効量の細胞、または前記細胞を含む有効量の組成物を患者に投与することを含む、前記患者における関節リウマチを処置および/または予防するための方法に関する。
ここで、本発明を、例示の目的として与えられ、限定することを意図していない以下の実施例および図面を使用して例示する。
試験番号1による50日の研究にわたる一群当たりの全てのラットの累積臨床スコアである。 試験番号2の間で、最初の免疫付与からD+7までのG2およびG4群のラットにおける平均臨床スコアの評価である。 試験番号2による43日の研究にわたる一群当たりの全てのラットの累積臨床スコアである。 試験番号3による50日の研究にわたる一群当たりの全てのラットの累積臨床スコアである。 試験番号2による各群におけるラットの血清中のTNF−α(pg/ml)のアッセイである。 試験番号3による各群におけるラットの血清中のTNF−α(pg/ml)のアッセイである。 試験番号2による各群におけるラットの血清中のインターロイキンIL−17(pg/ml)のアッセイである。 試験番号3による各群におけるラットの血清中のインターロイキンIL−17(pg/ml)のアッセイである。 マイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)によるヒトPBMCの刺激後に回収した、各群の上清中のTNF−α(pg/ml)のアッセイである。 マイコバクテリウム・ブチリカムによるヒトPBMCの刺激後に回収した、各群の上清中のインターロイキン1(pg/ml)のアッセイである。 マイコバクテリウム・ブチリカムによるヒトPBMCの刺激後に回収した、各群の上清中のインターロイキン12(pg/ml)のアッセイである。 マイコバクテリウム・ブチリカムによるヒトPBMCの刺激後に回収した、各群の上清中のインターロイキン10(pg/ml)のアッセイである。
実施例1:ラットにおいて誘導された実験的関節炎モデルに対する枯草菌CU1の効果
材料および方法
1−動物モデル
6週齢のLewisメスラットを使用する。アジュバントとして作用する油性溶液中のマイコバクテリウム・ブチリカム(Mb)エマルションの投与によって関節炎を誘導する。得られたモデルは臨床症状:罹患関節の対称性、優先的に影響を受ける末梢関節、滑膜の過形成、炎症細胞浸潤、周辺関節浸食およびメスにおける疾患へのかかりやすさにより比較的ヒト関節炎に忠実である。また、炎症部位においてインサイチュで発生する免疫−炎症カスケードが存在する。マイコバクテリウム・ブチリカム(Difco、USA)は凍結乾燥形態で購入し、熱により不活化する。それらは続いて、ワセリン油性溶液、Tween80およびPBS緩衝液1ミリリットル当たり180ngの殺傷したMbの量で乳化される。
2−使用した試料
試験される枯草菌細胞CU1(本明細書以下CU1)は胞子形成形態および凍結乾燥形態で使用する。細胞を試験のために生理食塩水中に懸濁し、5×10細菌/日の1日用量を摂取によりラットに投与する。
3−処置/プロトコル
50日の期間にわたって試験を行い、3連で実施する:最初に2回の試験を5匹のラットのバッチで行い、3回目にCU1で処置した12匹のラットのバッチで行い、3回の試験を時間を空けて行う。
計画:
− D0:ラットをいくつかのバッチに分ける:
→ 1群(G1):陰性対照、健康なラット;
→ 2群(G2):CU1で処置していない実験的関節炎を有するラット;
→ 3群(G3):D0から研究の期間全体を通して摂取により1日用量のCU1を与えている健康なラット;
→ 4群(G4):D0から研究の期間全体を通して摂取により1日用量のCU1を与えている実験的関節炎を有するラット。
− D+7:G2およびG4群におけるラットを、尾の付け根における300μlの不活化Mbエマルション、または54ng用量の不活化Mbエマルションの最初の皮内注射により免疫化する。
− D+14:G2およびG4群におけるラットを、同じ条件下で2回目の免疫化をする。
炎症の臨床スコア:
最初の臨床症状は、関節炎を誘導したラットにおいてD+23に現れた。ラットは、滑液腔内の強い炎症反応と共に末梢関節(主に後足)において関節炎の症状を急速に発症し、罹患した関節の近くの麻痺および破壊的骨組織浸食を生じた。多くの病態モデルのように、動物は顕著な体重損失を示した。炎症症状を所定の臨床スコアに従って「スコア付け」し、表1にまとめる。
Figure 0006533220
ラットの体重を計り、毎日スコア付けする。
組織学的プロトコル
足を4%ホルムアミド中で固定し、次いで脱灰緩衝液(Bayer Diagnostics、Puteau、フランス)中で3時間、電気泳動により脱灰する。次いで、足をパラフィンで包み、ミクロトームを用いて組織切片を得る。慣用のプロトコルを使用して5mm切片を染色する。
各群について得た組織切片を2つの異なる染料を用いて染色する:
− ヘマトキシリン−エオシン(HE)による染色、この染色は、コラーゲンを薄いピンクに、筋肉を濃いピンクに、好酸性の細胞質を赤色に、好塩基性細胞質を紫色に、核を青色に、赤血球をチェリーレッドに染色する;
− 結合組織を強調するマロリーアニリンブルーまたはマロリー三重染色(MA)による染色:コラーゲン線維を青色に、筋線維を赤色に、エラスチン線維をピンクまたは黄色にする。
100倍および400倍の倍率にて光学顕微鏡下で切片を観察する。
炎症性サイトカインのアッセイプロトコル
eBioscience(San Diego、Ca、USA)により提供される抗体キットおよび標準物ならびに供給業者によって指定されるプロトコル(ラットIL−17A ELISA Ready−Set−Gp;ラットTNFアルファELISA Ready−SetーGo)を使用してELISAによりサイトカインアッセイを実施した。
結果
1−炎症症状:炎症の臨床スコア
プロバイオティクス株を与えているまたは与えていない健康なラット(G1およびG3)は炎症症状を発症せず;したがってそれらの臨床スコアはゼロであり、曲線で示されない。
試験番号1:
2群におけるラットは、Mbによる最初の免疫化から19日後(D+26)に実験的関節炎を発症する。次いでそれらの臨床スコアは、最初の臨床症状の発症から10日後(D+33)のみに3から4の間の平均になるように展開する。次いでこのスコアは研究の期間全体にわたって安定で高いままに維持する。対照的に、細胞CU1を与えている4群のラットは炎症症状を発症しないか、または2群より遅く発症する。さらに、4群の臨床スコアは顕著に低く;罹患した足の重症度および数は2群よりも低いままである。図1によれば、CU1で処置した4群のラットの231に対して、2群におけるラットは426の総蓄積スコアに達することが観察される。したがって、CU1は病理学的兆候の重要度を46%減少させる。
試験番号2:
2群におけるラットは、Mbによる最初の免疫化の25日後(D+32)から実験的関節炎を発症する。次いで、最初の臨床症状の発症から15日後(D+38)のみ、それらの臨床スコアを平均で3になるように迅速に展開する。次いでこのスコアは研究の期間全体にわたって安定で高いままである。また、CU1を与えている4群におけるラットも、後であるが、28日(D+35)にかなり低く炎症症状を発症する。33日に、最初の免疫化後(D+40)、症状は減少し、その後研究の終わりまで安定なままである。炎症を起こしているが、罹患した足の重症度および数は2群より低いままである。したがって、炎症の症状の発症および重症度の有意な相違を観察することができる(図2)。図3によれば、CU1で処置した4群の4匹のラットの31に対して、2群におけるラットは176の総蓄積スコアに到達することを観察することができる。したがって、CU1は病理学的兆候の重要度を82%減少させる。
試験番号3:
6匹のラットの2つの群を4群に使用し、aおよびbと呼ぶ。図4によれば、2群および4a/b群において累積スコアの間に有意な相違を観察する。CU1で処置した6匹のラット(G4a)の98、およびCU1で処置した6匹のラット(G4b)の80に対して、2群における6匹のラットは251の総累積スコアに到達する。したがって、CU1は病理学的兆候の重要度を61%(G4a)および68%(G4b)減少させる。
2−ラットの後足の視覚分析
異なる群のラットの後足における炎症の存在の目視観測によって視覚分析を実施する。いかなる処置も受けていない1群におけるラットの足は炎症を示さなかった。2群におけるラットの足は目に見える顕著な炎症を示す。4群におけるラットの足は炎症の症状を示さないか、または2群よりもかなり低い。
3−ラットの後足の組織学的分析
HE染色における2群の切片は、1群および3群と比較して関節組織の破壊および関節における免疫細胞の強力な浸潤を示す。HE染色における4群の切片の観察は、関節内への免疫細胞の浸潤が低いこと、および全体として結合組織がほとんど変化していないことを示す。MA染色における2群の切片は、400倍で見ることができる関節腔内への結合組織侵入および白血球の強力な浸潤、結合アーキテクチャの損失、ならびに骨の浸食を示す。MA染色における4群の切片の観察は、いくらかの動物が関節への損傷を示さないか、またはほとんど示さないことを示し、病変が存在する場合、それらは、2群の罹患動物において観察された病変と比較して低い。したがって、パンヌスの形成、滑膜の炎症、軟骨の破壊および関節変形が防がれた。
4−ラットの血清における炎症性サイトカインのアッセイ
TNF−αのアッセイ
図5および6は、それぞれ試験2および3についての各群のラットの血清におけるTNF−αのアッセイの結果を示す。各動物の血清は2連でアッセイし、次いで対応する群における全ての動物の全平均を示す。TNF−αのアッセイはピコグラム/ミリリットルで表す。
試験番号2:図5によれば、1群および3群は200pg/mlに近い低い割合のTNF−αを示す。2群におけるラットの血清は2000pg/mlのオーダーのTNF−αの割合を示す。4群におけるラットの血清は500pg/mlのオーダーのTNF−αの割合を示し、2群より4倍低い。
試験番号3:図6によれば、1群は約600pg/mlのTNF−αの割合を示し、3群については約1000pg/mlを示す。また、4群は、1群および3群と比較して約1400pg/mlの低い割合のTNF−αを示すのに対して、2群は、4群よりも3倍高い4400pg/mlの範囲の高い割合のTNF−αを示すことが観察される。
インターロイキンIL−17のアッセイ:
図7および8は、試験2および3について各群からのラットの血清におけるIL−17のアッセイの結果を示す。IL−17のアッセイはピコグラム/ミリリットルで表す。
試験番号2:図7によれば、1群および3群におけるラットは、キット検出限界(50pg/ml)付近である、IL−17の低い平均の割合を有する。2群におけるIL−17の平均の割合は約625pg/mlであり、高いのに対して、4群におけるIL−17の平均の割合は、100pg/mlの範囲であり、低いことが観察され得る。
試験番号3:図8によれば、1群および3群におけるラットは、キット検出限界(50pg/ml)付近である、IL−17の低い平均の割合を有する。2群におけるIL−17の平均の割合は、2000pg/ml超であり、高いのに対して、4群におけるIL−17の平均の割合は2バッチにおいてキット検出限界付近であり、低いことが観察され得る。
結論
使用した関節炎誘導のモデルは、CU1が疾患の誘導を予防できるか、またはその作用を非常に顕著に減少させることが実証される。一方で、ラットの足が炎症を示さないか、または低い炎症スコアを有することが視覚的に観察できる。したがって、CU1の投与はこのような病理学的症状の重要度を減少させる。一方で、ラットの足の組織学的分析により、CU1で処置した関節炎のラット(G4)は、CU1で処置しなかったラット(G2)と比較して、かなり少ない結合損傷の出現、少ない骨の浸食、および関節内の免疫細胞の減少または消失を示すことが明らかになる。さらに、関節炎のラット(G4)へのCU1の投与の結果、炎症性サイトカイン(TNF−αおよびIL−17)の存在の顕著な減少が生じる。
実施例2:マイコバクテリウム・ブチリカムで刺激した健常なドナーの血液(PBMC)から抽出したヒト免疫細胞に対する枯草菌CU1の効果
材料および方法
1−使用した細胞モデル
PBMC(末梢血中単核細胞)をこの実施例においてモデルとして使用する。血液を、HIV感染または肝炎の非存在下で前処置した4人の健常なボランティアドナーから得た(EFS Aquitaine、Bordeaux Blood Bank)。PBMCはFicoll(商標)勾配における遠心分離によって単離する。洗浄後、細胞を、完全RPMI培地中で1×10PBMC/mlの濃度にて再懸濁する。それらをマイコバクテリウム・ブチリカム(Mb)(Difco、USA)と接触させて炎症反応を誘導する。PBS中の1mg/mlの濃度にて、PBS緩衝液中に実施例1の凍結乾燥物を希釈することによってMbストック溶液を調製する。次いで、PBMC刺激の間、免疫細胞により10Mbの割合(MOI 10:1)を使用するように、ストック溶液中のMb細胞の数を、Malassez細胞を使用して顕微鏡下でカウントする。MOIという用語は、感染多重度を意味する。
2−使用した試料
試験する枯草菌細胞CU1(本明細書以下、CU1)は、胞子形成型(CUsp)または栄養型(CUv)で使用した。滅菌生理食塩水中の2×10CFU/mlの希釈標準溶液を使用する。
3−PBMCの刺激
10個の細菌/免疫細胞の割合でPBMCおよびCU1株を共培養することによって刺激実験を実施する。リポ多糖(LPS)を、サイトカイン産生のためにPBMCを刺激するための陽性対照として使用した。全ての実験は3連で実施する。接触の18時間後に回収した培養上清を遠心分離し、サイトカインアッセイ(IL−1、TNF−α、IL−12およびIL−10)まで−80℃にて保存する。
4−種々の試験群の調製
− 1群(G1):PBMCの存在のみ;
− 2群(G2):PBMCを胞子形成型のCU1と接触させる;
− 3群(G3):PBMCを栄養型のCU1と接触させる;
− 4群(G4):PBMCをMbと接触させる;
− 5群(G5):PBMCを胞子形成型のCU1およびMbと接触させる;
− 6群(G6):PBMCを栄養型のCU1およびMbと接触させる;
− 7群(G7):Mbを加える前にPBMCを胞子形成型のCU1と1時間プレインキュベートする;
− 8群(G8):Mbを加える前にPBMCを栄養型のCU1と1時間プレインキュベートする。
eBioscience(San Diego、Ca、USA)によって提供されるキット、抗体および標準物、ならびに供給業者によって指定されるプロトコルを使用してELISAによってサイトカインのアッセイを実施した。
結果
1−TNF−αのアッセイ
図9は、上記の群の各々についてPBMCから回収した上清中のTNF−α(pg/ml)のアッセイを示す。2000pg/mlのオーダーのTNF−αの割合を4群において観察したのに対して、CU1(G5およびG6)と接触させた群において、TNF−αの量は半分になった。さらに、Mbを加える1時間前にCU1(G7およびG8)とのプレインキュベーションは最も効果的になり、CU1が胞子形成型(G7)である場合、T NF−αの割合は約500pg/mlまで低下する(4倍低い)ことが観察される。
2−インターロイキンIL−1のアッセイ
図10は、上述の群の各々についてPBMCから回収した上清中のIL−1(pg/ml)のアッセイを示す。1250pg/mlの範囲のIL−1の割合を4群において観察したのに対して、5群においてラットは6群と同様に約400pg/ml(3倍低い)である。Mbを加える前、CU1(G7およびG8)とのプレインキュベーションの場合、改善は観察されなかった。
3−インターロイキンIL−12のアッセイ
図11は、上述の群の各々についてPBMCから回収した上清中のIL−12(pg/ml)のアッセイを示す。32pg/mlのオーダーのIL−12の割合を4群において観察したのに対して、5群および6群においてCU1との接触により、IL−12の顕著な減少(12pg/ml未満)が観察される。さらに、CU1(G7およびG8)とのプレインキュベーションにより、Mbを加える前に、5群および6群と比較してIL−12の割合がさらに減少することが観察される。
4−インターロイキンIL−10のアッセイ
図12は、上述の群の各々についてPBMCから回収した上清中の抗炎症性サイトカインIL−10(pg/ml)のアッセイを示す。Mb群において55pg/mlのオーダーのIL−10の割合を観察したのに対して、CU1と接触させた5群および6群において、120pg/ml(2倍の増加)のオーダーのこの抗炎症性サイトカインの産生の増加を観察した。さらに、Mbを加える前、CU1(G7およびG8)とのプレインキュベーションは効果的でないように見えることが観察される。なぜなら、IL−10の割合は5群および6群より低いからである(75〜95pg/ml)。
結論
得られた結果は、概して、枯草菌細胞CU1の投与が炎症性サイトカインの産生を減少させ、抗炎症性サイトカインIL−10の産生を増加させることを示す。

Claims (9)

  1. 慢性炎症性リウマチの治療剤、慢性炎症性リウマチを発症する危険性のある患者における慢性炎症性リウマチの発症の予防剤、又は、慢性炎症性リウマチ患者の炎症の再発の遅延剤の製造に使用するための組成物であって、2001年10月25日に番号I−2745としてCNCMに寄託された枯草菌株CU1を培養することによって得られる細胞を含む、組成物。
  2. 前記組成物は、食品成分、栄養補助食品または医薬組成物である、請求項に記載の組成物。
  3. 前記組成物は経口または局所投与用である、請求項またはに記載の組成物。
  4. 前記組成物は、カプセル剤、丸薬、トローチ剤、錠剤、軟カプセル剤、粉末剤、懸濁剤、溶液、粒剤、ゲル剤またはクリーム剤の形態である、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 別の有効成分をさらに含む、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記細胞は、胞子形成型および/または栄養型である、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記細胞は乾燥形態である、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記慢性炎症性リウマチが関節リウマチである、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記治療剤、予防剤又は遅延剤が、細菌の他のあらゆる株を除外して前記組成物を含む、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
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