JP6501557B2 - ホウ素除去装置及びホウ素除去方法 - Google Patents

ホウ素除去装置及びホウ素除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホウ素除去装置及びホウ素除去方法に関するものである。
近年太陽電池の需要の高まりにともなって、ソーラグレードシリコンと呼ばれるシリコンの需要が高まっている。従来、シリカ原料として、例えばシリカの純度が高い白珪石が利用されている。一方、容易かつ低コストで入手可能な珪藻土をシリカ原料としたソーラグレードシリコンの生成が試みられている(例えば、特許文献1や非特許文献1を参照)。
ソーラグレードシリコンは、LSI等の電子デバイスに使われる半導体グレードシリコン(Semiconductor-grade silicon)よりも純度が低いものであるが、それでもなお99.9999%(6N)〜99.99999%(7N)程度の純度が要求される。このため、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ホウ素(B)、リン(P)等の不純物を除去してシリコンの純度を高くする精製処理が必要である。精製処理としては、シーメンス法、NEDO溶融精製法等が知られている。
特許文献1や非特許文献1には、珪藻土に苛性アルカリ溶液を加えて溶解した後、酸を加えてpHを制御してアルミニウムや鉄を除去する除去処理によって、純度を高くしたシリカの沈殿物を回収する手法が記載されている。特許文献1や非特許文献1に記載された手法は、容易かつ低コストで入手可能な珪藻土を原料とする利点がある他に、シーメンス法、NEDO溶融精製法等に比べて、小規模な設備と小さい消費エネルギーで不純物を除去可能であるという利点がある。
また、非特許文献2では、特許文献1や非特許文献1の除去処理では十分に除去できないホウ素を除去する手法が提案されている。非特許文献2では、微細な幅(例えば1mm以下)の流路を有した流路型リアクタ(流路型デバイス)を用いて、シリカ水溶液からホウ素を除去するものであり、シリカ水溶液と抽出液とを流路に流している。シリカ水溶液としては、シリカを酸性の水溶液で溶解したものを用い、抽出液としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol、CH−CH(CH)−CH(OH)−C(CH−CH(OH))をトルエンに溶解させたものを用いている。これにより、シリカ水溶液中にホウ酸(B(OH))として存在するホウ素を抽出液で抽出して、ホウ素をシリカ水溶液から除去する。
特開2001−97711号公報
M. Bessho, Y. Fukunaka; H. Kusuda and T. Nishiyama "High-Grade Silica Refined from Diatomaceous Earth for Solar-Grade Silicon Production" ENERGY & FUELS; 23(8), pp.4160-4165 (2009) 小柳高宏、松井雄希、松尾伸史、福中康博、本間敬之「流路型デバイスを用いた2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediolによるシリカからの高効率ホウ素除去の検討」、電気化学会第81回大会、IE-27、2014.
ところで、非特許文献2のように、流路型リアクタを用いてシリカ水溶液からホウ素を除去する手法では、シリカ水溶液と抽出液との界面を水平にさせながら、これらシリカ水溶液とホウ素とを上流から下流へと流して、シリカ水溶液と抽出液との比界面積(反応物体積とシリカ水溶液と抽出液とが接している界面積との割合)を増加させ、ホウ素除去効率の向上が図られているが、近年では、より純度の高いシリカを得るために、さらに一段とシリカ水溶液中のホウ素を除去することが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりもシリカ水溶液からホウ素を除去できるホウ素除去装置及びホウ素除去方法を提供することを目的とする。
本発明のホウ素除去装置は、シリカを含有するシリカ水溶液と、ホウ素抽出剤を有機溶媒に溶解させた抽出液との2液を抽出流路で合流させて、前記2液を前記抽出流路の下流に向けて流して、前記シリカ水溶液中に含まれるホウ素を、前記抽出液で除去するホウ素除去装置において、前記抽出流路内で前記2液を混合する混合手段と、前記混合手段を経由した後に、比重の差により2層に分離した前記シリカ水溶液及び前記抽出液のうち該シリカ水溶液を取り出す取出手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明のホウ素除去方法は、シリカを含有するシリカ水溶液と、ホウ素抽出剤を有機溶媒に溶解させた抽出液との2液を抽出流路で合流させて、前記2液を前記抽出流路の下流に向けて流して、前記シリカ水溶液中に含まれるホウ素を、前記抽出液で除去するホウ素除去方法において、混合手段によって前記抽出流路内で前記2液を混合する混合工程と、前記混合工程の後に、比重の差により2層に分離した前記シリカ水溶液及び前記抽出液のうち該シリカ水溶液を取り出す取出工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、抽出流路で合流させたシリカ水溶液と抽出液との2液を、抽出流路の下流に向けて流して、混合手段によってこの2液を抽出流路内で混合するようにしたことで、抽出流路内に流れるシリカ水溶液と抽出液との接触面積を混合手段によって増大させることができ、その分、従来よりもシリカ水溶液からホウ素を除去できる。
本発明を実施したホウ素除去装置を示す概略図である。 流路型リアクタの流路を模式的に示す説明図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 図2のIV−IV線に沿う断面図である。 図2のV−V線に沿う断面図である。 図2のVI−VI線に沿う断面図である。 図2のVII−VII線に沿う断面図である。 流路内における各液の流れをマクロ的に示す説明図である。 第2実施形態のホウ素除去装置を示す斜視図である。 流路型リアクタを2段に接続したホウ素除去装置を示す斜視図である。
[第1実施形態]
図1において、本発明を実施したホウ素除去装置10は、シリカ水溶液11からホウ素を除去する除去処理を行う。この例では、ホウ素除去装置10は、前処理で生成されたシリカ水溶液11に対して除去処理を行う。前処理では、珪藻土をシリカ原料としてシリカ水溶液11を生成するが、ホウ素除去装置10が処理対象とするシリカ水溶液11は、それに限定されるものではない。例えば、白珪石をシリカ原料として生成したシリカ水溶液11であってもよい。
ここでは、はじめにシリカ水溶液11を生成する前処理について説明する。前処理では、珪藻土溶解工程12と、酸洗浄工程13と、水溶液生成工程14とを順番に行う。珪藻土溶解工程12では、シリカ原料である珪藻土をアルカリ水溶液に加えて、珪藻土に含まれるシリカを溶解させたスラリーを生成し、スラリーを固液分離した液分を得る。珪藻土溶解工程12に用いるアルカリ水溶液としては、珪藻土中のシリカを溶解できるものであれば特に限定されないが、珪藻土中のシリカを十分に溶解する観点からpHを10.5以上とすることが好ましく、無用なpHの上昇を避ける観点から13以下とすることが好ましい。このようなアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
珪藻土溶解工程12の後に、酸洗浄工程13により酸洗浄を行い不純物の除去を行う。珪藻土溶解工程12で得られる液分には、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、リン(P)、ホウ素(B)等の不純物と、シリカとが溶解している。このため、酸洗浄工程13により、アルミ(Al)、鉄(Fe)、リン(P)等を除去したシリカの沈殿物を得る。この酸洗浄工程13では、各種pHにおけるシリカ及び各不純物の溶解度の差異を利用して、最終的にシリカ沈殿物15を得る。この酸洗浄工程13では、まず珪藻土溶解工程12で得られた液分のpHを10.5程度にまで下げ、アルミ、鉄、リン等を析出させてから、固液分離を行う。この後、固液分離で得られる液分のpHを6〜9の範囲内として、シリカを析出させる。再び固液分離を行って、液分と分離されたシリカ沈殿物15を得る。pHの調整には、例えば硫酸や塩酸等を液分に加えることで行なう。酸洗浄工程13は、繰り返し行なってもよい。この場合には、1回の酸洗浄工程13で得られるシリカの沈殿物を、珪藻土溶解工程12と同様のアルカリ水溶液で溶解した後に、水溶液のpHを段階的に下げて2回の固液分離を行う。
なお、上記のような酸洗浄工程13で得られるシリカ沈殿物15は、不純物としてのホウ素が十分に除去されていない。これは、酸洗浄工程13において、液分のpHを漸次下げた際に、シリカの溶解度がほぼ「0」となるpHに達するまでホウ素の溶解度が下がるため、シリカとともにホウ素が析出してしまうことによる。
水溶液生成工程14は、シリカ沈殿物15を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に溶解させ、塩酸を用いてpHを調整したシリカ水溶液11を生成する。この例では、水酸化ナトリウム水溶液としては、2.5mol/Lのものを用い、塩酸としては4.0mol/Lのものを用い、pHを「1」に調整したシリカ水溶液11を生成する。シリカ水溶液11の生成は、シリカ溶解速度の観点から、シリカ水溶液11のpHを5以下とすることが好ましい。水溶液生成工程14で生成されたシリカ水溶液11は、ホウ素除去装置10に供給される。
次に本発明を実施したホウ素除去装置10について説明する。このホウ素除去装置10は、流路型リアクタ21、シリカ水溶液供給部23、抽出液供給部24、及び回収器25を備える。流路型リアクタ21は、シリカ水溶液11を水相とし、また抽出液22を油相として、抽出液22によりシリカ水溶液11中からホウ素を抽出する液液抽出を行ない、シリカ水溶液11中に不純物として含まれているホウ素を除去する。
流路型リアクタ21は、平板状でなり、その内部に中空の流路27を有しており、シリカ水溶液11と抽出液22とが当該流路27内を流れる。また、この流路型リアクタ21には、上面21aに開口した水溶液供給口34a及び抽出液排出口37aが設けられるとともに、底面21bに開口した抽出液供給口36a及び水溶液排出口35aが設けられている。上面21aの水溶液供給口34aと、底面21bの抽出液供給口36aとは、流路型リアクタ21内部に形成されている流路27の上流端と連通している。一方、上面21aの抽出液排出口37aと、底面21bの水溶液排出口35aとは、流路型リアクタ21内部に形成されている流路27の下流端と連通している。
本実施形態の場合、流路27は、抽出流路33、水溶液供給流路34、水溶液排出流路35、抽出液供給流路36、及び抽出液排出流路37を有している。水溶液供給流路34の上流端は、流路型リアクタ21の上面21aに開口した水溶液供給口34aになっており、水溶液排出流路35の下流端は、流路型リアクタ21の底面21bに開口した水溶液排出口35aになっている。また、抽出液供給流路36の上流端は、底面21bに開口した抽出液供給口36aになっており、抽出液排出流路37の下流端は、上面21aに開口した抽出液排出口37aになっている。
ここで、水溶液供給口34aには、シリカ水溶液供給部23が接続されており、当該シリカ水溶液供給部23からシリカ水溶液11が供給される。このシリカ水溶液供給部23は、例えば、前処理で生成したシリカ水溶液11が貯められた貯留タンク(図示せず)を備えており、当該貯留タンク内のシリカ水溶液11を、水溶液供給口34aから流路型リアクタ21内の流路27に供給する。水溶液供給流路34は、水溶液供給口34aから供給されたシリカ水溶液を抽出流路33へ導く。
一方、抽出液供給口36aには、抽出液供給部24が接続されており、当該抽出液供給部24から抽出液22が供給される。この抽出液供給部24は、例えば抽出液22が貯められた貯留タンク(図示せず)を備えており、当該貯留タンク内の抽出液22を、抽出液供給口36aから流路型リアクタ21内の流路27に供給する。抽出液供給部24は、抽出液供給口36aから供給された抽出液22を抽出流路33へ導く。なお、抽出液22は、シリカ水溶液11からホウ素を抽出して除去するためのホウ素抽出剤を、水に不溶な有機溶媒に溶解したものである。
ここで、本実施形態の場合、水溶液供給口34aに供給されるシリカ水溶液11は、抽出液22よりも比重が大きく、流路27内で抽出液22よりも下方に集まり易い。一方、抽出液供給口36aに供給される抽出液22は、シリカ水溶液11よりも比重が小さいため、流路27内でシリカ水溶液11よりも上方に集まり易い。
この流路型リアクタ21では、比重の大きいシリカ水溶液11を上面21aの水溶液供給口34aから水溶液供給流路34を経由して抽出流路33に供給し、一方、比重の小さい抽出液を底面21bの抽出液供給口36aから抽出液供給流路36を経由して抽出流路33に供給する。詳細を後述するように、水溶液供給流路34は、上面21a側にあり、抽出液供給流路36は底面21b側にある。これにより抽出流路33には、これらシリカ水溶液11と抽出液22とが合流して下流に向けて流れる。
この際、抽出流路33では、比重の小さい抽出液22が底面21b側から供給され、比重の大きいシリカ水溶液11が上面21a側から供給されることから、当該抽出流路33内で下流に向けて流れてゆく際に、底面21b側からの比重の小さい抽出液22が、抽出流路33の上部に移動してゆき、一方、上面21a側からの比重の大きいシリカ水溶液11が、抽出流路33の下部に移動してゆく。
このように抽出流路33は、シリカ水溶液11と抽出液22とを下流に向けて流しつつ、シリカ水溶液11と抽出液22との比重の違いを利用して、これらシリカ水溶液11と抽出液22とを上下反転させることにより、シリカ水溶液11と抽出液22との2液を混合する。これにより、抽出流路33では、シリカ水溶液11と抽出液22とを混合してシリカ水溶液11と抽出液22との接触面積を増大させ、抽出液22によりシリカ水溶液11中からホウ素を除去する。そして、抽出流路33内では、その後、比重の差により、抽出流路33の下部側にシリカ水溶液11が集まり、一方、抽出流路33の上部側に抽出液22が集まり、抽出流路33は、これらシリカ水溶液11及び抽出液22を2層に分離した状態のまま下流へと流す。
ここで、抽出流路33は、水溶液排出流路35と抽出液排出流路37とに下流端が連通している。この水溶液排出流路35は、流路型リアクタ21の底面21bに開口した水溶液排出口35aに、抽出流路33の下部側に流れるシリカ水溶液11を導き、2層に分離したシリカ水溶液11及び抽出液22のうちからシリカ水溶液11のみを取り出し、これを当該水溶液排出口35aを介して析出部41に排出する。析出部41によってシリカ水溶液11が回収され、この回収されたシリカ水溶液11からシリカを析出して取り出す。具体的に、回収したシリカ水溶液11をpH10以上のアルカリ溶液とし、ろ過分離後にシリカ水溶液11に酸洗浄工程13と同様にして酸洗浄を行って、シリカ水溶液11からシリカを析出して取り出す。
また、この際、抽出液排出流路37は、流路型リアクタ21の上面21aに開口した抽出液排出口37aに、抽出流路33の上部側に流れる抽出液22を導き、2層に分離したシリカ水溶液11及び抽出液22のうちから抽出液22のみを取り出し、これを当該抽出液排出口37aを介して回収器25に排出する。
ここで、抽出液22に含まれるホウ素抽出剤について説明する。ホウ素は、シリカ水溶液11中でホウ酸(B(OH))として存在する。ホウ酸として存在するホウ素を除去するためのホウ素抽出剤として、この例では、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(2,2,4-Trimethyl-1,3-pentanediol、CH−CH(CH)−CH(OH)−C(CH−CH(OH)、以下、TMPDと称す)を用いている。また、溶媒としては、TMPDを溶解可能であり、水に不溶なトルエンを用いている。ホウ素抽出剤としては、TMPDに限定されるものではなく、ホウ酸に対する分配係数((有機溶媒相の濃度)/水相の濃度))が高いものを用いることが好ましい。ホウ素抽出剤として、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(2-Ethyl-1,3-hexanediol、CH(CH―CH(OH)―CH(CHCH)―CHOH、以下、EHDという)を用いることもできるが、TMPDの方がホウ酸に対する分配係数が高く好ましい。
ホウ酸に対する分配係数が高いホウ素抽出剤としては、TMPDのようにホウ酸とのエステル化に寄与するヒドロキシ基が結合している一対の炭素原子をもち、その一対の炭素原子が結合した炭素原子(以下、注目炭素原子という)の級数が4の化合物がある。例えば、TMPDは、シリカ水溶液11中ないしシリカ水溶液11と抽出液22の液液界面においてホウ酸との間ではHO分子を媒介してプロトンホッピング(プロトンリレー)が生じ、エステル化が進行する。このエステル化によりTMPDのホウ酸とのエステルが生成される。この生成におけるエステル化の自由エネルギー変化ΔGは、−31.69kJ/molである。ここで、ホウ素抽出剤としてEHDを用いた場合には、TMPDと同様にエステル化は進行してEHDのホウ酸とのエステルが生成するものの、このエステル化の自由エネルギー変化ΔGは、−25.07kJ/molである。EHDは、TMPDと同様に、ホウ酸とのエステル化に寄与するヒドロキシ基をそれぞれ有する一対の炭素原子をもつが、それら炭素原子が結合した注目炭素原子の級数が3の化合物である。
EHDのように注目炭素原子の級数が3の化合物よりも級数が4の化合物の方が、ホウ酸とのエステル化での自由エネルギー変化ΔGが小さい。したがって、注目炭素原子の級数が3の化合物よりも、注目炭素原子の級数が4の化合物であるTMPDは、エステル化がより迅速に進むからホウ酸がシリカ水溶液からより効率的に除去され、また生成したエステル化物の電子安定性については、TMPDのホウ酸とのエステルはEHDのホウ酸とのエステルよりも高いからより確実にホウ酸が捕捉される。
次に、流路27の詳細な構成について以下説明する。実際上、流路型リアクタ21は、第1プレート28と第2プレート29とを重ね合せた構成でなり、第1プレート28と第2プレート29との互いに対向する対向面に、流路27を形成する溝31、32(図3ないし図7参照)が設けられている。なお、この例では、第1プレート28は、ケイ素(Si)製であり、第2プレート29はガラス製である。また、第1プレート28と第2プレート29とは、陽極接合してある。
図2は流路27を模式的に示した模式図である。また、図3ないし図7は流路27の断面を示した断面図である。なお、図2では、流路27のうち抽出流路33の部分をハッチングで示してある。流路27の上流部(図2中左側)では、流路27を形成する第1プレート28の溝31と第2プレート29の溝32とが、抽出流路33を挟んで互いに離れるように相反する向きに湾曲している。この流路27の上流部にある第2プレート29の湾曲状の溝32が、混合手段の上部供給流路としての水溶液供給流路34となり、一方、流路27の上流部にある第1プレート28の湾曲状の溝31が、混合手段の下部供給流路としての抽出液供給流路36となる。
実際上、図2のIII−III部分における断面構成を示す図3のように、水溶液供給流路34は、第2プレート29に形成された溝32を、第1プレート28の平坦な対向面で覆うことによって形成されている。水溶液供給流路34は、第2プレート29に開口した水溶液供給口34aを介して内部にシリカ水溶液11のみが供給され、このシリカ水溶液11を抽出流路33に供給する。また、抽出液供給流路36は、第1プレート28に形成された溝31を、第2プレート29の平坦な対向面で覆うことによって形成されている。抽出液供給流路36は、第1プレート28に開口した抽出液供給口36aを介して内部に抽出液22のみが供給され、この抽出液22を抽出流路33に供給する。
ここで、図2に示すように、溝31、32が相反する向きに湾曲していることから、図2のIV−IV部分における断面構成を示す図4のように、抽出液供給流路36である第1プレート28の溝31と、水溶液供給流路34である第2プレート29の溝32とは、それらの下流(図2中右方向)部分で相互に重なってゆく。この抽出液供給流路36となる第1プレート28の溝31と、水溶液供給流路34となる第2プレート29の溝32とは、下流に向うにしたがって重なる面積が次第に大きくなってゆき、図2のV−V部分の断面構成を示す図5のように、最終的には完全に重なり、抽出流路33を形成する。
このように、水溶液供給流路34となる溝32は、抽出流路33の上部を構成し、抽出液供給流路36となる溝31は、抽出流路33の下部を構成する。これにより、水溶液供給流路34である第2プレート29の溝32に供給されるシリカ水溶液11は、当該溝32に沿って抽出流路33内に上部側から供給され、一方、抽出液供給流路36である第1プレート28の溝31に供給される抽出液22は、当該溝31に沿って抽出流路33内に下部側から供給される。
ここで、抽出流路33は、液液抽出を行う部分である。上述したように抽出流路33は、第1プレート28の溝31と第2プレート29の溝32とが重なることで形成されており、この実施形態の場合、その断面が矩形状になっている。抽出流路33では、水溶液供給流路34からシリカ水溶液11が供給されるとともに、抽出液供給流路36から抽出液22が供給されると、シリカ水溶液11と抽出液22との比重の差によって、シリカ水溶液11と抽出液22とが上下反転して混合する。
また、本実施形態の場合、抽出流路33は、下流側が分離区間33aとなっており、シリカ水溶液11と抽出液22とが分離区間33aを通過する際に、シリカ水溶液11と抽出液22との比重の差によって2層に分離した状態に遷移し、その状態を維持させたまま下流へと流す。このシリカ水溶液供給部23及び抽出液供給部24は、抽出流路33内の下流側にある分離区間33aでシリカ水溶液11と抽出液22とが層流になるように、シリカ水溶液11の抽出流路33への供給量と、抽出液22の抽出流路33への供給量とをそれぞれ調整する。また、抽出流路33の長さは、シリカ水溶液11と抽出液22との混合後に、これら2液が2層に遷移するのに必要な長さ以上の長さに選定されている。
なお、本実施形態による抽出流路33の断面サイズは、適宜設定することが可能である。この例では、抽出流路33の断面サイズは、幅Wを1.0mmとし、高さHを100μmとしてあり、流路27は、いわゆるマイクロ流路である。なお、流路27は、マイクロ流路でなくてもよい。また、第1プレート28及び第2プレート29の材質は、上記のものに限定されるものではない。また、抽出流路33の断面形状についても矩形に限定されるものではなく、円形等でもよい。
次に流路27の下流部について詳細に説明する。流路27の下流部には、水溶液排出流路35と抽出液排出流路37とが連通している。この流路27の下流部では、図2に示したように、抽出流路33を形成する第1プレート28の溝31と、第2プレート29の溝32とが、抽出流路33を挟んで互いに離れるように相反する向きに湾曲している。ここでは、流路27の下流部にある第1プレート28の湾曲状の溝31が、下部排出流路としての水溶液排出流路35となり、一方、流路27の下流部にある第2プレート29の湾曲状の溝32が、上部排出流路としての抽出液排出流路37となる。流路27は、これら水溶液排出流路35と抽出液排出流路37とによって、シリカ水溶液11と抽出液22とをそれぞれ抽出流路33から取り出している。
ここで、図2のVI−VI部分の断面構成を示す図6のように、流路27の下流部では、第1プレート28に形成された溝31と、第2プレート29に形成された溝32とが一部重なっている。このような第1プレート28に形成された溝31と、第2プレート29に形成された溝32との重なる面積は、流路27の下流に向うにしたがって次第に小さくなってゆく。そして、図2のVII−VII部分の断面構成を示す図7のように、最終的には、第1プレート28に形成された溝31と、第2プレート29に形成された溝32とが完全に重ならなくなり、第1プレート28に形成された溝31が水溶液排出流路35となり、一方、第2プレート29に形成された溝32が抽出液排出流路37となる。
なお、図7に示すように、水溶液排出流路35は、第1プレート28に形成された溝31を、第2プレート29の平坦な対向面で覆うことによって形成されている。また、抽出液排出流路37は、第2プレート29に形成された溝32を、第1プレート28の平坦な対向面で覆うことによって形成されている。
ここで、取出手段としての水溶液排出流路35は、抽出流路33の下流端下側と連通していることから、抽出流路33の下部側に集まって流れてくるシリカ水溶液11をそのまま導き、このシリカ水溶液11を第1プレート28に開口した水溶液排出口35aを介して析出部41に排出する。一方、抽出液排出流路37は、抽出流路33の下流端上側と連通していることから、抽出流路33の上部側に集まって流れてくる抽出液22をそのまま導き、この抽出液22を第2プレート29に開口した抽出液排出口37aを介して回収器25に排出する。このようにして、流路27では、抽出流路33内の分離区間で2層に分離したシリカ水溶液11と抽出液22とのうち、下層のシリカ水溶液11が水溶液排出流路35に流れ込み、一方、上層の抽出液22が抽出液排出流路37に流れ込むようにして、2層に分離したシリカ水溶液11と抽出液22のうちからシリカ水溶液11を取り出している。
次に、流路27内におけるシリカ水溶液11と抽出液22との流れ方について、図8を用いてマクロ的な観点から簡単に説明する。この例におけるシリカ水溶液11は、水溶液供給口34aから水溶液供給流路34を介して抽出流路33の上部に供給される。この際、抽出液22は、抽出液供給口36aから抽出液供給流路36を介して抽出流路33の下部に供給される。抽出流路33内に供給されたシリカ水溶液11と抽出液22とは、当該抽出流路33内で合流して下流に向かって流れてゆく。
この際、本実施形態の場合、シリカ水溶液11は、比重が抽出液22の比重よりも大きいことから、抽出流路33内を下流に向けて流れる間に、当該抽出流路33内にて、水溶液供給流路34が位置する上部から下部へと移動する。一方、抽出液22は、比重がシリカ水溶液11の比重よりも小さいことから、抽出流路33内を下流に向けて流れる間に、当該抽出流路33内にて、抽出液供給流路36が位置する下部から上部へと移動する。
このようなシリカ水溶液11及び抽出液22の上下方向の移動においては、シリカ水溶液11及び抽出液22の界面張力等の影響を受けて、例えば抽出液22が液滴状に分散して、シリカ水溶液11中を上昇する。そして、抽出流路33では、シリカ水溶液11と抽出液22とが継続的に供給されていることから、シリカ水溶液11と抽出液22との上下方向の移動が繰り返し発生する。このようにしてシリカ水溶液11と抽出液22とは抽出流路33内で混合される(混合工程)。
これにより、上記の混合が生じる本発明のホウ素除去装置10では、シリカ水溶液11と抽出液22とが混合することなく2層に分離した状態で抽出流路内の供給口から排出口へと流れる従来のホウ素除去装置よりも、シリカ水溶液11と抽出液22との接触面積(液液界面の面積)が増大する。これにより、ホウ素除去装置10では、シリカ水溶液11中のホウ酸が抽出液22中のホウ素抽出剤によって捕捉される確率が高くなり、シリカ水溶液11中からホウ素がより効率的に抽出され、結果として、シリカ水溶液11と抽出液22とを2層に分離した状態だけで流す従来のホウ素除去装置よりも、高い除去効率でシリカ水溶液11からホウ素を除去できる。
また、図8に示すように、抽出流路33の下流域に設けた分離区間33aでは、シリカ水溶液11と抽出液22との上下方向の移動が進むことによって、シリカ水溶液11が抽出流路33の下部を流れ、また抽出液22が抽出流路33の上部を流れるようになり、シリカ水溶液11と抽出液22とが2層に分離した状態となって流れる(分離工程)。
その後、抽出液22は、抽出流路33の上部に接続された抽出液排出流路37に流れ込み、シリカ水溶液11は、抽出流路33の下部に接続された水溶液排出流路35に流れ込む。かくして、ホウ素除去装置10では、流路27内で2層に分離したシリカ水溶液11及び抽出液22のうち、シリカ水溶液11を水溶液排出流路35により取り出すことができる(取出工程)。
水溶液排出流路35に流れ込んだシリカ水溶液11は、水溶液排出口35aから排出されて、析出部41に送られる。ホウ素除去装置10は、上記のように抽出流路33内でシリカ水溶液11と抽出液22とを混合してホウ素除去効率が高くなっていることから、その分、当該シリカ水溶液11から高純度なシリカを取り出すことができる。なお、抽出液排出流路37に流れ込んだ抽出液22は、抽出液排出口37aから排出されて回収器25に送られる。
水溶液供給流路34、水溶液供給口34a、抽出液供給流路36、抽出液供給口36aは、抽出流路33内でシリカ水溶液11を抽出液22の下側に供給可能であれば、それらを形成する位置や部材は、上記のものに限定されない。同様に、水溶液排出流路35、水溶液排出口35a、抽出液排出流路37、抽出液排出口37aは、2層に分離したシリカ水溶液11と抽出液22のうちの上層の抽出液22と下層のシリカ水溶液11とを分けて取り出すことができれば、それらを形成する位置や部材は、上記のものに限定されない。例えば、水溶液供給口34a、水溶液排出口35a、抽出液供給口36a、抽出液排出口37aのそれぞれを、流路型リアクタ21の一方の面、例えば上面21aに設けてもよい。この場合には、水溶液排出口35aは、第1プレート28に形成された水溶液排出流路35となる溝31に連通するように第2プレート29を貫通した孔として形成する。また、抽出液供給口36aは、第1プレート28に形成された抽出液排出流路37となる溝31に連通するように第2プレート29を貫通した孔として形成する。
また、上記では、シリカ水溶液11と抽出液22とのうちシリカ水溶液11が比重の大きい液であり、抽出液22が比重の小さい液である例について説明したが、シリカ水溶液11と抽出液22との比重の関係が逆であってもよく、この場合には、抽出流路33に対する各液の供給位置の上下の関係が逆になる。また、抽出流路33に対する各液の排出流路の上下の関係についても逆になる。すなわち、このような他の実施形態となるホウ素除去装置では、上部供給流路が抽出液供給流路となり、下部供給流路が水溶液供給流路となる。また、この場合、上部排出流路が水溶液排出流路となり、下部供排出流路が抽出液排出流路となる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、上述した第1実施形態と同様に、シリカ水溶液11と抽出液22との比重の差により上下反転させて混合させる他、さらにシリカ水溶液11と抽出液22との流量も調整して抽出流路33で乱流を生じさせ、シリカ水溶液11と抽出液22とを混合するものである。ここで、図9は、第2実施形態によるホウ素除去装置50を示し、第1実施形態と同じ構成部材には同一の符号を付している。なお、上述した第1実施形態と同じ構成部分についての説明は重複することになるため、その説明は省略する。
図9に示すように、ホウ素除去装置50は、コントローラ51に制御されるバルブ52、53を備えている。一方のバルブ52は、シリカ水溶液供給部23と流路型リアクタ55との間に接続されており、シリカ水溶液供給部23から流路型リアクタ55へのシリカ水溶液11の供給量を調整する。他方のバルブ53は、抽出液供給部24と流路型リアクタ55との間に接続されており、抽出液供給部24から流路型リアクタ55への抽出液22の供給量を調整する。バルブ52、53の開度は、コントローラ51により制御されることで、抽出流路33内でのシリカ水溶液11と抽出液22との流れが乱流になる供給量に選定されている。なお、この例では、コントローラ51と、バルブ52、53とによって、混合手段としての供給量調整部が構成される。
流路型リアクタ55は、平板状でなり、その内部に中空の流路57を備えている。また、流路型リアクタ55には、上面55aに開口した水溶液供給口34a及び排出口61aが設けられており、底面55bに開口した抽出液供給口36aが設けられている。この実施形態の場合、流路57は、抽出流路33、水溶液供給流路34、抽出液供給流路36、及び排出流路61を有している。
この例における水溶液供給流路34の上流端は、流路型リアクタ55の上面55aに開口した水溶液供給口34aになっており、また、抽出液供給流路36の上流端は、底面55bに開口した抽出液供給口36aになっている。さらに、排出流路61の下流端は、上面55aに開口した排出口61aになっており、排出口61aに対して、分離手段としての分離タンク63が接続されている。
ここで、水溶液供給流路34には、バルブ52により供給量が調整されたシリカ水溶液11が水溶液供給口34aを介して供給される。また、この際、抽出液供給流路36には、バルブ53により供給量が調整された抽出液22が抽出液供給口36aを介して供給される。これにより抽出流路33では、水溶液供給流路34に供給されたシリカ水溶液11と、抽出液供給流路36に供給された抽出液22とが合流し、シリカ水溶液11と抽出液22とが乱流となって下流に向けて流れる。抽出流路33では、シリカ水溶液11と抽出液22とにより乱流を生じさせることにより、シリカ水溶液11と抽出液22とを混合し、シリカ水溶液11と抽出液22との接触面積(液液界面の面積)を増大させる(混合工程)。
抽出流路33は、シリカ水溶液11と抽出液22とを、排出流路61を介して排出口61aから分離タンク63に排出する。分離タンク63は、シリカ水溶液11と抽出液22とを貯めることで、シリカ水溶液11と抽出液22とを比重の差によって2層に分離する(分離工程)。分離タンク63は、底部近傍に水溶液排出口(図示せず)が形成されており、比重が大きいために底部近傍に集まったシリカ水溶液11を、当該水溶液排出口から水溶液送液管(図示せず)を介して析出部41に供給する。
なお、分離タンク63は、上部に抽出液排出口(図示せず)が形成されており、比重が小さいために上部近傍に集まった抽出液22を、当該抽出液排出口から抽出液送液管(図示せず)を介して回収器25に供給する。このようにして、ホウ素除去装置50では、分離タンク63内で2層に分離したシリカ水溶液11と抽出液22とのうち、下層のシリカ水溶液11が水溶液排出流路に流れ込み、一方、上層の抽出液22が抽出液排出流路に流れ込むため、2層に分離したシリカ水溶液11と抽出液22のうちからシリカ水溶液11を取り出すことができる(取出工程)。
第2実施形態によるホウ素除去装置50でも、上述した「第1実施形態」と同様に、抽出流路33を流れるシリカ水溶液11と抽出液22とが比重の差により上下反転することにより、シリカ水溶液11と抽出液22とが混合される。これにより、このホウ素除去装置50でも、シリカ水溶液11と抽出液22との接触面積(液液界面の面積)が増大し、シリカ水溶液11中のホウ酸が抽出液22中のホウ素抽出剤によって捕捉される確率が高くなり、シリカ水溶液11中からホウ素をより効率的に抽出でき、その分、従来よりもシリカ水溶液11からホウ素を除去できる。
これに加えて、このホウ素除去装置50では、シリカ水溶液11と抽出液22との供給量が調整され、シリカ水溶液11と抽出液22とを乱流にすることよっても、シリカ水溶液11と抽出液22とを混合しているから、その分、シリカ水溶液11と抽出液22との接触面積(液液界面の面積)がさらに増大する。これにより、ホウ素除去装置50では、乱流による混合によっても、シリカ水溶液11中のホウ酸が抽出液22中のホウ素抽出剤によって捕捉される確率が高くなり、シリカ水溶液11中からホウ素がより効率的に抽出され、その分、一段と高い除去効率でシリカ水溶液11からホウ素を除去できる。
なお、上述した第2実施形態においては、抽出流路33の上部から、比重が大きいシリカ水溶液11を供給し、抽出流路33の下部から、比重が小さい抽出液22を供給して、シリカ水溶液11と抽出液22とを比重の差で混合する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、抽出流路33の上部から、比重が小さい抽出液22を供給し、抽出流路33の下部から、比重が大きいシリカ水溶液11を供給して、シリカ水溶液11と抽出液22との比重の差による上下反転の混合を生じさせることなく、単にシリカ水溶液11と抽出液22との供給量のみを調整してシリカ水溶液11と抽出液22とに乱流を生じさせて混合するようにしてもよい。また、水溶液供給流路34や、水溶液供給口34a、抽出液供給流路36、抽出液供給口36aは、第1実施形態と同様に、それらを形成する位置や部材は、上記のものに限定されない。
また、分離タンク63を用いたシリカ水溶液11と抽出液22との分離に代えて、シリカ水溶液11と抽出液22とが層流で流れる分離区間を抽出流路33の下流域に設けて、第1実施形態と同様な構成で抽出液22からシリカ水溶液11を分離してもよい。また、上記第1実施形態のように混合する場合にも、分離タンク63を用いてシリカ水溶液11と抽出液22とを分離することができる。
[他の実施形態]
シリカ水溶液11と抽出液22とを混合する手法は、上記各実施形態に示すものに限らない。例えば他の実施形態のホウ素除去装置としては、混合手段として超音波振動子を設け、抽出流路33内のシリカ水溶液11と抽出液22に対して超音波振動子からの超音波振動を加えて混合するようにしてもよい。この場合には、抽出流路33の下流域に超音波振動を加えない分離区間を設ける。これにより、シリカ水溶液11と抽出液22とが比重の差によって2層に分離することができる。また、超音波振動を加えて混合する場合でも、第2実施形態のように分離タンク63を用いてシリカ水溶液11と抽出液22とを分離することができる。
また、他の混合手段として、抽出流路33の壁面に凹部及び凸部の一方あるいは両方を設け、凹部や凸部によってシリカ水溶液11と抽出液22との流れを乱すことにより、シリカ水溶液11と抽出液22とを混合してもよい。この場合は、シリカ水溶液11と抽出液22とが抽出流路33内にて2層で流れる分離区間を設けることで、シリカ水溶液11と抽出液22とを分離すればよい。また、分離タンク63を用いてシリカ水溶液11と抽出液22とを分離することもできる。さらに、上述した種々の混合手段を2以上組み合わせたホウ素除去装置としてもよい。
また、上記の各例では、混合工程,及び取出工程を行う除去処理サイクルを1回だけ行っているが、連続的に複数回の除去処理サイクルを行ってもよい。例えば、図10に示すホウ素除去装置70は、除去処理ユニットとしての流路型リアクタ21を2段に接続して、連続的に2回の除去処理サイクルを行う。この例では、上流側に接続した1段目の流路型リアクタ21の水溶液排出口35aから取り出したシリカ水溶液11を、下流側に接続した2段目の流路型リアクタ21の水溶液供給口34aに供給する。また、1段目及び2段目の流路型リアクタ21の抽出液供給口36aには、いずれも抽出液供給部24からの新規の抽出液22を供給する。
なお、流路型リアクタ21を3段以上接続してもよい。この場合には、流路型リアクタ21から取り出したシリカ水溶液11を次段の流路型リアクタ21の抽出流路33に供給する。また、1個の流路型リアクタに複数本の抽出流路33を設けてもよい。この場合、ホウ素除去装置には、上流側の抽出流路33から、シリカ水溶液11を抽出液22から分離して取り出して、下流側の抽出流路33に送る連絡流路を設けることが好ましい。もちろん、複数本の抽出流路33を設けた流路型リアクタを2段以上繋げて多数回の除去処理サイクルを行ってもよい。
10、50、70 ホウ素除去装置
21、55 流路型リアクタ
11 シリカ水溶液
22 抽出液
33 抽出流路
33a 分離区間
34 水溶液供給流路(混合手段、上部供給流路)
35 水溶液排出流路(取出手段、下部排出流路)
36 抽出液供給流路(混合手段、下部供給流路)
37 抽出液排出流路(取出手段、上部排出流路)
63 分離タンク(分離手段)
51 コントローラ(混合手段、供給量調整部)
52、53 バルブ(混合手段、供給量調整部)

Claims (8)

  1. シリカを含有するシリカ水溶液と、ホウ素抽出剤を有機溶媒に溶解させた抽出液との2液を抽出流路で合流させて、前記2液を前記抽出流路の下流に向けて流して、前記シリカ水溶液中に含まれるホウ素を、前記抽出液で除去するホウ素除去装置において、
    前記抽出流路内で前記2液を混合する混合手段と、
    前記混合手段を経由した後に、比重の差により2層に分離した前記シリカ水溶液及び前記抽出液のうち該シリカ水溶液を取り出す取出手段と
    を備え、
    前記混合手段は、
    前記抽出流路の上流の上部に接続され、前記2液のうち比重の大きい液を前記抽出流路に供給する上部供給流路と、
    前記抽出流路の上流の下部に接続され、前記2液のうち比重の小さい液を前記抽出流路
    に供給する下部供給流路とである
    ことを特徴とするホウ素除去装置。
  2. 前記抽出流路は、前記2液が比重の差によって2層に分離した状態になる分離区間を有し、
    前記取出手段は、前記分離区間から前記シリカ水溶液を取り出す
    ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素除去装置。
  3. 前記取出手段は、
    前記抽出流路の下流の上部に接続され、前記2層のうちの上層の液を前記抽出流路から排出する上部排出流路と、
    前記抽出流路の下流の下部に接続され、前記2層のうちの下層の液を前記抽出流路から排出する下部排出流路とである
    ことを特徴とする請求項に記載のホウ素除去装置。
  4. 前記抽出流路、前記混合手段、及び前記取出手段を備える除去処理ユニットが2段以上接続され、前段の除去処理ユニットから取り出した前記シリカ水溶液を後段の除去処理ユニットに供給する
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のホウ素除去装置。
  5. シリカを含有するシリカ水溶液と、ホウ素抽出剤を有機溶媒に溶解させた抽出液との2液を抽出流路で合流させて、前記2液を前記抽出流路の下流に向けて流して、前記シリカ水溶液中に含まれるホウ素を、前記抽出液で除去するホウ素除去方法において、
    混合手段によって前記抽出流路内で前記2液を混合する混合工程と、
    前記混合工程の後に、比重の差により2層に分離した前記シリカ水溶液及び前記抽出液のうち該シリカ水溶液を取り出す取出工程と
    を有し、
    前記混合工程は、前記抽出流路内で前記2液のうち比重の小さい一方の液を他方の液の下側に供給することによって、比重の小さい液の前記抽出流路の上部への移動と、比重の大きい液の前記抽出流路の下部への移動とにより混合を生じさせる
    ことを特徴とするホウ素除去方法。
  6. 前記取出工程の前には、
    前記抽出流路の下流域に設けられた分離区間で、前記2液が比重の差によって2層に分離する分離工程を有する
    ことを特徴とする請求項に記載のホウ素除去方法。
  7. 前記取出工程は、前記2層を上層の液と下層の液とに分けて前記分離区間から取り出す ことを特徴とする請求項に記載のホウ素除去方法。
  8. 前記混合工程、及び前記取出工程を実行する除去処理サイクルを、前記シリカ水溶液に対して2回以上を行う
    ことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のホウ素除去方法。
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