JP6522511B2 - ヌクレオチド配列の確率指向性単離(pins) - Google Patents

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Description

本発明は、既知のヌクレオチド配列要素を含む複合ヌクレオチド断片、即ち保存活性部位またはドメインをコードする配列を単離するための方法、例えば既知の配列エレメントを含むDNA断片のためのハイスループットスクリーニングに適用可能な方法に関する。
概要
分子診断および他のDNAを用いたアプローチは、探索、R&D、及び様々な診断部門等の部門においてますます注目を集めている。しかし、アッセイ又はスクリーニングにより解析されるのが如何なる標的であっても、全てのDNAを用いるアプローチは幾つかの課題、即ち、バックグラウンドのDNAに対して十分な量の目的物の量を発生させなければならないという課題に直面している。
存在量の低い(low abundance)標的DNAの存在を増加させることにより、複雑な混合DNA試料中の望ましくないバックグラウンドDNAと引き換えに、クローンライブラリーの構築、天然物の検出、PCR診断、ハイブリダイゼーション、配列決定、メタゲノミクス、および種々の他の分子手法等の従来の分子手法(molecular approach)を可能にする。
以下、現在使用されている方法、及び少量の混合DNA試料が有する課題について説明する。
PCR診断
近年、PCR試験が広く臨床微生物学における感染症の通常の診断のために開発されてきた。 PCRは、迅速な臨床検体中の細菌を検出すること、迅速、高精度且つ特定の、実験室内での関連疾患[1]の確認に適している。また、抗生物質耐性遺伝子又は遺伝子変異の存在の迅速な評価を可能にする。病原体の検出、それらの抗生物質耐性のメカニズム、それらの毒性因子と臨床試料中の細菌負荷を組み合わせたアプローチは、これらの感染患者のケアにおける大きな変化につながる可能性がある。したがって、複合的又は多重的な(complex or multiplex) PCRアッセイは、現在の分子診断分野を強化するために開発されている。
しかし、PCRを用いる、複雑な混合試料の診断はしばしば課題に直面する、というのもPCR産物の存在が、複雑な混合試料においては1つ以上のDNA源に起因し得るからである。特定の細菌株の存在と組合された、特定の抗菌遺伝子の存在は、必ずしも耐性細菌株が最初の試料中に存在していることを意味しない。それは耐性遺伝子と細菌株の両方が当該試料中に存在していたことを示すにすぎず、それらが必ずしも同一の細胞から起因するものであることを示すものではない。この問題を回避するためのアプローチとして、特定の細菌株を標的とすることが既知でもある特定のプライマーにより標的とされる、抗菌耐性遺伝子の組込み部位が提案されている。しかし、正確な組込み部位が既知である必要があり、このことにより本方法の使用が制限される。
DNA配列決定
DNA配列の知識は、基本的な生物学的研究のために、及び診断、バイオテクノロジー、法医学生物学、及び生物学的系統分類学等の多数の応用分野において必要不可欠となっている。配列決定の迅速なスピードと近年のDNA配列決定技術によるコストの減少は、DNA配列の配列決定において有益であり、世界中で配列決定したDNAの総量は急速に増加している。
純粋な試料の塩基配列決定が現在の標準的な手順であるが、DNA混合試料の配列決定は未だ挑戦的であり、コストと時間がかかる。例えば綿棒、糞便又は血液試料中といった、標的断片が混合ヌクレオチド試料中に低頻度で存在する場合には、最初にクローン又は断片ライブラリーを作り、次に完全な配列ライブラリーか、又はより小さいPCR断片及び配列を作らなければならない。完全なライブラリーの配列決定は高価且つ時間がかかり、PCR断片の配列決定は、配列が非常に大きなものとして既知であり、同じ分子又は器官にアサインできない比較的短い断片に戻る場合にのみ可能である。標的配列の一部のみが既知である場合、PCRは不可能であり、メタゲノム配列決定が必要である。
したがって、混合試料の配列決定のコスト及び時間を減らすために、混合ヌクレオチド試料中の稀少なヌクレオチド分子の頻度を上げる方法が必要とされている。
メタゲノミクス(metagenomics)
メタゲノミクスは一般的な配列決定アプローチのことであって、複雑なDNA混合物は小さい画分へと分離され、それぞれの配列決定される。当該システムは培養能に依存せず、実際、実験室で培養可能または培養不可能の両方の試料について適用可能である。
メタゲノミクスは、いくつかの場合において複雑な試料を記述するために適用することができるが、研究者はゲノム試料又は試料混合物の完全配列よりも、ゲノム又はゲノム混合物の特定のサブセットを好む場合がしばしばある。したがって、様々な技術及び研究の個々の要件に合致する柔軟な標的方法に対する強い必要性が存在する。そのような技術は存在するが、それらは大抵ハイブリダイゼーションアッセイを用い、広範な配列の知識を必要とするか、又は低感受性である。
したがって、メタゲノミクスが稀少量/少量のDNA断片又は標的の解析に適用される場合、複雑な混合物の所定のサブ分画(sub-fraction)の特異的濃縮(specific enrichment)に対する強い要望が存在する。
探索
産業分野の違いにより、未培養の微生物多様性にある広大な資源を探索するのに対して異なる動機がある。現在、ホワイト(工業用)バイオテクノロジーは、持続可能な現代社会の設立に中心的な役割を果たしているようである。天然の微生物の生物多様性の少量のサブ分画のみがスクリーニングに利用可能であるという前提が、通常受け入れられている。1990年Torsvikら[3]は土壌試料の天然に存在する微生物の多様性のせいぜい1%が実験室条件下で培養可能にすぎないと推定した。このことから、未知の天然物の発見の中に大きな可能性が存在し、また、バイオテクノロジー技術において天然及び環境中の試料中に存在する未知の大多数のDNAの存在へのアクセスが可能である。別の入手できない情報を取得する場合には、残念ながら膨大な量の配列決定が必要とされる。
工業的に関連するタンパク質または酵素をコードする標的とされるDNA断片を濃縮することは、実質的に、配列決定に必要な量を減少させる。
本発明は、以下の方法、即ち、混合ポリヌクレオチド試料から標的DNA分子を濃縮する(enriching)ための、以下の工程を含む、インビトロの方法を提供する:
a)標的DNA分子を含む混合ポリヌクレオチド試料を提供し、ここで前記標的DNA分子は1又は複数の、少なくとも10ヌクレオチドの固有の連続配列を含み、
b)混合ポリヌクレオチド試料を、希釈試料中の前記標的DNAの検出確率が0.75未満、好ましくは0.50未満、又はさらに好ましくは0.25未満になるまで連続的に希釈し、そして
c)少なくとも1つの複製希釈試料 (replicate dilution samples)中の前記標的DNA分子の検出確率が少なくとも0.75、好ましくは0.80 〜0.95となるまで、十分な数の希釈試料を複製し;
d)前記複製希釈試料中のDNAを増幅して、各試料のDNAの存在量 (abundance)を増加させ
e)工程d)で増幅された前記複製希釈試料中の前記標的DNA分子の存在又は不存在を検出し、ここで、前記複製希釈試料中の前記標的DNA分子の頻度 (frequency)が、工程(a)における混合ポリヌクレオチド試料と比較して増加し;
f)前記DNA分子を含む少なくとも1つの複製希釈試料を、希釈試料中の標的DNAの検出確率が0.75未満になるまで連続的に希釈し、
そして、少なくとも1回、工程(c)〜(e)又は(f)を繰り返す。
図1は、初期混合物からの9の陰性PCR反応の2%アガロースゲルを示す。枠内の領域は、陽性PCR産物のゲル中での存在位置を示す。枠外のPCR産物は不特定の生産物であり、ここでは無視される。 図2は、PINS (Probability-directed isolation of nucleotide sequences:ヌクレオチド配列の確率指向性単離)第1ラウンド後の2%アガロースゲルを示す。5個の試料(A、B、C、D、及びI)は、予想されたサイズのPCR産物を含むのに対し、残りの5個の試料は含まない。正確な生産物のサイズはゲル中の矢印で示される(左側)。他の位置(矢印で示されない)におけるPCR産物は不特定の生産物であり、ここでは無視される。 図3は、試料#10の再増幅に続く10のPCR試料の2%アガロースゲルを示す。6の試料(A、C、E、F、I、及びJ)は、予想されたサイズのPCR産物を含むのに対し、残りの4個の試料は含まなかった。正確な生産物のサイズはゲル中の矢印で示される(左側)。他の位置(矢印で示されない)におけるPCR産物は不特定の生産物であり、ここでは無視される。 図4は、PCR前に2E-1希釈を用いたPINS第2ラウンド後の、10のPCR試料の2%アガロースゲルを示す。5の試料(C、D、E、G、及びI)は、予想されたサイズのPCR産物を含むのに対し、残りの4試料は含まなかった。正確な生産物のサイズはゲル中の矢印で示される(左側)。他の位置(矢印で示されない)におけるPCR産物は不特定の生産物であり、ここでは無視される。 図5は、次のパラメーターを使用して、PINの2つのラウンドの概略図を示す。A:初期試料0.028 ng /μL。B:テンプレートとして3.5μlの「A」を使用して、Aから作成された、10 Phi試料。C:(3個のうち)全3のPCR産物が陽性であった、1つの試料。D: 50の総反応体積中、3.5μlの試料#10を用いて再増幅させた、試料「C」。E:各反応においてテンプレートとして1.0μlを使用して「D」から作成された、10 Phi。F及びG:(3個のうち)全てのPCR産物が陽性であった2つの試料。H:試料「F」及び「G」プール。I:初期濃度からPINS第1ラウンド後まで計算ゲイン、初期濃度からPINS第1ラウンド後まで計算。J:同一希釈における直接比較を使用して、PINS第1ラウンドからPINS第2ラウンドまで計算された、ゲイン。K:異なる希釈での比較を使用して、PINS第1ラウンドからPINS第2ラウンドまで計算された、ゲイン。L:初期試料から最終まで計算された、ゲイン(標的/ng)。 図6は標的HPV18-DNA分子を含む初期混合ポリヌクレオチド試料から生成する10陰性PCR反応の2%アガロースゲルを示す。枠内はゲル中の陽性PCR産物の所在を示す。枠外のPCR産物は不特定の生産物であり、ここでは無視される。 図7は、標的HPV18-DNA分子の存在を検出するために設計された3個のPCR産物の2%アガロースゲルを示す。レーン#1はPCR反応ポジティブコントロール;レーン#2は2.5標的コピー/μlを含むPINS(MDA介在)で濃縮された混合ポリヌクレオチド試料を含むPCR産物、レーン#3はPCRネガティブコントロールである。矢印はアガロースゲル中の〜667bpのDNA分子の相対移動度を示す。 図8は、図7で示される標的HPV18-DNA分子の再増幅により得られたPCR産物の2%アガロースゲルを示す。矢印はアガロースゲル中の〜667bpのDNA分子の相対移動度を示す。 HPV18配列(HPU89349)によりPINS濃縮された標的HPV18-DNA分子の、解読された配列アラインメント、配列は完全一致し、不整合は0であったことを示す。 解読されたエンドグルカナーゼをコードする細菌遺伝子の配列のプライマー及び部分配列。 図は、PINSで濃縮されたエンドグルカナーゼをコードする遺伝子のヌクレオチド配列を示す。RGWが用いられた制限酵素認識部位(MboI, EcoRI, and HindIII)を枠内に挿入する。-35及び-10は、推定のプロモーター存在位置を示し、SDはシャイン・ダルガノ(Shine Dalgarno)の位置である。EndoGlu-Fw及びEndoGlu-Reは、PINS処理中に用いられたプライマーである。ORFはオープン・リーディング・フレーム(open reading frame)を意味する。
発明の詳細な説明
本発明は、1)幾つかの複製物(replicates)中の、目的のDNA断片を含む試料の希釈(分離)、2)当該複製のDNAのランダムな増幅(コンセントレーション (concentration))、少なくとも1の希釈及び増幅されたものから目的のDNA断片を検出(選択)及び、1)〜3)を目的のDNA断片が標準の配列決定技術によって決定できるようになるまで繰り返す、を複数ラウンド行うことにより、目的のDNA断片を含む標的ヌクレオチド配列の頻度を段階的に増加させる、インビトロの方法に関する。
本発明は、混合試料中に存在する選択された目的DNA断片発見される確率が低い希釈物中に存在した場合、目的DNA断片の頻度は混合試料中よりも希釈において高くなり、その頻度は選択ラウンド(上記)を重ねるとさらに増加させることができ、Sanger配列決定、Pyro配列決定若しくは類似のDNA配列検出、又はPCR、ハイブリダイゼーション若しくは他の検出アッセイにより配列決定が可能なまでになる、という原理に基づくものである。
驚くべきことに、本発明の方法は、スクリーニング範囲を、従来のスクリーニング法[17]によるクローンライブラリー中の何百何千のクローンから、数百のDNA試料(表1)にまで縮小することができるため、効率的である。
PINSの各サイクルは、目的の遺伝要素の出現率(prevalence)において推定10倍の増加をもたらす。出現率を初期値から所望の最終値まで増加させるために必要な試験回数計算され得る、即ち、出現率を1/106から1/102(10倍/1サイクルとの見積に基づく)に増加させるために78回の試験が必要である。
I: PINS
さらに、インビトロPINS法の必須の工程を以下に記載する。
a) 標的DNA分子を含む混合ポリヌクレオチド試料
標的DNA分子を含むことが既知である混合ポリヌクレオチド試料を、PINSの実行のために選定する。標的DNA内に存在する、少なくとも10(又は15)の固有のヌクレオチドの1又は複数のヌクレオチド配列が、DNA分子のスクリーニング及び検出のために所望の方法、例えばPCR検出、ハイブリダイゼーションプローブによるDNA検出、又はその類似の方法により選定される。典型的には、混合ポリヌクレオチド試料の標的DNA分子の頻度は、10-2 未満であり、例えば、10-3〜10-7の間であってもよい。
b)混合ポリヌクレオチド試料の1次希釈
混合ポリヌクレオチド試料は、希釈試料中の標的DNA分子を検出できる確率が0.75未満になるまで所望の希釈回数により連続的に希釈される(この試料を希釈(N)とする)。連続希釈は、好ましくは希釈係数が1:1より大きく、好ましくは1:2〜1:20、例えば、1:10である。各希釈試料は分離された容器、例えばマイクロタイタープレート、プラスチックチューブ又は類似のものの中に入れられる。
希釈試料中の標的DNA分子を検出できる確率が0.75未満である希釈系列における試料(N)を同定するのに、様々な方法を用いることができる。例えば、混合ポリヌクレオチド試料の連続希釈物は各試料におけるDNAの存在量を増加させるために増幅され、次いで増幅された各試料中の標的DNA分子の存在又は不存在を検出する工程が行われてもよい。標的DNA分子が検出可能であった希釈系列のうち、最も希釈された試料を「P」とする。「N」とされた、希釈系列中の次の希釈は、標的DNA分子を検出することができない希釈系列中のうち、最も希釈されていない試料となる。工程a)におけるDNA試料に対する「N」の希釈係数Dtと、PとNの間の希釈係数Dとする
あるいは、混合ポリヌクレオチド中の標的DNA分子の頻度及び存在量が、リアルタイムPCRにより決定されてもよい。これから、試料(N)を調製するのに必要な希釈が計算され得る(実施例1を参照)。
あるいは、標的DNA分子はハイブリダイゼーションに基づくアッセイ又は標的配列のRNA又はタンパク質産物を検出するアッセイにより、検出されてもよい。
c)希釈Nを有する希釈試料調製
少なくとも1個の複製希釈試料における標的DNA分子の検出確率が1になるまで、希釈試料(N)の十分な数の複製物を生じさせる複製物の好適な数は2〜500、好ましくは、少なくとも10〜20の複製物である。典型的には、複製物の好適な数は、希釈系列調製するために用いられる希釈係数に相当する、即ち、希釈係数が1:10の場合、約10の複製が十分となるはずである。各希釈試料は分離された容器、例えばマイクロタイタープレート中のウェル、プラスチックチューブ又は類似中に静置される。
d)ゲノムDNA増幅
複製された希釈試料のそれぞれにおけるDNAは、各試料におけるDNAの存在量を増加させるための総DNA複製の任意の方法を用いて増幅される。好適な複製方法は、縮重オリゴヌクレオチドプライマーPCR(Degenerate Oligonucleotide Primed PCR (DOP-PCR))、多重置換増幅(Multiple Displacement Amplification (MDA))[4]、ランダムプライマーPCR (randomly primed PCR)又は類似の方法を含む。
e)標的DNAのための複製希釈試料(+/-)のスクリーニング
工程d)におけるゲノム増幅後の複製試料(N)は所望の検出技術を用いて標的DNA分子の存在に関してスクリーニングされる。標的DNA分子を含むことが示された少なくとも1又は複数のスクリーニングされた試料(試料 (sample + )において、標的DNA分子の頻度は、工程(a)の混合ポリヌクレオチド試料中の頻度と比べて増加され得る
1又は複数のこれらの試料 は、次いで希釈試料中の標的DNA分子を検出できる確率が0.75以下になるまで連続的に希釈される。典型的には、この試料の希釈はD増加されたDtである。この試料を用いて、工程(c)〜(e)少なくとも1回、好ましくは標的DNA分子が、後述f)に記載されるように、標的DNA分子又はその一部が容易に配列決定できるように増幅されるまで繰り返される。工程(c)〜(e)の繰返し回数は、通常、少なくとも1であり、しかし2、3、4、5又は6回又はそれ以上が必要であり、ここで、標的DNAの最終到達頻度が10-3 超であり、好ましくは10-1 である。
f)濃縮された標的DNA分子の特徴づけ
一度、標的DNA分子の頻度が十分に増加されると、DNAは直接DNA配列決定の対象となる。標的DNA分子の配列決定は、PCR増幅された、検出に用いられ標的DNA分子断片、及び標的DNA断片の5’及び3’方向に隣接するヌクレオチド配列の両方について、Sanger配列決定、Pyro配列決定若しくは類似のDNA配列検出方法を用いて実施される。
どのようにしてPINS法が実行されるかの例を表2に示す。
PINS法の実施スキーム
最初の(original)DNA試料を試料N0とする
試料N0の10倍希釈をマイクロタイタープレートのA1 〜 A8ウェルに調製する。 MDAを実行する(任意): N0 -> N0MDA
N0 -> N0MDAのアリコートをPCRプレートに移し、標的DNA分子を検出するためにPCRを実行する。
N0 x 10-4 A5又はN0MDA x 10-4 A5を選択=試料N1
20の、試料N1の複製アリコートを調製し、希釈プレート上のA1 〜 C4に加える(表3)。各複製においてDNA全体を増幅させるため全ての複製についてMDAを行い、次いで増幅DNA中の標的DNA分子を検出するためPCRを行う。
(N1A3 + MDA + N1B6 + MDA + N1C2 + MDA)を選択し、10-5希釈 = 試料N2
20、試料N2アリコートを調製し、希釈プレート上のA1 〜 C4に加える(表4)。各複製においてDNA全体を増幅させるため全ての複製についてMDAを行い、次いで増幅DNA中の標的DNA分子を検出するためPCRを行う。
(N2A5 + MDA + N2B2 + MDA)を選択し、10-6希釈 = 試料N3
20、試料N2アリコートを調製し、希釈プレート上のA1 〜 C4に加える(表5)。各複製においてDNA全体を増幅させるために全ての複製についてMDAを行い、次いで増幅DNA中の標的DNA分子を検出するためPCRを行う。
(N3B3 + MDA + N3B5 + MDA + N3C1 + MDA)を選択し、標的DNA分子の存在量を決定する。配列決定解析等に十分であれば選択された試料は直接使用されてもよく、そうでない場合は追加のPINSサイクルを適用する。
II:マルチプレックスPINS(Multiplex PINS)
PINSはマルチプレックスPINSの実行にも適用することができる。マルチプレックスPINSは、混合ポリヌクレオチド中の少なくとも10(又は15)のヌクレオチドの第2の連続した配列を検出するために設計されるというさらなる特徴を採用する。第1の又は第2の連続配列を、PINSの各サイクルにおいて共に精製する場合、それらは同じMDA増幅された標的DNA分子上に配置されなければならない。
III:PINS及びマルチプレックスPINSにより解析された試料
III.i 混合ポリヌクレオチド試料
PINSは、標的DNA分子を含むことが知られている混合ポリヌクレオチド試料に対して適用してもよい。混合ポリヌクレオチド試料はDNA分子集団 (a population of DNA molecules)(例えば、染色体DNA分子又はプラスミドDNA分子)を含み、ここで集団内の個々のDNA分子は、それらのDNA中の、既知の少なくとも10(又は15)の核酸塩基対の連続配列の観点で異なり、その結果、既知の連続配列を含む標的DNA分子が、試料中非標的分子と異なり且つ非標的分子から区別され得る。混合ポリヌクレオチド試料はさらに1本鎖RNA又はDNAを含んでいてもよい。混合ポリヌクレオチド試料中のDNA分子集団は標的DNA分子を含む。
標的DNA分子は、少なくとも10(又は15)の固有の (unique)核酸塩基対(又はヌクレオチド)の、1又は複数の既知の連続配列を含む。標的DNA分子は、混合ポリヌクレオチド試料から、少なくとも10の核酸塩基対(又はヌクレオチド)連続配列を含む標的DNA分子を選択することにより、選択され得る。標的DNA分子はまた、混合ポリヌクレオチド試料から、少なくとも10(又は15)の核酸塩基対(又はヌクレオチド)の少なくとも2個の連続配列を含む標的DNA分子を選択することにより選択され得、ここで前記2個の連続配列は50〜100,000核酸塩基対のDNA分子中に、好ましくは150〜3,000核酸塩基対のDNA分子中に、より好ましくは150〜1500核酸塩基対のDNA分子中に含まれる。
本発明の方法は特に、混合ポリヌクレオチド試料中の標的DNA分子の頻度が10-3未満の場合に適している。本発明の方法はまた、混合ポリヌクレオチド試料中の標的DNA分子の頻度が10-4、10-5、10-6、10-7、又はそれ未満の場合に適している。多くの例において、混合ヌクレオチド試料はゲノムDNAを含む細胞集団に由来し、一方で他の例では、試料は、例えば天然より収集した試料のように、多様な起源をもつポリヌクレオチドの試料に由来していてもよい。その起源にかかわらず、標的DNA分子の出現率は、ゲノム当量の総数により割られた、標的DNAを含むゲノム又はゲノム当量数として定義される。混合ポリヌクレオチド中の標的DNA分子の出現率は、一連の希釈を3回行い、標的の存在又は不存在を検出し、そして使用する標的の数、例えば最も可能性の高い数の方法、を決定することにより、決定する。DNA濃度を測定し、総ゲノム当量数を、ゲノムの平均分子量で当該濃度を割ることにより決定する。
III.ii 混合ポリヌクレオチド試料の起源
本発明のある実施形態によれば、標的DNA分子は細胞のゲノム由来であり、ここで、ゲノムは染色体DNA又は染色体外DNAであってもよい。さらに、標的DNA分子は細胞由来であってもよく、ここで、細胞は微生物細胞、植物細胞、動物細胞又は哺乳類細胞から選ばれる。哺乳類細胞は、ヒト細胞であってもよい。微生物細胞は、細菌性細胞、酵母細胞、又は真菌性細胞であってもよい。さらに、標的DNA分子は、真菌菌糸体又は真菌胞子由来であってもよい。
標的DNA分子が1又は複数の細胞に由来する場合、細胞は多細胞組織又は多細胞器官の部であってもよい。
さらに、標的DNA分子は1又は複数のウィルス断片であってもよく、ここで、ウィルスはRNA又はDNAゲノムを有する。これに代えて、標的DNA分子は、ウィルス由来の合成DNA(integrated DNA)を含む宿主のゲノムに由来してもよい。標的DNA分子はまた、バクテリオファージに由来してもよい。
標的DNA又はRNA分子の由来とは無関係に、標的DNA又はRNA分子は混合ヌクレオチド試料中に存在し、ここで、混合ポリヌクレオチドは天然より回収された試料、例えば、土壌、水又は大気の試料に由来してもよい。これに代えて、試料は多細胞器官、例えば、動物又はヒト等の哺乳類に由来してもよい。試料が哺乳類に由来する場合、試料(例えば、生検)は、体液(例えば、血液、血漿、血清、リンパ液及び尿)、排泄物、身体組織又は器官に由来してもよい。試料源となる多細胞生物は生存生物であってもよいし、又は死生物であってもよい
III.iii 混合ポリヌクレオチド試料の調製
標的DNA分子を含む混合ポリヌクレオチド試料は、天然物又は生物から採取した試料(例えば、生体試料)から調製されてもよい。DNA又はRNAを含むポリヌクレオチドの選択的な抽出方法は既知である[5]。標的DNA分子が細胞由来である場合、通常、細胞破壊又は細胞透過が必要とされ、核酸分子全体(DNA又はRNAを含む)を細胞から分離するために、この工程は後続のDNA又はRNAを含むポリヌクレオチドの選択的抽出工程に先立って行われる。
標的DNA分子がRNAゲノム由来である場合、RNAゲノム又はその一部は、最初にcDNA分子を供給するために逆転写され、ここで、cDNAのヌクレオチド配列はRNAゲノムに対応する(RNAゲノムの逆転写である)。
IV PINSに適するDNAのランダム増幅方法
通常のDNA増幅、例えば、ランダム縮重プライマーPCR (randomly degenerate primed PCR)、リンカーライゲーションPCR又は縮重オリゴヌクレオチドプライマー(DOP)PCR、及び多重変異増幅 (MDA)のように、多様なアプローチが提示されてきた。MDAはごく少量のDNAの全ゲノム増幅 (whole-genome amplification)(WGA)を行うのに十分であることが実証されている[6]。より古典的なPCRに基づくWGA法と比較して、MDAはDNA分子を、より良いゲノムカバレッジ (genome coverage)を有する、より高い分子量で発現させる。MDAは、2つの酵素活性を有する鎖置換ポリメラーゼを使用する:DNA合成(ポリメラーゼ)、及び、3'- 5'-末端方向において1本鎖DNAを分解するエキソ核酸分解(exonucleolytic)活性、例えば、真核B-型 DNAポリメラーゼ(UniProtKB/TrEMBL: Q38545)に含まれるバクテリオファージphi29 DNAポリメラーゼにより例示される。他のより有用なポリメラーゼはBstIポリメラーゼを含む。
V 標的DNA分子の配列決定
PINSによる標的DNA分子の単離は、1又は複数の、上記DNA分子中の少なくとも15ヌクレオチドの固有の連続配列に基づく。PCRに基づいて検出する場合、1又は複数の固有の連続配列は標的DNA断片を発生させるために増幅され、当該断片のヌクレオチド配列を決定することができる。加えて、標的DNA断片の5’及び3’方向に隣接するヌクレオチド配列は、高速ゲノムウォーキング(rapid genome walking (RGW)[7])により検出することができる。RGWは簡素で、例えば標的DNA断片のように、既知の配列から開始されるより大きいDNA分子において上流又は下流へ配列を決定するためのPCRに基づく方法である。RGWはPCRを用いて6kbまでの大きなDNA分子の個々の増幅を可能とする。前のサイクルで得られた配列に基づく新しいプライマーを使って、単純に複数サイクルRWGを用いることにより配列が延長される。通常、4つの異なる制限酵素によりDNAを消化し特異的に割り当てられたアダプターにライゲーションすることにより、大きな標的DNA分子の精製試料からライブラリーが構築される。ライゲーションされたDNAは、DNA内のアダプター又は既知の配列へアニーリングするプライマーにより配列決定され、例えばSanger配列決定、Pyro配列決定、合成による配列決定、ライゲーション又は2つの塩基をコード化する配列決定、若しくは類似の方法のような、所望のDNA配列検出方法が用いられる[8]。
VI PINS及びマルチプレックスPINSの適用
VI.i. PINS及びマルチプレックスPINS適用の研究開発
天然より採取した試料から抽出した混合ヌクレオチド試料における、標的DNAを単離又は濃縮させるためのPINSの使用は、天然に存在し、無菌培養物としては頻繁に得ることができない微生物のゲノム又はその一部に対する直接的なアクセスを提供する。PINSは特に以下のような化学的ビルディングブロック又は活性剤を含む酵素をコードするDNAを単離または濃縮するのに有用である:
酸(例えば、マレイン酸、アスパラギン酸、マロン酸、プロピオン酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸、酢酸、グルタミン酸、イタコン酸、レブリン酸、アコニット酸 (acotinic acid)、グルカル酸、グルコン酸、及び乳酸)、
・アミノ酸(例えば、セリン、リジン、トレオニン)
・アルコール(エタノール、ブタノール、プロパンジオール、ブタンジオール、アラビトール)、及び
・他の高付加価値製品(例えば、アセトイン、フルフラール、及びレボグルコサン等)
・抗生物質、抗癌化合物(例えば、ペプチド - ポリケチド;ラクタム類似体等)
したがってPINSはオキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ハイドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ又はリガーゼから選択される酵素をコードする標的DNAを単離または濃縮するのに特に有用である。マルチプレックスPINSは又はそれ以上の酵素(多機能酵素複合体の一部であってもよい)コードする、2又はそれ以上のオープンリーディングフレームのオペロンを含む標的DNAの単離又は濃縮のために特に有用である。当該技術は、100000bpまでの大きな増幅されたDNA断片を生じさせるために、MDA増幅において高い忠実度のポリメラーゼ(Phi29のような)を利用できる。
VI.ii. PINS及びマルチプレックスPINSの診断適用
PINS又はマルチプレックスPINSは、多細胞器官由来の試料、例えば、被験体(例えば、ヒト又は動物)から採取された体液又は排泄物からの生検(biopsy)又は試料における、医学的適応又は疾患の診断又は観察のための、標的DNAの解析に用いられてもよい。
感染性因子 (infectious agent)(例えば、微生物またはウイルス)により引き起こされる疾患のような、被験体における医学的適応の広範囲の診断が、PINS又はマルチプレックスPINSによる、感染性因子のゲノムに由来する標的DNA又はRNA分子の単離又は濃縮及び検出により補助され、ここで、標的DNA分子は、患者より採取した体液からの生検又は試料由来の混合ヌクレオチド試料中において検出される。
標的DNA分子の単離におけるマルチプレックスPINSの使用は、疾患の追加的な診断的特徴が決定され得る、という追加的特徴を提供する。例えば、感染性因子のゲノムが特定の治療薬への抵抗性を与える抵抗性遺伝子を含む場合、抵抗性遺伝子感染性因子を記述する配列とをPINS手順において共に濃縮することは、感染性因子が抵抗性因子をすることを示し得る
PINS又はマルチプレックスPINSはまた、被験体のウィルス性因子の存在により引き起こされる又は由来する疾患の診断の補助に用いられてもよい。ウィルスゲノムに由来するDNAの存在及び/又は染色体への組込みは、患者より採取された体液の生検又は試料中において、ウィルスDNA配列を含むDNA断片全体の配列決定によるPINSにより検出され得る。マルチプレックスPINSを用いて、ウィルスDNAと組込み部位のDNA配列の共濃縮を記録することにより、既知の組込み部位におけるウィルスDNAの存在又は不存在を決定することができる。
VII 増幅におけるPINS及びバイアス
PINSは混合DNA試料の発生する、複合体からの所望のDNA領域の増幅において、特異的に試料を選択することに基づく。Phi29に基づく増幅(MDA)は、現在可能な最も信頼し得るゲノム増幅として繰返し述べられてきたが、顕著なバイアスが導入されることが知られている。Panら[18]は、総論として、増幅バイアスを避ける高い特異性をもつDNA複合体の全ゲノム増幅(WGA)は、課題が残ると述べている。さらに、DOP-PCR及びランダムプライマーPCR(random priming PCR)等の代わりの増幅方法により、類似の現象が観察された。これらの2つの増幅方法は、さらによりバイアスのかかった増幅産物を結果としてもたらし、遺伝子座発現の再生において不十分な方法として述べられている[19]。反応テンプレートの存在量にかかわらず、バイアスは一見避けられないが[20]生成物から独立したテンプレートの量(TIP)又は増幅中に導入されたバイアスは、反応中のDNAテンプレートの量とは負の相関関係であり、いくつかの研究によると総収率は70〜75%を示すことが記録されている[18]。全ゲノム増幅は、PINS工程でDNAを増幅するために適用され、そのため、ゲノム増幅バイアスに関するこれらの共通の課題もまた、PINSに当てはまることが予想される。WGAの複数工程を含む手順により、標的DNA分子に対して有意なバイアスが観察されるであろうことが予想される。したがって、PINSのようなWGAの複数工程を行う手順は、混合試料中のDNAの特異的な領域を濃縮するのを可能にする方法としては考えられてこなかった。驚くべきことに、TIP/バイアスの課題は、標的DNA分子の初期濃度が極めて低くても、PINSの技術を適用した場合には見られない。PINSシステムにおいて観測された最小限の陰性TIP/バイアスは増幅工程から得られた総ゲインよりも顕著に低く、そのため、最終結果は各サイクルにおける実質的な標的DNA分子の濃縮となる。高濃度のDNAもまた十分にPINSの対象となり得るため、この方法は最初のDNAテンプレートの希釈を必要としない。この場合、たった数倍のWGA法による増幅を必要とする。
実施例
以下の例は、標的DNA分子の濃縮及び/又は単離のために、PINSが他の方法、例えばショットガンクローニング(shot-gun cloning)又はメタゲノミクス(metagenomics)に対して優れているか又は補完的である理由を示す。実施例1で用いたPINSに代えて、従来のメタゲノミクスを採用すると、平均サイズ3*109塩基対の2*106ゲノムのシークエンシングが必要となる。よって、HPV18の配列を得るために総計で少なくとも6*1015塩基対が必要となる。PINS2ラウンド後、HPV18標的の発現度は79倍(increased by a factor of 79)増加し、よってここではわずか4.47*1013の塩基対が配列決定に必要にすぎない。さらなるPINSラウンドは、配列決定に必要な量をより減少させることができる。
原材料及び一般的方法
実施例中で適用された原料及び方法を示す:
酵素及び試薬:特に断りのない限り、酵素はMBI Fermentas (ドイツ)から供給されたものを、供給元の推奨に従って使用した。
増幅及び検出方法:特に断りのない限り、PCRによるDNA断片の増幅には以下の手順及び条件を採用した;MDAによるゲノム増幅;及びRGWを用いた隣接領域へのDNA断片の延長。標的DNA断片は2%アガロースゲル電気泳動により検出した。
PCR増幅
PCR反応:以下の反応混合物20μl中で行った:ヌクレアーゼの存在しない水(nuclease free water)(7 μl)、10 μl 2x SSO Advance Sybr TR-Mixture (BioRad)、5 μMフォワードプライマー(fw-primer)(1 μl)、6 μMリバースプライマー(Re-primer)(1 μl)、1μl DNAテンプレート付。2x SSO Advance Sybr TR-Mixtureの組成: dNTPs、Sso7フュージョンポリメラーゼ、MgCl2、SYBR(登録商標) Green I、及び安定剤。
PCR増幅条件:(15/15/15)x25、温度(94°C/65.8°C /72°C)であった。PCR反応はBioRad Connect RT-PCR machine内で行われた。
MDA増幅
MDAは以下に記載するプロトコールに従って行われた:
混合I:変性(Denaturing)及び再アニーリング(Re-annealing)
2,5μl 2x アニーリング緩衝液(33 mMトリス-酢酸塩(pH 7.9、37°C)、10 mM酢酸マグネシウム、66 mM 酢酸カリウム、0.1 mg/mL BSA)
0,5μl 水
1μl エキソ-抵抗性ランダムヘキサマープライマー(Exo-resistant random hexamer Primers )(Thermo Scientific)
(1μl DNA テンプレート)*
混合 II - 増幅
7,5μl 水
4μl 2mM dNTP
2μl Phi29緩衝液(Thermo Scientific)
1μl ピロホスホターゼ(Pyrophosphotase) 0,01U/μl (Thermo Scientific)
0,5μl Phi29 ポリメラーゼ(Thermo Scientific)
プロトコール
1. 最初に、DNAテンプレート*を追加せず混合物1を調製し、4 μlの混合物1をマイクロ遠心分離試験管に加えた。次いでDNAテンプレートをマイクロ遠心分離試験管の蓋中に1 μl置くことにより、混合物へ加えた。試験管を遠心分離にかけ、遠心分離後、すばやく氷へ移した。
2. 次いで、混合物1(工程1より)を氷から94°C (あらかじめ温められたPCR)へ移し、3分間94°C で保ち、次いで氷に戻した。
3. 混合物2より15 μlを、混合物1(工程2より)を加えた。
4. 最終混合物(混合物1 + 混合物2) を30°C で16時間インキュベートした(PCR)。インキュベーションの終わりに、最終混合物の温度を10分間、65°Cに昇温し、 ポリメラーゼを失活させた。
DNA定量化 (quantification)
DNA定量化はQuantusTM fluorometer (Promega)を用いて製造元の記載する方法により行った。ゲル電気泳動:PCRの結果はBioRad SubCell Equipmentを用いた2%アガロースゲル電気泳動に基づき評価した。ゲル電気泳動は80V 、1%アガロースで20-30分間行った。可視化はエチジウムブロマイド(0.5μg/ml)をゲルに入れることにより行った。
MDA 増幅は2μlを0.7%アガロースゲル上にロードすることにより確認された。全てのMDAゲルは80V、 0.7%アガロースで約30分間行った。
確率の計算
試料中の標的DNA分子の検出確率は、超幾何分布(hypergeometric distribution)を用いて計算され、ここで、集団(population)最初の(original)試料の液体体積であり、ここにおいて標的が存在(陽性)又は不存在であり、試験試料最初の試料から採取された液体の体積である。核酸分子は体積の僅かな部分にしか貢献しないため、集団の体積及び試験試料の体積の両方が計算上1000倍される。
100 μlの試料に対し、集団のサイズは100000である。100μlの試料が4個の標的DNA分子を含む場合、最初の試料100μlの3.5μl (試験試料= 3500)を含む希釈試料標的DNA分子の検出確率は:
P = 1-Hypgeom.dist(0;3500;4;100000) = 0.133
である。
各3.5μl10の複製希釈試験試料は、同じ最初の試料から解析され、少なくとも1の複製希釈試料中の標的DNA分子の検出確率は:
P = 1-Hypgeom.dist(0;35000;4;100000) = 0.821
である。
超幾何分布の方程式は、:
であり、ここで:
x = (希釈)試験試料中の陽性の
n = (希釈)試験試料の体積 * 1000
M = 最初の試料(集団)中の標的DNA分子数
N = 最初の試料(集団)の体積 * 1000
である。
実施例1:ヒトDNA混合試料からのHPV-18ウィルスをコードするポリヌクレオチドの濃縮方法
1.0 濃縮のための混合物の作成
HeLa細胞由来のDNAでスパイクしたリファレンスDNAから混合ヌクレオチド試料を調製した。HeLa細胞はNew England Biolabs (100μg/ml)より精製DNA試料として得た。リファレンスDNAはヒトのボランティア由来の細胞から抽出された。HeLa細胞中の標的DNA分子は、選択された標的PCRプライマー[配列番号1及び配列番号2]により十分に増幅され、一方、ヒトリファレンスDNAはこのプライマー対による増幅産物を産生しなかった。両方のタイプのDNAは、混合物をセットする前にMDAプロトコールを用いて別々に増幅された。MDA増幅に続き、HeLaDNAの3回の10倍希釈における最確数(most probable number、MPN)計算を用い、MDA増幅されたHeLaDNA中の標的DNAコピー量は71750コピー/μであると決定された。標的DNAは希釈されていないMDA増幅されたリファレンスDNA(連続希釈を行う)中、0.029 標的コピー/μlを含み、且つ0.187μg/μlの総DNA濃度を有する最終的にスパイクされた混合物を作成するために1:2.500.000の係数で希釈された。したがって、当初の混合ポリヌクレオチド試料中の標的DNAコピーの初期量は:(0.029 標的コピー/μl):(0.187μg/μl) = 0.153標的コピー/μg DNAと算出された。混合DNA試料の総体積は45μlであった。3.5μlの混合ポリヌクレオチド試料中の標的DNA分子の検出率は0.078(1-hypgeo(0;3500;1;45000));即ち、0.75より少なかった。第1ラウンドのPINSで用いられた試料体積は3.5μlであった。
1.1 HPV18をコードする標的DNA分子の選択のためのプライマー決定
HPV18からのDNA配列はGenBank (GQ180790)より得られ、続く2プライマーは、HPV18ゲノム中の96bpのDNA断片(GenBank Acc. No: GQ180790)を標的とするよう手動で設定された。
フォワードプライマー(Fw プライマー): GTTTAGTGTGGGCCTGTGC [配列番号(SEQ ID NO: )1]
リバースプライマー(Rev プライマー): GGCATGGGAACTTTCAGTGT [配列番号2]
1.2 初期混合物-検出限界以下
標的DNA分子数が初期ポリヌクレオチド混合物中のPCR検出限界を下回ることを確認するため、PCR解析を行った。9のポリヌクレオチド混合物試料(それぞれ1μlの最初の混合物を含む)がプライマー対[配列番号1及び2]とともにPCR増幅用DNAテンプレートとして用いられたが、予想された96 bpPCR産物はいずれの試料からも検出されなかった。最初の混合物からの個々の陰性PCR試料を示すアガロースゲルは図1において確認され得る
1.3 PINS第1ラウンド
上記のように、工程1で調製された、混合ポリヌクレオチド試料の10の個別の3.5 μl試料を、体積20μlでのMDA増幅のために選択し、ここで3.5 μlの混合ポリヌクレオチド試料中の標的DNA分子の検出率は0.078 (1-hypgeo(0;3500;1;45000)); 即ち、0.75より少なかった。1 μlの各MDA 増幅試料につき3個の複製したアリコート(#1 〜 #10)が、上記のように、標的特異的なPCRプライマー対を用いて、PCR増幅による標的DNA分子の存在確認のためにスクリーニングされ、次いでPCR産物を可視化するためにアガロースゲル電気泳動を行った(図2)。10の複製試料が解析されたため、10の複製希釈試料のうち少なくとも1つにおいて、標的DNA分子の検出確率は0.778 (1-hypgeo(0;35000;1;45000))、即ち、0.75より高かった。#10のみ、3の複製全てにおいて、正確なサイズの陽性PCR産物の結果が確認された。#10よりさらに10試料(各1μlのテンプレートを含む)を、同一条件を用いたPCRにより解析し、5(10のうち)の正確なPCR産物を結果として得た。第1のスクリーニングで得られた3(3のうち)、続くスクリーニングで得られたもの、ここで5(10のうち)は陽性であったを合わせて、総計8(13のうち)が陽性である観察され、全て#10を起源としていた。#10の総DNA濃度は0.222 μg/μlと定量化された。第2のスクリーニングからの10のPCR生産物を示すアガロースゲルは図2において確認される。
MDA増幅後の標的DNA分子の存在は(8/13 標的DNAコピー/μl):(0.208 μg/μl) = 2.96 標的DNA コピー/μgと算出された。結果として、増幅の第1ラウンドにおいてPINSにより得られた頻度の増加は、(2.96 標的/μg): (0.153 標的/μg) = 19.36 倍であった。
#10の再増幅
PINS第2ラウンドを進める前に、十分量のテンプレートを発生させるために、#10からの3.5 μl のテンプレートを50 μlのMDA反応混合物を用いることにより増幅させた。#10の再増幅の結果は、10の1 μlアリコートのPCR解析によって確認され、ここで10のうち6のPCR反応において、標的DNA分子が検出された(0.60標的DNAコピー/ μl)。この結果は#10の最初の標的DNA分子の頻度8/13(0.62)と良く相関する。標的コピー/μl試料出現率を、総DNA濃度で割ることにより、相対的な標的DNA分子の存在は、(0.6標的/μl):(0.222 μg/μl) = 2.70標的/μgと算出された。
驚くべきことに、再増幅の間には明らかに限られた程度の増幅バイアスしか起こらなかった。再増幅からの10個のPCR反応生産物を示すアガロースゲルは図3において確認される。
1.4 PINS第2ラウンド
PINS第1ラウンド由来の、#10の再増幅試料の10のアリコートを、MDA反応混合物中20倍希釈され、その結果標的DNA分子は、0.03標的DNA分子/μlの頻度に希釈した。希釈試料の1μlアリコート中の標的DNA分子(HPV18)の検出確率は、1-hypgeo(0;1000;30;50000) = 0.455、即ち0.75未満であった。各アリコートを上記のMDAプロトコールを用いて増幅させた。10のMDA反応外では、標的DNA分子は2つの反応試料、#8及び#10において検出され、ここで3(3のうち)の複製PCR反応が標的に対して陽性であった。10の複製試料のうち少なくとも1における標的の検出確率は1-hypgeo(0;10000;30;50000) = 0.9988、即ち0.75であった。
試料#8及び#10は1試料中にプールされ、2*10-1(5倍)希釈された。この希釈の1 μlのアリコートのPCRによる解析、検出された5(10のうち)のPCR反応中の標的DNA分子は、(図4)のゲルに見られるとおりである。プールされた試料は2*10-1 (5倍)希釈されたため、標的の量は5標的/10 μl 試験試料体積*5 = 2.5標的/μlと算出された。プールされた試料の総DNA量は0.207 μg/μlと測定されたため、標的DNA分子の頻度は2.5標的/μlを0.207μg/μlで割ることにより算出され、即ち12.08標的/μg DNAに相当する。
2ラウンドのPINSを通したプロトコールの概略は図5にまとめた。
1.5 2ラウンドのPINSによる標的分子DNAの濃縮の算出
最初の混合物(0.153 標的/μg)から最終試料(12.08 標的/μg)までの計算により、2回の連続したラウンドのPINS増幅後に、総ゲイン79.05に達した。第1ラウンドのPINS前のHPV18の存在量は、1 / 1.97*106 HPV18陽性ゲノム当量/総ゲノム当量であった。第1及び第2ラウンドPINS後の、対応する存在量はそれぞれ1.02*105及び 2.49*104であった。表1で確認できるように、濃縮は21の試験を用いて行われ、必要とされる配列決定等の従来試験の必要数は79倍減少した。
実施例2
本実施例において、標的DNA分子の配列決定を促進するためのPINSの使用が、PCRにより検出される限界を下回る標的DNA量の混合ポリヌクレオチド試料中で行われた。選択された標的DNA分子はHPVゲノム内に位置するポリヌクレオチドであった。混合試料中のこの標的DNA分子の量は0.0286コピー/μlに相当した。混合試料は実施例1に上記されるように調製された。標準的なPCRプロトコールを用い、PCR反応に添加されたテンプレート溶液量は通常1μlであり、PCRによる検出で陽性となるために必要な標的DNAの最少濃度は1コピー/μlである。よって、混合ポリヌクレオチド中の標的DNA分子の量は、PCR増幅及び後続の配列決定に必要な量の約35倍未満であった。実施例は、既知の標準PCRに基づく手順によっては達成不可能であった、混合試料中の標的DNAの配列決定のためにどのようにPINSが使用されることができるかを示す。
2.1 混合ポリヌクレオチド試料中の標的HPV18 DNA分子はPCRで検出不能である
混合ポリヌクレオチド試料(実施例1の混合ポリヌクレオチド試料に対応、MDA増幅前)μl当たりの標的DNA分子のコピー数がPCRの検出限界より下であったことを確認するため、一連の10の重複試料をPCR増幅させ(原料及び一般的方法 (Material and General Methods)に示されるプロトコールによる)、ここでは変更された50サイクルを用い、最適化された増幅パラメーターを用いた:15分間、94°C/65.8°/72°Cの各温度を維持した。増幅中で用いられたHPV-特異的プライマーは:
HPV-264f: 5’-GTGGTGTATAGAGACAGTATACC-3’ [配列番号3]
HPV-911f: 5’- CCTTCTGGATCAGCCATTGT [配列番号4]
であった。
HPV18ゲノム中の標的DNA分子の陽性増幅は667bpのPCR産物を発現させた(図6の枠内)。予想された通り、低い存在量のため、正確なサイズの増幅における結果は(10のうち)得られず、混合ポリヌクレオチド試料中の標的DNA分子の量が低いことを確認した(図6)
2.2 PINSは、混合ポリヌクレオチド中の標的HPV18 DNA分子の濃縮がPCR検出を許容することを促進する
最初の混合ヌクレオチド試料中の標的DNA分子のコピー数(0.0286標的コピー/μl)は、実施例1に記載されるように、PINSの実施により最終量は2.5標的コピー/μlに増加した。MDA増幅産物は、最初の混合ポリヌクレオチド試料のPINS第1ラウンドを行うことによって発生され、1μlのMDA増幅試料を用いて、上記のようにPCRにより解析された。図7に示されるように、予想されたサイズ(667 bp)のPCR産物が得られた。最初の混合ポリヌクレオチド試料の非特異的増幅の低いレベルにより、図7の#2列の塗布標本のように検出可能な低いバックグラウンドを発生した。レーン#2の667 bpまでの検出可能な生成物はゲルアウト(gel-out)(GeneJet Gel-out kit, Thermo Fischer Scientific)によって単離され、連続シークエンスを許容するため標的DNA分子の量を増加させるためにPCR再増幅を行った(レーン#A,図8)。
2.3 PINSにより得られた標的HPV18DNA分子の確認
レーン#Aから単離された(図8)精製された産物はフォワード及びリバース両プライマーを用いて配列決定された[配列番号3 及び4]。得られた配列はHPV18 (HPU89349)の配列にアラインメントされ、0個のミスマッチを有する完全なアラインメントとなった(図9)。実施例は、それらの配列が決定され得るレベルまで稀少な量の配列を濃縮するための、PINSの効果を確認する。
実施例3:土壌試料からエンドグルカナーゼ酵素をコードするヌクレオチド断片を単離する方法
3.1 エンドグルカナーゼをコードする標的DNA分子の選択のためのプライマー決定
多重のエンドグルカナーゼをコードする微生物遺伝子及び推定のエンドグルカナーゼはGenBankより得られ、そのヌクレオチド配列は多重配列のためのClustalWアラインメントを用いて配列決定された。アラインメントより、保存された核酸配列領域が同定され、これらの保存されたDNA配列の1つを有する標的DNA分子プライマーのセットが設計された。プライマー及びエンドグルカナーゼをコードする得られた遺伝子の配列の部分アラインメントは、図10に示される。
選択されたプライマーは481bpのPCR増幅産物をもたらすと推定された。しかし、天然の試料中の起源及びテンプレートの配列は未知であり、PCR生産物のサイズは予想されるサイズから外れていた可能性がある。
3.2 土壌試料からのDNA抽出
森林土壌の試料(8)は多様な土壌微生物源として採集される。8の異なった試料からのDNAは、Bead Beatingを用いて、Kvistら[10]によって記載されるように抽出される。各抽出物はMDARepli-g Miniキットを用いて増幅され、上記のMDA増幅条件(原料及び一般的方法 (Materials and general methods))が用いられる。増幅DNAの性質を0.7%アガロースゲル上の可視化により確認する。
3.3 標的DNA分子の存在及び存在量の決定
選択されたプライマー [配列番号5 及び 6]を用い、選択されたPCR条件: 94°C(30 ) + 60°C(30 ) + 72°C(30 )を用いて、標的DNA配列が観察されるかどうかを評価するために、最初のPCR解析が行われ、30サイクル実行される。
1の(8のうち)MDA増幅試料陽性PCR増幅の結果を示し、一方、残りの7は増幅のサインを示さなかった。PCR産物はアガロースゲル上で概ね正確に予想されたサイズを有すると評価される。リアルタイムPCR(RT-PCR)の実行により、標的DNA分子(推定のエンドグルカナーゼをコードする)がプライマー[配列番号5 及び 6]を用いて決定され、プライマー [配列番号7及び 8]を用いて16S rRNA 遺伝子の存在と比較される(ここで、16S rRNA遺伝子は総微生物DNA存在量の基準として用いられる)。16S rRNA遺伝子は、推定エンドグルカナーゼと比較して量において約550.000高い。定量化は16S rRNA遺伝子が9.4E6コピーで存在することを明らかにし、一方、エンドグルカナーゼはわずか17コピーが検出されたのみであった。よって、10-2希釈は試料(N)を、各アリコート試料は平均0.17テンプレートを含むよう、発生させることを必要とする。
3.4 標的DNA分子及びその隣接領域の濃縮化及び単離のためのPINSの手順の適用
標的DNA分子を含むことを確認されたDNA試料を、以下の通りPINSの対象とする:
3.4.1: PINS第1ラウンド
上記の検出された定量化に基づいて、1:10の希釈係数(D)を用いて希釈系列調製され、次いで(N)の複数の複製希釈10-2に設定する。20の個々の10-2希釈した試料を調製し、Repli-g Mini kit (Qiagen)を用いて遺伝子増幅の対象とした。各増幅試料は、PCRプライマー[配列番号5 及び 6]及び上記1.3のRT-PCR条件を用いて個別に解析された。結果は、20個の試料のうちの3陽性PCR増幅され、予想されたサイズのDNA産物であった。PINS解析結果の関連データを以下に列記する。
PINS データ #1
PINS 定量化数 (quant no): 24.3
希釈係数: 10
次の希釈: 10-3
次の反復の試料: 20
3.4.2: PINS第2ラウンド
前ラウンド(PINS#1)からのPINS-ソフトウェア解析に基づき、全体で少なくとも20個の試料が次ラウンドの複製に必要とされると推定される。よって、20の10-3希釈試料を調製し(即ち、前の総希釈試料(Dt)に対し10倍の希釈(D)増大)、そして各個別の試料はRepli-g MDA kitを用いて増幅される。各試料は続いてプライマー[配列番号5 及び6]を用いて解析され、(20のうち)1試料が予想されたサイズのDNA産物を生成する。この試料はさらなる進行のために選択される。PINS解析結果の関連データを以下に列記する。
PINS データ #2
PINS定量化数: 230
希釈係数: 9.6
次の希釈: 10-4
次の反復の試料: 20
3.4.3: PINS第3ラウンド
PINS#2の計算値に基づいて、少なくとも20試料が次ラウンドの濃縮に再び必要とされると推定される。ソフトウェアにより提示される希釈は10-4であり、20個の試料が調製される。20試料はRepli-g Mini Kitを用いて増幅され、続いてプライマー[配列番号5 及び 6]を用いたRT-PCR増幅の対象とされ、ここで4個の試料が予想されたサイズのDNA産生物を生成する。これらの4個の試料をプールし、次の反復ラウンドへ用いる。PINS解析結果の関連データを以下に列記する。
PINS データ #3
PINS定量化数: 2840
希釈係数: 12
次の希釈: 8.4*10-6
次の反復試料: 25
3.4.4: PINS第4ラウンド
PINS#4の計算値に基づいて、ここで合計25個の試料が8,4*10-6希釈で調製される。各個別の複製希釈試料はRepli-g Mini Kitを用いて複製される。プライマー[配列番号: 5 及び 6]を用いたRT-PCR解析は、2つの試料が予想されたサイズのDNA産物を精製することを示す。PINS解析結果の関連データを以下に列記する。
PINS データ #4
PINS 定量化数: 27200
希釈係数: 12
次希釈: 8.8*10-7
次反復試料: 25
3.4.5: PINS第5ラウンド
PINS#4の計算値に基づいて、ここで合計25個の試料が8.8-10-7希釈で調製される。さらに、各個別の試料はRepli-g Mini Kitを用いて増幅される。プライマー配列番号6 及び 6]を用いたRT-PCR解析は、2つの試料が予想されたサイズのDNA産物を精製することを示す。PINSソフトウェアの結果を以下に列記する。
PINSデータPINS#5
PINS 定量化数: 365000
この解析ラウンドからの2つの陽性試料を1つの試料にプールし、標的遺伝子についてプライマー[配列番号5及び 6]を用い、16S rRNA遺伝子についてプライマー [配列番号7 及び8]を用い、同じ試料においてRT-PCRを実行する。5ラウンドのMDA増幅に続く総DNA(rRNA遺伝子により測定されたように)のレベルは、最初の観測に比べて顕著に変化しなかったが、標的DNAの総DNAに対する比率は、ここで365000/ 9200000 = 約1/25と計算される。前の研究は1:100の比率がRGWによってゲノムデータを得るのに十分であることを示した。各増幅プライマーはRGWのリンカーライゲーションプライマーと組合せられる。
3.4.6: PINSにより濃縮された標的DNA分子の配列決定
5サイクルのPINSは標的DNA分子の存在を、例えば標的DNAを含む遺伝子全体及び潜在的オペロンを従来のシークエンシング法により配列決定できる状態に置かれるように、増強させることを提供する。結果として、RGW法[7]が、3つの無作為DNA試料のライブラリーにおいて実行され、ここで、標的DNA分子で濃縮された3のライブラリーは、3の制限的消化(EcoRI, HindIII 及び BglII/MboI)、次いで互換性のある5’突出末端(5’overhangs)を含む各RWGプライマー、例えば、オリゴ配列を形成するためのプライマー対[配列番号5] 及び[配列番号6]、による消化をアニーリングすることにより発生する。[配列番号5及び6]のスクリーニングに用いられる標的DNA分子に特異的なプライマーは、標的DNA分子及びその隣接領域に及ぶより大きなPCR産物を発生させるためのPCR増幅において、RGプライマー[配列番号5]との組合せ用いられる。
最初に、手順を用いて2つのDNA配列が発生し、獲得した配列に基づく追加的なプライマーの設置が、結果として3996bp遺伝子を構成する1つのORFの完全な集合(assembly)をもたらす(図11)。遺伝子はEndoGlu-fw(5')末端の196bp上流に位置するATG開始コードを有する。シャイン・ダルガノ(ShineDalgarno)及び-10 &-35 ボックスはATG開始コードの5'末端方向に位置する。さらに、3'方向において遺伝子へのはっきりとした結合は確認されず、遺伝子がおそらくより大きなオペロンの一部ではないことを示す。
実施例4:共通ゲノム起源の遺伝的要素の関連付けのためのPINSの使用
本実施例は、混合試料中(例えば、患者から採取された)mecA遺伝子の存在を検出するため、及び遺伝子が試料中に存在するブドウ球菌(Staphylococciゲノムに由来するかを決定するためのPINSの使用を示す。本解析は同時に起こるmecA遺伝子の上流約13000塩基対のブドウ球菌遺伝子の共増幅をモニターするためのPINSの使用に依存する。実験は多重置換増幅(MDA)に対するphi29ポリメラーゼの高い忠実度(fidelity)を利用して設計され、増幅中に発生されるために上限+70000 bpまでのゲノム断片を許容する。PINSの実行後、mecA遺伝子及びブドウ球菌遺伝子(SA)に特異的なプライマーを用いて発生したPCR産物のレベルが同程度の量に到達する場合、PCR産物は同じゲノムに由来し、即ち、MRSA、MDAの範囲内に共増幅されたことを示す。PINS処理後のシークエンシングされたPCR生産物の集合体は、mecA遺伝子がブドウ球菌遺伝子(SA)に由来することを確認するために用いられる。
4.1 プライマー設計
mecAをコードする微生物遺伝子の多配列はGenBankデータベースより得られ、これらの配列は多配列アラインメントのためのClustalWを用いてアラインメントされる[9]。100%配列同一のアラインメント領域は、プライマー設計に位置し、用いられる。結果として得られたmecAを標的するプライマーは:
MR-fw: 5’-CAAACTACGGTAACATTGATCGCAAC-3’ [配列番号16]
MR-Re: 5’ - CAATATGTATGCTTTGGTCTTTCTGC-3’ [配列番号17],
であり、且つ126 bp PCR産物を生成すると予想される。
標的のスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureusに用いられる株特異的プライマーが、抵抗性SCCmec 統合部位 (OrfX) から約13,000 bp 5’上流方向に設置される[14]。
プライマーの配列は:
SA-fw: 5’- CGTGAAGAAACAGAACGAATGATTC - 3’ [配列番号18],
SA-Re: 5’- GCCTCTAGAATATTTCATCGCATTTG - 3’ [配列番号19],
であり、且つ126 bp PCR産物を生成すると予想される。
4.2 1次生物試料採集及びDNA抽出及び定量
MRSAを含む疑いのある試料をPINS解析の対象とする。患者から試料を綿棒(cotton-stick-swab)を用いて採集する。A&A Biotechnology (Poland) DNA Swab抽出キットを用いて全DNAを綿から抽出する。
抽出されたDNAは10倍連続希釈へのテンプレートとして用いられる。希釈された各試験管は直接リアルタイム(RT)PCRにより、各2セットのプライマーMR(MR-fw 及び MR-Re) 及び SA (SA-fw 及び SA-re)を有する25 μl RT-反応混合物中1μl のテンプレートを用いて解析される。
MR(mecA)を標的としたRT-PCR解析より、同じサイクルのプログラム中の並列試料で実行する内部標準と比較することによりCt値が測定され、絶対数/コピーへ変換される。MR(mecA)の量は1.70*102と算出され、一方SA (スタフィロコッカス・アウレウス)は1.34*103の量で存在すると算出される。RT解析より、試料はmecA標的よりもより多くのスタフィロコッカス標的を含むことが明らかとなる。2つの生産物の比は1/8 (MR/SA)に近い。
4.3 濃縮及び標的DNA分子のmecA 及びスタフィロコッカスの診断のための、PINSの手順の適用
4.3.1: 第1ラウンドPINS #1
検出された最初の試料中の標的DNA分子レベルに基づき、試料N(1.7*10-3希釈)の10の複製を調製する。10の複製試料のそれぞれにRepli-g Ultra-fastを適用し、その後MR標的DNA分子を検出するためのRT-PCR解析を実行することにより、10個の試料(「試料E」)のうち1試料が多量のMR-PCR産物を産生することが確認され、一方残りの9個の試料は検出可能なMR-PCR産物の量を含まない。このMR陽性試料において、RT-PCRの定量化は、MR-PCR生産物の存在量が1.27*103であり、SA-PCR生産物の存在量が1.31*103ことを示す。ここで、2つの標的DNA分子の比は同レベルにシフトし、最初の比1:8から、1:1に近い比となる。
4.3.2: 第2ラウンドPINS #2
陽性「E」試料に基づき、1.27*10-3 (2.3.1)希釈を有する他の一連の希釈を設定し、再度N (1,27*10-4希釈)の10の複製試料を調製する。各試料はRepli-g Ultra-fast MDA kitを用いて増幅される。RT-PCR解析より、MRは10のうち9個の試料を検出することができ、陽性試料中のMRの存在量は1.32*104であることが明らかとなる。比較解析は、SAの存在量が同一のまま: 1.31*104であるように、SA-PCR生産物のレベルが増加していないことを明らかにする。2つの生産物の比は、再び1:1にかなり近づく。標的の存在量において顕著な変化を得ることなくx10倍の追加の増幅を得るためPINSを採用し、量はさらに増加しないと結論づけ、純粋(に近い)試料の存在を示す。したがって、追加のPINSラウンドは、結果としてさらに高い精製レベルになることはない。したがって、次のステップは、抵抗性の遺伝子mecA及びその隣接遺伝子の同定を進めるために増幅されたテンプレートのシークエンスを行い、そして同じ試料中に置かれる独立したDNA分子のようなMR及びSAよりもむしろMRSAの存在を確認することである。
4.3.3.: MR標的DNA分子中のmecA及び隣接遺伝子の配列決定
既知のMRSA(GenBank, NCBI)を標的とするよう設定されたプライマーが、配列決定(sequencing)及び集合(assembly)に用いられるPCR産物と重複を発生させるために用いられる。種々の長さの24のPCR産物が発生し、2つの連続的な2475 bp及び19186 bpの配列がPCRにより生産され、配列決定され、及び集合される。追加の789bpがRGW [7]により得られ、十分な重複が、2つの集合体が1つの22450 bpの大きな集合体の中へ組み入れられるために設定される。Nucleotide BLAST [11]はデータベース中では多重MRSA株(multiple MRSA strains)とほぼ完全一致する(>99.9%)ことを示す。
総論:
PINS第1ラウンドにより、MRの存在量が8倍増加したことが確認された。標的化されていないバックグラウンドでの解析の実行により、MRとSAとの間の比は、PINSの最初の実行の間に明らかに偏り(PINS#1)、一方、続くラウンドではこの比率は維持された(PINS#2)。よって、PINS選択ラウンド中にMR標的DNA分子のみが用いられたとしても、標的化されていないSAは同量存在することから、両方の標的DNA分子は同じDNA断片に由来するものと結論づけられる。解析より、非抵抗性のStaphylococciも推定では最初の混合物中に存在するにもかかわらず、MR抵抗性は他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase-negative Staphylococci)[12]等のようなmecAを含む細菌ではなく、スタフィロコッカス・アウレウスに由来することが明らかである。MRはスタフィロコッカス・アウレウスでない細菌株において存在し得るが、MDA増幅中の両方の標的DNA分子の共増幅のため、明らかにSAとともに増幅する。よって、プライムされた(primed)配列はゲノム中で13000 kbに分離され、両方の性質を同じゲノムのフラクションへ割り当てることが可能であり、MRSAの存在を診断するのに十分である可能性がある。加えて、この観察結果を検証し、DNAは既知のMRSA遺伝子配列とほぼ同一である(+99.9%)ことが明らかとなった。
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Claims (19)

  1. DNA分子集団を含む混合ポリヌクレオチド試料から標的DNA分子を濃縮するためのインビトロの方法であって、以下の工程:
    a)前記標的DNA分子及び非標的DNA分子を含む混合ポリヌクレオチド試料を提供し、ここで前記標的DNA分子は1又は複数の、少なくとも10ヌクレオチドの既知の固有の連続配列を含み、前記固有の連続配列は前記非標的DNA分子と区別可能であり、
    b)希釈された混合ポリヌクレオチド試料中の前記標的DNA分子の検出確率が0.75未満になるまで、前記混合ポリヌクレオチド試料を連続的に希釈し、そして
    c)少なくとも1つの複製希釈試料中の前記標的DNA分子の検出確率が少なくとも0.75となるまで、十分な数の、前記希釈された混合ポリヌクレオチド試料の複製物を製造し;
    d)前記複製希釈試料中のDNA分子を増幅して、各試料のDNA分子の存在量を増加させ;
    e)工程d)で増幅された前記複製希釈試料中の標的DNA分子の存在又は不存在を検出し、そして標的DNA分子の存在が検出された複製希釈試料を選択し、ここで、前記選択された複製希釈試料中の前記標的DNA分子の頻度が、工程(a)における混合ポリヌクレオチド試料と比較して増加されており;そして
    f)前記標的DNA分子を含むものとして工程e)で選択された複製希釈試料を、希釈試料中の前記標的DNA分子の検出確率が0.75未満になるまで連続的に希釈すること、
    を含み、そして、少なくとも1回、工程(c)〜(e)又は(f)を繰り返すことを含む、方法。
  2. 工程b)において、希釈された混合ポリヌクレオチド試料中の前記標的DNA分子の検出確率が0.50未満になるまで、前記混合ポリヌクレオチド試料を連続的に希釈する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程b)において、希釈された混合ポリヌクレオチド試料中の前記標的DNA分子の検出確率が0.25未満になるまで、前記混合ポリヌクレオチド試料を連続的に希釈する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程c)において、少なくとも1つの複製希釈試料中の前記標的DNA分子の検出確率が0.80〜0.95となるまで、十分な数の、前記希釈された混合ポリヌクレオチド試料の複製物を製造する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程a)の混合ポリヌクレオチド試料中の前記標的DNA分子の頻度が非標的DNA分子に対して10-2〜10-7である、請求項1〜4のいずれか1項に記載に記載の方法。
  6. 工程a)の混合ポリヌクレオチド試料中の前記標的DNA分子の頻度が非標的DNA分子に対して10-4〜10-7である、請求項5に記載の方法。
  7. 工程b)における前記混合ポリヌクレオチド試料の連続的希釈物が、各試料中のDNAの存在量を増加させるために増幅され、次いで各増幅試料において前記標的DNA分子の存在又は不存在を検出し、これにより前記標的DNAの検出確率が0.75未満である希釈試料を得るために必要な連続希釈回数を決定する、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 工程d)においてDNA分子は、ランダム縮重プライマーPCR、リンカーライゲーションPCR、縮重オリゴヌクレオチドプライマー(DOP)PCR及び多重置換増幅から選択される技術により増幅される、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 少なくとも一部の前記標的DNA分子の核酸配列を決定するために、前記標的DNA分子の核酸配列解析を行う工程g)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記標的DNA分子内において、前記1又は複数の、少なくとも10ヌクレオチドの固有の連続配列の存在がPCRにより検出される、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  11. 前記標的DNA分子内における、前記1又は複数の、少なくとも10ヌクレオチドの固有の連続配列の存在が、前記標的DNA分子へのハイブリダイゼーションにより検出される、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記標的DNA分子が、少なくとも10ヌクレオチドの固有の連続配列を、少なくとも2つ含み、ここで、前記標的DNA分子は50〜100,000個の核酸塩基対を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記標的DNA分子が150〜3,000個の核酸塩基対を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記標的DNA分子が150〜1500個の核酸塩基対を含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 工程(f)の希釈試料の総希釈が工程(c)〜(e)の各反復に対して2〜20倍増加される、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 工程(c)で調製された複製希釈試料の数が2〜500個である、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
  17. 標的DNA分子が細胞ゲノムに由来する、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
  18. 細胞が細菌性細胞、真菌性細胞及び哺乳類細胞から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 標的DNA分子が、ウィルスゲノム、哺乳類ゲノム、又はそれらの組合せに由来する、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
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