JP6530360B2 - 光電変換素子 - Google Patents

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Description

実施形態の発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法、および光電変換素子の製造装置に関する。
光電変換素子は、蒸着法等の比較的複雑な方法を用いて製造される。これに対し、塗布法や印刷法を用いることにより、従来よりも低コストで簡便に光電変換素子を製造することができる。
光電変換素子として、例えば有機材料または有機材料および無機材料を用いた太陽電池、センサ、発光素子等が開発されている。上記光電変換素子の開発では、光電変換特性を向上させることが求められている。
特開2016−051693号公報 国際公開第2014/045021パンフレット
実施形態の発明が解決しようとする課題は、高い光電変換特性を有する光電変換素子を容易に製造することである。
実施形態の光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極および第2の電極に接する光電変換層と、を具備する。光電変換層は、第1の電極上に設けられ、有機材料を含む中間層と、中間層を形成した後に中間層上に設けられ、ペロブスカイト型化合物を含む活性層と、を備える。X線回折測定により得られる活性層のX線回折パターンは、ペロブスカイト型化合物の(004)面に起因する第1の回折ピークと、ペロブスカイト型化合物の(220)面に起因する第2の回折ピークとを有する。第2の回折ピークの最大強度に対する第1の回折ピークの最大強度の比は、0.18以上である。
光電変換素子の構造例を示す上面模式図である。 光電変換素子の構造例を示す断面模式図である。 光電変換素子の構造例を示す断面模式図である。 XRD回折パターンの例を示す図である。 光電変換素子の他の構造例を示す断面模式図である。 光電変換素子の製造方法例を説明するためのフローチャートである。 塗布工程の例を説明するための模式図である。 ガス供給工程の例を説明するための模式図である。 研磨工程の例を説明するための模式図である。 研磨工程の他の例を説明するための模式図である。 実施例のサンプルの表面写真である。 実施例のサンプルの表面写真である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 光電変換素子の変換効率PCEを示す図である。 光電変換素子の開放電圧VOCを示す図である。 光電変換素子の界面抵抗Rsを示す図である。 光電変換素子のフィルファクタFFを示す図である。 光電変換素子の短絡電流密度JSCを示す図である。 光電変換素子の並列抵抗Rshを示す図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 XRD回折パターンを示す図である。 XRD回折パターンを示す拡大図である。 XRD回折パターンの例を示す拡大図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 光電変換素子の構造例を示す模式図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。 光電変換素子のIV特性を示す図である。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は模式的であり、例えば各構成要素の厚さ、幅等の寸法は実際の構成要素の寸法と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付け、説明を省略する場合がある。
図1ないし図3は光電変換素子の構造例を示す図である。図1は、上面模式図である。図2は、図1の線分X1−Y1における断面模式図である。図3は、図1の線分X2−Y2における断面模式図である。実施形態の光電変換素子としては、例えば発光素子、太陽電池、またはセンサ等が挙げられる。
図1ないし図3に示す光電変換素子は、基板1と、電極2と、電極3と、電極2および電極3に接する光電変換層4と、を具備する。
基板1は、電極2、電極3、および光電変換層4を支持する。基板1を介して光が光電変換層4に入射する場合、基板1は、透光性を有する。
電極2は、基板1上に設けられている。電極2は、アノード電極およびカソード電極の一方としての機能を有する。
電極3は、光電変換層4を挟んで電極2と離間して設けられている。電極3は、光電変換層4上に設けられ、基板1上まで延在する。電極3は、アノード電極およびカソード電極の他方としての機能を有する。
光電変換層4は、電極2と電極3との間に設けられる。光電変換層4は、活性層41と、バッファ層42と、バッファ層43と、を有する。なお、必ずしもバッファ層42およびバッファ層43の少なくとも一つを設けなくてもよい。
活性層41は、電極2と電極3との間に設けられ、バッファ層42の上に設けられている。光電変換素子が太陽電池の場合、活性層41は、入射する光のエネルギーにより電荷生成や励起子生成を行ってもよい。光電変換素子が発光素子の場合、活性層41は、発光層としての機能を有していてもよい。
活性層41は、ペロブスカイト型化合物を含む。ペロブスカイト型化合物とは、ペロブスカイトと同じ結晶構造を有する化合物である。ペロブスカイト型化合物を含むことにより変換効率を高めることができる。
ペロブスカイト型化合物は、一般式:ABXで表される。Aは例えば1級アンモニウムイオンを利用できる。1級アンモニウムイオンとしては、例えばCHNH 、CNH 、CNH 、CNH 、およびHC(NH などが挙げられる。1級アンモニウムイオンとしては、例えばCHNH が好ましいがこれに限定されない。また、Aとしては、Cs、1,1,1−trifluoro−ethyl ammonium iodide(FEAI)も好ましいがこれに限定されない。
Bは例えば2価の金属イオンを利用できる。2価の金属イオンとしては、例えばPb2+またはSn2+などが好ましいがこれに限定されない。BイオンがAイオンに比べて小さい場合にペロブスカイト型構造が形成されやすい。
Xはハロゲンイオンを利用できる。ハロゲンイオンとしては、例えばF、Cl、Br、I、またはAtなどが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、Cl、Br またはIが特に好ましいがこれに限定されない。
A、B、またはXを構成する材料は、それぞれ単一材料であっても複合材料であってもよい。構成するイオンはABXの比率と必ずしも一致しなくても機能できる。
ペロブスカイト型化合物は、立方晶、正方晶、直方晶等の単位格子を有する。各頂点にA原子が配置され、体心にB原子が配置され、これを中心として立方晶の各面心にX原子が配置されている。この結晶構造において、単位格子に包含される、1つのB原子と6つのX原子とからなる八面体は、A原子との相互作用により容易にひずみ、対称性の結晶に相転移する。この相転移が結晶の物性を劇的に変化させ、電子または正孔が結晶外に放出され、発電することができる。
活性層41を厚くすると光吸収量が増えて短絡電流密度JSCが増えるが、キャリア輸送距離が増える分、失活によるロスが増える傾向にある。このため最大効率を得るために、活性層41の厚さは30nm以上1000nm以下であることが好ましく、60nm以上600nm以下であることがさらに好ましい。
活性層41の厚みを個々に調整すれば、実施形態の光電変換素子と他の一般的な光電変換素子を太陽光照射条件で同じ変換効率になるように調整が可能である。しかし、膜質が異なるため200lxなどの低照度条件では、実施形態による光電変換素子は一般的な光電変換素子より高い変換効率を実現できる。
ペロブスカイト型化合物の結晶構造は、例えばX線回折(XRD)測定により解析される。図4は、XRDにより得られる活性層41のX線回折パターンの一部を示す図である。図4に示す回折パターンは、回折角度(2θ)が28.0〜28.3度の範囲にペロブスカイト型化合物の(004)面に起因する第1の回折ピークと、回折角度(2θ)が28.5度の付近にペロブスカイト型化合物の(220)面に起因する第2の回折ピークと、を有する。結晶面の表記はミラー指数で表わされるが、単位胞の規定の仕方で呼称が変化する。第1の回折ピークは、第2の回折ピークと重なっていることがある。この場合、低角側から見て、単位角度あたりの強度増加の減少を伴う領域における変曲点が第1の回折ピークの頂点と定義される。もしくは、各回折ピークが低角側と広角側に正規分布するとして最小二乗法等で形状をフィッティングすれば単体のピーク形状を求められ、そこから、第1の回折ピークの頂点が定義できる。最大強度の比は図4のようにベースラインからの強度aとbを(004)と(220)の最大強度として求められる。
第1の回折ピークを有することは、ペロブスカイト型化合物の結晶構造の安定性が高いことを示す。また、図4に示す回折パターンにおいて、第2の回折ピークの最大強度に対する第1の回折ピークの最大強度の比は、0.18以上である。0.18未満では、ペロブスカイト型化合物が十分に形成されておらず、変換効率が低下しやすい。(004)は(220)と垂直に交差する結晶面であるため、両方が検出されるということは、3次元的に結晶構造の秩序構造が形成されていることを裏付けている。特に有機材料を下地としてペロブスカイト型化合物を形成する場合には、結晶核生成の基点となるものが無いため、結晶成長が困難になる。この場合にも検出されるということは、3次元的に秩序構造が良好であることを意味する。なお、回折ピークの強度は、結晶面の存在だけではなく、他の結晶面、特に並行する面の干渉を受けて、強度が弱くなることがある。これらを加味して0.18以上であるということは、ペロブスカイト型化合物内の3次元的な秩序構造が高められていること意味する。
このように、実施形態の光電変換素子は、上記X線回折パターンで表わされるペロブスカイト型化合物を含む活性層を具備する。上記ペロブスカイト型化合物の結晶構造は、高い安定性を有する。よって、光電変換効率を高めることができる。
バッファ層42は、電極2と活性層41との間に設けられ、電極2の一部の上に設けられている。バッファ層43は、活性層41と電極3との間に設けられ、活性層41上に設けられている。
バッファ層42およびバッファ層43のそれぞれは、中間層の一つとして設けられる。バッファ層42およびバッファ層43の一方は、正孔輸送層として機能し、他方は電子輸送層として機能する。正孔輸送層は、正孔を効率的に輸送する機能を有する。電子輸送層は、電子を効率的に輸送する機能を有する。
基板1、電極2、電極3、活性層41、バッファ層42、およびバッファ層43についてさらに説明する。
基板1は、表面に電極を形成するため、電極形成時にかかる熱や、接触する有機溶媒によって変質しない材料で作製されることが好ましい。基板1の材料としては、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマー等のプラスチック、高分子フィルム等の有機材料、SUS等のステンレス鋼、アルミニウム、チタン、シリコン等の金属材料等が挙げられる。
基板1の透光性は、目的とする光電変換素子の構造によって適切に選択される。基板1側から活性層41に光が入射する場合、透光性を有する基板が使用される。電極3側からな活性層41に光が入射する場合、基板1は、透光性を有していなくてもよい。
基板1の厚さは、その他の構成部材を支持するために十分な強度があれば、特に限定されない。基板1が光入射面側に配置される場合、光入射面には、例えばモスアイ構造の反射防止膜を設置することができる。このような構造とすることで、光を効率的に取り込み、セルのエネルギー変換効率を向上させることが可能である。モスアイ構造は表面に100nm程度の規則的な突起配列を有する構造をしており、この突起構造により厚み方向の屈折率が連続的に変化するため、無反射フィルムを媒介させることで屈折率の不連続的な変化面がなくなるため光の反射が減少し、セル効率が向上する。基板1は単体または組み合わせることで光電変換素子の機能を発現するものでもよい。具体的には、既に完成されたシリコン太陽電池の上に、本発明を適用した太陽電池を形成し、タンデム型太陽電池としてもよい。この場合、等価回路が並列回路になることが好ましい。さらに、第1の電極と中間層とがシリコン太陽電池と共有されてもよい。この場合、等価回路が直列回路になることが好ましい。
電極2および電極3には、導電性を有する材料を用いることができる。電極2および電極3に透光性および導電性を有する材料を用いてもよい。電極2および電極3に適用可能な材料の例としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム錫酸化物(ITO)、フッ素を含む酸化錫(FTO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作製された膜(NESA等)等の金属酸化物材料や、金、白金、銀、銅等の金属材料を含む。特に、ITOまたはFTOが好ましい。電極2および電極3の少なくとも一つの電極は、単層構造または異なる仕事関数の材料を含む層の積層構造を有していてもよい。
電極2および電極3の少なくとも一つの電極の厚さは、電極の材料がITOの場合、30nm以上300nm以下であることが好ましい。30nm未満の場合、導電性が低下して抵抗が大きくなりやすい。抵抗が大きいと光電変換効率が低下する場合がある。300nmを超える場合、ITO膜の可撓性が低下して、応力が作用するとひび割れる場合がある。電極2および電極3の少なくとも一つの電極のシート抵抗は、10Ω/□以下であることが好ましい。
電極2または電極3を電子輸送層に接触させる場合、電極材料として仕事関数の低い材料を用いることが好ましい。仕事関数の低い材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。具体的には、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、Na、K、Rb、Cs、Ba、およびこれらの合金を挙げることができる。また、上記に挙げた仕事関数の低い材料から選択される金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫などから選択される仕事関数が相対的に高い金属との合金であってもよい。電極材料に用いることができる合金の例としては、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、マグネシウム−銀合金、カルシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
上記材料を用いる場合、電極の厚さは、1nm以上500nm以下であることが好ましく、10nm以上300nm以下であることがより好ましい。1nmの場合、抵抗が大き過ぎるため、発生した電荷を十分に外部回路に伝達することが困難である。500nmを超える場合、電極の形成に長時間を要するため材料温度が上昇し、他の材料にダメージを与えて性能が劣化してしまうことがある。さらに、材料を大量に使用するため、成膜装置の占有時間が長くなり、コストが増加する場合がある。
電極材料として有機材料を用いることもできる。例えばポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの導電性高分子化合物などが好ましい。このような導電性高分子化合物は市販されており、例えばClevios P H 500、Clevios P H、Clevios P VP Al 4083、Clevios HIL 1,1(いずれも商品名、スタルク社製)などが挙げられる。PEDOTの仕事関数(またはイオン化ポテンシャル)は4.4eVであるが、これに別の材料を組み合わせて電極の仕事関数を調整することができる。例えば、PEDOTにポリスチレンスルホン酸塩(PSS)を混合することで、仕事関数を5.0〜5.8eVの範囲で調整することができる。ただし、導電性高分子化合物と別の材料の組み合わせから形成された層は、導電性高分子化合物の比率が相対的に減少するため、キャリア輸送性が低下する可能性がある。ゆえにこのような場合の電極の厚さは50nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。なお、導電性高分子化合物としてはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンが好ましい。
バッファ層42およびバッファ層43の一方の層が電子輸送層として機能する場合、電子輸送層は、ハロゲン化合物または金属酸化物を含むことが好ましい。ハロゲン化合物としてはLiF、LiCl、LiBr、LiI、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、またはCsFが好適な例として挙げられる。これらのうち、LiFが特に好ましい。金属酸化物としては。酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウム、酸化ニオブが好適な例として挙げられる。これらのうち、酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、ゾルゲル法によりチタンアルコキシドを加水分解することによって得られたアモルファス性酸化チタンが好ましい。
電子輸送層は、金属カルシウムなどの無機材料を含んでいてもよい。電子輸送層の厚さは20nm以下であることが好ましい。これにより電子輸送層の膜抵抗を低くし、変換効率を高めることができる。電子輸送層の厚さは5nm以上であることが好ましい。これにより、正孔ブロック効果を十分に発揮させることができ、発生した励起子が電子と正孔とを放出する前に失活することを防止することができる。この結果、効率的に電流を取り出すことができる。
n型有機半導体としては、フラーレンおよびその誘導体が好ましいが、特に限定されない。具体的には、C60、C70、C76、C78、C84等を基本骨格として構成される誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレン骨格における炭素原子が任意の官能基で修飾されていてもよく、この官能基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。フラーレン誘導体には、フラーレン結合ポリマーが含まれる。溶媒に親和性の高い官能基を有し、溶媒への可溶性が高いフラーレン誘導体が好ましい。
フラーレン誘導体における官能基としては、例えば、水素原子;水酸基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基等が挙げられる。具体的には、C6036、C7036等の水素化フラーレン、C60、C70等のオキサイドフラーレン、フラーレン金属錯体等が挙げられる。フラーレン誘導体として、[60]PCBM([6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)または[70]PCBM([6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル)を使用することが特に好ましい。
バッファ層42およびバッファ層43の他方の層が正孔輸送層として機能する場合、正孔輸送層は、p型有機半導体材料やn型有機半導体材料を含むことができる。ここでいうp型有機半導体材料とn型有機半導体材料とは、ヘテロ接合、バルクヘテロ接合を形成したときに、電子ドナー材料、電子アクセプター材料として機能できる材料である。
n型有機半導体として、蒸着で成膜することが可能な低分子化合物を用いることができる。ここでいう低分子化合物とは、数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwが一致する化合物である。いずれかが10000以下である。BCP(bathocuproine)、 Bphen(4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)、 TpPyPB(1,3,5−tri(p−pyrid−3−yl−phenyl)benzene)、DPPS(diphenyl bis(4−pyridin−3−yl)phenyl)silane)がより好ましい。
p形有機半導体は、例えば、ドナーユニットとアクセプタユニットからなる共重合体を含むことが好ましい。ドナーユニットとしては、フルオレンやチオフェンなどを用いることができる。アクセプタユニットとしては、ベンゾチアジアゾールなどを用いることができる。具体的には、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、チエノ[3,2−b]チオフェン誘導体等を用いることができる。正孔輸送層には、これらの材料を併用してもよいし、これらの材料を構成する共単量体からなる共重合体を用いてもよい。これらのうちポリチオフェンおよびその誘導体は、優れた立体規則性を有し、また溶媒への溶解性は、比較的高いので好ましい。
正孔輸送層の材料として、カルバゾール、ベンゾチアジアゾールおよびチオフェンを含む共重合体であるポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)などの誘導体を用いてもよい。さらにベンゾジチオフェン(BDT)誘導体とチエノ[3,2−b]チオフェン誘導体の共重重合体も好ましい。例えばポリ[[4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル][3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェンジイル]](PTB7)、PTB7のアルコキシ基よりも電子供与性が弱いチエニル基を導入したPTB7−Th(PCE10、またはPBDTTT−EFT)等も好ましい。さらに、正孔輸送層の材料として、金属酸化物を用いることもできる。金属酸化物の好適な例としては、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化セシウム、酸化アルミニウムが挙げられる。これらの材料は、安価であるという利点を有する。さらに正孔輸送層の材料として、チオシアン酸銅などのチオシアン酸塩を用いてもよい。
Spiro−OMeTADなどの輸送材料やp型有機半導体に対してドーパントを使用することができる。ドーパントとしては、酸素、4−tert−ブチルピリジン、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(Li−TFSI)、アセトニトリル、トリス[2−(1H−ピラゾール−1−イル)ピリジン]コバルト(III)トリス(ヘキサフルオロリン酸)塩、トリス[2−(1H−ピラゾール−1−イル)ピリミジン]コバルト(III)トリス[ビス(トリスフルオロメチルスルフォニル)イミド](MY11)などを使用できる。
正孔輸送層としてポリエチレンジオキシチオフェンなどの導電性高分子化合物を利用することができる。このような導電性高分子化合物は電極2および3に適用可能な材料を用いることができる。正孔輸送層においても、PEDOTなどのポリチオフェン系ポリマーに別の材料を組み合わせて、正孔輸送層等として適切な仕事関数を有する材料に調整することが可能である。ここで、正孔輸送層の仕事関数が活性層41の価電子帯よりも低くなるように調整することが好ましい。また、PEDOTにPSSを混合することで、調整することができる。
光電変換層4の構造例は、図1ないし図3に示す構造に限定されない。図5は、光電変換素子の他の構造例を示す断面模式図である。
図5に示す光電変換素子では、図1ないし図3に示す構成に加え、下地層44と、保護層45と、をさらに有する光電変換層4を具備する。
下地層44は、電極2と活性層41との間に中間層の一つとして設けられる。下地層44は、低分子化合物からなることが好ましい。ここでいう低分子化合物とは、数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwが一致し、それぞれ10000以下である。低分子化合物としては、例えば有機硫黄分子、有機セレン・テルル分子、ニトリル化合物、モノアルキルシラン、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸エステル、有機シラン分子、不飽和炭化水素、アルコール、アルデヒド、臭化アルキル、ジアゾ化合物、ヨウ化アルキル等の低分子化合物を含む材料が挙げられる。例えば4−フルオロ安息香酸(FBA)が好ましい。また、下地層44として、電極2に適用可能な有機材料を用いてもよい。このとき、下地層44を電極2の一部とみなしてもよい。
下地層44は、低分子化合物を含む溶液を塗布し、乾燥することにより形成される。下地層44は、ダイポールによる真空準位シフトを利用して活性層41から電極2または電極3に向かって移動するキャリアの収集効率を向上させることができる。下地層44は、ペロブスカイト型化合物の結晶性を改善することができ、活性層41に発生するピンホールを抑制することができ、受光面側の光透過量を増加させることができる。これにより、電流密度を増加させ、フィルファクタFFを改善することができ、光電変換効率や発光効率を向上させることができる。
特に酸化チタンと酸化アルミニウム以外の格子不整合の大きな結晶系のバッファ層や電極上にペロブスカイト型化合物を含む活性層41を形成させる際に、下地層44を設けることにより、下地層44自体が応力緩和層となったり、下地層44に近接したペロブスカイト型化合物の一部に応力緩和の機能を付与することができる。下地層44によってペロブスカイト型化合物の結晶性の改善だけでなく、結晶成長に伴う内部応力を緩和し、活性層41のピンホールの生成抑制や、良好な界面接合を実現できる。
下地層44としては、メソポーラス構造や空隙を有しない緻密構造の金属酸化物などからなる下地層を用いることができる。金属元素としてはチタン、ケイ素、銅、モリブデン、ニッケル、亜鉛、ニオブ、錫、バナジウム、またはタングステンがより好ましい。下地層44を設けることにより、仮に活性層41にピンホール、亀裂、ボイドなどが発生しても、電極2と電極3との間の漏れ電流を抑制することができる。
ペロブスカイト型化合物の結晶性が高まると、下地層44との間に剥離が生じ、変換効率の低下を招く場合がある。これは結晶成長に伴う内部応力の蓄積によるもので、これを吸収するためには、柔軟な有機材料を用いて下地層44を形成することが好ましい。特に熱処理によってイオンの再配列を行う際に、熱膨張率の違いによる更なる内部応力の増加が起こるため、応力緩和として有機材料が必要になる。
保護層45は、電極3と活性層41との間に中間層の一つとして設けられる。保護層45は、活性層41の表面に形成される起伏構造のうち、隆起部分を研磨過程で露出できる構造であればよい。保護層45に適用可能な材料としては、例えばハロゲン化合物、無機酸化物、有機低分子材料、高分子材料などが挙げられる。保護層45がキャリア輸送性を有する場合、保護層45をバッファ層として機能させることができる。このとき、保護層45にバッファ層42またはバッファ層43に適用可能な材料を用いてもよい。
さらに、活性層41の一方向に電極2および/またはバッファ層42と、電極3および/またはバッファ層43と、を互いに離間して配置したいわゆるバックコンタクト方式の構造を有していてもよい。
次に、実施形態の光電変換素子の製造方法例について説明する。図6は、実施形態の光電変換素子の製造方法例を説明するためのフローチャートである。実施形態の光電変換素子の製造方法例は、第1の電極形成工程S1と、光電変換層形成工程S2と、第2の電極形成工程S3と、熱処理工程S4と、を具備する。なお、実施形態の光電変換素子の製造方法は、上記製造方法例に限定されない。
第1の電極形成工程S1では、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、または塗布法等を用いて基板1上に電極2を形成する。
光電変換層形成工程S2では、電極2上に光電変換層4を形成する。光電変換層形成工程S2は、第1のバッファ層(下地層)形成工程S2−1と、塗布工程S2−2と、ガス吹き付け工程S2−3と、保護層形成工程S2−4と、研磨工程S2−5と、第2のバッファ層形成工程S2−6と、を有する。
第1のバッファ層(下地層)形成工程S2−1では、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、または塗布法等を用いて電極2上にバッファ層42および下地層44の少なくとも一つの中間層を形成する。下地層44は、例えば塗布法を用いて形成することが好ましい。なお、バッファ層42および下地層44を形成しない場合、第1のバッファ層(下地層)形成工程S2−1は実施されない。
図7は、塗布工程S2−2を説明するための模式図である。塗布工程S2−2では、塗布法を用い、塗布機構63から塗布液63aを支持体61に配置された被処理体62の中間層上に塗布して塗布層62aを形成する。なお、塗布機構63を備える塗布装置を用いて塗布層62aを形成してもよい。塗布機構63による塗布液63aの供給は、別途設けられた制御機構により制御される。
支持体61は、回転軸61aと、被処理体62を支持する支持面61bとを有する。回転軸61aは、支持面61bに垂直である。支持体61は、支持面61bにおいて真空チャックを用いて被処理体62を固定する。塗布層62aを形成する際、支持体61は、回転軸61aを中心に回転する。
塗布液63aは、ペロブスカイト型化合物の前駆体と前駆体を溶解し得る有機溶媒とを含む。有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。有機溶媒として複数の材料の混合溶媒を用いてもよい。塗布液は、1つの溶媒と、溶媒に溶解されたペロブスカイト型化合物を形成するための複数の原材料と、を含んでいてもよい。
塗布液63a中の前駆体の濃度は、1770mg/ml以下であることが好ましい。1770mg/mlを超えると、ペロブスカイト型化合物の結晶粒径が大きくなり、研磨工程S2−5において活性層41にピンホール等が発生しやすくなる。
塗布層62aは、例えばペロブスカイト型化合物を形成するための複数の原材料を個々に含む複数の溶液を調製して順次、スピンコータ、スリットコータ、バーコータ、ディップコータ等を用いて塗布することにより形成されてもよい。
塗布液63aは添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤は、例えば1,8−diiodooctane(DIO)、N−cyclohexyl−2−pyrrolidone(CHP)を用いることが好ましい。
一般的に活性層41がメソポーラス構造を有する場合、活性層41にピンホール、亀裂、ボイドなどが発生しても、電極間の漏れ電流を抑制することができる。活性層41がメソポーラス構造を有しない場合には、そのような効果が得られにくい。しかし、実施形態において塗布液63aにペロブスカイト型化合物の前駆体として複数の原料が含まれる場合、活性層41の形成時の体積収縮が少ないため、よりピンホール、亀裂、ボイドを少なくすることができる。
塗布液63aの塗布後に、ヨウ化メチルアンモニウム(MAI)、金属ハロゲン化合物等を含む溶液を塗布すると、未反応の金属ハロゲン化合物との反応が進み、さらにピンホール、亀裂、ボイドが少ない膜が得られやすい。したがって、塗布液63aを塗布した後に、塗布層62aの表面に例えばMAIを含む溶液を塗布することが好ましい。なお、MAI溶液の塗布は、ガス吹きつけ工程S2−3の後に行うことが好ましい。
図8は、ガス吹きつけ工程S2−3を説明するための模式図である。ガス吹きつけ工程S2−3では、ガス供給機構71から塗布層62aにガス71aを吹き付けてペロブスカイト型化合物を形成する。なお、ガス供給機構71を有する塗布装置を用いて塗布層62aにガス71aを吹き付けてもよい。ガス供給機構71によるガス71aの供給は、別途設けられた制御機構により制御される。
ガス71aとしては、例えば窒素や、希ガスに分類されるヘリウム、ネオン、アルゴンが好ましく用いられる。また、ガス71aとして空気、酸素、二酸化炭素などを用いることもできる。これらのガスは、それらを単独で、または混合して用いることもできる。窒素ガスは安価で大気から分離して利用することができるため好ましい。
ガス71a中の水分濃度は50%以下、好ましくは4%以下であることが好ましい。ガス71a中の水分濃度の下限値は、10ppm以上であることが好ましい。
ガス71aは、室温で液体である物質の蒸気を含んでいてもよい。室温で液体の物質としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロベンゼン(CB)、ジクロロベンゼン(DCB)等を用いることができる。室温で液体である物質の蒸気は、活性層41の平滑性を向上させることができ、ペロブスカイト型化合物の安定性を向上させることができる。
ガス71aの温度は30℃以下であることが好ましい。30℃を超えると塗布液63aに含まれるペロブスカイト型化合物の前駆体の溶解度が上昇し、ペロブスカイト型化合物の形成が阻害されてしまう。一方、被処理体62の温度(基板温度)はガスの温度よりも低温であることが好ましい。被処理体62の温度は、例えば20℃以下、さらには15℃以下であることが好ましい。
ガス71aを吹きつけることにより、ペロブスカイト型化合物が形成される過程で有機溶媒が排除され、ペロブスカイト型化合物の形成反応を促進させることができる。ガス71aの吹きつけにより、熱を加えなくともペロブスカイト型化合物の形成反応が進むため、活性層41のピンホール、亀裂、またはボイドの形成を抑制することができる。また熱を加えないことで、塗布層62aの表面の急激な乾燥が抑制されて、塗膜表面と内部との応力差を抑制することができる。このため、形成される活性層41の表面の平滑性が高くなり、フィルファクタFFを改善することができ、寿命を改善することができる。
ガスの吹きつけは、塗布液63a中でペロブスカイト型化合物の形成反応が完了する前に行う必要がある。すなわち、ガスの吹きつけにより反応を促進することが必要である。塗布層62aを形成した後、速やかにガスの吹き付けを開始することが好ましい。具体的には塗布終了後から10秒以内が好ましく、1秒以内であることがより好ましい。
塗布層62aが乾燥する過程では、ペロブスカイト型化合物の形成と同時に原料としてMAI、ヨウ化鉛などの単体の結晶も成長することがある。塗布層62a中に溶解分散した状態から速やかに乾燥させる程、ペロブスカイト型化合物を効率よく成長させることが可能である。よって、実施形態の光電変換素子の製造方法例は、有機膜や格子不整合の大きい酸化物上にペロブスカイト型化合物を形成させる場合に有効である。
電極等に用いられる導電性高分子化合物の比率が相対的に減少すると、表面エネルギーの影響で、ペロブスカイト型化合物の前駆体を含む塗布液63aははじかれやすい。これにより、活性層41にピンホールが発生しやすい。このような場合には、窒素ガス等を吹きつけることで、塗布液63aがはじかれる前に溶媒の乾燥を完了させることが好ましい。
反応の進行は塗布層62aの吸収スペクトルを測定することにより観察することができる。すなわち、ペロブスカイト型化合物の形成に伴って、塗布層62aの光の透過率が低下する。したがって、目視観察すると反応の進行に伴って塗膜が褐色に呈色していくのがわかる。このような色の変化を定量的に観察するために、塗膜の吸収スペクトルを測定する。このような観察を行う場合には、塗布液63aに含まれる原料の吸収の影響を受けにくく、かつペロブスカイト型化合物による吸収を観察しやすい波長の吸収スペクトルを測定することが好ましい。具体的には、波長が700〜800nmの領域の吸収スペクトルを測定することが好ましい。吸収スペクトルの測定は、この領域全体について行うことは必要なく、特定の波長、例えば800nmの吸収スペクトルを観察すればよい。吸収スペクトルは、例えば可視・紫外分光法(UV−VIS)等を用いて測定されるが、特に限定されない。光源としては重水素放電管、タングステンランプ、キセノンランプ、および分光器、検出器等を組み合わせて測定される。
吸収スペクトルは、塗布液63aの塗布の段階で、基板1および電極2などが透明である場合には透過光で測定することができる。一方、十分な透明性がない場合には塗膜表面の反射光を観察することでも測定ができる。
ペロブスカイト型化合物の前駆体を含む塗布液63aが、有機材料を含む層、例えば電極2、バッファ層42、または下地層44に接する場合、ガスの吹き付け時間は45秒以上であることが好ましく、120秒以上であることがより好ましい。
ガス71aの流量は、例えば3L/分以上20L/分以下であることが好ましい。塗膜表面に流れるガスの流量が大きいほどペロブスカイト型化合物の形成反応の進行が早くなる。また、ガス流による塗膜表面のゆらぎを防ぐためにはガスの流量は小さいことが好ましい。
ガス供給機構71ではガス噴出口を有するノズルを介してガスを吹きつけるが、ノズルの先端が塗布面に向いていることが好ましく、また、ノズルの先端が塗布層62aの表面に近いことが好ましい。
ガス吹きつけの後、ペロブスカイト型化合物の前駆体を含む塗布液を複数回に分けて塗布してもよい。塗布液は、例えばスピンコータ、スリットコータ、バーコータ、ディップコータ等を用いて塗布される。最初の塗布で形成される塗布層は格子不整合層となりやすいので比較的薄い厚さとなるように塗布されることが好ましい。具体的にはスピンコータの回転数が相対的に速い、スリットコータやバーコータのスリット幅が相対的に狭い、ディップコータの引き上げ速度が相対的に速い、塗布溶液中の溶質濃度が相対的に薄い等の膜厚を薄くするような条件であることが好ましい。
2ステップ法、またはシーケンシャルデポジション等と呼ばれる従来の方法では、ペロブスカイト型化合物の形成反応の完了後、すなわち反応により十分な発色が起こった後にガスを吹き付ける場合があるが、これは単に溶媒成分を乾燥させるために実施されている。これらのガスの吹きつけはメソポーラス構造や酸化チタンや酸化アルミニウムなどの下地層44を含む光電変換素子においては、それらによってペロブスカイト型化合物が結晶化しやすいために有効だが、それ以外の有機膜や格子不整合の大きい酸化物上でのペロブスカイト型化合物の形成反応には効果が小さい。これらの有機膜や格子不整合の大きい酸化物上にペロブスカイト型化合物を形成させる場合には、実施形態において示したように、ペロブスカイト形成反応の完了前に、ガスを吹きつけてペロブスカイト型化合物の形成反応を促進することで、ピンホール、亀裂、ボイド等の欠陥構造の抑制が実現できる。ペロブスカイト構造を形成する前に、一部の材料を塗布する際のガス吹き付けは、以後の有機膜や格子不整合の大きい酸化物上でのペロブスカイト構造の形成反応に対する効果は大きい。
ガス吹き付け後は、溶媒を乾燥させるために熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、加熱機構により行われる。熱処理は塗布層62aに含まれる有機溶媒を取り除くために行われるため、バッファ層43等を形成する前に行うことが好ましい。熱処理温度は50℃以上、さらに好ましくは90℃以上であること、上限は200℃以下、さらに好ましくは150℃以下で実施される。熱処理温度が低いと溶媒が十分に除去できない問題があり、熱処理温度が高過ぎると、活性層41の表面が荒れて、平滑面が得られなくなる問題がある。
保護層形成工程S2−4では、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、または塗布法等を用いて塗布層62a上に中間層の一つとして保護層45を形成する。このとき、塗布層62aの隆起部(凸部)が保護層45を貫通して露出していてもよい。
図9は、研磨工程S2−5を説明するための模式図である。研磨工程S2−5では、研磨ローラ81を用いて被処理体62の表面を研磨する。研磨ローラ81は、移動機構82により移動が可能である。移動機構82は、制御機構83により制御される。研磨は被処理体62の表面を平滑にするために行われる。特に保護層45を形成した後に、塗布層62aの表面における凸部のみを露出させるような研磨を行うことが好ましい。
研磨ローラ81による研磨では、研磨材が用いられる。研磨材としては、例えばJIS R6111に記載の褐色アルミナ研削材、白色アルミナ研削材、淡紅色アルミナ研削材、解削形アルミナ研削材、人造エメリー研削材、アルミナジルコニア研削材、黒色炭化けい素研削剤、緑色炭化けい素研削剤等を用いることができる。研磨用微粉の大きさとしては、JIS R6001に記載の#240、#280、#320、#360、#400、#500、#600、#700、#800、#1000、#1200、#1500、#2000、#2500、#3000等を用いることができる。さらに、不識布やポリビニルアルコールのスポンジ等が使用できる。
研磨ローラ81は、回転軸81aと回転軸81aを中心に回転して被処理体62の表面を研磨するための研磨面81bとを有する。研磨の際、被処理体62の表面が回転軸81aと平行に研磨ローラ81の研磨面81bに接するように移動機構82により研磨ローラ81および被処理体62の少なくとも一つを移動させる。これにより、被処理体62に傷が生じにくく、または研磨によるゴミが残存しにくくなる。図9では、移動機構82により研磨ローラ81を移動させる例を図示している。研磨ローラ81は、回転しながら支持面61bと平行な一方向に沿って移動してもよい。
ロールツーロールにより被処理体62を移動させながら研磨してもよい。図10は、研磨工程S2−5の他の例を説明するための模式図である。図10に示す構成の場合、研磨ローラ81の位置は固定されていてもよい。この場合は、移動機構82が設けられなくてもよい。
図10に示す支持体91は、回転軸81aと平行な回転軸91aと回転軸91aを中心に回転して被処理体62を支持する支持面91bとを有する。支持体92は、回転軸81aと平行な回転軸92aと回転軸92aを中心に回転して被処理体62を支持する支持面92bとを有する。支持体93は、回転軸81aと平行な回転軸93aと回転軸93aを中心に回転して被処理体62を支持する支持面93bとを有する。支持体91ないし支持体93の位置は、固定されていてもよい。
支持体91は、支持体92と同じ回転方向に回転し、研磨ローラ81および支持体93と逆の回転方向に回転する。支持体92および93は、制御機構94により制御される。支持体91は、別途設けられた制御機構または制御機構94により制御される。被処理体62は、支持体91ないし支持体93により一方向に沿って搬送される。
制御機構83および制御機構94等の制御機構は、例えばプロセッサ等を用いたハードウェアを用いて構成される。なお、各動作を動作プログラムとしてメモリ等のコンピュータ読み取りが可能な記録媒体に保存しておき、ハードウェアにより記録媒体に記憶された動作プログラムを適宜読み出すことで各動作を実行してもよい。
回転軸91aないし93bは、回転軸81aに平行な方向に延在する。支持体91ないし93のそれぞれは、制御機構94により研磨ローラ81よりも遅い回転速度で回転するように制御されることにより、被処理体62が移動しながら研磨が可能になる。研磨によって発生するゴミはクリーニング装置95で除去される。ガスブローを利用したクリーニング装置95が好ましい。
第2のバッファ層形成工程S2−6では、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等を用いて保護層45上にバッファ層43を形成する。なお、バッファ層43を設けない場合、第2のバッファ層形成工程S2−6は実施されない。
第2の電極形成工程S3では、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等を用いて光電変換層4上に電極3を形成する。
熱処理工程S4では、例えば被処理体62を加熱するために加熱機構により基板1、電極2、電極3、および光電変換層4を具備する積層体に対して熱処理を行う。以上により半導体素子を製造することができる。
熱処理により、研磨により形成された歪みを有するペロブスカイト型化合物中のイオンを再配列させることができる。熱処理の代わりに電圧を印加してペロブスカイト型化合物中のイオンを再配列してもよい。熱処理温度は、例えば50℃以上、さらには90℃以上であることが好ましい。熱処理温度は、200℃以下、さらには150℃以下であることが好ましい。50℃未満の場合、再配列に時間を要する。200℃を超える場合、塗布層62aの表面が荒れて、平滑性を有しない問題がある。再配列しない場合、研磨以前よりも変換効率は低くなる。これはキャリア移動効率が悪くFFや、JSCが低下するためである。本実施形態の光電変換素子の製造方法は下地層44を有しないプレナー型の光電変換素子を製造する場合にも好適である。
上記製造方法例の各工程は、例えば光電変換素子の製造装置を用いて行われる。半導体素子の製造装置は、例えば図7に示す支持体61と、塗布機構63と、図8に示すガス供給機構71と、図9に示す研磨ローラ81と、移動機構82と、制御機構83と、を具備する。また、製造装置は、図10に示す構成を具備していてもよい。半導体素子の製造装置は、電極2および3を形成するための機構と、バッファ層42、43、下地層44、および保護層45のそれぞれを形成するための機構と、電極2、電極3、および光電変換層4を具備する積層体を加熱する加熱機構と、をさらに具備してもよい。
ペロブスカイト型化合物を利用した光電変換素子の評価は、発電エリアが2mm角程度の小さな素子で評価されていた。ペロブスカイト型化合物を利用した素子は結晶成長を伴う成膜で作製され、体積収縮などによる内部応力が発生するため、ピンホールの発生や層間剥離等を起こす問題がある。ゆえに、構造欠陥の少ない層構造の作製が困難であった。このために大量生産の場では、変換効率の再現性は低く、ばらつきは大きかった。このため、偶発的に一部で欠陥が少ない場合、特異的に高い変換効率が得られることがあったが、広い範囲で均一に高い変換効率を得ることは困難であった。
一方で、実用化のためには、より広い範囲で高い効率を実現できる素子を製造する必要がある。そのため以下の実施例は発電エリアが1cm角の素子を製造して比較検討を行った。塗布で作製される太陽電池は、通常幅1cm程度の短冊状のセルを直列構造にして作られる。ゆえに発電エリアが1cm角の素子は実際のモジュール性能の指標になる適切な大きさである。
(実施例1)
ガラス基板の上に第1の電極としてITO膜を形成した。このITO膜の上に、PEDOTを含む下地層を形成した。下地層は正孔輸送層としても機能する。PEDOT:PSSはHIL1.1を5000rpmでスピンコートした後、140℃で10分間乾燥した。次に、ヨウ化メチルアンモニウムとヨウ化鉛から成るペロブスカイトの前駆体を含む塗布層を形成した。ペロブスカイト型化合物の前駆体を含む塗布液はヨウ化メチルアンモニウムとヨウ化鉛をDMFに溶解させて調製した。このとき、ヨウ化メチルアンモニウムは200mg/ml、ヨウ化鉛は578mg/mlになるように調整した。この溶液を下地層の上に500rpmでスピンコートした。
塗布後、呈色が変化する前にガスの吹きつけを開始した後、呈色が現れたことを確認して吹きつけを停止した。ガスは窒素ガスを用い、内径6mmのノズルから5L/分(40km/l)で吹き付けた。ノズルは、ガラス基板の中央部分の法線上にノズルの中心が位置するように配置し、ノズルから基板までの距離は0.5cmとした。吹き付けは120秒間実施した。
PCBMの濃度が20mg/mlになるようにDCBに溶解した溶液を調製し、塗布層を用いて作製された活性層の上に400rpm、120sでスピンコートした。この間、スピンコーター内に窒素を導入して乾燥を促した。次に、ベルクリンE−1(AION製)で表面を研磨した。研磨終了後、再度、PCBMを同条件でスピンコートしてサンプルを作製した。また、研磨を行わずにPCBMを同条件でスピンコートしたサンプルを別途作製した。
図11は研磨を行っていないサンプルの表面の写真であり、図12は研磨を行ったサンプルの表面の写真である。図11に示すサンプルの表面は斑点を有する。これはPCBMを2回塗布しても消えなかった。図12に示すサンプルでは、斑点が無い。研磨を行うころにより、1回目の塗布により表面に斑点が有していても、2回目の塗布により斑点を消すことができることがわかる。すなわち、活性層の露出部分を覆うことができる。
PCBMまで塗布した基板上にBCPを真空蒸着で成膜した。このPCBM層とBCP層は電子輸送層として機能するバッファ層として機能する。次に、真空蒸着法によりバッファ層上に第2の電極としてAg層を形成した。次に、70℃で熱処理を行い、実施例1の光電変換素子を作製した。実施例1では熱処理時間を0分、3分、18分、33分、78分、93分、285分と異ならせて変換効率を測定した。
これらの光電変換素子に対し、ソーラーシミュレータでAM1.5の光を1000W/mの条件で照射したときのIV特性をそれぞれ測定した。図13は、光電変換素子のIV特性を示す図である。表1は、熱処理時間と各パラメータ(開放電圧VOC、短絡電流密度JSC、最大出力Pmax、フィルファクタFF、変換効率PCE、並列抵抗Rsh、界面抵抗Rs)との関係を示す表であり、図14は変換効率PCEを示す図であり、図15は開放電圧VOCとの関係を示す図であり、図16は界面抵抗Rsを示す図であり、図17はフィルファクタFFを示す図であり、図18は短絡電流密度JSCを示す図であり、図19は並列抵抗Rshを示す図である。例えば、変換効率4,48%だったサンプルは、熱処理の時間経過と共に改善し、変換効率8.97%と、初期の変換効率の約2倍の性能に達した。また、VOCよりもJSCとFFが大きく変化した。
Figure 0006530360
表2は、光電変換素子の各パラメータの再現性を示す表であり、図20は、光電変換素子の各パラメータの再現性を示す図である。実施例1では、研磨工程を含む上記工程によりサンプルA、B、Cを作製した。表2から研磨を実施することによって、変換効率のばらつきは1バッチ内の0.82ポイントの範囲内に収まっていることがわかる。このことから光電変換素子が高い再現性を有することが確認できた。
Figure 0006530360
(実施例2)
実施例1と同様の工程で研磨および熱処理まで実施した変換効率9.1%のサンプルと、研磨を行わなかった変換効率7.1%のサンプルに対しIV測定とXRD測定を行った。
なお、XRD測定のサンプルは光電変換素子とは別に作製した。BCPとAgの成膜は行わずに実施例1と同じ製造工程を実施した。得られた光電変換素子のIV特性を図21に示し、X線回折パターンを図22に示し、図22の一部の拡大図を図23および図24に示す。図23および図24から研磨を行うことによってペロブスカイト型化合物の(004)の回折ピークを有することがわかる。この回折ピークは、単結晶のXRDでは検出されるが、素子では検出されにくい。研磨を行うと、ペロブスカイト型化合物の結晶構造が一度歪むが、熱処理等で再配列させることによって、成膜過程の影響を排除した理想的な結晶構造が形成されるためだと考えられる。このとき、(220)の回折ピークの最大強度に対する(004)の回折ピークの最大強度の比は0.18であった。この強度が高いほど、より一層良質の結晶が得られているといえる。
(実施例3)
研磨の方向を変えて熱処理の効果を比較した。研磨の条件以外は実施例1と同様に作業を行い、研磨ローラの回転軸が塗布層の表面に対して垂直である条件と、平行である条件とを比較した。それぞれのIV特性を図25および図26に示す。図25は、熱処理前のサンプルのIV特性を示す図であり、図26は熱処理後のサンプルのIV特性を示す図である。図25からわかるように熱処理前は垂直条件の方が高い変換効率だが、熱処理後は平行条件の方が高い変換効率を有する。図26では、平行条件の変換効率が熱処理前の垂直条件の変換効率を上回った。垂直条件では、剥離したペロブスカイト型化合物が正常なペロブスカイト型化合物に傷を付けてしまったり、塗布層に加わる負荷の方向が一定方向ではないため、熱処理によるイオンの再配列効果が得られにくかったためだと考えられる。平行条件であれば、ガスブロー等のクリーニング装置と組み合わせれば、剥離したペロブスカイト型化合物を研磨面から排除することも可能であり、さらに、塗布層に加わる面方向の負荷も一定方向に揃えられ、再配列効果が得られ易かったと考えられる。
(実施例4)
塗布液中の前駆体濃度を変えて熱処理の効果を比較した。前駆体の濃度以外は実施例1と同様の工程を行った。それぞれIV特性を図27ないし図29に示す。図27ないし図29からわかるように、前駆体の濃度が1640mg/ml、1770mg/mlまで増やしても熱処理による効果が表れている。しかし、前駆体の濃度が2020mg/mlでは熱処理を行っても変換効率は向上せず、IVカーブも明確ではなくなった。前駆体の濃度が高くなると、ペロブスカイト型化合物の結晶粒径も大きくなるため、研磨したときに中間層まで貫通するピンホールが発生しやすくなるためだと考えられる。
(比較例1)
研磨を行わない以外は、実施例1と同様の作業で素子を作製し、70℃での熱処理の前後のIV特性の比較を行った。図30に示すIV特性からわかるように、熱処理前後でIV特性を構成する各パラメータが変化するが、変換効率はほとんど変化しないことがわかる。
上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…基板、2…電極、3…電極、4…光電変換層、5…隔壁、41…活性層、42…バッファ層、43…バッファ層、44…下地層、45…保護層、61…支持体、61a…回転軸、61b…支持面、62…被処理体、62a…塗布層、63…塗布機構、63a…塗布液、71…ガス供給機構、71a…ガス、81…研磨ローラ、81a…回転軸、81b…研磨面、82…移動機構、83…制御機構、91…支持体、91a…回転軸、91b…支持面、92…支持体、92a…回転軸、92b…支持面、93…支持体、93a…回転軸、93b…支持面、94…制御機構、95…クリーニング装置。

Claims (6)

  1. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極および前記第2の電極に接する光電変換層と、
    を具備し、
    前記光電変換層は、
    前記第1の電極上に設けられ、有機材料を含む中間層と、
    前記中間層を形成した後に前記中間層上に設けられ、ペロブスカイト型化合物を含む活性層と、
    を備え、
    X線回折測定により得られる前記活性層のX線回折パターンは、前記ペロブスカイト型化合物の(004)面に起因する第1の回折ピークと、前記ペロブスカイト型化合物の(220)面に起因する第2の回折ピークと、を有し、
    前記第2の回折ピークの最大強度に対する前記第1の回折ピークの最大強度の比は、0.18以上である、光電変換素子。
  2. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極および前記第2の電極に接する光電変換層と、
    を具備し、
    前記光電変換層は、
    前記第1の電極上に設けられ、有機材料を含む中間層と、
    前記中間層上に設けられ、ペロブスカイト型化合物を含む活性層と、
    を備え、
    前記光電変換層は、
    前記第2の電極と前記活性層との間に設けられた第2の中間層をさらに備え、
    前記第2の中間層は、前記活性層上に設けられ、有機材料を含み、
    X線回折測定により得られる前記活性層のX線回折パターンは、前記ペロブスカイト型化合物の(004)面に起因する第1の回折ピークと、前記ペロブスカイト型化合物の(220)面に起因する第2の回折ピークと、を有し、
    前記第2の回折ピークの最大強度に対する前記第1の回折ピークの最大強度の比は、0.18以上である、光電変換素子。
  3. 前記ペロブスカイト型化合物は、一般式:ABXで表され、
    前記Aは、1級アンモニウムイオンであり、
    前記Bは、2価の金属イオンであり、
    前記Xは、ハロゲンイオンである、請求項1または請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記中間層は、数平均分子量および重量平均分子量のそれぞれが10000以下の低分子化合物を含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  5. 前記中間層は、ポリエチレンジオキシチオフェンを含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 前記中間層は、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸とを含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
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