JP6532193B2 - 表面流下式濃縮装置並びに表面流下式濃縮方法 - Google Patents

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本発明は、表面流下式濃縮技術について、特に原液が熱影響を受けやすいものの濃縮に用いて好適である表面流下式濃縮装置並びに表面流下式濃縮方法に関する。
表面流下式濃縮技術は、薄膜により表面からの自然蒸発も利用促進するため熱収支に優れるという省エネルギー技術、CO2削減技術に関連する時代の要請に応える技術である。
糖類・エキス類等熱影響を受けやすい原液の濃縮では、短時間に一過性又は濃縮過程を経る回数を制御し品質を管理することが要求され、好ましくは一回の処理プロセスで所定濃度まで濃縮されることが求められる。
そのためには、原液の供給量を制御し、薄膜液とし供給し薄膜からの溶媒蒸発により効率よく一回のプロセスで所定の濃度まで濃縮することが望まれる。
それ故、表面流下式により僅かな原液を伝熱面に供給し、且つ所定の濃度に到達させるため、伝熱面にできるだけ均一に流下させることが要求されるが、様々の要因により、伝熱面にできるだけ均一に薄膜で流下させることが困難であり、充分な熱交換ができず、結果として多数の伝熱部材を要したり、伝熱部材が長大にならざるを得ず、装置が大型化し、高コストとなっている。
その一つの要因が突沸であり、原液が伝熱部材から熱流を受け局所的に過熱状態となれば突沸が生じ、以下の問題点が生ずる。
均等な流下が阻害され、濃縮液の濃縮が不十分となること。
突沸現象により飛散する原液又は濃縮中途の濃縮液(以下、後者を半濃縮液と云い、前者後者を総称し処理液と云う)は熱せられたまま飛散しその熱は容器内又は容器壁に散逸又は吸収されてしまい熱効率を阻害し、結果として濃縮効率を阻害すること。
濃縮が足りないまま容器壁面に衝突液化し落下する原液又は半濃縮液は、濃縮度を希釈化し、全体として濃縮不十分となること。
突沸現象により飛散するミスト化した原液又は半濃縮液が溶媒蒸気に混ざり、減圧機構により吸引され容器から排出されること。
これらの悪影響を避けるため、従来は、突沸現象を回避すべき工夫が表面流下式や流下式の伝熱器を使用する蒸発装置や濃縮装置等の機器では、種々提案されてきた。すなわち、従来技術はできるだけ突沸現象が発生しない条件下で運転することを旨として来た。あるいは、突沸現象を避けるため、処理液が過熱状態に至らぬように加熱を抑えざるを得ず、あるいは高めの圧力条件に抑えざるを得ず、これらの制約のもとで機器設計せざるを得なく、設備効率が悪く、設備が長大なものとなっていた。
ところで、突沸現象は、濃縮液は熱せられ沸点に対して過熱状態に達することで発生する。この過熱状態自体は、そのままであれば、その過熱分は蒸発による濃縮という点では無駄な熱として消費されていることになるが、沸点近傍ではその気液界面からの蒸発は活発であり、突沸が発生すれば、突沸による急速な気化自体は蒸発そのものであり、過熱現象を解消する作用として、すなわち、熱効率を上げる作用がある。したがって、必ずしも悪さのみをしているわけではないことに発明者らは気付いた。すなわち、過熱分の熱量が突沸による蒸発によって消費されるのであれば、それは無駄な消費とは言えず、潜熱にうまく転化しているのである。沸騰による液層(液膜)の対流撹拌効果によって、更に伝熱性を向上させている面もある。
突沸現象は、熱せられた溶媒の温度、伝熱面から受ける熱流速、溶媒の濃度変化による粘度の変化による流下速度の変動、熱源媒体の作用等が複雑に作用して生ずる伝熱面の温度の局所的な不均一の発生や温度条件のみならず容器内真空度等の物理的諸要素がからみ、完全にその影響を排除しようとすると濃縮効率を低下させる極端に低い加熱温度域や低真空度環境での実施を余儀なくされ、結果として、多数の伝熱部材を要したり、伝熱部材が長大にならざるを得ず、装置が大型化し、高コストとなってくるのである。
そこで、本発明では、突沸から逃げずに沸点近傍の運転により蒸発を促しつつ突沸現象から派生する問題を如何に克服するかを課題とする。突沸は過熱状態であり、制御できない過熱は処理液の品質問題にも成りえるが、この点は、処理環境を減圧下におき沸点を下げることでリスクは解消できる。
突沸が発生すると突沸箇所の液膜は破断状態となりやすく、局所的にドライアウトが発生する可能性もある。そのままであれば、やがて溶質が析出し、均一で安定な薄膜の形成による蒸発濃縮という要件に反する。したがって、突沸が発生したならば、突沸後の安定した液膜の回復が課題となる。
濃縮技術は、裏から見れば蒸発・蒸留技術である。この分野の従来技術はできるだけ突沸現象が発生しない条件下で運転することを旨として来た。例えば、特許文献1は、突沸なしに低圧蒸発が可能で使いやすい蒸発装置と対応する方法の提案であり、特許文献2は蒸発室形状と充填材により蒸発室で突沸が発生しない水蒸気生成装置を提案する。このように突沸が発生しないことを旨とする仕組みを取るため、突沸が生じた後の回復についての提案は皆目見当たらない。
突沸が生ずると突沸による処理液の飛沫やミストが発生する。処理液の飛沫はやがて重力の作用により落下し回収されるが、濃縮されないままの飛沫が濃縮液に混じると濃縮度が希釈化されるという問題が発生する。
この課題についても従来技術は、突沸が発生しないことを旨とする仕組みを取るため課題も認識されていない。
ミストの発生は、その後真空減圧機構に溶媒蒸気とともに排出されてしまうため、溶媒蒸気の生産目的であれば、不純物の混入問題として扱われ、ミストが環境規制物質であれば、これも排気への不純物の混入問題として扱われ、例えば、特許文献3は、排気出口に衝突板を設けミストを排出蒸気から分離する含油排水の処理方法で使用するミスト除去構造を提案し、特許文献4は、容器中に雰囲気中の水滴を分離する横板を多数設置する多段フラッシュ蒸発器を提案するが、いずれも出口に近い領域での分離で排気からの溶質の除去を目指すものであって、このような方式であれば、濃縮不完全な未処理液が濃縮液を希釈することとなると共に、過熱状態にまで熱せられた処理液の熱回収は不完全であり、本発明が検討する課題への適用には適当でない。
特許文献1は突沸を制御することを提案するが、突沸しないように制御することを目的としており、本発明が着眼する突沸が発生する、すなわち局所的には突沸が発生する可能性がある有利な濃縮条件下での運転を追求するという突沸が発生するリスクを許容し、寧ろ突沸が発生しても尚有利な熱交換、濃縮能力と品質を維持することを目指す立場に立つ提案ではない。そもそも突沸発生自体が確率過程的性質を持つため(非特許文献1)、温度・圧力等の運転条件により制御しようとすれば、局所的な過熱状態がしやすい表面流下式熱交換方式を採用する装置では運転条件が安全側に偏り、用をなさないのである。
以上に示されるように、本発明の課題は、従来、認識も示唆もされていないものであり、従来技術とは立ち位置を異にするもので、共有できる課題・解決策は見出されない。
特表2007−517654号 特開2004−292183 特開2006−175428 特開2001−962
「研究速報 : 水滴の突沸崩壊実験と自発核生成」, 西尾茂文,生産研究. 32(12), 1980.12.1, pp. 576-579,東京大学生産技術研究所http://hdl.handle.net/2261/37637
本発明の主たる課題は、以下のとおりである。
課題1:突沸現象が生じても均等な流下を確保し、濃縮液の所定の濃度への濃縮を確保すること、
課題2:突沸現象により飛散する原液・濃縮液が散逸させる熱を無駄にせぬこと、
課題3:濃縮が足りないままの処理液の容器壁面への衝突液化落下による濃縮液の希釈化を避けること、
課題4:突沸現象により飛散するミスト化した原液が溶媒蒸気に混ざり共に減圧機構により吸引され容器から排出することを防止すること。
これらの課題を満たし、高い熱流束を利用できる過熱領域、沸点近傍で運転し、潜熱吸収により熱効率を高め、濃縮効率を高め、もって、伝熱部材の長大化を防止し、装置の小型化により、設置スペースの制約から解放し、低コストを実現する効果を得ることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
2枚のプレートと、これら2枚のプレートの間を封ずるガスケットとを有する濃縮プレート構造体が、離隔し対向して複数、真空手段に連結された真空容器内に設けられ、
前記濃縮プレート構造体の2枚のプレートの間は熱媒が流通する空間とされ、
前記濃縮プレート構造体相互が対向する面には下端が開放された複数の縦溝が形成され、
前記縦溝は、幅1mm以下、深さ1mm以下であり、
原液が前記真空容器内に流入し、前記真空容器内の各前記縦溝内を流下する手段を有し、
前記真空容器には蒸発した溶媒蒸気の排出口と前記原液の濃縮液の排出口を有する、
ことを特徴とする表面流下式濃縮装置。
(作用効果)
表面流下式濃縮装置では、原液を流下し原液の重力落下により原液薄膜を蒸発面表面に形成し、蒸発を促進しようとする。請求項1に係る発明では、突沸が生じても、対向する蒸発面が突沸で飛散する飛沫を受け止め、一旦対向面に飛沫移動した半濃縮液は、対向する蒸発面で再加熱され、過熱されると再度突沸し、再び元の対向する蒸発面へ突沸し飛散し、両蒸発面を往復することとなる。
このようなキャッチボール現象により、たとえ突沸により一部の液膜が欠損し局所的なドライアウト面が発生しても、対向面からの突沸飛沫の受取で再びドライアウト面には処理液が補充され液膜は修復される。
こうして、一時的には局所的に突沸により液膜は不均一となったり、局所的にドライアウト面が生じるにしても、全体としては、対向する蒸発面の相互の処理液飛沫のかけ合い作用により、均一な液膜の回復再生を促し、均等な流下の再生を促し、全体として濃縮液の所定の濃縮レベルを達成することを可能とする効果を与える。
突沸が生じても、対向する蒸発面が突沸で飛散する飛沫を受け止めるため、飛沫が有している熱は無駄に散逸されず、有効活用することができる。すなわち、該対向面は、その伝熱作用により受け取った飛沫を再加熱する。飛沫を対向面で受け止めなかったとしたら、飛沫は落下し又は減圧容器内壁へ衝突してそのまま落下し、蒸発潜熱の供給は飛沫が持つ余熱に止まり、濃縮が足りないままの飛沫による容器壁面への衝突液化や落下により濃縮液が、同飛沫と混じり希釈化されることになる。しかしながら、本発明では、対向面も蒸発面であって、飛沫は対向する蒸発面により再加熱され、溶媒は蒸発を続け充分に濃縮される。
こうして、突沸現象により飛散する原液・半濃縮液が熱を無駄に散逸させることなく、再加熱により再び過熱され蒸発を促され、高い濃縮効率を呈することが可能となるという作用効果を与える。
突沸現象により飛散するミスト化した原液は、そのまま飛沫として容器内雰囲気に漂流すると、溶媒蒸気と共に減圧吸引する真空ポンプに吸い込まれ本来容器下部で濃縮液として回収されるべきものが上方へ散逸するという不都合を生ずる。真空ポンプ側で蒸気化した原液成分を含む溶媒として液化し、又は、ミストを固定板に衝突させ液化落下させるとしても、このような管理困難な循環は、当該ミストが幾度循環されるのか管理不能であり好ましくない。また、循環ミストが混ざる濃縮液を回収することとなり、場合により、品質管理上の問題を生ずる可能性があり、好ましくない。
本発明では、突沸により飛沫やミストが発生しても直ちに近接する対向面に衝突し再度液化するため、突沸現象により飛散するミスト化した原液が溶媒蒸気に混ざり共に減圧機構により吸引され容器から排出されることもなく、濃縮効率を高く維持することが可能となる。
蒸発面に溝を形成すれば、溝をガイドとして原液は安定した流路を保ち落下する。溝の側壁に表面張力で原液(溶媒)は張り付き、溶媒の液膜厚さは開口部へいくに連れ、薄くなり益々溶媒の蒸発を促すという効果を与える。溝付きの流下式であれば、薄膜への加熱により蒸発を加速するので加熱源の温度が有る程度低くても、相対的には加熱速度が速く、低温で高速に濃縮できる。そのため、熱変性に弱い物質への対応も可能であるし、低温熱源の活用の道を拓き、エネルギー利用上のメリットも享受できることとなる。
伝熱部材とその対向する再加熱伝熱部材とは、同心円状に形成することも可能であるが、同心円状に幾層も積層すると組み立てに困難を生ずる。
そこで、請求項1記載の本発明では、対向配置される伝熱部材(請求項におけるプレート)は、プレート状であり、積層して使用されることを特徴とする。このように積層することで積層枚数を増加させることで容易に処理能力を上げることができるという効果を与える。
伝熱部材を積層使用すると工業レベルの所定の濃縮能力を実現できるので、各伝熱部材は熱源媒体である熱媒を伝熱部材内に密閉循環させる構造とし、又は隣接する伝熱部材間にガスケットやシール剤を挟み込みこれら対向する両伝熱部材と前記ガスケット又はシール剤で閉じられた空間を熱源媒体が流れる積層構造を有することが好ましく、原液が流れる蒸発面同士も所定の間隔を維持する機構を有することが好ましい。
こうして、本発明は、全体として蒸発面に均一に薄膜で流下させることを可能とし、充分な熱交換を実現し、結果として伝熱部材を小型化小容量化し、伝熱部材の長大化を回避し、装置を小型化し、低コストの濃縮装置を提供する。
前記複数の濃縮プレート構造体は少なくとも0.8mm離隔し対向して配置することができる。
蒸発面表面の温度を従来の突沸温度を回避する温度設定とするのではなく、該蒸発面表面の温度を突沸が発生するに十分な熱流を供給し、原液薄膜温度を上昇させ、突沸が生じても構わないものとする。この高い蒸発面表面温度設定により、処理液溶媒の蒸発を促し、濃縮される原液・処理液粘度を下げ、流動性を上げることにより、より均一性のある薄膜形成と維持及び修復を促す。積極的に突沸で飛散する処理液又はミスト化される処理液を蒸発プレートの蒸発面と前記熱媒プレートの蒸発面間で相互にかけ合うことにより濃縮効果を高める。
前記縦溝の幅が、溝底から開口端に向かって漸次広がる形態とすることができる。
溝の側面は、前記対向面へ開口部を漸次広く形成し側壁壁面は開口部へ拡がるよう傾き角度が形成されるとよい。このように溝形状を形成しておけば、開口部へ近付くほど側壁壁面が開口部へ拡がっているので、突沸により処理液が対向面へ向かい拡がって飛沫し、対向面への衝突着地後もより薄い液膜が形成される。対向面に局所的なドライアウトが生じている場合でも、より広い範囲の液膜回復を図ることができる。開口部の開き具合は、直線的である必要はなく、開口端面部が凸面形状でも同様の効果が得られる。
加えて、開口部を漸次広く形成し側壁壁面は開口部へ拡がるよう傾き角度が形成されるように溝形状を形成しておけば、開口部へ近付くほど側壁壁面が開口部へ拡がっているので、この液膜先端付近の膜厚は表面張力の作用でさらに薄くなり、溶媒の蒸発は促され、濃縮効率を高めるという効果も得られる。
縦溝の延在方向は、上下方向に対して傾斜している形態とすることができる。
安定した液膜流路を確保する。もって、均等な流下を実現し、濃縮液は所定の濃度に濃縮され得る。
原液は溝の側面を液の底面とすることで、突沸により飛沫が対向面からかけられたときに、確実に飛沫を受止めることを可能とし、飛沫がかけられた後のいたずらな飛沫の落下を防止し、突沸現象により飛散する原液・濃縮液が散逸させる熱を無駄にせず、濃縮が足りないままの落下による回収濃縮液の希釈化を避ける効果を与える。
前記縦溝の幅は、上端から下端に向かって漸次拡幅していく形態とすることができる。
表面流下式濃縮方法で濃縮すると、原液は流下し下流にいくほど濃度が増す。多くの原液は、濃度が増すと粘度も増加する関係にあり、下流に行くほど原液の粘度が増す。下流に行くほど粘性抵抗が増すのであるから、溶媒の蒸発による体積の減少と下流に行くほど増加する粘性抵抗とのバランスによっては、粘性抵抗を減少させる手当てをしないと液膜が下流に行くほど厚くなったり、溝から溢れて流下が不安定になる可能性もある。その弊害を防止するため、溶媒・溶質の特性を考慮して下流で下流方向に拡幅していることが好ましい。結果として、均等な流下を確保、濃縮液の所定の濃度への濃縮を可能とする効果を得る。
前記縦溝の凸部は、対向する濃縮プレート構造体側に膨らんでいる形態とすることができる。
蒸発面に処理液を単に流下させる場合に比して、互いに離隔する上段の伝熱体の下端先細部から下段のプレートの上端先細部へ滴下させ、上下段プレートの間隔が滴下する液滴の大きさに適合しプレート間の滴下又はプレート間で液膜の架橋が構成されれば、液膜は溝間の先細部にも充填され、条件によっては溝間の蒸発面に拡がり流下する場合もあり得る。
このような場合であっても、再び処理液が溝に集まり溝側壁界面で薄膜を形成し、活発な蒸発作用を呈する仕組みを本請求項で立てている。すなわち、溝間は隣接する溝を谷部とする山形に形成されていれば、溝間の先細部に生成された液膜から溝間の伝熱外表面に垂れる液は山形形状部の表面張力により溝間に吸引され、溝に合流する作用を与え、濃縮度を上げた処理は溝を流下する。溝に収まった処理液は、側壁に表面張力の作用により薄膜を形成し、活発に蒸発する。
前記真空容器の壁面における前記蒸発面に対向する領域に、加熱手段を備える形態とすることができる。
前記濃縮プレート構造の積層された一端に対向する真空容器壁面は加熱手段を備え、突沸で飛散された液は該容器壁面で再加熱され、該容器壁面を流下し濃縮されることを特徴とする。本発明に係る濃縮方法で使用する伝熱部材が、複数積層されるとしてもその端面の伝熱部材面は真空減圧吸引される容器雰囲気中に露出せざるを得ない。そうすると端面両面で突沸飛沫する液は濃縮効率を下げ、熱効率を下げ、飛沫するミストにより濃縮液の品質を下げる可能性がある。この両端面が面する減圧容器の壁面加熱し該容器壁面を流下し濃縮させれば、幾分かはこの品質低下が緩和される。
前記積層配置された濃縮プレート構造の積層端には、蒸発面を備える端面プレートが配置され、該端面プレートの蒸発面は再加熱面として機能し、濃縮プレート構造の端にある蒸発面から突沸で飛散された液は該端面プレートの蒸発面で再加熱され、該端面プレートを流下し濃縮し、又は該端面プレート上で突沸を起こし、対向する前記蒸発面へ飛散することを特徴とする。本発明に係る濃縮方法で使用する伝熱部材が、複数積層されるとしてもその端面の伝熱部材面は、真空減圧吸引される容器雰囲気中に露出せざるを得ない。そうすると端面両面で突沸飛沫する液は濃縮効率を下げ、熱効率を下げ、飛沫するミストにより濃縮液の品質を下げる可能性がある。この両端面が面して端面には原液を流さぬ上部構造とする端面用プレートを配置し、該端面プレートは再加熱面であるから、突沸で飛散された液は該端面プレートで再加熱され、該端面プレートを流下し濃縮し、又は該端面プレート上で突沸を起こし、対面の伝熱面へ飛散する。端面プレートを配置し、端面プレートで飛沫を受止め再加熱し、該端面プレートを流下し濃縮させれば、幾分かはこの悪さが緩和される。
上記に示す形態を用いて原液を濃縮することを特徴とする表面流下式濃縮方法を実施することができる。
本発明についての技術的特徴を、方法の発明として記載したものである。
突沸は、液過熱状態、液の粘度・熱特性、伝熱面での流れ、伝熱面の濡れ性及び伝熱面の局所温度等が複雑に絡む確率過程と認識すべきであり、本発明に係る表面流下式濃縮方法では、液膜という僅かな流量の液を加熱するもので、小型化を目指せば、局所的な過熱が生ずる運転条件と成らざるを得ないし、そのような限界的な条件下であれば、運転条件により過熱を避ける制御を追求するよりも、むしろ、局所的に生ずる突沸をモニターし、この発生を運転条件に反映させることが得策である。
この考え方のもと、本請求項記載の発明では、運転条件を制御する手段と突沸発生状況を検知する手段を備え、後者により突沸の発生を検知し、突沸の発生から運転状況を把握し、予め設定されてルールにより突沸を判定制御する手段を備え、この手段により前記運転状況を入力として、全体として過熱により熱損失が生じているものと評価判定すれば、
運転条件を制御する手段により、突沸を抑制する運転条件、例えば、熱媒体流量の抑制、熱交換器収納容器内の圧力を上げる等の変更をしたり、全体として蒸発量が不足で未だ所定の突沸の発生域に達していないものであり、蒸発量を促進すべきと評価判定する場合には、運転条件を制御する手段により、蒸発を促進する条件、同時に突沸を促進する運転条件、例えば、熱媒体流量の増加、熱交換器収納容器内の減圧等の変更をする。
突沸発生状況を検知する手段は、温度・流量・圧力等の間接的な手段よりも、突沸は物理現象であるという特性を活かし、超音波センサーによる突沸発生の音波の検知やカメラによる伝熱面、容器内雰囲気の直接監視が有効であり、好ましい。
全体として過熱により熱損失が生じているものと評価判定には、例えば、全伝熱面の20〜30%で突沸が発生しているものと判定できる程度の超音波信号の検知が考えられる。薄膜という液から生ずる突沸であるから、超音波信号の大小は突沸が生ずる伝熱面の面積と関連付けることも可能である。
セラミックスの利用は原液が腐食性の強い物質への適用を考慮した場合に、メリットが大きい。金属材料であれば、伝熱性を確保する為に板薄材を使用すると、溝の加工によって材料の変形を生じたり、残留応力によって加熱した場合に変形する可能性もあり、応力や不動態膜の欠損などによって腐食に非常に弱くなってしまう事も考えられる。高熱伝導性セラミックスであれば、このような不都合はない。耐腐食性材料として用いられるステンレス鋼よりも高熱伝導度のセラミックスであれば、伝熱部材の材料として好適である。
前記プレートの表面には伝熱部材が被膜され、前記伝熱部材は、前記プレートよりも熱伝導率の高い、セラミックス材又は高熱伝導性高分子材である形態とすることができる。
基材は、熱媒体、例えば温水との耐食性と熱伝導性、耐久性等の相性と加工性、組立製作面、コスト等の特性から選択される一方で、原液との熱交換を実施する伝熱体表面は、原液との耐食性、熱伝導性を考慮し最適な被膜材量を選択することで、濡れ性の最適化も含め選択することが好ましい。
炭化ケイ素、窒化アルミニウム又はアルミナは、セラミックスの中でもステンレス鋼材よりも熱伝導率熱伝導率が高いもので伝熱部材の材料として好適である。ここでいう主成分とは、前記セラミックスを構成する全成分100質量%に対して、50質量%以上を占める成分をいう。主成分の同定については、X線回折法を用い、主成分の含有量については蛍光X線分析法またはICP発光分析法により求めればよい。
セラミックス材は、金属材料と異なり、押出し成型や加圧成型によって溝を形成できる。切削などの加工による溝の形成がなくなれば、コストを抑える効果を得られる。本方式であれば、溝の加工によって材料の変形を生じてしまったり、残留応力によって加熱した場合に変形したりする可能性もない。さらにセラミックス材は、腐食に非常に強いという特性がある。セラミックスは、熱膨張もステンレスより小さいので、精密に焼結する量産技術を確立すると、メリットは大きく、溝の形成方向に押出し成型できればコストを抑える効果が大きい。溝が斜行するもの等、押出し方向に同一の溝形をもたないものは、加圧成型によるのが好適であり、金属加工を要さず、量産に向く成型法を利用できることがセラミックス材の利点である。
本発明に係る濃縮装置の一実施形態を示す模式斜視図である。 本発明に係る濃縮装置の一実施形態のうち、伝熱部材である熱媒プレートの正面図(熱媒面図)である。 本発明に係る濃縮装置の一実施形態のうち、伝熱部材である熱媒プレートの裏面図(蒸発面図)である。 本発明に係る濃縮装置の一実施形態のうち、もう一つの伝熱部材である蒸発プレートの正面図(蒸発面図)である。 本発明に係る濃縮装置の一実施形態のうち、二組の熱媒プレートと蒸発プレートの分解模式図である。 一対の組の対向する蒸発面を説明する模式図である。 対向する蒸発面の溝14形状を示す伝熱面水平断面模式図である 対向する蒸発面間に形成されるメニスカスを説明する伝熱面水平断面模式図である。 第二の実施形態に係る濃縮方法に使用されるプレートの蒸発面正面模式図である。 第二の実施形態に係る濃縮方法に使用されるプレートの溝の形状を示す伝熱面水平断面模式図である。 第三の実施形態に係る濃縮方法の工程連携説明図である。 伝熱体の溝部の詳細を示す水平断面図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、本発明に係る濃縮方法を使用する濃縮装置の模式斜視図であり、図2は、本発明に係る濃縮装置の伝熱部材である熱媒プレートの正面図(熱媒面図)であり、図3は、同裏面図(蒸発面図)であり、図4は、本発明に係る濃縮装置のもう一つの伝熱部材である蒸発プレートの正面図(蒸発面図)である。本発明に係る濃縮装置の伝熱部材である熱媒プレート1ともう一つの伝熱部材である蒸発プレート2は組として、真空手段に結合されている真空容器100内に積層配置されている。図1では、2組のプレートが明示されているが、図の後方に複数の組が同様に要求される濃縮能力に見合うよう複数配置され得る。真空容器は、排気口101から図示されない真空手段である真空ポンプにより吸引排気され、例えば、−0.09MPa程度に保たれ、容器内の気圧は圧力計の監視のもとで制御されている。原液は、原液分配共通口(分配マニュホールド)10の原液投入口11から消費に応じて投入される。同原液は、各組の蒸発プレートへ接続されている原液分配口12から蒸発面原液入口25へ導かれ、複数の縦溝14に等配分され、縦溝に沿って落下しつつ伝熱面上で薄膜を形成し、伝熱面を介し熱媒プレート1の熱媒面6と蒸発プレート2の熱媒プレート接合面間7に流れる熱媒(例えば温水)により温められ、蒸発し濃縮後に濃縮滴17となり容器に流下し、濃縮液出口(濃縮液の排出口)19から濃縮液として排出される。熱媒プレート1の熱媒面6と蒸発プレート2の熱媒プレート接合面7間に流れる熱媒は、ガスケット52により真空雰囲気と遮断され、熱媒プレートには熱源である熱媒が熱媒供給口20から供給され、熱媒排出口21から排出され、再熱された後この経路を循環する。ガスケット52は熱媒プレート1の熱媒面6に設けられているガスケットホルダ51に保持され、蒸発プレート2の熱媒プレート接合面7とでガスケット52を固定し、両プレートの締結により熱媒の流路を確保する。ガスケット52は必ずしもガスケットホルダ51に保持されている要はなく、直接熱媒面6に予め接着され又は圧着されて、両プレートの締結により熱媒プレート1の熱媒面6と蒸発プレート2の熱媒プレート接合面7とで熱媒流路を確保できればよい。蒸発面原液入口25を備える原液供給部カバー18はシール16を挿み締結口31を介して蒸発面に締結されている。原液投入口11に投入された原液は、原液分配共通口(分配マニュホールド)10から原液分配口12、蒸発面原液入口25を経由し各プレートの蒸気面に設けられている原液入口13へ管路を通じて供給され、原液入口13から溝幅が等しく形成されている各縦溝14には、原液が等しく分配される。
図5は二組の熱媒プレートと蒸発プレートの分解模式図である。a)及びc)は蒸発プレートを、b)及びd)は熱媒プレートを示す。左から蒸発プレート1の蒸発面5を外側とし、隣の熱媒プレート2とは熱媒プレート熱媒面7とが対向し、熱媒プレート熱媒面7に形成されているガスケットホルダ51内のガスケット52を挿んで締結口41を介して締結結合されている。この組3の右端は熱媒プレート蒸発面4であり、この面4は、隣接して積層される一方の組の蒸発プレート2の蒸発面5と対向する。つまり、左の組の熱媒プレート蒸発面4が一方の伝熱面として構成され、右の他方の組の蒸発プレート2の蒸発面5がこれに対向する伝熱部材の伝熱面として作用する。
図6は、互いに対向する伝熱部材の伝熱面を示す、二組の境界面を展開した模式図である。図6のa)が図5の左の組3の熱媒プレート蒸発面4であり、b)が右の組の蒸発プレート2の蒸発面5である。
原液入口13から等しく溝14へ供給される原液は、溝14を重力の作用により落下し、熱媒口20から供給される熱媒を熱源として温熱を伝熱面4、5から供給され、蒸発し、濃縮液となり、溝下端15で濃縮液出口(濃縮液の排出口)19から流下し、濃縮液出口(濃縮液の排出口)19から排出される。
図6で互いに対向する蒸発面4,5では過熱により溶媒の突沸が発生し、互いに対向する面に向かい突沸により溶媒が飛散し、飛散液(溶媒)をキャッチボールするように互いにかけ合う作用をする。
従来は、突沸が発生しても飛散液は容器内壁に衝突し、そこで液化し、容器底に流下すると濃縮液と混じり、濃縮度が低下するという弊害が生じる。飛散後ミスト化し、容器内蒸気にミストが混在すると、排気口101から排出されてしまい濃縮液が容器内から出されてしまうという弊害が生じていた。本発明では、突沸が生ずる伝熱面に対向して、他の伝熱面が設置されているので、互いに飛散液をかけ合うことにより、いたずらな飛散液の落下を防止し、濃縮液の希釈化を防止する。
図7は対向する蒸発面4,5に設けられている縦溝14の形状を模式的に示す水平断面の溝部14の模式図である。縦溝14の壁面は開口部に向かい開き傾いている。図7で、下側の縦溝14で突沸が生じると突沸後は傾いた壁面の角度により、対向する壁面への飛散液36の付着(37は付着後の液)を促している。縦溝の底はV字形でも円形でもよい。
対向する伝熱面同士、つまり熱媒プレート1と蒸発プレート2とは、締結口41を介して組として連結され、さらに複数の組が積層されるように設置されている(図1も参照)。
熱媒プレートの蒸発面とこれに対向する蒸発プレートの蒸発面は、蒸発面で生成する液滴の最大径よりも離隔して配置されていることが好ましい。以下、この理由を説明する。
対向する蒸発面が近接しすぎると、突沸の飛沫として原液や半濃縮液をかけ合うとき、当該液が二面間で架橋し、メニスカスを形成する可能性もある。そうすると結果として液膜が二面に跨るものとして形成され、比較的厚い液膜の形成となり、蒸発が促進されなくなる。請求項1記載の蒸発面に離隔して対向する位置に配される対向蒸発面は、蒸発面で形成される液滴の最大径よりも離隔して配置すると両対向面間を跨るメニスカスは形成されない。突沸で跳ねかけられた原液又は半濃縮液は各対向面へ飛沫し張り付くこととなり、対向面の縦溝の作用により、開口部にかけて突沸による飛沫前と同様の薄膜が再び形成されることとなる。
また、一旦蒸発面間4,5にメニスカスが形成されるとその表面張力の作用でその位置に液溜まりとして止まり、流下せず原液が過度に濃縮され溶質が析出され、スケール付着に至り、濃縮効率が阻害される。さらに、蒸発面の伝熱性能が落ちるという悪影響を及ぼす可能性がある。請求項1記載の蒸発面に離隔して対向する位置に配される対向蒸発面を、蒸発面で形成される液滴の最大径よりも離隔して配置することにより、両面のメニスカス形成を防止し、これらの悪影響を未然防止し得るという効果を与える。
図8は対向する蒸発面間4,5に形成されるメニスカス60を説明する図である。両蒸発面4,5があまりに近接して対向すると一方の面に付着する液滴が両面の隙間に毛細管現象により吸い込まれメニスカス60を形成されると、このメニスカス60が形成される液はここに封じられてしまうことがある。そうすると、さらに蒸発が進むと結局溶質が析出することとなり、濃縮の目的が達成されないばかりか、滞留して過度に熱を受けて品質が均一でなるという不具合が発生するもととなる。
したがって、伝熱面4に離隔して対向する位置に配される対向伝熱面5は、すなわち両蒸発面4、5は、伝熱面で形成される液滴の最大径よりも離隔して配置されていることが好ましい。液滴の最大径は液の特性、過熱度、伝熱面の材質の濡れ性に影響を受けるものであるが、媒体を水として親水性が高いチタン系金属板で0.8mm程度、疎水性のプラスティック材で2.5mm程度であり、多くの場合で3mm以上離隔することが好ましい。
数ミリ程度の離隔であれば、突沸時にミストとして飛散する処理液も再び両面に衝突して液化し、真空ポンプ排出口101から排出されてしまう溶質の量も僅少に収まる。排出口101から排出される蒸気は図示しないコンデンサーで凝縮液が分離され、分離後の雰囲気は真空ポンプにより吸引排気される。この場合の凝縮液は溶媒とミストに含まれる溶質が混合するものとなるが、多くの場合には品質管理上この濃縮液の生産サイクルからは除外とすべきものである。
一方で、蒸発で生ずる気体が排出するに足りるスペースが十分でないと排出に伴う圧力損失と排出ガスの流速が大きくなり、ミストの流出につながりかねない。この観点からも蒸発面間の距離は決定されるべきであるが、濃縮液及び濃縮性能の要件仕様に依拠するものであり、条件によっては、3mm以上の離隔が望ましいものとなる。蒸発面間の離隔距離は、対向する蒸発面に付着する液滴の架橋現象と蒸発ガスの抜けの両面から考察すべきものである。
本実施形態では、蒸発プレート及び熱媒プレートは、基材をセラミックス材料としている。伝熱部材は、原液の表面張力・基材の濡れ性にもよるが、その表面に1mmないしそれ以下0.5mm程度の幅、深さの溝を形成するものであり、かような溝は金属であれば表面を活性化し易くさせ、突沸の発生により衝撃波も発生するので表面劣化が促進される可能性がある。一方、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及びアルミナを主成分として構成されるセラミックスはその表面に1mmないしそれ以下0.5mm程度の幅、深さの溝を形成しつつ成形することも可能であり、熱伝導率特性も耐食性のあるステンレス鋼板よりも優れ、本発明に係る伝熱部材の基材材料として好適である。炭化ケイ素は、熱伝導性が極めてよいが高価であり、一方アルミナは安価で、特に低温域では尚ステンレスよりも熱伝導性に非常に優れ、濃縮性能要求と経済性のバランスでセラミックス材種を決定するのが好ましい。
図9は、他の実施形態に係る濃縮方法に使用されるプレートの蒸発面正面模式図を示すものである。溝14を鉛直ではなく斜めに形成し、原液を鉛直でなく、角度θをつけ傾斜流下させる構成とする。この構成によれば、流れる方向に向ける重力作用はsinθ分となり流下速度が小さくなり、同時に流下距離も増加するため縦溝14の濃縮能力が高まり、より高さ方向の小型化を図ることができる。この場合には、溝の側面壁は液通路の底面としても作用するので底面として作用する側壁は開口部に向けて開くべきでなく、図10のように上側となる側壁一方のみ開口部に向けて開くよう傾斜形成することが好ましい。
濃縮プレート構造群の積層端にある蒸発プレートの蒸発面及び熱媒プレートの蒸発面は単に各組の濃縮プレート構造を積層するだけでは、対向する蒸発面を持たないため、積層端には専用の加熱されている端面プレートを設置し、突沸による飛沫を受止めこれに衝突する飛沫はこの面で再加熱されつつ流下し、濃縮され真空容器の雰囲気を舞うことはないよう処置することが好ましい。あるいは、濃縮プレート構造群の積層端にある蒸発プレートの蒸発面及び熱媒プレートの蒸発面に対向する真空容器部分は加熱し、同様の作用を施し、突沸による飛沫を受止め真空容器内壁に衝突する飛沫はこの面で再加熱されつつ流下し、濃縮され真空容器の雰囲気を舞うことはないよう処置することが好ましい。
図11は、第三の実施形態に係る濃縮方法の工程連携説明図であり、第一の実施形態で示す濃縮工程S0に突沸制御工程S15を加えた濃縮方法の工程間連携図である。
突沸制御工程S15は、突沸発生検知工程と突沸判定工程及び運転制御工程の各サブ工程からなる。
突沸発生検知工程S1は、超音波信号レベルを測定時間間隔毎に超音波センサーにより突沸の発生に伴う超音波を信号変換し、アナログデジタル信号変換の後、運転制御装置へ入力する。
突沸判定工程S2は、濃縮原液の種類、要求される濃縮度、伝熱面温度等の諸要素に依存するが、伝熱面の20%に突沸が発生している状況であると判断される超音波信号レベルを受け取れば、予め設定されている突沸判定ルールS3を参照し、突沸を抑制すべき処理を運転制御工程に命ずる。
運転制御工程S4は、突沸判定工程から指示される条件により、運転条件を変更し、予め設定されている運転モードを実行する。突沸を抑制すべき運転モードであれば、突沸を抑制する運転条件、例えば、熱媒体流量の抑制、熱交換器収納容器内の圧力を上げる等の変更を指示し、自動運転により又はマニュアル運転により運転条件を変更する。
突沸/蒸発量を促進すべきと評価判定する場合には、運転条件を制御する手段により、蒸発を促進する条件、熱媒体流量の増加、熱交換器収納容器内の減圧等の変更をする。
本濃縮方法を使用すれば、濃縮条件を最適化し過度の運転上による溶質の析出を防止し、熱収支の無駄を排するともに所要の濃縮能力を確保することができる。
本濃縮方法で濃縮生産された濃縮液は、互いにかけ合う突沸飛沫により、下流まで均一な薄膜を形成し、均一な処理を経て、突沸によるミスト混合により複数回の流下濃縮を排し、一度の流下のみの濃縮処理を経たもののみから成っているため、品質に優れる。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明は、表面流下式濃縮方法に関するもので、特に熱影響を受けやすい原液の濃縮に用いて好適であり、小型の省エネルギー装置で実施可能とし、低温で一流下による高純度の濃縮液を提供する。
図12は、本発明の他の実施態様における溝の断面形状を示す図である。伝熱体80の表面には複数の溝81が形成されている。流路として作用する溝内の形状は、溝の側面が、開口端に向かって開口幅を大きく形成されていることを特徴とする。開口部を漸次広く形成し側壁壁面70は開口部へ拡がるよう傾き角度が形成されるように溝形状を形成しておけば、開口部へ近付くほど側壁面70が開口部へ拡がる。溝内では、開口端へは同一の傾斜角を与え、この液膜先端付近の膜厚は表面張力の作用がより強く働き、薄膜71が生成されさらに薄くなり、溶媒の蒸発は促され、濃縮効率を高めるという効果が得られる。
伝熱体外表面に形成される溝間は隣接する溝81を谷部とする山形72に形成されている。伝熱体上段から滴下される条件によっては下段の溝間の伝熱体外表面に処理液73が拡がり流下する場合もあり得る。
このような場合であっても、再び処理液73は表面張力の作用により図の矢印で示すように山から落ち、再度集まり溝側壁界面70で薄膜71を形成し、活発な蒸発作用を呈する。溝間は隣接する溝を谷部とする山形72に形成されていれば、溝間の先細部に生成された液膜から溝間の伝熱体外表面に垂れる液ダレ73は山形形状部の表面張力により溝間に吸引され、溝内に合流する作用を与え、濃縮度を上げた処理液は溝を流下する。溝に収まった処理液は、側壁に表面張力の作用により薄膜71を形成し、活発に蒸発する。
1…熱媒プレート、2…蒸発プレート、3…一組のプレート、4…熱媒プレート蒸発面、5…蒸発プレート蒸発面、6…熱媒プレート熱媒面、7…蒸発プレート熱媒プレート接合面、10…原液分配共通口、11…原液投入口、12…原液分配口、13…原液入口、14…溝、15…溝終端、16…シール、17…濃縮液滴、18…原液供給部カバー、19…濃縮液出口(濃縮液の排出口)、20…熱媒供給口、21…熱媒排出口、25…蒸発面原液入口、31…締結口、41…締結口、51…ガスケットホルダ、52…ガスケット、60…メニスカス、61…液滴、70…溝側壁、71…薄膜液、72…溝間山形、73…液ダレ、100…真空容器、S0…濃縮工程、S15…突沸制御工程、S1…突沸発生検知工程、S2…突沸判定、S3…突沸判定ルール、S4…運転制御工程

Claims (7)

  1. 2枚のプレートと、これら2枚のプレートの間を封ずるガスケットとを有する濃縮プレート構造体が、離隔し対向して複数、真空手段に連結された真空容器内に設けられ、
    前記濃縮プレート構造体の2枚のプレートの間は熱媒が流通する空間とされ、
    前記濃縮プレート構造体相互は少なくとも0.8mm以上離隔し対向して配され、
    前記濃縮プレート構造体相互が対向する面のそれぞれには下端が開放された複数の溝幅が等しく形成されている縦溝が形成され、かつ、対向しており、
    前記縦溝は、幅1mm以下、深さ1mm以下であり、
    前記縦溝の側面が、開口端に向かって開口幅を大きく形成されており
    原液が前記真空容器内に流入し、前記真空容器内の各前記縦溝内を流下する手段を有し、
    前記真空容器には蒸発した溶媒蒸気の排出口と前記原液の濃縮液の排出口を有する、
    ことを特徴とする表面流下式濃縮装置。
  2. 前記縦溝の延在方向は、上下方向に対して傾斜している、請求項1に記載の表面流下式濃縮装置。
  3. 前記縦溝の幅は、上端から下端に向かって漸次拡幅していく、請求項1に記載の表面流下式濃縮装置。
  4. 前記縦溝間の凸部は、対向する濃縮プレート構造体側に膨らんでいる、請求項1に記載の表面流下式濃縮装置。
  5. 前記真空容器の壁面における前記蒸発面に対向する領域に、加熱手段を備える、請求項1に記載の表面流下式濃縮装置。
  6. 前記プレートの表面には伝熱部材が被膜され、
    前記伝熱部材は、前記プレートよりも熱伝導率の高い、セラミックス材又は高熱伝導性高分子材である、請求項1に記載の表面流下式濃縮装置。
  7. 上記請求項1に記載の表面流下式濃縮装置を用いて前記原液を濃縮する、
    ことを特徴とする表面流下式濃縮方法。
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