本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2にそれぞれ示すインクジェット記録装置10の相違は、ベルト搬送装置40が備える移動部50である。従って、移動部50を除く構成については、共通した説明とする。図1及び図2にそれぞれ示すインクジェット記録装置10が備える各部に対する符号について、同一又は対応する各構成には、同じ符号を用いる。
インクジェット記録装置10では、搬送対象物としての記録媒体15が搬送され、記録媒体15に画像が記録される。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体15を対象として画像が記録される。記録媒体15としては、例えば、布帛又は建築用資材が挙げられる。実施形態では、記録媒体15が長尺の布帛である場合を例示している。画像の記録に用いられるインク色は、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色とする。インク色は、これら以外の色であってもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
インクジェット記録装置10は、図1及び図2に示すように、吐出装置20と、主走査装置30と、ベルト搬送装置40と、制御装置80を備える。以下、これら各装置と、インクジェット記録装置10で実行される記録方法の一例について、説明する。
実施形態では、ベルト搬送装置40によって記録媒体15が搬送される方向を「第一方向」という。第一方向は、長尺の記録媒体15の長手方向に沿った方向である。第一方向に直交する方向を「第二方向」という。第二方向は、長尺の記録媒体15の短手方向に沿った方向である。第二方向は、「主走査方向」と称されることもある。第一方向に関し、説明の便宜上、第一方向の下流側を「第一側」といい、第一方向の上流側を「第二側」という。第二方向に関し、説明の便宜上、第一方向に向かって右側を「第三側」といい、第一方向に向かって左側を「第四側」という。
<吐出装置>
吐出装置20は、図1及び図2に示すように、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cと、キャリッジ22を備える。インクジェットヘッド21Kは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド21Mは、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド21Yは、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド21Cは、シアンインクを吐出するインクジェットヘッドである。
インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cは、構造的には、同一のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cには、公知のインクジェットヘッドと同様、対応する色のインクを吐出するノズルが複数形成される。インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cにおいて、複数のノズルは、第一方向に配列される。インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cのそれぞれでは、第一方向に配列された複数のノズルによるノズル列を、第二方向に複数列形成するようにしてもよい。例えば、複数のノズルを、千鳥状に配置してもよい。
インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cによれば、フルカラーの画像を、記録媒体15に記録することができる。図1及び図2で、第一方向の第一側に図示された記録媒体15の部分に付した模様は、記録媒体15に記録された画像に対応する。各色のインクは、色毎のインクタンクに貯留され、各色用のインク流路を流れて、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cにそれぞれ供給される。図1及び図2では、各色用のインクタンクと各色用のインク流路の図示は、省略されている。
キャリッジ22には、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cが所定の位置に位置決めされた状態でそれぞれ搭載される。インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cは、図1及び図2に示すように、第二方向に隣り合った状態でキャリッジ22に搭載される。第二方向におけるインクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cの配列順序は、図1とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
<主走査装置>
主走査装置30は、吐出装置20を第二方向に往復移動させる。主走査装置30は、図1及び図2に示すように、2個のプーリ31,32と、タイミングベルト33と、第三駆動部34を備える。プーリ31は、ベルト搬送装置40を基準として、第二方向の第四側に設けられる。プーリ32は、ベルト搬送装置40を基準として、第二方向の第三側に設けられる。プーリ32は、回転自在に支持される。タイミングベルト33は、張力が作用した状態でプーリ31,32に架け渡される。第三駆動部34は、モータである。第三駆動部34として採用されるモータとしては、例えば、エンコーダ付のサーボモータが挙げられる。第三駆動部34は、プーリ31に連結される。第三駆動部34は、プーリ31を回転させる。図1及び図2で、プーリ31の内部に示す弧状の矢印は、プーリ31の回転方向を示す。タイミングベルト33には、キャリッジ22に固定された支持部23を介して吐出装置20が取り付けられる。
<ベルト搬送装置>
ベルト搬送装置40は、記録媒体15を搬送する。ベルト搬送装置40は、ベルトコンベアを含む。ベルト搬送装置40によって搬送される記録媒体15は、第二方向に往復移動する吐出装置20を通過する。ベルト搬送装置40による記録媒体15の搬送は、吐出装置20の第二方向への往復移動に対応させたタイミングで、間欠的に行われる。ベルト搬送装置40は、図1及び図2に示すように、第一ローラ41と、第二ローラ42と、無端ベルト43と、第一駆動部44と、検出器45と、移動部50を備える。
第一ローラ41は、第二方向に往復移動する吐出装置20より、第一方向の第一側に設けられる。第二ローラ42は、第二方向に往復移動する吐出装置20より、第一方向の第二側に設けられる。無端ベルト43は、環状のベルトである。第二方向は、無端ベルト43の幅方向に一致する。無端ベルト43は、第一ローラ41と第二ローラ42に、張力が作用した状態で架け渡される。無端ベルト43では、内周面が、第一ローラ41の外周面と第二ローラ42の外周面に接する。無端ベルト43が第一ローラ41と第二ローラ42に架け渡された状態において、無端ベルト43の外周面は、第一ローラ41と第二ローラ42の間で、水平な状態となる。
第一駆動部44は、モータである。第一駆動部44として採用されるモータとしては、例えば、エンコーダ付のサーボモータが挙げられる。第一駆動部44は、第一ローラ41に連結される。第一駆動部44は、第一ローラ41を第一方向に対応する方向に回転させる。無端ベルト43は、第一ローラ41の回転に伴い、第一方向に対応する方向に回転する。第二ローラ42は、無端ベルト43の回転に従動して、第一方向に対応する方向に回転する。図1及び図2で、第一ローラ41の内部に示す弧状の矢印は、第一ローラ41の回転方向を示す。
第一駆動部44による第一ローラ41の回転は、間欠的に行われる。1回の動作における第一ローラ41の回転量は、基準量Lに対応する量とされる。基準量Lは、第二方向の第三側から第四側又は第四側から第三側への吐出装置20の1回の移動に対応させて、記録媒体15を第一方向に搬送させる量である。基準量Lは、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cにおいて、複数のノズルが配置された第一方向の領域に応じた値とされる。基準量Lは、記録される画像の解像度に応じて変化される。基準量Lは、インクジェット記録装置10と同じタイプの公知のインクジェット記録装置でも適宜設定される。インクジェット記録装置10では、公知のインクジェット記録装置と同様にして、基準量Lが適宜設定される。第一駆動部44によって第一ローラ41が基準量Lに対応する量だけ回転したとする。この場合、無端ベルト43は、第一駆動部44による第一ローラ41の回転に従動して回転し、第一ローラ41と第二ローラ42の間を、第一方向に基準量Lだけ移動する。これに伴い、ベルト搬送装置40では、記録媒体15が、第一方向に基準量Lだけ間欠的に搬送される。第一ローラ41と第二ローラ42の間を第一方向に移動する無端ベルト43の部分は、外周面に記録媒体15が載せ置かれる無端ベルト43の領域である。
ベルト搬送装置40において、検出器45と移動部50は、第二方向の第三側に設けられる。即ち、検出器45と移動部50は、検出器45が移動部50に取り付けられた状態で、第二方向の第三側に設けられた所定の架台70に設けられる。検出器45は、第二方向の第三側で、無端ベルト43の端部の第二方向の位置を検出する変位センサである。検出器45の検出対象となる無端ベルト43の端部は、第二方向の第三側の端部である。検出器45は、検出値を出力する。検出器45が出力する検出値は、第二方向の第三側における、無端ベルト43の端部の位置に対応する位置情報である。
検出器45は、第一方向の所定の位置と、この位置から第一方向に基準量Lだけ離間した位置で、検出値を出力する。実施形態では、これら2つの位置のうち、第一方向の第一側となる位置を「第一位置P1」といい、第一方向の第二側となる位置を「第二位置P2」という。第一位置P1は、第二位置P2から第一方向に基準量Lだけ離間した位置である。検出器45は、第二位置P2と第一位置P1の他、第二位置P2と第一位置P1の間の所定の位置で、検出値を出力するようにしてもよい。検出器45は、第二位置P2と第一位置P1の間で、連続して検出値を出力するようにしてもよい。
第二位置P2は、例えば、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cにおいて、複数のノズルが配置された第一方向の所定の位置に設定される。前述の所定の位置としては、例えば、第一方向において最も第二側に配置されたノズルの位置が挙げられる。但し、第二位置P2は、ノズルが配置されていない位置であってもよい。更に、第二位置P2は、第一方向において最も第一側に配置されたノズルの位置、又は、第一方向において最も第二側に配置されたノズルと、第一方向において最も第一側に配置されたノズルの位置の間の位置であってもよい。第二位置P2は、諸条件を考慮して適宜設定される。
検出器45としては、例えば、公知の接触式の変位センサを採用することができる。この場合、検出器45は、第二方向の第三側で、無端ベルト43の端部に接触する。但し、検出器45は、公知の非接触式の変位センサとしてもよい。
移動部50は、検出器45を、第一方向に基準量Lだけ移動させる。更に、移動部50は、検出器45を、第一方向と反対の方向に基準量Lだけ移動させる。移動部50による検出器45の移動は、第一ローラ41と第二ローラ42の間を、第一方向に基準量Lだけ移動する無端ベルト43の移動に対応させて行われる。実施形態では、移動部50について、2つの実施例を説明する。図1及び図2で、2点鎖線で示す検出器45等は、実線で示す第二位置P2に配置された検出器45が、第一方向に基準量Lだけ移動し、第一位置P1に到達した状態における検出器等を示している。
<第一実施例の移動部>
第一実施例の移動部50について、図1を参照して説明する。移動部50は、移動機構51と、第二駆動部60を備える。移動機構51は、ボールねじ52と、リニアガイド55,56と、移動体59を備える。
ボールねじ52は、ねじ軸53が第一方向に沿った状態で設けられる。従って、ボールねじ52では、ナット部54は、ねじ軸53の回転に応じて、第一方向と第一方向と反対の方向に移動する。リニアガイド55は、ボールねじ52のねじ軸53を基準として、第二方向の第三側に設けられる。リニアガイド56は、ボールねじ52のねじ軸53を基準として、第二方向の第四側に設けられる。リニアガイド55,56では、ガイドレール57が、第一方向に沿った状態で、架台70に設けられる。従って、リニアガイド55,56では、ブロック58は、ガイドレール57の上を、第一方向と第一方向と反対の方向に移動する。ボールねじ52とリニアガイド55,56は、公知の機械部品である。そのため、ボールねじ52とリニアガイド55,56の構造等に関する説明は省略する。
移動体59には、検出器45が取り付けられる。移動体59は、ボールねじ52のナット部54に取り付けられる。更に、移動体59は、リニアガイド55のブロック58と、リニアガイド56のブロック58に、それぞれ取り付けられる。
第二駆動部60は、モータである。第二駆動部60として採用されるモータとしては、例えば、エンコーダ付のサーボモータが挙げられる。第二駆動部60は、ねじ軸53に連結される。第二駆動部60は、ねじ軸53を回転させる。図1で、第二駆動部60の近傍に示す弧状の矢印は、第二駆動部60によるねじ軸53の回転方向を示す。第二駆動部60によって、ねじ軸53が所定の方向に回転すると、ナット部54は、第一方向に移動する。移動体59は、ナット部54の第一方向への移動に伴い、第一方向に、ナット部54と同じ量だけ移動する。換言すれば、移動体59に取り付けられた検出器45は、ナット部54の第一方向への移動に伴い、第一方向に、ナット部54と同じ量だけ移動する。第二駆動部60は、ナット部54が第一方向に基準量Lだけ移動する量、ねじ軸53を回転させる。
第二駆動部60によって、ねじ軸53が上述した所定の方向とは反対の方向に回転すると、ナット部54は、第一方向と反対の方向に移動する。移動体59は、ナット部54の第一方向と反対の方向への移動に伴い、第一方向と反対の方向に、ナット部54と同じ量だけ移動する。換言すれば、移動体59に取り付けられた検出器45は、ナット部54の第一方向と反対の方向への移動に伴い、第一方向と反対の方向に、ナット部54と同じ量だけ移動する。第二駆動部60は、ナット部54が第一方向と反対の方向に基準量Lだけ移動する量、ねじ軸53を回転させる。即ち、検出器45は、第二位置P2と第一位置P1の間を往復移動する。検出器45の移動は、リニアガイド55,56によってガイドされる。
<第二実施例の移動部>
第二実施例の移動部50について、図2を参照して説明する。この説明では、第一実施例の移動部50と同一の構成、又は同様の内容に関する説明は、省略し、又は簡略化する。移動部50は、第一実施例の移動部50と同様、移動機構51と、第二駆動部60を備える。移動機構51は、ガイド機構63,64と、移動体59を備える。
ガイド機構63は、後述する第二駆動部60のロッド62を基準として、第二方向の第三側に設けられる。ガイド機構64は、前述のロッド62を基準として、第二方向の第四側に設けられる。ガイド機構63,64のそれぞれは、シャフト65と、リニアブッシュ66を備える。ガイド機構63,64では、シャフト65が、第一方向に沿った状態で、架台70の上方に支持される。リニアブッシュ66は、シャフト65に挿入される。従って、ガイド機構63,64では、リニアブッシュ66は、シャフト65に沿って、第一方向と第一方向と反対の方向に移動する。リニアブッシュ66は、公知の機械部品である。そのため、リニアブッシュ66の構造等に関する説明は省略する。
移動体59は、検出器45が取り付けられた状態で、ガイド機構63のリニアブッシュ66と、ガイド機構64のリニアブッシュ66に、それぞれ取り付けられる。第二駆動部60は、アクチュエータである。第二駆動部60として採用されるアクチュエータとしては、例えば、図2に示すような、エアシリンダが挙げられる。第二駆動部60は、移動体59に連結される。検出器45が取り付けられた移動体59の第一方向と第一方向と反対の方向への移動は、エアシリンダによる第二駆動部60のロッド62の伸縮によって実現される。移動体59の移動量は、第二駆動部60のロッド62の伸縮に一致する。
第二駆動部60は、検出器45の第一方向における位置が第二位置P2である場合、ロッド62を、第一方向に基準量Lだけ伸長させる。第二駆動部60は、検出器45の第一方向における位置が第一位置P1である場合、ロッド62を、第一方向と反対の方向に基準量Lだけ収縮させる。即ち、検出器45は、第二位置P2と第一位置P1の間を往復移動する。検出器45の移動は、ガイド機構63,64によってガイドされる。
ガイド機構63,64のそれぞれにおいて、リニアブッシュ66に挿入されるシャフト65の第一方向の第一側と第二側の所定の位置に、位置決め用の拘束具を取り付けるようにしてもよい。検出器45が第一方向に移動する際、リニアブッシュ66が、第一方向の第一側に取り付けられた位置決め用の拘束具に接触する。これに伴い、移動体59の第一方向への移動は、停止する。検出器45が第一位置P1に配置される。検出器45が第一方向と反対の方向に移動する際、リニアブッシュ66が、第一方向の第二側に取り付けられた位置決め用の拘束具に接触する。これに伴い、移動体59の第一方向と反対の方向への移動は、停止する。検出器45が、第二位置P2に配置される。位置決め用の拘束具としては、例えば、公知のセットカラーが挙げられる。この他、例えば、ガイド機構63,64のそれぞれに対応させて、架台70に、位置決め用の部材を各2個、固定するようにしてもよい。前述したような、移動体59の第一方向への移動又は移動体59の第一方向と反対の方向への移動は、移動体59と位置決め用の拘束具又は部材の接触によって停止するようにしてもよい。このような構成によれば、第二駆動部60のロッド62の伸縮を、第二位置P2と第一位置P1に対応する範囲で停止させることができる。図2では、前述した位置決め用の拘束部及び部材の図示は、省略されている。
<制御装置>
制御装置80は、接続インターフェース81と、制御部82を備える。実施形態では、接続インターフェース81を「接続I/F81」と記載する。接続I/F81は、制御装置80に所定の外部装置を接続するインターフェースである。例えば、接続I/F81には、検出器45が、信号ケーブルを介して接続される。図1では、信号ケーブルの図示は、省略されている。制御部82は、演算処理を実行し、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理を制御する。例えば、制御部82は、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cからのインクの吐出を制御する。この他、制御部82は、移動部50による検出器45の移動を制御する。即ち、制御部82は、第二駆動部60の駆動を制御する。
<記録方法>
記録方法について、説明する。記録方法は、記録媒体15に画像を記録する場合に、インクジェット記録装置10で実行される。記録方法は、次のようにして開始される。即ち、記録方法は、画像の記録の開始指令が制御装置80に入力され、制御部82がこれを取得したタイミングで開始される。記録方法を開始させた制御部82は、主走査装置30とベルト搬送装置40を制御する。これに伴い、主走査装置30とベルト搬送装置40は、次のように動作する。即ち、主走査装置30において、プーリ31に連結された第三駆動部34が時計回りと反時計回りに往復して回転する。第三駆動部34の回転に伴い、プーリ31が左右両側に往復して回転する。第三駆動部34が所定の方向に回転することでプーリ31が左回転すると、タイミングベルト33も左回転する。プーリ32は、左回転するタイミングベルト33に従動して回転する。これに伴い、吐出装置20は、第二方向の第三側から第四側に移動する。吐出装置20が第二方向の第四側の移動端に到達すると、第三駆動部34の回転方向は反転し、プーリ31は、右回転する。プーリ31が右回転すると、タイミングベルト33も右回転する。プーリ32は、右回転するタイミングベルト33に従動して回転する。これに伴い、吐出装置20は、第二方向の第四側から第三側に移動する。吐出装置20が第二方向の第四側の移動端に到達すると、第三駆動部34の回転方向は再度反転し、プーリ31は、再度左回転する。
ベルト搬送装置40は、上述した吐出装置20の第二方向への往復移動に対応させて、記録媒体15を第一方向に搬送する。即ち、ベルト搬送装置40による記録媒体15の搬送は、吐出装置20が第二方向の第四側の移動端に到達し、所定期間停止しているタイミングと、吐出装置20が第二方向の第三側の移動端に到達し、所定期間停止しているタイミングに合わせて、間欠的に行われる。制御部82は、前述した各タイミングに合わせて、第一ローラ41の回転量が基準量Lに対応する量となる、第一駆動部44の回転を制御する。各色のインクは、吐出装置20が第二方向の第三側から第四側に移動している所定のタイミングと、吐出装置20が第二方向の第四側から第三側に移動している所定のタイミングで、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cから、記録媒体15に向けて吐出される。インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cから吐出された各色のインクは、記録媒体15に着弾する。着弾した各色のインクにより記録媒体15に画像が記録される。
制御部82は、上述したような各制御を実行しつつ、第二駆動部60を制御する。検出器45が、第二位置P2に配置されているとする。制御部82は、第一駆動部44と同期させた状態、又は第一駆動部44が停止している状態で、第二駆動部60の駆動を開始させ、移動体59を、第一方向に基準量Lだけ移動させる。検出器45は、第一位置P1に配置される。その後、制御部82は、第一駆動部44が停止している状態で、第二駆動部60の駆動を開始させ、移動体59を、第一方向と反対の方向に基準量Lだけ移動させる。検出器45は、少なくとも第二位置P2と第一位置P1で、検出値を出力する。
制御部82は、検出器45から出力された検出値を、接続I/F81を介して取得する。制御部82は、取得された検出値から、変位量を取得する。変位量は、無端ベルト43が第一方向に移動した場合における、無端ベルト43の第二方向の第三側の端部の位置の第二方向のずれ量である。この変位量は、無端ベルト43が第二方向に蛇行又は斜行する量(蛇行量又は斜行量)に対応する。実施形態では、制御部82は、第二位置P2で検出器45から出力された検出値と、第一位置P1で検出器45から出力された検出値の差分を、変位量として取得する。このようにして取得される変位量は、無端ベルト43が第一方向に基準量Lだけ移動した場合における、無端ベルト43の第二方向の第三側の端部の位置の第二方向のずれ量となる。制御部82は、取得された変位量に応じたインクの吐出を制御する。このような変位量に応じたインクの吐出の制御には、公知の吐出制御技術を採用することができる。そのため、変位量に応じたインクの吐出の制御に関する説明は省略する。
主走査装置30は、画像の記録が終了するまで動作する。従って、吐出装置20の第二方向への往復移動は、画像の記録が終了するまで繰り返される。ベルト搬送装置40は、例えば、画像の記録が終了した後、所定のタイミングで停止する。ベルト搬送装置40の停止に伴い、第一方向への記録媒体15の搬送も終了する。移動部50による検出器45の移動も終了する。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)ベルト搬送装置40は、第一ローラ41と、第二ローラ42と、無端ベルト43と、第一駆動部44と、検出器45と、移動部50を備える(図1及び図2参照)。ベルト搬送装置40では、吐出装置20の第二方向への往復移動に対応させたタイミングで、第一ローラ41が、第一駆動部44によって、基準量Lに対応する量だけ間欠的に回転される。従って、無端ベルト43は、第一駆動部44による第一ローラ41の回転に従動して回転し、第一ローラ41と第二ローラ42の間を、第一方向に基準量Lだけ間欠的に移動する。検出器45は、第二方向の第三側で、無端ベルト43の端部の第二方向の位置を検出する。移動部50では、第一方向に基準量Lだけ移動する無端ベルト43の移動に対応させて、検出器45が、第一方向に基準量Lだけ移動される。
そのため、無端ベルト43の同じ位置を検出対象として、無端ベルト43の端部の第二方向の位置を検出することができる。無端ベルト43の第二方向の第三側の端辺の形状に関わらず、検出器45によって検出される無端ベルト43の端部の第二方向の位置から、無端ベルト43の蛇行量又は斜行量を特定することができる。
上記では説明を省略したが、取得された変位量に応じたインクの吐出の制御と共に、又はこの吐出の制御とは別に、無端ベルト43の蛇行又は斜行を調整する動作が、インクジェット記録装置10で行われるようにしてもよい。例えば、無端ベルト43に対して作用している張力を、第二方向の第三側と第四側で変化させる。この場合、ベルト搬送装置40は、前述した張力の調整を行う機構を備える。これによって、無端ベルト43の蛇行又は斜行を調整することができる。この他、インクジェット記録装置10での画像の記録を停止させ、作業者が調整作業を行うようにしてもよい。このような対策の実施には、正確な変位量を検出することが必要となる。ベルト搬送装置40において、無端ベルト43の第二方向の第三側の端部の位置を検出器45で検出する等して、無端ベルト43の蛇行又は斜行を監視することで、インクジェット記録装置10では、記録媒体15に記録される画像の品質の低下を抑制することができる。
(2)移動部50は、移動機構51と、第二駆動部60を備える。第一実施例の移動部50では、移動機構51は、ボールねじ52と、リニアガイド55,56と、移動体59を備える(図1参照)。第二駆動部60としては、モータが採用される。第二実施例の移動部50では、移動機構51は、ガイド機構63,64と、移動体59を備える(図2参照)。第二駆動部60としては、エアシリンダのようなアクチュエータが採用される。そのため、第二駆動部60によって、移動体59を、第一方向と第一方向と反対の方向にそれぞれ基準量Lだけ移動させることができる。即ち、検出器45を、第二位置P2と第一位置P1の間を往復移動させることができる。
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
(1)第一方向に関し、説明の便宜上、第一方向の下流側を「第一側」として設定し、第一方向の上流側を「第二側」として設定した(図1及び図2参照)。第一方向における第一側と第二側の設定は、上記とは反対であってもよい。即ち、第一方向の上流側を「第一側」として設定し、第一方向の下流側を「第二側」として設定することもできる。この場合、第一駆動部44が連結された第一ローラ41は、記録媒体15が搬送される方向の上流側である第一方向の第一側に設けられる。第二ローラ42は、記録媒体15が搬送される方向の下流側である第一方向の第二側に設けられる。
第二方向に関し、説明の便宜上、第一方向に向かって右側を「第三側」として設定し、第一方向に向かって左側を「第四側」として設定した(図1及び図2参照)。第二方向における第三側と第四側の設定は、上記とは反対であってもよい。即ち、第一方向に向かって左側を「第三側」として設定し、第一方向に向かって右側を「第四側」として設定することもできる。この場合、検出器45が設けられた移動部50は、第一方向に向かって左側となる第二方向の第三側に設けられる。検出器45は、第一方向に向かって左側となる第二方向の第三側で、無端ベルト43の端部の第二方向の位置を、上記同様に検出する。
(2)ベルト搬送装置40では、検出器45と移動部50は、第二方向の第三側に設けられる(図1及び図2参照)。検出器45と移動部50は、第二方向の第三側と第四側にそれぞれ設けるようにしてもよい。この場合、制御部82は、第二方向の第三側に設けられた検出器45からの検出値に従い、第二方向の第三側の変位量を取得する。第二方向の第三側の変位量は、上記同様、無端ベルト43が第一方向に基準量Lだけ移動した場合における、無端ベルト43の第二方向の第三側の端部の位置の第二方向のずれ量である。制御部82は、第二方向の第四側に設けられた検出器45からの検出値に従い、第二方向の第四側の変位量を取得する。第二方向の第四側の変位量は、無端ベルト43が第一方向に基準量Lだけ移動した場合における、無端ベルト43の第二方向の第四側の端部の位置の第二方向のずれ量である。制御部82は、例えば、第二方向の第三側の変位量と第二方向の第四側の変位量の平均値を、最終的な変位量とする。
(3)ベルト搬送装置40では、架台70が、第二方向の第三側に設けられる。検出器45と移動部50は、検出器45が移動部50に取り付けられた状態で、架台70に設けられる。検出器45と移動部50は、前述した状態で、第二方向の第三側に設けられた、ベルト搬送装置40のフレームに設けるようにしてもよい。フレームは、例えば、第二方向の第三側で、第一ローラ41と第二ローラ42を回転自在に支持する。図1では、このフレームの図示は、省略されている。
(4)ベルト搬送装置40では、移動部50は、移動機構51と、第二駆動部60を備える(図1及び図2参照)。第一実施例の移動部50では、移動機構51は、ボールねじ52と、リニアガイド55,56と、移動体59を備える(図1参照)。第二実施例の移動部50では、移動機構51は、ガイド機構63,64と、移動体59を備える(図2参照)。ベルト搬送装置では、移動部に、クランプ部を設けるようにしてもよい。クランプ部は、検出器45が取り付けられた移動体59に連結される。クランプ部は、第二方向の第三側で、第一方向に移動する無端ベルト43の端部を、無端ベルト43の内周面の側と無端ベルト43の外周面の側から挟み込む。第一方向に移動する無端ベルト43の端部は、第二方向の第三側で、クランプ部によって把持される。
クランプ部は、第一方向に移動する無端ベルト43を介して、鉛直方向に対向する第一接触部と第二接触部を備える。第一接触部は、第二方向の第三側で、第一方向に移動する無端ベルト43の鉛直方向の上側に設けられる。第二接触部は、第二方向の第三側で、第一方向に移動する無端ベルト43の鉛直方向の下側に設けられる。第一方向に移動する無端ベルト43の端部が、クランプ部によって挟み込まれるとする。この場合、第一接触部は、無端ベルト43の外周面に接する。第二接触部は、無端ベルト43の内周面に接する。
第一接触部と第二接触部の両方又は一方は、エアシリンダのようなアクチュエータに取り付けられ、鉛直方向に移動される。例えば、第二接触部がエアシリンダに取り付けられているとする。第一接触部は、無端ベルト43の外周面に接触し、又は無端ベルト43に接近した状態で設けられる。エアシリンダを動作させ、第二接触部を鉛直方向の上側に移動させることで、無端ベルト43の外周面は、無端ベルト43の内周面の側から第一接触部に押圧される。これに伴い、第一方向に移動する無端ベルト43の端部は、第一接触部と第二接触部によって挟み込まれた状態となる。無端ベルト43の端部が挟み込まれた状態において、エアシリンダを動作させ、第二接触部を鉛直方向の下側に移動させることで、挟み込みは解除される。
クランプ部による無端ベルト43の端部の挟み込みは、検出器45が第二位置P2に配置されている状態で行われる。この状態で、無端ベルト43の端部がクランプ部によって挟み込まれ、無端ベルト43の第一方向への移動が開始されたとする。この場合、クランプ部と連結された移動体59には、第一方向の力が作用し、第一方向への移動が補助される。移動体59の第一方向への移動は、第二駆動部60による駆動力と、無端ベルト43の移動に伴い作用する力によって実現される。クランプ部によって無端ベルト43を挟み込むことで、無端ベルト43の移動と移動体59の移動の同期が容易となる。
無端ベルト43は、端部がクランプ部によって挟み込まれた状態で、第一方向に基準量Lだけ移動し、停止する。移動体59も、第一方向に基準量Lだけ移動し、停止する。検出器45は、第一位置P1に配置される。このタイミングで、クランプ部による無端ベルト43の端部の挟み込みは、解除される。ベルト搬送装置では、一定の周期で、無端ベルト43の第一方向への移動と停止が繰り返される。従って、クランプ部における挟み込みの解除は、挟み込み後の経過時間に従って行うようにしてもよい。この他、無端ベルト43の移動の停止、即ち、第一駆動部44の停止を検出し、第一駆動部44が停止したタイミングに応じて、挟み込みを解除するようにしてもよい。更に、公知の位置決めセンサを別途設け、この位置決めセンサによって移動体59が検出されたタイミングに応じて、挟み込みを解除するようにしてもよい。移動体59の第一方向と反対の方向への移動は、第一実施例又は第二実施例の移動部50と同様、第二駆動部60による駆動力を介して行われる。
クランプ部を備える移動部では、第一実施例の移動部50におけるボールねじ52と第二駆動部60、又は第二実施例の移動部50における第二駆動部60は、省略するようにしてもよい。この場合、移動体59の第一方向への移動は、無端ベルト43の移動に伴い、クランプ部を介して移動体59に作用する第一方向の力によって行われる。第二駆動部60が省略されたクランプ部を備える移動部では、付勢部を設けるようにしてもよい。付勢部は、移動体59を、第一方向と反対の方向に付勢する。即ち、付勢部は、第一位置P1に配置された移動体59を、第二位置P2に戻す、第一方向と反対の方向の力を発生する。付勢部としては、例えば、ばね又はゴムのような弾性体が挙げられる。第一方向への移動と第一方向と反対の方向への移動は、リニアガイド55,56又はガイド機構63,64によってガイドされる。
第二駆動部60が省略されたクランプ部を備える移動部では、第二実施例の移動部50に関連して説明したような、位置決め用の拘束具又は部材を、適宜設けるようにしてもよい。位置決め用の拘束具又は部材によれば、検出器45が第二位置P2に配置された状態で、付勢部による移動体59の第一方向と反対の方向への移動を、停止させることができる。クランプ部では、第一接触部と第二接触部の第二方向における位置を変更させる機構を設けるようにしてもよい。この機構によれば、無端ベルト43の第三側の端部において、挟み込まれる位置を適宜変更することができる。記録媒体15の幅の変更に適宜対応することができる。
クランプ部を備える移動部では、第一スライド機構を設けるようにしてもよい。第一スライド機構は、クランプ部を第二方向に移動させる。クランプ部は、第一スライド機構を介して、検出器45が取り付けられた移動体59に連結される。第一スライド機構は、例えば、リニアガイドを備える。但し、第一スライド機構は、リニアガイドとは異なる機械部品によるスライド機構であってもよい。この説明では、リニアガイドを例に説明する。第一スライド機構において、リニアガイドは、例えば、第一接触部と第二接触部のそれぞれに対して設けられる。即ち、第一接触部に対応するリニアガイドは、第二方向の第三側で、第一方向に移動する無端ベルト43の鉛直方向の上側に設けられる。第二接触部に対応するリニアガイドは、第二方向の第三側で、第一方向に移動する無端ベルト43の鉛直方向の下側に設けられる。前述の各リニアガイドでは、ガイドレールが、第二方向に沿った状態で、移動体59に取り付けられる。各リニアガイドのブロックは、第二方向に移動する。第一接触部と第二接触部は、リニアガイドのブロックに連結される。但し、第一接触部が、上述したようなアクチュエータに取り付けられている場合、ブロックには、このアクチュエータが取り付けられる。第二接触部が、上述したようなアクチュエータに取り付けられている場合、ブロックには、このアクチュエータが取り付けられる。
第一方向に移動する無端ベルト43が、第二方向に蛇行又は斜行しているとする。この場合、無端ベルト43を挟み込んだ状態のクランプ部には、無端ベルト43の蛇行又は斜行に応じた第二方向の力が作用する。クランプ部は、上述したような構成によって、第一スライド機構を介して移動体59に連結されている。そのため、クランプ部は、第二方向の力が作用した状態で、第二方向の第三側から第四側又は第二方向の第四側から第三側に、第一スライド機構を介して移動する。クランプ部には、付勢の方向が第二方向に一致する付勢部を設けるようにしてもよい。付勢部としては、上記同様、例えば、ばね又はゴムのような弾性体が挙げられる。この付勢部は、クランプ部による無端ベルト43の挟み込みが解除された場合、クランプ部を、第二方向の所定の位置に戻す付勢力を発生する。この付勢部を設けることで、クランプ部による無端ベルト43の挟み込みが解除されたタイミングで、クランプ部を、第一スライド機構を介して第二方向に移動させ、第二方向の所定の位置に配置することができる。付勢部は、例えば、2個のリニアガイドのそれぞれに対応して設けられる。即ち、第一接触部に対応するリニアガイドに対する付勢部は、例えば、第二方向の一端部が、このリニアガイドのブロックに連結され、第二方向の他端部が、移動体59に連結される。第二接触部に対応するリニアガイドに対する付勢部は、例えば、第二方向の一端部が、このリニアガイドのブロックに連結され、第二方向の他端部が、移動体59に連結される。
この他、クランプ部を備える移動部では、クランプ部に、第二スライド機構を設けるようにしてもよい。第二スライド機構は、クランプ部を、クランプ部によって挟み込まれた無端ベルト43に対して、第二方向に相対移動させる。第二スライド機構を備えるクランプ部では、第一接触部と第二接触部は、ローラとされる。第一接触部としてのローラと第二接触部としてのローラは、各ローラの回転軸の方向が第一方向に沿った方向とされ、第二方向に対応する方向に回転自在に支持される。例えば、第一接触部が、アクチュエータとしてのエアシリンダに取り付けられているとする。この場合、第一接触部としてのローラは、エアシリンダのロッドの先端に、所定の構成によって、第二方向に対応する方向に回転自在に支持される。第二接触部が、アクチュエータとしてのエアシリンダに取り付けられているとする。この場合、第二接触部としてのローラは、エアシリンダのロッドの先端に、所定の構成によって、第二方向に対応する方向に回転自在に支持される。
第一方向に移動する無端ベルト43は、第二方向の第三側で、第二方向に対する方向に回転自在に支持される、第一接触部と第二接触部としての各ローラによって挟み込まれる。第一方向に移動する無端ベルト43が、第二方向に蛇行又は斜行しているとする。この場合、第一接触部としてのローラは、蛇行又は斜行しながら第一方向に移動する無端ベルト43の外周面に接した状態で、第二方向に対応する方向に従動して回転する。第二接触部としてのローラは、蛇行又は斜行しながら第一方向に移動する無端ベルト43の内周面に接した状態で、第二方向に対応する方向に従動して回転する。
第一スライド機構又は第二スライド機構によれば、無端ベルト43が、クランプ部による挟み込みによって、第一方向への移動時に第二方向に拘束されることを抑制することができる。無端ベルト43が第一方向への移動時に第二方向に拘束されると、拘束された部分を含む所定の領域では、無端ベルト43の端部の第二方向の位置が一定となり、正確な変位量(蛇行量又は斜行量)を取得することができなくなることが想定される。第一スライド機構又は第二スライド機構によれば、無端ベルト43は、クランプ部に挟み込まれていても、第二方向に変動できるため、このような事態の発生を防止することができる。
(5)インクジェット記録装置10では、ベルト搬送装置40による記録媒体15の搬送は、吐出装置20が第二方向の第三側又は第四側の各移動端に到達し、所定期間停止しているタイミングに合わせて、間欠的に行われる。各色のインクは、上述した通り、吐出装置20が第二方向の第三側と第四側の間を移動している所定のタイミングで、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cから、記録媒体15に向けて吐出される。ベルト搬送装置40による記録媒体15の搬送は、吐出装置20の第二方向への1回の往復移動に対応させて行われるようにしてもよい。ベルト搬送装置40による1回の搬送における記録媒体15の搬送量は、上記同様、基準量Lとされる。基準量Lは、上記とは異なり、第二方向における吐出装置20の1回の往復移動に対応させて、記録媒体15を第一方向に搬送させる量として、定義される。各色のインクは、吐出装置20が第二方向の第三側から第四側に移動している所定のタイミング、又は吐出装置20が第二方向の第四側から第三側に移動している所定のタイミングで、インクジェットヘッド21K,21M,21Y,21Cから、記録媒体15に向けて吐出される。
例えば、インクが、吐出装置20が第二方向の第三側から第四側に移動している所定のタイミングで、吐出されるとする。この場合、インクは、吐出装置20が第二方向の第四側から第三側に移動しているタイミングでは、吐出されない。ベルト搬送装置40による記録媒体15の搬送は、吐出装置20が第二方向の第四側の移動端に到達して停止した後、再度、第二方向の第四側から第三側に移動し、第二方向の第三側の移動端に到達して停止している間の、所定のタイミングで行われる。これとは異なり、インクが、吐出装置20が第二方向の第四側から第三側に移動している所定のタイミングで、吐出されるとする。この場合、インクは、吐出装置20が第二方向の第三側から第四側に移動しているタイミングでは、吐出されない。ベルト搬送装置40による記録媒体15の搬送は、吐出装置20が第二方向の第三側の移動端に到達して停止した後、再度、第二方向の第三側から第四側に移動し、第二方向の第四側の移動端に到達して停止している間の、所定のタイミングで行われる。移動部50による検出器45の移動は、上記同様、無端ベルト43の移動に対応させて行われる。
(6)インクジェット記録装置10では、主走査装置30によって吐出装置20を第二方向に往復移動させつつ、ベルト搬送装置40によって第一方向に搬送される記録媒体15に画像が記録される(図1及び図2参照)。インクジェット記録装置10とは異なるタイプのインクジェット記録装置が実用化されている。この異なるタイプのインクジェット記録装置では、吐出装置は、ライン型と称されるインクジェットヘッドを備える。ベルト搬送装置40は、吐出装置がライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置の搬送装置として採用することもできる。この場合、ベルト搬送装置40では、第一駆動部44は、連続して第一ローラ41を、第一方向に対応する方向に回転させる。即ち、ベルト搬送装置40では、記録媒体15が連続して第一方向に搬送される。
従って、移動部50によって検出器45を第一方向と反対の方向に移動させる期間も、無端ベルト43は、連続して第一方向に移動する。そのため、前述した期間は、無端ベルト43の同じ位置を検出対象として、無端ベルト43の端部の第二方向の位置を、検出器45によって検出することができない。しかしながら、移動部50によって、検出器45を、第一方向に繰り返して往復移動させることで、検出器45を、無端ベルト43が第一方向に移動する速度と同じ速度で、第一方向に基準量Lだけ移動させている期間は、上記同様、無端ベルト43の同じ位置を検出対象として、無端ベルト43の端部の第二方向の位置を、検出器45によって検出することができる。吐出装置がライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置は、実用化された公知のインクジェット記録装置である。そのため、これに関するこの他の説明は省略する。
上述した、無端ベルト43の端部の第二方向の位置が、検出器45によって検出できない期間における、同位置の検出に関し、次のような構成を採用することもできる。即ち、例えば、図1又は図2に示す、検出器45と移動部50による構成と同様の構成を、1セット追加し、合計2セット設ける。この場合、第一セットの移動部50によって第一セットの検出器45を、第一方向と反対の方向に基準量Lだけ移動させるタイミングに合わせて、第二セットの移動部50によって第二セットの検出器45を、第一方向に基準量Lだけ移動する。第二セットの移動部50によって第二セットの検出器45を、第一方向と反対の方向に基準量Lだけ移動させるタイミングに合わせて、第一セットの移動部50によって第一セットの検出器45を、第一方向に基準量Lだけ移動する。前述した各セットでは、検出器45の第一方向への往復移動が、連続して繰り返される。2セット分の検出器45と移動部50は、例えば、第二方向の第三側と第四側にそれぞれ設けられる。その際、各セットの検出器45と移動部50は、例えば、第一方向の位置関係が同じ状態で、対向配置される。吐出装置がライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置では、基準量Lは、例えば、諸条件を考慮して、所定の一定値に適宜設定される。
ベルト搬送装置40は、記録媒体15を搬送対象物とするインクジェット記録装置10とは異なる装置に含めることもできる。ベルト搬送装置40は、記録媒体15とは異なる搬送対象物の搬送に用いることもできる。