以下、本発明の実施の形態による建設機械の回動角検出装置を、油圧ショベルのブームとアームとのピン結合部に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。建設機械の代表例である油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に設けられ土砂の掘削作業等を行う後述のフロント装置8とを含んで構成されている。
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム4と、旋回フレーム4の後端側に設けられたカウンタウエイト5と、カウンタウエイト5の前側に位置して旋回フレーム4に搭載された原動機、油圧ポンプ、熱交換装置等の搭載機器(図示せず)と、搭載機器を覆って旋回フレーム4上に設けられた外装カバー6と、旋回フレーム4の左前側に設けられ運転室を画成するキャブ7とを含んで構成されている。
フロント装置8は、上部旋回体3を構成する旋回フレーム4の前側に俯仰動可能に設けられている。フロント装置8は、基端側(フート部)が旋回フレーム4の前側に上,下方向に回動可能にピン結合されたブーム9と、ブーム9の先端側に回動可能にピン結合されたアーム10と、アーム10の先端側に回動可能にピン結合された作業具としてのバケット11とを含んで構成されている。ブーム9はブームシリンダ9Aにより駆動され、アーム10はアームシリンダ10Aにより駆動され、バケット11はバケットシリンダ11Aにより駆動される。
ここで、バケット11とバケットシリンダ11Aのロッドとの間には、バケットリンク12,13が設けられ、バケットシリンダ11Aの伸縮は、バケットリンク12,13を介してバケット11に伝達される。バケットリンク12は、左,右方向で間隔をもって対面する左,右のリンク板12A(左側のみ図示)を含んで構成され、各リンク板12A間には吊荷フック14が回動可能に設けられている。
吊荷フック14は、バケットリンク12を構成する左,右のリンク板12A間に配置されている。この吊荷フック14は、油圧ショベル1を用いて土砂の掘削作業を行うときには、各リンク板12A間に格納された格納位置に保持される。また、吊荷フック14を用いたクレーン作業を行うときには、吊荷フック14は、バケットリンク12の外部に取出される構成となっている。
次に、フロント装置8を構成する一側部材としてのブーム9と、他側部材としてのアーム10とを回動可能に連結するピン結合部15について説明する。
図3に示すように、ピン結合部15は、ブーム9の先端側に設けられた左,右一対のブラケット16と、アーム10に設けられたアームボス17と、後述する連結ピン20とを含んで構成されている。
ブーム9の各ブラケット16は、その外側面に補強板16Aが設けられ、各ブラケット16と補強板16Aには、連結ピン20が挿通されるピン挿通孔16Bが左,右方向に貫通して形成されている。各ブラケット16は、アームボス17を左,右両側から挟むように配置され、各ブラケット16とアームボス17とは、連結ピン20を中心として相対回動可能に連結されている。
アームボス17は、アーム10の基端側に一体的に設けられ、左,右方向に延びる円筒状に形成されている。アームボス17の内周側はピン挿通孔17Aとなり、ピン挿通孔17Aの軸方向の両端側には後述するブッシュ19が配置されている。アームボス17の軸方向の両端にはそれぞれ円弧状のフランジ板17Bが一体に設けられ、これら左,右のフランジ板17Bの外周縁はアーム10の左,右の側板10Bに溶接されている。また、一方(図3中の左側)のフランジ板17Bの外側面には、後述のレバー25を取付けるためのレバー取付台座17Cが溶接等の手段を用いて固定されている。
ストッパ突起18は、各ブラケット16のうち一方(図3中の左側)のブラケット16の補強板16Aに溶接等の手段を用いて固定され、補強板16Aから外向き(ブラケット16から離れる方向)に突出している。このストッパ突起18は、例えば段付き円筒状に形成され、後述する廻止めフランジ21の長溝孔21Aに嵌合することにより、連結ピン20をブラケット16に対して廻止めするものである。また、ストッパ突起18の内周側には、雌ねじ穴18Aが螺設されている。
一対のブッシュ19は、アームボス17の左,右両側に配置されている。各ブッシュ19は、例えば耐摩耗性に優れた硬質の金属材料からなる円筒体として形成されている。各ブッシュ19は、例えば圧入等の手段を用いてアームボス17の内周側にそれぞれ嵌着され、各ブッシュ19の内周側は、連結ピン20が摺動可能に挿嵌されるピン挿嵌孔19Aとなっている。
連結ピン20は、各ブラケット16とアームボス17との間を連結するもので、金属材料を用いて円柱状に形成されている。連結ピン20は、軸方向の中間部がアームボス17に設けられた各ブッシュ19のピン挿嵌孔19A内に摺動可能に挿嵌され、軸方向の両端側が各ブラケット16のピン挿通孔16B内に挿通されている。
連結ピン20の軸方向の一端側は大径部20Aとなり、この大径部20Aは、連結ピン20の両端側が各ブラケット16のピン挿通孔16B内に挿通された状態で、ストッパ突起18が設けられたブラケット16の補強板16Aの外部に突出している。大径部20Aの端面には、軸方向に延びる有底穴20Bが形成され、この有底穴20B内には、後述する角度センサ24が収容されている。
連結ピン20の大径部20Aの外周には、廻止めフランジ21が固定されている。この廻止めフランジ21は、略長円形状をなす金属製の平板からなり、廻止めフランジ21の長さ方向の一端側は、溶接等の手段を用いて大径部20Aの外周面に一体的に固着されている。一方、廻止めフランジ21の長さ方向の他端側には、その長さ方向に沿って延びる長溝孔21Aが形成されている。
ここで、廻止めフランジ21は、一方のブラケット16(補強板16A)に設けられたストッパ突起18に長溝孔21Aを嵌合させることにより、一方のブラケット16に対して連結ピン20を廻止めする構成となっている。また、ストッパ突起18に廻止めフランジ21の長溝孔21Aを嵌合させた状態で、ストッパ突起18の突出端には抜止め板22が取付けられる。抜止め板22は、長溝孔21Aの溝幅よりも大きな直径を有する円板状に形成され、その中心部に挿通されたボルト22Aをストッパ突起18の雌ねじ穴18Aに螺着することにより、ストッパ突起18の突出端に固定されている。従って、連結ピン20は、ストッパ突起18および廻止めフランジ21によって廻止めされると共に、抜止め板22によって軸方向に抜止めされている。
次に、本実施の形態に用いられる回動角検出装置23について説明する。
回動角検出装置23は、アーム10と連結ピン20との間に設けられ、ブーム9(一側部材)に対するアーム10(他側部材)の回動角を検出するものである。この回動角検出装置23は、連結ピン20に設けられた後述の角度センサ24と、アーム10と角度センサ24との間に設けられた後述のレバー25とを含んで構成されている。
角度センサ24は、連結ピン20の端部となる大径部20Aの有底穴20B内に設けられている。この角度センサ24は、有底穴20B内に挿嵌された円筒状のケーシング24Aと、該ケーシング24A内に回転可能に設けられた角度検出用の回転軸24Bとを有している。角度センサ24は、回転軸24Bの回転位置を検出するポテンショメータ等の検出部(図示せず)を有し、連結ピン20を中心としたブーム9に対するアーム10の回動角度θを検出するものである。
ここで、角度センサ24の回転軸24Bは、連結ピン20の軸中心と同心状に配置され、ケーシング24Aから突出した回転軸24Bの突出端部には、径方向に貫通するレバー取付孔24Cが形成されている。そして、角度センサ24の回転軸24Bとアーム10との間は、後述するレバー25を介して連結され、連結ピン20を中心としてブーム9とアーム10とが相対回動したときに、ブーム9に対するアーム10の回動角度θが角度センサ24によって検出される構成となっている。
次に、本実施の形態に用いられるレバー25について、図3ないし図8を参照しつつ説明する。
レバー25は、アーム10と角度センサ24との間に設けられ、ブーム9に対するアーム10の回動角度θを検出するものである。ここで、レバー25は、後述する取付基板26と、棒部材28と、棒部材固定リベット29と、ホルダ部材30とを含んで構成されている。
取付基板26は、アームボス17に設けられたレバー取付台座17Cに取付けられ、角度センサ24に向けて延びている。この取付基板26は、ステンレス鋼板等からなる長方形の板体を折曲げることにより、例えば2mm程度の板厚を有する略J字型の屈曲板として形成されている。取付基板26は、長さ方向の途中部位に屈曲部26Aが形成され、この屈曲部26Aを挟んで短尺な平板状の固定板26Bと、長尺な棒部材取付板26Cとを有している。
取付基板26の固定板26Bには、取付基板26の長さ方向に延びる長孔状のボルト挿通孔26Dが設けられている。このボルト挿通孔26Dに挿通されたボルト27をアームボス17のレバー取付台座17Cに螺着することにより、取付基板26の固定板26Bがレバー取付台座17Cに固定され、棒部材取付板26Cは角度センサ24に向けて延びている(図3参照)。
取付基板26の棒部材取付板26Cの先端側(屈曲部26Aとは反対側)には、1個の長円形リベット嵌合孔26Eと2個のリベット嵌合孔26Fとが設けられている。長円形リベット嵌合孔26Eは、取付基板26の長さ方向と直交する幅方向に延びる長孔状に形成され、棒部材取付板26Cの幅方向の中央部に配置されている。この長円形リベット嵌合孔26Eは、後述する棒部材固定リベット29の軸部29Aが嵌合するものである。
一方、リベット嵌合孔26Fは、長円形リベット嵌合孔26Eよりも先端側に位置し、棒部材取付板26Cの幅方向に間隔をもって配置されている。これら各リベット嵌合孔26Fは、後述するホルダ固定リベット32の軸部32Aが嵌合するものである。
棒部材28は、基端側が取付基板26に固定されると共に先端側が角度センサ24に取付けられている。この棒部材28は、例えばばね用ステンレス鋼からなる外径3mm程度の弾性に優れた1本の丸棒材を折曲げることにより、略J字型に屈曲した屈曲棒として形成されている。棒部材28は、長さ方向の略中央部に屈曲部28Aが形成され、この屈曲部28Aを挟んで取付基板26側に位置する基板側棒部28Bと、屈曲部28Aを挟んで角度センサ24側に位置するセンサ側棒部28Cとにより構成されている。
基板側棒部28Bの端部には、基板固定部としてのリング部28Dが形成されている。このリング部28Dは、基板側棒部28Bの端部を軸体等(図示せず)に巻付けて湾曲させることにより、リング状に形成されている。リング部28Dは、その内周側に棒部材固定リベット29の軸部29Aが挿嵌されるもので、リング部28Dの内径寸法は、軸部29Aの外径寸法よりも僅かに大きく形成されている。このように、基板側棒部28Bの端部を湾曲させてリング部28Dを形成することにより、1本の丸棒材に対して曲げ加工を施すだけで棒部材28を容易に形成することができる構成となっている。
一方、センサ側棒部28Cは、角度センサ24を構成する回転軸24Bの軸中心と直交する方向に延び、センサ側棒部28Cの端部はセンサ取付部28Eとなっている。このセンサ取付部28Eは、角度センサ24の回転軸24Bに形成されたレバー取付孔24Cに挿嵌されることにより、角度センサ24に取付けられている。
棒部材固定リベット29は、棒部材28のリング部28Dを取付基板26に固定するものである。この棒部材固定リベット29は、円柱状の軸部29Aと、軸部29Aの一端側に設けられた円板状の頭部29Bとからなっている。棒部材固定リベット29の軸部29Aは、棒部材28のリング部28D、取付基板26の長円形リベット嵌合孔26Eに挿嵌される。
そして、長円形リベット嵌合孔26Eを通じて取付基板26の裏面26G側に突出した軸部29Aの他端側は、ハンマ等の工具(図示せず)を用いてかしめられる。これにより、軸部29Aの他端にはかしめ部29Cが形成され、このかしめ部29Cが取付基板26の長円形リベット嵌合孔26Eに対して抜止めされることにより、棒部材28のリング部28Dが、取付基板26の棒部材取付板26Cに固定される。
ここで、棒部材28のリング部28Dは、棒部材28の基板側棒部28Bに曲げ加工を施すことにより形成されている。このため、リング部28Dの内周側に棒部材固定リベット29の軸部29Aを挿嵌したときに、軸部29Aの中心が、棒部材28(基板側棒部28B)の軸中心線に対して偏心する(ずれる)ことがある。従って、仮に取付基板26(棒部材取付板26C)の幅方向の中央部に、長円形リベット嵌合孔26Eに代えて円形状のリベット嵌合孔を形成し、このリベット嵌合孔に棒部材固定リベット29の軸部29Aを嵌合させた場合には、棒部材28の軸中心線が取付基板26の中央部に対して幅方向にずれた状態で、棒部材28が取付基板26に固定されてしまう。これに対し、取付基板26の棒部材取付板26Cに、取付基板26の幅方向に延びる長円形リベット嵌合孔26Eを形成することにより、棒部材固定リベット29の軸部29Aの中心が、棒部材28の軸中心線に対してずれたとしても、軸部29Aが嵌合する位置を長円形リベット嵌合孔26Eに沿って幅方向に調整することができる。これにより、棒部材28を、取付基板26の幅方向の中央部に固定することができる構成となっている。
このように、棒部材28にリング部28Dを形成し、このリング部28Dを棒部材固定リベット29を用いて取付基板26に固定するができるので、溶接手段を用いて棒部材28を取付基板26に接合する必要がない。これにより、溶接欠陥による亀裂の発生、棒部材28と取付基板26との接合部の断面形状の変化に伴う応力集中を回避することができる。また、棒部材28と取付基板26とを溶接によって接合する場合に比較して、棒部材28と取付基板26とを棒部材固定リベット29を用いて容易に接合することができる構成となっている。
ホルダ部材30は、取付基板26の棒部材取付板26Cの先端側に固定されている。このホルダ部材30は、棒部材28の基板側棒部28Bのうちリング部28Dよりもセンサ取付部28E側に偏った途中部位を保持するものである。ここで、ホルダ部材30は、後述するホルダ本体31と、ホルダ固定リベット32とを含んで構成されている。
ホルダ本体31は、例えば取付基板26よりも薄肉なステンレス鋼板等により、全体として取付基板26の幅方向に延びる長方形の板状に形成されている。ここで、ホルダ本体31は、長さ方向の中央部に位置する断面三角形状の屈曲部31Aと、屈曲部31Aを挟んで長さ方向の両側に配置された一対の基板当接部31Bとを有し、屈曲部31Aは、例えば曲げ加工によって形成されている。また、各基板当接部31Bには、それぞれリベット嵌合孔31Cが設けられ、これら各リベット嵌合孔31Cは、取付基板26の各リベット嵌合孔26Fに対応している。
ここで、図8に示すように、ホルダ本体31の屈曲部31Aは、取付基板26の棒部材取付板26Cとの間で棒部材28の基板側棒部28Bを挟持するものである。ホルダ本体31の各基板当接部31Bは、取付基板26の棒部材取付板26Cに当接するものである。この場合、ホルダ本体31の屈曲部31Aを断面三角形状に形成することにより、屈曲部31Aと棒部材取付板26Cとの間で棒部材28の基板側棒部28Bを挟持したときに、この基板側棒部28Bの外周面が、屈曲部31Aと棒部材取付板26Cとによって3点支持される。従って、ホルダ本体31の屈曲部31Aは、基板側棒部28Bの外周面を覆った状態で基板側棒部28Bを安定して保持し、棒部材28が取付基板26の幅方向に変位(変形)するのを規制する。
ホルダ固定リベット32は、ホルダ本体31の各基板当接部31Bを取付基板26の棒部材取付板26Cに固定するものである。このホルダ固定リベット32は、円柱状の軸部32Aと、軸部32Aの一端側に設けられた頭部32Bとからなっている。ホルダ固定リベット32の軸部32Aは、各基板当接部31Bのリベット嵌合孔31C、取付基板26のリベット嵌合孔26Fに挿嵌される。
そして、棒部材固定リベット29によって棒部材28のリング部28Dを取付基板26の棒部材取付板26Cに固定した状態で、棒部材取付板26Cとホルダ本体31の屈曲部31Aとの間に棒部材28の基板側棒部28Bが挟込まれる。この状態で、ホルダ本体31の各リベット嵌合孔31Cと取付基板26の各リベット嵌合孔26Fとに、それぞれホルダ固定リベット32の軸部32Aが挿嵌される。リベット嵌合孔26Fを通じて取付基板26の裏面26G側に突出した軸部32Aの他端側は、ハンマ等の工具(図示せず)を用いてかしめられる。これにより、軸部32Aの他端にはかしめ部32Cが形成され、このかしめ部32Cが取付基板26のリベット嵌合孔26Fに対して抜止めされることにより、ホルダ本体31が取付基板26の棒部材取付板26Cに固定される。
このようにして、棒部材28のリング部28Dは、棒部材固定リベット29を用いて取付基板26の棒部材取付板26Cに固定され、棒部材28のリング部28Dよりもセンサ取付部28E側に偏った途中部位は、ホルダ部材30によって取付基板26の棒部材取付板26Cに保持される。これにより、棒部材28は、自らの弾性によって取付基板26の板厚方向(図6中の矢示A方向)に撓み変形(弾性変形)し、ホルダ部材30によって、取付基板26の幅方向への変形が規制される構成となっている。
このように、本実施の形態によるレバー25は、棒部材28の基端側に設けられたリング部28Dを、棒部材固定リベット29を用いて取付基板26に固定することにより、溶接手段を用いて棒部材28を取付基板26に固定する必要がないため、溶接作業が難しいばね用ステンレス鋼を用いて弾性に優れた棒部材28を形成することができる。これにより、棒部材28は、取付基板26の板厚方向(図6中の矢示A方向)に対して撓み変形(弾性変形)可能な状態で取付基板26に取付けられている。従って、例えば図3に示すように、アームボス17に設けられたレバー取付台座17Cの端面と角度センサ24のレバー取付孔24Cの中心との間の距離Lが、フロント装置8の組付時の寸法公差の範囲内で変化し、この距離Lの変化によって棒部材28に応力が作用したとしても、この応力を棒部材28が撓み変形することにより吸収することができる。
保護カバー33は、回動角検出装置23を覆った状態で廻止めフランジ21に取付けられている。この保護カバー33は、略楕円形状を有する有蓋筒体として形成され、複数のスペーサ33Aおよびボルト33Bを用いて廻止めフランジ21に取付けられている。保護カバー33は、回動角検出装置23を構成する角度センサ24、レバー25等を覆うことにより、これら角度センサ24、レバー25等を掘削作業時の土砂等から保護するものである。
本実施の形態による回動角検出装置23は上述の如き構成を有するもので、以下、その作動について説明する。
油圧ショベル1が、吊荷フック14を用いたクレーン作業、バケット11を用いた掘削作業等を行うときには、ブーム9に対するアーム10の回動角が、回動角検出装置23によって検出される。
即ち、アームシリンダ10Aが伸長または縮小することにより、アーム10がブーム9の先端側で連結ピン20を中心として回動すると、連結ピン20の端部に設けられた角度センサ24の回転軸24Bに対し、レバー25を介してアーム10の回動動作が伝達される。これにより、角度センサ24は、回転軸24Bの回動変位に基づいて、ブーム9に対するアーム10の回動角度θを検出することができる。
この場合、本実施の形態による回動角検装置23のレバー25は、アーム10のアームボス17に取付られた取付基板26と、取付基板26と角度センサ24との間に設けられた棒部材28とを含んで構成され、棒部材28の基端側に設けられたリング部28Dが、棒部材固定リベット29を用いて取付基板26に固定されると共に、棒部材28のうちリング部28Dよりもセンサ取付部28E側に偏った途中部位(基板側棒部28B)が、ホルダ部材30によって保持されている。
従って、本実施の形態によるレバー25は、溶接手段を用いて棒部材28を取付基板26に固定する必要がないため、溶接作業が難しいばね用ステンレス鋼を用いて弾性に優れた棒部材28を形成することができ、棒部材28は、取付基板26の板厚方向に充分に撓み変形(弾性変形)することができる。この結果、例えば図3に示すように、アームボス17に設けられたレバー取付台座17Cの端面と角度センサ24のレバー取付孔24Cの中心との間の距離Lが、フロント装置8の組付時の寸法公差の範囲内で変化し、この距離Lの変化によって棒部材28に力が作用し応力が発生することがある。仮に棒部材28に応力が発生しても、棒部材28に機械的性能が高い材料を使用できるため、許容応力値以内に収めることができる。また、例えば油圧ショベル1の作業時にフロント装置8からレバー25に伝わる振動によって棒部材28に力が作用した場合でも、同じ効果を得ることができる。
ここで、仮に棒部材28が溶接によって取付基板26に接合された場合には、溶接欠陥による亀裂の発生、あるいは取付基板26と棒部材28との接合部で断面形状が変化することによる応力集中により、溶接による接合部が破損する虞れがある。
これに対し、本実施の形態では、棒部材28の基端側に設けられたリング部28Dを、棒部材固定リベット29を用いて取付基板26に固定すると共に、棒部材28のうちリング部28Dよりもセンサ取付部28E側に偏った途中部位(基板側棒部28B)を、ホルダ部材30によって保持している。この結果、溶接手段を用いて棒部材28を取付基板26に接合する場合に比較して、棒部材28と取付基板26との固定部に応力が集中するのを抑えることができ、レバー25の耐久性を高め、その寿命を延ばすことができる。
また、本実施の形態による回動角検出装置23のレバー25は、棒部材28の基端側にリング状に湾曲させたリング部28Dを形成し、取付基板26には、リング部28Dの内周側に挿嵌された棒部材固定リベット29が嵌合する長孔状の長円形リベット嵌合孔26Eを設ける構成としている。
これにより、1本の丸棒材に対して曲げ加工を施すだけで、リング部28Dを有する棒部材28を容易に形成することができるので、レバー25の製造コストを削減することができる。しかも、リング部28Dの内周側に棒部材固定リベット29の軸部29Aを挿嵌したときに、軸部29Aの中心が棒部材28の軸中心線に対してずれたとしても、軸部29Aが嵌合する位置を長円形リベット嵌合孔26Eに沿って幅方向に調整することにより、棒部材28を、取付基板26の幅方向の中央部に固定することができる。
また、本実施の形態による回動角検出装置23のレバー25は、ホルダ部材30を、取付基板26との間で棒部材28を挟持する断面三角形状の屈曲部31A、および屈曲部31Aを挟んで両側に配置され取付基板26に当接する一対の基板当接部31Bを有するホルダ本体31と、ホルダ本体31の各基板当接部31Bを取付基板26に固定するホルダ固定リベット32とにより構成している。
これにより、断面三角形状の屈曲部31Aと取付基板26との間で棒部材28(基板側棒部28B)を挟持したときに、この棒部材28の外周面を、屈曲部31Aと取付基板26とによって3点支持することができる。この結果、ホルダ本体31の屈曲部31Aは、基板側棒部28Bの外周側を覆った状態で基板側棒部28Bを安定して保持し、棒部材28が取付基板26の幅方向に変位(変形)するのを制限することができる。
次に、図9は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、ホルダ部材を構成するホルダ本体の屈曲部に、切欠き部が設けられていることにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態に用いられるホルダ部材34は、第1の実施の形態によるホルダ部材30とほぼ同様に、後述のホルダ本体35と、ホルダ固定リベット32とを含んで構成されている。しかし、ホルダ部材34は、ホルダ本体35の屈曲部35Aに切欠き部36が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
ホルダ本体35は、取付基板26の幅方向に延びる長方形の板状に形成され、長さ方向の中央部に位置する断面三角形状の屈曲部35Aと、屈曲部35Aを挟んで長さ方向の両側に配置された一対の基板当接部35Bとを有している。ホルダ本体35の屈曲部35Aは、基板側棒部28Bの外周面を覆った状態で基板側棒部28Bを安定して保持し、棒部材28が取付基板26の幅方向に変位(変形)するのを制限する。各基板当接部35Bには、それぞれリベット嵌合孔35Cが設けられ、これら各リベット嵌合孔35Cは、取付基板26の各リベット嵌合孔26Fに対応している。
切欠き部36は、ホルダ本体35の屈曲部35Aに設けられている。即ち、切欠き部36は、屈曲部35Aのうち棒部材固定リベット29とは反対側に位置する部位を、略V字型に切欠くことにより形成されている。これにより、屈曲部35Aと取付基板26(棒部材取付板26C)との間で挟持される棒部材28の長さが短くなり、この分、棒部材28は、取付基板26の板厚方向に大きく撓み変形することができる構成となっている。
第2の実施の形態による回動角検出装置は、上述の如きホルダ部材34を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
然るに、第2の実施の形態によれば、ホルダ部材34を構成するホルダ本体35の屈曲部35Aに切欠き部36を設けた分、棒部材28は、取付基板26の板厚方向に大きく撓み変形することができる。
次に、図10は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、取付基板の棒部材取付板に、長孔状の長円形リベット嵌合孔に代えて円形状の円形リベット嵌合孔が設けられていることにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態に用いられる取付基板26′は、第1の実施の形態による取付基板26とほぼ同様に、屈曲部26Aを挟んで固定板26Bと棒部材取付板26Cとを有し、棒部材取付板26Cには2個のリベット嵌合孔26Fが形成されている。しかし、取付基板26′の棒部材取付板26Cには、第1の実施の形態による長円形リベット嵌合孔26Eに代えて、円形孔からなる円形リベット嵌合孔26E′が設けられている点で、第1の実施の形態によるものとは異なるものである。
円形リベット嵌合孔26E′は、棒部材取付板26Cの幅方向の中央部に1個設けられている。この円形リベット嵌合孔26E′は、棒部材28のリング部28D内に挿通された棒部材固定リベット29の軸部29Aが嵌合するものである。ここで、円形リベット嵌合孔26E′は、棒部材固定リベット29の軸部29Aの外径よりも若干大きな孔径を有している。これにより、棒部材28のリング部28D内に棒部材固定リベット29の軸部29Aを挿通したときに、この軸部29Aの中心が棒部材28の軸中心線に対してずれたとしても、棒部材固定リベット29の軸部29Aが嵌合する位置を、円形リベット嵌合孔26E′の範囲内で調整することができる。この結果、棒部材28を、取付基板26′の幅方向の中央部に固定することができる。
なお、実施の形態では、回動角検出装置として、ブーム9とアーム10との間のピン結合部15に設けた回動角検出装置23を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば旋回フレーム4とブーム9のフート部との間のピン結合部、アーム10とバケット11との間のピン結合部等に設けられる回動角検出装置にも適用することができる。
また、実施の形態では、棒部材28を、ばね用ステンレス鋼を用いて形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば弾性に優れた高張力鋼を用いて棒部材28を形成してもよい。