JP5807102B1 - 通信帯域算出装置、通信帯域算出方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークにおいて、将来のトラヒック量の予測精度及び必要となる帯域設備量の算出精度を向上させる。【解決手段】通信帯域算出装置は、観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得部と、帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データの近似曲線を導出し、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理部と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理部と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理部とを有する。【選択図】図3
Description
本発明は、通信帯域算出装置、通信帯域算出方法及びプログラムに関する。より具体的には、本発明は、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークの通信設備を対象とし、利用ユーザから必要とされる通信サービス品質を提供するために、将来の設計目標時期において必要となる帯域設備量を算出する技術に関する。
従来から、固定回線あるいは移動体に拘わらず、通信ネットワークを介して提供される通信サービスに対して、利用するユーザから必要とされる通信サービスの品質として、QoS(Quality of Service)あるいはQoE(Quality of Experience)を定めることができる。通信サービス事業者は、そのようなサービス品質を達成するような通信ネットワークの設計・運用・管理を行っている。
その目的を達成するため、通信ネットワークでは、定常的にトラヒック量の測定を行うと同時に、提供する通信サービスのトラヒック特性の分析・評価を行い、得られた知見に基づき、求められる通信サービスの品質を経済的に達成できるような通信ネットワークの設計・運用・管理業務を行っている。
一例として、トラヒックに関する特性値、例えば、各通信設備を通過する、あらかじめ設定された時間間隔での平均トラヒック量や、注目する通信サービスの各コネクションを形成するIP(Internet Protocol)パケットの流れに対して測定できるパケット数、パケット長などを測定することにより、当該通信サービスのトラヒック量とトラヒック特性の評価を行っており、求められる通信サービスの品質を達成できるような通信ネットワークの設計・運用・管理業務を行っている。
電話サービスを提供する通信ネットワークの設備を対象にして、観測した時系列トラヒックデータの統計量を用いて、将来のトラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる設備量を適切に算出する技術については、例えば、非特許文献1で提案されている技術がある。
電話サービス、インターネット接続サービス、映像配信サービス(多チャンネル放送サービスとビデオオンデマンドサービス)など、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルによる多様な通信サービスを多重して提供している通信ネットワークを対象とし、将来トラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる設備量を適切に算出する技術については、例えば、特許文献1で提案されている技術がある。
主に企業ユーザに対して、通信サービスに関して事前に契約を結び、当該契約で定めた一定以下の通信トラヒック量について、地理的に離れたLAN(Local Area Network)間などをイーサネット(登録商標)インターフェースなどの通信回線で接続して、自由な通信利用を可能とするような通信サービスを提供する通信ネットワークを対象とし、将来トラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる設備量を適切に算出する技術については、例えば、特許文献2〜4で提案されている技術がある。
移動体通信サービスを対象とする運用技術については、例えば、特許文献5〜7で提案されている技術がある。
川野弘道ほか,「マクロ分析のためのトラヒック予測手法とその評価」,信学会B, Vol. J-82-B, No. 6, pp. 1107-1114, 1999.
上記の非特許文献1、特許文献1〜7のいずれの技術も、移動体通信サービスのようなトラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークのトラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる設備量を適切に算出する技術に該当するものはない。
図1は、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークで観測されるトラヒック量の典型例を示す図である。移動体通信サービスを提供する通信ネットワークで観測されるトラヒック量は、図1のような特有の大きな変動を示す。典型的には、トラヒック量の長期的な傾向は増加傾向にあるのに対して、月内においては月初のトラヒック量が大きくなり、月末までに減少するという傾向になる。
図2は、移動体通信サービスのトラヒック量に対する従来技術による予測の例を示す図である。例えば、従来技術である、月間最大値あるいは日毎最大値に対する直線外挿による予測あるいは回帰予測によれば、予測線毎のブレ幅が過大となるために、信頼できる予測結果を確実に得ることが出来なかった。このように、従来技術では、移動体通信サービスのトラヒック量のように、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークにおける将来時点でのトラヒック量の予測が困難であった。
本発明は、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークにおいて、将来のトラヒック量の予測精度及び必要となる帯域設備量の算出精度を向上させることを目的とする。
本発明の一態様によれば、
通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得部と、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理部と、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理部と、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理部と、
を有する通信帯域算出装置が提供される。
通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得部と、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理部と、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理部と、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理部と、
を有する通信帯域算出装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出する通信帯域算出装置による通信帯域算出方法であって、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得するステップと、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出するステップと、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出するステップと、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出するステップと、
を有する通信帯域算出方法が提供される。
通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出する通信帯域算出装置による通信帯域算出方法であって、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得するステップと、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出するステップと、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出するステップと、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出するステップと、
を有する通信帯域算出方法が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出するために、コンピュータを、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得手段、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理手段、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理手段、及び
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理手段、
として機能させるためのプログラムが提供される。
通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出するために、コンピュータを、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得手段、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理手段、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理手段、及び
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理手段、
として機能させるためのプログラムが提供される。
本発明によれば、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークにおいて、将来のトラヒック量の予測精度及び必要となる帯域設備量の算出精度を向上させることが可能になる。
本発明の一実施の形態では、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークのように、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークにおいて、利用ユーザから必要とされる通信サービス品質を提供するために、将来の設計目標時期において必要となる帯域設備量を算出するための通信帯域算出装置について説明する。
本実施の形態では、通信ネットワークの管理・運用業務に伴い、将来に必要となる帯域の算出評価の実行が、一定の期間を単位に、継続して実施される状況を想定する。例えば、一カ月あるいは一週間といった、一定期間を単位として、将来時点で必要となる帯域を算出して、現有の帯域設備の将来の行詰り・逼迫時期を推定するものとする。同様に、算出するための観測トラヒック量についても、現在に至る一定期間分の測定データを集めて統計処理などが実施されるものとする。これらの期間の概念を明確にするために、前者を「将来の設計目標期間」、後者を「観測トラヒック量の観測期間」のように表現する。
本発明の説明では、帯域算出を実行する時点を「設計時点」と呼ぶが、当然、観測期間に比べて設計時点は未来であり、設計目標期間に比べて設計時点は過去の関係になる。
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本発明の一実施の形態にかかる通信帯域算出装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークを例に挙げて説明する。
図3に示すように、通信ネットワーク20は、携帯端末26、27、28、29に対して移動体通信サービスを提供することを目的とする設備であり、基地局24、25を経由して、帯域設備30やノード21、22に、移動体通信サービスの利用に伴うトラヒックが疎通している。
通信帯域算出装置10は、コンピュータを用いたサーバ装置などの情報処理装置で構成される。通信ネットワーク20又はオペレーションシステム23から当該通信ネットワーク20のノード構成やトポロジ情報、回線帯域情報などのネットワーク情報41を取得し、さらに、運用・管理・設計の対象の帯域設備30及びノード21、22から、トラヒック情報42を取得する。加えて、当該通信ネットワーク20に収容されている移動体通信を実現するための基地局の新設計画等の基地局工事計画43をオペレーションシステム23から取得する。
通信帯域算出装置10は、前記取得した情報に基づいて、当該帯域設備30を対象とした将来の設計目標期間における、移動体通信サービスの利用により発生するトラヒックに対して、サービス品質の劣化を起こすことなく疎通を確実にするために必要な通信帯域を算出する機能を有している。
次に、本実施の形態にかかる通信帯域算出装置10の構成について詳細に説明する。
通信帯域算出装置10には、主な機能部として、通信インターフェース部11(以下、通信I/F部11とする)、操作入力部12、画面表示部13、ネットワーク情報データベース(以下、ネットワーク情報DB14とする)、記憶部15、及び、演算処理部16が設けられており、内部通信バスを介して接続され、相互に情報の送受信が可能な機能を有している。
通信I/F部11は、専用のデータ通信回路からなり、通信ネットワーク20のノード21、22やオペレーションシステム23などの外部装置との間で相互に通信を行う機能を有している。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータからの入力操作を検出して、演算処理部16へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、画面表示装置であって、演算処理部16からの指示に応じて操作メニューや算出結果などの各種情報を画面表示する機能を有している。
ネットワーク情報DB14は、ハードディスクなどの記憶装置からなり、演算処理部16での必要帯域算出処理に用いる各種処理情報を保存蓄積する機能を有している。
記憶部15は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部16での必要帯域算出処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
演算処理部16は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15のプログラムを読み込み、処理に必要となるネットワーク情報DB14から、ネットワーク情報41、トラヒック情報42、基地局工事計画43などを適宜に取得し、必要帯域を算出するための各種演算処理を実行する機能と、算出した当該必要帯域をネットワーク情報DB14などに出力する機能とを有する。
次に、図4及び図5を参照して、演算処理部16の構成について詳細に説明する。
図4及び図5は、演算処理部16における帯域算出処理を示すフロー図である。演算処理部16を構成する主な処理部として、情報取得部16A、日毎最大値平均推定処理部16B、最大化係数推定処理部16C、上限予測線推定処理部16D、予測修正判定処理部16E、基地局計画補正処理部16F、及び、短時間変動吸収補正部16Gを実現する機能を有している。
情報取得部16Aは、設計管理の対象となる帯域設備30に関して、帯域算出のための演算に必要となる、ネットワーク情報41、トラヒック情報42、基地局工事計画43を取得し、(図4、S110ステップ)、当該各種情報をネットワーク情報DB14に保存する(図4、S120ステップ)。
前記ネットワーク情報41には、当該帯域設備30を含む通信ネットワークの帯域設備の帯域(インタフェース速度)情報{Bi}が含まれる。{Bi}は、帯域設備iの帯域速度に対応するものとする。
前記トラヒック情報42には、当該帯域設備30を対象として、あらかじめ規定された観測周期によって長期間にわたり継続的に測定された観測トラヒック量の時系列データが含まれる。観測期間tにおける当該帯域設備30のトラヒック量をy(t)とし、その時系列データとしての集合を{y(t)}とする。これを観測期間tにおける観測トラヒック量の時系列データ、あるいは、単に、観測トラヒック量と呼ぶことにする。
前記基地局工事計画43には、当該帯域設備30に疎通する移動体通信サービスのトラヒックを中継する基地局の工事計画、具体的には、基地局jの開通日{Hj }が含まれるため、将来の設計目標時期で稼働している基地局数が正確に分かる。
日毎最大値平均推定処理部16Bは、ネットワーク情報DB14から、設計対象である帯域設備30に関する観測トラヒック量{y(t)}を取得する(図4、S210ステップ)。
日毎最大値平均推定処理部16Bは、当該観測トラヒック量{y(t)}を用いて、観測日dに対応する日毎最大トラヒック量{x(d)}を算出する(図4、S220ステップ)。具体的には、日毎最大トラヒック量{x(d)}は、以下の式(1)で算出できる。任意に定めた日dに対応する時間の集合{t:t∈d}を求めることができるので、以下の式(1)を用いて算出できる。
図6は、日毎最大トラヒック量の累積値に対して関数フィッティングを行った結果を示す図である。日毎最大トラヒック量の累積値に対して、例えばy=1.3849x2-113704x+2E+09という2次多項式で近似した場合、相関係数がほぼ1に等しくなり、特に高い相関係数が得られていることが分かる。
日毎最大値平均推定処理部16Bは、当該日毎最大値トラヒック量の累積値の近似関数F(d)に対して、微分を行うことによって、前記日毎最大トラヒック量の近似関数f(d)を算出する(図4、S250ステップ)。
最大化係数推定処理部16Cは、前記日毎最大トラヒック量{x(d)}と、前記日毎最大トラヒック量の近似関数f(d)を取得し(図4、S310ステップ)、観測日毎に近似関数f(d)に対する日毎最大トラヒック量{x(d)}の比率の最大値である最大化係数rを、以下の式(3)に従い算出する(図4、S320ステップ)。
図7は、本発明の一実施の形態により予測された上限予測線を示す図である。図7の一点鎖線が日毎最大トラヒック量の近似関数f(d)であり、点線が上限予測線g(d)である。図7から日毎最大トラヒック量の最大値が、ほぼ上限予測線の範囲内に収まることが分かる。
前記上限予測線g(d)を将来の設計目標時期におけるトラヒック量の予測に利用することにより、品質劣化を生じさせない設備量の設計が可能となる。
予測修正判定処理部16Eは、上記の手段により得られた前記日毎最大トラヒック量の近似関数f(d)が、予測時点以降での実績との乖離を把握し、乖離が大きいと判断したときには、予測線を引き直す、つまり、より直近の状況に適合した新しい別の日毎最大トラヒック量の近似関数f(d)に更新する判断を行う。
図8は、トラヒック量の傾向変化を示す図である。図8の点線は、上記の手段により当初得られた近似関数f(d)を示している。傾向変化時点(その1、その2)において、日毎最大トラヒック量の実績値から乖離していることが分かる。このような乖離が生じた場合に、予測線を引き直す必要がある。
予測修正判定処理部16Eは、予測時点Dであるときの前記日毎最大値トラヒック量の累積値の近似関数F(d)と、予測時点D以降の実績日毎最大トラヒック量{x(d):D≦d}とを取得し(図4、S510ステップ)と、当該日毎最大値トラヒック量{x(d):D≦d}を用いて、予測時点Dから修正判定の実施日DCまでの日毎最大値トラヒック量の累積値{cm(d):D≦d≦DC}を算出する(図4、S520ステップ)。日毎最大値トラヒック量の累積値{cm(d):D≦d≦DC}の算出には、式(2)を用いることができる。
予測修正判定処理部16Eは、当該日毎最大値トラヒック量の累積値{cm(d):D≦d≦DC}と前記日毎最大値トラヒック量の累積値の近似関数F(d)との前記修正判定実施日DCにおける乖離比率q(DC)を以下の式(5)に従い算出する(図4、S530ステップ)。
<基地局数の増設計画を考慮する場合>
移動体通信サービスを提供する通信ネットワークでは、ユーザが利用する携帯端末と通信ネットワークの基幹回線との間を、基地局が中継を行っている。通信品質の改善ため、基地局は次々増設されている。基地局の増加は、カバーエリアの新規拡張と既存カバーエリア内の通信速度の向上につながるため、通信ネットワークの基幹回線のトラヒック量の増加要因となる。トラヒック予測では、将来時点での基地局の増加によるトラヒック増加も考慮する課題がある。このため、本実施の形態では、基地局工事計画43を用いて、上限予測線の精度の向上を図る。
移動体通信サービスを提供する通信ネットワークでは、ユーザが利用する携帯端末と通信ネットワークの基幹回線との間を、基地局が中継を行っている。通信品質の改善ため、基地局は次々増設されている。基地局の増加は、カバーエリアの新規拡張と既存カバーエリア内の通信速度の向上につながるため、通信ネットワークの基幹回線のトラヒック量の増加要因となる。トラヒック予測では、将来時点での基地局の増加によるトラヒック増加も考慮する課題がある。このため、本実施の形態では、基地局工事計画43を用いて、上限予測線の精度の向上を図る。
基地局計画補正処理部16Fは、前記上限予測線g(d)と基地局工事計画43を前記ネットワークDB14から取得し(図5、S610ステップ)、基地局計画から予測時点Dにおける設計対象の設備に収容されている基地局数ZDと、将来の設計目標時期の基地局数ZDCを抽出する(図5、S620ステップ)。
前記上限予測線g(d)に対して、将来収容される基地局数の変化の影響を考慮した補正後の上限予測線をg_(d)とすると、以下の式(6)に従い算出を行う(図5、S630ステップ)。
本実施の形態では、前記S630ステップに対して、さらなる予測精度の改善を図ることができる。新設基地局が既設基地局から遠い場所に設置される場合には、カバーエリアの新規拡張が見込まれるため、トラヒック量の増加が予想される。一方、新規基地局が既設基地局の近くに設置される場合には、カバーエリアの新規拡張が少なく、トラヒック量の増加も少ないと予想される。本実施の形態では、このような基地局間の距離を用いて、上限予測線の精度の向上を図る。
図9は、予測精度の改善を図るための演算処理部16における帯域算出処理を示すフロー図である。
基地局計画補正処理部16Fは、予測時点から将来の設計目標時期までに新たに設置される新設基地局の集合Mに対して、新設基地局i(∈M)の位置情報から、既に運用されている既設基地局の集合Nに含まれる既設基地局j(∈N)との距離を算出し、それらの最小距離wiに依存して当該新規基地局iによるトラヒック増加係数u(i,wi)を考慮することにより、上限予測線を補正する。将来収容される基地局数の変化の影響を補正した後の上限予測線g_(d)とすると、基地局計画補正処理部16Fは以下の式(60)、式(61)に従い算出を行ってもよい(図9、S6300ステップ)。
短時間変動吸収補正部16Gは、前記基地局計画補正後の上限予測線g_(d)を前記ネットワークDB14から取得する(図5、S710ステップ)。観測できない短時間のトラヒック変動を吸収するための帯域補正を行うために、以下の式(7)に従い、補正係数K(>1)を乗じて必要帯域h(d)を算出し(図5、S720ステップ)、算出した当該必要帯域を前記ネットワークDB14に格納する(図5、S730ステップ)。
例えば、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークを対象として、将来のトラヒック量を予測し、移動体通信サービスに利用ユーザから必要とされる品質を提供するために必要となる帯域設備量を、適切に算出することができる。
特に、本発明の実施の形態では、日毎最大トラヒック量の累積値に対する近似関数を、2次多項式とすることによって、特に高い相関係数を得ることができる。
さらに、前記最大化係数推定処理部によって、月初めに観測される極端に大きなトラヒック量も予測できるため、品質劣化が起こらない帯域設備の設備量を適切に算出できる。
また、図8に示すように、前記予測修正判定部において、現行で想定している予測に対する実績との乖離状況を把握することができるので、一定以上の乖離が起こらない限りは、予測線を引き直さないので、設備運用・計画業務に無用の混乱を招くことが無い。
さらに、前記基地局計画補正処理部によって、予測時点で設置されていない将来新設される基地局の影響を考慮するため、この点でも品質劣化が起こらない帯域設備の設備量を適切に算出できる。
説明の便宜上、本発明の実施の形態に係る通信帯域算出装置は機能的なブロック図を用いて説明しているが、本発明の実施の形態に係る通信帯域算出装置は、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実現されてもよい。また、各機能部が必要に応じて組み合わせて使用されてもよい。また、本発明の実施の形態に係る方法は、実施の形態に示す順序と異なる順序で実施されてもよい。
以上、トラヒック量の変動が複雑な通信ネットワークにおいて、将来のトラヒック量の予測精度及び必要となる帯域設備量の算出精度を向上させるための手法について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変更・応用が可能である。
10 通信帯域算出装置
11 通信I/F部
12 操作入力部
13 画面表示部
14 ネットワーク情報DB
15 記憶部
16 演算処理部
16A 情報取得部
16B 日毎最大値平均推定処理部
16C 最大化係数推定処理部
16D 上限予測線推定処理部
16E 予測修正判定処理部
16F 基地局計画補正処理部
16G 短時間変動吸収補正部
20 通信ネットワーク
21、22 ノード
23 オペレーションシステム
24、25 基地局
26、27、28、29 携帯端末
30 帯域設備
41 ネットワーク情報
42 トラヒック情報
43 基地局工事計画
11 通信I/F部
12 操作入力部
13 画面表示部
14 ネットワーク情報DB
15 記憶部
16 演算処理部
16A 情報取得部
16B 日毎最大値平均推定処理部
16C 最大化係数推定処理部
16D 上限予測線推定処理部
16E 予測修正判定処理部
16F 基地局計画補正処理部
16G 短時間変動吸収補正部
20 通信ネットワーク
21、22 ノード
23 オペレーションシステム
24、25 基地局
26、27、28、29 携帯端末
30 帯域設備
41 ネットワーク情報
42 トラヒック情報
43 基地局工事計画
Claims (8)
- 通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得部と、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理部と、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理部と、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理部と、
を有する通信帯域算出装置。 - 前記日毎最大トラヒック量の累積値の近似曲線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量の累積値との間の乖離が閾値を超えた場合、前記日毎最大値平均推定処理部、前記最大化係数推定処理部及び前記上限予測線推定処理部における処理を繰り返す予測修正判定部を更に有する、請求項1に記載の通信帯域算出装置。
- 将来の基地局の増設計画を考慮して、前記日毎最大トラヒック量の上限予測線を補正する基地局計画補正処理部を更に有する、請求項1又は2に記載の通信帯域算出装置。
- 前記補正された日毎最大トラヒック量の上限予測線に対して、短時間のトラヒック変動を吸収するための係数を乗算する短時間変動吸収補正部を更に有する、請求項3に記載の通信帯域算出装置。
- 前記日毎最大値平均推定処理部は、前記日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データに対して2次多項式を用いて関数フィッティングを行う、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の通信帯域算出装置。
- 前記基地局計画補正処理部は、将来の設計目標時期までに新たに設置される新設基地局の位置情報を取得し、当該新設基地局と既に運用されている既設基地局との距離の中で最小距離を算出し、当該最小距離に依存したトラヒックの増加を考慮して、前記日毎最大トラヒック量の上限予測線を補正する、請求項3又は4に記載の通信帯域算出装置。
- 通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出する通信帯域算出装置による通信帯域算出方法であって、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得するステップと、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出するステップと、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出するステップと、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出するステップと、
を有する通信帯域算出方法。 - 通信ネットワークのトラヒック量を予測し、当該トラヒック量から設計対象となる帯域設備の通信帯域を算出するために、コンピュータを、
設計対象となる帯域設備において観測されたトラヒック量の時系列データを取得する情報取得手段、
前記観測されたトラヒック量の時系列データから、当該帯域設備における日毎最大トラヒック量の累積値の時系列データを作成し、当該累積値の時系列データに対して関数フィッティングを行うことによって近似曲線を導出し、当該近似曲線を微分することによって、日毎最大トラヒック量の平均値の予測線を導出する日毎最大値平均推定処理手段、
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、当該帯域設備において観測された日毎最大トラヒック量との比率の時系列データを作成し、当該比率の時系列データの最大値を、日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数として導出する最大化係数推定処理手段、及び
前記日毎最大トラヒック量の平均値の予測線と、前記日毎最大トラヒック量の平均値の最大化係数とを積算することによって、日毎最大トラヒック量の上限予測線を算出する上限予測線推定処理手段、
として機能させるためのプログラム。
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