JP6509355B2 - 電動パワーステアリング用永久磁石モータ - Google Patents

電動パワーステアリング用永久磁石モータ Download PDF

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Description

この発明は、永久磁石モータに関し、特に、回転子に永久磁石を埋設した、永久磁石埋設型モータに関するものである。
この種の永久磁石埋設型モータでは、回転子の内部に複数の永久磁石が回転子の周方向に隣り合うように埋設されており、回転子の周方向に隣り合う一対の永久磁石の磁極が互いに異なるようにしてある。隣り合う一対の永久磁石の間の磁極の切替わり部付近には急激な磁束密度変動が発生するため、トルクリップルが生じ、これが振動、騒音をもたらす。
このトルクリップルを軽減するためには様々な方法があるが、例えば特許文献1に示されるように、永久磁石間の磁極の切替わる部分の回転子外周面の所定の位置に凹凸状部などを形成していた。
特許第5434415号公報
従来の永久磁石モータでは、例えば上述したような構成でトルクリップルを軽減していたため、エアギャップに面するロータコア外径が金型摩耗などで変化した場合、ステータ内径に直接対向するロータ表面が変化するのでトルクリップルが大きく変化する課題がある。このため、製造工程でのばらつきがトルクリップルに影響することを抑制するには、ステータ内径に直接対向していない、ロータ内部の磁石位置などでトルクリップルを低減する必要がある。
この発明に係わる電動パワーステアリング用永久磁石モータは、複数のティースを有する環状のコア片を積層した固定子鉄心、複数のティース間に形成されたスロットに収められた巻線を有する電機子を備えた固定子と、この固定子内に磁気的空隙を介して配置され、回転軸を中心に回転し、断面が平板形状の単一の永久磁石が8個埋設された回転子とを備え、ティースの回転子側先端部に設けられた鍔部と鍔部のそれぞれが固定子の周方向に接続される接続部を有し、この接続部の幅がコア片の厚み以下の0.5mm以下であると共に、埋設された永久磁石の長辺の長さをWm、短辺の長さをTm、回転子外周から永久磁石までの最大距離がGmである場合に、
0.7≦Wm/(Tm×Gm)≦3.3
とすることでトルクリップルを低減することを特徴とする。

この発明の永久磁石モータによれば、接続部の幅と永久磁石の大きさを調整することにより、トルクリップルを軽減できる。
この発明の実施の形態1による永久磁石モータの固定子10の断面図である。 この発明の実施の形態1による永久磁石モータの固定子10の2段スキューを施した側の断面図である。 この発明の実施の形態1による永久磁石モータの回転子の断面図である。 この発明の実施の形態1の永久磁石の減磁率を表したグラフである。 この発明の実施の形態1においてWm/(Tm×Gm)の値をモータの仕様ごとにプロットした分布図である。このうち、図5Aは、シュー接続幅18が0.125mmの際の各モータ仕様のWm/(Tm×Gm)の値の分布図であり、図5Bは、シュー接続幅18が0.326mmの際の各モータ仕様のWm/(Tm×Gm)の値の分布図であり、図5Cは、シュー接続幅18が0.350mmの際の各モータ仕様のWm/(Tm×Gm)の値の分布図である。 この発明の実施の形態1のシュー接続幅18とWm/(Tm×Gm)の値との関係を、図5のモータ仕様において示したグラフである。このうち、図6Aは、図5のモータ仕様のうち、Wm/(Tm×Gm)の値が最小値となるモータ仕様のシュー接続幅18とWm/(Tm×Gm)の値との関係を示すグラフであり、図6Bは、図5のモータ仕様のうち、Wm/(Tm×Gm)の値が平均値となるモータ仕様のシュー接続幅18とWm/(Tm×Gm)の値との関係を示すグラフであり、図6Cは、図5のモータ仕様のうち、Wm/(Tm×Gm)の値が最大値となるモータ仕様のシュー接続幅18とWm/(Tm×Gm)の値との関係を示すグラフである。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による永久磁石モータの固定子10の断面図である。固定子10は電機子巻線11、電機子巻線12、及び固定子鉄心13から構成されている。
固定子鉄心13は、打ち抜いて作成された電磁鋼板などの磁性体のコア片を軸方向に積層して形成され、環状のコアバック14と、コアバック14から周方向内側に延びるティース15から構成される。隣り合うティース15の間に形成されたスロット16に電機子巻線11、12が納められる。電機子巻線11、12とスロット16を形成する固定子鉄心13との間には、絶縁紙等(図示せず)が挿入され、電気的絶縁を確保している。
ティース15は、全部で48個形成されており、従ってスロット16も48個形成されている。スロット16のそれぞれには、電機子巻線11、12のコイルが4本ずつ納められている。ティース15の先端は、接続部17によりスロット16より内径側で互いに接続されている。
電機子巻線11は、U1相、V1相、W1相の3相から構成され、電機子巻線12は、U2相、V2相、W2相の3相から構成されている。電機子巻線11,12のスロット16への配置は、1番目のスロットから6番目のスロットまで、U1相、U2相、W1相、W2相、V1相、V2相の順に配置される。7番目のスロット以降も、U1相、U2相、W1相、W2相、V1相、V2相の順に配置され、48番目まで同様の順に配置されている。但し、1番目のスロットに配置されたU1相のコイルに流れる電流の向きと、7番目のスロットに配置されたU1相のコイルに流れる電流の向きが互いに逆になるように接続されている。即ち、1番目のスロットから7番目のスロットに巻かれた分布巻の構成となり、電機子巻線11、12は計6個のティース15を跨いでいる。これは電気角180度に相当し、短節巻係数が1となる。
さらに、電機子巻線11、12は互いに電気角30°の位相差があり、分布巻係数が1となるため、全体の巻線係数も1となり、小型高トルクのモータを構成する。従って、巻線係数が小さいモータに比べ、起電力を大きくでき、低コスト化が実現できる。
また、図2のように、固定子鉄心13は、軸方向の積層の半分から、ティース15の先端形状がティース15の中心軸に対称となる形状を有する固定子鉄心が積層されている。すなわち、固定子鉄心13は2段スキューを施されており、例えば機械角1.875度付近の2段スキューを施した場合、トルクリップルの機械角96次成分を小さくすることができる。
ティース15の先端の接続部の径方向の幅(以下、シュー接続幅と称す)18が広くなると、漏れ磁束が増加してトルクが低下するので、シュー接続幅18は狭い方がモータの小型化には効果的である。
図3はこの発明の実施の形態1における永久磁石モータの回転子20の断面図である。
回転子20は、回転子鉄心21と回転子鉄心21の内部に埋設された永久磁石22とからなり、固定子10の内側で、固定子10との間に磁気的空隙を介して配置される。永久磁石22は、ネオジウム、鉄、ボロンから構成されるネオジウム希土類磁石であり、周方向を長辺(Wm)、径方向の厚みを短辺(Tm)とした長方形の断面を有する直方体形状に形成され、回転子20の回転軸23を中心とし、回転対称になるように、周方向に等間隔に8個並べられ、8極の構成となっている。ディスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)のような、保磁力を改善する高価な重希土類元素を添加していないので、磁石の低コスト化が実現できる。さらに、ネオジウム希土類磁石を使用した永久磁石埋設型モータの構成により、マグネットトルクが大きく、リラクタンストルクを活用でき、単位長さあたりのトルクの大きな小型かつ軽量なモータを提供できる。また、回転子鉄心21を、回転軸23に対し、真円の半径よりも小さな半径を有する花丸形状とすることによってトルクリップルを低減できる。
回転子鉄心21は、固定子鉄心13と同様、2段スキューを施されているが、形状の同じ回転子鉄心を2段に積層している。例えば機械角3.75度付近の2段スキューを施した場合、トルクリップルの機械角48次成分を小さくすることができる。このように、固定子10と回転子20のそれぞれに2段スキューを施すことで、2つの特定されるトルクリップル次数を低減できるが、スロット数の大きな固定子10よりも、回転子20の2段スキューの角度を大きくした方が、固定子鉄心13のティース15の先端幅やスロット面積を小さくすることを回避できる。
図4は、常温での保磁力が21kOe以上の重希土類元素を添加していないネオジウム希土類磁石の減磁率を表したグラフである。横軸は短辺Tm(mm)であり、磁石の厚みを表す。グラフからわかるように、Tmが2.1mmを超えると、急激に減磁率が悪化する。減磁によるトルク低下を抑えるには、Tm≧2mmの範囲で適用すればよいが、電動パワーステアリング用モータでは、緊急回避操舵などでは高回転数でのアシストトルクが要求されるため、Tmが大きい(磁石厚みが厚い)とモータ回転数が低下することから、Tmは2.1mmに近い大きさとすることが望ましい。
上述したように、固定子鉄心13または回転子鉄心21にスキューを施すことにより、48次、96次の2つの特定されるリップル次数を低減できるが、さらにトルクリップルを低減するための構造を以下に詳述する。
図5は、平均トルクに対するトルクリップル変動が0.5%以下を満たす条件で、前述したように、磁石の長辺の長さをWm(mm)、短辺をTm(mm)、回転子鉄心と長辺までの埋込深さの最大深さをGm(mm)とした3つのパラメータで磁界解析を行い、Wm/(Tm×Gm)の値をモータの仕様ごとにプロットした分布図である。横軸は前記条件を満たすモータ仕様1つ1つであり、個々のモータ仕様に対して、縦軸に示したWm/(Tm×Gm)の値をプロットしている。図5Aはシュー接続幅18が0.125mmの場合、図5Bはシュー接続幅18が0.326mmの場合、図5Cはシュー接続幅18が0.350mmの場合を示す。図5Aから図5Cのそれぞれで、Wm/(Tm×Gm)の値が1.0から3.0の付近に分布していることがわかる。
図6は図5のシュー接続幅18とWm/(Tm×Gm)の値との関係を、モータの1仕様において示したグラフであり、図6Aは、シュー接続幅18に対するWm/(Tm×Gm)の値が最小値となるモータの1仕様、図6Bは、シュー接続幅18に対するWm/(Tm×Gm)の値が平均値となるモータの1仕様、図6Cは、シュー接続幅18に対するWm/(Tm×Gm)の値が最大値となるモータの1仕様をそれぞれプロットしている。シュー接続幅18が大きいとティース間の漏れ磁束が大きくなるため、シュー接続幅は小さくすることがモータ小型化には望ましいが、図6に示す通り、電動パワーステアリング用モータで、積層されるコア片の板厚0.5mmに対し、シュー接続幅18が小さいほど、Wm/(Tm×Gm)の値が大きくなる相関関係が見られ、シュー接続幅18が0.5mm以下の場合は、Wm/(Tm×Gm)が0.7以上3.3以下とすることで、トルクリップルの主成分である48次、96次のトルクリップル成分を0.5%以下とすることができ、トルクリップルの小さなモータを実現することができる。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
10 固定子、11、12 電機子巻線、13 固定子鉄心、14 コアバック、15 ティース、16 スロット、17 接続部、18 シュー接続幅、20 回転子、21 回転子鉄心、22 永久磁石、23 回転軸

Claims (3)

  1. 複数のティースを有する環状のコア片を積層した固定子鉄心、前記複数のティース間に形成されたスロットに収められた巻線を有する電機子を備えた固定子と、前記固定子内に磁気的空隙を介して配置され、回転軸を中心に回転し、断面が平板形状の単一の永久磁石が8個埋設された回転子とを備えた永久磁石モータであって、前記ティースの前記回転子側先端部に設けられた鍔部と前記鍔部のそれぞれが前記固定子の周方向に接続される接続部を有し、前記接続部の幅が、前記コア片の厚み以下の0.5mm以下であると共に、前記永久磁石の長辺の長さをWm、短辺の長さをTm、前記回転子外周から前記永久磁石までの最大距離がGmである場合に、0.7≦Wm/(Tm×Gm)≦3.3
    とすることでトルクリップルを低減することを特徴とする電動パワーステアリング用永久磁石モータ。
  2. 前記回転子は2段スキューが施された回転子鉄心で構成されることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング用永久磁石モータ。
  3. 前記永久磁石は、短辺の長さTmが、2mm以上であり、重希土類元素が添加されていないことを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング用永久磁石モータ。
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