JP6511016B2 - 押し付け力評価方法 - Google Patents

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Description

本開示は、構造物の荷重力評価の分野と関係し、より具体的には、流体中に支持部材により支持されて配置された管群の支持部材に対する押付力を評価する押付力評価方法と関係する。
大型の熱交換器である蒸気発生器の伝熱管群においては、管外を流れる二相流によって管が大きく振動するのを防止するために、振れ止め金具を設置して管が振動するのを拘束している。しかし、管群中に振止め金具を設置しただけでは、管と振止め金具の間に微小な隙間ができてしまう。そのため、管が振れ止め金具方向に振動するのを拘束することはできるが、振れ止め金具の方向(面外方向)と直交する流れの方向(面内方向)には管が振動するのを拘束することはできない。最近、蒸気発生器で流れ方向(面内方向)において流力弾性振動が発生する事例が報告されており、流れ方向の振動を拘束することが必要となっている。
このため、管と管の隙間よりも板厚が厚い振れ止め金具を挿入して管と振れ止め金具の押付け力を増加させて、流れ方向の振動を抑えることが考えられている。しかし、押付け力が不十分であれば、管外を流れる二相流による流れ方向及び流れ直角方向のランダムな励振力によって、管が振止め金具に対して流れ方向に滑りを伴って振動し、流れ方向の流力弾性振動が発生したり摩耗が発生したりすることがある。したがって、二相流によるランダムな励振力によって管が面内方向に滑らないようにするには、どの程度の押付け力が必要かを推定する技術が求められている。
特許文献1は、作業者が蒸気発生器に入り、振れ止め部材による伝熱管の支持部にアクセスする必要なしに、伝熱管と振れ止め部材との接触力を高精度に測定する技術を開示している。また、特許文献2は、蒸気発生器の耐震裕度を評価する際に、蒸気発生器の構造材の弾塑性を考慮しながら、蒸気発生器内において局所的に発生する応力を評価することができる耐震評価方法を開示している。
特開2014−041102号公報 特開2014−164323号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2記載の発明では、二相流によるランダムな励振力によって蒸気発生器を構成する各管が面内方向に滑らないようにするには、どの程度の押付け力が必要かを推定する技術を開示も示唆もしていない。特に、蒸気発生器の熱交換効率を高めるために、二相流の流速を上げてゆく場合には、流速が所定値を超えたときに管群の損傷に至る可能性がある自励振動(流力弾性振動)が生じることがある。しかし、特許文献1および特許文献2記載の発明では、この自励振動を抑制するのに充分な押付け力を適切に推定することが困難である。
上記問題点に鑑み、本発明の幾つかの実施形態では、流体中で支持部材との摩擦力により支持される管群を構成する各管が、流体の励振力によって自励振動を起こさないようにするには、どの程度の押付け力が必要かを推定する押し付け力評価方法を得ることを目的とする。
(1)本発明の幾つかの実施形態に従い、流体中に支持部材により支持されて配置された管群の前記支持部材に対する押付力を評価する押付力評価方法は、
前記管群の押付力を設定する押付力設定工程と、
前記管群及び前記支持部材の振動解析モデルを用いて、所定入力に対して前記管群から前記支持部材が受ける反力の確率密度関数を算出する確率密度関数算出工程と、
前記算出された確率密度関数に基づいて、前記設定された押付力以上の反力が発生する確率を算出する確率算出工程と、
前記算出された確率に基づいて、前記設定された押付力を評価する評価工程と、
を備えることを特徴とする。
上記(1)の方法では、管群及び支持部材の振動解析モデルを用いて管群から支持部材が受ける反力の確率密度関数を算出し、当該確率密度関数に基づいて、当該反力が設定された押付力以上となる確率を求め、当該確率に基づいて、前記設定された押付力を評価する。従って、上記(1)の方法では、管群から支持部材が受ける反力が時間の経過に伴ってランダムに変化したとしても、当該反力が設定された押付力以上となる確率に応じて、当該押圧力が充分であるか否かを定量的に判断することができる。その結果、上記(1)の方法によれば、流体中で支持部材との摩擦力により支持される管群を構成する各管が、流体の励振力によって自励振動を起こさないようにするには、どの程度の押付け力が必要かを適切に推定することができる。
(2)例示的な一実施形態では、上記(1)の方法において、前記確率密度算出工程では、前記所定入力を用いて前記振動解析モデルを時刻歴応答解析することにより求められる時刻歴応答に基づいて前記反力の平均値と標準偏差を算出し、前記平均値と標準偏差によって規定される正規分布として前記確率密度関数を算出することを特徴とする。
上記(2)の方法では、所定入力を用いて振動解析モデルを時刻歴応答解析することにより求められる時刻歴応答に基づいて、管群から支持部材が受ける反力の平均値と標準偏差を算出し、当該平均値と標準偏差によって規定される正規分布として前記確率密度関数を算出する。その結果、上記(2)の方法では、以下の理由により、自励振動の抑制に必要な押付け力を実際の状況に即してより高精度に推定することができる。
すなわち、振動解析モデルを時刻歴応答解析することにより求められる時刻歴応答は、時刻歴応答解析を実行した期間にのみ現れる反力の時間変動を反映し、管群と支持部材を含む構造物の全運転期間にわたる反力の時間変動を反映していない。その一方で、反力の時間変動がランダムであるならば、管群と支持部材を含む機器(蒸気発生器など)の全運転期間にわたる反力の確率分布は、正規分布によって近似できると考えられる。そこで、上記(2)の方法では、当該反力が設定された押付力以上となる確率を推定するために使用される確率密度関数として、当該時刻歴応答に基づいて求められた反力の平均値と標準偏差によって規定される正規分布を用いている。つまり、上記(2)の方法では、当該正規分布を反力の確率密度関数として用いているので、管群と支持部材を含む機器の全運転期間にわたる反力の時間変動を考慮して、当該反力が設定された押付力以上となる確率を求めることが可能となる。
(3)例示的な一実施形態では、上記(1)または(2)の方法において、前記確率密度関数は、前記支持部材が前記管群との接触面から接線方向に受ける第1の反力に対応する第1の確率密度関数と、前記接触面から法線方向に受ける第2の反力に対応する第2の確率密度関数とを合成することにより算出されることを特徴とする。
上記(3)の方法では、管群から支持部材が受ける反力を、支持部材と管群との接触面から接線方向に作用する第1の反力と当該接触面から法線方向に作用する第2の反力に分解することによって、互いに直交する方向成分に分解している。その上で、上記(3)の方法では、第1の反力と第2の反力の各々について個別に求めた2つの確率密度関数を合成することにより、当該反力の確率密度関数を算出している。従って、上記(3)の方法では、管群から支持部材が受ける反力の作用方向と大きさが管群全体にわたって不規則にバラついていたとしても、当該反力を直交する2つの方向成分に分解することにより、振動解析モデルの構成と確率密度関数の計算を単純化することができる。
(4)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(3)の方法において、前記評価工程では、前記算出された確率に基づいて、所定期間に前記管群及び前記支持部材間に生じる摩耗量を推定し、前記推定された摩耗量に基づいて、前記設定された押付力を評価することを特徴とする。
上記(4)の方法では、管群から支持部材に作用する反力が設定された押付け力以上となる確率に基づいて、所定期間に管群及び支持部材間に生じる摩耗量を推定し、当該推定された摩耗量に基づいて、当該設定された押付力を評価する。その結果、管群及び支持部材間に生じる摩耗量に応じて管群及び支持部材間に作用する押し付け力が低下しても、当該押付け力の低下を考慮して当該設定された押し付け力を評価することが可能となる。
また、上記(4)の方法では、管群から支持部材に作用する反力が設定された押付け力以上となった際に、管群と支持部材との間に滑り摩擦が起きる点に着目し、当該滑り摩擦の発生確率に応じて所定期間に管群及び支持部材間に生じる摩耗量を推定している。その際、上記(4)の方法では、当該反力が設定された押付け力以上となる確率を、振動解析モデルを時刻歴応答解析して得られた確率密度関数と設定された押付け力との間の関係に基づいて算出している。従って、上記(4)の方法によれば、所定期間に管群及び支持部材間に生じる摩耗量や管群と支持部材との間に滑り摩擦が起きる確率を実験的手法により実測する必要がなく、これらを解析計算によって求めることができる。
(5)例示的な一実施形態では、上記(4)の方法において、前記設定された押付力により前記管群及び前記支持部材間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量に基づいて仕事率を算出する仕事率算出工程を更に備え、
前記評価工程では、前記確率に基づいて前記所定期間に発生する滑り発生時間を推定し、前記滑り発生時間を前記仕事率に乗算することにより前記摩耗量を推定することを特徴とする。
また、上記(5)の方法では、管群及び支持部材間に生じる単位時間当たりの摩耗量を、押付力により管群及び支持部材間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量から算出される仕事率として求めている。従って、上記(5)の方法では、管群及び支持部材間における接触特性や摩擦特性を複雑な力学系モデルで記述することなく、単位時間当たりの摩耗量を、押付力により管群及び支持部材間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量から求まる仕事率として定量化することができる。その結果、上記(5)の方法によれば、管群及び支持部材間に生じる単位時間当たりの摩耗量を単純な計算で短期間に算出することが可能となる。
また、上記(5)の方法では、管群から支持部材に作用する反力が設定された押付け力以上となった際に、管群と支持部材との間に滑り摩擦が起きる点に着目し、当該滑り摩擦の発生時間に応じて管群及び支持部材間に生じる摩耗量を推定している。その際、上記(5)の方法では、当該滑り摩擦の発生時間は、振動解析モデルを時刻歴応答解析して得られた確率密度関数と設定された押付け力との間の関係から算出される。従って、上記(5)の方法によれば、所定期間に管群及び支持部材間に生じる摩耗量や管群と支持部材との間に滑り摩擦が起きる時間の長さを実験的手法により実測する必要がなく、これらを解析計算によって求めることができる。
(6)例示的な一実施形態では、上記(4)または(5)の方法において、前記管群の等価剛性を算出する等価剛性算出工程を更に備え、
前記評価工程では、前記摩耗量及び前記等価剛性に基づいて押付力の低減量を算出し、該算出された低減量が閾値以下であるか否かに基づいて前記設定された押付力を評価することを特徴とする。
上記(6)の方法では、管群の等価剛性を算出し、管群及び支持部材間の滑り摩擦により生じる摩耗量及び等価剛性に基づいて押付力の低減量を算出し、当該低減量が閾値以下であるか否かに基づいて設定された押付力を評価する。従って、上記(6)の方法によれば、管群全体の等価剛性を事前に求めておけば、当該摩耗量と当該等価剛性から押付力の低減量を算出することができる。従って、上記(6)の方法によれば、上記(4)または(5)の方法により摩耗量を解析的に算出した後は、算出済みの等価剛性の値を使用した簡単な計算によって短時間で押付け力の低減量を算出することが可能となる。
(7)例示的な一実施形態では、上記(6)の方法において、前記等価剛性算出工程では、前記管群について有限要素法を適用することにより前記等価剛性を算出することを特徴とする。
上記(7)の方法によれば、管群全体の等価剛性を実験的手法により実測する必要なしに、構造解析的な計算により求めることができる。
(8)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(7)の方法において、前記管群は、同一の平面内において延在するとともに、互いに曲率中心を共有し、且つ、互いに曲率半径が異なる曲り部を有する複数のU字管によって形成される管列を少なくとも一つ含み、
前記支持部材は、前記管列を挟むように前記平面に沿って延在する形で前記管列の両側に配置された
少なくとも一対の振止め部材を含み、
前記管群を通る流体の励振力に抗して、振止め部材との摩擦力により支持される前記管群の前記平面に沿った方向における自励振動を抑制するために、前記振止め部材と前記管列との間に作用させる必要がある押し付け荷重力を評価する、ことを特徴とする。
一般的な熱交換器において、管群は、U字形状の曲り部をそれぞれ有する複数のU字管により構成され、振止め部材が、当該曲り部を含む平面に直交する面外方向において、隣接するU字管の曲り部の間に挿入される構造を有していても良い。その場合、面外方向において、隣接する管列の間に挿入される振止め部材が、面外方向への各U字管(曲り部)の動きを規制しているので、面外方向に作用する加振力に対しては、管群全体が一体となって振動する。しかしながら、当該曲り部を含む平面に沿った面内方向に配列された一連のU字管は、両側の振止め部材との間の摩擦力によってのみ規制されている。従って、上記(1)〜(6)の方法において、各管が振動する方向は面内方向とほぼ一致し、各管が隣接する振止め部材と衝突することにより受ける接触荷重も主として面内方向の摩擦力である。
そこで、上記(8)の方法では、曲り部を有するU字管から成る管列が延在する平面内(面内方向)において、管列に隣接する振止め部材から受ける摩擦力が各U字管に作用する励振力に抗して作用するものとしている。その上で、上記(8)の方法では、管群の面内方向における流力弾性振動を抑制するのに充分な構造的強度を一連のU字管から成る管列と振止め部材との間の必要押付力として適切に評価することができる。
(9)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(8)の方法において、前記管群は、PWR原子力発電設備の蒸気発生器の伝熱管群であることを特徴とする。
これにより、上記(9)の方法では、蒸気発生器などの熱交換器が加圧水型原子炉を含む原子力関連施設に設けられるものである場合、熱交換用の流体中に配置された当該管群が自励振動を起こさずに耐えるのに必要な強度を管群と支持部材との間の必要押付力として事前に評価することができる。
以上より、本発明の幾つかの実施形態では、流体中で支持部材との摩擦力により支持される管群を構成する各管が、流体の励振力によって自励振動を起こさないようにするには、どの程度の押付け力が必要かを推定することができる。
一実施形態に係る伝熱管群のUベンド部の斜視図である。 振止め部材による支持構造の一例を面内方向から見た図である。 振止め部材による支持構造の一例を面外方向から見た図である。 伝熱管群において振止め部材に押付け力を持たせることにより伝熱管を支持する制振構造を示す図である。 一実施形態に係る必要押付力評価方法を実行するためのコンピュータ装置を示す図である。 図5Aに示すコンピュータ装置の演算部の内部構成を示す図である。 一実施形態に係る必要押付力評価方法の実行手順を示すフローチャートである。 一実施形態に係る必要押付力評価方法で用いられる反力算出用モデルと摩耗量算出用モデルを示す図である。 伝熱管が振止め部材から受ける反力を直交する方向成分に分解した様子を示す図である。 反力を構成する直交成分ごとに求めた確率分布を合成することにより、反力の確率分布が得られる様子を示す図である。 反力の確率密度関数を使用して、反力が押付力設定値を上回る確率が得られる様子を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。以下、まず最初に、幾つかの実施形態に係る管群の必要押付力評価方法を説明するのに先立って、当該必要押付力評価方法の適用対象である伝熱管群の構造について図1乃至図4を参照して説明する。続いて、当該必要押付力評価方法の処理内容について図5乃至図9を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る伝熱管群10のUベンド部10aの斜視図を示す。図2は、伝熱管群10を、図1の面内方向D2(図1の列方向d2)から見た側面図であり、図3は、伝熱管群10を、図1の面外方向D1(図1の列方向d1)から見た側面図である。なお、図1においては、図面の見やすさを考慮して一部の構成部材を省略して記載している。図1において当該省略された構成部材の一部は、図1における伝熱管群10を側面から見た図2および図3において示されている。
幾つかの実施形態において、伝熱管群10は、複数の伝熱管3と、複数の伝熱管3が挿通される管支持板7と、を備えており、複数の伝熱管3内を流れる流体との熱交換によって蒸気を生成するように構成される。複数の伝熱管3は、それぞれ、流体の入口側に位置する第1直管部4と、流体の出口側に位置する第2直管部5と、第1直管部4と第2直管部5との間に位置する曲り部6と、を有している。管支持板7には、第1直管部4及び第2直管部5が挿通される複数の貫通孔が形成されている。
伝熱管群10は、U字形状の曲り部6をそれぞれ有する複数の伝熱管3により構成される。複数の伝熱管3の曲り部6によってUベンド部10aが形成される。図1に示す構造においては、曲り部6の半径方向における外側(図1における上側)に向かうに従って曲り部6の曲率半径が大きな伝熱管3が互いに曲率中心を共有する形で同一平面に沿って(面内方向D2に沿って)配列される(図1の管列8)。図3は、このように伝熱管3が面内方向D2に沿って配列された管列8が複数列存在し、これら複数の管列8が、曲り部6を含む平面に直交する方向(図1の面外方向D1)において並んでいる様子を示す。
図1および図3に示すように、複数の管列8のそれぞれにおいて最外周側に位置する伝熱管3の曲り部6の曲率半径は、各管列8の面外方向D1における位置に応じて異なる。このように複数の管列8を面外方向D1に重ねながら曲り部6の曲率半径を変化させることで、伝熱管群10の上端部において半球形状のUベンド部10aが形成される。その結果、図1に示すように、曲率半径の異なる複数の曲り部6a,6a,6a,…が面内方向D2に沿って並び、曲率半径の同一な複数の曲り部6a,6b,6c,…が面外方向に沿って並ぶように配列される。
伝熱管群10においては、振止め部材12が、曲り部6を含む平面に直交する面外方向D1において、隣接する伝熱管3の曲り部6の間に挿入され、面外方向D1への複数の伝熱管3(曲り部6)の動きを規制している。例えば、図1においては、面外方向D1において並ぶ各々の管列8の両側に、面内方向D2に沿って複数の振止め部材12が挿入され、各管列8に属する複数の伝熱管3の曲り部6の面外方向D1への動きを規制している。
図1に示すように、第1保持部材11は、Uベンド部10aの外周、すなわち、Uベンド部10aの半球状の外周に沿って取り付けられた円弧状の棒状部材である。上述した振止め部材12は、第1保持部材11からUベンド部10aの半球形状の径方向における内側に向かって延在している。振止め部材12の端部12aには、図1に示すように第1保持部材11が溶接されて、複数の振止め部材12の端部12aを連結している。第1保持部材11は、複数の伝熱管3が面内方向D2に沿って重ねられる管列8と直交しながらUベンド部10aの半球面に沿って延在している。
図2および図3に示すように、複数の第1保持部材11は、第2保持部材(ブリッジ)14によって連結されていてもよい。第2保持部材14は、Uベンド部10aの外周、すなわち、Uベンド部10aの半球状の外周に沿って配置された、円弧形状かつ板状の部材である。第2保持部材14は、Uベンド部10aにおいて伝熱管3の曲り部6が延在する方向に沿って延在している。第2保持部材14は、面外方向D1において並ぶように複数配置されていてもよい。
伝熱管群10では、面外方向において、隣接する伝熱管3の曲り部6の間に挿入される振止め部材12が、面外方向D1への複数の伝熱管3(曲り部6)の動きを規制しているので、面外方向D1に作用する加振力に対しては、伝熱管群10全体が一体となって振動する。しかしながら、曲り部6を含む平面に沿った面内方向D2に配列された一連の伝熱管3(図1の管列8)は、両側の振止め部材12とは接続されておらず、両側の振止め部材12との間の摩擦力によってのみ規制されている。その結果、各伝熱管3が振動する方向は面内方向D2とほぼ一致し、各伝熱管3が隣接する振止め部材12と衝突することにより受ける接触荷重も主として面内方向D2の摩擦力である。
例示的な一実施形態では、図1〜図3を用いて上述した伝熱管群10は、加圧水型(PWR)原子力発電設備において、1次冷却水と2次冷却水の間で熱交換を行うための蒸気発生器の伝熱管群として構成されてもよい。その場合、当該2次冷却水は、図1に示す面外方向D1と面内方向D2に直交する方向Gに沿ってUベンド部10aの真上から真下に流れることにより、伝熱管3内を流れる1次冷却水との間で熱交換を行う。そのため、当該2次冷却水の流れは、Uベンド部10aの最上部において伝熱管3の曲り部6に直交する直交流となる。以上より、本発明の幾つかの実施形態に係る必要押付力評価方法は、熱交換用の2次冷却水の流れである流体中に配置された伝熱管群10が自励振動を起こさずに耐えるのに必要な強度を伝熱管群10と振止め部材12との間の必要押付力として事前に評価するために実施されてもよい。
次に、伝熱管群10に加わる励振力により伝熱管群10に生じる振動を抑制するための制振構造について、図4を参照しながら説明する。図4に示すこの制振構造は、伝熱管群10のUベンド部10aにおいて振止め部材12に押付力Fpinを持たせることにより、伝熱管6と振止め部材12の間に接触荷重を作用させ、伝熱管6を支持するように構成された支持構造である。
図4(A)は、一本の伝熱管3の曲り部6が一定の曲率半径で弧を描いて延伸する平面と並行に6本のV字型の振止め部材12k、12j、12n、12o、12pおよび12qと2本の棒状の振止め部材12mおよび12rが配置されている状態を示している。ここで、曲り部6と振止め部材12k、…、12rとは、互いに接触荷重を加えあうように接触させられている。図4(B)は、一の管列8内において隣接する4本の伝熱管の曲り部6(1)〜6(4)が延伸する長さ方向に直交する形で、振止め部材12k、…、12rが接触している構造を、曲り部6の長さ方向に引き延した状態で図示している。
図4(A)および図4(B)に示す例においては、振止め部材12k、12j、12n、12o、12p、12q、12mおよび12rは、伝熱管3の曲り部6に対して押付力を持たせる。これにより、伝熱管6と振止め部材12の間に接触荷重を作用させることで、伝熱管群10に生じる振動を抑制している。例えば、図4(A)および図4(B)に示す例においては、振止め部材12mおよび12rが面外方向D1(図1)に沿って有する厚み量を他の振止め部材12k、12j、12n、12o、12p、12qよりも厚くする。これにより、図4(A)および図4(B)に示す例においては、振止め部材12mおよび12rから伝熱管3の曲り部6に対して作用する押付力を生じさせる。
図4(C)は、図1に示す流れ方向Gに沿って流れる流体(2次冷却水)の流れによって伝熱管3の曲り部6に生じる振動を抑制するために、伝熱管3の曲り部6を配置する際に、曲り部6の配置位置に加えられる変位量Wを図示している。この変位量Wは、曲り部6と振止め部材12(2)との間の接触面に対して曲り部6から振止め部材12へと向かう変位の大きさであり、曲り部6と振止め部材12(2)との間の干渉量に対応する。つまり、図4(C)は、振止め部材12(2)に対する曲り部6の相対的な位置を変位量Wだけ調整することによって、曲り部6と振止め部材12(2)との間の干渉量に応じた曲げ応力を曲り部6および振止め部材12(2)に発生させる構造を示している。図4(C)に示す例では、上記のような構造により、伝熱管6と振止め部材12の間に接触荷重を作用させ、流れ方向Gに沿って流れる流体(2次冷却水)の流れによって伝熱管群10に生じる振動を抑制する。
以上のように、伝熱管群10が加圧水型原子炉に備えられる蒸気発生器を構成する場合を例として説明するならば、原子炉から供給される一次冷却水を流す伝熱管3を並列配置して伝熱管群10とし、この伝熱管群10の伝熱面の外表面に二次冷却水を流して熱交換している。この蒸気発生器においては、二次冷却水の流れの流速を高めて熱交換を効率化する必要があるが、この流速がある限界流速を超えると、伝熱管群10に自励振動が生じる場合がある。当該自励振動は、伝熱管群10の動きと流体流れが相互に影響しあう構造的な不安定挙動であり、時間の経過に伴って振動振幅が増大し、伝熱管群10の損傷に至る大きな問題である。
そこで、上述した蒸気発生器における伝熱管群が自励振動を起こすのを防止するため、下端部が管支持板7により支持された複数の伝熱管3は、上部のUベンド部10aにて、複数の振止め部材12が挿入されて支持される構造となっている。つまり、蒸気発生器のUベンド部10aにて、同一平面に沿って配置された複数の伝熱管3から成る管列8は、その間に振止め部材12が挿入されて支持されている。この場合、伝熱管3は、振止め部材12との間で互いに押付けられることで振動が抑制されており、伝熱管3と振止め部材12との間の押付力の管理が重要であるが、当該押し付け力が不充分であると、振止め部材12により伝熱管3の振動を適正に抑制することができないことがある。その結果、当該押し付け力の不足により、伝熱管群10に自励振動が発生しやすくなり、伝熱管群10が損傷する可能性が高まる。以上より、伝熱管群10における自励振動の発生を抑制するために、伝熱管3と振止め部材12との間においてどの程度の押付力が必要かを事前に評価することは有益である。
なお、以下に述べる幾つかの実施形態では、自励振動の評価は、専ら伝熱管群10のUベンド部10aを構成する各伝熱管3の曲り部6を対象として行われる。従って、以下の幾つかの実施形態においては、伝熱管群10のUベンド部10aを指して単に伝熱管群10と呼び、各伝熱管3の曲り部6を指して単に伝熱管6または管6と呼ぶ。
次に、本発明の幾つかの実施形態に係る必要押付力評価方法と当該必要押付力評価方法を実施するためのコンピュータ装置について図5〜図9を参照しながら説明する。図5Aは、幾つかの実施形態に係る必要押付力評価方法を実施するためのコンピュータ装置20の全体構成を示す図である。コンピュータ装置20は、演算部21、記憶部22、出力部23および入力部24を含んで構成される。例示的な一実施形態では、演算部21は、記憶部22に記憶されたプログラム22aを読み込んで実行することにより、流体fl中に振止め部材12に支持されて配置される伝熱管群10の必要押付力を評価するための必要押付力評価方法を実行する演算回路として構成されてもよい。また、この実施形態では、当該必要押付力評価方法の実行に際して演算部21が読み書きする必要のあるデータは記憶部22内においてデータ22bとして記憶されてもよい。
また、出力部23は、演算部21による演算結果や記憶部22に記憶されているデータ22bの一部を利用者に提示するための出力装置である。例示的な一実施形態では、出力部23は、ディスプレイ装置などの画面表示手段を出力手段として備えるものであってもよい。また、入力部24は、利用者が操作することによって演算部21に各種情報やパラメータ類を表す外部データを入力するための入力装置である。例示的な一実施形態では、入力部24は、キーボードやマウスなどを入力手段として備えるものであってもよい。
図5Bは、コンピュータ装置20が備える演算部21の内部構成を示す図である。図5Bを参照すると、演算部21は、押付力設定部211、確率密度関数算出部212、確率算出部213、摩耗量推定部214および押付力評価部215を含んで構成される。一例においては、演算部21は、汎用プロセッサにより実現されてもよい。その場合、押付力設定部211、確率密度関数算出部212、確率算出部213、摩耗量推定部214および押付力評価部215は、演算部21が記憶部22からプログラム22aを読み込むことにより演算部21内に生成されるプログラム・モジュールとして実現されてもよい。以下、図6に示すフローチャートに沿って、押付力設定部211、確率密度関数算出部212、確率算出部213、摩耗量推定部214および押付力評価部215の動作を説明する。
図6のフローチャートの実行が開始されると、押付力設定部211は、入力部24から設定値を受け取り、ステップS501の実行を開始する。なお、押付力設定部211が入力部24から受け取る設定値は、伝熱管群10内において、伝熱管6と振止め部材12との間に作用していると想定される押付力の設定値を表す。また、図6のフローチャートの実行が開始されると、確率密度関数算出部212は、入力部24から振動時系列データDtを受け取り、ステップS508の実行を開始する。なお、確率密度関数算出部212が入力部24から受け取る振動時系列データDtは、例えば、伝熱管群10に加わる振動の経時変化をシミュレーションによって求めた時系列データであってもよい。また、当該振動時系列データDtは、過去の所定期間にわたる伝熱管群10の振動の経時変化を計測器によって実測して得られる時系列データであってもよい。
ステップS501において、押付力設定部211は、伝熱管群10の押付力Fを設定する押付力設定工程を実行する。具体的には、ステップS501において、押付力設定部211は、伝熱管群10内において、伝熱管6と振止め部材12との間に作用していると想定される押付力の初期値Fを入力部24から受け取った設定値に基づいて設定する。ステップS501の処理が終わると、押付力設定部211は押付力評価部215に実行制御を渡す。押付力設定部211から実行制御を引き継いだ押付力評価部215は、以下において後述するステップS502〜ステップS507を繰り返し実行する。その際、押付力評価部215は、摩耗量推定部214を呼び出しながら、所定の条件を満足する必要押付力Fpinの値が得られるまでステップS502〜ステップS507を繰り返し実行する。
一方、ステップS508において、確率密度関数算出部212は、入力部24から受け取った振動時系列データDtを用いて、伝熱管群10を構成する複数の伝熱管6と振止め部材12の振動解析モデルを、時刻歴応答解析する。例示的な一実施形態では、伝熱管群10を構成する複数の伝熱管6と振止め部材12の振動解析モデルは、図7に示す反力算出用モデル71として構成されてもよい。反力算出用モデル71は、複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの確率分布を時刻歴応答解析によって算出する際に、複数の伝熱管6と振止め部材12との間の相互作用をモデル化するために用いられる振動解析モデルである。
以下、伝熱管群10を構成する複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの確率分布を時刻歴応答解析によって算出する際に用いられる反力算出用モデル71について図7を参照しながら説明する。反力算出用モデル71は、複数の伝熱管6が、流体による励振力Fexに抗して振止め部材12との接触状態を維持するのに必要な反力Frvを励振力Fexの一つ以上の自由度方向について規定している。その上で、反力算出用モデル71は、励振力Fexを外力とし、上記反力Frvを当該外力に応じたバネ応力として、上述した自由度方向ごとに固有のバネ定数kを有するバネ定数モデルによって記述される。
つまり、反力算出用モデル71を用いた時刻歴応答解析では、ある支持点15で伝熱管6の振れ止め部材12に対する滑りを止めるのに必要な押圧力を求めようとする際に、押し付けている支持点15において伝熱管6が摺動振動せずに止まっている状態が維持されていると仮定している。その結果、反力算出用モデル71を用いた時刻歴応答解析では、励振力が加わると、支持点15以外の箇所は揺れ動こうとするが、留められている支持点15では励振力に応答して反力Frvが作用するような挙動が時刻歴解析で求まる。従って、反力算出用モデル71を用いた時刻歴応答解析では、支持点15において励振力に応答して作用する反力Frvを見て、その反力Frvを相殺するのに必要十分な押付力Fpinを評価することができる。
例えば、励振力Fexの一つ以上の自由度方向は、伝熱管6と振止め部材12との間の接触面に垂直な法線方向(y軸方向)と当該接触面に沿った2つの直交する接線方向(x軸方向およびz軸方向)に対応する自由度方向を含む3つの自由度方向Fx、FyおよびFzとすることが可能である(図8(B)を参照)。そして、この場合、反力算出用モデル71は、3つの自由度方向Fx、FyおよびFzのそれぞれに固有のバネ定数kx、kyおよびkzによって記述されることが可能である。ここで、伝熱管6に励振力Fexが外力として加わったことにより、3つの自由度方向Fx、FyおよびFzに沿って伝熱管6を支持点15から変位量Δx、ΔyおよびΔzだけ変位させようとする力が働いたとする。すると、伝熱管6が、励振力Fexに抗して振止め部材12との接触状態を維持するのに必要な反力Frvは、3つの自由度方向Fx、FyおよびFzに沿って、kx×Δx、ky×Δyおよびkz×Δzと算出される。
確率密度関数算出部212は、以上のように構成された反力算出用モデル71に対して、振動時系列データDtにより定める励振力Fexを外力として適用した時刻歴応答解析を行うことによって、複数の伝熱管6と振止め部材12の振動解析モデルを、時刻歴応答解析する。この時刻歴応答解析によって、複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの値のランダムな変動が模擬された結果が時刻歴応答として得られる。このようにして、ステップS508の処理が終わると処理はステップS509に進む。
ステップS509では、確率密度関数算出部212は、当該時刻歴応答解析により求められる時刻歴応答に基づいて伝熱管群10を構成する複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの平均値μと標準偏差σを算出する。具体的には、確率密度関数算出部212は、上述した時刻歴応答解析により求められる反力Frvの値のランダムな変動から反力Frvの値の度数分布(ヒストグラム)を算出し、この度数分布から反力Frvの平均値μと標準偏差σを算出する。続いて、処理はステップS510に進み、確率密度関数算出部212は、複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力の値の母集団確率分布を表す確率密度関数Pdf(Frv)を算出する。具体的には、確率密度関数算出部212は、ステップS509で算出された反力Frvの平均値μと標準偏差σにより定まる正規分布として伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)を算出する。
例示的な一実施形態では、反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)は、振止め部材12が伝熱管群10を構成する伝熱管6との接触面から接線方向に受ける第1の反力Fslideに対応する第1の確率密度関数Pdf(Fslide)と、当該接触面から法線方向に受ける第2の反力Fliftに対応する第2の確率密度関数Pdf(Flift)とを合成することにより算出される。
図8(A)には、伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvが伝熱管6と振止め部材12との接触面から接線方向に作用する第1の反力Fslideと当該接触面から法線方向に作用する第2の反力Fliftに分解できることが図示されている。また、図8(A)には、伝熱管6と振止め部材12との接触面に沿って作用する第1の反力Fslideが、伝熱管6と振止め部材12との間の摩擦係数βによって特徴づけられることが図示されている。
また、図8(B)は、伝熱管6と振止め部材12との間の接触点を原点として定義された3次元直交座標系を示している。図8(B)を参照すると、当該3次元直交座標系のx軸とz軸は、伝熱管6と振止め部材12との接触面に沿って延びている。従って、当該接触面に沿って作用する第1の反力Fslideは、当該3次元直交座標系のx軸方向とz軸方向に対応する2つの自由度方向成分に分解されることが図8(B)から分かる。また、図8(B)を参照すると、当該3次元直交座標系のy軸は、伝熱管6と振止め部材12との接触面に対して直交するので、第2の反力Fliftは、y軸方向に沿った自由度方向成分に対応することが分かる。以下、この実施形態について図8および図9を参照しながら詳しく説明する。
図8に示すように、第2の反力Fliftは、第1の反力Fslideに直交する力ベクトルに対応するので、第2の反力Fliftの確率分布は、第1の反力Fslideとは独立に求まる。つまり、ステップS508において、確率密度関数算出部212が実行する時刻歴応答解析の結果として、第2の反力Fliftの確率密度関数Pdf(Flift)は、第1の反力Fslideの確率密度関数Pdf(Fslide)とは独立に単一の正規分布として求まる。
一方、第1の反力Fslideは、図8(B)に示すx軸方向成分とz軸方向成分の2つの自由度方向成分を合成して成る力ベクトルに対応する。この場合、第1の反力Fslideのx軸方向成分とz軸方向成分は互いに直交する力ベクトルであり、母集団分布においては、x軸方向成分とz軸方向成分のそれぞれが正規分布に従って分布する。また、第1の反力Fslideのx軸方向成分の時間変動波形をFx(t)とし、z軸方向成分の時間変動波形をFz(t)とすると、第1の反力Fslideの時間変動波形Fslide(t)は、以下の式で表される。
Figure 0006511016
従って、ステップS508において、確率密度関数算出部212が実行する時刻歴応答解析の結果として、第1の反力Fslideの確率密度関数Pdf(Fslide)は、2つの正規分布が結合した確率分布の形で求まる。例えば、第1の反力Fslideのx軸方向成分の母集団分布とz軸方向成分の正規分布がそれぞれ図9(A)および図9(B)のように求まったとする。すると、第1の反力Fslideの確率密度関数Pdf(Fslide)は、図9(C)に示す確率分布に対応した確率密度関数として得られ、図9(C)に示す確率分布は、図9(A)に示す正規分布と図9(B)に示す正規分布を合成した確率分布である。
以上より、伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvは、第1の反力Fslideと第2の反力Fliftを合成した力である。従って、第1の反力Fslideの確率密度関数Pdf(Fslide)と第2の反力Fliftの確率密度関数Pdf(Flift)を合成することにより、反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)が得られる。ここで、反力Frvの時間変動波形Frv(t)は、第1の反力の時間変動波形Fslide(t)と第2の反力の時間変動波形Flift(t)を以下の式に従って合成することにより算出される。
Figure 0006511016
上記式(2)において、βは、伝熱管6と振止め部材12との間に摩擦力が生じた場合の摩擦係数である。
従って、確率密度関数Pdf(Frv)は、第2の反力の確率密度関数Pdf(Flift)と第1の反力の確率密度関数Pdf(Fslide)を以下の式に従って畳み込み積分して合成することにより得られる。
Figure 0006511016
上記式(3)において、Prv(b)は、確率密度関数Pdf(Frv)を表し、入力パラメータとしてbを受け取り、伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの値がbに等しくなる確率を出力する関数である。また、Pslide/β(r)は、第1の反力の確率密度関数Pdf(Fslide)を表し、rを入力パラメータとして受け取り、第1の反力Fslideの値を摩擦係数βで除算した値がrに等しくなる確率を出力する関数である。Plift(b−r)は、第2の反力の確率密度関数Pdf(Flift)を表し、b−rを入力パラメータとして受け取り、第2の反力Fliftの値がb−rに等しくなる確率を出力する関数である。
ここで、Plift(b−r)で表される第2の反力の確率密度関数Pdf(Flift)が、図9(D)に示す正規分布で表されるとする。すると、Pslide/β(r)で表される第1の反力の確率密度関数Pdf(Fslide)は、図9(C)に示す確率分布に対応するので、反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)は、図9(D)に示す正規分布と図9(C)に示す確率分布を合成した確率分布の曲線として図9(E)に示すように得られる。
以上の処理により、確率密度関数算出部212は、伝熱管6と振止め部材12の振動解析モデル(図7の反力算出用モデル71)を用いて、所定入力に対して伝熱管群10を構成する複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力の確率密度関数Pdf(Frv)を算出する。つまり、確率密度関数算出部212は、入力部24から受け取った振動時系列データDtを上述した反力算出用モデル71に対して適用することにより時刻歴応答解析を実行し、最終的に、複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力の確率密度関数Pdf(Frv)を算出して確率算出部213に渡す。以上のようにしてステップS510の処理が終わると、確率密度関数算出部212は、確率算出部213に実行制御を渡し、確率算出部213は、ステップS511の実行を開始する。
ステップS511において、確率算出部213は、まず、押付力設定部211がステップS501において設定した押付力の値Fを押付力設定部211から受け取る。続いて、確率算出部213は、複数の伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの確率分布として算出された確率密度関数Pdf(Frv)に基づいて、押付力設定部211により設定された押付力F以上の反力Frvが発生する確率Pr(Frv≧F)を算出する。つまり、確率算出部213は、反力Frvの確率分布として算出された確率密度関数Pdf(Frv)において、複数の伝熱管6と振止め部材12との間に生じ得る反力Frvが押付力設定部211により設定された押付力Fを上回る累積確率を算出する。
より具体的には、確率算出部213は、図10に示すように、押付力Fと確率密度関数Pdf(Frv)との間の関係に基づいて、複数の伝熱管6と振止め部材12との間に生じ得る反力Frvが押付力設定部211により設定された設定押付力Fを以上となる累積確率Pr(Frv≧F)を算出する。なお、複数の伝熱管6と振止め部材12との間に生じ得る反力Frvが押付力設定部211により設定された設定押付力F以上となると、伝熱管6と振止め部材12との間の接触面において、伝熱管6と振止め部材12との間の滑りによる摩擦が発生する。従って、伝熱管6と振止め部材12との間に生じ得る反力Frvが押付力設定部211により設定された設定押付力F以上となる確率Pr(Frv≧F)とは、伝熱管群10を含む装置の運転期間中に伝熱管6と振止め部材12との間の滑りによる摩擦が発生する確率に相当する。
以下、複数の伝熱管6と振止め部材12との間に生じ得る反力Frvが押付力設定部211により設定された押付力Fを上回る累積確率を算出するための具体的な方法について、図10を参照しながら説明する。図10において、反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)は、bを入力パラメータとして受け取り、反力Frvの値がbに等しくなる確率を出力とする関数Prv(b)として表されている。図10を参照すると、伝熱管6と振止め部材12との間の反力Frvが設定押付力F以上となる確率は、関数Prv(b)の関数曲線を、横軸に沿って設定押付力Fの値から無限大∞まで定積分して得られる面積(図10に示す影付き領域の面積)に相当する累積確率に等しいことが分かる。つまり、伝熱管6と振止め部材12との間の反力Frvが設定押付力F以上となる確率Pr(Frv≧F)は、以下の式により算出される。
Figure 0006511016
以上のようにして、伝熱管6と振止め部材12との間に生じ得る反力Frvが押付力設定部211により設定された押付力F以上となる確率Pr(Frv≧F)が算出されることにより、ステップS511の処理が終わると、処理はステップS512に進む。
ステップS512では、確率算出部213は、ステップS511で算出した確率Pr(Frv≧F)の値を押付力評価部215へと出力する。さらに、押付力評価部215は、確率算出部213を介して確率密度関数算出部212から振動時系列データDtを受け取る。ステップS512では、確率Pr(Frv≧F)の値をから確率Pr(Frv≧F)の値を受け取った押付力評価部215は、確率Pr(Frv≧F)の値に基づいて所定期間に発生する滑り発生時間Tslipを推定する。具体的には、押付力評価部215は、伝熱管群10を含む装置の運転期間の長さに確率Pr(Frv≧F)の値を乗算し、当該運転期間中において伝熱管6と振止め部材12との間の滑りによる摩擦が発生する時間の合計である滑り発生時間Tslipを算出する。
次に、押付力評価部215によって順次実行されるステップS502〜ステップS507の処理について図6のフローチャートに沿って説明する。まず、ステップS502において、押付力評価部215は、複数の伝熱管6と振止め部材12の振動解析モデルを図7に示す摩耗量算出用モデル72として構成する。続いて、押付力評価部215は、振動時系列データDtを用いて摩耗量算出用モデル72を時刻歴応答解析することにより、時刻歴応答を求める。
ここで、摩耗量算出用モデル72は、伝熱管群10において同一平面内に配列された複数の伝熱管6が当該平面に沿って延伸する振止め部材12に対して摺接する接触面で当該複数の伝熱管6が振止め部材12から押付力Fに等しい押付力を受ける系を模擬するモデルである。また、摩耗量算出用モデル72においては、振動時系列データDtによって定まる励振力Fexを外力として適用した場合に、伝熱管6が振止め部材12から受ける力は、伝熱管6と振止め部材12との間の干渉変位量に応じて伝熱管6および振止め部材12に生じる曲げ応力としてモデル化される。
押付力評価部215は、以上のように構成された摩耗量算出用モデル72に対して、振動時系列データDtにより定まる励振力Fexを外力として適用した時刻歴応答解析を行うことによって、複数の伝熱管6と振止め部材12の振動解析モデルを、時刻歴応答解析する。このようにして、ステップS502の処理が終わると処理はステップS503に進む。
ステップS503では、押付力評価部215は、摩耗量推定部214を呼び出して実行する。そして、摩耗量推定部214は、当該時刻歴応答に基づいて、設定された押付力Fにより伝熱管群10を構成する伝熱管6と振止め部材12との間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量に基づいて仕事率wrを算出する。続いて、処理はステップS504に進み、摩耗量推定部214は、比摩耗率と滑り発生時間Tslipを仕事率wrに乗算することにより伝熱管6と振止め部材12が摩擦を起こすことにより生じる摩耗量(摩滅した体積)を推定する。ここで、比摩耗率の値は、仕事率と単位時間当たりの摩耗量との間の比率であり、事前に実験的に求められているものとする。このようにして、摩耗量推定部214は、伝熱管6と振止め部材12との間の摩擦による摩耗量を算出する際に、摩擦による単位時間当たりのエネルギーの消散量を仕事率(エネルギーの消散の速度)で評価する。続いて、処理はステップS505に進み、摩耗量推定部214は、ステップS504で算出した摩耗量に応じて、伝熱管6と振止め部材12との間の接触面の深さ方向に沿って生じる摩耗深さhを算出する。
続いて、処理はステップS506に進み、摩耗量推定部214は、押付力評価部215に実行制御を戻す。そして、ステップS506において、押付力評価部215は、ステップS505で算出した摩耗深さhと伝熱管群10の等価剛性Kに基づいて伝熱管6と振止め部材12との間に働く押付力の低減量を見積もる。なお、一例においては、ステップS506において押付力の低減量ΔFを見積もるために用いられる伝熱管群10の等価剛性Kは、ステップS513において、押付力評価部215が、伝熱管群10について有限要素法を適用することにより算出したものであってもよい。
続いて、処理はステップS507に進み、押付力評価部215は、ステップS501で設定された押付力FをステップS506において見積もった押付力の低減量ΔFだけ低下させた押付力F−ΔFが所定の評価基準を上回るか否かを判定する。例えば、押付力評価部215は、押付力Fの低減量が所定の閾値以下であるか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて設定された押付力Fを評価する。以上のようにして、押付力評価部215は、摩耗量推定部214を呼び出すことにより、ステップS511で算出された確率Pr(Frv≧F)の値に基づいて、所定期間に伝熱管群10を構成する伝熱管6と振止め部材12との間に生じる摩耗量を推定し、当該推定された摩耗量に基づいて、設定された押付力Fを評価する。
ステップS507において、押付力F−ΔFが所定の評価基準(閾値)を上回ると判定されたならば、押付力評価部215は、押付力Fが伝熱管群10の自励振動を抑制するために伝熱管6と振止め部材12の間に作用させる押付力Fpinとして充分であると決定する。そして、押付力評価部215は、伝熱管6と振止め部材12の間に作用させる必要がある押付力Fpinとして、押付力Fを出力部23に出力し、図6のフローチャートの実行を終える。
逆に、押付力F−ΔFが所定の評価基準(閾値)以下であると判定されたならば、押付力評価部215は、押付力Fが伝熱管群10の自励振動を抑制するために伝熱管6と振止め部材12の間に作用させる押付力として充分ではないと決定する。そして、押付力評価部215は、押付力Fの値を所定の増加幅だけ増加させ、押付力設定部211に実行制御を戻す。これにより、図6のフローチャートの実行はステップS501に戻り、押付力設定部211は、押付力Fを所定の増加幅だけ増加させた押付力の値F’を新たな設定値として設定する。そして、図6のフローチャートにおいて、押付力の新たな設定値F’に基づいて、ステップS502〜ステップS507の処理が再度実行される。
以上のように、図5〜図9を用いて上述した実施形態では、伝熱管群10を構成する伝熱管6及び振止め部材12の振動解析モデルを用いて伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)を算出し、確率密度関数Pdf(Frv)に基づいて、反力Frvが設定された押付力F以上となる確率Pr(Frv≧F)を求め、当該確率Pr(Frv≧F)に基づいて、設定された押付力Fを評価する。従って、この実施形態では、伝熱管群10を構成する伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvが時間の経過に伴ってランダムに変化したとしても、反力Frvが設定された押付力F以上となる確率Pr(Frv≧F)に応じて、当該押圧力Fが充分であるか否かを定量的に判断することができる。その結果、この実施形態によれば、流体中で振止め部材12との摩擦力により支持される管群を構成する各伝熱管6が、流体の励振力によって自励振動を起こさないようにするには、どの程度の押付力が必要かを適切に推定することができる。
また、この実施形態では、伝熱管群10を構成する伝熱管6から振止め部材12に作用する反力が設定された押付け力以上となる確率に基づいて、所定期間に伝熱管6及び振止め部材12間に生じる摩耗量を推定し、当該推定された摩耗量に基づいて、当該設定された押付力Fを評価する。その結果、伝熱管群10を構成する伝熱管6及び振止め部材12間に生じる摩耗量に応じて伝熱管6及び振止め部材12間に作用する押付力Fが低下しても、当該押付力Fの低下を考慮して当該設定された押付力Fを評価することが可能となる。
また、この実施形態では、伝熱管群10を構成する伝熱管6及び振止め部材12間に生じる単位時間当たりの摩耗量を、押付力Fにより伝熱管6及び振止め部材12間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量から算出される仕事率wrとして求めている。従って、この実施形態では、伝熱管6及び振止め部材12間における接触特性や摩擦特性を複雑な力学系モデルで記述することなく、単位時間当たりの摩耗量を、押付力Fにより伝熱管6及び振止め部材12間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量から求まる仕事率wrとして定量化することができる。その結果、この実施形態によれば、伝熱管6及び振止め部材12間に生じる単位時間当たりの摩耗量を単純な計算で短期間に算出することが可能となる。
また、この実施形態では、伝熱管6から振止め部材12に作用する反力Frvが設定された押付力F以上となった際に、伝熱管6と振止め部材12との間に滑り摩擦が起きる点に着目し、当該滑り摩擦の発生時間に応じて伝熱管6及び振止め部材12間に生じる摩耗量を推定している。その際、この実施形態では、当該滑り摩擦の発生時間は、振動解析モデルを時刻歴応答解析して得られた反力の確率密度関数Pdf(Frv)と設定された押付力Fとの間の関係から算出される。従って、この実施形態によれば、所定期間に伝熱管6及び振止め部材12間に生じる摩耗量や伝熱管6と振止め部材12との間に滑り摩擦が起きる時間の長さを実験的手法により実測する必要がなく、これらを解析計算によって求めることができる。
また、この実施形態では、伝熱管群10の等価剛性Kを算出し、伝熱管群10を構成する伝熱管6と振止め部材との間の滑り摩擦により生じる摩耗量及び等価剛性Kに基づいて押付力Fの低減量を算出し、当該低減量が閾値以下であるか否かに基づいて設定された押付力Fを評価する。従って、この実施形態によれば、伝熱管群10全体の等価剛性Kを事前に求めておけば、当該摩耗量と当該等価剛性Kから押付力Fの低減量を算出することができる。従って、この実施形態によれば、上記のように摩耗量を解析的に算出した後は、算出済みの等価剛性Kの値を使用した簡単な計算によって短時間で押付力Fの低減量を算出することが可能となる。
また、図8を用いて上述したように、一部の実施形態では、伝熱管群10を構成する伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvを、振止め部材12と伝熱管6との接触面から接線方向に作用する第1の反力Fslideと当該接触面から法線方向に作用する第2の反力Fliftに分解することによって、互いに直交する方向成分に分解している。その上で、図8に示す実施形態では、第1の反力Fslideと第2の反力Fliftの各々について個別に求めた2つの確率密度関数Pdf(Fslide)とPdf(Flift)を合成することにより、当該反力Frvの確率密度関数Pdf(Frv)を算出している。従って、この実施形態では、伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの作用方向と大きさが伝熱管群10全体にわたって不規則にバラついていたとしても、当該反力Frvを直交する2つの方向成分に分解することにより、振動解析モデルの構成と確率密度関数の計算を単純化することができる。
また、図9を用いて上述したように、一部の実施形態では、所定入力を用いて振動解析モデルを時刻歴応答解析することにより求められる時刻歴応答に基づいて、伝熱管群10を構成する伝熱管6から振止め部材12が受ける反力Frvの平均値μと標準偏差σを算出し、当該平均値μと標準偏差σによって規定される正規分布として確率密度関数Pdf(Frv)を算出する。その結果、図9を用いて上述した実施形態では、以下の理由により、自励振動の抑制に必要な押付け力を実際の状況に即してより高精度に推定することができる。
すなわち、振動解析モデルを時刻歴応答解析することにより求められる時刻歴応答は、時刻歴応答解析を実行した期間にのみ現れる反力Frvの時間変動を反映し、複数の伝熱管6と振止め部材12を含む装置の全運転期間にわたる反力Frvの時間変動を反映していない。その一方で、反力Frvの時間変動がランダムであるならば、複数の伝熱管6と振止め部材12を含む機器(蒸気発生器など)の全運転期間にわたる反力Frvの確率分布は、正規分布によって近似できると考えられる。そこで、図9を用いて上述した実施形態では、当該反力Frvが設定された押付力F以上となる確率Pr(Frv≧F)を推定するために使用される確率密度関数Pdf(Frv)として、当該時刻歴応答に基づいて求められた反力Frvの平均値μと標準偏差σによって規定される正規分布を用いている。つまり、この実施形態では、当該正規分布を反力の確率密度関数Pdf(Frv)として用いているので、複数の伝熱管6と振止め部材12を含む装置の全運転期間にわたる反力Frvの時間変動を考慮して、当該反力Frvが設定された押付力F以上となる確率を求めることが可能となる。
3 伝熱管
4 第1直管部
5 第2直管部
6(6a1,6a2,6a3,6b1,6c1) 曲り部
7 管支持板
8 管列
10 伝熱管群
10a ベンド部
11 第1保持部材
12,12k,12m 止め部材
12a 端部
14 第2保持部材
20 コンピュータ装置
21 演算部
22 記憶部
22a プログラム
22b データ
23 出力部
24 入力部
71 反力算出用モデル
72 摩耗量算出用モデル
211 押付力設定部
212 確率密度関数算出部213 確率算出部
214 摩耗量推定部
215 押付力評価部
D1 面外方向
D2 面内方向
Dt 振動時系列データ
F0 設定押付力
Fpin 必要押付力
Fex 励振力
Frv 反力
Fslide 第1の反力
Flift 第2の反力
G 流れ方向
K 等価剛性
d1,d2 列方向

Claims (9)

  1. 流体中に支持部材により支持されて配置された管群の前記支持部材に対する押付力を評価する押付力評価方法であって、
    前記管群の押付力を設定する押付力設定工程と、
    前記管群及び前記支持部材の振動解析モデルを用いて、所定入力に対して前記管群から前記支持部材が受ける反力の確率密度関数を算出する確率密度関数算出工程と、
    前記算出された確率密度関数に基づいて、前記設定された押付力以上の反力が発生する確率を算出する確率算出工程と、
    前記算出された確率に基づいて、前記設定された押付力を評価する評価工程と、
    を備えることを特徴とする押付力評価方法。
  2. 前記確率密度算出工程では、前記所定入力を用いて前記振動解析モデルを時刻歴応答解析することにより求められる時刻歴応答に基づいて前記反力の平均値と標準偏差を算出し、前記平均値と前記標準偏差により定まる正規分布として前記確率密度関数を算出することを特徴とする請求項1に記載の押付力評価方法。
  3. 前記確率密度関数は、前記支持部材が前記管群との接触面から接線方向に受ける第1の反力に対応する第1の確率密度関数と、前記接触面から法線方向に受ける第2の反力に対応する第2の確率密度関数とを合成することにより算出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の押付力評価方法。
  4. 前記評価工程では、前記算出された確率に基づいて、所定期間に前記管群及び前記支持部材間に生じる摩耗量を推定し、前記推定された摩耗量に基づいて、前記設定された押付力を評価することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の押付力評価方法。
  5. 前記設定された押付力により前記管群及び前記支持部材間に微小変位が生じた場合に発生する仕事量に基づいて仕事率を算出する仕事率算出工程を更に備え、
    前記評価工程では、前記確率に基づいて前記所定期間に発生する滑り発生時間を推定し、前記滑り発生時間を前記仕事率に乗算することにより前記摩耗量を推定することを特徴とする請求項4に記載の押付力評価方法。
  6. 前記管群の等価剛性を算出する等価剛性算出工程を更に備え、
    前記評価工程では、前記摩耗量及び前記等価剛性に基づいて押付力の低減量を算出し、該算出された低減量が閾値以下であるか否かに基づいて前記設定された押付力を評価することを特徴とする請求項4又は5に記載の押付力評価方法。
  7. 前記等価剛性算出工程では、前記管群について有限要素法を適用することにより前記等価剛性を算出することを特徴とする請求項6に記載の押付力評価方法。
  8. 前記管群は、同一の平面内において延在するとともに、互いに曲率中心を共有し、且つ、互いに曲率半径が異なる曲り部を有する複数のU字管によって形成される管列を少なくとも一つ含み、
    前記支持部材は、前記管列を挟むように前記平面に沿って延在する形で前記管列の両側に配置された
    少なくとも一対の振止め部材を含み、
    前記管群を通る流体の励振力に抗して、振止め部材との摩擦力により支持される前記管群の前記平面に沿った方向における自励振動を抑制するために、前記振止め部材と前記管列との間に作用させる必要がある押し付け荷重力を評価する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の押付力評価方法。
  9. 前記管群は、PWR原子力発電設備の蒸気発生器の伝熱管群であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の押付力評価方法。
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