JP6516294B2 - 環境風洞試験装置 - Google Patents
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Description
なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「左右方向」とは、後述する送風吹出ノズル9の吹出方向に向かって左右方向のことであり、「前後方向」とは、送風吹出ノズル9の吹出方向に向かって前後方向のことである。
図1に示される環境風洞試験装置1は、所要風量の風を発生させる送風機2を備え、送風機2で発生させた風が流れる風路3内に供試車4を置いて、車速に対応した風速の風を吹き付けて模擬走行試験を行い、風の影響を評価するために使用されるものである。
試験室6は、断熱壁で囲まれた風の流れ方向に長い外観視直方体形状で、供試車4を収容するのに十分なスペースを内部に有している。
送りダクト5は、送風機2の吐出口側に接続される吐出ダクト8と、試験室6の一端壁に室内に開口するように接続される送風吹出ノズル9と、これら吐出ダクト8及び送風吹出ノズル9の間を繋ぐ所要のストレートダクト10,11及びベンドダクト12,13とにより構成されている。
戻りダクト7は、送風吹出ノズル9と対向するように試験室6内に配されて供試車4の背面側に臨ませた吸込口14を有する吸込ダクト15と、吸込ダクト15と送風機2の吸入口との間を繋ぐ所要のストレートダクト16及びベンドダクト17とにより構成されている。
なお、風路3においては、吐出ダクト8、ストレートダクト10,11、ベンドダクト12,13、送風吹出ノズル9及び試験室6における一端から供試車4が置かれた場所までの部分によって、送風機2からの風を供試車4へと送る送り風路3aが形成されるとともに、試験室6における供試車4が置かれた場所から他端までの部分、吸込ダクト15、ベンドダクト17及びストレートダクト16によって、供試車4に吹き付けられた風を送風機2へと戻す戻り風路3bが形成されている。
図3に示されるように、砂吹込装置20は、左右方向に所定間隔をあけて送風吹出ノズル9の内部に配設される複数(1つのみ図示)の砂吹出ノズル21と、各砂吹出ノズル21に向けて砂を空気搬送する図6に示されるような砂搬送機22とを備えて構成されている。
なお、砂吹出ノズル21の設置数は、風路3の大きさや砂塵分布によって適宜(本例では設置数が3)に設定されるものである。
図5(a)及び(b)に示されるように、砂吹出ノズル21は、送風吹出ノズル9と同一吹出方向で延設されており、基端側の円筒状部21aと、吹出方向に進むに従って左右に幅が広くなるとともに吹出方向に進むに従って高さ寸法が小さくなる中空状の末広テーパ中空状部21bと、断面四角筒状で吹出方向に真っ直ぐに延びる四角筒状部21cとを有し、円筒状部21a、末広テーパ中空状部21b及び四角筒状部21cが吹出方向に順に一体的に連設されて、全体が左右に幅広の扁平形状に形成されている。
こうして、左右に幅広の扁平形状に形成されることにより、吹出方向に向かって左右に均一に砂を吹き出すことができ、供試車4に対して砂をムラなく吹き付けることができる。
図6に示されるように、砂搬送機22は、ロータリーフィーダ23を備えている。
ロータリーフィーダ23は、ロータリーバルブ24を内蔵するケーシング25を有し、ケーシング25の上部にホッパ26を設けるとともに、ケーシング25の下部の一方側に導出口27を他方側に導入口28をそれぞれ設けてなるものであって、後述する下流側スクリューフィーダ67を介してホッパ26内に投入される砂を、ロータリーバルブ24の回転により、導出口27と導入口28との間におけるケーシング25の内部に定量供給することができるように構成されている。
ロータリーフィーダ23の導入口28は、エアー調整弁30を介してボルテックス型のブロワ31に接続されており、ブロワ31の作動によって送り出された送風空気がエアー調整弁30で流量や圧力等が調整された後に導入口28を介してケーシング25の内部に導入される。
砂搬送機22においては、ロータリーフィーダ23の導入口28を介してケーシング25の内部に導入されたブロワ31からの送風空気により、ケーシング25の内部に定量供給された砂が導出口27から搬送配管29を介して砂吹出ノズル21へと空気搬送される。
砂吹出ノズル21へと空気搬送された砂は、砂吹出ノズル21における円筒状部21a、末広テーパ中空状部21b及び四角筒状部21cを介して、送風吹出ノズル9の内部に吹き出される。
図3に示されるように、送風吹出ノズル9の下面側には、砂吹出ノズル21を上下左右方向に移動させる砂吹出ノズル移動機構35を収容するのに十分なスペースを有する収納ボックス36が気密状態で付設されている。
こうして、送風吹出ノズル9の下面側に気密状態で付設される収納ボックス36内に砂吹出ノズル移動機構35を収納する構成を採用することにより、風路3内の静圧を確実に維持することができる。
送風吹出ノズル9と収納ボックス36との境界部には、送風吹出ノズル9の下面に設けられた開口部37を開閉するための開閉蓋38が、収納ボックス36の左右両側部に設けられたレール39の案内にて図3に示されるような開口部37を開く位置と図4に示されるような開口部37を塞ぐ位置との間で往復移動可能に配設され、開閉蓋38とベンドダクト13とを連結するように収納ボックス36内に配設されたエアーシリンダ(又はモータシリンダ等でも可)40の伸長作動にて図4に示されるように開閉蓋38が開口部37を塞ぐ位置に進められて開口部37を塞ぎ、エアーシリンダ40の収縮作動にて図3に示されるように開閉蓋38が開口部37を開く位置に退避されて開口部37を開くことができるようになっている。
左右移動機構41は、左右方向に直動案内する左右リニアガイド機構43を介して収納ボックス36の底面上に左右方向に移動自在に設置される左右移動架台44と、左右移動架台44を左右方向にスライド駆動する左右スライド駆動機構45とにより構成されている。
ここで、左右スライド駆動機構45は、左右移動架台44に左右方向に延びるラック46を取り付け、ラック46に噛合するピニオン47を配設し、収納ボックス36の底面上に設置される左右駆動モータ48の回転動力を減速機49を介してピニオン47に伝達するようにして、左右駆動モータ48の回転制御により、左右移動架台44の左右方向の移動を制御することができるようになっている。
上下移動機構42は、左右移動架台44上に立設される支柱50に上下方向に直動案内する上下リニアガイド機構51を介して上下方向に移動自在に取り付けられる砂吹出ノズル架台52と、砂吹出ノズル架台52を上下方向に昇降駆動する昇降駆動機構53とにより構成されている。
ここで、昇降駆動機構53は、鉛直方向に延びるねじ軸54を砂吹出ノズル架台52と並設し、図示されないボールを介してねじ軸54と螺合するナット55を砂吹出ノズル架台52に取り付け、左右移動架台44上に設置される昇降駆動モータ56の回転動力を直交軸ギヤボックス57を介してねじ軸54に伝達するようにして、昇降駆動モータ56の回転制御により、砂吹出ノズル架台52の上下方向の移動を制御することができるようになっている。
後述する砂塵試験を行わないときは、図4に示されるように、砂吹出ノズル21を収納ボックス36の内部に格納するように砂吹出ノズル架台52を下降させた後、エアーシリンダ40の伸長作動にて送風吹出ノズル9の開口部37を開閉蓋38で塞ぐことで、通常の風洞試験用の風路3として使用することができる。
砂吹出ノズル21から吹き出した砂が収納ボックス36内に入らないようにするため、送風吹出ノズル9の開口部37の前端縁に上向きの反りを設ける、あるいは、図3に示されるような堰止板59を設けるのがよく、かかる反りや堰止板59は、送風吹出ノズル9内でメンテナンス等の作業を行っている作業者が収納ボックス36内に落下しないようにするための安全対策にも資するものである。
砂吹出ノズル移動機構35の設置台数は、砂吹出ノズル21の設置数に応じて1〜複数台適宜に設定されるものである。
図7(a)に示されるように、吸込ダクト15の吸込口14には、砂分離偏流ベーン60が配設されている。
砂分離偏流ベーン60は、風の流れ方向を変えるベーン本体部60aと、ベーン本体部60aで流れ方向が変えられた風の流れを遮るようにベーン本体部60aに一体的に設けられる衝突板部60bとにより構成され、供試車4に吹き付けられた後に吸込ダクト15の吸込口14を通して送風機2へと戻される風に含まれる砂を衝突板部60bに衝突させて分離するようにすることができるようになっている。
こうして、送風機2への戻り風に砂が混入して送風機2に砂が吸い込まれるのを防ぐことができ、砂の吸引に起因する送風機2の破損等を未然に防ぐようにしている。
吸込ダクト15の吸込口14の下方には、供試車4に吹き付けられた後の砂を確実に回収するために、砂分離偏流ベーン60の衝突板部60bに衝突させて分離した砂を受け止めて貯留する砂回収ホッパ61が配設されている。
なお、符号62にて示されるものは、砂回収ホッパ61の開口部に装着されたグレーチングである。
図7(b)に示されるように、砂回収ホッパ61には、回収した砂を落下させるための落下口61aが、砂吹出ノズル21の設置数に応じて1〜複数個、本例では3個設けられている。
図6、並びに図7(a)及び(b)に示されるように、砂回収ホッパ61と砂搬送機22との間には、砂回収ホッパ61で回収した砂を砂搬送機22へと供給する回収砂フィーダ65が配設されており、回収砂フィーダ65は、砂回収ホッパ61の底部に組み込まれる上流側スクリューフィーダ66と、上流側スクリューフィーダ66と砂搬送機22におけるロータリーフィーダ23とを連結するように配設される下流側スクリューフィーダ67とが組み合わされて構成されている。
こうして、砂吹出ノズル21からの砂の吹出量を、砂回収ホッパ61で回収される砂の回収量とのバランスを図りつつ容易に調整することができる。
以上に述べたように構成される環境風洞試験装置1において、通常の風洞試験は、図2及び図4に示されるように、砂吹出ノズル21を収納ボックス36内に格納し、かつ送風吹出ノズル9の下面に設けられた開口部37を開閉蓋38で閉じた状態で以下のような動作にて行われる。
すなわち、送風機2の作動によって送風機2から送り出された風は、空調機18で調温・調湿された後に、送りダクト5を介して送風吹出ノズル9から吹き出されて供試車4に吹き付けられる。
供試車4に吹き付けられた風は、吸込口14から吸い込まれ、戻りダクト7を介して送風機2の吸入口へと送り戻される。
まず、図1及び図3に示されるように、エアーシリンダ40の収縮作動にて開閉蓋38を退避させて送風吹出ノズル9の下面に設けられた開口部37を開く。
次いで、昇降駆動モータ56の作動にて砂吹出ノズル架台52を上昇させて砂吹出ノズル21を送風吹出ノズル9の内部へと送り込み、左右駆動モータ48の回転制御によって左右移動架台44の左右方向の移動を制御するとともに、昇降駆動モータ56の回転制御によって砂吹出ノズル架台52の上下方向の移動を制御して、送風吹出ノズル9の内部での砂吹出ノズル21の上下左右方向の位置を定める。
砂吹出ノズル21の位置決めが完了したら、砂搬送機22を作動させて、ロータリーフィーダ23のケーシング25の内部に導入されたブロワ31からの送風空気により、ケーシング25の内部に定量供給された砂を搬送配管29を介して砂吹出ノズル21へと空気搬送する。
こうして、砂吹出ノズル21へと空気搬送された砂は、送風吹出ノズル9の内部に吹き出され、送風吹出ノズル9の内部に吹き出された砂は、送風吹出ノズル9から吹き出される風に乗って供試車4に吹き付けられる。
砂分離偏流ベーン60にて砂が取り除かれた後の風は、戻りダクト7を介して送風機2の吸入口へと送り戻される一方、衝突板部60bへの衝突で分離されて落下された砂は、砂回収ホッパ61に受け止められて一旦貯留される。
砂回収ホッパ61に貯留された砂は、回収砂フィーダ65の作動によって、砂搬送機22におけるロータリーフィーダ23へと送り戻され、再度、砂吹出ノズル21から吹き出され、循環利用される。
本実施形態の環境風洞試験装置1によれば、送り風路3aの一部が、送風機2からの風を供試車4に向けて吹き出す送風吹出ノズル9で構成され、砂吹込装置20が、送風吹出ノズル9の内部に同一吹出方向で配される砂吹出ノズル21と、砂吹出ノズル21に向けて砂を空気搬送する砂搬送機22とにより構成されるので、送風吹出ノズル9の内部を流れる送風機2からの風に砂を確実に乗せて供試車4に吹き付けることができ、砂塵環境を実現することができる。したがって、供試車4の耐砂塵影響等を評価することができ、例えば、砂漠地域を模擬した環境下での車両信頼性評価に資することができる。
2 送風機
3 風路
3a 送り風路
3b 戻り風路
4 供試車(供試体)
5 送りダクト(送り風路)
6 試験室
7 戻りダクト(戻り風路)
8 吐出ダクト
9 送風吹出ノズル
20 砂吹込装置
21 砂吹出ノズル
22 砂搬送機
35 砂吹出ノズル移動機構
41 左右移動機構
42 上下移動機構
60 砂分離偏流ベーン
60a ベーン本体部
60b 衝突板部
61 砂回収ホッパ
65 回収砂フィーダ
Claims (6)
- 送風機からの風を供試体へと送る送り風路の内部に砂を吹き込む砂吹込装置を設け、送風機で発生させた風が流れる風路の内部に供試体を置いて風を吹き付けるようにした環境風洞試験装置において、送り風路の一部を、送風機からの風を供試体に向けて吹き出す送風吹出ノズルで構成し、砂吹込装置を、送風吹出ノズルの内部に同一吹出方向で配される砂吹出ノズルと、砂吹出ノズルに向けて砂を空気搬送する砂搬送機とで構成し、供試体に吹き付けられた風を送風機へと戻す戻り風路の内部に、砂分離偏流ベーンを配設し、砂分離偏流ベーンを、風の流れ方向を変えるベーン本体部と、ベーン本体部で流れ方向が変えられた風の流れを遮るようにベーン本体部に一体的に設けられる衝突板部とにより構成して、戻り風路を介して送風機へと戻される風に含まれる砂を衝突板部に衝突させて分離するようにしたことを特徴とする環境風洞試験装置。
- 砂吹出ノズルを吹出方向に向かって左右に移動させる左右移動機構と、砂吹出ノズルを上下に移動させる上下移動機構とを設けることで、送風吹出ノズルの内部で砂吹出ノズルを上下左右の任意の位置に移動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の環境風洞試験装置。
- 送風機からの風を供試体へと送る送り風路の内部に砂を吹き込む砂吹込装置を設け、送風機で発生させた風が流れる風路の内部に供試体を置いて風を吹き付けるようにした環境風洞試験装置において、送り風路の一部を、送風機からの風を供試体に向けて吹き出す送風吹出ノズルで構成し、砂吹込装置を、送風吹出ノズルの外部に同一吹出方向で並設される砂吹出ノズルと、砂吹出ノズルに向けて砂を空気搬送する砂搬送機とで構成し、供試体に吹き付けられた風を送風機へと戻す戻り風路の内部に、砂分離偏流ベーンを配設し、砂分離偏流ベーンを、風の流れ方向を変えるベーン本体部と、ベーン本体部で流れ方向が変えられた風の流れを遮るようにベーン本体部に一体的に設けられる衝突板部とにより構成して、戻り風路を介して送風機へと戻される風に含まれる砂を衝突板部に衝突させて分離するようにしたことを特徴とする環境風洞試験装置。
- 砂吹出ノズルは、吹出方向に向かって左右に幅広の扁平形状に形成するようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の環境風洞試験装置。
- 砂分離偏流ベーンの衝突板部に衝突させて分離した砂を受け止めて貯留する砂回収ホッパを配設するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の環境風洞試験装置。
- 砂回収ホッパに貯留されている砂を砂搬送機へと搬送する回収砂フィーダを設け、回収砂フィーダから砂搬送機への砂の搬送量を制御することで、砂吹出ノズルからの砂の吹出量を制御するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の環境風洞試験装置。
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