JP6521862B2 - 皮膚用の注入可能な滅菌組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒアルロン酸またはその塩に基づき、かつ皮膚の欠陥および欠点の処置のために意図された、滅菌の注入可能な組成物の分野に関する。
ヒアルロン酸は、皮膚に天然に存在し、その粘弾性および水を吸収するための非常に高い傾向のために知られている。上記特性は、皮膚の弾性に非常に大きく寄与する。
この化合物は、その特性および生体適合性の質、許容範囲および毒性がないことを考慮して、10年よりも長い間、医療および化粧品の分野において、特に審美的手法において、多くの用途で利用されている。
すなわち、ヒアルロン酸は、しわを埋めるために、およびしわまたは皮膚の陥没(depression)によって呈される真皮の構造の局所的衰えを減少させる、または除去さえするために、一般的には考慮下の部分において真皮に直接注入することにより、使用される。
修飾されていないヒアルロン酸は、完全に生体適合性であり、内因性のヒアルロン酸と同じである。
しかし、ヒアルロン酸は本質的に、分解、熱およびしたがって滅菌に対する高められた耐性を考慮して、架橋されたヒアルロン酸に基づくゲルの形態、したがって修飾された形態で使用される。
これらの架橋されたヒアルロン酸ゲルは、種々の製造法によって得られ得る。一般に、これらの方法は、2の主要工程を必要とする。第一の工程は、ヒアルロン酸を水性ゲルに転化するためにヒアルロン酸を水和することから成り、第二は、上記水性ゲルを、その架橋を誘発し得る剤(「架橋剤」とも言う)の存在下で架橋することを目的とする。この剤は通常、エポキシド、アルデヒド、ポリアジリジルまたはジビニルスルホン(DVS)、またはブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)から選択され、したがって本来は合成である。
これらの方法の例として、特に、米国特許出願公開第2006/0105022号明細書、国際公開第2006/056204号パンフレットおよび米国特許出願公開第2007/0036745号明細書に記載されたものが挙げられ得る。
現在市販されているおよび慣用の架橋剤を用いて得られる架橋されたゲルは一般に、4%超の修飾度またはさらには10%までの修飾度を有する。
本発明の目的のために用語「修飾度」は、ヒアルロン酸に結合した架橋剤のモル数と上記架橋されたゲルを形成するヒアルロン酸のモル数との比を示すことが意図される。この量は、特に、架橋されたゲルの1D H NMR分析によって測定され得る。
表現「ヒアルロン酸のモル数」は、ヒアルロン酸の繰り返しジサッカリド単位のモル数を意味することが意図され、上記ジサッカリド単位は、交互のβ−1,4−およびβ−1,3−グリコシド結合によって互いに連結したD−グルクロン酸およびD−N−アセチルグルコサミンで構成される。
しかし、内因性のヒアルロン酸にできるだけ近づくという観点から、より低い修飾度を有する架橋されたヒアルロン酸ゲルを有することが望ましいであろう。
確かに、より低い修飾度(すなわち1〜2%)を有する架橋されたゲルがすでに提案されている。不幸なことに、それらは、凝集性に乏しく、また粉砕に対する耐性が低いことが分かっている。これらの欠点は特に、制限された粘弾性範囲によって振動レオロジーに現れる(上記粘弾性範囲は、応力掃引(stress sweep)による測定の間にG’が一定のままであるところの応力範囲によって表わされる。この粘弾性範囲の程度は、特に、クロスオーバー応力、すなわちG’の値が減少し、G”の値に等しいところの応力を測定することによって評価され得る)。
この挙動はしたがって、しわを埋める用途のために改善されるべきである。
米国特許出願公開第2006/0105022号明細書 国際公開第2006/056204号パンフレット 米国特許出願公開第2007/0036745号明細書
特に、できるだけ低い修飾度を有し、同時に、示された機械的特性の点で十分なままである架橋されたヒアルロン酸のゲルのための要求が残っている。
あらゆる予想に反して、本発明者らは、架橋工程が特定の種類の化合物の存在下で行われるときにそのようなゲルが得られ得ることに気がついた。
すなわち、本発明の第一の局面によれば、本発明の主題は、架橋剤としての少なくとも有効量の少なくとも1の内因性のポリアミンの存在下でヒアルロン酸またはその塩を架橋することに由来する架橋されたヒアルロン酸ゲルであり、上記架橋は、上記ヒアルロン酸と上記内因性のポリアミンとの共有結合形成に有利な条件下で行われる。
確かに、ポリアミンは、架橋されたヒアルロン酸ヒドロゲルの形成のためにすでに提案されているけれども、本発明にしたがって考慮されるものと異なる。
すなわち、Xiang Mei Yuanら、Journal of biomaterials Applications 0(0) 1−9; 27 February 2012、およびJunseok Yeomら、Bioconjugate Chem., 1991(2) 232−241、ならびに国際公開第2012/008722号パンフレットは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)の存在下で架橋されたヒアルロン酸(HA)ヒドロゲルを提供する。しかし、考慮されたポリアミン、すなわちヘキサメチレンジアミン(HMDA)は合成ジアミンであり、したがって内因性のジアミンでない。さらには、この従来技術において使用された架橋剤(HMDA)の量が25〜72%の範囲であり、5〜35%という非常に高い修飾度を結果する。
用語「架橋剤の量」は、ゲルを合成するために使用されたポリアミンのモル数とヒアルロン酸のモル数との比を示すことが意図される。
最後に、後述する実施例から明らかなように、上記HA−HMDAゲルは、機械的特性の点で、本発明にしたがって得られるものよりも有意に小さい有効性を有することが分かる。
本発明にしたがって考慮される内因性のポリアミンに関して、国際公開第2008/015249号パンフレットは、その一部が、抗老化活性剤および酸化防止剤としての局所的使用のために上記ポリアミンをヒアルロン酸粒子と共に使用することを提案している。明らかな理由のために、そのような混合物は、本発明にしたがって考慮されるゲルと非常に異なる。
Di Meoら、Biomacromolecules, 2006, 7:1253−60は、ウギ(Ugi)反応またはヒアルロン酸とスペルミジンとの縮合によるヒドロゲルの形成を記載している。したがって、これは、本発明において考慮されるものとは異なるメカニズムを含む。さらには、こうして得られかつ本発明に従う使用に向けられていない上記ヒドロゲルは、多い量の架橋剤(5〜25%)を使用する方法から結果する。
本発明者らはしたがって、内因性のポリアミンが、上記期待に従う、すなわち通常考慮される架橋剤を使用したものと比べて低下された修飾度、および特に十分な機械的特性および滅菌に対する耐性を有する、架橋されたヒアルロン酸ゲルを得るための最適な架橋剤を構成することに気付いた。
実際、本発明に従う架橋されたゲルは、有意に低下された修飾度、すなわち1%以下の修飾度を有し、同時に機械的特性の点で十分なままである。
本発明に従う架橋されたゲルはまた、それが、ほとんどの生きている生物、特にヒトに天然に存在する化合物からなる点で有利であることが分かる。
この擬似天然性の点から、それは、これに関する消費者による増加する要求を満たす。
最後に、本発明にしたがって考慮される内因性のポリアミンに固有の特性は、本発明にしたがって得られる架橋されたヒアルロン酸ゲル内において恐らく保持される。これらの特性が、たまたま酸化防止効果または抗老化効果さえも有する限り、それらは、本発明の内容において特に好ましい。
本発明の別の局面によれば、本発明の主題が、生理学的に許容され得る媒体中に本発明に従う少なくとも1の架橋されたヒアルロン酸ゲルを含む滅菌の注入可能な皮膚用組成物である。
本発明の目的のために、用語「皮膚」は、顔、首、ネックライン、手、頭、腹部および/または足の皮膚を包含し、また口唇を包含する。
用語「滅菌の」は、本発明に従う組成物において考慮される化合物および/またはそれらを含む組成物を保証できる環境、皮膚へのまたは皮膚を通る投与、特に表皮内投与および/または皮内投与および/または皮下投与、のために要求される無毒、を得ることが意図される。特に、上記化合物を含み、注入法、例えばメソセラピー法に従う方法、にしたがって投与されなければならない組成物は、ホスト生物において不利な副反応を開始することができる汚染体がないことが必須である。
本発明の目的のために、用語「注入できる」は、その機械的特性が、考慮される使用、すなわち皮膚内へのまたは皮膚を通る投与、特にしわを埋めるための投与、に適するところの組成物を示すことが意図される。
すなわち、本発明にしたがう組成物は、細い皮下注射針(特に18G未満、さらには27G未満の直径を有する)によって注入可能であり、有利には、45°未満の位相角(δ)と共に、20〜1000Pa、好ましくは40〜400Paの弾性率(G’)を有する。
この弾性率(G’)および位相角(δ)は、下記で定義されるプロトコルによって測定される。
本発明のさらに別の局面によれば、その主題が、本発明にしたがう少なくとも1の架橋されたヒアルロン酸ゲルを含む皮膚用または化粧料組成物である。
この実施態様は、投与法の点で限定されず、その結果、上記組成物を局所的に投与することを許す。
本発明の別の局面によれば、その主題が、下記:
本発明にしたがう架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは本発明にしたがう組成物の少なくとも1の用量を含むパッケージ、
上記用量の投与に向けられた、皮膚内へのまたは皮膚を通る注入のためのデバイスまたは皮膚のマイクロ穿孔のためのデバイス
を含むキットである。
本発明のさらに別の局面によれば、その主題が、本発明にしたがう架橋されたゲルまたは組成物を、皮膚ボリューム欠陥(skin volume defect)を埋める、特にしわを埋めるために使用する方法である。
本発明の別の局面によれば、その主題が、本発明にしたがう架橋されたゲルまたは組成物を、年代による老化の皮膚の兆候および/または外部因子、例えばストレス、大気汚染、タバコまたは紫外線(UV)放射への長い暴露によって誘発される皮膚の兆候を予防するおよび/または処置するために使用する方法である。
本発明のさらに別の局面によれば、その主題が、本発明にしたがう架橋されたゲルまたは組成物を、皮膚の表面外観の変化を予防しおよび/または処置するために使用する方法である。
本発明のさらに別の局面によれば、その主題が、本発明にしたがう架橋されたゲルまたは組成物を、皮膚の粘弾性または生物力学的特性の変化を予防するおよび/または処置するために使用する方法である。
本発明の目的のために、用語「予防」は、現象の出現のリスクを減少させることを意味することが意図される。
本発明の別の局面によれば、その主題が、本発明にしたがう架橋されたゲルまたは組成物を、皮膚内へまたは皮膚を通せて投与する少なくとも1の工程を含む、化粧的皮膚処置法である。
本発明のさらに別の局面によれば、本発明が、少なくとも下記:
a)架橋されていない状態のヒアルロン酸またはその塩の水性ゲルを用意すること、
b)工程a)で得られたゲルを有効量の少なくとも1の内因性ポリアミンと接触させること、
c)工程b)で得られた上記混合物を架橋すること、該架橋化は、該ヒアルロン酸と該内因性ポリアミンとの共有結合形成に有利である条件下で行われる、そして
d)該架橋されたヒドロゲルを回収すること
から成る工程を含む、ヒアルロン酸またはその塩の架橋されたゲルを製造する方法に関する。
1の特定の実施態様によれば、上記方法がまた、上記架橋されたゲルを、その架橋化を停止するために有利な条件に暴露することから成る、架橋化を停止する工程e)を含み、この工程は、回収工程d)の前に、工程d)と一緒にまたは工程d)の後に行われるのが可能である。
架橋されたヒアルロン酸ゲル
上述したように、本発明にしたがう架橋されたヒアルロン酸ゲルは、少なくともヒアルロン酸またはその塩の、架橋剤としての少なくとも1の内因性ポリアミンによる架橋に由来し、上記架橋化は、上記ヒアルロン酸と上記内因性ポリアミンとの結合形成に有利な条件下で行われる。
ヒアルロン酸は、交互のD−グルクロン酸単位およびN−アセチル−D−グルコサミン単位を有する直鎖ポリサッカリドである。
Figure 0006521862
ヒアルロン酸はいくつかの組織に天然に存在し、体の至る所に存在するヒアルロニダーゼによって、または酸化機構によって分解される。
本発明の目的のために、用語「内因性ポリアミン」は、生きている生物および特に人体に天然に存在するポリアミンを示すことが意図される。
本発明にしたがうポリアミンは、その結果、合成起源のポリアミンであるヘキサメチレンジアミン(HMDA)と異なる。
内因性ポリアミンの例として、動物真核生物における、プトレシン(または1,4−ジアミノブタン)、スペルミジン(または1,8−ジアミノ−5−アザオクタン)およびスペルミン(1,12−ジアミノ−5,9−ジアザドデカン)が特に挙げられ得る。
スペルミンはテトラアミンであり、スペルミジンから合成される。
Figure 0006521862
有利には、本発明にしたがう架橋されたゲルを得るために使用される内因性ポリアミンが、スペルミジン、スペルミンおよびそれらの混合物から選択され得、さらにより良好にはスペルミンである。
この選択は、スペルミンおよびスペルミジンが多くの基本的細胞メカニズム、例えばDNA合成および遺伝子発現、に関与するので、なおいっそう有利である。局所的に使用されたとき、皮膚の状態を改善することおよび老化の兆候を減少させることに関する有益な効果がすでに記載されている(特に国際公開第2006/048671号パンフレットを参照)。これらの化合物はまた、選択された酸化防止剤および抗老化活性剤であることが考慮される。
ヒアルロン酸と内因性ポリアミンとの架橋反応を達成するための本発明において考慮される結合反応は、アミン官能性とカルボン酸との反応によって行われ、したがって、アミド官能性の形成を生じる。
言いかえると、本発明において考慮される架橋反応は、内因性ポリアミンと共有結合された架橋されたヒアルロン酸の分子の形成をもたらす。静電相互作用はない。
あらゆる予想に反して、得られる架橋されたゲルは、考慮される修飾度が非常に低下される点において、非常に十分な、または先に言及された慣用の方法によって得ることができない機械的特性を示す。
すなわち、1の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが有利には、1%以下、好ましくは0.1〜1%、より好ましくは0.4〜0.8%の修飾度を有する。
先に示したように、「修飾度」は、ヒアルロン酸に結合した内因性ポリアミンのモル数と上記架橋されたゲルを形成しているヒアルロン酸のモル数との比に対応する。この量は、特に、架橋されたゲルの1D H NMR分析によって測定され得る。
表現「ヒアルロン酸のモル数」は、ヒアルロン酸の繰り返しのジサッカリド単位のモル数を意味することが意図され、上記ジサッカリド単位は、β−1,4−およびβ−1,3−グリコシド結合によって互いに連結したD−グルクロン酸およびD−N−アセチルグルコサミンで構成されている。
1の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、ヒアルロン酸の全量に対して、架橋反応に付されない0.5〜40重量%のヒアルロン酸を含み得る。
別の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、5〜30mg/gのヒアルロン酸濃度を有し得る。
さらに別の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、20〜1000Pa、好ましくは40〜400Paの弾性率(G’)を有し得る。
1の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、45°未満の位相角(δ)を有する、主に弾性の粘弾性ヒドロゲルの形態であり得る。
1の好ましい実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、20〜1000Pa、好ましくは40〜400Paの弾性率(G’)を45°未満の位相角(δ)と組み合わせて有し得る。
特に、本発明にしたがう架橋されたヒアルロン酸ゲルが、34G〜18Gの直径を有する皮下注射針によって注入可能であり得る。
さらに別の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、高い凝集性を有する。この特徴は特に、100Pa超の高い応力掃引クロスオーバー応力によって表わされる。
弾性率(G’、単位:Pa)および位相角(δ、単位:°)は、下記プロトコルにしたがって測定され得る。
測定は、25℃で1Hzの振動数で、Thermo Haake RS3000レオメーター(1°/35mm直径のコーン−プレート形状を有する)を使用する応力掃引を用いて行われる。G’およびδは、5Paの適用された変形応力で、すなわち、G’およびδが安定なままであるところの粘弾性範囲において、記録される。クロスオーバー応力の値(G’が低下して粘弾性率G”に等しくなるとき)も次いで記録される。
本発明にしたがう凝集性ゲルの場合には、このクロスオーバー応力がしたがって、100Pa超である。
最後に、1の特定の実施態様によれば、本発明にしたがう架橋されたゲルが、高い滅菌耐性を有し得る(滅菌によって引き起こされるG’の損失が50%未満である)。
滅菌は、F0>15(滅菌値)が得られるように、T°≧121℃でオートクレーブ(湿加熱)において行われ得る。
先に示したように、本発明にしたがう架橋されたゲルを得るための架橋反応は、上記ヒアルロン酸と上記内因性ポリアミンとの共有結合形成に有利な条件で行われる。
本発明の目的のために、用語「有利な条件」は、上記結合形成を開始する要素を意味することが意図される。
この開始要素の選択は、当業者に明らかである。
一般に、この結合形成は、少なくとも1の「活性剤」化合物によって行われ、適切な場合には、少なくとも1の「補助のカップリング剤」と組み合わされる。
例えば、そのような活性剤が、ヒアルロン酸のカルボキシル基の炭素をより求電子的にし、したがって内因性ポリアミンのアミン基の1に関してその反応性を刺激する機能を有し得る。
活性剤は有利には、縮合剤であり得、例えば、ピリジニウム塩、例えば、Magnani,A.ら、Polymers for Advanced Technologies 1 1, 488−495(2000)に記載された2−クロロ−1−メチルピリジニウム、Bulpitt, P. & Aeschlimann,J. of Biomed. Mateials Res. 47, 152−169(1999)に記載されたカルボジイミド、またはBergmanら、Biomacromolecules 8, 2190−2195(2007)に記載されたトリアジン誘導体であり得る。
好ましくは、そのような活性剤が、水溶性カルボジイミド、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ETC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフィリノエチル)カルボジイミド(CMC)およびそれらの塩、ならびにそれらの混合物から選択され得、好ましくはEDCによって表わされる。
好ましくは、補助のカップリング剤が、存在する場合には、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HAt)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホNHS)およびそれらの混合物から選択され得、好ましくはHOBtによって表わされる。
さらにより好ましくは、そのような活性剤がEDCから選択され得、適切な場合には、補助のカップリング剤としてのHOBtと組み合わされる。
EDCは、カルボキシレートとの中間体を形成することにより、カルボン酸を活性化することを可能にする。HOBtの反応媒体への添加は、特に、エピメリ化を回避すること、および反応を促進することを可能にする。
架橋されたゲルを製造する方法
上述したように、本発明はまた、ヒアルロン酸またはその塩の架橋されたゲルを製造する方法に関し、上記方法は、少なくとも下記:
a)架橋されていない状態のヒアルロン酸またはその塩の水性ゲルを用意すること、
b)工程a)で得られたゲルを、有効量の少なくとも1の内因性ポリアミンと接触させること、
c)工程b)で形成された上記混合物を架橋すること、ここで当該架橋化は、上記ヒアルロン酸と上記内因性ポリアミンとの共有結合形成に有利な条件で行われる、そして
d)上記架橋されたヒドロゲルを回収すること
からなる工程を含む。
1の特定の実施態様によれば、上記方法はまた、上記架橋化を停止する工程e)を含む。上記工程は、上記架橋されたゲルを、その架橋化を停止することに有利な条件に暴露することから成り、回収工程d)の前、工程d)と一緒に、または工程d)の後に行われることが可能である。
1の特定の実施態様によれば、架橋工程c)が、少なくとも1の活性剤の存在下で、任意的に少なくとも1の補助のカップリング剤、すなわち、結合されるべき上記2の化合物の少なくとも1の反応性を刺激する化合物、好ましくは上記に挙げられたものから選択されるもの、と組み合わされて、行われ得る。
この活性剤および任意的に補助のカップリング剤を添加する工程は従って、有利には、架橋工程c)と一緒に行われ得る。
1の特定の実施態様によれば、本発明に従うゲルを得るために使用されるヒアルロン酸が塩の形態であり得る。
好ましくは、ヒアルロン酸が、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銀塩、およびそれらの混合物から選択され得、好ましくはナトリウム塩である。
有利には、本発明に従うゲルを得るために使用されるヒアルロン酸が、50,000〜10,000,000ダルトン、好ましくは500,000〜4,000,000ダルトンの平均分子量を有し得る。
架橋反応を行うためのヒアルロン酸の量の調整は、当業者に明らかである。
有利には、ヒアルロン酸またはその塩が、本発明に従う架橋されたゲルを製造する方法において、工程b)の終わりに、すなわち架橋工程c)を行う前に得られた混合物の総重量に対して、0.5〜12重量%。好ましくは1〜4重量%の量で使用され得る。
架橋反応を行うための内因性ポリアミンの量の調整は、当業者に明らかである。
架橋剤の量は、上記ゲルを合成するために使用される、ポリアミンのモル数とヒアルロン酸のモル数との比に対応する。
有利には、1以上の内因性ポリアミンが、本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルを製造する方法において、反応媒体、すなわち工程b)の混合物に存在するヒアルロン酸のモル数に対して、0.1〜3%、好ましくは0.5〜1.5%のポリアミンのモル数の量で使用され得る。
有利には、活性剤が、適切な場合には1以上の補助のカップリング剤と組み合わされて、本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルを製造する方法において、反応媒体のヒアルロン酸のモル数に対する活性剤および適切な場合には補助のカップリング剤のモル数(n活性剤/nHA)が0.1〜2、好ましくは0.5〜1.5である量で使用され得る。
架橋されたヒアルロン酸ゲルは、少なくとも1の内因性ポリアミンの存在を考慮することによって得られる。
その結果、架橋化は、この種の架橋剤のみを使用して行われ得る。しかし、この架橋化はまた、少なくとも1の補助の、特に慣用の架橋剤の同時の存在を考慮することによって行われ得る。
有利には、この補助の架橋剤が次いで、唯一の架橋剤として使用されるときに慣用的に保持されるものと比較して有意に低下された量で考慮され得る。
この補助の架橋剤は、エポキシド、アルデヒド、ポリアジリジル、内因性ポリアミンと異なるポリアミン、ポリホスフェート、ジビニルスルホン(DVS)、およびそれらの混合物、好ましくはエポキシド架橋剤から選択され得、好ましくは二官能性または多可能性である。
好ましくは、補助の架橋剤が、エポキシド、より特に1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、ジエポキシオクタンまたは1,2−ビス(2,3−エポキシプロピル)−2,3−エチレン、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ブタン、1,4−ビスグリシジルオキシブタン、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポシキ)エチレン、1−(2,3−エポキシプロピル)−2,3−エポキシシクロヘキサン、およびそれらの混合物、さらにより良好には1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)から選択され得る。
さらに、アルカリ金属ハライドの無機塩の存在がまた、架橋反応の間に考慮され得る。
実際、予期せぬことに、本発明者らは、架橋反応を行いながら、アルカリハライドの無機塩の存在が、同じ架橋度に関して架橋されたゲルのレオロジー特性をさらに改善することを可能にすることが分かった。
本発明の目的のために、用語「アルカリハライドの塩」は、アルカリカチオンと、ハロゲン原子を必ず表すアニオンとで構成された化合物を示すことが意図される。
有利には、ハロゲン原子が、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択され得、好ましくは塩素によって表される。
好ましくは、本発明に従うアルカリハライドの無機塩が、ナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩から選択され得、さらにより良好には、ナトリウム塩によって表される。
さらにより好ましくは、本発明に従うアルカリハライドの無機塩が、NaClであり得る。
NaClは実際、生理学的に許容され得るという利点を有し、また、架橋されたヒアルロン酸ゲルの組成の一部である原料の一つの構成成分の一つである。
有利には、アルカリハライドの無機塩が、本発明に従う方法において、工程b)の終わりに得られた混合物の総重量に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で使用され得る。
上記を考慮して、本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルを製造する方法は最初に、少なくともヒアルロン酸を架橋されていない形態で含む水性ゲルを、架橋剤としての少なくとも1の内因性ポリアミンと組み合わせて用意することを必要とする。
本発明の目的のために、用語「架橋されていない」は、架橋されていないまたは変形されていないヒアルロン酸の水性ゲル、すなわち、そのポリマー鎖が強い結合または共有結合によって互いに連結されていないところのヒアルロン酸の溶液を示すことが意図される。
特に、工程a)で考慮される水性ゲルは、適切な容器において、
(i)水性媒体、
(ii)架橋されていない形態の少なくともヒアルロン酸またはその塩、および
(iii)適切な場合には、少なくとも1の内因性ポリアミン
を一緒にし、そして、
得られた混合物を均質化する、
ことによって事前に得られ得、ここで、上記化合物(i)、(ii)および(iii)の上記容器への添加順は重要でない。
言い換えると、工程a)の水性ゲルが、少なくとも1の内因性ポリアミンの存在を考慮する場合には、本発明に従う方法の工程a)およびb)が一緒に行われる。
第一の実施態様の変形によれば、この水性ゲルが、水性媒体およびヒアルロン酸を容器に導入し、同時におよび/または逐次に、こうして形成された混合物を均質化し、次いで、適切な場合には、同時および/または逐次の均質化と共に架橋剤を添加することにより形成され得る。
第二の実施態様の変形によれば、この水性ゲルが、水性媒体、ヒアルロン酸および架橋剤を容器に導入し、同時におよび/または逐次に、こうして形成された混合物を均質化することにより得られ得る。
この第二の実施態様の変形は、単一の均質化工程が行われる点において有利である。
有利には、この水性ゲルを形成する工程が、35℃未満の温度、好ましくは15〜25℃の温度、さらにより良好には環境温度で行われ得る。
工程a)で考慮される水性ゲルが、有利には均質である。
この品質は、水性ゲルが均質化されるところの操作によって保証される。上記操作は、工程a)に対する予備の工程を構成し得る。
任意的に架橋剤の存在下で行われ得るこの操作の目的は、特に、ヒアルロン酸および適切な場合には架橋剤を、水性媒体中で水和しそして完全に均質化すること、およびこうして、予期された架橋されたゲルの品質の最適化に寄与することである。
実際、明らかな理由により、架橋されたゲルの均質性は、架橋前のゲルの均質な性質と密接に関係する。
均質化は、得られた溶液が、凝集することなく、均質な色および均一な粘度を有するときに十分であると考えられる。それは、有利には、ヒアルロン酸の鎖の分解を防止するために、温和な操作条件下で行われ得る。
この工程は、ヒアルロン酸が高い分子量を有する場合には一層重要である。そのとき、そのような化合物の水和は実際、凝集の出現が通常観察されるところの高い粘度の溶液の形成を生じる傾向を有する。
上記から明らかなように、工程b)で形成された混合物、または適切な場合には、架橋剤の存在を考慮するときの工程a)の水性ゲルが次いで、本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルを製造する方法の工程c)によって説明される架橋反応に付される。
先に示されたように、この架橋化は、上記ヒアルロン酸と上記内因性ポリアミンとの結合形成に有利な条件下で行われる。
この結合形成およびしたがって架橋反応を誘発するために保持されるべき有利な条件は、ヒアルロン酸の分子量、水性媒体、および架橋剤の性質(この場合には、完全にまたは部分的に内因性ポリアミンによって形成される)に依存し得る。
これらの有利な条件は特に、上述したように、適切な場合には少なくとも1の補助のカップリング剤と組み合わされた、少なくとも1の活性剤の存在によって反映され得る。
先に示されたように、活性剤および適切な場合には補助のカップリング剤を添加する工程は好ましくは、架橋工程c)と一緒に行われ得る。
しかし、1の特定の実施態様によれば、活性剤および適切な場合には補助のカップリング剤が、架橋工程c)の前に、および特に少なくとも1の内因性ポリアミンを添加する工程の前に添加される。
別の実施態様によれば、活性剤および適切な場合には補助のカップリング剤を添加するこの工程は、工程b)と一緒に行われ、その場合には、工程b)が架橋工程c)と一緒に行われる。
さらに、架橋度がまた、工程b)の終わりに得られた混合物に適用される架橋工程の時間に依存する。時間が長いほど、架橋度が高いが、超えられるべきでない最適値があり、そうでないならば、ヒアルロン酸を分解する危険がある。
すなわち、ヒアルロン酸の架橋がEDCおよびHOBtの存在下で行われるとき、架橋工程c)は、30分〜72時間、優先的には3〜24時間の範囲の期間にわたって行われ得る。
先に記載されたように、架橋化の停止(工程e)が、ゲルを回収する工程d)の前、それと一緒にまたはその後に起こり得る。
そのような工程e)は、架橋されたゲルまたは架橋を受けるゲル、またはそれを含む容器を、上記架橋化を停止するのに有利な条件、または種々のポリサッカリド鎖の間の結合の形成を停止し得る条件に暴露することを必要とし得る。
この工程は、工程c)の間に試薬全てが消費されるならば自然に開始され得、または、ゲルを生理学的pHに戻しそして未反応の残留試薬を除去するところの精製工程によって促進され得る。
1の好ましい実施態様の変形によれば、工程e)が工程d)の前に行われる。
1の特に好ましい実施態様によれば、本発明に従う方法が、(i)ヒアルロン酸ナトリウム、(ii)架橋剤としてのスペルミン、および(iii)活性剤としてのEDCを、補助のカップリング剤としてのHOBtと組み合わせて、使用する。
明らかな理由により、本発明の方法の終わりに得られた架橋されたゲルは一般に、直接注入可能でない。なぜならば、対応する水性調製物は、生理学的条件と相容性でないかもしれないし、また、適切なpHを有しないかもしれないからである。
すなわち、当業者に公知の1以上の追加の工程が行われ得る。
特に、本発明に従うゲルを精製する工程が、ゲルを生理学的pHに戻すこと、および未反応の残留試薬を除去することを可能にする。
この精製工程は、特に、透析工程によって表され得る。さらには、当業者のノウハウに従って、インプラントの品質をさらに改善するために、続く均質化の工程、架橋されていないヒアルロン酸の組み込み工程、および任意的に分別工程がまた行われ得る。ゲルは、注入された媒体のものと等価の量の塩の存在によって生理学的に調製されなければならない。
最後に、得られたヒドロゲルは、制御された大気条件下で注入器に充填され得、上記注入器は次いで、滅菌工程、好ましくは熱滅菌を受けることが可能である。
組成物
本発明の別の局面によれば、上述したように、本発明はまた、生理学的に許容可能な媒体中に、上記で定義された少なくとも1の架橋されたヒアルロン酸ゲルを含む滅菌の注入可能な皮膚用組成物に関する。
その注入可能性故に、本発明に従う組成物は従って、生理学的に許容可能な媒体を必ず含む。
用語「生理学的に許容可能な媒体」は、毒性がなく、ケラチン物質中へのまたは上記物質を通る組成物の注入および/または適用と相容性である媒体を意味することが意図される。
組成物は、生理学的に許容可能な溶媒または生理学的に許容可能な溶媒の混合物を含み得る。
組成物は、生理学的に許容可能な水性媒体を含み得る。
本発明に適する水性媒体として、例えば水が挙げられ得る。
本発明に適する組成物の製造に適する等張剤として、糖および塩化ナトリウムが挙げられ得る。
上述したように、本発明のさらに別の局面によれば、本発明は、本発明に従う少なくとも1の架橋されたヒアルロン酸ゲルを含む皮膚用組成物または化粧料組成物に関する。
この実施態様は、投与法において限定されず、その結果、上記組成物を局所的に投与することを許す。
追加の活性剤
本発明に従う組成物はまた、滅菌の注入可能な組成物の分野における使用と相容性である少なくとも1の追加の活性剤を含み得る。
本発明において使用可能な追加の活性剤のうち、酸化防止剤、アミノ酸、ビタミン、鉱物、核酸、補酵素、アドレナリン含有誘導体、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
酸化防止剤として、特にグルタチオン、エラグ酸、スペルミン、レスベラトロール、レチノール、L−カルニチン、ポリオール、ポリフェノール、フラボノール、テアフラビン、カテキン、カフェイン、ユビキノール、ユビキノンおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
アミノ酸として、特にアルギニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、グリシン、バリン、スレオニン、プロリン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
ビタミンまたはその誘導体として、特にビラミンE、A、CおよびB、より特にビタミンB、B、B、B、B、BおよびB12、さらにより良好にはピリドキシンが挙げられ得る。
鉱物として、特に亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、ナトリウム塩、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
核酸として、特にアデノシンの誘導体、シチジンの誘導体、グアノシンの誘導体、チミジンの誘導体、シトジンの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
補酵素として、特にコエンザイムQ10、CoA、NAD、NADPおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
アドレナリン含有誘導体として、特にアドレナリンおよびノルアドレナリンが挙げられ得る。
さらに、本発明に従う組成物はまた、考慮される技術分野において通常使用される賦形剤、例えばリン酸二水素ナトリウム1水和物および/または2水和物および塩化ナトリウムを生理学的に適する量で含み得る。
追加の活性剤および/または賦形剤の量は、もちろん、考慮される化合物の性質、所望の効果、および本発明に従う組成物の目的に依存する。
これらのパラメータは、当業者の一般的技術の範囲内である。
有利には、本発明に従う組成物が、上記組成物の総重量に対して2〜10000ppm、好ましくは5〜1000ppm、さらにより良好には50〜500ppmの追加の活性剤および/または賦形剤を含み得る。
さらに、しわを埋めるために向けられた組成物の注入がしばしば、患者にとって痛みの感覚を引き起こすことが知られている。
すなわち、1の特定の実施態様によれば、本発明に従う組成物がまた、少なくとも1の麻酔剤を含み得る。
麻酔剤はまさに、本発明に従う組成物を投与するときおよび/またはその後に患者によって感じられる痛みの感覚を低減する、または除去さえするという利点を有する。
さらに、本発明者らは、そのような化合物の存在が、本発明に従う組成物において使用される他の化合物との、特にヒアルロン酸との不相容性の危険を起こさないことが分かった。
本発明において使用され得る麻酔剤は、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、アルチカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジサイクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、エチルクロライド、エチドカイン、β−ユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp−アミノベンゾエート、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、メチルクロライド、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルソカイン、オキセタザイン、パレソキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピオカイン、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリシルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、またはそれらの塩から選択され得る。
特に、本発明において使用され得る麻酔剤は、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、クロロプリカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プロカイン、ロピバカインおよびテトラカインから選択され得る。
好ましくは、麻酔剤が、リドカイン、さらにより良好にはリドカイン塩酸塩であり得る。
本発明に従う組成物は有利には、上記組成物の総重量に対して0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の麻酔剤を含み得る。
1の特定の実施態様によれば、本発明に従うゲルまたは組成物がまた、架橋された形態のヒアルロン酸に加えて、架橋されていない形態のヒアルロン酸を含み得る。
そのような、遊離のおよび架橋された形態のヒアルロン酸の組み合わせは、皮膚の保湿および皮膚ボリューム(volume)の保持を直ちに結果する。さらに、それは、主に遊離のヒアルロン酸の存在故に、皮膚繊維芽細胞の増加を誘発し、この繊維芽細胞の増加は、架橋されたヒアルロン酸がインビボで分解されると、経時的に延長される。機能性の点から、架橋されていないヒアルロン酸の存在は、針を通るゲルの押出し力を有意に改善することを可能にし、したがって、生成物を注入するために施術者によって適用される力を助ける。
滅菌の注入可能な架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは皮膚用組成物の投与
本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは組成物は、当業者に公知の様式の任意の1つを使用して注入され得る。
特に、本発明に従うゲルまたは組成物は、表皮内および/または皮内および/または皮下注入に適する注入デバイスによって投与され得る。
注入デバイスは、注射器、マイクロシリンジの組、水圧(hydraulic)レーザーデバイス、注射銃、無針注入デバイス、またはマイクロニードルローラーから選択され得る。
好ましくは、注入デバイスが注射器またはマイクロシリンジの組から選択され得る。
好ましくは、そのような手段が、皮下注射針またはカニューラであり得る。
本発明に従う針またはカニューラは、18〜34G、好ましくは25〜32Gの範囲の直径および4〜70mm、好ましくは4〜25mmの範囲の長さを有し得る。
針またはカニューラは有利には使い捨てである。
有利には、針またはカニューラが、注射器または、上記注入可能な組成物を針またはカニューラによって運ぶための任意の他のデバイスと組み合わされる。1の実施態様の変形によれば、カテーテルが、針/カニューラと注射器との間に挿入され得る。
公知のやり方で、上記注射器は、施術者によって手動で、または注射器補助物、例えば銃、によって操作され得る。
キット
本発明の別の局面によれば、本発明は、
少なくとも1の用量の本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは組成物を含むパッケージ、
上記用量の投与に向けられた、皮膚にまたは皮膚を通して注入するためのデバイスまたは皮膚の微穿孔のためのデバイス、
を含むキットに関する。
上記パッケージは、本発明に従う上記ゲルまたは組成物の少なくとも1の用量の貯蔵のために適する。
上記パッケージは、さらに、上記ゲルまたは上記組成物がサンプリングされることを許すように整えられ得る。
すなわち、第一の実施態様によれば、上記パッケージは、上記ゲルまたは上記組成物がサンプリングされることを許すように印をつけられる。
例えば、それはアンプル、ボトルまたはカプセルの形態であり得、特にソフトカプセルの形態であり得る。
好ましくは、上記パッケージが、単一用量であり得および/または印をつけられた端部(a scored end)を有し得る。
第二の実施態様によれば、上記パッケージが、貯蔵中の気密シーリングを可能にし、そして使用時に針またはカニューラによって穴をあけられ得るところのキャップを有する。
注入デバイスに関して、それは先に定義された通りであり得、好ましくは使い捨てである。
好ましくは、注入デバイスが、表皮内および/または皮内および/または皮下注入に適する。
優先的に、上記デバイスは、メソセラピー法に適する。
使用
本発明のさらに別の曲面によれば、本発明は、本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは組成物の、年代による老化の皮膚の兆候および/または外的要因、例えばストレス、タバコおよび/またはUV放射への長い暴露によって誘発される皮膚の兆候を予防するおよび/または処置するための使用に関する。
本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは組成物はまた、皮膚の表面外観の変化、皮膚の粘弾性または生物力学的特性の変化、細胞エネルギー代謝における低下または皮膚の脱水を予防するおよび/または処置するために使用され得ることにおいて有利である。
本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは組成物は、再び、皮膚ボリューム欠陥、特にしわを埋める、および/または皮膚の輝きを回復するために使用され得ることにおいて有利である。
処置法
本発明の別の局面に従えば、本発明は、本発明に従う架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは組成物を皮膚にまたは皮膚を通して投与する少なくとも1の工程を含む、化粧的皮膚処置法に関する。
1の特定の実施態様によれば、投与工程は、処置されるべき表面の全部または一部の上で繰り返され得る。注入の繰り返しは、本発明に従う組成物が、処置されるべき皮膚領域に均質に分布されるように層を作ることを可能にする。
1の特定の実施態様によれば、本発明の方法によって有利に処置される皮膚領域は、皮膚および口唇、特に顔、首、ネックライン、手、頭、腹部および/または足の皮膚であり得る。
本発明に従うゲルまたは組成物は、有利には、しわおよび小じわのレベルで注入され得る。
いくつかの注入法がある。
使用され得る方法として、「多重ボーラス」法が挙げられ得る。これは、ボーラスと呼ばれる、平均0.05mlの本発明に従う組成物の注入を表面表皮(superficial dermis)において行うことから成り、上記ボーラスは各々、約1cm離れている。この方法は、特に顔およびネックラインのために勧められる。
「バックトラック」法も挙げられ得る。これは、表面表皮においてリニアトラッキング注入を行い、皮膚の陥没に沿って45°の角度で針を導入し、次いで本発明に従う組成物を表面表皮に、針を優しく引き抜きながら、沈着させることから成る。
最後に、「多重穿刺」法が挙げられ得る。これは、少量の本発明に従う組成物の表皮での多重注入を一気に行うことから成る。注入点は、互いに非常に接近しており、例えば、約3mmおきであり、処置されるべき表面にわたってまたはシワに沿ったラインを形成することによって均質に分布される。この方法は、特に肌の色を統一するために勧められる。
本発明に従う処置法はまた、老化または光老化の皮膚の兆候、特にしわのある皮膚、粘弾性または生化学的特性の変化を示す皮膚、その組織の結合の変化を示す皮膚、その表面外観の変化を示す皮膚、皮膚の緩みを予防するおよび/または処置するために有利であることが分かる。
本発明に従う処置法はまた、細胞エネルギー代謝の低下または皮膚の脱水を予防するおよび/または処置するために有利であることが分かる。
本発明に従う処置法はまた、皮膚ボリューム欠陥、特にしわ、を埋めるおよび/または皮膚の輝きを取り戻すために有利であることが分かる。
本発明に従う処置法は好ましくは、表皮、真皮−表皮および/または真皮、または皮下領域において行われ得る。
本明細書全体にわたって、表現「1を含む」は「少なくとも1を含む」と同義であり、「・・・と・・・との間」および「・・・〜・・・の範囲」は、両端を含むことを意味すると理解されるべきである。
下記実施例は、本発明の非制限的説明として与えられる。
実施例1:架橋剤としてのスペルミンにより架橋されたヒアルロン酸ゲルを製造するプロトコル
ヒアルロン酸が、水中に3重量%の濃度で溶解される。均質な溶液を得た後、スペルミン(Sigma−Aldrich社によってSigmaの名称で販売された≧96%のもの)、活性剤としてのEDC(Sigma−Aldrich社によってFlukaの名称で販売された≧98.0%のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩)および補助のカップリング剤としてのHOBt(Sigma−Aldrich社によってAldrichの名称で販売された≧97%の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)を含む溶液が上記ヒアルロン酸溶液に添加される。この溶液の体積が、2.3%のヒアルロン酸を含む混合物全体が得られるように規定される。
この溶液のpHが、HClまたはNaOHの希釈溶液を使用して、反応の前に5.5〜6.5の混合物全体のpHが得られるように調整される。
試薬の量が、所望の修飾度に従って調整される。
それらは、5x10−3〜2x10−2モル/モルの、ポリアミンのためのヒアルロン酸繰り返し単位、および0.5〜1モル/モルの、結合反応に関与する活性剤および補助のカップリング剤のためのヒアルロン酸繰り返し単位の範囲である。使用された化学量論は、与えられた実施例に示されている。
架橋化のために、水性ゲルが25℃で7〜24時間暴露される。
架橋後、得られたゲルが、2〜3日間にわたっていくつかの透析浴によって精製され、必要ならば、生理学的pHに調整される。
洗浄後に得られた水性ゲルは、20mg/gに近いヒアルロン酸濃度を有する。
ゲルを針に通すための押出力を助けるために、架橋されていないヒアルロン酸が次いで、上記で得られたゲルに組み入れられ、そして均質化される。
滅菌がオートクレーブ(湿加熱)中でT°≧121℃で行われて、F0>15(滅菌値)を得た。
実施例2:本発明に従う(スペルミンを用いる)、および比較例である(HMDAを用いる)架橋されたヒアルロン酸ゲルの製造
3つの架橋されたヒアルロン酸ゲルが、上記実施例1で定義されたプロトコルに基づいて製造される。
これらの3つのゲルに関して、nHOBt=nEDC=nHAである。
これら3つのゲルは、下記表1に示されるように、考慮下のポリアミンの性質および/または「ポリアミン/ヒアルロン酸」比によって互いに異なる。最終欄[HA]は、得られたゲルのヒアルロン酸濃度を示す。
Figure 0006521862
1)ゲルA、BおよびCの修飾度の解析
サンプル調製プロトコル
ゲルA、BおよびCが、イソプロパノールを用いて洗浄/析出される。
分析のための液体マトリックスを得るために、得られた固体が乾燥され、次いでDO中に溶解され、ゲルの分解のための1mlのDO中のヒアルロニダーゼ(VI−S型、Sigma、3kU)の存在下で処理される。
得られた均質な混合物が次いで、H NMRによって分析される。
修飾度の測定
ゲルA、BおよびCのそれぞれの修飾度の解析がNMR分光学によって行われる。
ポリアミンに関して、HMDAの場合には1.34ppmでの、スペルミンの場合には1.73ppmでのHプロトンピークが参照として保持される。
Figure 0006521862
上記3つの架橋されたヒアルロン酸ゲルの各々の修飾度が次いで、下記式にしたがってこれらの参照ピークの積分を使用して解析される。
Figure 0006521862
X:測定に関して保持されるピークのプロトン数、すなわちスペルミンおよびHMDAの場合には4
δ−アセタミド:HAのアセタミドピーク、したがって3個のプロトンを含む、に対応するシフト
NMR分析が、400MHz(H)で作動するBruker Avance 1分光計において行われる。
種々の結果および観察が、下記表2にまとめられる。
Figure 0006521862
上記表2から分かるように、本発明に従う架橋されたゲルBおよびCの修飾度は、対照のゲルAと比べて、有意に低下されている。
スペルミンを用いて架橋されたヒアルロン酸は従って、HMDAを用いる架橋化から得られたものより修飾が少ない。
2)機械的特性の解析
a)ゲルA、BおよびCの粘弾性が、5Paの応力に関して1Hzで行われた、それらの弾性率G’(単位Pa)およびそれらの位相角δ(°)の測定によって解析される。
下記表3が、測定された値を表わす。
Figure 0006521862
対照ゲルAは、ポリアミン(HMDA)で架橋されたが、ヒアルロン酸の修飾度が高いものの、その機械的特性が弱いので、十分でない。
他方、ゲルBおよびCは、低下された修飾度であるにも関わらず、比較ゲルAと比べて有意に改善されたレオロジー挙動を示す。
b)ゲルA、BおよびCの滅菌耐性が、これらのゲルをオートクレーブ(湿加熱)中でT°≧121℃で行われた滅菌に暴露してF0>15(滅菌値)を得た後の弾性率G’(単位Pa)の損失を解析することによって決定される。
下記表4は、測定された値を表わす。
Figure 0006521862
対照ゲルAはここでも、ゲルBおおびCと比較して小さい滅菌耐性を示すので十分でない。

Claims (15)

  1. 架橋されたヒアルロン酸ゲルであって、ヒアルロン酸またはその塩が、ヒアルロン酸のモル数に対して0.1〜3%のポリアミンのモル数の量で、スペルミジン、スペルミンおよびそれらの混合物から選択される内因性ポリアミンにより共有結合を介して架橋化されており、上記ゲルが1%以下の修飾度を有し、上記修飾度が、上記ヒアルロン酸に結合した内因性ポリアミンのモル数と上記架橋されたゲルを形成しているヒアルロン酸のモル数との比であり、上記ゲルが20〜1000Paの弾性率(G’)を、45°未満の位相角(δ)と共に有する、上記ゲル。
  2. 0.1〜1%の修飾度を有する、請求項1に記載のゲル。
  3. 100Pa超のクロスオーバー応力掃引を有する、請求項1又は2に記載のゲル。
  4. 少なくとも下記:
    a)架橋されていない状態のヒアルロン酸またはその塩の水性ゲルを用意すること、
    b)工程a)で得られたゲルをスペルミジン、スペルミンおよびそれらの混合物から選択される内因性ポリアミンと接触させること、ここで該内因性ポリアミンは、工程b)の混合物に存在するヒアルロン酸のモル数に対して、0.1〜3%のポリアミンのモル数の含量で使用される、
    c)工程b)で形成された該混合物を架橋すること、ここで該架橋化は、少なくとも1の活性剤の存在下で、または少なくとも1の活性剤と少なくとも1の補助のカップリング剤との組み合わせの存在下で、行われる、そして
    d)該架橋されたヒドロゲルを回収すること
    から成る工程を含む、ヒアルロン酸またはその塩の架橋されたゲルを製造する方法。
  5. 架橋化を停止する工程e)をも含み、この工程が、回収工程d)の前に、工程d)と一緒にまたは工程d)の後に行われることが可能である、請求項4に記載の方法。
  6. ヒアルロン酸またはその塩が、工程b)の終わりに得られる混合物の総重量に対して0.5〜12重量%の含量で使用される、請求項4又は5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 上記架橋化が、補助の架橋剤の存在下で行われる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. (i)ヒアルロン酸ナトリウム、(ii)架橋剤としてのスペルミン、および(iii)それぞれ活性剤および補助のカップリング剤としてのEDCとHOBtとの組み合わせを使用する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 上記活性剤が、水溶性カルボジイミドおよびそれらの塩、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 上記活性剤が、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−エチル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ETC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフィリノエチル)カルボジイミド(CMC)およびそれらの塩、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 上記補助のカップリング剤が、存在する場合には、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HAt)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホNHS)およびそれらの混合物から選択される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  12. 上記架橋化が、少なくともEDCおよびHOBtの存在下で行われる、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  13. 生理学的に許容可能な媒体中に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1の架橋されたヒアルロン酸ゲルを含む、滅菌の注入可能な皮膚用組成物。
  14. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1の架橋されたヒアルロン酸ゲルを含む、化粧料または皮膚用組成物。
  15. 下記:
    少なくとも1の用量の請求項1〜3のいずれか1項に記載の架橋されたヒアルロン酸ゲルまたは請求項13又は14に記載の組成物を含むパッケージ、および
    上記用量の投与に向けられた、皮膚内へのまたは皮膚を通る注入のためのデバイスまたは皮膚のマイクロ穿孔のためのデバイス
    を含むキット。
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