JP6499948B2 - セレコキシブii型結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明においては、先ず、セレコキシブとアルカリ金属の水酸化物とを混合して、セレコキシブをアルカリ金属塩として水に溶解させる溶解工程を実施する。セレコキシブとアルカリ金属の水酸化物とを混合する方法は、水中にセレコキシブを分散させ、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ金属の水酸化物の水溶液を加えて溶解させる方法、セレコキシブにアルカリ金属の水酸化物の水溶液を加えて溶解させる方法、アルカリ金属の水酸化物の水溶液にセレコキシブを添加して溶解させる方法のいずれであってもよい。
本発明において、原料として使用するセレコキシブの結晶構造は、特に制限されるものではなく、I型結晶、II型結晶、III型結晶、IV型結晶、N型結晶、又は溶媒和物であってもよい。また、これら結晶構造を複数含んだものであってもよい。
本発明における溶媒は、水のみから構成される。上記の水は、特に制限なく、水道水、イオン交換水、純水又は超純水等が使用できるが、セレコキシブを医薬品用途として使用する場合、イオン交換水、純水、及び、超純水を使用することが好ましい。また、その使用量は、セレコキシブ1質量部に対し、5〜30質量部が好ましい。これらの範囲において、アルカリ金属塩となったセレコキシブを十分に溶解させることができるが、中でも、操作性や回収率を考慮すると10〜20質量部が好ましい。
本発明におけるアルカリ金属の水酸化物は具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属の水酸化物は単独で使用してもよく、二つ以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、セレコキシブのアルカリ金属塩の水に対する溶解度が高い点、安価である点から、水酸化カリウム或いは水酸化ナトリウムを好適に使用できる。また、これらの使用形状は固形物単体として使用してもよく、水に溶解させた水溶液としても使用してよい。これらの使用形状によって、反応に大きく関与することはないが、多くのアルカリ金属の水酸化物は吸湿性を示すため、操作性の観点から水溶液の形状で使用することが好ましい。また、その水溶液の濃度は、アルカリ金属の水酸化物が水に溶解するのであれば、特に制限されるものでない。
本発明において、上記の対象セレコキシブを、水中、アルカリ金属の水酸化物と混合してアルカリ金属塩化することにより溶解させる。当該溶解操作は、ガラス製容器、ステンレス製容器、テフロン(登録商標)製容器、グラスライニング容器等の容器にて実施し、さらに、メカニカルスターラー、マグネティックスターラー等を用いて撹拌下で実施することが、溶解に要する時間が短縮されることから好ましい。また、水が揮発することを抑制する目的から、還流冷却管等を取り付けることも好ましい。
本発明においては、セレコキシブのアルカリ金属塩が溶解した水溶液に酢酸を添加してpH7.0以下にして、セレコキシブII型結晶を結晶化させる結晶化工程を実施する。
本発明においては、セレコキシブのアルカリ金属塩が溶解した水溶液をpH7.0以下にするために酢酸を使用する。
本発明において、上記の溶解工程で得られた水溶液から酢酸を添加してpH7.0以下とし、セレコキシブのアルカリ金属塩と酢酸を反応させてセレコキシブII型結晶を結晶化させる。
1.541858オングストロームの波長を有するCuKα放射線を使用し、以下に示す装置を用い、以下に示す条件で行なった。
電圧:40kV
電流:30mA
サンプリング幅:0.050°
スキャンスピード:2.0°/min
スキャン範囲:始角は5°、終了角は35°。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ2.0g(5.2mmol)、水20mL(セレコキシブ1質量部に対して10質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に50%水酸化ナトリウム水溶液0.6mL(11.3mmol)を添加し、25℃で30分撹拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。このときpH12.2であった。
溶解工程で得られた水溶液に、撹拌下、酢酸1.3mL(22.5mmol)を一度に添加し、酢酸添加直後結晶が析出するのを目視により確認した。また、酢酸を添加直後液温が30℃まで上昇したことを確認した。なお、混合液のpHは5.1であった。得られた混合液を25℃まで冷却して更に30分撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水5mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を50℃で1時間減圧乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ1.77g(4.6mmol)を得た(収率:89%、残留溶媒(酢酸):108ppm)。なお、濾別によって得られたろ液のpHは5.1であった。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、2θが少なくとも10.8±0.2°、14.0±0.2°、17.9±0.2°の範囲に特有のピークを有する図1に示すX線回折チャートが得られ、セレコキシブのII型結晶であった。図1に示されるX線回折チャートで観測された各ピークの位置(2θ)と相対強度を、表1にまとめる。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた500mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ17.0g(44.6mmol)、水170mL(セレコキシブ1質量部に対して10質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に50%水酸化ナトリウム水溶液4.67mL(89.2mmol)を添加し、25℃で30分撹拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。このときpH12.1であった。
溶解工程で得られた水溶液に、撹拌下、酢酸15.0mL(262.0mmol)を一度に添加し、酢酸添加直後結晶が析出するのを目視により確認した。また、酢酸を添加直後液温が30℃まで上昇したことを確認した。なお、混合液のpHは5.1であった。得られた混合液を25℃まで冷却して更に30分撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水34mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を50℃で24時間減圧乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ13.66g(35.8mmol)を得た(収率:80%、残留溶媒(酢酸):69ppm)。なお、濾別によって得られたろ液のpHは5.1であった。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、2θが少なくとも10.8±0.2°、14.0±0.2°、17.9±0.2°の範囲に特有のピークを有するX線回折チャートが得られ、セレコキシブのII型結晶であった。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ2.5g(6.6mmol)、水5mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に10%水酸化カリウム水溶液15mL(26.8mmol)を添加し、25℃で30分撹拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。このときpH13.5であった。
溶解工程で得られた水溶液に、撹拌下、酢酸1.63mL(28.5mmol)を一度に添加し、酢酸添加直後結晶が析出するのを目視により確認した。また、酢酸を添加直後液温が30℃まで上昇したことを確認した。なお、混合液のpHは5.5であった。得られた混合液を25℃まで冷却して更に30分撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水5mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を50℃で1時間減圧乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ2.00g(5.2mmol)を得た(収率:80%、残留溶媒(酢酸):50ppm)。なお、濾別によって得られたろ液のpHは5.5であった。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、2θが少なくとも10.8±0.2°、14.0±0.2°、17.9±0.2°の範囲に特有のピークを有するX線回折チャートが得られ、セレコキシブのII型結晶であった。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ2.0g(5.2mmol)、水20mL(セレコキシブ1質量部に対して10質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に50%水酸化カリウム水溶液0.6mL(5.4mmol)を添加し、25℃で30分撹拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。このときpH12.6であった。
溶解工程で得られた水溶液に、撹拌下、酢酸1.3mL(22.5mmol)を一度に添加し、酢酸添加直後結晶が析出するのを目視により確認した。また、酢酸を添加直後液温が30℃まで上昇したことを確認した。なお、混合液のpHは6.0であった。得られた混合液を25℃まで冷却して更に30分撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水5mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を50℃で1時間減圧乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ1.68g(4.4mmol)を得た(収率:84%、残留溶媒(酢酸):218ppm)。なお、濾別によって得られたろ液のpHは5.0であった。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、2θが少なくとも10.8±0.2°、14.0±0.2°、17.9±0.2°の範囲に特有のピークを有するX線回折チャートが得られ、セレコキシブのII型結晶であった。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ2.0g(5.2mmol)、水20mL(セレコキシブ1質量部に対して10質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に28%アンモニア水0.37mL(6.0mmol)を添加したが、結晶の溶解は確認できなかった。さらに、28%アンモニア水0.37mL(6.0mmol)を9回添加したが結晶の溶解は確認できなかった。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ1.0g(2.6mmol)、水20mL(セレコキシブ1質量部に対して20質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に50%水酸化ナトリウム水溶液0.412mL(7.76mmol)を添加し、25℃で30分撹拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。このときpH12.5であった。
溶解工程で得られた水溶液に、撹拌下、酢酸0.297mL(5.2mmol)を一度に添加し、酢酸添加直後結晶が析出するのを目視により確認した。また、酢酸を添加直後液温が30℃まで上昇したことを確認した。なお、混合液のpHは11.3であった。得られた混合液を25℃まで冷却して更に30分撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水2mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を50℃で15時間減圧乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ0.93g(2.4mmol)を得た(収率:93%、残留溶媒(酢酸):276ppm)。なお、濾別によって得られたろ液のpHは11.3であった。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、図2に示すIII型結晶のX線回折チャートが得られた。図2に示されるX線回折チャートで観測された各ピークの位置(2θ)と相対強度を表2にまとめる。
溶解工程
攪拌翼、温度計を取り付けた200mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ10.0g(26.2mmol)、水100mL(セレコキシブ1質量部に対して10質量部)を加え攪拌した。得られた混合液に50%水酸化ナトリウム水溶液3.00mL(56.3mmol)を添加し、25℃で30分撹拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。
溶解工程で得られた水溶液に、撹拌下、酢酸6.5mL(112.5mmol)を十度に分けて1分置きに添加した。1度目の添加で結晶が析出し、その時の混合液はpH12.2であった。続けて酢酸を添加することでpHは下がり、2度目の添加ではpH12.2、3度目の添加ではpH11.8、4度目の添加ではpH11.6、5度目の添加ではpH11.6となり、この時点でほとんどのセレコキシブが析出した。なお、酢酸添加の際混合液の温度に変化はなかった。得られた混合液を25℃で更に30分撹拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水20mL(セレコキシブ1質量部に対して2質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を50℃で18時間減圧乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ8.83g(30.0mmol)を得た(収率:88%、残留溶媒(酢酸):190ppm)。なお、濾別によって得られたろ液のpHは5.3であった。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、比較例2同様、セレコキシブのIII型結晶であった。
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、III型結晶のセレコキシブ4.0g(10.5mmol)、DMA18.0mL(セレコキシブ1質量部に対して4.5質量部)を加え攪拌し、セレコキシブが溶解したのを目視により確認した。攪拌を続けながら得られた溶液を45℃まで加温し、30分攪拌した。得られた溶液に水75.0mL(セレコキシブ1質量部に対して18.8質量部)を加え、結晶が析出したことを目視により攪拌した。得られた混合液を45℃のまま30分攪拌し、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、水4mL(セレコキシブ1質量部に対して1質量部)により、濾別した結晶を2回洗浄した。得られた白色結晶を130℃のオーブンに入れ、48時間乾燥し、白色結晶としてセレコキシブ3.56g(9.3mmol)を得た(収率:89%、残留溶媒:91000ppm)。また、上記結晶を試料として、粉末X線回折測定を行うと、2θが少なくとも10.8±0.2°、14.0±0.2°、17.9±0.2°の範囲に特有のピークを有するX線回折チャートが得られ、セレコキシブのII型結晶であった。
Claims (5)
- セレコキシブとアルカリ金属の水酸化物とを混合して得られるセレコキシブアルカリ金属塩が溶解した水溶液に、酢酸を添加してpH7.0以下でセレコキシブのII型結晶を結晶化させることを特徴とするセレコキシブII型結晶の製造方法。
- 請求項1のアルカリ金属の水酸化物が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- セレコキシブ1当量に対して1〜10当量のアルカリ金属の水酸化物を使用して、セレコキシブアルカリ金属塩が溶解した水溶液を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記結晶化がpH3.0〜7.0で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記結晶化が温度10〜90℃の範囲の温度で行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
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