以下、本発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に関するソレノイドの構造を示す破断斜視図である。ソレノイドは、磁性材製の第1固定子コア1と、第1固定子コア1の外周に巻回された固定子巻線3と、第1固定子コア1と同軸に配置され軸方向の往復動作が可能な磁性材製の可動子7と、固定子巻線3の外側に配置され磁性材製の第2固定子コア2と、樹脂製の流路部4とを備える。
流路部4は、流路部4内に流体を導入する導入ポート9と、流路部4内から流体を外部へ導出する導出ポート5とを含んでいる。
図1に示されるソレノイドは概ね中心軸を含む断面全てが等しい軸対称な構造であるため、以後2次元断面を用いて説明する。
図2および図3は、この発明に関するソレノイドの構造を示す2次元断面図である。また、図2は、ストローク前半の状態を示す図であり、図3は、ストローク後半の状態を示す図である。なお、ストローク前半とは、可動子が開弁動作を行う場合の時間的な前半過程を示しており、ストローク後半とは、可動子が開弁動作を行う場合の時間的な後半過程を示している。以下、図7、図8、図10、図11、図12、図13、図14および図15において同様である。
図2および図3を参照しつつ、ソレノイドの動作原理について説明する。図2および図3に示される前記第1固定子コア1の内周側には中心軸となる円柱状の第3固定子コア11が配置され、前記第3固定子コア11と前記可動子7の中心軸上に、ばね12が配置される。前記ばね12は中心軸方向に伸縮する。
第1固定子コア1は円柱状をなし、固定子巻線3への励磁電流の供給によって励磁され磁気回路を形成する。
可動子7は円柱状をなし、固定子巻線3の内周に軸方向往復動可能に遊挿されており、第1固定子コア1と共に磁気回路を形成する。可動子7が軸方向に往復動作することにより、弁として機能する。
第2固定子コア2は固定子巻線3への励磁電流の供給によって、第1固定子コア1及び可動子7と共に磁気回路を形成するものであって、略円筒形状をなし、一端部が第1固定子コア1と磁気抵抗が大きくならないよう密着固定されている。
第2固定子コア2の反対側の端部は可動子7の往復動作を可能とするために、可動子7の径以上の穴が開いている。
固定子巻線3への励磁電流の供給によって発生する磁束は、主として磁気抵抗の小さい経路を流れる。以後、磁気抵抗の小さい経路を流れる磁束を主磁束6と呼称する。主磁束6は、第1固定子コア1と第2固定子コア2、および可動子7を循環することによって磁気回路を形成する。
固定子巻線3の断電時には可動子7がばね12により導入ポート9側へ付勢されることで導入ポート9の流路を塞ぎ閉弁状態となる。可動子7の導入ポート9側端部には閉弁時の機密性を高めるゴム8が設置されている。
固定子巻線3の両端に一定の電圧が印加されると、固定子巻線3に励磁電流が供給され、磁性材料である第1固定子コア1、第2固定子コア2、および可動子7が励磁される。
励磁された可動子7および第1固定子コア1の間に磁気吸引力が作用し可動子7が第1固定子コア1の方向に移動することで、密着していた導入ポート9とゴム8が離れ、流路部4内を可燃性蒸気が通過する開弁状態となる。
以上の構成を備える実施の形態1のソレノイドは、例えば内燃機関の可燃性蒸気の流量制御装置に用いられるものである。
つぎに、図1および図3を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。
第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも3段階変更する段形状を有しており、外径側の段、内径側の段、中間の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は軸方向でいう第1固定子コア1側の端部が第1固定子コア1の外径側の段よりも内周側に配置される形状を成している。
非磁性の導電材料にて形成される渦電流発生手段10は第1固定子コア1の中間の段に配置される。渦電流発生手段10は、軸方向の可動子7側から見た場合において、円環形状に形成されている。
固定子巻線3を断電状態から励磁電流の供給状態へ変更する際、すなわち閉弁状態から開弁状態へ移行する際、可動子7はばね12により付勢され、第1固定子コア1と軸方向に最も離れた位置にいる。そのため、固定子巻線3に励磁電流を供給する際に発生する主磁束6は磁気抵抗の最も低い経路である可動子7の先端と、第1固定子コア1の外径側の先端を通過する第1の経路13を流れ、第1固定子コア1と可動子7との間には磁気吸引力が作用し可動子7が第1固定子コア1の方向へ移動する。
可動子7が第1固定子コア1の方向に移動し始めて一定期間は、主磁束6が渦電流発生手段10の外周側を流れるため導電材料に渦電流は発生しない。
渦電流は導電材料に鎖交または貫通、または鎖交も貫通もする磁束量が変化しなければ発生しない。
固定子巻線3への励磁電流の供給を開始して一定期間が経過すると、可動子7と第1固定子コア1の内径側の段との距離が縮まることで、可動子7と第1固定子コア1の内径側の段との間の磁気抵抗が小さくなり、主磁束6が第1の経路13と第2の経路14とに分岐する。
以後、主磁束6が複数に分岐する際、その分岐する経路を第1の経路(磁束経路)13、第2の経路(磁束経路)14と呼称する。
第1の経路13は渦電流発生手段10の外周側を通過するため、渦電流発生手段10を鎖交も貫通もしないため渦電流は流れない。すなわち、第1の経路は、前記渦電流発生手段を貫通も鎖交もしておらず、且つ、第2の経路は、前記渦電流発生手段を少なくとも貫通または鎖交している。
一方、第2の経路14はストローク前半において、磁気抵抗が大きく磁束が流れないので磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいが、ストローク後半においては可動子7と第1固定子コア1の内径側の段との間の磁気抵抗が小さくなるので、可動子7と第1固定子コア1が近づくほど磁束量が増大するので磁束の変化量(dΦ/dt)が大きい。これにより周方向に閉じた渦電流発生手段10の内周側を鎖交する主磁束6の変化量(dΦ/dt)が増大するので、渦電流発生手段10に渦電流が発生する。
以上より、可動子7位置により渦電流発生の有無を調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
渦電流発生手段10に渦電流が流れることで主磁束6と反対向きの磁束が発生するため、磁気吸引力の増加が妨げられ可動子7の加速を抑制する。任意の可動子7の位置で渦電流を発生して可動子7の加速を抑制し、固定子との衝突音を低減することができる。
図4は、可動子7のストローク量に対する第1および第2の経路14の磁束の変化量(dΦ/dt)を示している。図4を参照しつつ、本実施の形態1における磁束の変化量(dΦ/dt)について説明する。
ストローク0%が閉弁時の可動子7位置であり、0%から100%が可動子7の可動域である。第1および第2の経路14はそれぞれ可動子7位置によって単位時間当たりの磁束の変化量(dΦ/dt)が変化する。
第1の経路13はストローク前半において、可動子7が第1固定子コア1方向に近づくにつれ磁気抵抗が小さくなり磁束量が増加するため磁束の変化量(dΦ/dt)が大きいが、ストローク後半においては磁気飽和により磁束量が増加せず磁束の変化量(dΦ/dt)は小さくなる。
一方、第2の経路14はストローク前半において、磁気抵抗が大きく磁束が流れないので磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいが、ストローク後半においては可動子7が第1固定子コア1に近づき磁気抵抗が小さくなるので磁束量が増大し、磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
本実施の形態1では第2の経路14の磁束の変化量(dΦ/dt)がストロークの後半のみ大きいため、ストロークの後半のみ渦電流発生手段10に渦電流が流れる。
第1の経路13の磁束の変化量(dΦ/dt)もストロークの前半において大きいが、前述したように第1の経路13は渦電流発生手段10の外周側を通過するため、渦電流発生手段を鎖交も貫通せず渦電流発生手段10に渦電流が流れない。このように、上記複数の経路のうち少なくとも一つの経路は、可動子7位置によって単位時間当たりの磁束の変化量(dΦ/dt)が変化する。このため、任意の可動子7の位置で渦電流を発生させることが可能となり、可動子7の応答速度の低減なく、固定子との衝突速度を低減して衝突音を低減することができる。
つぎに、図5および図6を参照しつつ、において渦電流発生手段10が周方向に閉じる必要性について説明する。図5および図6は渦電流発生手段10を軸方向の可動子7側から見た図である。図5のように渦電流発生手段10が周方向に閉じていれば、第2の経路14の磁束が閉じた渦電流発生手段10の内周側を鎖交するので、渦電流発生手段10に渦電流15が流れる。一方、図6のように渦電流発生手段10が周方向に閉じていない場合、渦電流15が流れる経路の電気抵抗が増大するため渦電流15が流れない。
本実施の形態1は可動子7ではなく第1固定子コア1に渦電流発生手段10が配置されているので、可動子7が運動することにより渦電流発生手段が外れる可能性が低い。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。なお、本実施の形態2は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1と同様であってもよい。
図7および図8を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。本実施の形態2において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、外径側の段、内径側の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は軸方向でいう第1固定子コア1側の端部が第1固定子コア1の外径側の段よりも内周側に配置される形状を成している。
渦電流発生手段10は第1固定子コア1の内径側の段に配置されている。この構成において、主磁束6の第1の経路13は渦電流発生手段10の外周側を通過するため、磁束量が変化しても渦電流は流れない。
一方、第2の経路14はストローク前半において、磁気抵抗が大きく磁束が流れないので磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいが、ストローク後半においては可動子7が第1固定子コア1に近づき磁気抵抗が小さくなるので磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第2の経路14は渦電流発生手段10を貫通しているので、渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。本実施の形態2におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると、図4と同様になる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
なお、本実施の形態2においては、渦電流発生手段10が周方向に閉じていなくてもよく、形状にかかわらず渦電流が発生するので製作上の制限が少なく、製作性が良い。図9
を参照しつつ、その理由について説明する。
図9は、本実施の形態2の渦電流発生手段10を軸方向でいう可動子7側から見た図である。第2の経路14を通過する磁束は渦電流発生手段10を貫通している。よって、図に示すような経路を流れる渦電流15が発生するため、渦電流発生手段10が周方向に閉じていなくても渦電流15が流れる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。なお、本実施の形態3は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1または2と同様であってもよい。
図10および図11を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。本実施の形態3において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも3段階変更する段形状を有しており、内径側の段、外径側の段、中間の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は軸方向でいう第1固定子コア1側の端部が第1固定子コア1の内径側の段よりも外周側に配置される形状を成している。
渦電流発生手段10は第1固定子コア1の中間の段に配置されている。渦電流発生手段10は、軸方向の可動子7側から見た場合において、円環形状に形成されている。
この構成において、主磁束6の第1の経路13は渦電流発生手段10の外周側を通過するため、磁束量が変化しても渦電流は流れない。
一方、第2の経路14はストローク前半において、磁気抵抗が最も小さくなる経路であるため多くの磁束が通過し可動子7が第1固定子コア1に近づくほど多くの磁束が流れるので磁束の変化量(dΦ/dt)は大きい。
第2の経路14は渦電流発生手段10の内周側を通過するため、渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
第2の経路14はストローク後半において、第1固定子コア1の内径側の段が磁気飽和を生じるため磁束の変化量(dΦ/dt)は小さくなるので渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
本実施の形態3におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図4の第1の経路13と第2の経路14を入れ替えたものと同様になる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
なお、本実施の形態3においては、主磁束6が渦電流発生手段を鎖交するが、貫通しないため、実施の形態1と同様に渦電流発生手段10が周方向に閉じていないと渦電流は発生しない。
本実施の形態3はストロークの前半に渦電流を発生するので、例えばばね定数が大きくストローク前半に可動子が加速しやすく、ストローク後半に可動子が加速しにくいばねを選定した場合、ストローク前半における可動子の過度な加速を抑制できる効果がある。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。なお、本実施の形態4は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜3のいずれかと同様であってもよい。
図12および図13を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。本実施の形態4において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、内径側の段、外径側の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は軸方向でいう第1固定子コア1側の端部が第1固定子コア1の内径側の段よりも外周側に配置される形状を成している。渦電流発生手段10は第1固定子コア1の外径側の段に配置されている。この構成において、主磁束6の第1の経路13は第1固定子コア1の内径側の段を経由し、渦電流発生手段10の内周側を通過する。
第1の経路13はストローク前半において、磁気抵抗が最も小さいため多くの磁束が通過する。可動子7が第1固定子コア1に近づくほど多くの磁束が流れるので磁束の変化量(dΦ/dt)は大きいので、渦電流発生手段10が周方向に閉じていれば、第1の経路13はストローク前半において渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
第1の経路はストローク後半において、第1固定子コア1の内径側の段が磁気飽和を生じるため磁束の変化量(dΦ/dt)は小さくなるので、渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第2の経路14は第1固定子コア1の外径側の段を通過し、渦電流発生手段10を貫通する。
第2の経路14はストローク前半において、磁気抵抗が大きく磁束が流れないので磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいが、ストローク後半においては可動子7が第1固定子コア1に近づき磁気抵抗が小さくなるので磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
本実施の形態4におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図4と同様になる。
よって、第2の経路14はストローク後半において渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
実施の形態4は渦電流発生手段10が周方向に閉じた形状をしているかどうかでストローク前半における渦電流発生の有無を変更可能なので、例えばばねの仕様変更に対して柔軟に対応可能である。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。なお、本実施の形態5は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜4のいずれかと同様であってもよい。
図14および図15を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。本実施の形態5において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、外径側の段、内径側の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は軸方向でいう第1固定子コア1側の端部が第1固定子コア1の外径側の段よりも内周側に配置される形状を成している。
渦電流発生手段10は可動子7の軸方向でいう第1固定子コア1側の端部に配置されている。この構成において、主磁束の第1の経路13は第1固定子コア1の内径側の段を通過し、第2の経路14は固定子コアの外径側の段を通過する。
第1の経路13はストローク前半において、磁気抵抗が大きく磁束が流れないので磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいが、ストローク後半においては可動子7が第1固定子コア1に近づき磁気抵抗が小さくなるので磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第1の経路13はストローク後半において渦電流発生手段10を貫通するので、渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
一方、第2の経路14は可動子7位置によらず渦電流発生手段10の外周側を通過し、磁束が渦電流発生手段10を鎖交も貫通もしないので、渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
実施の形態5におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図4の第1の経路13と第2の経路14を入れ替えたものと同様になる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
本実施の形態5は可動子7に渦電流発生手段10が可動子と共に軸方向に運動するので、可動子7周辺に対流が生まれ、渦電流発生手段10の放熱性が良い。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6について説明する。なお、本実施の形態6は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜5のいずれかと同様であってもよい。
図16、図17および図18を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。なお、ストローク序盤、ストローク中盤、ストローク終盤は、その順に、可動子が開弁動作を行う場合の時間的な過程を示している。以下、図26、図27および図28において同様である。
本実施の形態6において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、内径側の段、外径側の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は軸方向でいう第1固定子コア1側の端部が第1固定子コア1の内径側の段よりも外周側に配置される形状を成している。
渦電流発生手段10は可動子7の軸方向でいう第1固定子コア1側の端部に配置されている。この構成において、主磁束6の第1の経路13は第1固定子コア1の外径側の段を通過し、第2の経路14は固定子コアの内径側の段を通過する。
第1の経路13はストローク序盤において、磁気抵抗が大きく磁束が流れないので磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいが、ストローク中盤および終盤に可動子7が第1固定子コア1に近づき磁気抵抗が小さくなるので磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第1の経路13はストローク中盤および終盤において渦電流発生手段10を貫通するので、渦電流発生手段10が周方向に閉じているかどうかに係わらず渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
第2の経路14はストローク序盤において、磁気抵抗が最も小さいため多くの磁束が通過する。
第2の経路14はストローク序盤において、最も磁気抵抗が小さく可動子7が第1固定子コア1に近づくほど多くの磁束が流れるので、磁束の変化量(dΦ/dt)が大きく、渦電流発生手段10を貫通するため、渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
第2の経路14はストローク中盤以降においては、第1固定子コア1の内径側の段が磁気飽和を生じるため磁束の変化量(dΦ/dt)は小さくなるので、渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
本実施の形態6におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図19の様になる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
本実施の形態6は渦電流発生手段10の配置および形状の調整によって渦電流の発生時期を細かく調整できる効果を有する。
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7について説明する。なお、本実施の形態7は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜6のいずれかと同様であってもよい。
図20および図21を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。
本実施の形態7において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、外径側の段、内径側の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、内径側の段、外径側の段の順に第1固定子コア1方向に延びている。
可動子7の内径側の段は第1固定子コア1の外径側の段より内周側に配置される。
渦電流発生手段10は可動子7の外径側の段の軸方向でいう第1固定子コア1側の端部に配置されている。この構成において、主磁束の第1の経路13は可動子7の内径側の段を通過する。
第1の経路13は、ストローク前半において磁気抵抗が最も小さいため多くの磁束が通過し、可動子7が第1固定子コア1に近づくにつれ磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第1の経路13は渦電流発生手段10の内周側を通過するため、渦電流発生手段10が周方向に閉じた形状をしていれば、ストローク前半において渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
第1の経路13はストローク後半において、可動子7の内径側の段が磁気飽和を生じ、磁束の変化量(dΦ/dt)が小さくなるので渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第2の経路14は可動子7の外径側の段の軸方向でいう第1固定子コア1側端面を通過する。
第2の経路14はストローク前半において磁気抵抗が大きく磁束が流れないので、磁束の変化量(dΦ/dt)が小さく渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第2の経路14はストローク後半において、可動子7が第1固定子コア1に近づき磁気抵抗が小さくなるので磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第2の経路14は渦電流発生手段10を貫通するので、ストローク後半において渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
本実施の形態7におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図4のようになる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
本実施の形態7は可動子7の内径側の段が渦電流発生手段10の径方向の動きを抑制するので渦電流発生手段10が可動子7から外れにくく堅牢である。
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8について説明する。なお、本実施の形態8は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜7のいずれかと同様であってもよい。
図22および図23を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。
本実施の形態8において、第1固定子コア1は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、内径側の段、外径側の段の順に可動子7方向に延びている。
可動子7は径方向で軸長が少なくとも2段階変更する段形状を有しており、外径側の段、内径側の段の順に第1固定子コア1方向に延びている。
可動子7の外径側の段は第1固定子コア1の内径側の段より外周側に配置される。
渦電流発生手段10は可動子7の内径側の段の軸方向でいう第1固定子コア1側の端部に配置されている。この構成において、主となる磁束(主磁束)の第1の経路13は、可動子7の外径側の段を通過する。
第1の経路13は渦電流発生手段10である渦電流発生手段10を鎖交も貫通もしないので渦電流を発生させない。
第2の経路14は可動子7の内径側の段の軸方向でいう第1固定子コア1側の端面を通過し、第1固定子コア1の内径側の段を通過するため、渦電流発生手段10を貫通する。
第2の経路14はストローク前半において磁気抵抗が大きく磁束が流れないため磁束の変化量(dΦ/dt)が小さく、渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第2の経路はストローク後半において磁気抵抗が小さくなり、可動子7が第1固定子コア1に近づくにつれ磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第2の経路は渦電流発生手段10である渦電流発生手段10を貫通するので、渦電流発生手段10が周方向に閉じていなくても渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
本実施の形態8におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図4のようになる。
本実施の形態8は渦電流発生手段10が可動子の内径側の段に配置されているため、渦電流発生手段10が熱膨張しても外れにくく堅牢である。
実施の形態9.
次に、本発明の実施の形態9について説明する。なお、本実施の形態9は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜8のいずれかと同様であってもよい。
図24および図25を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。
本実施の形態9において、可動子7は径方向で軸長が少なくとも3段階変更する段形状を有しており、外径側の段、中間の段、内径側の段の順に第1固定子コア1方向に延びている。
第1固定子コア1の軸方向でいう可動子7側の端部は可動子7の内径側の段より外周側、且つ可動子7の外径側の段より内周側に配置される。
渦電流発生手段10は可動子7の中央の段に配置される。
この構成において、主磁束6の第1の経路13は、可動子7の内径側を通過し、第2の経路14は、可動子7の外径側の段を通過する。
第1の経路13は、ストローク前半において磁気抵抗が大きく磁束が流れないため磁束の変化量(dΦ/dt)は小さいので渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第1の経路13は、ストローク後半において磁気抵抗が小さくなり、可動子7が第1固定子コア1に近づくにつれ磁束の変化量(dΦ/dt)が増大する。
第1の経路13は渦電流発生手段10の内周側を通過するので、渦電流発生手段10が周方向に閉じていれば、渦電流発生手段に渦電流を発生させる。
第2の経路14は、渦電流発生手段10の外周側を通過するので渦電流発生手段10を鎖交も貫通もしないので渦電流を発生させない。
本実施の形態9におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図4の第1の経路13と第2の経路14を入れ替えたものと同様になる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
本実施の形態9は渦電流発生手段10の内径側、外径側の両方を可動子7により挟んでいるため、上記実施の形態7および実施の形態8よりもさらに渦電流発生手段10が可動子7から外れにくい。
実施の形態10.
次に、本発明の実施の形態10について説明する。なお、本実施の形態10は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜9のいずれかと同様であってもよい。
図26、図27および図28を参照しつつ、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整する手法について説明する。
本実施の形態10において、可動子7は外周面に渦電流発生手段10を配置するくぼみを有する。
渦電流発生手段10は、ストローク序盤において第2固定子コア2の可動子7と対向する径方向端面より第1固定子コア1と軸方向に離れた位置に配置される。
渦電流発生手段10は、ストローク中盤において第2固定子コア2の可動子7と対向する径方向端面と対向する位置に配置される。
渦電流発生手段10は、ストローク終盤において第2固定子コア2の可動子7と対向する径方向端面より第1固定子コア1と軸方向に近い位置に配置される。
第1の経路13は渦電流発生手段10の軸方向でいう第1固定子コア1側を通過し、第2の経路14は渦電流発生手段10を径方向に貫通し、第3の経路16は渦電流発生手段10の軸方向でいう第1固定子コア1の反対側を通過する。
第1の経路13は、可動子7位置によらず渦電流発生手段10の外周側を通過するため渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第2の経路14は、ストローク序盤において磁気抵抗が大きく磁束が流れないので、磁束の変化量(dΦ/dt)が小さく、渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第2の経路14は、ストローク中盤において磁気抵抗が小さくなり磁束が流れるため、可動子7が第1固定子コア1に近づくにつれ、磁束の変化量(dΦ/dt)が増大し、渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
第2の経路14は、ストローク終盤において磁気抵抗が大きくなり磁束が流れなくなり、磁束の変化量(dΦ/dt)が小さくなるので渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第3の経路16は、ストローク序盤および中盤において磁気抵抗が大きく磁束が流れないので、磁束の変化量(dΦ/dt)が小さく渦電流発生手段10に渦電流を発生させない。
第3の経路16は、ストローク終盤において磁気抵抗が最も小さくなり、可動子7が第1固定子コア1に近づくにつれ磁束の変化量が増大する。
第3の経路16は、渦電流発生手段10が周方向に閉じていれば渦電流発生手段10を鎖交するので、渦電流発生手段10に渦電流を発生させる。
本実施の形態10におけるストロークに対する磁束の変化量(dΦ/dt)を図示すると図29のようになる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。すなわち、応答速度を容易に調整することができる。
本実施の形態10は渦電流発生手段10の配置により可動子7と第1固定子コア1の位置関係が変わる恐れがないため製作性が良い。
なお、上記実施の形態1から実施の形態10において、第1固定子コア1または可動子7が有する段の径方向厚さを変更することでも渦電流発生の有無を調整できる。径方向厚さが小さいほど磁気飽和が生じやすく、主磁束6の複数の経路に流れる磁束の量を調整できる。
また、段の形状だけでなく磁気特性の異なる材料を使っても同等の効果が得られる。
磁気特性を変更すれば磁気飽和の生じやすさも異なるので、複数の経路に流れる磁束の量を調整できる。
以上より、渦電流発生の有無を可動子7位置によって調整可能である。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。