JP6514072B2 - 液圧作動器におけるフラッシング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液圧によって作動する液圧作動器に対してフラッシングを行う方法に関する。
液圧によって作動する機器には、種々のものが存在する。例えば、下記特許文献に記載された車両用液圧ブレーキシステムでは、高圧源からの作動液が電磁式リニア弁によって圧力調整されて導入され、その導入された作動液の圧力に応じた出力を行う液圧作動器が開示されている。その液圧作動器は、いわゆるレギュレータと呼ばれるものであり、上記電磁式リニア弁を介して導入された作動液の圧力をパイロット圧として、そのパイロット圧に応じた圧力に、高圧源から供給される作動液を調圧し、その調圧された作動液をマスタシリンダ装置に供給するように構成されている。その液圧作動器を始め多くの液圧作動器では、内部に気泡や異物が停留する可能性に鑑みて、随時、高圧源からの作動液を勢い良く流すことで、内部のフラッシングが行われる。
特開2013−208987号公報
上記フラッシングは、ある程度の勢いで作動液を液圧作動器の内部に流す必要があるが、勢いが良過ぎる場合には、例えば、シューといった作動液の流動音(「摩擦音」と呼ぶこともできる)が激しくなることが予想される。そのような流動音は、液圧作動器の近くにいる人に違和感を与えかねない。特に、上記特許文献に記載されている車両用液圧ブレーキシステムの液圧作動器に関して言えば、フラッシングは、車両の非稼動時(例えば、エンジンを止めている時)に行われるが、搭乗者が必ずしも車室内から退避しているとは限らず、搭乗者が上記流動音を耳にすることもあり得る。そのため、フラッシングにおける流動音を抑制することが望ましく、そのような観点において実用性の高いフラッシング方法が期待されている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、液圧作動器における実用的なフラッシング方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のフラッシング方法は、上述の液圧作動器におけるフラッシング方法であって、当該液圧作動器に導入された作動液の圧力と当該液圧作動器の出力との一方を作動指標としてモニタし、その作動指標が設定値となるように、電磁式リニア弁への供給電流のフィードバック制御を行いつつ、その電磁式リニア弁を介して高圧源から導入される作動液によるフラッシングを行うことを特徴とする。
上記本発明のフラッシング方法によれば、上記作動指標の設定値を適切な値とすることにより、フラッシングにおいて充分なる作動液の流れを確保しつつ、その流れが過度にならないようにすることが可能である。その結果として、上述の流動音を抑制することが可能となる。そのような効果を有することで、本発明のフラッシング方法は、実用的な方法となり得るのである。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項〜(11)項の各々が、請求項1〜請求項11の各々に相当する。
(1)高圧源からの作動液が電磁式リニア弁によって圧力調整されて導入され、その導入された作動液の圧力に応じた出力が実現される液圧作動器におけるフラッシングの方法であって、
前記導入された作動液の圧力である導入圧と当該液圧作動器の前記出力との一方を作動指標としてモニタし、その作動指標が設定値となるように、その作動指標に基づいて前記電磁式リニア弁への供給電流のフィードバック制御を行いつつ、その電磁式リニア弁を介して前記高圧源から導入される作動液によるフラッシングを行うことを特徴とするフラッシング方法。
本項の態様は、請求可能発明の基本的な態様である。本態様の対象となる液圧作動器では、電磁式リニア弁への供給電流を変更することにより、その電磁式リニア弁の開度(開弁のし易さ)を変更することができ、その変更によって、フラッシングにおける作動液の流速(単位時間当たりの流量)を変更することができる。フラッシングにおいても、作動液の流速が大きくなれば上記導入圧が高くなり、上記出力が高くなる。したがって、本態様のように、導入圧と出力との一方を上記作動指標としてモニタし、その作動指標に基づくことによって、フラッシングにおける作動液の流速を制御することが可能である。そのことに鑑みて、本態様では、その作動指標が設定値となるように、その作動指標に基づく電磁式リニア弁への供給電流のフィードバック制御を行うようにしている。したがって、本態様によれば、上記設定値を適切な値とすることで、フラッシングに充分な作動液の流速を担保しつつ、その作動液の流速が過度に高くならないようにすることが可能である。その結果、上述した流動音、つまり、作動液が流路を流れる際にそれらの間の摩擦によって発生する音(例えば、シューといった音)を抑制することが可能となるのである。
本態様が適用される「液圧作動器」は、例えば、先に説明した「調圧器」が代表的なものであるが、必ずしもそれに限定されない。例えば、液圧ブレーキシステムにおけるマスタシリンダ装置,ブレーキ装置等、「高圧源からの作動液が電磁式リニア弁によって圧力調整されて導入され、その導入された作動液の圧力に応じた出力が実現される液圧作動器」であれば、種々の液圧作動器に適用することが可能である。それに関連して、液圧作動器の「出力」は種々のものが採用され得る。例えば、上述の調圧器の場合には、その調圧器から供給される作動液の圧力を採用することができる。また、調圧器がアクチュエータ的なものである場合には、動作量,動作力等も、出力として採用し得る。つまり、作動指標としての「出力」は、強度因子的なものであってもよく、容量因子的なものであってもよいのである。
ちなみに、作動指標に関する上記「設定値」は、上記流動音を抑制するという目的の下、その流動音を聞き取れない程度の作動液の流速となる値に設定することが望ましく、さらには、流動音が聞き取れず、かつ、できるだけ大きな作動液の流速が得られるような値とすることが望ましい。
なお、本項におけるフラッシングは、液圧作動器自体のフラッシングに留まらず、液圧作動器に供給される作動液を調整する電磁式リニア弁のフラッシングをも含む概念である。電磁式リニア弁のフラッシングも、当該液圧作動器,電磁式リニア弁を含んで構成される液圧システムを健全な状態に保つための重要な処置となり得る。
(2)前記液圧作動器が、前記導入圧がパイロット圧となって作動するスプール弁機構を備え、そのスプール弁機構によって、前記高圧源から供給される作動液を前記導入圧に応じた高さに調圧しつつ、その調圧された作動液を供給する調圧器であり、
その調圧器における( 1)項に記載のフラッシング方法。
本項の態様は、液圧作動器をスプール弁式の「調圧器」に限定した態様である。スプール弁式調圧器では、一般に、導入圧となる作動液はパイロット圧室に導入され、そのパイロット圧室の作動液の圧力と、当該調圧器から供給される作動液の圧力とのバランスによって、その供給される圧力が、スプール弁機構によって調圧される。したがって、パイロット圧室内のエア,異物の停留は、調圧器の調圧精度に比較的大きな影響を与えるため、パイロット圧室のフラッシングは、調圧器における重要な処置となる。一方で、スプール弁式調圧器のパイロット圧室は、比較的複雑な形状であることが多く、複雑な形状の場合にはエアが停留し易い。そのことからも、スプール弁式調圧器のパイロット圧室のフラッシングは、重要な処置となる。以上のことに鑑みれば、スプール式弁調圧器のパイロット圧室を対象とする本項の態様は、実用的な態様となる。
なお、上記パイロット圧室の作動液の圧力、つまり、導入圧の調整は、一般に、上記電磁式リニア弁を増圧用リニア弁とし、パイロット圧室と低圧源との間に介在させられたもう1つの電磁式リニア弁を減圧用リニア弁とし、それら2つの電磁式リニア弁が協働して行うのが一般的である。そのような構成を採用する場合、フラッシングの際には、減圧用リニア弁となる電磁式リニア弁を、開弁状態に保つことが望ましい。
(3)前記調圧された作動液の圧力である制御圧を前記作動指標として、その制御圧が前記設定値としての設定圧となるように、前記フィードバック制御を行う( 2)項に記載のフラッシング方法。
調圧器を含んで構成される一般的な液圧システムでは、調圧器からの出力、すなわち、調圧器によって調圧されてその調圧器から供給される作動液の圧力が制御されることが多い。つまり、一般的な液圧システムでは、その供給される作動液の圧力、すなわち、制御圧がモニタされることが多く、その制御圧をモニタするセンサが設けられている。したがって、本態様によれば、一般的な液圧システムにおいては、既に設けられているセンサを利用して、作動指標を取得することができるのである。
(4)前記電磁式リニア弁が、前記高圧源からの作動液の圧力と前記導入圧との圧力差によって開弁し、前記供給電流が大きい程前記圧力差が小さくても開弁するように構成されたものであり、
その電磁式リニア弁を介して行う( 1)項ないし( 3)項のいずれか1つに記載のフラッシング方法。
本項における「電磁式リニア弁」は、増圧用の一般的な常閉型のポペット式リニア弁である。そのようなリニア弁は、異物の噛み込み、エアの停留の可能性が高く、そのようなリニア弁をもフラッシングの対象とする本態様のフラッシング方法は、極めて実用的である。なお、本項における電磁式リニア弁は、供給電流を大きくする程、自身の開度(開弁し易さ)が高くなるリニア弁と考えることができる。
(5)前記フィードバック制御を、
前記作動指標が前記設定値より低い場合には、前記供給電流を設定増大値だけ大きくし、前記作動指標が設定値より高い場合には、前記供給電流を設定減少値だけ小さくするようにして行う( 4)項に記載のフラッシング方法。
本態様は、フィードバック制御の手法に関する限定を加えた態様である。本態様によれば、設定増大値,設定減少値を、適切な値とすることにより、フィードバック制御において、電磁式リニア弁への供給電流を漸変させることが可能である。具体的には、例えば、作動指標が設定値からある程度はなれている場合に、フィードバック制御の1サイクルにおいて比較的小さい値だけ供給電流を大きく若しくは小さくし、それを複数のサイクルに渡って連続して行わせることで、供給電流を比較的緩やかに増加若しくは減少させることができるのである。つまり、供給電流の漸変によって作動液の流速の急激な変化を抑制することができ、本態様は、上述の流動音の抑制に貢献する態様となる。
(6)前記フィードバック制御において、前記供給電流の上限としての上限電流が設定されている( 4)項または( 5)項に記載のフラッシング方法。
本態様では、供給電流の上限値が定められているため、電磁式リニア弁の開度についての制限が設けられることになる。供給電流の上限値が定められることで、本態様によれば、フラッシングにおける作動液の流速をより確実に抑えることができ、より確実に上述の流動音を抑制することが可能となる。
(7)当該フラッシングを、開始時における前記供給電流である初期電流が前記フィードバック制御において設定されている前記上限電流よりも小さくなるようにして行う( 6)項に記載のフラッシング方法。
一般的に、フラッシングの開始時に流速が一番高くなることが予想される。特に、例えば、高圧源がアキュムレータを含んで構成されているような場合、高圧源が稼動していなくても、そのアキュムレータに残存している作動液によってフラッシングを行うことが可能である。その場合、フラッシングの開始時には、アキュムレータの中の作動液の圧力が高く、開始時において、作動液の流速は最も高くなることが予想される。本態様は、主に、それらのことに鑑みた態様であり、本態様によれば、フラッシング開始時に、電磁式リニア弁への供給電流を比較的小さく制限することで、作動液の流速を抑え、上記流動音を抑制することが可能である。
(8)前記初期電流が前記上限電流の50%以下とされている( 7)項に記載のフラッシング方法。
本態様は、上述の初期電流の大きさに限定を加えた態様である。本態様によれば、フラッシング開始時において、充分に、作動液の流速を抑え、上記流動音を抑制することが可能である。
(9)当該フラッシングを、開始直後において、前記供給電流を一旦前記初期電流に維持するようにして行う( 7)項または( 8)項に記載のフラッシング方法。
本態様によれば、フラッシングの開始後のある程度の時間内において、作動液の流速を抑え、上記流動音を抑制することが可能である。
(10)前記フィードバック制御を、前記供給電流が、前記初期電流より大きくかつ前記上限電流より小さく設定された開始電流となることを条件として開始するようにし、
前記初期電流から前記開始電流までの間で、前記供給電流を漸増させる( 7)項ないし( 9)項のいずれか1つに記載のフラッシング方法。
本態様によれば、フラッシングの開始後、上記フィードバック制御が行われるまでの間、電磁式リニア弁への供給電流が比較的緩やかに増加させられるため、円滑なフラッシングが担保されることになる。なお、本態様は、円滑なフラッシングという観点からすれば、先の態様、つまり、フィードバック制御において供給電流を設定増大値だけ大きく若しくは設定減少値だけ小さくする態様において、特に有効である。
(11)前記液圧作動器が、前記導入圧がパイロット圧となって作動するスプール弁機構を備え、そのスプール弁機構によって、前記高圧源から供給される作動液を前記導入圧に応じた高さに調圧しつつ、その調圧された作動液を供給する調圧器であり、かつ、その調圧器が、車両用液圧ブレーキシステムにおいて用いられるものであり、
その車両用液圧ブレーキシステムが、車輪に設けられたブレーキ装置と、そのブレーキ装置に作動液を供給するとともにブレーキ操作部材が接続されたマスタシリンダ装置とを備え、そのマスタシリンダ装置が、前記調圧器から供給される作動液が導入され、前記ブレーキ操作部材に加えられた運転者による操作力に依らずに、その導入された作動液の圧力に応じた圧力の作動液を前記ブレーキ装置に供給するように構成されたものであり、
その車両用液圧ブレーキシステムの前記調圧器における( 1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のフラッシング方法。
本態様は、フラッシング方法の適用を車両用液圧ブレーキシステムに限定した態様である。上記調圧器を有する本項に係る液圧ブレーキシステムでは、ブレーキ装置が発生させるブレーキ力が、運転者によるブレーキ操作力に依らずに、調圧器から供給される作動液の圧力に応じた力、つまり、電磁式リニア弁によって圧力調整されて調圧器に導入された作動液の圧力に応じた力となる。先に説明したように、調圧器のパイロット圧室内のエア,異物の停留は、調圧器の調圧精度に比較的大きな影響を与えることから、発生させられるブレーキ力の大きさの精度にも影響を与える。したがって、上記液圧ブレーキシステムにおけるフラッシングは重要な処置である。一方で、先に説明したように、車両用液圧ブレーキシステムにおけるフラッシングの上記流動音は、搭乗者に違和感を与える。そのことに鑑みれば、フラッシングに充分な作動液の流速を担保しつつ流動音を抑制できる本態様のフラッシング方法は、車両用液圧ブレーキシステムにおいて実用的なフラッシング方法となる。
実施例のフラッシング方法が適用される液圧作動器を含んで構成された車両用液圧ブレーキシステムを示す液圧回路図である。 車両用液圧ブレーキシステムを構成し、実施例のフラッシング方法が適用される液圧作動器としての調圧器を示す断面図である。 車両用液圧ブレーキシステムを構成する増圧リニア弁および減圧リニア弁の構造を示す断面図である。 従来検討されていたフラッシング方法におけるアキュムレータ圧,作動液の流速,増圧リニア弁への供給電流の変化を示すグラフである。 実施例のフラッシング方法におけるアキュムレータ圧,作動液の流速,増圧リニア弁への供給電流,サーボ圧の変化を示すグラフである。 実施例のフラッシング方法を行うために実行されるフラッシングプログラムを示すフローチャートである。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例であるフラッシング方法を、当該フラッシング方法が適用される液圧作動器を含んで構成される車両用液圧ブレーキシステムを図を参照しつつ説明した後に、説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
(A)車両用液圧ブレーキシステムの構成
i)全体構成
実施例のフラッシング方法が適用される液圧作動器を含んで構成される車両用液圧ブレーキシステムは、図1に示すように、各車輪10に設けられたブレーキ装置12と、ABSユニット14と、ABSユニット14を介して作動液をブレーキ装置12に加圧して供給するマスタシリンダ装置16と、マスタシリンダ装置16に接続されたブレーキ操作部材であるブレーキペダル18と、高圧源である高圧源装置20と、高圧源装置20からの高圧の作動液を調圧してマスタシリンダ装置16に供給する当該液圧作動器であるレギュレータ22と、レギュレータ22に高圧源装置20から供給される作動液の圧力をパイロット圧として調整するための電磁式リニア弁である増圧リニア弁24および減圧リニア弁26と、低圧源としてのリザーバ28とを含んで構成される。列挙した構成要素は、いずれも、公知のものであるため、以下の説明は、簡単に行うこととする。
ii)ブレーキ装置およびABSユニット
ブレーキ装置12は、ブレーキシリンダを含んで構成される一般的なキャリパ型ディスクブレーキ装置であり、また、ABSユニット14も、車輪10がスリップした場合に機能する一般的なものである。そのため、フラッシング方法との技術的関係が薄いことにも鑑みて、ここでの説明は省略する。
iii)マスタシリンダ装置
マスタシリンダ装置16は、環状の区画壁40によって内部が前方室,後方室に区画されるとともに、ストロークシミュレータ42が一体的に付設されたハウジング44を有している。前方室内には、第1加圧ピストン46,第2加圧ピストン48が配設されており、後方室内には、後端部にブレーキペダル18が連結された入力ピストン50が配設されている。第1加圧ピストン46,第2加圧ピストン48は、それぞれ、前進することで作動液を加圧し、その加圧した作動液を、前輪側のブレーキ装置12,後輪側のブレーキ装置12に供給する。入力ピストン50は、ブレーキペダル18に加えられたブレーキ操作力δPDLによって前進する。ちなみに、ブレーキ操作力δPDLは、操作力センサ52によって検出される。
第2加圧ピストン48は、区画壁40を貫通して後方室内に延び出しており、入力ピストン50との間には、ピストン間室R1が形成されている。また、第2加圧ピストン48は、鍔54を有しており、その鍔54と区画壁40との間には環状の入力室R2が形成されている。この入力室R2には、後に説明するが、レギュレータ22によって調圧された作動液が導入される。一方で、鍔54の前方側には、鍔54を挟んで入力室R2と対向する環状の対向室R3が形成されている。ストロークシミュレータ42には、対向室R3の作動液が導入される。
通常状態における車両の稼動時(イグニッションスイッチがONとされた状態)には、開閉弁60によってピストン間室R1と対向室R3とは連通させられて1つの液室が構成されるとともに、その液室は、開閉弁62によって、リザーバ28との連通が遮断されている。第2加圧ピストン48を前方に移動させる向きの力を発生させるためにピストン間室R1の作動液の圧力を受ける第2加圧ピストン48の受圧面積と、第2加圧ピストン48を後方に移動させる向きの力を発生させるために対向室R3の作動液の圧力を受ける第2加圧ピストン48の受圧面積とは、等しくされており、そのため、ブレーキペダル18に加わるブレーキ操作力δPDLは、入力ピストン50を介しては第2加圧ピストン48には伝達されない。その状態では、入力室R2の作動液の圧力によって第2加圧ピストン48は前進し、ブレーキ装置12は、入力室R2の作動液の圧力に応じた大きさのブレーキ力を発生させる。
なお、詳しい説明は省略するが、電気的失陥等に陥った場合は、入力ピストン50が第2加圧ピストン48に当接して、ブレーキ操作力δPDLは、入力ピストン50を介して第2加圧ピストン48に伝達されるようになっており、その状態では、ブレーキ装置12は、ブレーキ操作力δPDLに依存したブレーキ力を発生可能とされている。
iv)高圧源装置
高圧源装置20は、リザーバ28から作動液を汲み上げて加圧するポンプ装置64と、加圧された作動液を貯留するアキュムレータ66とを含んで構成されている。高圧源装置20から供給される作動液の圧力は、アキュムレータ圧PACCとして、アキュムレータ圧センサ68によってモニタされており、車両の稼動時では、アキュムレータ圧PACCが設定範囲内に収まるように、ポンプ装置64が制御駆動される。
v)レギュレータ
レギュレータ22は、それを拡大して示す図2をも参照しつつ説明すれば、スプール弁機構80を主体とするスプール弁式の調圧器であり、ハウジング82の中に、スプール84とピストン86とが配設されている。当該レギュレータ22の左側を一端側、右側を他端側と呼ぶことにすれば、スプール84の一端側とピストン86の他端側との間、つまり、それらの間には、第1パイロット圧室R4が形成されており、ピストン86の一端側には、第2パイロット圧室R5が、スプール84の他端側には、当該レギュレータ22から調圧されて供給される作動液の圧力が導入される調圧室R6が、それぞれ形成されている。一方で、ハウジング82には、高圧源装置20と連通する高圧ポートP1、マスタシリンダ装置16を介してリザーバ28と連通する低圧ポートP2、当該レギュレータ22から調圧された作動液をマスタシリンダ装置16に供給するための調圧ポートP3、第1パイロット圧室R4に作動液を導入するための第1パイロット導入ポートP4、第1パイロット圧室R4から作動液を排出するための第1パイロット排出ポートP5、第2パイロット圧室R5をマスタシリンダ装置16とブレーキ装置12との間の液通路とするための第2パイロットポートP6,P7が、それぞれ設けられている。
通常状態では、第1パイロット圧室R4の作動液の圧力と、調圧室R6の作動液の圧力とのバランスによって、スプール84が一端側若しくは他端側に移動する。スプール84が移動範囲における一端側に位置する場合には、低圧ポートP2と調圧ポートP3との連通が許容されるともに高圧ポートP1と調圧ポートP3との連通が遮断される。スプール84が他端側に移動することによって、低圧ポートP2と調圧ポートP3との連通が遮断されるとともに高圧ポートP1と調圧ポートP3との連通が許容される。したがって、そのような動作を行うスプール弁機構80を有する当該レギュレータ22では、高圧源装置20からの作動液が、第1パイロット圧室R4の作動液の圧力(以下、「パイロット圧PPLT」と呼ぶ場合がある)に応じた圧力に調圧されて、マスタシリンダ装置16に、詳しくは、それの入力室R2に供給される。なお、その供給される作動液の圧力は、パイロット圧PPLTの調整によって制御される制御圧であり、その圧力をサーボ圧PSRVと呼ぶこととする。サーボ圧PSRVは、サーボ圧センサ88によってモニタされている。また、パイロット圧は、第1パイロット圧室R4に導入される圧力であることから、「導入圧」と呼ぶことも可能である。
ちなみに、電気的失陥等に陥っている状態では、実効的なパイロット圧PPLTが発生しないが、パイロット圧PPLTに代わって、第2パイロット圧室R5に導入された作動液の圧力と調圧室R6の作動液の圧力とのバランスによって、当該レギュレータ22による調圧が可能とされている。その機能の説明については、省略する。
vi)増圧リニア弁および減圧リニア弁
増圧リニア弁24は、図3(a)に示す構造のものであり、ハウジング160と、コイル162と、ハウジング16内に配設されたプランジャ164とを含んで構成されている。ハウジング160の下端が入力ポートP8として機能し、高圧源装置20に連通している。一方で、ハウジング160の側周部には出力ポートP9が設けられ、その出力ポートP9は、レギュレータ22の第1パイロット導入ポートP4、すなわち、第1パイロット圧室R4と連通している。ハウジング160には、弁座166が設けられ、プランジャ164は、弁子として機能する下端部が弁座166に対して着座,離座可能とされている。圧縮コイルスプリングであるスプリング168は、プランジャ164の先端が弁座166に着座する方向(以下、「着座方向」と呼ぶ場合がある)に、プランジャ164を付勢している(以下、その付勢力を「弾性付勢力FK」と呼ぶ場合がある)。ハウジング160の上端部はコアとして機能し、コイル162に電流を供給することにより、プランジャ164に対して、プランジャ164の先端が弁座166から離座する方向(以下、「離座方向」という場合がある)に作用する電磁作用力FEを発生させる。この、電磁作用力FEは、供給される電流が大きくなる程大きくなる。一方で、入力ポートP8における作動液の圧力と出力ポートP9における作動液の圧力の差、つまり、アキュムレータ圧PACCとパイロット圧PPLTとの圧力差に基づく差圧作用力FPが、プランジャ164に対して、離座方向に作用する。
上記のような構造から、増圧リニア弁24は、常閉型の電磁式リニア弁であり、弾性付勢力FK,電磁作用力FE,差圧作用力FPのバランスを考慮して当該増圧リニア弁24に供給される電流(以下、「供給電流IA」と言う場合がある)を制御することにより、その供給電流IAに応じた圧力の作動液をレギュレータの第1パイロット圧室R4に供給する。ちなみに、供給電流IAを大きくする程、開度(開弁のし易さ)が高くなり、高い圧力の作動液を第1パイロット圧室R4に供給可能とされている。
それに対して、減圧リニア弁26は、図3(b)に示す構造のものであり、増圧リニア弁24と同様に、ハウジング170と、コイル172と、プランジャ174とを含んで構成されている。ハウジング170の下端が入力ポートP10として機能し、レギュレータ22の第1パイロット排出ポートP5、すなわち、第1パイロット圧室R4と連通している。一方で、ハウジング170の側周部には出力ポートP11が設けられ、その出力ポートP11は、マスタシリンダ装置16を介してリザーバ28に連通している。増圧リニア弁24と同様、ハウジング170には、弁座176が設けられ、プランジャ174は、弁子として機能する下端部が弁座176に対して着座,離座可能とされている。本減圧リニア弁26では、圧縮コイルスプリングであるスプリング178は、弾性付勢力FKによって離座方向にプランジャ174を付勢している。プランジャ174の上端部はコアとして機能し、コイル172に電流を供給することにより、プランジャ174に対して着座方向に作用する電磁作用力FEを発生させる。この、電磁作用力FEは、供給される電流が大きくなる程大きくなる。一方で、入力ポートP10における作動液の圧力と出力ポートP11における作動液の圧力の差、つまり、パイロット圧PPLTとリザーバ圧PATM(概ね大気圧である)との圧力差に基づく差圧作用力FPが、プランジャ174に対して、離座方向に作用する。
上記のような構造から、減圧リニア弁26は、常開型の電磁式リニア弁であり、弾性付勢力FK,電磁作用力FE,差圧作用力FPのバランスを考慮して当該減圧リニア弁26に供給される電流(以下、「供給電流IR」と言う場合がある)を制御することにより、その供給電流IRに応じた圧力に、レギュレータ22の第1パイロット圧室R4の作動液の圧力を維持させる。ちなみに、供給電流IRを大きくする程、開度が低くなり、第1パイロット圧室R4の作動液の圧力を高く維持することが可能とされている。
vii)車両用液圧ブレーキシステムの作動
本車両用液圧ブレーキシステムの作動は、制御装置としての電子制御ユニット(ECU)190によって制御される(図1参照)。ECU190は、コンピュータ,ドライバ等によって構成されている。車両が稼動状態にある場合には、開閉弁60,開閉弁62は励磁され、マスタシリンダ装置16のピストン間室R1と対向室R3とが連通され、それらとリザーバ28との連通は遮断される。したがって、ブレーキ装置12は、マスタシリンダ装置16の入力室R2に導入される作動液の液圧、すなわち、レギュレータ22から供給される作動液の圧力であるサーボ圧PSRVに応じたブレーキ力を発生させる。
ブレーキペダル18が踏まれてブレーキ操作力δPDLが付与されると、ECU190は、そのブレーキ操作力δPDLに基づいて、必要とされるブレーキ力を求める。その必要とされるブレーキ力に基づき、必要とされるサーボ圧PSRVである目標サーボ圧P* SRVを求め、実際のサーボ圧PSRVが目標サーボ圧P* SRVとなるように、サーボ圧PSRVに基づくフィードフォワード制御およびフィードバック制御を行う。それらの制御によって決定された供給電流IA,供給電流IRが、それぞれ、増圧リニア弁24,減圧リニア弁26に供給される。このようにして、ECU190は、ブレーキ装置12において、ブレーキ操作力δPDLに依存することなく、そのブレーキ操作力δPDLに応じた大きさのブレーキ力を発生させるのである。
なお、電気的失陥等に陥った場合には。、開閉弁60,開閉弁62は非励磁状態とされブレーキ操作力δPDLに依存したブレーキ力が発生させられる。ちなみに、その際、アキュムレータ66に高圧の作動液が残存している間だけ、レギュレータ22の第2パイロット圧室R5の作動液の圧力を利用してサーボ圧PSRVが発生させられ、マスタシリンダ装置16において、そのサーボ圧PSRVによるブレーキ操作力δPDLのアシストが行われる。
(B)レギュレータに対するフラッシング
i)フラッシングの必要性とフラッシングにおける問題
液圧作動器であり、調圧器であるレギュレータ22は、当該車両用液圧ブレーキシステムにおいて、ブレーキ力が依拠するサーボ圧PSRVを調整するものであり、そのサーボ圧PSRVの制御精度は、発生させられるブレーキ力の制御精度を左右する。一方で、液圧を利用したシステムでは、作動液のエアレーションや、作動液への異物の混入等によって、当該システムの液圧回路内の各所に、それらエア(気泡)や異物が停留することが予想される。それらの停留は、サーボ圧PSRVの制御精度、ひいては、発生させられるブレーキ力の制御精度に大きな悪影響を与えかねない。それらのことに鑑みて、当該車両用液圧ブレーキシステムでは、随時、レギュレータ22のフラッシングを行うこととしている。
図2から理解できるように、レギュレータ22の第1パイロット圧室R4は、比較的複雑な形状とされており、特に、エア等が停留し易いと考えられる。そこで、フラッシングは、第1パイロット圧室R4を、主たる対象とし、その第1パイロット圧室R4に、高圧源装置20からの作動液を、増圧リニア弁24を介して流し込むことによって行う。ちなみに、その際、減圧リニア弁26は開弁状態(非励磁状態)とされたままであり、流し込まれた作動液は、減圧リニア弁26を介してリザーバ28に吐き出される。このようにして行うフラッシングは、厳密には、レギュレータ22だけを対象とするものではなく、増圧リニア弁24,減圧リニア弁26をも対象とするものと考えることもできる。
上記フラッシングは、車両の非稼動時において行われる。詳しく言えば、車両のイグニッションスイッチがOFFとされた時点から、搭乗者の降車を考慮して設定された時間が経過した後に、ECU190の制御によって、自動的に行われる。その際、高圧源装置20のポンプ装置64を作動させることなく、高圧源装置20からの作動液として、アキュムレータ66に残存する作動液をフラッシングに用いることが可能である。
フラッシングは可及的に勢いよく作動液を流すのが望ましいという観点から、上記フラッシングにおいて、開始時点から、増圧リニア弁24を、全開状態、つまり、供給可能な最大の電流である最大供給電流IA-MAX若しくはそれに近い大きな電流が供給れる状態とすることが検討された。そのようにして行う場合の、供給電流IA、作動液の流速(単位時間あたりの流量)、アキュムレータ圧PACCの開始時点からの時間的変化は、図4に示すようになる。
図4から解るように、フラッシングの開始直後のある時間的区間(図においてハッチングが施してある区間)では、アキュムレータ圧PACCが比較的高く、作動液の流速が相当に高くなっている。つまり、フラッシング開始初期では相当に勢い良く作動液が流れるこことになる。作動液の流れの勢いが強いことは、エアの吐き出しには好都合である。ところが、勢いが良過ぎると、例えば、作動液の流れと流路との摩擦等により、流動音(例えばシューという音)が発生する可能性が高い。
車両の非稼動時にフラッシングが行われるが、必ずしも、搭乗者が降車しているとは限らず、車内に残っている場合もある。その場合には、上記流動音は、搭乗者に違和感を与えることになる。従来から検討されていたフラッシングは、この流動音に関する問題を抱えることが予想される。そのような問題に鑑み、フラッシングには、充分な作動液の流れを確保しつつ、流動音の発生を抑えることが望まれるのである。
ii)実施例のフラッシング方法
上記問題に鑑み、実施例のフラッシング方法では、レギュレータ22の出力であるサーボ圧PSRVが、作動指標としてモニタされ、そのサーボ圧PSRVが設定圧PSRV-S(設定値)となるように、供給電流IAのフィードバック制御が実行される。フラッシングにおいては、減圧リニア弁26は、非励磁のまま、つまり、開弁状態とされているが、レギュレータ22の第1パイロット圧室R4に作動液が流入すれば、パイロット圧PPLTは増加し、それに応じて、サーボ圧PSRVも増加する。そして、そのときのパイロット圧PPLT,サーボ圧PSRVは、作動液の流速が大きくなる程高くなる。したがって、サーボ圧PSRVをモニタすれば、作動液の流速をコントロールすることができるのである。そのことを利用して、実施例のフラッシング方法では、モニタされたサーボ圧PSRVが設定圧PSRV-S(設定値)となるように、供給電流IAのフィードバック制御が実行される。なお、設定圧PSRV-Sは、車室内の人が上記流動音を聞き取れない程度の作動液が流れるような値に設定されれており、かつ、できるだけ大きな流速が得られる値に設定されている。具体的には、通常のブレー力を発生させる場合のサーボ圧PSRVが10MPa程度であり、上記設定圧PSRV-Sは、0.5MPa以下に設定されている。実施例のフラッシング方法は、具体的には、図5に示すように、行われる。
詳しく説明すれば、実施例のフラッシングにおいては、どのようなアキュムレータ圧PACCであっても流動音が発生しないであろうとの推測の下、供給電流IAの上限、つまり、上限電流IA-LIMが設定されており(最大供給電流IA-MAXよりも低く設定されている)、フラッシングの開始時には、その上限電流IA-LIMの50%以下、具体的には、上限電流IA-LIMの1/3の大きさの電流が、初期電流IA-INTとして、供給される。そして、フラッシングの開始直後には、その初期電流IA-INTが一旦維持される。具体的には、ある程度短い時間に設定された初期期間ΔtINT維持される。後に詳しく説明するが、フラッシングは、ECU190がフラッシングプログラムを、一定の実行ピッチで、繰り返し実行することによって行われ、その実行ピッチ、つまり、制御サイクルδtの合計が、初期期間ΔtINTとなる間、初期電流IA-INTが維持されるのである。
上記フィードバック制御を開始させるための電流として、開始電流IA-STが、初期電流IA-INTより大きくかつ上限電流IA-LIMより小さい値に設定されており、初期期間ΔtINTに続く漸増期間ΔtICにおいて、その開始電流IA-STとなるまで、供給電流IAが漸増させられる。具体的には、1つの制御サイクルδtの経過ごとに、設定されている漸増電流δIA-IC0ずつ供給電流IAが増大させられる。言い換えれば、制御サイクルδtの合計が、漸増期間ΔtICとなる間、供給電流IAが増大させられるのである。そして、供給電流IAが開始電流IA-STとなった後、続く維持期間ΔtRETにおいて、供給電流IAが開始電流IA-STに維持される。初期期間ΔtINTと同様に、制御サイクルδtの合計が、維持期間ΔtRETとなる間、開始電流IA-STが維持されるのである。
維持期間ΔtRETの経過後に、つまり、供給電流IAが開始電流IA-STとなること条件として、上述のフィードバック制御が開始される。フィードバック制御では、サーボ圧PSRVがモニタされ、そのモニタされたサーボ圧PSRVが設定圧PSRV-S以下の場合には、制御サイクルδtごとに、設定増大電流δIA-IC1ずつ供給電流IAが増大させられ、設定圧PSRV-Sを超えている場合には、制御サイクルδtごとに、設定減少電流δIA-DC1ずつ供給電流IAが減少させられる。フィードバック制御は、設定されたフィードバック制御期間ΔtFBだけ、つまり、制御サイクルδtの合計がフィードバック制御期間ΔtFBとなるまで、実行される。
実施例のフラッシング方法では、上記上限電流IA-LIMが増圧リニア弁24に供給された場合に、サーボ圧PSRVが僅かに設定圧PSRV-Sを上回るように、上記上限電流IA-LIMが設定されている。したがって、フィードバック制御期間ΔtFBの初期においては、供給電流IAが、漸増させられることになる。逆に言えば、フィードバック制御期間ΔtFBの初期において供給電流IAが漸増するように、上記設定増大電流δIA-IC1が設定されているのである。
図から解るように、フィードバック制御においてサーボ圧PSRVが一旦設定圧PSRV-Sとなった後には、概ね、供給電流IAは増減を繰り返し、サーボ圧PSRVも増減を繰り返す。つまり、供給電流IA,サーボ圧PSRV,作動液の流速は、あたかも脈動するように変化する。そして、上記フィードバック制御期間ΔtFB経過後に、フィードバック制御の実行を終了し、設定された終了期間ΔtENDにおいて、供給電流IAが0にまで漸減させられる。つまり、制御サイクルδtの合計が終了期間ΔtENDとなる間、制御サイクルδtごとに設定された漸減電流δIA-DC0ずつ供給電流IAが減少させられる。
なお、実施例のフラッシング方法では、高圧源装置20のポンプ装置64は、車両稼動時において設定されているアキュムレータ圧PACCの範囲よりある程度低く設定されている設定アキュムレータ圧PACCとなるように、駆動される。
iii)フラッシングプログラム
先に説明したように、実施例のフラッシング方法は、ECU190が、図6にフローチャートを示すフラッシングプログラムを実行することによって行われる。先の説明と重複するので、このプログラムの説明は、簡単に行う。
フラッシングプログラムは、車両が非稼動時となった時点から、所定時間(例えば、2分)経過した後に実行が開始される。プログラムは、先に説明したように、所定のピッチごとに、つまり、所定の制御サイクルで繰り返し実行される。プログラムの実行にあたっては、時間カウンタtが、当該プログラムの1回の実行ごとに、制御サイクルδtずつカウントアップされる。当該プログラムの実行において、まず、時間カウンタtの示す時間が、上述した初期期間ΔtINT,漸増期間ΔtIC,維持期間ΔtRET,フィードバック制御期間ΔtFB,終了期間ΔtENDのいずれにあるかが判断される。
判断の結果、初期期間ΔtINTであると判断された場合には、供給電流IAが上述の初期電流IA-INTに決定される。また、漸増期間ΔtICであると判断された場合には、供給電流IAが、上述の漸増電流δIA-IC0だけ増加させられ、維持期間ΔtRETであると判断された場合には、供給電流が上述の開始電流IA-STに維持される。フィードバック制御期間ΔtFBであると判断された場合には、サーボ圧センサ88によって検出されているサーボ圧PSRVが設定圧PSRV-Sより大きいか否かが判断され、設定圧PSRV-Sより大きい場合には、供給電流IAが、上述の設定減少電流δIA-DC1だけ小さくされ、設定圧PSRV-S以下の場合には、供給電流IAが上述の設定増大電流δIA-IC1だけ大きくされる。なお、増大若しくは減少させられた供給電流IAが、上述の上限電流IA-LIMを超えている場合には、供給電流IAは、上限電流IA-LIMに決定される。さらに、終了期間ΔtENDである場合には、供給電流IAが上述の漸減電流δIA-DC0だけ小さくされる。
以上のように決定された供給電流IAが、増圧リニア弁24に供給されることで、上述したようなフラッシング、つまり、図5に示すようなフラッシングが行われる。プログラムの1回の実行において供給電流IAが決定された後に、上述した時間カウンタtのカウントアップが行われる。なお、終了期間をも経過していると判断された場合には、当該プログラムの次回の実行を停止する処理が行われるとともに、時間カウンタtが初期値にリセットされる。
iv)実施例のフラッシング方法によるメリット
実施例のフラッシング方法によれば、サーボ圧PSRVに基づく上記フィードバック制御により、フラッシングにおける作動液の流速が過度になることが抑制されるため、上述した流動音の発生を抑制することができる。また、パイロット圧PPLTが極端に高くなることが抑制されるため、第1パイロット圧室R4に流し込む作動液の流速を適度に維持することが可能となる。それらのおかげで、従来検討されてきた上記フラッシング方法と異なり、高圧源装置20のポンプ装置64の作動を維持して高圧源装置20からの作動液の圧力を比較的高く維持することができ、適度な流速のフラッシングを長い時間行うことが可能となっている。
また、フィードバック制御の最中では、上述したように、作動液の流速が脈動的に、すなわち、揺らぐように変化する。その変化は、第1パイロット圧室R4に停留する気泡の吐き出しに対して、好適に作用することになる。つまり、上記フィードバック制御における作動液の流れの変化は、比較的複雑な形状の液室からの気泡の吐き出しを推進するのである。
さらに、実施例のフラッシング方法では、フラッシングの開始時に増圧リニア弁24への供給電流IAが比較的小さく抑えられており、その比較的小さな供給電流IAが、開始時点から所定の時間維持されている。そのため、アキュムレータ圧PACCが高くて作動液の流速が早くなりがちなフラッシングの初期の段階において、効果的に、作動液の流速を抑えることができ、実施例のフラッシング方法によれば、フラッシング初期における流動音が、しっかりと抑制されるのである。
さらに、実施例のフラッシング方法では、上記漸増期間ΔtIC,維持期間ΔtRETが設けられており、増圧リニア弁24への供給電流IAが比較的小さい初期の段階と、比較的供給電流IAの大きなフィードバック制御期間ΔtFBとの間で、比較的緩やかに供給電流IAが増加させられる。そのため、実施例のフラッシング方法によれば、フラッシングが円滑に行われることとなる。
v)変形例
上記実施例のフラッシング方法では、初期期間ΔtINTが設けられ、また、漸増期間ΔtIC,維持期間ΔtRETが設けられているが、それらの期間が必ずしも設けられなくてもよい。例えば、上述のようなフィードバック制御、つまり、制御サイクルごとの供給電流IAの増減が比較的小さな量とされたフィードバック制御を行えば、初期期間ΔtINT,漸増期間ΔtIC,維持期間ΔtRETを設けずして、初期電流IA-INTから上限電流IA-LIM近くまで、供給電流IAを漸増させることが可能である。
また、上記実施例のフラッシング方法では、初期電流IA-INTが、上限電流の50%以下に設定されていたが、敢えて、初期電流IA-INTなるものを設定しなくてもよい。例えば、フラッシング開始時の供給電流IAを0とした上で、上記漸増期間ΔtICを設けたり、いきなり上述のフィードバック制御を実行したりすることによっても、フラッシングの開始時の作動液の流速を抑制することが可能である。
上記フィードバック制御は、制御サイクルごとの供給電流IAの増減量が、設定増大電流δIA-IC1,設定減少電流δIA-DC1として、一定とされていた。そのようなフィードバック制御ではなく、極一般的なフィードバック制御、つまり、実際のサーボ圧PSRVの上記設定圧PSRV-Sからの偏差に所定のゲインを乗ずることによって供給電流IAの増減量を決定するようなフィードバック制御を行ってもよい。また、上記実施例のフラッシング方法では、サーボ圧PSRVに基づくフィードバック制御を行っているが、パイロット圧PPLTを検出することによって、パイロット圧PPLTに基づくフィードバック制御を行ってもよい。つまり、パイロット圧PPLTが設定圧となるような供給電流IAのフィードバック制御を行ってもよいのである。
上記実施例のフラッシング方法は、高圧源装置20のポンプ装置64を駆動させて、高圧源からの作動液の圧力であるアキュムレータ圧PACCを高く維持するようにされていたが、例えば、アキュムレータ66が大きな容量のものである場合等では、あるいは、アキュムレータ66の容量の如何に拘わらず、必ずしも、ポンプ装置64を駆動させなくてもよい。
上記実施例のフラッシング方法は、調圧器であるレギュレータ22のフラッシングに適用されているが、当該フラッシング方法は、高圧源からの作動液が電磁式リニア弁によって圧力調整されて導入され、その導入された作動液の圧力に応じた出力が実現される液圧作動器であれば、広く適用できる。例えば、上記マスタシリンダ装置16の入力室R2に、高圧源装置20から増圧リニア弁を介して作動液が導入され、その増圧リニア弁と減圧リニア弁とによってその導入された作動液の圧力が調整されるような車両用液圧ブレーキシステムにおいては、そのマスタシリンダ装置16のフラッシングに適用することも可能である。また、上記実施例のフラッシング方法は、車両用液圧ブレーキシステムにおけるフラッシングに採用されているが、車両用液圧ブレーキシステムを構成する液圧作動器ではなく、他の分野における液圧作動器にも、広く適用できる。
12:ブレーキ装置 16:マスタシリンダ装置 18:ブレーキペダル〔ブレーキ操作部材〕 20:高圧源装置〔高圧源〕 22:レギュレータ〔調圧器〕〔液圧作動器〕 24:増圧リニア弁〔電磁式リニア弁〕 26:減圧リニア弁 28:リザーバ〔低圧源〕 64:ポンプ装置 66:アキュムレータ 80:スプール弁機構 88:サーボ圧センサ R4:第1パイロット圧室 PACC PSRV-S:設定圧〔設定値〕 IA:供給電流 IA-LIM:上限電流 IA-INT:初期電流 IA-ST:開始電流 δIA-IC0:漸増電流 δIA-IC1:設定増大電流 δIA-DC1:設定減少電流 t:時間(時間カウンタ) ΔtINT:初期期間 ΔtIC:漸増期間 ΔtRET:維持期間 ΔtFB:フィードバック制御期間 ΔtEND:終了期間 δt:制御サイクル

Claims (11)

  1. 高圧源からの作動液が電磁式リニア弁によって圧力調整されて導入され、その導入された作動液の圧力に応じた出力が実現される液圧作動器におけるフラッシングの方法であって、
    前記導入された作動液の圧力である導入圧と当該液圧作動器の前記出力との一方を作動指標としてモニタし、その作動指標が設定値となるように、その作動指標に基づいて前記電磁式リニア弁への供給電流のフィードバック制御を行いつつ、その電磁式リニア弁を介して前記高圧源から導入される作動液によるフラッシングを行うことを特徴とするフラッシング方法。
  2. 前記液圧作動器が、前記導入圧がパイロット圧となって作動するスプール弁機構を備え、そのスプール弁機構によって、前記高圧源から供給される作動液を前記導入圧に応じた高さに調圧しつつ、その調圧された作動液を供給する調圧器であり、
    その調圧器における請求項1に記載のフラッシング方法。
  3. 前記調圧された作動液の圧力である制御圧を前記作動指標として、その制御圧が前記設定値としての設定圧となるように、前記フィードバック制御を行う請求項2に記載のフラッシング方法。
  4. 前記電磁式リニア弁が、前記高圧源からの作動液の圧力と前記導入圧との圧力差によって開弁し、前記供給電流が大きい程前記圧力差が小さくても開弁するように構成されたものであり、
    その電磁式リニア弁を介して行う請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のフラッシング方法。
  5. 前記フィードバック制御を、
    前記作動指標が前記設定値より低い場合には、前記供給電流を設定増大値だけ大きくし、前記作動指標が設定値より高い場合には、前記供給電流を設定減少値だけ小さくするようにして行う請求項4に記載のフラッシング方法。
  6. 前記フィードバック制御において、前記供給電流の上限としての上限電流が設定されている請求項4または請求項5に記載のフラッシング方法。
  7. 当該フラッシングを、開始時における前記供給電流である初期電流が前記フィードバック制御において設定されている前記上限電流よりも小さくなるようにして行う請求項6に記載のフラッシング方法。
  8. 前記初期電流が前記上限電流の50%以下とされている請求項7に記載のフラッシング方法。
  9. 当該フラッシングを、開始直後において、前記供給電流を一旦前記初期電流に維持するようにして行う請求項7または請求項8に記載のフラッシング方法。
  10. 前記フィードバック制御を、前記供給電流が、前記初期電流より大きくかつ前記上限電流より小さく設定された開始電流となることを条件として開始するようにし、
    前記初期電流から前記開始電流までの間で、前記供給電流を漸増させる請求項7ないし請求項9のいずれか1つに記載のフラッシング方法。
  11. 前記液圧作動器が、前記導入圧がパイロット圧となって作動するスプール弁機構を備え、そのスプール弁機構によって、前記高圧源から供給される作動液を前記導入圧に応じた高さに調圧しつつ、その調圧された作動液を供給する調圧器であり、かつ、その調圧器が、車両用液圧ブレーキシステムにおいて用いられるものであり、
    その車両用液圧ブレーキシステムが、車輪に設けられたブレーキ装置と、そのブレーキ装置に作動液を供給するとともにブレーキ操作部材が接続されたマスタシリンダ装置とを備え、そのマスタシリンダ装置が、前記調圧器から供給される作動液が導入され、前記ブレーキ操作部材に加えられた運転者による操作力に依らずに、その導入された作動液の圧力に応じた圧力の作動液を前記ブレーキ装置に供給するように構成されたものであり、
    その車両用液圧ブレーキシステムの前記調圧器における請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載のフラッシング方法。
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