JP6532192B2 - タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP6532192B2
JP6532192B2 JP2014090115A JP2014090115A JP6532192B2 JP 6532192 B2 JP6532192 B2 JP 6532192B2 JP 2014090115 A JP2014090115 A JP 2014090115A JP 2014090115 A JP2014090115 A JP 2014090115A JP 6532192 B2 JP6532192 B2 JP 6532192B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biomass
derived
styrene
producing
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014090115A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014148683A (ja
Inventor
良治 児島
良治 児島
結香 横山
結香 横山
雅文 吉野
雅文 吉野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2014090115A priority Critical patent/JP6532192B2/ja
Publication of JP2014148683A publication Critical patent/JP2014148683A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6532192B2 publication Critical patent/JP6532192B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、並びにそれを用いたタイヤ部材及び空気入りタイヤに関する。
現在市販されているタイヤは、全重量の半分以上が石油資源からなる原材料から構成されている。例えば、一般的な乗用車用ラジアルタイヤは、タイヤ全重量に対して、合成ゴムを約2割、カーボンブラックを約2割、他にアロマオイルや合成繊維を含んでおり、タイヤ全体で5割以上の石油資源からなる原材料を含んでいる。
しかしながら、近年、環境問題が重視されるようになり、CO排出に対する規制が強化され、また、石油原料は有限であって供給量が年々減少していることから将来的に石油価格の高騰が予測され、石油資源からなる原材料の使用には限界がみられる。
そこで近年、循環型社会の構築を求める声が高まり、材料分野においてもエネルギー分野と同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。
例えば、特許文献1には、合成ゴムに代えて天然ゴム、カーボンブラックに代えて無機フィラーやバイオフィラー、石油系オイルに代えて植物油脂、合成繊維に代えて天然繊維を用いる等して、タイヤ全重量の75重量%以上を石油外資源からなる原材料で構成することによって、地球に優しく将来の石油の供給量の減少に備えたタイヤの技術が開示されている。
しかしながら、天然ゴムは、スチレンブタジエンゴム(SBR)のような合成ゴムに比べて、低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)が劣るという問題がある。
特開2003−63206号公報
本発明は、上記課題を解決し、循環型社会の要求に応えながら、従来の合成ゴムを用いたタイヤ部材、空気入りタイヤと同等の低燃費性、ウェットグリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)を有するタイヤ部材、空気入りタイヤを供することができるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られ、ASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上であるバイオマス由来ゴムを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記バイオマス由来ゴムのガラス転移温度(Tg)が−60℃以上であることが好ましい。
上記ジエン類が、バイオマス由来のブタジエンであることが好ましい。
上記芳香族ビニルが、バイオマス由来のスチレンであることが好ましい。
上記ジエン類が、バイオマス由来のブタジエン、上記芳香族ビニルが、バイオマス由来のスチレンであることが好ましい。
上記ブタジエンが、バイオマス由来のアルキルアルコール類、アリルアルコール類、アルケン類、アルデヒド類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたものであることが好ましい。
上記アルキルアルコール類が、エタノール、ブタノール、及びブタンジオールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ブタノールが、メバロン酸経路に関連する遺伝子、MEP/DOXP経路に関連する遺伝子、ブチリルCoAデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、及びブタノールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子が導入されている微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種により生産されたものであることが好ましい。
上記アリルアルコール類が、クロチルアルコール及び/又は3−ブテン−2−オールであることが好ましい。
上記アルケン類が、ブテン及び/又はエチレンであることが好ましい。
上記エチレンが、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を用いた発酵により、バイオマスより変換されたものであることが好ましい。
上記エチレンを生産する微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体が、ACCシンターゼをコードする遺伝子を導入及び/又は改変されているものであることが好ましい。
上記アルデヒド類が、アセトアルデヒドであることが好ましい。
上記不飽和カルボン酸類が、チグリン酸及び/又はアンゲリカ酸であることが好ましい。
上記ブタジエンが、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種により、バイオマスから直接生産されたものであることが好ましい。
上記ブタジエンが、糖類、ヘミテルペン類、及びアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種から変換されたものであることが好ましい。
上記アミノ酸が、バリン、ロイシン、イソロイシン、及びアルギニンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ヘミテルペン類及び/又はアミノ酸をブタジエンに変換する酵素が、HMG−CoAレダクターゼ、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ、及びアミノ酸デカルボキシラーゼからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ブタジエンを生産する微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体が、HMG−CoAレダクターゼをコードする遺伝子、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子、アミノ酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子を導入及び/又は改変されたものであることが好ましい。
上記スチレンが、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種により、バイオマスから直接生産されたものであることが好ましい。
上記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より変換されたものであることが好ましい。
上記植物が、マンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科、ナス科、ニンジン科、及びツバキ科からなる群より選択される少なくとも1種の科に属する植物であることが好ましい。
上記微生物が、フザリウム属、ペニシリウム属、ピキア属、カンジダ属、デバリオミセス属、トルロプシス属、サッカロマイセス属、バチルス属、エシェリキア属、ストレプトマイセス属、及びシュードモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する微生物であることが好ましい。
上記微生物が、遺伝子改変されていない微生物であることが好ましい。
上記微生物及び/又は植物が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼを高発現するよう操作されたものであることが好ましい。
上記微生物及び/又は植物が、桂皮酸デカルボキシラーゼ(フェニルアクリル酸デカルボキシラーゼ)を高発現するように操作されたものであることが好ましい。
上記微生物及び/又は植物が、フェノール酸デカルボキシラーゼを高発現するよう操作されたものであることが好ましい。
上記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、植物の代謝により得られたものであることが好ましい。
上記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、微生物の発酵により得られたものであることが好ましい。
上記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、触媒反応により得られたものであることが好ましい。
上記ブタジエンが、由来が異なる複数のバイオマス由来のブタジエンの混合物であることが好ましい。
上記スチレンが、由来が異なる複数のバイオマス由来のスチレンの混合物であることが好ましい。
上記バイオマス由来ゴムのpMCが100%以上であることが好ましい。
上記バイオマス由来ゴムが、バイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分とを重合して得られたものであることが好ましい。
上記バイオマス由来ゴムが、バイオマス資源の供給状況、石油資源の供給状況、及び/又は市場の要求に応じて、適宜選択された比率で、バイオマス由来のモノマー成分、若しくはバイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分とを重合して得られたものであることが好ましい。
上記バイオマス100質量%中の糖類の含有量が20質量%以上であることが好ましい。
上記バイオマス100質量%中のアミノ酸及びたんぱく質の合計含有量が10質量%以上であることが好ましい。
本発明はまた、スチレンブタジエンゴムを含むタイヤ用ゴム組成物であって、上記スチレンブタジエンゴムが、原料ブタジエン、原料スチレンの少なくとも一部として、バイオマスから始める反応または一連の反応によって得られものを使用して重合して得られたものであるタイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明はまた、バイオマス資源の供給状況、石油資源の供給状況、及び/又は市場の要求に応じて、適宜選択された比率で、バイオマス由来のモノマー成分、若しくはバイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分とを重合することを特徴とする、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られ、ASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上であるバイオマス由来ゴムの製造方法に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られ、ASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上であるバイオマス由来ゴムを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、循環型社会の要求に応えながら、従来の合成ゴムを用いた場合と同等の良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)が得られる。従って、該ゴム組成物をタイヤ部材、空気入りタイヤに用いることにより、循環型社会の要求に応えながら、従来の合成ゴムを用いたタイヤ部材、空気入りタイヤと同等の低燃費性、ウェットグリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)を有するタイヤ部材、空気入りタイヤを提供できる。
ブタジエンの製造に用いた装置を簡略的に示す模式図である。 作製したプラスミドを模式的に示す図である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られ、ASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上であるバイオマス由来ゴムを含む。
本発明では、ゴム成分として、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られ、ASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上であるバイオマス由来ゴムを使用する。
pMCとは、標準現代炭素(modern standard reference)の14C濃度に対する試料の14C濃度の比であり、本発明では、この値が化合物(ゴム)のバイオマス比率を示す指標として用いられる。この値の持つ意義について、下記に述べる。
炭素原子1モル(6.02×1023個)中には、通常の炭素原子の約一兆分の一である約6.02×1011個の14Cが存在する。14Cは放射性同位体と呼ばれ、その半減期は5730年で規則的に減少している。これらが全て崩壊するには22.6万年を要する。従って大気中の二酸化炭素等が植物等に取り込まれて固定化された後、22.6万年以上が経過したと考えられる石炭、石油、天然ガス等の化石燃料においては、固定化当初はこれらの中にも含まれていた14C元素は全てが崩壊している。故に21世紀である現在においては、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料には14C元素は全く含まれていない。故にこれらの化石燃料を原料として生産された化学物質にも14C元素は全く含まれていない。
一方、14Cは宇宙線が大気中で原子核反応を行い、絶え間なく生成され、放射壊変による減少とがバランスし、地球の大気環境中では、14Cの量は一定量となっている。従って、現在の環境中で物質循環しているバイオマス資源由来の物質の14C濃度は、上記のとおりC原子全体に対して約1×10−12mol%程度の値となる。従って、これらの値の差を利用して、ある化合物(ゴム)中の天然資源由来の化合物(バイオマス資源由来の化合物)の比率(バイオマス比率)を算出する事が出来る。
この14Cは、次のようにして測定することが一般的である。タンデム加速器をベースとした加速器質量分析法を使用し、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行う。測定では、14Cの濃度の基準となるmodern standard referenceとして、1950年時点の自然界における循環炭素中の14C濃度を採用する。具体的な標準物質としては、NIST(National Institute of Standards and Technology:米国国立標準・技術研究所)が提供するシュウ酸標準体を用いる。このシュウ酸中の炭素の比放射能(炭素1g当たりの14Cの放射能強度)を炭素同位体毎に分別し、13Cについて一定値に補正して、西暦1950年から測定日までの減衰補正を施した値を標準の14C濃度の値(100%)として用いる。この値と、実際に測定した試料の値の比が、本発明で用いるpMC値となる。
したがって、ゴムが100%バイオマス(天然系)由来の物質で製造されたものであれば、地域差等あるものの、おおよそ110pMC程度の値を示すことになる(現在は通常の状態では、100とならないことが多い)。一方、石油等の化石燃料由来の化学物質について、この14C濃度を測定した場合、ほぼ0pMC(例えば、0.3pMC)を示すことになる。この値が上述で言うバイオマス比率0%に相当する。
以上のことから、pMC値の高いゴム、すなわち、バイオマス比率の高いゴムをタイヤ用ゴム組成物に用いることは、環境保護の面で好適である。
ASTMD6866−10に準拠して測定したバイオマス由来ゴムのpMC(この値は、バイオマス由来ゴムのバイオマス比率を示す)は、1%以上であり、好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは100%以上であり、上限は特に限定されない。循環型社会の要求により応えることができることから、pMCは高いほど好ましい。なお、上述のように、標準物質との比率で計算されるという性質上、100%を超える値を取り得る。
なお、本発明において、ゴム(バイオマス由来ゴム)のpMCは、ASTMD6866−10に準拠して測定して得られる値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
なお、実施例に記載のように、ゴムの14C濃度を分析するためには、まずゴムの前処理が必要となる。具体的には、ゴムに含まれる炭素を酸化処理し、すべて二酸化炭素へと変換する。更に、得られた二酸化炭素を水や窒素と分離し、二酸化炭素を還元処理し、固形炭素であるグラファイトへと変換する必要がある。そして、この得られたグラファイトにCs等の陽イオンを照射して炭素の負イオンを生成させ、タンデム加速器を用いて炭素イオンを加速し、負イオンから陽イオンへ荷電変換させ、質量分析電磁石により123+133+143+の進行する軌道を分離し、143+は静電分析器により測定を行うことができる。
本発明では、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られ、pMCが特定値以上のバイオマス由来ゴムをタイヤ用ゴム組成物に使用することにより、循環型社会の要求に応えながら、従来の合成ゴムを用いたタイヤ部材、空気入りタイヤと同等の低燃費性、ウェットグリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)を有するタイヤ部材、空気入りタイヤを提供するという従来技術では解決できなかった課題を解決できる。なお、本発明では、バイオマスのことをバイオマス資源ともいう。
バイオマス由来ゴムのガラス転移温度(Tg)は、−60℃以上であることが好ましい。pMCが特定値以上であるにもかかわらず、Tgがこの範囲内であることにより、従来から使用されている100%バイオマス由来ゴムである天然ゴムでは達成できなかった、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)が得られ、循環型社会の要求に応えながら、従来の合成ゴムを用いたタイヤ部材、空気入りタイヤと同等の低燃費性、ウェットグリップ性能(特に、ウェットグリップ性能)を有するタイヤ部材、空気入りタイヤを提供できる。該Tgは、好ましくは−55℃以上である。Tgが−60℃未満では、ウェットグリップ性能が低下する傾向にある。また、該Tgは、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることが更に好ましい。Tgが0℃を超えると、低温特性が低下する傾向にある。
なお、本発明において、ゴム(バイオマス由来ゴム)のTgは、実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の効果が好適に得られるという理由から、バイオマス由来ゴムのMw(重量平均分子量)は、好ましくは0.1×10〜100×10、より好ましくは10×10〜80×10である。
同様に、バイオマス由来ゴムのMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5である。
なお、バイオマス由来ゴムのMw、Mnは、実施例に記載の方法により測定できる。
バイオマス由来ゴムの芳香族ビニル含量(好ましくはスチレン含量)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。芳香族ビニル含量が5質量%未満であると、グリップ性能が著しく低下するおそれがある。該芳香族ビニル含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。芳香族ビニル含量が60質量%を超えると、発熱性が著しく上昇し、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、本発明において、バイオマス由来ゴムの芳香族ビニル含量(好ましくはスチレン含量)は、H−NMR測定により算出される。
バイオマス由来ゴムは、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られたゴムである。なお、本発明では、芳香族ビニルとジエン類を重合して得られたゴムには、芳香族ビニルとジエン類を従来法に従って重合したゴムだけではなく、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(以下においては、微生物等ともいう)による反応や酵素反応により得られた、芳香族ビニルとジエン類を骨格成分とするゴムも含まれる。
また、バイオマス由来ゴムは、上記pMCを満たすように、モノマー成分として芳香族ビニルとジエン類を重合して得られたゴムであればよく、具体的には、バイオマス由来ゴムが上記pMCを満たすためには、芳香族ビニル、ジエン類の少なくとも一方がバイオマス由来(バイオマス由来のモノマー成分)である必要があるが、上述のように、pMCが高いほど循環型社会の要求により好適に応えることができるという理由から、芳香族ビニル、ジエン類の両方がバイオマス由来のモノマー成分であることが好ましい。
また、上記pMCを満たす範囲であれば、バイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分を併用してもよい。すなわち、バイオマス由来のジエン類は、バイオマス由来のジエン類以外のジエン類(石油資源由来のジエン類)と併せて使用してもよい。同様に、バイオマス由来の芳香族ビニルは、バイオマス由来の芳香族ビニル以外の芳香族ビニル(石油資源由来の芳香族ビニル)と併せて使用してもよい。
芳香族ビニル(芳香族ビニルモノマー)としては、例えば、スチレン、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。なかでも、得られる重合体の物性(特に、良好なグリップ性能)、工業的に実施する上での入手性の観点から、スチレン(特に、バイオマス由来のスチレン)が好ましい。なお、スチレンは、置換基を有していてもよい。
ジエン類(ジエン類モノマー)としては、共役ジエンモノマーが好ましく、例えば、ブタジエン(特に、1,3−ブタジエン)、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。なかでも、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、ブタジエン(特に、バイオマス由来のブタジエン(1,3−ブタジエン))が好ましい。
また、バイオマス由来ゴムは、上記pMCを満たす範囲であれば、芳香族ビニル、ジエン類以外の他のモノマー成分(モノテルペン(ミルセン等)等共重合可能なモノマー成分)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
ジエン類と芳香族ビニルの使用比率は、ジエン類/芳香族ビニルの質量比で50/50〜90/10が好ましく、より好ましくは55/45〜85/15である。該比が50/50未満であると、重合体ゴムが炭化水素溶剤に不溶となり、均一な重合が不可能となる場合があり、一方該比が90/10を越えると重合体ゴムの強度が低下する場合がある。
上述のように、バイオマス由来ゴムとしては、循環型社会の要求に応えながら、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)が得られるという理由から、バイオマス由来のブタジエン、スチレンを重合して得られたスチレンブタジエンゴム(バイオマススチレンブタジエンゴム(BSBR))であることが好ましい。
なお、BSBRとしては、上記pMCを満たす範囲であれば、ブタジエン、スチレン以外の他のモノマー成分(ブタジエン以外のジエン類(イソプレン等)、スチレン以外の芳香族ビニル(ビニルナフタレン等)、モノテルペン(ミルセン等)等共重合可能なモノマー成分)に由来する構成単位を含んでいてもよい。なお、ブタジエン、スチレンは、全量がバイオマス由来でなくても構わない。すなわち、バイオマス由来のブタジエンは、バイオマス由来のブタジエン以外のブタジエン(石油資源由来のブタジエン)と併せて使用してもよい。同様に、バイオマス由来のスチレンは、バイオマス由来のスチレン以外のスチレン(石油資源由来のスチレン)と併せて使用してもよい。
バイオマス由来ゴムを構成するモノマー成分100mol%中のバイオマス由来のモノマー成分の割合は、上記pMCを満たす範囲であれば特に限定されないが、上述のように、pMCが高いほど循環型社会の要求により好適に応えることができるという理由から、好ましくは50mol%以上、より好ましくは70mol%以上、更に好ましくは80mol%以上、特に好ましくは90mol%以上、最も好ましくは95mol%以上であり、100mol%であってもよい。
次に、バイオマスからバイオマス由来ゴムを調製する方法について説明する前に、まず、本発明におけるバイオマスについて説明する。
本発明において、バイオマス(バイオマス資源)とは、生物由来のカーボンニュートラルな有機性資源を意味し、具体的にはデンプンやセルロース等の形に変換されて蓄えられたもの、植物体を食べて成育する動物の体や、植物体や動物体を加工してできる製品等が含まれ、そして化石資源を除く資源である。
バイオマス資源としては、可食であっても、非可食であってもかまわず、特に制限されない。食料と競合せず、資源の有効利用の観点からは、非可食原料を用いることが好ましい。
バイオマス資源の具体例としては、例えば、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣等)、木材、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、おから、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油、ヒマシ油等)、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、籾殻、米ぬか、古米、キャッサバ、サゴヤシ等)、バガス、そば、大豆、精油(松根油、オレンジ油、ユーカリ油等)、パルプ黒液、生ごみ、植物油カス、水産物残渣、家畜排泄物、食品廃棄物、藻類、排水汚泥等が挙げられる。
バイオマス資源としては、これらを処理したもの(すなわち、バイオマス由来物質)であってもよい。処理方法としては、例えば、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体等の働きを利用した生物学的処理方法;酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー、光エネルギー等を利用した化学的処理方法;微細化、圧縮、マイクロ波処理、電磁波処理等の物理的処理方法等の既知の方法が挙げられる。
また、バイオマス資源としては、上記バイオマス資源や上記処理を行ったバイオマス資源から、抽出、精製したもの(すなわち、バイオマス由来物質)であってもよい。例えば、バイオマス資源から精製した糖類、たんぱく質、アミノ酸、脂肪酸、脂肪酸エステル等であってもかまわない。
糖類としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、例えば、スクロース、グルコース、トレハロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、イドース、アラビノース、アピオース、マルトース、セルロース、デンプン、キチン等が挙げられる。
たんぱく質としては、バイオマス由来で、アミノ酸(好ましくはL−アミノ酸)が連結してできた化合物であれば特に限定されず、ジペプチド等のオリゴペプチドも含む。
アミノ酸としては、バイオマス由来で、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物であれば特に限定されず、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン等が挙げられる。なかでも、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、フェニルアラニンが好ましい。なお、アミノ酸は、L型であってもD型であってもよいが、天然における存在量が多く、バイオマス資源として使用しやすいという理由から、L型が好ましい。
脂肪酸としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、例えば、酪酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、バイオマス由来であれば特に限定されず、例えば、動物由来脂、植物油、バイオマス由来油脂改質物等が挙げられる。
バイオマス資源としては、種々の材料、不純物が混合していてもかまわないが、バイオマス100質量%中の糖類の含有量が20質量%以上であることが、効率的な変換のために好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。また別の形態では、バイオマス100質量%中のアミノ酸及びたんぱく質の合計含有量が10質量%以上であることが、効率的な変換のために好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。さらに別の形態では、バイオマス100質量%中の脂肪酸及び脂肪酸エステルの合計含有量が10質量%以上であることが、効率的な変換のために好ましい。
次に、バイオマスからバイオマス由来ゴムを調製する方法について説明する。上述のように、バイオマス由来ゴムとしては、バイオマス由来のブタジエン、スチレンを重合して得られたスチレンブタジエンゴム(バイオマススチレンブタジエンゴム(BSBR))であることが好ましいことから、以下においては、代表例として、バイオマス由来ゴムがBSBRである場合について具体的に説明する。なお、上述のように、本発明では、BSBRには、バイオマス由来のブタジエン、スチレンを従来法に従って重合したBSBRだけではなく、微生物等による反応や酵素反応により得られたBSBRも含まれる。
まず、バイオマス資源からブタジエンを調製する方法について説明するが、ブタジエンを調製する方法は、以下で説明する方法に限定されるものではない。
バイオマス資源からブタジエンを調製する方法としては、種々の方法をあげることができ、特に限定されない。例えば、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種によって、バイオマス資源から直接ブタジエンを得る生物学的処理方法;上記化学的処理方法をバイオマス資源に施すことによりブタジエンを得る方法;上記物理的処理方法をバイオマス資源に施すことによりブタジエンを得る方法;インビトロの酵素反応等でバイオマス資源をブタジエンに変換する方法;これらの方法を組み合わせる方法等が挙げられる。なお、バイオマス資源をブタジエンに変換する微生物、植物、動物は、遺伝子操作されていても、されていなくても構わない。
微生物等を用いたバイオマス資源からブタジエンへの直接変換法は特に限定されないが、アミノ酸をアルキルアルコール類及び/又はヘミテルペン類に変換する生体内経路を用いて行うことが可能である。
アミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニンが好ましい。また、ヘミテルペン類としては、チグリン酸及び/又はアンゲリカ酸が好ましい。
好ましい例としては、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体に、デカルボキシラーゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子、及び/又はレダクターゼ活性を有する酵素をコードする遺伝子を導入及び/又は改変して、アミノ酸及び/又はヘミテルペン類よりブタジエンを得る方法が挙げられる。
デカルボキシラーゼ活性を有する酵素としては、例えば、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.33)、各種アミノ酸デカルボキシラーゼ、レダクターゼ活性を有する酵素としては、HMG−CoAレダクターゼ、12−オキソフィトジエン酸レダクターゼ(E.C. 1.3.1.42)等が挙げられる。
アミノ酸を経由する生体内反応によりブタジエンを発酵で生産する好ましい例としては、イソロイシンから微生物等が有する天然の代謝経路に沿って生体内合成されるチグリン酸及び/又はアンゲリカ酸に各種脱炭酸酵素を作用させることにより生産する方法が挙げられる。他にもアミノ酸の代謝途中に生産される各種脂肪酸誘導体を利用して、脱炭酸酵素反応により、ブタジエンを得ることができる。
ブタジエンを得るために必要なアミノ酸は、直接培地に添加しても構わないが、好ましい例としては、植物粉砕物、畜産廃棄物等の発酵により生体内でアミノ酸を生合成して、生合成したアミノ酸を利用することが好ましい。この場合には、糖類及び/又はたんぱく質類からブタジエンゴムが変換されることとなる。
一般的な発酵によるアルコール、アルケン類の製造方法が、バイオマス資源として主に糖類を利用するのに対して、この製造方法では、アミノ酸、たんぱく質を中心としたバイオマス資源も有効活用することもできる可能性が大きいため、有用である。
バイオマス資源からブタジエンを調製する他の方法としては、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種によって、バイオマス資源より、ブタジエンを合成可能な中間体を得て、得られた中間体に対して、触媒反応等の上記化学的処理方法、上記物理的処理方法、上記インビトロの酵素反応、これらの方法を組み合わせる方法等を施すことによりブタジエン(ブタジエン等のジエン)を得る方法も好ましく用いられる。
ブタジエンを合成可能な中間体としては、アルキルアルコール類、アリルアルコール類、アルケン類、アルデヒド類、不飽和カルボン酸類等が挙げられる。
アルキルアルコール類としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、エタノール、ブタノール、ブタンジオールが好ましく、ブタノール、ブタンジオールがより好ましい。なお、ブタノールは、1−ブタノールであっても、2−ブタノールであってもかまわず、これらの混合物であってもかまわない。
微生物等を使用して、バイオマス資源からエタノール(バイオマス資源由来のエタノールをバイオエタノールともいう)やブタノール(バイオマス資源由来のブタノールをバイオブタノールともいう)を発酵により製造する方法としては、公知の方法が種々知られており、酵母によるエタノール発酵により、バイオマス資源(例えば、サトウキビやグルコース)からバイオエタノールを得る方法、発酵菌類によるアセトン・ブタノール発酵(ABE発酵)により、バイオマス資源(例えば、グルコース)からバイオブタノールを得る方法が一般的である。ABE発酵の場合には、ブタノール、アセトン等の混合溶媒が得られるので、これを蒸留することでバイオブタノールが得られる。さらにブタノールは、バイオエタノールから触媒反応により直接、もしくはアセトアルデヒドを経て得ることも可能である。
ABE発酵を行う微生物は、ABE発酵を行うことが可能な微生物であれば特に限定されず、例えば、エシュリヒア(Escherichia)属、ジモモナス(Zymomonas)属、カンジダ(Candida)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、クロストリジウム(Clostridium)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等に属する微生物が挙げられる。これらは、野性株、変異株、または細胞融合もしくは遺伝子操作等の遺伝子工学的手法によって誘導された組み換え株等、いずれの形態の株でも用いることができる。なかでも、クロストリジウム属に属する微生物が好ましく、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Clostridium saccharobutylicum、Clostridium saccharoperbutylacetonicumがより好ましい。
バイオブタノールを生産する方法の好ましい例の一つとして、例えば、メバロン酸経路に関連する遺伝子、MEP/DOXP経路に関連する遺伝子、ブチリルCoAデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子、及びブタノールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種の遺伝子が導入されている微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種による発酵によりブタノールを得る方法が挙げられる(例えば、特表2010−508017号公報)。
また、バイオマス資源から発酵により製造されたエタノールやブタノールは、バイオエタノール、バイオブタノール(例えば、デュポン社製のバイオブタノール)として商業的にも流通している。
また、ブタンジオールは、バイオプラスチックの原料として各種発酵により直接製造する方法(例えば、Syu MJ,Appl Microbial Biotechnol 55:10−18(2001)、Qinら,Chinese J Chem Eng 14(1):132−136(2006)、特表2011−522563号公報、特開昭62−285779号公報、特開2010−115116号公報等)が開発されており、バイオ由来ブタンジオールとして容易に用いることができる。さらにバイオマス由来のコハク酸、フマル酸、フルフラール等を変換することにより、ブタンジオールを製造してもよい。
上記ブタンジオール発酵を行う微生物は、ブタンジオール発酵を行うことが可能な微生物であれば特に限定されず、例えば、エシュリヒア(Escherichia)属、ジモモナス(Zymomonas)属、カンジダ(Candida)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属、ピキア(Pichia)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、クロストリジウム(Clostridium)属、クリプシエラ(Klebsiella)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等に属する微生物が挙げられる。これらは、野性株、変異株、または細胞融合もしくは遺伝子操作等の遺伝子工学的手法によって誘導された組み換え株等、いずれの形態の株でも用いることができる。なかでも、バチルス属、クロストリジウム属、クリプシエラ属に属する微生物が好ましく、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、Bacillus polymyxa、Bacillus subtilis、Bacillus pumilus、Bacillus macerans、Bacillus licheniformis、Bacillus megaterium、Klebsiella pneumoniaeがより好ましい。
前記アルキルアルコール類からは、発酵等の上記生物学的処理方法や、触媒反応等の上記化学的処理方法、上記物理的処理方法、上記インビトロの酵素反応、これらの方法を組み合わせる方法等を施すことによりブタジエンに変換することができる。
アルキルアルコール類からブタジエンへの直接変換法としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、Ta/SiO、アルミナ、ゼオライト等の脱水、脱水素化触媒を用いて、エタノール及び/又はブタノールをブタジエンへ変換する方法が知られている。
アリルアルコール類としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、ブタジエンへの変換の容易さから、クロチルアルコール、3−ブテン−2−オールが好ましい。
クロチルアルコール、3−ブテン−2−オールは、微生物等の発酵により、バイオマス資源より直接得てもよいし、バイオマス由来のクロトン酸やその誘導体を還元することにより得てもよい。また、バイオマス由来のブタンジオールをゼオライト、アルミナ、酸化セリウム等を触媒としてクロチルアルコールを得ることも可能である(例えば、特開2004−306011号公報)。
アリルアルコール類からブタジエンへの変換方法としては、例えば、一般的に知られているゼオライト、アルミナ等の接触還元触媒により脱水することによりクロチルアルコールからブタジエンへ変換する方法等が挙げられる。
アルケン類としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、エチレン、ブテン(別名ブチレン)が好ましく、エチレンがより好ましい。
バイオマス由来のエチレン、ブテンの製法としては、例えば、バイオエタノールをアルミナ、ゼオライト等の脱水触媒もしくは高温処理にてエチレンにする方法、バイオブタノールをアルミナ、ゼオライト等の脱水触媒もしくは高温処理にてブテンに変換する方法等が挙げられる。
また、上記アルケン類(エチレン、ブテン)は、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を用いた発酵により、バイオマス資源から直接得ることも可能である。
上記エチレン発酵を行う微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体は、ACCシンターゼ(エチレンシンターゼ)活性を有する酵素をコードする遺伝子を導入及び/又は改変されているものであることが生産効率の点で好ましいが、この限りではない。
上記ブテン発酵を行う微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体は、ジホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(E.C.4.1.1.33) 活性を有する酵素をコードする遺伝子を導入及び/又は改変されているものであることが好ましいが(例えば、特表2011−526489号公報)、この限りではない。
上記アルケン類からブタジエンへの変換方法としては、例えば、ブテンをアルミナ、ゼオライト等でブタジエンに変換する方法、エチレンを塩化パラジウム等の酸化触媒で部分的にアセトアルデヒドに変換した後、残存エチレンと脱水反応することによりブタジエンを得る方法等が挙げられる。
アルデヒド類としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、アセトアルデヒドが好ましい。
アセトアルデヒドは、バイオマス資源より直接、微生物等の発酵により得てもよいし、バイオマス由来のエチレンから塩化パラジウム等の酸化触媒によりアセトアルデヒドに変換して得てもよい。
上記アルデヒド類からブタジエンへの変換方法としては、例えば、エチレンと脱水反応する方法等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、バイオマス由来であれば特に限定されず、チグリン酸、アンゲリカ酸が好ましい。
チグリン酸、アンゲリカ酸は、バイオマス資源より直接、微生物等の発酵により得てもよい。具体的には、チグリン酸、アンゲリカ酸は、イソロイシンから微生物等が有する天然の代謝経路により生体内合成できる。また、ハズ油等から精製してもよい。
上記不飽和カルボン酸類からブタジエンへの変換方法としては、例えば、チグリン酸やアンゲリカ酸に、各種脱炭酸酵素を作用させることにより変換する方法、金属触媒、ゼオライト、アルミナ等を作用させることにより変換する方法等が挙げられる。
上述の方法等により、バイオマス資源からブタジエンが得られる。
次に、バイオマス資源からスチレンを調製する方法について説明するが、スチレンを調製する方法は、以下で説明する方法に限定されるものではない。
バイオマス資源からスチレンを調製する方法としては、種々の方法をあげることができ、特に限定されない。例えば、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)からなる群より選択される少なくとも1種によって、バイオマス資源から直接スチレンを得る生物学的処理方法;上記化学的処理方法をバイオマス資源に施すことによりスチレンを得る方法;上記物理的処理方法をバイオマス資源に施すことによりスチレンを得る方法;インビトロの酵素反応等でバイオマス資源をスチレンに変換する方法;これらの方法を組み合わせる方法等が挙げられる。なかでも、生物学的処理方法が好ましい。この製造方法では、バイオマス資源として主に、培地における炭素源として使用される糖類が利用される。
なお、バイオマス資源をスチレンに変換する微生物、植物、動物は、遺伝子操作されていても、されていなくても構わない。
微生物等を用いたバイオマス資源からスチレンへの直接変換法(生物学的処理方法)は、特に限定されないが、フェニルアラニンから桂皮酸を経由して、スチレンを生合成する生体内経路を利用して行うことが可能である。
フェニルアラニンは、ほとんどの微生物、植物が有するシキミ酸経路により生合成される物質であり、このフェニルアラニンから桂皮酸を経由して、スチレンが生合成される生体内経路が知られている。従って、微生物等が有するこれらの生体内経路を利用して、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)からなる群より選択される少なくとも1種によって、バイオマス資源から直接スチレンを得ることができる。
微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、桂皮酸デカルボキシラーゼ(フェニルアクリル酸デカルボキシラーゼ)、及び/又はフェノール酸デカルボキシラーゼ(特に、フェルラ酸デカルボキシラーゼ)を高発現するよう操作されたものであることが、スチレンを効率的に生産するという点で好ましい。
また、同様に、スチレンを効率的に生産できるという理由から、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)は、スチレンの生合成経路の基質と考えられるフェニルアラニンの生産を促進(過剰生産)するよう改変されていることが好ましい。
具体的には、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)は、シキミ酸経路に関与する酵素及び/又はフィードバック阻害酵素を高発現するよう操作されたものであることが好ましい。
より具体的には、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)は、シキミ酸経路に関与する酵素を高発現させたものであること、L−フェニルアラニン生合成経路に関与する酵素においてL−フェニルアラニンによるフィードバック阻害が解除されていること、及び/又はフィードバック阻害が解除された酵素を高発現させたものであることが好ましい。
シキミ酸経路に関与する酵素としては、特に限定されないが、例えば、アロゲン酸デヒドラターゼ、プレフェン酸アミノトランスフェラーゼ、プレフェン酸デヒドラターゼ、コリスミ酸ムターゼ等が挙げられる。
スチレンを効率的に生産できるという理由から、微生物等を培養する培地(植物を栽培する土壌を含む)に、フェニルアラニン及び/又は桂皮酸(好ましくはバイオマス由来のフェニルアラニン及び/又は桂皮酸)を添加することが好ましい。スチレンを生合成する生体内経路の上流に位置するこれらの化合物を添加することにより、スチレンを効率的に生産できる。なお、添加するフェニルアラニン、桂皮酸は、微生物等を培養することにより調製できる。
バイオマス資源をスチレンへ直接変換可能な微生物としては、特に限定されないが、フザリウム属、ペニシリウム属、ピキア属、カンジダ属、デバリオミセス属、トルロプシス属、サッカロマイセス属、バチルス属、エシェリキア属、ストレプトマイセス属、シュードモナス属等に属する微生物が挙げられる。これらは、野性株、変異株、または細胞融合もしくは遺伝子操作等の遺伝子工学的手法によって誘導された組み換え株等、いずれの形態の株でも用いることができる。
フザリウム属に属する微生物としては、特に限定されないが、F.oxysporum、F.roseum、F.aquasductuum、F.fujikuroi、F.solani、F.graminearum、F.asiaticum、F.culmorum等がスチレン変換効率の点から好ましく、F.oxysporumがより好ましい。
ペニシリウム属に属する微生物としては、特に限定されないが、P.citrinum、P.oxalicum、P.glabrum、P.chrysogenum、P.digitatum、P.camemberti、P.islandicum、P.verrucosum、P.cyclopium、P.commune、P.citro−viride、P.rugulosum、P.italicum、P.expansum、P.marneffei、P.griseofluvum、P.galaucum、P.roqueforti、P.camamberti、P.natatum、P.gladioli等がスチレン変換効率の点から好ましく、P.citrinum、P.oxalicum、P.camambertiがより好ましく、P.citrinumが更に好ましい。
ピキア属に属する微生物としては、特に限定されないが、Pichia carsonii、Pichia anomala、Pichia pastoris、Pichia farinosa、Pichia membranifaciens、Pichia angusta等がスチレン変換効率の点から好ましく、Pichia carsoniiがより好ましい。
カンジダ属に属する微生物としては、特に限定されないが、C.famata、C.etchellsii、C.versatilis、C.stellata等がスチレン変換効率の点から好ましく、C.famataがより好ましい。
デバリオミセス属に属する微生物としては、特に限定されないが、Debaryomyces hanseniiがスチレン変換効率の点から好ましい。
トルロプシス属に属する微生物としては、特に限定されない。
サッカロマイセス属に属する微生物としては、特に限定されないが、S.cerevisiae、S.bayanus、S.boulardii等がスチレン変換効率の点から好ましい。
バチルス属に属する微生物としては、特に限定されないが、B.subtilis、B.thuringiensis、B.coagulans、B.licheniformis、B.megaterium等がスチレン変換効率の点から好ましく、B.subtilisがより好ましい。
エシェリキア属に属する微生物としては、特に限定されないが、E.albertii、E.blattae、E.coli、E.fergusonii、E.hermannii、E.vulneris等がスチレン変換効率の点から好ましく、E.coliがより好ましい。
ストレプトマイセス属に属する微生物としては、特に限定されないが、S.griseus、S.kanamyceticus、S.peucetius、S.galilaeus、S.parvulus、S.antibioticus、S.lividans、S.maritimus等がスチレン変換効率の点から好ましい。
シュードモナス属に属する微生物としては、特に限定されないが、P.aeruginosa、P.syringae pv. Japonica、P.meliae、P.putida等がスチレン変換効率の点から好ましく、P.putida、P.putida IH−2000、P.putida S12がより好ましく、P.putida IH−2000、P.putida S12が更に好ましい。
バイオマス資源をスチレンへ直接変換可能な微生物としては、ペニシリウム属、エシェリキア属に属する微生物が好ましく、P.citrinum、形質転換されたE.coliがより好ましい。
バイオマス資源をスチレンへ直接変換可能な植物としては、特に限定されないが、マンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科、ナス科、ニンジン科、ツバキ科等に属する植物が挙げられる。これらは、野性株、変異株、または細胞融合もしくは遺伝子操作等の遺伝子工学的手法によって誘導された組み換え株等、いずれの形態の株でも用いることができる。
マンサク科に属する植物(樹木)としては、特に限定されないが、スチレン産生効率の観点より、フウ属に属する植物(樹木)が好ましく、その中でもフウ(Liquidambar formosana)、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)、レバントストラックス(Liquidambar orientalis)がより好ましく、モミジバフウ、レバントストラックスが更に好ましく、モミジバフウが特に好ましい。
エゴノキ科に属する植物(樹木)としては、特に限定されないが、スチレン産生効率の観点より、エゴノキ属に属する植物(樹木)が好ましく、その中でもセイヨウエゴノキ(Styrax officinalis)、エゴノキ(Styrax japonica)、アンソクコウノキ(Styrax benzoin Dryander)がより好ましく、エゴノキが更に好ましい。
キョウチクトウ科に属する植物としては、特に限定されないが、スチレン産生の効率の観点から、ニチニチソウ属、キョウチクトウ属、ツルニチニチソウ属、アリアケカズラ属、ゴムカズラ属に属する植物が好ましく、ニチニチソウ属に属する植物(特に、ニチニチソウ)がより好ましい。
ナス科に属する植物としては、特に限定されないが、タバコ属の植物がスチレン産生の効率の観点より好ましく、N.tabacum と N.rusticaがより好ましい。
ニンジン科に属する植物としては、特に限定されないが、ニンジン属に属する植物がスチレン産生の効率の観点より好ましい。
ツバキ科に属する植物としては、特に限定されないが、ツバキ属、サカキ属、モッコク属に属する植物がスチレン産生の効率の観点より好ましい。
バイオマス資源をスチレンへ直接変換可能な植物としては、マンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科に属する植物が好ましく、フウ属、エゴノキ属、ニチニチソウ属に属する植物がより好ましく、モミジバフウ、レバントストラックス、エゴノキ、ニチニチソウが更に好ましく、モミジバフウ、エゴノキ、ニチニチソウが特に好ましい。
植物が樹木の場合、樹木からスチレンを得る方法としては、特に限定されないが、樹幹に傷をつけることにより滲出する樹脂(樹液)を精製することにより得る方法が、効率の点で好ましい。また、樹木の樹皮、幹、枝、根、葉等を粉砕し、適当な溶媒による抽出、加熱、及び/又は超音波照射等により揮発成分を得た後、精製することによっても得られる。
植物が樹木でない場合、樹脂としてスチレンを取得することは困難であるが、植物の組織(例えば、茎、葉、根、花等)を粉砕し、適当な溶媒による抽出、加熱、及び/又は超音波照射等により揮発成分を得た後、精製することによってスチレンが得られる。
また、上記植物の組織を培養し、培養した組織から、適当な溶媒による抽出、加熱、及び/又は超音波照射等により揮発成分を得ることにより、スチレンを得ることも可能である。
培養される植物の組織としては、特に限定されないが、効率良くスチレンが得られるという理由から、植物の組織片から誘導したカルスが好ましい。すなわち、植物の組織片からカルスを誘導し、誘導したカルスを培養することが好ましい。
カルスの誘導方法は、特に限定されず、例えば、植物生長ホルモン(例えば、オーキシン系植物ホルモン(例えば、ジクロロフェノキシ酢酸)及び/又はサイトカイニン系植物ホルモン(例えば、ベンジルアデニン))を含む培地で植物の組織片(例えば、芽、葉、茎等)を培養することによりカルスを誘導する方法が挙げられる。
バイオマス資源からスチレンを調製する他の方法としては、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(特に、微生物、植物、及びこれらの組織培養体)からなる群より選択される少なくとも1種によって、バイオマス資源より、スチレンを合成可能な中間体(特に、フェニルアラニン及び/又は桂皮酸)を得て、得られた中間体(特に、フェニルアラニン及び/又は桂皮酸)に対して、上記生物学的処理方法、触媒反応等の上記化学的処理方法、上記物理的処理方法、上記インビトロの酵素反応、これらの方法を組み合わせる方法等を施すことによりスチレンを得る方法も好ましく用いられる。なかでも、得られた中間体(特に、フェニルアラニン及び/又は桂皮酸)に対して、上記生物学的処理方法を施す方法が好ましい。
なお、上記中間体をスチレンに変換する微生物、植物、動物は、遺伝子操作されていても、されていなくても構わない。
得られた中間体(特に、フェニルアラニン及び/又は桂皮酸)に対して、上記生物学的処理方法を施すことによりスチレンを得る方法としては、例えば、上述のように、上記微生物等を培養する培地(植物を栽培する土壌を含む)にフェニルアラニン及び/又は桂皮酸を添加し、該培地で上記微生物等を培養すればよい。これにより、添加したフェニルアラニン及び/又は桂皮酸から、上記微生物等によりスチレンが生合成される。
得られた中間体であるフェニルアラニンに対して、触媒反応等の上記化学的処理方法を施すことによりスチレンを得る方法としては、例えば、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ等のアンモニアリアーゼを作用させて桂皮酸に変換した後、脱炭酸酵素、遷移金属触媒、ゼオライト等を用いて脱炭酸することによりスチレンを得る方法、直接ゼオライト、アルミナ等を用いて高温処理することによりスチレンを得る方法等が挙げられる。
得られた中間体である桂皮酸に対して、触媒反応等の上記化学的処理方法を施すことによりスチレンを得る方法としては、例えば、遷移金属等を用いた金属触媒、ゼオライト、アルミナ等を高温で作用させることにより脱炭酸反応でスチレンを得る方法等が挙げられる。
上述の方法等により、バイオマス資源からスチレンが得られる。
上述の方法等により、バイオマス資源から得られたブタジエン、スチレンからスチレンブタジエンゴム(バイオマススチレンブタジエンゴム(BSBR))を重合する方法は、当業者にとって公知の方法である、石油資源由来のブタジエン、スチレンからスチレンブタジエンゴムを重合する方法と同様であり、特に限定されるものではない。
バイオマス資源から得られたブタジエンとしては、入手容易性、得られるBSBRの性能等の観点から、アルキルアルコール類(好ましくはエタノール、ブタノール(より好ましくはブタノール))由来のブタジエン、アルケン類(好ましくはエチレン)由来のブタジエン、不飽和カルボン酸類(好ましくはチグリン酸)由来のブタジエンを好適に使用できる。また、これらのブタジエンを組み合わせて使用することも好適である。
バイオマス資源から得られたスチレンとしては、入手容易性、得られるBSBRの性能等の観点から、植物(好ましくはマンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科に属する植物、より好ましくはフウ属、エゴノキ属、ニチニチソウ属に属する植物、更に好ましくはモミジバフウ、エゴノキ、ニチニチソウ)により得られたスチレン、微生物(好ましくはペニシリウム属、エシェリキア属に属する微生物、より好ましくはP.citrinum、形質転換されたE.coli)により得られたスチレンを好適に使用できる。また、これらのスチレンを組み合わせて使用することも好適である。
得られるBSBRの分子量、分岐、ミクロ構造は、求めるタイヤの性能に合わせて、公知の方法に従って重合条件を変更することにより任意に選択することができる。
一方で、現在、バイオエタノール、バイオエチレン等を中心としたバイオマスコンビナートの計画が一部に存在するが、バイオエタノール、バイオエチレンは、主に糖類及び/又はセルロース類をバイオマス資源として製造されており、たんぱく質、脂質、アミノ酸といった他のバイオマス資源を有効に活用することができていない。さらに、糖類は食料との競合、セルロースの乱獲は森林伐採に繋がり、必ずしも環境に配慮されていない状況も起こり得る。
そのため、種々のバイオマス資源の供給状況、石油資源の供給状況、市場の要求(例えば、バイオマス資源の食料としての需要との競合動向)といった総合的な環境への要望に応じて、上記バイオマス由来のモノマー成分として、バイオマス由来のモノマー成分を複数使用したり、バイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分とを併用したり、これらのモノマー成分の使用比率を最適な比率になるように調整して使用したりすることが好ましい。これにより、一種類のバイオマス資源に頼ることなく、糖、たんぱく質、脂質等幅広いバイオマス資源を有効に活用することができ、バイオマス由来ゴムの供給の安定化、製造時の状況に応じた環境への配慮を行うことができる。例えば、バイオマス由来のブタジエンは、バイオエタノール、バイオブタノール、テルペン類他前記の様々な基質を利用して得ることが可能である。また、バイオマス由来のスチレンは、様々な植物、微生物を利用して得ることが可能である。
なお、バイオマス由来のモノマー成分を複数使用する場合には、異なるバイオマスを由来とするモノマー成分、すなわち、異なるバイオマス資源から得られたモノマー成分を使用することが好ましい。具体的には、バイオマス由来のブタジエンとして、由来が異なる複数のバイオマス由来のブタジエンの混合物を使用すること、及び/又は、バイオマス由来のスチレンとして、由来が異なる複数のバイオマス由来のスチレンの混合物を使用することが好ましい。これにより、複数のバイオマス資源を有効活用することができ、上述の総合的な環境への要望により好適に応じることができる。
また、バイオマス資源から得られたブタジエン、スチレンからBSBRに変換する別の好ましい例としては、酵素反応を利用する方法がある。ゴムラテックスに含まれるいくつかの酵素(長鎖プレニル鎖延長酵素)はジエンの重合反応を促進する効果があることが知られており、これらの酵素を利用してインビボ又はインビトロで重合を行うことができる。
長鎖プレニル鎖延長酵素としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。
BSBRをバイオマス資源から直接得る方法としては、例えば、ジエン重合能を保有する微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を培養(組織培養)することによって、バイオマス資源より直接BSBRに変換する方法、ブタジエン(好ましくはバイオマス資源から得られたブタジエン)、スチレン(好ましくはバイオマス資源から得られたスチレン)を添加した培地で、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を培養することによって、BSBRを重合させる方法等が挙げられる。
上記ジエン重合能を保有する微生物等としては、例えば、パラゴムノキ、インドゴムノキ、タンポポ、イチヂク、ノゲシ、セイタカアワダチソウ、グアユーレ、サボジラ、トチュウ等の植物やそれらの組織培養体が好適に挙げられる。
なお、微生物等を培養する場合、通常、炭素源としてグルコース等の糖類が使用されるため、微生物等により製造される化合物は、全てバイオマス資源由来物質に該当する。
以上の説明のように、BSBRは、原料ブタジエン(モノマー成分であるブタジエン)、原料スチレン(モノマー成分であるスチレン)の少なくとも一部として、バイオマスから始める反応(バイオマス資源からブタジエン及び/又はスチレンへの1段階の反応(バイオマス資源からブタジエン及び/又はスチレンを直接生成させる反応)または一連の反応(バイオマス資源を開始物質としてブタジエン及び/又はスチレンを生成させる一連の反応)によって得られものを使用して重合して得られたものである。
ゴム成分100質量%中のバイオマス由来ゴム(好ましくはBSBR)の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。また、該含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。バイオマス由来ゴム(好ましくはBSBR)の含有量が上記範囲内であると、循環型社会の要求に応えながら、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)が得られる。
バイオマス由来ゴム以外にタイヤ用ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ジエン系合成ゴム(イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等)が挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、バイオマス由来ゴムと併用することにより、循環型社会の要求に応えながら、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が得られるという理由から、NRが好ましい。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。NRの含有量が上記範囲内であると、循環型社会の要求に応えながら、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が得られる。
本発明のゴム組成物は、充填剤を含むことが好ましい。充填剤としては、タイヤにおいて公知に使用されているものであれば、限定無く使用できる。前記充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、セルロース、ガラスバルーン、各種短繊維等が挙げられる。前記充填剤としては、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウムがタイヤ物性の面で好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても構わない。
上記充填剤の配合量は、ゴム100質量部に対して、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜180質量部、更に好ましくは30〜150質量部である。10質量部未満であると、ゴム組成物の強度が不十分となり、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が低下する傾向がある。一方、200質量部を超えると、充填剤がゴムに充分に分散せず、ゴム物性(低燃費性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性)が低下する傾向がある。
上記充填剤のなかでも、シリカを含むことが、タイヤの低燃費性向上の点から好ましい。
シリカのBET法による窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましい。50m/g未満では、ゴム強度が低下し、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が低下する傾向がある。また、該NSAは、250m/g以下が好ましく、200m/g以下がより好ましい。250m/gを超えると、加工性が悪化し、低燃費性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が悪化する傾向にある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。該シリカの含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。シリカの含有量が上記範囲内であると、良好な低燃費性が得られるとともに、良好な補強効果(耐摩耗性、耐屈曲疲労性)も得られる。
上記充填剤のなかでも、カーボンブラックを含むことが、タイヤのグリップ性能、耐摩耗性、耐屈曲疲労性向上の点から好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は50m/g以上が好ましく、90m/g以上がより好ましい。50m/g未満では、充分な補強性が得られず、充分なグリップ性能、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が得られないおそれがある。該NSAは、180m/g以下が好ましく、130m/g以下がより好ましい。180m/gを超えると、分散させるのが困難となり、低燃費性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。5質量部未満では、充分なグリップ性能、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。100質量部を超えると、分散性が悪化し、低燃費性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性が悪化する傾向がある。
タイヤ用ゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シランカップリング剤、オイル、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜配合できる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
また、ゴム組成物を製造する際の、バイオマス資源の供給状況、石油資源(例えば、石油資源由来のモノマー成分)の供給状況、及び/又は市場の要求(例えば、バイオマス資源の食料としての需要との競合動向)といった総合的な環境への要望に応じて、バイオマス由来のモノマー成分、石油資源由来のモノマー成分の比率を適宜選択して、適宜選択された比率で、バイオマス由来のモノマー成分、若しくはバイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分とを重合して、バイオマス由来ゴムを重合することにより、従来の合成ゴムを用いた場合と同等の性能のバイオマス由来ゴムを製造することができる。
本発明のタイヤ部材は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤ部材(トレッド、サイドウォール、ビードフィラー、チェーファー、クリンチ等)の形状に合わせて押し出し加工し、成形し、加硫機中で加熱加圧してタイヤ部材を製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド等の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
下記製造例で得られたブタジエン、スチレン、スチレンブタジエンゴムについて、下記の方法にて評価を行った。
(ブタジエン、スチレン、スチレンブタジエンゴムのpMC)
ブタジエン、スチレン、スチレンブタジエンゴムのpMCは、下記の方法にて、ASTMD6866−10に準拠して測定した。
試料(ブタジエン、スチレン、又はスチレンブタジエンゴム)を燃焼させ、二酸化炭素(CO)を発生させ、該二酸化炭素を真空ラインで精製した。次に、鉄を触媒として、精製した二酸化炭素を水素で還元し、グラファイト(C)を生成させた。そして、得られたグラファイトを内径1mmのカソードにハンドプレス機で詰め、それをホイールにはめ込み、測定装置(タンデム加速器をベースとした14C−AMS 専用装置(NEC社製))に装着した。該測定装置により、14C濃度、13C濃度の測定を行い、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸を標準試料として、バイオマス比率を示すpMC(%)を算出した。なお、pMCの算出の際に、13C濃度値による補正を行った。
(スチレンブタジエンゴムのスチレン含量)
BRUKER社製AV400のNMR装置、データ解析ソフトTOP SPIN2.1を用いてスチレン含量を測定した。
(スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg))
JIS−K7121に従い、(株)島津製作所製の自動示差走査熱量計(DSC−60A)を用いて、昇温速度10℃/分の条件でガラス転移温度(Tg)を測定した。
(スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn))
下記の条件(1)〜(8)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。そして、測定したMw、Mnから重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:東ソー社製HLC−8020
(2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
製造例1(ブタノールからブタジエンを製造)
<バイオブタノールの製造>
300mlの発酵槽(DASGIP)にSoni et al(Soni et al,1987,Appl.Microbiol.Biotechnol.27:1−5)に記載の250mlの合成培地(糖類を含む)を満たし、窒素で30分スパージした。そこにClostridium acetobutylicum(ATCC824)を嫌気性条件下で、接種した。培養温度は35℃に一定維持し、pHはNHOH溶液を用い、5.5に調節した。培養中、嫌気性条件を維持し、振盪速度は300rpmで維持した。5日間培養後、培養液を蒸留し、従来より周知となっているイオン交換樹脂法により分離して、バイオブタノール(1−ブタノール)を得た。
<バイオブタノールからブタジエンを製造>
図1に示す装置を用いて、<バイオブタノールの製造>により得られたバイオブタノール(1−ブタノール)を原料として、バイオマス由来ブタジエンを合成した。
アルコール導入管(原料導入管)21と、導入されたアルコールを気化させる加熱装置(電気炉)22と、該アルコールを脱水反応させる脱水反応用カラム23と、該脱水反応で得られた生成物を冷却して精製アルケン混合物から水を除去するための冷却装置24と、該アルケンを気化させる加熱装置25と、該アルケンからさらに脱水素反応してブタジエンを合成する二段目反応カラム26と、生成した反応生成物を回収するための冷却装置27とを備える装置(図1参照)を用いた。脱水反応用カラム23は、触媒として酸化アルミニウム(メルク(株)製の101095100)を10g充填した。
二段目の脱水素化反応の触媒は、以下のようにして調整した。硝酸クロム5.8gをイオン交換水に溶解させ、この中にSSZ−35型ゼオライト(シリカ/アルミナ比:40)6gを入れて含浸させ、一晩放置した。その後、100℃のオーブン中で乾燥させて前駆体を得た。この前駆体をセラミックス製容器中に入れ、空気の存在下に700℃で3時間の焼成を行って、クロム10質量%を含むクロム担持ゼオライト触媒を得た。
そして、二段目反応カラム26に、前記クロム担持ゼオライト触媒を10g充填した。
ガス導入管(図示せず)より脱水反応用カラム23に窒素ガスを供給した。窒素ガスの供給速度はLHSV換算で1/hrとした。加熱装置22によって脱水反応用カラム23を所定温度まで昇温した後、アルコール導入管21よりバイオブタノールを所定量供給した。反応条件は、反応温度:500℃、反応圧力:常圧、バイオブタノールと窒素とのモル比(バイオブタノール/窒素):50/50とした。反応時間は2時間とした。生成物を脱水反応用カラム23に連結された冷却装置(生成物トラップ)24に集め、水を分離した。
二段目反応カラム26は、500℃に加熱した。冷却装置(生成物トラップ)27は、−20℃に冷却した。冷却装置(生成物トラップ)24を通じて、予備加熱した混合気体(一段目の脱水反応で得られたブテン混合物/窒素/空気を1:1:1)を供給速度はLHSV換算で1/hr導入し、得られた反応混合物を特開昭60−115532号公報に記載の方法で分離、精製することにより、バイオマス由来のブタジエンを8%の収率で得た。得られたブタジエン(バイオマス由来ブタジエン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、105%であった。
製造例2(バイオエタノールからブタジエンを製造)
図1の装置を用いて、エタノールをブタジエンに変換する公知の方法(Kirshenbaum, I. (1978). Butadiene. In M. Grayson (Ed.), Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd ed., vol. 4, pp. 313337. New York: John Wiley & Sons.)により、市販のバイオエタノールを用いて、バイオマス由来ブタジエンを合成した。得られたブタジエン(バイオマス由来ブタジエン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、108%であった。
製造例3(バイオエチレンからブタジエンを製造)
酢酸パラジウム 0.5mmol/Lを、0.3mol/L NaPMo40 に溶解して調製した触媒を図1の装置の二段目反応カラム26に導入し、装置をアルゴン置換した。そこにバイオマス由来のエチレン(試作品、トウモロコシ由来バイオエタノールよりの製品)を導入した。装置を150℃、0.5MpaGの条件下で循環ライン28を通じて触媒溶液を循環させながら1時間反応した。冷却装置27のドレインを通じて触媒溶液を除去後、バイオエタノールを浸漬させたアルミナ触媒(住友化学社製アルミナKHA−46)を投入し、400℃で5時間反応させた。反応混合物をGC/MSにて分析することにより、ブタジエンの生成を確認した。得られたブタジエン(バイオマス由来ブタジエン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
製造例4(チグリン酸からブタジエンを製造)
ハズ油より分離・精製したチグリン酸(生体内アミノ酸経由中間体)500mg、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)30mg、トリエチルホウ素10mgをアルゴン充填したオートクレーブにいれ、200℃で1時間反応させた。生成物をGC/MSで分析することにより、ブタジエンの生成を確認した。得られたブタジエン(バイオマス由来ブタジエン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、108%であった。
製造例1〜4で得られたバイオマス由来ブタジエンをBRUKER社製AV400のNMR装置(データ解析ソフトTOP SPIN2.1)を用いて測定したところ、これらのブタジエンは、1,3−ブタジエンであることを確認した。
製造例5(マンサク科に属する樹木からスチレンを製造)
モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)の樹皮を一部剥がし、滲出してきた樹脂合計620gをトルエンに浸漬した。半日放置後、トルエン溶液をろ過し、蒸留して130〜160℃の留分を2.4g分取した。得られた留分をHPLCにて分離精製することにより、スチレンを0.8g得た。得られたスチレン(バイオマス由来スチレン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
また、剥がした樹皮1kgを同様に処理して、スチレンを0.8g得た。得られたスチレン(バイオマス由来スチレン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
製造例6(エゴノキ科に属する樹木からスチレンを製造)
エゴノキ(Styrax japonica)の樹脂610gを製造例5と同様に処理して、スチレンを0.1g得た。得られたスチレン(バイオマス由来スチレン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
製造例7(植物の組織培養によるスチレン製造)
ニチニチソウの芽を切り取り、70%のエタノール溶液、次いで約0.5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬後、滅菌水で洗浄した。1.0mg/lのジクロロフェノキシ酢酸、1.0mg/lのベンジルアデニンを加えたMS培地に洗浄した組織片(芽)を置床した。これを25℃で5週間培養することにより、カルスを形成させた。
次にGamborg B5 液体培地 (Gamborg O.L.,Miller R. A.,Ojima K.,Experimental Cell Research,50,151158(1968).)に、50mgのバイオマス由来の桂皮酸、1.0mg/lのジクロロフェノキシ酢酸、1.0mg/lのベンジルアデニン、3%のショ糖を加えた培地20mlに上記カルス10gを移植した。これを培養温度25℃、暗黒下、回転数100rpmで振盪しながら、12日間培養した。
培養組織を取り出して、水で洗浄、乾燥した後、冷凍粉砕したものをヘキサンにて抽出し、抽出液をHPLCで分離精製して、6mgのスチレンを得た。得られたスチレン(バイオマス由来スチレン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
また、バイオマス由来の桂皮酸は、アロマ用途として販売されているハーブ(ゴマノハグサ)由来の桂皮酸をさらに高速液体クロマトグラフィーにより精製することにより調製した。
製造例8(遺伝子の改変されていない微生物によるスチレン製造)
ポテトデキストロール培地粉末(シグマアルドリッチ製)24gを精製水1000mLに溶解し、121℃20分間オートクレーブ滅菌した。使用前に終濃度100mg/Lになるようにクロラムフェニコールを添加した。
Penicillium citrinum(ATCC 9849)を培地に接種し、25℃、密閉条件で2週間静置培養した。その後、ヘキサンを培養容器に加えて振盪した後、ヘキサン層を分離してGC/MSにて分析することにより、スチレンの生成を確認した。得られたスチレン(バイオマス由来スチレン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
製造例9(遺伝子組換え大腸菌によるスチレン製造)
<encP遺伝子(フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする遺伝子)断片の調製およびencP発現プラスミドの構築>
放線菌Streptomyces maritimus encP遺伝子(開始コドンからストップコドンまでの1572bp(GenBank受入番号:AF254925 ヌクレオチド番号16269〜17840))を人工遺伝子として作製し、クローニングベクターpUC19プラスミドの内SmaIサイトに挿入したDNAをPCRの鋳型とした。5’末端側にNdeIサイトを含む上流側プライマー(配列番号1)および5’末端側にBamHIサイトを含む下流側プライマー(配列番号2)を用いてPCRを行い、反応液をQIAprep PCR Purification Kit(キアゲン)で精製して、両末端に新規の制限酵素サイトを含むencP遺伝子のDNAフラグメントE(NdeI−encP−BamHI:1592bp)を得た。
一般的な組換えDNA手順により、NdeI制限酵素およびBamHI制限酵素で処理したDNAフラグメントEを、pET11aベクター(Novagen)のNdeI−BamHIサイトに連結し、大腸菌DH−5αコンピテントセルに形質転換してアンピシリン50μg/mLを含むLB寒天培地に播種し、37℃で1晩培養した。寒天培地に形成した大腸菌コロニーを、アンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地5mLで37℃、1晩振とう培養し、得られた大腸菌からQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン)を使ってプラスミドを抽出した。DNA配列解析によりpET11aベクターの目的の部位にGenBank受入番号AF254925のDNA配列が挿入されていることが確認できたプラスミドを、encP発現プラスミドpET11−encP(図2(a)に示すプラスミド)とした。
<FDC1遺伝子(フェルラ酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子)の単離>
出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeからYeast Geno−DNA−Template(Geno Technology, Inc)を用いてゲノムDNAを精製し、これを1回目のPCRの鋳型とした。上流側プライマー(配列番号3)および下流側プライマー(配列番号4)を用いてPCRを行い、反応液をQIAprep PCR purification Kit(キアゲン)で精製して、得られたDNAを2回目のPCRの鋳型とした。5’末端側にBspHIサイトを含む上流側プライマー(配列番号5)および5’末端側にHindIIIサイトを含む下流側プライマー(配列番号6)を用いて2回目のPCRを行い、反応液をQIAprep PCR purification Kit(キアゲン)で精製して、両末端に新規の制限酵素サイトを付加したFDC1遺伝子のDNAフラグメントF(BspHI−FDC1−HindIII:1525bp)を得た。
<PAD1遺伝子(桂皮酸デカルボキシラーゼ(フェニルアクリル酸デカルボキシラーゼ)をコードする遺伝子)の単離>
上述のSaccharomyces cerevisiaeゲノムを鋳型とし、上流側プライマー(配列番号7)および下流側プライマー(配列番号8)を用いてPCRを行い、反応液をPCR purification Kit(キアゲン)で精製して、得られたDNAを2回目のPCRの鋳型とした。5’末端側にNdeIサイトを含む上流側プライマー(配列番号9)および5’末端側にXhoIサイトを含む下流側プライマー(配列番号10)を用いて2回目のPCRを行い、反応液をQIAprep PCR purification Kit(キアゲン)で精製して、両末端に新規の制限酵素サイトを付加したPAD1遺伝子のDNAフラグメントP(NdeI−PAD1−XhoI:746bp)を得た。
<FDC1/PAD1共発現プラスミドの構築>
pRSFDuet−1(Novagen)のマルチプルクローニングサイト−1(MCS−1)にFDC1遺伝子DNAフラグメントFを、マルチプルクローニングサイト−2(MCS−2)にPAD1遺伝子DNAフラグメントPを、以下の手順で挿入した。
一般的な組換えDNA手順により、pRSFDuet−1ベクター(Novagen)のマルチプルクローニングサイト−1内NcoIサイトおよびHindIIIサイトに、BspHI制限酵素およびHindIII制限酵素で処理したDNAフラグメントFを挿入した。寒天培地および液体培地中のアンピシリンをカナマイシンに変更したことを除いて、pET11−encPの構築と同様の手順で、pRSF−FDC1を構築した。
同様にして、pRSF−FDC1のNdeIサイトおよびXhoIサイト(元のベクターpRSFDuet−1のMCS−2に由来する)に、NdeI制限酵素およびXhoI制限酵素で処理したDNAフラグメントPを組み込み、構築したプラスミドをpRSF−FDC1−PAD1(図2(b)に示すプラスミド)とした。
<形質転換体の作製>
pET11−encPおよびpRSF−FDC1−PAD1を大腸菌BL21(DE3)コンピテントセルに同時に形質転換してアンピシリン35μg/mLおよびカナマイシン20μg/mLを含むLB寒天培地に播種し、30℃で1晩培養して寒天培地に大腸菌コロニーの形成を確認した。
<形質転換体によるスチレンの産生>
pET11−encPおよびpRSF−FDC1−PAD1を形質転換した大腸菌コロニーを、アンピシリン35μg/mLおよびカナマイシン20μg/mLを含むLB液体培地1mLに接種し、30℃で1晩振とう培養して前培養液とした。300mL容量マイエルフラスコ中のアンピシリン35μg/mLおよびカナマイシン20μg/mLを含むLB液体培地50mLに、前培養液100μLを接種し、30℃15時間振とう培養した。波長600nmにおける培養液の吸光度(A600)を30分毎に測定しながら、さらに同条件で培養を続け、A600が0.8になった時点で、タンパク質発現を誘導するために1M イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を25μL(終濃度0.5mM)添加し、さらに8時間培養した。
<培養液中のスチレン産生量の測定>
培養液を遠心分離し、その上澄みにヘキサンを加えて激しく撹拌した。遠心分離にかけた後、ヘキサン層を分離してGC/MSにて分析することにより、スチレンの生成を確認した。スチレンの産生量は140mg/Lであった。得られたスチレン(バイオマス由来スチレン)のバイオマス比率を示すpMCの値は、109%であった。
製造例10(バイオマススチレンブタジエンゴム(BSBR)の製造)
バイオマス由来のブタジエンとして、製造例1〜4で得られたバイオマス由来ブタジエン(1,3−ブタジエン)を混合したものを、バイオマス由来のスチレンとして、製造例5〜9で得られたバイオマス由来スチレンを混合したものを、モノマー成分として使用してBSBR(本発明のバイオマス由来ゴムに相当)の合成を行った。
使用した薬品は、以下のとおりである。
シクロヘキサン:関東化学(株)製の無水シクロヘキサン
ブタジエン:製造例1〜4で得られたバイオマス由来ブタジエンの混合物
スチレン:製造例5〜9で得られたバイオマス由来スチレンの混合物
TMEDA:関東化学(株)製のテトラメチルエチレンジアミン
ブチルリチウム溶液:関東化学(株)製の1.6M−n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液
BHT溶液:関東化学(株)製のBHT(2,6−tert−ブチル−p−クレゾール)0.1gを関東化学(株)製のイソプロパノール100mlに溶解させて調製した溶液
<BSBRの合成>
反応釜(500mlの耐圧ステンレス容器)を窒素置換し、窒素雰囲気を保持しながらシクロヘキサンを180ml、ブタジエンを20ml(222mmol)、スチレン3.5ml(30mmol)、TMEDA0.3ml(2mmol)を投入し、撹拌を開始した。
次に容器内温度を40℃に昇温し、ブチルリチウム溶液を0.06ml投入し、重合を開始させた。3時間撹拌後、重合体溶液にBHT溶液0.1mlを添加し5分間撹拌した後、重合体溶液を取り出した。重合体溶液を300mlエタノール中に撹拌しながら注ぎ、重合物を凝固させた。得られた重合物を風乾後、24時間減圧乾燥を行い、バイオマススチレンブタジエンゴム(BSBR)を得た。収率は95%であった。分析の結果、得られたBSBRのMwは40.2×10、Mw/Mnは1.07、バイオマス比率を示すpMCは108%、Tgは−25℃、スチレン含量は22.3質量%であった。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3(Tg:−75℃)
SBR:日本ゼオン(株)製のNS116(Tg:−25℃、スチレン含量:21質量%、Mwは68.7×10、Mw/Mnは1.12)
BSBR:製造例10により得られたバイオマススチレンブタジエンゴム(本発明のバイオマス由来ゴムに相当)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のシーストN220(NSA:114m/g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(平均一次粒子径:15nm、NSA:175m/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。次に、得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を下記により評価した。結果を表1に示す。
(1)転がり抵抗指数
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合(加硫ゴム組成物)のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗性(低燃費性)に優れる。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(2)WET性能指数
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度20℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合(加硫ゴム組成物)のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほどWET性能(ウェットグリップ性能)に優れる。
(WET性能指数)=(各配合のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
(3)加工性指数
得られた未加硫ゴム組成物について、JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での上記未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定した。測定結果を比較例1の結果を100とし、下記計算式により、各配合のムーニー粘度を指数表示した。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=(比較例1のムーニー粘度)/(各配合のムーニー粘度)×100
Figure 0006532192
表1から、比較例2では、ゴム成分として、NR50質量%、SBR50質量%を採用しているため、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性が得られているものの、ゴム成分全体のpMCが低く、循環型社会の要求に充分に応えることができていない。一方、比較例1では、ゴム成分として、NR100質量%を採用しているため、ゴム成分全体のpMCが高くなり、循環型社会の要求に応えることはできるものの、低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)が大幅に低下した。それに対して、実施例1では、ゴム成分として、NR50質量%、BSBR50質量%を採用しているため、ゴム成分全体のpMCが高くなり、循環型社会の要求に応えることができると共に、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、加工性(特に、ウェットグリップ性能、加工性)も得られた。
21 アルコール導入管(原料導入管)
22 加熱装置(電気炉)
23 脱水反応用カラム
24 冷却装置
25 加熱装置
26 二段目反応カラム
27 冷却装置
28 循環ライン
(配列表フリーテキスト)
配列番号1:上流側プライマー(encP−U−Nde)
配列番号2:下流側プライマー(encP−L−Bam)
配列番号3:上流側プライマー(FDC1−gU)
配列番号4:下流側プライマー(FDC1−gL)
配列番号5:上流側プライマー(FDC1−nU−BspHI)
配列番号6:下流側プライマー(FDC1−nL−Hind)
配列番号7:上流側プライマー(PAD1−gU)
配列番号8:下流側プライマー(PAD1−gL)
配列番号9:上流側プライマー(PAD1−nU−Nde)
配列番号10:下流側プライマー(PAD1−nL−Xho)

Claims (34)

  1. スチレンブタジエンゴム及びカーボンブラックを含むタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、前記スチレンブタジエンゴムが、モノマー成分であるブタジエン、モノマー成分であるスチレンの少なくとも一部として、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、又は、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、微生物、植物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を用いて得られたスチレンを使用して重合して得られたものであり、
    前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が、50〜180m/gであるタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  2. 前記スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)が−60℃以上である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  3. 前記アルケン類が、ブテン及び/又はエチレンである請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  4. 前記不飽和カルボン酸類が、チグリン酸及び/又はアンゲリカ酸である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  5. 前記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より変換されたものである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  6. 前記植物が、マンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科、ナス科、ニンジン科、及びツバキ科からなる群より選択される少なくとも1種の科に属する植物である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  7. 前記微生物が、フザリウム属、ペニシリウム属、ピキア属、カンジダ属、デバリオミセス属、トルロプシス属、サッカロマイセス属、バチルス属、エシェリキア属、ストレプトマイセス属、及びシュードモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する微生物である請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  8. 前記微生物が、遺伝子改変されていない微生物である請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  9. 前記微生物及び/又は植物が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼを高発現するよう操作されたものである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  10. 前記微生物及び/又は植物が、桂皮酸デカルボキシラーゼ(フェニルアクリル酸デカルボキシラーゼ)を高発現するように操作されたものである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  11. 前記微生物及び/又は植物が、フェノール酸デカルボキシラーゼを高発現するよう操作されたものである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  12. 前記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、植物の代謝により得られたものである請求項1〜11のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  13. 前記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、微生物の発酵により得られたものである請求項1〜11のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  14. 前記スチレンブタジエンゴムが、由来が異なる複数のブタジエンを重合することにより得られたものである請求項1〜13のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  15. 前記スチレンブタジエンゴムが、由来が異なる複数のスチレンを重合することにより得られたものである請求項1〜14のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  16. 前記スチレンブタジエンゴムのASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上である請求項1〜15のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物の製造方法。
  17. スチレンブタジエンゴム及びカーボンブラックを含むタイヤ用ゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材の製造方法であって、前記スチレンブタジエンゴムが、モノマー成分であるブタジエン、モノマー成分であるスチレンの少なくとも一部として、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、又は、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、微生物、植物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を用いて得られたスチレンを使用して重合して得られたものであり、
    前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が、50〜180m/gであるタイヤ部材の製造方法。
  18. スチレンブタジエンゴム及びカーボンブラックを含むタイヤ用ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤの製造方法であって、前記スチレンブタジエンゴムが、モノマー成分であるブタジエン、モノマー成分であるスチレンの少なくとも一部として、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、又は、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、微生物、植物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を用いて得られたスチレンを使用して重合して得られたものであり、
    前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が、50〜180m/gである空気入りタイヤの製造方法。
  19. バイオマス由来のモノマー成分、又はバイオマス由来のモノマー成分と石油資源由来のモノマー成分とを重合し、バイオマス由来のモノマー成分が、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエン、又は、バイオマス由来のアルケン類、及び不飽和カルボン酸類からなる群より選択される少なくとも1種のバイオマス由来成分から触媒反応により得られたブタジエンと、微生物、植物、及びこれらの組織培養体からなる群より選択される少なくとも1種を用いて得られたスチレンとであることを特徴とする、スチレンとブタジエンを重合して得られ、ASTMD6866−10に準拠して測定したpMC(percent Modern Carbon)が1%以上であるバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  20. 前記スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)が−60℃以上である請求項19記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  21. 前記アルケン類が、ブテン及び/又はエチレンである請求項19又は20記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  22. 前記不飽和カルボン酸類が、チグリン酸及び/又はアンゲリカ酸である請求項19〜21のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  23. 前記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より変換されたものである請求項19〜22のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  24. 前記植物が、マンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科、ナス科、ニンジン科、及びツバキ科からなる群より選択される少なくとも1種の科に属する植物である請求項19〜23のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  25. 前記微生物が、フザリウム属、ペニシリウム属、ピキア属、カンジダ属、デバリオミセス属、トルロプシス属、サッカロマイセス属、バチルス属、エシェリキア属、ストレプトマイセス属、及びシュードモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する微生物である請求項19〜24のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  26. 前記微生物が、遺伝子改変されていない微生物である請求項19〜25のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  27. 前記微生物及び/又は植物が、フェニルアラニンアンモニアリアーゼを高発現するよう操作されたものである請求項19〜25のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  28. 前記微生物及び/又は植物が、桂皮酸デカルボキシラーゼ(フェニルアクリル酸デカルボキシラーゼ)を高発現するように操作されたものである請求項19〜25のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  29. 前記微生物及び/又は植物が、フェノール酸デカルボキシラーゼを高発現するよう操作されたものである請求項19〜25のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  30. 前記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、植物の代謝により得られたものである請求項19〜29のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  31. 前記スチレンが、バイオマス由来の桂皮酸より、微生物の発酵により得られたものである請求項19〜29のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  32. 由来が異なる複数のブタジエンを重合する請求項19〜31のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  33. 由来が異なる複数のスチレンを重合する請求項19〜32のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
  34. 前記スチレンブタジエンゴムのpMCが100%以上である請求項19〜33のいずれかに記載のバイオマス由来スチレンブタジエンゴムの製造方法。
JP2014090115A 2014-04-24 2014-04-24 タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ Active JP6532192B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014090115A JP6532192B2 (ja) 2014-04-24 2014-04-24 タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014090115A JP6532192B2 (ja) 2014-04-24 2014-04-24 タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012197502A Division JP5536840B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014148683A JP2014148683A (ja) 2014-08-21
JP6532192B2 true JP6532192B2 (ja) 2019-06-19

Family

ID=51571904

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014090115A Active JP6532192B2 (ja) 2014-04-24 2014-04-24 タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6532192B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5944807B2 (ja) * 2012-09-27 2016-07-05 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6435818B2 (ja) * 2014-12-03 2018-12-12 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
US20220090147A1 (en) 2019-01-28 2022-03-24 Sekisui Chemical Co., Ltd. Ethanol
JP7240202B2 (ja) * 2019-02-28 2023-03-15 Eneos株式会社 石油系芳香族含有油、ゴム組成物、タイヤ及びタイヤの製造方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5085873B2 (ja) * 2006-03-16 2012-11-28 住友ゴム工業株式会社 トレッド用ゴム組成物
BRPI1008287A2 (pt) * 2009-02-24 2016-03-15 Gevo Inc métodos de preparação de butadieno e isopreno renováveis
JP2011094011A (ja) * 2009-10-29 2011-05-12 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5616049B2 (ja) * 2009-11-09 2014-10-29 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP2521705A4 (en) * 2010-01-08 2014-06-18 Gevo Inc INTEGRATED METHODS OF MANUFACTURING RENEWABLE CHEMICALS
JP5503330B2 (ja) * 2010-02-24 2014-05-28 住友ゴム工業株式会社 二輪車用タイヤ
JP2012052028A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd トレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
US20130267696A1 (en) * 2010-09-28 2013-10-10 The Regents Of The University Of California Producing alpha-olefins using polyketide synthases
JP2012122016A (ja) * 2010-12-09 2012-06-28 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5552067B2 (ja) * 2011-01-26 2014-07-16 住友ゴム工業株式会社 合成システム、タイヤ用ゴム薬品、タイヤ用合成ゴム及び空気入りタイヤ
BR112012030796A2 (pt) * 2011-01-26 2016-11-01 Sumitomo Rubber Iindustries Ltd sistema de síntese, substância química de borracha para pneus, borracha sintética para pneus, e pneumático
US20130005012A1 (en) * 2011-06-23 2013-01-03 Phytogene, Inc. Enzymatic system for monomer synthesis
CN105026448B (zh) * 2012-11-09 2017-10-17 株式会社普利司通 生物基苯乙烯的用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014148683A (ja) 2014-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5536840B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ
JP5638041B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ
JP6332925B2 (ja) 乗用車タイヤ用キャップトレッドゴム組成物、乗用車タイヤ用キャップトレッドゴム、及び乗用車用空気入りタイヤ
US9663445B2 (en) Synthesis system, rubber chemical substance for tires, synthetic rubber for tires, and pneumatic tire
JP6532192B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ
JP2012153654A (ja) 合成システム、タイヤ用ゴム薬品、タイヤ用合成ゴム及び空気入りタイヤ
US8664312B2 (en) Rubber composition for tire, and pneumatic tire
JP5866413B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物、タイヤ部材、及び空気入りタイヤ
EP4092077A2 (en) Cap tread and passenger car tire
JP6304924B2 (ja) サイドウォール用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
JP6317498B2 (ja) スタッドレスタイヤ用トレッド用ゴム組成物、及びスタッドレスタイヤ
JP6317497B2 (ja) トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
EP4091836B1 (en) Passenger car tire rubber composition and passenger car tire
JP6385031B2 (ja) スタッドレスタイヤ用トレッド用ゴム組成物、及びスタッドレスタイヤ
JP2014074121A (ja) トレッド用ゴム組成物、及び空気入りタイヤ
EP4092078A2 (en) Cap tread and passenger car tire

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180424

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190521

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6532192

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250