JP6520784B2 - 鋳造装置および鋳造製品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、鋳造製品が軽量においても、容易に鋳造製品を離型し、生産性が向上する鋳造装置および鋳造製品の製造方法を提供することにある。
可動金型は、天側に設けられ、天地方向に移動可能で、天側に開口する有底穴(12)を有する。
固定金型は、地側に設けられ、可動金型が閉じたときに可動金型との間にキャビティ(41)を形成し、キャビティに溶融金属(5)が充填されたとき、鋳造製品(6)を成形可能である。
筒部は、有底筒状であり、摺動部は、筒部の内側面(58)に沿って摺動可能である。
また、棒状部材は、天側における摺動部の摺動部端面(59)および筒部の底面(55)の間に第1隙間(91)が形成されている。
振動子は、接続部に接続され、接続部を介して摺動部とともに天地方向に振動可能である。
板状部材は、有底穴に収容され、可動金型が天方向に移動したとき摺動部に接触する。
離型ピンは、可動金型内に収容され、板状部材に接続されており、鋳造製品が成形されたとき、鋳造製品に接触する接触面(73)を有する。また、離型ピンは、摺動部が板状部材に接触し、摺動部および板状部材を介して振動子とともに振動したとき、鋳造製品が地方向に落下し、接触面から鋳造製品を離型する。
この鋳造製品の製造方法は、鋳造製品の重量が500gw以下に相当する溶融金属を前記キャビティに注入する溶融金属注入工程(S202)を含む。また、振動子とともに離型ピンを振動させ、接触面から鋳造製品を離型する離型工程(S204)を含む。これにより、上記鋳造装置と同様の効果を奏する。
図1に示すように、鋳造装置1は、可動金型10、「板状部材」としてのエジェクタプレート30、固定金型40、「棒状部材」としての2つのエジェクタロッド51、振動部材60、離型ピン70、金型駆動部80および温度制御部81を備える。
成形部17は、地側に設けられ、固定金型40に対向し、固定金型40を開閉可能である。
また、可動板11は、後述のエジェクタロッド51が挿通可能な挿通穴16を有する。
挿通穴16は、有底穴12と連通しており、挿通穴16の径は、エジェクタロッド51の径よりも大きくなるように形成されている。
キャビティ41は地方向に延びる凸空間42が形成されており、キャビティ41に溶融金属5が充填されたとき、鋳造製品6が成形される。溶融金属5の材料は、例えば、アルミニウム(Al)が用いられる。また、キャビティ41は、鋳造製品6の重量が500gw以下に相当する容積をもつように形成されている。
筒部52は、天側の一端54がねじ状になっており、天板13と嵌合されている。また、筒部52は、有底筒状に形成され、地側に開口しており、天側に底面55および連通穴56を有する。連通穴56は、外側面57と内側面58とを連通する。
摺動部53は、棒状に形成され、内側面58に沿って摺動可能に形成されている。また、摺動部53は、連通穴56を介して、振動部材60と接続されている。
接続部61は、L字形状の断面を有し、摺動部53の外側壁63および振動子62に接続されている。
振動子62は、接続部61を介して、摺動部53とともに天地方向に振動可能である。
振動子62は、電気または空気を駆動源として遠心力を振動力Fvに変換する回転式振動子が用いられる。また、振動子62は、空気を駆動源としてピストンの往復運動により振動力Fvを得るピストン式振動子を用いてもよい。
離型ピン70は、複数設けられ、可動金型10の内部を貫通しており、エジェクタプレート30とともに、成形部17内に沿って天地方向に移動可能である。
また、離型ピン70は、円形形状の断面を有し、地側に基端部72を有し、天側に先端部71を有する。
先端部71は、外部に露出しており、キャビティ41内の溶融金属5が凝固し、鋳造製品6が成形されたとき、鋳造製品6に接触する先端部71の端面である接触面73が形成される。
また、最大高さ粗さRzは、JIS_B_0601に準拠した定義である。最大高さ粗さRzを測定する機器として、例えば、触針を用いる接触式表面粗さ測定機またはレーザーを用いる非接触式表面粗さ測定機が用いられる。
コーティング74は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、炭窒素化チタン(TiCN)もしくは窒化アルミニウムクロムシリコン(AlCrSiN)等の金属窒化物が用いられる。
油圧シリンダに代替して、モータおよびボールねじを用いた直動案内機構を用いてもよい。
温度制御部81は、冷却配管82および温度センサ83に接続されており、離型ピン70のピン温度Tp[℃]が制御可能である。
温度制御部81が行う処理について、図4のフローチャートに基づき説明する。以下、
フローチャートにおいて、記号「S」はステップを意味する。離型ピン70における予め設定された温度を設定温度Ts[℃]とする。設定温度Tsは、離型ピン70もしくは溶融金属5に用いられる材料、実験またはシミュレーション等によって求めることができる。設定温度Tsは、200℃以上400℃以下の範囲である。
ステップ102において、温度制御部81は、ピン温度Tpと設定温度Tsとを比較する。ピン温度Tpが設定温度Tsを上回るとき、ステップ103に移行する。
ステップ102において、温度制御部81は、ピン温度Tpが設定温度Ts以下になるとき、終了する。
このように、温度制御部81は、ピン温度Tpが設定温度Ts以下となるように、すなわち、Tp≦Ts となるように、ピン温度Tpを制御する。
図5に示すように、金型駆動部80によって可動板11とともに可動金型10が地方向へ移動し、固定金型40を閉じたとき、可動金型10と固定金型40との間にキャビティ41が形成される。
図7に示すように、充填された溶融金属5が凝固し、鋳造製品6が成形される。図中において、溶融金属5と区別するため、鋳造製品6を斜線ハッチングで示す。
そこで、一実施形態では、鋳造製品6が軽量においても、鋳造製品6と離型ピン70とを容易に離型し、生産性が向上するように、離型ピン70に工夫を施している。
図2に戻って、一実施形態の鋳造装置1は、筒部52の底面55と天方向側における摺動部53の摺動部端面59との間の空間である第1隙間91が形成されている。底面55から摺動部端面59までの距離を第1隙間距離L1とする。
第1隙間91は、第1隙間距離L1が第1下限値L1_low以上第1上限値L1_upp以下となるように、すなわち、L1_low≦L1≦L1_upp となるように形成されている。
第1隙間91に加えて、エジェクタロッド51は、一端面93と対向面94との間に空間である第2隙間92が形成されている。
[1]第1隙間91が形成されていることによって、摺動部53が天地方向に振動部材60とともに振動するとき、摺動部53がエジェクタプレート30および底面55に衝突する。
図11に示すように、摺動部53がエジェクタプレート30および底面55に衝突したときに生じる衝撃力Fiが鋳造製品6の重力Fgおよび振動力Fvに加わる。重力Fgと振動力Fvに衝撃力Fiが加わり、鋳造製品6にかかる地方向へ働く力が凝着力Faを上回りやすくなり、鋳造製品6は落下しやすくなる。したがって、鋳造製品6が軽量においても、鋳造製品6と離型ピン70とが容易に離型し、生産性が向上する。
図15に示すように、接触面73の最大高さ粗さRzが大きくなるに伴い、アンカー効果により、凝着力Faが増加する。一実施形態に用いられる鋳造装置1の凝着力Faに関する特性に基づいて検討すると、接触面73の最大高さ粗さRzが1.0μm以下になるとき、凝着力Faが許容値以下となる。
図16の表に示すように、100gw、250gw、500gw、1000gw、3000gwと鋳造製品6の重量を変え、振動部材60が振動したときに、鋳造製品6が離型ピン70から離型が可能か否かを確認した。離型が可能か否かは、鋳造製品6が離型ピン70から落下するか否かを目視で確認することによって判断した。
鋳造装置1を用いた鋳造製品6の製造方法について、図17のフローチャート、図1および図5から図10を参照して説明する。
鋳造製品6の製造方法は、キャビティ形成工程、溶融金属注入工程、凝固工程および離型工程を含む。
ステップ202の溶融金属注入工程では、図6に示すように、キャビティ41に溶融金属5を注入する。このとき、鋳造製品6の重量が500g以下に相当する溶融金属5を投入する。
ステップ204の離型工程では、図8に示すように、可動金型10を天方向へ移動させ、キャビティ41内の鋳造製品6を取り出す。次に、可動金型10をさらに天方向へ移動させ、エジェクタロッド51をエジェクタプレート30に接触させる。図9に示すように、エジェクタロッド51によって、エジェクタプレート30を地方向に押し出し、成形端面18から鋳造製品6を外す。同時に、鋳造製品6に対向する位置へ製品受取板19を移動させる。このとき、温度制御部81によって、ピン温度Tpを設定温度Tsにしておく。図10に示すように、振動部材60とともに離型ピン70を振動させ、鋳造製品6が製品受取板19に向かって落下し、製品受取板19が鋳造製品6を受け、鋳造製品6が完成する。
(i)一実施形態に用いられる鋳造は、低圧鋳造法に限らず、キャビティに溶融金属を高圧で注入するダイカストや、キャビティに溶融金属を遠心力で注入する遠心鋳造法であってもよい。また、キャビティに溶融金属を重力(大気圧)で注入する重力鋳造法であってもよい。
(ii)コーティングは、炭化チタン(TiC)もしくは炭化タングステン(WC)等の金属炭化物で成膜されてもよい。また、アルミナ(Al2O3)もしくはチタニア(TiO2)等の金属酸化物で成膜されてもよい。
(iii)第2隙間は、第2隙間距離L2が第1隙間距離L1よりも大きくなるように、すなわち、L2>L1となるように、形成してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
6 ・・・鋳造製品、
10 ・・・可動金型、
12 ・・・有底穴、
30 ・・・板状部材(エジェクタプレート)、
40 ・・・固定金型、
41 ・・・キャビティ、
51 ・・・棒状部材(エジェクタロッド)、
52 ・・・筒部、
53 ・・・摺動部、
55 ・・・底面、
58 ・・・内側面、
59 ・・・摺動部端面、
61 ・・・接続部、
62 ・・・振動子、
70 ・・・離型ピン、
73 ・・・接触面、
91 ・・・第1隙間。
Claims (7)
- 天地方向に移動可能で、天側に開口する有底穴(12)を有する可動金型(10)と、
前記可動金型よりも地側に設けられ、前記可動金型が閉じたときに前記可動金型との間にキャビティ(41)を形成し、前記キャビティに溶融金属(5)が充填されたとき、鋳造製品(6)を成形する固定金型(40)と、
有底筒状の筒部(52)および前記筒部の内側面(58)に沿って摺動可能な摺動部(53)を有し、天側における前記摺動部の摺動部端面(59)および前記筒部の底面(55)の間に第1隙間(91)が形成されている棒状部材(51)と、
前記摺動部に接続される接続部(61)と、
前記接続部に接続され、前記接続部を介して前記摺動部とともに天地方向に振動可能な振動子(62)と、
前記有底穴に収容され、前記可動金型が天方向に移動したとき前記摺動部に接触する板状部材(30)と、
前記可動金型内に収容され、前記板状部材に接続されており、前記鋳造製品が成形されたとき、前記鋳造製品に接触する接触面(73)を有し、前記摺動部が前記板状部材に接触し、前記摺動部および前記板状部材を介して前記振動子とともに振動したとき、前記鋳造製品が地方向に落下し、前記接触面から前記鋳造製品を離型する離型ピン(70)と、
を備える鋳造装置。 - 前記筒部は、前記内側面および前記筒部の外側面(57)を連通する連通穴(56)をさらに有し、
前記接続部は、前記連通穴を介して前記摺動部の外側壁(63)に接続され、
前記連通穴における前記筒部の端面を一端面(93)とし、前記接続部における前記一端面に対向する面を対向面(94)とすると、
前記棒状部材は、前記一端面と前記対向面との間に第2隙間(92)が形成されている請求項1に記載の鋳造装置。 - 前記離型ピンの温度であるピン温度(Tp)を制御可能な温度制御部(80)をさらに備え、
前記温度制御部は、前記振動子が振動を開始するとき、前記ピン温度が200℃以上400℃以下の範囲となるように制御する請求項1または2に記載の鋳造装置。 - 前記接触面は、最大高さ粗さ(Rz)が0.2μm以上1.0μm以下の範囲である請求項1から3のいずれか一項に記載の鋳造装置。
- 前記接触面は、セラミックスの膜(74)が成膜されている請求項1から4のいずれか一項に記載の鋳造装置。
- 前記キャビティは、前記鋳造製品の重量が500gw以下に相当する容積をもつように形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の鋳造装置。
- 天地方向に移動可能で、天側に開口する有底穴(12)を有する可動金型(10)と、
前記可動金型よりも地側に設けられ、前記可動金型が閉じたときに前記可動金型との間にキャビティ(41)を形成し、前記キャビティに溶融金属(5)が充填されたとき、鋳造製品(6)を成形する固定金型(40)と、
有底筒状の筒部(52)および前記筒部の内側面(58)に沿って摺動可能な摺動部(53)を有し、天側における前記摺動部の摺動部端面(59)および前記筒部の底面(55)の間に第1隙間(91)が形成されている棒状部材(51)と、
前記摺動部に接続される接続部(61)と、
前記接続部に接続され、前記接続部を介して前記摺動部とともに天地方向に振動可能な振動子(62)と、
前記有底穴に収容され、前記可動金型が天方向に移動したとき前記摺動部に接触する板状部材(30)と、
前記可動金型内に収容され、前記板状部材に接続されており、前記鋳造製品が成形されたとき、前記鋳造製品に接触する接触面(73)を有し、前記摺動部が前記板状部材に接触し、前記摺動部および前記板状部材を介して前記振動子とともに振動したとき、前記鋳造製品が地方向に落下し、前記接触面から前記鋳造製品を離型する離型ピン(70)と、
を備える鋳造装置を用いた前記鋳造製品の製造方法であって、
前記鋳造製品の重量が500gw以下に相当する前記溶融金属を前記キャビティに注入する溶融金属注入工程(S202)と、
前記振動子とともに前記離型ピンを振動させ、前記接触面から前記鋳造製品を離型する離型工程(S204)と、
を含む前記鋳造製品の製造方法。
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