JP6488266B2 - 通信帯域算出装置、通信帯域算出方法、及びプログラム - Google Patents

通信帯域算出装置、通信帯域算出方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、通信帯域算出装置、通信帯域算出方法及びプログラムに関する。より具体的には、本発明は、トラヒック量の変動が複雑な移動体通信サービスの通信ネットワークの通信設備を対象とし、利用ユーザから必要とされる通信サービス品質を提供するために、将来の設計目標時期において必要となる帯域設備量を算出する技術に関する。
従来から、固定回線あるいは移動体に拘わらず、通信ネットワークを介して提供される通信サービスに対して、利用するユーザから必要とされる通信サービスの品質として、QoS(Quality of Service)あるいはQoE(Quality of Experience)を定めることができる。通信サービス事業者は、そのようなサービス品質を達成するような通信ネットワークの設計・運用・管理を行っている。
その目的を達成するため、通信ネットワークでは、定常的にトラヒック量の観測を行うと同時に、提供する通信サービスのトラヒック特性の分析・評価を行い、得られた知見に基づき、ユーザに求められる通信サービスの品質を経済的に達成できるような通信ネットワークの設計・運用・管理業務を行っている。
一例として、トラヒックに関する特性値、例えば、各通信設備を通過する、あらかじめ設定された時間間隔での平均トラヒック量や、注目する通信サービスの各コネクションを形成するIP(Internet Protocol)パケットの流れに対して測定できるパケット数、パケット長などを測定することにより、当該通信サービスのトラヒック量とトラヒック特性の評価を行っており、求められる通信サービスの品質を達成できるような通信ネットワークの設計・運用・管理業務を行っている。
電話サービスを提供する通信ネットワークの設備を対象にして、観測した時系列トラヒックデータの統計量を用いて、将来のトラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術については、例えば、非特許文献1で提案されている技術がある。
電話サービス、インターネット接続サービス、映像配信サービス(多チャンネル放送サービスとビデオオンデマンドサービス)など、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルによる多様な通信サービスを多重して提供している通信ネットワークを対象とし、将来トラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術については、例えば、特許文献1で提案されている技術がある。
主に企業ユーザに対して、通信サービスに関して事前に契約を結び、当該契約で定めた一定以下の通信トラヒック量について、地理的に離れたLAN(Local Area Network)間などをイーサネット(登録商標)インタフェースなどの通信回線で接続して、自由な通信利用を可能とするような通信サービスを提供する通信ネットワークを対象とし、将来トラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術については、例えば、特許文献2〜4で提案されている技術がある。
移動体通信ネットワークを構築するときには、有限の無線帯域幅で広いエリアに通信サービスを提供するために、電波が減衰しながら伝搬する性質を利用して、同一の周波数のチャネルを一定以上離れた距離の場所で繰り返し利用するセルラー方式が採用されている。周波数利用の繰り返し構造の単位になるセルの集合はクラスタ、クラスタを構成するセルの数はクラスタサイズと呼ばれる。1つの基地局がカバーするエリアを、アンテナに特定の方向のみ電波を放射する指向性をもたせて、エリアを分轄するとき、分割されたエリアはセクタと呼ばれる。移動体通信設備は、セクタ単位に送受信するトラヒック量を測定している。
したがって、移動体通信ネットワークでは、着目するクラスタに対して、当該クラスタを構成するセクタの集合に含まれる個々のセクタがカバーするエリアの全体として、当該クラスタが移動体通信サービスをカバーする地理的エリアを定めることができる。逆に、任意の地理的エリアに対して、通信サービスをカバーするセクタの集合が存在する。図1は、地理的エリアの移動体通信サービスをカバーする基地局・セクタのイメージである。
移動体通信設備は、セクタ単位に送受信する一定時間間隔でトラヒック量を測定しているため、任意の地域的なエリアにおいて発生するトラヒック量は、当該地域エリアの通信サービスをカバーするセクタ集合のトラヒック量の総和として算出できる。
移動体通信ネットワークにおいて、基地局またはセクタのような移動体通信設備の容量の設計は、通信サービスをカバーする地理的なエリアから発生するトラヒック量に応じて、経済性の観点から求められる。
移動体通信サービスを対象とした運用技術については、例えば、特許文献5〜7で提案されている技術がある。
特開2014−87031号公報 特開2009−206698号公報 特開2009−218820号公報 特開2011−130330号公報 特開平6−85733号公報 特開2014−27484号公報 特開2012−191550号公報
川野弘道ほか,「マクロ分析のためのトラヒック予測手法とその評価」,電子情報通信学会論文誌 B, Vol. J-82-B, No. 6, pp. 1107-1114, 1999年6月
図2は、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークで観測されるトラヒック量の典型例を示す図である。移動体通信サービスを提供する通信ネットワークで観測されるトラヒック量は、図2のような特有の大きな変動を示す。典型的な性質として、トラヒック量の長期的な傾向は増加傾向にあるのに対して、月内の変動の視点においては月初のトラヒック量が突発的に大きくなり、月末までに振動しながら減少するという性質がある。
上記非特許文献1、特許文献1〜7のいずれの技術も、図2のようなトラヒック量の変動が複雑な移動体通信サービスの通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアから発生するトラヒック量を予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量を適切に算出する技術に該当するものはない。
図3は、移動体通信サービスのトラヒック量に対する従来技術による予測の例を示す図である。例えば、従来技術にしたがい、月間最大値あるいは日毎最大値に対する直線外挿による予測によれば、観測値の追加の都度に作成される予測線1〜3毎のブレ幅が過大となるために、信頼できる予測結果を確実に得ることが出来なかった。ブレ幅が過大となる原因の1つは、月初のトラヒック量には偶然的要因が大きく関係し不安定なためである。このように、従来技術では、移動体通信サービスのようにトラヒック量の変動が複雑なときには、将来時点でのトラヒック量の精度の高い予測が困難であった。
本発明は、トラヒック量の変動が複雑な移動体通信サービスの通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアから発生する将来のトラヒック量、特に、トラヒック量の最大値の予測精度を向上させ、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量の算出精度を向上させることを目的とする。
本発明の一形態にかかる通信帯域算出装置は、
移動体通信サービスの必要帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
通信ネットワークのトラヒック情報と基地局またはセクタ情報を取得する情報取得手段と、
設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行い、当該エリア領域内に位置する基地局またはセクタの集合を作成し、当該基地局またはセクタの集合全体の観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出手段と、
回帰分析によるトラヒック予測に適用する数値として、前記エリア・トラヒック量から、当該エリアの平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値に対して、月間回帰線をとった月内の観測トラヒック量の基準量を算出し、当該基準量の時系列データから、基準量を予測する回帰式を算出する基準量算出手段と、
前記基準量を予測する回帰式に基づき、所望の将来時点の月に対して、当該将来時点の月の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出手段と、
前記将来時点の月の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の一形態にかかる通信帯域算出方法は、
移動体通信サービスの必要帯域を算出する通信帯域算出装置における通信帯域算出方法であって、
通信ネットワークのトラヒック情報と基地局またはセクタ情報を取得する情報取得ステップと、
設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行い、当該エリア領域内に位置する基地局またはセクタの集合を作成し、当該基地局またはセクタの集合全体の観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出ステップと、
回帰分析によるトラヒック予測に適用する数値として、前記エリア・トラヒック量から、当該エリアの平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値に対して、月間回帰線をとった月内の観測トラヒック量の基準量を算出し、当該基準量の時系列データから、基準量を予測する回帰式を算出する基準量算出ステップと、
前記基準量を予測する回帰式に基づき、所望の将来時点の月に対して、当該将来時点の月の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出ステップと、
前記将来時点の月の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の一形態にかかるプログラムは、
コンピュータを、上記の通信帯域算出装置の各部として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、トラヒック量の変動が複雑な移動体通信サービスの通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアから発生する将来のトラヒック量の予測精度を向上させ、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量の算出精度を向上させることが可能となる。
地理的エリアの移動体通信サービスをカバーする基地局・セクタのイメージ 移動体通信トラヒック量の変動の典型例 移動体通信トラヒック量に対する従来技術による予測の例 本実施の形態にかかる通信帯域算出装置の構成を示す全体ブロック図 演算処理部の処理を示すフロー図(その1) 異常値処理部で用いる平日の歪み値の累積分布を示す図 本発明の一実施の形態によるトラヒック予測を示す図 演算処理部の処理を示すフロー図(その2) 演算処理部の処理を示すフロー図(その3) 演算処理部の処理を示すフロー図(その4) 演算処理部の処理を示すフロー図(その5) 観測トラヒック量の傾向変化の検出を示す図
本発明の一実施の形態では、トラヒック量の変動が複雑な移動体通信サービスの通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアから発生する将来のトラヒック量の予測精度を向上させ、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量の算出精度を向上させるための通信帯域算出装置について説明する。
本実施の形態では、通信ネットワークの管理・運用業務に伴い、将来に必要となる帯域設備量の算出評価業務が、継続して実施される状況を想定する。例えば、一カ月あるいは一週間といった、一定期間を単位として、所望の将来時点で必要となる帯域を算出して、現有の帯域設備の将来の行詰り・逼迫時期を推定し、通信サービスの品質を担保するために必要となる設備増設などの工事を計画し、実行する業務である。
同様に、観測トラヒック量についても、現在に至る一定期間分、通常は1年以上の観測トラヒックデータを蓄積・収集して統計処理などが実施されるものとする。これらの期間の概念を明確に区別するために、前者を「(所望の)将来の設計目標時期」、後者を「観測トラヒック量の観測期間」のように表現する。
本実施の形態の説明では、帯域算出を実行する時点を「設計時点」と呼ぶが、当然、観測期間に比べて設計時点は未来であり、設計目標時期に比べて設計時点は過去の関係になる。
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
<通信帯域算出装置の構成>
図4は、本発明の一実施の形態にかかる通信帯域算出装置10の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、移動体通信サービスを提供する通信ネットワークを例に挙げて説明する。
図4に示すように、通信ネットワーク20は、携帯端末26、27、28、29に対して移動体通信サービスを提供することを目的とする設備であり、携帯端末26、27、28、29が発着信する情報は、基地局24、25において電気信号に変換されて、帯域設備31、32を経由して、ノード22に転送されたのち、通信ネットワーク内の所望の発着信先に転送されることにより、移動体通信サービスが達成される。ここで、基地局24、25は、複数のセクタに分割されていてもよい。
通信帯域算出装置10は、コンピュータを用いたサーバ装置などの情報処理装置で構成されている。
当該通信帯域算出装置10は、通信ネットワーク20、または、オペレーションシステム23から当該通信ネットワーク20に関連するノード構成情報及びトポロジ情報及び回線帯域情報などのネットワーク設備情報41を取得する。
さらに、運用・管理・設計業務の対象となる帯域設備30、31、32に出入りするトラヒック量の情報は、ノード21、22、あるいは、基地局24、25において一定時間間隔で測定しており、当該通信帯域算出装置10は、これらのトラヒック情報42を収集周期などに基づき定期的に取得する。
さらに加えて、当該通信帯域算出装置10は、当該通信ネットワーク20に収容されている基地局またはセクタの地理的位置情報(緯度経度情報)、各種設定情報(中心周波数、周波数帯域幅、最大送信電力など)を含む基地局・セクタ情報43をオペレーションシステム23から取得する。基地局・セクタ情報43には、現在の基地局・セクタに関わる情報だけでなく、過去時点の情報や、将来の工事計画に予定されている情報も含まれているものとする。
通信帯域算出装置10は、前記取得した情報に基づいて、任意の地理的エリアから発生するトラヒック量を高い精度で予測し、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量の算出精度を向上させるための機能を有している。
次に、本実施の形態にかかる通信帯域算出装置10の内部構成について詳細に説明する。
通信帯域算出装置10には、主な機能部として、通信インタフェース部11(以下、通信I/F部11とする)、操作入力部12、画面表示部13、情報データベース部14(以下、情報DB部14とする)、記憶部15、及び、演算処理部16が設けられており、内部通信バスを介して接続され、相互に情報の送受信が可能な機能を有している。
通信I/F部11は、専用のデータ通信回路からなり、通信ネットワーク20のノード21、22やオペレーションシステム23、基地局24、25などの外部装置との間で相互に通信を行う機能を有している。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータからの入力操作を検出して、演算処理部16へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、ディスプレイのような画面表示装置であって、演算処理部16からの指示に応じて操作メニューや算出結果などの各種情報を画面表示する機能を有している。
情報DB部14は、ハードディスクなどの記憶装置からなり、演算処理部16での必要帯域算出処理に用いる各種処理情報を保存蓄積する機能を有している。
記憶部15は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部16での必要帯域算出処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
演算処理部16は、CPU(Central Processing Unit)などのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15のプログラムを読み込み、情報DB14から、ネットワーク設備情報41、トラヒック情報42、基地局・セクタ情報43などの処理に必要となる情報を適宜に取得し、帯域設備の必要帯域を算出するための各種演算処理を実行する機能と、算出した当該必要帯域を情報DB部14などに出力する機能とを有する。
前記ネットワーク設備情報41には、帯域設備30、31、32、ノード21、22、基地局24、25を含む当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備の任意のインタフェースjの速度情報{B_i}が含まれる。また、前記ネットワーク設備情報41には、帯域設備30、31、32、ノード21、22、基地局24、25を含む当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備のインタフェース間の接続構成関係の情報が含まれる。さらに、現在だけでなく、過去から将来に予定されている限りの工事計画上の当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備のインタフェース間の接続構成関係の情報も含まれるものとする。簡単のため、通信設備を限定する添え字を省略し、ネットワーク設備情報41は{B}と記載する。
前記トラヒック情報42には、当該通信ネットワーク20で運用されている通信設備のインタフェースjを出入りするトラヒック量に関して、あらかじめ規定された観測周期によって長期間にわたり継続的に測定された観測トラヒック量の時系列データが含まれている。当該インタフェースjの観測期間tにおける観測トラヒック量をy_j(t)とし、その時系列データの集合を{y_j(t)}と定義する。これを観測トラヒック量の時系列データ、あるいは、単に、観測トラヒック量と呼ぶことにする。観測トラヒック量は、原則的にすべての通信設備とそのインタフェースを対象に測定が継続されているので、簡単のため、通信設備を限定する添え字を省略し、トラヒック情報42は{y(t)}と記載する。以下では、観測期間の長さは1時間としているが、任意の長さに対しても同様の方法を実施することが出来る。
前記基地局・セクタ情報43には、当該通信ネットワーク20で運用されている基地局24、25に関して、地理的位置情報(緯度経度情報)、各種設定情報(中心周波数、周波数帯域幅、最大送信電力など)が含まれており、さらに、現在だけでなく、過去から将来に予定されている限りの工事計画上の地理的位置情報(緯度経度情報)、各種設定情報が含まれているものとする。同様に、前記基地局・セクタ情報43には、セクタに関する情報も含まれるものとする。基地局またはセクタjの地理的位置情報(緯度経度情報)及び各種設定情報を合せて、bs_jと定義する。基地局・セクタの集合に対する地理的位置情報(緯度経度情報)及び各種設定情報は{bs_j}と記載する。さらに、簡単のため、通信設備を限定する添え字は省略し、基地局・セクタ情報は{bs}と記載する。
次に、図5から図12を参照して、演算処理部16の構成について詳細に説明する。
図5、図8から図11は、演算処理部16における帯域算出処理を示すフロー図である。演算処理部16を構成する主な処理部として、情報取得部16A、エリア・トラヒック算出部16B、異常値処理部16C、基準量算出部16D、24時間変動率算出部16E、月間変動率算出部16F、誤差変動率算出部16G、トラヒック予測算出部16H、必要帯域算出部16I、傾向変化検出部16Jを実現する機能を有している。
<エリア・トラヒック量の算出>
情報取得部16Aは、設計対象である通信ネットワークのサービス提供エリアに関して、通信帯域算出に必要となる情報である、トラヒック情報42、基地局・セクタ情報43を取得すると共に、必要に応じてネットワーク設備情報41を取得し、(図5、S110ステップ)、当該各種情報を情報DB部14に保存する(図5、S120ステップ)。
エリア・トラヒック算出部16Bは、操作入力部12から設計対象となる任意の地理的エリアを特定する緯度・経度情報の入力により、エリア領域AR設定を行い(図5、S210ステップ)、基地局・セクタ情報43の地理的位置情報を読み込み、当該エリア領域内に緯度経度が位置する基地局、つまり、基地局bs_jがエリア領域ARに含まれる条件を、bs_j∈ARのように記述することにすると、bs_j∈ARが成り立つ基地局またはセクタの集合BS_AR={bs_j|bs_j∈AR}を生成する(図5、S230ステップ)。
次に、トラヒック情報42を読み込み、当該基地局・セクタ集合に含まれる基地局・セクタそれぞれの観測トラヒック量をすべて積算して、当該エリアのエリア・トラヒック量y_AR(t)を求める。具体的には、それぞれの観測期間tの当該エリア・トラヒック量y_AR(t)は以下で求められる。
観測期間t単位に上記を行うことにより、当該基地局またはセクタの集合全体の観測トラヒック量の時系列データとしての当該エリア・トラヒック量{y_AR(t)}も求めることができる(図5、S250ステップ)。
最後に、当該エリア・トラヒック量を情報DB部14に保存する(図5、S260ステップ)。
<異常値処理>
以下の異常値処理では、測定トラヒック量の変動特性を十分に考慮して行う必要がある。平日と休日では、同一場所と同一時間帯であってもトラヒック量とその変動特性が大きく異なることが分かっているため、平日と休日を分けて、それぞれ処理を実施する。以下には、平日に対する処理手順を具体的に記載するものであるが、冗長さをさけるために必ずしも平日であることを明記していない。ただし、休日に対する処理手順も同様となる。
異常値処理部16Cは、前記エリア・トラヒック量{y_AR(t)}と、観測トラヒック量の変動の正常な範囲を決定するための観測期間LLと、異常を判定するための閾値Qを、情報DB部14から読み込み、観測トラヒック量が0(ゼロ)の観測データが存在するならば、当該日はシステム的な故障が発生していた可能性が高く、数値的な信頼性に乏しいとみなして、当該日の全てのデータの削除を行う。前記エリア・トラヒック量{y_AR(t)}に対して、ゼロ削除処理後のエリア・トラヒック量{yy_AR(t)}を生成する(図5、S320ステップ)。なお、削除するデータは観測トラヒック量がゼロであるデータに限らず、あらかじめ設定した閾値未満であるデータとしてもよい。すなわち、前記エリア・トラヒック量{y_AR(t)}があらかじめ設定した閾値未満である期間のデータを異常としてもよい。
次に、当該削除後のエリア・トラヒック量から、任意の平日1日の24時間の観測データを抽出して、当該日の24時間変動のパターンを算出することができる。観測期間tは、当該平日dと当該時間帯h=0,1,…,23との一意の組合せ(d,h)に分解できることから、{yy_AR(t)}={yy_AR(d,h)}と一対一に変換することができる。このとき、着目する前記平日dの1日の観測トラヒック量合計の24時間平均値Em(d)は以下となる(図5、S330ステップ)。
さらに、24時間平均値Em(d)により正規化した当該日dの時間h(h=0,1,…,23)の正規化測定トラヒック量{f_AR(d,h)}は、以下となる(図5、S340ステップ)。
ここで、観測されたエリア・トラヒック量の異常値を検出するために、観測トラヒック量の変動の正常な、あるいは、定常的なトラヒック変動の範囲を決定するために適切な長さを持つ観測期間をLLとすると、例えば、直近の1年間、あるいは、直近の3年間などとすることができる。そのとき、異常値検出対象の観測期間LLにおける、正規化観測トラヒック量{f_AR(d,h)}の各時間hの期間平均値Ef_AR(h)は、以下となる(図5、S350ステップ)。
次に、着目している平日1日dの各時間hにおいて、正規化観測トラヒック量{f_AR(d,h)}と、期間平均値Ef_AR(h)との誤差の関数に基づき、当該平日dの正常なトラヒック変動からの歪み値q_AR(d)を定義する。本実施例では、以下の誤差関数によって歪み値を算出する(図5、S360ステップ)。
ここで、ある期間の平日の歪み値の累積分布をグラフ表示すると(図6を参照)、分布の裾の方に近づくと連続的でなだらかな稠密点列部分から、次第に、不連続で乱れた点列部分に変化していく傾向が一般に見られる。前者の連続的でなだらかな稠密点列部分が、日常的で自然なトラヒック変動のゆらぎの領域であり、後者が何らかの非日常的な要因がもたらした異常とすべきトラヒック変動のゆらぎの領域に対応する。この異常の領域を判定する閾値Qを設定し、前記平日dの歪み値q_AR(d)とQの比較によって、異常な観測トラヒック量が観測された日の判定が可能になる。このように歪み値q_AR(d)が閾値Qを超過した日を、異常日と呼ぶ。当該閾値Qは、実データを用いた分析から適宜に決めることができるが、例えば、図6の例ではQ=0.15とすることもできる。異常日の集合をExとすると、初期条件をEx=空集合として、すべての平日dに以下の判定をすることで前記異常日の集合Exを求めることができる(図5、S370ステップ)。
IF(q_AR)(d)≧Q),Then(dの観測トラヒック量は異常として、Ex=Ex∪{d}),Else(正常)
上記から、異常日と判定された当該日の観測トラヒック量を削除することができるため、前記エリア・トラヒック量{yy_AR(t)}から、当該異常日の観測トラヒック量を削除した結果として、異常値を除去したエリア・トラヒック量{z_AR(t)}を求めることができる(図5、S380ステップ)。
当該異常値を除去したエリア・トラヒック量{z_AR(t)}を情報DB部14に保存する(図5、S390ステップ)。
以下の手順では、異常値を除去したエリア・トラヒック量{z_AR(t)}のみを対象とする。
<観測トラヒックの基準量の予測>
図3ですでに説明したように、従来技術にしたがい、月間最大値あるいは日毎最大値に対する直線外挿による予測によれば、観測トラヒックデータの追加の都度に作成される予測線1〜3毎のブレ幅が過大となるために、信頼できる予測結果を確実に得ることが出来なかった。このように、従来技術では、移動体通信サービスのようにトラヒック量の変動が複雑なときには、将来時点でのトラヒック量の精度の高い予測が困難であった。
そこで、観測トラヒック量の数値、または、月間最大値あるいは日毎最大値を用いて直接、直線外挿する方法ではなく、別の方法をとることにする。
このとき、観測トラヒック量の時系列データに含まれるノイズ的・偶然的な変動を取り除くための理想的な処理を施すことができると想定し、その処理により得られた数値には安定的な傾向を強く帯びるため、直線外挿による当該数値の予測が高い精度で達成される性質をもつと考えられる。このように、観測されるトラヒック量から計算できる数値指標で、直線外挿により将来の当該数値が精度高く予測できる性質をもつ数値指標を発見することを考える。このような数値指標を「基準量」と呼ぶことにする。
詳しくは後述するが、本実施例における基準量は、観測トラヒックデータの詳細な分析に基づき、月単位に算出される指標で、回帰分析によるトラヒック予測に適用する数値として、「平日(または、休日)毎の観測トラヒック量合計の24時間平均値に対して、月間回帰線をとった15日相当の数値」と定義している。なお、本実施例における基準量である15日相当の数値は、月内の観測トラヒック量の基準値の一例であり、月内の観測トラヒック量に基づいて別の指標が用いられてもよい。本基準量は、月内の観測トラヒック量合計に概ね比例する数値であるが、これが安定した傾向をもっている背景は以下のように説明されると考えている。現在、移動体通信サービスの月額料金制度は、「通信トラヒック量の総和が一定値を超えるまでは定額料金であるが、一定値を超過する通信トラヒック量には追加料金が必要となる」という、いわゆる、データキャップ型料金制度となっている。そのため、ユーザひとりひとりが、自分が契約しているデータキャップの数値に、通信トラヒック量が達して追加料金が発生しないかどうかに配慮しながら通信利用を行っている。その結果として、データキャップの数値に対する余裕・残余が少なくなるため、月末の通信利用には抑止的な効果が表れ、逆に、月初には通信利用が活性化すると考えられる。この説明は、図2の移動体通信トラヒックの月間変動として観測できる性質をよく言い表している。
図7は、本発明の一実施の形態によるトラヒック予測を示す図である。図3ですでに説明したように、月間最大値である月初最大値に比べて基準量は安定して増加するため、月初最大値の回帰直線に比べて基準量の回帰直線の予測精度は高まる。従って、以下の説明では基準量の回帰直線を算出する具体例について説明する。
基準量算出部16Dは、前記エリア・トラヒック量{z_AR(t)}と、回帰分析の対象とする要求観測期間L0と直近傾向変化点Cとを、情報DB部14から読み込む。
まず、回帰分析の対象とする観測期間は、詳しくは後述するように、傾向変化点を含む期間を避ける必要があり、つまり、直近傾向変化点C以降であって、かつ、要求観測期間L0に含まれることになるので、この条件を満足する期間を、観測期間Lとする(図8、S415ステップ)。
次に、回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる全ての月m∈Lに対して、それぞれ、以下を行う。
着目する月mの平日d_m,kについて、当該日の観測トラヒック量合計の24時間平均Emz(d_m,k)は、以下のように算出される。ただし、当該月mの平日数をw(m)とする(図8、S420ステップ)。
ここで、データ列{d_m,k, Emz(d_m,k)},(k=1,2,…,w(m))に対して、以下の直線回帰式を求める。
Y_m(X)=a_mX+b_m
直線回帰式の求め方は、以下である。ただし、前記平日d_m,kは、前記月mの前記k番目の平日が西暦1900年1月1日からの経過日数のような数値に変換して、直線回帰を行うものとする(図8、S430ステップ)。
前記直線回帰式にX=15を代入することで、15日相当の数値となり、前記基準量の定義にしたがい、当該月mの基準量G_mが求められる(図8、S440ステップ)。
G_m=Y_m(15)=a_m・15+b_m
このように、一旦、当該月m内で直線回帰式を求めて、前記基準量G_mを当該直線回帰式にX=15を代入して得られる15日相当の数値とし、15日の観測トラヒックデータをそのまま使わない理由は、以下である。まず、15日の観測トラヒックデータが存在しない場合がある。前記異常値処理部16Cで、異常データを削除処理しているため、15日の観測トラヒックデータが欠損している可能性がある。加えて、15日の測定トラヒックデータが存在したとしても、当該15日の偶然的変動から影響を受けた数値となっている。そこで、前記直線回帰式の処理を経ることで、測定日の一日一日に依存したトラヒックの偶然的変動を取り除くことが期待できる。さらに、15日と特定する理由は、15日が月の中日であり月初から月末に向けて減少する傾向である月間変動が最も安定する日と考えられるためである。ただし、上記のように、月内の観測トラヒック量に基づいて別の数値が用いられてもよい。また、上記の例では基準量の回帰分析を直線回帰式により行っているが、2次以上の多項式を用いた回帰曲線を用いることで、近似の精度を高めることもできる。
さらに、前記の手続きを基準量の回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる全ての月m_i, m_i=m_1,m_2,…,m_lについて適用して、それぞれ、前記基準量{G_m_i}を求める(図8、S450ステップ)。
上記までに得られたデータ列
{m_i,G_m_i},m_i=m_1,m_2,…,m_l
に対して、以下の基準量を予測する直線回帰式を求める。
Y_L(X)=a_LX+b_L
求め方は、上述した通りである。ただし、前記月m_iは、西暦1900年1月1日からの経過した月数のような数値に変換して、直線回帰を行うものとする(図8、S460ステップ)。
このとき、前記直線回帰式は、前記基準量を予測する直線であって、将来時点の月mmにおける基準量G_mmの予測値は、Y_L(mm)で求めることができる。
前記観測期間Lと前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L, b_L}と、前記基準量{G_m_i}と、前記平日d_m,kの観測トラヒック量24時間平均値{Emz(d_m,k)}を、情報DB部14に保存する(図8、S470ステップ)。
<トラヒック量の最大値の予測>
トラヒック予測として最も重要なことは、将来の設計目標時期でのトラヒック量の最大値が予測できることであり、その結果、移動体通信サービスの品質が劣化しないように設備増設を行う運用計画を立案して遂行できることである。本実施例では、月単位に得られる前記基準量に、24時間変動率、月間変動率、誤差変動率を乗じて将来の設計目標時期でのトラヒック量の最大値を求めることができる。
24時間変動率算出部16Eは、前記エリア・トラヒック量{z_AR(t)}と、回帰分析の対象とする観測期間Lと、前記平日d_m,kの観測トラヒック量の24時間平均値{Emz(d_m,k)}を、情報DB部14から読み込む。
まず、回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる月mに対して、以下を行う。着目する月mの平日d_m,kの観測トラヒック量合計の24時間平均値{Emz(d_m,k)}から、当該日d_m,kの24時間平均値Emz(d_m,k)により正規化した、時間h(h=0,1,…,23)の正規化観測トラヒック量{fz_AR(d_m,k,h)}は、以下となる(図9、S520ステップ)。
ここで、同一時間h(h=0,1,…,23)の条件で、当該月mでの正規化観測トラヒック量{fz_AR(d_m,k,h)}に関して月間平均を算出することにより時間毎の月間平均値Mfz_AR(m,h)を算出する(図9、S530ステップ)。
上記の手順を、回帰分析の対象とする観測期間Lに含まれる最初の月、1番目の月m_1から、最後の月m_lまですべてに適用し、それらの期間平均値をとる(図9、S540ステップ)。
M_Lfz_AR(h)=AVERAGE{Mfz_AR(m_1,h),Mfz_AR(m_2,h),...,Mfz_AR)(m_l,h)}
前記期間平均値{M_Lfz_AR(m,h)}(h=0,1,…,23)は、当該観測期間Lの平均的な正規化24時間変動に等しいので、最繁時における変動率、つまり、24時間変動率r_pは以下のように前記期間平均値{M_Lfz_AR(m,h)}の時間毎の最大値で求められる(図9、S550ステップ)。
前記24時間変動率r_pを、情報DB部14に保存する(図9、S560ステップ)。
月間変動率算出部16Fは、前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}と前記基準量{G_m}と観測期間Lを、情報DB部14から読み込む。
まず、観測期間Lを対象とした、以下のデータ列を生成する。ただし、
は、前記期間Lに含まれる月m_iの前記k番目の平日の日付けである(図9、S620ステップ)。
このデータ列は、回帰分析の対象の観測期間Lに含まれる平日の日付けと前記基準量{G_m}により正規化された当該日付の前記24時間平均値を表している。
前記データ列に対して回帰分析を行い、月間変動の直線回帰式を求める。
Y_D(X)=a_DX+b_D
求め方は、上述した通りである(図9、S630ステップ)。なお、月間変動率は三角関数などの周期関数により近似の精度を高くすることも可能である。
このとき、月間変動率をr_mすると、以下で求められる。
r_m=a_D・1+b_D
月初に最大値になるため、初日として、平日の日付けの変数に、1を代入する(図9、S640ステップ)。
前記月間変動の直線回帰式を定める数値{a_D,b_D}と前記月間変動率r_mを情報DB部14に保存する(図9、S650ステップ)。
誤差変動率算出部16Gは、前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}と前記月間変動の直線回帰式を定める数値{a_D,b_D}と観測期間Lと閾値αを情報DB部14から読み込む。
前記観測期間Lに含まれる月m_i, m_i=m_1,m_2,…,m_lに関して、平日d_i,kにおける基準量の回帰式と月間変動の回帰式により算出される24時間平均値の予測値と、当該平日d_i,kに実際に観測された前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}との相対誤差に対応する、以下の誤差データを生成する(図10、S720ステップ)。
前記誤差データに対して、誤差の発生累積確率分布H(x)を作成する(図10、S730ステップ)。
次に、当該誤差の発生累積確率分布H(x)に対して、あらかじめ設定する閾値(α%)を超える誤差変動の数値を、誤差変動率r_eとすると、以下のように求められる(図10、S740ステップ)。
前記閾値α%の例としては、通常、99%、90%等を利用できる。
前記誤差変動率r_eを情報DB部14に保存する(図10、S750ステップ)。
<必要帯域の算出>
トラヒック予測算出部16Hは、前記24時間変動率r_p、前記月間変動率r_m、前記誤差変動率r_e、前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L,b_L}を、情報DB部14から読み込む。さらに、所望の将来時点の月mmを操作入力部12から入力する。
このとき、前記所望の将来時点の月mmにおける最大トラヒック量である月初最大値の予測値Y_max(mm)は、以下で求めることができる(図10、S830ステップ)。
Y_max(mm)=Y_L(mm)・r_p・r_m・r_e=(a_L・mm+b_L)・r_p・r_m・r_e
前記将来時点mmの月初最大値の予測値Y_max(mm)を、情報DB部14に保存する(図10、S840ステップ)。
観測トラヒック量{y(t)}は、前述のように、例えば、1時間、あるいは、5分間といった観測時間粒度での平均トラヒック流量bit/secの数値であり、当該観測時間粒度よりも短い時間粒度では、実際のトラヒック流量が、同じ観測期間内であっても観測トラヒック量を超過する瞬間が必ず存在する。移動体通信サービスにおいて、多くの通信アプリケーションはIPプロトコルで実装されており、IPプロトコルによる通信フローに流れるIPパケットの送信は、一様な速度ではなく大きな偏りがある。このIPパケットの瞬間的な偏りの性質を、バースト性と呼ぶ。したがって、IPパケットのフローのバースト性によって強く影響を受けて、前記の実際のトラヒック量が、同じ観測期間の観測トラヒック量を瞬間的に超過する性質を、トラヒックの短時間変動と呼ぶ。
つまり、将来の設計目標時期においては、観測トラヒック量と同じ設備容量を有する帯域設備があっただけでは、トラヒックの短時間変動を吸収しきれない。
したがって、移動体通信サービスにおいて期待される通信品質を確保する目的では、トラヒックの短時間変動を確実に吸収できる帯域が必要である。このように、観測トラヒック量よりも大きく、トラヒックの短時間変動も吸収できることに加えて、不経済にならない程度に、最適な帯域を算出する必要がある。このように短時間変動を考慮した最適な帯域を、「必要帯域」と呼ぶことにする。
必要帯域算出部16Iは、前記将来時点の月mmの月初最大値の予測値Y_max(mm)と、補正係数K(>1)を、情報DB部14から読み込む。
前記補正係数Kは、パケットキャプチャなどによるトラヒックの短時間変動を実際に測定し、対象とする帯域設備の有するバッファサイズが瞬間的に吸収できるトラヒックの短時間変動の大きさなどを考慮して決めることができる。
前記予測値Y_max(mm)に対して、前記補正係数K(>1)を乗じて、必要帯域B_F(mm)を算出する(図11、S920ステップ)。
B_F(mm)=K・Y_max(mm)
前記必要帯域B_F(mm)を、情報DB部14に保存する(図11、S930ステップ)。
なお、上記の実施の形態では、平日における必要帯域B_F(mm)の算出について説明したが、平日または休日それぞれ独立にトラヒック量を予測し、より大きいトラヒック量の予測値に対して必要帯域B_F(mm)を算出することができる。また、ネットワーク設備情報41を情報DB部14から読み込み、必要帯域B_F(mm)を満足するために増設する必要のある通信設備を求めることができる。
<傾向変化の検出>
移動体通信サービスに限らず、通信サービスのトラヒック量は概ね安定した傾向で成長、または、変化する性質があることは過去のトラヒック量の推移データから認められるところであるが、外部要因が働くことで、傾向が変化することも知られている。この現象をトラヒックの傾向変化と呼ぶ。トラヒックの傾向変化をもたらす外部要因として、料金制度/販売施策/行政施策の変化、通信方式の世代交代、メディア・符号化の進化に加えて、キラー端末やキラーアプリへの人気集中を挙げることができる。
トラヒック予測においては、傾向変化を速やかに検出して、傾向変化が起こった時点以降の観測トラヒックデータだけを使うことが、トラヒック予測の精度を維持するためには必要である。
図12は、観測トラヒック量の傾向変化の検出を示す図である。
傾向変化を検出するには、最新の観測期間に対して、直近設計時点において予測していた24時間平均値の予測値Enz(d_n,k)と、当該観測期間に実際に観測された24時間平均値Emz(d_n,k)との相対誤差を比較する手法が考えられる。この相対誤差を、「相対予測誤差」と呼ぶ。ただし、ある1日だけの相対予測誤差で判断すると、定常的にはトラヒック傾向に変化が起こっていなくても、当該日に限定される特異な要因による当該日のみの相対予測誤差の大きな日だけによって傾向変化が起こったと間違えることが懸念される。そこで、上記のように、移動体通信のトラヒック変動特性の月間変動に着目して、最新の観測期間としては1カ月全体を単位として、相対予測誤差を累積させた予測誤差累積値V(n)によって、傾向変化を検出する方針をとる。
傾向変化検出部16Jは、前記24時間平均値{Emz(d_m,k)}と、前記月間変動の直線回帰式を定める数値{a_D,b_D}と、前記基準量の直線回帰式を定める数値{a_L,b_L}と、閾値Tと、直近傾向変化点Cとを、情報DB部14から読み込む。さらに、着目する月nを操作入力部12から入力する。
最新の観測期間である着目する月nについて、当該月nの基準量G_nの予測値は、前記基準量の直線回帰式Y_L(n)で求めることができる(図11、S1030ステップ)。
G_n=Y_L(n)=a_L・n+b_L
さらに、当該月nの平日d_n,k, k=1,2,…,w(n)に対して、月間変動の回帰式Y_D(n)を考慮のうえで予想される24時間平均値の予測値Enz(d_n,k)は、それぞれ以下で求められる(図11、S1040ステップ)。
Enz(d_n,k)=G_n(a_D・d_n,k+b_D),k=1,2,…,w(n)
一方、当該観測期間に実際に観測された24時間平均値は、Emz(d_n,k)であるので、当該月nの相対予測誤差累積値V(n)とすると、以下で求められる(図11、S1050ステップ)。
観測トラヒック量の傾向変化は、あらかじめ設定した閾値Tに対して、当該月nの相対予測誤差累積値V(n)が超過することによって、傾向変化発生の検出判定し、判定結果をD(n)に格納する(図11、S1060ステップ)。
IF(V(n)>T),Then(月nで傾向変化発生有り:D(n)=YES),Else(傾向変化発生無し:D(n)=NO)
当該月nが最新の傾向変化発生時点であれば、直近傾向変化点Cをnに更新し、更新後の直近傾向変化点Cと、当該月nの相対予測誤差累積値V(n)と、当該月nでの傾向変化発生の前記検出判定の前記判定結果D(n)を、情報DB部14に保存する(図11、S1070ステップ)。
前記判定結果D(n)を画面表示部13に表示する(図11、S1080ステップ)。
したがって、傾向変化検出部16Jにおいて、直近設計時点において予測していた24時間平均値の予測値に対する実際の観測トラヒック量との乖離状況にもとづき、観測されるトラヒック量の傾向変化を検出ができる。傾向変化を検出した場合には、直近の傾向変化時点以降を、観測トラヒック量の回帰分析の対象とする観測期間として、トラヒック量の予測線を引き直すことができる。
<補足>
説明の便宜上、本発明の実施の形態に係る通信帯域算出装置は機能的なブロック図を用いて説明しているが、本発明の実施の形態に係る通信帯域算出装置は、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実現されてもよい。また、各機能部が必要に応じて組み合わせて使用されてもよい。また、本発明の実施の形態に係る方法は、実施の形態に示す順序と異なる順序で実施されてもよい。
例えば、異常値処理部16C、24時間変動率算出部16E、月間変動率算出部16F、誤差変動率算出部16G、傾向変化検出部16Jなどにおける処理は必ずしも実行される必要はなく、必要に応じて実行されてもよい。
以上、トラヒック量の変動が複雑な移動体通信サービスの通信ネットワークを対象として、任意の地理的エリアから発生するトラヒック量の予測精度を向上させ、将来の設計目標時期において、通信サービスの品質を達成するために必要となる帯域設備量の算出精度を向上させるため手法について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変更・応用が可能である。
10 通信帯域算出装置
11 通信I/F部
12 操作入力部
13 画面表示部
14 情報DB部
15 記憶部
16 演算処理部
16A 情報取得部
16B エリア・トラヒック算出部
16C 異常値処理部
16D 基準量算出部
16E 24時間変動率算出部
16F 月間変動率算出部
16G 誤差変動率算出部
16H トラヒック予測算出部
16I 必要帯域算出部
16J 傾向変化検出部
20 通信ネットワーク
21、22 ノード
23 オペレーションシステム
24、25 基地局
26、27、28、29 携帯端末
30、31、32 帯域設備
41 ネットワーク設備情報
42 トラヒック情報
43 基地局・セクタ情報

Claims (8)

  1. 移動体通信サービスの必要帯域を算出する通信帯域算出装置であって、
    通信ネットワークのトラヒック情報と基地局またはセクタ情報を取得する情報取得手段と、
    設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行い、当該エリア領域内に位置する基地局またはセクタの集合を作成し、当該基地局またはセクタの集合全体の観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出手段と、
    回帰分析によるトラヒック予測に適用する数値として、前記エリア・トラヒック量から、当該エリアの平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値に対して、月間回帰線をとった月内の観測トラヒック量の基準量を算出し、当該基準量の時系列データから、基準量を予測する回帰式を算出する基準量算出手段と、
    前記基準量を予測する回帰式に基づき、所望の将来時点の月に対して、当該将来時点の月の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出手段と、
    前記将来時点の月の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出手段と、
    を備えたことを特徴とする通信帯域算出装置。
  2. 前記平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値により正規化した時間毎の正規化観測トラヒック量を算出し、当該正規化観測トラヒック量に関して月間平均を算出することにより時間毎の月間平均値を算出し、回帰分析の対象の観測期間に含まれる前記月間平均値に対して平均を算出することにより期間平均値を算出し、当該期間平均値の時間毎の最大値を、24時間変動率とする24時間変動率算出手段と、
    前記回帰分析の対象の観測期間に含まれる平日または休日の日付けと、前記基準量により正規化された当該日付けの前記24時間平均値に対する回帰分析を行い、月間変動の回帰式を求めて、当該回帰式から月間変動率を算出する月間変動率算出手段と、
    前記回帰分析の対象の観測期間に含まれる平日または休日に対して、前記基準量を予測する回帰式と前記月間変動の回帰式により算出される24時間平均値の予測値を算出し、当該平日または休日に実際に観測された前記24時間平均値との相対誤差を算出し、当該相対誤差の発生累積確率分布を作成し、当該相対誤差の発生累積確率分布に対して、あらかじめ設定した誤差閾値を超える相対誤差の数値を誤差変動率とする誤差変動率算出手段と、
    をさらに備え、
    前記トラヒック予測算出手段は、前記基準量を予測する回帰式と、前記24時間変動率と、前記月間変動率と、前記誤差変動率に基づき、所望の将来時点の月に対して、当該将来時点の月の最大トラヒック量を算出することを特徴とする請求項1に記載の通信帯域算出装置。
  3. エリア・トラヒック量における異常値の条件として、当該エリア・トラヒック量があらかじめ設定した閾値未満である期間のデータを異常とする条件に加えて、
    当該エリアの平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値を算出し、当該24時間平均値により正規化した時間毎の正規化観測トラヒック量を算出し、当該正規化観測トラヒック量に関して異常値検出対象の観測期間に含まれる期間平均を算出することにより時間毎の期間平均値を算出し、前記平日または休日の各時間について、前記正規化観測トラヒック量と前記期間平均値との誤差の関数から、正常なトラヒック変動からの当該平日または休日の歪み値を算出して、当該歪み値があらかじめ設定した歪み閾値を超過した場合に、当該平日または休日を異常と判定する条件を有し、異常と判定された当日の観測トラヒック量データを削除する異常値処理手段
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の通信帯域算出装置。
  4. 観測期間である月に対して、前記基準量を予測する回帰式と、前記月間変動の回帰式から、当該月の平日または休日の24時間平均値の予測値を算出し、当該観測期間に実際に観測された平日または休日の24時間平均値との相対予測誤差を算出し、当該月内の平日または休日の前記相対予測誤差を積算し、当該積算した値とあらかじめ設定した閾値との比較により、傾向変化の検出を判定する傾向変化検出手段
    をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の通信帯域算出装置。
  5. 移動体通信サービスの必要帯域を算出する通信帯域算出装置における通信帯域算出方法であって、
    通信ネットワークのトラヒック情報と基地局またはセクタ情報を取得する情報取得ステップと、
    設計対象となる任意のエリアに対して、エリア領域設定を行い、当該エリア領域内に位置する基地局またはセクタの集合を作成し、当該基地局またはセクタの集合全体の観測トラヒック量の時系列データをエリア・トラヒック量として出力するエリア・トラヒック算出ステップと、
    回帰分析によるトラヒック予測に適用する数値として、前記エリア・トラヒック量から、当該エリアの平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値に対して、月間回帰線をとった月内の観測トラヒック量の基準量を算出し、当該基準量の時系列データから、基準量を予測する回帰式を算出する基準量算出ステップと、
    前記基準量を予測する回帰式に基づき、所望の将来時点の月に対して、当該将来時点の月の最大トラヒック量を算出するトラヒック予測算出ステップと、
    前記将来時点の月の最大トラヒック量に基づき、必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
    を備えたことを特徴とする通信帯域算出方法。
  6. 前記平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値により正規化した時間毎の正規化観測トラヒック量を算出し、当該正規化観測トラヒック量に関して月間平均を算出することにより時間毎の月間平均値を算出し、回帰分析の対象の観測期間に含まれる前記月間平均値に対して平均を算出することにより期間平均値を算出し、当該期間平均値の時間毎の最大値を、24時間変動率とする24時間変動率算出ステップと、
    前記回帰分析の対象の観測期間に含まれる平日または休日の日付けと、前記基準量により正規化された当該日付けの前記24時間平均値に対する回帰分析を行い、月間変動の回帰式を求めて、当該回帰式から月間変動率を算出する月間変動率算出ステップと、
    前記回帰分析の対象の観測期間に含まれる平日または休日に対して、前記基準量を予測する回帰式と前記月間変動の回帰式により算出される24時間平均値の予測値を算出し、当該平日または休日に実際に観測された前記24時間平均値との相対誤差を算出し、当該相対誤差の発生累積確率分布を作成し、当該相対誤差の発生累積確率分布に対して、あらかじめ設定した誤差閾値を超える相対誤差の数値を誤差変動率とする誤差変動率算出ステップと、
    をさらに備え、
    前記トラヒック予測算出ステップは、前記基準量を予測する回帰式と、前記24時間変動率と、前記月間変動率と、前記誤差変動率に基づき、所望の将来時点の月に対して、当該将来時点の月の最大トラヒック量を算出することを特徴とする請求項5に記載の通信帯域算出方法。
  7. エリア・トラヒック量における異常値の条件として、当該エリア・トラヒック量があらかじめ設定した閾値未満である期間のデータを異常とする条件に加えて、
    当該エリアの平日または休日の観測トラヒック量合計の24時間平均値を算出し、当該24時間平均値により正規化した時間毎の正規化観測トラヒック量を算出し、当該正規化観測トラヒック量に関して異常値検出対象の観測期間に含まれる期間平均を算出することにより時間毎の期間平均値を算出し、前記平日または休日の各時間について、前記正規化観測トラヒック量と前記期間平均値との誤差の関数から、正常なトラヒック変動からの当該平日または休日の歪み値を算出して、当該歪み値があらかじめ設定した歪み閾値を超過した場合に、当該平日または休日を異常と判定する条件を有し、異常と判定された当日の観測トラヒック量データを削除する異常値処理ステップ
    をさらに備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の通信帯域算出方法。
  8. コンピュータを、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信帯域算出装置の各部として機能させるためのプログラム。
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