JP6520592B2 - 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法 - Google Patents

金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6520592B2
JP6520592B2 JP2015179721A JP2015179721A JP6520592B2 JP 6520592 B2 JP6520592 B2 JP 6520592B2 JP 2015179721 A JP2015179721 A JP 2015179721A JP 2015179721 A JP2015179721 A JP 2015179721A JP 6520592 B2 JP6520592 B2 JP 6520592B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylindrical space
metal
molten metal
immersion nozzle
flow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015179721A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017051998A (ja
Inventor
塚口 友一
友一 塚口
信宏 岡田
信宏 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2015179721A priority Critical patent/JP6520592B2/ja
Publication of JP2017051998A publication Critical patent/JP2017051998A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6520592B2 publication Critical patent/JP6520592B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は,溶融金属を貯留するタンディッシュと、このタンディッシュに取り付けられた浸漬ノズルと、を備えた金属の連続鋳造装置、及び、この金属の連続鋳造装置を用いた金属の連続鋳造方法に関するものである。
通常、断面矩形状をなすスラブを連続鋳造する場合、鋳型内に溶融金属を十分に行き渡らせるために、それぞれの短辺壁側に向けて吐出孔が配設された2孔浸漬ノズルが用いられる。
ここで、2孔浸漬ノズル内における溶融金属の流動は、下降流が底部に当たって水平方向の流速ベクトルが付与されることから、吐出孔下部から噴流となって流出する傾向にあり、吐出孔上部においては、逆に吸い込みが発生することがある。加えて、下降流の不安定さによって、左右吐出孔への流量分配や吐出流の角度が変動することから、鋳型内流動が不安定になりやすい。
かかる問題を解消する手段として、例えば特許文献1及び特許文献2に示すように、浸漬ノズル内の下降流を旋回させ、旋回に伴って生じる遠心力を利用して、吐出流の分布や吐出角度を安定化するとともに、有効吐出孔面積を増やし鋳型内流動を静穏に保つ技術が開示されている。
特開2002−239690号公報 再公表WO2011/055484号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された発明においては、耐火物で形成した流路に沿って溶融金属流を誘導することによって旋回流を得るものであり、溶融金属流を誘導するために流路断面積を絞る必要があり、非金属介在物による流路の閉塞が生じやすいといった問題があった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、流路の閉塞を生じることなく浸漬ノズル内の溶融金属流を旋回させ、旋回流付与による鋳型内流動安定化効果を安定して享受することが可能な金属の連続鋳造装置、及び、この金属の連続鋳造装置を用いた金属の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の金属の連続鋳造装置は、溶融金属を貯留するタンディッシュと、このタンディッシュに取り付けられ、前記タンディッシュ内の前記溶融金属を鋳型内に注入する浸漬ノズルと、を備えた金属の連続鋳造装置であって、前記タンディッシュには、前記浸漬ノズルの直上に形成された円柱状空間と、前記円柱状空間の上部開口端から上方に離間した位置に配設された蓋部と、前記円柱状空間の上部開口端と前記蓋部との間の隙間から流入させた前記円柱状空間内の前記溶融金属を旋回させる電磁撹拌装置と、が設けられており、前記円柱状空間の底面中心部には、前記浸漬ノズルへの溶融金属供給孔が形成されており、前記円柱状空間と前記浸漬ノズルとの間には、前記溶融金属の流量を調整する絞り機構が設けられていることを特徴としている。
この構成の金属の連続鋳造装置によれば、鋳型内に溶融金属を注入する浸漬ノズルの真上に円柱状空間が形成され、この円柱状空間の底面中心部に前記浸漬ノズルへの溶融金属供給孔が形成されているので、円柱状空間内の溶融金属を旋回させて円柱状空間の底面中心部から旋回流を浸漬ノズルへ流出させることによって、円柱状空間内の旋回流が有する角運動エネルギーをロスなく浸漬ノズル内へ伝えることができ、浸漬ノズル内の溶融金属を容易に旋回させることが可能となる。
また、前記円柱状空間の上部開口端から上方に離間した位置に蓋部が設けられているので、円柱状空間内で形成された旋回流がタンディッシュ内の溶融金属流に影響を及ぼすことを抑制でき、タンディッシュ内湯面のスラグや非金属介在物の巻き込みを抑制することができる。
さらに、円柱状空間の上方に蓋部を設け、その蓋部の周囲を通って溶融金属が前記円柱状空間へ流入する形態とすることにより、溶融金属に効率よく角運動エネルギーを付与することが可能となる。すなわち、前記円柱状空間内では旋回流の影響で中心部の圧力が低く外周部の圧力が高くなっているので、前記円柱状空間の上方に蓋部を配設することで、タンディッシュ内の溶融金属が円柱状空間の中心部から優先的に流入することを抑制でき、十分な角運動エネルギーを付与した状態で浸漬ノズルへと流出することが可能となる。
さらに、前記円柱状空間内の前記溶融金属を旋回させる電磁撹拌装置を備えているので、狭い耐火物流路を形成して角運動エネルギーを付与する必要がなく、耐火物流路が閉塞することなく、安定した操業が可能となる。
また、前記円柱状空間と前記浸漬ノズルとの間に、前記溶融金属の流量を調整する絞り機構が設けられているので、通常のタンディッシュと同じ外形状の浸漬ノズルを取り付けることができ、耐火物コストの上昇を抑制できる。
ここで、本発明の金属の連続鋳造装置においては、前記絞り機構は、前記浸漬ノズルの上方開口部に近接離間するストッパーであることが好ましい。
この場合、絞り機構によって円柱状空間で形成された旋回流に歪みを生じさせることが抑制され、浸漬ノズル内の溶融金属を確実に旋回させることが可能となる。
また、本発明の金属の連続鋳造装置においては、前記円柱状空間の直径が0.2m以上1.0m以下の範囲内、前記円柱状空間の高さが0.1m以上の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記円柱状空間の直径が0.2m以上とされているので、内径が通常70〜100mmである浸漬ノズルに対して十分な大きさの直径を確保でき、円柱状空間から浸漬ノズル内へ旋回流が流出する際に、角運動量保存則によって周方向流速を効率よく加速することができる。一方、前記円柱状空間の直径が1.0m以下とされているので、タンディッシュの大型化を抑制でき、操業性の悪化やコスト上昇を抑制することができる。
また、前記円柱状空間の高さが0.1m以上とされているので、電磁撹拌コイルの厚みが確保され、十分な推力を得ることが可能となる。なお、前記円柱状空間の高さの上限値は特に規定しないが、通常0.6mを超えるような高さは不要であるばかりか連続鋳造機の高さ方向寸法を無用に消費して設備費の高騰を招くので好ましくない。
本発明の金属の連続鋳造方法は、上述の金属の連続鋳造装置を用いた金属の連続鋳造方法であって、前記円柱状空間の上部開口端と前記蓋部との間の隙間から前記円柱状空間内に前記溶融金属を流入させ、前記円柱状空間内の前記溶融金属に旋回流を付与し、前記浸漬ノズル内へ前記溶融金属を供給することを特徴としている。
この構成の金属の連続鋳造方法によれば、上述の金属の連続鋳造装置を用いており、前記円柱状空間の上部開口端と前記蓋部との間の隙間から前記円柱状空間内に前記溶融金属を流入させ、前記円柱状空間内の前記溶融金属に旋回流を付与し、前記浸漬ノズル内へ前記溶融金属を供給する構成とされているので、十分な角運動エネルギーを付与した状態で浸漬ノズルへと流出することができ、浸漬ノズルからの溶融金属の吐出流を均一安定化することができ、安定した連続鋳造を行うことが可能となる。
ここで、本発明の金属の連続鋳造方法においては、前記円柱状空間内に前記溶融金属が滞留する平均時間を2秒以上10秒以下とし、前記円柱状空間内の前記溶融金属に対して、前記円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.05m/s以上0.5m/s以下の範囲内となるように角運動量を与えることが好ましい。
この場合、円柱状空間内に溶融金属が滞留する平均時間が2秒以上とされているので、溶融金属に十分な推力を与えることが可能となる。一方、円柱状空間内に溶融金属が滞留する平均時間が10秒以下とされているので、円柱状空間を必要以上に大型化することがなく、設備コストを削減することができる。
また、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.05m/s以上とされているので、円柱状空間内の溶融金属に確実に旋回流を与え、十分な角運動エネルギーを付与した状態で浸漬ノズルへと流出することができる。一方、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.5m/s以下とされているので、過大な角運動量によって旋回流に乱れが生じることを抑制できる。
本発明によれば、流路の閉塞を生じることなく浸漬ノズル内の溶融金属流を旋回させ、旋回流付与による鋳型内流動安定化効果を安定して享受することが可能な金属の連続鋳造装置、及び、この金属の連続鋳造装置を用いた金属の連続鋳造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態である金属の連続鋳造装置を示す説明図である。 本発明の一実施形態である金属の連続鋳造装置のタンディッシュ及び浸漬ノズル部分の拡大説明図である。 本発明の他の実施形態である金属の連続鋳造装置のタンディッシュ及び浸漬ノズル部分の拡大説明図である。 実施例で用いた金属の連続鋳造装置のタンディッシュ及び浸漬ノズル部分の拡大説明図である。 実施例で用いた金属の連続鋳造装置のタンディッシュ及び浸漬ノズル部分の拡大説明図である。 実施例で用いた金属の連続鋳造装置のタンディッシュ及び浸漬ノズル部分の拡大説明図である。 比較例の金属の連続鋳造装置のタンディッシュ及び浸漬ノズル部分の拡大説明図である。 実施例において水モデル実験を行った実験装置の説明図である。 水モデル実験で用いた撹拌羽根の説明図である。 水モデル実験の結果を示すグラフである。 水モデル実験の結果を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態である金属の連続鋳造装置及び金属の連続鋳造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
ここで、本実施形態においては、溶融金属として溶鋼を用いており、炭素鋼からなる鋳片を製造するものとされている。
本実施形態である金属の連続鋳造装置10は、図1に示すように、鋳型11と、溶鋼2が貯留されるタンディッシュ20と、このタンディッシュ20に取り付けられ、タンディッシュ20内の溶鋼2を鋳型11内に注入する浸漬ノズル30と、鋳型11の下方に位置する複数のサポートロール16からなるサポートロール群15と、備えている。
この金属の連続鋳造装置10においては、取鍋5によって転炉から溶鋼2を移送し、ロングノズル7を介してタンディッシュ20に溶鋼2を移し、このタンディッシュ20において大きな介在物を浮上分離した後、浸漬ノズル30を介して鋳型11に溶鋼2を供給し、鋳型11内で凝固シェル3を形成させ、得られた鋳片1を連続的に鋳造するものである。そして、鋳型11から製出された鋳片1は、複数のサポートロール16からなるサポートロール群15によって、鋳型11の下方へと引き抜かれる。
そして、本実施形態である金属の連続鋳造装置10においては、図2に示すように、タンディッシュ20に取り付けられた浸漬ノズル30の直上部分に、円柱状空間21が形成されている。この円柱状空間21の底部中心部に、浸漬ノズル30への溶鋼供給孔が形成されている。
ここで、本実施形態では、この円柱状空間21の直径が0.2m以上1.0m以下の範囲内、円柱状空間21の高さが0.1m以上の範囲内とされている。
なお、この円柱状空間21は、厳密には、その側壁が鉛直(水平面に対する角度が90°)である形態を指すが、側壁の水平面に対する角度が70°以上の逆円錐状の形態も、本発明に係る技術的範囲内に含まれる。円柱状空間内の溶鋼(溶融金属)を旋回させることで鋳型内流動の安定化を図る上では、70°程度までの逆円錐状(上広形状)であれば厳密な円柱状とほぼ同じ効果が得られるからである。また、円柱状空間21の一部が逆円錐状とされていても構わない。なお、側壁の水平面に対する角度が70°未満となると、耐火物の厚みの不均等が大きくなるなど空間的な無駄が増えて、溶鋼(溶融金属)の旋回に悪影響を及ぼすおそれが生じる。
また、この円柱状空間21の上方には蓋部25が配設されている。この蓋部25は、円柱状空間21の上部開口端から上方に離間した位置に配置されており、この円柱状空間21の上部開口端と蓋部25との間の隙間から、溶鋼2が円柱状空間21に流れ込む構成とされている。なお、この蓋部25は、4本の脚でタンディッシュ20の底部に固定されている。また、蓋部25の中心部には、後述するストッパー27が挿通される挿通孔が形成されている。
ここで、この蓋部25の直径は、円柱状空間21の上部開口部の直径の70%以上とされることが好ましい。また、円柱状空間21の上部開口端と蓋部25との高さ方向の隙間は、70mm以上が好ましく、80mm以上であることがさらに好ましい。
浸漬ノズル30は、タンディッシュ20に固定された上ノズル31と、この上ノズル31の下方に連結された下ノズル32とを備えている。本実施形態では、上ノズル31は、円柱状空間21の底部中心部に形成された溶鋼供給孔に連通するように固定されている。
また、円柱状空間21と浸漬ノズル30との間には、溶鋼2の流量を調整する絞り機構として、ストッパー27が配設されている。このストッパー27は、溶鋼供給孔及び上ノズル31の上方開口部に近接離間可能に配設されている。すなわち、ストッパー27は、溶鋼供給孔の中心部分に配置され、上下方向に移動するように構成されている。
そして、本実施形態である金属の連続鋳造装置10においては、円柱状空間21内の溶鋼2を旋回させる電磁撹拌装置28が設けられている。
上述の構成とされた金属の連続鋳造装置10においては、タンディッシュ20内に貯留された溶鋼2は、円柱状空間21の上部開口端から上方に離間した位置に配設された蓋部25の周囲から円柱状空間21内へと流れ込む。そして、円柱状空間21に流れ込んだ溶鋼2に旋回流を付与した状態で、浸漬ノズル30内へ溶鋼2を供給している。
本実施形態では、円柱状空間21内に溶鋼2が滞留する平均時間を2秒以上10秒以下としている。
また、電磁撹拌装置28を用いて、円柱状空間21内の溶鋼2に対して、円柱状空間21の直径と周方向流速最大値との積が0.05m/s以上0.5m/s以下の範囲内となるように角運動量を与えている。
ここで、角運動量を円柱状空間21の直径と周方向流速最大値との積を指標に用いて表すのは、円柱状空間21の外周部にから電磁気力を付与して溶鋼2を旋回させる場合には、周方向流速が半径に比例する強制渦に近い周方向流速分布となるので、円柱状空間21の直径と周方向流速最大値との積が、ほぼ角運動量に比例するからである。上述の条件を満たす角運動量を与える場合、旋回流の周方向流速が半径に比例する強制渦を仮定すると、その回転数は概ね5rpm〜50rpmの範囲内である。角運動量保存則によって内径の小さい浸漬ノズル30内で周方向流速が加速されることを考慮すると、その程度の低回転数であっても十分な効果を得ることができる。なお、上述の平均滞留時間の場合に、この程度の角運動量を付与することは、通常の移動磁界型の電磁撹拌装置28にとって容易である。
以上のような構成とされた本実施形態である金属の連続鋳造装置10及び金属の連続鋳造方法によれば、円柱状空間21の上部開口端と蓋部25との間の隙間から円柱状空間21内に溶鋼2を流入させるとともに、電磁撹拌装置28で角運動量を与えることで、円柱状空間21内の溶鋼2に対して旋回流を付与し、この旋回流を付与した状態で浸漬ノズル30内へ溶鋼2を供給しているので、浸漬ノズル30内の下降流も旋回流を有し、この旋回流の遠心力によって浸漬ノズル30の2つの吐出孔の全面から均等に溶鋼2が吐出されることになる。よって、鋳型11内への溶鋼2の供給が安定し、安定した連続鋳造を行うことが可能となる。
また、円柱状空間21の上部開口端から上方に離間した位置に蓋部25が設けられているので、円柱状空間21内で形成された旋回流がタンディッシュ20内の溶鋼2の流動に影響を及ぼすことを抑制でき、タンディッシュ20内湯面のスラグや非金属介在物の巻き込みを抑制することができる。
さらに、円柱状空間21の上部に蓋部25を設け、その蓋部25の周囲を通って溶鋼2が円柱状空間21へ流入する形態としているので、溶鋼2に効率よく角運動エネルギーを付与することが可能となる。また、円柱状空間21内の溶鋼2を旋回させる電磁撹拌装置28を備えているので、狭い耐火物流路を形成して角運動エネルギーを付与する必要がなく、耐火物流路の閉塞を抑制でき、安定した操業が可能となる。
さらに、円柱状空間21と浸漬ノズル30との間に、溶鋼2の流量を調整する絞り機構として、溶鋼供給孔及び上ノズル31の上方開口部に近接離間可能なストッパー27が配設されており、このストッパー27が溶鋼供給孔の中心部分に配置されているので、円柱状空間21で形成された旋回流に歪みを生じされることが抑制され、浸漬ノズル30へと旋回流を付与したまま溶鋼2を供給することが可能となる。
また、円柱状空間21の直径が0.2m以上とされているので、内径が通常70〜100mmである浸漬ノズル30に対して十分な大きさの直径を確保でき、円柱状空間21から浸漬ノズル30内へ旋回流が流出する際に角運動量保存則によって周方向流速を効率よく加速することができる。
さらに、円柱状空間21の高さが0.1m以上とされているので、電磁撹拌装置28(コイル)の厚みが確保され、十分な推力を得ることが可能となる。
また、本実施形態においては、円柱状空間21内に溶鋼2が滞留する平均時間を2秒以上10秒以下としているので、溶鋼2に十分な推力を与えることができるとともに、円柱状空間21を必要以上に大型化することがなく、設備コストを削減することができる。
さらに、本実施形態においては、円柱状空間21の直径と周方向流速最大値との積が0.05m/s以上とされているので、円柱状空間21内の溶鋼2に確実に旋回流を与え、十分な角運動エネルギーを付与した状態で浸漬ノズル30へと流出することができる。一方、円柱状空間21の直径と周方向流速最大値との積が0.5m/s以下とされているので、過大な角運動量によって旋回流に乱れが生じることを抑制できる。
以上、本発明の実施形態である金属の連続鋳造装置及び金属の連続鋳造方法について具体的に説明したが、これに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図3に示す金属の連続鋳造装置のように、蓋部125の中央部を上方に突出した形状としてもよい。円柱状空間121に旋回流を付与した場合、旋回流の中心にArガス等の気柱ができ、非金属介在物等が旋回流の中心部分で浮上分離することがある。このため、蓋部125の中央部を上方に突出した形状とすることで、浮上分離した非金属介在物等を保持することが可能となる。
また、絞り機構としてストッパーを用いたものとして説明したが、これに限定されることはなく、図3に示す金属の連続鋳造装置のように、絞り機構としてスライディングゲート127を用いてもよい。ただし、この場合、円柱状空間121内で形成された旋回流がスライディングゲート127通過時に大きく歪むおそれがあることから、絞り機構としてストッパーを用いることが好ましい。
次に、本発明の金属の連続鋳造装置及び金属の連続鋳造方法の作用効果を評価した結果について説明する。
(本発明例1)
図2に示すタンディッシュ20において、円柱状空間21の直径を600mm、高さを250mmとした。この円柱状空間21の外周に電磁撹拌装置28を配設した。
蓋部25は、円柱状空間21の上部開口端から100mmの間隔をおいて配置されており、直径600mmの大きさとした。なお、この蓋部25は、4本の脚でタンディッシュ20の底部に固定されている。
また、絞り機構としてストッパー27を用いている。
(本発明例2)
図3に示すタンディッシュ120において、円柱状空間121の直径を400mm、高さを320mmとした。この円柱状空間121の外周に電磁撹拌装置128を配設した。
蓋部125は、円柱状空間121の上部開口端から120mmの間隔をおいて配置されており、直径410mmの大きさとした。なお、この蓋部125は、4本の脚でタンディッシュの底部に固定されている。
また、絞り機構としてスライディングゲート127を用いている。
(本発明例3)
図4に示すタンディッシュ220において、円柱状空間221の直径を140mm、高さを516mmとした。この円柱状空間221の外周に電磁撹拌装置228を配設した。
蓋部225は、円柱状空間221の上部開口端から160mmの間隔をおいて配置されており、直径220mmの大きさとした。なお、この蓋部225は、タンディッシュ220の上部から耐火物製ロッドによって吊り下げられている。
また、絞り機構としてスライディングゲート227を用いている。
(本発明例4)
図5に示すタンディッシュ320において、円柱状空間321の直径を600mm、高さを80mmとした。この円柱状空間321の外周に電磁撹拌装置328を配設した。
蓋部325は、円柱状空間321の上部開口端から190mmの間隔をおいて配置されており、直径600mmの大きさとした。なお、この蓋部325は、4本の脚でタンディッシュ320の底部に固定されている。
また、絞り機構としてストッパー327を用いている。
(本発明例5)
図6に示すタンディッシュ420において、円柱状空間421の直径を1100mm、高さを200mmとした。この円柱状空間421の外周に電磁撹拌装置428を配設した。
蓋部425は、耐火物で構成されており、円柱状空間421の上部開口端から100mmの間隔をおいて配置されており、直径980mmの大きさとした。なお、この蓋部425は、4本の脚でタンディッシュ420の底部に固定されている。
また、絞り機構としてストッパー427を用いている。
(比較例)
図7に示すタンディッシュ520においては、円柱状空間、蓋部及び電磁撹拌装置を設けず、タンディッシュ520の底部に浸漬ノズル30を直接取り付けた構造とした。
また、絞り機構としてストッパー527を用いている。
(実施例1)
本発明例1〜5において、4ton/minのスループットの溶鋼をロングノズル又は注入管から供給した。
本発明例1においては、円柱状空間の体積は、外径φ150mmストッパーの体積を除くと約66300cmであり、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約7.0秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.2m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.12m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約6rpmである。
本発明例2においては、円柱状空間の体積は約40212cmであり、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約4.2秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.8m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.32m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約38rpmである。
本発明例3においては、円柱状空間の体積は約79437cmであり、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約0.8秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が1.2m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.168m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約164rpmである。
本発明例4においては、円柱状空間の体積は、外径φ150mmストッパーの体積を除くと約21200cmであり、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約2.2秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.3m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.18m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約10rpmである。
本発明例5においては、円柱状空間の体積は、外径φ150mmストッパーの体積を除くと約186500cmであり、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約19.6秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.2m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.22m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約3rpmである。
(実施例2)
本発明例1、2において、8ton/minのスループットの溶鋼をロングノズル又は注入管から供給した。
本発明例1においては、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約3.5秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.3m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.18m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約10rpmである。
本発明例2においては、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約2.1秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.3m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.12m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約14rpmである。
(実施例3)
本発明例2において、2ton/minのスループットの溶鋼をロングノズル又は注入管から供給した。
本発明例2においては、円柱状空間内に溶鋼が滞留する平均時間は約8.4秒となる。さらに、その溶鋼を、外周部の最大周方向流速が0.4m/sとなるよう旋回させた。そのとき、円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.16m/sとなる。この旋回流を強制渦と仮定した場合、回転数は約19rpmである。
(水モデル実験)
本発明例1及び従来例のタンディッシュを模したフルスケール水モデル実験の結果について述べる。溶鋼と水とは動粘度が近いので、フルスケールの水モデル実験は、溶鋼系に近い流動が得られることが知られており、評価実験によく用いられる。実施例の水モデル実験においては、本発明例1の電磁撹拌を模擬するために、図9に示すようにストッパー先端に4枚の撹拌羽根を設置し、ストッパーを6rpm回転数で回転させて電磁撹拌時と同等の旋回流を発生させた。
浸漬ノズルは、内径がφ80mm、吐出孔の大きさが幅60mm、高さ95mmの2孔タイプであり、吐出流が下向き30°の角度で吐出する仕様とした。鋳型内水面から浸漬ノズルの下端までの浸漬深さは300mmとした。
鋳型は、厚み250mm、幅1700mm、浴深が3000mmの模型とした。
鋳型の1/4幅および3/4幅、1/2厚、水面下50mmにおける鋳型幅方向の水平流速を0.5秒ピッチで15分間測定し、1/4幅および3/4幅それぞれの測定データの標準偏差を平均値で割った値を鋳型内流動の安定度の指標として評価に用いた。また1/4幅および3/4幅の測定データの平均値の差(左右の流速差)の絶対値をそれらの平均値で割った値を鋳型内流動の偏り指標として評価に用いた。
相当鋳造速度が1.2m/min、1.5m/min、1.8m/minの場合のこれらの指標を、図10および図11に比較して示す。これらの図より、本発明の効果として、鋳型内流動の左右の偏りや不安定さが抑制されることがわかる。それらの効果は、実鋳造においては、鋳造速度や鋳片品質の向上に資するものである。なお、相当鋳造速度が1.2m/min、1.5m/min、1.8m/minは、水の流量それぞれ8500cm/s、19625cm/s、12750cm/sに相当し、撹拌羽根の厚みを無視すると円柱状空間に水が留まる時間はそれぞれ約7.8秒、約6.2秒、約5.2秒である。
以上の実施例から、本発明例によれば、浸漬ノズル内の溶融金属流を旋回させ、旋回流付与による鋳型内流動安定化効果を安定して享受することが可能なことが確認された。
2 溶鋼(溶融金属)
20 タンディッシュ
21 円柱状空間
22 溶鋼供給孔(溶融金属供給孔)
25 蓋部
27 ストッパー(絞り機構)
28 電磁撹拌装置
30 浸漬ノズル

Claims (5)

  1. 溶融金属を貯留するタンディッシュと、このタンディッシュに取り付けられ、前記タンディッシュ内の前記溶融金属を鋳型内に注入する浸漬ノズルと、を備えた金属の連続鋳造装置であって、
    前記タンディッシュには、前記浸漬ノズルの直上に形成された円柱状空間と、前記円柱状空間の上部開口端から上方に離間した位置に配設された蓋部と、前記円柱状空間の上部開口端と前記蓋部との間の隙間から流入させた前記円柱状空間内の前記溶融金属を旋回させる電磁撹拌装置と、が設けられており、
    前記円柱状空間の底面中心部には、前記浸漬ノズルへの溶融金属供給孔が形成されており、
    前記円柱状空間と前記浸漬ノズルとの間には、前記溶融金属の流量を調整する絞り機構が設けられていることを特徴とする金属の連続鋳造装置。
  2. 前記絞り機構は、前記浸漬ノズルの上方開口部に近接離間するストッパーであることを特徴とする請求項1に記載の金属の連続鋳造装置。
  3. 前記円柱状空間の直径が0.2m以上1.0m以下の範囲内、前記円柱状空間の高さが0.1m以上の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属の連続鋳造装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の金属の連続鋳造装置を用いた金属の連続鋳造方法であって、
    前記円柱状空間の上部開口端と前記蓋部との間の隙間から前記円柱状空間内に前記溶融金属を流入させ、
    前記円柱状空間内の前記溶融金属に旋回流を付与し、前記浸漬ノズル内へ前記溶融金属を供給することを特徴とする金属の連続鋳造方法。
  5. 前記円柱状空間内に前記溶融金属が滞留する平均時間を2秒以上10秒以下とし、
    前記円柱状空間内の前記溶融金属に対して、前記円柱状空間の直径と周方向流速最大値との積が0.05m/s以上0.5m/s以下の範囲内となるように角運動量を与えることを特徴とする請求項4に記載の金属の連続鋳造方法。
JP2015179721A 2015-09-11 2015-09-11 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法 Active JP6520592B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015179721A JP6520592B2 (ja) 2015-09-11 2015-09-11 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015179721A JP6520592B2 (ja) 2015-09-11 2015-09-11 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017051998A JP2017051998A (ja) 2017-03-16
JP6520592B2 true JP6520592B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=58320318

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015179721A Active JP6520592B2 (ja) 2015-09-11 2015-09-11 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6520592B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102184274B1 (ko) * 2019-03-04 2020-11-30 경북대학교 산학협력단 연속 주조 공정 중 래들 및 턴디쉬의 자유 표면의 부유물 혼입 방지 장치
CN110918962A (zh) * 2019-11-18 2020-03-27 张家港宏昌钢板有限公司 一种挡墙式连铸中间包
CN114131007A (zh) * 2021-12-15 2022-03-04 东北大学 一种永磁体旋流连铸方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6360069A (ja) * 1986-08-29 1988-03-16 Nippon Kokan Kk <Nkk> 溶湯流出口を備えた溶湯容器
JPH08229670A (ja) * 1995-02-24 1996-09-10 Nippon Steel Corp 気泡と介在物を除去する溶湯の清浄化法及び装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017051998A (ja) 2017-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6520592B2 (ja) 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法
KR101384019B1 (ko) 용융 금속의 연속 주조 방법
JP2015511537A (ja) 連続鋳造設備
JP6354341B2 (ja) 溶融金属への旋回流付与方法
JP2002522227A (ja) 連続鋳造法、及びそのための装置
KR101170673B1 (ko) 주조용 침지노즐 및 이를 포함하는 연속 주조 장치
KR101934495B1 (ko) 전자기 스월 노즐 연속주조 방법 및 장치
JP2007090424A (ja) 連続鋳造用タンディッシュ
EP1854571B1 (en) Refractory nozzle for the continous casting of steel
JP6759856B2 (ja) 金属の連続鋳造装置、及び、金属の連続鋳造方法
JP2014208376A (ja) 連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法
CN203030884U (zh) 一种连铸用多孔式浸入式水口
JP6331810B2 (ja) 金属の連続鋳造方法
JP5510047B2 (ja) 連続鋳造方法および連続鋳造装置
KR102218885B1 (ko) 연속 주조 롤링 방지 슬래그 스토퍼
JP4644168B2 (ja) 下注ぎ方式の注湯管及び注湯方法
JP6862547B2 (ja) 連続鋳造用ノズルのためのデフレクタ
JP2018051598A (ja) 下注ぎ造塊設備
KR100530101B1 (ko) 턴디쉬 내부 용강의 와류발생 억제 댐
JP4444034B2 (ja) 連続鋳造用浸漬ノズルおよびこの連続鋳造用浸漬ノズルを用いる連続鋳造用モールドへの注湯方法
RU2490092C2 (ru) Погружной разливочный стакан
JP4750013B2 (ja) 鼓型堰付浸漬ノズル
JP2009125750A (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル
JP2018058097A (ja) 浸漬ノズル、連続鋳造機及び連続鋳造方法
JP3861861B2 (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル及び連続鋳造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180509

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190320

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190415

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6520592

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151