JP6523833B2 - ゴム補強用短繊維及びこれを配合した伝動ベルト - Google Patents

ゴム補強用短繊維及びこれを配合した伝動ベルト Download PDF

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Description

本発明は、ゴム補強用短繊維、及び該短繊維が所定量配合された短繊維補強ゴムにより構成され、高温、高負荷環境下で使用される伝動ベルトに関する。
自動車の内燃機関等においては、動力伝達のために伝動ベルトが広く使用されている。近年、伝動ベルトは、エンジンのコンパクト化等により、使用環境の高温化や細幅化が進み、高温・高負荷環境下で使用されることが多くなりつつある。
従来、伝動ベルトは、高負荷環境下における耐久性が良好となるように、圧縮ゴムに短繊維等が配合されてきた。ベルトの耐側圧性を高めるため、短繊維の配向効果で比較的高モジュラスのゴムが圧縮ゴムに使用される。以下の特許文献1には、Vベルトの圧縮ゴム層を形成するゴム組成物にアラミド短繊維などを配合することが開示されている。
さらに、圧縮ゴム層が歯付きである歯付きベルトの場合は、高温環境下では、内部発熱量も大きくなるため、熱劣化しやすくなるとともに、歯元部分のゴムや帆布が繰り返し大きく引き伸ばされ、クラックが入り易くなる。以下の特許文献2や3には、耐久性を改善するため、短繊維を含む歯ゴムに接着剤成分を加えることが開示されている。
また、自動車のコンパクト化により動力伝達部もコンパクト化され、さらに小径のプーリーを含むようになり、ベルトの屈曲変形量が一層大きくなり、耐屈曲性の要求が高まっている。
特開2004−125164号公報 特開2013−108564号公報 特開2008−261489号公報
市場の伝動ベルトの耐久性に対する要求レベルは、近年高まってきており、そのため、高強度のゴムや短繊維を使用し、また、接着剤処方をするのみでは、耐久性を要求レベルまで高めることが難しくなってきている。
また、伝動ベルトの圧縮ゴム層を高モジュラスとすると、帆布や短繊維との接着性や、高温下でのゴム強度が低下しやすい傾向にある。さらに、特許文献2又は3に開示されるように、レゾルシンホルマリン樹脂又はメラミン樹脂を接着ゴムに配合すると、接着力を向上させることはできるが、ゴム自体の引裂強度等が低くなり、歯欠けやクラック等が生じやすくなることがある。
かかる技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高温環境下でも、ゴム自体の強度を良好にしつつ、ゴムと各種部材の接着力が良好なままに屈曲発熱を抑え、高負荷・高屈曲・高温環境下で使用されるベルトの耐久性を向上させることができるゴム補強用短繊維、これを所定量配合した短繊維補強ゴム、短繊維補強されたゴムからなる伝動ベルトを提供することである。
本願発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、特定の組成で、特定の粘弾性特性を有する脂環式ポリアミド繊維からなる短繊維を所定量配合した伝動ゴムにより前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]脂環式ポリアミド繊維をカットして成るゴム補強用短繊維であって、該脂環式ポリアミド繊維の動的粘弾性測定において、0℃から140℃の間の損失正接tanδの最大値が0.100以下であるゴム補強用短繊維
[2]前記脂環式ポリアミド繊維の融点が、270℃以上である、前記[1]に記載のゴム補強用短繊維。
[3]前記脂環式ポリアミド繊維の複屈折率が、0.030から0.070である、前記[1]又は[2]に記載のゴム補強用短繊維。
[4]前記ゴム補強用短繊維のカット長が、0.5mm〜10mmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム補強用短繊維。
[5]前記ゴム補強用短繊維の単糸繊度が、0.5dtex〜10dtexである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴム補強用短繊維。
[6]レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)が1重量部〜15重量部付着している、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム補強用短繊維。
]前記脂環式ポリアミド繊維が、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物からなるポリアミドマルチフィラメント繊維であり、かつ、以下の要件:
(a)該ジカルボン酸に対する該脂環族ジカルボン酸の比率が50モル%以上である;
(b)該ポリアミドマルチフィラメント繊維の総繊度が100dtex以上である;及び
(c)該ポリアミドマルチフィラメント繊維のクロス比(最大直径/最小直径)が1.7以下である;
を満たす、前記[1]〜[]のいずれかに記載のゴム補強用短繊維。
]前記ポリアミドマルチフィラメント繊維の硫酸相対粘度が、1.5以上4.0以下である、前記[]に記載のゴム補強用短繊維。
]前記ポリアミドマルチフィラメント繊維が、ジアミン成分として1,10−デカンジアミンを含み、かつ、前記ジアミン成分全体に対する前記1,10−デカンジアミンの比率が20モル%以上である、前記[]又は[]に記載のゴム補強用短繊維。
10]前記ポリアミドマルチフィラメント繊維が、ジアミン成分として炭素数5又は6のジアミンを含み、かつ、前記ジアミン成分全体に対する前記炭素数5又は6のジアミンの比率が20モル%の以上である、前記[]〜[]のいずれかに記載のゴム補強用短繊維。
11]前記炭素数5又は6のジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである、前記[10]に記載のゴム補強用短繊維。
12]前記炭素数5又は6のジアミンが、ヘキサメチレンジアミンである、前記[10]に記載のゴム補強用短繊維。
13]前記[1]〜[12]のいずれかに記載のゴム補強用短繊維が5重量部から80重量部配合された短繊維補強ゴム。
14]前記[13]に記載の短繊維補強ゴムを圧縮層に用いてなる伝動ベルト。
本発明に係る短繊維は、ゴム接着性に優れ、室温から高温まで屈曲エネルギー損失が少ないという特性を有する。したがって、該短繊維をゴムに配合すれば、ゴムの屈曲発熱が少なく耐久性を損なわないゴムとなり、これを伝動ベルトの圧縮ゴム層に用いれば、高負荷・高屈曲・高温環境下での耐久性を向上させた伝動ベルトを提供することができる。
Vリブドベルト断面の斜視図である。 耐熱耐久性ベルト走行試験のプーリーのレイアウト図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態は、脂環式ポリアミド繊維をカットしたゴム補強用短繊維である。
本明細書中、用語「脂環式ポリアミド繊維」とは、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物からなるポリアミドマルチフィラメント繊維をいう。脂環式ポリアミドは高分子骨格が剛直ではなく、柔軟に分子運動する溶融状態から固化し、繊維表面に接着性の官能基であるアミド基や末端基を表出配位することができる。したがって、ゴム接着性に優れ、従来の接着剤処理で十分な接着耐久性が得られる。
以下、本実施形態の脂環式ポリアミド繊維の高分子組成について説明する。
[ジカルボン酸]
本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維は、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物からなるポリアミドマルチフィラメント繊維である。ジカルボン酸に対する脂環族ジカルボン酸の比率は、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、一層好ましくは80モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。脂環族ジカルボン酸由来の構造単位を少なくとも50モル%以上含むことにより、損失正接tanδピークの高温化、繊維強度、紡糸性に優れるポリアミドマルチフィラメント繊維を得ることができる。
脂環族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂環構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸、好ましくは脂環構造の炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、ポリアミドマルチフィラメント繊維の耐熱性、寸法安定性、強度等の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。例えば、原料モノマーとしての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとして、トランス異性体比率、すなわち、トランス体/シス体のモル比は、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、ポリアミドは、高融点、靭性、及び強度に優れる特性をもつだけでなく、高いガラス転移温度と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性とを同時に満足することができる。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス体/シス体のモル比は、液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光法(NMR)により求めることができる。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等の炭素数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
また、ポリアミドの流動性を阻害しない範囲、すなわち、ジカルボン酸に対する芳香族ジカルボン酸の比率が0モル%以上10モル%以下の範囲で、前記ジカルボン酸に芳香族ジカルボン酸を加えてもよい。芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸に対する脂環族ジカルボン酸の比率が少なくとも50モル%以上であれば、所望の作用効果を損なわない限り、前記以外のジカルボン酸を含んでいてもよい。
[ジアミン]
本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維は、紡糸安定性、耐熱性、低吸水性の観点から、ジアミン成分として、1,10−デカメチレンジアミンを含み、ジアミンに対する1,10−デカメチレンジアミンの比率が20モル%以上であることが好ましい。ジアミンに対する1,10−デカメチレンジアミンの比率は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上75モル%以下、よりさらに好ましくは45モル%以上70モル%以下である。
組成により融点が高過ぎる場合、溶融時にポリアミドが熱分解し、分子量や強度の低下、着色、分解ガスの混入が生じて紡糸性が悪化する。しかしながら、1,10−デカメチレンジアミンを20モル%以上80モル%以下含むことにより、損失正接tanδピーク温度を高く維持しながらも溶融紡糸に適した融点に抑えることができる。また、1,10−デカメチレンジアミンを含むポリアミドは溶融時の熱安定性が高いため、紡糸安定性に優れ、均一性の良いマルチフィラメント繊維を得ることができる。また、ポリアミド中のアミド基濃度が低下することにより、吸水時の寸法安定性に優れる糸を得ることができる。さらに、1,10−デカメチレンジアミンは、バイオマス由来の原料であるという観点からも好ましい。
1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとしては、特に限定されず、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等の置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでも、脂環族ジアミンでもよい。
1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロペンタンジアミンが挙げられる。
また、ポリアミドの流動性を阻害しない範囲、すなわち、ジアミンに対する芳香族ジアミンの比率が0モル%以上10モル%以下の範囲で、ジアミンに芳香族ジアミンを加えてもよい。芳香族ジアミンとは、芳香族を含有するジアミンであり、以下に限定されるものではないが、例えば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンが挙げられる。
1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとして、炭素数5〜6のジアミンを含み、炭素数5〜6のジアミンの比率が20モル%以上であるものがより好ましい。1,10−デカメチレンジアミン以外に炭素数5〜6のジアミンを共重合させることで、紡糸に適した適度な融点を維持しつつも、結晶性の高いポリマーを得ることができる。炭素数5〜6のジアミンとしては、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどがある。
炭素数5〜6のジアミンの中でも紡糸性や流動性、強度の観点からは、2−メチルペンタメチレンジアミンが好ましい。2−メチルペンタメチレンジアミンの比率が高すぎると、2−メチルペンタメチレンジアミンが自己環化して、溶融時に分解し、分子量低下を引き起こすため、紡糸性や強度が悪化する。ジアミン中の2−メチルペンタメチレンジアミンの比率としては、流動性を確保しつつも溶融時の分解が起こらない範囲に設定する必要があり、好ましくは20モル%以上70モル%以下、より好ましくは20モル%以上60モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上55モル%以下である。また、炭素数5〜6のジアミンの中でも、ポリアミドマルチフィラメント繊維の耐熱性の観点からは、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。ヘキサメチレンジアミンの比率が高すぎると、融点が高くなりすぎて、紡糸が困難になるため、ジアミン中のヘキサメチレンジアミンの比率として、好ましくは20モル%以上60モル%以下、より好ましくは20モル%以上50モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上45モル%以下である。
ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量は、高分子量化のため、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1.00に対して、ジアミン全体のモル量は、0.90〜1.20であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
[ラクタム及び/又はアミノカルボン酸]
本実施形態のゴム補強に用いるポリアミドマルチフィラメント繊維は、所望の作用効果を損なわない範囲で、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸由来の成分を含んでいてもよい。
前記ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム(ドデカノラクタム)が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸が挙げられる。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸由来の成分比率については、特に限定されるものではないが、原料モノマー成分由来の構造単位に対するラクタム及び/又はアミノカルボン酸成分由来の比率が、0モル%以上20モル%以下含まれていてもよく、より好ましくは2モル%以上15モル%以下である。ラクタム及び/又はアミノカルボン酸成分由来の比率が0モル%以上20モル%以下であることにより、耐熱性、紡糸性、強度に優れるポリアミドマルチフィラメント繊維とすることができる。
[末端封止剤]
ジカルボン酸とジアミンからポリアミドを重合する際には、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などが挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、モノアミンが好ましい。末端封止剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;が挙げられる。
末端封止剤としてのモノカルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミンなどの芳香族モノアミン;が挙げられる。末端封止剤としてのモノアミンは、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[添加剤]
高温、高湿の環境下での熱安定性のためには、ポリアミドに対して銅濃度が1〜500ppmとなるように銅化合物を添加するのが好ましく、より好ましくは30〜500ppmである。そうすることで、本発明品が高温、高湿の環境下に長時間置かれたり、オゾンが多く含まれる環境下に長期間暴露されたとしても、機械的性能の低下が極めて有効に抑制される。前記銅含有率が30ppm未満では耐熱強度保持率が低下し、500ppmを超える添加量では強度が低下する。
銅化合物としては、その種類は特に制限されず、例えば、酢酸銅などの有機銅塩、あるいは塩化第一銅、塩化第二銅などのハロゲン化銅などを好ましく用いることができる。銅化合物は、金属ハロゲン化合物と併用することがより好ましい。金属ハロゲン化合物としては、例えば、沃化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。本実施形態における好ましい組み合わせは、沃化第一銅と沃化カリウム、及び酢酸銅と沃化カリウムである。尚、ポリアミド中の銅含有量は、原子吸光法や比色法などにより測定することができる。
特に制限されないが、安定剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの有機系酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤等を添加してもよい。添加量は適切な量を選択すればよいが、ポリアミドに対して1〜1000ppm添加することができる。これら添加剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いてもよい。
[重合度]
強伸度などの機械物性や紡糸性などの観点から、ポリアミドマルチフィラメント繊維の、JIS−K6810に従って測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の硫酸相対粘度(ηr)は、1.5以上4.0以下であり、好ましくは1.7以上3.5以下であり、より好ましくは1.8以上3.3以下である。ηrが1.5以上であれば機械物性が安定な繊維が得られやすく、ゴム補強効果が均一化しやすい。また、ηrが4.0以下であれば単糸繊度が均一な繊維が得られやすく、ゴム補強効果が安定化する。重合ポリマーの水分率に注意し、熔融中に解重合しないようにすれば、重合ポリマーの持つ重合度を概ね維持して繊維化することが可能である。
[動的粘弾性]
本実施形態の脂環式ポリアミド繊維は、動的粘弾性の評価において、0℃から140℃の間の損失正接tanδの最大値であるMAXtanδ(0/140)が0.100以下であることが好ましい。より好ましくは、0.080以下であり、さらに好ましくは0.050以下である。損失正接tanδの値が0℃から140℃の全域で0.100以下であれば、常温から高温のベルト稼働域において短繊維配合ゴムの損失正接tanδが低く、ゴム発熱が抑制される。このため、高温までの屈曲耐久性が改善される。したがって、常温稼働に対する高温稼働のベルト走行寿命低下が抑制される。
脂環式ポリアミド繊維を溶融紡糸にて得て、分子鎖の柔軟性を有するため、MAXtanδ(0/140)は、0.005以上であることが好ましい。
脂環式ポリアミド繊維のMAXtanδ(0/140)は、上述したように、組成の構成によって損失正接tanδピークを高温化して、tanδピークの低温側のすそ野の値を下げるなどの高分子組成の設計により、下げることができる。
本実施形態の脂環式ポリアミド繊維は、融点が270℃以上であることが好ましい。損失正接tanδピークを高温化した高分子設計においては、高分子の融点も高くなる傾向がある。繊維の融点が270℃以上であれば、MAXtanδ(0/140)を下げることに寄与する。他方、脂環式ポリアミド繊維の融点は、350℃以下が好ましい。溶融紡糸で柔軟な脂環式ポリアミド繊維を安定的に得ることから、高分子の融点を反映した繊維の溶融温度も低いものとなってくる。
さらに、脂環式ポリアミドを繊維化する際に、十分な熱延伸配向によって損失正接tanδピークを高温化することが好ましい。
本実施形態の脂環式ポリアミド繊維の複屈折率(Δn)は0.030から0.070であることが好ましい。複屈折率が0.030以上に高配向することで、損失正接tanδピークを高温化し、MAXtanδ(0/140)を下げることに寄与する。他方、脂環式ポリアミド繊維は、高分子の単位構成から、複屈折率は0.070以下で得られる。
以下、本実施形態の脂環式ポリアミドの繊維化について説明する。
[脂環式ポリアミド繊維]
脂環式ポリアミドフィラメント繊維の製造方法としては、様々な方法を用いることができるが、通常は溶融紡糸が用いられ、スクリュー型の溶融押出機を用いて行うことが好ましい。ポリアミドの紡糸温度(溶融温度)は300℃以上360℃以下であることが好ましい。300℃以上あれば、熱量不足による未溶解物の混入を抑制することができる。360℃以下であると、ポリマーの熱分解や分解ガスの発生を大幅に低減し、紡糸性が向上する。
熱溶融後は金属不織布フィルターを組み込んだ紡糸パック中を通過させ、紡口と呼ばれる口金細孔ノズルを通して吐出する。この際のノズルのホール数でマルチフィラメント繊維のフィラメント数が決まる。
吐出糸条は冷風を当てることにより、急冷固化される。次いで、仕上剤が付与される。仕上剤は、鉱物油で希釈した非水系仕上剤、又は仕上剤濃度が15〜35重量%の水分散系エマルジョンが付与される。繊維に付着させる仕上剤の付着量は、巻き取った繊維に対し0.5〜2.5重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%である。
延伸工程では、加熱浴、加熱蒸気吹付け、ローラーヒーター、接触式プレートヒーター、非接触式プレートヒーター等を使用することができるが、生産性の観点からローラーヒーターが好ましい。また、本実施形態の延伸では、冷延伸と熱延伸の工程を含む2段以上の多段熱延伸を行うことが好ましい。特に繊維強度を発現させるためには、冷延伸温度、熱延伸温度、冷延伸倍率と熱延伸倍率の比率が重要となる。
冷延伸は熱延伸をさせる前に繊維配向を適度に揃えるための予備延伸の役割を果たす。本実施形態のポリアミド樹脂は高いTgを有しているため、冷延伸温度も(Tg−30℃)以上Tg以下の高い温度が必要となる。(Tg−30℃)以上であることで、延伸斑なく、均一に配向して、良好な強度が得られる。Tg以下であることで結晶化が過剰に進むことを抑制できる。また、延伸による一軸配向においては、ネック点と呼ばれる急激に径が小さくなり、配向が進む箇所が存在するが、冷延伸温度がTg以下であることで、ネック点が安定して、マルチフィラメントにおいて均一な繊維を得ることができる。
本実施形態のポリアミド樹脂は高いTgを有しているため、延伸の際に熱量不足や熱量多過による延伸斑や過剰な熱結晶化が生じやすい。そのため、高延伸するためには、冷延伸倍率と熱延伸倍率の配分が非常に重要である。冷延伸倍率の配分は総合延伸倍率の50%以上80%以下が好ましい。冷延伸倍率の配分が総合延伸倍率の50%以上であると、繊維に必要な予備延伸が与えられ、延伸斑なく均一な繊維を得ることができる。また、熱延伸での過剰な結晶化を抑えることができる。他方、冷延伸倍率の配分が総合延伸倍率の80%以下であると熱延伸にて結晶化に必要な熱量が与えられて、優れた強度を得ることができる。
熱延伸温度は200℃以上250℃以下が好ましい。200℃以上であると、結晶化に必要な熱量が与えることができ、他方、250℃よりも低いと、繊維の熱劣化を抑制することができる。総合延伸倍率は2.0〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。十分な延伸を実施すれば、結晶配向、分子鎖配向により損失正接tanδピークを高温化することに寄与する。
[短繊維]
本実施形態の脂環式ポリアミド繊維は、連続紡糸工程で製造された単糸(フィラメント)の束からなる長繊維を定長でカットして得ることが好ましい。短繊維の繊維長が一定で、短繊維の繊維長や繊維径が一定であることにより、ゴムに配向配合した際にゴム特性の異方性形成によく活かされる。
本実施形態の脂環式ポリアミド繊維中のフィラメントのクロス比(最大直径/最小直径)は1.7以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以下である。短繊維の繊維径が一定であることがゴム配向配合の効果を高める。
本実施形態の脂環式ポリアミド繊維の総繊度は100dtex以上であることが好ましい。できるだけ太い繊度で一斉カットするほうが、短繊維の繊維長や繊維径が一定であることに寄与する。
本実施形態の短繊維の単糸繊度は0.5〜10dtexであることが好ましく、より好ましくは1〜6.5dtexである。単糸繊度が1dtex以上であれば、短繊維の腰の強さでゴム中の良好な分散に寄与し、単糸繊度が10dtex以下であれば、ゴムの柔軟性を阻害しにくい。
短繊維の単糸の断面形状は丸断面が好ましい。単糸の断面形状が丸断面であれば、ベルトの摺動面に直角に配向した単糸がその断面において自身の変形によって摩擦係数が変動することが抑制される。単糸の断面形状は、外形の外接長方形の長径(最長間隔)の短径(最短間隔)に対する比からなる扁平度で1.00から1.05が好ましい。
本実施形態の短繊維の繊維長は0.5〜10mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは1〜5mm、より一層好ましくは1〜4mmである。短繊維の切断長さは、10mm以下であれば、繊維同志が絡み合いにくく、ゴム中での配向性が良好であり、動力伝動ベルトの可撓性を損なうことにはならない。他方、0.5mm以上では、動力伝動ベルトのゴム製摩擦伝動部の補強効果が有効となり、ベルト走行トラブルがなくなる。
本実施形態の接着剤処理は、前記合成繊維とゴムとが接着するための樹脂を含浸させる処理であり、例えば、RFL(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス)処理が挙げられる。接着剤処理工程では熱が加えられ、繊維と接着剤との間の接着力が発達するとともに、繊維自身も熱安定化される。
RFL液は、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスを混合した処理液である。この場合、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は3/1〜1/3にすることが接着力を高める上で好適である。また、RFL液の固形分付着量が1〜10重量%であることがRFL液による接着力の効果を高める上で好ましい。1/1を超えると、短繊維の凝集力が大きくなって分散性が悪くなり、逆に1/5未満になると、ゴムと短繊維との接着力が低下し、引張強さも低下する恐れがある。更に、RFL液の固形分付着量が15重量以下であれば、処理液の固まりで短繊維のフィラメント同士が分割しにくくなることが避けられる。より好ましくは10重量%以下である。他方、1重量以上ではRFL液による分散性、接着性向上の効果が期待できる。RFL液の固形分付着量はより好ましくは3重量%以上である。
ゴムラテックスとしては、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等のラテックスが挙げられる。
尚、接着処理を施す際の処理液の温度は5〜40°Cに調節し、また、浸漬時間は0.5〜30秒であり、200〜250°Cに調節したオーブンに1〜3分間通して熱処理されることが望ましい。また、RFL処理の前にプレディップ処理を施したり、RFL処理の後にオーバーコート処理することも可能である。
本実施形態のゴム補強用短繊維は、マルチフィラメントの繊維が接着剤処理された後に、切断されて短繊維とされたものが好ましい。
本実施形態の短繊維への接着剤付着量は1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜10質量%、さらに好ましくは、2〜5質量%である。接着剤付着量が1質量%以上であれば、短繊維のゴムへの接着が均一で良好であることに寄与し、接着剤付着量が10質量%以下であれば、短繊維が接着剤で固まった塊にならずゴム中に単糸にバラけて分散することに寄与する。
2段階以上で接着剤付与する際は、初段の接着剤が、引き続く段階での接着剤の浸透を妨げてしまうことに注意する必要がある。また、それを補うために前段又は後段を通じて接着剤を過剰付着させるようになることは避けた方がよい。
[短繊維補強ゴム]
本実施形態の短繊維補強ゴムは、前記のゴム補強用短繊維がゴム成分100質量部に対して5〜80質量部配合したものである。より好ましくは10〜40質量部であり、さらに好ましくは20〜30質量部である。本実施形態以外の他の短繊維を混用してもよい。
図1に示すように、短繊維補強ゴムを圧縮ゴム層11に用いることが好ましい。また、短繊維16は、ベルト幅方向に配向するように配設されていることが好ましい。短繊維16には、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)に浸漬した後に加熱する接着処理が施されていてもよく、また、かかる接着処理が施されていなくてもよい。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDM、EPRなど)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。これらのうちエチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましく、中でもEPDMが好ましい。ゴム成分は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種がブレンドされて構成されていてもよい。
[配合剤]
配合剤としては、補強剤、充填剤、老化防止剤、軟化剤、架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等が挙げられる。
補強剤としては、例えば、カーボンブラックやシリカが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラックが挙げられる。補強剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。補強剤の配合量は、耐摩耗性及び耐屈曲性のバランスが良好となるという観点から、好ましくはゴム成分100質量部に対して30〜80質量部であり、より好ましくは40〜70質量部であり、さらに好ましくは50〜70質量部である。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、ベントナイトを含む層状珪酸塩などの無機充填剤等が挙げられる。層状珪酸塩としては、スメクタイト族、バーミュライト族、カオリン族が挙げられる。スメクタイト族としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等が挙げられる。バーミュライト族としては、例えば、3八面体型バーミュライト、2八面体型バーミュライト等が挙げられる。カオリン族としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、リザーダイト、アメサイト、クリソタイル等が挙げられる。これらのうちスメクタイト族のモンモリロナイトが好ましい。充填剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。充填剤の配合量は、好ましくはゴム成分100質量部に対して10〜70質量部であり、より好ましくは20〜60質量部であり、さらに好ましくは25〜35質量部である。補強剤及び充填材を合わせた配合量は、好ましくはゴム成分100質量部に対して40〜150質量部であり、より好ましくは55〜115質量部であり、さらに好ましくは70〜80質量部である。
老化防止剤としては、アミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、フェノール系、亜リン酸エステル系のものが挙げられる。老化防止剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。老化防止剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0〜8質量部である。
軟化剤としては、例えば、パラフィン系オイルなどの鉱物油系軟化剤、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落下生油、木ろう、ロジン、パインオイルなどの植物油系軟化剤、石油系軟化剤が挙げられる。軟化剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。軟化剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、2〜30質量部である。
架橋剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物が挙げられる。架橋剤として、硫黄を用いたものでもよく、また、有機過酸化物を用いたものでもよく、さらには、それらの両方を併用したものでもよい。架橋剤の配合量は、硫黄の場合、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5〜4.0質量部であり、有機過酸化物の場合、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5〜8質量部である。
加硫促進剤としては、例えば、チウラム系(例えば、TETなど)、ジチオカルバメート系(例えば、EZなど)、スルフェンアミド系(例えば、MSAなど)のものが挙げられる。加硫促進剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、2〜10質量部である。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化マグネシウムや酸化亜鉛(亜鉛華)などの金属酸化物、金属炭酸塩、ステアリン酸などの脂肪酸又はその誘導体が挙げられる。加硫促進助剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。加硫促進助剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5〜8質量部である。
図1示すように、短繊維16は、プーリー接触部分を構成する圧縮ゴム層11のVリブ15の表面から突出するように配設されている。短繊維16の突出長さは、好ましくは0.01〜5mmであり、より好ましくは0.05〜2mmである。短繊維が配合されたゴム組成物を研削すれば、それらの短繊維16が表面から突出した形態が得られる。
圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物には、その他に界面活性剤等が配合されていてもよい。
[ベルト構成]
図1に示すように、接着ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが例えば、1.0〜2.5mmである。背面ゴム層13も、断面横長矩形の帯状に構成されており、厚さが、例えば、0.4〜0.8mmである。背面ゴム層13の表面は、ベルト背面が接触する平プーリーとの間で生じる音を抑制する観点から、織布の布目が転写された形態に形成されていることが好ましい。接着ゴム層12及び背面ゴム層13は、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたゴム組成物で形成されている。背面ゴム層13は、ベルト背面が接触する平プーリーとの接触で粘着が生じるのを抑制する観点から、接着ゴム層12よりも硬めのゴム組成物で形成されていることが好ましい。なお、圧縮ゴム層11と接着ゴム層12とでVリブドベルト本体Bを構成し、背面ゴム層13の代わりに、例えば、綿、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の糸で形成された織布、編物、不織布等で構成された補強布が設けられた構成であってもよい。
接着ゴム層12及び背面ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDM、EPRなど)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。接着ゴム層12及び背面ゴム層13のゴム成分は圧縮ゴム層11のゴム成分と同一であることが好ましい。配合剤としては、圧縮ゴム層11と同様、例えば、補強剤、充填剤、老化防止剤、軟化剤、架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等が挙げられる。接着ゴム層12及び背面ゴム層13を形成するゴム組成物には、短繊維が配合されていてもよく、また、短繊維が配合されていなくてもよい。
圧縮ゴム層11、接着ゴム層12、及び背面ゴム層13は、別配合のゴム組成物で形成されていてもよく、また、同じ配合のゴム組成物で形成されていてもよい。
心線14は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線14は、Vリブドベルト本体Bに対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
[ベルト構成]
脂環式ポリアミド繊維を短繊維としたものをゴムに配合し、該短繊維補強ゴムを、伝動ベルトの圧縮ゴム層に用いることが好ましい。
以下、伝動ベルトの例としてVリブドベルトの例を述べる。
図1は、VリブドベルトB(摩擦伝動ベルト)を示す。このようなVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動ベルト伝動装置等に用いられる。VリブドベルトBは、例えば、ベルト周長が700〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜5.0mmであることができる。
VリブドベルトBは、ベルト内周側のプーリー接触部分を構成する圧縮ゴム層11と中間の接着ゴム層12とベルト外周側の背面ゴム層13との三重層に構成されたVリブドベルト本体Bを備えており、接着ゴム層12には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
圧縮ゴム層11は、プーリー接触部分を構成しており、複数のVリブ15がベルト内周側に垂下するように設けられている。複数のVリブ15は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共にベルト幅方向に並設されている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが2.0〜3.0mm、及び基端間の幅が1.0〜3.6mmであることができる。リブ数は、例えば、3〜6個であることができる(図1では3個である)。圧縮ゴム層11は、ゴム成分に種々の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋剤により架橋させたゴム組成物で形成されている。
[Vリブベルトの製造]
次に、VリブドベルトBの製造方法の一例について説明する。
VリブドベルトBの製造において、まず、ゴム成分に短繊維16を含む各配合物を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシート(ベルト形成用の未架橋ゴム組成物)を作製する。この圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシートは、その長さ方向に短繊維16が配向したものとなる。同様に、接着ゴム層12用及び背面ゴム層13用の未架橋ゴムシートも作製する。また、心線14となる撚り糸をRFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理を行い、必要に応じて、撚り糸をゴム糊に浸漬して加熱乾燥する接着処理を行う。
次いで、円筒型の外周面に、背面ゴム層13用の未架橋ゴムシート、及び接着ゴム層12用の未架橋ゴムシートを順に巻き付けて積層し、その上から心線14用の撚り糸を円筒型に対して螺旋状に巻き付け、さらにその上から接着ゴム層12用の未架橋ゴムシート及び圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシートを順に巻き付けて積層することによりベルト形成用成形体を成形する。なお、圧縮ゴム層11の短繊維16がベルト幅方向に配向した構成とする場合、圧縮ゴム層11用の未架橋ゴムシートを、短繊維16の配向方向が円筒型の軸方向に一致するように配置すればよい。
次いで、ベルト形成用成形体にゴムスリーブを被せ、それを加硫缶内に配置して密閉すると共に、加硫缶内に高温及び高圧の蒸気を充填し、その状態を所定時間だけ保持する。このとき、未架橋ゴムシートの架橋が進行して一体化すると共に撚り糸と複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。ベルトスラブSの成型温度は、例えば、100〜180℃、成型圧力は、例えば、0.5〜2.0MPa、成型時間は、例えば、10〜60分である。
次いで、加硫缶内から蒸気を排出して密閉を解き、円筒型上に成型されたベルトスラブSを取り出す。
次いで、ベルトスラブSを一対のスラブ懸架軸間に掛け渡すと共に、ベルトスラブSの外周面に対し、周方向に延びるVリブ形状溝が外周面の軸方向に連設された研削砥石を回転させながら当接させ、また、ベルトスラブSも一対のスラブ懸架軸間で回転させることにより、その外周面を全周に渡って研削する。このとき、ベルトスラブSの外周面にはVリブ15が形成され、また、そのVリブ15の表面から短繊維16が突出した形態が得られる。なお、ベルトスラブSは、必要に応じて長さ方向に分割して研削を行ってもよい。
そして、研削によりVリブ15を形成したベルトスラブSを所定幅に幅切りして表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ポリアミドマルチフィラメントの作製]
<作製例1>
原料モノマーの重量を1500gとし、以下の表1の組成比になるように、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸831g(4.83モル)、1,10−デカメチレンジアミン416g(2.41モル)、及び2−メチルペンタメチレンジアミン280g(2.41モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この均一水溶液に、ジアミン追添量が等モル量に対して2.1%となるように1,10−デカメチレンジアミン17.0g(0.10モル、全ジアミンに対して2.1%)を追添し、さらに、重合後のポリマー重量に対して、銅濃度が170ppm、ヨウ素濃度が0.68%となるようにヨウ化カリウムとヨウ化銅を加えて水溶液を得た。
得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cmになるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。
槽内の圧力を約2.5kg/cmに保つため、水を系外に除去しながら加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cmになるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cmに保つため水を系外に除去しながら、最終温度−30℃になるまで加熱を続けた。液温が最終温度−30℃(ここでは290℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm)になるまで60分かけながら降圧した。その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約320℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で100torrの減圧下に10分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出してポリアミドを得た。得られたポリアミドを、真空乾燥機で乾燥し、水分率を500ppmに調整した。
乾燥した状態のポリアミドを、溶融紡糸装置(口金細孔ノズル:孔数72、孔径0.23mm、外径130mm)を用いて、紡糸温度320℃、紡口ヒーター温度320℃、加熱筒温度120℃(加熱筒長150mm、内径170mm)の条件で紡糸した。その後、0.9m/sの冷風速度で冷却後、巻き取った繊維に対して1.0重量%で仕上剤を付着した。次に、冷延伸温度138℃で総合延伸倍率の65%延伸し、さらに熱延伸温度220℃で延伸した。延伸後、交絡付与装置により交絡を8回/m付与して、巻取機で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント繊維Aを得た。繊維の融点は280℃であり、繊度238dtex、フィラメント数72本で引張強度は8.6cN/dtexであった。
この繊維のMAXtanδ(0/140)は低いものであった。
得られた繊維の評価結果を以下の表2に示す。
<作製例2>
原料モノマーの重量を1500gとし、以下の表1の組成比になるように、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸816g(4.74モル)、1,10−デカメチレンジアミン490g(2.84モル)、及び1,5−ペンタメチレンジアミン194g(1.90モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この均一水溶液に、ジアミン追添量が等モル量に対して2.1%となるように1,10−デカメチレンジアミン17.0g(0.10モル、全ジアミンに対して2.1%)を追添し、さらに重合後のポリマー重量に対して、銅濃度が170ppm、ヨウ素濃度が0.68%となるようにヨウ化カリウムとヨウ化銅を加えて水溶液を得た。次いで、作製例1と同様にポリアミドの合成・乾燥を行った。得られたポリアミドに対して、紡糸温度330℃、紡口ヒーター温度330℃、冷延伸温度134℃とした以外は、作製例1と同様に紡糸・仕上剤付着・延伸・交絡付与を行い、ポリアミドマルチフィラメント繊維Bを得た。ポリアミドマルチフィラメント繊維Bの融点は292℃であり、繊度238dtex、フィラメント数72本で引張強度は8.6cN/dtexであった。
この繊維のMAXtanδ(0/140)は低いものであった。
Figure 0006523833
(実施例、比較例で用いた短繊維の調製)
前記作製例1と2で得た各繊維をRFL液に浸漬し、220℃で1分間加熱し、DIP処理した。これを切断して短繊維を得、それぞれ、以下の実施例1と2で用いた。RFL組成は、レゾルシン/ホルマリン/ビニルピリジンラテックスを水酸化ナトリウムで熟成し、RF/L=1/2の固形重量比となる組成液とした。以下の実施例3では、実施例2で用いた短繊維において切断長を変えたものを用いた。
また、以下の比較例1では、ポリアミド66の235dtex/72フィラメントで、引張強度が8.5cN/dtexを有するものから、実施例1と同様にして得た短繊維を用いた。さらに、以下の比較例2では、アラミド繊維で、繊度が220dtex、フィラメント数が134本、引張強度が20.3cN/dtexを用い、実施例1と同様にして得た短繊維を用いた。
(Vリブドベルト)
以下の実施例1〜3及び比較例1、2のVリブドベルトを作製した。
(圧縮ゴム層)
圧縮ゴム層用の未架橋ゴムシート、
EPDM(三井化学社製 商品名:EPT3045);ゴム成分100質量部、
HAFカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シーストSO)60質量部、
ベンズイミダゾール系老化防止剤(大内新興化学社製 商品名:ノクラックMB)2質量部、
軟化剤としてのパラフィン系オイル(出光興産社製 商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90)10質量部、
硫黄2.3質量部、
加硫促進剤−混合系(チウラム系/ジチオカルバメート系/チアゾール系);(三新化学社製 商品名:サンセラーEM−2)1.4質量部、
加硫促進助剤としての酸化亜鉛、及び
脂環式ポリアミド短繊維25質量部、
を配合したものをバンバリーミキサーで混練後、カレンダロールで圧延したものを準備した。
同様に、接着ゴム層用及び背面ゴム層用のEPDMゴム組成物の未架橋ゴムシートを準備した。また、RFL水溶液による接着処理を施した心線用のポリエステル繊維の撚り糸を準備した。
そして、前記した方法により、短繊維が配合されたEPDMゴム組成物で圧縮ゴム層が形成されたVリブドベルトを作製した。
このVリブドベルトは、ベルト周長が1200mm及びベルト厚さが4.3mmであり、リブ数が3個のベルト幅が10.68mmのものであった。
(耐熱耐久性試験)
図2に、耐熱耐久性試験用ベルト走行試験機70のプーリーレイアウトを示す。
この耐熱耐久性評価用ベルト走行試験機70は、プーリー径が120mmのリブプーリーである駆動プーリー71と、その駆動プーリー71の上方に設けられたプーリー径が120mmのリブプーリーである第1従動プーリー72と、それらの駆動プーリー71及び第1従動プーリー72の上下方向中間に設けられたプーリー径が45mmの平プーリーであるアイドラプーリー73と、そのアイドラプーリー73の右方に設けられたプーリー径が45mmのリブプーリーである第2従動プーリー74とを備えている。そして、この耐熱耐久性試験用ベルト走行試験機70は、VリブドベルトBのVリブ側がリブプーリーである駆動プーリー71、第1及び第2従動プーリー72,74に接触すると共に背面側が平プーリーであるアイドラプーリー73に接触して巻き掛けられるように構成されている。なお、アイドラプーリー73及び第2従動プーリー74のそれぞれはVリブドベルトBの巻き掛け角度が80°となるように位置付けられている。
実施例1〜3及び比較例1、2のそれぞれのリブ数3個のものについて、上記耐熱耐久性試験用ベルト走行試験機70にセットし、ベルト張力が負荷されるように第2従動プーリー74に側方に834Nのオートテンショナーで負荷すると共に、第1従動プーリー72に11.8kWの回転負荷を与え、雰囲気温度130℃の下、駆動プーリー71を4900rpmの回転数で回転させてベルト走行させた。20時間後に圧縮ゴム層の温度(伝面温度)を、非接触温度計を計測した。
また、同様の条件で雰囲気温度を30℃と130℃として、VリブドベルトBの圧縮ゴム層にクラックが発生し、それが心線に達するまでの走行時間を測定し比較した。雰囲気温度130℃の走行寿命の雰囲気温度30℃の走行寿命に対する百分率を高温変化率(%)として得た。
さらに、Vリブドベルトを150℃の雰囲気に5時間曝し、次いで、雰囲気温度130℃の走行寿命を測定した。この高温暴露後の雰囲気温度130℃の走行寿命の高温暴露前の雰囲気温度130℃の走行寿命(上述)に対する百分率を熱後保持率(%)として得た。
以下の表2に、用いた短繊維の特性等とともに、伝面温度、高温変化率、熱後保持率を示す。
Figure 0006523833
表2から分かるように、実施例1〜3では、ベルトの伝面温度上昇が少なく、エネルギーロスが少なかった。また、高温変化率は100%からの低下が少なく、高温での走行寿命は良好であった。熱暴露後の走行寿命も維持され良好であった。
これに反し、比較例1では、ベルトの伝面温度上昇が大きく、エネルギーロスが多く、疲労性にも影響していた。また、高温変化率は悪く、疲労が進んで耐久性の低下が大きかった。ただし、熱暴露後の高温走行寿命はそれほど変わらなかった。
また、比較例2ではベルトの伝面温度上昇が少なく、エネルギーロスが少なかった。また、高温での走行寿命は良好であった。しかしながら、熱暴露後の高温走行寿命は著しく低下した。アラミド繊維とゴムとの間の接着性の悪さが顕在化したと推定される。
本発明に係る短繊維は、ゴム接着性に優れ、室温から高温まで屈曲エネルギー損失が少ないという特性を有する。したがって、該短繊維をゴムに配合すれば、ゴムの屈曲発熱が少なく耐久性を損なわないゴムとなり、これを伝動ベルトの圧縮層に用いれば、高負荷・高屈曲・高温環境下での耐久性を向上させた伝動ベルトを提供することができる。
11:圧縮ゴム層
12:接着ゴム層
13:背面ゴム層
14:心線
15:Vリブ
16:短繊維
70:耐熱耐久性試験用ベルト走行試験機
71:駆動プーリー
72:第1従動プーリー(リブプーリー)
73:アイドラプーリー(平プーリー)
74:第2従動プーリー(リブプーリー)
B:Vリブベルト

Claims (14)

  1. 脂環式ポリアミド繊維をカットして成るゴム補強用短繊維であって、該脂環式ポリアミド繊維の動的粘弾性測定において、0℃から140℃の間の損失正接tanδの最大値が0.100以下であるゴム補強用短繊維
  2. 前記脂環式ポリアミド繊維の融点が、270℃以上である、請求項1に記載のゴム補強用短繊維。
  3. 前記脂環式ポリアミド繊維の複屈折率が、0.030から0.070である、請求項1又は2に記載のゴム補強用短繊維。
  4. 前記ゴム補強用短繊維のカット長が、0.5mm〜10mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム補強用短繊維。
  5. 前記ゴム補強用短繊維の単糸繊度が、0.5dtex〜10dtexである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム補強用短繊維。
  6. レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)が1重量部〜15重量部付着している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム補強用短繊維。
  7. 前記脂環式ポリアミド繊維が、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物からなるポリアミドマルチフィラメント繊維であり、かつ、以下の要件:
    (a)該ジカルボン酸に対する該脂環族ジカルボン酸の比率が50モル%以上である;
    (b)該ポリアミドマルチフィラメント繊維の総繊度が100dtex以上である;及び
    (c)該ポリアミドマルチフィラメント繊維のクロス比(最大直径/最小直径)が1.7以下である;
    を満たす、請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム補強用短繊維。
  8. 前記ポリアミドマルチフィラメント繊維の硫酸相対粘度が、1.5以上4.0以下である、請求項に記載のゴム補強用短繊維。
  9. 前記ポリアミドマルチフィラメント繊維が、ジアミン成分として1,10−デカンジアミンを含み、かつ、前記ジアミン成分全体に対する前記1,10−デカンジアミンの比率が20モル%以上である、請求項又はに記載のゴム補強用短繊維。
  10. 前記ポリアミドマルチフィラメント繊維が、ジアミン成分として炭素数5又は6のジアミンを含み、かつ、前記ジアミン成分全体に対する前記炭素数5又は6のジアミンの比率が20モル%の以上である、請求項のいずれか1項に記載のゴム補強用短繊維。
  11. 前記炭素数5又は6のジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである、請求項10に記載のゴム補強用短繊維。
  12. 前記炭素数5又は6のジアミンが、ヘキサメチレンジアミンである、請求項10に記載のゴム補強用短繊維。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のゴム補強用短繊維が5重量部から80重量部配合された短繊維補強ゴム。
  14. 請求項13に記載の短繊維補強ゴムを圧縮層に用いてなる伝動ベルト。
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