以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による粉末成形プレス機械1の概略構成を示している。この粉末成形プレス機械1は、いわゆる段付き成形品を作製(成形)するように構成されている。粉末成形プレス機械1においては、矩形状のベースプレート3が最下部に設けられており、このベースプレート3の四隅から4本の支柱200が略垂直に立設されている。ベースプレート3の上(4本の支柱200の内側)には、ダイセット2a、下パンチセット2b〜2d及び第1油圧シリンダ機構4が配設されている。
支柱200の頭頂部には、四辺形の上部フレーム201が固定されており、この上部フレーム201には、油圧式の上部シリンダ202が取り付けられている。上部フレーム201の下方には、上部プレート103が設けられている。上部シリンダ202と上部プレート103とは耐圧リンク機構203によって連結されている。なお、上部シリンダ202は、上部プレート103を上部ラムとして上下動させる役割を担う。上部プレート103には、4本の支柱200をガイドとして貫通させてあり、上部プレート103は、4本の支柱200に沿って上下にスライドする。そして、この上部プレート103の下に、上パンチセット102b〜102d及び第2油圧シリンダ機構104が配設されている。耐圧リンク機構203は、上部プレート103の下降動作に伴って伸長し、伸長状態において加圧時の反力に対抗するもので、成形時に上部プレート103の位置を維持するために設けられている。このように上部シリンダ202で直接的に上部プレート103(さらに言えば、上パンチセット102b〜102d及び第2油圧シリンダ機構104)を駆動する構成は、省エネ且つ高速作動に有利である。
図2は、図1のA部拡大図であり、主にダイセット2a、下パンチセット2b〜2d及び第1油圧シリンダ機構4の構成を示している。
図2に示すように、ダイセット2aは、ダイ10が取り付けられるダイプレート20a及びダイプレート20aに連結される連結ロッド21aを有する。第1下パンチセット2bは、第1下パンチ11が取り付けられる第1下パンチプレート20b及び第1下パンチプレート20bに連結される連結ロッド21bを有する。第2下パンチセット2cは、第2下パンチ12が取り付けられる第2下パンチプレート20c及び第2下パンチプレート20cに連結される連結ロッド21cを有する。第3下パンチセット2dは、第3下パンチ13が取り付けられる第3下パンチプレート20d及び第3下パンチプレート20dに連結される連結ロッド21dを有する。第1油圧シリンダ機構4は、下シリンダ4a〜4e(4aが「下中心シリンダ」であり、4b〜4eが「下筒状シリンダ」である)で構成されている。そして、ダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dと、下シリンダ4a〜4eとが連結プレート6a〜6dを介して連結されている。
下中心シリンダ4aは、パンチの中心軸となるコアロッド14に連結されるコアピストン41aと、このコアピストン41aを駆動する作用室を形成するようにベースプレート3に立設された中央円筒壁40aと、を含む。なお、コアロッド14は、主に成形品に軸孔を設ける場合などに必要とされるもので、成形品によっては不要な場合もある。この場合は、下中心シリンダ4aを省略することもできる。
下筒状シリンダ4b〜4eは、下中心シリンダ4aの中央円筒壁40aを囲繞するようにして所定間隔でベースプレート3に立設された環状壁40b〜40eと、この環状壁40b〜40eで固まれた内部空間を作用室として駆動される環状ピストン41b〜41eと、この環状ピストン41b〜41eに立設されて連結プレート6a〜6dに連結されるピストンロッド42a〜42dと、を含む。そして、各作用室は、下中心シリンダ4aのコアピストン41a及び下筒状シリンダ4b〜4eのピストンロッド42a〜42dを気密又は液密状態で貫通させるように形成された封止蓋43によって密閉されている。
中央円筒壁40a及び環状壁40b〜40eは、ベースプレート3の上に、中央円筒壁40aを中央に配し、中央円筒壁40aより径の大きな環状壁40bを同心で配列し、さらに、環状壁40bより径の大きな環状壁40c、環状壁40cより径の大きな環状壁40d及び環状壁40dより径の大きな環状壁40eを同心で配列することによって形成されている。そして、立設された中央円筒壁40aによって形成される作用室に、コアロッド14を往復運動させるコアピストン41aが内蔵され、各環状壁40b〜40eによって固まれた作用室に、第1〜第3下パンチ11〜13及びダイ10をそれぞれ往復運動させる環状ピストン41b〜41eが内蔵される。つまり、下筒状シリンダ4b〜4eは、コアロッド14(換言すれば、下パンチの中心軸)を中心とした同心円状にしてベースプレート3上に配設されている。
環状ピストン41bにはピストンロッド42aが連結され、環状ピストン41cにはピストンロッド42bが連結され、環状ピストン41dにはピストンロッド42cが連結され、環状ピストン41eにはピストンロッド42dが連結されている。ここで、ピストンロッド42a〜42dは、環状ピストン41b〜41eが円周方向に比較的薄いため、太くすることができない。そこで、本実施形態では、ピストンロッド42a〜42dを、各環状ピストン41b〜41eに対して周方向に複数本ずつ隔設することにしている。例えば、ピストンロッド42aは4本、ピストンロッド42bは8本、ピストンロッド42cは12本、ピストンロッド42dは16本とすることができる。好ましくは、これらのピストンロッド42a〜42dは粉末成形プレス機械1の横断面において放射状に配列される。但し、これに限るものではなく、各ピストンロッドの数、配置、構造はプレス機械の能力に応じて適宜設計され得る。
封止蓋43には、コアピストン41a及びピストンロッド42a〜42dを貫通させる孔が設けられている。そして、封止蓋43は、ベースプレート3と共にシリンダ全体を挟持して液密状態に密閉し、下シリンダ4a〜4eを構成している。また、コアピストン41a及びピストンロッド42a〜42cのそれぞれを上下に駆動するための作動油を供給又は排出する配管口46aが封止蓋43に、同じく配管口46bがベースプレート3に設けられている。例えば、コアピストン41a及び各ピストンロッド42a〜42dのそれぞれを上方へ駆動する場合には、対応する配管口46bから作用室内に作動油を供給すると共に対応する配管口46aから作動油を排出し、下方へ駆動する場合には、対応する配管口46aから作用室内に作動油を供給すると共に対応する配管口46bから作動油を排出する。
かかる作動油の作用室への供給と作用室からの排出は、下シリンダ4a〜4eのそれぞれに設けられた油圧回路によって実施される。このような油圧回路は公知であるので、ここでの図示及び詳細な説明は省略するが、一般に、油圧回路は、作動油を圧送する油圧ポンプや切替バルブなどを含み、油圧ポンプの回転方向を切り替えたり、切替バルブによって作動油の経路を切り替えたりすることによって、上述のような作動油の供給と排出とを実施する。また、油圧回路は、例えば油圧ポンプの回転数に応じて作用室内に供給する作動油の圧力(作動液圧)を増減させることができる。なお、本実施形態において、下シリンダ4a〜4eの油圧回路のそれぞれには、作用室内に供給される作動油圧を検出するための圧力センサ(油圧センサ)が設けられている。
連結プレート6a〜6dは、ピストンロッド42a〜42dのそれぞれと連結される。連結プレート6a〜6dは、それぞれ下筒状シリンダ4b〜4eに対応するように設けられている。すなわち、下筒状シリンダ4bに対応して連結プレート6aが、下筒状シリンダ4cに対応して連結プレート6bが、下筒状シリンダ4dに対応して連結プレート6cが、下筒状シリンダ4eに対応して連結プレート6dが、それぞれ設けられ、ピストンロッド42aと連結プレート6aが、ピストンロッド42bと連結プレート6bが、ピストンロッド42cと連結プレート6cが、ピストンロッド42dと連結プレート6dが、それぞれ連結される。
本実施形態において、連結プレート6a〜6cは外側に向かう程、径が大きくなる環状に形成され、最も外側にある連結プレート6dは、矩形状に形成されている。但し、これに限るものではなく、各連結プレート6a〜6dは任意の形状とすることができる。連結プレート6a〜6dの上面には、以下の説明するユニット化されたダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dの各連結ロッド21a〜21dが固定される連結凹部60a〜60c及び連結孔60dが設けられている。また、連結プレート6aの中心にはコアピストン41aを案内するガイド孔61が設けられている。
ダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dは、連結ロッド21a〜21dとコアピストン41aを案内するガイド孔7a〜7eが形成されたミドルプレート7を用いてユニット化される。具体的には、ダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dは、ダイプレート20aの連結ロッド21aを第1下パンチプレート20bのガイド孔23bとミドルプレート7のガイド孔7aに挿通させ、第1下パンチプレート20bの連結ロッド21bを第2下パンチプレート20cのガイド孔23cとミドルプレート7のガイド孔7bに挿通させ、第2下パンチプレート20cの連結ロッド21cを第3下パンチプレート20dのガイド孔23dとミドルプレート7のガイド孔7cに挿通させ、第3下パンチプレート20dの連結ロッド21dをミドルプレート7のガイド孔7dに挿通させることによってユニット化される。なお、図1においては、中心線を挟んで、右側が主に連結ロッド21a〜21cとガイド孔23b〜23dの挿通関係を示し、左側が主に各プレート20a〜20dと連結ロッド21a〜21dのネジ22による連結関係を示している。
ミドルプレート7において、ガイド孔7aは連結プレート6dの連結孔60dと、ガイド孔7bは連結プレート6cの連結凹部60cと、ガイド孔7cは連結プレート6bの連結凹部60bと、ガイド孔7dは連結プレート6aの連結凹部60aと、ガイド孔7eは連結プレート6aの中心に設けられたガイド孔61と、それぞれ上下方向に対応する位置で設けられている。また、連結ロッド21a〜21dの連結プレート6a〜6dと固定される部分には固定具嵌め込み用の溝部が凹設されており、それぞれ固定具62a〜62dが嵌め込まれている。これにより、連結ロッド21aは連結プレート6dに、連結ロッド21bは連結プレート6cに、連結ロッド21cは連結プレート6bに、連結ロッド21dは連結プレート6aに固定される。
なお、ダイ10及び第1〜第3下パンチ11〜13は、ダイ押え9a、ダイホルダ9b、パンチ押え9c、パンチ受け板9d等の各アダプタによって、ダイプレート20a及び第1〜第3下パンチプレート20b〜20dにセットされる。
次に、第1油圧シリンダ機構4の下筒状シリンダ4b〜4eと、ユニット化されたダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dとの連結について説明する。下筒状シリンダ4b〜4eと、ユニット化されたダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dとを連結する組立作業では、まず、上述のようにして外段取りでユニット化されたダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dのミドルプレート7を、ミドルプレート支持台8に載せる。ミドルプレート支持台8は、ミドルプレート7を、第3下パンチプレート20dと連結プレート6a〜6dとの間に位置させる高さで設けられており、その上端面には、ミドルプレート7をスライドさせるL型形状のスライド部8aが設けられている。このため、ミドルプレート7をミドルプレート支持台8に載せる場合には、ミドルプレート支持台8に適宜に設けたスライド部8aまでミドルプレート7を持ち上げ、スライド部8aをスライドさせることで設置するようにすれば良い。このようにしてミドルプレート7がミドルプレート支持台8に設置されると、ガイド孔7a〜7dが、連結プレート6a〜6dの連結凹部60a〜60c及び連結孔60dに対応した上方位置に位置決めされ、また、ガイド孔7eには下中心シリンダ4aのコアピストン41aが挿通される。
次いで、下筒状シリンダ4b〜4eを駆動して連結プレート6a〜6dを上昇させ、連結ロッド21b〜21dを連結プレート6a〜6cの連結凹部60a〜60cに挿入すると共に連結ロッド21aを連結プレート6dの連結孔60dに貫挿する。そして、固定具62a〜62dを、連結ロッド21a〜21dの溝部に嵌め込み、図示省略のボルト等によって連結プレート6a〜6dに固定する。また、コアロッド14はコアピストン41aの上端に設けられたネジ穴に螺合される。なお、本実施形態においては、固定具62a〜62cが連結プレート6a〜6cの上面に固定され、固定具62dが連結プレート6dの下面に固定されている。但し、これに限るものではなく、固定具62dも、固定具62a〜62cと同様、連結プレート6dの下面に固定されてもよい。
以上のような比較的簡易な取付作業で、ユニット化されたダイセット2a及び第1〜第3下パンチセット2b〜2dと、下筒状シリンダ4b〜4eとを連結して固定することができる。
図3は、図1のB部拡大図であり、主に上パンチセット102b〜102d及び第2油圧シリンダ機構104の構成を示している。上パンチセット102b〜102d及び第2油圧シリンダ機構104は、上述のダイセット2a、下パンチセット2b〜2d及び第1油圧シリンダ機構4に対向させるようにその上方に配設される。なお、上パンチセット102b〜102dは、基本的に、ダイセット関連部分を除いて、下パンチセット2b〜2dの上下を逆にしたものと考えて良い。
図3に示すように、第1上パンチセット102bは、第1上パンチ111が取り付けられる第1上パンチプレート120b及び第1上パンチプレート120bに連結される連結ロッド121bを有する。第2上パンチセット102cは、第2上パンチ112が取り付けられる第2上パンチプレート120c及び第2上パンチプレート120cに連結される連結ロッド121cを有する。第3上パンチセット102dは、第3上パンチ113が取り付けられる第3上パンチプレート120d及び第3上パンチプレート120dに連結される連結ロッド121dを有する。第2油圧シリンダ機構104は、上シリンダ104a〜104d(104aが「上中心シリンダ」であり、104b〜104dが「上筒状シリンダ」である)で構成されている。そして、第1〜第3上パンチセット102b〜102dと、上シリンダ104a〜104dとが連結プレート106a〜106cを介して連結されている。
上中心シリンダ104aは、上コアロッド114に連結されるコアピストン141aと、このコアピストン141aを駆動する作用室を形成するように上部プレート103に立設された中央円筒壁140aと、を備えている。なお、上コアロッド114が不要の場合には、上中心シリンダ104aを省略することができる。あるいは、中心シリンダを使用して最も内側のパンチを駆動する構造とすることも可能である。
上筒状シリンダ104b〜104dは、上中心シリンダ104aの中央円筒壁140aを囲繞するようにして所定間隔で上部プレート103に立設された環状壁140b〜140dと、この環状壁140b〜140dで固まれた内部空間を作用室として駆動される環状ピストン141b〜141dと、この環状ピストン141b〜141dに立設されて連結プレート106a〜106cに連結されるピストンロッド142a〜142cと、を備えている。そして、各作用室は、上中心シリンダ104aのコアピストン141a及び上筒状シリンダ104b〜104dのピストンロッド142a〜142cを気密又は液密状態で貫通させるように形成された封止蓋143によって密閉されている。
中央円筒壁140a及び環状壁140b〜140dは、上部プレート103の下に、中央円筒壁140aを中央に配し、該中央円筒壁140aより径の大きな環状壁140bを同心で配列し、さらに、該環状壁140bより径の大きな環状壁140c及び該環状壁40cより径の大きな環状壁140dを同心で配列することによって形成されている。そして、立設された中央円筒壁140aによって形成される作用室に、上コアロッド114を往復運動させるコアピストン141aが内蔵され、各環状壁140b〜140dによって囲まれた内部空間である作用室に、第1〜第3上パンチ111〜113を往復運動させる環状ピストン141b〜141dが内蔵される。つまり、上筒状シリンダ104b〜104dは、上コアロッド114(換言すれば、上パンチの中心軸)を中心とした同心円状にして上部プレート103下に配設されている。
環状ピストン141bにはピストンロッド142aが連結され、環状ピストン141cにはピストンロッド142bが連結され、環状ピストン141dにはピストンロッド142cが連結されている。ここで、上述のピストンロッド42a〜42eと同様、ピストンロッド142a〜142cは、各環状ピストン141b〜141dに対し周方向に複数本ずつ隔設されている(放射状に配列されている)。
封止蓋143には、コアピストン141a及びピストンロッド142a〜142cを貫通させる孔が設けられている。そして、封止蓋143は、上部プレート103と共にシリンダ全体を挟持して少なくとも液密封止し、上シリンダ104a〜104dを構成している。また、コアピストン141a及びピストンロッド142a〜142cを上下に駆動する作動油を供給又は排出する配管口146aが封止蓋143に、同じく配管口146bが上部プレート103に設けられている。例えば、コアピストン141a及び各ピストンロッド142a〜142cのそれぞれを下方へ駆動する場合には、対応する配管口146bから作用室内に作動油を供給すると共に対応する配管口146aから作動油を排出し、上方へ駆動する場合には、対応する配管口146aから作用室内に作動油を供給すると共に対応する配管口146bから作動油を排出する。
かかる作動油の作用室への供給と作用室からの排出は、上述の下シリンダ4a〜4eと同様、上シリンダ104a〜104dのそれぞれに設けられた油圧回路によって実施される。なお、本実施形態において、上シリンダ104a〜104dの油圧回路のそれぞれには、作用室内に供給される作動油圧を検出するための圧力センサ(油圧センサ)が設けられている。
連結プレート106a〜106cは、ピストンロッド142a〜142cのそれぞれと連結される。連結プレート106a〜106cは、上筒状シリンダ104b〜104dに対応するように設けられている。すなわち、上筒状シリンダ104bに対応して連結プレート106aが、上筒状シリンダ104cに対応して連結プレート106bが、上筒状シリンダ104dに対応して連結プレート106cが、それぞれ設けられ、ピストンロッド142aと連結プレート106aが、ピストンロッド142bと連結プレート106bがピストンロッド142cと連結プレート106cが、それぞれ連結される。
本実施形態において、連結プレート106a〜106cは、外側に向かう程、径が大きくなる環状に形成されている。但し、これに限るものではなく、各連結プレート106a〜106cは任意の形状とすることができる。連結プレート106a〜106cの上面には、以下に説明するユニット化された上パンチセット102b〜102dの各連結ロッド121b〜121dを固定する連結凹部160a〜160cが設けられている。また、連結プレート106aの中心にはコアピストン141aを案内するガイド孔161が設けられている。
第1〜第3上パンチセット102b〜102dは、連結ロッド121b〜121dとコアピストン141aを案内するガイド孔107b〜107eが形成されたミドルプレート107を用いてユニット化される。具体的には、第1〜第3上パンチセット102b〜102dは、第1上パンチプレート120bの連結ロッド121bを第2上パンチプレート120cのガイド孔123cとミドルプレート107のガイド孔107bに挿通させ、第2上パンチプレート120cの連結ロッド121cを第3上パンチプレート120dのガイド孔123dとミドルプレート107のガイド孔107cに挿通させ、第3上パンチプレート120dの連結ロッド121dをミドルプレート107のガイド孔107dに挿通させることによってユニット化される。なお、図3においては、図1と同様に、中心線を挟んで、右側が主に連結ロッド121b,121cとガイド孔123c,123dの挿通関係を示し、左側が主に各プレート120b〜120dと連結ロッド121b〜121dのネジによる連結関係を示している。
ミドルプレート107において、ガイド孔107bは連結プレート106cの連結凹部160cと、ガイド孔107cは連結プレート106bの連結凹部160bと、ガイド孔107dは連結プレート106aの連結凹部160aと、ガイド孔107eは連結プレート106aの中心に設けられたガイド孔161と、それぞれ上下方向に対応する位置で設けられている。また、連結ロッド121b〜121dの連結プレート106a〜106cと固定される部分には、固定具162a〜162cを嵌め込む固定具嵌め込み用の溝部が凹設され、それぞれ固定具162a〜162cが嵌め込まれている。また、第1〜第3上パンチセット102b〜102dの場合には、連結凹部160a〜160cに挿入された連結ロッド121b〜121dが連結プレート106a〜106cの反対側からネジ122で固定されている。このため、固定具162a〜162cの使用が不要な場合もあり得る。
なお、第1〜第3上パンチ111〜113は、パンチ押え109c、パンチ受け板109d等のアダプタによって、第1〜第3上パンチプレート120b〜120dにセットされる。
次に、第2油圧シリンダ機構104の上筒状シリンダ104b〜104dと、ユニット化された第1〜第3上パンチセット102b〜102dとの連結について説明する。上筒状シリンダ104b〜104dと、第1〜第3上パンチセット102b〜102dとを連結する組立作業では、まず、外段取りでユニット化された第1〜第3上パンチセット102b〜102dのミドルプレート107を、ミドルプレート支持壁108に組み付ける。ミドルプレート支持壁108は、ミドルプレート107を、第3上パンチプレート120dと連結プレート106a〜106cとの聞に位置させる高さで設けられており、その下端部内側面に、ミドルプレート107をスライドインさせるコ字形状のスライド溝108aが凹設されている。このため、ミドルプレート107をミドルプレート支持壁108に組み付ける際には、ミドルプレート支持壁108のスライド溝108aまでミドルプレート107を持ち上げ、スライド溝108aに沿ってスライドさせることで設置するようにすればよい。このようにしてミドルプレート107がミドルプレート支持壁108に設置されると、ガイド孔107b〜107dが、連結プレート106a〜106cの連結凹部160a〜160cに対応した下方位置に位置決めされ、また、ガイド孔107eには上中心シリンダ104aのコアピストン141aが挿通される。
次いで、上筒状シリンダ104b〜104dを駆動して連結プレート106a〜106cを下降させ、連結ロッド121b〜121dを連結プレート106a〜106cの連結凹部160a〜160cに挿入する。そして、連結プレート106a〜106cの反対側からネジ122にて固定する。上コアロッド114は、コアピストン141aの上端に設けられたネジ穴に螺合される。
以上のような比較的簡易な取付作業で、ユニット化した上パンチセット102b〜102dと、上筒状シリンダ104b〜104dとを連結して固定することができる。なお、上述の外段取り及びユニット化という点では、連結プレート106a〜106cを使用するのが好ましいが、連結プレートを介さずに上筒状シリンダ104b〜104dと連結ロッド121a〜121cとを連結する構成も可能である。
図4は、粉末成形プレス機械1の部分概略斜視図であり、主にダイ10、第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113のそれぞれの上下方向の位置を検出する第1〜第7位置検出センサ301〜307を示している。本実施形態においては第1〜第7位置検出センサ301〜307としてリニアセンサが用いられている。但し、これに限るものではなく、ダイ10、第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113のそれぞれの上下方向の位置を検出可能な各種センサを用いることができる。
第1位置検出センサ301は、ダイセット2aが連結された連結プレート6dまで延びるアーム部を有しており、連結プレート6dの上下方向の位置(すなわち、ダイ10の位置)を検出する。第2位置検出センサ302は、第1下パンチセット2bが連結された連結プレート6cまで延びるアーム部を有しており、連結プレート6cの上下方向の位置(すなわち、第1下パンチ11の位置)を検出する。第3位置検出センサ303は、第2下パンチセット2cが連結された連結プレート6bまで延びるアーム部を有しており、連結プレート6bの上下方向の位置(すなわち、第2下パンチ12の位置)を検出する。第4位置検出センサ304は、第3下パンチセット2dが連結された連結プレート6aまで延びるアーム部を有しており、連結プレート6aの上下方向の位置(すなわち、第3下パンチ13の位置)を検出する。
同様に、第5位置検出センサ305は、第1上パンチセット102bが連結された連結プレート106cまで延びるアーム部を有しており、連結プレート106cの上下方向の位置(すなわち、第1上パンチ111の位置)を検出する。第6位置検出センサ306は、第2上パンチセット102cが連結された連結プレート106bまで延びるアーム部を有しており、連結プレート106bの上下方向の位置(すなわち、第2上パンチ112の位置)を検出する。第7位置検出センサ307は、第3上パンチセット102dが連結された連結プレート106aまで延びるアーム部を有しており、連結プレート106aの上下方向の位置(すなわち、第3上パンチ113の位置)を検出する。
粉末成形プレス機械1の動作は、前面に操作パネル400aを有した制御装置400(図1参照)によって制御される。図5は、制御装置400の概略構成を示すブロック図である。本実施形態において、制御装置400は、入力部401と、粉末供給制御部402と、シリンダ駆動部403と、シリンダ出力算出部404と、成形圧力取得部405と、密度推定部406と、位置取得部407と、寸法算出部408と、表示部409と、重量推定部410と、粉末異常判定部411と、記憶部412とを含む。また、制御装置400には、粉末成形プレス機械1に配置された各種センサの検出信号が入力される。各種センサの検出信号は、第1〜第7位置検出センサ301〜307の検出信号(位置検出信号)、下筒状シリンダ4b〜4d及び上筒状シリンダ104b〜104dのそれぞれの油圧回路に設けられた圧力センサの検出信号(作動油圧検出信号)を含む。
入力部401は、主に操作パネル400aに設けられた各種キーやスイッチなどから構成される。入力部401は、主にオペレータ等が粉末材料(以下単に「粉末」という)の種類情報(以下「粉末種類情報」という)、作製する成形品の形状情報(目標寸法を含む)及び成形条件の調整パラメータなどの各種情報を入力するために使用される。
粉末供給制御部402は、粉末種類情報及び形状情報に基づいて粉末充填量を算出し、算出した粉末充填量に基づいて、図示省略の粉末供給装置を駆動してダイ10中に粉末を供給する。
シリンダ駆動部403は、上部シリンダ202を駆動して上パンチセット102b〜102d及び第2油圧シリンダ機構104を移動させ、第1油圧シリンダ機構4(下中心シリンダ4a,下筒状シリンダ4b〜4e)を駆動してコアロッド14、下パンチ11〜13、ダイ10を動作させ、第2油圧シリンダ機構104(上中心シリンダ104a,上筒状シリンダ104b〜104d)を駆動して上コアロッド114、上パンチ111〜113を動作させる。
特に、シリンダ駆動部403は、各種センサの検出信号や入力部401を介して入力された各種情報に基づいて第1油圧シリンダ機構4及び第2油圧シリンダ機構104を駆動する。具体的には、シリンダ駆動部403は、第1油圧シリンダ機構4及び第2油圧シリンダ機構104の各シリンダ(の作用室)に供給される作動油圧を制御して各シリンダを駆動し、これにより、コアロッド14、下パンチ11〜13、ダイ10上コアロッド114、上パンチ111〜113を動作させる。なお、本実施形態において、シリンダ駆動部403は、各シリンダの油圧回路に設けられた油圧ポンプの駆動(回転方向や回転数)、及び/又は、切替パルプの動作を制御して、各シリンダに供給される作動油圧を制御するように構成されている。
そして、シリンダ駆動部403が第1油圧シリンダ機構4及び第2油圧シリンダ機構104を駆動して、コアロッド14、下パンチ11〜13、ダイ10、上コアロッド114、上パンチ111〜113を適宜動作させることによって、ダイ10中の粉末移動、ダイ10中の粉末の加圧成形、その加圧成形後の圧抜き、及び、加圧成形によって作製された成形品のダイ10からの抜出しが行われる。後述するように、本実施形態において、粉末成形プレス機械1は、加圧成形によって作製された成形品を、第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113で保持した状態でダイ10から抜き出すように構成されている(図8参照)。
シリンダ出力算出部404は、主に下筒状シリンダ4b〜4d及び上筒状シリンダ104b〜104dの出力を算出する。算出される出力は、例えば、加圧成形時に各シリンダ4b〜4d,104b〜104dが各パンチ(第1〜第3下パンチ11〜13,第1〜第3上パンチ111〜113)に加えた荷重であり、粉末に対する各パンチの加圧力に相当するものである。本実施形態において、シリンダ出力算出部404は、加圧成形時に各シリンダ4b〜4d,104b〜104dに供給された作動油圧及び各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの受圧面積などに基づいて、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力を算出する。
成形圧力取得部405は、各パンチ(第1〜第3下パンチ11〜13,第1〜第3上パンチ111〜113)の成形圧力、すなわち、加圧成形時に各パンチ11〜13,111〜113が粉末に加えた面圧を取得する。本実施形態において、成形圧力取得部405は、シリンダ出力算出部404によって算出された各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの加圧成形時の出力を、各パンチ11〜13,111〜113の粉末との接触面積(すなわち、各パンチの加圧面積)で除算することによって、各パンチの成形圧力を取得する。
密度推定部406は、成形圧力取得部405によって算出された各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力に基づいて、加圧成形よって作製された成形品の密度を推定する。本実施形態において、密度推定部406は、次のようにして成形品の密度を推定する。
密度推定部406は、予め求められて記憶部412に記憶されている「成形圧力−圧粉密度」特性の情報(データ)を参照して成形品の密度を推定する。図6に示すように、「成形圧力−圧粉密度」特性は、粉末の種類によって異なる。図6には、4種類の粉末A〜Dの「成形圧力−圧粉密度」特性が示されている。図6に示すように、成形圧力が増加すると圧粉密度が増加する。密度推定部406は、入力部401を介して入力された粉末種類情報に基づいて、対応する「成形圧力−圧粉密度」特性(データ)を記憶部412から取得する。そして、密度推定部406は、取得した「成形圧力−圧粉密度」特性を用い、成形圧力取得部405によって取得(算出)された各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力に基づいて成形品の各部位(各パンチに対応する部位)の密度を推定する。なお、推定された密度は、その成形品(の製造番号)と対応付けされた状態で記憶部412に記憶される。
位置取得部407は、詳細は後述するが、ダイ10内の粉末の加圧成形終了後において、各パンチ11〜13,111〜113全てが加圧した状態でダイ10が成形品から離間したときの、すなわちダイ10から成形品を抜出す時の各パンチの位置を取得する。具体的には、ダイ10から成形品を抜出すときの第2〜第7位置検出センサ302〜307の検出信号に基づいて、ダイ10から抜き出された成形品を保持する状態の第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111のそれぞれの位置を取得する。なお、位置取得部407は、第1〜第7位置検出センサ301〜307の検出信号に基づいて、ダイ10、第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113のそれぞれの位置を常時取得することが可能である。
寸法算出部408は、ダイ10から抜き出された成形品を保持する状態の第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113のそれぞれの位置に基づいて、成形品の上下方向の寸法(以下「実寸法」という)を算出する。ここで算出される実寸法は、目標寸法に対応するものである。好ましくは、寸法算出部408は、粉末の種類や各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力などに基づいて推定(算出)されるスプリングパック量を考慮して、成形品の上下方向の実寸法を算出する。なお、このスプリングパック量は、オペレータ等によって入力部401を介して入力されたものであってもよい。なお、算出された寸法は、その成形品(の製造番号)と対応付けされた状態で記憶部412に記憶される。
表示部409は、オペレータ等に対して情報を出力する出力部の一例であって、操作パネル400a内に配置されており、主に粉末成形プレス機械1の動作状態や成形品に関する情報を表示する。表示部409はタッチパネルなどで構成されてもよく、この場合、表示部409は入力部401としての機能を兼ねることができる。本実施形態において、表示部409は、成形品を作製する度、すなわち、成形サイクル毎に、成形圧力取得部405によって取得(算出)された各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力、密度推定部406によって推定された成形品の各部位の密度、及び、寸法算出部408によって算出された成形品の上下方向の実寸法を表示するように構成されている。
重量推定部410は、密度推定部406によって推定された成形品の密度と寸法算出部408によって算出された成形品の寸法とに基づいて、成形品の重量を推定する。具体的には、寸法算出部408によって算出された成形品の実寸法に基づいて成形品の各部位の体積が算出され、その算出された体積と密度推定部406によって推定された成形品の各部位の密度とを乗算し、その乗算結果の値を合計することによって成形品全体の重量が推定(算出される)。なお、推定された重量は、その成形品(の製造番号)と対応付けされた状態で記憶部412に記憶される。
粉末異常判定部411は、重量推定部410によって推定された成形品の重量と実際に測定された(実測された)成形品の重量とに基づいて、粉末異常を判定する。ここで言う「粉末異常」は、例えば、実際に使用された粉末の種類(やその配合割合)とオペレータが入力部401を介して入力された粉末種類情報との食い違いなどによって生じる異常を言う。
成形品の実測は、例えば、粉末成形プレス機械1に設けられた重量測定機500によって実行される。重量測定機500と制御装置400は接続されており、重量測定機500によって実測された成形品の重量の実測値情報(データ)が制御装置400に送信される。粉末異常判定部411は、制御装置400が受信した実測値情報に基づいて、粉末異常を判定する。
重量推定部410によって推定された成形品の重量と重量測定機500とによって実測された成形品の重量が大きく異なる場合(例えばその差が所定のしきい値を超える場合)、粉末異常判定部411は、粉末が異常であると判定する。そして、本実施形態の場合には、その粉末異常を表示部409を介して報知する。
これに代わって、粉末異常判定部411が、粉末が異常であると判定した後、その旨の情報を判定対象の成形品がセットされている重量測定機500に対して送信し、その重量測定機500が粉末の異常を報知してよい。
なお、重量測定機500による成形品の実測は、全ての成形品に対して行う必要はない。例えば、ロット生産の最初の成形品に対して重量が実測される。また例えば、加圧成形の条件出しのときに実行される。これにより、重量推定部410の重量の推定結果が保証される。また、粉末成形プレス機械1によって作製された成形品は、次の工程が実行されるまで(その工程が実行される場所に搬送されるまで)重量測定機500で待機してもよい。それにより、待機中に、その成形品に対する粉末異常が判定される。
記憶部412には、上述したように、密度推定部406が成形品の密度を推定するときに参照する、図6に示すような「成形圧力−圧粉密度」特性(データ)が記憶されている。また、成形品(その製造番号)に対応付けした状態で、密度推定部406によって推定された密度、寸法算出部408によって算出された寸法、および重量推定部410によって推定された重量が記憶されている。この記憶されている成形品ごとの密度、寸法、および重量を参照することにより、成形品の製造履歴をいつでも知ることができる。また、成形品に製造番号が刻印され、その成形品が使用中に不具合が生じた場合、その刻印に基づいて、製造時に起因するものかまたは使用方法に起因するものかを判断することができる。
次に、図7,8を参照して粉末成形プレス機械1の動作の一例を説明する。図7は、粉末成形プレス機械1によって作製される成形品の一例を示しており、図8は、図7に示す成形品を作製する場合の粉末成形プレス機械1の要部動作を説明するための図である。なお、ここでは、上コアロッド114(上中心シリンダ104a)が省略されているものとする。
まず、オペレータ等は、入力部401を介して粉末材料情報及び作製する成形品の形状情報を制御装置400に入力する。すると、表示部409は、入力された形状情報を表示する。また、粉末供給制御部402は、入力された粉末材料情報及び形状情報に基づいて粉末充填量などを算出し、シリンダ駆動部403は、入力された粉末材料情報及び形状情報に基づいて、粉末充填位置、加圧開始位置及び加圧終了位置などを算出する。ここで、形状情報とは、主に作製する成形品の上下方向の目標寸法のことをいい、ここでは図7に示される寸法tH1〜tH5が該当する。
その後、シリンダ駆動部403は、下中心シリンダ4aを駆動してコアロッド14をダイ10中へと上昇させる。また、シリンダ駆動部403は、下筒状シリンダ4b〜4dを駆動して第1〜第3下パンチ11〜13をダイ10中へと上昇させると共に充填位置で第1〜第3下パンチ11〜13を止める。粉末供給制御部402は、粉末供給装置を駆動してダイ10中に粉末充填量相当の粉末を充填する。そして、シリンダ駆動部403は、上部シリンダ202を駆動して第1〜第3上パンチ111〜113を型締め位置まで下降させて停止させる(図8(A))。
次いで、シリンダ駆動部403は、形状情報及び粉末充填量などに基づいて算出されるダイ10内に充填された粉末の各段中立面を基準とし、下筒状シリンダ4b〜4dを駆動して第1〜第3下パンチ11〜13を加圧開始位置に位置決めすると共に、上筒状シリンダ104b〜104dを駆動して第1〜第3上パンチ111〜113を加圧開始位置に位置決めし、主に成形品の密度の均一化を図るため、ダイ10中の粉末移動(トランスファ)を行う(図8(B))。
次いで、シリンダ駆動部403は、中立面を基準として、下筒状シリンダ4b〜4d及び上筒状シリンダ104b〜104dを駆動して第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113を加圧終了位置まで移動させる。すなわちシリンダ駆動部403は、下筒状シリンダ4b〜4dおよび上筒状シリンダ104b〜104dを位置制御する。この位置制御により、その状態を所定時間保持して粉末を加圧(加圧成形)する(図8(C))。これにより、成形品が作製される。このとき、シリンダ出力算出部404は、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dに供給された作動油圧に基づいて、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力(加圧成形時の出力)を算出する。
また、成形圧力取得部405は、シリンダ出力算出部404によって算出された各シリンダの出力に基づいて、各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力を算出して取得する。さらに、密度推定部406は、成形圧力取得部405によって取得(算出)された各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力に基づいて、作製された成形品の各部位(各パンチに対応する部位)の密度を推定する。そして、表示部409は、成形圧力取得部405によって取得(算出)された各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力、及び、密度推定部406によって推定された成形品の各部位の密度を表示する。
所定時聞が経過して加圧成形が終了すると、シリンダ駆動部403は、各パンチ11〜13,111〜113の加圧力を低減する圧抜きを行う(図8(D))。すなわち、各パンチ11〜13,111〜113を駆動するシリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力を減少させる。この圧抜きは、成形品のクラックの発生を抑制するために、各パンチ11〜13,111〜113の加圧力のバランス(換言すれば、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力のバランス)を大きく崩すことなく、実行する必要がある。
図9は、圧抜き動作中におけるシリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力の変化を示している。図9において、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの圧抜き開始時の出力(換言すれば加圧成形出力)は、Ps(4b)〜Ps(4d),Ps(104b)〜Ps(104d)で示されている。
シリンダ駆動部403は、圧抜き動作中において、シリンダ4b〜4d,104b〜104dに対して、速度制御とその速度制御に続く出力制御とを実行する。
ここで言う「速度制御」は、シリンダ(のピストンロッド)の速度(単位時間あたりの位置の変化量)を制御することであり、換言すれば、各パンチ11〜13,111〜113の速度(単位時間あたりの位置の変化量)を制御する制御である。すなわち、「速度制御」は、ある時間のある位置にシリンダのピストンロッド(換言すれば、パンチ)が存在するようにピストンロッドの位置を制御する位置制御ともいえる。
具体的には、圧抜き動作の開始から略同一のタイミングT1(厳密に同時である必要はなく、ある程度のずれは許容される)に各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力が予め設定されて加圧成形出力に対して所定の割合である出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)(第1出力値)になるまで、その出力の減少速度を制御する。そのために、対応する油圧回路のそれぞれに設けられた油圧ポンプの駆動を制御して各シリンダに供給する作動油圧を制御する。なお、タイミングT1は、要求される加圧成形品の生産スピード、加圧成形の品質などに基づいて決定される。
出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)は、例えば、加圧成形出力Ps(4b)〜Ps(4d),Ps(104b)〜Ps(104d)の20〜35%(好ましくは20%)に設定されている。この設定された出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)に、略同一のタイミングT1で各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力が到達するためのシリンダの出力減少速度が予め算出されている。
シリンダ駆動部403は、圧抜き動作における速度制御を開始すると、予め算出された出力減少速度で各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力を減少させる。その出力の減少は、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力が出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)に到達するまで(上述の圧力センサが対応する圧力値を検出するまで)実行される。
なお、本実施形態の場合、図9に示すように、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの加圧成形出力Ps(4b)〜Ps(4d),Ps(104b)〜Ps(104d)は異なっている。したがって、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dに対して異なる出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)と異なる出力減少速度とが設定されている。このように出力制御開始出力と出力減少速度とがシリンダごとに適切に設定されることにより、速度制御の実行中、シリンダの出力のバランス(換言すれば、各パンチの加圧力のバランス)が大きく崩れることが抑制される。ただし、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの加圧成形出力が略同一である場合、出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)と出力減少速度は、同一であってもよい。
また、本実施形態の場合、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)とそれに基づいて算出されるシリンダの出力減少速度は、実験的にまたは理論的に予め算出される。例えば、良品の加圧成形品での各シリンダの出力制御開始出力に基づいて、各シリンダの出力制御開始出力と出力減少速度が算出される。したがって、加圧成形ごとに、またシリンダごとに、圧抜き制御開始からタイミングT1に到達するまでの時間がわずかに異なる。
これに代わって、すなわち各シリンダの出力がタイミングT1で同時に出力制御開始出力に到達するように、加圧成形ごとに、その加圧成形出力に基づいて各シリンダの出力制御開始出力と出力減少速度とを算出してもよい。しかし、この場合、その算出時間を要するため、加圧成形の終了後、圧抜き動作を開始するまでに時間がかかる。一方、本実施形態のように、各シリンダについて、実験的または理論的に出力制御開始出力と出力減少速度とを予め算出して設定(決定)すれば、加圧成形の終了後、すぐに圧抜き動作を開始することができる。
補足すると、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの速度制御の間、加圧成形によって加圧方向に圧縮された各パンチ11〜13,111〜113や各シリンダのピストンロッドが非圧縮時の状態に戻ろうとするため、各パンチが成形品に接触した状態で維持されている。
このような圧抜き動作における各シリンダの速度制御によれば、速度制御中において、各シリンダの出力のバランス(換言すれば各パンチの加圧力のバランス)が大きく崩れることが抑制され、且つ、各パンチが加圧した状態で成形品を保持し続ける。
図9に示すように、シリンダ駆動部403は、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの速度制御が終了すると、各シリンダの出力制御を開始する。本実施形態の場合、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力制御は、同時には開始されず、それぞれの出力が出力制御開始出力に到達してすぐに開始される。
ここで言う「出力制御」は、図9に示すように、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力を出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)から目標出力Pe(4b)〜Pe(4d),Pe(104b)〜Pe(104d)(第2出力値)に減少させることである。
目標出力Pe(4b)〜Pe(4d),Pe(104b)〜Pe(104d)は、詳細は後述するが、圧抜き動作に続く抜き出し動作(図8(E))において、各パンチ11〜13,111〜113dが成形品を保持した状態でダイ10を該成形品から離間させるときの各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力である。
目標出力Pe(4b)〜Pe(4d),Pe(104b)〜Pe(104d)は、出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)に比べて小さく、例えば、加圧成形出力Ps(4b)〜Ps(4d),Ps(104b)〜Ps(104d)の5〜15%(好ましくは10%)に設定されている。
この圧力制御が行われる各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力範囲(出力制御開始出力と目標出力との間)が相対的に狭いため、この圧力制御中は、シリンダの出力のバランス(換言すればパンチ11〜13,111〜113の加圧力のバランス)が大きく崩れにくい(加圧成形出力から目標出力までの相対的に広い出力範囲で出力制御を行う場合に比べて)。
なお、好ましくは、略同一のタイミングT2で、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力が目標出力Pe(4b)〜Pe(4d),Pe(104b)〜Pe(104d)に到達するのが好ましい。例えば、本実施形態においては、各シリンダの油圧回路に設けられた油圧ポンプの駆動(回転方向や回転数等)を制御して各シリンダに供給する作動油圧を制御することにより、各シリンダの目標出力への到達タイミングが略同一にされる。その結果、圧抜き動作後、すぐに抜き出し動作(図5(E))を実行することができる。
なお、本実施形態の場合、図9に示すように、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力制御開始出力Pr(4b)〜Pr(4d),Pr(104b)〜Pr(104d)は異なっている。したがって、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dに対して異なる目標出力Pe(4b)〜Pe(4d),Pe(104b)〜Pe(104d)が設定されている。このように目標出力がシリンダごとに適切に設定されることにより、出力制御の実行中、シリンダの出力のバランス(換言すれば、各パンチの加圧力のバランス)が大きく崩れることが抑制される。ただし、各シリンダ4b〜4d,104b〜104dの出力制御開始出力が略同一である場合、目標出力Pe(4b)〜Pe(4d),Pe(104b)〜Pe(104d)は、同一であってもよい。
以上のような圧抜き動作中における各シリンダの出力制御によれば、各シリンダの出力のバランス(換言すれば各パンチの加圧力のバランス)が大きく崩れることが抑制され、且つ、各パンチが加圧した状態で成形品を保持し続ける。
したがって、上述の圧抜き動作によれば、急激な減圧(加圧力の解放)や各パンチの圧力アンバランスが防止され、適切な保持力により、成形品におけるクラックの発生がより効果的に防止される。すなわち、圧抜き動作全体において各シリンダの出力制御を行う場合には起こりうる急激な減圧や各パンチの圧力アンバランスの発生が防止される。また、圧抜き動作の最後として各シリンダの位置制御を行う場合には起こりうる、少なくとも1つのパンチの加圧力がゼロになること(適切に成形品を保持できなくなること)が抑制される。
そして、圧抜きが完了すると、シリンダ駆動部403は、下筒状シリンダ4eを駆動してダイ10を下降させると共に、下中心シリンダ4aを駆動してコアロッド14を下降させて、成形品をダイ10から抜き出す(ダイ10を成形品から離間させる)(図8(E))。このとき、各シリンダの出力は目標出力(例えば、加圧成形出力の5〜15%(好ましくは10%))になっている(換言すれば、ダイ10から抜き出された状態の成形品を保持する各パンチの保持力(加圧力)は、加圧成形時における各パンチの粉末への加圧力の5〜15%である)。そのため、成形品は各パンチ11〜13,111〜113によって僅かに加圧された状態で保持されている。すなわち、全てのパンチは、確実に成形品に接触しており、所定の保持力で成形品を保持している。これにより、ダイ10から抜き出される際においても実際の成形品におけるクラックの発生や変形等が防止される。
成形品がダイ10から抜き出されると、位置取得部407は、第2〜第7位置検出センサ302〜307の検出信号に基づき、成形品を保持する第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113のそれぞれの位置を取得する。そして、寸法算出部408は、位置取得部407によって取得された各パンチ11〜13,111〜113のそれぞれの位置に基づいて、成形品の各部位の上下方向の実寸法rH1〜rH5を算出する。ここで算出される実寸法rH1〜rH5は、目標寸法tH1〜tH5にそれぞれ対応するものである。
具体的には、寸法算出部408は、第1下パンチ11及び第1上パンチ111の位置に基づいて目標寸法tH1に対応する実寸法rH1を算出し、第2下パンチ12及び第2上パンチ112の位置に基づいて目標寸法tH2に対応する実寸法rH2を算出し、第3下パンチ13及び第3上パンチ113の位置に基づいて目標寸法tH3に対応する実寸法rH3を算出する。また、寸法算出部408は、第1下パンチ11及び第2下パンチ12の位置に基づいて目標寸法tH4に対応する実寸法rH4を算出し、第1下パンチ11及び第3下パンチ13の位置に基づいて目標寸法tH5に対応する実寸法rH5を算出する。そして、表示部409は、寸法算出部408によって算出された成形品の各部位の上下方向の実寸法rH1〜rH5を表示する。好ましくは、表示部409は、実寸法rH1〜rH5と目標寸法tH1〜tH5とを並べて表示(同時表示)して両寸法を対比しやすくする。
その後、シリンダ駆動部403は、下筒状シリンダ4b〜4dを駆動して第1〜第3下パンチ11〜13を下降させると共に、上筒状シリンダ104b〜104dを駆動して第1〜第3上パンチ111〜113を上昇させて、一連の成形動作を終了する。なお、表示部409は、次回の成形動作開始時又はその前に、表示中の各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力、成形品の各部位の密度及び成形品の各部位の実寸法rH1〜rH5をクリアする。
本実施形態による粉末成形プレス機械1は、ダイ10、第1〜第3下パンチ11〜13及び第1〜第3上パンチ111〜113のそれぞれを対応するシリンダ4b〜4e,104b〜104dで動作させてダイ10中の粉末を加圧成形するように構成され、ダイ10の位置、各パンチ11〜13,111〜113の位置及び各シリンダ4b〜4e,104b〜104dの出力(すなわち、各パンチの加圧力)などを任意に制御することが可能である。このため、粉末に対して上下方向から適切な加圧を行うことができ、成形品の均密度化、高密度化が図れる。
また、本実施形態による粉末成形プレス機械1では、作製する成形品の目標寸法tH1〜tH5、実際に成形品を作製したときの各パンチ11〜13,111〜113の成形圧力、実際に作製された成形品の各部位の密度、実際に作製された成形品の各部位の実寸法rH1〜rH5、及び実際に作製された成形品の重量が表示部409に表示される。このため、オペレータ等は、実際に作製された成形品の寸法、密度、及び重量を測定することなく、表示部409の表示内容を確認するだけで実際に作製された成形品が良品であるか不良品であるかを容易に判定することができる。また、実際に作製された成形品が不良品であると判定された場合であっても、オベレータ等は、表示部409の表示内容に基づき、成形条件のうちの調整すべき項目等を容易に特定することができる。このため、成形条件の最適化(成形条件出し)に要する労力や時間が大幅に軽減される。例えば、オベレータ等は、表示部409の表示内容によって成形圧力や成形品の密度の上下アンバランスを確認した場合、該当するパンチの加圧開始位置及び/又は加圧終了位置を変更して加圧ストロークを調整(微調整)することができる。
さらに、本実施形態の粉末成形プレス機械1によれば、作製された複数の成形品の一部または全てに対して寸法および重量の検査が必要な場合、粉末成形プレス機械1によって寸法や重量が測定されるため、三次元測定機や重量判別機などによる検査が必要なくなる。すなわち、寸法測定装置や重量判別機の設置箇所、粉末成形プレス機械1から寸法測定装置や重量判別機までの成形品の搬送時間、寸法測定装置や重量判別機による成形品の測定時間などを確保する必要がなくなる。その結果、粉末成形プレス機械1による成形品の生産性が向上する。
さらにまた、本実施形態による粉末成形プレス機械1によれば、成形品の寸法、密度、および重量に関して、より厳しい公差を実現するとともに保証することができる。
説明すると、寸法や重量に所定の公差が要求されている場合、工程能力指数cpkが1.33(ばらつきが正規分布であるとき、約16,000個に1個の確率で規格外の成形品が発生すると予想される)以上であると、通常、約2,000個から3〜5個の成形品の抜き取り検査が行われる。ところが、工程能力指数cpkが1.33未満の場合、成形品の全数検査が必要になる。数千個に1個の確率で発生する規格外の成形品のために、成形品全てに、例えば三次元測定機などを用いて検査を行うことは非常に生産性が悪い。したがって、現実には、生産性を考慮して、工程能力指数cpkが1.33以上になるように、妥協して公差の範囲を広げざるえないことがあった。しかし、本実施形態による粉末成形プレス機械1によれば、全ての成形品に対して成形と同時に寸法や重量が測定されるため、生産性を悪化させることなく、狭い公差の範囲(より厳しい公差)を実現するとともに保証することができる。
成形品の密度の公差について説明すると、密度を検査するためには成形品を破壊する必要がある。そのため、成形品全てを、密度について検査することができない。したがって、現実には、密度について規格外の成形品が確実に発生しないような安全な成形条件が設定されていた。例えば、密度の公差の範囲を広く設定したり、加圧成形時間を必要以上に長く設定したり、金型寿命(金型の交換サイクル)を必要以上に短く設定していた。しかし、本実施形態による粉末成形プレス機械1によれば、破壊することなく成形品の密度を測定することができるため、密度の全数検査を実行することができる。これにより、成形品全ての密度について、より厳しい公差を実現するとともに保証することができる。
なお、上述の実施形態において、表示部409は、作製する成形品の目標寸法、各パンチの成形圧力、実際に作製された成形品の密度、実際に作製された成形品の実寸法、及び実際に作製された成形品の重量を表示している。しかし、これに限るものではなく、表示部409の表示内容は任意に変更可能である。但し、表示部409は、少なくとも各パンチの成形圧力又は実際に作製された成形品の密度と、実際に作製された成形品の実寸法とを表示するように構成されるのが好ましい。
これに関して言えば、オペレータに対して成形品の密度、実寸法、重量などの情報を知らせるための手段は、表示部409に限らない。これらの情報をオペレータに対して知らせるための出力部は、例えば、これらの情報を印刷して出力するプリンタであってもよく、また、これらの情報を無線信号としてオペレータの携帯端末に無線送信する無線通信装置であってもよい。
また、上述の実施形態において、成形圧力取得部405は、シリンダ出力算出部404によって算出された各シリンダの加圧成形時の出力を各パンチの加圧面積で除算することによって各パンチの成形圧力を取得している。しかし、これに限るものではない。成形圧力取得部405は、各パンチの成形圧力を取得することができればよい。例えば、成形圧力取得部405は、加圧成形時に各パンチの加圧部に加わる面圧を圧力センサ等によって直接又は間接的に検出して取得するようにしてもよい。この場合においては、本実施形態における粉末成形プレス機械1のようないわゆる油圧式の粉末成形プレス機械だけではなく、機械式の粉末成形プレス機械又は機械式と油圧式とを併用した粉末成形プレス機械などにも本発明が適用可能となる。
また、上述の実施形態において、ダイ10から抜き出された成形品は各パンチによって僅かに加圧された状態で保持されており、そのときの各パンチの加圧力、すなわち、各パンチによる成形品の保持力は、加圧成形時の5〜15%となっている(換言すれば、各パンチを駆動する各シリンダの出力値が、加圧成形時の出力の5〜15%にされている)。しかし、これに限るものではない。粉末の種類や成形品の形状などに応じて又はオベレータ等の指示によって各パンチによる成形品の保持力が変更可能に構成されてもよい。この場合、シリンダ駆動部403は、例えば、粉末種類情報や作製する成形品の形状情報又はオペレータ等の指示に基づいて、各シリンダの加圧成形時の出力に乗算する係数等を変更し、各シリンダの目標出力及び出力制御開始出力を変更するようにすればよい。すなわち、成形品の寸法を算出するために各パンチが確実に成形品に接触していることが前提で、各パンチによる成形品の保持力を変更することができる。
また、上述の実施形態において、シリンダ駆動部403は、油圧回路に設けられた油圧ポンプの駆動を制御してシリンダ(の作用室内)に供給する作動油圧を制御するようにしている。しかし、これに限るものではない。シリンダ駆動部403は、シリンダに供給する作動油圧を制御するように構成されていればよい。例えば、油圧回路が油圧制御バルブ(サーボバルブ等)を有する場合、シリンダ駆動部403は、油圧制御バルブの駆動を制御してシリンダに供給する作動油圧を制御するようにしてもよい。また、上述の実施形態において、各シリンダは油圧を利用する油圧シリンダとして構成されているが、これに限るものではなく、油圧以外の液圧を利用する液圧シリンダとしてもよく、この場合には上述の各「油圧」が「液圧」と読み替えられる。さらに、シリンダを駆動するものは気圧であってもよい。すなわち、本発明の実施形態に係るシリンダは、広義には、流体圧シリンダである。
さらに、上述の実施形態の場合、各パンチに対して1つずつシリンダが設けられているが、本発明の実施形態は、これに限らない。例えば、複数のパンチを駆動するために1つのシリンダが設けられてもよい。しかし、成形品の各部位それぞれに対して異なる密度が要求されている場合、各部位の密度を推定するために、各部位に対応するパンチそれぞれに1つずつシリンダを設ける必要がある。
以上、本発明の好ましい実施形態を説暁したが、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想、に基づいて種々の変形等が可能である。