以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
先ず、農作業機用リモコン装置を説明する前に、無線通信制御装置を搭載した畦塗り機について説明する。なお、本実施例では、農作業機として、圃場に畦を形成する畦塗り機を例にして説明する。農作業機の例としては、畦塗り機に限るものではなく、溝掘り機でもよい。
畦塗り機1は、図2(平面図)に示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構(図示せず)に連結されて、走行機体90の前進動に応じて畦塗り作業を行なうものである。畦塗り機1は、走行機体90に装着されて走行機体90からの動力が入力される入力軸4を備えた装着部10と、装着部10に設けられたオフセットシリンダ3によって装着部10から左右方向に移動可能なオフセット機構部20と、オフセット機構部20の移動端側(後端側)に垂直方向に延びる回動支点Oを設け、この回動支点Oを回動中心として水平方向に回動可能に配設されて入力軸4から伝達される動力によって走行機体90の走行位置に対して側方にオフセットした位置で作業を行なう作業部50とを有してなる。
装着部10は、左右方向に延びるヒッチフレーム11と、ヒッチフレーム11の前側に取り付けられて走行機体90の三点リンク連結機構に連結可能な連結フレーム13とを有してなる。
オフセット機構部20は、前端側をヒッチフレーム11に回動自在に連結されて後方側へ延びるオフセットフレーム21と、オフセットフレーム21の右側に沿って並設されて前端側がヒッチフレーム11の右側端部に回動自在に連結されたリンク部材25とを有してなる。リンク部材25の後端側は、オフセットフレーム21の後端部に回動自在に設けられた連結部材23に回動自在に設けられている。オフセット機構部20は、オフセットフレーム21、リンク部材25、ヒッチフレーム11及び連結部材23によって平行リンク機構を形成している。
オフセットフレーム21は、この後端部とヒッチフレーム11の左側端部との間に枢結された前述したオフセットシリンダ3の伸縮動作により左右方向に揺動可能である。オフセットシリンダ3は油圧式の伸縮シリンダであり、そのボトム側端部がヒッチフレーム11に回動自在に且つ位置調節可能に取り付けられている。ヒッチフレーム11の左側にはオフセットシリンダ3のボトム側端部の取付位置を調節するための2つの枢支孔14,15が設けられている。これらの枢支孔14,15は前後方向に所定距離を有して設けられ、枢支孔14,15のいずれかに挿通されたピン16(図3参照)にオフセットシリンダ3のボトム側端部を挿通することで、オフセットシリンダ3のボトム側端部が枢支される。
2つの枢支孔14,15のうち後側に配設された枢支孔15にオフセットシリンダ3を枢支すると、前側に配設された枢支孔14にオフセットシリンダ3を枢支した場合と比較して作業部50のオフセット量を増大することができる。なお、オフセットシリンダ3を後側に設けられた枢支孔15に枢支した場合のシリンダ取付位置を「L」とし、オフセットシリンダ3を前側に設けられた枢支孔14に枢支した場合のシリンダ取付位置を「M」と記載する。
このように、オフセットシリンダ3のボトム側端部の取付位置を調整可能にすることで、走行機体90の幅(例えば、トラクタの後輪外幅)が大きな車両(例えば、1600mm〜1900mm)に対してはシリンダ取付位置を「L」とし、走行機体90の幅が通常の車両(例えば、1300mm〜1600mm)に対してはシリンダ取付位置を「M」として、作業部50を走行機体90に対して予め定めたオフセット位置Poに移動させることができる。
オフセットフレーム21内には動力伝達機構が設けられている。この動力伝達機構は、オフセットフレーム21の後端側に作業部50の回動支点Oと同軸上に回動自在に配設された従動軸29を備え、走行機体90から入力軸4に伝達された動力を従動軸29に伝達可能に構成されている。オフセットシリンダ3の伸縮動作は、後述する無線通信制御装置70によって制御される。
従動軸29の下部にはこれと同軸上に配置されて下方へ延びる主軸7が連結されている。主軸7は、従動軸29の回転動とともに回転して、作業部50への動力伝達が可能である。主軸7の外側には主軸7を覆う主軸ケース8が配設され、この主軸ケース8の上端部はオフセットフレーム21の後端下部に回動可能に連結され、主軸ケース8の下端部には作業部50が固定された状態で取り付けられている。
作業部50は、連結部材23と主軸ケース8との間に繋がれた旋回シリンダ41の伸縮により回動支点Oに対して回動可能であるとともに、旋回シリンダ41の伸縮規制によりオフセット機構部20の揺動に対して作業部50の作業方向が走行機体90の進行方向Aと平行になるように保持される。なお、旋回シリンダ41の伸縮動作は、後述する無線通信制御装置70によって制御される。
作業部50は、圃場の周辺に沿って形成された旧畦の上部を切り崩す天場処理部51と、切り崩した土の土盛りを行なう前処理部61と、盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部80とを有してなる。
整畦部80は、左右方向に延びて回転自在に支持された回転軸81に取り付けられた多面体ドラム82と、多面体ドラム82の右側端部に取り付けられて横方向に延びる円筒部83とを有してなる。整畦部80は整畦動力伝達ケースを介して主軸ケース8に連結されて支持される。整畦動力伝達ケース内には図示しない整畦側動力伝達機構が内蔵され、この整畦側動力伝達機構は主軸7に繋がって、主軸7からの動力を整畦部80に伝達可能に構成されている。
前処理部61は、前処理動力伝達ケース64を介して主軸ケース8に連結されて支持される。前処理動力伝達ケース64内には、主軸7からの動力を受けて回転駆動する前処理側駆動軸を有した動力伝達機構が内蔵されている。前処理側駆動軸の先端部に前処理部61が接続されている。前処理部61の回転軸は前処理側駆動軸と同軸上に接続されている。前処理部61の回転軸は、平面視において旧畦K側に傾斜している。
前処理部61の回転軸には、その外周に複数の耕耘爪が放射状に取り付けられて、耕耘爪は耕耘軸とともに回転して、圃場の土を耕耘して旧畦側に土盛りする。
天場処理部51は、天場動力伝達ケース54を介して前処理部61に支持されている。天場処理部51の回転軸52には複数の耕耘爪53が放射状に取り付けられ、天場処理部51の回転軸52は平面視において旧畦K側に傾斜して配置されている。天場動力伝達ケース54内には動力伝達機構が設けられ、この動力伝達機構は前処理部61の耕耘軸に接続されて前処理部61からの動力を天場処理部51に伝達可能である。
天場動力伝達ケース54は天場処理部51の基端側に配置されて天場処理部51の回転軸52に対して直交する方向に延び、この基端部は前処理部61の耕耘軸の先端部に対して上下回動自在に取り付けられている。このため、天場動力伝達ケース54は基端部を回動中心として上下方向に回動自在である。
次に、無線通信制御装置70について説明する。無線通信制御装置70は、畦塗り機1の動作を指令する操作指令を無線信号によって指令する手動操作式のリモコン装置100からの指令信号を受信し、受信した指令信号に応じて畦塗り機1の作動を制御するものである。つまり、無線通信制御装置70は、リモコン装置100からの指令信号を受信する受信装置であるとともに、受信した指令信号に応じて畦塗り機1の作動を制御するコントローラ装置でもある。
先ず、無線通信制御装置70について説明する前に、リモコン装置100について概説する。リモコン装置100は、図1(a)(平面図)、図1(b)(側面図)に示すように、走行機体90(図2参照)の運転席に搭乗した作業者が操作できるように、複数の操作スイッチ101の押圧操作に応じた操作指令の無線信号を出力するように構成されている。リモコン装置100は、作業者が手で把持可能な大きさを有した操作ボックス102を有し、この操作ボックス102の表面に複数の操作スイッチ101が配設されている。操作ボックス102の内部には、無線信号を出力する通信部や、電源を供給するバッテリ等が収容され、操作スイッチ101を押圧操作すると、操作スイッチ101に応じた操作指令(コマンド)を無線信号で通信部から出力されるようになっている。無線信号は、FM波長域の微弱電波や赤外線等の無線媒体が用いられる。
無線通信制御装置70は、図2,図3(前側斜視図)、図4(平面図)に示すように、ヒッチフレーム11の左右方向一方側の前側端部に取り付けられ取付板35に固定されている。取付板35は、畦塗り機1の作業状態において、前側が後側よりも低くなるように上下方向上向きに傾斜する。なお、取付板35は、その傾斜角度が調節可能にヒッチフレーム11に取り付けられてもよい。
この取付板35上に無線通信制御装置70が取り付けられている。無線通信制御装置70は、天板部71と、この周囲に繋がって天板部71を囲むようにして下方へ延びる側板部72を有してキャップ状に形成されて、内部に電子基板74を収容した制御ボックス73を有して構成される。制御ボックス73は、四隅にフランジ部73aが形成され、このフランジ部73aに挿通されたボルト75が取付板35に締結されて、制御ボックス73は取付板35に固定されている。
制御ボックス73の前後方向前側の側板部72には、制御ボックス73の内部に連通する一対の挿通孔76aが形成された筒状部76が設けられている。この挿通孔76aに、制御ボックス73内に収容された電子基板74に接続された電線が通される。制御ボックス73は、樹脂、合成樹脂(ABS樹脂、FRP)等で一体成型され、リモコン装置100から送信される指令信号を透過可能である。
制御ボックス73内に収容される電子基板74には、詳細は後述するが、リモコン装置100からの指令信号を受信するアンテナや、アンテナで受信した指令信号に応じて油圧式のオフセットシリンダ3や旋回シリンダ41等のアクチュエータの作動を制御する制御部が設けられている。アンテナは、電子基板74の表面側に形成され、アンテナの長さはリモコン装置100から送信される電波の波長によって設定される。
制御ボックス73の天板部71には、オフセットシリンダ3がシリンダ取付位置「M」に取り付けられている状態を知らせるM状態表示ランプ73cと、オフセットシリンダ3がシリンダ取付位置「L」に取り付いている状態を知らせるL状態表示ランプ73bと、制御ボックス73とリモコン装置100との間で通信状態が確立していることを知らせる通信ランプ73dが設けられている。
このように、無線通信制御装置70に収容された電子基板74は、図2及び図3に示すように、畦塗り機1の作業状態において、走行機体90に搭乗した作業者側に向いた姿勢に維持されるので、走行機体90の運転席に搭乗した作業者が農作業機側へ向くと、無線通信制御装置70内の電子基板74は作業者側に向いているため、作業者はリモコン装置100を電子基板74側に向けた状態でリモコン装置100を操作することができる。このため、リモコン装置100から送信される無線信号をより確実に電子基板74に受信させることができる。
図5は、無線通信制御装置70の機能ブロック図である。無線通信制御装置70は、制御部200と記憶部201と通信部202とI/Oユニット203を備えている。また、図5では、無線通信制御装置70に電源204と電源スイッチ205を設けているが、電源204として、走行機体90に搭載されたバッテリを用い、電源スイッチ205として、走行機体90のキースイッチを利用することができる。そして、I/Oユニット203には、オフセットシリンダ3の伸縮作動を制御する作動制御弁V1、旋回シリンダ41の伸縮作動を制御する作動制御弁V2、散布装置44の電動ポンプPが電気的に接続されている。
通信部202は、アンテナ207を介して、リモコン装置100(図1(a)参照)からの電波(電波以外に赤外線でもよいが、この実施形態では電波により説明する。)を受信し、復調し、リモコン装置100からの電波に載せられたコマンドを制御部200に送る。また、リモコン装置100の立ち上げ時の電波を受信し、その電波に載せられたID情報を制御部200に送る。
制御部200は、コマンドを記憶部201に記憶されたコマンドデータに従って解読し、そのコマンドに従って、I/Oユニット203を介して、オフセットシリンダ3の作動制御弁V1、旋回シリンダ41の作動制御弁V2、散布装置44の電動ポンプP、M状態表示ランプ73c、L状態表示ランプ73b、通信ランプ73dの制御を行う。また、制御部200は、受信した電波から抽出したIDを記憶部201に記憶されたIDと照合し、一致していたならば、通信部202から返信の電波をリモコン装置100に送る。
記憶部201は、制御部200が行う制御で用いられるプログラム、設定などを格納する。また、記憶部201は、ID情報、オフセットシリンダ3の作動制御弁V1、旋回シリンダ41の作動制御弁V2、散布装置44の電動ポンプPを動作させるコマンドのデータを格納する。さらに、記憶部201は、後述する作業位置記憶スイッチ101aと電源スイッチ101bが押されると、作業部50のオフセット位置を記憶する。なお、作業部50のオフセット移動時には、図2に示すように、オフセット機構部20は平行リンク機構を構成しているので、オフセットフレーム21に対する作業部50の向きは一定である。このため、作業部50のオフセット位置は、オフセットフレーム21の揺動角度θを検出する揺動センサ27の検出値によって定めることができる。従って、図5に示す記憶部201に記憶される作業部50の位置は、揺動センサ27の検出値が記憶される。
なお、畦塗り機1には、前述した揺動センサ27の他に、オフセットフレーム21に対する作業部50の相対的な角度を検出するも首振りセンサ28と、作業部50の作業方向を検出する角度センサ30と、作業部50の作業位置を検出する位置センサ31が設けられている。
角度センサ30は、オフセットフレーム21に対する作業部50の相対的な角度を検出するものではなく、作業部単独の圃場面に対する作業方向の変化を検出する。角度センサ30は、主軸ケース内の主軸7の周囲に配置されている。また位置センサ31は主軸ケースに支持された支持ケースから延びる取付アーム33の先端部に設けられて整畦部80の後方側に配設されている。
I/Oユニット203は、図5に示すように、オフセットシリンダ3の作動制御弁V1、旋回シリンダ41の作動制御弁V2、散布装置44の電動ポンプPの制御信号を制御部200との間で中継する。電源204は、通信部202、制御部200、I/Oユニット203、記憶部201に電力を供給する。また、電源スイッチ205は、電源のオンオフを行うスイッチである。なお、電源として走行機体(トラクタ)のバッテリ、電源スイッチ205として走行機体90のキースイッチを利用することもできる。
散布装置44は、畦塗り機1にオプションとして装着されるものである。散布装置44は、図2には示されていないが、前処理部61で耕耘されて整畦部80で整畦される土の表面に対して液体(水)を散布するノズルと、液体(水)を貯留するタンクと、タンク内の液体をノズルに供給するためタンクとノズルとの間を繋ぐ配管と、タンク内の液体を配管に流す電動ポンプPとを有してなる。電動ポンプPの作動は無線通信制御装置70によって制御される。
この散布装置44によって耕耘された土に水が供給されることで、前処理部61により耕耘される土が多少乾いていても、整畦部80による旧畦上への塗り付け作業を良好に行わせることができる。
図6は、リモコン装置100の機能ブロック図である。リモコン装置100は、図1(a)、図1(b)に示すように、その表面側に、電源スイッチ101b、電源ランプ(LED)101c、電池交換ランプ101d、自動角塗りスイッチ101e、自動可ランプ101f、格納作動ランプ101g、オフセット外スイッチ101h、オフセット内スイッチ101i、作業位置記憶スイッチ101a、格納スイッチ101j、ドラム右旋回スイッチ101k、ドラム左旋回スイッチ101m、散布スイッチ101n、散布ランプ101qを備えている。
また、リモコン装置100は、その内部に制御部110と記憶部111と通信部112と電源113とブザー114を備えている。また、通信部112は出力制御部112aを備えている。また制御部110は指令信号データ選択部110aと、ランプモード切替部110bとタイマー110cを備えている。なお、電源スイッチ101b、オフセット外スイッチ101h、オフセット内スイッチ101i、自動角塗りスイッチ101e、作業位置記憶スイッチ101a、格納スイッチ101j、ドラム右旋回スイッチ101k、ドラム左旋回スイッチ101m、散布スイッチ101nを総称して指令スイッチという。
電源スイッチ101bは、リモコン装置100の電源113の入り切りを行うスイッチである。電源スイッチ101bを押して電源投入、再度押すと電源が切れる。電源ランプ(LED)101cは、電源が投入されると、電波圏内で通信が確立された場合に点灯する。電波圏外で通信が確立されなかった場合には、通信エラーとなり点滅する。
電池交換ランプ101dは、電池容量が小さくなると点滅し、電池容量が多いときには消灯する。自動角塗りスイッチ101eは、圃場の隅部を畦塗り作業する場合に操作されるスイッチであり、このスイッチが押されると、圃場の隅部において走行機体90が旋回すると作業部50は走行機体90の旋回に拘わらずに畦に沿って直線的に移動して圃場の隅部を畦塗りする(以下、この作業を「自動角塗り作業」と記す。)。自動角塗りスイッチ101eは、自動可ランプ101fの点灯時に1回押すと、自動角塗り作業が始まり、もう1回押すと自動角塗り作業が停止する。自動角塗り作業が行われているときは、ブザーが鳴り、自動可ランプ101fは点滅する。
自動可ランプ101fは、点灯時に自動角塗り作業が可能な状態であることを知らせ、消灯時に自動角塗り作業が不可能な状態であること又は通信エラーが発生していることを知らせる。また点滅時には、前述したように自動角塗り作業が作動中であることを知らせる。
格納作動ランプ101gは、作業部50が格納状態から非格納状態又は非格納状態から格納状態へ移動中にブザー音とともに点滅し、作動停止で消灯する。オフセット外スイッチ101hは、このスイッチを押している間はオフセットフレーム21が進行方向右側へ揺動し、このスイッチの押圧が解除されるとオフセットフレーム21の揺動が止まる。オフセット内スイッチ101iは、このスイッチを押している間はオフセットフレーム21が進行方向左側へ揺動し、このスイッチの押圧が解除されるとオフセットフレーム21の揺動が止まる。
作業位置記憶スイッチ101aは、作業部50のオフセット位置を記憶するときに操作され、また記憶された作業部50のオフセット位置に作業部50を移動させる際に操作される。作業位置記憶スイッチ101aのみを1回押すと、作業部50の現在の位置から記憶されたオフセット位置に作業部50が移動し、もう1回押すと作業部50のオフセット移動が停止する。
ここで、作業部50のオフセット位置を記憶させる方法について説明する。オフセット外スイッチ101h及びオフセット内スイッチ101iを操作して作業部50を作業者の作業方法に合ったオフセット位置に移動させた後に、電源スイッチ101bによって一旦電源を落とし、その後に、作業位置記憶スイッチ101aと電源スイッチ101bを押すと、作業部50の位置が無線通信制御装置70の記憶部201(図5参照)に記憶される。なお、この手順を分かりやすくするため、手順を音声案内するように構成してもよい。作業部50の位置が記憶されると、ブザー114が「ピッピッ」と鳴り、作業部50の位置記憶が未完了時にはブザー114が「ピー」と鳴って、作業者は作業部50の位置記憶の状態を認識することができる。
格納スイッチ101jは、1回押すと作業部50が格納位置に移動し、もう1回押すと格納位置側への作業部50の移動が停止する。作業部50が格納中は、ブザー114が鳴り、格納作動ランプ101gが点滅する。なお、作業部50の格納位置は、オフセットフレームを後方側へ延びるように揺動し、作業部50が走行機体90の側方から突出する量が小さくなるような位置をいう。
ドラム左スイッチ101mは、整畦部80(図2参照)の全体を左回りに旋回させるときに操作され、押すと旋回し、離すと止まる。ドラム右スイッチ101kは、整畦部80の全体を右回りに旋回させるときに操作され、押すと旋回し、離すと止まる。散布スイッチ101nは、1回押すと電源が入った状態となって電動ポンプPが駆動して散布装置44が作動し、もう1回押すと電源が切れた状態となって図5に示す電動ポンプPが停止して散布装置44が非作動状態になる。
通信部112は、アンテナ115を介して、各スイッチが押されたときに記憶部111に記憶されるコマンドデータまたはIDデータを電波に載せ、アンテナ115を介して送信する。また、通信部112は、無線通信制御装置70からの信号を受信する。制御部110は、各スイッチが押されたときに、記憶部111に記憶された各スイッチに対応するコマンドデータを読み込み、通信部112に送る。また、電源スイッチ101bが押されたときは、記憶部111に記憶されるIDデータを通信部112に送る。また制御部110は、作業位置記憶スイッチ101aと電源スイッチ101bが押されると、制御部110の指令信号データ選択部110aが記憶部111に記憶された作業部50の位置を記憶するためのコマンドデータを読み込み、通信部112に送る。記憶部111は、制御部110が行う制御で用いられるプログラム、設定などを格納する。また、記憶部111は、ID情報、オフセットシリンダ3の作動制御弁V1、旋回シリンダ41の作動制御弁V2、散布装置44の電動ポンプPを作動する指令信号データを格納する。電源113は、通信部112、制御部110、記憶部111に電力を供給する。指令信号データは、各種作動を制御するコマンドデータと電波出力の強度データを含む。
通信部112の出力制御部112aは、電源スイッチ101bが入れられた立ち上げ時には、電源スイッチ101b以外の各スイッチを操作するときに出力する電波の強度よりも小さい強度で出力する制御を行う。特に、電源スイッチ101bが入れられた立ち上げ時には、第1の電波出力で電波を送信し、電源スイッチ101b以外の各スイッチを操作するときには第2の電波出力で電波を送信する。このとき、第1の電波出力の強度は、第2の電波出力の強度よりも小さい。それらの第1の電波出力の強度データと第2の電波出力の強度データは、記憶部111に記憶されている。
また、通信部112の出力制御部112aは、各種作動を制御する指令信号毎に指令スイッチを操作するときに出力する電波の強度を調整して出力する制御を行う。そのとき、出力制御部112aは、指令信号データに含まれる電波出力の強度データに従って、コマンドデータを載せる電波の出力強度を調整する。
制御部110には、作業位置記憶スイッチ101aが単独で押されたときと、電源スイッチ101bが合わせて押されたときに、これらのスイッチ操作に対応した記憶部111に記憶された指令信号データを選択する前述した指令信号データ選択部110aを備えている。指令信号データ選択部110aは、作業位置記憶スイッチ101aが単独で押されると、記憶部111に記憶された作業部50のオフセット位置に作業部50を移動させるための指令信号データを選択する。また指令信号データ選択部110aは、作業位置記憶スイッチ101aと電源スイッチ101bが合わせて押されると、これらのスイッチが押されたときの作業部50のオフセット位置を無線通信制御装置70の記憶部201に記憶させるための指令信号データを選択する。
なお、前述したようにオフセットシリンダ3は、図2に示すように、そのヒッチフレーム11への取付位置を「M」又は「L」にすることができるが、この取付位置を変えると、作業部50のオフセット量が変わるため、作業部50の作業可能範囲も変わる。このため、作業部50の位置を記憶部201に記憶させる際には、図5に示す無線通信制御装置70の制御部200は、オフセットシリンダ3の取付位置に対応した作業可能範囲に基づいて、その作業可能範囲内で作業部50のオフセット位置を記憶するようにしている。このため、リモコン装置100側において、作業可能範囲の切り替え設定を行い、この切り替え設定情報が無線通信制御装置70に送られると、その制御部200は、作業可能範囲の切り替え情報に基づいて作業可能範囲を選択し、記憶しようとする作業部50の位置が作業可能範囲を超えているか否かを判断する。制御部200は、作業部50の位置が作業可能範囲を超えている場合には、ブザー114を鳴らして作業位置の記憶が未完了であることを作業者に知らせる。
作業可能範囲の切り替えは、リモコン装置100の電源スイッチ101bを切った後に、散布スイッチ101nと電源スイッチ101bを同時に押す操作によって行われる。これらのスイッチを操作する毎にM、Lが交互に切り替わる。切り替わった状態の確認は、無線通信制御装置の制御ボックスに設けられたM状態表示ランプ73c又はL状態表示ランプ73bが点灯することによって確認できる。なお、作業可能範囲の切り替えが成立した場合には、ブザー114が「ピッピッ」と鳴る。なお、作業可能範囲の切り替え操作は、散布スイッチ101nと電源スイッチ101bに限るものではなく、電源スイッチ101bと他の指令スイッチでもよい。オフセットシリンダ3の実際の取付位置と、記憶部201に記憶されようとする取付位置とが一致しない場合は、表示ランプは点灯しないようになっており、作業者のミスを防止する。
また、制御部110には、電源スイッチ101bがオンされて畦塗り機1の作業部50がオフセット位置Poに移動して畦塗り作業が可能な状態にあるときに、通常モードから、電源ランプ101c及び自動可ランプ101fの電力消費を抑える省エネモード及び電源ランプ101cを消灯するオートパワーオフモードのいずれかに切り替えるランプモード切替部110bを備えている。
電源ランプ101cは、通常モードでは電源スイッチ101bがオンされると発光状態が継続する点灯状態となり、省エネモードでは、点灯時間が消灯時間よりも短い点灯と消灯を繰り返すフラッシュモードになる。なお、フラッシュモードは光が点滅する場合の点灯時間よりも短い点灯時間で点灯させる。図面では、フラッシュモードの点灯時間は点滅の点灯時間の約1/3、通常モードの点灯時間の約1/5である。このため、フラッシュモードにすると、点滅と比較して電力消費を約1/3に抑えることができる。
図7は、制御部110の機能ブロック図である。制御部110には、CPU120とメモリ121と入力部122と出力部123とタイマー110cを備えている。入力部122には、電源スイッチ101b、自動角塗りスイッチ101e、オフセット外スイッチ101h、オフセット内スイッチ101i、格納スイッチ101j、作業位置記憶スイッチ101a、ドラム右旋回スイッチ101k、ドラム左旋回スイッチ101m、散布スイッチ101nからの信号が入力される。
出力部123は、通信部112と、電源ランプ101cと、電池交換ランプ101d、自動可ランプ101f、格納作動ランプ101g、散布ランプ101q、ブザー114、電源113に信号を出力する。メモリ121は、IDデータ124と、各スイッチを押したときの動作を制御する制御プログラム125と、電源スイッチ101bを押してリモコン装置100を立ち上げるときに実行される立ち上げ時制御プログラム126を記憶している。
また、メモリ121は、自動角塗りスイッチ101eが押されたときに送信するコマンドである自動角塗りコマンドデータ130aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ130bからなる指令信号データ130と、オフセット外スイッチ101hが押されたときに送信するコマンドであるオフセット外コマンドデータ131aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ131bからなる指令信号データ131と、オフセット内スイッチ101iが押されたときに送るコマンドであるオフセット内コマンドデータ132aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ132bからなる指令信号データ132と、格納スイッチ101jが押されたときに送信するコマンドである格納コマンドデータ133aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ133bからなる指令信号データ133と、作業位置記憶スイッチ101a及び電源スイッチ101bが押されたときに送信するコマンドである作業位置記憶コマンドデータ134aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ134bからなる指令信号データ134と、作業位置記憶スイッチ101aのみが押されたときに送信するコマンドである作業位置移動コマンドデータ135aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ135bからなる指令信号データ135と、ドラム右旋回スイッチ101kのみが押されたときに送信するコマンドであるドラム右旋回コマンドデータ136aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ136bからなる指令信号データ136と、ドラム左旋回スイッチ101mのみが押されたときに送信するコマンドであるドラム左旋回コマンドデータ137aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ137bからなる指令信号データ137と、散布スイッチ101nが押されたときに送信するコマンドである散布コマンドデータ138aとそのコマンドデータを送るときの電波出力強度を設定するための電波出力強度データ138bからなる指令信号データ138とを記憶している。
上記の電波出力強度データとしては、畦塗り機1の近くにいる第三者が、挟まれたり、巻き込まれたり等の危険性が高い動作の場合には、電波出力強度データとして小さい値、例えば0.2mWにし、操作者が畦塗り機1の近くに行かなければコマンドを載せた電波が無線通信制御装置70に届かないようにし、畦塗り機1の近くにいる第三者が、挟まれたり、巻き込まれたり等の危険性が低い動作の場合には、電波出力強度データとして大きな値、例えば、1mWにし、操作者が畦塗り機1から離れていてもコマンドを載せた電波が無線通信制御装置70に届くように設定する。
また、メモリ121は、第1電波出力強度データ140と第2電波出力強度データ141を記憶する。
「制御プログラム」125は、例えば、オフセット外スイッチ101hが押されたときに、メモリ121に記憶されるオフセット外指令信号データ131をCPU120が読み出し、出力部123から通信部112にそのデータを送り、通信部112では、搬送波にそのオフセット外コマンドデータ131aを載せ、アンテナ115から送信する。このとき、通信部112の出力制御部112aは送信する電波の出力を電波出力強度データ131bに基づいて設定する。
無線通信制御装置70での通信部202はアンテナ207を介して、その電波を受信し、復調し、オフセット外コマンドデータ131aを制御部200に送り、制御部200では、そのコマンドデータを解読し、オフセット外コマンドを実行し、I/Oユニット203を介して、オフセットシリンダ3の作動制御弁V1の作動を制御してオフセットシリンダ3を作動させて、オフセットフレーム21を揺動させる。リモコン装置100の他のスイッチも同様にして操作される。
「立ち上げ時制御プログラム」126は、電源113をオンにしたときに実行されるプログラムであり、電源113をオンにすると、制御部110から通信部112へ電波を送信する命令が送られる。そのとき、通信部112の出力制御部112aに第1電波出力データ(例えば、0.2mW)が送られる。このとき、IDデータ124も電波に載せられる。それにより、通信部112からは、第1電波出力の電波がアンテナ115を介して送信される。所定の時間後に無線通信制御装置70からの返信の電波を受信しないときには、すなわち、無線通信制御装置70に電波がとどかないか、無線通信制御装置70がオフか、IDが異なるときには、電源ランプ(LED)101cを点滅させる。
無線通信制御装置70に電波がとどいたとき、無線通信制御装置70は、受信した電波からIDデータ124を取り出し、IDデータ124を記憶部201のIDデータと照合する。IDデータが一致しない場合には、返信の電波は送らず、IDデータが一致したとき、返信の電波を送る。リモコン装置100は、その無線通信制御装置70からの電波を受信したとき、電源ランプ(LED)101cを点灯する。
「ランプ制御プログラム」151は、電源113をオンにしたときに実行されるプログラムであり、電源113をオンにすると、通信部112を介して作業部50が畦塗り作業が可能な状態にあるか否かの電波を無線通信制御装置70から受信し、作業部50が畦塗り作業が可能な状態にあるときに、自動可ランプ101fが点灯してから自動角塗りスイッチ101eが押されるまでの時間に応じて、自動可ランプ101fや電源ランプ101cの点灯状態を省エネモードのフラッシュ状態にし、または電源ランプ101cを消灯状態にする。
以上のようにして、リモコン装置100の操作による作業機の制御がなされる。
次に、リモコン装置100における立ち上げ時制御プログラム126によって実行される手順を図8のフローチャートを用いて説明する。この立ち上げ時制御プログラム126は作業者がリモコン装置100の電源スイッチ101bをオンにすることによってスタートする。また、無線通信制御装置70の制御プログラムも無線通信制御装置70の電源スイッチ205をオンにすることによってスタートする。
ステップS11:制御部110は、メモリ121からIDデータ124を読み込み、通信部112に送る。
ステップS12:制御部110は、メモリ121の第1電波出力データ140を通信部112の出力制御部112aに送り、通信部112は、電波にIDデータ124を載せて、出力制御部112aによって第1電波出力になるように制御してアンテナ115から送信する。
ステップS13:制御部110は、無線通信制御装置70からの返信の電波を受信したか否かを判断する。
ステップS14:ステップS13で、もし、返信の電波を受信していなければ、電源ランプ(LED)101cを点滅させる。
ステップS15:電源オフ条件になったか否か判断する。ここで、電源オフ条件は、電源スイッチ101bが押されたか、無操作が所定時間(例えば、5分)継続したか、キー入力が所定時間(例えば、2分)以上継続したかである。もし、電源オフ条件ではなければ、ステップS13を実行する。電源オフ条件が成立すれば、ステップS25を実行し、電源113をオフする。
ステップS16:無線通信制御装置70は、リモコン装置100からの電波を受信したか否かを判断する。もし、受信しなければ、リターンする。これにより、受信割り込み処理を終了する。
ステップS17:ステップS16で、リモコン装置100からの電波を受信したならば、通信部202は、受信電波からIDデータ124を取り出し、制御部200に送る。
ステップS18:制御部200は、記憶部201に記憶されるIDデータと受信電波からのIDデータ124と照合する。
ステップS19:制御部200は、ステップS18で照合したIDデータが一致するか否か判断する。もし、IDデータが一致しなければリターンする。これにより、受信割り込み処理を終了する。
ステップS20:ステップS19でIDデータが一致すれば、制御部200は、通信部202から返信の電波を送信する。そして、リターンし、受信割り込み処理を終了する。
ステップS21:リモコン装置100の制御部110は、通信部112によって無線通信制御装置70からの電波を受信したならば、電源ランプ(LED)101cを点灯する。
ステップS22:制御部110は、ブザー114をオンにする。
ステップS23:制御部110は、メモリ121から第2電波出力強度データ141を通信部112の出力制御部112aに送り、通信部112は、出力制御部112aによって電波の出力を第2電波出力強度にする。
ステップS24:電源オフ条件になったか否か判断する。ここで、電源オフ条件は、電源スイッチ101bが押されたか、無操作が所定時間(例えば、5分)継続したか、キー入力が所定時間(例えば、2分)以上継続したかである。もし、電源オフ条件ではなければ、再びステップS24を実行する。これにより、電源スイッチ101bを押す等の電源オフ条件が確立するか、各スイッチが押されるまで待機状態となる。
ステップS25:ステップS24で電源オフ条件が成立すれば、電源113をオフし、このプログラムを終了する。
以上のように、電源113を入れたときは、出力される電波の強度が0.2mW程度の第1の電波出力強度であり、電波の出力強度が小さいので、畦塗り機1を制御する無線通信制御装置70に電波がとどかず、作業者が意図しないで動作用の指令スイッチが入っていたとしても、電源113を入れたと同時に、作業者が意図しない畦塗り機1の動作が実行される可能性をなくすことができる。これにより、電源オンのときに、指令スイッチが押されていたときに、意図しない動作をしてしまうことを防ぐことができ、安全性を確保することができる。
次に、図9(a)のフローチャートにより各スイッチが押されたときの手順を説明する。ここでは、先ず、電源スイッチ101bと作業位置記憶スイッチ101aが押されたときを例に説明する。
ステップS31:制御部110は、作業者により電源スイッチ101bと作業位置記憶スイッチ101aが押されているかどうかの状態をチェックする。
ステップS32:電源スイッチ101bと作業位置記憶スイッチ101aが押されているとき、制御部110の指令信号データ選択部110aは、メモリ121に記憶される作業位置記憶の指令信号データ134をCPU120が読み出す。
ステップS33:制御部110は通信部112に作業位置記憶の指令信号データ134を送り、通信部112では、搬送波にその作業部記憶コマンドデータ134aを載せる。
ステップS34:通信部112の出力制御部112aは送信する電波の出力を電波出力強度データ134bに基づいて設定する。
ステップS35:制御部110は、通信部112から作業位置記憶コマンドデータ134aを載せた電波を電波出力強度データ134bに基づいて設定した出力強度でアンテナ115を介して送信する。
ステップS36:無線通信制御装置70での通信部202はアンテナ207を介して、その電波を受信したか否か判断する。電波を受信しなければ、リターンし、この受信割り込み処理を終了する。
ステップS37:ステップS36で電波を受信したならば、通信部202は、返信電波を送信する。
ステップS38:通信部202は、作業位置記憶コマンドデータ134aを抽出し制御部200に送る。
ステップS39:制御部200は、通信部202から送られた作業記憶コマンドデータ134aを記憶する。そして、リターンし、この受信割り込み処理を終了する。
ステップS40:リモコン装置100の制御部110は、無線通信制御装置70からの返信の電波を受信したか否か判断する。もし、返信の電波を受信しなければ、リターンする。これにより、この割り込み処理を終了する。そして、所定時間後、例えば10msec後にこのプログラムをスタートする。
ステップS41:ステップS40で返信の電波を受信したならば、ブザーをオンする等の返信完了処理を行い、リターンする。
以上のリモコン装置100での処理は、所定時間毎、例えば、10msec毎に繰り返し実行される。
図9(b)は、無線通信制御装置70の制御部200が所定時間毎、例えば、20msec毎に実行するタイマ割り込み処理のフローチャートである。
ステップS42:制御部200は、ステップS39で記憶されたコマンドをチェックし、コマンドを解読する。この実施例では、作業位置記憶コマンドが記憶されていることを読み出す。
ステップS43:制御部200は、動作処理を実行する。この実施例では、制御部200は、作業位置記憶コマンドを実行し、記憶部201に揺動センサ27の検出値を記憶させる。そして、リターンする。
次に、作業位置記憶スイッチ101aが単独で押された場合の手順を説明する。作業部50のオフセット位置が記憶部201に記憶された後に、作業位置記憶スイッチ101aが押されると、前述したステップS39では、制御部200は、記憶された作業部50のオフセット位置に作業部50を移動させる作業位置移動コマンドデータ135aの作業位置移動コマンドを記憶させる。なお、S11〜S38は、前述した場合と同様なので、その説明は省略する。そして、制御部200は、ステップS39で記憶されたコマンドをチェックし(ステップS40)、コマンドを解読する。この実施例では、作業位置移動コマンドが記憶されていることを読み出す。そして、制御部200は、作業位置移動コマンドを実行し、I/Oユニット203を介して、オフセットシリンダ3の作動制御弁V1の作動を制御してオフセットシリンダ3を伸縮させて、オフセットフレーム21を揺動させ、作業部50を記憶させたオフセット位置に移動させる。
なお、リモコン装置100の他のスイッチ操作による手順も、コマンドと動作は異なるが、ほぼ同様にして実行される。
次に、リモコン装置100におけるランプ制御プログラム151によって実行される手順を図11のフローチャートを用いて説明する。このランプ制御プログラム151は作業者がリモコン装置100の電源スイッチ101bをオンにすることによってスタートする(ステップ51)。電源スイッチ101bがオンされると、制御部110は通常モードに従って電源ランプ101cを点灯状態にする(ステップ51−1)。
ステップS52:制御部110のランプモード切替部110bは、自動的に作業部50が圃場の隅部を畦塗り作業するために、作業部50が適正なオフセット位置及び姿勢にあるかどうかを揺動センサ27及び首振りセンサ28の検出値に基づいて判断する。この判断に際し、制御部110は、揺動センサ27及び首振りセンサ28の検出値がリモコン装置100に送信されるようにするための指令信号を通信部112を介して無線通信制御装置70に送る。
ステップS53:制御部110のランプモード切替部110bは、受信した揺動センサ27及び首振りセンサ28の検出値に基づいて作業部50が適正なオフセット位置及び姿勢にないと判断すると、自動角塗りスイッチ101eの自動可ランプ101fを消灯する。
図12は、作業部50が適正なオフセット位置及び姿勢にあるか否かを例示した平面図を示す。図12(b)では作業部50のオフセット位置は適正であり、作業部50の向きは畦Kに沿った方向に向いているので、作業部50は適正な状態であると判断されて、自動可ランプ101f(図6参照)は点灯する。図12(a)では、作業部50のオフセット位置は適正であるが作業部50の向きが畦Kに沿った方向に向いていないので、作業部50は適正な状態にないと判断されて、自動可ランプ101f(図6参照)は消灯する。図12(c)、図12(d)では、作業部50の向きは畦に沿った方向を向いているので適正であるが、作業部50のオフセット位置が走行機体側に位置しているので、作業部50は適正な状態にないと判断されて、自動可ランプ(図6参照)は消灯する。
ステップS54:制御部110は、電源スイッチ以外の指令スイッチが操作されたか否かを判断する。
ステップS55:電源スイッチ以外の指令スイッチが操作されていない場合には、ランプモード切替部110bはオートパワーオフモードに切り替えて電源ランプ101cを消灯する。一方、電源スイッチ以外の指令スイッチが操作されていれば、ステップS51−1に戻り、電源ランプ101cを点灯する。
ステップS56:制御部110は、作業部50が自動で圃場の隅部の畦塗り作業をすることが可能な姿勢にあると判断すると、自動可ランプ101fを点灯させる。
ステップS57:また制御部110は、作業部50が自動で隅部の畦塗り作業が可能な姿勢にあると判断すると、タイマー110cをスタートさせる。
ステップS58:制御部110は、タイマー110cがスタートしたときから所定時間内に自動角塗りスイッチ101e及び他の指令スイッチが操作されたか否かを判断する。本実施例では、所定時間を2分と設定している。この所定時間は自由な時間に設定可能である。制御部110は、所定時間内に自動角塗りスイッチ101e以外の指令スイッチが操作されたと判断すると、ステップS51−1に戻り、自動角塗りスイッチ101eが操作されていないと判断すると、ランプモード切替部110bは省エネモードに切り替える。自動角塗りスイッチ101eが操作されたと判断すると、省エネモードに切り替わらずステップS63に移行する。
ステップS59:制御部110のランプモード切替部110bは、ランプの点灯モードを省エネモードに切り替えて、電源ランプ101c、自動可ランプ101fをフラッシュモードで点滅させる。このとき、散布装置44を作動させている場合は、散布ランプ101qもフラッシュモードで点滅する。
ステップS60:制御部110のランプモード切替部110bは、自動的に作業部50が圃場の隅部を畦塗り作業するために、適正なオフセット位置及び姿勢にあるかどうかを揺動センサ27及び首振りセンサ28の検出値に基づいて判断する。
ステップS61:その結果、作業部50が適正なオフセット位置及び姿勢にない場合には、ランプモード切替部110bは、点灯モードを点灯モードを通常モードに切り替えて電源ランプ101cを点灯させ、自動可ランプ101fを消灯させる(ステップS53)。
ステップS62:ランプモード切替部110bは、作業部50が適正なオフセット位置及び姿勢にあると判断すると、自動角塗りスイッチ101eがオンされたか否かを判断する。
ステップS63:ランプモード切替部110bは、自動角塗りスイッチ101eがオンされたと判断すると、点灯モードを通常モードに切り替えて電源ランプ101cを点灯させ、自動可ランプ101fを点滅させる(ステップS63)。そして、ランプモード切替部110bは、自動角塗りスイッチ101eがオフされたか否かを判断し(ステップS63−1)、オフされていればステップS53に戻って自動可ランプ101fを消灯させる。自動角塗りスイッチ101eがオンのままであればステップS63に戻る。
ステップS64:ランプモード切替部110bは、自動角塗りスイッチ101e及び他の指令スイッチがオンされていないと判断すると、タイマー110cがスタートしたときから所定時間が経過しているか否かを判断する。本実施例では、所定時間は30分に設定されている。なお、この所定時間は前述した所定時間(例えば、2分)よりも長い任意の時間に設定することができる。
ステップS65:ランプモード切替部110bは、タイマー110cがスタートしたときから所定時間が経過する前に指令スイッチがオンされたと判断すると、通常モードに切り替えて電源ランプ101cを点灯させるためステップS51−1に戻る。
ステップS66:ランプモード切替部110bは、タイマー110cがスタートしたときから所定時間が経過していると判断すると、点灯モードをオートパワーオフモードに切り替えて電源ランプ101cを消灯させる。
以上のように、本実施形態では、電源ランプ101cが点灯した状態で、畦塗り機1の作業部50が自動で圃場の隅部を畦塗り作業可能な姿勢になると自動可ランプ101fが点灯するが、その後の自動角塗りスイッチ101eのオン操作が所定時間(例えば、2分)以内に無ければ、電源ランプ101c及び自動可ランプ101fがフラッシュモードで点灯する。さらに、その後、自動角塗りスイッチ101eのオン操作が所定時間(例えば、30分)以内に無ければ、電源ランプ101cは消灯する。このため、電源ランプ101c及び自動可ランプ101fが常に点灯する場合と比較して、電源113の容量低下を確実に抑制することができる。その結果、農作業中に電池交換を何度も行う必要がなくなり、またオンしたつもりの指令スイッチが作動しないような事態や、緊急時に操作ができなくなる事態を確実に抑制することができる。
なお、ランプモード切替部110bは、作業部50が自動で圃場の隅部を畦塗り作業ができるか否かを判断する際に、図12(b)に示すように、作業部50が適正な位置に移動した状態で畦塗り機1がリフトアップされると、作業部50は図13に示すように、浮き上がった状態となって畦塗り作業ができなくなる。このため、作業部50のオフセット位置と作業部50の向きを検出するセンサの他に、作業部50がリフトアップされたことを検出するセンサを設けることで、作業部50が自動で圃場の隅部を畦塗り作業が可能であるか否かの判断をより確実に行うことができる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。