以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下に説明する各種の例示的態様は、適宜に組み合わせて実施しても構わない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光伝送システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す光伝送システム1は、例示的に、N台の光伝送装置11−1〜11−Nと、オペレーションシステム(OPS)12と、を備える。Nは、2以上の整数であって、図1の例ではN=5である。なお、光伝送システム1は、「光ネットワーク1」と称してもよいし、単に「ネットワーク1」と称してもよい。
「光伝送装置」は、「ノード」、「局」、あるいは、「ネットワークエレメント(NE)」と称されてもよい。図1の例では、光伝送装置11−1〜11−5をそれぞれ「ノードA〜E」として表している。ノード11−1〜ノード11−5を区別しなくてよい場合は、それぞれを「ノード11」と表記することがある。
図1に例示するように、ノードA〜Eは、光伝送路(例えば、光ファイバ)によってリング状に接続されてよい。この場合、光ネットワーク1は、「リングネットワーク1」と称してよい。ノードA〜Eは、リングネットワーク1を成すNE11の一例である。
ただし、ノードA〜Eは、光伝送路によってメッシュ状に接続されてもよい。この場合、光ネットワーク1は、「メッシュネットワーク1」と称してもよい。もっとも、本実施形態は、リングネットワークやメッシュネットワークに限らず、或る特定のノード11間において異なる複数のルートで信号が到達可能な形態(「トポロジー」と称してもよい。)のネットワークに適用可能である。
図1に例示するように、光ネットワーク1には、ノードAからノードB及びCを経由してノードEに至る第1のルート#1と、ノードAからノードDを経由してノードEに至る第2のルート#2と、が設定されてよい。ルート#1及びルート#2は、ノードAからノードEに異なるルートで信号光が到達可能な複数のルートの一例である。
第1のルート#1及び第2のルート#2の一方は、「現用」ルートに設定されてよく、他方は、「予備」ルートに設定されてよい。現用ルートが障害発生等によって使用不能になった場合、予備ルートで現用ルートの通信を救済することが可能である。
各ルート#1及び#2のそれぞれには、パス(あるいは「コネクション」と称してもよい。)が設定されてよい。現用ルート#1(又は#2)に設定されたパスは、「現用パス」と称してよく、予備ルート#2(又は#1)に設定されたパスは、「予備パス」と称してよい。なお、「現用」及び「予備」は、それぞれ、「ワーキング」及び「プロテクション」と称されてよい。
なお、以下の説明において、便宜的に、ルート#1に設定されるパスを「パス#1」と表記し、ルート#2に設定されるパスを「パス#2」と表記することがある。
ノードAは、パス#1及び#2のそれぞれに同じ信号光を送信してよい。例えばパス#1及び#2へ送信される信号光は、ノードAが他のノード11から受信した信号光を分岐した信号光であってよい。信号光の分岐は、例示的に、光カプラ(あるいは光スプリッタ)によって実施してよい。
当該ノードAは、異なる複数のルート#1及び#2(パス#1及び#2)の「送信ノードA」と称してよい。送信ノードAは、第1ノードの一例である。なお、光ネットワーク1において伝送される「信号光」は、単に「信号」と称してもよい。
ノードBは、送信ノードAから受信した、パス#1の信号光をノードCへ送信(「中継」と称してもよい。)してよい。ノードCは、ノードBから受信した、パス#1の信号光をノードDへ中継してよい。したがって、ノードB及びCは、それぞれ、パス#1の「中継ノードB」及び「中継ノードC」と称してよい。
ノードDは、送信ノードAから受信した、パス#2の信号光をノードEへ中継してよい。したがって、ノードEは、パス#2の「中継ノードD」と称してよい。なお、パス#1及び#2のいずれについても、中継ノード数は、図1に例示する数に限られない。
例えば、送信ノードAと受信ノードEとの間のパス#1は、3台以上の中継ノード11を経由する場合もあるし、1台の中継ノード11しか経由しない場合もある。また、信号光の伝送距離によっては、パス#1に中継ノード11が必要ない場合もある。
パス#2についても同様である。例えば、パス#2は、2台以上の中継ノード11を経由する場合もあるし、信号光の伝送距離によっては、パス#2に中継ノード11は必要ない場合もある。
送信ノードAが、パス#1及び#2のそれぞれに同じ信号を送信した場合、ノードEでは、異なる複数のルート#1及び#2(パス#1及び#2)からそれぞれ同じ信号が受信される。したがって、ノードEは、異なる複数のルート#1及び#2(パス#1及び#2)の「受信ノードE」と称してよい。受信ノードEは、第2ノードの一例である。
受信ノードEは、通常運用時にはパス#1及び#2のうち、現用パスに設定されているパス(例示的に、パス#1)から受信される信号を選択する。現用パス#1に障害等の異常が生じると、受信ノードEは、予備パスに設定されている他方の光パス(例示的に、パス#2)から受信される信号を選択する。信号の選択は、例示的に、セレクタによって実施されてよい。
このように、受信ノードEは、一方のパス#1についての異常検出に応じて他方のパス#2からの信号を選択することで、最小遅延時間でのパス切り替えが可能である。最小遅延時間でのパス切り替えは、「無瞬断切り替え」と称されることがある。
「無瞬断切り替え」を可能にするために、受信ノードEには、異なるパス#1及び#2から受信される各信号の遅延時間差を調整する遅延バッファが備えられてよい。遅延バッファは、記憶部あるいはメモリの一例であり、記憶部あるいはメモリの機能的な呼称である。
各信号の「遅延時間差」は、例えば受信ノードEが異なるルートで信号を受信するときの各信号の「受信タイミング差」又は「位相差」と称してもよいし、各信号の受信ノードEへの「到着時間差」と称してもよい。
遅延バッファは、異なるパス#1及び#2の別に備えられてよい。各遅延バッファでの受信信号のバッファ時間が個別的に調整されることで、異なるパス#1及び#2から受信される信号の位相差を最小にすることができる。
別言すると、受信ノードEは、遅延バッファによって、異なるパス#1及び#2から受信される信号の位相同期をとることができる。
なお、図1の例では、送信ノード#Aから受信ノードEへの方向の通信に着目したルート#1及び#2を図示しているが、ルート#1及び#2のそれぞれにおいて逆方向の通信が可能であってよい。
別言すると、ルート#1及び#2は、片方向(Uni-directional)通信に用いられてもよいし、双方向(Bi-directional)通信に用いられてもよい。双方向通信においては、受信ノードEは、送信ノードAと同様の機能を備えていてよいし、送信ノードAは、受信ノードEと同様の機能を備えていてよい。
また、光ネットワーク1を伝送される信号は、フレーム信号であってよく、フレーム信号は、マルチフレーム信号であってもよい。例示的に、光ネットワーク1を伝送される信号は、OTN(Optical Transport Network)伝送方式に準拠したフレーム信号であってよい。OTN伝送方式に準拠したフレーム信号を、便宜的に、「OTNフレーム」又は「OTN信号」と称することがある。
遅延バッファは、受信ノードEに限らず、中継ノードB、C及びDのいずれかにも備えられて構わない。例えば、受信ノードEに備えられた遅延バッファによる最大遅延量では、各パス#1及び#2からの受信信号の遅延差を吸収しきれないことがある。その場合、中継ノードB、C及びEのいずれかの遅延バッファにて、信号の遅延調整を実施してよい。
例えば、パス#2が、パス#1と比べて、受信ノードEの遅延バッファ単独では吸収しきれないほどの大きな伝送遅延が発生するパスであると仮定する。この場合、中継ノードB及びCの一方又は双方の遅延バッファを追加的に利用して、光パス#1の信号の遅延量を分散的に調整してよい。なお、パス#2の中継ノードDは、遅延バッファをバイパスして(別言すると、遅延調整せずに)信号を受信ノードEへ送信してよい。
各ノードB〜Eでの遅延バッファによる遅延量(「バッファ遅延量」と称してもよい。)は、例示的に、OPS12によって制御されてよい。OPS12は、光ネットワーク1の全体的な動作を制御、管理することが可能なシステムの一例である。「OPS」は、「ネットワークマネージメントシステム(NMS)」と称されることもある。
OPS12は、例示的に、ネットワーク管理者等のオペレータが利用する端末(「オペレータ端末」と称してもよい。)20から、操作コマンド等の制御信号を受信可能である。
オペレータ端末20から受信した制御信号に応じて、OPS12は、図1中に点線矢印で例示するように、光ネットワーク1のNEであるノードA〜Eのそれぞれを個別的に制御することが可能である。なお、当該制御に関わる、OPS12とノード11との間の通信は、便宜的に、「制御通信」と称してよい。
上述したOTNフレームには、異なる伝送レート(「信号レート」と称してもよい。)の信号を階層的に多重(「マッピング」と称してもよい。)することが可能である。OTNフレームにマッピングされる信号は、光チャネルデータユニット(ODUk)信号と称される。
ODUk信号の「k」は、信号レートの相違に応じたレベル(あるいは「オーダ」又は「レイヤ」と称してもよい。)を表し、ITU−T勧告G.709では、k=1,2,3,4,5,6の6種類が規定されている。なお、ITU−Tは、「International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector」の略称である。
「k」の値を区別しなくてよい場合、ODUk信号は、「k」を省略して単に「ODU信号」と表記されてよい。ODU信号に更に別のODU信号がマッピングされる場合、後者の「別のODU信号」は、「低次(又は低速)ODU信号(LO−ODU信号)」と称されてよい。一方、LO−ODU信号がマッピングされる前者のODU信号は、「高次(又は高速)ODU信号(HO−ODU信号)」と称されてよい。
ODU信号は、クライアント信号(「トリビュータリ信号」と称してもよい)の一例であり、イーサネット(登録商標)のフレーム信号や、SDH又はSONETのフレーム信号等がマッピングされてよい。なお、「SDH」は、「Synchronous Digital Hierarchy」の略称であり、「SONET」は、「Synchronous Optical Network」の略称である。SDHとSONETとは互換性のある同期デジタル伝送方式である。
OTNでは、イーサネットやSDH/SONET等の、多種多様なプロトコルや信号レートのクライアント信号を、より高速な信号に階層的にマッピング(「カプセル化」と称してもよい。)して伝送することができる。
したがって、クライアント信号のプロトコルや信号レートの相違を意識せずに、各種クライアント信号を、OTNフレームにて異なるネットワーク間をトランスペアレントに伝送することが可能である。
図2に、OTNフレームのオーバヘッド(OTN OH)のフォーマット例を示す。OTNフレームのOHは、例示的に、4行(Row)×16列(Column)のサイズを有する。なお、1つの「列」のサイズは、例えば、1バイト(8ビット)である。OHに設定される情報は、「OH情報」と称してよい。
第1行第1〜7列には、フレームアライメント(FA)OHが設定され、第1行第8〜14列には、光チャネル転送ユニット(optical channel transfer unit, OTUk)信号のOH(OTUk OH)が設定される。
また、第2〜4行第1〜14列には、ODUk信号のOH(ODUk OH)が設定され、第1〜4行第15〜16列には、光チャネルペイロードユニット(optical channel payload unit, OPUk)信号のOH(OPUk OH)が設定される。
FAOHには、OTNフレームのフレーム同期に用いられるフレームアライメント信号(FAS)や、マルチフレーム中の信号位置の識別に用いられるマルチフレームアライメント信号(MFAS)等が設定される。
OTUk信号やODUk信号のOHには、それぞれの信号レベルに応じた光チャネルの監視や管理、運用に関わる情報が設定される。OPUk信号のOHには、クライアント信号のOPUk信号のペイロードへのマッピング位置(例示的に、トリビュータリスロット(TS)と呼ばれる分割フィールド)を示す情報等が設定される。
ODUk信号のOHには、「PM&TCM」、「TCM ACT」、「TCM」、「PM」、「EXP」、「GCC」、「APS/PCC」、「RES」の各フィールドが規定されている。
「PM」は、「Path Monitoring」の略称であり、「TCM」は、「Tandem Connection Monitoring」の略称である。「PM&TCM」フィールド(1バイト)の第1〜第6ビットは、それぞれ、「DMt(ODUk TCM Delay Measurement)1〜6」と称される。
「DMt1〜6」は、それぞれ、ODUk信号が伝送されるパス(「ODUkパス」又は「ODUkコネクション」と称してもよい。)を、複数(最大で6)に分割した区間(「セクション」又は「セグメント」と称してもよい。)に対応する。ODUkパスが、図1に例示したパス#1やパス#2に相当すると捉えてよい。
「DMt1〜6」を利用して、ODUkパスにおいて最大で6つのセグメント毎に伝送遅延測定を実施することが可能である。別言すると、「DMt1〜6」には、それぞれ、ODUkパスのセグメント単位の遅延測定に関わる情報が設定可能である。
「PM&TCM」フィールドの第7ビットは、「DMp(ODUk PM Delay Measurement)」と称され、光ネットワーク1に設定される任意のODUkパスの伝送遅延測定に用いることができる。「PM&TCM」フィールドの第8ビットは、将来の標準化に備えて予約されたリザーブ(RES)ビットである。
なお、図2に例示する「ODUk OH」の第2行第1〜第2列(2バイト)及び第4行第9〜14列(6バイト)に記載されたリザーブ(RES)フィールドも、将来の標準化に備えて予約されたフィールドである。リザーブフィールド(あるいはリザーブビット)は、通常、すべて「0」(all “0”)に設定される。
「TCM ACT」フィールド(1バイト)の「TCM」は、「Tandem Connection Monitoring」の略称であり、「ACT」は、「Activation/deactivation control channel」の略称である。
「TCM1〜6」の各フィールド(それぞれ3バイト)は、ODUkパスの障害発生状況や回線品質をセグメント毎にモニタできるようにするために規定されている。別言すると、「TCM1〜6」フィールドには、ODUkパスのセグメント毎に監視情報が設定可能である。
「PM」フィールド(3バイト)は、ODUkパスの監視(モニタ)に用いることができる。例えば、「PM」フィールドには、トレイルトレース識別子(TTI)、ビットインターリーブドパリティ(BIP−8)、逆方向欠陥表示(Backward Defect Indication, BDI)、逆方向誤り表示(Backward Error Indication, BEI)等が設定可能である。
「EXP」フィールド(2バイト)は、実験(Experimental)用途に規定されたフィールドである。
「GCC」は、汎用通信チャネル(General Communication Channel)の略称であり、OTNに準拠した光伝送装置(「OTN装置」と称してもよい。)11間で制御情報や監視情報、管理情報等の通信を行なう際に用いることができる。
「GCC」フィールドとしては、「GCC0」、「GCC1」及び「GCC2」の3種類(それぞれ2バイト)が用意されている。「GCC0」は、図2において、第1行第8〜14列に位置する「OTUk OH」のうちの第12〜13列に配置される。「GCC1」及び「GCC2」は、それぞれ、「OTN OH」の第4行第1〜2行及び第3〜4行に配置される。
「APS/PCC」フィールド(4バイト)の「APS」は、「Automatic Protection Switching」の略称であり、「PCC」は、「Protection Communication Control」の略称である。「APS/PCC」フィールドに、現用パス及び予備パス間の切り替え制御情報を設定可能である。切り替え制御情報に基づいて、既述の「無瞬断切り替え」が実施されてよい。
ところで、近年、上述した「PM&TCM」フィールドを用いた伝送遅延測定の重要性が増している。例えば、近年のイーサネットやインターネットプロトコル(IP)技術の発展に伴い、ネットワークにおいて様々なサービスの情報が送受信されるようになってきている。
サービスの一例として、株式市場のオンラインサービスがある。株式市場のオンラインサービスでは、ネットワークを伝送される情報の遅延がエンドユーザの利益に影響するケースもある。別言すると、ネットワークの伝送遅延は、ネットワーク品質の指標の1つであると考えてよい。
これに伴い、OTNでは、SDHやSONETでは定義されていない伝送遅延を測定するための仕組み(例えば、「PM&TCM」フィールド)が、既述のように「OTN OH」の情報要素として定義されている。
光ネットワーク1には、障害耐性の向上を図るために、冗長構成が採用されることがある。メトロエリア等では、例えば図1に示したように、光ファイバ伝送路によって光伝送装置11をリング状に接続したパススイッチリング(PSR)が採用されることがある。
PSRでは、既述のように、障害が発生した現用パスを別ルートの予備パス(「冗長パス」と称してもよい。)に無瞬断で切り替えることが可能であり、現用パスの障害発生時にも予備パスでサービスを継続することが可能である。
パスの「無瞬断切り替え」は、既述のとおり、受信ノード11において、遅延バッファを用いて、現用パス及び予備パスから受信される信号の位相差を最小化することで実現される。
現用パス及び予備パスから受信される信号の位相差は、例えば、現用パス及び予備パスを伝送されるフレーム(マルチフレームでもよい。)のパスOH情報を利用して、現用パス及び予備パスの伝送遅延差を測定することで求めることが可能である。ただし、この場合に測定可能な最大の遅延差は、OH情報が挿入されるフレーム信号又はマルチフレーム信号の周期に制約され得る。
(遅延測定(DM)処理)
ここで、図3を参照して、図2にて説明した「PM&TCM」フィールドを用いた遅延測定(DM)の一例について説明する。図3は、通常のDM処理の概要を模式的に示す図である。
図3の例では、ノードAとノードEとの間において、ノードB及びCを経由するルートが現用ルート#1に設定され、ノードDを経由するルートが予備ルート#2に設定されている。
現用ルート#1には、例示的に、送信ノードAから受信ノードEに向かう方向(「順方向」と称してよい。)のパス「ABCE」と、その逆方向のパス「ECBA」と、が設定されている。
また、予備ルート#2には、例示的に、送信ノードAから受信ノードEに向かう順方向のパス「ADE」と、その逆方向のパス「EDA」と、が設定されている。
通常運用時において、「PM&TCM」フィールドの第7ビットである「DMp」ビットは、パス「ABCE」、パス「ECBA」、パス「ADE」、及び、パス「EDA」のいずれについても、「0」に設定される。なお、「PM&TCM」フィールドの第8ビットである「RES」ビットも、通常運用時には、いずれのパスについてもデフォルト値の「0」が設定される。
ここで、例えば、送信ノードAが、現用ルート#1の順方向パス「ABCE」に対して伝送遅延測定を実施する場合、図3の上段に例示するように、送信ノードAは、当該パス「ABCE」へ送信する信号のDMpビットを「0」から「1」に変更する。
受信ノードEは、パス「ABCE」から受信した信号のDMpビットが「1」に設定されていることを検出すると、図3の下段に例示するように、同じ現用ルート#1の逆方向のパス「ECBA」へ送信する信号のDMpビットを「1」に設定(変更)する。
この処理は、順方向パス「ABCE」からの受信DMpビットを、逆方向パス「ECBA」の送信DMpビットにマッピングする(あるいは「載せ替える」)ことに相当すると捉えてよい。
送信ノードAは、受信ノードEから逆方向パス「ECBA」の信号を絶えず受信しているため、逆方向パス「ECBA」の受信信号のDMpビットが「1」に変化したタイミングを検出可能である。
したがって、送信ノードAは、DMpビットの変化を検出したタイミングと、順方向パス「ABCE」への送信信号のDMpビットを「1」に変更したタイミングと、を基に、現用ルート#1を信号が往復するのにかかる時間(遅延時間)を測定できる。なお、予備ルート#2についても、同様にして、往復の遅延時間を測定可能である。
ここで、上述のようにDMpビットを利用して測定可能な遅延時間は、あくまでも往復(2−way)の遅延時間であり、片方向(1−way)の遅延時間ではない。1−waの遅延時間は、例えば、測定した2−wayの遅延時間の単純な半値として求めることができる。
しかし、2−wayの測定遅延時間の半値は、測定値に基づく推定値に過ぎないため、正確な1−wayの遅延時間を示しているとは云い難い。そのため、現用ルート及び予備ルートのそれぞれについて往復の遅延時間をそれぞれ測定しても、その測定結果を基にして得られる両ルートの1−wayの遅延時間差は、誤差が大きく信頼度の低い値である可能性がある。
既述のようにネットワークの伝送遅延がネットワーク品質の指標の1つと捉えられる現状において、このような誤差が存在し得るのは望ましくない。例えば、誤差の大きい1−wayの遅延時間差を基にして既述の遅延バッファによる遅延調整が実施されると、「無瞬断切り替え」を実現できない可能性がある。
複数ルートの1−wayの遅延時間差は、遅延測定に用いる信号にタイムスタンプ等のタイミング情報を付与すれば、正確に測定できるかもしれない。しかし、遅延測定に関わるNEのすべてが高精度に時刻同期していないと、測定誤差が生じ得る。
そのため、NEに高精度なクロック信号源が必要になったり、NE間の時刻同期をとる仕組みも、別途、必要になったりする。その結果、NEのコストが増大するおそれがあり、ひいては、ネットワークコストも増大するおそれがある。
そこで、本実施形態では、複数ルートの1−wayの遅延時間差を、簡易な手法でありながら、正確に測定できるようにする。例えば、図3に例示した「通常のDM処理」に、図4に例示する「リング1周型のDM処理」を併用する。これにより、例えば、UPSR(Uni-directional PSR)における1−wayの遅延時間差を正確に測定することが可能になる。なお、「通常のDM処理」は、「2−wayのDM処理」と称してもよい。
以下、図4に例示する「リング1周型のDM処理」について説明する。図4において、UPSRの送信ノードAは、「リング1周型のDM処理」を実施する場合、その旨を示す情報(「フラグ情報」と称してよい。)を、DM対象のパスへ送信する信号に設定する。
非限定的な一例として、「PM&TCM」フィールドのRESビットをフラグ情報に用いてよい。例えば、RESビットは、既述のとおり「0」がデフォルト値であるから、「1」で「リング1周型のDM処理」を表示する設定としてよい。
例えば図4の上段に示すように、送信ノードAから受信ノードEへの方向の1−way遅延時間差を測定する場合、送信ノードAは、順方向パス「ABCE」へ送信する信号における「PM&TCM」フィールドのRESビットを「1」に設定する。
併せて、送信ノードAは、予備ルート#2の順方向パス「ADE」へ送信する信号における「PM&TCM」フィールドのDMpビットを「1」に設定してよい。DMpビットを「1」に設定することで、受信ノードEは、図3に例示した「2−wayのDM処理」での動作と同様に動作することになる。別言すると、「リング1周型のDM処理」と「2−wayのDM処理」とは並列実施が可能である。
受信ノードEは、現用ルート#1のパス「ABCE」から受信した信号の「PM&TCM」フィールドを参照することで、RESビットが「1」に設定されていることを検出できる。
当該検出に応じて、受信ノードEは、現用ルート#1とは異なるルートで送信ノードAに信号が到達可能な予備ルート#2への送信信号の「PM&TCM」フィールドにおけるRESビットを「1」に設定する。
例えば図4において、受信ノードEは、予備ルート#2の逆方向パス「EDA」へ送信する信号の「PM&TCM」フィールドにおけるRESビットを「1」に設定する。当該処理は、現用ルート#1から受信した信号のOH情報を、現用ルート#1とペアを成す予備ルート#2において逆方向に伝送される信号にマッピングする、あるいは、載せ替えることに相当すると捉えてもよい。
併せて、受信ノードEは、予備ルート#2の順方向パス「ADE」から受信した信号の「PM&TCM」フィールドにおけるDMpビットが「1」に設定されていることを検出すると、「2−wayのDM処理」として、予備ルート#2の逆方向パス「EDA」へ送信する信号のDMpビットを「1」に設定してよい。
したがって、送信ノードAは、予備ルート#2の逆方向パス「EDA」から、「リング1周型のDM処理」を示す信号と、「2−wayのDM処理」を示す信号と、を受信できる。
送信ノードAは、「リング1周型のDM処理」を示す信号を受信することにより、送信ノードAを起点としたリング1周に相当する遅延時間DM(R)を測定できる。
また、送信ノードAは、予備ルート#2に対する「2−wayのDM処理」を示す信号を受信することにより、図3にて既述のとおり、予備ルート#2の2−wayの遅延時間DM(N)を測定できる。
例えば、送信ノードAは、以下の2つの式(1)及び式(2)で表される遅延時間DM(R)及びDM(N)を測定できる。
DM(R)=W(A→E)+P(E→A)…(1)
DM(N)=P(A→E)+P(E→A)…(2)
ただし、式(1)において、W(A→E)は、現用ルート#1においてノードAから送信した信号がノードEに到達するまでに経過する遅延時間を表す。また、P(E→A)は、予備ルート#2においてノードEから送信した信号がノードAに到達するまでに経過する遅延時間を表す。
一方、式(2)において、P(A→E)は、予備ルート#2においてノードAから送信した信号がノードEに到達するまでに経過する遅延時間を表す。また、P(E→A)は、予備ルート#2においてノードEから送信した信号がノードAに到達するまでに経過する遅延時間を表す。
式(1)から式(2)を減算すると、次式(3)が得られる。
DM(R)−DM(N)=W(A→E)−P(A→E)…(3)
式(3)で表されるDM(R)とDM(N)との差分は、ノードAからノードEの順方向(1−way)の、現用ルート#1を伝送される信号と、予備ルート#2を伝送される信号と、の遅延時間差に相当する。
このようにして、現用ルート#1及び予備ルート#2の1−wayの遅延時間差を、推定値としてではなく、実測値として求めることができる。なお、式(3)の演算は、OPS12にて実施してもよいし、送信ノードAにて実施してもよい。送信ノードAで実施する例が、後述の第2実施形態に相当する。
なお、上述したように「ODUk OH」における「PM&TCM」フィールドのDMpビットやRESビットを変更することは、現用ルート#1(現用パス#1)又は予備ルート#2(予備パス#2)に対応するOH情報に変更を加えることに相当する。
送信ノードAが、現用ルート#1に対応するOH情報に変更を加えて現用ルート#1へ送信する信号は、第1信号の一例である。送信ノードAが、予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えて当該予備ルート#2へ送信する信号は、第3信号の一例である。送信ノードAは、第1信号及び第3信号を送信可能な送信部を備えてよい。
一方、受信ノードEは、現用ルート#1からOH情報に変更が加えられた第1信号と、予備ルート#2からOH情報に変更が加えられた第3信号と、を受信する受信部を備えてよい。
受信ノードEが、現用ルート#1からの第1信号の受信に応じて、予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えて予備ルート#2へ送信する信号は、第2信号の一例である。受信ノードEが、予備ルート#2からの第3信号の受信に応じて、当該予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えて予備ルート#2へ送信する信号は、第4信号の一例である。受信ノードEは、第2信号及び第4信号を送信可能な送信部を備えてよい。
送信ノードAは、第1信号の送信タイミングと、第2信号の受信タイミングと、第3信号の送信タイミングと、第4信号の受信タイミングと、を測定する。そのため、送信ノードAは、これらのタイミングを測定する測定部を備えてよい。測定部は、メモリ等の記憶部や記憶装置、記憶媒体に、上記の各タイミングを記憶してよい。
送信ノードAにおける第1信号の送信タイミングは、例えば、送信ノードAの送信部が、第1信号の現用ルート#1に対応するOH情報に変更を加えたタイミングに対応する。
送信ノードAにおける第3信号の送信タイミングは、例えば、送信ノードAの送信部が、第3信号の予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えたタイミングに対応する。
第1信号の送信タイミングと、第3信号の送信タイミングとは、同じでもよいし、異なってもよい。
送信ノードAにおける第2信号の受信タイミングは、受信ノードEの送信部が、第2信号の予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えることにより、第2信号のOH情報の変更が送信ノードAで検出されるタイミングに対応する。
送信ノードAにおける第4信号の受信タイミングは、受信ノードEの送信部が、第4信号の予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えることにより、第4信号のOH情報の変更が送信ノードAで検出されるタイミングに対応する。
受信ノードEが、第2信号の予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えるタイミングと、第4信号の予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えるタイミングと、は、同じでもよいし、異なってもよい。
前記の式(3)は、第1信号の送信タイミング及び第2信号の受信タイミングの差分と、第3信号の送信タイミング及び第4信号の受信タイミングの差分と、の減算を表していると捉えてよい。
式(3)で表される演算を行なう「演算部」が、OPS12、又は、送信ノードA、あるいは、光ネットワーク1のNE11のいずれかに備えられてよい。
次に、図5〜図7を参照して、上述した1−wayの遅延時間差測定を実現するノード11及びOPS12の構成例について説明する。図5は、送信ノード11及び受信ノード11の構成例を示すブロック図であり、図6は、中継ノード11の構成例を示すブロック図であり、図7は、OPS12の構成例を示すブロック図である。
(送信ノード及び受信ノードの構成例)
図5に例示するノード11の構成は、図1に例示した送信ノードA及び受信ノードEの構成例に相当すると捉えてよい。
図5に示すように、ノード11は、例示的に、現用ルートに対応した、光送受信機111W、多重分離部112W、及び、遅延バッファ113Wを備える。また、ノード11は、例示的に、予備ルートに対応した、光送受信機111P、多重分離部112P、及び、遅延バッファ113Pを備える。
更に、ノード11は、例示的に、セレクタ114、光スプリッタ115、現用ルートに対応した光電変換部(O/E)116W、予備ルートに対応した光電変換部(O/E)116P、及び、制御部117を備える。
光送受信機111Wは、現用ルートから受信される信号光を電気信号に変換して現用の多重分離部112Wへ出力する。また、光送受信機111Wは、現用の多重分離部112Wから入力される電気信号を信号光に変換して現用ルートへ送信する。
そのため、光送受信機111Wは、例示的に、送受信部31Wと光電変換部(O/E)32Wとを備えてよい。
送受信部31Wは、現用ルートから信号光を受信して光電変換部32Wへ出力する。また、送受信部31Wは、光電変換部32Wから入力される信号光を現用ルートへ送信する。
光電変換部32Wは、送受信部31Wから出力される受信信号光を電気信号に変換して現用の多重分離部112Wへ出力する。また、光電変換部32Wは、現用の多重分離部112Wから入力される電気信号を信号光に変換して送受信部31Wへ出力する。
現用の多重分離部112Wは、現用の光送受信機111Wの光電変換部32Wで電気信号に変換された受信信号を、例えば、当該受信信号に多重されている複数のパス信号に分離する。また、現用の多重分離部112Wは、現用の遅延バッファ113Wから入力される複数のパス信号を多重して光送受信機111W(光電変換部32W)へ出力する。
当該多重分離部112Wでのパス信号の多重処理において、既述の「PM&TCM」フィールドを含むOH情報が多重信号に付与(マッピング)されてよい。OH情報は、例示的に、制御部117から多重分離部112Wに与えられてよい。
また、多重分離部112Wでのパス信号の分離処理において、既述の「PM&TCM」フィールドを含むOH情報が抽出されてよい。抽出されたOH情報は、制御部117に与えられてよい。
現用の遅延バッファ113Wは、現用の多重分離部112Wから入力されるパス信号を一時的にバッファして、当該パス信号のセレクタ114への出力タイミング(別言すると、遅延時間あるいはバッファ時間)を調整する。
また、遅延バッファ113Wは、現用の光電変換部116Wから入力される逆方向のパス信号を一時的にバッファして、当該パス信号の多重分離部112Wへの出力タイミングを調整する。
遅延バッファ113Wでの遅延時間(遅延量)は、例示的に、制御部117によって制御されてよく、例えば、制御部117に備えられた後述のバッファ制御部73によって制御されてよい。遅延量は「0」であってもよい。予備の遅延バッファ113Pでの遅延量についても同様でよい。
予備ルートに対応して備えられた、光送受信機111P、多重分離部112P、及び、遅延バッファ113Pは、それぞれ、予備ルートの信号について、現用の光送受信機111W、多重分離部112W、及び、遅延バッファ113Wと同様に動作してよい。
セレクタ114は、現用及び予備の各遅延バッファ113W及び113Pから出力されるパス信号の一方を選択出力する。セレクタ114は、現用パス及び予備パスの「受信ノード11」に備えられて、既述の「無瞬断切り替え」を可能にする。
光スプリッタ115は、受信信号光を分岐して現用及び予備の光電変換部116W及び116Pへ出力する。光スプリッタ115は、現用パス及び予備パスの「送信ノード11」に備えられて、現用パス及び予備パスの双方に同じ信号を送信することを可能にする。
現用の光電変換部116Wは、光スプリッタ115から入力された分岐信号光を電気信号に変換して現用の遅延バッファ113Wへ出力する。当該信号は、ノード11が「送信ノード11」として現用パスへ送信する信号に相当する。
予備の光電変換部116Pは、光スプリッタ115から入力された分岐信号光を電気信号に変換して予備の遅延バッファ113Pへ出力する。当該信号は、ノード11が「送信ノード11」として予備パスへ送信する信号に相当する。
なお、ノード11が「送信ノード11」として現用パス及び予備パスへそれぞれ送信する信号の、遅延バッファ113W及び113Pによる遅延量は「0」であってもよい。
図5の構成を送信ノードAの構成としてみれば、現用の多重分離部112W及び光送受信機111Wが、送信ノードAとして既述の第1信号を現用ルート#1へ送信する送信部に相当すると捉えてよい。
また、予備の多重分離部112P及び光送受信機111Pが、送信ノードAとして既述の第3信号を予備ルート#2へ送信する送信部に相当すると捉えてよい。
一方、図5の構成を受信ノードEの構成としてみれば、現用の光送受信機111W及び多重分離部112Wが、受信ノードEとして現用ルート#1から第1信号を受信する第1受信部に相当すると捉えてよい。
また、予備の光送受信機111P及び多重分離部112Pが、受信ノードEとして予備ルート#2から第3信号を受信する受信部に相当すると捉えてよい。
予備の光送受信機111P及び多重分離部112Pは、受信ノードEとして、現用ルート#1からの第1信号の受信に応じて予備ルート#2へ第2信号を送信する送信部にも相当すると捉えてよい。
更に、現用の光送受信機111W及び多重分離部112Wは、受信ノードEとして、予備ルート#2からの第2信号の受信に応じて、予備ルート#2へ第4信号を送信する送信部にも相当すると捉えてよい。
制御部117は、ノード11の全体的な動作を制御する。当該制御には、例示的に、OH情報の設定や、OH情報の「PM&TCM」フィールドを用いた伝送遅延測定の制御、遅延バッファ113W及び113Pでの遅延量の制御等が含まれてよい。
そのため、制御部117には、例示的に、装置内情報管理部71、遅延測定(DM)制御部72、及び、バッファ制御部73が備えられてよい。
装置内情報管理部71は、例示的に、ノード11とOPS12との間の制御通信にて送受信される情報を管理する。当該情報には、OPS12から受信される命令や指示等の制御情報や、OPS12宛に送信する応答や報告等に関する情報等が含まれてよい。
例示的に、OPS12から受信される制御情報には、DMの実施命令が含まれてよく、また、OPS12へ送信する情報には、DMの結果を示す情報が含まれてよい。
装置内情報管理部71は、DM実施命令の受信に応じて、DM制御部72にDMを実施させることができる。また、装置内情報管理部71は、DM制御部72からのDM結果の受信に応じて、当該DM結果をOPS12宛に報告することができる。
送信ノード11におけるDM制御部72は、装置内情報管理部71からのDM実施命令に応じて、多重分離部112W(又は112P)にて多重されるOH情報における「PM&TCM」フィールドの設定を制御する。そのため。DM制御部72は、「OH制御部72」と称してもよい。
例えば、DM制御部72は、「2−wayのDM処理」の実施命令に応じて、既述のとおり、「PM&TCM」フィールドのDMpビットを「1」に設定する。また、DM制御部72は、「リング1周型のDM処理」の実施命令に応じて、「PM&TCM」フィールドのRESビットを「1」に設定する。
また、送信ノード11におけるDM制御部72は、多重分離部112W(又は112P)にて抽出されるOH情報における「PM&TCM」フィールドの設定を参照し、設定が変化したタイミングを基にパスの遅延時間を測定できる。測定結果は、装置内情報管理部71に与えられてよい。DM制御部72は、測定部の一例であると捉えてもよいし、測定部としての機能を具備していると捉えてもよい。
また、受信ノード11におけるDM制御部72は、多重分離部112W(又は112P)にて抽出されるOH情報における「PM&TCM」フィールドの設定を参照することで、「通常」及び「リング1周型」のDM処理のいずれが開始されたかを判定できる。
バッファ制御部73は、例示的に、OPS12からの装置内情報管理部71を介した制御通信に応じて、現用及び予備の各遅延バッファ113W及び113Pでの遅延量を制御する。
当該遅延量は、既述のように、複数のノード11にて信号遅延を分散的に制御する場合、例示的に、OPS12が決定した、各ノード11で分担するバッファ遅延量であってよい。なお、各ノード11が分担するバッファ遅延量は、「遅延分散量」と称してよい。「遅延分散量」の設定に関わる経路(ルート)は、「遅延分散経路」と称してよい。
(中継ノードの構成例)
次に、図6を参照して、中継ノード11の構成例について説明する。図6に例示する中継ノード11の構成例は、図1に例示した中継ノードB、C及びDの構成に相当すると捉えてよい。
図6に示す中継ノード11は、例示的に、光受信機111、遅延バッファ113、光送信機118、及び、制御部119を備える。
光受信機111は、送信ノード11又は他の中継ノード11から送信された信号光を受信部31にて受信し、受信した信号光を光電変換部(O/E)32にて電気信号に変換して遅延バッファ113へ出力する。
遅延バッファ113は、光受信機111(光電変換部32)から入力される信号を一時的にバッファして、当該信号の光送信機118への出力タイミングを調整する。遅延バッファ113での遅延量は、例示的に、制御部119によって制御されてよく、例えば、制御部119に備えられた後述のバッファ制御部93によって制御されてよい。当該遅延量は「0」であってもよい。
光送信機118は、遅延バッファ113から入力される信号を光電変換部(O/E)41にて信号光に変換して送信部42から受信ノード11に向かう方向の光伝送路へ送信する。
なお、図6に例示した構成は、片方向の通信に着目した構成である。逆方向の通信(別言すると、双方向通信)をサポートする場合には、逆方向の通信に関して、上記と同様の光受信機111、遅延バッファ113、及び、光送信機118が中継ノード11に備えられて構わない。
制御部119は、中継ノード11の全体的な動作を制御する。当該制御には、OPS12からの制御通信に応じて、遅延バッファ113での信号の遅延量を制御することが含まれてよい。
そのため、制御部119には、例示的に、装置内情報管理部91とバッファ制御部93とが備えられてよい。装置内情報管理部91は、例示的に、OPS12と制御通信が可能である。
バッファ制御部93は、例示的に、OPS12からの装置内情報管理部91を介した制御通信に応じて、現用及び予備の各遅延バッファ113W及び113Pでの遅延量を制御する。当該遅延量は、既述のように、複数のノード11にて信号遅延を分散的に制御する場合、例示的に、OPS12が決定した、各ノード11で分担するバッファ遅延量であってよい。
(OPSの構成例)
次に、図7を参照して、OPS12の構成例について説明する。図7に示すOPS12は、例示的に、演算部121と、信号送信部122と、信号受信部123と、を備える。
演算部121は、例示的に、オペレータ端末20からの操作コマンド等の制御情報の受信に応じて、ノード11宛の制御情報を生成したり、ノード11から受信される情報を処理したりする。
演算部121で生成される制御情報には、送信ノード11宛の既述のDM実施命令や、いずれかのノード11宛のバッファ遅延量等が含まれてよい。ノード11から受信される情報には、送信ノード11がOPS12宛に報告するDM測定結果が含まれてよい。
演算部121は、DM測定結果に基づいて、既述の式(3)によって、1−way遅延時間差を求めることができる。また、演算部121は、求めた1−way遅延時間差に基づいて、どのノード11に対してどの程度のバッファ遅延量を設定するかを決定することができる。
なお、演算部121は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の、演算能力を備えたプロセッサを用いて実現されてよい。「プロセッサ」は、プロセッサデバイスあるいはプロセッサ回路等と称されてもよい。
信号送信部122は、例示的に、演算部121で生成された制御情報を含む信号を、対象ノード11宛に送信する。
信号受信部123は、例示的に、いずれかのノード11が送信した、DM測定結果等の情報を含む信号を受信する。
なお、信号送信部122と信号受信部123とは、信号送受信部として一体的に構成されてもよい。また、演算部121には、通信バス等を介してメモリ等の記憶部、記憶装置、あるいは記憶媒体ドライブ等が接続されてよい。演算部121は、メモリ等に記憶されたプログラムやデータを読み取って動作することで、OPS12としての動作や機能を実現する。
なお、OPS12とノード11との間の制御通信には、図8に例示するような信号フォーマットを用いてよい。図8に例示する信号フォーマットには、送信ノード11及び受信ノード11をそれぞれ識別可能な情報や、DM測定結果であるDM測定時間、遅延分散量、及び、遅延分散経路を識別可能な情報等が適宜に設定可能である。
以下、上述のごとく構成された光伝送システム1におけるDM処理に関わる動作の一例について、図9〜図14を参照して説明する。図9は、光伝送システム1全体としてのDM処理に関わる動作の一例を示すフローチャートである。図10は、DM処理に関わる送信ノード11における動作を説明するために、送信ノード11の内部的な信号転送経路を模式的に示した図である。
図11は、「2−wayのDM処理」に関わる受信ノード11における動作を説明するために、受信ノード11の内部的な信号転送経路を模式的に示した図であり、図12は、「リング1周型のDM処理」に関わる受信ノード11における動作を説明するために、受信ノード11の内部的な信号転送経路を模式的に示した図である。
また、図13は、DM処理に関わる送信ノード11の内部的な動作の一例を示すフローチャートであり、図14は、DM処理に関わる受信ノード11の内部的な動作の一例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおいて、処理P10では、OPS12(演算部121)においてパス設定要求が受信される。パス設定要求は、例示的に、オペレータ端末20から与えられる。
ネットワーク管理者は、オペレータ端末20がサポートする入力インタフェースを利用して、管理対象の光ネットワーク1における任意の2つのノード11を「送信ノード」及び「受信ノード」に決定する。以下では、図1に例示したように、ノードAが「送信ノード」、ノードEが「受信ノード」にそれぞれ決定されたと仮定する。
なお、オペレータ端末20は、入力インタフェースの一例として、GUI(Graphical User Interface)をサポートしてもよいし、CLI(Command Line Interface)をサポートしてもよい。
処理P20では、OPS12が、現用パス及び予備パスの設定を実施する。例えばOPS12は、オペレータ端末20から受信したパス設定要求に応じた現用パス及び予備パスの設定を、送信ノードAと受信ノードEとに対して実施する。
現用パス及び予備パスの決定は、演算部121にて実施される。例えば、図1に例示したように、現用ルート#1に現用パス#1を設定することが決定され、予備ルート#2に予備パス#2を設定することが決定されたと仮定する。
現用パス#1及び予備パス#2の決定に応じて、OPS12は、図8に例示した信号フォーマットに、送信ノードA及び受信ノードEの識別情報を設定し、当該信号を信号送信部122(図7参照)から各パス#1及び#2が経由する全ノードA〜E宛に送信する。
現用パス#1及び予備パス#2の設定後、処理P30では、OPS12は、送信ノードAに対してDMの実施(開始)命令を送信する。DM実施命令には、「2−wayのDM処理」を実施するのか「リング1周型のDM処理」を実施するのかを示す情報が設定されてよい。
DM実施命令は、送信ノードAの制御部117(例えば、装置内情報管理部71)(図5参照)にて受信される。送信ノードAの内部的な動作に着目すると、DM実施命令の受信は、例えば図10の実線矢印S1で表され、また、図13の処理P230に相当する。
DM実施命令を受信した装置内情報管理部71は、当該命令が「2−wayのDM処理」の実施命令か「リング1周型のDM処理」の実施命令かを判定する。当該判定処理は、例えば図13の処理P240に相当する。
判定の結果が「2−wayのDM処理」の実施命令であれば(処理P240でYESの場合)、装置内情報管理部71は、DM制御部72に「2−wayのDM処理」の実施命令を与える。
一方、判定の結果が「リング1周型のDM処理」の実施命令であれば(処理P50及びP240でNOの場合)、装置内情報管理部71は、DM制御部72に「リング1周型のDM処理」の実施命令を与える。
これらの装置内情報管理部71がDM制御部72にDM実施命令を与える処理は、送信ノードAの内部的な動作に着目すると、例えば図10の実線矢印S2で表され、また、図13の処理P250及びP260に相当する。
「2−wayのDM処理」では、DM制御部72は、多重分離部112W(112P)において送信ノードAから受信ノードEへ現用ルート#1(予備ルート#2)に流れている信号の「ODUk OH」の書き換えを実施する。
例えば、多重分離部112W(112P)は、DM制御部72からの制御に応じて、現用ルート#1又は予備ルート#2を受信ノードEに向かって順方向に流れる信号の「PM&TCM」フィールドにおけるDMpビットを「0」から「1」に変更する。
一方、「リング1周型のDM処理」では、DM制御部72は、「2−wayのDM処理」に加えて、「PM&TCM」フィールドのRESビットを「0」から「1」に変更する。
例えば、DM制御部72は、現用ルート#1(多重分離部112W)を受信ノードEに向かって流れる信号の「PM&TCM」フィールドにおけるRESビットを「0」から「1」に変更する。
送信ノードAの内部的な動作に着目すると、上述したOH情報の書き換え処理は、例えば図10の実線矢印S3で表される。
別言すると、DM制御部72は、予備ルート#2に対しては「2−wayのDM処理」を実施し、現用ルート#1に対しては「リング1周型のDM処理」を実施することが可能である。
現用ルート#1及び予備ルート#2それぞれの光伝送路に送信される信号光は、光スプリッタ115(図5参照)にて生成される。光スプリッタ115で分岐された信号光は、それぞれ、現用及び予備の光電変換部116W及び116Pにて電気信号に変換される。
電気信号に変換された各信号は、それぞれ、現用及び予備の多重分離部112W及び112Pに入力される。多重分離部112W及び112Pでのパス信号の多重処理において、DM制御部72によって上述したDM対象パスのOH情報の書き換えが実施される(図13の処理P270)。
多重分離部112W(112P)にて、DM対象のパスを含む複数のパス信号が多重化された電気信号は、現用及び予備の光送受信機111W(111P)にて信号光に変換されて、現用ルート#1(予備ルート#2)の光伝送路へ送信される。当該変換及び送信処理は、例えば図13の処理P280及びP290に相当する。
次に、図9の処理P40では、受信ノードEが受信した信号のOH情報を確認して、「2−wayのDM処理」を実施するか、「リング1周型のDM処理」を実施するか、を判定する。
例えば、受信ノードEは、現用パス#1及び予備パス#2の双方から信号光を現用及び予備の送受信部31W及び31P(図5参照)にて受信する。図14の処理P310に相当する。現用パス#1の受信処理に着目すると、当該受信処理は、例えば図11の実線矢印S11及び図12の実線矢印S21で表される。
現用(予備)の送受信部31W(31P)にて受信された信号光は、現用(予備)の光電変換部32W(32P)にて電気信号に変換されて、多重分離部112W(112P)に入力される。当該処理は、例えば図11の実線矢印S12及び図12の実線矢印S22で表され、また、図14の処理P320に相当する。
電気信号に変換された信号は、現用(予備)の多重分離部112W(112P)にて複数のパス信号に分離される。当該分離処理において、受信ノードEのDM制御部72が、現用パス#1及び予備パス#2のOH情報を読み出して「PM&TCM」フィールドのDMpビット及びRESビットの値を確認する。当該処理は、例えば図11の実線矢印S13及び図12の実線矢印S23で表され、また、図14の処理P330に相当する。
図9の処理P50では、DM制御部72が、確認した「PM&TCM」フィールドのDMpビット及びRESビットを基に、送信ノードAによって現用ルート#1に対して「2−wayのDM処理」が実施されているか「リング1周型のDM処理」が実施されているかを判定する。当該処理は、例えば図14の処理P340及びP350に相当する。
例えば、DM制御部72は、現用ルート#1から受信したパス信号の「PM&TCM」フィールドにおけるDMpビットが「1」であり、かつ、RESビットが「0」であれば、現用ルート#1に対して「2−wayのDM処理」が実施されていると判定する。当該処理は、例示的に、図9における処理P50のYESルート、及び、図14における処理P350及びP360のYESルートで表される処理に相当する。
一方、現用ルート#1から受信したパス信号のRESビットが「1」であれば、DM制御部72は、「リング1周型のDM処理」が実施されていると判定する。当該処理は、図9における処理P50のNOルート、及び、図14における処理P360のNOルートで表される処理に相当する。
「2−wayのDM処理」が実施されているとの判定に応じて、受信ノードEのDM制御部72は、DMpビットが「1」に設定された信号を受信したパスとは逆方向に流れている信号のOH情報の書き換えを行なう(図9の処理P60)。
例えば、現用パス#1から受信された信号のDMpビットが「1」であったとすると、DM制御部72は、現用パス#1が設定された同じ現用ルート#1を逆方向に流れる信号における「PM&TCM」フィールドのDMpビットを「0」から「1」に変更する。当該処理は、例えば図14における処理P360のYESルートから処理P370で表される処理に相当する。
また、予備パス#2から受信された信号のDMpビットが「1」であったとすると、DM制御部72は、予備パス#2が設定された同じ予備ルート#2を逆方向に流れる信号における「PM&TCM」フィールドのDMpビットを「0」から「1」に変更する。当該処理は、例えば図14における処理P350のNOルートから処理P390で表される処理に相当する。
以上のOH情報の書き換え処理は、順方向の現用ルート#1又は予備ルート#2から受信したDMpビットを、同じ現用ルート#1又は予備ルート#2を逆方向に流れる信号のOH情報にマッピングすることに相当すると捉えてもよい。「マッピング」は「載せ替え」と称してもよい。
また、OH情報の書き換え処理は、図5に例示した多重分離部112W(112P)での多重処理において、対象パスの信号のOH情報を書き換えることに相当すると捉えてよい。例えば、「2−wayのDM処理」における当該OH情報の書き換え処理は、図11の実線矢印S14で表される。
一方、「リング1周型のDM処理」が実施されていると判定されると、DM制御部72は、RESビットが「1」に設定された信号を受信したパスとは異なるルートで送信ノードAへ流れる信号のOH情報を書き換える。当該処理は、図9における処理P50のNOルートから処理P70に相当する。
仮に、RESビットが「1」に設定された信号が現用パス#1の信号であったとすると、受信ノードEのDM制御部72は、現用パス#1が設定された現用ルート#1とは異なる予備ルート#2を送信ノードAに向かって流れる信号のOH情報を書き換える。
例えば、DM制御部72は、予備ルート#2を送信ノードAに向かって流れる信号の「OPM&TCM」フィールドにおけるDMpビット及びRESビットをそれぞれ「0」から「1」に変更する。
当該OH情報の書き換え処理は、順方向の現用ルート#1から受信したDMpビット及びRESビットを、異なる予備ルート#2を逆方向に流れる信号のOH情報にマッピングすることに相当すると捉えてもよい。
また、当該OH情報の書き換え処理は、図5に例示した予備の多重分離部112Pでの多重処理において、対象パスの信号のOH情報を書き換えることに相当すると捉えてよい。例えば、当該OH情報の書き換え処理は、図12の実線矢印S24で表され、また、図14における処理P360のNOルートから処理P380で表される処理に相当する。
なお、受信ノードEは、DM制御部72の制御に応じて、順方向の予備ルート#2から受信したDMpビット及びRESビットを、異なる現用ルート#1を逆方向に流れる信号のOH情報にマッピングすることも可能である。
受信ノードEにおいて、多重分離部112W(112P)にて上述のごとくOH情報が書き換えられた信号(電気信号)は、光送受信機111W(111P)の光電変換部32W(32P)にて信号光に変換される。当該処理は、例えば図11の実線矢印S15(図12の実線矢印S25)で表され、また、図14の処理P400に相当する。
光電変換部32W(32P)で得られた信号光は、送受信部31W(31P)から送信ノードAへ向かう方向の光伝送路へ送信される。当該処理は、例えば図11の実線矢印S16(図12の実線矢印S26)で表され、また、図14の処理P410に相当する。
次に、図9の処理P80では、送信ノードAが、DM測定結果をOPS12に通知する。例えば、送信ノードAは、現用ルート#1(又は予備ルート#2)について、「2−wayのDM処理」を実施したのであれば、DM制御部72において、現用ルート#1(又は予備ルート#2)のDM測定値DM(N)が測定される。
「2−wayのDM処理」でのDM測定値DM(N)は、以下のタイミングT1及びT2の差分(T2−T1)として測定できる。
T1:送信ノードAから受信ノードEへ流れている信号のDMpビットを「0」から「1」に変更したタイミング
T2:タイミングT1で「1」に変更したDMpビットが流れるルートと同じルートで逆方向に流れている信号のDMpビットが「0」から「1」に切り替わったタイミング
一方、送信ノードAは、「リング1周型のDM処理」を実施したのであれば、DM制御部72において、2−wayのDM測定値DM(N)に加えて、「リング1周型のDM処理」でのDM測定値DM(R)が測定される。
「リング1周型のDM処理」でのDM測定値DM(R)は、以下のタイミングT3及びT4の差分(T4−T3)として測定できる。
T3:送信ノードAから受信ノードEへ流れている信号のRESビットを「0」から「1」に変更したタイミング
T4:タイミングT3で「1」に変更したRESビットが流れるルートとは異なるルートで逆方向に流れている信号のRESビットが「0」から「1」に切り替わったタイミング
なお、DM測定値がDM(R)であるかDM(N)であるかは、DM制御部72において、対象の信号の「PM&TCM」フィールドにおけるRESビットを確認することで判定できる。
DM制御部72で得られたDM測定値は、装置内情報管理部71に通知される。装置内情報管理部71は、通知されたDM測定値をOPS12宛に送信する(図9の処理P80)。例えば、装置内情報管理部71は、図8に例示した信号フォーマットの「DM測定時間(現用/予備)」フィールドに、DM測定値を設定してOPS12へ送信する。したがって、装置内情報管理部71は、DM測定値をOPS12に通知する通知部の一例であると捉えてよい。
現用ルート#1から予備ルート#2への「リング1周型のDM処理」において得られるDM測定値DM(R)は、例示的に、「DM測定時間(現用)」フィールドに設定されてよい。また、「リング1周型のDM処理」において予備ルート#2について得られる2−wayのDM測定値DM(N)は、「DM測定時間(予備)」フィールドに設定されてよい。
次に、図9の処理P90では、OPS12が、送信ノードAから受信したDM測定値に基づいて、現用ルート#1及び予備ルート#2の1−wayの遅延時間差を求める。
例えば、OPS12の演算部121は、式(3)に例示したように、DM測定値DM(R)とDM測定値DM(N)との差分を演算することにより、現用ルート#1及び予備ルート#2の1−wayの遅延時間差を求める。
次に、図9の処理P100では、OPS12が、処理P90で求めた1−wayの遅延時間差を基に中継ノード11におけるバッファ遅延量を求める。
例えば、OPS12の演算部121は、現用ルート#1と予備ルート#2との遅延時間差を基に、遅延時間が小さいルートを判定する。図1の例では、現用ルート#1が遅延時間の小さいルートと判定される。
そして、演算部121は、現用ルート#1と予備ルート#2との遅延時間差、及び、遅延時間の小さいルート#1における中継ノード数を基に、遅延時間の小さいルート#1における中継ノード11及び受信ノード11が負担するバッファ遅延量を求める。
図1の例では、中継ノードB及びC、並びに、受信ノードEがそれぞれ負担するバッファ遅延量が求められることになる。なお、各ルート#1及び#2における中継ノード数は、OPS12にて、トポロジー情報等として既知であるか、当該情報を基に算出可能であると考えてよい。
次に、図9の処理P110では、OPS12が、中継ノードB及びC並びに受信ノードEに対して負担するバッファ遅延量を通知する。例えば、OPS12の演算部121は、図8に例示した信号フォーマットの「遅延分散量」フィールドに、各ノード11が負担するバッファ遅延量を設定してよい。
加えて、演算部121は、遅延を分散させるルートを示す情報を図8に例示した信号データフォーマットの「遅延分散経路」フィールドに設定してよい。例えば、「0」で、遅延を分散させるルートが現用ルート#1であることを示し、「1」で遅延を分散させるルートが予備ルート#2であることを示す設定としてよい。
OPS12は、上述のごとく「遅延分散量」及び「遅延分散経路」を設定した信号を該当ノード11宛に送信することで、それぞれのノード11が負担するバッファ遅延量を通知する。
例えば、中継ノードB及びCでは、図6に例示した制御部119の装置内情報管理部91にバッファ遅延量が通知される。受信ノードEでは、図5に例示した制御部117の装置内情報管理部71にバッファ遅延量が通知される。
次に、図9の処理P120では、OPS12からバッファ遅延量を通知されたノード11が、遅延バッファによる遅延量を、通知されたバッファ遅延量に制御する。例えば、受信ノードEでは、制御部117の装置内情報管理部71(図5参照)が、OPS12から通知された「遅延分散量」及び「遅延分散経路」の情報をバッファ制御部73に与える。
バッファ制御部73は、装置内情報管理部71から与えられた情報に従って、現用及び予備の遅延バッファ113W及び113Pの一方又は双方の遅延量を制御する。なお、現用及び予備の遅延バッファ113W及び113Pのいずれを制御対象にするかは、「遅延分散経路」の情報を基に識別できる。
一方、中継ノードB及びCでは、制御部119の装置内情報管理部91(図6参照)が、OPS12から通知された「遅延分散量」及び「遅延分散経路」の情報をバッファ制御部93に与える。
バッファ制御部93は、装置内情報管理部91から与えられた情報に従って、遅延バッファ113の遅延量を制御する。なお、中継ノード11に、受信ノードEから送信ノードAに向かう逆方向の遅延バッファ113が備えられている場合、いずれの遅延バッファ113を制御対象にするかは、「遅延分散経路」の情報を基に識別してよい。
図6に例示した構成を有する中継ノードB及びCにおいて、光受信機111の受信部31にて受信された信号光は、光電変換部32にて電気信号に変換される。電気信号に変換された信号は、遅延バッファ113に入力されて、上述したようにしてバッファ遅延量が調整される。
遅延バッファ113から出力された電気信号は、光送信機118の光電変換部41において信号光に変換されて、送信部42から、受信ノードEに向かう方向の光伝送路へ送信される。
一方、図5に例示した構成を有する受信ノードEにおいて、現用(予備)の光送受信機111W(111P)の送受信部31W(31P)にて、現用ルート#1(予備ルート#2)の光伝送路から信号光が受信される。
受信信号光は、光電変換部32W(32P)にて電気信号に変換されて、多重分離部112W(112P)に入力される。多重分離部112W(112P)は、光電変換部32W(32P)から入力された電気信号から対象のパス信号が分離される。
その後、多重分離部112W(112P)で分離されたパス信号は、遅延バッファ113W(113P)に入力されて、上述したようにバッファ遅延量が調整される。現用及び予備の遅延バッファ113W及び113Pから出力された信号は、セレクタ114に入力され、セレクタ114にて一方の信号が選択される。
ここで、各中継ノードB及びC並びに受信ノードEにおいてバッファ遅延量が既述のとおりに調整されているため、現用ルート#1及び予備ルート#2を流れる信号が受信ノードEのセレクタ114に入力されるタイミングは、同じタイミングである。したがって、セレクタ114の切り替えによって「無瞬断切り替え」が実現可能となる。
以上のように、第1実施形態では、送信ノードAにおいて、受信ノードEに向かう方向のODUkパスのOH情報における「PM&TCM」フィールドのRESビットにフラグ情報を設定する。
そして、受信ノードEにおいて、フラグ情報を基に「2−wayのDM処理」であるか「リング1周型のDM処理」であるかを判定する。フラグ情報が「リング1周型のDM処理」を示していれば、受信ノードEは、当該信号が現用ルート#1及び予備ルート#2のいずれから受信した信号であるか否かを判定する。
判定の結果、「リング1周型のDM処理」を示す信号が現用ルート#1から受信した信号であれば、受信ノードEは、予備ルート#2を送信ノードAに向かって流れる信号のOH情報に、現用ルート#1から受信した信号のOH情報をマッピングする。マッピング対象のOH情報は、例示的に、DMpビット及びRESビットである。
一方、「リング1周型のDM処理」を示す受信信号が予備ルート#2から受信した信号であれば、受信ノードEは、現用ルート#1を送信ノードAに向かって逆方向に流れる信号のOH情報に、予備ルート#2から受信した信号のOH情報をマッピングする。
送信ノードAでは、自ノードAがOH情報を書き換えたタイミングと、受信ノードE側から受信される信号のOH情報が変化したタイミングと、の差分により、現用及び予備のルート#1及び#2の、受信ノードEに向かう1−wayの遅延時間差を測定できる。
したがって、「2−wayのDM処理」によって得られる2−wayの遅延時間を基にして1−wayの遅延時間差を推定する場合よりも、精度の高い1−wayの遅延時間差を測定することができる。
よって、例えば、ネットワーク管理者(オペレータ端末20)に対して正確な遅延時間差の情報を提供することができる。その結果、ネットワーク管理者は、現用及び予備のルート(又はパス)の設定や、UPSRにおける遅延バッファの分散配置の最適化等、の効率的なネットワーク管理を実施することが可能となる。
また、上述した「リング1周型のDM処理」において、送信ノードA及び受信ノードEがOH情報を書き換えるタイミングは、フレーム周期やマルチフレーム周期に制約されない。したがって、測定可能な最大の遅延差も、フレーム周期やマルチフレーム周期に制約されない。
更に、上述した例において、1−wayの遅延時間差は、式(3)で例示したように、DM(R)とDM(N)との差分によって求めることができるから、タイムスタンプ等の時刻情報は不要である。
したがって、光ネットワーク1のNE11が高精度に時刻同期している必要はなく、伝送遅延測定のために、NE11に高精度なクロック信号源を備えたり、NE11間で高精度に時刻同期を確立するような仕組みを備えたりする必要もない。
別言すれば、上述した「リング1周型のDM処理」は、既存ネットワークへの導入が容易である。よって、伝送遅延測定のためにNEのコストが増大したり、ネットワークコストが増大したりすることを回避あるいは抑制できる。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、OPS12が、UPSRにおける1−wayの遅延時間差を求め、当該遅延時間差を基に、各ノード11のバッファ遅延時間を制御する例について説明した。
第2実施形態では、UPSRを成すいずれかのノード11が、OPS12に代わって、1−wayの遅延時間差を求めてバッファ遅延時間を自律分散的に制御する例について説明する。
図2に例示したように、ODUkパスのOH情報には、汎用通信チャネル(GCC)フィールドが用意されている。ノード11は、当該GCCフィールドを用いて、任意の他のノード11と通信することが可能である。
したがって、GCCフィールドを用いて、第1実施形態で説明したDM測定値やバッファ遅延量等の情報をノード11間で送受信することが可能である。なお、GCCフィールドを用いたノード11間通信は、便宜的に、「GCC通信」と称してよい。
ノード11間でGCC通信を行なうことで、第1実施形態で説明したOPS12による制御や処理、管理をノード11に分散することができ、OPS12の処理負荷を軽減できる。
以下、第1実施形態との差分を中心に、第2実施形態を説明する。なお、ネットワーク1の構成は、図1に例示した構成と同じでよい。図15に、第2実施形態の送信ノード11の構成例を示し、図16に、第2実施形態の受信ノード11の構成例を示す。また、図17に、第2実施形態の中継ノード11の構成例を示す。
図15に例示する送信ノード11は、図1に例示した送信ノードAに相当すると捉えてよい。図16に例示する受信ノード11は、図1に例示した受信ノードEに相当すると捉えてよい。図17に例示する中継ノード11は、図1に例示した中継ノードB及びCに相当すると捉えてよい。
(送信ノードの構成例)
図15に例示する送信ノード11の構成は、現用ルート#1及び予備ルート#2への送信系に着目した構成例に相当する。そのため、図15において、図5に例示した、遅延バッファ113W及び113P、バッファ制御部73、並びに、セレクタ114の図示は省略している。
また、図15において、図5に例示した「送受信部」31W及び31Pは、それぞれ便宜的に、「送信部」31W及び31Pとして記載し、「多重分離部」112W及び112Pは、それぞれ便宜的に、「多重部」112W及び112Pとして記載している。
図15に例示する送信ノード11は、図5に例示した構成に比して、制御部117において、DM制御部72に代えてOH制御部74が備えられている点が異なる。OH制御部74は、例示的に、DM制御部741と、GCC制御部742と、を備える。
DM制御部741は、第1実施形態のDM制御部72と同等の機能を具備してよい。例えば、DM制御部741は、装置内情報管理部71からのDM実施命令に応じたDM処理を実施、制御できる。
DM処理の実施によってDM制御部741で得られたDM測定値は、例えば、装置内情報管理部71に通知されてよい。装置内情報管理部71は、通知されたDM測定値をOPS12には通知しなくてよい。
その代わりに、装置内情報管理部71は、第1実施形態において式(3)に示した演算によって、UPSRの1−wayの遅延時間差を求めてよい。したがって、第2実施形態の装置内情報管理部71は、演算部の一例に相当すると捉えてもよいし、演算部の機能を具備していると捉えてもよい。
また、装置内情報管理部71は、求めた1−wayの遅延時間差を基に、「遅延分散経路」におけるノード11が負担する「遅延分散量」を求めてよい。その際、装置内情報管理部71は、OPS12に対して、「遅延分散経路」の中継ノード数を問い合わせてよい。
GCC制御部742は、例示的に、多重部112W(112P)での信号多重処理においてODUkパス信号に付加されるOH情報のGCCフィールドを制御する。例えば、GCC制御部742は、DM制御部72で得られたDM測定値や、装置内情報管理部71で得られた遅延分散量を、GCCフィールドに設定してよい。
(受信ノードの構成例)
図16に例示する受信ノード11の構成は、現用ルート#1及び予備ルート#2の受信系に着目した構成例に相当する。そのため、図16において、図5に例示した送信系の一例を成す、光スプリッタ115、並びに、光電変換部116W及び116Pの図示は省略している。
また、図16において、図5に例示した「送受信部」31W及び31Pは、それぞれ便宜的に、「受信部」31W及び31Pとして記載し、「多重分離部」112W及び112Pは、それぞれ便宜的に、「分離部」112W及び112Pとして記載している。
図16に例示する制御部117は、図15に例示した送信ノード11における制御部117に相当してよい。別言すると、制御部117は、1つのノード11における送信系と受信系とに共通であってよい。
そのため、図16に例示する制御部117は、図15に例示した、装置内情報管理部71と、OH制御部74(DM制御部741及びGCC制御部742)と、を備えてよく、また、図5に例示したバッファ制御部73を備えてよい。
(中継ノードの構成例)
図17に例示する中継ノード11は、図6に例示した中継ノード11の構成例に比して、制御部119において、装置内情報管理部91に代えて、GCC制御部92を備える点が異なる。
GCC制御部92は、例示的に、光受信機111の光電変換部32で得られる受信電気信号から、OH情報のGCCフィールドに設定されている情報を抽出してバッファ制御部93に与えることができる。
例えば、GCCフィールドに、他のノード11で求められた、自ノード11における遅延バッファ113による遅延量の情報が設定されていれば、GCC制御部92は、当該遅延量の情報を抽出してバッファ制御部93に与えることができる。
以下、第2実施形態のDM処理に関わる動作について、便宜的に、図9に例示したフローチャートとの比較で説明する。
図9に例示した処理P10〜P70は、第2実施形態においても同様でよい。すなわち、オペレータ端末20からOPS12に対するパス設定要求に応じて、OPS12によって、現用パス#1及び#2の設定が実行され、送信ノードAに対してDM実施命令が与えられる。送信ノードAは、第1実施形態と同様にして、「2−wayのDM処理」あるいは「リング1周型のDM処理」を実施する。
DM処理によって送信ノードAのDM制御部741にてDM測定値が得られる。第1実施形態では、処理P80において当該DM測定値をOPS12に通知していたが、第2実施形態では、OPS12へは通知せずに、装置内情報管理部71に通知する。
例えば、DM制御部741は、現用ルート#1への「リング1周型のDM処理」によって得られたDM測定値DM(R)と、予備ルート#2に対する2−wayのDM測定値DM(N)と、を、装置内情報管理部71に通知する。
装置内情報管理部71は、DM制御部741から通知されたDM測定値を基に、図9の処理P90でOPS12が実施していた、現用ルート#1と予備ルート#2との1−wayの遅延時間差の演算を、OPS12に代わって実施する。当該遅延時間差の演算は、第1実施形態と同様でよい。
また、装置内情報管理部71は、求めた遅延時間差を基に、図9の処理P100でOPSが実施していた、中継ノードB及びC、並びに、受信ノードEがそれぞれ負担するバッファ遅延量の算出を、OPS12に代わって実施する。その際、装置内情報管理部71は、OPS12に対して現用ルート#1及び予備ルート#2における中継ノード数を問い合わせてよい。
装置内情報管理部71は、現用ルート#1及び予備ルート#2の遅延時間差から遅延時間の小さいルートを判定する。そして、装置内情報管理部71は、遅延時間が小さいと判定したルートの中継ノード数と、求めた遅延時間差と、を基に、遅延時間の小さいルートの中継ノード及び受信ノードが負担するバッファ遅延量を算出する。
第1実施形態では、OPS12が、求めたバッファ遅延量を対象ノード11宛に通知したが、第2実施形態では、装置内情報管理部71が、GCC制御部742に、対象ノード11宛のバッファ遅延量を通知する。
GCC制御部742は、装置内情報管理部71から通知されたバッファ遅延量を、対象ノード11に向かう方向に流れる信号のOH情報におけるGCCフィールドに設定する。当該GCCフィールドに設定されたバッファ遅延量は、対象ノード11のGCC制御部92又は742にて検出、抽出される。別言すると、GCC通信によって、バッファ遅延量が対象ノード11に通知される。
対象ノード11は、GCC通信によって通知されたバッファ遅延量に従って、図9の処理P120と同様に、自ノード11のバッファ遅延量を制御する。例えば、受信ノードEでは、GCC制御部742が、GCCフィールドから抽出したバッファ遅延量を装置内情報管理部71に通知する。
装置内情報管理部71は、GCC制御部742から通知されたバッファ遅延量をバッファ制御部73に与える。バッファ制御部73は、装置内情報管理部71から与えられた情報に従って、遅延バッファ113W(113P)の遅延量を制御する。
一方、中継ノードB及びCでは、GCC制御部92がGCCフィールドから抽出したバッファ遅延量をバッファ制御部93に通知する。バッファ制御部93は、GCC制御部92から通知されたバッファ遅延量に従って、遅延バッファ113の遅延量を制御する。
以上のようにして対象ノード11でのバッファ遅延量が調整されることで、受信ノードEでは、第1実施形態と同様にして、セレクタ114による「無瞬断切り替え」が可能となる。
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られるほか、OPS12の処理負荷を軽減できる。したがって、例えば、OPS12の故障率を低減することができ、ひいてはネットワーク1の制御や管理に支障が生じる確率を低減することができる。
なお、上述した第2実施形態では、1−wayの遅延時間差の算出と、その算出結果に基づくバッファ遅延量の算出と、の双方を、1つのノード11(例えば、送信ノードA)で実施する例について説明した。
しかし、これらの遅延時間差の算出とバッファ遅延量の算出とは、複数のノード11(OPS12が含まれてもよい。)間で分散的に実施しても構わない。これによれば、処理負荷が1つのノード11(例えば、送信ノードA)に集中することを回避あるいは低減できる。
また、遅延時間差の算出及びバッファ遅延量の算出の一方又は双方を実施(担当)するノード11やOPS12は、当該ノード11やOPS12の処理負荷に応じて適応的に変更されてもよい。当該適応的な変更は、既述のGCC通信を用いて実現してよい。
(その他)
上述した第1及び第2実施形態では、例えば図1において、送信ノードAから受信ノードEへ向かう方向の、現用ルート#1及び予備ルート#2の1−wayの遅延時間差を測定する例について説明した。
しかし、受信ノードEから送信ノードAに向かう逆方向の1−wayの遅延時間差も、第1及び第2実施形態と同様にして測定することが可能である。例えば、上述した第1及び第2実施形態において、「送信ノードA」を「受信ノードE」に読み替え、「受信ノードE」を「送信ノードE」に読み替えてよい。
また、上述した第1及び第2実施形態では、「リング1周型のDM処理」において、現用ルート#1への送信信号のOH情報に変更を加えて「リング1周型のDM処理」を実施し、予備ルート#2に対して「2−wayのDM処理」を実施する例について説明した。
しかし、予備ルート#2への送信信号のOH情報に変更を加えて「リング1周型のDM処理」を実施し、現用ルート#1に対して「2−wayのDM処理」を実施しても、送信ノードAから受信ノードEへの方向の1−way遅延時間差を求めることができる。
また、上述した第1及び第2実施形態では、送信ノードAが、「リング1周型のDM処理」のためにOH情報に変更を加えるルートと、「リング1周型のDM処理」での「2−wayのDM処理」のためにOH情報に変更を加えるルートと、が異なる例について説明した。
しかし、送信ノードAが、OH情報に変更を加えるルートは、「リング1周型のDM処理」と、「リング1周型のDM処理」での「2−wayのDM処理」と、で同じであっても構わない。
例えば、送信ノードAは、「リング1周型のDM処理」のために現用ルート#1に対応するOH情報に変更を加え、「リング1周型のDM処理」での「2−wayのDM処理」のために同じ現用ルート#1に対応するOH情報に変更を加えてもよい。
例えば、送信ノードAは、現用ルート#1に対応するOH情報における「PM&TCM」フィールドのDMpビット及びRESビットのそれぞれを「0」から「1」に変更してよい。
あるいは、送信ノードAは、「リング1周型のDM処理」のために予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加え、「リング1周型のDM処理」での「2−wayのDM処理」のために同じ予備ルート#2に対応するOH情報に変更を加えてもよい。
例えば、送信ノードAは、予備ルート#2に対応するOH情報における「PM&TCM」フィールドのDMpビット及びRESビットのそれぞれを「0」から「1」に変更してよい。
別言すると、送信ノードAにおいて、DMpビットを変更する信号と、RESビットを変更する信号とは、同じ信号であってよい。この場合、第1及び第2実施形態に比べて、OH情報の変更対象の信号が減るので、OH情報に変更を加える処理を簡易化できる。
受信ノードEは、DMpビット=1の信号の受信(検出)に応じて、当該信号を受信したルートと同じルートを送信ノードAに向かう方向に送信する信号のDMpビットを「0」から「1」に変更する。
併せて、受信ノードEは、DMp=1の信号のRESビットも「1」に設定されているから、当該信号を受信したルートと異なるルートを送信ノードAに向かう方向に送信する信号のRESビットを「0」から「1」に変更する。
別言すると、受信ノードEは、DMpビット=1及びRESビット=1に設定された信号の受信に応じて、当該信号を受信したルートの逆方向と、当該ルートとは異なるルートの送信ノードAに向かう方向と、にそれぞれ信号を送信する。
ただし、これらの場合、送信ノードAでは、第1及び第2実施形態とは逆方向の、受信ノードEから送信ノードAへ向かう方向の1−way遅延時間差が求まることになる。逆方向の1−way遅延時間差は、順方向の1−way遅延時間差と等価であると扱ってよければ、逆方向の1−way遅延時間差を基に、第1及び第2実施形態と同様にして、バッファ遅延時間の制御を実施して構わない。
また、上述した第1及び第2実施形態では、ノードA−E間に設定されるルートが2つのルート#1及び#2である例について説明したが、ノードA−E間に設定されるルートは、3つ以上であってもよい。3つ以上のルートのうちの2つのルートに対して上述した「リング1周型のDM処理」を適用してよい。
更に、上述した第1及び第2実施形態では、「リング1周型のDM処理」をネットワーク1の一例であるOTNのUPSRに適用した例について説明した。しかし、「リング1周型のDM処理」は、例えば、2つのNE間に、信号が到達可能な複数のルートを設定可能なネットワーク1であれば適用可能であり、上述した第1及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。