JP6511760B2 - エポキシ化合物の製造方法及びエポキシ化反応用触媒組成物 - Google Patents
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Description
近年、電子部品、光学部品の高性能化に伴い、これに用いられるエポキシ樹脂及びその原料となるエポキシモノマー等のエポキシ化合物の高純度化が求められている。特に電子部品用途では、ハロゲン化合物が配線の腐食の原因となるため、エポキシ化合物の低ハロゲン化、特に低塩素化が求められている。
しかし、上記方法はエポキシ化合物の低ハロゲン化には不向きである。その理由は次のとおりである。エピクロルヒドリンに由来する塩素原子が、得られたエポキシ化合物と化学的に結合した有機塩素化合物になり、該エポキシ化合物中に、不純物として混入する。そのためエポキシ化合物中に含まれる塩素の濃度が高くなり、具体的には通常1000ppm以上程度含まれる。このような塩素濃度の高いエポキシ化合物(エポキシモノマー)を原料とするエポキシ樹脂を、例えばIC封止材に使用した場合には、高集積化による回路の微細化により配線の腐食、断線がおきやすくなるという問題があった。
また、塩素含有量の低いアリルエーテル類を製造し、このアリルエーテル類を酸化してエポキシ化合物に変換し、塩素含有量の低いグリシジルエーテルを合成する方法も近年開発されている。(例えば、特許文献2及び3参照)
これらの製造方法において用いられるエポキシ化反応には、アンモニウム塩等のオニウム塩類と、タングステン化合物及びモリブデン化合物類のうち少なくとも一方を触媒組成物として共存させ、過酸化水素を酸化剤(エポキシ化剤)として用いる方法が知られている。
る。しかし前記長鎖アルキル基を有するオニウム塩は、有機溶媒への分配率が高く、反応後に有機相に溶解しているエポキシ化合物と、触媒組成物由来の成分、具体的にはタングステンや、オニウム塩、オニウム塩由来の含窒素化合物との分離、精製が極めて困難であるという問題がある。さらにタングステンや含窒素化合物等を、再結晶や懸洗といった方法により除去すると、エポキシ化合物の精製収率(回収率)が低いという問題がある。
具体的には、エポキシ化合物中にタングステン等の重金属が残存した場合、そのエポキシ化合物を用いて製造したエポキシ樹脂は、高温条件下で放置した場合、着色が著しくなることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。また、そのエポキシ樹脂を電子材料に用いた場合、エポキシ化合物中に残留した塩素等のハロゲンは配線の腐食の原因となり、残留した金属や、オニウム塩等のイオン性化合物は配線の短絡や腐食の原因となる。
本発明は、エポキシ化合物の製造において、タングステン等の重金属含有量が極めて少ない、好ましくはさらにオニウム塩由来の含窒素化合物量(以下、単に窒素含有量という)の少ない、より好ましくはさらに塩素含有量の少ないエポキシ化合物を、煩雑な精製工程等を要さずに製造する方法を提供することを課題とする。
具体的には、活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基を、分子内に少なくとも1つ以上有しているオニウム塩を共存させて反応を行った。その結果、目的とするエポキシ化合物が得られ、エポキシ化反応後に活性水素を含む官能基またはその塩に変換したところ、エポキシ化合物とエポキシ化剤由来成分とが分離され、純度の高いエポキシ化合物が得られることを見出した。
ロゲン化合物を用いていた。また、当該オニウム塩はエポキシ化反応後、活性水素を含む官能基またはその塩に変換し、分離した後に再生する事が困難であった。
しかし本発明者のさらなる検討により、前記活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基として、特定の構造を有するものを使用することにより、ハロゲン化合物を用いることなく、効率的にオニウム塩を調製でき、かつ、当該オニウム塩が繰り返し使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、オニウム塩との存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物の炭素−炭素二重結合に過酸化水素を反応させてエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法であって、
前記オニウム塩が、炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上又はベンジルオキシ基を1つ以上有し、かつ前記オニウム塩が有する全炭素数が20以上であることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
[2]前記オニウム塩が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表わされる化合物であることを特徴とする上記[1]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
R1〜R4は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、いずれか2以上が結合して環を形成していてもよい。またR1〜R4の少なくとも1つは、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を1つ以上有する。
R5は、置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表す。
R6〜R10は、それぞれ独立して置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基を表わす。
上記一般式(3)において
R11及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよく、一部の炭素原子が
ヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表わす。
R11〜R15は、いずれか2以上が結合して環を形成していてもよく、少なくとも1つの基は、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を1つ以上置換基として有する。
[3]タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、オニウム塩との存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物の炭素−炭素二重結合に過酸化水素を反応させてエポキシ化するエポキシ化合物の製造方法であって、
前記オニウム塩が、下記一般式(4)で表わされる化合物であることを特徴とするエポキシ化合物の製造方法。
R16及びR17は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、またそれぞれが結合して環を形成していてもよい。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
k、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表わし、k、mがそれぞれ2以上のとき、複数のR19及びR21はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基を表わし、pは0≦p≦5−kの整数を表わし、qは0≦q≦5−mの整数を表わす。X−は、アニオンを表わす。
[4]前記エポキシ化を、リン酸類及びホスホン酸類の少なくとも一方の共存下で行なうことを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。[5]前記エポキシ化を、前記タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方を含む水相と、前記炭素−炭素二重結合を有する化合物を含む有機相とからなる二相系
溶液中で行なうことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[6]前記水相のpHが、2以上6以下であることを特徴とする、上記[5]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[7]前記エポキシ化を、キレート化剤の共存下で行なうことを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法、
[8]前記炭素−炭素二重結合を有する化合物が、エポキシ化をする前に酸性水溶液で洗浄処理されたものであることを特徴とする、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[9]前記炭素−炭素二重結合を有する化合物が、エポキシ化をする前にキレート化剤で洗浄処理されたものであることを特徴とする、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[10]前記オニウム塩が、炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上有し、かつ前記炭素−炭素二重結合を有する化合物をエポキシ化した後に、前記オニウム塩を塩基性化合物で加溶媒分解する工程をさらに有することを特徴とする、上記[1]、[2]、[4]〜[9]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[11]前記加溶媒分解工程後に、加溶媒分解されたオスニウム塩を再生する工程を有することを特徴とする、上記[10]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
[12]前記オニウム塩が、ベンジルオキシ基を1つ以上有するものであり、かつ前記炭素−炭素二重結合を有する化合物をエポキシ化した後に、該オニウム塩を接触水素化する工程をさらに有することを特徴とする、上記[1]、[2]、[4]〜[9]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[13]前記炭素−炭素二重結合を有する化合物をエポキシ化した後に、前記オニウム塩を塩基性化合物で加溶媒分解する工程をさらに有することを特徴とする、上記[3]〜[9]のいずれかに記載のエポキシ化合物の製造方法。
[14]エポキシ化合物を重合してエポキシ樹脂を製造する方法であって、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の方法でエポキシ化合物を製造する工程と、前記工程で得られたエポキシ化合物を重合する工程を含むことを特徴とする、エポキシ樹脂の製造方法。
[15]下記一般式(4)で表わされるオニウム塩。
R16及びR17は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、またそれぞれが結合して環を形成していてもよい。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水
素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
k、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表わし、k、mがそれぞれ2以上のとき、複数のR19及びR21はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基を表わし、pは0≦p≦5−kの整数を表わし、qは0≦q≦5−mの整数を表わす。
[16]前記一般式(4)において、R16、R17、R18及びR20が有する全炭素数が14以下であり、かつR19及びR21が有する全炭素数が6以上であることを特徴とする上記[15]に記載のオニウム塩。
[17]タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、下記一般式(1)〜(4)で表わされる少なくとも1つのオニウム塩とを含むエポキシ化反応用触媒組成物。
R1〜R4は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、いずれか2以上が結合して環を形成していてもよい。またR1〜R4の少なくとも1つは、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を1つ以上有する。
R5は、置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表す。
R6〜R10は、それぞれ独立して置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基を表わす。
上記一般式(3)において
R11及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表わす。
R11〜R15は、いずれか2以上が結合して環を形成していてもよく、少なくとも1つの基は、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を1つ以上置換基として有する。
R16及びR17は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、またそれぞれが結合して環を形成していてもよい。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
k、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表わし、k、mがそれぞれ2以上のとき、複数のR19及びR21はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基を表わし、pは0≦p≦5−kの整数を表わし、qは0≦q≦5−mの整数を表わす。
さらには、蒸留や結晶化精製ができないようなエポキシ化合物の製造にも適用でき、汎用性に優れる。本発明の方法で得られたエポキシ化合物を電子材料、光学材料等及び医農薬の原料として使用した場合、不純物に起因する問題が低減し、高純度、高品質な製品を得ることができる。
また本発明のオニウム塩を用いることにより、タングステン等の金属不純物の含有量が
極めて少ないエポキシ化合物を得ることができる。またオニウム塩由来の窒素化合物及び塩素の含有量が極めて少ない高純度のエポキシ化合物を得ることができ、また再生して利用することができるため、製造効率が大きく、環境負荷を下げることができる。
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、その第一の態様として、炭素−炭素二重結合を有する化合物(以下、「オレフィン化合物」と称することがある。)に、タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上又はベンジルオキシ基を1つ以上有し、かつ前記オニウム塩の有する全炭素数が20以上であるオニウム塩との存在下、過酸化水素を反応させることを特徴とする。
なお、本明細書において、「タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方」を「触媒金属」ということがあり、「炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上又はベンジルオキシ基を1つ以上有し、かつ炭素原子を20以上含むオニウム塩」及び「一般式(4)で表される化合物」を単に「オニウム塩」といい、前記「触媒金属」と「オニウム塩」を含むものを「エポキシ化反応用触媒組成物」又は単に「触媒組成物」といい、前記触媒組成物が、過酸化水素により酸化されたものを、「活性触媒」ということがある。
本発明において用いられる触媒金属としてのタングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方は、炭素−炭素二重結合を有する化合物の炭素−炭素二重結合を、過酸化水素を用いてエポキシ化する際に、過酸化水素と共に反応系内に存在することで触媒として作用する金属種である。以下、タングステン化合物及びモリブデン化合物を「触媒金属」ともいう。
前記タングステン酸類としては、具体的には例えば、タングステン酸;タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸アンモニウム等のタングステン酸塩;前記タングステン酸塩の水和物;12−タングストリン酸、18−タングストリン酸等のリンタングステン酸;12−タングストケイ酸等のケイタングステン酸;12−タングストホウ酸または金属タングステン等が挙げられ、タングステン酸、タングステン酸塩、リンタングステン酸が好ましく、入手しやすさの点で、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カルシウム、12−タングストリン酸がより好ましい。
前記モリブデン酸類としては、モリブデン酸;モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム等のモリブデン酸塩;前記モリブデン酸塩の水和物が挙げられる。
本発明における触媒金属は、単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。前記触媒金属の使用量は、使用する前記オレフィン化合物等の性質により適宜調整することができ、特に限定されるものではないが、通常、前記オレフィン化合物中に含まれる炭素−炭素二重結合のモル数(前記オレフィン化合物中に含まれる炭素−炭素二重結合の数に前記オレフィン化合物1分子のモル数を乗じたもの)に対して触媒金属原子(例えばタングステン化合物を用いる場合はタングステン原子)に換算して、通常0.001モル以上、好ましくは0.005モル以上、より好ましくは0.01モル以上であり、通常1.0モル以下、好ましくは0.50モル以下、より好ましくは0.10モル以下である。前記範囲内に調整することで、反応が進行しやすく、また経済性がよいためである。
本発明で用いる過酸化水素は、通常は過酸化水素水を用いる。
過酸化水素水を用いる場合、その濃度は特に限定されないが、通常1重量%以上、好ましくは20質量%以上、通常60質量%以下であり、より好ましくは、入手のしやすさや生産性、運搬コスト等を考慮すると、30質量%以上、45質量%以下である。
過酸化水素の使用量は、オレフィン化合物の反応性等に応じ適宜調整することができ、特に限定はされないが、前記オレフィン化合物のモル数にオレフィン化合物1分子中に有する炭素−炭素二重結合の数を乗じた値に対し、通常0.5倍モル以上、好ましくは1倍モル以上、通常10倍モル以下、好ましくは3倍モル以下を用いる。前記範囲内の使用量であれば、生産性よく、効率のよいエポキシ化ができるためである。
なお、ここでいう「使用量」は、前記オレフィン化合物からエポキシ化合物を製造する際に使用する過酸化水素の総量をいう。
本発明において用いられるオニウム塩は、炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上又はベンジルオキシ基を1つ以上有し、かつ炭素原子を20以上(全炭素数が20以上)有するもの(第一の態様のオニウム塩)、又は一般式(4)で表される化合物(第二の態様のオニウム塩)である。
前記オニウム塩は、炭素原子を20個以上(全炭素数20以上)含むので、エポキシ化反応時には脂溶性であり、反応溶媒に可溶であり、かつ水相と有機相に分離した場合は有機相側に分配する。また、前記オニウム塩は、エポキシ化反応条件下で安定、または、エポキシ化反応中に構造が変化しても触媒能が著しく低下しない性質を有する。
キシ化触媒を形成すると考えられる。具体的には、該オニウム塩は、前記触媒金属と複合体を形成し、好ましくは後述するリン酸類及びホスホン酸類のうち少なくとも一方との複合体を形成し、該複合体が過酸化水素によって酸化されることで、反応活性の高い活性型のエポキシ化触媒(活性触媒)になると考えられる。
前記活性触媒は、脂溶性であり、エポキシ化反応の際には、通常、必要に応じて用いられる溶媒に、前記オレフィン化合物とともに安定に溶解する。
第一の態様のオニウム塩は、炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上又はベンジルオキシ基を1つ以上有し、かつ炭素原子を20以上(全炭素数が20以上)有するものである。これらは、活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基として、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を含む。以下、炭素数1〜4のアシルオキシ基を含むオニウム塩を「アシル化オニウム塩」、ベンジルオキシ基を含むオニウム塩を「ベンジル化オニウム塩」と略す。
他方、ベンジルオキシ基は、脂溶性が高く、還元、好ましくは接触水素化により、簡便に、かつエポキシ基を分解することなく、水酸基、及びその塩に変換できる。また、中性〜酸性条件下で接触還元を行うため、塩基条件下で分解するエステル基を有するエポキシ化合物の製造に適している。
また炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基は、その一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。具体的にはメチレン基が、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−NR27−(R27は炭素数1〜25の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基を表す)、−CONR28−(R28は水素原子、炭素数1〜25の1価の脂肪族炭化水素基、又は1価の芳香族炭化水素基を表す)、―NHCONH−、―CONHCO−、−SO2NR28−(R28は前述と同義)等のヘテロ原子を含む構造に置換されていてもよい。
具体的には炭素数1〜4のアシルオキシ基を置換基として有する場合、1つの炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基中に、アシルオキシ基を1〜4個、またはそれ以上有していてもよい。
R1〜R4が、アシルオキシ基を置換基として有する場合、例えば、アセトキシエチル基、2,3−ジアセトキシプロピル基、2,3−プロピオニルオキシプロピル基が挙げられ、このうち安価な資材から簡便に合成でき、再生も容易である2,3−ジアセトキシプロピル基が好ましい。
R1〜R4のうち、アシルオキシ基及びベンジルオキシ基を置換基として有さない基の
置換基は、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、ペンタデカニル基等の直鎖脂肪族炭化水素基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、2−エトキシエトキシエチル基等の直鎖脂肪族炭化水素エーテル基、R1〜R4のいずれか2つの基が結合してピロリジン環、ピペリジン環を形成しているものが挙げられる。
R6〜R10は、それぞれ独立してR1〜R4と同義の置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基、又は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、及びN−アルキルスルファモイル基から選ばれる少なくとも1つを表わす。
またR5〜R10は、その少なくとも1つは、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を1つ以上置換基として有する。
R5がアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を置換基として有する場合は、上記R1〜R4と同様である。またR6〜R10がアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を置換基として有する場合は、一般式(2)のピリジン環に直接置換基として有していても、アルキル基等の置換基に対する置換基として有していてもよく、その場合は1つだけでも複数有していてもよい。
上記一般式(3)において
R11及びR13は、それぞれ独立して置換基を有していてもよく、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基を表わす。R11及びR13は上記R1〜R4と同義である。
またR11〜R15の少なくとも1つの基は、炭素数1〜4のアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を1つ以上置換基として有する。
R11及びR13がアシルオキシ基又はベンジルオキシ基を置換基として有する場合は、上記R1〜R5と同様である。
R12、R14、及びR15のうちアシルオキシ基及びベンジルオキシ基を置換基として有さない基についてはR6〜R10と同様である。
X−は、オニウム塩のアニオンを表す。アニオン種は特に限定はされないが、通常は1
価のアニオン、2価のアニオン等が挙げられる。具体的には硫酸水素イオン、モノメチル硫酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸二水素イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、水酸化物イオン等の1価のアニオン、リン酸水素イオン、硫酸イオン等の2価のアニオンが挙げられ、調製が容易である点から一価のアニオンが好ましく、このうちアニオン種が反応生成物であるエポキシ化合物のエポキシ基や原料化合物であるオレフィン化合物の炭素−炭素二重結合に付加しない点や、調製が容易である点からモノメチル硫酸イオン、硫酸水素イオン、酢酸イオン、リン酸二水素イオン又は水酸化物イオンが好ましい。
R33、R34としては、炭素数1〜4のアルキル基を表し、メチル基又はエチル基が好ましい。これらの置換基を有するアシルオキシ基は、加溶媒してエポキシ化合物と分離した後、無水酢酸や無水プロピオン酸などの安価な酸無水物等の化合物と反応させることにより、容易に加溶媒前のオニウム塩を再生することが可能で、オニウム塩を繰り返し使用することができ、経済的な面からより好ましい。
X−はアニオンを表し、一価のアニオンが好ましく、更にはモノメチル硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸二水素イオン又は酢酸イオンが好ましい。
R35及びR36は各々独立に、芳香族環で置換されていてもよい、また一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよいアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデカニル基、ペンタデカニル基などの直鎖脂肪族炭化水素基、ベンジル基、t−ブチルベンジル基等のアルキル基で置換されたベンジル基、及びベンジルオキシエチル基、t-ブチルベンジルオキシエチル基等
のベンジルオキシアルキル基が挙げられ、さらには各々独立にt−ブチルベンジル基、ベンジルオキシエチル基がより好ましい。
R38は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基を表し、水素原子、メチル基、又はフェニル基が好ましく、安価な資材を用いて合成することができ、接触水添後、減圧乾燥することにより芳香族部位が簡便に除去できる水素原子がさらに好ましい。
R39は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい炭素数1〜25のアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基又はN−アルキルスルファモイル基を表し、水素原子、炭素数3〜25のアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、簡便に除去できる水素原子がさらに好ましい。
なお、同一化合物中に存在する複数のR38及びR39は、同一であっても異なっていてもよい。また式中のカチオン部分に含まれる炭素原子数の合計は20以上である。
X−はアニオンを表し、モノメチル硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸二水素イオン、又は酢酸イオンが好ましい。
第二の態様のオニウム塩は、下記一般式(4)で表わされる化合物であり、活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基として、ベンゾイルオキシ基を2つ有する。以下、下記一般式(4)で表されるオニウム塩を「ベンゾイル化オニウム塩」という。
なお下記一般式(4)及び後述する一般式(8)で表される化合物は、本発明のオニウム塩として好適な新規の化合物である。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表わし、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を表わし、より好ましくはエチレン基である。加溶媒により生成するオニウム塩が水洗浄容易に除去でき、合成原料が安価に入手できるためである。
R19及びR21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表わす。合成の容易さから、R19及びR21は、同一であることが好ましく、特に合成原料が安価に入手できるt−ブチル基がより好ましい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基を表わす。
qは0≦q≦5−mの整数、
X−は、アニオンを表わす。Xは、上記第一の態様のオニウム塩と同義である。
そしてR16、R17、R18及びR20が有する全炭素数が14以下であり、かつR19及びR21が有する全炭素数が6以上であることが好ましい。オニウム塩の炭素数が加溶媒分解の前と後で大きく異なるため、反応中には高い脂溶性を有するため有機相に分配し、高い活性を示し、加溶媒分解後は水溶性化合物となり水洗除去しやすいためである。
、オニウム塩の反応時の脂溶性と、加溶媒後のオニウム塩の除去の容易さを両立することができる。
上記一般式(4)に記載の化合物の具体的な例として、下記構造式(8)に記載の化合物が挙げられる。
本発明で用いるオニウム塩の合成法は、特に限定されないが、例えばアシルオキシ基またはベンジルオキシ基を有する、3級アミンやピリジン環化合物、イミダゾール環化合物等の含窒素ヘテロ環化合物を合成し、これをオニウム塩にする方法や、水酸基、ハロゲン等の脱離基を有するオニウム塩にアシルオキシ基またはベンジルオキシ基を導入する方法が挙げられる。
これらの方法のうち工業的にはコストの面や、ハロゲンの混入を防ぐ観点から、脱水縮合反応を用いる方法が好ましい。
上記脱水縮合反応またはエステル交換反応を行う際は、対応するアルコールを酸触媒存在下、反応させる方法が挙げられる。この際、反応に伴い生成する水やアルコールを留去、吸着などの方法により除去しながら行うのが好ましい。
R120等の陽イオン交換樹脂;H−ZSM−5等のH型ゼオライト等を使用することができる。
の範囲で使用することができる。
オニウム塩へのアシルオキシ基の導入時に用いる溶媒としては、アシルオキシ基を導入する反応に関与しないものであれば、特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類が挙げられる。このうち、水と共沸し、反応に必要な温度以上の沸点を有することから、トルエン、キシレンが好ましい。
これらの方法のうち工業的にはコストの面から対応するアルコールとベンジルクロライドとの縮合反応が好ましい。
本発明において、前記オニウム塩は単独でも2種以上適宜組み合わせて使用してもよい。
と前記オニウム塩を添加することで調製することができる。その添加順序は特に制限されるものではなく、前記触媒金属、前記オニウム塩のいずれを先に添加してもよく、また同時に添加してもよい。
本発明の製造方法においては、リン酸類及びホスホン酸類の少なくとも一方を使用することができる。特に前記オニウム塩等を用いて、前記触媒金属を前記活性触媒としてエポキシ化反応を行なう際には、さらにリン酸類及びホスホン酸類の少なくとも一方を用いることが反応性の向上の点で好ましい。
これらのうち本発明では安価なリン酸を用いることが好ましい。
リン酸類及びホスホン酸類の使用量は、特に限定されるものではなく、その種類や触媒金属の種類によって適宜使用量を調整できるが、好ましくは前記活性触媒を使用する二相系反応の水相のpHが適切な範囲になるように使用量を調整する。該リン酸類及びホスホン酸類のいずれかに含まれるリンの当量としては、使用する前記触媒金属中の金属に対して通常モル比で0.1倍モル以上、好ましくは0.2倍モル以上、より好ましくは0.3倍モル以上であり、通常5.0倍モル以下、好ましくは2.0倍モル以下、より好ましくは1.0倍モル以下である。
リン酸類及びホスホン酸類の少なくとも一方は、反応液の水相のpHが適切な範囲になるように添加することができ、また必要に応じて他の酸や塩基を添加し、pHの調製を行うこともできる。
本発明では、必要に応じ有機溶媒を用いることができ、オレフィン化合物が固体である場合など、有機溶媒を含む反応液は操作性が向上する点で用いることが好ましい。
本発明のエポキシ化反応において有機溶媒を使用した際、オレフィン化合物は、有機溶媒中に溶解していても、懸濁状態でもよいが、通常、反応温度条件下で有機溶媒に溶解していることが好ましい。
ルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチルなどのエステル化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア類;及びこれら溶媒の混合物が挙げられ、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、及びこれら有機溶媒の混合物が好ましい。
なお前記の二相系反応を円滑に行なうため、有機溶媒以外に更に適宜水を反応液に追加して使用してもよい。水を使用する際の使用量は特に限定されない。
本発明においてエポキシ化合物の製造は、キレート化剤の共存下で行なってもよい。
キレート化剤を共存させることにより、後述する金属不純物との間でキレート化合物を形成すると考えられ、過酸化水素の分解を生じることなく、安全にエポキシ化反応を行なうことができる。
本発明におけるキレート化剤とは、金属イオンと結合してキレート化合物を形成する多座配位子をもつ化合物をいう。
本発明において用いられるキレート化剤の使用量は、後述する金属不純物の含有量により適宜調整することができ、特に制限されるものではないが、通常、金属不純物の含有量に対して等モル以上である。また上限も制限はされないが、通常、キレート化剤が析出しない範囲の量である。
本発明において原料として使用する炭素−炭素二重結合を有する化合物(オレフィン化合物)は、分子中に炭素−炭素二重結合を一つ以上有する化合物であれば、特に限定はされない。
前記オレフィン化合物の具体例としては、特開2011−213716号公報に記載されている化合物が挙げられる。特に高純度化、特に低ハロゲン化されたエポキシ化合物を製造できる点で、下記の一般式(9)〜(14)で表わされるオレフィン化合物を原料とすることが好ましい。このうち(10)で表されるオレフィン化合物が好ましく、中でも、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(2−プロペン−1−イルオキシ)−1,1’−ビフェニル(別名称 3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール ジアリルエーテル)が好ましい。
(R23)n1−(A1)−(OR)m1 ・・・(9)
A1における芳香族炭化水素基としては、特に限定はされず、フェニル基等の単環式芳香族炭化水素基、ナフチル基等の縮合環芳香族炭化水素基、複素環芳香族炭化水素基、または式(9)のRが水素原子で置き換えられた化合物が、トリス(4−ヒドロキシフェニル)−トリアジン、1,1‘−メチレンビス−ナフタレンジオール、メチリデントリスフェノール等である前記芳香族が複数連結したものであってもよい。好ましくは炭素数6〜22の芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基が複数連結したものが挙げられる。
同様に脂肪族基としては特に限定はされないが、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、かつ置換基を有していてもよい炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基である。具体的には、炭素数1〜25の直鎖脂肪族炭化水素、エチレンオキシ基等のエーテル結合を有する脂肪族炭化水素が挙げられる。
A1が有するORおよびR23以外の置換基としては、グリシジル基、フェニル基、フェニルオキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
OR基、R23以外の置換基としては特に限定されないが、グリシジル基、フェニル基、フェニルオキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
m1は1以上の整数を表わし、A1で表される置換基上の置換可能な水素原子の数により異なり限定されないが、好ましくは2以上、4以下である。
n1は0以上の整数を表わし、m1とn1の合計は2以上である。
一般式(9)で表わされるものとしては具体的には1,6−ビス(2−プロペン−1−
イルオキシ)−ナフタレン、1,4−ビス(2−プロペン−1−イルオキシ)−ベンゼン、1,4−ビス(2−プロペン−1−イルオキシ)メチル]−シクロヘキサン、1,1,1,1−テトラ(アリルオキシメチル)メタン、1,1’−メチレンビス−2,7−ナフタレンジオールテトラアリルエーテル、2,4,6−トリス[4−(2−アリルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、1,3―ジアリル−2,4−ジグリシジルオキシベンゼン、2−アリル−1,5−ジグリシジルオキシナフタレン等が挙げられる。
X1は、直接結合又は置換基を有していてもよい2価の連結基を表わす。
X1としては、直接結合、炭素数1〜4の2価アルキレン基、架橋縮合環構造を有する炭素数7〜10の脂環式炭化水素が好ましく、直接結合、炭素数1〜2のアルキレン基がより好ましい。
R、R23、n1は一般式(9)と同義である。
上記A2、A3が有するORおよびR23以外の置換基は、一般式(9)と同じである。
なおm2が2以上のときは、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。m1とn1の合計は2以上であり、好ましくはm2の合計が2であり、n1の合計が0または2であり、更に好ましくはn1が0である。
なおnが2以上のときは、A3は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(10)で表わされるものとして具体的には3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(2−プロペン−1−イルオキシ)−1,1’−ビフェニル(別名称 3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール ジアリルエーテル)、1,1’−(1−メチルエチリデン)ビス[4−(2−プロペン−1−イルオキシ)−ベンゼン](別名称 ビスフェノールA ジアリルエーテル)、1,1’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビス[4−(2−プロペン−1−イルオキシ)−ベンゼン]、1,1’−スルホニルビス[4−(2−プロペン−1−イルオキシ)−ベ
ンゼン]、4,4’−ビス(2−プロペン−1−イルオキシ)−1,1’−ビフェニル、1,1’−(1−メチルエチリデン)ビス[4−(2−プロペン−1−イルオキシ)]−シクロヘキサン]、3,3’−ジアリルビフェニル−4,4’−ジグリシジルエーテル(別名称 3,3’−ジアリル−4,4’−ジグリシジルオキシ―1,1’−ビフェニル)、3,3’−ジアリルビフェニル−4,4’−ジアリルエーテル(別名称 3,3’−ジアリル−4,4’−ジアリルオキシ−1,1’−ビフェニル)、3,3’−ジアリルビスフェノールA−ジグリシジルエーテル(別名称 2,2−ビス(3−アリル−4-グリシ
ジルオキシフェニル)プロパン)、3,3’−ジアリルビスフェノールA−ジアリルエーテル(別名称 2,2−ビス(3−アリル−4-アリルオキシフェニル)プロパン)等が
挙げられる。
H−[(R23)n1−(A2(OR)m2)−X2]i−H (11)
R、R23は一般式(9)と同義である。
X2は、直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基または2つ以上のアルキレン基を置換基として有するフェニレン基を表す。アルキレン基の炭素数は通常1〜4、好ましくは炭素数1又は2のアルキレン基である。
一般式(11)で表される化合物の具体例としては、4−(2−プロペン−1−イルオキシ)安息香酸−1,1’−(1,4−フェニレン)エステル、トリス[4−アリルオキシフェニル)メタン、クレゾールノボラックのポリアリルエーテル、トリス[3−アリル−4−グリシジルオキシフェニル)メタン、アリルクレゾールノボラックのポリアリルエーテル、アリルクレゾールノボラックのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアシルオキシ基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアシルオキシ基などが挙げられる。
またアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
カルボニル基としてはアルコキシカルボニル、カルボキシル基またはその塩としては、やカルボン酸、およびそのナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩を挙げることができる。
結合部位としてはヘテロ原子で置換されていてもよいアルキレン、エステル、アミド、ウレア結合などが挙げられる。
一般式(12)で示される環状オレフィンとしては、例えば1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエンなどの環状非共役オレフィン類、エステル架橋構造を有する3−シクロヘキセン−1−カルボン酸 3−シクロヘキセン−1−イルメチルエステル(セロキサイド前駆体)が挙げられる。
A56は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基、アラルキル基、アシル基、カルボキシル基又はアシルオキシ基が挙げられる。炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、2−エチル−1,3−インダンジオン、トリクロロメチル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、N−アルキルスルファモイルが挙げられる。A57及びA58はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基、アラルキル基、アシル基、カルボキシル基又はアシルオキシ基を示す。
一般式(13)で表されるスチレン類の具体例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ニトロスチレン、4−ビニル安息香酸、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、インデン、ジヒドロナフタレン、2−[2−(3−クロロフェニル)−2−プロペン−1−イル]−2−エチル−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン(インダノファン前駆体)、1,3−ジクロロー5−(3,3,3−トリクロロー1−メチレンプロピル)−ベンゼン(タンデム前駆体)、1−[2−(2,4−ジフロロフェニル)−2−プロペンー1−イル]−1H−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
外の置換基を有していてもよい。
A6としては、具体的にはアルキル基、アルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビフェニルスルホン等が挙げられる。
A6が有するX3以外の置換基としては、特に限定されないが具体的にはアリル基、グリシジル基、アリルオキシ基、グリシジルオキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
m3は1または2を表わす。
A7は水素原子、芳香族炭化水素基、及び脂肪族炭化水素基のいずれかを表し、好ましくは水素原子、アリル基、フェニル基、アルキル基が挙げられる。
n3は0または1を表し、m3+n3=2である。
m4は1以上の整数を表し、A6の置換可能な水素原子の数により異なり限定されないが、好ましくは2以上4以下である。
一般式(14)で表されるものとしては、具体的にN,N−ジアリルベンゼンスルホンアミド、N,N−ジアリル−p−トルエンスルホンアミドが挙げられる。
本発明の製造方法は、前記オレフィン化合物を、触媒金属、過酸化水素及び前記オニウム塩の共存下でエポキシ化することを特徴とするものである。具体的な反応操作としては特に限定されるものではないが、オレフィン化合物に、前記触媒金属、過酸化水素、前記オニウム塩を加え、必要に応じリン酸類及びホスホン酸類、更に必要に応じ前記有機溶媒、前記キレート化剤、のいずれかを加えてもよい。
特に二相系反応となる場合は必要に応じ更に水を加えてもよい。
本発明におけるオレフィン化合物は、本発明のエポキシ化反応に用いる際に、必要に応じ、前処理を行なってから用いてもよい。前処理を行なうことで、金属不純物の量を軽減することができるため、本発明の効果を顕著に得る上では、下記する前処理を行なってから用いることが好ましい。
前処理の方法としては、前記オレフィン化合物に直接酸性水溶液やキレート化剤水溶液を作用させて処理することもできれば、前記オレフィン化合物を有機溶媒等に溶解させた後混合し、処理することもできる。
酸性水溶液のpHは特に限定はされず、用いるオレフィン化合物の安定性により異なるが、通常pHは1以上、好ましくは3以上、通常5以下、好ましくは4以下で行う。pHの調整の目的で、各種の塩を加えてもよく、例えば硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸ナトリウム等を添加してもよい。
前記キレート化剤水溶液としては、金属とのキレート化能力を有する化合物を含む水溶液であれば、特に限定はされないが、好ましくは、いわゆる金属マスク剤を含む水溶液が好ましい。前記キレート化剤水溶液に用いるキレート化剤としては、上述したキレート化剤と同じであり、操作性や汎用性の面でエチレンジアミン四酢酸、ピロリン酸が好ましい。
酸性水溶液やキレート化剤水溶液で洗浄する条件は特に限定はされないが、洗浄時間は通常30分間以上、2時間以下であり、洗浄温度は通常10℃以上、30℃以下である。これらの処理を行なうことで金属が水に可溶化し、水相と共に除去される。
本発明の製造方法における反応温度は、反応が阻害されない限り、特に限定されないが、通常10℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは60℃以上であり、通常90℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下である。前記温度範囲で反応させることにより、反応速度の低下がなく反応を進行させることができ、またより安全に反応を進行させることができるためである。
本発明の製造方法において、前記オレフィン化合物に過酸化水素を反応させる際、反応系内に含まれる過酸化水素の量は特に限定はされないが、少ない方が好ましく、具体的には前記オレフィン化合物に含まれる二重結合の数に前記炭素−炭素二重結合を有する化合物のモル数を乗じた値に対し、通常0.5倍モル以下であり、0.3倍モル以下が好ましい。特にオレフィン原料が消費され、反応終盤になった際は過酸化水素の消費速度が低下するため、0.25倍モルがより好ましい。
本発明の製造方法を二相系反応で行なう場合、水相の過酸化水素濃度は特に限定はされないが、より低いことが好ましく、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、通常0.1質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましい。前記範囲内であれば、触媒金属の再酸化が起こり、反応速度の低下や停止することが避けられるためである。
る目的で過酸化水素水濃度を低くするため、水で希釈するのが好ましい点から通常1.5倍以上であり、1.8倍以上、さらには2.0倍以上がより好ましい。上限は過酸化水素の濃度が下がりすぎることで反応が進行しない限りにおいて限定はされないが、生産性等の面で、通常10倍以下、好ましくは6倍以下である。
尚、有機相には通常、溶媒、オレフィン化合物、オニウム塩が溶解しており、有機相の重量とは有機相に溶解しているこれらすべてを合わせた重量を表す。
有機相/水相の比は限定されないが、通常1以下であり、0.5以下が好ましい。反応速度は有機相中のオレフィン化合物とオニウム塩化合物の濃度には影響されるが、過酸化水素の濃度の影響を受けないため、反応速度を低下することなく、反応熱や過酸化水素の分解熱を吸収する観点から、水の割合が多い方が好ましいからである。
水の全添加量は、特に限定はされないが、通常オレフィン化合物に対し、質量比で通常0.1倍量以上、好ましくは0.5倍量以上、より好ましくは1倍量以上であり、通常5倍量以下、好ましくは3倍量以下である。
例えばオレフィン化合物が環状オレフィンである場合は、エポキシ化されやすい一方、生成したエポキシ環が転移や開裂しやすい傾向があるため、中性に近いpHでの反応が好ましい。一方オレフィン化合物がアリルエーテルの場合は、環状オレフィンと比較してエポキシ化されにくく、開裂しにくい傾向があるため、環状オレフィンの場合に比べ酸性、すなわち低いpHで反応を行なうことが好ましい傾向がある。反応時、前記オニウム塩を使用した場合は、二相系反応の水相中の過酸化水素の量によりpHが変化する、また、反応後半では生成したエポキシが酸性条件下で開裂するため、反応の進行具合に応じて適宜、酸または塩基を添加して、pHを最適な範囲に保つことが好ましい。
触媒組成物中に含んでいてもよい。共酸化剤は組成物中に添加してもよく、例えばエステル基を有するオニウム塩の場合、エステル基が加溶媒を受けて発生したものであっても
よい。
本発明において、エポキシ化反応終了後に、必要に応じ還元剤を加えて過剰な過酸化水素のクエンチ処理を行う。反応に前記のオニウム塩を使用した場合は、二相系反応の水相を廃棄後、有機相を水洗後、上記クエンチ処理を行なうことが好ましい。上記クエンチ処理に用いる還元剤としては特に限定されないが、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドラジン、シュウ酸などが挙げられる。
上記の方法で得られたエポキシ化合物は、必要に応じて更に精製してもよい。特に本発明の製造方法において使用した触媒由来の金属、タングステン及びモリブデン化合物の少なくとも一方や、必要に応じ使用したオニウム塩は、通常、精製により除去する。具体的な精製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜使用することができる。エポキシ化合物が固体の場合は晶析、懸洗、分液、吸着、昇華等が挙げられ、エポキシ化合物が液体の場合は分液、洗浄、吸着、蒸留が挙げられる。
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
水溶性の溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、N,N-ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等が挙げられ、これらは水と混合して用いるこ
とができる。溶媒量は少なすぎる場合は精製効果が十分ではなく、多すぎる場合には、回収率の低下につながる。懸洗終了後、固形物をろ過回収し、乾燥することによって目的物を得ることができる。
上記精製法の中でも、操作法の点からは、エポキシ化合物の性状に関わらず分液法、吸着法が好ましい。エポキシ化合物が固体の場合は晶析法が有効である。
前記オニウム塩を、エポキシ化反応後に、活性水素を含む官能基またはその塩を有するオニウム塩化合物に変換し、エポキシ化合物と分離する。活性水素を含む官能基またはその塩を有するオニウム塩は水溶性であるため、洗浄等により簡便に除去することができる。これに伴い、オニウム塩と複合体を形成している触媒金属成分も除去される。
活性水素を含む官能基またはその塩に変換する方法としては、エポキシ化合物を損なわない方法であれば特に限定はされないが、通常は以下の方法が用いられる。
上記の工程で、オニウム塩は活性水素を含む官能基またはその塩を有するオニウム塩化合物と、それ以外の構造に由来する化合物へと分解される。例えば、アシル化オニウム塩およびベンゾイル化オニウム塩の場合、水中で上記の処理を行った場合はカルボン酸が、アルコール溶媒中で反応を行った場合はカルボン酸エステルが生成する。ベンゾイル化オニウム塩の場合は、還元により対応する芳香族が生成する。例えばベンゾイル基の場合は、接触水素化によりトルエンが生成する。これらの生成物とエポキシ化合物の分離はエポキシ化合物を損なわない方法であれば特に限定はされないが、通常は塩基水洗浄、塩基水処理または減圧留去により除去する。
(ii)オニウム塩が、ベンジル化オニウム塩である場合は、還元、好ましくは接触水素
化を行った後、分解後のオニウム塩を水洗にて除去することが好ましい。
本発明の製造方法により得られるエポキシ化合物は、上記のオレフィン化合物の炭素−炭素二重結合がエポキシ基に変換されたものが得られ、炭素−炭素二重結合がすべてエポキシ化されたものが好ましい。
上記エポキシ化反応、前記触媒金属や、必要に応じ用いたオニウム塩等の分離・除去工程、必要に応じ精製工程を経て、エポキシ化合物を得る。
同様に、本発明の製造方法により得られたエポキシ化合物は、オニウム塩由来の窒素含有量は通常500ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10ppm以下に、更に好ましくは1ppm以下である。
通常ハロゲン原子の含有量が少ないものとなり、その含有量は通常200ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下、更に好ましくは1ppm以下である。
本発明の製造方法によって得られたエポキシ化合物は、重合することによりエポキシ樹脂を製造することができる。重合反応は、公知の方法を適用することができ、具体的には特開2007−246819号公報等に記載の方法等により行なうことができる。
本発明の方法で得られた高純度エポキシ樹脂は、電子材料、光学材料、接着剤、建築分野等で用いることができる。半導体封止材、プリント配線基板、ビルドアップ配線板、ソルダーレジスト等の電子部品材料として用いた場合、不純物が原因で起きる配線の腐食や短絡の、照明の封止剤等の光学材料として用いた場合、着色や劣化の低減や回避が可能となる。
発明者がPCT/JP2013/059401として特許出願した「活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基を1つ以上有し、炭素原子を20以上含むオニウム塩」、具体的には本発明のオニウム塩は、過酸化水素と組み合わせた各種の酸化反応においても使用することができる。
アルデヒドの製造方法としては具体的には、タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、炭素原子を20以上有しかつ活性水素を含む官能基またはその塩に
変換可能な置換基を1つ以上有するオニウム塩の存在下、1級水酸基を有する化合物に過酸化水素を反応させ、アルデヒドを得ることができる。
1,2−ジオールの製造方法としては、タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、炭素原子を20以上有しかつ活性水素を含む官能基またはその塩に変換可能な置換基を1つ以上有するオニウム塩の存在下、酸性条件下、炭素−炭素二重結合を有する化合物に過酸化水素を反応させ、1,2−ジオールを得ることができる。
上記の各種の製造方法において、オニウム塩としては、上記本発明のオニウム塩が好ましい。また製造条件は特に制限されず、原料や目的物の反応性に応じ、適宜調整して使用することができる。
<1H−NMR分析条件>
装置:BRUKER社製 AVANCE400, 400MHz
溶媒:0.03体積%テトラメチルシラン含有重クロロホルム
合成例4のみ0.005体積%トリフルオロ酢酸を追加
積算回数:16回
実施例中のデータは、1H−NMR(400MHz、CDCl3)におけるδ値を表す。
LC装置:島津製作所社製 SPD−10Avp
温度 :35℃
カラム :Mightysil RP−18GP aqua 150−4.6(5μ
m)(関東化学社製)
(以下、分析条件1とする。)
検出器 :UV 280nm
溶離液 :アセトニトリル/0.1体積%トリフルオロ酢酸水溶液=90/10
(体積%)
流量 :0.5ml/分
(以下、分析条件2とする。)
検出器 :UV 254nm
溶離液 :アセトニトリル/0.1体積%トリフルオロ酢酸水溶液=60/40
(体積%)→20分間で100/0(体積%)、その後100/0(体
積%)で10分間保持
流量 :0.5ml/分
LC装置 :Applied Biosystems Voyager−DE STR
質量分析計
イオン化法:MALDI(+)
装置 :島津製作所製 GC−1700
カラム :phenomenex社製 ZB−5(30m×0.25mmφ、粒子径
0.25μm)
検出器 :水素炎イオン検出器 (FID)
キャリヤーガス(窒素流量):28ml/分
カラム温度:100℃より、10℃/分で300℃まで昇温
INJ温度:250℃
DET温度:300℃
窒素含有量(重量ppm)は、以下の方法で測定した。試料8mgを酸素及びアルゴン雰囲気内で燃焼させ、発生した分解ガスを燃焼・減圧化学発光法を用いた微量窒素分析装置(三菱化学アナリテック社製 TN−10型)にて測定した。また、標準試料としてアニリンをトルエンに溶解し使用した。
塩素含有量(重量ppm)は、無機および有機を合わせた全塩素量を以下の方法で測定した。試料を燃焼し、吸収液に吸収させた後、イオンクロマトグラフにて測定を行った。燃焼装置は三菱化学社製AQF−100を、イオンクロマトグラフ装置はDIONEX社製DX−500を用いた。イオンクロマトグラフは、カラムにDIONEX社製Ion Pac AS12Aを用い、電気伝導度で検出を行った。
前処理法:乾式灰化−酸溶解法
分析装置:Agilent Technologies社製 ICP質量分析装置 7500ce型
なお以下の実施例において「LC面積」とは、液体クロマトグラフ(LC)分析で得られた分析対象化合物のピーク面積をいい、「LC面積%」とは、組成物全量のピーク面積に対する対象化合物のピーク面積の割合をいう。
また実施例における「収率」は、得られた化合物の重量に、純度として「LC面積%」または「GC面積%」を乗じたものを収量とみなして算出した。
(エポキシ化反応原料の合成)
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビス(2−プロペン−1−イルオキシ)−1,1’−ビフェニル(別名称:3,3’,5,5’−テトラメチルビフノール ジ
アリルエーテル)は、特開2011−213716号公報の実施例2に準ずる方法で合成したものを用いた。この化合物中の約60元素の金属含有量を上記のICP−MS分析法で全定性・半定量測定を行った(検出下限:約1ppm)。反応装置から混入する懸念があり、ごく微量で過酸化水素を分解するクロム、コバルトに関しては、定量分析を行った(検出下限0.01ppm)。分析の結果、鉄2ppm、クロム0.02ppmを含んでいた。コバルトは検出限界以下であった。
(オニウム塩[1]の合成)
4−t−ブチル安息香酸 80.0g(440mmol)、トルエン240ml、トリエチルアミン0.68g(6.7mmol)の混合溶液を75℃に加温した後、塩化チオニル64.1g(539mmol)を1.5時間で添加し、更に75℃で1.5時間反応させた。反応終了後、常圧でトルエン100mlを加え、余剰の塩化チオニルを留去し、更に減圧条件下でトルエン50mlを加えて減圧条件下で余剰の塩化チオニルを留去し、4−t−ブチル安息香酸クロライド90.8gを得た。
N−ブチル−N,N−ジ[2−(4−t−ブチルベンゾイルオキシ)エチル]アミン:
0.88(3H,t,J=7.3Hz),1.32(18H,s,t−Bu),1.35−1.40(2H,m,−CH2−),1.40−1.51(2H,m,−CH2−),2.64(2H,t,J=5.3),2.96(4H,t,J=6.0Hz,N−CH2−),4.39(4H,t,J=6.0Hz,O−CH2−),7.41(4H,dd
d,J=2.0,3,8,8.6Hz,Ar),7.98(4H,ddd、J=2.0,4.0,8.8Hz,Ar).
オニウム塩[1]:
0.09(3H,t, J=7.3Hz,Me),1.30−1.33(2H,m,−CH2−),1.32(18H,s,t−Bu),1.70−1.85(2H,m,−CH2−), 3.45(3H,s,N−Me), 3.50−3.60(2H,m、N−CH2−C3H7)3.66(3H,s,MeSO2),4.08−4.15(4H,m,O−CH2−),4.82−4.89(4H,m,N−CH2),7.41(4H,d,J=8.6Hz,Ar),7.89(4H,d,J=8.6Hz,Ar).
合成例1で得られた反応原料2.50g(7.8mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬社製)256mg(0.78mol)、8.5%(重量/体積)リン酸水溶液0.98ml(0.85mmol)、上記オニウム塩[1]236mg(0.39mmol)、トルエン2.5ml及び水1.5mlの混合溶液を調製した。
グリシジルエーテル(ジエポキシ体と略す)76.7%、と反応中間体の4,4’−ジヒドロキシー3,3’ ,5,5’−テトラメチルビフェニル モノアリルエーテル モノ
グリシジルエーテル(以下、モノエポキシ体と略す)10.6%、極性化合物10.4%であった。
3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール ジグリシジルエーテル:2.34(12H,s,−CH3),2.75(2H,dd,J=2.8,4.9Hz,−O−CH2−),2.90(2H,dd,J=4.3,4.9Hz,−O−CH2−),3.36-3.41(2H,m,−CH−),3.73(2H,dd,J=5.8,11.0Hz
,−O−CH2−),4.07(2H,dd,J=3.3,11.0Hz,−O−CH2−),7.18(4H,s,−C6H2(Me)2−).
(オニウム塩[2]の合成)
1−クロロ−2、3−プロパンジオール4.0g(36.2mol)とトリブチルアミン7.4g(39.8mmol)、アセトニトリル4mlの混合溶液を、60℃で3.5時間加熱攪拌した。その後炭酸カリウム2.5g(18.1mol)を加え、80℃で8時間反応した。アセトニトリル10mlを加え、析出した沈殿物を濾別後、減圧乾燥し、粗2,3−ジヒドロキシプロピルトリブチルアンモニウムクロライド6.28gを得た。粗収率67%。
0.86(9H,t,J=8.0Hz,n−Bu),1.26(6H、dd,J=4.0,8.0Hz,n−Bu)1.24(9H,s,t−Bu),1.34(9H,s,t−Bu),1.62−1.82(6H,m,n−Bu),3.26−3.5(6H,m,n−Bu),4.24−4.55(2H,m,−CH2−O−CO),4.60−4.80(2H,m,−CH2−N),5.94−5.98(1H,m,−CH−),7.35−7.52(4H,m,−Ar),7.90−8.09(4H,m,−Ar)
合成例1で得られた反応原料1.20g(3.72mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬製)123mg(0.372mmol)、8.5%(重量/体積)リン酸水溶液0.47ml(0.41mmol),上記オニウム塩[2]126mg(0.186mmol)、トルエン1.2ml及び水0.73mlの混合液を調製した。
続いて1規定水酸化ナトリウム水溶液4.8mlを加え、40℃にて30分間処理する操作を行った。LC分析(条件2)でオニウム塩[2]の消失を確認後、同様の操作を更に2回行った。水4.8mlで洗浄後、得られた有機相を濃縮し、上記ジエポキシ体の粗結晶1.37gを得た。純度85.2%(LC分析条件2)、収率88%であった。得られた粗結晶の窒素含有量は70ppmであった。
(オニウム塩[3]の合成)
ステアリルアミン5.0g(18.6mmol)、トルエン5ml溶液を40℃に加熱後、グリシドール3.02g(40.8mmol)を加え、1時間反応後、70℃に加温して7時間反応し、N,N−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)ステアリルアミンのトルエン溶液を得た。
。
上記トルエン溶液に無水酢酸11.4g(111mmol)を加え、60℃に加温し4.5時間反応した。余剰のトルエンと無水酢酸を減圧留去し、ジ(2,3-ジアセトキシプロピル)メチルステアリルアンモニウムモノメチル硫酸塩(以下、オニウム塩[3])を
6.87g得た。トルエン、酢酸、無水酢酸を計31質量%含み、純度は61%と推定(NMR)。収率41%(ステアリルアミン基準)であった。
オニウム塩[3]:
0.88(3H,t,J=8.0Hz,−CH3),1.20−1.45(32H,m,−C16H32−),2.09−2.15(12H,m,Ac),3.15−3.30(5H,m,N−Me+N−CH2−),3.78(3H,s,MeSO2),3.70−4.590(8H,m,O−CH2−,N−CH2−),5.50−5.70(2H,m,−CH(OAc)−).
合成例1で得られた反応原料5.0g(15.5mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬社製)512mg(1.55mmol)、8.5%(重量/体積)リン酸水溶液1.25ml(1.08mmol),上記オニウム塩[3]512mg(0.776mmol)、トルエン2ml及び水1.5mlの混合溶液を調製した。
このジエポキシ体粗結晶4.70gにメタノール33mlを加え、65℃に加温して2時間懸洗を行った。8℃まで冷却後、析出した結晶を濾取し2.55gを得た。純度87.4%(LC分析条件2)、回収率79%であった。
(オニウム塩[4]の合成)
トリエタノールアミン塩酸塩2.00g(10.8mmol)、THF40mlの溶液中に60%水素化ナトリウム1.94g(48.5mmol)を加え、氷水冷却下、ベンジルブロマイド5.53g(32.3mmol)とTHF2.0ml、DMF2.0mlの混合溶液を内温を20℃以下に保ち、1時間かけて分割添加した。室温で1時間反応後、60℃で1時間、70℃で4時間反応した。反応終了後、反応内容物を攪拌しながら氷水に注ぎ、ヘキサン100mlで抽出、更に酢酸エチル50mlで2回抽出し、合わせた有機相を水20mlで洗浄後、濃縮した。得られた油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(関東化学製 シリカ60N 150g、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、N,N,N−トリ(2−ベンジルオキシエチル)アミンを3.0g得た。純度98%(LC面積%、分析条件2)、収率66%であった。
オニウム塩[4]:
1.31(9H,s,t−Bu),3.80−3.84(2H,m,O−CH2−),4.02−4.06(2H,m,N−CH2−),4.93(2H、N−CH2−Ph),7.26−7.36(15H,m,Ph),7.40(2H,d,J=8.4Hz,Ar),7.59(2H,d,J=8.4Hz,Ar).
1,5−シクロオクタジエン2.0g(18.5mmol;東京化成社製)、トルエン4ml、タングステン酸ナトリウム二水和物0.122g(0.37mmol)、8.5%(重量/体積)リン酸水溶液0.107ml(0.092mmol)、水0.1m及び上記のオニウム塩[4]0.12g(0.19mmol)を添加し攪拌した。この混合液を50℃に加温した後、窒素気流下、42%過酸化水素水0.30ml(4.3mmol)を反応開始時、30分後に添加し、0.50ml(8.6mmol)をその1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の計4回添加した。内温50〜51℃で計9時間反応し、上記GC分析により、76%(GC面積%)で1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタンが生成していることを確認した。その他に、反応中間体であるモノエポキシ化合物が6.0%(GC面積%)生成していた。
1.82−2.05(8H,m,−CH2−),3.08−3.90(4H,m,−CH−O−)
反応液の水相を分離し、これに酢酸エチル4mlを加え抽出を行い、この酢酸エチル溶液を反応有機相と合わせた。これを5質量%チオ硫酸ナトリウム水溶液5ml、次に水2mlで洗浄後、濃縮し、純度76%(GC)の粗1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン2.2gを得た。収率64%。
実施例1と同様の方法で、合成例1で得られた反応原料150.0g(0.47mol)をアンモニウム塩としてメチルトリオクチルアンモニウム硫酸塩(23.5mmol)を用いて反応した。反応生成物の組成比は、上記ジエポキシ体が84%(LC面積%であった。反応終了後、同様の方法で処理し、上記ジエポキシ体の粗結晶を147gを得た。収率76%、純度91.2%(LC面積%、LC分析条件2)であった。該粗結晶にはメチルトリオクチルアンモニウム塩が含まれており、NMR分析でオクチル基の末端メチルのプロトン積算比より6mol%(ジエポキシ体を100とした場合の比率で表す)と推定された。上記の分析方法により窒素及びタングステンの含有量をそれぞれ測定したところ、タングステン142ppm、窒素1600ppmであった。
比較例1の方法で得られた3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール ジグリシジルエーテル1.5gにメタノール10.5mlを加え、50℃にて2時間懸洗後、6℃まで冷却し、懸洗結晶0.89gを濾取した。回収率62%。純度95.2%(LC面積%、LC分析条件2)。この懸洗結晶にはメチルトリオクチルアンモニウム塩が含まれていたおり、含有率は1.75mol%(上記と同様のNMR分析、窒素残存量690ppmに相当)であった。
(オニウム塩[1]の含塩素化合物を用いない合成)
p−トルエンスルホン酸一水和物47.2g(0.25mol)、トルエン60mlをデーンスターク管付き200mlのナスフラスコに仕込み、ジャケット温度120℃で加熱し、水を共沸留去した。これに4−t−ブチル安息香酸44.2g(0.25mol)、N−ブチルジエタノールアミン20.0g(0.12mol)を加え、ジャケット温度135℃で10時間、生成する水を留去しながら反応した。更に、p−キシレン30mlを添加し、窒素を反応液面近くに毎分300mlでフィードしながら、ジャケット温度140℃で7時間、生成する水を留去しながら反応した。反応液の組成比はLC面積%(分析条件2)でN−ブチル−N,N−ジ[2−(4−t−ブチルベンゾイルオキシ)エチル]アミン81.7%、N−ブチル−N−エタノール−N−[2−(4−t−ブチルベンゾイルオキシ)エチル]アミン9.8%、4−t−ブチル安息香酸6.0%の混合物であった。
得られた粗N−ブチル−N,N−ジ[2−(4−t−ブチルベンゾイルオキシ)エチル]アミンを、カラムクロマトグラフィー(関東化学社製 シリカ60N 300g、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製した。
特許2539648号記載に準ずる方法で合成した3,3’−ジアリルビフェニル −4,4’−ジグリシジルエーテル(別名称 3,3’−ジアリル−4,4’−グリシジルオキシ―1,1’-ビフェニル)0.50g(1.32mmol)、タングステン酸ナト
リウム二水和物(和光純薬社製)52mg(0.16mol)、8.5%(重量/体積)リン酸水溶液0.15ml(0.13mmol)、上記合成例6で得られたオニウム塩[1]48mg(0.079mmol)、トルエン2.0ml、及び水0.10mlの混合溶液を調製した。
分析条件2)、収率73%。
2.58−2.64(2H、m、C−グリシジル末端)、2.77−2.82(2H+2H、m、C−グリシジル末端、O−グリシジル末端)、2.87−2.96(2H+2H、m、C−CH 2 −CH−、O−グリシジル末端)、2.97−3.06(2H、m、C−CH2−CH−)、3.25(2H、m、C−CH2−CH−)、3.39(2H、m、O−CH2−CH−)、3.95−4.05(2H、m、O−CH 2 −CH)、4.27−4.34(2H、m、O−CH 2 −CH)、6.88−6.92(2H、m、Ar)7.37−7.41(4H、m、Ar)
(エポキシ化反応原料の合成)
2,2’−ジアリルビスフェノールA(アルドリッチ社製)5.00g(16.2mmol)、アセトン20ml、N,N−ジメチルホルムアミド10m、炭酸カリウム5.63g(41mmol)の混合液中に室温でアリルブロマイド4.32g(36mmol)を室温で4時間かけて添加した。その後60℃まで加温し3時間反応した。更にアリルブロマイド1.43g(12mmol)、炭酸カリウム1.88g(13mmol)を追加し、内温65℃で1.5時間、内温70℃で6時間反応した。
パンを5.80g得た。LC純度86%(分析条件2)、収率79%。
ータは以下の通り。
1.62(6H、s、−Me)、3.35−3.38(4H、m、C−CH 2 −C=)、4.50−4.51(4H、m、O−CH 2 −C=)、4.95−5.10(4H、m、C−CH2=CH 2 )、5.24(2H、dd、J=1.6、10.6、O−CH2=CH)、5.41(2H、dd、J=1.7、17.2、O−CH2=CH)、5.90−6.12(2H+2H、m−CH2=)、6.72(2H、d、J=8.3、Ar)、6.95−7.15(4H、m、Ar)
上記方法で合成した2,2−ビス(3−アリル−4-アリルオキシフェニル)プロパン
4.00g(10.3mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬社製)410mg(1.24mol)、85%(重量/体積)リン酸水溶液154mg(130mmol)、合成例6の方法で調製したオニウム塩[1]417mg(0.62mmol)、トルエン16ml、及び水2mlの混合溶液を調製した。
反応溶液は二相系であり、その有機相の組成比は、LC面積%(分析条件2)で一分子中の4つのアリル基が酸化された化合物2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−(2,3−エポキシプロピル)フェニル]−プロパン(以下テトラエポキシ体と略す)が78.5%、2−[4−(2,3−プロペニルオキシ)−3−(2,3−エポキシプロピル)フェニル]−2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−(2,3−エポキシプロピル)フェニル]−プロパン(以下トリエポキシ体1と略す)および2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−(2,3−プロペニル)フェニル]−2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−(2,3−エポキシプロピル)フェニル]−プロパン(以下トリエポキシ体2と略す)が合わせて10.0%、極性化合物が7.2%であった。
00gより合成したテトラエポキシ体およびトリエポキシ体を含む液体を合わせて、シリカゲルカラム精製(シリカゲル60N、関東化学製、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1→1/1)し、テトラエポキシ体9.34g(純度98.1%、LC分析条件2)およびトリエポキシ体1.07g(純度96.1%、LC分析条件2)をそれぞれ収率44%、4.6%で得た。トリエポキシ体はトリエポキシ体1とトリエポキシ体2の混合物であり、NMRのO−アリル基およびC−アリル基のプロトンピークの積分比よりトリエポキシ体1とトリエポキシ体2のおよそ87:13の混合物であることが分かった。
1.63(6H、s、Me)、2.52−2.56(2H、m、C−グリシジル末端)、2.72−2.83(2H+2H+2H、m、C−グリシジル末端、O−グリシジル末端、C−CH 2 −CH)、2.86−2.94(4H、m、O−グリシジル末端、C−CH 2 −CH)、3.13−3.20(2H、m、C−CH2−CH−)、3.32−3.38(2H、m、O−CH2−CH−)、3.90−3.98(2H、m、O−CH 2 −CH−)、4.19−4.26(2H、m、O−CH 2 −CH−)、6.72−6.76(2H、m、Ar)、7.00−7.08(4H、m、Ar)
1.63(6H、s、Me)、2.50−2.56(2H、m、C−グリシジル末端)、2.70−2.80(2H+2H+1H、m、C−グリシジル末端、C−CH 2 −CH、O−グリシジル末端)、2.88−2.96(2H+1H、m、C−CH 2 −CH、O−グリシジル末端)、3.11−3.22(2H、m、C−CH2−CH−)3.31−3.37(1H、m、O−CH2−CH−)、3.92−4.00(1H、m、O−CH 2 −CH−)、4.18−4.25(1H、m、O−CH 2 −CH−)、4.52(2H、d、J=0.5、−O−CH 2 −CH=CH2)、5.22−5.29(1H、m、CH=CH 2 )、5.36−5.44(1H、m、CH=CH 2 )、5.96−6.09(1H、m、−CH=CH2)、6.70−6.77(2H、m、Ar)、7.00−7.15(4H、m、Ar)
合成例1で得られた反応原料4.0g(12.4mmol)、タングステン酸ナトリウム二水和物(和光純薬社製)205mg(0.62mol)、85%リン酸水溶液0.102g(0.87mmol)、合成例6の方法で調製したオニウム塩[1]201mg(0.31mmol)、トルエン4ml及び水8mlの混合溶液を調製した。
機相を10mlの水で洗浄した。LC分析(条件2)で有機相中のオニウム塩[1]の消失を確認した後、得られた有機相を濃縮し、9.9gのジエポキシ体の粗結晶を得た。純度79%(LC分析条件2)、収率71%。
実施例1〜7ではオニウム塩の分解が確認された。実施例1、2では窒素残存量の少ないエポキシ化合物が得られた。実施例7では、塩素残存量の少ないエポキシ化合物が得ら
れた。
本発明において用いられるオニウム塩により、タングステン等の金属や窒素化合物等の不純物が十分に低減された、塩素含有量が少ないエポキシ化合物を得ることができる。
更には、蒸留や結晶化精製ができないようなエポキシ化合物の製造にも適用でき、汎用性に優れる。
本発明の方法で得られたエポキシ化合物を電子材料、光学材料等及び医農薬の原料として使用した場合、不純物に起因する問題が低減し、高純度、高品質な製品を得ることができる。
Claims (16)
- タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、オニウム塩との存在下
、炭素−炭素二重結合を有する化合物の炭素−炭素二重結合に過酸化水素を反応させてエ
ポキシ化するエポキシ化合物の製造方法であって、
前記オニウム塩が、下記一般式(4)で表わされる化合物であることを特徴とするエポ
キシ化合物の製造方法。
R16及びR17は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂
肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、またそ
れぞれが結合して環を形成していてもよい。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水
素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
R19及びR21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を
表わす。
k、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表わし、k、mがそれぞれ2以上のとき、複数
のR19及びR21はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノ
キシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基
を表わし、pは0≦p≦5−kの整数を表わし、qは0≦q≦5−mの整数を表わす。
X−は、アニオンを表わす。) - 前記エポキシ化を、リン酸類及びホスホン酸類の少なくとも一方の共存下で行なうこと
を特徴とする、請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記エポキシ化を、前記タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方を
含む水相と、前記炭素−炭素二重結合を有する化合物を含む有機相とからなる二相系溶液
中で行なうことを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記水相のpHが、2以上6以下であることを特徴とする、請求項3に記載のエポキシ
化合物の製造方法。 - 前記エポキシ化を、キレート化剤の共存下で行なうことを特徴とする、請求項1〜4の
いずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記炭素−炭素二重結合を有する化合物が、酸性水溶液で洗浄処理されたものであるこ
とを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記炭素−炭素二重結合を有する化合物が、キレート化剤で洗浄処理されたものである
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記オニウム塩が、炭素数1〜4のアシルオキシ基を4つ以上有し、かつ前記炭素−炭
素二重結合を有する化合物をエポキシ化した後に、前記オニウム塩を塩基性化合物で加溶
媒分解する工程をさらに有することを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載の
エポキシ化合物の製造方法。 - 前記加水分解工程後に、加溶媒分解されたオニウム塩を再生する工程をさらに有するこ
とを特徴とする、請求項8に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記オニウム塩が、ベンジルオキシ基を1つ以上有し、かつ前記炭素−炭素二重結合を
有する化合物をエポキシ化した後に、前記オニウム塩を接触水素化する工程をさらに有す
ることを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - 前記炭素−炭素二重結合を有する化合物をエポキシ化した後に、前記オニウム塩を塩基
性化合物で加溶媒分解する工程をさらに有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれ
か1項に記載のエポキシ化合物の製造方法。 - エポキシ化合物を重合してエポキシ樹脂を製造する方法であって、請求項1〜11のい
ずれか1項に記載の製造方法でエポキシ化合物を製造する工程と、前記工程で得られたエ
ポキシ化合物を重合してエポキシ樹脂を製造する工程を含むことを特徴とする、エポキシ
樹脂の製造方法。 - 下記一般式(4)で表わされるオニウム塩。
R16及びR17は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂
肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、またそ
れぞれが結合して環を形成していてもよい。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水
素基を表わす。
R19及びR21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を
表わす。
k、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表わし、k、mがそれぞれ2以上のとき、複数
のR19及びR21はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノ
キシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基
を表わし、pは0≦p≦5−kの整数を表わし、qは0≦q≦5−mの整数を表わす。
X−は、アニオンを表わす。) - 前記一般式(4)において、R16、R17、R18及びR20が有する全炭素数が1
4以下であり、かつR19及びR21が有する全炭素数が6以上であることを特徴とする
請求項13に記載のオニウム塩。 - エポキシ化反応用触媒である、請求項13または14に記載のオニウム塩。
- タングステン化合物及びモリブデン化合物の少なくとも一方と、下記一般式(4)で表
わされる少なくとも1つのオニウム塩とを含むエポキシ化反応用触媒組成物。
R16及びR17は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂
肪族炭化水素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく、またそ
れぞれが結合して環を形成していてもよい。
R18及びR20は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水
素基を表わし、一部の炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
R19及びR21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を
表わす。
k、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表わし、k、mがそれぞれ2以上のとき、複数
のR19及びR21はそれぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
Y及びZは、それぞれ独立にハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、フェノ
キシ基、ベンジル基、N−アルキルカルバモイル基、又はN−アルキルスルファモイル基
を表わし、pは0≦p≦5−kの整数を表わし、qは0≦q≦5−mの整数を表わす。
X−は、アニオンを表わす。)
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