JP2005003270A - ボイラ構造物の振れ止め装置の余寿命診断方法および装置と交換支援方法および装置 - Google Patents
ボイラ構造物の振れ止め装置の余寿命診断方法および装置と交換支援方法および装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】既設ボイラ構造物において、振れ止め装置の余寿命を評価して交換時期を見極めるとともに、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするように最適化設計された振れ止め装置に交換するための支援装置を提供する。
【解決手段】既設ボイラ構造デ−タベ−ス11から抽出したボイラの諸データを地震動評価プログラム12及び振動解析用モデル作成プログラム13に入力して、耐震設計用地震動及び耐震解析用モデルを出力し、その後、前記耐震設計用地震動とボイラ耐震解析用モデルを振動解析プログラム14に入力して、振動解析プログラム14から振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力し、次に振れ止め装置の弾塑性変形特性を振れ止め装置損傷度評価プログラム16に入力し、累積塑性変位と予め載荷テストにより求められた振れ止め装置の破断弾塑性変位との比較により振れ止め装置の損傷度を出力することにより、振れ止め装置の余寿命を診断する方法。
【選択図】図1
【解決手段】既設ボイラ構造デ−タベ−ス11から抽出したボイラの諸データを地震動評価プログラム12及び振動解析用モデル作成プログラム13に入力して、耐震設計用地震動及び耐震解析用モデルを出力し、その後、前記耐震設計用地震動とボイラ耐震解析用モデルを振動解析プログラム14に入力して、振動解析プログラム14から振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力し、次に振れ止め装置の弾塑性変形特性を振れ止め装置損傷度評価プログラム16に入力し、累積塑性変位と予め載荷テストにより求められた振れ止め装置の破断弾塑性変位との比較により振れ止め装置の損傷度を出力することにより、振れ止め装置の余寿命を診断する方法。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ボイラ本体とその支持構造が振れ止め装置にて連結されたボイラ構造物に係わり、特に振れ止め装置の余寿命を診断する方法並びに振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援をする方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11にボイラ構造物の概観を示す。ボイラ1は運転時の鉛直方向の熱膨張を逃がすために吊りボルト4及び大ばり5を介して鉄骨構造からなる支持構造2に吊られる構造となっている。また、地震時のボイラ1と支持構造2の相対的な水平方向振動を抑えるために、ボイラ1と支持構造2の間に複数の振れ止め装置3が設置されている。
【0003】
振れ止め装置3の具体的な構造を図12に示す。図12(a)は振れ止め装置3の斜視図、図12(b)は振れ止め装置3の平面図、図12(c)は振れ止め装置3に作用する荷重9xと振れ止め装置の変位9yによって示されるエネルギー吸収9を示す図である。振れ止め装置3には、鋼製のものの他油圧を利用したもの等、種々が存在するが、図12は一例として鋼製のものを示している。本振れ止め装置3は鋼製の2本のリンク6及び鋼製の2本のピン7で構成され、リンク6は支持構造2及びバックステイ8を介してボイラ1に連結されている。地震時には、ボイラ1と支持構造2の間の相対変位9aが生じ、その相対変位9aの振動エネルギーをピン7の曲げによる弾塑性変形特性9bによってエネルギー吸収9する。この特性9bとは、振れ止め装置3に作用する荷重9xと振れ止め装置の変位9yによって示される関係である。このエネルギー吸収9の結果として、ボイラ1や支持構造2の振動が低減される。
【0004】
既設のボイラ1は、建設された時点から現在に至るまで、大なり小なり地震による揺れを経験しており、その度に制振装置として機能する振れ止め装置3には弾塑性変形による疲労が累積している。言いかえれば、地震が発生するごとに振れ止め装置の余寿命が少なくなっている。
【0005】
なお、前記従来の構造物の揺れ止め装置としては、特開平08−200438号公報、特開平07−150815号公報、特開平07−82931号公報などに記載された発明がある。
【0006】
従来の振れ止め装置3は消耗品とみなされていたため、余寿命を管理することは考慮されておらず、大型の地震を被災した時点で点検し、損傷度を目視後、取替えるのが一般的であった。しかしながら、前記のように小型の地震による疲労の蓄積により、大型の地震発生時に所定の性能が発揮できなくなるおそれがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平08−200438号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平07−150815号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平07−82931号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、振れ止め装置3の余寿命の評価ができず、振れ止め装置3の交換時期を定量的に決める方法がなかった。また、交換に際しての振れ止め装置3の設計では、設計者による膨大なパラ−メ−タサ−ベイを必要とし、ボイラ構造物の制振上最も合理的な構造、つまり支持構造2やボイラ1の揺れを最小にするような振れ止め装置構造を設計することは不可能に近かった。
【0011】
本発明の課題は上記従来技術における欠点を解消し、下記の事項を実現することにある。
(1)既設ボイラ構造物において、振れ止め装置の余寿命を評価して交換時期を見極めるとともに、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするように最適化設計された振れ止め装置に交換するための支援装置を提供する。
(2)前記(1)に記載の装置に基づき、制振性能が向上された振れ止め装置の交換を実施することにより、ボイラ構造の安全性及び信頼性を向上することを可能にする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、次の解決手段によって達成される。
(1)ボイラとその支持構造を連結したボイラ構造物の地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の余寿命診断方法において、既設ボイラ構造デ−タベ−ス、地震動評価プログラム、振動解析用モデル作成プログラム、振動解析プログラム及び振れ止め装置損傷度評価プログラムを結合し、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを地震動評価プログラムに入力して、地震動評価プログラムから地震動履歴を出力し、これと並行して、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成プログラムに入力して、振動解析用モデル作成プログラムからボイラ耐震解析用モデルを出力し、その後、前記地震動履歴とボイラ耐震解析用モデルを振動解析プログラムに入力して、振動解析プログラムから振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力し、次に振れ止め装置の弾塑性変形特性を振れ止め装置損傷度評価プログラムに入力し、累積塑性変位と予め載荷テストにより求められた振れ止め装置の破断弾塑性変位との比較により振れ止め装置の損傷度を出力することによる振れ止め装置の余寿命診断方法。
【0013】
(2)地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援する方法において、既設ボイラ構造デ−タベ−ス、地震動評価プログラム、振動解析用モデル作成プログラム、振動解析プログラム及び振れ止め装置特性最適化計算プログラムを結合し、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを地震動評価プログラムに入力して、地震動評価プログラムから地震動履歴を出力し、これと並行して、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成プログラムに入力して、振動解析用モデル作成プログラムからボイラ耐震解析用モデルを出力し、その後、前記ボイラ耐震解析用モデル及び地震動履歴を振動解析プログラムに入力するとともに、最適化計算のための設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性最適化プログラムに入力し、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化プログラムを交互に使った繰り返し計算により、設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振動解析プログラムから出力された振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援をする方法。
【0014】
(3)前記(1)の振れ止め装置の余寿命診断方法により得られたデータにより決められた振れ止め装置の交換時には、前記振れ止め装置のボイラ耐震解析用モデル及び地震動履歴を最適化計算のための設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性最適化プログラムに入力し、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化プログラムを交互に使った繰り返し計算により、設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振れ止め装置の地震応答量を最も小さくするような振れ止め装置に交換する交換支援方法。
【0015】
(4)前記(1)〜(3)を実行するための各装置。
【0016】
【作用】
上記のような装置の構成に基づき、以下にしたがって制振性能を向上した振れ止め装置の交換を実施することにより、ボイラ構造の安全性及び信頼性を向上することを可能にする。
【0017】
つまり、既設ボイラ構造物のデ−タベ−スから、対象とするボイラの設計図面等の幾何学デ−タを抽出し、得られた幾何学デ−タについて振動解析用モデル作成プログラムを用いて解析モデルを自動作成する。これと並行して既設ボイラ構造物のデ−タベ−スから対象とするボイラの所在地や運転開始年を抽出し、地震動評価プログラムを用いてボイラ所在地における運転開始年から現在までに発生した地震動を作成する。
【0018】
解析モデル及び地震動が作成された後は、振動解析プログラムにより振動応答解析を実施し、この結果、得られた振れ止め装置の弾塑性応答量を抽出して振れ止め装置損傷度評価プログラムにより、振れ止め装置の損傷の程度を評価して交換時期を見極める。
【0019】
一方、振れ止め装置の交換の際には、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化計算プログラムにより、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするような振れ止め装置を自動設計する。
【0020】
【実施の形態】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1に本発明による実施の形態として、ボイラ構造制振性向上のための振れ止め装置の交換支援装置の構成を示す。本装置は、既設ボイラ構造デ−タベ−ス11、地震動評価プログラム12、振動解析用モデル作成プログラム13、振動解析プログラム14及び振れ止め装置損傷度評価プログラム16及び振れ止め装置特性最適化計算プログラム15で構成される。各構成部分の相互関係及び作用を順に説明する。
【0021】
図1に示す実施の形態による支援装置によって、振れ止め装置の余寿命を評価する方法、並びに取替え後の振れ止め装置を最適化設計する方法を、構成要素の順に説明する。
【0022】
まず、最初に既設ボイラ構造デ−タベ−ス11について説明する。本デ−タベ−ス11の詳細を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
本デ−タベ−スは、既設ボイラの運転開始年111、既設ボイラが建設されている発電所名112、所在地113、出力114、ボイラの構造形式115及び設計図面デ−タ116等を有している。これらのデ−タは、対象とするボイラに対応して抽出される仕組みになっている。
【0025】
次に、図1中の地震動評価プログラム12について説明する。本プログラム12の詳細を図2に示す。本プログラムは、日本地図のデジタルデ−タ121を集めた地形デ−タベ−ス122、図3に示す歴史地震カタログ123(参考文献1)宇津:日本付近のM6.0以上の地震および地震被害の表、1885〜1980、地震研究所報;2)国立天文台:理科年表、丸善)を集めた歴史地震デ−タベ−ス124と地震動評価計算部125からなる。地震動評価計算部125は、デ−タ検索部126、基盤上の地震動評価部127(参考文献3)理論地震動研究会:地震動その合成と波形処理、鹿島出版会、1994;4)土木学会:動的解析と耐震設計 第1巻 地震動・動的特性、技報堂出版)、表層地盤増幅率計算部128で構成される。
【0026】
表1に示す既設ボイラ構造物のデ−タベ−ス11から抽出されたボイラ所在地113や運転開始年111等のデ−タを図2に示す地震動評価プログラムに入力し、計算を繰り返すことにより、ボイラ所在地の地形を考慮し、かつ運転開始年から現在までに発生した全ての地震が個々の地震毎にボイラに与える振動特性の計算値として記憶された地震動履歴129が作成される。なお、地震のエネルギーの大小により比較的小さな地震は除外することで繰り返し計算となる地震動評価の繰り返し回数を減らすことで計算速度を向上させることができる。
【0027】
次に、図1中の振動解析用モデル作成プログラム13について説明する。表1に示す既設ボイラ構造物のデ−タベ−ス11から抽出されたボイラの構造形式115及び設計図面デ−タ116等を振動解析用モデル作成プログラム13に入力することにより、例として図4に示すようなボイラ振動解析用モデルが作成される。
【0028】
本モデルは、支持構造を複数の質点131〜135と剛性136〜140で、ボイラも複数の質点141〜145と剛性146〜149でモデル化したものであり、振れ止め装置自体をそのバネ特性151〜154でモデル化したものである。
【0029】
上述のようにボイラ振動解析モデル及び地震動が作成された後は、図1に示す振動解析プログラム14により振動応答解析を実施し、図5のような振れ止め装置の弾塑性変形特性9bを抽出する。
【0030】
次に、図1の振れ止め装置損傷度評価プログラム16について説明する。
本プログラム16では、振動解析プログラム14における振動応答解析によって抽出された振れ止め装置の弾塑性変形特性9bを、荷重の絶対値に関して整理した値9cに変換する。値9cの変位成分は累積塑性変位9zとよばれ、これが振れ止め装置の寿命に関するパラメ−タである。このような要領で計算された累積塑性変位162の例を図7に示す。これに対して、繰り返し載荷試験によって得られ、図1中のプログラム16用にデ−タベ−ス化された累積塑性変位161を図6に示す。
【0031】
載荷試験では、振れ止め装置が破断163に至るまでの繰り返し塑性変形が与えられており、破断点163における累積塑性変位が寿命を表している。図1に示す振れ止め装置損傷度評価プログラム16を用い、図7に示す計算された累積塑性変位162と図6に示すデ−タベ−ス化された累積塑性変位161を比較することにより、振れ止め装置の余寿命を評価することができ、振れ止め装置の交換時期を見極めることができる。
【0032】
次に、図1に示す振れ止め装置特性最適化計算プログラム15について説明する。
振れ止め装置特性最適化計算プログラム15を実行するにいたる前段階として、以下に述べる過程は、前述した振れ止め装置損傷度評価プログラム16を実行するための前過程と同じである。つまり、既設ボイラ構造デ−タベ−ス11から抽出した表1に示すボイラの所在地113、運転開始年度111等のデ−タを図1に示す地震動評価プログラム12に入力して、地震動評価プログラム12から図2に示す耐震設計用地震動129を出力する。これと並行して、図1の既設ボイラ構造デ−タベ−ス11から抽出した表1のボイラの構造形式115、設計図面116等のデ−タを図1に示す振動解析用モデル作成プログラム13に入力して、振動解析用モデル作成プログラム13から図4のようなボイラ振動解析用モデルを出力する。その後、図4に示すボイラ振動解析用モデル及び図2に示す地震動履歴129を振動解析プログラム14に入力する。このように、上述した過程は前述した振れ止め装置損傷度評価プログラム16を実行するための前過程と同じである。
【0033】
続いて、振れ止め装置特性最適化計算プログラム15を実行するために、以下の手順が必要となる。
本プログラム15は振動解析プログラム14との連結で機能するものである。振れ止め装置特性最適化計算プログラム15は、既存の最適化手法である非線形数理計画法に基づいて構成される。非線形数理計画法は、図8示すように、制約関数h(x)が制約値A0以下になるという条件の下で目的関数f(x)を最小化する設計変数xを求める手法である。
【0034】
具体的には、設計変数の初期値を与え、その点から振動解析プログラム14による応答計算を繰り返してh(x)やf(x)等の状態を把握しながら、徐々に設計変数値の更新を行い、最もf(x)が小さくなる最適解を探索する手法である。
【0035】
本手法を振れ止め装置特性の最適化設計に適用する場合、制約関数h(x)として振れ止め装置3の変形量を、目的関数f(x)として支持構造2の地震応答量を選択し、このような下で設計変数として振れ止め装置特性Xを最適化計算する。
【0036】
ボイラ構造物の耐震設計の場合、制約関数h(x)として振れ止め装置3の変形量、言いかえれば、ボイラ1と支持構造2の相対変位を選択することは必須である。つまり、ボイラ1と支持構造2の間に連結されている各種の配管や機器類に損傷を与えない程度に、振れ止め装置3の変形量に制約値A0を与える必要がある。
【0037】
図1に示す振れ止め装置特性最適化計算プログラム15によって、振れ止め装置3を交換する際に実施される最適化計算の結果の一例を図10に示す。図10は図4に示すボイラ振動解析モデルにおける支持構造頂部質量135における加速度応答156を示したものである。これに対して図9は、振れ止め装置3の最適化を実施しない場合の、支持構造頂部質量135における加速度応答155を示したものである。図9と図10を比較すると、振れ止め装置3の最適化後の加速度応答156は、最適化前の加速度応答155に比べて大幅に低減していることが分かる。
【0038】
以上より、振れ止め装置特性最適化計算プログラムにより、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするような振れ止め装置を設計できる。
【0039】
図1に示すボイラ構造制振性向上のための振れ止め装置3の交換支援装置の構成の中で振れ止め装置特性最適化計算プログラム15を備えていない構成からなる本発明の実施の形態を用いると、振れ止め装置損傷度評価プログラム16により、振れ止め装置3の損傷の程度を評価することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の事項が実現される。
(1)既設ボイラ構造物において、振れ止め装置の余寿命を評価して交換時期を見極めるとともに、交換用の振れ止め装置としてボイラ構造物の地震応答を最も小さくするように自動で最適化設計された振れ止め装置を提供することができる。
(2)(1)に基づいて交換された制振性能の高い振れ止め装置により、ボイラ構造の安全性及び信頼性を向上することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のボイラ構造制振性向上のための振れ止め装置の交換支援装置の構成を示した図である。
【図2】図1の地震動評価プログラムを示した図である。
【図3】歴史地震カタログを示した図である。
【図4】図1のボイラ構造物の振動解析用モデルを示した図である。
【図5】図1のボイラ構造物の振れ止め装置の累積塑性変位の概念を示した図である。
【図6】図1のボイラ構造物の試験で得られた累積塑性変位のデ−タベ−スを示す。
【図7】図1のボイラ構造物の既設ボイラにおける累積塑性変位の計算値である。
【図8】図2のボイラ構造物の最適化手法である非線型数理計画法の説明図である。
【図9】図1のボイラ構造物の振れ止め装置の最適化前の支持構造地震応答波形を示す。
【図10】図1のボイラ構造物の振れ止め装置の最適化後の支持構造地震応答波形を示す
【図11】ボイラ構造物の概観を示す。
【図12】ボイラ構造物の振れ止め装置の構造を示す。
【符号の説明】
1 ボイラ 2 支持構造
3 振れ止め装置 4 吊りボルト
5 大ばり 6 リンク
7 ピン 8 バックステイ
9 エネルギー吸収 9a 相対変位
9b 弾塑性変形特性 9c 値
9x 荷重 9y 変位
9z 累積塑性変位
11 既設ボイラ構造デ−タベ−ス 12 地震動評価プログラム
13 振動解析用モデル作成プログラム 14 振動解析プログラム
15 振れ止め装置特性最適化計算プログラム
16 振れ止め装置損傷度評価プログラム
111 既設ボイラの運転開始年
112 既設ボイラが建設されている発電所名
113 所在地 114 出力
115 ボイラの構造形式 116 設計図面デ−タ
121 日本地図のデジタルデ−タ 122 地形デ−タベ−ス
123 歴史地震カタログ 124 歴史地震デ−タベ−ス
125 地震動評価計算部 126 デ−タ検索部
127 基盤上の地震動評価部 128 表層地盤増幅率計算部
129 地震動履歴
131〜135、141〜145 質点
136〜140、146〜149 剛性
151〜154 バネ特性 155、156 加速度応答
161、162 累積塑性変位 163 破断点
【産業上の利用分野】
本発明は、ボイラ本体とその支持構造が振れ止め装置にて連結されたボイラ構造物に係わり、特に振れ止め装置の余寿命を診断する方法並びに振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援をする方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11にボイラ構造物の概観を示す。ボイラ1は運転時の鉛直方向の熱膨張を逃がすために吊りボルト4及び大ばり5を介して鉄骨構造からなる支持構造2に吊られる構造となっている。また、地震時のボイラ1と支持構造2の相対的な水平方向振動を抑えるために、ボイラ1と支持構造2の間に複数の振れ止め装置3が設置されている。
【0003】
振れ止め装置3の具体的な構造を図12に示す。図12(a)は振れ止め装置3の斜視図、図12(b)は振れ止め装置3の平面図、図12(c)は振れ止め装置3に作用する荷重9xと振れ止め装置の変位9yによって示されるエネルギー吸収9を示す図である。振れ止め装置3には、鋼製のものの他油圧を利用したもの等、種々が存在するが、図12は一例として鋼製のものを示している。本振れ止め装置3は鋼製の2本のリンク6及び鋼製の2本のピン7で構成され、リンク6は支持構造2及びバックステイ8を介してボイラ1に連結されている。地震時には、ボイラ1と支持構造2の間の相対変位9aが生じ、その相対変位9aの振動エネルギーをピン7の曲げによる弾塑性変形特性9bによってエネルギー吸収9する。この特性9bとは、振れ止め装置3に作用する荷重9xと振れ止め装置の変位9yによって示される関係である。このエネルギー吸収9の結果として、ボイラ1や支持構造2の振動が低減される。
【0004】
既設のボイラ1は、建設された時点から現在に至るまで、大なり小なり地震による揺れを経験しており、その度に制振装置として機能する振れ止め装置3には弾塑性変形による疲労が累積している。言いかえれば、地震が発生するごとに振れ止め装置の余寿命が少なくなっている。
【0005】
なお、前記従来の構造物の揺れ止め装置としては、特開平08−200438号公報、特開平07−150815号公報、特開平07−82931号公報などに記載された発明がある。
【0006】
従来の振れ止め装置3は消耗品とみなされていたため、余寿命を管理することは考慮されておらず、大型の地震を被災した時点で点検し、損傷度を目視後、取替えるのが一般的であった。しかしながら、前記のように小型の地震による疲労の蓄積により、大型の地震発生時に所定の性能が発揮できなくなるおそれがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平08−200438号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平07−150815号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平07−82931号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、振れ止め装置3の余寿命の評価ができず、振れ止め装置3の交換時期を定量的に決める方法がなかった。また、交換に際しての振れ止め装置3の設計では、設計者による膨大なパラ−メ−タサ−ベイを必要とし、ボイラ構造物の制振上最も合理的な構造、つまり支持構造2やボイラ1の揺れを最小にするような振れ止め装置構造を設計することは不可能に近かった。
【0011】
本発明の課題は上記従来技術における欠点を解消し、下記の事項を実現することにある。
(1)既設ボイラ構造物において、振れ止め装置の余寿命を評価して交換時期を見極めるとともに、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするように最適化設計された振れ止め装置に交換するための支援装置を提供する。
(2)前記(1)に記載の装置に基づき、制振性能が向上された振れ止め装置の交換を実施することにより、ボイラ構造の安全性及び信頼性を向上することを可能にする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、次の解決手段によって達成される。
(1)ボイラとその支持構造を連結したボイラ構造物の地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の余寿命診断方法において、既設ボイラ構造デ−タベ−ス、地震動評価プログラム、振動解析用モデル作成プログラム、振動解析プログラム及び振れ止め装置損傷度評価プログラムを結合し、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを地震動評価プログラムに入力して、地震動評価プログラムから地震動履歴を出力し、これと並行して、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成プログラムに入力して、振動解析用モデル作成プログラムからボイラ耐震解析用モデルを出力し、その後、前記地震動履歴とボイラ耐震解析用モデルを振動解析プログラムに入力して、振動解析プログラムから振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力し、次に振れ止め装置の弾塑性変形特性を振れ止め装置損傷度評価プログラムに入力し、累積塑性変位と予め載荷テストにより求められた振れ止め装置の破断弾塑性変位との比較により振れ止め装置の損傷度を出力することによる振れ止め装置の余寿命診断方法。
【0013】
(2)地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援する方法において、既設ボイラ構造デ−タベ−ス、地震動評価プログラム、振動解析用モデル作成プログラム、振動解析プログラム及び振れ止め装置特性最適化計算プログラムを結合し、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを地震動評価プログラムに入力して、地震動評価プログラムから地震動履歴を出力し、これと並行して、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成プログラムに入力して、振動解析用モデル作成プログラムからボイラ耐震解析用モデルを出力し、その後、前記ボイラ耐震解析用モデル及び地震動履歴を振動解析プログラムに入力するとともに、最適化計算のための設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性最適化プログラムに入力し、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化プログラムを交互に使った繰り返し計算により、設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振動解析プログラムから出力された振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援をする方法。
【0014】
(3)前記(1)の振れ止め装置の余寿命診断方法により得られたデータにより決められた振れ止め装置の交換時には、前記振れ止め装置のボイラ耐震解析用モデル及び地震動履歴を最適化計算のための設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性最適化プログラムに入力し、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化プログラムを交互に使った繰り返し計算により、設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振れ止め装置の地震応答量を最も小さくするような振れ止め装置に交換する交換支援方法。
【0015】
(4)前記(1)〜(3)を実行するための各装置。
【0016】
【作用】
上記のような装置の構成に基づき、以下にしたがって制振性能を向上した振れ止め装置の交換を実施することにより、ボイラ構造の安全性及び信頼性を向上することを可能にする。
【0017】
つまり、既設ボイラ構造物のデ−タベ−スから、対象とするボイラの設計図面等の幾何学デ−タを抽出し、得られた幾何学デ−タについて振動解析用モデル作成プログラムを用いて解析モデルを自動作成する。これと並行して既設ボイラ構造物のデ−タベ−スから対象とするボイラの所在地や運転開始年を抽出し、地震動評価プログラムを用いてボイラ所在地における運転開始年から現在までに発生した地震動を作成する。
【0018】
解析モデル及び地震動が作成された後は、振動解析プログラムにより振動応答解析を実施し、この結果、得られた振れ止め装置の弾塑性応答量を抽出して振れ止め装置損傷度評価プログラムにより、振れ止め装置の損傷の程度を評価して交換時期を見極める。
【0019】
一方、振れ止め装置の交換の際には、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化計算プログラムにより、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするような振れ止め装置を自動設計する。
【0020】
【実施の形態】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1に本発明による実施の形態として、ボイラ構造制振性向上のための振れ止め装置の交換支援装置の構成を示す。本装置は、既設ボイラ構造デ−タベ−ス11、地震動評価プログラム12、振動解析用モデル作成プログラム13、振動解析プログラム14及び振れ止め装置損傷度評価プログラム16及び振れ止め装置特性最適化計算プログラム15で構成される。各構成部分の相互関係及び作用を順に説明する。
【0021】
図1に示す実施の形態による支援装置によって、振れ止め装置の余寿命を評価する方法、並びに取替え後の振れ止め装置を最適化設計する方法を、構成要素の順に説明する。
【0022】
まず、最初に既設ボイラ構造デ−タベ−ス11について説明する。本デ−タベ−ス11の詳細を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
本デ−タベ−スは、既設ボイラの運転開始年111、既設ボイラが建設されている発電所名112、所在地113、出力114、ボイラの構造形式115及び設計図面デ−タ116等を有している。これらのデ−タは、対象とするボイラに対応して抽出される仕組みになっている。
【0025】
次に、図1中の地震動評価プログラム12について説明する。本プログラム12の詳細を図2に示す。本プログラムは、日本地図のデジタルデ−タ121を集めた地形デ−タベ−ス122、図3に示す歴史地震カタログ123(参考文献1)宇津:日本付近のM6.0以上の地震および地震被害の表、1885〜1980、地震研究所報;2)国立天文台:理科年表、丸善)を集めた歴史地震デ−タベ−ス124と地震動評価計算部125からなる。地震動評価計算部125は、デ−タ検索部126、基盤上の地震動評価部127(参考文献3)理論地震動研究会:地震動その合成と波形処理、鹿島出版会、1994;4)土木学会:動的解析と耐震設計 第1巻 地震動・動的特性、技報堂出版)、表層地盤増幅率計算部128で構成される。
【0026】
表1に示す既設ボイラ構造物のデ−タベ−ス11から抽出されたボイラ所在地113や運転開始年111等のデ−タを図2に示す地震動評価プログラムに入力し、計算を繰り返すことにより、ボイラ所在地の地形を考慮し、かつ運転開始年から現在までに発生した全ての地震が個々の地震毎にボイラに与える振動特性の計算値として記憶された地震動履歴129が作成される。なお、地震のエネルギーの大小により比較的小さな地震は除外することで繰り返し計算となる地震動評価の繰り返し回数を減らすことで計算速度を向上させることができる。
【0027】
次に、図1中の振動解析用モデル作成プログラム13について説明する。表1に示す既設ボイラ構造物のデ−タベ−ス11から抽出されたボイラの構造形式115及び設計図面デ−タ116等を振動解析用モデル作成プログラム13に入力することにより、例として図4に示すようなボイラ振動解析用モデルが作成される。
【0028】
本モデルは、支持構造を複数の質点131〜135と剛性136〜140で、ボイラも複数の質点141〜145と剛性146〜149でモデル化したものであり、振れ止め装置自体をそのバネ特性151〜154でモデル化したものである。
【0029】
上述のようにボイラ振動解析モデル及び地震動が作成された後は、図1に示す振動解析プログラム14により振動応答解析を実施し、図5のような振れ止め装置の弾塑性変形特性9bを抽出する。
【0030】
次に、図1の振れ止め装置損傷度評価プログラム16について説明する。
本プログラム16では、振動解析プログラム14における振動応答解析によって抽出された振れ止め装置の弾塑性変形特性9bを、荷重の絶対値に関して整理した値9cに変換する。値9cの変位成分は累積塑性変位9zとよばれ、これが振れ止め装置の寿命に関するパラメ−タである。このような要領で計算された累積塑性変位162の例を図7に示す。これに対して、繰り返し載荷試験によって得られ、図1中のプログラム16用にデ−タベ−ス化された累積塑性変位161を図6に示す。
【0031】
載荷試験では、振れ止め装置が破断163に至るまでの繰り返し塑性変形が与えられており、破断点163における累積塑性変位が寿命を表している。図1に示す振れ止め装置損傷度評価プログラム16を用い、図7に示す計算された累積塑性変位162と図6に示すデ−タベ−ス化された累積塑性変位161を比較することにより、振れ止め装置の余寿命を評価することができ、振れ止め装置の交換時期を見極めることができる。
【0032】
次に、図1に示す振れ止め装置特性最適化計算プログラム15について説明する。
振れ止め装置特性最適化計算プログラム15を実行するにいたる前段階として、以下に述べる過程は、前述した振れ止め装置損傷度評価プログラム16を実行するための前過程と同じである。つまり、既設ボイラ構造デ−タベ−ス11から抽出した表1に示すボイラの所在地113、運転開始年度111等のデ−タを図1に示す地震動評価プログラム12に入力して、地震動評価プログラム12から図2に示す耐震設計用地震動129を出力する。これと並行して、図1の既設ボイラ構造デ−タベ−ス11から抽出した表1のボイラの構造形式115、設計図面116等のデ−タを図1に示す振動解析用モデル作成プログラム13に入力して、振動解析用モデル作成プログラム13から図4のようなボイラ振動解析用モデルを出力する。その後、図4に示すボイラ振動解析用モデル及び図2に示す地震動履歴129を振動解析プログラム14に入力する。このように、上述した過程は前述した振れ止め装置損傷度評価プログラム16を実行するための前過程と同じである。
【0033】
続いて、振れ止め装置特性最適化計算プログラム15を実行するために、以下の手順が必要となる。
本プログラム15は振動解析プログラム14との連結で機能するものである。振れ止め装置特性最適化計算プログラム15は、既存の最適化手法である非線形数理計画法に基づいて構成される。非線形数理計画法は、図8示すように、制約関数h(x)が制約値A0以下になるという条件の下で目的関数f(x)を最小化する設計変数xを求める手法である。
【0034】
具体的には、設計変数の初期値を与え、その点から振動解析プログラム14による応答計算を繰り返してh(x)やf(x)等の状態を把握しながら、徐々に設計変数値の更新を行い、最もf(x)が小さくなる最適解を探索する手法である。
【0035】
本手法を振れ止め装置特性の最適化設計に適用する場合、制約関数h(x)として振れ止め装置3の変形量を、目的関数f(x)として支持構造2の地震応答量を選択し、このような下で設計変数として振れ止め装置特性Xを最適化計算する。
【0036】
ボイラ構造物の耐震設計の場合、制約関数h(x)として振れ止め装置3の変形量、言いかえれば、ボイラ1と支持構造2の相対変位を選択することは必須である。つまり、ボイラ1と支持構造2の間に連結されている各種の配管や機器類に損傷を与えない程度に、振れ止め装置3の変形量に制約値A0を与える必要がある。
【0037】
図1に示す振れ止め装置特性最適化計算プログラム15によって、振れ止め装置3を交換する際に実施される最適化計算の結果の一例を図10に示す。図10は図4に示すボイラ振動解析モデルにおける支持構造頂部質量135における加速度応答156を示したものである。これに対して図9は、振れ止め装置3の最適化を実施しない場合の、支持構造頂部質量135における加速度応答155を示したものである。図9と図10を比較すると、振れ止め装置3の最適化後の加速度応答156は、最適化前の加速度応答155に比べて大幅に低減していることが分かる。
【0038】
以上より、振れ止め装置特性最適化計算プログラムにより、ボイラ構造物の地震応答を最も小さくするような振れ止め装置を設計できる。
【0039】
図1に示すボイラ構造制振性向上のための振れ止め装置3の交換支援装置の構成の中で振れ止め装置特性最適化計算プログラム15を備えていない構成からなる本発明の実施の形態を用いると、振れ止め装置損傷度評価プログラム16により、振れ止め装置3の損傷の程度を評価することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の事項が実現される。
(1)既設ボイラ構造物において、振れ止め装置の余寿命を評価して交換時期を見極めるとともに、交換用の振れ止め装置としてボイラ構造物の地震応答を最も小さくするように自動で最適化設計された振れ止め装置を提供することができる。
(2)(1)に基づいて交換された制振性能の高い振れ止め装置により、ボイラ構造の安全性及び信頼性を向上することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のボイラ構造制振性向上のための振れ止め装置の交換支援装置の構成を示した図である。
【図2】図1の地震動評価プログラムを示した図である。
【図3】歴史地震カタログを示した図である。
【図4】図1のボイラ構造物の振動解析用モデルを示した図である。
【図5】図1のボイラ構造物の振れ止め装置の累積塑性変位の概念を示した図である。
【図6】図1のボイラ構造物の試験で得られた累積塑性変位のデ−タベ−スを示す。
【図7】図1のボイラ構造物の既設ボイラにおける累積塑性変位の計算値である。
【図8】図2のボイラ構造物の最適化手法である非線型数理計画法の説明図である。
【図9】図1のボイラ構造物の振れ止め装置の最適化前の支持構造地震応答波形を示す。
【図10】図1のボイラ構造物の振れ止め装置の最適化後の支持構造地震応答波形を示す
【図11】ボイラ構造物の概観を示す。
【図12】ボイラ構造物の振れ止め装置の構造を示す。
【符号の説明】
1 ボイラ 2 支持構造
3 振れ止め装置 4 吊りボルト
5 大ばり 6 リンク
7 ピン 8 バックステイ
9 エネルギー吸収 9a 相対変位
9b 弾塑性変形特性 9c 値
9x 荷重 9y 変位
9z 累積塑性変位
11 既設ボイラ構造デ−タベ−ス 12 地震動評価プログラム
13 振動解析用モデル作成プログラム 14 振動解析プログラム
15 振れ止め装置特性最適化計算プログラム
16 振れ止め装置損傷度評価プログラム
111 既設ボイラの運転開始年
112 既設ボイラが建設されている発電所名
113 所在地 114 出力
115 ボイラの構造形式 116 設計図面デ−タ
121 日本地図のデジタルデ−タ 122 地形デ−タベ−ス
123 歴史地震カタログ 124 歴史地震デ−タベ−ス
125 地震動評価計算部 126 デ−タ検索部
127 基盤上の地震動評価部 128 表層地盤増幅率計算部
129 地震動履歴
131〜135、141〜145 質点
136〜140、146〜149 剛性
151〜154 バネ特性 155、156 加速度応答
161、162 累積塑性変位 163 破断点
Claims (5)
- ボイラとその支持構造を連結したボイラ構造物の地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の余寿命診断方法において、
既設ボイラ構造デ−タベ−ス、地震動評価プログラム、振動解析用モデル作成プログラム、振動解析プログラム及び振れ止め装置損傷度評価プログラムを結合し、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを地震動評価プログラムに入力して、地震動評価プログラムから地震動履歴を出力し、
これと並行して、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成プログラムに入力して、振動解析用モデル作成プログラムからボイラ耐震解析用モデルを出力し、
その後、前記地震動履歴とボイラ耐震解析用モデルを振動解析プログラムに入力して、振動解析プログラムから振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力し、
次に振れ止め装置の弾塑性変形特性を振れ止め装置損傷度評価プログラムに入力し、累積塑性変位と予め載荷テストにより求められた振れ止め装置の破断弾塑性変位との比較により振れ止め装置の損傷度を出力することによる振れ止め装置の余寿命診断方法。 - 地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援する方法において、
既設ボイラ構造デ−タベ−ス、地震動評価プログラム、振動解析用モデル作成プログラム、振動解析プログラム及び振れ止め装置特性最適化計算プログラムを結合し、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを地震動評価プログラムに入力して、地震動評価プログラムから地震動履歴を出力し、
これと並行して、既設ボイラ構造デ−タベ−スから抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成プログラムに入力して、振動解析用モデル作成プログラムからボイラ耐震解析用モデルを出力し、
その後、前記ボイラ耐震解析用モデル及び地震動履歴を振動解析プログラムに入力するとともに、最適化計算のための設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性最適化プログラムに入力し、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化プログラムを交互に使った繰り返し計算により、設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振動解析プログラムから出力された振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援をする方法。 - 請求項1記載の振れ止め装置の余寿命診断方法により得られたデータにより決められた振れ止め装置の交換時には、前記振れ止め装置のボイラ耐震解析用モデル及び地震動履歴を最適化計算のための設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性最適化プログラムに入力し、振動解析プログラムと振れ止め装置特性最適化プログラムを交互に使った繰り返し計算により、設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振れ止め装置の地震応答量を最も小さくするような振れ止め装置に交換する交換支援方法。
- ボイラとその支持構造を連結した地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の余寿命診断装置において、
既設ボイラ構造デ−タベースを記憶した既設ボイラ構造デ−タ記憶手段と、
既設ボイラ構造デ−タ記憶手段から抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを入力して、地震動履歴を出力する地震動の評価をするための地震動評価手段と、
既設ボイラ構造デ−タ記憶手段から抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを振動解析用モデル作成手段に入力して、振動解析用モデルを作成する振動解析用モデル作成手段と、
地震動評価手段から出力した前記地震動履歴と、振動解析用モデル作成手段から出力したボイラ耐震解析用モデルを入力して、振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力する振動解析手段と、
振れ止め装置の弾塑性変形特性を入力し、累積塑性変位と予め載荷テストにより求められた振れ止め装置の破断弾塑性変位との比較により振れ止め装置の損傷度を出力する振れ止め装置損傷度評価手段と
からなる振れ止め装置の余寿命診断装置。 - 地震時のボイラ本体とその支持構造の相対的な振れを抑えるための振れ止め装置の地震応答量を最小化することで振れ止め装置の交換支援する装置において、
既設ボイラ構造デ−タベースを記憶した既設ボイラ構造デ−タ記憶手段と、
既設ボイラ構造デ−タ記憶手段から抽出したボイラの所在地、運転開始年度を含むデ−タを入力して、地震動履歴を出力する地震動の評価をするための地震動評価手段と、
既設ボイラ構造デ−タ記憶手段から抽出したボイラの構造形式、設計図面を含むデ−タを入力して、振動解析用モデルを作成する振動解析用モデル作成手段と、
地震動評価手段から出力した前記地震動履歴と、振動解析用モデル作成手段から出力したボイラ耐震解析用モデルを入力して、振れ止め装置の弾塑性変形特性を出力する振動解析手段と、
振れ止め装置の弾塑性変形特性を入力し、振れ止め装置の損傷度を出力する振れ止め装置損傷度評価手段と
設計変数として振れ止め装置特性を選択して振れ止め装置特性の最適化計算を行う振れ止め装置特性の最適化計算手段と
前記振動解析手段での解析と前記振れ止め装置特性の最適化計算手段での計算を交互に使った繰り返し計算により、振れ止め装置特性の最適化計算手段からの設計変数である振れ止め装置特性の最適解を探索して振動解析手段から出力される振れ止め装置の地震応答量を最小化して出力する地震応答量最小化手段
を設けたことを特徴とする振れ止め装置の交換支援装置。
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