JP6532730B2 - 抗がん剤 - Google Patents

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Description

本発明は抗がん剤に関し、詳細には、高級脂肪酸アミド誘導体を有効成分とする抗がん剤に関する。
がんは、今日最も死亡率の高い疾患で、治療法には三大療法として化学療法、放射線療法、外科療法がある。化学療法は、マイトマイシンC、アクチノマイシンDなどの抗腫瘍性抗生物質、5−フルオロウラシル、メトトレキサートなどの代謝拮抗剤、シクロホスファミド、ニムスチンなどのアルキル化剤、アナストロゾール、エチニルエストラジオールなどのホルモン剤、シスプラチン、オキサリプラチンなどのプラチナ製剤、イリノテカン、エトポシドなどの植物アルカロイドのような抗がん剤が用いられている。しかし、抗がん剤は、がん細胞のみに選択的に作用するのではなく、正常細胞にも作用するため、抗がん剤の投与を受けた患者は嘔吐、食欲不振、悪心、脱毛、骨髄抑制、肝機能障害、腎機能障害、心機能障害など種々の副作用によりQOL(Quality of Life、生活の質)を著しく低下させられるという大きな問題があり、抗がん活性に優れ正常細胞に対する毒性が低く安全性の高い抗がん剤が常々望まれている。
従来、上記のように多種多様の抗がん剤の中に安全性の高い抗がん剤として不飽和脂肪酸を有効成分とする抗腫瘍剤の提案がある(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2003−171272号公報 特開2005−247754号公報
しかし、生体内脂質由来のパルミチン酸やオレイン酸などの高級脂肪酸のアミド誘導体を有効成分とする抗がん剤の提案はない。本発明は、抗がん活性に優れ、安全性の高い高級脂肪酸アミド誘導体を有効成分とする新規な抗がん剤を提供することを課題とする。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、下記の一般式(I):
Figure 0006532730
(式中、Lは、二重結合の数が0又は1〜3である炭素数が9〜18の直鎖炭素鎖を表し、R、R、R、Rは独立して炭素数1〜5の直鎖アルキル基又は分枝アルキル基を表す。Rは、独立して炭素数1〜5の直鎖アルキル基又は分枝アルキル基、あるいはシクロペンテニル基を表す。)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤に関する。
本発明は、上記の一般式(I)で表される発明において、下記の一般式(II)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤に関する。
Figure 0006532730
本発明は、上記の一般式(I)で表される発明において、下記の一般式(III)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤に関する。
Figure 0006532730
本発明の抗がん剤は、抗がん活性に優れ安全性が高いので、投与を受けた患者のQOLの低下を防止し、がんの効果的な治療に用いることができる。
化合物1、化合物2及び5FUをヒト大腸がん細胞株HT29に暴露し、がん細胞生存率を測定した結果に基づき作成された細胞生存曲線(用量反応曲線)である。 化合物1及び化合物2をヒト大腸正常細胞株FHC及びヒト大腸がん細胞株HT29に暴露し、各細胞生存率を測定した結果に基づき作成された細胞生存曲線(用量反応曲線)である。
本発明に係る上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体において、Lは二重結合の数が0又は1〜3である炭素数が9〜18の直鎖炭素鎖である。本発明に係る上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体において、R、R、R、R、Rの独立して炭素数1〜5の直鎖アルキル基又は分枝アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などを例示できるが、これらに限定されない。これらのアルキル基の中でもメチル基がより好ましい。Rのシクロペンテニル基は、2−シクロペンテニル基がより好ましい。本発明に係る高級脂肪酸アミド誘導体は、直鎖炭素鎖に二重結合を含む場合、Z体、E体いずれでもよい。
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体において、Lは炭素数が14で二重結合が0である直鎖炭素鎖で、R、R、R、R、Rはそれぞれメチル基である場合、高級脂肪酸アミド誘導体は上記の一般式(II)で表されるN,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサデカンアミド(以下、「化合物1」)である。
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体において、Lは炭素数が14で二重結合が2位−3位間にあるE体で、R、R、R、R、Rはそれぞれメチル基である場合、高級脂肪酸アミド誘導体は上記の一般式(III)で表される(E)-N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサデカ−2−エンアミド(以下、「化合物2」)である。
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体は、公知のアミドの合成法により製造できる。例えば、高級脂肪酸ハロゲン化物、高級脂肪酸無水物又は高級脂肪酸エステルとイミノビスプロピルアミン誘導体とを反応させることにより製造できる。高級脂肪酸ハロゲン化物は、高級脂肪酸に公知のハロゲン化剤を作用させることにより得ることができる。ハロゲン化剤は、触媒量のピリジンを用いることにより収率を向上させることができる。また、高級脂肪酸とイミノビスプロピルアミン誘導体をカルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下に反応させることにより製造できる。イミノビスプロピルアミン誘導体は、イミノビスプロピルアミンにハロゲン化アルキルを作用させることにより製造できる。ハロゲン化アルキルは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換された炭素数1〜5の直鎖アルキル又は分枝アルキルで、ヨウ化メチル、臭化エチル、臭化イソプロピル、塩化イソプロピルなどを例示できるが、これらに限定されない。
上記の反応の終了後に得られた化合物を抽出、分配、カラムクロマトグラフィーなどの公知の分離、精製手段を用いて本発明に係る高級脂肪酸アミド誘導体を単離することができる。
高級脂肪酸ハロゲン化物とイミノビスプロピルアミン誘導体とを反応させて高級脂肪酸アミド誘導体を製造するスキームを以下に示す。
Figure 0006532730
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体は、遊離のものでも、また薬理的に許容される塩、プロドラッグとすることもできる。塩は、酸付加塩でも塩基付加塩でも良い。酸付加塩を形成する酸は、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、メタンスルホン酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸などの有機酸を例示できるが、これらに限定されない。塩基付加塩を形成する塩基は、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などの無機塩基、エタノールアミン、トリエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの有機塩基を例示できるが、これらに限定されない。上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体は、溶媒和物を含む。このような溶媒和物としては、水和物、アルコール和物などを例示できるが、これらに限定されない。
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体は、大腸がん、胃がん、食道がん、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、乳がん、肺がん、胆嚢がん、胆管がん、胆道がん、直腸がん、卵巣がん、子宮がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、骨肉腫、脳腫瘍、白血病、筋肉腫、皮膚がん、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、舌がん、骨髄腫、甲状腺がん、皮膚転移がん、皮膚黒色腫などの治療に用いることができるがこれらに限定されず、前がん病変の治療に用いることもできる。また、がんの予防、再発を抑制できる医薬としても有用である。
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体の抗がん剤としての投与形態は、特に限定されず、経口又は非経口のいずれの投与形態でもよい。また、投与形態に応じて適当な剤形とすることができ、例えば注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤などの経口剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水性坐剤などの各種製剤に調製することができる。
上記の各種製剤は、薬理的に許容され通常用いられる添加剤、例えば賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、界面活性剤、流動性促進剤などを適宜添加して調製できる。賦形剤として、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ソルビット、結晶セルロースなど、結合剤として、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなど、滑沢剤として、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、硬化植物油など、崩壊剤として、例えば、澱粉、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウムなど、界面活性剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80など、流動性促進剤として、例えば、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど、その他の添加剤として、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硝酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどを例示できるが、これらに限定されない。
上記の一般式(I)で表される高級脂肪酸アミド誘導体の投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度などを考慮して適宜増減できるが、通常成人1日当り200〜400mg好ましくは100〜200mgで、これを1日1回又は数回に分けて投与できる。
(1)化合物1の製造
一般式(II)で示される下記の化合物1を以下のように製造した。
化合物1:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサデカンアミド
パルミチン酸(東京化成工業社製)を過剰の塩化チオニールで処理して得たパルミチン酸クロライド5.5g(20mMol) を含むテトラヒドロフラン溶液 (50mL) にN,N,N',N'-テトラメチルイミノビスプロピルアミン(Sigma-Aldrich Japan社製)3.7g(20mMol) を含むテトラヒドロフラン溶液(30mL) 及びピリジン1.58g(20mMol) を加え、水浴上で3時間加熱還流した。減圧下にテトラヒドロフランを除き、反応液に少量の炭酸カリウム試液を加え、酢酸エチルエステルで抽出した。酢酸エチルエステル層は濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−メタノール=5:1)で精製し、淡褐色のN,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサデカンアミド(5.3g) を油状物質として得た(収率:62%)。
淡褐色油状物質、HR-ESIMS (positive ion mode): m/z 426.4401 [M+H]+ (calcd for C26H55N3O, 426.4418), 1H-NMR(500 MHz, CDCl3)δ: 0.88 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.25 (22H, m), 1.43 (2H, m), 1.73 (4H, m), 2.20 (6H, s), 2.21 (6H, s), 2.25 (4H, m), 3.40 (4H, m), 6.28 (1H, d, J = 15.5), 6.90 (1H, m)
(2)化合物2の製造
一般式(III)で示される化合物2を以下のように製造した。
化合物2:(E)-N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサデカ−2−エンアミド
2-ヘキサデセン酸(東京化成工業社製)を原料とし、塩化チオニールで処理して得たクロライド体4.3g(16mMol) を含むテトラヒドロフラン溶液 (30mL) にN,N,N',N'-テトラメチルイミノビスプロピルアミン(Sigma-Aldrich Japan社製)3.0g(16mMol) を含むテトラヒドロフラン溶液(30mL)及びピリジン1.3g(16mMol) を加え、水浴上で3時間加熱還流した。上記の化合物1と同様の後処理をし、淡褐色の(E)-N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサデカ−2−エンアミド(5.5g) を油状物質として得た(収率:81%)。
淡褐色油状物質、HR-ESIMS(positive ion mode):m/z424.4217[M+H]+(calcd for C26H53N3O, 424.4261)、1H-NMR (500MHz, CDCl3)δ:0.88 (3H, t, J = 6.9Hz)、1.25 (24H、m)、1.61 (2H、m)、1.70 (4H, m)、2.21 (6H、s)、2.22 (6H、s)、2.25 (6H、m)、3.32 (4H、m)
(3)化合物1及び化合物2の抗がん活性測定
上記で製造した化合物1及び化合物2の抗がん活性を以下の通り検討した。
(a)試薬の調整
化合物1及び化合物2をそれぞれアセトンに溶かして、抗がん活性測定に使用した。ギムザ染色液(Sigma:Cat.No.S128-4L)25mLを蒸留水475mLにて希釈し使用した。大腸がん治療に使用される代表的な抗がん剤である5−フルオロウラシル(以下、「5FU」)(Sigma Chemical Company: Cat. No. F6627-5G)を抗がん活性の比較対象とした。5FUは、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma Chemical Company: Cat. No. D8418-250ML)に溶かして使用した。
(b)ヒト大腸がん細胞株とヒト大腸正常細胞株の培養
ヒト大腸がん細胞株HT29(American Type Culture Collection HTB38)とヒト大腸正常細胞株FHC(ATCC CRL1831)をそれぞれ10%ウシ胎児血清(FBS) (BioWest:Cat. No. S1500)添加DMEM培地 (Wako:Cat.No.041-29775)中で37℃、5%CO2条件下にて培養した。培養装置は、CO2インキュベーターを使用した。
(c)細胞増殖アッセイ
(c−1)ヒト大腸がん細胞株に対する抗がん活性評価
ヒト大腸がん細胞株HT29を6-ウエル・プレート(BD FalconTM: Cat. No. 353046)に500細胞/ウエルの濃度で蒔いて一晩培養した後、化合物1、化合物2及び5FUのそれぞれを0、0.07、0.15、0.3、0.7、1.5、3、6、12.5μMの各濃度でがん細胞に暴露し、7日間培養した(0μMの培地にはアセトン又はDMSOを0.1%になるよう添加した)。培養後、各ウエルをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、各ウエル当たり2mLの100%メタノール(Nacalai Tesque:Cat.No.21915-93)で10分間、がん細胞を固定した。風乾し、各ウエル当たり2mLのギムザ染色液で30分間染色した後水道水で洗浄した。風乾後、染色されたがん細胞のコロニー数を目視で計測した。
(c−2)化合物1及び化合物2のヒト大腸正常細胞株とヒト大腸がん細胞株に対する毒性の比較
ヒト大腸正常細胞株FHCとヒト大腸がん細胞株HT29をそれぞれ96-ウエルプレート(BD FalconTM:Cat.No.353072)に1×103細胞/ウエルの濃度で蒔いて一晩培養した後、化合物1及び化合物2のそれぞれを0、0.07、0.15、0.3、0.7、1.5、3、6、12.5μMの各濃度で各細胞に暴露し、3日間培養した(0μMの培地にはアセトンを0.1%になるよう添加した)。培養後、MTT試薬(Roche:Cat.No.11465007001)を10μL加え、4時間培養後に100μLのresolubilization buffer(可溶化溶液)(Roche:Cat.No.11465007001)を加え、一晩培養した。培養後、プレートリーダー(Biorad Model680)を用いて各ウエルの吸光度を測定した。
(d)細胞生存曲線(用量反応曲線)の作成
ヒト大腸がん細胞株HT29を使った上記の細胞増殖アッセイの結果に基づき図1に示す細胞生存曲線を作成し、化合物1、化合物2及び5FUの各IC50値(50%増殖抑制率)を計算し、これを抗がん活性評価の指標とした。IC50値の計算式は次の通りである。
なお、図1のグラフは縦軸をがん細胞生存率とし、横軸を化合物1、化合物2及び5FUの各濃度とした。化合物1、化合物2及び5FUの各濃度が0μMのときのがん細胞生存率を100%として、化合物1、化合物2及び5FUの各濃度でのがん細胞生存率を換算した。
IC50 (μM) = (H-50)/(H-L)×(CL-CH) + CH
H (%): 生存率50 %以上で最も50 %に近い生存率
L (%): 生存率50 %以下で最も50 %に近い生存率
CH (μM): Hの時の化合物の濃度
CL (μM): Lの時の化合物の濃度
また、ヒト大腸正常細胞株FHCとヒト大腸がん細胞株HT29を使った上記の細胞増殖アッセイの結果に基づき図2に示す細胞生存曲線を作成し、化合物1及び化合物2のそれぞれが暴露された下でのヒト大腸がん細胞株HT29の細胞生存率を測定した。同時にヒト大腸正常細胞株FHCの細胞生存率を測定し、これを正常細胞に対する毒性評価の指標とした。図2のグラフは縦軸を細胞生存率とし、横軸を化合物1及び化合物2の各濃度とした。化合物1及び化合物2の各濃度が0μMのときの細胞生存率を100%として、化合物1及び化合物2の各濃度での細胞生存率を換算した。
(4)抗がん活性測定の結果
(a)図1の細胞生存曲線から計算されたヒト大腸がん細胞株HT29に対するIC50値は以下の通りであった。
化合物1:0.1μM
化合物2:0.1μM
5FU:9.5μM
上記の結果から、化合物1及び化合物2の各IC50値は、5FUのIC50値と比較して95(9.5/0.1)倍小さい値である。このことから、化合物1及び化合物2は、大腸がんの化学療法における第1選択の抗がん剤である5FUに比べ、より低濃度で抗がん活性を発揮すること、すなわち5FUより強い抗がん活性を発揮することが判明した。
(b)化合物1及び化合物2のヒト大腸正常細胞株FHCとヒト大腸がん細胞株HT29に対する図2のグラフから、ヒト大腸がん細胞株HT29が92%死滅したときの化合物1の濃度は0.3μMであり、この濃度におけるヒト大腸正常細胞株FHCの細胞生存率は92%であった。また、ヒト大腸がん細胞株HT29が93%死滅したときの化合物2の濃度は1.5μMであり、この濃度におけるヒト大腸正常細胞株FHCの細胞生存率は82%であった。
上記の結果から、化合物1の濃度が0.3μMから12.5μMのときヒト大腸がん細胞株HT29は92%以上死滅したが、ヒト大腸正常細胞株FHCは70%以上生存した。したがって、化合物1は、0.3μMから12.5μMまでの抗がん活性を発揮する濃度において腫瘍選択性に優れ、正常細胞に対する毒性は極めて少ないことが判明した。また、化合物2の濃度が1.5μMから12.5μMのときヒト大腸がん細胞株HT29は93%以上死滅したが、ヒト大腸正常細胞株FHCは65%以上生存した。したがって、化合物2は、1.5μMから12.5μMまでの抗がん活性を発揮する濃度において腫瘍選択性に優れ、正常細胞に対する毒性は極めて少ないことが判明した。すなわち、化合物1及び化合物2は、従来の抗がん剤より強力な抗がん活性(主作用)を発揮し、毒性(副作用)の少ない新規な抗がん剤である。
(5)化合物3〜化合物15の製造
一般式(IV)〜一般式(XVI)で示される下記の化合物3〜化合物15を以下のように製造した。
化合物3:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ウンデカンアミド
(一般式IV)
化合物4:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ドデカンアミド
(一般式V)
化合物5:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)トリデカンアミド
(一般式VI)
化合物6:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)テトラデカンアミド
(一般式VII)
化合物7:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ペンタデカンアミド
(一般式VIII)
化合物8:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘプタデカンアミド
(一般式IX)
化合物9:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミド
(一般式X)
化合物10:(9Z,12Z)-N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)オクタデカ-9,12-ジエンアミド
(一般式XI)
化合物11:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)オレアミド
(一般式XII)
化合物12:(9Z,12Z,15Z)-N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)オクタデカ-9,12,15-トリエンアミド
(一般式XIII)
化合物13:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ノナデカンアミド
(一般式XIV)
化合物14:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イコサンアミド
(一般式XV)
化合物15:N,N-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)−13−(シクロペンタ−2−エニル)トリデカンアミド
(一般式XVI)
化合物3〜化合物15は、表1に示す原料化合物Aと原料化合物BのN,N,N',N'-テトラメチルイミノビスプロピルアミンを用い、上記の化合物1の製造の方法に準じて製造した。すなわち、原料化合物Aを塩化チオニールで処理して高級脂肪酸クロライドとし、これを原料化合物Bと反応させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物を得た。
Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
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Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
Figure 0006532730
(6)化合物3〜化合物15の抗がん活性測定
上記の化合物1及び化合物2の抗がん活性測定と同様の方法で化合物3〜化合物15のヒト大腸がん細胞株HT29に対するIC50値を算出し、抗がん活性を検討した。結果は表2に示した。
Figure 0006532730
上記の結果から、化合物3〜化合物15の各IC50値は、5FUのIC50値と比較して小さな値であり、大腸がんの化学療法における第1選択の抗がん剤である5FUに比べ、より低濃度で抗がん活性を発揮すること、すなわち5FUより強い抗がん活性を発揮することが判明した。
本発明は、強力な抗がん活性を発揮し、毒性の少ない新規な抗がん剤として医薬品工業上の有用性が期待される。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(XII)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤。
    Figure 0006532730
  2. 下記の一般式(XI)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤。
    Figure 0006532730
  3. 下記の一般式(XIII)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤。
    Figure 0006532730
  4. 下記の一般式(XVI)で表される高級脂肪酸アミド誘導体又はその薬理的に許容される塩を有効成分とする抗がん剤。
    Figure 0006532730
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