JP6499216B2 - 通信帯域算出装置、通信帯域算出方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、通信帯域算出装置、通信帯域算出方法及びプログラムに関する。より具体的には、本発明は、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークの通信設備を対象とし、利用ユーザから必要とされる通信サービス品質を提供するために、将来の設計目標時期において必要となる帯域設備量を算出する技術に関する。
従来から、固定回線あるいは移動体に拘わらず、通信ネットワークを介して提供される通信サービスに対して、利用するユーザから必要とされる通信サービスの品質として、QoS(Quality of Service)あるいはQoE(Quality of Experience)を定めることができる。通信サービス事業者は、そのようなサービス品質を達成するような通信ネットワークの設計・運用・管理を行っている。
その目的を達成するため、通信ネットワークでは、定常的にトラヒック量の観測を行うと同時に、提供する通信サービスのトラヒック特性の分析・評価を行い、得られた知見に基づき、ユーザに求められる通信サービスの品質を経済的に達成できるような通信ネットワークの設計・運用・管理業務を行っている。
一例として、トラヒックに関する特性値、例えば、各通信設備を通過する、あらかじめ設定された時間間隔での平均トラヒック量や、注目する通信サービスの各コネクションを形成するIP(Internet Protocol)パケットの流れに対して測定できるパケット数、パケット長、転送データ量、接続コネクション数、同時接続コネクション数などを測定することにより、当該通信サービスのトラヒック量とトラヒック特性の評価を行っており、求められる通信サービスの品質を達成できるような通信ネットワークの設計・運用・管理業務を行っている。
電話サービスを提供する通信ネットワークの設備を対象にして、観測した時系列トラヒックデータの統計量を用いて、将来のトラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術については、例えば、非特許文献1で提案されている技術がある。
電話サービス、インターネット接続サービス、映像配信サービス(多チャンネル放送サービスとビデオオンデマンドサービス)など、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルによる多様な通信サービスを多重して提供している通信ネットワークを対象とし、将来トラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術については、例えば、特許文献1で提案されている技術がある。
主に企業ユーザに対して、通信サービスに関して事前に契約を結び、当該契約で定めた一定以下の通信トラヒック量について、地理的に離れたLAN(Local Area Network)間などをイーサネット(登録商標)インタフェースなどの通信回線で接続して、自由な通信利用を可能とするような通信サービスを提供する通信ネットワークを対象とし、将来トラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術については、例えば、特許文献2〜4で提案されている技術がある。
移動体通信ネットワークを構築するときには、有限の無線帯域幅で広いエリアに通信サービスを提供するために、電波が減衰しながら伝搬する性質を利用して、同一の周波数のチャネルを一定以上離れた距離の場所で繰り返し利用するセルラー方式が採用されている。周波数利用の繰り返し構造の単位になるエリアはクラスタ、クラスタに含まれる基地数はクラスタサイズと呼ばれる。1つの基地局がカバーするエリアを、アンテナに特定の方向のみ電波を放射する指向性をもたせて、エリアを分轄するとき、分割されたエリアはセクタと呼ばれる。移動体通信設備は、セクタ単位に送受信するトラヒック量を測定している。
したがって、移動体通信ネットワークでは、着目するクラスタに対して、当該クラスタを構成するセクタの集合に含まれる個々のセクタがカバーするエリアの全体として、当該クラスタが移動体通信サービスをカバーする地理的エリアを定めることができる。逆に、任意の地理的エリアに対して、通信サービスをカバーするセクタの集合が存在する。図1は、地理的エリアの移動体通信サービスをカバーする基地局・セクタのイメージである。
移動体通信設備は、セクタ単位に送受信する一定時間間隔でトラヒック量を測定しているため、任意の地域的なエリアにおいて発生するトラヒック量は、当該地域エリアの通信サービスをカバーするセクタ集合のトラヒック量の総和として算出できる。
移動体通信ネットワークにおいて、基地局、セクタのような移動体通信設備は、通信サービスをカバーする地理的なエリアから発生するトラヒック量に応じて、当該設備の容量を設計する技術が、経済性から求められる。
トラヒック量の変動が複雑な通信サービスを収容する通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアから発生するトラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術がいくつか提案されている。
特開2014−87031号公報 特開2009−206698号公報 特開2009−218820号公報 特開2011−130330号公報
川野弘道ほか,「マクロ分析のためのトラヒック予測手法とその評価」,電子情報通信学会論文誌 B, Vol. J-82-B, No. 6, pp. 1107-1114, 1999年6月
図2は、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークで観測されるトラヒック量の典型例を示す図である。移動体通信サービスを提供する通信ネットワークで観測されるトラヒック量は、図2のような特有の大きな変動を示す。典型的な性質として、トラヒック量の長期的な傾向は増加傾向にあるのに対して、月内の変動の視点においては月初のトラヒック量が突発的に大きくなり、月末までに振動しながら減少するという性質がある。
図3は、移動体通信サービスのトラヒック量に対する従来技術による予測の例を示す図である。例えば、従来技術にしたがい、月間最大値あるいは日毎最大値に対する直線外挿による予測によれば、観測値の追加の都度に作成される予測線1〜3毎のブレ幅が過大となるために、信頼できる予測結果を確実に得ることが出来なかった。ブレ幅が過大となる原因の1つは、月初のトラヒック量には偶然的要因が大きく関係し不安定なためである。このように、従来技術では、移動体通信サービスのようにトラヒック量の変動が複雑なときには、将来時点でのトラヒック量の精度の高い予測が困難であった。
さらに、トラヒック量を詳細に観測すると、トラヒック量の連続的な変化の分断や擾乱、季節変動などがあり、従来技術では、このようなトラヒック量の変動に対する予測が困難であった。なお、複雑なトラヒック量の変動及び成長は、移動体通信サービスに限らず、他の通信サービスにおいても観測される。
また、一般に、通信サービスの種類に依存してトラヒック量の変動を複雑にさせる要因は多岐にわたるが、トラヒック量を予測しようとする地理的エリアを広域に拡げるほど、トラヒック変動は相対的に穏やかになるため、予測の精度を高めることは容易になる。逆に、地理的なエリアを狭域に狭めるほど、トラヒック変動は相対的に急峻で大きくなり、不規則性を強めるため、予測の精度を高めることは困難になる。
上記非特許文献1、特許文献1〜4のいずれの技術も、任意の地理的エリアに対して、通信サービスのトラヒック予測の精度を所望の水準以上に高める予測を行い、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術に該当するものはない。
本発明は、通信サービスによるトラヒック量の変動及び成長が複雑な通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアに対して、通信サービスのトラヒック予測の精度を所望の水準以上に高める予測を行い、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出することを目的とする。
本発明の一形態にかかる通信帯域算出装置は、
通信サービスを提供するために必要となる帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
通信ネットワークのトラヒック情報と地理的エリア情報を取得する情報取得手段と、
設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行うエリア設定手段と、
当該エリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出手段と、
前記エリア・トラヒック量から、ジャンプ点以降のデータの抽出、スパイク点のデータの除外、及びトラヒック閑散期の間のデータの除外のうち少なくとも1つの補正を行う補正手段と、
前記補正されたエリア・トラヒック量から、エリア・トラヒック量を予測する回帰式を算出する回帰式算出手段と、
前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さいか否かを判定する適合判定手段と、
前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さい場合、前記回帰式に基づき、所望の将来時点に対して、当該将来時点の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出手段と、
前記将来時点の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の一形態にかかる通信帯域算出方法は、
通信サービスを提供するために必要となる帯域を算出する通信帯域算出装置における通信帯域算出方法であって、
通信ネットワークのトラヒック情報と地理的エリア情報を取得する情報取得ステップと、
設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行うエリア設定ステップと、
当該エリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出ステップと、
前記エリア・トラヒック量から、ジャンプ点以降のデータの抽出、スパイク点のデータの除外、及びトラヒック閑散期の間のデータの除外のうち少なくとも1つの補正を行う補正ステップと、
前記補正されたエリア・トラヒック量から、エリア・トラヒック量を予測する回帰式を算出する回帰式算出ステップと、
前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さいか否かを判定する適合判定ステップと、
前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さい場合、前記回帰式に基づき、所望の将来時点に対して、当該将来時点の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出ステップと、
前記将来時点の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の一形態にかかるプログラムは、
コンピュータを、上記の通信帯域算出装置の各部として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、通信サービスによるトラヒック量の変動及び成長が複雑な通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアに対して、通信サービスのトラヒック予測の精度を所望の水準以上に高める予測を行い、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出することが可能となる。
地理的エリアの移動体通信サービスをカバーする基地局・セクタのイメージ 移動体通信トラヒック量の変動の典型例 移動体通信トラヒック量に対する従来技術による予測の例 本実施の形態にかかる通信帯域算出装置の構成を示す全体ブロック図 演算処理部の処理を示すフロー図(その1) 異常値処理部で用いる平日の歪み値の累積分布を示す図 本発明の一態様によるトラヒック予測を示す図 演算処理部の処理を示すフロー図(その2) 演算処理部の処理を示すフロー図(その3) 演算処理部の処理を示すフロー図(その4) 予測誤差を大きくするジャンプ点あるいは不連続点を示す図 予測誤差を大きくする一時的スパイク点を示す図 予測誤差を大きくする季節変動を示す図 演算処理部の処理を示すフロー図(その5) 予測精度の向上のため、地理的エリアを拡大させるイメージ 予測精度の向上のため、地理的エリアを分割させるイメージ 予測精度の向上のため、地理的エリアを属性分解させるイメージ 演算処理部の処理を示すフロー図(その6) 演算処理部の処理を示すフロー図(その7) 演算処理部の処理を示すフロー図(その8)
本発明の一実施の形態では、通信サービスによるトラヒック量の変動及び成長が複雑な通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアに対して、通信サービスのトラヒック予測の精度を所望の水準以上に高める予測を行い、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出するための通信帯域算出装置について説明する。
本実施の形態では、通信事業者による通信ネットワークの管理・運用業務として、将来に必要となる帯域設備量の算出評価業務が、継続して実施される状況を想定する。例えば、1年、あるいは、1カ月といった、一定期間を単位として、所望の将来時点において、通信利用者に適切な通信品質を提供するために必要となる帯域容量を算出して、現有の帯域設備の将来の行詰り・逼迫時期を推定し、通信サービスの品質を担保するために必要となる設備増設などの工事を計画し、継続して実行する業務である。この工事を計画する際に設定する、通信利用者に適切な通信品質を提供するために必要となる帯域容量を算出する前記所望の将来時点を「将来の設計目標時期」のように表現する。
同様に、観測トラヒック量についても、現在に至る一定期間分、通常は1年間以上の観測トラヒックデータを蓄積・収集して、1時間などの一定時間間隔で統計処理などが実施されているものとする。この観測トラヒック量の蓄積・収集・統計処理されている期間を「観測トラヒック量の観測期間」のように表現する。
本実施の形態の説明においては、帯域算出を実行する時点を「設計時点」と呼ぶが、当然、設計時点に対して観測期間は過去であり、設計時点に対して設計目標時期は未来の関係になる。
また、地理的エリアに対応するトラヒック量は、以下のように定義する。移動体通信サービスにおいては、携帯端末によって送受信されるセッション単位のトラヒックを集約・転送している基地局またはセクタのトラヒック量が、測定できる最小の単位になる。そこで、着目する地理的エリア内に設置されている全ての基地局またはセクタに関して、それぞれのトラヒック量の総計したものを、当該地理的エリアにおけるトラヒック量として定義することができる。あるいは、ある基地局またはセクタがカバーする領域、あるいは、その重心が着目する地理的エリアに含まれるかどうかにより、当該地理的エリアと基地局またはセクタとの包含関係を定義して、含まれる基地局またはセクタのトラヒック量の総計を、当該地理的エリアにおけるトラヒック量として定義することができる。
同様に、TCP/IPプロトコルによる多様な通信サービスを多重して提供する場合にも、企業ユーザに向けて通信サービスを提供する場合においても、セットトップボックスやルータのような端末がユーザ宅内や企業の施設内に設置されて、当該ユーザ宅内及び当該企業内で送受信されるセッション単位のトラヒック量を集約・転送している。当該セットトップボックスや当該ルータのトラヒック量の総計を、当該地理的エリアにおける前記通信サービスのトラヒック量としてそれぞれ定義することができる。したがって、本実施の形態では、移動体通信トラヒックを想定した説明を行っているが、本発明の適用範囲は移動体通信に限定されるものではない。
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
<通信帯域算出装置の構成>
図4は、本発明の一実施の形態にかかる通信帯域算出装置10の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークを例に挙げて説明する。
図4に示すように、通信ネットワーク20は、携帯端末26、27、28、29に対して移動体通信サービスを提供することを目的とする設備であり、携帯端末26、27、28、29が発着信する情報は、基地局24、25において電気信号に変換されて、帯域設備31、32を経由して、ノード22に転送されたのち、通信ネットワーク内の所望の発着信先に転送されることにより、移動体通信サービスが達成される。ここで、基地局24、25は、複数のセクタに分割されていてもよい。
通信帯域算出装置10は、コンピュータを用いたサーバ装置などの情報処理装置で構成されている。
当該通信帯域算出装置10は、通信ネットワーク20、または、オペレーションシステム23から当該通信ネットワーク20に関連するノード構成情報及びトポロジ情報及び回線帯域情報などのネットワーク設備情報41を取得する。
さらに、運用・管理・設計業務の対象となる帯域設備30、31、32に出入りするトラヒック量の情報は、ノード21、22、あるいは、基地局24、25において一定時間間隔で測定しており、当該通信帯域算出装置10は、これらのトラヒック情報42を収集周期などに基づき定期的に取得する。
さらに加えて、当該通信帯域算出装置10は、当該通信ネットワーク20に収容されている基地局またはセクタの地理的位置情報(緯度経度情報)、各種設定情報(中心周波数、周波数帯域幅、最大送信電力など)を含む基地局・セクタ情報43をオペレーションシステム23から取得する。基地局・セクタ情報43には、現在の基地局・セクタに関わる情報だけでなく、過去時点の情報や、将来の工事計画に予定されている情報も含まれているものとする。
通信帯域算出装置10は、前記取得した情報に基づいて、任意の地理的エリアに対して、通信サービスのトラヒック予測の精度を所望の水準以上に高める予測を行い、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する機能を有している。
次に、本実施の形態にかかる通信帯域算出装置10の内部構成について詳細に説明する。
通信帯域算出装置10には、主な機能部として、通信インタフェース部11(以下、通信I/F部11とする)、操作入力部12、画面表示部13、情報データベース部14(以下、情報DB部14とする)、記憶部15、及び、演算処理部16が設けられており、内部通信バスを介して接続され、相互に情報の送受信が可能な機能を有している。
通信I/F部11は、専用のデータ通信回路からなり、通信ネットワーク20のノード21、22やオペレーションシステム23、基地局24、25などの外部装置との間で相互に通信を行う機能を有している。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータからの入力操作を検出して、演算処理部16へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、ディスプレイのような画面表示装置であって、演算処理部16からの指示に応じて操作メニューや算出結果などの各種情報を画面表示する機能を有している。
情報DB部14は、ハードディスクなどの記憶装置からなり、演算処理部16での必要帯域算出処理に用いる各種処理情報を保存蓄積する機能を有している。
記憶部15は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部16での必要帯域算出処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
演算処理部16は、CPU(Central Processing Unit)などのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15のプログラムを読み込み、情報DB14から、ネットワーク設備情報41、トラヒック情報42、基地局・セクタ情報43などの処理に必要となる情報を適宜に取得し、帯域設備の必要帯域を算出するための各種演算処理を実行する機能と、算出した当該必要帯域を情報DB部14などに出力する機能とを有する。
前記ネットワーク設備情報41には、帯域設備30、31、32、ノード21、22、基地局24、25を含む当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備の任意のインタフェースjの速度情報{B_i}が含まれる。また、前記ネットワーク設備情報41には、帯域設備30、31、32、ノード21、22、基地局24、25を含む当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備のインタフェース間の接続構成関係の情報が含まれる。さらに、現在だけでなく、過去から将来に予定されている限りの工事計画上の当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備のインタフェース間の接続構成関係の情報も含まれるものとする。簡単のため、通信設備を限定する添え字を省略し、ネットワーク設備情報41は{B}と記載する。
前記トラヒック情報42には、当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備のインタフェースjを出入りするトラヒック量に関して、あらかじめ規定された観測周期によって長期間にわたり継続的に測定された観測トラヒック量の時系列データが含まれている。当該インタフェースjの観測期間tにおける観測トラヒック量をy_j(t)とし、その時系列データの集合を{y_j(t)}と定義する。これを観測トラヒック量の時系列データ、あるいは、単に、観測トラヒック量と呼ぶことにする。観測トラヒック量は、原則的にすべての通信設備とそのインタフェースを対象に測定が継続されているので、簡単のため、通信設備を限定する添え字を省略し、トラヒック情報42は{y(t)}と記載する。以下では、観測期間の長さは1時間としているが、任意の長さに対しても同様の方法を実施することが出来る。
前記基地局・セクタ情報43には、当該通信ネットワーク20で運用されている基地局24、25に関して、地理的位置情報(緯度経度情報)、各種設定情報(中心周波数、周波数帯域幅、最大送信電力など)が含まれており、さらに、現在だけでなく、過去から将来に予定されている限りの工事計画上の地理的位置情報(緯度経度情報)、各種設定情報が含まれているものとする。同様に、前記基地局・セクタ情報43には、セクタに関する情報も含まれるものとする。基地局またはセクタjの地理的位置情報(緯度経度情報)及び各種設定情報を合せて、bs_jと定義する。基地局・セクタの集合に対する地理的位置情報(緯度経度情報)及び各種設定情報は{bs_j}と記載する。さらに、簡単のため、通信設備を限定する添え字は省略し、基地局・セクタ情報は{bs}と記載する。
次に、図5から図18を参照して、演算処理部16の構成について詳細に説明する。
図5、図8から図10、図12、図16から図18は、演算処理部16における帯域算出処理を示すフロー図である。演算処理部16を構成する主な処理部として、情報取得部16A、エリア設定部16B1、エリア・トラヒック算出部16B2、エリア拡大・分割・分解部16B3、異常値処理部16C、基準量算出部16D1、適合誤差算出部16D2、補正部16D3、適合判定部16D4、24時間変動率算出部16E、月間変動率算出部16F、誤差変動率算出部16G、トラヒック予測算出部16H、必要帯域算出部16Iを実現する機能を有している。
<エリア・トラヒック量の算出>
情報取得部16Aは、設計対象である通信ネットワークのサービス提供エリアに関して、通信帯域算出に必要となる情報である、トラヒック情報42、基地局・セクタ情報43を取得すると共に、必要に応じてネットワーク設備情報41を取得し、(図5、S110ステップ)、当該各種情報を情報DB部14に保存する(図5、S120ステップ)。
エリア設定部16B1は、操作入力部12から設計対象となる任意の地理的エリアを特定する緯度・経度情報の入力により、エリア領域AR設定を行う(図5、S210ステップ)。
エリア・トラヒック算出部16B2は、前記エリア領域AR設定と前記基地局・セクタ情報43の地理的位置情報を読み込み、当該エリア領域AR内部に緯度経度が位置する基地局またはセクタの集合を生成する。
つまり、基地局またはセクタbs_jのカバーする領域がエリア領域ARに含まれる条件を、bs_j∈ARのように記述することにすると、bs_j∈ARが成り立つ基地局またはセクタの集合BS_AR={bs_j |bs_j∈AR}を生成する(図5、S230ステップ)。
次に、トラヒック情報42を読み込み、当該基地局・セクタ集合に含まれる基地局・セクタそれぞれの観測トラヒック量をすべて積算して、当該エリアのエリア・トラヒック量y_AR(t)を求める。具体的には、それぞれの観測期間tの当該エリア・トラヒック量y_AR(t)は以下で求められる。
観測期間t単位に上記を行うことにより、当該基地局またはセクタの集合全体の観測トラヒック量の時系列データとしての当該エリア・トラヒック量{y_AR(t)}も求めることができる(図5、S250ステップ)。
最後に、当該エリア・トラヒック量を情報DB部14に保存する(図5、S260ステップ)。
<異常値処理>
以下の異常値処理では、測定トラヒック量の変動特性を十分に考慮して行う必要がある。平日と休日では、同一場所と同一時間帯であってもトラヒック量とその変動特性が大きく異なることが分かっているため、平日と休日を分けて、それぞれ処理を実施する。以下には、平日に対する処理手順を具体的に記載するものであるが、冗長さをさけるために必ずしも平日であることを明記していない。ただし、休日に対する処理手順も同様となる。
エリア拡大・分割・分解部16B3については、後述する。
異常値処理部16Cは、前記エリア・トラヒック量{y_AR(t)}と、観測トラヒック量の変動の正常な範囲を決定するための異常値検出期間LLと、異常を判定するための閾値Qを、情報DB部14から読み込み、観測トラヒック量が0(ゼロ)の観測データが存在するならば、当該日はシステム的な故障が発生していた可能性が高く、数値的な信頼性に乏しいとみなして、当該日の全てのデータの削除を行う。前記エリア・トラヒック量{y_AR(t)}に対して、ゼロ削除処理後のエリア・トラヒック量{yy_AR(t)}を生成する(図5、S320ステップ)。なお、削除するデータは観測トラヒック量がゼロであるデータに限らず、あらかじめ設定した閾値未満であるデータとしてもよい。すなわち、前記エリア・トラヒック量{y_AR(t)}があらかじめ設定した閾値未満である期間のデータを異常としてもよい。
次に、当該削除後のエリア・トラヒック量から、任意の平日1日の24時間の観測データを抽出して、当該日の24時間変動のパターンを算出することができる。観測期間tは、日付とその日付の時間で表ことができ、すなわち、観測期間tは、当該平日dと当該時間帯h=0,1,…,23との一意の組合せ(d,h)に分解できることから、{yy_AR(t)}={yy_AR(d,h)}と一対一に変換することができる。このとき、着目する平日dの1日の観測トラヒック量合計の24時間平均値Em(d)は以下となる(図5、S330ステップ)。
さらに、24時間平均値 Em(d)により正規化した当該日dの時間h(h=0,1,…,23)の正規化測定トラヒック量{f_AR(d,h)}は、以下となる(図5、S340ステップ)。
ここで、観測されたエリア・トラヒック量の異常値を検出するために、観測トラヒック量の変動の正常な、あるいは、定常的なトラヒック変動の範囲を決定するために適切な長さを持つ異常値検出期間をLLとすると、例えば、工事計画の資材調達期間を考慮して直近の1年間、あるいは、予算計画の期間を考慮して直近の3年間などとすることができる。そのとき、異常値検出期間LLにおける、正規化観測トラヒック量{f_AR(d,h)}の各時間hの期間平均値Ef_AR(h)は、以下となる(図5、S350ステップ)。
次に、着目している平日1日dの各時間hにおいて、正規化観測トラヒック量{f_AR(d,h)}と、期間平均値Ef_AR(h)との誤差の関数に基づき、当該平日dの正常なトラヒック変動からの歪み値q_AR(d)を定義する。本実施例では、以下の誤差関数によって歪み値を算出する(図5、S360ステップ)。
ここで、ある期間の平日の歪み値の累積分布をグラフ表示すると(図6を参照)、分布の裾の方に近づくと連続的でなだらかな稠密点列部分から、次第に、不連続で乱れた点列部分に変化していく傾向が一般に見られる。前者の連続的でなだらかな稠密点列部分が、日常的で自然なトラヒック変動のゆらぎの領域であり、後者が何らかの非日常的な要因がもたらした異常とすべきトラヒック変動のゆらぎの領域に対応する。この異常の領域を判定する閾値Qを設定し、前記平日dの歪み値q_AR(d)とQの比較によって、異常な観測トラヒック量が観測された日の判定が可能になる。このように歪み値q_AR(d)が閾値Qを超過した日を、異常日と呼ぶ。当該閾値Qは、実データを用いた分析から適宜に決めることができるが、例えば、図6の例ではQ=0.15とすることもできる。異常日の集合をExとすると、初期条件をEx=空集合として、すべての平日dに以下の判定をすることで前記異常日の集合Exを求めることができる(図5、S370ステップ)。
IF(q_AR(d)≧Q),Then(dの観測トラヒック量は異常として、Ex=Ex∪{d}),Else(正常)
上記から、異常日と判定された当該日の観測トラヒック量を削除することができるため、前記エリア・トラヒック量{yy_AR(t)}から、当該異常日の観測トラヒック量を削除した結果として、異常値を除去したエリア・トラヒック量{z_AR(t)}を求めることができる(図5、S380ステップ)。
当該異常値を除去したエリア・トラヒック量{z_AR(t)}を情報DB部14に保存する(図5、S390ステップ)。
以下の手順では、異常値を除去したエリア・トラヒック量{z_AR(t)}のみを対象とする。
<観測トラヒックの基準量の予測>
図3ですでに説明したように、従来技術にしたがい、月間最大値あるいは日毎最大値に対する直線外挿による予測によれば、観測トラヒックデータの追加の都度に作成される予測線1〜3毎のブレ幅が過大となるために、信頼できる予測結果を確実に得ることが出来なかった。このように、従来技術では、移動体通信サービスのようにトラヒック量の変動が複雑なときには、将来時点でのトラヒック量の精度の高い予測が困難であった。
そこで、観測トラヒック量の数値、または、月間最大値あるいは日毎最大値を用いて直接、直線外挿する方法ではなく、別の方法をとることにする。
このとき、観測トラヒック量の時系列データに含まれるノイズ的・偶然的な変動を取り除くための理想的な処理を施すことができると想定し、その処理により得られた数値には安定的な傾向を強く帯びるため、直線外挿による当該数値の予測が高い精度で達成される性質をもつと考えられる。このように、観測されるトラヒック量から計算できる数値指標で、直線外挿により将来の当該数値が精度高く予測できる性質をもつ数値指標を発見することを考える。このような数値指標を「基準量」と呼ぶことにする。
詳しくは後述するが、本実施例における基準量は、観測トラヒックデータの詳細な分析に基づき、月単位に算出される指標で、回帰分析によるトラヒック予測に適用する数値として、「平日(または、休日)毎の観測トラヒック量合計の24時間平均値に対して、月間回帰線をとった15日相当の数値」と定義している。なお、本実施例における基準量である15日相当の数値は、月内の観測トラヒック量の基準値の一例であり、月内の観測トラヒック量に基づいて別の指標が用いられてもよい。本基準量は、月内の観測トラヒック量合計に概ね比例する数値であるが、これが安定した傾向をもっている背景は以下のように説明されると考えている。現在、移動体通信サービスの月額料金制度は、「通信トラヒック量の総和が一定値を超えるまでは定額料金であるが、一定値を超過する通信トラヒック量には追加料金が必要となる」という、いわゆる、データキャップ型料金制度となっている。そのため、ユーザひとりひとりが、自分が契約しているデータキャップの数値に、通信トラヒック量が達して追加料金が発生しないかどうかに配慮しながら通信利用を行っている。その結果として、データキャップの数値に対する余裕・残余が少なくなるため、月末の通信利用には抑止的な効果が表れ、逆に、月初には通信利用が活性化すると考えられる。この説明は、図2の移動体通信トラヒックの月間変動として観測できる性質をよく言い表している。
図7は、本発明の一実施の形態によるトラヒック予測を示す図である。上記のように、月間最大値である月初最大値に比べて基準量は安定して増加するため、月初最大値の回帰直線に比べて基準量の回帰直線の予測精度は高まる。従って、以下の説明では基準量の回帰直線を算出する具体例について説明する。
基準量算出部16D1は、前記エリア・トラヒック量{z_AR(t)}と、回帰分析の対象とする要求観測期間L0と直近傾向変化点Cとを、情報DB部14から読み込む。直近傾向変化点Cとは、例えば、料金制度/販売施策/行政施策の変化、通信方式の世代交代、メディア・符号化の進化に加えて、キラー端末やキラーアプリへの人気集中などによって、トラヒックの傾向変化が起こった直近の時点である。
まず、回帰分析の対象とする観測期間は、傾向変化点を含む期間を避ける必要があり、つまり、直近傾向変化点C以降であって、かつ、要求観測期間L0に含まれることになるので、この条件を満足する期間を、観測期間Lとする(図8、S415ステップ)。
次に、回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる全ての月m∈Lに対して、それぞれ、以下を行う。
着目する月mの平日d_m,kについて、当該日の観測トラヒック量合計の24時間平均Emz(d_m,k)は、以下のように算出される。ただし、当該月mの平日数をw(m)とする(図8、S420ステップ)。
ここで、データ列{d_m,k, Emz(d_m,k)},(k=1,2,…,w(m))に対して、以下の直線回帰式を求める。
Y_m(X)=a_mX+b_m
直線回帰式の求め方は、以下である。ただし、前記平日d_m,kは、前記月mの前記k番目の平日が西暦1900年1月1日からの経過日数のような数値に変換して、直線回帰を行うものとする(図8、S430ステップ)。
前記直線回帰式にX=15を代入することで、15日相当の数値となり、前記基準量の定義にしたがい、当該月mの基準量G_mが求められる(図8、S440ステップ)。
G_m=Y_m(15)=a_m・15+b_m
このように、一旦、当該月m内で直線回帰式を求めて、前記基準量G_mを当該直線回帰式にX=15を代入して得られる15日相当の数値とし、15日の観測トラヒックデータをそのまま使わない理由は、以下である。まず、15日の観測トラヒックデータが存在しない場合がある。前記異常値処理部16Cで、異常データを削除処理しているため、15日の観測トラヒックデータが欠損している可能性がある。加えて、15日の測定トラヒックデータが存在したとしても、当該15日の偶然的変動から影響を受けた数値となっている。そこで、前記直線回帰式の処理を経ることで、測定日の一日一日に依存したトラヒックの偶然的変動を取り除くことが期待できる。さらに、15日と特定する理由は、15日が月の中日であり月初から月末に向けて減少する傾向である月間変動が最も安定する日と考えられるためである。ただし、上記のように、月内の観測トラヒック量に基づいて別の数値が用いられてもよい。また、上記の例では基準量の回帰分析を直線回帰式により行っているが、2次以上の多項式を用いた回帰曲線を用いることで、近似の精度を高めることもできる。
さらに、前記の手続きを基準量の回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる全ての月m_i(m_i=m_1,m_2,…,m_l)について適用して、それぞれ、前記基準量{G_m_i}を求める(図8、S450ステップ)。
上記までに得られたデータ列
{m_i,G_m_i},m_i=m_1,m_2,…,m_l
に対して、以下の基準量を予測する直線回帰式を求める。
Y_L(X)=a_LX+b_L
求め方は、上述した通りである。ただし、前記月m_iは、西暦1900年1月1日からの経過した月数のような数値に変換して、直線回帰を行うものとする(図8、S460ステップ)。
このとき、前記直線回帰式は、前記基準量を予測する直線であって、将来時点の月mmにおける基準量G_mmの予測値は、Y_L(mm)で求めることができる。
前記観測期間Lと前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L, b_L}と、前記基準量を含むデータ列{m_i, G_m_i}と、前記平日d_m,kの観測トラヒック量24時間平均値{Emz(d_m,k)}を、情報DB部14に保存する(図8、S470ステップ)。
<適合誤差の算出及び補正>
適合誤差算出部16D2は、前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L, b_L}と、前記基準量を含むデータ列{m_i, G_m_i}を、情報DB部14から読み込む。
前記直線回帰式により、将来時点の月mmにおける基準量G_mmの予測値を、Y_L(mm)として求めることができると考えるわけであるが、その根拠となるのは、現在までの観測期間Lに含まれる全ての月m_i(m_i=m_1,m_2,…,m_l)についての前記基準量{G_m_i}が、前記基準量の直線回帰式
Y_L(m_i)=a_Lm_i+b_L
によって、当該時点m_iの基準量G_m_iを精度良く推定されていることである。
逆に、観測期間Lにおける前記基準量の直線回帰式の精度が低ければ、前記基準量の直線回帰式の予測の精度も低いと考えることが合理的な推論となる。
そこで、予測の精度の指標として、前記基準量{G_m_i}と、前記基準量の直線回帰式
Y_L(m_i)=a_Lm_i+b_L
との適合誤差E_ARを、以下により算出する(図9、S475−020ステップ)。
ここで、適合誤差E_ARとは、前記エリア領域ARに対して導かれた前記基準量の直線回帰式の適合誤差であることを意味する。
前記適合誤差E_ARを、情報DB部14に保存する(図9、S475−030ステップ)。
補正部16D3は、前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L, b_L}と、前記基準量を含むデータ列{m_i, G_m_i}と、前記適合誤差E_ARと、トラヒック予測の精度を一定水準以上に保つために予め設定された適合誤差水準値EEを、情報DB部14から読み込む。
前記適合誤差E_ARが、前記適合誤差水準値EEと比較して大きいとき、以下の補正(1)〜(3)のいずれか、または、すべてを行っても良い(図10、S480−020〜S480−090ステップ)。
前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i}によって定まる直線回帰式によって、将来時点の基準量を予測しようとする本実施の形態の手法において、実際にしばしば観測されるデータで、予測誤差を大きくする典型的なパターンが3つあり(図11、図12、図13)、それぞれのパターンに対して、予測誤差を小さく抑えるための補正を適用する。
(1)大きなジャンプ点あるいは不連続点に対する補正
図11のように、前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i}の中に大きなジャンプ点があり、当該ジャンプ点の前後で、トラヒック量の連続的な変化が分断されているパターンがある。精度の高い予測にするには、当該ジャンプ点以降のデータのみを使って予測をすることが有効である。
以下の手順によって、前記ジャンプ点を検出する。前月の基準量との相対比、
によって、基準量の回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる全ての月m_i, m_i=m_1,m_2,…,m_lについて適用して、相対比の最大値となる月m_jumpを求める。
さらに、以下のデータ列
の標本標準偏差u>0のある正の定数a>0との倍数によって、
が成り立つときに限り、ジャンプ点m_jjmpと定義とすることも可能である(図10、S480−030ステップ)。(成り立たない場合には、ジャンプ点は存在しないことになる。)
当該ジャンプ点以降のデータを使った直線回帰式により将来トラヒックの予測を行うため、前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i},(m_i=m_1,m_2,…,m_l)を、当該ジャンプ点以降の基準量の時系列データ{m_i, G_m_i},(m_i=m_jump,…,m_l)のみに書換える(図10、S480−040ステップ)。
(2)一時的スパイク点に対する補正
図12のように、前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i}の中に一時的スパイク点があり、当該スパイク点によって、トラヒック量の連続的な変化が擾乱されているパターンがある。精度の高い予測にするには、当該スパイク点のデータを取り除いて予測をすることが有効である。
以下の手順によって、前記スパイク点を検出する。前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L, b_L}から、前記基準量の直線回帰式
Y_L(m_i)=a_Lm_i+b_L
により予測される基準量との相対誤差は、以下となる。
基準量の回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる全ての月m_i, m_i=m_1,m_2,…,m_lについて適用して、その最大値となる月m_spikeを求める。
さらに、以下のデータ列
の標本標準偏差u>0のある正の定数a>0との倍数によって、
が成り立つときに限りスパイク点m_spikeと定義とすることも可能である(図10、S480−050ステップ)。(成り立たない場合には、スパイク点は存在しないことになる。)
当該スパイク点を除くデータを使った直線回帰式により将来トラヒックの予測を行うため、前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i},(m_i=m_1,m_2,…,m_l)を、当該スパイク点{m_spike, G_m_spike}を取り除いた、{m_i, G_m_i},(m_i∈L-{m_spike})
に書き換える(図10、S480−060ステップ)。
(3)季節変動に対する補正
図13のように、前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i}の中に季節変動があり、トラヒック量の連続的な変化が擾乱されているパターンがある。一般に、通信サービスには、その通信サービスに依存した季節変動が存在することが、経験的に知られている。あるいは、長期に蓄積した測定トラヒックデータの分析からも、季節変動を抽出することができる。さらに、エリアに依存した季節変動があることも知られている。例えば、観光地では、閑散期には移動体通信トラヒック量が大幅に減少する現象が見られる。また、大規模な大学の所在地周辺では、夏休み春休みのような長期休暇の時期には、同じように、移動体通信トラヒック量が大きく減少する現象が見られる。
移動体通信の設備計画を立案するときには、最繁時の通信品質を確保する視点から、設備計画対象のエリアに依存して、トラヒック量が大幅に減少する閑散時期のデータを使わないで、トラヒック予測をすることが有効となる。
そこで、前記エリア領域ARにおけるトラヒック閑散期M_idle_ARは、上述のように、経験および蓄積データからの分析結果から設定することができる(図10、S480−070ステップ)。
当該トラヒック閑散期M_idle_ARのデータを取り除いた直線回帰式により将来トラヒックの予測を行うため、前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i},(m_i∈L)を、前記トラヒック閑散期M_idle_ARを取り除いた、{m_i, G_m_i},(m_i∈L-M_idle_AR)に書き換える(図10、S480−080ステップ)。
書き換えた前記基準量の時系列データ{m_i, G_m_i}を、情報DB部14に保存する(図10、S480−090ステップ)。
<エリア領域の拡大・分割・分解>
適合判定部16D4は、前記適合誤差E_ARと、前記適合誤差水準値EEを、情報DB部14から読み込む。
前記適合誤差E_ARを、前記適合誤差水準値EEと比較する(図14、S490−020ステップ)。
前記比較結果が小さければ、観測期間Lにおいて基準量{G_m_i}が要求する予測精度よりも良く推定されていることになるので、当該基準量の回帰式を採用する。前記適合誤差E_ARと前記適合誤差水準値EEとの比較結果として、当該基準量の回帰式の採用判定(合格)を、情報DB部14に保存する(図14、S490−030ステップ)。
一方、前記比較結果が大きければ、観測期間Lにおいて基準量{G_m_i}が要求する予測精度に達していないため、当該基準量の回帰式を採用することはできない。この原因は、前記エリア領域ARにおけるトラヒック変動成分が大き過ぎることであるので、本実施の形態では、前記エリア領域ARを別のエリア領域に変更し、予測精度を改善させる処理を行うため、エリア拡大・分割・分解部16B3に進む。前記適合誤差E_ARと前記適合誤差水準値EEとの比較結果として、当該基準量の回帰式の採用判定(不合格)を、情報DB部14に保存する(図14、S490−040ステップ)。
エリア拡大・分割・分解部16B3は、前記490−040ステップによって促されて起動し、前記エリア領域ARを、情報DB部14から読み込む。
前記エリア領域ARを代替させる別のエリア領域またはその集合を構成する手法として、以下の3種類の手法がある。
(1)エリア領域の拡大
一般に、エリアが小さいほどそのトラヒック変動や成長は複雑になり、予測精度が低下する。逆に、エリアを大きくすれば、トラヒック変動や成長は典型的標準的となるため、トラヒック予測の精度を高めることができる。そこで、図15のように、前記エリア領域ARを代替させる別のエリア領域として、当該エリア領域ARを包含するより広いエリア領域として、拡大エリア領域AR+を設定することができる。例えば、当該エリア領域ARの重心から境界までの距離を数倍に拡大した領域を、前記拡大エリア領域AR+として設定できる。最終的に、前記拡大エリア領域AR+のトラヒック予測を前記エリア領域ARのトラヒック予測として採用することで、極端に大きな予測誤差の発生を防ぐことができる。前記拡大エリア領域AR+を情報DB部14に保存する(図14、S270−020ステップ)。
経験的には、前記適合誤差水準値EEよりも適合誤差E_AR+が小さくなるまで、ARに対して拡大エリア領域AR+を拡大させることが可能である。
(2)地理的な位置に基づくエリア領域の分割
前記のように、一般には、エリアは小さいほどそのトラヒック変動や成長は複雑になりやすいが、小さいエリアに分割することで、分割されたエリア内のユーザ行動や通信利用行動の類似性が高まる場合には、トラヒック変動や成長の予測精度を高めることができる。それにより、設備への投資効果を高められる。そこで、図16のように、前記エリア領域ARを代替させる別のエリア領域として、当該エリア領域ARを地理的な位置に基づき分割した、分割エリア領域集合{ARs_j:j=1,2,…,J}に設定することができる。例えば、当該エリア領域ARの重心から、360/J度の角度で分割したエリア領域の集合としても設定できる。また、当該エリア領域ARを格子状に複数に分割する設定も可能である。前記分割エリア領域集合{ARs_j:j=1,2,…,J}を情報DB部14に保存する(図14、S270−030ステップ)。
分割されたエリア{ARs_j:j=1,2,…,J}のどれか一つでも、例えば、ARs_1の適合誤差E_ARs_1が前記適合誤差水準値EEよりも小さければ、ARs_1のトラヒック予測は精度が高く採用できる。ARs_1を含まない残りのエリア{ARs_j:j=2,…,J}は、まだ、予測精度が低いが、当初のARに比べてエリアの広さを減らすことができている。
(3)機能属性に基づくエリア領域の分解
地理的なエリアは、住宅地、オフィス街、商業地、駅周辺などの場所(空間)の属性を持つが、その属性によって、トラヒックの最繁時や24時間変動が異なり複雑なため、移動体通信サービスに対しての地理的エリア単位にトラヒック予測を精度高く行うことが、技術的な課題になっている。
当該エリア領域ARを、前記のように単純に地理的な位置に基づき分割するのではなく、分割した後の小エリア内のユーザ行動や通信利用行動の類似性をより積極的に高めるため、小エリア内の属性を設計することが考えられる。通常、エリアは住宅街、オフィス街、商業地、駅周辺といったユーザの生活シーンのいずれかを担う機能を果たしている。ユーザの多くも、エリアごとの生活シーンにしたがい、求められる行動を行っているため、機能属性が近いエリア領域内でトラヒックの変動や成長が類似する傾向にある。したがって、例えば、住宅地の特長である22時台を最繁時とする条件によってセクタ・基地局集合を作り、前記セクタ・基地局集合の緯度・経度情報から地理的な領域を生成し、住宅地の機能属性を持つとみなせる小エリアを構成することが考えられる。図17は、地理的エリアを住宅区画、商店区画、幹線道路区画の3つの属性で分解した事例を示している。
このようにして、前記エリア領域ARを機能属性によって分解したエリア領域の集合、分解エリア領域集合{ARf_j:j=1,2,…,F}に設定にすることができる。前記分解エリア領域集合{ARf_j:j=1,2,…,F}を情報DB部14に保存する(図14、S270−040ステップ)。
分割されたエリア{ARf_j:j=1,2,…,J}のどれか一つでも、例えば、ARf_1の適合誤差E_ARf_1が前記適合誤差水準値EEよりも小さければ、ARf_1のトラヒック予測は精度が高く採用できる。ARf_1を含まない残りのエリア{ARf_j:j=2,…,J}は、まだ、予測精度が低いが、当初のARに比べてエリアの広さを減らすことができている。
前述のように、単純な前記分割の手法に比べて、ユーザ行動や通信利用行動の類似性の高い前記分解の手法が、エリアが狭くても予測精度が高めやすいと期待できる場合には、前記分解を先に適用する。まず、前記分解の手法を適用することにより、前述のように、{ARf_j:j=1,2,…,J}の一部のエリアの適合誤差を、前記適合誤差水準値EEよりも小さくすることができる。次に、前記適用誤差水準値EEよりも小さくできなかったエリアに対して、前記分割の手法を適用することにより、前述のように、{ARs_j:j=2,…,J}の一部のエリアの適合誤差を、前記適合誤差水準値EEよりも小さくすることができる。それでも前記適用誤差水準値EEよりも小さくすることができなかったエリアに対して、最後に、前記拡大の手法を適用する。前記適合誤差水準値EEよりも適合誤差E_AR+が小さくなるまで、前記ARに対して拡大エリア領域AR+を拡大させることが可能になる。
つまり、前記分解、前記分割、前記拡大の各手法をこの順序で、予測精度が不十分なエリア領域に適用することにより、前記適合誤差を前記適合誤差水準値EEよりも小さくすることが可能になる。
エリア・トラヒック算出部16B2は、前記エリア領域ARを代替させる別のエリア領域、またはエリア領域の集合である、AR+、{ARs_j:j=1,2,…,J}、{ARf_j:j=1,2,…,F}を読み込む(図5、S280ステップ)。
前記AR+、{ARs_j:j=1,2,…,J}、{ARf_j:j=1,2,…,F}の領域から、当該エリアのエリア・トラヒック量{y_AR+(t)}、{y_ARs_j(t)},(j=1,2,…,J)、{y_ARf_j(t)},(j=1,2,…,F)を算出して、情報DB部14に保存する(図5、S230〜S260ステップと同一)。
これ以降の前記異常値処理部16C、前記基準量算出部16D1の処理も、前述の通り行われる。
適合誤差算出部16D2は、前述の通り、エリア領域に対して導かれた基準量の直線回帰式の適合誤差を算出するので、前記エリア領域ARを代替させる別のエリア領域、またはエリア領域の集合である、AR+、{ARs_j:j=1,2,…,J}、{ARf_j:j=1,2,…,F}の設定に応じて、それぞれの適合誤差を前記と同一の処理で算出する。
ここで、前記エリア領域AR+、{ARs_j:j=1,2,…,J}、{ARf_j:j=1,2,…,F}に対応する適合誤差を、適合誤差E_AR+、{E_ARs_j:j=1,2,…,J}、{E_ARf_j:j=1,2,…,F}とする。
前記適合誤差E_AR+、{E_ARs_j:j=1,2,…,J}、{E_ARf_j:j=1,2,…,F}を情報DB部14に保存する(図9、S475−020〜S475−030ステップと同一)。
適合判定部16D4は、前述の通り、エリア領域に対して導かれた適合誤差を、前記適合誤差水準値EEと比較して、前記適合誤差の元となった基準量の回帰式の採用判定(合格/不合格)を行うので、前記エリア領域ARを代替させる別のエリア領域、またはエリア領域の集合である、AR+、{ARs_j:j=1,2,…,J}、{ARf_j:j=1,2,…,F}の設定に応じて、それぞれのE_AR+、{E_ARs_j:j=1,2,…,J}、{E_ARf_j:j=1,2,…,F}を前記と同一の処理で前記適合誤差水準値EEと比較し、当該基準量の回帰式の採用判定(採用/不採用)を、情報DB14に保存する(図14、S490−020〜S490−040ステップと同一)。
前述したように、前記拡大の手法を適用するとき、前記適合誤差水準値EEよりも適合誤差E_AR+が小さくなるまで、前記ARに対して拡大エリア領域AR+を拡大させることが可能であるので、不採用のまま残るエリアは無くなる。不採用のまま残る場合には、エラーとする。
さて、前記分解または前記分割の手法を用いた場合には、所与の設計対象エリア領域であるARを、複数の部分エリアに分けて、それぞれの適合誤差や、それに対応する成長率を持つことになる。分かり易くするため、南北のエリアに分けられて、それぞれ、適合誤差水準を満たす成長率として、南エリアが1.2倍、北エリアが1.5倍という数値が得られたものとする。
このとき、設備設計の立場からは、所与のエリアよりも詳細な粒度で成長率が得られたので、基地局やセクタの設計では南エリアよりも北エリアに手厚く設備を増設するような対応が取れるので、実用上の支障は生じないと考えている。現実に、道を一本挟んで、市街の開発状況が分かれて、トラヒック成長が異なるということは起こり得る。
一方で、所与の設計対象エリア領域であるARは不変にして、その成長率を算出する場合には以下の方法があり、選択的に選んでも良い。
前記適合誤差E_AR+、{E_ARs_j:j=1,2,…,J}、{E_ARf_j:j=1,2,…,F}と、トラヒック予測の精度を一定水準以上に保つために設定された適合誤差水準値EEを、情報DB部14から読み込む。
前記分解の手法による前記エリア領域の集合{ARs_j:j=1,2,…,J}を代表する適合誤差E_ARsを以下で定義する(図14、S490−060ステップ)。
これは、前記エリア領域の集合{ARs_j:j=1,2,…,J}の中で、最も適合誤差の小さいエリアを、その集合の代表エリアと定めて、トラヒックの成長率などを決めることに相当する。
同様に、前記分割の手法による前記エリア領域の集合{ARf_j:j=1,2,…,J}を代表する適合誤差E_ARfを以下で定義する(図14、S490−060ステップ)。
これは、前記エリア領域の集合{ARf_j:j=1,2,…,J}の中で、最も適合誤差の小さいエリアを、その集合の代表エリアと定めて、トラヒックの成長率を決めることに相当する。
前記適合誤差E_AR+、E_ARs、E_ARfを、前記適合誤差水準値EEと比較する(図14、S490−070ステップ)。
前記比較結果が小さければ、観測期間Lにおいて基準量{G_m_i}に対して、要求する予測精度よりも良く推定されていることになるので、当該基準量の回帰式を採用する。前記適合誤差水準値EEとの比較結果として、当該基準量の回帰式の採用判定(合格)を、情報DB部14に保存する(図14、S490−080ステップ)。
一方、前記比較結果が大きければ、観測期間Lにおいて基準量{G_m_i}に対して、要求する予測精度に達していないが、設備増設の業務を停滞させることは出来ないので、最も適合誤差の小さいものを当該基準量の回帰式として採用する。前記適合誤差水準値EEとの比較結果として、当該基準量の回帰式の採用判定(不合格)を、情報DB部14に保存する(図14、S490−090ステップ)。
以上により、トラヒック予測の精度を高めるために、エリア領域を拡大・分割・分解を進めて行き、適合誤差水準を満たすことが可能となる。
<トラヒック量の最大値の予測>
トラヒック予測として最も重要なことは、将来の設計目標時期でのトラヒック量の最大値が予測できることであり、その結果、移動体通信サービスの品質が劣化しないように設備増設を行う運用計画を立案して遂行できることである。本実施例では、月単位に得られる前記基準量に、24時間変動率、月間変動率、誤差変動率を乗じて将来の設計目標時期でのトラヒック量の最大値を求めることができる。
24時間変動率算出部16Eは、前記エリア・トラヒック量{z_AR(t)}と、回帰分析の対象とする観測期間Lと、前記平日d_m,kの観測トラヒック量の24時間平均値{Emz(d_m,k)}を、情報DB部14から読み込む。
まず、回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる月mに対して、以下を行う。着目する月mの平日d_m,kの観測トラヒック量合計の24時間平均値{Emz(d_m,k)}から、当該日d_m,kの24時間平均値Emz(d_m,k)により正規化した、時間h(h=0,1,…,23)の正規化観測トラヒック量{fz_AR(d_m,k,h)}は、以下となる(図18、S520ステップ)。
ここで、同一時間h(h=0,1,…,23)の条件で、当該月mでの正規化観測トラヒック量{fz_AR(d_m,k,h)}の月間平均値Mfz_AR(m,h)を算出する(図18、S530ステップ)。
上記の手順を、回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる最初の月、1番目の月m_1から、最後の月m_lまですべてに適用し、それらの期間平均値をとる(図18、S540ステップ)。
M_Lfz_AR(h)=AVERAGE{Mfz_AR(m_1,h),Mfz_AR(m_2,h),...,Mfz_AR)(m_l,h)}
前記期間平均値{M_Lfz_AR(m,h)}(h=0,1,…,23)は、当該観測期間Lの平均的な正規化24時間変動に等しいので、最繁時における変動率、つまり、24時間変動率r_pは以下のように前記期間平均値{M_Lfz_AR(m,h)}の時間毎の最大値で求められる(図15、S550ステップ)。
前記24時間変動率r_pを、情報DB部14に保存する(図18、S560ステップ)。
月間変動率算出部16Fは、前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}と前記基準量{G_m}と観測期間Lを、情報DB部14から読み込む。
まず、観測期間Lを対象とした、以下のデータ列を生成する。ただし、
は、前記期間Lに含まれる月m_iの前記k番目の平日の日付けである(図18、S620ステップ)。
このデータ列は、回帰分析の対象の観測期間Lに含まれる平日の日付けと前記基準量{G_m}により正規化された当該日付の前記24時間平均値を表している。
前記データ列に対して回帰分析を行い、月間変動の直線回帰式を求める。
Y_D(X)=a_DX+b_D
求め方は、上述した通りである(図18、S630ステップ)。なお、月間変動率は三角関数などの周期関数により近似の精度を高くすることも可能である。
このとき、月間変動率をr_mとすると、以下で求められる。
r_m=a_D・1+b_D
月初に最大値になるため、初日として、平日の日付けの変数に、1を代入する(図18、S640ステップ)。
前記月間変動の直線回帰式を定める数値{a_D, b_D}と前記月間変動率r_mを情報DB部14に保存する(図18、S650ステップ)。
誤差変動率算出部16Gは、前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}と前記月間変動の直線回帰式を定める数値{a_D, b_D}と観測期間Lと閾値αを情報DB部14から読み込む。
前記観測期間Lに含まれる月m_i, m_i=m_1,m_2,…,m_lに関して、平日d_i,kにおける基準量の回帰式と月間変動の回帰式により算出される24時間平均値の予測値と、当該平日d_i,kに実際に観測された前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}との相対誤差に対応する、以下の誤差データを生成する(図19、S720ステップ)。
前記誤差データに対して、誤差の発生累積確率分布H(x)を作成する(図19、S730ステップ)。
次に、当該誤差の発生累積確率分布H(x)に対して、あらかじめ設定する閾値(α%)を超える誤差変動の数値を、誤差変動率r_eとすると、以下のように求められる(図19、S740ステップ)。
前記閾値α%の例としては、通常、99%、90%等を利用できる。
前記誤差変動率r_eを情報DB部14に保存する(図19、S750ステップ)。
<必要帯域の算出>
トラヒック予測算出部16Hは、前記24時間変動率r_p、前記月間変動率r_m、前記誤差変動率r_e、前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L, b_L}を、情報DB部14から読み込む。さらに、所望の将来時点の月mmを操作入力部12から入力する。
このとき、前記所望の将来時点の月mmにおける最大トラヒック量である月初最大値の予測値Y_max(mm)は、以下で求めることができる(図19、S830ステップ)。
Y_max(mm)=Y_L(mm)・r_p・r_m・r_e=(a_L・mm+b_L)・r_p・r_m・r_e
前記将来時点mmの月初最大値の予測値Y_max(mm)を、情報DB部14に保存する(図19、S840ステップ)。
観測トラヒック量{y(t)}は、前述のように、例えば、1時間、あるいは、5分間といった観測時間粒度での平均トラヒック流量bit/secの数値であり、当該観測時間粒度よりも短い時間粒度では、実際のトラヒック流量が、同じ観測期間内であっても観測トラヒック量を超過する瞬間が必ず存在する。移動体通信サービスにおいて、多くの通信アプリケーションはIPプロトコルで実装されており、IPプロトコルによる通信フローに流れるIPパケットの送信は、一様な速度ではなく大きな偏りがある。このIPパケットの瞬間的な偏りの性質を、バースト性と呼ぶ。したがって、IPパケットのフローのバースト性によって強く影響を受けて、前記の実際のトラヒック量が、同じ観測期間の観測トラヒック量を瞬間的に超過する性質を、トラヒックの短時間変動と呼ぶ。
つまり、将来の設計目標時期においては、観測トラヒック量と同じ設備容量を有する帯域設備があっただけでは、トラヒックの短時間変動を吸収しきれない。
したがって、移動体通信サービスにおいて期待される通信品質を確保する目的では、トラヒックの短時間変動を確実に吸収できる帯域が必要である。このように、観測トラヒック量よりも大きく、トラヒックの短時間変動も吸収できることに加えて、不経済にならない程度に、最適な帯域を算出する必要がある。このように短時間変動を考慮した最適な帯域を、「必要帯域」と呼ぶことにする。
必要帯域算出部16Iは、前記将来時点の月mmの月初最大値の予測値Y_max(mm)と、補正係数K(>1)を、情報DB部14から読み込む。
前記補正係数Kは、パケットキャプチャなどによるトラヒックの短時間変動を実際に測定し、対象とする帯域設備の有するバッファサイズが瞬間的に吸収できるトラヒックの短時間変動の大きさなどを考慮して決めることができる。
前記予測値Y_max(mm)に対して、前記補正係数K(>1)を乗じて、必要帯域B_F(mm)を算出する(図20、S920ステップ)。
B_F(mm)=K・Y_max(mm)
前記必要帯域B_F(mm)を、情報DB部14に保存する(図20、S930ステップ)。
なお、上記の実施の形態では、平日における必要帯域B_F(mm)の算出について説明したが、平日または休日それぞれ独立にトラヒック量を予測し、より大きいトラヒック量の予測値に対して必要帯域B_F(mm)を算出することができる。また、ネットワーク設備情報41を情報DB部14から読み込み、必要帯域B_F(mm)を満足するために増設する必要のある通信設備を求めることができる。
<補足>
説明の便宜上、本発明の実施の形態に係る通信帯域算出装置は機能的なブロック図を用いて説明しているが、本発明の実施の形態に係る通信帯域算出装置は、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実現されてもよい。また、各機能部が必要に応じて組み合わせて使用されてもよい。また、本発明の実施の形態に係る方法は、実施の形態に示す順序と異なる順序で実施されてもよい。
例えば、異常値処理部16C、24時間変動率算出部16E、月間変動率算出部16F、誤差変動率算出部16Gなどにおける処理は必ずしも実行される必要はなく、必要に応じて実行されてもよい。また、各機能部の名称は単なる例であり、例えば、基準量算出部16D1は回帰式算出部などと呼ばれてもよい。
以上、通信サービスによるトラヒック量の変動及び成長が複雑な通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアに対して、通信サービスのトラヒック予測の精度を所望の水準以上に高める予測を行い、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出するため手法について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変更・応用が可能である。
10 通信帯域算出装置
11 通信I/F部
12 操作入力部
13 画面表示部
14 情報DB部
15 記憶部
16 演算処理部
16A 情報取得部
16B1 エリア設定部
16B2 エリア・トラヒック算出部
16B3 エリア拡大・分割・分解部
16C 異常値処理部
16D1 基準量算出部
16D2 適合誤差算出部
16D3 補正部
16D4 適合判定部
16E 24時間変動率算出部
16F 月間変動率算出部
16G 誤差変動率算出部
16H トラヒック予測算出部
16I 必要帯域算出部
20 通信ネットワーク
21、22 ノード
23 オペレーションシステム
24、25 基地局
26、27、28、29 携帯端末
30、31、32 帯域設備
41 ネットワーク設備情報
42 トラヒック情報
43 基地局・セクタ情報

Claims (7)

  1. 通信サービスを提供するために必要となる帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
    通信ネットワークのトラヒック情報と地理的エリア情報を取得する情報取得手段と、
    設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行うエリア設定手段と、
    当該エリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出手段と、
    前記エリア・トラヒック量から、ジャンプ点以降のデータの抽出、スパイク点のデータの除外、及びトラヒック閑散期の間のデータの除外のうち少なくとも1つの補正を行う補正手段と、
    前記補正されたエリア・トラヒック量から、エリア・トラヒック量を予測する回帰式を算出する回帰式算出手段と、
    前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さいか否かを判定する適合判定手段と、
    前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さい場合、前記回帰式に基づき、所望の将来時点に対して、当該将来時点の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出手段と、
    前記将来時点の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出手段と、
    を備えたことを特徴とする通信帯域算出装置。
  2. 前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値以上である場合、前記エリア領域を拡大するエリア拡大手段をさらに備え、
    前記エリア・トラヒック算出手段は、前記拡大されたエリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力することを特徴とする、請求項1に記載の通信帯域算出装置。
  3. 前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値以上である場合、前記エリア領域を地理的な位置または機能属性に基づき分割または分解するエリア分割・分解手段をさらに備え、
    前記エリア・トラヒック算出手段は、前記分割または分解されたエリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力することを特徴とする、請求項1に記載の通信帯域算出装置。
  4. 通信サービスを提供するために必要となる帯域を算出する通信帯域算出装置における通信帯域算出方法であって、
    通信ネットワークのトラヒック情報と地理的エリア情報を取得する情報取得ステップと、
    設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行うエリア設定ステップと、
    当該エリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出ステップと、
    前記エリア・トラヒック量から、ジャンプ点以降のデータの抽出、スパイク点のデータの除外、及びトラヒック閑散期の間のデータの除外のうち少なくとも1つの補正を行う補正ステップと、
    前記補正されたエリア・トラヒック量から、エリア・トラヒック量を予測する回帰式を算出する回帰式算出ステップと、
    前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さいか否かを判定する適合判定ステップと、
    前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値より小さい場合、前記回帰式に基づき、所望の将来時点に対して、当該将来時点の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出ステップと、
    前記将来時点の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
    を備えたことを特徴とする通信帯域算出方法。
  5. 前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値以上である場合、前記エリア領域を拡大するエリア拡大ステップをさらに備え、
    前記エリア・トラヒック算出ステップは、前記拡大されたエリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力することを特徴とする、請求項4に記載の通信帯域算出方法。
  6. 前記エリア・トラヒック量に対する前記回帰式の適合誤差が予め設定された適合誤差水準値以上である場合、前記エリア領域を地理的な位置または機能属性に基づき分割または分解するエリア分割・分解ステップをさらに備え、
    前記エリア・トラヒック算出ステップは、前記分割または分解されたエリア領域内における観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力することを特徴とする、請求項4に記載の通信帯域算出方法。
  7. コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信帯域算出装置の各部として機能させるためのプログラム。
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