JP2016051693A - 有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶性材料膜の密度が高くて高いキャリア移動度や長いキャリア拡散長が得られる有機半導体素子の製造方法と、優れたデバイス特性が得られる有機半導体素子を提供すること。
【解決手段】基材と該基材の上に形成された結晶性材料膜を有する積層体を、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体内に収容して袋体内のガスを排気して封止し、袋体を介して積層体を等方圧加圧することにより有機半導体素子を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体素子の製造方法および有機半導体素子に関する。
有機半導体材料は、現在主に用いられているシリコンなどの無機半導体材料に比べて機械的に柔軟で印刷法による低コスト生産が可能になることや、分子設計により特性を多様に変化させることができることなどの利点を有している。このため、有機半導体材料を応用した電子デバイス(有機半導体素子)として有機エレクトロルミネッセンス素子や有機太陽電池、有機トランジスタの開発が盛んに行われている。
これらの有機半導体素子は、基材と、基材の上に形成された少なくとも1層の有機半導体層を有するように構成されている。有機半導体層は、通常、蒸着法等の気相成膜法や、スピンコート法、インクジェット法等の湿式成膜法によって形成されるが、こうして形成された有機半導体層には、その結晶粒界や有機半導体層と基材との界面、または、有機半導体層が多層構成である場合には有機半導体層同士の界面に微細な空隙が多数存在しており、このことが有機半導体素子の特性を損なう原因になっているものと考えられる。
これに対して、有機半導体層に冷間等方圧加圧(Cold Isostatic Press:CIP)を行うことにより、有機半導体層の結晶粒界等に生じた空隙を圧縮して減少させる技術が提案されている。ここで、冷間等方圧加圧法とは、金属シリンジ内に収容された試料を、水などの圧力媒体もしくはゴム型などを介して等方的に加圧することで試料を緻密化する加工方法であり、カーボンやセラミック等の無機紛体を成形する方法として多用されている。
こうした冷間等方圧加圧を有機半導体層に適用した例として、例えば、特許文献1には、ガラス基板上に形成されたフタロシアニン蒸着膜を、厚さが0.05mmのポリエチレンの高分子袋に入れ、水媒体を介して冷間等方圧加圧を行うことにより、フタロシアニン蒸着膜の厚さが1050nmから630nmに減少し、その硬さや弾性率、曲げ強度が増大したことが記載されている。
また、非特許文献1には、フタロシアニンの蒸着膜を厚さが0.1mmのポリエステルの高分子袋に入れて冷間等方圧加圧を行うことにより、膜厚を約40%減少させたことが記載されている。
Appl. Phys. Express 4, 111603 (2011)
特開2013−21064号公報
しかしながら、本発明者らが、非特許文献1や特許文献1に記載されている条件で、実際に有機半導体層に冷間等方圧加圧を行ったところ、これらの条件では有機半導体素子のキャリア移動度を十分に向上させることができないことが判明した。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、有機半導体層の密度が高く、高いキャリア移動度や長いキャリア拡散長が得られる有機半導体素子を製造することができる有機半導体素子の製造方法および優れたデバイス特性が得られる有機半導体素子を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、有機半導体層の等方圧加圧では、得られる密度やキャリア移動度に等方圧加圧で用いる高分子袋の厚さが大きく影響し、従来に比べて厚さの薄い袋体を用いて等方圧加圧を行うことにより、得られる有機半導体層の密度が格段に高くなり、キャリア移動度が飛躍的に向上することを見出した。また、特に、光吸収層として知られる有機・無機ペロブスカイト化合物層では、熱間等方圧加圧がその緻密化や結晶性改善に極めて有効であり、これにより、光吸収で生じたキャリアの拡散長が長くなり、高い光電変換効率が実現することを初めて見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 基材と該基材の上に形成された結晶性材料膜を有する積層体を、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体内に収容して該袋体内のガスを排気した後、前記袋体を封止する積層体収容工程と、前記積層体を、前記袋体を介して等方圧加圧する加圧工程と、を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
[2] 前記基材は電極であり、前記電極の上に前記結晶性材料膜が直接形成されているか、前記電極の上に形成された他の結晶性材料膜上に前記結晶性材料膜が形成されていることを特徴とする[1]に記載の有機半導体素子の製造方法。
[3] 前記袋体を構成する前記シートは、樹脂材料を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の有機半導体素子の製造方法。
[4] 前記樹脂材料は、ポリアミド系樹脂であることを特徴とする[3]に記載の有機半導体素子の製造方法。
[5] 前記袋体を構成する前記シートは、弾性材料からなることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[6] 前記積層体収容工程を、不活性ガスを含有する雰囲気中で行う[1]〜[5]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[7] 前記積層体収容工程において、ガスを排気した後に袋体内に残留する水分およびガスの合計量が0.1ppm以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[8] 前記等方圧加圧の圧力媒体として液体または不活性ガスを用いることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[9] 前記等方圧加圧で前記積層体に印加する圧力を、0.2〜2000MPaの範囲にすることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[10] 前記等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度を、−200〜500℃の範囲にすることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[11] 前記等方圧加圧として冷間等方圧加圧を行うことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[12] 前記等方圧加圧として熱間等方圧加圧を行うことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[13] 熱間等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度を、20〜500℃の範囲にすることを特徴とする[12]に記載の有機半導体素子の製造方法。
[14] 前記結晶性材料膜は、結晶性有機半導体材料を含むことを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[15] 前記結晶性有機半導体材料が、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、フタロシアニンの金属錯体およびフタロシアニンの誘導体の金属錯体の少なくとも1種を含むことを特徴とする[14]に記載の有機半導体素子の製造方法。
[16] 前記結晶性材料膜は、有機・無機ペロブスカイト化合物を含むことを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
[17] 有機・無機ペロブスカイト化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする[16]に記載の有機半導体素子の製造方法。
一般式(1)
1NH3MX3
(一般式(1)中、R1は水素原子またはアルキル基を表し、Mは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。複数のXが表すハロゲンイオンは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
[18] 前記等方圧加圧として熱間等方圧加圧を行い、その際の圧力媒体の温度を20〜500℃の範囲にすることを特徴とする[17]に記載の有機半導体素子の製造方法。
[19] [1]〜[18]のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする有機半導体素子。
[20] 少なくとも1層の結晶性材料膜を備えた有機半導体素子であって、前記結晶性材料膜の少なくとも1層の密度が、その結晶性材料の単結晶密度の±20%の範囲内にあることを特徴とする有機半導体素子。
[21] 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする[19]または[20]に記載の有機半導体素子。
[22] 有機太陽電池であることを特徴とする[19]または[20]に記載の有機半導体素子。
[23] 有機トランジスタであることを特徴とする[19]または[20]に記載の有機半導体素子。
本発明の製造方法によれば、結晶性材料膜の密度が高く、高いキャリア移動度や長いキャリア拡散長が得られる有機半導体素子を製造することができる。
また、本発明によれば、優れたデバイス特性が得られる有機半導体素子を提供することができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。 厚さが30μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機エレクトロルミネッセンス素子(実施例1)と冷間等方圧加圧を行っていない有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例2)の発光スペクトルである。 厚さが30μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機エレクトロルミネッセンス素子(実施例1)と冷間等方圧加圧を行っていない有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例2)の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 厚さが75μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例1)と冷間等方圧加圧を行っていない有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例2)の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 厚さが30μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機エレクトロルミネッセンス素子(実施例1)と冷間等方圧加圧を行っていない有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例2)の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 厚さが75μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例1)と冷間等方圧加圧を行っていない有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例2)の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 厚さが30μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機トランジスタ(実施例2)と冷間等方圧加圧を行っていない有機トランジスタ(比較例4)のドレイン電流−ゲート電圧特性を示すグラフである。 厚さが75μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機トランジスタ(比較例3)と冷間等方圧加圧を行っていない有機トランジスタ(比較例4)のドレイン電流−ゲート電圧特性を示すグラフである。 厚さが30μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機トランジスタ(実施例2)のドレイン電流−ドレイン電圧特性を示すグラフである。 厚さが75μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機トランジスタ(比較例3)のドレイン電流−ドレイン電圧特性を示すグラフである。 冷間等方圧加圧を行っていない有機トランジスタ(比較例4)のドレイン電流−ドレイン電圧特性を示すグラフである。 冷間等方圧加圧を行っていない有機トランジスタ(比較例4)のドレイン電流−ドレイン電圧特性を示すグラフである。 厚さが30μmの袋体を使用して冷間等方圧加圧を行った有機太陽電池(実施例3)と冷間等方圧加圧を行っていない有機太陽電池(比較例5)の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 熱間等方圧加圧を行ったペロブスカイト層と、未処理のペロブスカイト層と、非加圧下でアニール処理を行ったペロブスカイト層のSEM写真である。 熱間等方圧加圧を行ったペロブスカイト層と、未処理のペロブスカイト層と、非加圧下でアニール処理を行ったペロブスカイト層のX線回折スペクトルである。 PC71BM層が設けられたペロブスカイト層について、IP/IAを厚さに対してプロットしたグラフである。 spiro−OMeTAD層が設けられたペロブスカイト層について、IP/IAを厚さに対してプロットしたグラフである。 熱間等方圧加圧を行った有機・無機ペロブスカイト型太陽電池(実施例4)と、未処理の有機・無機ペロブスカイト型太陽電池(比較例6)と、非加圧下でアニール処理を行った有機・無機ペロブスカイト型太陽電池(比較例7)の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 冷間等方圧加圧を行った単層素子(実施例5)と冷間等方圧加圧を行っていない単層素子(比較例8)の電圧−電流密度特性を示すグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
<有機半導体素子の製造方法>
本発明の有機半導体素子の製造方法は、基材と、基材の上に形成された結晶性材料膜を有する積層体を、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体内に収容して袋体内のガスを排気した後、袋体を封止する積層体収容工程と、積層体を、袋体を介して等方圧加圧する加圧工程とを少なくとも有する。
この有機半導体素子の製造方法では、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体を介して積層体を等方圧加圧することにより、積層体が有する結晶性材料膜の粒界や結晶性材料膜と基材との界面に存在する空隙、さらには、結晶性材料膜が多層構成である場合には結晶性材料膜同士の界面に存在する空隙が効果的に圧縮されて空隙の体積が減少する。このため、得られた有機半導体素子は、結晶性材料膜が高い密度を有するとともに、結晶性材料膜と基材の接触抵抗や結晶性材料膜同士の接触抵抗が低く、高いキャリア移動度を得ることができる。特に、本発明では、等方圧加圧において0.1〜40μmのシートで構成された袋体を使用しており、従来の冷間等方圧加圧法に比べて型の厚さが薄いことにより、袋体に加わった圧力が結晶性材料膜に効率的に伝達され、空隙が効率よく圧縮されるものと考えられる。このため、得られる有機半導体素子は、従来の冷間等方圧加圧による有機半導体素子に比べて結晶性材料膜の密度が格段に高くなり、そのキャリア移動度を飛躍的に向上させることができる。
以下、本発明の有機半導体素子の製造方法の各工程について詳細に説明する。
[1]積層体収容工程
積層体収容工程では、基材と、基材の上に形成された結晶性材料膜を有する積層体を、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体内に収容して袋体内のガスを排気した後、袋体を封止する。
本工程を行うには、まず、袋体に収容する積層体を準備する。
積層体は、基材と、基材の上に形成された少なくとも1層の結晶性材料膜を有して構成されたものである。
積層体に用いる基材としては、従来から有機半導体素子に用いられているものがいずれも使用できる。例えば、有機半導体素子が有機エレクトロルミネッセンス素子や有機太陽電池である場合には、基材として、導電性材料からなる電極板や、基板の上に電極膜が形成された電極基板(以下、電極板および電極基板を「電極」と総称することがある)が用いられる。電極板および電極膜の導電性材料としては、下記の有機エレクトロルミネッセンス素子の欄で例示されている陰極および陽極の材料を用いることができる。また、電極基板に用いる基板や有機トランジスタの基板としては、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。電極板、電極膜、基板は単層構成であってもよいし、多層構成であってもよい。
結晶性材料膜は、製造する有機半導体素子において、その動作に寄与する機能膜となるものである。本発明において「結晶性材料膜」とは、「結晶構造を有する材料膜」、および何らかの処理により「結晶構造を形成しうる非晶質膜」のことをいう。結晶構造を有する材料膜であることは、X線回折スペクトルで結晶面に対応するピークが観測されることで確認することができる。結晶構造を有する材料膜は、全体が結晶質であってもよいし、その一部が結晶質であり、他の一部が非晶質であってもよい。また、結晶質の結晶構造は、多結晶構造であってもよいし、単結晶構造であってもよい。「処理により結晶構造を形成しうる非晶質膜」であることは、その処理を行った後の材料膜のX線回折スペクトルで結晶面に対応するピークが観測されることで確認することができる。「処理により結晶構造を形成しうる非晶質膜」の「処理」としては、その非晶質膜に含まれる材料の結晶化温度以上に加熱する処理等を挙げることができる。「処理により結晶構造を形成しうる非晶質膜」の処理を行った後の結晶構造の説明については、「結晶構造を有する材料膜」の説明を参照することができる。結晶性材料膜は、このうち「結晶構造を有する材料膜」であることが好ましく、その結晶構造が多結晶構造であることがより好ましい。本発明の効果は、結晶粒界等に存在する空隙を減少させてキャリア移動度を向上させることにあるため、結晶性材料膜が多結晶構造である場合に顕著な効果を得ることができる。
結晶性材料膜の結晶性材料としては、有機半導体素子の機能膜材料として通常用いられている有機半導体材料を用いることができ、低分子材料であってもよいし、高分子材料であってもよい。有機半導体材料としては、具体的には、下記の有機エレクトロルミネッセンス素子の欄で例示している各有機層の材料や、有機太陽電池の光電変換層や有機トランジスタの有機半導体層で通常用いられているp型有機半導体材料およびn型有機半導体材料、光吸収材料を挙げることができ、中でも、フタロシアニン、フタロシアニン誘導体、フタロシアニンの金属錯体およびフタロシアニン誘導体の金属錯体の少なくとも1種を含有することが好ましい。また、有機・無機ペロブスカイト化合物も、結晶性材料膜の結晶性材料として好ましく用いることができる。有機・無機ペロブスカイト化合物は、ABX3(Aは有機陽イオンを表し、Bは金属陽イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。)で表され、ペロブスカイト構造を形成する結晶性材料である。
本発明で用いる有機・無機ペロブスカイト化合物は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト化合物であることが好ましい。
一般式(1)
1NH3MX3
1は窒素原子(N)と水素原子(H)とともにアンモニウムイオンを構成する水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。すなわち、R1はメチル基であることが最も好ましい。
Mは2価の金属イオンを表す。2価の金属イオンとしては、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Eu2+等を挙げることができ、Cu2+、Ni2+、Co2+、Sn2+、Pb2+であることが好ましく、Sn2+、Pb2+であることがより好ましく、Pb2+であることがさらに好ましい。
Xはハロゲンイオンを表し、F、Cl、Br、Iの各イオンを挙げることができる。このうち、XはCl-、I-、Br-あることが好ましく、I-であることがより好ましい。複数のXが表すハロゲンイオンは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(1)で表されるペロブスカイト化合物のR1は、複数のアルキル基(例えばR1で表されるアルキル基とR2で表されるアルキル基の2種類)が混在したものであってもよい。すなわち、一般式(1)のR1は、例えばR1 a2 (1-a)で置き換えられていてもよい。ここでaは0以上1以下の数である。同様に、一般式(1)で表されるペロブスカイト化合物のMは、複数の2価の金属イオン(例えばM1で表される2価の金属イオンとM2で表される2価の金属イオンの2種類)が混在したものであってもよい。すなわち、一般式(1)のMは、例えばM1 b2 (1-b)で置き換えられていてもよい。ここでbは0以上1以下の数である。
有機・無機ペロブスカイト化合物の好ましい具体例として、CH3NH3PbCl3、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3を挙げることができ、CH3NH3PbI3であることが好ましい。ただし、本発明において用いることができる有機・無機ペロブスカイト化合物は、これらの化合物によって限定的に解釈されることはない。
結晶性材料膜の密度(等方圧加圧を行う前の結晶性材料膜の密度)は、0.1〜7g/cm3であることが好ましく、0.5〜5g/cm3であることがより好ましく、0.5〜4g/cm3であることがさらに好ましい。また、結晶性材料膜の厚さ(等方圧加圧を行う前の結晶性材料膜の厚さ)は、10〜100000nmであることが好ましく、30〜30000nmであることがより好ましく、50〜10000nmであることがさらに好ましい。結晶性材料膜の密度や厚さが上記範囲である場合に、次工程で行う等方圧加圧により、その結晶性材料膜の密度を効果的に高めることができる。結晶性材料膜の厚さは、プロフィロメータにより測定することができ、結晶性材料膜の密度は、後述の「等方加圧後の結晶性材料膜の密度」の測定方法と同様に方法により測定することができる。
積層体における結晶性材料膜の層数は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。また、積層体が有する結晶性材料膜は、有機半導体素子に形成する全ての層に対応する結晶性材料膜であってもよいし、有機半導体素子に形成する一部の層に対応する結晶性材料膜のみであってもよい。結晶性材料膜は、結晶化することができる材料から構成される膜であり、上記のようにアモルファス膜も含まれる。
また、積層体は、結晶性材料膜の他に、非結晶性材料膜を有していてもよいが、基材が電極である場合、電極の上に直接形成されている層は結晶性材料膜であることが好ましい。本発明は、結晶性材料膜と基材との界面の空隙を減少させる効果があるため、結晶性材料膜が電極上に直接形成されていることにより、これらの接触抵抗が効果的に低減し、電気的特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
結晶性材料膜の形成方法としては、例えば、蒸着法等の気相成膜法や、スピンコート法やディップコート法のような塗布法、インクジェット印刷法(液滴吐出法)やスクリーン印刷法のような印刷法等を用いることができる。結晶性材料膜は、基材の上に全面的に形成してもよいし、所定のパターンで形成してもよい。また、結晶性材料膜の形成は、ロール・ツー・ロール法を用いて連続的に行ってもよいし、バッチ式、枚葉式で行ってもよいが、有機半導体素子を工業レベルで生産する場合には、ロール・ツー・ロール法を用いて結晶性材料膜を連続的に形成し、得られた積層体を流れ作業で等方圧加圧装置へ搬送する生産ラインを組むことにより、高い生産効率を得ることができる。
本発明の有機半導体素子の製造方法では、上記の積層体を、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体内に収容して袋体内のガスを排気する。これにより、袋体内の積層体に袋体の内側面が密着した状態になる。
積層体を収容する袋体は、具体的には、袋状に成形されたシートによって構成され、その少なくとも一方が積層体を搬入する開放部とされている。袋体を構成するシートの厚さは、0.1〜40μmであることが好ましく、0.1〜30μmであることがより好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましい。袋体の厚さは、プロフィロメータや光学顕微鏡等により測定することができる。
袋体を構成するシートの材料としては、次工程で行う等方圧加圧で用いる圧力媒体を透過しない弾性材料または可撓性材料が用いられ、袋体内に積層体を収容して袋体内のガスを排気したときや、次工程[2]で等方圧加圧を行ったときにも破れない程度の、十分な強度を有することが好ましい。そのような材料としては、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ナイロン(登録商標)等のポリアミド系樹脂等の樹脂材料を好適に用いることができる。また、シートの材料には、樹脂材料の他に、必要に応じて熱安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤等の公知の添加剤が添加されていてもよい。シートの層構成は、特に限定されず、単層構成であってもよいし、組成が異なる複数の層を積層した多層構成であってもよい。
袋体内のガスの排気は、真空パックに通常用いられる真空ポンプを用いて行うことができる。ガスの排気速度は、特に限定されないが、1〜100L/分であることが好ましく10〜100L/分であることがより好ましく、50〜100L/分であることがさらに好ましい。
また、排気後に袋体内に残留するガスと水分の合計量は0.1ppm以下であることが好ましく、0.01ppm以下であることがより好ましく、0.001ppm以下であることがさらに好ましい。袋体内に残留するガスと水分の合計量は、酸素計や水分計により測定することができる。
袋体内のガスを排気した後、袋体の開放部を封止する。開放部の封止は、例えばヒートシールによって行うことができる。
以上の一連の工程は、大気下で行ってよいが、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを含有する雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、より特性に優れた有機半導体素子を製造することができる。
[2]加圧工程
加圧工程では、袋体内に収容された積層体を、袋体を介して等方圧加圧する。これにより、結晶性材料膜が緻密化し、密度が高い結晶性材料膜が得られる。
ここで、「等方圧加圧」とは、積層体が収容された袋体を圧力媒体中に浸漬して圧力媒体に圧力を印加し、この圧力を圧力媒体および袋体を介して積層体に伝達することにより積層体を加圧する処理である。この等方圧加圧では、圧力媒体に印加された圧力が、圧力媒体を経ることによって袋体に等方的に伝達されるため、袋体内の積層体を等方的に加圧することができる。
例えば一軸加圧では、圧力を高くしていくと基材の破損が生じるため、印加圧力がある程度制限される。これに対して、等方的な加圧では、圧力を高くしても基材が破損し難いため、比較的高い圧力を用いて結晶性材料膜を緻密化することができる。
また、等方的な加圧では、結晶性材料膜の粒界や結晶性材料膜と基材との界面に存在する空隙、さらには、結晶性材料膜が多層構成である場合には結晶性材料膜同士の界面に存在する空隙が均一に圧縮されて空隙の体積が減少する。このため、結晶性材料膜の膜質に異方性が生じるのが抑えられる。そして、本発明では、特に袋体の厚さが0.1〜40μmと薄いことにより、圧力媒体から袋体に伝達された等方的な圧力が積層体に効率的に伝達され、積層体内に存在する空隙が効率よく圧縮されるものと考えられる。このため、得られる有機半導体素子は、従来の冷間等方圧加圧による有機半導体素子に比べて、結晶性材料膜と基材との接触抵抗や結晶性材料膜同士の接触抵抗が低減し、キャリア移動度やキャリア拡散長を飛躍的に向上させることができる。
等方圧加圧は、常温の圧力媒体を用いて等方圧加圧を行う冷間等方圧加圧(CIP)であってもよいし、加熱された圧力媒体を用いて等方圧加圧を行う熱間等方圧加圧(HIP)であってもよい。熱間等方圧加圧では、結晶材料膜によっては圧力媒体からの熱の作用で膜が軟質化し、このことが空隙の圧縮に有利に働く場合がある。
例えば、有機・無機ペロブスカイト化合物を含む結晶性材料膜を有する積層体に熱間等方圧加圧を行うと、結晶性材料膜が圧力媒体からの熱により軟質化するものと考えられる。これと同時に、結晶性材料膜に等方的な圧力が加わることにより、結晶性材料膜に存在するピンホールや結晶粒界の空隙が効果的に圧縮され、キャリア拡散長が長い機能膜を得ることができる。
圧力媒体としては、等方圧加圧で通常用いられる水や油等の液体、アルゴン等の不活性ガスを用いることができ、中でも水を用いることが好ましい。
等方圧加圧で積層体に印加する圧力は、0.2〜2000MPaであることが好ましく、0.2〜1000MPaであることがより好ましく、1〜1000MPaであることがさらに好ましい。
等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度は、特に限定されないが、−200〜500℃であることが好ましく、0〜300℃であることがより好ましく、20〜200℃であることがさらに好ましい。冷間等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度は、特に限定されないが、−200〜300℃であることが好ましく、0〜300℃であることがより好ましく、0〜100℃であることがさらに好ましい。また、熱間等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度は、20〜500℃であることが好ましく、20〜300℃であることがより好ましく、20〜200℃であることがさらに好ましい。特に、有機・無機ペロブスカイト化合物を含む結晶性材料膜に熱間等方圧加圧を行う場合、圧力媒体の温度は20〜150℃であることが好ましい。
等方圧加圧後の結晶性材料膜の密度は、その結晶材料の単結晶密度の±20%の範囲にあることが好ましく、単結晶密度の±18%の範囲にあることがより好ましく、単結晶密度の±15%の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明において「単結晶密度」とは、X線構造解析法によって測定される密度である。結晶性材料膜の密度は、一般にX線構造解析法、水晶振動子法、溶液法、もしくは分光エリプソメトリーにより測定可能であるが、本発明における「結晶性材料膜の密度」はX線構造解析法によって測定される密度である。
この等方圧加圧は、1回のみ行ってもよいし、同じ積層体に対して、複数回行ってもよい。また、等方圧加圧を行った積層体に、他の結晶性材料膜を形成した後、さらに等方圧加圧を行っても差し支えない。
以上の工程[1]、[2]を行った後、必要に応じて、他の機能膜を形成することにより、有機半導体素子が完成する。
製造された有機半導体素子は、結晶性材料膜の密度が高いことにより、結晶性材料膜中をキャリアが移動し易く、これに加えて結晶性材料膜と基材の接触抵抗や結晶性材料膜同士の接触抵抗が低いため、高いキャリア移動度や長いキャリア拡散長を得ることができる。このため、有機半導体素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である場合には駆動電圧を低くすることができる。また、高い発光効率の有機半導体素子や、高い光電変換効率の有機太陽電池や、入出力特性が優れた有機トランジスタも提供可能である。
<有機半導体素子>
次に、本発明の有機半導体素子について説明する。
本発明の有機半導体素子は、基材と、基材の上に形成された少なくとも1層の結晶性材料膜を有し、少なくとも1層の結晶性材料膜の密度が、その結晶材料の単結晶密度の±20%の範囲にある点に特徴がある。
「単結晶密度」および「結晶性材料膜の密度」の定義は、上記の有機半導体素子の製造方法における「単結晶密度」および「結晶性材料膜の密度」の定義を参照することができる。
このように単結晶密度に近い密度を有する結晶性材料は、その内部に空隙が存在しないか、空隙率が極めて小さいものとなっており、これによって高いキャリア移動度や長いキャリア拡散長を得ることができる。このため、この有機半導体素子は、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子である場合には高い発光効率と低い駆動電圧を得ることができ、有機太陽電池である場合には高い光電変換効率を得ることができ、有機トランジスタである場合には優れた入出力特性を得ることができる。
結晶性材料膜および基材の説明と好ましい範囲については、上記の有機半導体素子の製造方法で用いる結晶性材料膜および基材の説明と好ましい範囲を参照することができる。
本発明の有機半導体素子を製造する方法は、特に限定されないが、上記の本発明の有機半導体素子の製造方法を用いれば、従来の有機半導体素子の製造工程に、積層体収容工程と加圧工程を追加するといった簡易な工程で有機半導体素子を製造することができる。すなわち、本発明の有機半導体素子の製造方法を用いることにより、優れた特性を有する有機半導体素子を簡易な工程で効率よく製造することができる。
(有機エレクトロルミネッセンス素子)
次に、本発明を適用した有機半導体素子の一例として有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。本発明を適用した有機エレクトロルミネッセンス素子では、これらの有機層の少なくとも1層が結晶性材料膜をなしており、その有機層の密度が、その有機材料の単結晶密度の±20%の範囲内になるように構成されている。このように単結晶密度に近い密度を有する有機層は、内部に空隙が存在しないか、空隙率が極めて小さいものとなっており、これによって高いキャリア移動度を得ることができる。このため、この有機エレクトロルミネッセンス素子は高い発光効率と低い駆動電圧を得ることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を本発明の製造方法によって製造するには、基板1と陽極2を有する電極基板の上に、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6の少なくともいずれかに対応する結晶性材料膜を形成して積層体を作製し、この積層体について、本発明の積層体収容工程および加圧工程を行う。これにより、積層体が有する結晶性材料膜の密度が高くなり、結晶性材料膜(有機層)と電極基板の接触抵抗や結晶性材料膜(有機層)同士の接触抵抗が低減する。その結果、キャリア移動度やエネルギーの移動効率等の特性が優れ、発光効率が高い有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
積層体を構成する結晶性材料膜は、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機層の全てに対応する結晶性材料膜であってもよいし、これらの一部に対応する結晶性材料膜であってもよいが、積層体は少なくとも電極基板と正孔注入層3に対応する結晶性材料膜を含むことが好ましい。また、積層体が有する結晶性材料膜が有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機層の一部に対応する場合、本発明の積層体収容工程および加圧工程は、残りの有機層および陰極を形成した後に行うことが好ましい。このとき、残りの有機層や陰極を形成する前の積層体に、本発明の積層体収容工程および加圧工程を行っても構わない。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料は、蛍光材料であってもよいし、りん光材料であってもよい。また、蛍光材料は、遅延蛍光を放射するものであってもよい。有機エレクトロルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。もっとも、一重項励起子および三重項励起子を十分に閉じ込めることができなくても、高い発光効率を得ることが可能な場合もあるため、高い発光効率を実現しうるホスト材料であれば特に制約なく本発明に用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含んでいてもよいし、りん光であってもよい。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光層中に含まれる発光材料の量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R1〜R10は、各々独立に水素原子または置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
まず、発光層の発光材料として用いることができる好ましい化合物を挙げる。
Figure 2016051693
次に、発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016051693
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016051693
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016051693
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016051693
Figure 2016051693
Figure 2016051693
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016051693
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
Figure 2016051693
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、発光効率が大きく改善された有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以上、本発明が適用される有機半導体素子の一例として有機エレクトロルミネッセンス素子について説明したが、本発明が適用される有機半導体素子は、基板と結晶性材料膜を有するものであればよく、有機エレクトロルミネッセンス素子に限定されるものではない。例えば、有機太陽電池や有機トランジスタ等に本発明を適用することもできる。
有機太陽電池は、一対の電極と、これら電極間に設けられた、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料を含有する有機半導体層と、各電極および有機半導体層を支持する基板を有して構成される。有機・無機ペロブスカイト型太陽電池は、一対の電極と、これら電極間に設けられた有機・無機ペロブスカイト化合物を含む層およびキャリア輸送層と、各電極および各層を支持する基板を有して構成される。また、有機トランジスタは、互いに分離して設けられたソース電極およびドレイン電極と、ソース電極とドレイン電極の間に設けられた有機半導体層と、有機半導体層の上に、ゲート絶縁層を介して設けられたゲート電極と、各電極および有機半導体層を支持する半導体基板を有して構成される。これらの有機半導体素子を本発明の製造方法によって製造するには、基板上に少なくとも有機半導体層となる結晶性材料膜を形成して積層体とし、この積層体について、上記の積層体収容工程と加圧工程を行う。これにより、密度の高い結晶性材料膜(有機半導体層)が得られ、光電変換特性に優れた有機太陽電池および入出力特性に優れた有機薄膜トランジスタを得ることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)、分光放射計(トプコン社製:SR−3)およびストリークカメラ(浜松ホトニクス(株)製C4334型)を用いて行った。
トランジスタ特性の評価は、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:B1500A)を用いて行った。また、キャリア移動度(μ)と閾値電圧(Vth)は、下記式を用い、ドレイン電流の平方根vsゲート電圧(Vg)のプロットから求めた。
Figure 2016051693
(式において、Id,satは飽和ドレイン電流であり、μはキャリア移動度であり、Vgはゲート電圧であり、Vthは閾値電圧であり、Wはチャネル幅であり、Lはチャネル長さであり、CはSiO2層の単位面積当たりのキャパシタンスである。)
ペロブスカイト層の評価は、走査電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製:JCM−5700)、プロフィロメータ(ブルカー社製:DektakXT)、X線回折装置[λ=1.54Å(CuKα)](リガク社製:UltimaIV)、分光蛍光計(日本分光社製:FP−6500)を用いて行い、有機太陽電池の評価は、ソーラーシミュレータ(セリック社製:XIL−05B100KP)、測定システム(システム・エンジニア社製:OSA−11)、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)を用いて行った。
<有機エレクトロルミネッセンス素子の作製と評価>
(実施例1)
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度10-4Paで積層した。
まず、ITO上にH2Pcを200nmの厚さに蒸着してH2PC層を形成し、次いでα−NPDを50nmの厚さに形成し、その上に、Alq3を50nmの厚さに形成して発光層とした。さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、積層体を得た。形成されたH2Pc層の密度は0.81g/cm3であった。この積層体を、窒素グローブボックス中で厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体内に収容して袋体内のガスを排気した後、袋体を真空パックした。次に、積層体が真空パックされた袋体を、水(圧力媒体)で満たされた冷間等方圧加圧装置にセットし、温度20℃、加圧圧力200MPaで1時間加圧した。その結果、H2PC層の厚さが134nmに減少した。この加圧処理後のH2PC層の密度は1.23g/cm3であり、H2Pcの単結晶密度(1.44g/cm3)の85.4%であった。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルを図2に示し、電流密度−電圧特性を図3に示し、外部量子効率−電流密度特性を図5に示す。
(比較例1)
積層体に冷間等方圧加圧を行う際、厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体の代わりに、厚さが75μmのポリマーシートからなる袋体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
作製した有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧特性を図4に示し、外部量子効率−電流密度特性を図6に示す。
(比較例2)
積層体に冷間等方圧加圧を行わないこと以外は、実施例1と同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
作製した有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルを図2に示し、電流密度−電圧特性を図3、4に示し、外部量子効率−電流密度特性を図5、6に示す。
図3から示されるように、厚さが30μmの袋体を用いて冷間等方圧加圧を行った実施例1の有機エレクトロルミネッセンス素子は、冷間等方圧加圧を行っていない比較例2の有機エレクトロルミネッセンス素子に比べて、100mA/cm2における電圧が約2V(9.79V→7.59V)低下しており、外部量子効率も高いものであった。これに対して、厚さが75μmの袋体を用いて冷間等方圧加圧を行った比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧曲線(図4)は、比較例2の有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧曲線よりも高電圧側にシフトしており、外部量子効率も低いものであった。
<有機トランジスタの作製と評価>
(実施例2)
シリコン基板に、酸化ケイ素(SiO2)層を300nmの厚さで形成し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を行った。このシリコン基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度10-4Paで積層した。まず、HMDS処理が施された酸化ケイ素層上にH2Pcを50nmの厚さに蒸着してH2Pc層を形成した。その上に、金(Au)を200nmの厚さに形成してゲート電極を形成し、積層体を得た。この積層体を、実施例1と同じ条件下で、厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体に収容して冷間等方圧加圧を行い、有機トランジスタとした。
製造した有機トランジスタのドレイン電流−ゲート電圧特性を図7に示し、ドレイン電流−ドレイン電圧特性を図9に示す。なお、図9中、曲線の上下に表記した電圧値はゲート電圧を表す。また、測定値から求めた薄膜トランジスタのキャリア移動度を表1に示す。
(比較例3)
積層体に冷間等方圧加圧を行う際、厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体の代わりに、厚さが75μmのポリマーシートからなる袋体を用いたこと以外は、実施例2と同様にして有機トランジスタを作製した。
作製した有機トランジスタのドレイン電流−ゲート電圧特性を図8に示し、ドレイン電流−ドレイン電圧特性を図10に示す。なお、図10中、曲線の上下に表記した電圧値はゲート電圧を表す。また、測定値から求めた薄膜トランジスタのキャリア移動度を表2に示す。
(比較例4)
積層体に冷間等方圧加圧を行わないこと以外は、実施例2と同様にして有機トランジスタを作製した。
作製した有機トランジスタのドレイン電流−ゲート電圧特性を図7、8に示し、ドレイン電流−ゲート電圧特性を図11、12に示す。図11、12中、曲線の上下に表記した電圧値はゲート電圧を表す。また、測定値から求めた有機トランジスタのキャリア移動度を表1、2に示す。なお、図7および11、表1に示す比較例4の有機トランジスタは、実施例2の冷間等方圧加圧を行う前の有機トランジスタに対応し、図8および12、表2に示す比較例4の有機トランジスタは、比較例3の冷間等方圧加圧を行う前の有機トランジスタに対応する。
Figure 2016051693
Figure 2016051693
表1、2に示すように、厚さが30μmの袋体を用いて冷間等方圧加圧を行った実施例2の有機薄膜トランジスタは、冷間等方圧加圧を行っていない比較例4の有機トランジスタに対して、約16倍のキャリア移動度を得ることができた。一方、厚さが75μmの袋体を用いて冷間等方圧加圧を行った比較例3の有機トランジスタのキャリア移動度は、比較例4の有機トランジスタのキャリア移動度よりも低い値であった。
<有機太陽電池の作製と評価>
(実施例3)
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度10-4Paで積層した。
まず、ITO上にH2Pcを40nmの厚さに蒸着してH2Pc層を形成し、次いでC60フラーレンを30nmの厚さに形成し、その上に、BCPを10nmの厚さに形成した。さらに銀(Ag)を100nm真空蒸着することにより陰極を形成し、積層体を得た。この積層体を、実施例1と同じ条件で厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体に収容して冷間等方圧加圧を行い、有機太陽電池とした。
製造した有機太陽電池の擬似太陽光照射下(AM1.5,100mA/cm2)における電流密度−電圧特性を図13に示し、測定された電池特性を表3に示す。
(比較例5)
積層体に冷間等方圧加圧を行わないこと以外は、実施例3と同様にして有機太陽電池を作製した。
作製した有機太陽電池の電流密度−電圧特性を図13に示し、測定された電池特性を表3に示す。
Figure 2016051693
表3に示すように、厚さが30μmの袋体を用いて冷間等方圧加圧を行った実施例3の有機太陽電池は、冷間等方圧加圧を行っていない比較例5の有機太陽電池に比べて、約1.5倍の光電変換効率を得ることができた。
<有機・無機ペロブスカイト型太陽電池の作製と評価>
(ペロブスカイト層の形態と結晶性の評価)
膜厚150nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板を用意した。このITO上に、PEDOT:PSSを3000rpmで60秒間スピンコートして厚さ25nmの塗膜を形成し、200℃のホットプレート上で10分間加熱することによりPEDOT:PSS層を形成した。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス中で、ペロブスカイト層を形成し熱間等方圧加圧を行った。
まず、PbCl2とCH3NH3Iを1:3のモル比でN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して溶液(370mg/mL)を調製し、その溶液を、PEDOT:PSS層の上に4000rpmで30秒間スピンコートして前駆体層を形成した。この前駆体層を、60℃のホットプレート上で30分間加熱し、続いて100℃で90分間加熱した。その結果、黄色の前駆体が茶色のペロブスカイト(CH3NH3PbI3-xClx)に変換し、厚さ0.151μmのペロブスカイト層を得た。なお、CH3NH3 +とCl-は加熱により蒸発するため、このペロブスカイト層のCl/(Cl+I)は2.2%程度であると見積もられる。
作製された積層体(ガラス基板/ITO/PEDOT:PSS層/ペロブスカイト層の積層体)を、厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体に収容して袋体内のガスを排気した後、袋体を真空シールした。その袋体を90℃の水(圧力媒体)で満たされた熱間等方圧加圧装置の容器に入れ、水の温度を90℃に保持しつつ200MPaの圧力を加えることにより、加圧袋体内の積層体を1時間等方圧加圧した。以上の工程により、評価用素子1を作製した。加圧処理後のペロブスカイト層の厚さは0.137μmであった。
また、これとは別に、熱間等方圧加圧を行わないこと以外は上記の評価用素子1と同様にして作成素子した比較素子1、および熱間等方圧加圧を行う代わりに非加圧下で90℃のアニール処理を1時間行ったこと以外は上記の評価用素子1と同様にして作製した比較素子2を用意した。
作製した評価用素子1、比較素子1および2について、ペロブスカイト層(評価用素子1については熱間等方加圧後のペロブスカイト層、比較素子1についてはアニール処理後のペロブスカイト層)の走査電子顕微鏡写真(倍率4000×)を図14に示し、X線回折スペクトルを図15に示す。また、そのペロブスカイト層の基板における被覆率、厚さ、体積を表4に示す。
Figure 2016051693
図14を見ると、熱間等方圧加圧を行った評価用素子1のペロブスカイト層には、ピンホールがほとんど見受けられないのに対して、未処理の比較素子1のペロブスカイト層には、直径約1μmのピンホールが多数観察された。また、アニール処理を行った比較素子2のペロブスカイト層では、未処理のものよりも表面が荒くなり、ピンホールが増加していた。また、表4に示すように、評価用素子のペロブスカイト層は、比較素子1および2のペロブスカイト層よりも被覆率が大きく、厚さおよび体積が減少していた。厚さおよび体積の減少分は、加圧によって圧縮されたピンホールや結晶間の空隙に由来するものと考えられる。
また、図15のX線回折スペクトルを見ると、いずれも、(110)面に対応する約14.1°と(220)面に対応する約28.4°にピークが観測された。また、2つのピーク以外に回折ピークが認められないことから、前駆体からペロブスカイトへの転化は完了しており、ペロブスカイト構造がc−軸を基板面に対する垂直方向に向けて高度に配向していることが推測された。また、中でも、熱間等方圧加圧を行った評価用素子1のペロブスカイト層は、未処理の比較素子1のペロブスカイト層に対してピーク強度が約2.5倍増加し、半値幅は約16%減少しており、より結晶構造が発達していることがわかった、なお、非加圧下でアニール処理を行った比較素子2のペロブスカイト層でも、ピーク強度の増大および半値幅の減少が見られていることから、ペロブスカイト層の結晶性の改善には加熱が有利に働くことが示唆された。
これらの結果から、ペロブスカイト層に熱間等方圧加圧を行うと、ピンホールや結晶粒間の空隙が効果的に圧縮され、結晶性が顕著に改善されることが確認された。
(ペロブスカイト層のキャリア拡散距離の評価)
ここでは、ペロブスカイト層からの電子をクエンチングするPC71BM層を設けた素子と、ペロブスカイト層からの正孔をクエンチングするspiroーOMeTAD層を設けた素子を作製してフォトルミネッセンス(PL)強度を測定し、下記式を用いてペロブスカイト層のキャリア拡散長を測定した。
Figure 2016051693
式中、Lはペロブスカイト層のキャリア拡散長を表し、dはペロブスカイト層の厚さを表し、IPはペロブスカイト層にPC71BM層またはspiroーOMeTAD層を設けた際のPL強度を表し、IAはペロブスカイト層にPC71BM層およびspiroーOMeTAD層を設けていない際のPL強度を表す。
測定に用いた素子は、以下のようにして作製した。
複数の石英ガラス基板を用意し、窒素雰囲気のグローブボックス中、スピンコート法にて、各石英ガラス基板に、厚さを変えてペロブスカイト層をそれぞれ形成した。スピンコートを行う際、回転速度は3000rpm、5000rpmまたは8000rpmとし、溶液濃度は295mg/mLまたは481mg/mLとした。
次に、形成したペロブスカイト層の上に、厚さ10nmのPC71BM層または厚さ20nmのspiroーOMeTAD層をスピンコート法にて形成し、積層体を得た。ここで、PC71BM層は、窒素雰囲気のグローブボックス中で、PC71BMを10mg/mLの濃度で溶解したクロロベンゼン溶液を2000rpmで30秒間スピンコートした後、90℃のホットプレート上で15分間加熱することにより形成した。また、spiro−OMeTAD層は、spiro−OMeTADを0.02Mの濃度で溶解したクロロベンゼン溶液を2000rpmで30秒間スピンコートした後、一晩放置することで形成した。
作製した積層体を、(ペロブスカイト層の形態と結晶性の評価)で用いたのと同様の条件で、厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体に収容して熱間等方圧加圧を行い、各種評価用素子を作製した。
また、これとは別に、熱間等方圧加圧を行わないこと以外は上記の各種評価用素子と同様にして作製した各種比較素子、および熱間等方圧加圧を行う代わりに非加圧下で90℃のアニール処理を行ったこと以外は上記の各種評価用素子と同様にして作製した各種比較素子を用意した。
作製した各種評価用素子および各種比較素子について、石英ガラス基板側から650nmの励起光を照射してPL強度IP、IAを測定した。PC71BM層を設けた素子について、IP/IAをペロブスカイト層の厚さに対してプロットした結果を図16に示し、spiro−OMeTAD層を設けた素子について、IP/IAをペロブスカイト層の厚さに対してプロットした結果を図17に示す。また、図16に基づいて算出された電子の拡散長Leおよび図17に基づいて算出された正孔の拡散長Lhを表5に示す。
Figure 2016051693
表5に示すように、熱間等方圧加圧を行った評価用素子は、処理を行っていない比較素子に比べて、電子および正孔のいずれについても長い拡散長を得ることができた。なお、非加圧下でアニール処理を行った比較素子で電子および正孔の拡散長が長くなっているのは、ペロブスカイト層にピンホールや結晶粒が多数存在しているため、ペロブスカイト層の深部にPC71BMやspiroーOMeTADが浸透し易く、これにより電子や正孔、励起子がクエンチングされるからであると考えられる。すなわち、非加圧下でアニール処理を行った比較素子で見られる表5の結果は、見かけ上のキャリア拡散長の延長を意味しており、ピンホールや粒子間の空隙が多数存在していることに由来しているものと推定される。
(実施例4)
上記の(ペロブスカイト層の形態と結晶性の評価)で用いたのと同様の条件で、膜厚150nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成された石英ガラス基板上に、PEDOT:PSS層とペロブスカイト層を形成した。その上に、PC71BMを10mg/mLの濃度で溶解したクロロベンゼン溶液を2000rpmで30秒間スピンコートした後、90℃のホットプレート上で15分間加熱することによりPC71BM層を形成した。
続いて、PC71BM層の上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度10-4Paで積層した。まず、PC71BM層の上にC60を10nmの厚さに形成し、その上に、BCPを10nmの厚さに形成した。次いで、Agを200nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、積層体を得た。
作製した積層体を、(ペロブスカイト層の形態と結晶性の評価)で用いたのと同様の条件で、厚さが30μmのポリマーシートからなる袋体に収容して熱間等方圧加圧を行い、有機太陽電池とした。
作製した有機太陽電池の疑似太陽光下(AM1.5G、100mW/cm2)における電流密度−電圧特性を図18に示し、測定された電池特性を表6に示す。
(比較例6)
積層体に熱間等方加圧を行わないこと以外は、実施例4と同様にして有機太陽電池を作製した。
作製した有機太陽電池の疑似太陽光下(AM1.5G、100mW/cm2)における電流密度−電圧特性を図18に示し、測定された電池特性を表6に示す。
(比較例7)
積層体に熱間等方圧加圧を行わず、その代わりに非加圧下で90℃のアニール処理を1時間行ったこと以外は、実施例4と同様にして有機太陽電池を作製した。
作製した有機太陽電池の疑似太陽光下(AM1.5G、100mW/cm2)における電流密度−電圧特性を図18に示し、測定された電池特性を表6に示す。
Figure 2016051693
表6に示すように、厚さが30μmの袋体を用いて熱間等方圧加圧を行った実施例5の有機太陽電池は、未処理の比較例6の太陽電池に比べて、約1.5倍の光電変換効率を得ることができた。
<単層素子の作製と評価>
(実施例5)
F8BTのトルエン溶液(濃度20mg/mL)を調製した。調製したF8BTのトルエン溶液を、膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、スピンコート法にて、3000rpmで30秒間塗布した後、100℃で10分間ベークすることでF8BT層を形成した。なお、トルエン溶液の調製、スピンコートおよびベーク処理は、窒素雰囲気のグローブボックス中で行った。また、形成されたF8BT層の厚さは、90nmであった。次に、F8BT層上に、真空蒸着法にて、真空度10-4Paの条件でAlを100nmの厚さで蒸着して陰極を形成した。得られたITO基板/F8BT層/Al陰極からなる積層体を、30μmのポリマーシートからなる袋体内に収容して実施例1と同じ条件で冷間等方圧加圧を行い、単層素子を得た。加圧処理後のF8BT層の厚さは0.09μmであった。
作製した単層素子の電圧−電流密度特性を図19に示す。
(比較例8)
積層体に冷間等方圧加圧を行わないこと以外は、実施例5と同様にして単層素子を作製した。
作製した単層素子の電圧−電流密度特性を図19に示す。
図19から、冷間等方圧加圧を行った実施例5の単層素子は、冷間等方圧加圧を行っていない比較例8の単層素子に比べて電流密度が数倍に向上していることがわかる。そして、電流密度50mA/cm2における駆動電圧を比較したところ、冷間等方圧加圧により、駆動電圧が平均して約1V(13.2→12.3V)低下することがわかった。この結果は、等方圧加圧前後で膜厚に変化は見られなかったことから考えると、電極とF8BT層の界面の接触が向上したことを示す。
Figure 2016051693
本発明によれば、高いキャリア移動度が得られる有機半導体素子を簡易な工程で製造することができる。このため、本発明の製造方法を用いれば、優れた特性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、有機太陽電池および有機トランジスタを効率よく製造することができ、産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (23)

  1. 基材と該基材の上に形成された結晶性材料膜を有する積層体を、厚さが0.1〜40μmのシートで構成された袋体内に収容して該袋体内のガスを排気した後、前記袋体を封止する積層体収容工程と、
    前記積層体を、前記袋体を介して等方圧加圧する加圧工程と、
    を有することを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
  2. 前記基材は電極であり、前記電極の上に前記結晶性材料膜が直接形成されているか、前記電極の上に形成された他の結晶性材料膜上に前記結晶性材料膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体素子の製造方法。
  3. 前記袋体を構成する前記シートは、樹脂材料を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機半導体素子の製造方法。
  4. 前記樹脂材料は、ポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の有機半導体素子の製造方法。
  5. 前記袋体を構成する前記シートは、弾性材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  6. 前記積層体収容工程を、不活性ガスを含有する雰囲気中で行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  7. 前記積層体収容工程において、ガスを排気した後に袋体内に残留する水分およびガスの合計量が0.1ppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  8. 前記等方圧加圧の圧力媒体として液体または不活性ガスを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  9. 前記等方圧加圧で前記積層体に印加する圧力を、0.2〜2000MPaの範囲にすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  10. 前記等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度を、−200〜500℃の範囲にすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  11. 前記等方加圧として冷間等方圧加圧を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  12. 前記等方圧加圧として熱間等方圧加圧を行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  13. 熱間等方圧加圧を行う際の圧力媒体の温度を、20〜500℃の範囲にすることを特徴とする請求項12に記載の有機半導体素子の製造方法。
  14. 前記結晶性材料膜は、結晶性有機半導体材料を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  15. 前記結晶性有機半導体材料が、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、フタロシアニンの金属錯体およびフタロシアニンの誘導体の金属錯体の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項14に記載の有機半導体素子の製造方法。
  16. 前記結晶性材料膜は、有機・無機ペロブスカイト化合物を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法。
  17. 有機・無機ペロブスカイト化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項16に記載の有機半導体素子の製造方法。
    1NH3MX3
    (一般式(1)中、R1は水素原子またはアルキル基を表し、Mは2価の金属イオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。複数のXが表すハロゲンイオンは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
  18. 前記等方圧加圧として熱間等方圧加圧を行い、その際の圧力媒体の温度を20〜500℃の範囲にすることを特徴とする請求項17に記載の有機半導体素子の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機半導体素子の製造方法によって製造されたことを特徴とする有機半導体素子。
  20. 少なくとも1層の結晶性材料膜を備えた有機半導体素子であって、
    前記結晶性材料膜の少なくとも1層の密度が、その結晶性材料の単結晶密度の±20%の範囲内にあることを特徴とする有機半導体素子。
  21. 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項19または20に記載の有機半導体素子。
  22. 有機太陽電池であることを特徴とする請求項19または20に記載の有機半導体素子。
  23. 有機トランジスタであることを特徴とする請求項19または20に記載の有機半導体素子。
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