以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。この発明にかかる実施の形態の電子機器として、電波修正時計への適用例について説明する。
(電波修正時計の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の電子機器の一例である電波修正時計の外観を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100は、電波修正時計100の外装をなすケース(外装ケース)101を備えている。ケース101は、たとえば、金属材料を用いて形成され、両端が開口した略円筒形状をなす。
略円筒形状をなすケース101の一端側(表側)には、当該表側の開口を閉塞する風防ガラス102と、当該風防ガラス102の周縁を支持するベゼル103と、が設けられている。風防ガラス102は、サファイヤガラスのように光透過性を有する材料を用いて形成されており、略円板形状をなす。ベゼル103は、風防ガラス102の直径と略同一の内径の環形状をなし、たとえば、金属材料を用いて形成することができる。
ケース101の他端側(裏側)には、図示は省略するが、当該裏側の開口を閉塞する裏蓋部材が設けられている。裏蓋部材の材質や構成、ケース101に対する取り付け方法については、公知の各種の技術を用いて容易に実現可能であるため、その説明を省略する。また、裏蓋部材とケース101とは別々の構成でなくてもよく、一体とされた、いわゆるワンピース構造のケースであってもよい。
ケース101には、操作手段104が設けられている。操作手段104は、たとえば、竜頭や操作ボタンなどによって実現することができる。ケース101に対する竜頭の位置は、たとえば、ケース101から引っ張られることにより、複数段(たとえば、3段)に調整することができる。操作手段104は、使用者による操作を受け付けた場合に、操作内容に応じた信号を制御回路(図2を参照)に対して出力する。制御回路は、操作手段104が受け付けた操作入力の内容に応じて、衛星信号の受信処理などの各種処理を実行する。
ケース101の内側には、文字板105が設けられている。文字板105には、時刻指示針106の位置すなわち時刻を示すインデックス(指標)107が設けられている。時刻指示針106は、文字板105の表面側に文字板105の中心を回転中心として回転可能な状態で設けられ、金属材料やプラスチックなどを用いて形成される。より具体的には、時刻指示針106は、たとえば、時針106a、分針106b、秒針106cなどによって構成される。また、時針、分針、秒針に加えて、図示を省略する日板を備えていてもよい。
各時刻指示針106は後述する駆動機構によって回転駆動し、この各時刻指示針106の位置によって、現在の時刻を表示したり、操作手段104の入力信号に応じて情報を表したりすることができる。ここで、文字板105、時刻指示針106、インデックス107、後述の表記108をまとめて情報表示手段109とする。
インデックス107は、時刻指示針106の軸心を中心とする円周上に配置され、たとえば、文字、数字、記号、目盛またはそれらの組み合わせなどによって表現することができる。このインデックス107は、たとえば、金属部材により立体的に配置したり、文字板105に印刷したりすることによって形成される。
また、文字板105の最外周部分には、表記108が設けられている。表記108には、世界の各都市(27都市)の略文字が示されている。たとえば、0秒の位置にLON(ロンドン)、・・・22秒の位置にTYO(東京)、・・・30秒の位置にAKL(アンカレッジ)、・・・57秒の位置にPDL(アゾレス諸島(ポンタデルガダ))が、それぞれ示されている。操作手段104が操作されると、時刻指示針106(たとえば分針106bまたは秒針106c)が都市の略文字を指し示すことにより、現在地のタイムゾーンを表示したり、使用者が任意のタイムゾーンを選択指定したりすることができる。なお、表記108はベゼル103に設けてもよい。
本実施形態の電波修正度計100は、正確な時刻情報をもつ電波を受信するためのアンテナ(図示を省略する)をケース101内に備えている。アンテナの種類は、受信する電波に応じて、たとえば、パッチアンテナ、リングアンテナ、チップアンテナなどを適宜選択することができる。
ケース101と裏蓋部材と文字板105とによって囲まれる空間には、図示を省略するが、電池を含む電源回路、時刻指示針106を回転駆動する駆動機構、アンテナが受信した電波から所定の信号を出力する受信回路、外部通信回路、これらの回路などを制御する制御回路が設けられている。電源回路は、電池を二次電池としソーラーセルと組み合わせた構成としてもよい。
(電波修正時計100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100のハードウエア構成について説明する。図2は、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100のハードウエア構成を示す説明図である。
図2において、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100は、アンテナ201と、受信回路202と、制御回路203と、電源204と、外部通信回路206と、ソーラーセル205と、駆動機構207と、情報表示手段109と、操作手段104と、を備えている。
アンテナ201は、GPS(Global Positioning System)衛星などの人工衛星から送信される衛星信号(GPS信号を含む電波)を受信する。具体的には、アンテナ201は、たとえば、GPS衛星から送信される、周波数約1.6GHzの電波を受信するパッチアンテナによって実現することができる。GPS衛星は、それぞれ、地球の周回軌道を周回しており、高精度の原子時計を搭載し、当該原子時計によって計時された時刻情報を含んだ衛星信号を周期的に送信する。アンテナ201は、複数のGPS衛星から送信される衛星信号を受信する。
各GPS衛星は、計25フレーム(ページ)を1セットとする航法データを繰り返し送信している。各フレームは30秒分の信号を含んでおり、GPS衛星は、全25フレームの信号を12.5分周期で送信する。さらに、各フレームは、5個のサブフレームから構成される。1フレームが30秒なので、1つのサブフレームは6秒分の信号に相当する。1つのサブフレームは、10ワードから構成され、1ワード30ビット、1サブフレーム全体で300ビット分の情報を含んでいる。
各サブフレームの先頭ワード(第1ワード)は、TLM(TeLeMetry word)と称され、その先頭部分(すなわち、サブフレーム全体の先頭部分)には、当該サブフレームの開始位置を示すプリアンブルが含まれる。さらに各サブフレームの2番目のワード(第2ワード)は、HOW(HandOver Word)と称され、その先頭部分には、TOW(Time Of Week)と呼ばれる時刻情報が含まれている。
TOWは、週の始まり(日曜日の午前0:00)を起点としたGPS時刻を示す時刻情報である。電波修正時計100は、1または複数のGPS衛星からこのTOWのデータを受信して、WN(Week Number)と呼ばれる週番号の情報と組み合わせることで、GPS衛星によって計時されているGPS時刻を知ることができる。WNは、TOWにより表される時刻が属する週の番号を示す情報であって、週に1度、日曜日の午前0:00になるごとにカウントアップされる。WNの情報は、各フレームの第1サブフレーム内に格納されてGPS衛星から送信されている。
WNとTOWのデータによって得られるGPS時刻は、協定世界時に対して、閏秒の累積によって生じた整数秒分のずれがある。GPS衛星は、このずれを補正するために用いられる閏秒補正値の情報も送信する。具体的に、閏秒補正値の情報は、航法データのうち、第18ページ目のフレームの第4サブフレームに格納されている。電波修正時計100は、この閏秒補正値の情報を受信し、GPS時刻に対して閏秒補正値を用いた補正をおこなうことで、協定世界時に準拠した時刻情報を取得する。第18ページ目のフレームの第4サブフレームには、閏秒補正値だけでなく、次回の閏秒更新予定日時を示す情報が含まれている。電波修正時計100は、閏秒補正値とともに、閏秒更新予定日時に関する情報を受信する。
また、アンテナ201は、所定の送信局から送信される標準電波を受信してもよい。標準電波は、標準時と周波数の国家標準または国際標準として政府や国際機関が送信している電波であって、たとえば、JJY(登録商標)などの標準周波数報時局から送信され、タイムコードが重畳されている。
上述のように、各GPS衛星のその時々の位置は送信電波に記述されている。また、GPS衛星と地上の受信機である電波修正時計100には時計が搭載されているので、GPS衛星からの電波が電波修正時計100に達するまでに要した時間がわかり、時間Δt×電波速度(光速)で、衛星と受信機間の距離が算出できる。したがって、電波修正時計100の座標(X,Y,Z)は3個のGPS衛星から電波を受信することで、三角測量で求めることができる。ただし、実際には時計にも誤差があるので未知数は(X,Y,Z,t)の4つとなり、4個の衛星から電波を受信する必要がある。
受信回路202は、アンテナ201によって受信された衛星信号を復号して、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路202は、アナログ信号に対して増幅、検波をおこなって、ベースバンド信号に変換する高周波回路(RF回路)202aと、ベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し制御回路203に対して出力するデコード回路202bとを含んで構成されている。各回路の構成は公知技術を用いることができるため詳細は省略する。
制御回路203は、演算手段203aと、ROM(Read Only Memory)203bと、RAM(Random Access Memory)203cと、RTC(Real Time Clock)203dと、駆動回路203eと、記憶手段203fと、を含んで構成されるマイクロコンピュータによって実現することができる。
演算手段203aは、ROM203bに格納された各種の制御プログラムに従って各種の情報処理をおこなう。RAM203cは、演算手段203aのワークメモリとして機能し、演算手段203aの処理対象となるデータが書き込まれる。
RTC203dは、いわゆる発振回路であり、演算手段203aに対して、電波修正時計100内部での計時に使用されるクロック信号を出力する。通常、演算手段203aは、RTC203dが出力したクロック信号に基づいて内部時刻を計時するが、受信回路202から正確な時刻情報の信号が入力されたときは、その信号情報に基づいて計時データを修正し、情報表示手段109に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。駆動回路203eは、演算手段203aが決定した表示時刻に応じて、駆動機構207に対して駆動信号を出力する。
記憶手段203fは、書き換え可能なメモリなどから構成されており、演算手段203aで求めたデータや、受信回路202から出力された人工衛星の運行状況に関する情報や、後述する外部通信回路206によって入力されたデータを記憶しておき、演算手段203aや操作手段104からの必要な信号に応じてデータを出力する。
駆動機構207は、駆動回路203eから出力される駆動信号に応じて動作するモータや輪列を含んで構成することができる。モータは、具体的には、たとえば、ステップモータによって実現することができ、駆動回路203eから出力される駆動パルスに応じた正転(右回り)または逆転(左回り)の回転動作をおこなう。駆動機構207は、ステップモータの回転を、輪列を介して情報表示手段109の時刻指示針106に伝達することによって、当該時刻指示針106を回転させる。
駆動機構207において、モータは、一つであっても複数であってもよい。複数のモータを備える電波修正時計100においては、たとえば、時刻指示針106を実現する時針、分針、秒針などを、それぞれ独立したモータによって独立して駆動することができる。
電源204は、受信回路202や制御回路203など、電波修正時計100が備える各部に電力を供給する。この実施の形態の電波修正時計100において、電源204は、たとえば、二酸化マンガンリチウム電池などの一次電池やリチウムイオン電池などの二次電池によって実現することができる。
また、電源204にソーラーセル205(太陽電池)を接続し、発電された電力によって蓄電するようにしてもよい。このとき、電源204は昇圧回路や制御回路をさらに設ける必要があるが、ソーラーセル205を含めた電源204の具体的構成や動作については公知技術を用いることができるため、その説明を省略する。
また、制御回路203はこのソーラーセル205の発電量を検出し使用環境の明暗を判断し報知できるようにしてもよい。発電量は、ソーラーセル205の起電圧や電源204に流れる電流値から計測することができるため、あらかじめ定められた閾値を上回ると判断した場合に、「明」を、下回ると判断した場合に、「暗」を出力すればよい。この明暗判断は後述する自動受信時刻を求めるときの判断基準の一部として用いることができる。
電波修正時計100は、衛星の運行状況に関する情報を衛星電波以外の方法で取得するための外部通信回路206を備えていてもよい。外部通信回路206は、外部装置とのデータ通信をおこなうものであり、通信方法は、たとえば、Bluetooth(登録商標)や、Wi−Fi(Wireless Fidelity、登録商標)のような無線通信でもよいし、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを用いた有線による通信であってもよい。外部通信回路206が受信した情報は記憶手段203fに記憶される。
なお、電波修正時計100は、情報表示手段109とは別に通知手段を設け、時刻指示針106以外の手段で情報を使用者に通知できるようにしてもよい。通知内容としては、たとえば、衛星受信の成功の可否やソーラーセル205の発電量などを知らせるための信号を出力する。通知手段は、液晶、発光素子、スピーカなどを用いることができ、制御回路203からの信号に応じて通知を実現する。また、計時と同様に、時刻指示針106とは別の指針部材にて通知する構成としてもよい。
(電波修正時計100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100の機能的構成について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計の機能的構成を示す説明図である。図3において、この発明にかかる実施の形態の電波修正時計100の各機能は、制御部300と、計時部301と、受信部302と、記憶部303と、情報更新部304、表示部305と、の各部とによって実現することができる。
制御部300は、電波修正時計100の全体の制御を司る。制御部300の機能は、たとえば図2における制御回路203などによって実現することができる。
計時部301は、図2における電源204の電力を用いて時刻を計時する。計時部301の機能は、たとえば、図2におけるRTC203dによって実現することができる。表示部305は、計時部301によって計時される時刻を表示する。表示部305の機能は、たとえば、図2における情報表示手段109によって実現することができる。
受信部302は、衛星、すなわち、たとえばGPS衛星など、時刻信号や測位信号などの信号を発信している人工衛星からの衛星信号などからなる電波を受信する。また、受信部302は、時刻情報を含む標準電波も受信するようにしてもよい。受信部302の機能は、たとえば図2におけるアンテナ201および受信回路202などによって実現することができる。
記憶部303は、人工衛星の運行状況に関する情報を記憶する。記憶部303の機能は、たとえば図2における記憶手段203fなどによって実現することができる。また、情報更新部304は、記憶部303に記憶されている情報を更新する。情報更新部304の機能は、たとえば図2における演算手段203aの演算データや、外部通信回路206の通信データによって実現することができる。
情報更新部304により、人工衛星の運行状況に関する情報を更新し、最新の情報にアップデートすることによって、より正確な人工衛星の軌道上の位置を把握することができる。情報更新部304の更新のタイミングなどを含む更新処理の詳細については、後述する。また、記憶部303に記憶された人工衛星の運行状況に関する情報は、新たな情報が更新されるまでそのまま記憶部303に記憶したままでもよく、また、後述する受信開始時刻が決定され、保存された後は、人工衛星の運行状況に関する情報は必要ない場合もあり、必要がある際に再度受信すれば足りるので、情報更新部304は、記憶部303に記憶された当該人工衛星の運行状況に関する情報を削除するようにしてもよい。
このような構成において、制御部300は、受信部302によって受信された信号に基づいて、計時部301によって計時されている時刻を修正する。具体的には、上述したように、図2における演算手段203aが、計時している内部時刻を、受信回路202によって受信された衛星信号に基づいて修正し、情報表示手段109に表示すべき時刻(表示時刻)を決定するとともに、駆動回路203eを制御して、演算手段203aが決定した表示時刻に応じて、駆動機構207に対して駆動信号を出力し、時刻指示針106を所定位置へ回動させる。
また、制御部300は、記憶部303に記憶されている人工衛星の運行状況に関する情報に基づいて、所定の日において受信部302が信号の受信を開始する受信開始時刻を決定する。ここで、所定の日とは、あらかじめ設定された条件によって決定する日であり、あらかじめ定められた時刻になると自動的に受信を開始する定刻受信の予定日(「定刻受信予定日」)である。所定の日(「定刻受信予定日」)は、計時部301が計時している時刻と、現在地点の緯度経度に関する情報に基づいて決定する。
定刻受信予定日は、たとえば、毎日であってもよく、『毎月1日と15日』という設定であってもよく、『毎週月曜日』という設定であってもよい。また、あらかじめ定められた暦の日や曜日ではなく、たとえば、5日間隔というように、暦の日や曜日とは無関係に、所定日間隔にするという設定であってもよい。これらの定刻受信予定日については、使用者が任意に設定してもよい。また、定刻受信予定日は、毎回5日間隔ではなく、前回受信に成功した日から5日間隔とし、前回受信に失敗した場合は、それとは異なる間隔の日とするなど、当該所定日間隔を自動で延ばしたり縮めたりするようにしてもよい。
また、定刻受信予定日は、毎月同じ日ではなく、月によって異なる日としてもよい。たとえば、『1月は20日のみ』、『8月は10日、20日、30日』、『12月は31日のみ』などとしてもよい。また、所定の日は、現在地によって異なる日としてもよい。たとえば、『東京では毎月3日』、『ニューヨークでは毎月2日』などとしてもよい。また、現在地における祝祭日に関する情報を記憶しておき、『祝祭日のみ』あるいは『祝祭日を除く』としてもよい。このように、使用者の使用態様に応じて、定刻受信予定日を設定、変更、削除ができるようにしてもよい。
記憶部303に記憶されている人工衛星の運行状況に関する情報とは、人工衛星の運行の予測に関する情報を含む。具体的には、各人工衛星の運行ルートおよび各時刻における予測位置などに関する情報である。
出願時において、GPS衛星は30機ほど打ち上げられており、それぞれのGPS衛星は、図4および図5に示すような軌道イメージで周回している。ある地点において、GPS衛星のすべてが常に捕捉、すなわち通信可能となるわけではなく、測定する地点および測定する時間によって、捕捉できるGPS衛星の数が異なる。したがって、地球上のある地点においては、受信可能な人工衛星、すなわち、ある地点における上空に存在し、当該地点において捕捉することが可能な人工衛星の数は、時刻によって変化する。
図6A〜図6Dは、地球上を周回するGPS衛星の運行状況を示すスカイプロット図である。図6A〜図6Dは、それぞれ半球体をイメージしており、たとえば、0°と示した方角を「北」、90°と示した方角を「東」、180°と示した方角を「南」、270°と示した方角を「西」とし、円の中心は天頂方向(空の真上であり地面に対して90°)を示している。最外円が仰角0°で、内側の円が仰角30°、さらに内側の円が仰角60°である。図6A〜図6Dにおいて、小さい円がGPS衛星を示している。その中の数字が衛星の番号を示している。電波修正時計100のケースは専ら金属であることから、仰角0〜30°までは受信感度が落ちる場合がある。したがって、仰角30°以上において捕捉できる衛星数として示している。
図6Aに示すように、東京のある日付の11時20分において捕捉することができるGPS衛星数は3つ(衛星番号「16」、「26」、「31」)であり、図6Bに示すように、同日の16時40分には7つ捕捉できる(衛星番号「1」、「4」、「7」、「11」、「19」、「30」、「32」)ことがわかる。同様に、図6Cに示すように、ロンドンのある日の18時50分において捕捉することができるGPS衛星数は2つであり、図6Dに示すように、6時20分には7つ捕捉できることがわかる。
このように、各人工衛星の運行ルートおよび各時刻における予測位置などに関する情報に基づいて、ある日時における緯度経度によって特定する現在地における人工衛星の捕捉数を算出することができる。
制御部300は、記憶部303に記憶されている人工衛星の運行状況に関する情報に基づいて、所定の日において、受信部302が信号の受信を開始する受信開始時刻を決定する。具体的には、たとえば、制御部300は、所定の日において、受信可能な信号を送信する有効な人工衛星(「有効衛星」)が所定個数以上存在する時刻を受信開始時刻とする(「決定条件1」)。
人工衛星からの信号を受信するにあたっては、有効衛星数が多い方が成功確率は高い。したがって、制御部300は、現在地(測時・測位する座標)における有効衛星が所定個数(たとえば7個)以上存在する時刻を定刻受信の時刻に決定する。あるいは、有効衛星が所定個数(たとえば5個)以下の場合は、定刻受信の開始時刻から除外するようにしてもよい。
また、制御部300は、人工衛星からの信号を受信するにあたり、建物などの影響を受けないようにするために、所定の位置の範囲(たとえば、仰角60°以上の範囲)内において、有効衛星が所定個数(たとえば4個)以上存在する時刻を前記受信開始時刻に決定するようにしてもよい。あるいは、有効衛星が所定個数(たとえば2個)以下の場合は、定刻受信の開始時刻から除外するようにしてもよい(「決定条件2」)。
さらに、制御部300は、これらの決定条件1と決定条件2を組み合わせて、たとえば、仰角30°以上の範囲には有効衛星数が7個以上で、かつ、仰角60°以上の範囲には有効衛星数が4個以上存在することを条件として定刻受信の開始時刻としてもよい。また、上記所定の位置の範囲内は、仰角の範囲には限定されず、たとえば特定の方位の範囲内など、別の条件であってもよい。
また、制御部300は、所定の日における所定の衛星、すなわち、複数の人工衛星(たとえば約30個のGPS衛星)のうちの特定の一つまたは複数の人工衛星(「特定衛星」)の運行状況に基づいて、受信開始時刻を決定するようにしてもよい(「決定条件3」)。具体的には、特定衛星が有効衛星となっていることを条件としてもよい。また、特定衛星の軌道上の位置(たとえば現在地からの仰角、所定の方位など)に基づいて、特定衛星が所定の位置の範囲内に存在することを条件とするようにしてもよい。
また、特定衛星が有効衛星となっている間の当該特定衛星の軌道を考慮してもよい。具体的には、当該特定衛星が天空上の所定の位置(たとえば、仰角80°以上の範囲)を通過することを条件としてもよい。また、複数の特定衛星が同時に有効衛星となっていることを条件とするようにしてもよく、複数の特定衛星のうちの少なくともいずれかが有効衛星となっていることを条件とするようにしてもよい。
特定衛星は、たとえば、過去に受信に成功した人工衛星としてもよい。また成功回数が所定回数以上の人工衛星としてもよい。また、過去に受信に失敗した人工衛星を特定衛星とした場合に、当該受信に失敗した特定衛星が有効衛星となっている時間帯を除外するような条件を設定してもよい。また、特定衛星および当該特定衛星の軌道上の位置などに関する条件は、工場出荷時にあらかじめ設定してもよく、また、使用者が任意に設定してもよい。
また、上記決定条件1と決定条件3とを組み合わせてもよい。具体的には、たとえば有効衛星が所定個数以上であって、かつ、特定衛星の少なくとも一つ、あるいは、特定衛星すべてが有効衛星となっていることを条件とするようにしてもよい。また、決定条件1のうち有効衛星の個数から過去に受信に失敗した人工衛星を特定衛星の個数から除いた個数が所定個数以上あることを条件としてもよい。
また、上記決定条件2と決定条件3とを組み合わせてもよい。さらに、上記決定条件1と決定条件2と決定条件3とを組み合わせてもよく、また、さらに、他の条件と組み合わせてもよい。
上記の条件に該当する受信時刻がたとえば受信日中に複数存在する場合に、どの受信時刻にするか、すなわち、絞り込み処理をおこなうようにしてもよい。絞り込み処理は、1つの時刻に絞り込んでもよく、複数(たとえば3つ)の時刻に絞り込んでもよい。
1つの時刻に絞り込む方法の条件例としては、たとえば、決定された複数の時刻(時間帯)の中で一番早い時刻を受信時刻とするようにしてもよい(「絞り込み条件1」)。または、一番遅い時刻を受信時刻とするようにしてもよい(「絞り込み条件2」)。また、受信時間帯における複数の衛星の中から所定の仰角以内(たとえば60°以内)での滞在時間が最短となる衛星に注目し、各受信時刻における最短となる衛星の中でも滞在時間が最長となる条件に基づいて受信時刻を決定してもよい(「絞り込み条件3」)。また、各受信時刻において観測される衛星の仰角の総和が最大となる条件を受信時刻としてもよい(「絞り込み条件4」)。仰角の総和が大きいということは、天頂方向に集中していることになるため、成功率をより高めることができる。
また、たとえば、上述した通知手段を用いて、複数の受信時刻候補を使用者に通知し、通知した複数の受信時刻候補の中から、所望の時刻を使用者に選択させるようにしてもよい(「絞り込み条件5」)。
複数の時刻に絞り込む場合は、絞り込んだ時刻のうち最も早い時刻を受信時刻に設定し、受信が成功した場合は、絞り込んだうちの他の候補の時刻では受信をおこなわないようにしてもよい。また、受信が失敗した場合には、そのつぎに早い時刻とすることができ、可能な限り、その日のうちに受信を完了させるようにすることができる。
複数の絞り込み方としては、たとえば3つに絞り込む場合には、上述の絞り込み条件1〜4を満たす上位3位を決定し、その中から早い時刻順に受信時刻に設定してもよい。上述の絞り込み条件4を例にすると、仰角の総和が大きい順に上位から3つ時刻を決定し、早い時刻順に受信時刻に設定する。また、上述の絞り込み条件1〜4のそれぞれの1位を算出し、その中から早い時刻順に受信時刻に設定してもよい。
また、上述した通知手段を用いて、複数の受信時刻候補を使用者に通知し、通知した複数の受信時刻候補の中から、絞り込む数だけ所望の時刻を使用者に選択させ、その選択された複数の時刻の中から早い時刻順に受信時刻に設定するようにしてもよい。
また、複数の時刻に絞り込んだ場合に、さらに、上述した発電量による「明」、「暗」の判断データを条件として加えて、受信時刻でかつ「明」である場合は受信時刻を開始するようにし、「暗」である場合はつぎに早い時刻にしてもよい。このつぎに早い時刻においても、上記と同様に、「明」、「暗」の判断データを用いて受信時刻を開始するようにしてもよい。このように、受信前に明暗判断をすることで、発電を確保し、受信による消費電力によって蓄電量が減少するのを抑制することができる。また、この「明」、「暗」の判断を用いて屋内であるか屋外であるかの判定をしてもよく、「暗」の場合は屋内であると判定し、屋外時に比べて受信成功確率の低い屋内での受信はおこなわないとすることができる。
(受信開始時刻の決定処理の手順)
つぎに、受信開始時刻の決定処理の手順について説明する。図7は、受信開始時刻の決定にかかる制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、制御部300は、現在地の位置情報を特定する(ステップS701)。そして、特定した現在地の位置情報に基づいて、定刻受信予定日における衛星ごとの運行状況に関する情報をそれぞれ抽出する(ステップS702)。
ここで、位置情報を特定するにあたっては、GPS衛星を用いて経度緯度を求めてもよい。また、あらかじめ位置情報として都市名の情報を記憶させておき、求めた経度緯度に最も近い都市名を位置情報としてもよい。さらに、たとえば、使用者に表記108の都市名を選択させ、選択された都市名を位置情報として特定するようにしてもよく、その他の方法であってもよい。
つぎに、抽出された情報から、決定条件に基づいて時刻を算出する(ステップS703)。決定条件に基づく算出は、具体的には、たとえば、有効衛星が所定個数(たとえば7個)以上になる時刻(決定条件1)を算出するものであってもよい。また、決定条件に基づく算出は、具体的には、たとえば、ステップS702において抽出された情報から、所定の位置の範囲(たとえば、仰角60°以上の範囲)内において、有効衛星が所定個数(たとえば4個)以上になる時刻(決定条件2)を算出するものであってもよい。また、決定条件に基づく算出は、具体的には、たとえば、ステップS702において抽出された情報から、所定の位置の範囲(たとえば、仰角60°以上の範囲)内において、特定衛星が有効衛星となる時刻あるいは特定衛星が所定の位置の範囲内に存在する時刻(決定条件3)を算出するものであってもよい。
そして、決定条件に該当する時刻(時間帯)が存在するか否か(具体的には、たとえば、定刻受信予定日において、有効衛星が所定個数(たとえば7個)以上に該当する時刻(時間帯)が存在するか否か(決定条件1)、また、たとえば、定刻受信予定日において、所定の位置の範囲内において、有効衛星が所定個数(たとえば4個)以上に該当する時刻(時間帯)が存在するか否か(決定条件2)、また、たとえば、定刻受信予定日において、特定衛星が有効衛星になる時刻(時間帯)あるいは特定衛星が所定の位置の範囲内に存在する時刻(時間帯)が存在するか否か(決定条件3)を判断する(ステップS704)。
ここで、決定条件に該当する時刻が存在しない場合(ステップS704:No)は、後述する別処理をおこなう。
一方、該当する時刻が存在する場合(ステップS704:Yes)は、存在する時刻に、設定された条件(たとえば、決定条件2、決定条件3など)に合致するものがあるか否かを判断する(ステップS705)。ここで、上述した条件に合致するものがない場合(ステップS705:No)は、該当する時刻が存在しない場合(ステップS704:No)と同様に、別処理をおこなう。また、図示は省略するが、ステップS704(決定条件1)のみで受信時刻を判断できる場合は、ステップS705の処理をおこなうことなく、ステップS706へ移行するようにしてもよい。
定刻受信予定日において条件を満たす時刻(時間帯)が存在しない場合の別処理としては、たとえば、定刻受信予定日の翌日または前日を、新たな定刻受信予定日とし、ステップS701へ戻るようにしてもよい。また、定刻受信予定日の翌日または前日以外の所定の日であって、定刻受信予定日の前後の日を、新たな定刻受信予定日とし、ステップS701へ戻るようにしてもよい。また、つぎの定刻受信予定日まで受信をおこなわないとして、一連の処理を終了させるようにしてもよい。
ステップS705において、存在する時刻に、設定された条件に合致するものがある場合(ステップS705:Yes)は、つぎに、その時刻が複数存在するか否かを判断する(ステップS706)。ここで、複数存在する場合(ステップS706:Yes)は、絞り込み処理をおこなう(ステップS707)。
絞り込み処理は、上述のように、1つの時刻に絞り込んでもよく、複数(たとえば3つ)の時刻に絞り込んでもよい。1つに絞り込む場合は、複数存在する時刻のうち、定刻受信予定日において、最も早い時刻、もしくは、最も遅い時刻とするようにしてもよい。また、3つ以上の時刻が存在する場合、最も早い時刻および最も遅い時刻を除外したいずれかの時刻とするようにしてもよい。また、定刻受信予定日のうち、現在における日中の時間帯(太陽が出ている時間帯)としてもよく、それ以外の時間帯としてもよい。
また、絞り込み処理は、過去に決定した時刻(時間帯)に絞り込んでもよく、また、過去に決定して、かつ、衛星信号の受信が成功した時刻(時間帯)に絞り込んでもよい。また、絞り込み処理は、複数存在する時刻のうちからランダムに選定することで絞り込むようにしてもよい。
また、複数の時刻に絞り込む場合は、上述のように各絞り込み条件から求められた候補にさらに優先順位を決定し、早い時刻順に受信時刻に設定するようにしてもよい。
ステップS706において、一つのみ存在する場合(ステップS706:No)は、絞り込み処理をおこなわず、ステップS708へ移行する。そして、絞り込み処理によって絞り込んだ時刻を、当該定刻受信予定日における受信開始時刻に決定し(ステップS708)、たとえば記憶部などの記憶領域に保存し(ステップS709)、一連の処理を終了する。
上述のように、受信時刻を求めるために時計内部でGPS衛星の運行状況から計算したが、時計内部で運行状況を計算すると、その分だけ演算時間が増加し、消費電力が大きくなってしまう。そこで、運行状況から経度緯度ごとの最適な時刻、もしくは、最適な時刻候補を求める作業を、外部装置(たとえばPCなど)におこなわせ、この最適な時刻または最適な時刻候補を上述の外部通信回路206によって記憶手段203fに記憶させて、直接時刻設定するようにしてもよい。衛星の運行状況に関する情報には、この最適な時刻または最適な時刻候補を含めるようにしてもよい。
(電波の受信処理の手順)
つぎに、人工衛星からの電波(衛星信号)の受信処理の手順について説明する。図8は、人工衛星からの電波の受信にかかる制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、まず、定刻受信予定日になるのを待って(ステップS801:No)、定刻受信予定日になった場合(ステップS801:Yes)は、受信開始時刻になるのを待つ(ステップS802:No)。そして、受信開始時刻になった場合(ステップS802:Yes)は、衛星信号の受信処理を実行する(ステップS803)。
つぎに、受信に成功したか否かを判断する(ステップS804)。成功しなかった(失敗した)場合には、受信の際に、蓄電量や発電量が十分ではなかったために、受信処理自体を開始しなかった場合を含む。受信に成功した場合(ステップS804:Yes)は、受信した衛星信号に基づいて、時刻を修正し(ステップS805)、現在地に関する情報を更新する(ステップS806)。
ここで、現在地を更新するステップS806は必ずしも毎回おこなう必要はなく、ステップS805の時刻修正をおこなった後、ステップS806をおこなわずにつぎのステップS807に進んでもよい。人工衛星による測位は、測時のときに比べて計算時間が長く、またその分消費電力も大きく、同じ位置情報もしくは同じ位置情報に属する地域である場合には、測位する必要がないためである。そこで、現在地を更新するステップS806は、所定の日数または受信回数おきにおこなうようしたり、使用者が任意に選択したりするようにしてもよい。また使用者が任意の位置情報を設定したり、強制受信によって測位済みであったりする場合には、同様に所定期間または所定条件の間は、ステップS806をおこなわないようにしてもよい。
そして、つぎの定刻受信予定日における受信開始時刻がすでに決まっているか否かを判断する(ステップS807)。ここで、未だ決まっていない場合(ステップS807:No)は、図7のフローチャートにおけるステップS701へ移行し、受信開始時刻の決定処理をおこなう。一方、つぎの定刻受信予定日における受信開始時刻がすでに決まっている場合(ステップS807:Yes)は、一連の処理を終了する。
ステップS804において、受信に失敗した場合(ステップS804:No)は、別処理をおこなう。衛星信号の受信に失敗した場合の別処理としては、たとえば、当該定刻受信予定日の翌日を新たな定刻受信予定日とし、当該新たな定刻受信予定日における受信開始時刻の決定処理をおこない(図7を参照)、翌日(新たな定刻受信予定日)になった場合に、ステップS801からの各処理を実行するようにしてもよい。
また、当該翌日以外の所定の日であって、定刻受信予定日の後の日を新たな定刻受信予定日として、同様の処理をおこなうようにしてもよい。また、つぎの定刻受信予定日まで受信をおこなわないとして、一連の処理を終了させるようにしてもよい。
なお、ステップS802において、受信開始時刻になったとき(ステップS802:Yes)、図示は省略するが、さらに新たな条件として、屋内にいるか屋外にいるかについて判断する処理をおこなうようにしてもよい。そして、屋内にいると判断した場合は、ステップS803の衛星信号受信処理はおこなわずに、つぎの受信候補時刻まで待機するようにしてもよい。
また、屋内にいると判断した場合は、上述した通知手段などを用いて、屋外に出るように促すようにしてもよい。このとき屋内にいるか屋外にいるかの判断は、たとえば、上述したソーラーセルの発電量による明暗判定によりおこなうようにしてもよい。
またさらに新たな条件として、屋内にいるか屋外にいるかという判断に代えて、あるいは、当該判断に加えて、電源204の蓄電量が所定値以上であるか否かについて判断する処理をおこなうようにしてもよい。
(人工衛星の運行状況に関する情報の更新処理のタイミング)
つぎに、人工衛星の運行状況に関する情報の更新処理のタイミングについて説明する。図9は、人工衛星の運行状況に関する情報の更新処理のタイミングの一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、所定のタイミングとなったか否かを判断する(ステップS901)。所定のタイミングとは、たとえば、毎月1回など定期的な間隔であってもよく、前回の更新から6ヵ月後という間隔であってもよい。
ここで、所定のタイミングとなった場合(ステップS901:Yes)は、ステップS903へ移行する。一方、所定のタイミングではない場合(ステップS901:No)は、人工衛星の運行状況に関する情報の更新指示があったか否かを判断する(ステップS902)。更新指示は、使用者による所定の操作によってなされてもよく、また、インターネットなどのネットワークを通じて、更新に関する情報を受信することによってなされてもよい。
ステップS902において、更新指示がない場合(ステップS902:No)は、ステップS901へ戻る。一方、更新指示があった場合(ステップS902:Yes)は、ステップS903へ移行する。このように、所定のタイミングになった場合(ステップS901:Yes)および更新指示があった場合(ステップS902:Yes)に、人工衛星の運行状況に関する情報の更新処理を実行し(ステップS903)、一連の処理を終了する。
(受信開始時刻の決定処理のタイミング)
つぎに、受信開始時刻の決定処理のタイミングについて説明する。受信開始時刻の決定処理は、図8のフローチャートのステップS807(:No)から、図7のフローチャートへ移行することからもわかるように、定刻受信が完了した直後に、つぎの定刻受信の受信開始時刻を決定するようにしてもよく、それよりも以前に、つぎの定刻受信の受信開始時刻を決定しておいてもよい(同ステップS807(:Yes))。
図10は、受信開始時刻の決定処理のタイミングの一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートは、定刻受信がおこなわれる以前に、つぎの定刻受信の受信開始時刻を決定している場合を示している。図10のフローチャートにおいて、ステップS1001において、定刻受信予定日が変更になったか否かを判断する。定刻受信予定日が変更になる場合は、たとえば、図7のフローチャートにおいて示した別処理において、変更した場合、図8のフローチャートにおいて示した別処理において、変更した場合、使用者の操作によって変更された場合などである。
また、ステップS1002において、受信開始時刻決定処理の条件が変更になったか否かを判断する。受信開始時刻決定処理の条件(たとえば上述した決定条件1〜決定条件3などが変更される場合は、たとえば、使用者の操作によって変更された場合などである。衛星信号の受信が所定回数以上失敗した場合に、当該条件を自動的に変更する場合などであってもよい。
また、ステップS1003において、現在地が変更となったか否かを判断する。現在地が変更となったか否かは、たとえば、図8のフローチャートにおいて示したステップS806の処理によって判断することができる。また、使用者の操作によっても判断することができる。
また、ステップS1004において、人工衛星の運行状況に関する情報の更新処理が完了したか否かを判断する。人工衛星の運行状況に関する情報の更新処理が完了したか否かは、たとえば、図9のフローチャートにおいて示したステップS903の処理によって判断することができる。
このように、ステップS1001〜ステップS1004のいずれかの判断において肯定となった場合(ステップS1001:Yes、S1002:Yes、S1003:Yes、S1004:Yesのいずれか)に、受信開始時刻の決定処理を実行し(ステップS1005)、ステップS1001へ戻る。受信開始時刻の決定処理は、図7のフローチャートに示したとおりの処理である。一方、ステップS1001〜ステップS1004のいずれの判断においても否定となった場合(ステップS1001:No、S1002:No、S1003:No、およびS1004:No)には、ステップS1001へ戻り、いずれかのステップにおいて肯定されるまで、ステップS1001〜ステップS1004の各判断処理を繰り返す。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の電子機器を実現する電波修正時計100は、時刻を計時する計時部301と、衛星からの衛星信号を受信する受信部302と、受信部302によって受信された信号に基づいて、時刻を修正する制御部300と、衛星の運行状況に関する情報を記憶する記憶部303と、を備え、制御部300が、記憶部303に記憶されている情報に基づいて、所定の日(たとえば「定刻受信予定日」)において、受信部302が衛星信号の受信を開始する受信開始時刻を決定する。これにより、捕捉できる衛星が刻々と変化する状況下で、それを考慮した受信開始時刻とすることができるため、受信処理の成功率を向上させてより確実に定刻受信をおこなうことができる。これにより、受信処理の成功率を向上させることによって、定刻受信における電力の消費を抑制することができ、電子機器の省電力化を実現することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電子機器を実現する電波修正時計100は、制御部300が、所定の日(たとえば「定刻受信予定日」)において、受信可能な衛星信号を送信する有効衛星が所定個数以上存在する時刻を受信開始時刻とするため、受信開始の際に、捕捉できる衛星を所定数確保することによって、受信処理の成功率を向上させることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電子機器を実現する電波修正時計100は、制御部300は、所定の日(たとえば「定刻受信予定日」)において、受信可能な衛星信号を送信する有効衛星が所定の位置の範囲(たとえば仰角60°以上の範囲)内に所定個数以上存在する時刻を受信開始時刻とするため、受信開始の際に、より確実に捕捉できる衛星を所定数確保することによって、受信処理の成功率をさらに向上させることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電子機器を実現する電波修正時計100は、制御部300が、所定の日(たとえば「定刻受信予定日」)における所定の衛星(特定衛星)の運行状況に基づいて、受信開始時刻を決定するため、各衛星の特徴(たとえば受信の成功のしやすさ)などを考慮することによって、受信処理の成功率をさらに向上させることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の電子機器を実現する電波修正時計100は、さらに、記憶部303に記憶されている情報を更新する情報更新部304を備えるため、より最新で正確な情報を用いて衛星の運行状況を把握することができるため、受信開始の際に、より確実に捕捉できる衛星を所定数確保することによって、受信処理の成功率をさらに向上させることができる。
なお、この発明にかかる実施の形態の電子機器を実現する電波修正時計100では、定刻受信予定日を決定し、その定刻受信予定日における受信開始時刻を衛星の運行状況に基づいて決定することとしたが、これに限定されるものではなく、たとえば、定刻受信予定日に幅を持たせておき(たとえば、「8月の第1週と、第3週」など)受信開始時刻を先に決定し(たとえば、「日中の14時」など)、当該受信開始時刻において衛星の運行状況から、8月の第1週の中から、最適な定刻受信予定日を決定するようにしてもよい。