前記課題を解決するためになされた第1の発明は、端末装置との間で無線通信を行う基地局装置であって、前記端末装置と自装置または他の基地局装置との間での過去の通信時における通信環境、端末位置および通信品質に関する情報を、履歴情報として蓄積する履歴情報蓄積部と、前記履歴情報蓄積部に蓄積された前記履歴情報の中から、提供先の前記端末装置の現在の通信環境に適合する前記履歴情報を選択する履歴情報選択部と、前記端末装置が履歴情報に基づいて通信品質が改善される条件に関する改善情報を取得しかつユーザに通知するために、履歴情報選択部により選択された前記履歴情報を前記端末装置に送信する通信部と、を備えた構成とする。
これによると、通信品質が改善される条件に関する改善情報をユーザに通知することができ、この改善情報にしたがってユーザが通信品質を改善する行動を実施することで、通信品質を改善することができる。そして、端末装置の現在の通信環境に適合する履歴情報に基づいて改善情報を取得するため、通信品質を確実に改善することができる適切な改善情報をユーザに通知することができる。
また、第2の発明は、端末装置との間で無線通信を行う基地局装置であって、前記端末装置と自装置または他の基地局装置との間での過去の通信時における通信環境、端末位置および通信品質に関する情報を、履歴情報として蓄積する履歴情報蓄積部と、前記履歴情報蓄積部に蓄積された前記履歴情報の中から、提供先の前記端末装置の現在の通信環境に適合する前記履歴情報を選択する履歴情報選択部と、選択された前記履歴情報に基づいて、通信品質が改善される条件に関する改善情報を取得する改善情報取得部と、前記改善情報を、前記端末装置を用いてユーザに通知するために前記端末装置に送信する通信部と、を備えた構成とする。
また、第3の発明は、高SHF帯およびEHF帯を利用して前記基地局装置との間で無線通信を行うものである構成とする。
これによると、高SHF帯およびEHF帯では、降雨や降雪などの天気、建築物や樹木や看板などの静的な遮蔽物、人体や車両などの動的な遮蔽物による電波の減衰が大きく、通信品質に及ぼす電波の減衰の影響が顕著であるため、改善情報をユーザに通知して、通信品質を改善する行動をユーザに促すことで、通信品質を大幅に改善することができる。
また、第4の発明は、前記履歴情報選択部は、現在の通信環境に適合する前記履歴情報として、記録された時間帯が現在の時間帯と一致する前記履歴情報を選択する構成とする。
これによると、人物や車両などの動的な遮蔽物による電波の減衰により通信品質が大きく影響を受け、この動的な遮蔽物の数は時間帯に応じて異なるため、時間帯が一致する履歴情報を選択することで、適切な改善情報を取得することができる。
また、第5の発明は、前記履歴情報選択部は、現在の通信環境に適合する前記履歴情報として、前記履歴情報の天候情報が現在の天候情報と一致する前記履歴情報を選択する構成とする。
これによると、降雨や降雪などによる電波の減衰により通信品質が大きく影響を受けるため、天候情報が一致する履歴情報を選択することで、適切な改善情報を取得することができる。
また、第6の発明は、前記履歴情報選択部は、前記履歴情報の端末位置が現在の端末位置と一致する前記履歴情報を選択し、該当する前記履歴情報がない場合には、前記履歴情報の端末位置が前記現在の端末位置の近傍となる前記履歴情報を選択する構成とする。
これによると、端末位置が自装置の現在位置と一致する履歴情報を優先して選択することで、その場にいながら実施することができる改善情報を取得することができるため、ユーザの負担を軽減することができる。そして、端末位置が自装置の現在位置と一致する履歴情報がない場合には、端末位置が自装置の現在位置の近傍となる履歴情報を選択することで、通信品質が改善される位置に関する改善情報、例えば、通信品質が改善される目標位置までの距離および方向に関する改善情報を取得することができるため、改善情報にしたがってユーザが移動することで、通信品質を改善することができる。
また、第7の発明は、前記改善情報は、通信品質が改善される前記端末装置の方位に関するものである構成とする。
これによると、通信品質が改善される端末装置の方位をユーザに通知することができるため、通知された方位にしたがってユーザが端末装置の向きを変えることで、通信品質を改善することができる。
また、第8の発明は、前記改善情報は、東西南北の各方向における通信品質の良否を表すものである構成とする。
これによると、東西南北の各方向における通信品質の良否をユーザに通知することができるため、通信品質が良好となる方向に端末装置を向けることで、通信品質を改善することができる。
また、第9の発明は、通信品質が改善される前記端末装置の位置に関するものである構成とする。
これによると、通信品質が改善される端末装置の位置をユーザに通知することができるため、通知された位置にユーザが移動することで、通信品質を改善することができる。
また、第10の発明は、前記改善情報は、現在の端末位置から通信品質が改善される目標位置までの距離および方向に関するものである構成とする。
これによると、通信品質が改善される目標位置までの距離および方向をユーザに通知することができるため、ユーザが簡単に目標位置まで移動することができる。
また、第11の発明は、前記改善情報は、通信品質が改善される前記端末装置の移動速度に関するものである構成とする。
これによると、通信品質が改善される端末装置の移動速度をユーザに通知することができるため、通知された移動速度となるようにユーザが移動速度を調整することで、通信品質を改善することができる。
また、第12の発明は、通信品質が改善される前記端末装置の高度に関するものである構成とする。
これによると、通信品質が改善される端末装置の高度をユーザに通知することができるため、通知された高度となるようにユーザが上り下りすることで、通信品質を改善することができる。例えば、建築物の屋内における高度に関する改善情報として、フロアの階数がユーザに通知されると、通知されたフロアにユーザが移動することで、通信品質を改善することができる。
また、第13の発明は、通信品質が改善される前記端末装置の傾きに関するものである構成とする。
これによると、通信品質が改善される端末装置の傾きをユーザに通知することができるため、通知された傾きとなるようにユーザが端末装置の傾きを変えることで、通信品質を改善することができる。
また、第14の発明は、前記改善情報は、通信品質が改善されるアンテナに関するものであり、前記改善情報に基づいて、前記基地局装置が備える1つ以上のアンテナの中から通信品質が最良となるアンテナを選択する構成とする。
これによると、端末装置の方位に問題がある場合に、端末装置の方位を変更する行動を実際にユーザが実施しなくても、通信品質を改善することができる。
また、第15の発明は、端末装置と基地局装置との間で無線通信を行う無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記端末装置と自装置または他の基地局装置との間での過去の通信時における通信環境、端末位置および通信品質に関する情報を、履歴情報として蓄積し、蓄積された前記履歴情報の中から、提供先の前記端末装置の現在の通信環境に適合する前記履歴情報を選択し、選択された前記履歴情報を前記端末装置に提供し、前記端末装置は、前記基地局装置から取得した前記履歴情報に基づいて、通信品質が改善される条件に関する改善情報を取得しかつユーザに通知する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、通信品質を確実に改善することができる適切な情報を端末装置のユーザに通知することができる。
また、第16の発明は、低い周波数帯を利用して前記端末装置と無線通信を行う第1の基地局装置と、高い周波数帯を利用して前記端末装置と無線通信を行う第2の基地局装置と、を備え、前記第1の基地局装置は、前記端末装置と前記第2の基地局装置との間での過去の通信時における通信環境、端末位置および通信品質に関する情報を、履歴情報として蓄積して、前記端末装置の現在の通信環境に適合する前記履歴情報を前記端末装置に提供し、前記端末装置は、前記第2の基地局装置との間での無線通信の品質が改善される条件に関する改善情報を取得する構成とする。
これによると、第1の基地局装置から端末装置に履歴情報が提供されるため、端末装置と第2の基地局装置との間での無線通信が不良な状態でも、端末装置が履歴情報を確実に取得することができる。
また、第17の発明は、前記端末装置は、前記基地局装置との間での過去の通信時における通信環境、端末位置および通信品質に関する情報を、履歴情報として蓄積し、前記基地局装置から取得した前記履歴情報と、自装置の履歴情報とを比較することにより得られた比較結果に基づいて補正情報を生成し、前記補正情報に基づいて、前記基地局装置から取得した履歴情報を補正し、補正された前記履歴情報に基づいて前記改善情報を取得する構成とする。
これによると、端末装置が基地局装置から取得した履歴情報が他機種に関するものであっても、履歴情報を補正することで、機種に応じた特性の相違による誤差が修正されるため、より一層適切な改善情報を端末装置のユーザに通知することができる。
また、第18の発明は、端末装置と基地局装置との間での無線通信の品質が改善される条件に関する改善情報を前記端末装置のユーザに通知するために前記基地局装置が実行する情報通知方法であって、前記端末装置と自装置または他の基地局装置との間での過去の通信時における通信環境、端末位置および通信品質に関する情報を、履歴情報として蓄積するステップと、蓄積された前記履歴情報の中から、提供先の前記端末装置の現在の通信環境に適合する前記履歴情報を選択するステップと、選択された前記履歴情報に基づいて、前記改善情報を取得するステップと、取得された前記改善情報をユーザに通知するステップと、を備えた構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、通信品質を確実に改善することができる適切な情報を端末装置のユーザに通知することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムを示す全体構成図である。
この無線通信システムは、端末装置1と、マクロセル基地局装置(第1の基地局装置)2と、スモールセル基地局装置(第2の基地局装置)3と、を備えている。
端末装置1は、スマートフォンやタブレット端末やセルラ通信機能を備えたカーナビゲーションシステムなどであり、マクロセル基地局装置2およびスモールセル基地局装置3の両方と通信を行うことができるようになっている。
マクロセル基地局装置2は、UHF帯(周波数:300MHz〜3GHz)を利用した無線通信を行うものであり、セル半径が例えば1km〜25km程度となる。
スモールセル基地局装置3は、高周波数帯、すなわち、高SHF帯(周波数:6GHz〜30GHz)、またはEHF帯(周波数:主に30GHz〜60GHz)を利用した無線通信を行うものであり、セル半径が例えば10m〜3km程度となる。
このスモールセル基地局装置3は、マクロセル基地局装置2の通信エリア内に複数設置され、マクロセル基地局装置2およびスモールセル基地局装置3の各通信エリアが重複しており、端末装置1は、マクロセル基地局装置2およびスモールセル基地局装置3の両方を利用して通信が行われる。
次に、図1に示した端末装置1の概略構成について説明する。図2は、端末装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。図3および図4は、履歴情報蓄積部16に蓄積される履歴情報テーブルの一例を示す説明図である。
端末装置1は、通信部11と、端末情報収集部12と、環境情報収集部13と、基地局情報収集部14と、履歴情報更新部15と、履歴情報蓄積部16と、第1の履歴情報選択部17と、第2の履歴情報選択部18と、改善情報取得部19と、不良原因推定部20と、表示部(情報通知部)21と、指向性制御部22と、を備えている。
端末情報収集部12では、自装置に関する端末情報(端末状態情報および通信品質情報)を収集する。端末状態情報は、端末装置1の位置(緯度および経度)、高さ(高度)、識別子、方位、傾き(XYZの各軸の傾き)、移動速度、機種の各事項などに関するものである(図4参照)。通信品質情報は、受信電力、干渉量、遅延時間、切断率、通信速度、通信量の各事項などに関するものである(図4参照)。なお、接続率を通信品質情報に含めるようにしてもよい。
なお、端末装置1の方位とは、端末装置1の基準線(例えば長手方向の中心線)の方位角を表し、端末装置1の傾きとは、端末装置1の基準線のXYZの各軸方向に関する傾斜角を表す。
この端末情報収集部12で行われる端末情報の収集処理は、所定の収集タイミングで行われる。この端末情報の収集タイミングは、端末状態情報のいずれかの事項に変化があったとき、または前回の収集タイミングから所定の時間が経過したときである。
なお、本実施形態では、スモールセル基地局装置3の通信エリアを複数(例えば200程度)の分割エリアに分割して、この分割エリア単位で端末装置1の位置(以下、適宜に端末位置と呼称する)を管理する。このため、端末位置を表す情報として、分割エリアの識別情報(通し番号など)を用いるようにしてもよい。
環境情報収集部13は、端末情報収集部12の収集タイミングと同じタイミングで、環境情報を収集する。この環境情報は、日付、時刻、天気(天候情報)の各事項などに関するものである(図3参照)。天気に関する情報としては、天気(晴れ、曇り、雨、雪など)のほかに、降雨強度、降雪強度、積雪量なども含まれる。この天気に関する情報は、天気情報提供サーバ5から通信部11を介して取得する。
基地局情報収集部14は、端末情報収集部12の収集タイミングと同じタイミングで、端末装置1の通信相手となるスモールセル基地局装置3に関する基地局情報を、スモールセル基地局装置3から通信部11を介して収集する。基地局情報は、PLMN(通信事業者番号)、位置情報(緯度、経度、高度)、RAT(Radio Access Technology、無線通信方式)、周波数、使用アンテナ番号、識別子(セルID)、セル半径の各事項などに関するものである(図3参照)。
履歴情報更新部15は、端末情報収集部12、環境情報収集部13および基地局情報収集部14において、所定の収集タイミングで端末情報(端末状態情報および通信品質情報)、環境情報および基地局情報が収集されると、その端末情報、環境情報および基地局情報を履歴情報として、履歴情報蓄積部16に蓄積された履歴情報テーブルを更新する。このとき、1回の収集タイミングに応じて取得した端末情報、環境情報および基地局情報が1件の履歴情報となり、履歴情報蓄積部16では、1件ごとの履歴情報が履歴情報テーブルにまとめて蓄積され、履歴情報テーブルの1行分が1件の履歴情報となる(図3,図4参照)。
第1の履歴情報選択部17は、端末情報収集部12において、端末装置1から現在(最新)の端末情報を取得すると、環境情報収集部13および基地局情報収集部14から現在(最新)の環境情報および基地局情報を取得し、これらの情報に基づいて、履歴情報蓄積部16に蓄積された履歴情報の中から、端末装置1の現在の通信環境に適合する履歴情報を選択する。さらに、第1の履歴情報選択部17は、端末情報収集部12から取得した現在(最新)の端末状態情報に基づいて、端末装置1の現在位置と一致する履歴情報を選択する。
ここで、通信環境とは、端末装置1とスモールセル基地局装置3との間での無線通信の品質に影響を及ぼす事項、具体的には、天気、時間帯、および通信相手となるスモールセル基地局装置3の各事項に関するものであり、現在の環境情報および基地局情報と履歴情報とを比較して、天気、時間帯、およびスモールセル基地局装置3の各事項について、現在の環境情報および基地局情報と一致する履歴情報を探し出す。ここで、該当する履歴情報がなければ、処理を終了する。
一方、該当する履歴情報があれば、その履歴情報と現在の端末状態情報とを比較して、端末位置が現在の端末状態情報の端末位置、すなわち、端末装置1の現在位置と一致する履歴情報を探し出す。ここで、該当する履歴情報があれば、その履歴情報を選択する。一方、該当する履歴情報がなければ、端末位置が現在位置の近傍となる履歴情報を選択する。
第2の履歴情報選択部18は、第1の履歴情報選択部17で選択された履歴情報が複数件ある場合に、その中で通信品質が最も高い履歴情報を選択する。このとき、履歴情報内の通信品質情報(受信電力、干渉量、遅延時間、切断率、通信速度、通信量など)に基づいて、通信品質が最も高い履歴情報を選択する。このとき、通信品質情報のいずれか1つの事項、例えば通信速度で通信品質の高さを判定すればよいが、複数の事項の値に基づいて通信品質の評価値を求めて、その評価値に基づいて判定するようにしてもよい。
改善情報取得部19は、第2の履歴情報選択部18で選択した履歴情報に基づいて、通信品質が改善される条件に関する改善情報を取得する。このとき、第2の履歴情報選択部18で選択した履歴情報と、端末情報収集部12で取得した現在(最新)の端末情報(端末状態情報)とを比較して、両者の差分を抽出する、すなわち、履歴情報と端末情報とで数値が異なる事項を特定し、それを改善事項として、その改善事項に関して通信品質を高めることができる条件を改善情報として取得する。
ここで、改善情報は、通信品質を改善させる行動をユーザに促すものであり、ユーザが身体を動かすなどして、ユーザ自身が変化させることができる端末装置1の状態、すなわち、位置、方位、移動速度、高さ、傾きなどの各事項に関して通信品質を高めることができる条件を改善情報として取得する。
具体的には、第2の履歴情報選択部18で選択された履歴情報が、端末装置1の現在位置と一致するものである場合には、位置を除く端末装置1の状態、すなわち、方位、移動速度、高さ、傾きなどの各事項に関して通信品質を高めることができる条件を改善情報として取得する。
一方、第2の履歴情報選択部18で選択された履歴情報が、端末装置1の現在位置と一致しない、すなわち、履歴情報における端末位置が端末装置1の現在位置の近傍となる場合には、通信品質が改善される条件として、通信品質を高めることができる端末装置1の位置を改善情報として取得する。本実施形態では、履歴情報における端末位置を目標位置として、その目標位置までの距離および方向に関する情報を改善情報として取得する。
なお、改善情報取得部19では、履歴情報と端末情報とで数値が異なる改善事項が複数ある場合には、その改善事項のすべてに関して通信品質を高めることができる条件を改善情報として取得する。また、各改善事項におけるユーザの負担の大きさを比較して、ユーザの負担が最も小さくなる改善事項に関してのみ改善情報を取得するようにしてもよい。
不良原因推定部20は、端末情報収集部12で取得した現在(最新)の端末情報(端末状態情報および通信品質情報)と、第2の履歴情報選択部18で選択された履歴情報とに基づいて、現在の通信不良の原因を推定する。通信不良の原因としては、遮蔽物が存在すること、スモールセル基地局装置3の通信エリア外(圏外)であること、端末装置1の移動速度に問題があること、電波の届きにくい場所(不感知エリア)であることなどである。
ここで、遮蔽物、移動速度、および不感知エリアに関する通信不良の原因は、現在の端末情報と履歴情報とを比較することで推定することができる。また、圏外に関する通信不良の原因は、端末装置1の現在位置とスモールセル基地局装置3の通信エリアを比較することで推定することができる。
このほかに、端末装置1の現在位置と一致することを条件にして、履歴情報蓄積部16に蓄積された履歴情報と現在の端末情報とを比較することで、降雨などの天気に関する通信不良の原因を推定することができる。
表示部21は、液晶ディスプレイなどで構成され、改善情報取得部19で取得した改善情報、および不良原因推定部20で推定された通信不良の原因に関する情報を表示する。
指向性制御部22は、改善情報取得部19で取得した改善情報に基づいて、アンテナの指向性の制御を行う。改善情報取得部19では、通信品質が改善される端末装置1の方位に関する改善情報が取得され、指向性制御部22では、この端末装置1の方位に基づいてアンテナの指向性を制御する。すなわち、改善情報で指定された方位に端末装置1を向けた状態に近づくようにアンテナの指向性を制御する。
なお、本実施形態では、端末装置1が、基地局情報をスモールセル基地局装置3から直接取得するようにしたが、基地局情報をマクロセル基地局装置2から取得するようにしてもよい。また、本実施形態では、端末装置1が、天気情報提供サーバ5から天気情報を直接取得するようにしたが、マクロセル基地局装置2を介して天気情報を取得するようにしてもよい。
以上、端末装置1の概略構成を機能ブロック図にしたがって説明したが、この機能ブロック図に示した各部は、プロセッサ(CPU)に、メモリに記憶された所定のプログラムを実行させることで実現される。なお、以下に示す機能ブロック図でも同様である。
次に、図2に示した履歴情報蓄積部16に蓄積される履歴情報テーブルの別例について説明する。図5は、履歴情報蓄積部16に蓄積される履歴情報テーブルの別例を示す説明図である。
スモールセル基地局装置3で利用される高SHF帯およびEHF帯では、人物や車両などの動的な遮蔽物により通信品質が大きく影響を受け、動的な遮蔽物の数に応じて通信品質が大きく変化する。一方、動的な遮蔽物の数は時間帯に応じて異なり、昼間では動的な遮蔽物が多く、夜間では動的な遮蔽物が少なくなる。このため、時間帯に応じて通信品質が大きく変化する。そこで、本実施形態では、履歴情報を、朝、昼、夜の各時間帯で管理する。
図3に示した例では、環境情報中の時刻に関する情報として、収集タイミングの時刻をそのまま記録するようにしているが、この場合、時刻から時間帯を判定すればよい。また、図5に示すように、時刻に関する情報として、朝、昼、夜の時間帯を記録するようにしてもよい。
次に、図2に示した改善情報取得部19および不良原因推定部20で取得して表示部21に表示される改善情報および不良原因情報について説明する。
まず、端末装置1の方位に関する改善情報について説明する。図6および図7は、端末装置1の方位に関する改善情報を説明する説明図である。図6(A−1),(A−2)に、スモールセル基地局装置3、端末装置1およびユーザの身体の位置関係が異なる状況を示し、図6(B−1),(B−2)に、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況と端末装置1の現在位置および移動方向とを示し、図7に、端末装置1の表示部21に表示される画面を示す。
なお、図6(B−1),(B−2)に示す通信品質の分布状況では、スモールセル基地局装置3の通信エリアを複数の分割エリアに分割して、各分割エリアの通信品質の良否の程度、例えば接続率の高さが濃淡で表現されている。ここでは、通信品質が最も悪いエリアを最も濃い色で、通信品質が良くなるに従って淡い色で表現している。
図6(A−1)に示す例は、端末装置1を所持したユーザが北向きに歩行している場合である。この場合、スモールセル基地局装置3より北側の位置では、ユーザがスモールセル基地局装置3から遠ざかる方向に歩行し、ユーザの身体の背後にスモールセル基地局装置3が位置するため、ユーザの身体自体が遮蔽物となることから、通信不良が発生しやすい。このため、図6(B−1)に示すように、スモールセル基地局装置3より北側の位置では通信品質が低くなる傾向にある。
図6(A−2)に示す例は、ユーザが南向きに歩行している場合である。この場合、スモールセル基地局装置3より北側の位置では、ユーザがスモールセル基地局装置3に近づく方向に歩行し、ユーザの身体の前方にスモールセル基地局装置3が位置するため、ユーザの身体が遮蔽物とならない。このため、図6(B−2)に示すように、スモールセル基地局装置3より北側の位置では通信品質が高くなる。
このように、ユーザが歩行する方向、すなわちユーザの身体の向きに応じて、スモールセル基地局装置3、端末装置1およびユーザの身体の位置関係が異なるため、同一の位置でも通信品質が異なる。
一方、本実施形態では、端末状態情報として端末装置1の方位が収集されるが、この端末装置1の方位は、ユーザの身体の向きと関連する。すなわち、ユーザが端末装置1を使用する際には、通常、身体の正面に端末装置1を保持して操作することから、ユーザの身体の向きに応じて端末装置1の方位が変化する。したがって、履歴情報における同一地点での端末装置1の方位に応じた通信品質の良否は、主にユーザの身体の向きに応じて遮蔽の状況が変化することによるものとなる。
そこで、本実施形態では、履歴情報において通信品質が良好となる端末装置1の方位に基づいて、改善情報として、通信品質が改善される端末装置1の方位に関する情報を取得して、その改善情報を端末装置1の表示部21に表示する。
具体的には、図7に示すように、端末装置1の表示部21に表示される画面に、改善情報として、東西南北の各方向の受信感度を表示する方向別受信感度表示部31が設けられている。この方向別受信感度表示部31では、バーの本数で、東西南北の各方向における受信感度、すなわち、通信品質の良否を表現している。この方向別受信感度表示部31に表示される各方向の受信感度は、履歴情報における端末装置1の方位に応じた通信品質の良否に基づいて取得する。
この方向別受信感度表示部31の表示にしたがって、ユーザが端末装置1の向き、すなわち身体の向きを変えることで、通信品質を改善することができる。例えば、図6(B−1)に示すように、ユーザが北向きに歩行している場合、スモールセル基地局装置3より北側の位置では通信品質が低くなるが、この位置でユーザが身体の向きを南向きに変えると、通信品質は、図6(B−2)に示すようになり、通信品質を改善することができる。
また、端末装置1の画面には、端末装置1の現在位置に対するスモールセル基地局装置3の方向を表示する方向表示部32が設けられている。この方向表示部32では、スモールセル基地局装置3が存在する方向や、履歴情報から得られる方向別の通信品質のうち、最も良好となる方向を表す矢印が表示される。この方向表示部32の表示にしたがって、ユーザが端末装置1の向きを変えることで、通信品質を改善することができる。
また、端末装置1の画面には、受信感度(電波強度)を表示する受信感度表示部33が設けられている。この受信感度表示部33では、スモールセル基地局装置3の電波を受信できる状態ではバーの本数で受信感度が表示され、スモールセル基地局装置3の電波を受信できない状態では「圏外」の文字が表示される。
また、端末装置1の画面には、通信不良の原因を表示する不良原因表示部34が設けられている。図7に示す例では、「接続不良(遮蔽)」の文字が表示されている。これにより、遮蔽物により通信不良となっていることをユーザが把握することができる。
次に、端末装置1の位置に関する改善情報について説明する。図8は、端末装置1の位置に関する改善情報を説明する説明図であり、図8(A−1),(A−2)に、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況と端末装置の現在位置および移動方向とを示し、図8(B)に、端末装置1の表示部21に表示される画面を示す。
図8(A−1)に示すように、スモールセル基地局装置3の通信エリア外に端末装置1があると、通信不可となるが、図8(A−2)に示すように、スモールセル基地局装置3の通信エリア内に端末装置1が入ると、通信不可となる状態は解消される。
そこで、本実施形態では、履歴情報において通信品質が良好となる端末装置1の位置に基づいて、改善情報として、通信品質が改善される端末装置1の位置に関する情報を取得して、その改善情報を端末装置1の表示部21に表示する。
特に本実施形態では、履歴情報において通信品質が良好となる端末装置1の位置を目標位置として、その目標位置までの距離および方向に関する情報を表示する。この目標位置までの距離および方向は、端末装置1の現在位置と目標位置とを比較することで取得することができる。
具体的には、図8(B)に示すように、端末装置1の表示部21に表示される画面に、距離表示部35が設けられており、この距離表示部35には、端末装置1の現在位置から、通信品質が良好となる目標位置までの距離が表示される。図8(B)に示す例では、「距離50m」の文字が表示されている。また、端末装置1の画面には、方向表示部36が設けられており、この方向表示部36に、現在位置から見た目標位置の方向を表す矢印が表示されている。
この距離表示部35および方向表示部36の表示にしたがって、ユーザが移動することで、図8(A−2)に示したように、通信品質を改善することができる。
この他、端末装置1の画面には、図7に示した例と同様に、受信感度表示部33および不良原因表示部34が設けられており、図8(B)に示す例では、受信感度表示部33に、「圏外」の文字が表示され、不良原因表示部34に、「接続不良(圏外)」の文字が表示されている。これにより、スモールセル基地局装置3の通信エリア外にいることをユーザが把握することができる。
次に、端末装置1の位置に関する改善情報の別例について説明する。図9は、端末装置1の位置に関する改善情報の別例を説明する説明図であり、図9(A)に、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況と端末装置1の現在位置および移動方向とを示し、図9(B)に、端末装置1の表示部21に表示される画面を示す。
この別例では、図9(B)に示すように、端末装置1の表示部21に表示される画面に、通信品質マップ表示部37が設けられており、この通信品質マップ表示部37には、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質情報、すなわち、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況を表す通信品質マップが、端末装置1の現在位置の周辺の状況を表す地図上に重畳して表示されている。また、地図上には端末装置1の現在位置とスモールセル基地局装置3の位置とが表示されている。
通信品質マップ表示部37の通信品質マップでは、図9(A)に示すように、スモールセル基地局装置3の通信エリアを複数の分割エリアに分割して、各分割エリアの通信品質の良否の程度が濃淡で表現されている。また、図9(B)に示す例では、端末装置1が位置するスモールセル基地局装置3の通信エリアの全体が表示されているが、端末装置1の現在位置の近傍のエリアのみを表示するようにしてもよい。
なお、図8に示した例では、スモールセル基地局装置3の通信エリア外の地点から通信エリア内の地点に誘導するようにしたが、この別例では、スモールセル基地局装置3の通信エリア内で、通信品質が低い地点から通信品質が高い地点に誘導するようにしている。
このほか、端末装置1の画面には、図8に示した例と同様に、距離表示部35および方向表示部36が設けられており、図9(B)に示す例では、距離表示部35に、「距離5m」の文字が表示され、方向表示部36に、目標位置の方向を表す矢印が表示されている。また、端末装置1の画面には、受信感度表示部33および不良原因表示部34が設けられており、受信感度表示部33に、「圏外」の文字が表示され、不良原因表示部34に、「接続不良(遮蔽)」の文字が表示されている。これにより、遮蔽物により通信不良となっていることをユーザが把握することができる。
このように本実施形態では、通信品質マップ表示部37に、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況を表す通信品質マップおよび端末装置1の現在位置が地図上に重ねて表示されるため、通信品質が良好となる地点を容易にユーザが把握することができる。また、通信品質マップ表示部37の通信品質マップおよび地図を見ることで、距離表示部35および方向表示部36に距離および方向が表示された目標位置とは異なる地点をユーザが独自に判断して、その地点に移動することもできる。
次に、端末装置1の移動速度に関する改善情報について説明する。図10は、端末装置1の移動速度に関する改善情報を説明する説明図であり、図10(A−1),(A−2)に、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況と端末装置の現在位置および移動方向とを示し、図10(B)に、端末装置1の表示部21に表示される画面を示す。
ユーザが車両に乗車している場合、歩行する速度より速い速度で端末装置1が移動するが、この端末装置1の移動速度、すなわち車両の走行速度に応じて通信品質が変化する。図10(A−1)は、車両の走行速度が速い場合であり、この場合、スモールセル基地局装置3の通信エリア内でも通信品質が良好となる地点が制限され、通信品質が良好となるエリアが狭くなる。図10(A−2)は、車両の走行速度が遅い場合であり、この場合、通信品質が良好となるエリアが広くなる。
そこで、本実施形態では、履歴情報において通信品質が良好となる端末装置の移動速度に基づいて、改善情報として、通信品質が改善される端末装置の移動速度に関する情報を取得して、その改善情報を端末装置1の表示部21に表示する。
具体的には、図10(B)に示すように、端末装置1の表示部21に表示される画面に、速度表示部38が設けられており、この速度表示部38に、通信品質が良好となる移動速度が表示される。図10(B)に示す例では、「速度15km/h」の文字が表示されている。
この速度表示部38の表示にしたがって、ユーザが車両を減速することで、図10(A−2)に示したように、通信品質を改善することができる。
この他、端末装置1の画面には、図7などに示した例と同様に、方向表示部32、受信感度表示部33および不良原因表示部34が設けられており、図10(B)に示す例では、方向表示部32に、スモールセル基地局装置3が存在する方向を表す矢印が表示され、受信感度表示部33に、「圏外」の文字が表示され、不良原因表示部34に、「接続不良(速度)」の文字が表示される。これにより、移動速度が速すぎることで通信不良となっていることをユーザが把握することができる。
なお、図10(A−1),(A−2)に示した例は、車上にアンテナを設置した場合であり、図6(B−1),(B−2)に示した例のように、進行方向による通信品質の差異は特に現れない。
次に、端末装置1の高さ(高度)に関する改善情報について説明する。図11および図12は、端末装置1の高さに関する改善情報を説明する説明図であり、図11(A)に、建築物におけるスモールセル基地局装置3の設置状況を示し、図11(B−1),(B−2)に、スモールセル基地局装置3の通信エリア内の通信品質の分布状況と端末装置の現在位置および移動方向とを示し、図12に、端末装置1の表示部21に表示される画面を示す。
図11(A)に示すように、建築物の屋内には、利用者が多数集まる場所にスモールセル基地局装置3が設置されている。このため、フロアに応じて通信品質が異なり、図11(B−1)に示すように、スモールセル基地局装置3が設置されていないフロアでは、通信品質が低くなり、図11(B−2)に示すように、スモールセル基地局装置3が設置されたフロアでは、通信品質が高くなる。
そこで、本実施形態では、履歴情報において通信品質が良好となる端末装置1の高さに基づいて、改善情報として、通信品質が改善される端末装置1の高さに関する情報を取得して、その改善情報を端末装置1の表示部21に表示する。
具体的には、図12に示すように、端末装置1の表示部21に表示される画面に、高さ表示部39が設けられており、この高さ表示部39に、通信品質が良好となるフロアの階数が表示される。図12に示す例では、「高さ2F/4F」の文字が表示されている。
この高さ表示部39の表示にしたがって、指定されたフロアにユーザが移動することで、図11(B−2)に示したように、通信品質を改善することができる。
この他、端末装置1の画面には、図7などに示した例と同様に、方向表示部32、受信感度表示部33および不良原因表示部34が設けられており、図12に示す例では、方向表示部32に、スモールセル基地局装置3が存在する方向を表す矢印が表示され、受信感度表示部33に、受信感度を表すバーが1本表示され、不良原因表示部34に、「接続不良(不感知)」の文字が表示される。これにより、電波の届きにくい場所にいるために通信不良となっていることをユーザが把握することができる。
以上、端末装置1の表示部21に表示される改善情報の例について説明したが、この他に、端末装置1の傾きに関する改善情報が、端末装置1の表示部21に表示される。端末装置1では、筐体内の所要の位置にアンテナが配置されており、筐体の傾き角度に応じて通信品質が変化する。例えば、利用者がアンテナが配置されている部分を下に向けて端末装置1を持った場合は、通信品質が悪化する。そこで、本実施形態では、履歴情報において通信品質が良好となる端末装置1の傾きに基づいて、改善情報として、通信品質が改善される端末装置1の傾きに関する情報を取得して、その改善情報を端末装置1の表示部21に表示する。
具体的には、端末装置1の表示部21に表示される画面に、傾き表示部が設けられ、この傾き表示部に、通信品質が良好となる端末装置1の傾きを表す文字や画像が表示される。例えば、アンテナ部分が上になるような持ち方の画像や傾き角度の数値を文字で表示するなどでもよい。
次に、図2(端末装置1)に示した端末情報収集部12で行われる処理の手順について説明する。図13は、端末情報収集部12で行われる処理の手順を示すフロー図である。
端末情報収集部12では、まず、端末状態情報(図4参照)のいずれかの事項に変化があると(ST101でYes)、端末状態情報を収集し(ST103)、また、通信品質情報(図4参照)を収集する(ST104)。
一方、端末状態情報のすべての事項に変化がなくても(ST101でNo)、前回の収集タイミングから所定の時間が経過すると(ST102でYes)、端末状態情報を収集し(ST103)、また、通信品質情報を収集する(ST104)。前回の収集タイミングから所定の時間が経過していない場合は(ST102でNo)、そのまま終了する。
次に、図2に示した履歴情報更新部15で行われる処理の手順について説明する。図14は、履歴情報更新部15で行われる処理の手順を示すフロー図である。
履歴情報更新部15では、まず、端末情報収集部12で端末情報(端末状態情報および通信品質情報)を収集する処理が行われると(ST201でYes)、その端末情報を取得する(ST202)。また、環境情報収集部13に環境情報を収集させて、その環境情報を取得する(ST203)。また、基地局情報収集部14に基地局情報を収集させて、その基地局情報を取得する(ST204)。そして、端末情報、環境情報および基地局情報に基づいて履歴情報蓄積部16の履歴情報テーブルを更新する(ST205)。端末情報を収集する処理が行われなった場合は(ST201でNo)、そのまま終了する。
次に、図2に示した第1の履歴情報選択部17で行われる処理の手順について説明する。図15は、第1の履歴情報選択部17で行われる処理の手順を示すフロー図である。
第1の履歴情報選択部17では、まず、環境情報収集部13から現在(最新)の環境情報を取得する(ST301)。また、基地局情報収集部14から現在(最新)の基地局情報(図3参照)を取得する(ST302)。また、端末情報収集部12から現在(最新)の端末情報(端末状態情報および通信品質情報)を取得する(ST303)。
そして、現在の通信環境に適合する履歴情報がある、すなわち、天気、時間帯、およびスモールセル基地局装置3の各事項について、現在の環境情報および基地局情報と一致する履歴情報(図3参照)があり(ST304でYes)、さらに、端末装置1の現在位置と一致する履歴情報(図4参照)がある、すなわち、端末位置が現在の端末状態情報と一致する履歴情報があると(ST305でYes)、その履歴情報を選択する(ST306)。なお、現在の環境情報および基地局情報と一致する履歴情報がない場合は(ST304でNo)、処理を終了するとしたが、完全に一致せずとも所定範囲以上一致する履歴情報を選択するようにしてもよい。
一方、端末装置1の現在位置と一致する履歴情報がない場合には(ST305でNo)、端末位置が現在位置の近傍となる履歴情報を選択する(ST307)。
このようにして第1の履歴情報選択部17において履歴情報が選択されると、第2の履歴情報選択部18において、第1の履歴情報選択部17で選択された履歴情報の中から、通信品質が最も高い履歴情報が選択される。
次に、図2に示した改善情報取得部19で行われる処理の手順について説明する。図16は、改善情報取得部19で行われる処理の手順を示すフロー図である。
改善情報取得部19では、まず、第2の履歴情報選択部18から履歴情報を取得する(ST401)。また、端末情報収集部12から現在(最新)の端末情報(端末状態情報および通信品質情報)を取得する(ST402)。
そして、履歴情報の通信品質が端末情報の通信品質より高い、すなわち、履歴情報が現在の通信品質より高いものであり(ST403でYes)、かつ、履歴情報と端末情報とで端末位置が一致する、すなわち、履歴情報が端末装置1の現在位置と一致するものであり(ST404でYes)、かつ、履歴情報と端末情報とで端末装置1の方位に差異がある場合には(ST405でYes)、履歴情報の方位を改善情報として取得する(ST406)。
ついで、履歴情報と端末情報とで端末装置1の傾きに差異がある場合には(ST407でYes)、履歴情報の傾きを改善情報として取得する(ST408)。
ついで、履歴情報と端末情報とで端末装置1の速度に差異がある場合には(ST409でYes)、履歴情報の速度を改善情報として取得する(ST410)。なお、ST405、ST407、ST409において、所定未満の差異の場合には差異がないと判定するようにしてもよい。
一方、履歴情報の通信品質が端末情報の通信品質より高くない場合には(ST403でNo)、履歴情報から改善情報を取得する意義がないため、処理を終了する。
また、履歴情報と端末情報とで端末位置が一致しない、すなわち、履歴情報における端末位置が端末装置1の現在位置の近傍となる場合には(ST404でNo)、履歴情報の位置を目標位置として、端末情報の位置(現在位置)から目標位置までの距離および方向を算出し、その距離および方向を改善情報として取得する(ST411)。
このようにして改善情報取得部19で改善情報を取得すると、その改善情報が表示部21に表示される。このとき、履歴情報と端末情報とで端末装置1の方位、傾きおよび速度のすべてにおいて差がある場合には、方位、傾きおよび速度のすべての改善情報が表示される。改善情報取得部19で改善情報を取得しない場合には、改善情報の表示は行われない。なお、履歴情報と端末情報とで複数の差があっても、その一部のみを表示するようにしてもよい。
なお、通信品質の判定(ST403)は例えば通信速度で行えばよい。また、図16では、端末装置1の高さ(高度)に関する改善情報の取得の処理を省略しているが、履歴情報と端末情報とで端末装置1の高さに差異がある場合には、履歴情報の高さを改善情報として取得するようにすればよい。
次に、図2に示した指向性制御部22で行われる処理の手順について説明する。図17は、指向性制御部22で行われる処理の手順を示すフロー図である。
指向性制御部22では、まず、第2の履歴情報選択部18から履歴情報を取得する(ST501)。また、端末情報収集部12から現在(最新)の端末情報を取得する(ST502)。そして、履歴情報の通信品質が端末情報の通信品質より高く(ST503でYes)、かつ、履歴情報と端末情報とで端末位置が一致し(ST504でYes)、かつ、履歴情報と端末情報とで端末装置1の方位に差異がある場合には(ST505でYes)、履歴情報の方位に基づいて指向性を制御する(ST506)。
なお、通信品質の判定(ST503)は例えば通信速度で行えばよい。また、端末装置1の現在位置と一致しない履歴情報、すなわち、端末位置が現在位置の近傍となる履歴情報では、適切な制御を行うことができないため、履歴情報に基づく指向性制御は実施しない。
また、アンテナの指向性の制御で通信品質の改善を図るには限界があり、例えば最適な方位が真後ろである場合には、アンテナの指向性の制御で通信品質の改善を図ることは難しい。そこで、このような場合には、端末装置1の方位に関する改善情報をユーザに通知して、所要の行動をユーザに促して通信品質を改善すればよい。また、アンテナの指向性の制御で対応可能な場合には、アンテナの指向性の制御を優先し、アンテナの指向性の制御を実施することで、ユーザの負担を軽減することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図18は、第2実施形態に係るマクロセル基地局装置2および端末装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。
前記の第1実施形態では、端末装置1において、自装置の端末情報を環境情報および基地局情報とともに履歴情報として蓄積して、現在の通信環境に適合する履歴情報に基づいて改善情報を取得するようにしたが、この第2実施形態では、マクロセル基地局装置2において、端末装置1から収集した端末情報を環境情報および基地局情報とともに履歴情報として蓄積して、端末装置1の現在の通信環境に適合する履歴情報を端末装置1に提供し、端末装置1において、マクロセル基地局装置2から提供された履歴情報に基づいて改善情報を取得するようにしている。
端末装置1は、第1実施形態と同様に、通信部11と、端末情報収集部12と、改善情報取得部19と、不良原因推定部20と、表示部21と、指向性制御部22と、を備えている。
一方、マクロセル基地局装置2は、通信部41と、端末情報取得部42と、環境情報収集部43と、基地局情報収集部44と、履歴情報更新部45と、履歴情報蓄積部46と、第1の履歴情報選択部47と、第2の履歴情報選択部48と、を備えている。
端末装置1では、端末情報収集部12において、所定の収集タイミングで自装置の端末情報(端末状態情報および通信品質情報)が収集されて、その端末情報が通信部11からマクロセル基地局装置2に送信される。
マクロセル基地局装置2では、端末情報取得部42において、端末装置1から送信される現在(最新)の端末情報を通信部41を介して取得する。また、端末情報取得部42で端末装置1から端末情報を取得したタイミングで、環境情報収集部43において環境情報を、基地局情報収集部44において基地局情報を収集する。そして、履歴情報更新部45において、端末情報取得部42、環境情報収集部43および基地局情報収集部44で取得した端末情報、環境情報および基地局情報を履歴情報として、履歴情報蓄積部46に蓄積された履歴情報テーブルを更新する。
また、マクロセル基地局装置2では、端末装置1から現在(最新)の端末情報を取得すると、第1の履歴情報選択部47において、環境情報収集部43および基地局情報収集部44から取得した現在(最新)の環境情報および基地局情報に基づいて、履歴情報蓄積部46に蓄積された履歴情報の中から、端末装置1の現在の通信環境に適合する履歴情報を選択する。さらに、端末情報取得部42から取得した現在(最新)の端末状態情報に基づいて、端末装置1の現在位置と一致する履歴情報、または、端末位置が現在位置の近傍となる履歴情報を選択する。そして、第2の履歴情報選択部48において、第1の履歴情報選択部47で選択された履歴情報の中で通信品質が最も高い履歴情報を選択する。第2の履歴情報選択部48で選択された履歴情報は、通信部41から端末装置1に送信される。
端末装置1では、マクロセル基地局装置2から送信される履歴情報を、通信部11を介して取得する。そして、改善情報取得部19において、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報に基づいて改善情報を取得する。また、不良原因推定部20において、端末情報収集部12で取得した現在(最新)の端末情報(端末状態情報および通信品質情報)と、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報とに基づいて、現在の通信不良の原因を推定する。
そして、表示部21において、改善情報取得部19で取得した改善情報、および不良原因推定部20で推定された通信不良の原因に関する情報を表示する。また、指向性制御部22において、改善情報取得部19で取得した改善情報に基づいて、アンテナの指向性の制御を行う。
なお、通信相手となる端末装置1の現在位置と一致する履歴情報を、マクロセル基地局装置2からスモールセル基地局装置3に提供し、スモールセル基地局装置3において、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報から、通信品質が改善されるアンテナに関する改善情報を取得して、その改善情報に基づいて、通信品質が最良となるアンテナを決定して、そのアンテナを用いて通信を行うようにしてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図19は、第3実施形態に係る端末装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。図20は、図19に示した履歴情報補正部51で生成される補正情報および平均補正情報の一例を示す説明図である。
前記の第2実施形態では、マクロセル基地局装置2において、端末装置1から端末情報(端末状態情報および通信品質情報)を収集して、この端末情報を履歴情報として蓄積するようにしたが、この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、マクロセル基地局装置2において、端末装置1から端末情報を収集して履歴情報として蓄積するとともに、端末装置1においても、自装置に関する端末情報を収集して履歴情報として蓄積するようにしている。
端末装置1では、通信品質に影響を及ぼすアンテナの配置形態や筐体の大きさや形状などが機種に応じて異なるため、機種に応じて通信品質が異なる。このため、別の機種に関する履歴情報をそのまま利用することが難しい場合がある。一方、履歴情報を同一の機種に限定することも可能であるが、利用可能な履歴情報が極端に少なくなるという問題がある。
そこで、この第3実施形態では、端末装置1において、マクロセル基地局装置2から取得した他機種に関する履歴情報と、自装置に関する履歴情報とを比較して、補正情報を生成し、この補正情報を用いて他機種の履歴情報を補正した上で、履歴情報から改善情報を取得するようにしている。これにより、マクロセル基地局装置2から提供される履歴情報が別機種に関するものである場合でも、精度の高い改善情報をユーザに通知することができる。
図19に示すように、端末装置1は、第1実施形態と同様に、通信部11と、端末情報収集部12と、環境情報収集部13と、基地局情報収集部14と、履歴情報更新部15と、履歴情報蓄積部16と、改善情報取得部19と、不良原因推定部20と、表示部21と、指向性制御部22と、を備えているが、これに加えて、履歴情報補正部51と、補正情報蓄積部52と、を備えている。マクロセル基地局装置2は、第2実施形態(図18参照)と同様である。
履歴情報補正部51は、マクロセル基地局装置2から送信される履歴情報を、通信部11を介して取得すると、端末位置が一致することを条件にして、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報と、履歴情報蓄積部16に蓄積された自装置の履歴情報とを比較して、その比較結果に基づいて補正情報を生成し、その補正情報に基づいて、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報に対して補正を行う。
本実施形態では、マクロセル基地局装置2の履歴情報と自装置の履歴情報との差分を求め、その差分を補正情報として補正情報蓄積部52に蓄積する。
具体的には、ある時点tでマクロセル基地局装置2から取得した履歴情報(方位や傾きなど)を基地局履歴情報(tA)、端末装置1の履歴情報蓄積部16に蓄積された履歴情報を端末履歴情報(tB)とすると、時点tにおける補正情報(tC)は、次式のようになる。
補正情報(tC)=基地局履歴情報(tA)−端末履歴情報(tB)
そして、時点tでマクロセル基地局装置2から受信した履歴情報に対して補正を行うことで得られる補正後の履歴情報(tD)は、次式のようになる。
補正後の履歴情報(tD)=基地局履歴情報(tA)−平均補正情報(tCa)
ここで、平均補正情報(tCa)は、時点tまでに取得した補正情報(tC)の平均値である。
なお、図20には、履歴情報中の端末状態情報である端末装置1の方位および傾きに関する補正情報および平均補正情報を示すが、端末装置1の速度や高さなどに関しても補正情報および平均補正情報が生成される。
次に、図19に示した端末装置1の履歴情報補正部51で行われる処理の手順について説明する。図21は、履歴情報補正部51で行われる処理の手順を示すフロー図である。
履歴情報補正部51では、まず、マクロセル基地局装置2から送信される履歴情報を、通信部11を介して取得する(ST601)。そして、このマクロセル基地局装置2から取得した履歴情報と、履歴情報蓄積部16に蓄積された自装置の履歴情報とを比較して、端末位置が一致するものがあると(ST602でYes)、それらの履歴情報の差分を算出して(ST603)、その履歴情報の差分を補正情報として補正情報蓄積部52に蓄積する(ST604)。
次に、補正情報蓄積部52に蓄積された補正情報の中に、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報と端末位置が一致するものが存在し(ST605でYes)、かつ、その該当する補正情報が所定数以上存在すると(ST606でYes)、その該当する補正情報を平均化した平均補正情報を算出する(ST607)。そして、その平均補正情報に基づいて、マクロセル基地局装置2から取得した履歴情報を補正する(ST608)。
このようにしてマクロセル基地局装置2から取得した履歴情報が履歴情報補正部51で補正されると、改善情報取得部19において、補正された履歴情報を使用して改善情報を取得する。
このように本実施形態では、マクロセル基地局装置2から履歴情報を取得するたびに、補正情報を生成する処理が繰り返され、補正情報蓄積部52に蓄積された補正情報を平均化した平均補正情報の精度を徐々に高めることができ、補正情報が所定数以上蓄積されて、平均補正情報の精度が所要のレベルまで高まった段階で、その平均補正情報を補正処理に使用することで、精度の高い補正を行うことができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図22は、第4実施形態に係るマクロセル基地局装置2および自動運転車61の概略構成を示す機能ブロック図である。
前記の第2実施形態(図18参照)では、通信品質が改善される条件に関する改善情報を端末装置1に表示させて、ユーザに通信品質を改善する行動を促すようにしたが、この第4実施形態では、端末装置を保持するユーザが自動運転車に乗車した場合に、端末装置が取得した通信品質の改善情報を自動運転の制御に利用するようにしたものである。
すなわち、自動運転車(自律走行が可能な車両)61において、端末装置62で取得した改善情報を自律走行制御装置63に提供して、自律走行制御装置63で通信品質を改善するように自動運転車61の走行を制御するようにしている。
端末装置62は、第2実施形態と同様に、通信部11と、端末情報収集部12と、改善情報取得部19と、指向性制御部22と、を備えている。マクロセル基地局装置2は、前記の第2実施形態と同様である。
自律走行制御装置63は、端末装置62の改善情報取得部19で取得した改善情報に基づいて、端末装置62の位置、方位および移動速度、すなわち、自動運転車61の位置、走行方向および走行速度が、安全運転に支障のない範囲で、通信品質が改善される条件に適合するように、自動運転車61の自律走行を制御する。例えば、通信品質が改善する位置にある駐車エリアに誘導したり、通信品質が改善する方位となるように自動運転車の向きを変更したり、通信品質が改善される走行速度に減速したりする。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態に示した本発明に係る端末装置、基地局装置、無線通信システム、および情報通知方法の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
例えば、前記の実施形態では、通信品質が改善される条件に関する改善情報をユーザに通知するため、端末装置の画面に改善情報を表示するようにしたが、この改善情報を音声によりユーザに通知するようにしてもよく、これは、例えば車両の運転者に改善情報を通知する場合に好適である。
また、前記の実施形態では、端末装置やマクロセル基地局装置において、履歴情報を蓄積して管理するようにしたが、履歴情報を蓄積して管理する専用のサーバ(情報管理装置)を設けるようにしてもよい。また、スモールセル基地局装置において、履歴情報を蓄積して管理し、端末装置との通信ができない場合に、マクロセル基地局装置を介して端末装置に履歴情報を送信するようにしてもよい。
また、前記の実施形態では、通信品質が改善される条件に関する改善情報を取得する改善情報取得部を端末装置に設けるようにしたが、この改善情報取得部をマクロセル基地局装置に設けて、改善情報をマクロセル基地局装置から端末装置に提供するようにしてもよい。
また、前記の実施形態では、過去の通信時の通信環境および通信品質に関する履歴情報から改善情報を取得して、通信品質を改善する行動をユーザに促したり、アンテナの指向性を制御したりするようにしたが、履歴情報に基づいて、端末装置の通信相手となるスモールセル基地局装置を切り替えるハンドオーバを制御するようにしてもよい。
また、前記の実施形態では、端末装置においてアンテナの指向性を制御するようにしたが、履歴情報を蓄積するマクロセル基地局装置からスモールセル基地局装置に履歴情報を提供し、スモールセル基地局装置において、履歴情報内の基地局情報に含まれる使用アンテナに基づいて、複数のアンテナの中から通信品質が最良となるアンテナを利用するようにしてもよい。
また、前記の第2実施形態では、第1の履歴情報選択部および第2の履歴情報選択部を基地局装置に設けて、端末装置の現在の通信環境に適合し、かつ、通信品質が最も高い履歴情報を端末装置に提供するようにしたが、履歴情報蓄積部に蓄積された履歴情報の中から、スモールセル基地局装置が一致する履歴情報のすべてを、あるいはその中で適宜に有用と判断される履歴情報を端末装置に提供し、端末装置において、最適な履歴情報を選択するようにしてもよい。
また、前記の実施形態では、履歴情報として多数の事項に関する情報を蓄積するようにしたが、端末装置1に履歴情報を蓄積する場合には、蓄積データ量を削減するため、履歴情報の事項を適宜に制限するようにしてもよい。この場合、少なくとも端末装置1の位置および方位と、通信速度とを含むものとするとよい。