以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態の一例としての乗用車両1が示された側面図であり、図2は、図1の乗用車両1の平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、乗用車両1の進行方向である図1における右側を前方向とし、進行方向に対して直交して、かつ平行である図1における手前側を右方向、奥側を左方向とし、進行方向に対して直交して、かつ鉛直である図1における上側を上方向、下側を下方向とする。
図1、図2に示されるように、乗用車両1は、運転席14が取り付けられた車体フレーム10と、前部に備える左右一対の走行装置としての前クローラ走行装置30,30と、この左右一対の前クローラ走行装置30を車体フレーム10に懸架する前懸架装置50と、後部に備える左右一対の走行装置としての後クローラ走行装置70,70と、この左右一対の後クローラ走行装置70を車体フレーム10に懸架する後懸架装置90とを備える。また、乗用車両1は、車体フレーム10の内部に、電気を蓄電する図示せぬバッテリ、演算部や記憶部等から構成されて各装置を制御するここでは図示せぬ制御部等も備える。
そして、詳細については後述するが、乗用車両1は、前懸架装置50および後懸架装置90を作動させて前後左右のクローラ走行装置30,30,70,70を車体フレーム10に対して上下に揺動させることで、水平基準面に対する車体フレーム10の姿勢制御、より詳細には水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢制御が可能に構成されている。
車体フレーム10は、円筒状のパイプや板状のプレート等の複数の鋼材を溶接等によって結合して構成される。車体フレーム10には、本体カバー11を被せる。本体カバー11は、車体フレーム10を覆うものである。本体カバー11は、左右の前クローラ走行装置30,30の上方にそれぞれフロントフェンダ12,12を備える。後述する後懸架装置90の揺動アーム94には、左右の後クローラ走行装置70,70の上部を上方からそれぞれ覆うリアフェンダ13,13が設けられる。
車体フレーム10の後部の上部には運転席14が取り付けられており、運転席14は車体フレーム10に支持されている。運転席14の前方には、操向手段としてのハンドル15を備える。ハンドル15は、ステアリングシャフト16、ステアリングシャフト16の上端に設けられた左右の外方に突出するハンドルバー17等から構成される。ステアリングシャフト16は、車体フレーム10に回動自在に支持されるとともに、図示せぬ操舵機構に連結されている。ハンドルバー17は、左右の端部に、運転者によって把持される把持部としてのハンドルグリップ18,18をそれぞれ有する。
ハンドルバー17の左右方向中央には、第1表示器19を備える。また、運転席14の後部の下方には、車体フレーム10に固定された第2表示器20を備える。詳細については後述するが、第1表示器19および第2表示器20は、後述する乗用車両1の姿勢制御のモードの状態に対応した表示や、異常を知らせる警告の表示等を行うことができるように構成されている。
運転席14の下方であって、前クローラ走行装置30,30と後クローラ走行装置70,70との間には、それぞれ左右のステップフロア21,21を備える。左右のステップフロア21,21は、車体フレーム10に固定されている。そして、乗用車両1は鞍乗型乗用車両であり、運転者は、運転席14に跨り、左右のステップフロア21,21に足を乗せ、左右のハンドルグリップ18,18を把持した姿勢で乗車する。なお、運転者は、運転席14の上部の略水平面である運転席座面14aに着座する。ここで、運転席14の後方には、運転席座面14aよりも上方に突出する部材、例えば、背もたれ等はなく、ステップフロア21,21の後方にもステップフロア21,21よりも上方へ突出する部材はない。そして、運転者が乗車姿勢から車体フレーム10の後方の左右の後クローラ走行装置70,70の間へと移動可能な空間が形成され、乗用車両1は側方および後方から乗降可能に構成されている。
車体フレーム10の内部には、水平基準面に対する車体フレーム10の姿勢角度であって、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を検出する姿勢角度センサSE1が設けられる。姿勢角度センサSE1は、運転席14の左右方向の中心線上で、かつ運転席14の下方近傍に配置される。姿勢角度は、運転席座面14aの左右方向の傾斜のロール角度、および前後方向の傾斜のピッチ角度を含む。姿勢角度センサSE1は、全方位の傾斜を検出するセンサであっても良く、ロール角度を検出するセンサとピッチ角度を検出するセンサとの組み合わせであっても良い。なお、センサの種類は特に限定されるものではなく、例えばジャイロセンサ等を用いる。また、姿勢角度センサSE1の配置や数は限定されるものではない。
次に、左右一対の走行装置としての前クローラ走行装置30について詳述する。なお、左右の前クローラ走行装置30は左右対称形状であるため、以下では右の前クローラ走行装置30を取り上げて説明を行う。左の前クローラ走行装置30の構成については説明を省略する。
前クローラ走行装置30は、上部に駆動輪31と、駆動輪31よりも下方であって前部と後部とに従動輪32と、2つの従動輪32の間に4つの補助ローラ33と、クローラベルト34と、取付フレーム35と、クローラ走行装置を駆動する駆動装置としてのモータ36と、ギヤケース37等を備える。クローラベルト34は、駆動輪31、2つの従動輪32、4つの補助ローラ33に外接するように掛け回されている。駆動輪31、2つの従動輪32、および4つの補助ローラ33は、取付フレーム35に回転自在に支持される。モータ36とギヤケース37は、取付フレーム35の車両内側に位置し、モータ36の駆動力がギヤケース37を介して駆動輪31に伝達され、前クローラ走行装置30が駆動するように構成されている。
そして、前クローラ走行装置30は、図示せぬブラケットを介して後述する前懸架装置50に、上下方向を軸として左右方向に回動可能に連結される。また、左右のクローラ走行装置30には、ステアリングシャフト16に連結された操舵機構が連結されている。つまり、左右のクローラ走行装置30は、操舵機構を介してハンドル15に連動連結されている。そして、このハンドル15を操作することで、左右の前クローラ走行装置30が左右方向に回動し、乗用車両1の操向操作が可能に構成されている。なお、取付フレーム35はギヤケース37に対して駆動輪31の回転軸を軸として前後方向に揺動可能に構成されている。したがって、前クローラ走行装置30は前懸架装置50に対してこの駆動輪31の回転軸を軸として前後方向に揺動可能に構成されている。
ここで、前クローラ走行装置30は、取付フレーム35に対する従動輪32の位置を移動させることでクローラベルト34のテンションを調節する図示せぬテンション調節装置、駆動輪31の回転を止める図示せぬブレーキ装置、駆動輪31の回転軸を軸とした前クローラ走行装置30の前後方向の揺動を抑制する緩衝機構等も備える。この緩衝機構は、取付フレーム35とギヤケース37との間に備えられるものであり、前クローラ走行装置30が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。また、この緩衝機構によって、前クローラ走行装置30が不整地の凹凸と当接する際、前懸架装置50との連結部へのねじれや衝撃等の負荷を低減することができ、耐久性が向上する。
次に、走行装置としての左右一対の後クローラ走行装置70について詳述する。なお、左右の後クローラ走行装置70は左右対称形状であるため、以下では右の後クローラ走行装置70を取り上げて説明を行う。左の後クローラ走行装置70の構成については説明を省略する。また、後クローラ走行装置70は、後述する後懸架装置90との連結構成が上述の前クローラ走行装置30と前懸架装置50との連結構成と異なる以外は、前クローラ走行装置30と同様であり、前クローラ走行装置30と同様の構成については説明を適宜省略する。
後クローラ走行装置70は、上述の前クローラ走行装置30と同様に、上部に駆動輪71と、駆動輪71よりも下方であって前部と後部とに従動輪72と、2つの従動輪72の間に4つの補助ローラ73と、クローラベルト74と、取付フレーム75と、クローラ走行装置を駆動する駆動装置としてのモータ76等を備える。
モータ76は、取付フレーム75の車両内側に位置し、後述する後懸架装置90の揺動アーム94(第1アーム97のフランジ部110)に固設される。モータ76と駆動輪71とが連結されており、モータ76によって駆動輪71が回転されることで、後クローラ走行装置70が駆動する。なお、取付フレーム75は、駆動輪71の回転軸を軸として前後方向に揺動可能な構成であり、駆動輪71の回転軸はモータ76の駆動軸と同軸上に位置している。したがって、後クローラ走行装置70は、後懸架装置90に、駆動輪71の回転軸を軸として前後方向に揺動可能に連結されている。
ここで、後クローラ走行装置70は、上述の前クローラ走行装置30と同様に、取付フレーム75に対する従動輪72の位置を移動させることでクローラベルト74のテンションを調節する図示せぬテンション調節装置、駆動輪71の回転を止める図示せぬブレーキ装置、駆動輪71の回転軸を軸とした後クローラ走行装置70の前後方向の揺動を抑制する緩衝機構等も備える。この緩衝機構は、取付フレーム75と後述する後懸架装置90の揺動アーム94との間に備えられるものであり、後クローラ走行装置70が安定して接地するとともに、走行性や乗り心地が向上する。また、この緩衝機構によって、後クローラ走行装置70が不整地の凹凸と当接する際、後懸架装置90との連結部へのねじれや衝撃等の負荷を低減することができ、耐久性が向上する。
前後のクローラ走行装置30,70を駆動する駆動装置としてのモータ36,76は、バッテリの電力によって駆動する電動モータであり、制御部によって制御される。バッテリからモータ36,76への電気(電力)や制御部からの制御信号は、柔軟性のあるフレキシブルなワイヤーハーネスによって伝達される。そして、モータ36,76をバッテリの電力で駆動させることによって、前後のクローラ走行装置30,70が駆動し、乗用車両1を走行させることができる。
ここで、前後のクローラ走行装置30,70の駆動装置としてのモータ36,76は、前後のクローラ走行装置30、70内にそれぞれ備えられている。したがって、車体フレーム10と前後のクローラ走行装置30,70との間にドライブシャフト等の伝達機構を有する必要はなく、駆動力の伝達構成を簡略化することができ、部品点数が削減され、生産性やメンテナンス性が良い。
なお、前後のクローラ走行装置30,70の駆動装置としてのモータ36,76は、電動モータに限定されるものではなく、例えば、流体の圧力によって駆動する油圧モータであっても良い。また、乗用車両1における走行装置は、クローラ式の走行装置に限定されるものではなく、ホイール式の走行装置であっても構わない。
次に、前懸架装置50について詳述する。なお、前懸架装置50は左右対称形状であるため、必要に応じて、右側を構成する部材には符号R、左側を構成する部材には符号Lを適宜付す。図3は、前懸架装置50の側面図である。図4は、図3のIV方向矢視図である。図5は、前方斜め下方から見る前懸架装置50の斜視図である。
図3〜図5に示すように、前懸架装置50は、回動アーム51と、回動アーム51を回動する回動装置としてのモータ52と、揺動支持部としてのモータケース60と、左右一対の連結アーム53(53R,53L)と、左右一対の揺動アーム54(54R,54L)と、緩衝機構としてのダンパ62等を備える。なお、図5において、車体フレーム10の記載は省略されている。また、図3〜図5において、直線L1は揺動アーム54の揺動中心を通る直線であり、直線L2は回動アーム51の回動中心を通る直線であり、直線L3はモータケース60の揺動中心を通る直線であり、直線L4はロッカーアーム64の揺動中心を通る直線である。
モータケース60は、有底の略四角筒形状の筐体であり、内部にモータ52が駆動軸を下方に向けた状態で配設される。モータケース60の底壁には、側面視U字形状のブラケット61が設けられる。モータケース60の上部の後側には、左右方向に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に車体フレーム10の前部の上側に設けられた左右方向に延びる図示せぬ支持シャフトが挿通される。そして、モータケース60は、車体フレーム10に左右方向を軸(直線L3)として上下に揺動自在に支持される。なお、モータケース60は、上部が後方へ傾倒した状態で配置されている。
回動アーム51は、左右方向に延設された角柱部材であり、左右方向の中心に回動シャフト55を有する。回動アーム51は、ブラケット61によってモータケース60の底壁に回動シャフト55を軸(直線L2)として回転自在に支持される。つまり、回動アーム51は、モータケース60に略上下方向を軸として回動自在に支持される。なお、回動シャフト55はモータケース60の底壁に対して垂直の状態であり、回動シャフト55は前後方向に傾斜している。
また、モータケース60の底壁は図示せぬ貫通孔を有し、モータ52の駆動軸は、回動アーム51の回動シャフト55とギヤ等を有する図示せぬ変速装置を介して連結している。そして、モータ52は、回動シャフト55を軸(直線L2)として、回動アーム51を回動可能に構成されている。
ここで、モータ52は、バッテリの電力によって駆動する電動モータであり、制御部によって制御される。なお、回動アーム51を回動する装置は、回動アーム51を所定の回転方向に所定の角度回動することができれば良く、電動モータに限定されるものではなく、例えば、流体の圧力によって駆動する油圧モータであっても良い。
連結アーム53(53R,53L)は、円柱部材である。右の連結アーム53Rは、一端が自在継手としてのボールジョイントを介して回動アーム51の右側端部に連結され、他端が自在継手としてのボールジョイントを介して右の揺動アーム54Rに連結される。
左の連結アーム53Lは、上述の右の連結アーム53Rと同様に、一端が自在継手としてのボールジョイントを介して回動アーム51の左側端部に連結され、他端が自在継手としてのボールジョイントを介して左の揺動アーム54Lに連結される。
揺動アーム54(54R,54L)は、支持部56と、第1アーム57と、第2アーム58等を有する。そして、揺動アーム54は、支持部56から第1アーム57と第2アーム58とが延設され、側面視略L字状に形成される。支持部56は、左右方向に向かって延びる円筒形状であり、車体フレーム10の前後方向略中央の下部に設けられた左右方向に延びる回動シャフト22に回動自在に支持される。
第1アーム57は、支持部56の外周から前方に向けて延設される棒状部材であり、端部には前クローラ走行装置30が連結される。第1アーム57の端部は上下二股に分岐しており、この分岐間に回動軸59が固設されている。そして、上述した前クローラ走行装置30は、この回動軸59を軸として左右方向に回動可能に揺動アーム54に連結される。なお、回動軸59は、側面視において、前クローラ走行装置30の駆動輪31の回転軸の中心を通る。
第2アーム58は、支持部56の外周から下方に向けて延設される棒状部材であり、端部には連結アーム53の一端が自在継ぎ手としてのボールジョイントを介して連結される。なお、第2アーム58は、第1アーム57より車両内方に位置する。また、第2アーム58の長さは、第1アーム57の長さより小である。そして、揺動アーム54は、支持部56によって、車体フレーム10に左右方向を軸(直線L1)として上下に揺動自在に支持される構成である。また、揺動アーム54は、第1アーム57によって前クローラ走行装置30が連結され、第2アーム58によって連結アーム53の一端が連結される構成である。
ダンパ62は、シリンダ等から構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構であり、車体フレーム10の左右方向の中心に前後へ延びて配置される。ダンパ62の一端は、ブラケット61に左右方向を軸として回動自在に連結される。ダンパ62の他端は、リンク機構63のロッカーアーム64に連結される。そして、ダンパ62は、一端が揺動支持部としてのモータケース60に連結され、他端がリンク機構63を介して車体フレーム10に連結される構成である。
リンク機構63は、ロッカーアーム64と、左右一対のプルロッド65(65R,65L)から構成される。ロッカーアーム64の上端は、車体フレーム10の前後方向略中央の下部に設けられた左右方向に延びる図示せぬロッカーシャフトに回動自在に支持される。ロッカーアーム64の下端には、ダンパ62の他端が左右方向を軸として回動自在に連結される。
左右一対のプルロッド65(65R,65L)は、ロッカーアーム64の左右両側に対称に配置される。プルロッド65の一端は、ロッカーアーム64の上端と下端との間に、左右方向を軸として回動自在に連結される。プルロッド65の他端は、ブラケット61に左右方向を軸として回動自在に連結される。ここで、プルロッド65のブラケット61における回動の軸は、ダンパ62のブラケット61における回動の軸と同軸である。つまり、ダンパ62とプルロッド65とは、ブラケット61の同軸上に連結されている。そして、上述のように配置されるダンパ62は、車体フレーム10と左右の前クローラ走行装置30との間における衝撃を緩衝することができる。
例えば、前クローラ走行装置30には、前進走行時において、地面の隆起などによって上方かつ後方へ衝撃荷重が加わる。この時、左右のクローラ走行装置30は、衝撃荷重によって回動シャフト22を軸(直線L1)として上方へ揺動される。そして、左右のクローラ走行装置30の揺動にともなって、左右の揺動アーム54は上方へ揺動する。
左右の揺動アーム54が上方へ揺動することにより、左右の連結アーム53は前方へ向けて移動させられる。左右の連結アーム53は前方へ向けて移動すると、回動アーム51は回動シャフト55を軸(直線L2)として回動することなく、前方へ向けて押される。回動アーム51が前方へ押されることにより、回動アーム51が支持されるモータケース60は、支持シャフトを軸(直線L3)として前方かつ上方へ揺動される。そして、モータケース60に連結しているダンパ62は前方へ引っ張られる。
ここで、ダンパ62の他端はリンク機構63に連結している。リンク機構63の左右のプルロッド65は、一端がモータケース60に連結しているため、モータケース60が上方へ揺動することによって前方へ移動する。左右のプルロッド65が前方へ移動することにより、ロッカーアーム64は、ロッカーシャフトを軸(直線L4)として前方かつ上方へ揺動される。そして、ロッカーアーム64の端部に連結しているダンパ62は前方へ押される。したがって、ダンパ62は、前端(モータケース60との連結部)は前方へ引っ張られ、後端(ロッカーアーム64との連結部)は前方へ押される。
なお、ダンパ62の後端に力を働かせる左右のプルロッド65は、一端がダンパ62の前端と同軸上のモータケース60に連結し、他端がロッカーアーム64の上端と下端との間に連結する構成である。つまり、ロッカーアーム64の揺動中心(直線L4)からロッカーアーム64とダンパ62との連結部までの距離は、ロッカーアーム64の揺動中心(直線L4)からロッカーアーム64と左右のプルロッド65との連結部までの距離よりも大である。更に、左右のプルロッド65とダンパ62のそれぞれの一端は、同軸上のモータケース60に連結している。そして、ダンパ62は、左右のクローラ走行装置30R,30Lが上方へ揺動される際、収縮されるように構成されている。したがって、ダンパ62は、この収縮方向に働く力を緩衝することによって、左右のクローラ走行装置30が上方へ揺動される際の衝撃を緩衝する。なお、ダンパ62は、車体フレーム10と左右の前クローラ走行装置30との間における衝撃を緩衝することができる構成であれば良く、上述の構成に限定されるものではない。
詳細については後述するが、前懸架装置50は、その作動状態を検出するセンサとして、回動アーム51の車体フレーム10(モータケース60)に対する回動角度を検出するここでは図示せぬ回動アーム角度センサSE2、左右の揺動アーム54R,54Lの車体フレーム10(回動シャフト22)に対する回動角度をそれぞれ検出するここでは図示せぬ揺動アーム角度センサSE3等を備える。なお、センサの種類は特に限定されるものではなく、例えばポテンショメータやエンコーダ等を用いる。
次に、後懸架装置90について詳述する。なお、後懸架装置90は左右対称形状であるため、必要に応じて、右側を構成する部材には符号R、左側を構成する部材には符号Lを適宜付す。図6は、後懸架装置90の右側面図である。図7は、図6のVII方向矢視図である。
図6、図7に示すように、後懸架装置90は、回動アーム91と、回動アーム91を回動する回動装置としてのモータ92と、揺動支持部としてのモータケース100と、左右一対の連結アーム93(93R、93L)と、左右一対の揺動アーム94(94R、94L)と、緩衝機構としてのダンパ102等を備える。なお、図6、図7において、直線L5は、揺動アーム94の揺動中心を通る直線であり、直線L6は回動アーム91の回動中心を通る直線であり、直線L7はモータケース100の揺動中心を通る直線であり、直線L8はロッカーアーム104の揺動中心の中心を通る直線である。
ここで、後懸架装置90は、揺動アーム94の形状を除いて、上述の前懸架装置50と直線L1を基準にして前後対称な構成であり、前懸架装置50と同じ構成については説明を適宜省略する。なお、後懸架装置90の揺動アーム94は、第1アーム97の端部の形状が、前懸架装置50の揺動アーム54の第1アーム57と異なる構成である。
モータケース100は、車体フレーム10の後部の上側に設けられた左右方向に延びる図示せぬ支持シャフトを軸(直線L7)として上下に揺動自在に支持される。モータケース100の底壁に設けられたブラケット101に回動アーム91が回動シャフト95を軸(直線L6)として回動自在に支持される。
モータケース100の内部にはモータ92が固定される。モータ92の図示せぬ駆動軸は、回動アーム91の回動シャフト95とギヤ等を有する図示せぬ変速装置を介して連結されている。そして、モータ92は、回動シャフト95を軸(直線L6)として、回動アーム91を回動可能に構成されている。
連結アーム93の一端は、ボールジョイントを介して回動アーム91に連結される。連結アーム93の他端は、ボールジョイントを介して揺動アーム94に連結される。揺動アーム94は、支持部96から第1アーム97と第2アーム98とが延設され、側面視略L字状に形成される。支持部96は、左右方向に向かって延びる円筒形状であり車体フレーム10の前後方向略中央の下部に設けられた左右方向に延びる回動シャフト23に回動自在に支持される。第1アーム97は、支持部96の外周から後方に向けて延設される棒状部材であり、端部には鉛直で平坦な面のフランジ部110が形成される。そして、このフランジ部110の車両内側の面に後クローラ走行装置70のモータ76が固設され、第1アーム97の端部には、後クローラ走行装置70が連結される。また、第1アーム97には、ここでは図示せぬリアフェンダ13が固定される。
第2アーム98は、支持部96の外周から下方に向けて延設される棒状部材であり、端部は連結アーム93の一端が自在継ぎ手としてのボールジョイントを介して連結される。そして、揺動アーム94は、支持部96によって、車体フレーム10に左右方向を軸(直線L5)として上下に揺動自在に支持される構成である。また、揺動アーム94は、第1アーム97に後クローラ走行装置70が連結され、第2アーム98に連結アーム93の一端が連結される構成である。また、リアフェンダ13は、揺動アーム94と一体となって揺動される構成である。
後懸架装置90は、車体フレーム10と左右の後クローラ走行装置70との間における衝撃を緩衝するダンパ102とリンク機構103とを備える。リンク機構103は、ロッカーアーム104と、左右一対のプルロッド105(105R,105L)から構成される。ダンパ102の一端は、ブラケット101に左右方向を軸として回動自在に連結される。ダンパ102の他端は、ロッカーアーム104に連結される。ロッカーアーム104の上端は、車体フレーム10の前後方向略中央の下部に設けられた左右方向に延びる図示せぬロッカーシャフトに回動自在に支持される。そして、ロッカーアーム104は、ロッカーシャフトを軸(直線L8)として揺動自在に支持される構成である。ロッカーアーム104の下端には、ダンパ102の他端が左右方向を軸として回動自在に連結される。プルロッド105の一端は、ロッカーアーム104の上端と下端との間に、左右方向を軸として回動自在に連結される。プルロッド105の他端は、ブラケット101に左右方向を軸として回動自在に連結される。ここで、ダンパ102とプルロッド105とは、ブラケット101の同軸上に連結されている。そして、ダンパ102は、上述の前懸架装置50のダンパ62と同様に、車体フレーム10と左右の後クローラ走行装置70との間における衝撃を緩衝するように構成されている。
また、後懸懸架装置90は、前懸架装置50と同様に、その作動状態を検出するセンサとして、回動アーム91の車体フレーム10(モータケース100)に対する回動角度を検出するここでは図示せぬ回動アーム角度センサSE4、左右の揺動アーム94R,94Lの車体フレーム10(回動シャフト23)に対する回動角度をそれぞれ検出するここでは図示せぬ揺動アーム角度センサSE5等を備える。
次に、前懸架装置50および後懸架装置90の動作について詳述する。なお、前懸架装置50と後懸架装置90とは、それぞれのクローラ走行装置30,70との連結構造を除いては前後対称な構成であるため、以下では前懸架装置50を取り上げて説明を行い、後懸架装置90については説明を省略する。図8は、前懸架装置50の作動状態を説明する側面図である。図9は、図8のIX方向矢視図である。なお、図8は、右の前クローラ走行装置30Rが下方に揺動し、左の前クローラ走行装置30Lが上方に揺動した状態であり、前懸架装置50の左の連結アーム53Lと左の揺動アーム54Lの記載は省略している。
上述の前懸架装置50は、懸架された左右の前クローラ走行装置30R,30Lを、上下方向にそれぞれ逆向きに連動して揺動することができる。図4の状態において、モータ52によって回動アーム51を反時計回り(左回り)に回動すると、図8、図9に示すように、右の前クローラ走行装置30Rは回動シャフト22を軸(直線L1)として下方に向けて揺動され、左の前クローラ走行装置30Lは回動シャフト22を軸(直線L1)として上方に向けて揺動される。
より詳細には、図9に示すように、モータ52によって回動アーム51が反時計回り(左回り)に角度θだけ回動すると、右の連結アーム53Rは後方へ向けて移動させられる。右の連結アーム53Rが後方へ向けて移動すると、右の揺動アーム54Rの第2アーム58Rは、回動シャフト22を軸(直線L1)として後方に(図8では時計回りに)向けて回動させられる。右の第2アーム58Rは右の支持部56Rとともに右の第1アーム57Rと一体的に回動するため、右の第2アーム58Rが後方に向けて回動すると、右の第1アーム57Rは、回動シャフト22を軸(直線L1)として下方に(図8では時計回りに)向けて回動させられ、右のクローラ走行装置30Rは下方に向けて揺動される。
一方、モータ52によって回動アーム51が反時計回り(左回り)に角度θだけ回動すると、左の連結アーム53Lは前方へ向けて移動させられる。左の連結アーム53Lが前方へ向けて移動すると、左の揺動アーム54Lの第2アーム58Lは、回動シャフト22を軸(直線L1)として前方に(図8では反時計回りに)向けて回動させられる。左の第2アーム58Lが前方に向けて回動すると、左の第1アーム57Lは、回動シャフト22を軸(直線L1)として上方に(図8では反時計回りに)向けて回動させられ、左のクローラ走行装置30Lは上方に向けて揺動される。なお、モータ52によって回動アーム51が時計回り(右回り)に回動する場合、前懸架装置50は上述とは逆の動作をするため、その説明は省略する。
したがって、前懸架装置50によって、懸架された左右の前クローラ走行装置30R、30Lは、上下方向にそれぞれ逆向きに連動して揺動する。これは、左右の前クローラ走行装置30R、30Lが、揺動支持部としてのモータケース60に左右方向の中心で回動自在に支持される回動アーム51を介して連結されているためである。
そして、乗用車両1は、前懸架装置50によって左右の前クローラ走行装置30R,30Lを上下方向にそれぞれ逆向きに揺動させ、後懸架装置90によって左右の後クローラ走行装置70R,70Lを上下方向にそれぞれ逆向きに揺動させることで、水平基準面に対する車体フレーム10の姿勢角度であって、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度が変更されるように構成されている。ここで、前後の懸架装置50,90によって変更される運転席座面14aの姿勢角度は、運転席座面14aの左右方向の傾斜のロール角度である。
例えば、乗用車両1が水平な場所に位置している状態において、前懸架装置50および後懸架装置90によって、右の前後のクローラ走行装置30R,70Rが下方へ、左の前後のクローラ走行装置30L,70Lが上方へ向かうように揺動させることで、運転席座面14aの右端が下がる方向に姿勢角度としてのロール角度が変更される。一方、前懸架装置50および後懸架装置90によって、右の前後のクローラ走行装置30R,70Rが上方へ、左の前後のクローラ走行装置30L,70Lが下方へ向かうように揺動させることで、運転席座面14aの左端が下がる方向に姿勢角度としてのロール角度が変更される。
なお、前後のクローラ走行装置30,70は、前後の懸架装置50,90によって、左右方向へ移動することなく、また、前後方向を軸として回動することなく、上下方向に連動して揺動する。そして、前後のクローラ走行装置30,70の接地部は、車体フレーム10(運転席座面14a)に対して、常に平行状態に保たれており、車体フレーム10(運転席座面14a)に対して上下方向にスライド移動する。したがって、運転席座面14aの姿勢角度を容易に素早く変更することができる。
また、前懸架装置50は、左右の前クローラ走行装置30R,30Lを一体として車体フレーム10に懸架する構成であり、後懸架装置70は、左右の後クローラ走行装置70R,70Lを一体として車体フレーム10に懸架する構成であるので、左右のクローラ走行装置30R,30L,70R,70Lをそれぞれ独立して懸架する構成よりも簡易であり、部品点数が削減され、生産性やメンテナンス性が良い。
また、傾斜地を横断走行する際には、傾斜に合わせて前後のクローラ走行装置30,70を上下方向に揺動した場合であっても、前後のクローラ走行装置30,70の接地部は、車体フレーム10に対して常に平行状態に保たれる。したがって、前後のクローラ走行装置30,70の接地部の高所側部(山側部)を斜面にエッジとして食い込ませることができる。例えば、乗用車両1の右側が高所側(山側)で、左側が低所側(谷側)となるように斜面を横断走行する場合は、前後のクローラ走行装置30,70の接地部の右側部を斜面にエッジとして食い込ませることができる。したがって、前後のクローラ走行装置30,70は斜面を横滑りしにくくなり、斜面走行時の走行性や乗り心地が良い。
次に、操向手段としてのハンドル15の構造について詳述する。図10は、上方から見るハンドル15の構成が示された概略図である。上述したように、ハンドル15は、ステアリングシャフト16とハンドルバー17等から構成される。ハンドルバー17は、ステアリングシャフト16の上端に連結部材17aを介して取り付けられる。ハンドルバー17は、左右の端部にそれぞれハンドルグリップ18,18を有する。ハンドルバー17の左右方向中央であって、連結部材17aの上面には第1表示器19が設けられている。左右のハンドルグリップ18,18の前方には、前後のクローラ走行装置30,70のブレーキ装置を作動させるブレーキレバー24,24がそれぞれ配設されている。右のハンドルグリップ18は、ハンドルバー17に回動可能に支持されるとともに、ハンドルバー17に対する回動角度を検出する図示せぬアクセルセンサを備える。右のハンドルグリップ18を回動操作することによって、乗用車両1の走行速度を変更することができる。
ハンドルバー17の右側には、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を変更する姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25を備える。第1姿勢変更操作スイッチ25は、右のハンドルグリップ18に隣接し、ハンドルバー17の後方側(運転席14側)に設けられる。そして、第1姿勢変更操作スイッチ25は、ハンドルグリップ18を把持した状態から親指で操作可能な位置に設けられている。第1姿勢変更操作スイッチ25は、自動復帰型(モーメンタリ型)の押圧式スイッチであり、左側を支点としてハンドルグリップ18側である右側を押圧して操作するように構成されている。そして、第1姿勢変更操作スイッチ25を押圧操作している間だけ、運転席座面14aの右端が下がる方向に姿勢角度が変更される。
ハンドルバー17の左側には、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を変更する姿勢変更操作手段としての第2姿勢変更操作スイッチ26、モード選択操作手段としてのモード選択操作スイッチ27、復帰操作手段としての制御リセットスイッチ28を備える。第2姿勢変更操作スイッチ26は、左のハンドルグリップ18に隣接し、ハンドルバー17の後方側(運転席14側)に設けられる。そして、第2姿勢変更操作スイッチ26は、ハンドルグリップ18を把持した状態から左手の親指で操作可能な位置に設けられている。第2姿勢変更操作スイッチ26は、自動復帰型(モーメンタリ型)の押圧式スイッチであり、右側を支点としてハンドルグリップ18側である左側を押圧して操作するように構成されている。つまり、第2姿勢変更操作スイッチ26は、第1姿勢変更操作スイッチ25と左右対称の構成である。そして、第2姿勢変更操作スイッチ26を押圧操作している間だけ、運転席座面14aの左端が下がる方向に姿勢角度が変更される。
モード選択操作スイッチ27は、乗用車両1の姿勢制御のモードを選択するものであり、自動制御モード、手動操作モード、および姿勢制御解除モードのいずれかのモードを選択するものである。モード選択操作スイッチ27は、左のハンドルグリップ18に隣接し、ハンドルバー17の上方側に設けられる。そして、モード選択操作スイッチ27は、ハンドルグリップ18を把持した状態から親指で操作可能な位置に設けられている。モード選択操作スイッチ27は、位置保持型(オルタネイト型)のスライド式スイッチであり、前後方向(ハンドルバー17の周方向)にスライド可能であり、前方、中央、後方の3つのポジションに位置するように構成される。そして、モード選択操作スイッチ27は、前方に位置することで姿勢制御解除モードが選択され、中央に位置することで手動操作モードが選択され、後方に位置することで自動制御モードが選択されるように構成される。このようなモード配置とすることで非常事態発生時に瞬間的に手動操作モードまたは姿勢制御解除モードに切換えること可能となる。或いは、前方に手動操作モード、中央に姿勢制御解除モード、後方に自動制御モードを配置しても良い。このようなモード配置によって自動制御と手動操作の切換え時に必ず姿勢制御解除モードを介することができるのでスムースなモード切換えが可能となる。なお、モード選択操作スイッチ27は、スライド式に限らず、ボタンスイッチまたはシーソースイッチでも良い。この場合にスイッチを押し込んでいない状態を姿勢解除モードとすれば良い。
詳細については後述するが、自動制御モードは、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度を予め定めた目標角度に収束させるように、制御部が、姿勢角度センサSE1の検出値に基づいて前後の懸架装置50,90のモータ52,92を制御するモードである。手動操作モードは、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度を手動操作によって変更するモードであり、制御部が、第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26からの信号に基づいてモータ52、92を制御するモードである。姿勢制御解除モードは、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度の制御および変更を停止するモードであり、モータ52、92が停止される。なお、姿勢制御解除モードが選択された際に、モータ52、92の駆動軸が固定され、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度は、姿勢制御解除モードが選択された際の角度で保持される。ここで、制御部がモータ52、92の駆動軸が回転しないようにモータ52、92を制御するものの、電磁ブレーキ等によってモータ52、92の駆動軸を固定しても構わない。
復帰操作手段としての制御リセットスイッチ28は、自動制御モードにおける各種設定値を予め定められた初期値(出荷時設定値等の運転者の通常操作では変わらない値)に復帰させるものである。制御リセットスイッチ28は、自動復帰型(モーメンタリ型)の押圧式スイッチであり、モード選択操作スイッチ27に隣接して配設される。
ここで、姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26は、それぞれハンドルグリップ18を把持した状態から親指で操作可能である。したがって、運転者は、運転中において、ハンドル15から手を離さずに第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26の操作ができるので、運転席座面14aの姿勢角度を運転操作性が低下することなく安全かつ容易に変更することができる。
また、姿勢変更操作手段は、右手用の第1姿勢変更操作スイッチ25と左手用の第2姿勢変更操作スイッチ26とに分けて設けられている。そして、右手用の第1姿勢変更操作スイッチ25を押圧操作することで運転席座面14aの右端が下がる方向に姿勢角度が変更され、左手用の第2姿勢変更操作スイッチ26を押圧操作することで運転席座面14aの左端が下がる方向に姿勢角度が変更される。したがって、運転席座面14aの姿勢角度は、運転者の押圧操作する手の側が下がる方向に変更されるため、運転者の感覚に合わせた運転席座面14aの姿勢角度の変更が可能であり、操作性が良好である。
また、モード選択操作手段としてのモード選択操作スイッチ27は、ハンドルグリップ18を把持した状態から左手の親指で操作可能である。したがって、運転者は、運転中において、ハンドル15から手を離さずにモード選択操作スイッチ27の操作ができるので、姿勢制御のモードを運転操作性が低下することなく即座に安全かつ容易に選択することができる。また、自動制御モードから手動操作モードへの変更を頻繁に行って自動制御モードでの走行を抑えることで、運転者の意図に応じて自動制御モードでのモータ52,92による電力消費量を低減することが可能となり、エネルギ効率の良い走行ができる。また、平坦路等の姿勢角度の制御や変更が不要の場合等には、姿勢制御解除モードを選択して姿勢角度の制御および変更を停止することで、自動制御モードや手動操作モードでのモータ52,92による電力消費量を低減することが可能となり、エネルギ効率の良い走行ができる。また、姿勢制御のモードを変更するために乗用車両1を減速または停車させる必要がなくなり、移動時間の短縮が図れる。
ここで、姿勢角度を変更する姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26は、自動制御モードが選択されている状態であっても、自動制御モードに優先して姿勢角度を変更するように構成されている。そして、自動制御モードは、第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26によって変更された姿勢角度を新たな目標角度として姿勢角度の制御をするように構成されている。また、ハンドル15やハンドル15の周囲には、上述の操作スイッチ類の他に、乗用車両1の起動と停止をする図示せぬスタータスイッチ、乗用車両1の車速の上限を設定する車速制限スイッチ等の各種操作スイッチ類も備える。
なお、姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26、モード選択操作手段としてのモード選択操作スイッチ27は、上述の構成に限定されるものではなく、ハンドルグリップ18を把持した状態から親指で操作可能な構成であれば良く、スイッチの種類や配置等は適宜設計できる。例えば、第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26からなる姿勢変更操作手段は、ハンドルバー17の右側または左側のいずれか一方であって、ハンドルグリップ18に隣接し、ハンドルグリップ18を把持した状態から親指で操作可能な位置に設けられる構成であっても良い。なお、姿勢変更操作手段は、ハンドルバー17の右側または左側のいずれか一方に設けられる場合には、自動復帰型のシーソー押圧式スイッチであり、中央を支点として右側および左側に押圧可能であり、右側に押圧すると運転席座面14aの右端が下がる方向に姿勢角度が変更され、左側に押圧すると運転席座面14aの左端が下がる方向に姿勢角度が変更されるように構成されることが好ましい。このような構成にすることで、運転者の感覚に合わせた運転席座面14aの姿勢角度の変更が可能であるとともに、スイッチの数を少なくすることができる。
第1表示器19は、ハンドルバー17の左右方向中央に位置し、連結部材17aの上面に設けられている。そして、運転者は、運転中において、視線を前方からわずかに動かすだけで第1表示器19の情報を確認することができる。
第1表示器19は、色の異なる3つのランプ19a,19b,19cから構成され、ランプ19a,19b,19cの点灯、点滅、消灯等によって、姿勢制御モードの状態に対応した表示や、異常や警告の表示等を行うことができるように構成されている。
ここで、運転席14の後部の下方に設けられる第2表示器20は、第1表示器19と同様に、色の異なる3つのランプ20a,20b,20cから構成され、ランプ20a,20b,20cの点灯、点滅、消灯等によって、姿勢制御モードの状態に対応した表示や、異常や警告の表示等を行うことができるように構成されており、第1表示器19と連動して作動する(図1参照)。なお、第2表示器20は、後方および側方は本体カバー11等によって覆われることはなく、乗用車両1の外方から視認可能に設けられている。
第1表示器19および第2表示器20のランプ19a,19b,19c,20a,20b,20cの色は、それぞれ、ランプ19a,20aが緑色、ランプ19b,20bが橙色、ランプ19c,20cが赤色である。ランプ19a,20aは、乗用車両1の起動を表示するものであり、乗用車両1に電源が投入された際に点灯(緑色)し、電源が切られると消灯するように構成されている。ランプ19b,20bは、姿勢制御モードの状態を表示するものであり、手動操作モードが選択された際に点灯(橙色)し、自動制御モードが選択された際に点滅(橙色)し、姿勢制御解除モードが選択された際に消灯するように構成されている。ランプ19c,20cは、乗用車両1の異常や警告等を表示するものであり、乗用車両1に異常が発生したり運転席座面14aの姿勢角度が予め定められた角度を超えたりした際に点灯(赤色)するように構成されている。
したがって、運転者は、第1表示器19によって、乗用車両1の起動、姿勢制御モードの状態、異常の発生や警告等の乗用車両1の作動状態を瞬時に把握することができ、誤操作等が防止され、より安全な操作が可能となる。また、乗用車両1の周辺の者、例えば乗用車両1の後方を別の乗用車両で走行する者は、第2表示器20によって、乗用車両1の起動、姿勢制御モードの状態、異常の発生や警告等の乗用車両1の作動状態を瞬時に把握することができるので、周囲の安全性を確保することができる。また、第2表示器20は、運転席14の後部の下方に設けられており、運転者の乗車姿勢から車体フレーム10の後方の左右の後クローラ走行装置70,70の間への移動を妨げることがない。
なお、第1表示器19および第2表示器20は、上述の配置や構成に限定されるものではない。第1表示器19は、運転中に容易に目視できるように、操向手段としてのハンドル15の周辺に設けられていれば良く、例えばハンドル15の前方の本体カバー11の上部に設けられても良い。また、第2表示器20は、乗用車両の外方から視認可能な位置に設けられていれば良く、例えば、左右のリアフェンダ13,13にそれぞれ設けられても良い。
また、第1表示器19および第2表示器20は、姿勢制御モードの状態を点灯色の違いによって表示する構成でも良く、例えばランプ19b,20bに替わって色の異なる3つのランプを備え、姿勢制御モードの状態に応じて各々のランプが点灯するような構成であっても良い。また、第1表示器19および第2表示器20は、異なる色に点灯や点滅が可能な1つのランプから構成され、このランプの点灯色や点滅色によって、姿勢制御モードの状態に対応した表示や、異常や警告の表示等を行う構成であっても良い。また、乗用車両1は、第1表示器19および第2表示器20の作動と併せて作動する警報機としてのブザーを備えても良い。また、第1表示器19は、乗用車両1の各種情報を表示する液晶パネルを更に備える構成であっても良い。液晶パネルに表示される情報としては、運転席座面14aの姿勢角度、自動制御モードにおける目標角度、警告メッセージ、エラーメッセージ、バッテリの電力残量、車速、積算走行距離(オドメータ)、区間走行距離(トリップメータ)、各種設定値等がある。
次に、本実施形態に係る乗用車両1の制御系統について詳述する。図11は、乗用車両1の制御系統の要部ブロック図である。乗用車両1は、上述したように制御部Cを備え、この制御部Cによって乗用車用1の動作が制御されるとともに、自動制御も可能となるように構成されている。
制御部Cは、種々の設定値や、各種センサによる検出値等の入力信号を読み込むとともに、制御信号を出力することによって、乗用車両1の動作を制御するように構成されている。制御部Cとしては、演算処理および制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データが格納される主記憶装置M、タイマ、入力回路、出力回路、並びに電源回路等の含まれたマイクロコンピュータが例示される。ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)に例示される主記憶装置Mには、本実施形態に係る動作を実行するための制御プログラムや、各種データが格納されている。なお、これらの各種プログラム等のデータは外部の記憶装置に格納され、制御部Cが読み出す形態とされていても良い。
なお、制御部Cの構成は特に限定されるものではない。乗用車両1は、複数の制御部、例えば、走行装置としての前後左右のクローラ走行装置30,70の制御、運転席座面14aの姿勢角度を変更可能とする前後の懸架装置50,90の制御、第1表示器19および第2表示器20の制御等をそれぞれ行う制御部を備え、CAN(Controller Area Network)通信等の乗用車両1における通信によってそれぞれが相互に通信可能な構成であっても良い。図11には、1つの制御部Cによって乗用車両1の動作を制御する構成が例示されている。
制御部Cには、姿勢角度センサSE1と、前懸架装置50の回動アーム51の車体フレーム10に対する回動角度を検出する回動アーム角度センサSE2と、前懸架装置50の左右の揺動アーム54の車体フレーム10に対する回動角度をそれぞれ検出する揺動アーム角度センサSE3と、前懸架装置50の回動装置としてのモータ52と、後懸架装置90の回動アーム91の車体フレーム10に対する回動角度を検出する回動アーム角度センサSE4と、後懸架装置90の左右の揺動アーム94の車体フレーム10に対する回動角度をそれぞれ検出する揺動アーム角度センサSE5と、後懸架装置90の回動アーム91の回動装置としてのモータ92と、第1表示器19と、第2表示器20等が電気的に接続されている。また、制御部Cには、スイッチ類として、第1姿勢変更操作スイッチ25と、第2姿勢変更操作スイッチ26と、モード選択操作スイッチ27と、制御リセットスイッチ28と、スタータスイッチ29等が電気的に接続されている。なお、制御部Cには、図11に例示された構成以外の各種装置、例えば前後左右のクローラ走行装置30,70のモータ36,76や、各種センサやスイッチ、例えばアクセルセンサ、ハンドル15の回動角度を検出するハンドルセンサ、バッテリの電圧や電流を検出するバッテリセンサ、車速制限スイッチ等が電気的に接続されている。
制御部Cは、例えば、モード選択操作スイッチ27によって手動操作モードが選択されている場合には、第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26の操作信号に基づいて、モータ52,92へ制御信号を出力し、運転席座面14aの姿勢角度の変更を実行するように構成されている。
また、制御部Cは、モード選択操作スイッチ27によって自動制御モードが選択されている場合には、姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度と、回動アーム角度センサSE2で検出された回動アーム51の回動角度と、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、回動アーム角度センサSE4で検出された回動アーム91の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度を用いて、運転席座面14aの姿勢角度が主記憶装置Mに格納された予め定めた目標角度に収束するように、前後の懸架装置50,90のモータ52,92の動作を制御するように構成されている。
ここで、目標角度は、水平基準面に対する運転席座面14aの左右方向の傾斜のロール角度である。なお、説明の便宜上、目標角度としてのロール角度は、水平基準面に対して運転席座面14aの右端が下がる方向を正をとし、その逆を負とする。
目標角度には、走行時における地面の傾斜情報が関連付けられている。地面の傾斜情報は、地面の傾斜の方位を示す情報であり、目標角度のロール方向(左右方向)に対する地面の傾斜の高所側(山側)と低所側(谷側)を示す情報である。つまり、目標角度は、その角度の値とともに、そのロール方向が高所側であるか、低所側であるかが関連付けられている。
ここで、地面の傾斜の方位(左右のどちらの側が低所側または高所側であるか)は、左右の揺動アーム54,94の回動角度から検出することができる。左右の揺動アーム54,94の回動角度を、乗用車両1が水平基準面と平行な平坦な地面に位置している状態を基準として、クローラ走行装置30,70が下方へ揺動される方向への回動を正とし、クローラ走行装置30,70が上方へ揺動され方向への回動を負とした場合、例えば、右の揺動アーム54R,94Rの回動角度が負である際には運転席座面14aの右側が地面の高所側と検出することができる。
そして、上述のようなロール角度の正負と右の揺動アーム54R,94Rの回動角度の正負の組合せによって、ロール角度の方向が高所側であるか、低所側であるかの判定をすることができる。例えば、ロール角度の正負と右の揺動アーム54R,94Rの回動角度の正負の積の値が負である場合には、ロール角度の方向は高所側であり、この正負の積の値が正であればロール角度の方向は低所側として検出することができる。したがって、地面の傾斜情報として、ロール角度の正負と右の揺動アーム54R,94Rの回動角度の正負の積の値の正負が、目標角度としてのロール角度の値に関連付けられ、主記憶装置Mに格納されている。
なお、地面の傾斜の方位の検出方法は、上述の方法に限定されるものではなく、回動アーム51,91の回動方向によっても検出することができ、左右の揺動アーム54,94の回動角度と回動アーム51,91の回動角度とに基づいて行っても良く、検出結果がより確実なものとなる。
また、地面の傾斜情報は、地面の傾斜の方位を示す情報であれば良く、上述の構成に限定されるものではなく、例えば、回動アーム51,91の回動方向であっても良い。また、地面の傾斜情報は、地面の傾斜の角度を含むものであっても良く、傾斜の角度は、左右の揺動アーム54,94の回動角度等から演算することができる。また、目標角度には、地面の傾斜情報が関連付けられていなくても良い。
ここで、制御部Cは、自動制御モードが選択されている場合に、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26が操作された際には、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作信号に基づいて、モータ52,92へ制御信号を出力し、運転席座面14aの姿勢角度の変更を実行するように構成されている。つまり、制御部Cは、自動制御モードが選択されている場合であっても、第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26によって運転席座面14aの姿勢角度の変更を実行するように構成されている。
また、制御部Cは、モード選択操作スイッチ27によって姿勢制御解除モードが選択されている場合には、モータ52,92へ停止の制御信号を出力し、運転席座面14aの姿勢角度の制御および変更を停止するように構成されている。
制御部Cは、目標角度変更部C1を有している。目標角度変更部C1は、例えばプログラムによって構成される。目標角度変更部C1は、自動制御モードが選択されている場合に、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26によって運転席座面14aの姿勢角度が変更された際に、主記憶装置Mに予め格納された自動制御モードにおける目標角度を、この変更がなされた時に姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度に変更する。つまり、目標角度変更部C1は、自動制御モードが選択されている場合に第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26によって変更された姿勢角度を、自動制御モードにおける新たな目標角度とするように構成されている。
更に、目標角度変更部C1は、変更した新たな目標角度と関連付けて、新たな地面の傾斜情報を主記憶装置Mに格納させる。つまり、目標角度変更部C1は、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度を、地面の傾斜情報として主記憶装置Mに格納させる。
また、制御部Cは、目標角度変更部C1によって変更される前の予め定めた目標角度とその目標角度に関連付けられた地面の傾斜情報を主記憶装置Mに初期目標角度と初期傾斜情報(初期値)として格納しており、制御リセットスイッチ28の操作信号に基づいて、目標角度変更部C1によって変更された目標角度と傾斜情報を初期目標角度と初期傾斜情報(初期値)に変更するように構成されている。
制御部Cは、更に、傾斜角度算出部C2、異常判定部C3、操作判定部C4を有している。傾斜角度算出部C2、異常判定部C3、操作判定部C4も例えばプログラムによって構成される。
傾斜角度算出部C2は、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度とに基づいて、乗用車両1が走行または停車している地面の傾斜情報である傾斜の方位(左右のどちらが低所側であるか高所側であるか)とその角度を演算する。
異常判定部C3は、傾斜角度算出部C2によって算出された地面の傾斜の角度が、主記憶装置Mに格納された予め定められた要警戒角度以上であるかを判定する。ここで、要警戒角度とは、乗用車両1が傾き過ぎることがなく安定して走行可能と想定される地面の傾斜角度であり、例えば45度である。そして、制御部Cは、異常判定部C3によって、傾斜角度算出部C2で演算された傾斜角度が要警戒角度以上であると判定された場合には、第1表示器19および第2表示器20が上述した警告の表示をするように第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力するように構成されている。
操作判定部C4は、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度とが、主記憶装置Mに格納された予め定められた操作限界角度未満であるかを判定する。ここで、操作限界角度とは、前後の懸架装置50,90の操作の限界、つまり、モータ52、92によって回動させる左右の揺動アーム54,94の回動角度の限界角度である。操作限界角度は、例えば、水平基準面と平行な平坦な地面において、運転席座面14aの姿勢角度が30度となる際の左右の揺動アーム54の回動角度と、左右の揺動アーム94の回動角度である。
そして、制御部Cは、手動操作モードにおいては、操作判定部C4によって、揺動アーム角度センサSE3,SE5で検出された右の揺動アーム54R,94Rの回動角度が主記憶装置Mに格納された予め定められた操作限界角度以上であると判定された場合には、第1姿勢変更操作スイッチ25の操作信号に基づいて、モータ52,92へ制御信号を出力しないように構成されている。また、制御部Cは、操作判定部C4によって、揺動アーム角度センサSE3,SE5で検出された左の揺動アーム54L,94Lの回動角度が操作限界角度以上であると判定された場合には、第2姿勢変更操作スイッチ26の操作信号に基づいて、モータ52,92へ制御信号を出力しないように構成されている。つまり、制御部Cは、操作判定部C4の判定結果に基づいて、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の機能を停止するように構成されている。そして、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作による運転席座面14aの姿勢角度の変更可能な範囲が規制され、過度な姿勢角度の変更による走行安定性の低下が防止される。また、モータ52,92の故障や、モータ52,92の駆動軸、ギヤ、回動アーム51,91の回動シャフト55,95等の損傷が防止される。
また、制御部Cは、手動操作モードと同様に自動制御モードにおいても、操作判定部C4の判定結果に基づいて、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の機能を停止するように構成されている。
また、制御部Cは、スタータスイッチ29とモード選択操作スイッチ27の操作信号に基づいて、第1表示器19および第2表示器20が上述した姿勢制御モードの状態に対応した表示をするように第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力するように構成されている。なお、制御部Cは、乗用車両1に異常が生じた場合には、例えば各種センサの検出値が異常な値であったり、バッテリやモータ52,92等の電流や電圧が異常な値であったりする場合等には、第1表示器19および第2表示器20が上述した異常の表示をするように第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力するように構成されている。
以上の構成を有する乗用車両1は、運転席座面14aの姿勢角度の制御と変更が可能である。次に、本実施形態に係る乗用車両1の運転席座面14aの姿勢角度の制御方法について詳述する。図12は、姿勢角度の制御の主要な流れの一例が示された流れ図であり、図13は、手動操作モードの流れの一例が示された流れ図であり、図14は、自動制御モードの流れの一例が示された流れ図であり、図15は、自動制御モードにおける目標角度の変更の流れの一例が示された流れ図であり、図16は、姿勢制御解除モードの流れの一例が示された流れ図である。なお、制御部Cは、運転席座面14aの姿勢角度の制御と同時に車速や操向等の制御も行うが、その説明は省略する。
まず、乗用車両1のスタータスイッチ29が操作されることによって電源が入り、乗用車両1が起動される(ステップS1)。そして、乗用車両1が起動した際には、第1表示器19および第2表示器20は、起動の状態に対応した表示を行う(ステップS2)。より具体的には、制御部Cは、第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力し、第1表示器19および第2表示器20のランプ19a,20aを点灯(緑色)させる。
次に、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されることによって、姿勢制御のモードの選択が行われる(ステップS3)。手動操作モードが選択された場合(ステップS3;手動)には、第1表示器19および第2表示器20は、手動操作モードの状態に対応した表示を行う(ステップS4)。より具体的には、制御部Cは、第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力し、第1表示器19および第2表示器20のランプ19b,20bを点灯(橙色)させる。そして、手動操作モードが実行され、乗用車両1は、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度を手動操作によって変更できる状態となる(ステップS5)。
一方、自動制御モードが選択された場合(ステップS3;自動)には、第1表示器19および第2表示器20は、自動制御モードの状態に対応した表示を行う(ステップS6)。より具体的には、制御部Cは、第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力し、第1表示器19および第2表示器20のランプ19b,20bを点滅(橙色)させる。そして、自動制御操作モードが実行され、乗用車両1は、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度を予め定めた目標角度に収束させる制御を行う状態となる(ステップS7)。
また、姿勢制御解除モードが選択された場合(ステップS3;解除)には、第1表示器19および第2表示器20は、姿勢制御解除モードの状態に対応した表示を行う(ステップS8)。より具体的には、制御部Cは、第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力し、第1表示器19および第2表示器20のランプ19b,20bを消灯させる。つまり、第1表示器19および第2表示器20は、起動の状態に対応した表示と同じ表示を継続させる。そして、姿勢制御解除モードが実行され、乗用車両1は、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度が姿勢制御解除モードを選択した時の角度で保持された状態となる。
なお、スタータスイッチ29が運転者によって操作されることによって、乗用車両1の電源が切れて停止される(ステップS12)。そして、第1表示器19および第2表示器20のランプ19a,20aが消灯される。
次に、ステップS5である手動操作モードについて説明する。図13に示されるように、手動操作モードは、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されて手動操作モードが選択されることで開始される(ステップS50)。そして、制御部Cは、各種センサの検出値を読み込む(ステップS51)。より具体的には、制御部Cは、姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度と、回動アーム角度センサSE2で検出された回動アーム51の回動角度と、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、回動アーム角度センサSE4で検出された回動アーム91の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度等を読み込む。
次に、傾斜角度算出部C2は、乗用車両1が走行または停車している地面の傾斜情報である傾斜の方位と角度の演算を行う(ステップS52)。上述されたように、傾斜情報である傾斜の方位と角度は、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度とから求められる。
異常判定部C3は、走行または停車している地面の傾斜の角度が、主記憶装置Mに格納された予め定められた要警戒角度以上であるかを判定する(ステップS53)。そして、地面の傾斜の角度が要警戒角度以上であり、異常であると判定された場合(ステップS53;YES)には、第1表示器19および第2表示器20は、異常の状態に対応した表示を行い(ステップS54)、乗用車両1は走行が中断されて停車する。より具体的には、制御部Cは、第1表示器19および第2表示器20へ制御信号を出力し、第1表示器19および第2表示器20のランプ19c,20cを点灯(赤色)させ、更に、前後左右のクローラ走行装置30,70のモータ36,76へ制御信号を出力し、乗用車両1の走行を中断させる。
なお、制御部Cは、異常であると判定された場合に乗用車両1の走行を中断させることなく、第1表示器19および第2表示器20を異常の状態に対応した表示とさせる構成であっても良い。また、異常判定部C3は、更に、各種装置が正常に作動しているかを判定するように構成されていても良く、各種装置が正常に作動していないと判定された場合には、同様に、第1表示器19および第2表示器20が異常の状態に対応した表示を行うように構成しても良い。
一方で、地面の傾斜の角度が要警戒角度より小であり、正常であると判定された場合(ステップS53;NO)には、制御部Cは、姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかの操作の有無を判定する(ステップS55)。
そして、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていると判定された場合(ステップS55;YES)には、操作判定部C4は、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度とが、主記憶装置Mに格納された予め定められた操作限界角度未満であるかを判定する(ステップS56)。
左右の揺動アーム54,94の回動角度が操作限界角度未満であり、操作可能であると判定された場合(ステップS56;YES)には、前後の懸架装置50,90によって前後のクローラ走行装置30,50を、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じた方向へ所定の速さで揺動させる(ステップS57)。より詳細には、制御部Cは、モータ52,92へ制御信号を出力し、回動アーム51,91を第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じた方向へ所定の速さで回動させる。したがって、運転席座面14aの姿勢角度は、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じた方向へ所定の速さで変更される。
一方で、左右の揺動アーム54,94の回動角度が操作限界角度以上であり、操作不可能であると判定された場合(ステップS56;NO)には、前後の懸架装置50,90による前後のクローラ走行装置30,70の揺動を停止させる(ステップS58)。より詳細には、制御部Cは、モータ52,92へ制御信号を出力し、回動アーム51,91の回動を停止し、回動アーム51,91が回動シャフト55,95を軸として回動しないように固定させる。
なお、制御部Cは、揺動アーム角度センサSE3,SE5で検出された右の揺動アーム54R,94Rの回動角度が操作限界角度以上であると判定された場合であっても、第2姿勢変更操作スイッチ26が操作された際には、操作可能であるとして、第2姿勢変更操作スイッチ26の操作信号に基づいて、モータ52,92へ制御信号を出力する。同様に、制御部Cは、揺動アーム角度センサSE3,SE5で検出された左の揺動アーム54L,9LRの回動角度が操作限界角度以上であると判定された場合であっても、第1姿勢変更操作スイッチ25が操作された際には、操作可能であるとして、第1姿勢変更操作スイッチ25の操作信号に基づいて、モータ52,92へ制御信号を出力する。
したがって、揺動アーム54,94の回動角度が操作限界角度以上とされるような操作が行われた場合には、運転席座面14aの姿勢角度は、回動アーム51,91の回動が停止された際の角度で維持され、変更されることがない。一方で、揺動アーム54,94の回動角度が操作限界角度未満とされるような操作が行われた場合には、運転席座面14aの姿勢角度は変更される。なお、回動アーム51,91の固定はモータ52,92によるものではなく、電磁ブレーキ等によってなされても良い。
ステップS55において、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていないと判定された場合(ステップS55;NO)には、ステップS56で操作不可能であると判定された場合(ステップS56;NO)と同様に、前後の懸架装置50,90による前後のクローラ走行装置30,70の揺動を停止させる(ステップS58)。そして、運転席座面14aの姿勢角度は、回動アーム51,91の回動が停止された際の角度で維持される。なお、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていないと判定される場合の中には、第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26の両方がともに操作されている状態も含まれる。
このようにして、手動操作モードでは、運転者が姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26を手動で操作することによって、運転席座面14aの姿勢角度を変更することができる。また、前後のクローラ走行装置30,70の揺動は、操作限界角度以上となることはない。
なお、手動操作モードは、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されて手動操作モード以外のモードに変更されることで、つまり自動制御モードまたは姿勢制御解除モードが選択されることで終了する(ステップS59)。
次に、ステップS7である自動制御モードについて説明する。図14に示されるように、自動制御モードは、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されて自動制御モードが選択されることで開始される(ステップS70)。そして、制御部Cは、各種センサの検出値を読み込む(ステップS71)。読み込まれる検出値は、姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度と、回動アーム角度センサSE2で検出された回動アーム51の回動角度と、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、回動アーム角度センサSE4で検出された回動アーム91の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度等である。次に、傾斜角度算出部C2は、乗用車両1が走行または停車している地面の傾斜情報である傾斜の方位と角度を演算し(ステップS72)、異常判定部C3は、走行または停車している地面の傾斜の角度が、主記憶装置Mに格納された予め定められた要警戒角度以上であるかを判定する(ステップS73)。地面の傾斜の角度が要警戒角度以上であり、異常であると判定された場合(ステップS73;YES)には、第1表示器19および第2表示器20は、異常の状態に対応した表示を行い(ステップS74)、乗用車両1は走行が中断されて停車する。一方で、地面の傾斜の角度が要警戒角度より小であり、正常であると判定された場合(ステップS73;NO)には、制御部Cは、姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかの操作の有無を判定する(ステップS75)。なお、ステップS71〜ステップS75は、上述した手動操作モードにおけるステップS51〜ステップS55と同様であり、その説明は省略する。
そして、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていないと判定された場合(ステップS75;NO)には、制御部Cは、主記憶装置Mに格納された目標角度とこの目標角度に関連付けられた地面の傾斜情報を読み込む(ステップS76)。
そして、制御部Cは、運転席座面14aの姿勢角度が目標角度となるような前後の懸架装置50,90による左右のクローラ走行装置30,70の目標揺動角度の演算を行う(ステップS77)。より詳細には、制御部Cは、運転席座面14aの姿勢角度が目標角度となるような前後の懸架装置50,90の回動アーム51,91の目標回動角度の演算を行う。なお、制御部Cは、ステップS71において読み込んだ、姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度と、回動アーム角度センサSE2で検出された回動アーム51の回動角度と、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、回動アーム角度センサSE4で検出された回動アーム91の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角を用いて、回動アーム51,91の目標回動角度の演算を行う。
そして、制御部Cは、運転席座面14aの姿勢角度が目標角度となるように、前後の懸架装置50,90によって前後のクローラ走行装置30,50を目標揺動角度まで揺動させる(ステップS78)。より詳細には、制御部Cは、モータ52,92へ制御信号を出力し、回動アーム51,91を、ステップS77で演算された目標回動角度まで回動させる。
一方で、ステップS75において、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていると判定された場合(ステップS75;YES)には、図15に示すように、操作判定部C4は、手動操作モードにおけるステップS56と同様に、揺動アーム角度センサSE3,SE5で検出された左右の揺動アーム54,94の回動角度が、主記憶装置Mに格納された予め定められた操作限界角度未満であるかを判定する(ステップS79)。
左右の揺動アーム54,94の回動角度が操作限界角度未満である、または、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作が揺動アーム54,94の回動角度を操作限界角度未満とするような操作であり、操作可能であると判定された場合(ステップS79;YES)には、前後の懸架装置50,90によって前後のクローラ走行装置30,50を、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じた方向へ所定の速さで揺動させる(ステップS80)。より詳細には、制御部Cは、モータ52,92へ制御信号を出力し、回動アーム51,91を第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じた方向へ所定の速さで回動させる。したがって、運転席座面14aの姿勢角度は、自動制御モードが選択されている場合であっても、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じた方向へ所定の速さで変更される。
次に、制御部Cは、ステップS71〜ステップS73と同様に、各種センサの検出値を読み込み(ステップS81)、傾斜角度算出部C2は、乗用車両1が走行または停車している地面の傾斜情報である傾斜の方位と角度を演算し(ステップS82)、異常判定部C3は、走行または停車している地面の傾斜の角度が、主記憶装置Mに格納された予め定められた要警戒角度以上であるかを判定する(ステップS83)。地面の傾斜の角度が要警戒角度以上であり、異常であると判定された場合(ステップS83;YES)には、第1表示器19および第2表示器20は、異常の状態に対応した表示を行い(ステップS84)、乗用車両1は走行が中断されて停車する。
一方で、地面の傾斜の角度が要警戒角度より小であり、正常であると判定された場合(ステップS83;NO)には、目標角度変更部C1は、主記憶装置Mに予め格納された自動制御モードにおける目標角度を、ステップS81において読み込まれた姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度に変更する(ステップS85)。なお、目標角度変更部C1は、変更した新たな目標角度と関連付けて、ステップS81において読み込まれた揺動アーム角度センサSE3,SE5で検出された左右の揺動アーム54,94の回動角度を、新たな地面の傾斜情報として主記憶装置Mに格納させる。
次に、制御部Cは、ステップS75と同様に、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかの操作の有無を判定する(ステップS86)。ステップS86において、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていると判定された場合(ステップS86;YES)には、ステップS79に戻る。
一方、ステップS86において、第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26のいずれかが操作されていないと判定された場合(ステップS86;NO)には、上述のステップS58と同様に、前後の懸架装置50,90による前後のクローラ走行装置30,70の揺動を停止させ(ステップS87)、ステップS71に戻る。
なお、ステップS79において、左右の揺動アーム54,94の回動角度が操作限界角度以上であり、操作不可能であると判定された場合(ステップS79;NO)には、ステップS58と同様に、前後の懸架装置50,90による前後のクローラ走行装置30,70の揺動を停止させ(ステップS87)、ステップS71に戻る。
また、自動制御モードは、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されて自動制御モード以外のモードに変更されることで、つまり手動操作モードまたは姿勢制御解除モードが選択されることで終了する(ステップS88)。
ここで、ステップS85で目標角度変更部C1によって変更された目標角度とその目標角度に関連付けられた地面の傾斜情報は、図12に示すように、制御リセットスイッチ28が操作されることによって、予め定めた初期目標角度とその初期目標角度に関連付けられた地面の初期傾斜情報に変更される(ステップS10、ステップS11)。
このようにして、自動制御モードでは、運転席座面14aの姿勢角度を予め定めた目標角度に収束させる姿勢制御ができる。また、自動制御モード中であっても、姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26とによって、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を変更することができ、使い勝手が良い。
例えば、図17Aに示すように、予め定めた目標角度がゼロ度であって、自動制御モードが運転席座面14aの姿勢角度を水平に収束させる姿勢制御である場合において、第2姿勢変更操作スイッチ26を操作して、図17Bに示すように、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を高所側(山側)へ傾倒させ、低所側(谷側)に転倒しにくに走行に即座に変更することができる。ここで、図17は、乗用車両1の傾斜地横断走行時の状態の一例が示された概略図であり、図17Aは、運転席座面14aの姿勢角度が略水平である状態であり、図17Bは、運転席座面14aの姿勢角度が高所側へ傾倒された状態である。なお、図17Aおよび図17Bは、右側が高所側であり、左側が低所側であり、乗用車両1を前方から見た概略図である。また、図17Aおよび図17Bにおいて、点Pは運転席座面14a上の左右方向の中央を示し、角度α1は水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を示し、直線L9は点Pを通る運転席座面14aに垂直な直線であり、直線L10は点Pを通る運転席座面14aと平行な直線であり、直線Hは点Pを通る水平な直線であり、直線Vは点Pを通る鉛直な直線である。そして、傾斜の角度が比較的急な斜面では図17Bのように運転席座面14aを高所側に傾倒させて走行することで、安全性を向上させた走行が可能となる。
また、図17Bのように運転席座面14aを高所側に傾倒させることで、障害物OBを乗り越える際に、図18Aに示されるように運転席座面14aが低所側へ傾倒せず、図18Bに示されるような走行が可能となり、安全性を向上させた走行が可能となる。山林等の傾斜地においては、走行可能な場所が制限されることが多く、切り株等の障害物OBを避けて走行することができない場合があるので、障害物OBを乗り越える際に図17Bに示されるように予め運転席座面14aを高所側に傾倒させておくことで、安全性を向上させた走行が可能となり、特に有用である。ここで、図18は、乗用車両1の傾斜地横断走行時の状態の別の一例が示された概略図であり、図18Aは、運転席座面14aの姿勢角度が略水平で障害物OBを乗り越える状態であり、図18Bは、運転席座面14aの姿勢角度が高所側へ傾倒されて障害物OBを乗り越える状態である。なお、図18Aおよび図18Bは、図17と同様に、右側が高所側であり、左側が低所側であり、乗用車両1を前方から見た概略図である。また、図18Aおよび図18Bにおいて、点Pは運転席座面14a上の左右方向の中央を示し、角度α2は水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を示し、直線L9は点Pを通る運転席座面14aに垂直な直線であり、直線L10は点Pを通る運転席座面14aと平行な直線であり、直線Hは点Pを通る水平な直線であり、直線Vは点Pを通る鉛直な直線である。
更に、自動制御モード中に第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26とによって変更された運転席座面14aの姿勢角度は、自動制御モードにおける新たな目標角度とされるため、例えば、同じような傾斜が断続的に現れる場所を走行したり、同じ傾斜地で複数日にわったて乗車したりする場合に都度、運転席座面14aの目標角度を運転者の好みの角度に設定する必要がなく、使い勝手が良い乗用車両を提供できる。例えば、図17Aに示される状態から図17Bに示される状態に変更した場合には、運転席座面14aの目標角度がゼロ度から変更されて角度α1に設定される。
また、第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26とによって変更された目標角度は、変更された際の地面の傾斜情報と関連付けられるため、運転席座面14aの姿勢制御における目標角度を運転者の意図に沿った角度に変更することが可能である。より詳細には、変更された目標角度は、その角度の値とともに、そのロール方向が高所側であるか、低所側であるかが関連付けられているので、地面の傾斜方向に対して乗用車両1の進行方向が変更された場合であっても、低所側の運転席座面14aの端を高所側の運転席座面14aの端よりも高くするといった姿勢制御が可能となり、使い勝手が良い乗用車両を提供できる。
例えば、図17Aに示されるように運転席座面14aの左端側が高所側となるように傾斜地を走行している際に、図17Bに示されるように運転席座面14aの姿勢角度を高所側(左側)に傾倒させるように変更する。その際に、目標角度は、値が角度α1であり、その方向は高所側であると設定される。その後、反転してこの傾斜地を運転席座面14aの右端側が高所側となるように傾斜地を走行した場合であっても、改めて運転席座面14aの姿勢角度を変更することなく、高所側(右側)に角度α1だけ傾倒させた走行が可能となる。
また、地面の傾斜情報が地面の傾斜の角度を含む構成とした場合には、地面の傾斜の角度が所定範囲、例えば5度以上であれば、予め定めた目標角度に収束させる運転席座面14aの姿勢制御を行うように構成することができ、地面の傾斜情報に応じた運転席座面14aの姿勢制御が可能となり、運転者は都度姿勢制御モードの選択をする必要がなく、走行安定性や操作性が向上する。
また、変更された目標角度は、復帰操作手段としての制御リセットスイッチ28が操作されることによって、予め定めた初期目標角度とその初期目標角度に関連付けられた地面の初期傾斜情報に変更されるので、複数人の運転者で乗用車両1を共同使用する場合に前回運転者によって変更された目標角度を容易にリセットでき、使い勝手が良く、誤操作等を防止できる。
次に、ステップS9である姿勢制御解除モードについて説明する。図16に示されるように、姿勢制御解除モードは、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されて姿勢制御解除モードが選択されることで開始される(ステップS90)。そして、制御部Cは、前後の懸架装置50,90のモータ52,92を停止させる(ステップS91)。なお、ステップS91において、モータ52,92は停止され、回動アーム51,91は固定される。つまり、モータ52,92の駆動軸は固定された状態である。したがって、乗用車両1は、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度が姿勢制御解除モードを選択した時の角度で保持された状態となる。このため、姿勢制御解除時に、運転者の意図しない運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度の変更を防止できる。
次に、制御部Cは、各種センサの検出値を読み込む(ステップS92)。読み込まれる検出値は、姿勢角度センサSE1で検出された運転席座面14aの姿勢角度と、回動アーム角度センサSE2で検出された回動アーム51の回動角度と、揺動アーム角度センサSE3で検出された左右の揺動アーム54の回動角度と、回動アーム角度センサSE4で検出された回動アーム91の回動角度と、揺動アーム角度センサSE5で検出された左右の揺動アーム94の回動角度等である。次に、傾斜角度算出部C2は、乗用車両1が走行または停車している地面の傾斜情報である傾斜の方位と角度を演算し(ステップS93)、異常判定部C3は、走行または停車している地面の傾斜の角度が、主記憶装置Mに格納された予め定められた要警戒角度以上であるかを判定する(ステップS94)。地面の傾斜の角度が要警戒角度以上であり、異常であると判定された場合(ステップS94;YES)には、第1表示器19および第2表示器20は、異常の状態に対応した表示を行い(ステップS95)、乗用車両1は走行が中断されて停車する。一方で、地面の傾斜の角度が要警戒角度より小であり、正常であると判定された場合(ステップS94;NO)には、ステップS91に戻る。なお、ステップS92〜ステップS95は、上述した手動操作モードにおけるステップS51〜ステップS54や自動制御作モードにおけるステップS71〜ステップS74と同様であり、その説明は省略する。
このようにして、姿勢制御解除モードでは、モータ52、92が停止され、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度を姿勢制御解除モードが選択された時の角度で保持した状態での走行ができる。
なお、姿勢制御解除モードは、モード選択操作スイッチ27が運転者によって操作されて姿勢制御解除モード以外のモードに変更されることで、つまり手動操作モードまたは自動制御モードが選択されることで終了する(ステップS96)。
そして、乗用車両1の動作の制御は、自動制御モードでは、制御部Cが、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を目標角度に収束するように前後の懸架装置50,90のモータ52,92を制御するとともに、運転席座面14aの姿勢角度を姿勢変更手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26の操作に応じて優先して変更するように、モータ52,92を制御する。また、自動制御モードでは、目標角度変更部C1が、第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26によって変更された姿勢角度を自動制御モードにおける新たな目標角度とする。この方法によれば、自動制御モード中に水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を変更でき、この変更された姿勢角度を次回の自動制御モードに反映することができる。
なお、ステップS56およびステップS79における左右の揺動アーム54の回動角度、および左右の揺動アーム94の回動角度が操作限界角度未満であるかの判定は、リミットスイッチを用いて行う構成であっても良い。回動角度が操作限界角度以上となった際に作動するリミットスイッチを各揺動アーム54,94に設け、このリミットスイッチの信号に応じて判定する構成としても良い。
また、各モードにおける流れは上述の構成に限定されるものではなく、例えば、姿勢制御解除モードや手動操作モードは、制御リセットスイッチ28や制御リセットスイッチ28とは別のリセットスイッチの操作、および各種センサの検出値に基づく乗用車両1が平坦路に存在していることの検知等に応じて、運転席座面14aの水平基準面に対する姿勢角度が初期角度(例えば、ゼロ度)である初期姿勢に復帰するように構成されても良い。このような構成にすることで、運転者は不安を感じることなく初期姿勢に復帰できる。
また、図示による説明は省略するが、乗用車両1は、姿勢変更操作手段としの第1姿勢変更操作スイッチ25および第2姿勢変更操作スイッチ26とは別に、自動制御モードにおける目標角度を設定する目標角度設定ダイヤルを更に備える構成としても良い。目標角度設定ダイヤルは、例えばハンドル15の周辺であって、第1表示器19に隣接して連結部材17aの上面に設ける。目標角度設定ダイヤルは、例えば、時計回り方向への回転で目標角度の高所側への大きさが大となり、反時計回り方向への回転で目標角度の高所側への大きさが小となるように設定可能に構成される。目標角度設定ダイヤルには、その回転位置に応じて設定される目標角度の目盛りが付されている。この目盛りは、正負を有し、正とは目標角度の高所側への大きさを示し、負とは目標角度の低所側への大きさを示す。また、目標角度設定ダイヤルは、自動制御モードでの第1姿勢変更操作スイッチ25または第2姿勢変更操作スイッチ26による目標角度の変更に応じて、その回転位置が変更されるように構成される。
乗用車両1がこのような構成の目標角度調節ダイヤルを備えることで、自動制御モードが選択されていない状態であっても、自動制御モードにおける目標角度を確認することができる。そして、自動制御モードを選択した際に、運転者の意図せぬ目標角度に運転席座面14aの姿勢制御がされることがなく、使い勝手が良く、誤操作が防止される。
ここで、本実施形態に係る乗用車両1は、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢制御を可能に構成したものであれば良く、鞍乗型乗用車両に限定されるものではない。例えば、キャビンを備え、乗車時に運転者が座席に腰掛けて着座する乗用車両であっても良い。
また、前後の懸架装置50,90の構成等は上述の構成に限定されない。上述の乗用車両1は、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度の内、運転席座面14aの左右方向の傾斜のロール角度を変更および制御する構成であるが、運転席座面14aの前後方向の傾斜のピッチ角度、またはロール角度およびピッチ角度を変更および制御する構成であっても良い。
ロール角度およびピッチ角度を変更および制御する構成としては、例えば、前後の懸架装置50,90の構成を変更することで可能となる。例えば、図19に示すように、上述の前懸架装置50において、ダンパ62に替わって油圧シリンダ262を備え、左右の連結アーム53R,53Lに替わって、左右の連結アーム253R,253Lを備える構成とする。ここで、図19は、別の実施形態に係る乗用車両における前懸架装置250の一例が示された斜視図である。図19は、図5と同様に、前方斜め下方から見る前懸架装置250の斜視図である。
前懸架装置250は、左右の連結アーム253R,253Lとダンパ262を除いて上述の前懸架装置50と同様の構成であり、前懸架装置50と同じ構成については説明を適宜省略する。前懸架装置250は、上述の前懸架装置50の左右の連結アーム53R,53Lに替わって、左右の連結アーム253R,253Lを備える。左右の連結アーム253R,253Lは、シリンダ等から構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構である。右の連結アーム253Rは、上述の前懸架装置50の右の連結アーム53Rと同様に、一端が自在継手としてのボールジョイントを介して回動アーム51の右側端部に連結され、他端が自在継手としてのボールジョイントを介して右の揺動アーム54Rに連結される。
左の連結アーム253Lは、上述の右の連結アーム253Rと同様に、一端が自在継手としてのボールジョイントを介して回動アーム51の左側端部に連結され、他端が自在継手としてのボールジョイントを介して左の揺動アーム54Lに連結される。
ここで、左右の連結アーム253R,253Lは、シリンダ等から構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構であり、左右の前クローラ走行装置30R,30Lはこの緩衝機構を介して車体フレーム10に懸架される構成である。したがって、左右の連結アーム253R,253Lによって、車体フレーム10と左右の前クローラ走行装置30R,30Lとの間における衝撃をそれぞれ緩衝することができる。
前懸架装置250は、上述の前懸架装置50のダンパ62に替わって、ピストンロッドとシリンダーライナー等から構成される油圧シリンダ262を備える。油圧シリンダ262は、上述の前懸架装置50のダンパ62と同様に、一端が左右方向を軸としてブラケット61に回動自在に連結され、他端がリンク機構63のロッカーアーム64に左右方向を軸として回動自在に連結される。
なお、図示による説明は省略するが、ロール角度およびピッチ角度を変更および制御可能とする別の実施形態に係る乗用車両では、後懸架装置90も同様に、ダンパ102に替わって、ピストンロッドとシリンダーライナー等から構成される油圧シリンダを備え、左右の連結アーム93R,93Lに替わって、シリンダ等から構成される伸縮自在な棒状の緩衝機構である左右の連結アームを備える構成とする。
また、別の実施形態に係る乗用車両は、前懸架装置250の油圧シリンダ262と後懸架装置の油圧シリンダを伸縮させる図示せぬ油圧装置を備える。油圧装置は、切換弁、リリーフ弁、流量調節弁等の弁やフィルタ等の油圧機器を備え、各種弁を制御部Cによって制御することで、前懸架装置250の油圧シリンダ262と後懸架装置の油圧シリンダを伸縮させることができる。そして、前懸架装置250の油圧シリンダ262を伸縮させることで、左右の前クローラ走行装置30R,30Lを一体的に上下方向へ揺動させ、後懸架装置の油圧シリンダを伸縮させることで、左右の後クローラ走行装置70R,70Lを一体的に上下方向へ揺動させ、運転席座面14aの前後方向の傾斜のピッチ角度を変更および制御することができる。
例えば、斜面を高所側へ向かって登るような登坂走行時には、図20Aに示される状態から、前懸架装置250の油圧シリンダ262を伸長させて左右の前クローラ走行装置30R,30Lを一体的に上方へ揺動させ、後懸架装置の油圧シリンダを収縮させて左右の後クローラ走行装置70R,70Lを一体的に下方へ揺動させることで、図20Bに示されるように、運転席座面14aの姿勢角度が水平となるように変更したり制御したりすることができる。ここで、図20は、別の実施形態に係る乗用車両2の登坂走行時の状態の一例が示された概略図であり、図20Aは、運転席座面14aの姿勢角度の変更前の状態であり、図20Bは、運転席座面14aの姿勢角度の変更後の状態である。なお、図20Aおよび図20Bは、右側が高所側であり、左側が低所側であり、別の実施形態に係る乗用車両2を側方から見た概略図である。また、図20Aおよび図20Bにおいて、点Pは運転席座面14a上を示し、角度βは水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度を示し、直線L9は点Pを通る運転席座面14aに垂直な直線であり、直線L10は点Pを通る運転席座面14aと平行な直線であり、直線Hは点Pを通る水平な直線であり、直線Vは点Pを通る鉛直な直線である。そして、別の実施形態に係る乗用車両2は、上述したように、モータ52,92によって運転席座面14aの左右方向の傾斜のロール角度を変更および制御することもでき、ピッチ角度に対しても上述したロール角度における効果と同様の効果が得られる。
このように、運転席座面14aの前後方向の傾斜のピッチ角度を変更および制御が可能な別の実施形態に係る乗用車両2においては、ロール角度の変更および制御が可能な上述の乗用車両1の姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25と第2姿勢変更操作スイッチ26に替わって、例えば、図21に示すような姿勢変更操作スイッチ225を備える。ここで、図21は、別の実施形態に係る乗用車両2のハンドル15の右側の構成が示された概略図であり、後方(運転者側)から見る概略図である。
ハンドルバー17の右側には、姿勢変更操作手段としての姿勢変更操作スイッチ225を備える。姿勢変更操作スイッチ225は、右のハンドルグリップ18に隣接し、ハンドルバー17の後方側(運転者側)に設けられる。そして、姿勢変更操作スイッチ225は、ハンドルグリップ18を把持した状態から右手の親指で操作可能な位置に設けられる。
姿勢変更操作スイッチ225は、自動復帰型のシーソー押圧式スイッチであり、中央を支点として上側、下側、右側、および左側に押圧可能である。そして、姿勢変更操作スイッチ225は、上側に押圧すると運転席座面14aの前端が下がる方向に姿勢角度が変更され、下側に押圧すると運転席座面14aの後端が下がる方向に姿勢角度が変更され、右側に押圧すると運転席座面14aの右端が下がる方向に姿勢角度が変更され、左側に押圧すると運転席座面14aの左端が下がる方向に姿勢角度が変更されるように構成されている。
したがって、別の実施形態に係る乗用車両2は、上述の乗用車両1と同様の効果を有し、運転者はハンドル15から手を離さずに姿勢変更操作手段としての姿勢変更操作スイッチ225の操作ができ、運転席座面14aの姿勢角度を運転操作性が低下することなく安全かつ容易に変更することができる。また、運転席座面14aの姿勢角度は、姿勢変更操作スイッチ225の押圧する側の端が下がる方向に変更されるため、運転者の感覚に合わせた運転席座面14aの姿勢角度の変更が可能である。そして、自動制御モード中であっても、姿勢変更操作スイッチ225によって、水平基準面に対する運転席座面14aの姿勢角度(ロール角度およびピッチ角度)を変更することができる。
なお、姿勢変更操作手段としての姿勢変更操作スイッチ225は、上述の構成に限定されるものではなく、ハンドルグリップ18を把持した状態から親指で操作可能な構成であれば良く、スイッチの種類や配置等は適宜設計できる。上述の姿勢変更操作スイッチ225は、ハンドルバー17の後方側に配設される構成であるが、ハンドルバー17の上方側に配設される構成であっても良い。なお、姿勢変更操作スイッチ225がこのような位置に設けられる場合には、操作性の観点から、姿勢変更操作スイッチ225は、前側に押圧すると運転席座面14aの前端が下がる方向に姿勢角度が変更され、後側に押圧すると運転席座面14aの後端が下がる方向に姿勢角度が変更され、右側に押圧すると運転席座面14aの右端が下がる方向に姿勢角度が変更され、左側に押圧すると運転席座面14aの左端が下がる方向に姿勢角度が変更されるように構成されることが好ましく、運転者の感覚に合わせた運転席座面14aの姿勢角度の変更が可能となる。
また、姿勢変更操作手段としての姿勢変更操作スイッチ225は、運転席座面14aの左右方向の傾斜のロール角度を変更するスイッチと、運転席座面14aの前後方向の傾斜のピッチ角度を変更するスイッチとに分けられた構成であっても良い。
また、操向手段としてのハンドル15は、上述の構成に限定されるものではなく、運転者によって把持される把持部を備える構成であれば良い。例えば、ハンドル15は、図22に示されるように、環状のリム部218と、リム部218の中央に位置してステアリングシャフト16に連結されるセンターカバー216と、リム部218とセンターカバー216とを連結させるスポーク部217などを備える構成であっても良い。ここで、図22は、ハンドル15の変形例が示された概略図であり、上方から見た概略図である。
変形例であるハンドル215は、リム部218が運転者によって把持されて操作される。このような構成のハンドル215においては、姿勢変更操作手段としての第1姿勢変更操作スイッチ25、第2姿勢変更操作スイッチ26、姿勢変更操作スイッチ225、制御モード選択操作手段としてのモード選択操作スイッチ27等は、リム部218を把持した状態から親指で操作可能な位置に設けられることが好ましく、例えば、スポーク部217の上面側のリム部218に隣接する領域217aに設けられることが好ましい。また、第1表示器19は、センターカバー216の上面側の領域216aに設けられることが好ましい。このような構成にすることで、把持部としての環状のリム部218を備えるハンドル215においても、上述のハンドル15と同様の効果が得られる。
また、本発明は上述の例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内であらゆる形態を取ることができる。