JP6523083B2 - ラケットの性能調整構造及びラケット - Google Patents

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Description

本発明は、フレーム等に樹脂材を取り付けてラケットとしての性能を調整することができるラケットの性能調整構造及びラケットに関する。
バドミントンやテニス、スカッシュ等のラケットスポーツにあっては、プレーヤがラケットをスイングしてボール(或いはシャトル)を打撃することによってプレーされる。ラケットは、プレーヤが把持するグリップと、このグリップが一端側に設けられたシャフトと、シャフトの他端側に設けられてループ状に形成されたフレームとを備えている。
特許文献1のラケットでは、アルミニウム合金パイプを曲げて環状のフレームを形成し、当該フレームの一部に凹区域を設けている。凹区域には、フレームの捻れ回避等を図るべくプラスチックが固着され、このプラスチックは、凹区域を囲うように配置された型内にプラスチック原料を所定温度及び圧力下で注入することによって成形される。
特開平6−79019号公報
特許文献1のラケットにあっては、フレームがパイプによって形成されるので中空形状となり、凹区域も同様に中空形状となる。このため、加熱されたプラスチック原料が注入されると、凹区域が高温となって変形する可能性が高くなる。特に、近時のラケットにおいては、繊維強化樹脂を中空状に形成したフレームが多く、特許文献1のようにプラスチック原料を用いた成形ではフレームが熱によって軟化するために変形がより大きくなる。
ところで、フレームに対して上述したプラスチックを設ける場合、上述した成形の他に、接着や嵌合構造による取り付け態様が考えられる。ところが、かかる取り付け態様では、接着等のために体積や重量が増加するため、空気抵抗や重量バランス等の性能について要求や条件が厳しいラケットに適用することが困難となる。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、成形によってフレームが変形しないように樹脂材を一体化することができるラケットの性能調整構造及びラケットを提供することを目的とする。
本発明のラケットの性能調整構造は、フレーム及びシャフトを備えたラケットの前記フレームを少なくとも含む被調整領域に性能調整部を設けたラケットの性能調整構造において、前記フレーム及び前記シャフトは、中空体によって形成され、前記被調整領域は隣接する領域に対して凹んで形成され、且つ、前記被調整領域を形成する前記中空体の内部に中実部材が設けられ、前記性能調整部は、前記被調整領域の凹んだ部分に成形によって熱可塑性樹脂設けて形成され、当該熱可塑性樹脂は、前記被調整領域の内周面に対し射出成形によって固着され、当該被調整領域と前記性能調整部とが一体化されることを特徴とする。
この構成によれば、被調整領域の内部に中実部材が設けられるので、性能調整部の樹脂材を成形しても、中実部材で中空体となる被調整領域が補強され、被調整領域の変形を防止することができる。しかも、成形によって被調整領域に性能調整部を一体化させることができ、接着や嵌合による取り付け態様に比べ、体積や重量の増加を抑制することができる。これにより、体積や重量の増加に起因する性能低下を回避できるばかりでなく、性能調整部を設けたことによってラケットの性能を調整したり性能向上を図ることができる。また、上述した樹脂が軟質になる場合、性能調整部に伝播する振動を良好に減衰することができる。
また、本発明のラケットの性能調整構造において、前記性能調整部の表面は、前記被調整領域に隣接する領域の表面より凹んだ位置或いは当該隣接する領域の表面からはみ出さない位置に形成されているとよい。この構成によれば、通常のラケットに比べても性能調整部に起因する体積や重量の増加を抑制できる他、性能調整部の外観上の体裁を良好にすることができる。
また、本発明のラケットの性能調整構造において、前記被調整領域は、前記フレーム及び前記シャフトの両方に跨る領域であるとよい。この構成によれば、フレームとシャフトとの連結部分に性能調整部が設けられる。この性能調整部に打球時の振動を吸収する機能を付与することで、フレーム及びシャフトを通じてプレーヤに伝わる振動を弱くして打球時の衝撃を緩和することができる。
また、本発明のラケットの性能調整構造において、前記性能調整部は、前記フレーム及び前記シャフトとは異なる材質によって形成されているとよい。この構成によれば、被調整領域の隣接する領域との材質の相違によって、剛性の違いにより打球時の反発性能を調整したり、弾性や柔軟性の違いにより振動減衰性能を高めたりすることができる。
また、本発明のラケットの性能調整構造において、前記フレーム及び前記シャフトは、繊維強化樹脂によって形成されているとよい。この構成では、近時多く採用される繊維強化樹脂によってフレーム等を形成しても、当該フレーム等の変形を抑制しつつ樹脂材の成形によって性能調整部を形成することができる。
また、本発明のラケットの性能調整構造において、前記ラケットは、バドミントンラケットであるとよい。各種スポーツのラケットにおいて、特に軽量で小さい体積となるバドミントンラケットの性能向上を図ることができる。
本発明のラケットは、中空体によって形成されたフレーム及びシャフトを備えたラケットにおいて、前記フレームを少なくとも含む被調整領域に性能調整部が設けられ、前記被調整領域は隣接する領域に対して凹んで形成され、且つ、前記被調整領域を形成する前記中空体の内部に中実部材が設けられ、前記性能調整部は、前記被調整領域の凹んだ部分に成形によって熱可塑性樹脂設けて形成され、当該熱可塑性樹脂は、前記被調整領域の内周面に対し射出成形によって固着され、当該被調整領域と前記性能調整部とが一体化されることを特徴とする。
本発明によれば、被調整領域の内部に中実部材が設けられるので、成形によって中空体となるフレームが変形しないように樹脂材を一体化することができる。
本発明の実施の形態に係る性能調整構造を適用したラケットの正面図である。 上記ラケットの部分分解正面図である。 図1の部分拡大図である。 図3の正面断面図である。 図3の性能調整部を省略した図である。 性能調整部の射出成形要領の説明図である。 実施例1の振動を測定した結果を示すグラフである。 実施例2の振動を測定した結果を示すグラフである。 比較例の振動を測定した結果を示すグラフである。 減衰振動の包絡線を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下においては、本発明に係る性能調整構造をバドミントン用のラケットに適用した例について説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、軟式テニス用のテニスラケットや、スカッシュ用のラケット、硬式テニス用のラケットなどに適用してもよい。
図1は、本発明の実施の形態に係る性能調整構造を適用したラケットの正面図である。なお、以下の各図では、説明の便宜上、一部の構成を省略する場合がある。
図1に示すように、バドミントンラケット(以下、「ラケット」とする)10は、プレーヤに把持されるグリップ11と、グリップ11に一端側が連結されて直線方向に延在するシャフト12と、シャフト12の他端側に連結された楕円形の環状をなすフレーム13とを備えている。フレーム13の内側にはストリング14が張設されており、このストリング14によってシャトルが打撃される打球面15が形成される。
なお、特許請求の範囲及び本明細書の説明において、特に明示しない限り、図1中矢印にて示すように、ラケット10の長手方向のうちフレーム13が位置する側を上側とし、グリップ11が位置する側を下側とする。また、打球面15上において(即ち打球面15に沿う平面上において)長手方向に直交する方向を左右方向とする。
シャフト12及びフレーム13は、管状となる中空体によって形成され、その断面形状は、円形や楕円形、方形にする等、種々の形状を採用することができる。フレーム13は、空気など媒体の膨張による内圧成形を利用して形成されている。
図2は、上記ラケットの部分分解正面図である。図2に示すように、ラケット10においてフレーム13とシャフト12とは、これらに内蔵されたT型のジョイント20によって連結される。ジョイント20は、樹脂や金属からなる中実部材によって形成される。ジョイント20は、左右方向に延びる横軸部20aと、この横軸部20aの左右方向中央から下方に延びる縦軸部20bとを備えている。横軸部20aは、フレーム13内に収容されるよう僅かに湾曲して形成され、縦軸部20bは、先端側からシャフト12に収容されるよう直線状に延びている。
図3は、図1の部分拡大図であり、図4は、図3の正面断面図である。図3及び図4に示すように、フレーム13及びシャフト12の接合する部分には性能調整部30が設けられ、性能調整部30は、被調整領域31に収まる範囲内に設けられている。被調整領域31は、隣接するフレーム13及びシャフト12の外面領域に対して凹んで形成されている(図5参照)。性能調整部30及び被調整領域31は、フレーム13及びシャフト12の両方に跨る領域において正面視T型に形成されている。被調整領域31を形成する中空体の内部空間を充填するようにジョイント20が挿入された状態で設けられている。性能調整部30及び被調整領域31の左右両端及び下端は、正面視でジョイント20の左右両端及び下端の近傍又は当該近傍からはみ出ない位置に形成されている。従って、ジョイント20が配設される領域に対し、被調整領域31が形成される領域は略重なった状態となっている。
性能調整部30は、被調整領域31の凹んだ部分に樹脂材を埋めるように設けられ、被調整領域31を被覆する層状に形成されている。性能調整部30を形成する樹脂材は、被調整領域31の底部等の内周面に対し、後述する射出成形によって固着される。本実施の形態では、性能調整部30の表面(外面)は、当該性能調整部30及び被調整領域31に隣接する領域におけるフレーム13及びシャフト12の表面(外面)より凹んだ位置に形成されている。なお、性能調整部30の表面は、被調整領域31に隣接する領域の表面に連続して滑らかに連なる面上に形成してもよく、また、当該連なる面からはみ出さずに部分的に凹むように形成してもよい。更には、後述する外観や性能を損なわない限りにおいて、被調整領域31に隣接する領域の表面から性能調整部30の表面を膨らむように形成してもよい。
フレーム13及びシャフト12は、繊維からなる強化材を含む繊維強化樹脂によって形成されている。性能調整部30の樹脂材は、フレーム13及びシャフト12とは異なる材質によって形成されている。例を挙げると、フレーム13及びシャフト12の繊維強化樹脂の母材が熱硬化性樹脂となり、性能調整部30が熱可塑性樹脂によって形成される。性能調整部30は、熱可塑性樹脂やシリコンなどの軟質材料で形成されているとよく、熱可塑性軟質ポリウレタン樹脂や、ナイロン樹脂によって形成することが例示できる。
次に、本実施の形態に係る性能調整構造を備えたバドミントンラケットの製造方法について説明する。先ず、複数の熱硬化性の樹脂シートとしてのカーボンプリプレグを同心状に積層して加熱し、シャフト12用の管状をなす中空体を予め成形しておく。また、フレーム13用として、熱硬化性の樹脂シートとしてのカーボンプリプレグを複数積層し、円筒状に巻いた樹脂シート筒を形成する。これらと前後し、予め形成したジョイント20の縦軸部20bを接着剤(例えば、エポキシ樹脂)中に浸し、ジョイント縦軸部20bの外面に接着剤を付着する。
続いて、図2に示すように、フレーム13用のカーボンプリプレグシート筒を環状に湾曲させて突き合わせた両端部13aと、シャフト12用の中空体の上端部に対し、接着剤を付着したジョイント20を挿入して装着する。このようにジョイント20が装着されたフレーム13とシャフト12の上端部とを金型(不図示)に設置した後、当該金型を加熱及び加圧してフレーム13とシャフト12とを接合する。
かかる接合において、フレーム13用のカーボンプリプレグシートが加熱されて硬化するが、その際、空気などの媒体が膨張することによりカーボンプリプレグシートが外方に押し広げられて金型に押し付けられる。このため、所定の成形時間が経過してから脱型すると、成形されたフレーム13及びシャフト12は金型に沿わされた形状となる。ここで、金型において、フレーム13及びシャフト12の接合箇所を成形する部分は、被調整領域31の形状に応じて膨出して形成され、この部分に沿わされて被調整領域31が隣接する領域に対して凹んで形成される(図5参照)。
図6は、性能調整部の射出成形要領の説明図である。上記のように被調整領域31を形成しつつフレーム13とシャフト12とを接合した後、図6に示すように、その接合部分を射出成形機(不図示)における成形型Cの内部に配置する。射出成形機の成形型Cは、性能調整部30(図4参照)の形状に応じたキャビティC1を有するものである。成形型Cにおいて、キャビティC1の外側はフレーム13やシャフト12に接触する接触部C2として形成される。接触部C2は、被調整領域31に隣接する所定幅領域とされ、接触部C2より外側ではフレーム13及びシャフト12と成形型Cとが非接触となる。キャビティC1と接触部C2との間には段差が形成され、この段差を形成する面C2aは、被調整領域31の輪郭を形成する段差形成面に接触する。従って、成形型Cを閉型した状態で、面C2aを含む接触部C2によって成形型C内に配置されるフレーム13等が位置決めされる。
成形型Cを閉型してからランナC3を通じ、所定温度に加熱された性能調整部30を形成する樹脂材を、キャビティC1内における被調整領域31に対して注入する。ここで、面C2aが被調整領域31の内周面に接触するので、注入された樹脂材がキャビティC1から漏れ出ることが規制される。注入する樹脂材は所定圧力下で高温に加熱され、キャビティC1に沿って被調整領域31を被覆する形態となって性能調整部30が射出成形される。従って、性能調整部30の成形と、性能調整部30及び被調整領域31の一体化が同時に行われる。樹脂注入から所定時間が経過して注入した樹脂材が硬化した後、脱型することで性能調整部30が一体に形成されたフレーム13及びシャフト12が得られる。
なお、注入する樹脂材による熱変形をより良く抑制するため、低融点の樹脂材を選択することが好ましい。また、樹脂材の注入前に、被調整領域31と樹脂材の密着性を上げるため、被調整領域31の表面をあらしたり、プライマー等を塗布したりしてもよい。
上記脱型後、フレーム12にストリングを張るための孔(不図示)を形成して塗装し、グリップ11を取り付けてラケット10が完成される。なお、ランナC3の位置を孔の形成位置と一致させることで、孔明け加工によってランナ痕を同時に除去することができる。
以上のように、実施の形態に係るラケット10の性能調整構造によれば、フレーム13とシャフト12とを繋ぐジョイント20によって被調整領域31を補強でき、性能調整部30の射出成形時における高温高圧において、被調整領域31の変形を抑制することができる。つまり、射出成形によって被調整領域31に性能調整部30を強固に一体化させることができ、接着構造等の余分な重量、体積を付加しないようにすることができる。この結果、ラケット10の製品としての外観や性能を低下させずに、性能調整部30を後付けでき、性能調整部30の樹脂材を選択することで打感や振動減衰性能等を調整する等、各種の性能を調整したり付与したりすることが可能となる。また、ラケット10の外観についての設計の自由度を向上させることもできる。
しかも、嵌合等では採用困難となる軟質樹脂で性能調整部30を形成する等、性能調整部30における樹脂材の選択性が広がり、使用者の好みに合わせた打感の調整を行うことができる。
更に、凹むように形成される被調整領域31の内部に性能調整部30が収まるように形成されるので、性能調整部30を有しないラケットと比べても体積や重量の増加を抑制でき、また、スイング時の空気抵抗の改善を図ることができる。
更に、フレーム13とシャフト12との接続部分に性能調整部30を設けたので、フレーム13からシャフト12に伝播する振動が性能調整部30を必ず通過するようになる。これにより、性能調整部30が振動減衰作用を発揮する場合には、プレーヤに伝わる振動を効果的に抑制し、打球時の衝撃を緩和してプレーヤに不快感を感じさせないようにすることができる。
また、フレーム13やシャフト12と性能調整部30との材質の違いにより、それらの硬度、剛性を相違させて振動減衰性能等の各種性能を良好に調整することができる。
続いて、上記の実施の形態に係るラケットの性能調整部による性能(振動吸収性能、打感)を評価するために行った実験について説明する。実験では、実施例1及び実施例2として、上記実施の形態と同様の形態をなす性能調整部を含むラケットを製造した。実施例1の性能調整部の樹脂材は、熱可塑性軟質ポリウレタン樹脂とし、実施例2の性能調整部の樹脂材は、6−12ナイロン樹脂とした。実施例1及び実施例2において、被調整領域の凹み深さを約0.5mmとし、被調整領域に隣接する領域に対する性能調整部の凹み深さを約0.16mmとした。比較例では、実施例1及び実施例2に対して性能調整部を省略した構成とした。
実施例1、実施例2及び比較例に対し、振動減衰性能を評価するための実験を行った。この実験では、実施例1、実施例2及び比較例のラケットに同じストリングを同じテンションで張設した。そして、ラケットのグリップを固定し、フェース中央(打球点)に衝撃を与え、グリップに伝わる振動を測定した。測定結果を図7〜図9のグラフにて示す。図7のグラフを見ると、実施例1では、衝撃を与えた時点から最大振幅となる時間が0.006秒、最大振幅の半分の振幅となる時間が0.068秒、となり、最大振幅から振幅が半減する時間(半減期)が0.062秒となった。図8のグラフを見ると、実施例2では、衝撃を与えた時点から最大振幅となる時間が0.009秒、最大振幅の半分の振幅となる時間が0.067秒、となり、最大振幅から振幅が半減する時間(半減期)が0.058秒となった。図9のグラフを見ると、比較例では、衝撃を与えた時点から最大振幅となる時間が0.006秒、最大振幅の半分の振幅となる時間が0.080秒、となり、最大振幅から振幅が半減する時間(半減期)が0.074秒となった。まとめると、実施例1、実施例2及び比較例の半減期は下記のようになった。
実施例1:0.062秒
実施例2:0.058秒
比較例:0.074秒
半減期について、比較例に比べ、実施例1の方が約0.012秒短くなり、実施例2の方が約0.016秒短くなることから、振動減衰性能が向上することが理解できる。
また、図10のグラフにおいて、減衰比ζを用いて減衰振動の包絡線は、x=ae-ζωtと表される。振動の測定結果を示すグラフから実施例1、実施例2及び比較例のζωを求めると、比較例は8.928、実施例1は10.273、実施例2は11.235となった。ここで、ωは周波数を表しているが、フレームの影響が大きくストリングの周波数帯にも変化が見られなかったことから、実施例1、実施例2及び比較例とで略同一と近似すると、比較例に対する実施例1及び実施例2との減衰比の比率は、指数の比率として定義できる。比較例と実施例1との比率は、115.1%(=10.273/8.928)となり、比較例と実施例2との比率は、125.8%(=11.235/8.928)となった。従って、減衰比が100%より約15〜25%大きな数値となることからも、実施例1及び実施例2は振動減衰性能が向上することが理解できる。
実施例2及び比較例のラケットに対し、打感を評価するための実験を行った。実施例2及び比較例のラケットについて、フレームに同一荷重を加えたときのシャフトのしなり量、ラケット全体の重量、長手方向における重量のバランスを同一条件とした。本実験は、プレーヤによる官能試験とし、実施例2の方が比較例に比べてのやや弾きのある硬い打感が得られた。これは、減衰比の差によるものと推測される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、性能調整部30及び被調整領域31の形成位置は、上述した位置に限られずフレーム13の任意の個所に変更してもよい。例を挙げると、図1のようにフレーム13を見たときに、フレーム13の2時及び10時方向や、3時及び9時方向に左右対称に性能調整部30及び被調整領域31を形成してもよい。この場合、被調整領域31を形成する領域には、成形前のカーボンプリプレグシート筒の内部に軸状の中実部材を配置し、被調整領域31を中実構造としてから性能調整部30の射出成形を行う。性能調整部30を上記のように左右対称に設けても、打球時における振動吸収性能を向上させることができる。
また、上記実施の形態では、フレーム13やシャフト12を形成するカーボンプリプレグを凹ませて被調整領域31を形成したが、ジョイント20等の中実部材がカーボンプリプレグで被覆されずに表出するようにして形成してもよい。これによっても、被調整領域31を隣接する領域に対して凹んで形成でき、内部に性能調整部30を射出成形することができる。
また、射出成形によって性能調整部30を形成する場合について説明したが、上記実施の形態と同様に性能調整部30を形成できる限りにおいて、射出成形以外の成形方法を採用してもよい。
本発明は、フレームに樹脂材を設けて振動吸収等の性能を調整することができるラケット及びその性能調整構造であり、成形によってフレームが変形しないように樹脂材を一体化できるという効果を有する。
10 ラケット
12 シャフト
13 フレーム
20 ジョイント(中実部材)
30 性能調整部
31 被調整領域

Claims (7)

  1. フレーム及びシャフトを備えたラケットの前記フレームを少なくとも含む被調整領域に性能調整部を設けたラケットの性能調整構造において、
    前記フレーム及び前記シャフトは、中空体によって形成され、
    前記被調整領域は隣接する領域に対して凹んで形成され、且つ、前記被調整領域を形成する前記中空体の内部に中実部材が設けられ、
    前記性能調整部は、前記被調整領域の凹んだ部分に成形によって熱可塑性樹脂設けて形成され、当該熱可塑性樹脂は、前記被調整領域の内周面に対し射出成形によって固着され、当該被調整領域と前記性能調整部とが一体化されることを特徴とするラケットの性能調整構造。
  2. 前記性能調整部の表面は、前記被調整領域に隣接する領域の表面より凹んだ位置或いは当該隣接する領域の表面からはみ出さない位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のラケットの性能調整構造。
  3. 前記被調整領域は、前記フレーム及び前記シャフトの両方に跨る領域であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラケットの性能調整構造。
  4. 前記性能調整部は、前記フレーム及び前記シャフトとは異なる材質によって形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のラケットの性能調整構造。
  5. 前記フレーム及び前記シャフトは、繊維強化樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項の何れかに記載のラケットの性能調整構造。
  6. 前記ラケットは、バドミントンラケットであることを特徴とする請求項1ないし請求項の何れかに記載のラケットの性能調整構造。
  7. 中空体によって形成されたフレーム及びシャフトを備えたラケットにおいて、
    前記フレームを少なくとも含む被調整領域に性能調整部が設けられ、
    前記被調整領域は隣接する領域に対して凹んで形成され、且つ、前記被調整領域を形成する前記中空体の内部に中実部材が設けられ、
    前記性能調整部は、前記被調整領域の凹んだ部分に成形によって熱可塑性樹脂設けて形成され、当該熱可塑性樹脂は、前記被調整領域の内周面に対し射出成形によって固着され、当該被調整領域と前記性能調整部とが一体化されることを特徴とするラケット。
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