始めに、本発明に係る粘着テープ貼付用治具(以下、治具と称す)は、長い帯状の粘着テープを、湾曲した被貼付面に貼り付ける際に使用する治具となっている。そこで、下記に示した実施形態では、本発明に係る治具を、粘着テープを車両用ドアのドアサッシュ表面に貼り付ける際に使用する治具に適用した場合の4つの例について、実施例1〜4として説明している。
先ず、実施例1に係る治具10について、図1から図3を用いて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、車両用フロントドア6の上部には、窓枠となるドアサッシュ60が形成されており、このドアサッシュ60は、縦フレーム61及び上フレーム62を有している。縦フレーム61は、ドア後部において、ドア上下方向に延設されており、上フレーム62は、ドア上部において、ドア前後方向に延設されている。そして、縦フレーム61の上端と上フレーム62の後端とは、一体的に接続されている。
縦フレーム61の表面(外面)61aは、帯状の長尺な粘着テープ100が貼り付けられる被貼付面となっており、フレーム長手方向及びフレーム幅方向に沿って、フレーム外側に向けて僅かに膨出するように、湾曲している。
なお、粘着テープ100は、テープ本体と、このテープ本体の裏面に粘着剤層を介して設けられる離型紙とから構成されている。また、粘着テープ100の長さは、表面61aの長さと一致するものの、粘着テープ100の幅は、表面61aの幅よりも若干幅広となっている。
これに対して、図1から図3に示すように、治具10は、粘着テープ100を縦フレーム61の表面61aに貼り付ける際に使用されるものであって、縦フレーム61の上端と上フレーム62の後端とがなす内側角部に合致した状態で、縦フレーム61をフレーム幅方向両側から挟持することにより、当該縦フレーム61の上端に取付可能となっている。そして、このような治具10は、矩形薄板状の治具本体11及びスライド部材12,13等から構成されている。
治具本体11の裏面11bは、被貼付面となる表面61aと対向する対向面となっており、その裏面11bには、凹部11cが形成されている。この凹部11cは、粘着テープ100の上端を裏面11bに装着するための窪みとなっており、裏面11bから表面11a側に向けて凹んでいる。
凹部11cの右側部には、係止凹部(治具側係止部)11dが、治具幅方向外側に向けて凹むように形成されている。一方、粘着テープ100の上端右側部には、係止凸部(テープ側係止部)101が、テープ幅方向外側に向けて突出するように形成されている。そして、係止凹部11dと係止凸部101とは、係合可能となっている。即ち、粘着テープ100の上端は、その係止凸部101が係止凹部11dによって係止された状態で、凹部11c内に装着されることになる。これにより、粘着テープ100の凹部11cからの脱落を防止することができる。
ここで、裏面11b、凹部11c、及び、係止凹部11dは、全体として、表面61aの湾曲形状に沿うような湾曲面となっており、表面11a側に向けて僅かに凹むように、湾曲している。そして、凹部11c及び係止凹部11dに亘る一連の輪郭形状は、粘着テープ100の上端を縁取るような形状をなしており、その粘着テープ100の上端形状と一致している。更に、凹部11c及び係止凹部11dの深さは、粘着テープ100から離型紙を剥がしたときに、少なくとも粘着剤層が、凹部11c及び係止凹部11dから突出する程度の深さとなっている。
また、治具本体11の上縁には、切欠部11eが、凹部11cの上部一部分を切り欠くように形成されている。このように、切欠部11eを形成することにより、凹部11c内に装着された粘着テープ100の上辺を、治具本体11の表面11a側から臨むことができる。これにより、粘着テープ100を治具10に装着した状態でも、粘着テープ100の上辺を、縦フレーム61の表面61aに形成されたテープ貼付開始位置(図示省略)に対して、容易に位置合わせすることができる。
更に、裏面11bの治具幅方向両側部には、左右一対のスライド部材12,13がスライド可能に支持されている。
スライド部材12は、裏面11bの上左側部に配置されており、当該裏面11bを表面61aに対向させたときには、縦フレーム61の後縁61cと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材12には、治具幅方向に長径を有する長孔12aが形成されており、治具本体11には、円形の丸孔11fが形成されている。長孔12aと丸孔11fとは、治具厚さ方向において対接しており、これら孔12a,11fには、長孔12a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔12a内のみに収納される。
また、スライド部材12の右側部には、突起部12bが、治具幅方向内側に向けて突出するように形成されている。この突起部12bは、縦フレーム61の後縁61cを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から、押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材12を治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材12を治具幅方向において位置決めすることができる。
一方、スライド部材13は、裏面11bの右側部において治具上下方向全域に亘って配置されており、当該裏面11bを表面61aに対向させたときには、縦フレーム61の前縁61bと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材13には、治具幅方向に長径を有する長孔13aが形成されており、治具本体11には、治具上下方向に長径を有する長孔11gが形成されている。長孔13aと長孔11gとは、治具厚さ方向において対接しており、これら長孔13a,11gには、長孔13a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔13a内のみに収納される。
また、スライド部材13の上部には、摺接面13bが形成されており、この摺接面13bは、上フレーム62の下縁62aに接触した状態で、治具幅方向に摺動可能となっている。更に、スライド部材13の左側部には、押圧面13cが形成されており、この押圧面13cは、縦フレーム61の前縁61bを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材13を治具上下方向及び治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材13を治具上下方向及び治具幅方向において位置決めすることができる。
即ち、スライド部材12,13を、縦フレーム61(表面61a)の幅に応じて、治具幅方向内側に向けて互いに接近するようにスライドさせることにより、縦フレーム61の前縁61b及び後縁61cを、押圧面13c及び突起部12bによって、押圧することができる。これにより、縦フレーム61を、スライド部材12,13によって、フレーム幅方向両側から挟持することができるので、治具10を縦フレーム61の上端に位置決めすることができる。
一方、スライド部材12,13を、治具幅方向外側に向けて互いに離間するようにスライドさせることにより、押圧面13c及び突起部12bを、縦フレーム61の前縁61b及び後縁61cから離脱させることができる。これにより、縦フレーム61の上端に対する治具10の位置決めを解除することができる。
従って、治具10を用いて、粘着テープ100を縦フレーム61の表面61aに貼り付ける場合には、先ず、図3に示すように、治具10の凹部11c内に、粘着テープ100の上端を装着すると共に、その係止凸部101を係止凹部11dによって係止する。
次いで、粘着テープ100を治具10に装着した状態で、その裏面11bを縦フレーム61の表面61aに対向させる。
そして、粘着テープ100の上辺が、表面61aの上端に形成されたテープ貼付開始位置と一致するように、治具10の位置調整を行った後、スライド部材13を治具上下方向にスライドさせて、摺接面13bを上フレーム62の下縁62aに摺接させる。
次いで、図2に示すように、スライド部材12をスライドさせて、突起部12bを縦フレーム61の後縁61cに押圧させる。一方、スライド部材13をスライドさせて、摺接面13bを上フレーム62の下縁62aに摺動させながら、押圧面13cを縦フレーム61の前縁61bに押圧させる。
これにより、治具10は、スライド部材13を、縦フレーム61の前縁61bと上フレーム62の下縁62aとがなす角部に合致させた状態で、縦フレーム61の上端をスライド部材12,13によって挟持することになる。言い換えれば、治具10は、粘着テープ100の位置合わせを維持したまま、縦フレーム61の上端に位置決めされたことになる。
そして、粘着テープ100の本体裏面から、離型紙を剥がした後、この粘着テープ100の本体表面に対して、その上端から下端に向って、スキージ等を押し当てながら、当該粘着テープ100を縦フレーム61の表面61aに貼り付ける。更に、図1に示すように、粘着テープ100のテープ幅方向両側部を、縦フレーム61の前縁61b及び後縁61cの裏面まで回し込んで貼り付けることにより、テープ貼付作業が終了する。
次に、実施例2に係る治具20について、図4から図6を用いて詳細に説明する。
図4及び図5に示すように、車両用リヤドア7の上部には、窓枠となるドアサッシュ70が形成されており、このドアサッシュ70は、前縦フレーム71、後縦フレーム72、及び、上フレーム73を有している。
前縦フレーム71は、ドア前部において、ドア上下方向に延設されており、後縦フレーム72は、ドア後部において、ドア上下方向に延設されている。また、上フレーム73は、ドア上部において、ドア前後方向に延設されており、前縦フレーム71の上端と後縦フレーム72の上端との間を繋いでいる。そして、前縦フレーム71の上端と上フレーム73の前端とは、一体的に接続されており、同様に、後縦フレーム72の上端と上フレーム73の後端とは、一体的に接続されている。
前縦フレーム71の表面(外面)71aは、帯状の長尺な粘着テープ200が貼り付けられる被貼付面となっており、フレーム長手方向及びフレーム幅方向に沿って、フレーム外側に向けて僅かに膨出するように、湾曲している。
なお、粘着テープ200は、テープ本体と、このテープ本体の裏面に粘着剤層を介して設けられる離型紙とから構成されている。また、粘着テープ200の長さは、表面71aの長さと一致するものの、粘着テープ200の幅は、表面71aの幅よりも若干幅広となっている。
これに対して、図4から図6に示すように、治具20は、粘着テープ200を前縦フレーム71の表面71aに貼り付ける際に使用されるものであって、前縦フレーム71の上端と上フレーム73の前端とがなす内側角部に合致した状態で、前縦フレーム71をフレーム幅方向両側から挟持することにより、当該前縦フレーム71の上端に取付可能となっている。そして、このような治具20は、矩形薄板状の治具本体21及びスライド部材22,23等から構成されている。
治具本体21の裏面21bは、被貼付面となる表面71aと対向する対向面となっており、その裏面21bには、凹部21cが形成されている。この凹部21cは、粘着テープ200の上端を裏面21bに装着するための窪みとなっており、裏面21bから表面21a側に向けて凹んでいる。
凹部21cの右側部には、係止凸部(治具側係止部)21dが、治具幅方向内側に向けて突出するように形成されている。一方、粘着テープ200の上端右側部には、係止凹部(テープ側係止部)201が、テープ幅方向内側に向けて凹むように形成されている。そして、係止凸部21dと係止凹部201とは、係合可能となっている。即ち、粘着テープ200の上端は、その係止凸部201が係止凹部21dによって係止された状態で、凹部21c内に装着されることになる。これにより、粘着テープ200の凹部21cからの脱落を防止することができる。
ここで、裏面21b、凹部21c、及び、係止凸部21dは、全体として、表面71aの湾曲形状に沿うような湾曲面となっており、表面21a側に向けて僅かに凹むように、湾曲している。そして、凹部21c及び係止凸部21dに亘る一連の輪郭形状は、粘着テープ200の上端を縁取るような形状をなしており、その粘着テープ200の上端形状と一致している。更に、凹部21c及び係止凸部21dの深さは、粘着テープ200から離型紙を剥がしたときに、少なくとも粘着剤層が、凹部21c及び係止凹部21dから突出する程度の深さとなっている。
また、治具本体21の上縁には、切欠部21eが、凹部21cの上部一部分を切り欠くように形成されている。このように、切欠部21eを形成することにより、凹部21c内に装着された粘着テープ200の上辺を、治具本体21の表面21a側から臨むことができる。これにより、粘着テープ200を治具20に装着した状態でも、粘着テープ200の上辺を、前縦フレーム71の表面71aに形成されたテープ貼付開始位置(図示省略)に対して、容易に位置合わせすることができる。
更に、裏面21bの治具幅方向両側部には、左右一対のスライド部材22,23がスライド可能に支持されている。
スライド部材22は、裏面21bの左側部において治具上下方向全域に亘って配置されており、当該裏面21bを表面71aに対向させたときには、前縦フレーム71の後縁71cと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材22には、治具幅方向に長径を有する長孔22aが形成されており、治具本体21には、治具上下方向に長径を有する長孔21fが形成されている。長孔22aと長孔21fとは、治具厚さ方向において対接しており、これら長孔22a,21fには、長孔22a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔22a内のみに収納される。
また、スライド部材22の上部には、摺接面22bが形成されており、この摺接面22bは、上フレーム73の下縁73aに接触した状態で、治具幅方向に摺動可能となっている。更に、スライド部材22の右側部には、押圧面22cが形成されており、この押圧面22cは、前縦フレーム71の後縁71cを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材22を治具上下方向及び治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材22を治具上下方向及び治具幅方向において位置決めすることができる。
一方、スライド部材23は、裏面21bの上右側部に配置されており、当該裏面21bを表面71aに対向させたときには、前縦フレーム71の前縁71bと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材23には、治具幅方向に長径を有する長孔23aが形成されており、治具本体21には、円形の丸孔21gが形成されている。長孔23aと丸孔21gとは、治具厚さ方向において対接しており、これら孔23a,21gには、長孔23a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔23a内のみに収納される。
また、スライド部材23の左側部には、突起部23bが、治具幅方向内側に向けて突出するように形成されている。この突起部23bは、前縦フレーム71の前縁71bを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から、押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材23を治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材23を治具幅方向において位置決めすることができる。
即ち、スライド部材22,23を、前縦フレーム71(表面71a)の幅に応じて、治具幅方向内側に向けて互いに接近するようにスライドさせることにより、前縦フレーム71の前縁71b及び後縁71cを、押圧面22c及び突起部23bによって、押圧することができる。これにより、前縦フレーム71を、スライド部材22,23によって、フレーム幅方向両側から挟持することができるので、治具10を前縦フレーム71の上端に位置決めすることができる。
一方、スライド部材22,23を、治具幅方向外側に向けて互いに離間するようにスライドさせることにより、押圧面22c及び突起部23bを、前縦フレーム71の前縁71b及び後縁71cから離脱させることができる。これにより、前縦フレーム71の上端に対する治具20の位置決めを解除することができる。
従って、治具20を用いて、粘着テープ200を前縦フレーム71の表面71aに貼り付ける場合には、先ず、図6に示すように、治具20の凹部21c内に、粘着テープ200の上端を装着すると共に、その係止凸部201を係止凹部21dによって係止する。
次いで、粘着テープ200を治具20に装着した状態で、その裏面21bを前縦フレーム71の表面71aに対向させる。
そして、粘着テープ200の上辺が、表面71aの上端に形成されたテープ貼付開始位置と一致するように、治具20の位置調整を行った後、スライド部材22を治具上下方向にスライドさせて、摺接面22bを上フレーム73の下縁73aに摺接させる。
次いで、図5に示すように、スライド部材22をスライドさせて、摺接面22bを上フレーム73の下縁73aに摺動させながら、押圧面22cを前縦フレーム71の後縁71cに押圧させる。一方、スライド部材23をスライドさせて、突起部23bを前縦フレーム71の前縁71bに押圧させる。
これにより、治具20は、スライド部材22を、前縦フレーム71の後縁71cと上フレーム73の下縁73aとがなす角部に合致させた状態で、前縦フレーム71の上端をスライド部材22,23によって挟持することになる。言い換えれば、治具10は、粘着テープ200の位置合わせを維持したまま、前縦フレーム71の上端に位置決めされたことになる。
そして、粘着テープ200の本体裏面から、離型紙を剥がした後、この粘着テープ200の本体表面に対して、その上端から下端に向って、スキージ等を押し当てながら、当該粘着テープ200を前縦フレーム71の表面71aに貼り付ける。更に、図4に示すように、粘着テープ200のテープ幅方向両側部を、前縦フレーム71の前縁71b及び後縁71cの裏面まで回し込んで貼り付けることにより、テープ貼付作業が終了する。
次に、実施例3に係る治具30について、図4、図7、図8を用いて詳細に説明する。
図4に示すように、後縦フレーム72の表面(外面)72aは、帯状の長尺な粘着テープ300が貼り付けられる被貼付面となっており、フレーム長手方向及びフレーム幅方向に沿って、フレーム外側に向けて僅かに膨出するように、湾曲している。
なお、粘着テープ300は、テープ本体と、このテープ本体の裏面に粘着剤層を介して設けられる離型紙とから構成されている。また、粘着テープ300の長さは、表面72aの長さと一致するものの、粘着テープ300の幅は、表面72aの幅よりも若干幅広となっている。
これに対して、図4、図7、図8に示すように、治具30は、粘着テープ300を後縦フレーム72の表面72aに貼り付ける際に使用されるものであって、後縦フレーム72の上端と上フレーム73の後端とがなす内側角部に合致した状態で、後縦フレーム72をフレーム幅方向両側から挟持することにより、当該後縦フレーム72の上端に取付可能となっている。そして、このような治具30は、矩形薄板状の治具本体31及びスライド部材32,33等から構成されている。
治具本体31の裏面31bは、被貼付面となる表面72aと対向する対向面となっており、その裏面31bには、凹部31cが形成されている。この凹部31cは、粘着テープ300の上端を裏面31bに装着するための窪みとなっており、裏面31bから表面31a側に向けて凹んでいる。
凹部31cの左側部には、係止凹部(治具側係止部)31dが、治具幅方向外側に向けて凹むように形成されている。一方、粘着テープ300の上端左側部には、係止凸部(テープ側係止部)301が、テープ幅方向外側に向けて突出するように形成されている。そして、係止凹部31dと係止凸部301とは、係合可能となっている。即ち、粘着テープ300の上端は、その係止凸部301が係止凹部31dによって係止された状態で、凹部31c内に装着されることになる。これにより、粘着テープ300の凹部31cからの脱落を防止することができる。
ここで、裏面31b、凹部31c、及び、係止凹部31dは、全体として、表面72aの湾曲形状に沿うような湾曲面となっており、表面31a側に向けて僅かに凹むように、湾曲している。そして、凹部31c及び係止凹部31dに亘る一連の輪郭形状は、粘着テープ300の上端を縁取るような形状をなしており、その粘着テープ300の上端形状と一致している。更に、凹部31c及び係止凹部31dの深さは、粘着テープ300から離型紙を剥がしたときに、少なくとも粘着剤層が、凹部31c及び係止凹部31dから突出する程度の深さとなっている。
また、治具本体31の上縁には、切欠部31eが、凹部31cの上部一部分を切り欠くように形成されている。このように、切欠部31eを形成することにより、凹部31c内に装着された粘着テープ300の上辺を、治具本体31の表面31a側から臨むことができる。これにより、粘着テープ300を治具30に装着した状態でも、粘着テープ300の上辺を、後縦フレーム72の表面72aに形成されたテープ貼付開始位置(図示省略)に対して、容易に位置合わせすることができる。
更に、裏面31bの治具幅方向両側部には、左右一対のスライド部材32,33がスライド可能に支持されている。
スライド部材32は、裏面31bの上左側部に配置されており、当該裏面31bを表面72aに対向させたときには、後縦フレーム72の後縁72cと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材32には、治具幅方向に長径を有する長孔32aが形成されており、治具本体31には、円形の丸孔31fが形成されている。長孔32aと丸孔31fとは、治具厚さ方向において対接しており、これら孔32a,31fには、長孔32a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔32a内のみに収納される。
また、スライド部材32の右側部には、突起部32bが、治具幅方向内側に向けて突出するように形成されている。この突起部33bは、後縦フレーム72の後縁72cを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から、押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材32を治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材32を治具幅方向において位置決めすることができる。
一方、スライド部材33は、裏面31bの右側部において治具上下方向全域に亘って配置されており、当該裏面11bを表面72aに対向させたときには、後縦フレーム72の前縁72bと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材33には、治具幅方向に長径を有する長孔33aが形成されており、治具本体31には、治具上下方向に長径を有する長孔31gが形成されている。長孔33aと長孔31gとは、治具厚さ方向において対接しており、これら長孔33a,31gには、長孔33a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔33a内のみに収納される。
また、スライド部材33の上部には、摺接面33bが形成されており、この摺接面33bは、上フレーム73の下縁73aに接触した状態で、治具幅方向に摺動可能となっている。更に、スライド部材33の左側部には、押圧面33cが形成されており、この押圧面33cは、後縦フレーム72の前縁72bを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材33を治具上下方向及び治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材33を治具上下方向及び治具幅方向において位置決めすることができる。
即ち、スライド部材32,33を、後縦フレーム72(表面72a)の幅に応じて、治具幅方向内側に向けて互いに接近するようにスライドさせることにより、後縦フレーム72の前縁72b及び後縁72cを、押圧面33c及び突起部32bによって、押圧することができる。これにより、後縦フレーム72を、スライド部材32,33によって、フレーム幅方向両側から挟持することができるので、治具30を後縦フレーム72の上端に位置決めすることができる。
一方、スライド部材32,33を、治具幅方向外側に向けて互いに離間するようにスライドさせることにより、押圧面33c及び突起部32bを、後縦フレーム72の前縁72b及び後縁72cから離脱させることができる。これにより、後縦フレーム72の上端に対する治具30の位置決めを解除することができる。
従って、治具30を用いて、粘着テープ300を後縦フレーム72の表面72aに貼り付ける場合には、先ず、図8に示すように、治具30の凹部31c内に、粘着テープ300の上端を装着すると共に、その係止凸部301を係止凹部31dによって係止する。
次いで、粘着テープ300を治具30に装着した状態で、その裏面31bを後縦フレーム72の表面72aに対向させる。
そして、粘着テープ300の上辺が、表面72aの上端に形成されたテープ貼付開始位置と一致するように、治具30の位置調整を行った後、スライド部材33を治具上下方向にスライドさせて、摺接面33bを上フレーム73の下縁73aに摺接させる。
次いで、図7に示すように、スライド部材32をスライドさせて、突起部32bを後縦フレーム72の後縁72cに押圧させる。一方、スライド部材33をスライドさせて、摺接面33bを上フレーム73の下縁73aに摺動させながら、押圧面33cを後縦フレーム72の前縁72bに押圧させる。
これにより、治具30は、スライド部材33を、後縦フレーム72の前縁72bと上フレーム73の下縁73aとがなす角部に合致させた状態で、後縦フレーム52の上端をスライド部材32,33によって挟持することになる。言い換えれば、治具30は、粘着テープ300の位置合わせを維持したまま、後縦フレーム72の上端に位置決めされたことになる。
そして、粘着テープ300の本体裏面から、離型紙を剥がした後、この粘着テープ300の本体表面に対して、その上端から下端に向って、スキージ等を押し当てながら、当該粘着テープ300を後縦フレーム72の表面72aに貼り付ける。更に、図4に示すように、粘着テープ300のテープ幅方向両側部を、後縦フレーム72の前縁72b及び後縁72cの裏面まで回し込んで貼り付けることにより、テープ貼付作業が終了する。
次に、実施例4に係る治具40の構成について、図4、図9から図11を用いて詳細に説明する。
なお、上述した実施例3に係る治具30においては、後縦フレーム72の上端に位置決めされることにより、テープ貼付方向を、後縦フレーム72の上端から下端に向かう方向としているが、この実施例4に係る治具40においては、後縦フレーム72の下端に位置決めされることにより、テープ貼付方向を、後縦フレーム72の下端から上端に向かう方向としている。つまり、治具40によるテープ貼付方向は、治具10,20,30によるテープ貼付方向とは、逆方向となっている。
図4、図9、図10に示すように、車両用リヤドア7は、ドア本体80と、このドア本体80の上部に形成される上記ドアサッシュ70とから構成されている。
また、図9から図11に示すように、治具40は、粘着テープ300を後縦フレーム72の表面72aに貼り付ける際に使用されるものであって、後縦フレーム72の下端とドア本体80の上端とがなす内側角部に合致した状態で、ドア本体80に差し込まれることにより、後縦フレーム72の下端に取付可能となっている。そして、このような治具40は、矩形薄板状の治具本体41、スライド部材42、着座部材43、及び、差込部材44等からから構成されている。
治具本体41の裏面41bは、被貼付面となる表面72aと対向する対向面となっており、その裏面41bには、凹部41cが形成されている。この凹部41cは、粘着テープ300の下端を裏面41bに装着するための窪みとなっており、裏面41bから表面41a側に向けて凹んでいる。
ここで、裏面41b及び凹部41cは、全体として、表面72aの湾曲形状に沿うような湾曲面となっており、表面41a側に向けて僅かに凹むように、湾曲している。そして、凹部41cの輪郭形状は、粘着テープ300の下端を縁取るような形状をなしており、その粘着テープ300の下端形状と一致している。更に、凹部41cの深さは、粘着テープ300から離型紙を剥がしたときに、少なくとも粘着剤層が、凹部41cから突出する程度の深さとなっている。
裏面41の治具幅方向右側部には、スライド部材42が、治具幅方向においてスライド可能に支持されている。このスライド部材42は、裏面41bの右側部において治具上下方向全域に亘って配置されており、当該裏面41bを表面72aに対向させたときには、後縦フレーム72の前縁72bと治具幅方向(フレーム幅方向)において対向するようになっている。
そして、スライド部材42には、治具幅方向に長径を有する長孔42aが形成されており、治具本体41には、円形の丸孔41dが形成されている。長孔42aと丸孔41dとは、治具厚さ方向において対接しており、これら孔42a,41dには、長孔42a側から、ボルト(図示省略)が挿入されている。このとき、挿入されたボルトの頭部は、長孔42a内のみに収納される。
更に、スライド部材42の左側部には、押圧面42bが形成されており、この押圧面42bは、後縦フレーム72の前縁72bを、治具幅方向外側(フレーム幅方向外側)から押圧可能となっている。
よって、ボルトを緩めることにより、スライド部材42を治具幅方向にスライドさせることができる。また、ボルトを締め付けることにより、スライド部材42を治具幅方向において位置決めすることができる。つまり、スライド部材42を、後縦フレーム72(表面72a)の幅に応じて、治具幅方向内側に向けてスライドさせることにより、後縦フレーム72の前縁72bを、押圧面42bによって、押圧することができる。
また、治具本体41の下端面41eにおける右側部には、着座部材43が設けられている。この着座部材43は、ドア本体80の上縁80aに着座可能となっている。
更に、治具本体41の表面41aにおける下部には、差込部材(治具側係止部)44が設けられている。この差込部材44の先端44aは、表面41a側から裏面41b側に向けて、下端面41eを跨ぐように裏面41bを十分に越えるまで延びている。
これに対して、後縦フレーム72の下端と接続するドア本体80の上縁80aには、モール用差込孔80bが形成されている。このモール用差込孔80bには、車両完成時に、車体外観の見栄え向上や車体表面の傷付き防止のためのモール部品(図示省略)が、差し込まれるようになっている。
そこで、治具40によって粘着テープ300を貼り付ける際には、モール部品をモール用差込孔80bに差し込んでおく必要が無いため、そのモール用差込孔80bに差込部材44の先端44aを差し込むようにしている。
一方、粘着テープ300の下端には、係止凹部(テープ側係止部)302が、テープ長手方向内側に向けて凹むように形成されている。そして、差込部材44の先端44aと係止凹部302とは、係合可能となっている。即ち、粘着テープ300の下端は、その係止凹部302が差込部材44によって係止された状態で、凹部41c内に装着されることになる。これにより、粘着テープ300の凹部41cからの脱落を防止することができる。
即ち、後縦フレーム72の前縁72bを、スライド部材42の押圧面42によって押圧すると共に、差込部材44の先端44aを、モール用差込孔80bに差し込むことにより、治具40を後縦フレーム72の下端に位置決めすることができる。このとき、差し込んだ先端44aは、治具40の位置決め用として使用されるだけでなく、粘着テープ300の脱落防止用の係合凸部として使用される。
従って、治具40を用いて、粘着テープ300を後縦フレーム72の表面72aに貼り付ける場合には、先ず、図11(a),(b)に示すように、治具40の凹部41c内に、粘着テープ300の下端を装着すると共に、その係止凹部302を差込部材44の先端44aによって係止する。
次いで、粘着テープ300を治具40に装着した状態で、その裏面41bを後縦フレーム72の表面72aに対向させる。
そして、粘着テープ300の下辺が、表面72aの下端に形成されたテープ貼付開始位置と一致するように、治具30の位置調整を行った後、着座部材43をドア本体80の上縁80aに着座させる。
次いで、図10に示すように、スライド部材42をスライドさせて、押圧面42bを後縦フレーム72の前縁72bに押圧させると共に、差込部材44の先端44aを、ドア本体80のモール用差込孔80bに差し込む。
これにより、治具40は、スライド部材42を、後縦フレーム72の前縁72bとドア本体80の上縁80aとがなす角部に合致させた状態で、差込部材44の先端44aをドア本体80のモール用差込孔80bに差し込むことになる。言い換えれば、治具40は、粘着テープ300の位置合わせを維持したまま、後縦フレーム72の下端に位置決めされたことになる。
そして、粘着テープ300の本体裏面から、離型紙を剥がした後、この粘着テープ300の本体表面に対して、その下端から上端に向って、スキージ等を押し当てながら、当該粘着テープ300を後縦フレーム72の表面72aに貼り付ける。更に、図9に示すように、粘着テープ300のテープ幅方向両側部を、後縦フレーム72の前縁72b及び後縁72cの裏面まで回し込んで貼り付けることにより、テープ貼付作業が終了する。
以上より、本発明に係る粘着テープ貼付用治具によれば、被貼付面となる表面61a,71a,72aと対向する裏面11b,21b、31bに、粘着テープ100,200,300を装着すると共に、その裏面100,200,300を表面61a,71a,72aの湾曲形状に沿うような湾曲面としている。これにより、粘着テープ100,200,300と表面61a,71a,72aとの間の隙間を、小さくすることができるので、その隙間への異物の侵入や、粘着テープ100,200,300の表面61a,71a,72に対する位置ずれを抑えることができる。よって、粘着テープ100,200,300の貼付不良の発生を防止することができる。
また、凹部11c,21c,31c,41cを形成することにより、粘着テープ100,200,300を治具本体11,21,31,41に容易に装着することができる。しかも、粘着テープ100,200,300にテープ側係止部101,201,301,302を形成し、これらテープ側係止部101,201,301,302を係止するための治具側係止部11d,21d,31d,44aを設けることにより、装着した粘着テープ100,200,300の脱落防止を図ることができる。
更に、切欠部11e,21e,31eを治具本体11,21,31に形成して、粘着テープ100,200,300の上辺を、表面11a,21a,31a側から臨むようにしたことにより、粘着テープ100,200,300の表面61a,71a,72に対する位置合わせを、容易に行うことができる。
また更に、フレーム61,71,72を、スライド部材12,13,22,23,32,33によって挟持することにより、治具本体11,21,31のフレーム61,71,72(表面61a,71a,72a)に対する位置決めを、容易に行うことができる。同様に、差込部材44をドア本体80のモール用差込孔80bに差し込むことにより、治具本体41のフレーム72(表面72a)に対する位置決めを、容易に行うことができる。