JP6499138B2 - 車両用の過給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、二基の過給機が直列に配設されている車両用の過給装置に関する。
特許文献1に開示されているように、第1過給機と第2過給機とが直列に配設されている車両用の過給装置が知られている。この過給装置において、第1過給機はタービンを収容する第1タービンハウジングを備え、第2過給機はタービンを収容する第2タービンハウジングを備えている。第1タービンハウジング及び第2タービンハウジングには、排気を内部に導入する導入管と、排気を外部に排出する排出管とがそれぞれ設けられている。第1タービンハウジングの排出管の先端部と、第2タービンハウジングの導入管の先端部には、フランジがそれぞれ設けられている。そして、第1タービンハウジングの排出管の先端部の端面と第2タービンハウジングの導入管の先端部の端面とを向き合わせた状態で各フランジをボルトを用いて締結することで、第1タービンハウジングの排出管と第2タービンハウジングの導入管とが接続されている。なお、特許文献1に開示されている過給装置では、バルブを備えた中間部材を各フランジの間に挟んだ状態で、各フランジを締結している。このように二基の過給機を直列に配置することで、第1タービンハウジングから排出された排気が第2タービンハウジング内に導入されるようになる。
特開2012‐012990号公報
上記のように2つのフランジを向き合わせた状態で、ボルトを用いて締結する構成の場合、各フランジにボルト挿通孔をそれぞれ開孔させる必要がある。そのため、このようにボルト挿通孔を形成する分、上記排出管及び上記導入管の中心軸を中心とする径方向における各フランジの寸法の拡大が避けられない。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための車両用の過給装置は、排気タービン式の第1過給機と、排気タービン式の第2過給機と、を備えている。前記第1過給機は当該第1過給機の内部の排気を排出する排出管を有し、該排出管は、内側を排気が通過する第1筒状部と、該第1筒状部の先端に設けられている環状の第1フランジと、を備えている。前記第2過給機は当該第2過給機の内部に排気を導入する導入管を有し、該導入管は、内側を排気が通過する第2筒状部と、該第2筒状部の先端に設けられている環状の第2フランジと、を備えている。そして、前記排出管の前記第1フランジと前記導入管の前記第2フランジとが接続されていて、前記第1筒状部と前記第2筒状部とが連通している。さらに車両用の過給装置は、前記第1フランジと前記第2フランジとを締結する締結具を備え、前記締結具は、溝底に向かって幅が狭くなる環状溝を備え、前記各フランジを該環状溝に収容するように該各フランジの周方向に沿って巻きつけられており、前記締結具によって、前記各フランジを、互いに他方のフランジ側へ付勢して締結している。
このように締結具を巻きつけて各フランジを締結する場合にあっては、各フランジをボルト締結する場合とは異なり、各フランジにボルト挿通孔を開孔させなくてもよい分、排出管及び導入管の中心軸を中心とする径方向において、各フランジの寸法の拡大を抑制することができる。
上記車両用の過給装置の一例では、前記排出管及び前記導入管のいずれか一方の管の先端には該一方の管の先端面に凹部が設けられており、他方の管の先端には前記凹部と嵌合する凸部が設けられている。
上記構成によれば、排出管及び導入管のいずれか一方の管の先端に設けられている凹部に、他方の管の先端に設けられている凸部が嵌合されているため、排出管と導入管との位置ずれが生じにくくなっている。
上記車両用の過給装置の一例では、前記凹部は、前記一方の管における排気の通路を囲むように環状に形成されており、前記凸部は、前記他方の管における排気の通路を囲むように環状に形成されている。
上記構成によれば、排気の通路よりも径方向外側に当該通路を取り囲むように設けられている凹部と、該凹部に嵌合されている凸部とによって、排気のシール面である排出管と導入管との境界にラビリンス構造を設けることができる。このため、排出管と導入管との接続部分のシール性を向上させることができる。
上記車両用の過給装置の一例では、当該過給装置が車両に搭載される状態において、前記第1過給機と前記第2過給機とが鉛直方向の上下に並んだ状態になり、互いに向かい合わせになっている前記排出管の先端面及び前記導入管の先端面の双方が水平である。
上記構成によれば、車両に搭載された状態では、排出管の先端面及び導入管の先端面の双方が水平であるため、排出管及び導入管のうち鉛直方向下側に配置されている管は、鉛直方向上側に配置されている管から鉛直方向下側への荷重を受けることとなる。これによって、鉛直方向上側に配置されている過給機の自重を利用して、鉛直方向上側に配置されている管の先端面を鉛直方向下側に配置されている管の先端面に押し付けることができるため、排出管と導入管との接続部分のシール性をより向上させることができる。
なお、排出管及び導入管のいずれか一方に凹部を設け、他方に凸部を設ける場合、前記凸部を前記排出管に設け、前記凹部を前記導入管に設けるようにしてもよい。そして、この場合、上記車両用の過給装置の一例として、前記凸部が前記第1筒状部に設けられているとともに、前記凹部が前記第2筒状部に設けられており、前記凸部の内周面が前記第1筒状部の内周面と連続しているように構成することができる。こうした構成を採用した場合には、凸部の内周面が排気の通路における壁面の一部を構成することになる。
上記車両用の過給装置の一例として、当該過給装置が車両に搭載される状態において、前記第1過給機が前記第2過給機よりも鉛直方向の下側に位置する状態になる構成を採用することができる。そしてさらに、前記第2過給機の質量が前記第1過給機の質量よりも大きい構成を採用することができる。
上記構成によれば、質量が大きい第2過給機が第1過給機よりも鉛直方向上側に配設されることになる。すなわち、質量の小さい第1過給機が第2過給機よりも鉛直方向上側に配設される場合に比して、鉛直方向下側に位置する過給機に設けられている管の先端面に対してかかる荷重が大きくなる。これによって、排出管と導入管との接続部分のシール性をより向上させることができる。
上記車両用の過給装置の一例では、前記第1フランジ及び前記第2フランジのいずれか一方のフランジには、前記第1フランジ及び前記第2フランジのいずれか一方のフランジには、収容溝が設けられており、前記収容溝は、前記排出管及び前記導入管のうち前記一方のフランジを備える管における排気の通路を囲むように環状に形成されている。さらに、前記収容溝には環状のシール部材が配設されており、前記第1フランジ及び前記第2フランジのうち、前記収容溝が設けられていない他方のフランジに前記シール部材が密接している。
上記構成によれば、締結具による付勢力が直接作用する第1フランジ又は第2フランジにシール部材が配設される。これによって、シール部材を効率よく他方のフランジに押し付けることができる。そのため、排出管と導入管との接続部分のシール性をより向上させることができる。
上記車両用の過給装置の一例では、前記各フランジが並ぶ方向を軸方向とするとき、前記各フランジの径方向における前記収容溝の配置位置において、前記第1フランジ及び前記第2フランジのうち、前記収容溝が設けられている前記一方のフランジの前記軸方向における寸法が、当該収容溝が設けられていない前記他方のフランジの前記軸方向における寸法よりも大きい。
前記一方のフランジは、収容溝が設けられていることによって、収容溝の分だけ厚さが薄くなる部分を有している。上記構成によれば、収容溝が設けられている一方のフランジの厚さが、他方のフランジの厚さよりも厚くなる。これによって一方のフランジについて、先端面の反対側の面から収容溝の溝底までの厚さを確保しやすい。すなわち、収容溝が設けられているフランジの剛性の低下を抑制することができる。
車両用の過給装置の一実施形態を備える内燃機関を示す模式図。 同実施形態にかかる車両用の過給装置の概略構造を示す図であって、一部を破断した状態を示す図。 同実施形態にかかる車両用の過給装置について、タービンハウジング同士を接続する部分の断面構造を示す断面図。 同実施形態にかかる車両用の過給装置について、タービンハウジング同士を接続する部分の断面構造を部分的に拡大して示す断面図。 車両用の過給装置の変形例を示す断面図。
以下、車両用の過給装置の一実施形態である過給装置10について、図1〜図4を参照して説明する。
図1には、本実施形態の過給装置10を備える車載の内燃機関100が図示されている。図1に示すように、内燃機関100は、吸気と燃料とを含む混合気が燃焼される燃焼室91と、図1に示す実線矢印の方向に流れる吸気を燃焼室91に導入する吸気通路92と、燃焼室91から排出された排気が図1に示す破線矢印の方向に流れる排気通路93と、を備えている。
過給装置10は、第1過給機としての高圧側過給機20と、第2過給機としての低圧側過給機50と、を有している。各過給機20,50は、排気タービン式の過給機である。
図1に示すように、高圧側過給機20は、排気通路93に配置されているタービン21と、吸気通路92に配置されているコンプレッサ22と、を有している。タービン21は、排気を受けて回転するタービンホイール21Aと、タービンホイール21Aを収容するタービンハウジング30と、を備えている。また、コンプレッサ22は、コンプレッサホイール22Aと、コンプレッサホイール22Aを収容するコンプレッサハウジング25と、を備えている。コンプレッサホイール22Aは、タービンシャフト23を介してタービンホイール21Aに連結されており、タービンホイール21Aと同期して回転する。
タービンハウジング30は、タービン21への排気の導入通路を形成する導入管41と、タービン21を通過した排気の排出通路を形成する排出管31と、を備えている。また、コンプレッサハウジング25は、コンプレッサ22への吸気の導入通路を形成する導入管26と、コンプレッサ22によって過給された吸気の排出通路を形成する排出管27と、を備えている。
また、図2に示すように、高圧側過給機20は、タービンハウジング30とコンプレッサハウジング25との間に配置されていてタービンシャフト23が挿通しているベアリングハウジング24を有している。このベアリングハウジング24は、タービンシャフト23を回転可能に支持している。なお、ベアリングハウジング24は、タービンハウジング30に接続されているとともに、コンプレッサハウジング25に接続されている。
図1に示すように、低圧側過給機50は、排気通路93に配置されているタービン51と、吸気通路92に配置されているコンプレッサ52と、を有している。タービン51は、排気を受けて回転するタービンホイール51Aと、タービンホイール51Aを収容するタービンハウジング60と、を備えている。また、コンプレッサ52は、コンプレッサホイール52Aと、コンプレッサホイール52Aを収容するコンプレッサハウジング55と、を備えている。コンプレッサホイール52Aは、タービンシャフト53を介してタービンホイール51Aに連結されており、タービンホイール51Aと同期して回転する。
タービンハウジング60は、タービン51への排気の導入通路を形成する導入管61と、タービン51を通過した排気の排出通路を形成する排出管71と、を備えている。また、コンプレッサハウジング55は、コンプレッサ52への吸気の導入通路を形成する導入管56と、コンプレッサ52によって過給された吸気の排出通路を形成する排出管57と、を備えている。
また、図2に示すように、低圧側過給機50は、タービンハウジング60とコンプレッサハウジング55との間に配置されていてタービンシャフト53が挿通しているベアリングハウジング54を有している。このベアリングハウジング54は、タービンシャフト53を回転可能に支持している。なお、ベアリングハウジング54は、タービンハウジング60に接続されているとともに、コンプレッサハウジング55に接続されている。
本実施形態の過給装置10では、二基の過給機20,50が直列に配設されている。具体的には、図1に示すように、低圧側過給機50のコンプレッサ52は、高圧側過給機20のコンプレッサ22よりも吸気上流側に配設されている。そして、コンプレッサ52の排出管57及びコンプレッサ22の導入管26は、排出管57の内側の排出通路と導入管26の内側の導入通路とが互いに連通するように接続されている。
そのため、吸気通路92を流れる吸気は導入管56を介してコンプレッサ52に導入され、コンプレッサ52からは排出管57を介して吸気が排出される。コンプレッサ52から排出された吸気は導入管26を介してコンプレッサ22に導入され、コンプレッサ22からは排出管27を介して排出される。そして、コンプレッサ22から排出された吸気、すなわち過給装置10から排出された吸気が燃焼室91に導入される。
高圧側過給機20のタービン21は、低圧側過給機50のタービン51よりも排気上流側に配設されている。そして、タービン21の排出管31及びタービン51の導入管61は、排出管31の内側の排出通路と導入管61の内側の導入通路とが互いに連通するように接続されている。
そのため、燃焼室91から排気通路93に排出された排気は導入管41を介してタービン21に導入され、タービン21からは排出管31を介して排出される。タービン21から排出された排気は導入管61を介してタービン51に導入され、タービン51からは排出管71を介して排気が排出される。
なお、高圧側過給機20には、コンプレッサ22内でコンプレッサホイール22Aを迂回するバイパス通路11が設けられている。バイパス通路11には、バイパス通路11を通過する吸気の流量を調節するバルブが設けられている。また、高圧側過給機20には、タービン21内でタービンホイール21Aを迂回するバイパス通路12が設けられている。また、低圧側過給機50には、タービン51内でタービンホイール51Aを迂回するバイパス通路13が設けられている。バイパス通路12,13には、バイパス通路12,13を通過する排気の流量を調節するバルブがそれぞれ設けられている。
図2には、過給装置10を搭載する内燃機関100が車両に搭載されている状態での鉛直方向及び水平方向を示す矢印が図示されている。なお、以降の記載では、このように過給装置10が車両に搭載される状態のことを「車載状態」という。
車載状態では、高圧側過給機20と低圧側過給機50は、鉛直方向の上下に並んだ状態になる。本実施形態では、高圧側過給機20は、車載状態において、低圧側過給機50よりも鉛直方向下側に位置する。また、車載状態では、高圧側過給機20におけるタービンシャフト23が水平面に対して平行になっているとともに、低圧側過給機50におけるタービンシャフト53が水平面に対して平行になっている。なお、低圧側過給機50の容量は高圧側過給機20よりも大きく、低圧側過給機50の質量は高圧側過給機20よりも大きい。そのため、高圧側過給機20における低圧側過給機50との当接部位では、高圧側過給機20よりも質量の大きい低圧側過給機50の自重を受けることとなる。
図2及び図3を参照して、タービン21の排出管31及びタービン51の導入管61の構成と、排出管31と導入管61との接続態様と、について説明する。
排出管31は、タービン21から排出される排気が流れる排気通路としての排出通路321が内側に形成されている第1筒状部32を有している。導入管61は、タービン51に導入される排気が流れる排気通路としての導入通路621が内側に形成されている第2筒状部62を有している。第1筒状部32の内径と第2筒状部62の内径とは互いに等しい。排出管31と導入管61とは、排出管31の先端面35(図中上端面)と導入管61の先端面65(図中下端面)とを突き合わせるとともに、第1筒状部32の中心軸と第2筒状部62の中心軸とが一致するように接続されている。図2及び図3には、第1筒状部32の中心軸及び第2筒状部62の中心軸を、軸線Cとして示している。
排出管31は、第1筒状部32の先端に設けられている環状の第1フランジ33を有している。排出管31は先端面35が車載状態において水平になるように設けられており、第1フランジ33のうち、軸線Cの延伸方向における先端面35の反対側の面は、軸線Cを中心とする径方向の外側ほど先端面35に近づくように傾斜している傾斜面34になっている。すなわち、第1フランジ33の軸線Cの延伸方向における寸法を第1フランジ33の厚さとした場合、第1フランジ33の厚さは、径方向外側に向かうにつれて徐々に薄くなっている。
導入管61は、第2筒状部62の先端に設けられている環状の第2フランジ63を有している。第1フランジ33と第2フランジ63は、軸線Cの延伸方向に並んでいる。また、排出管31の先端面35と導入管61の先端面65とは向かい合っている。導入管61は先端面65が車載状態において水平になるように設けられており、第2フランジ63のうち、軸線Cの延伸方向における先端面65の反対側の面は、軸線Cを中心とする径方向の外側ほど先端面65に近づくように傾斜している傾斜面64になっている。すなわち、第2フランジ63の軸線Cの延伸方向における寸法を第2フランジ63の厚さとした場合、第2フランジ63の厚さは、径方向外側に向かうにつれて徐々に薄くなっている。
なお、排出管31の先端面35、及び導入管61の先端面65の双方は円環状をなしている。そして、排出管の先端面35の外径は、導入管61における先端面65の外径と等しい。
導入管61には、その先端面65に凹部67が形成されている。より詳しくは、凹部67は、導入管61の第2筒状部62に形成されている。凹部67は、第2筒状部62の内側の導入通路621を囲むように環状をなしているとともに、導入通路621と連通している。さらに、凹部67は車載状態において底面が水平になるように設けられている。
排出管31には、その先端面35から導入管61側(図中上側)に突出する凸部37が設けられている。より詳しくは、凸部37は、排出管31の第1筒状部32に設けられている。また、凸部37は、導入管61の凹部67と相補的な形状となっており、第1筒状部32の内側の排出通路321を囲むような筒状をなしている。凸部37の内径は第1筒状部32の内径と等しく、凸部37の内周面38は第1筒状部32の内周面36と連続している。なお、凸部37は車載状態において頂面が水平になるように設けられている。
さらに、排出管31のうちの凸部37よりも径方向外側には、先端面35に開口する環状の収容溝39が設けられている。この収容溝39内には、環状のシール部材84が配設されている。
そして、排出管31と導入管61とが接続されている状態では、凸部37が凹部67に嵌合し、先端面35が先端面65に面接触している。さらに、シール部材84は、導入管61の先端面65に密接している。
排出管31の第1フランジ33と導入管61の第2フランジ63とは締結具80によって締結されている。締結具80は、第1フランジ33及び第2フランジ63に対して、第1フランジ33及び第2フランジ63の周方向に巻きつけられているVバンド81を有している。Vバンド81は、その中心が軸線C上に位置するように配設されている。Vバンド81には、その内周側全周に渡るような環状溝82が設けられている。この環状溝82は、軸線Cを中心とする径方向の外側に向かうにつれて軸線Cの延伸方向における寸法が小さくなるように、すなわち溝底に向かって幅が狭くなるように形成されている。
そして、このような環状溝82に第1フランジ33及び第2フランジ63が収容されている。Vバンド81は、第1フランジ33の傾斜面34に当接しているとともに、第2フランジ63の傾斜面64に当接している。すなわち、Vバンド81は、軸線Cの延伸方向に並んでいる第1フランジ33及び第2フランジ63を挟持している。
また、締結具80は、Vバンド81の内径を調節可能な1つの調節ボルトを有している。調節ボルトを締めることでVバンド81の内径が小さくされる。Vバンド81の内径が小さくなることに伴って、Vバンド81は、各フランジ33,63のうち厚さの厚い部分を挟持するようになる。その結果、Vバンド81の弾性変形量が多くなり、Vバンド81が各フランジ33,63に締結力として付与する付勢力、すなわち各フランジ33,63を互いに他方のフランジ側へ付勢する力が強くなる。そして、このような締結具80が各フランジ33,63に付与する締結力によって、各フランジ33,63が締結され、排出管31と導入管61とが接続されている。
図4を参照して、排出管31における第1フランジ33と第1筒状部32との境界部分と、導入管61における第2フランジ63と第2筒状部62との境界部分とについて詳述する。
排出管31の第1筒状部32のうち、第1フランジ33が接続されている部分を第1筒状部32の先端部位32Aというものとする。この場合、第1筒状部32のうち、先端部位32Aよりも基端側には、軸線Cを中心とする径方向における寸法が先端部位32Aに近いほど大きい厚肉部位32Bを有している。また、導入管61の第2筒状部62のうち、第2フランジ63が接続されている部分を第2筒状部62の先端部位62Aというものとする。この場合、第1筒状部32と同様に、第2筒状部62のうち、先端部位62Aよりも基端側には、軸線Cを中心とする径方向における寸法が先端部位62Aに近いほど大きい厚肉部位62Bを有している。
なお、軸線Cの延伸方向における第1フランジ33の寸法、すなわち第1フランジ33の厚さは、径方向内側の端部で最も大きくなっている。同様に、第2フランジ63の厚さは、径方向内側の端部で最も大きくなっている。そして、図4に示すように、第1フランジ33の径方向内側の端部における厚さである寸法H1maxは、第2フランジ63の径方向内側の端部における厚さである寸法H2よりも大きい。
また、収容溝39の径方向外側の周壁は第1フランジ33に形成されており、収容溝39の径方向内側の周壁は第1筒状部32に形成されている。第1フランジ33のうち収容溝39の径方向外側における周壁が設けられている部分での、第1フランジ33の厚さである寸法H1midは、第2フランジ63の径方向内側の端部における厚さである寸法H2よりも大きい。したがって、各フランジ33,63の径方向における収容溝39の配置位置では、収容溝39が設けられている第1フランジ33における寸法H1max及び寸法H1midのいずれもが、第2フランジ63の寸法H2よりも大きくなっている。
次に、本実施形態にかかる過給装置10の作用とともに、その効果について説明する。
図2及び図3に示すように、過給装置10では、Vバンド81を第1フランジ33及び第2フランジ63に対して巻き付けることによって、各フランジ33,63を互いに他方のフランジ側へ付勢する力が第1フランジ33及び第2フランジ63に作用する。これによって、第1フランジ33及び第2フランジ63が締結具80によって締結され、高圧側過給機20の排出管31と低圧側過給機50の導入管61とが接続されている。
このように締結具80によって第1フランジ33及び第2フランジ63を締結する場合にあっては、各フランジをボルト締結する場合とは異なり、各フランジにボルト挿通孔を開孔させなくてもよい分、軸線Cを中心とする径方向において、各フランジ33,63の寸法の拡大を抑制することができる。
また、フランジ同士をボルト締結する場合、各フランジを互いに接近させるための力である締結力が、フランジの周方向でばらつきやすい。これに対し、本実施形態では、各フランジ33,63にVバンド81が巻きつけられており、傾斜面34,64の広い範囲にわたって当接している。そのため、各フランジ33,63の周方向において各フランジ33,63に作用する上記締結力がばらつきにくくなる。これによって、排出管31と導入管61との接続部分のシール性を向上させることができる。
また、第1フランジ33及び第2フランジ63の径方向における寸法を小さくすることで、排出管31と導入管61との接続部分の周囲にスペースを確保することができる。
さらに、1つの調節ボルトによって内径が調節されるVバンド81によって各フランジ33,63を締結するようにしているため、各フランジをボルト締結する場合と比較して、各フランジ33,63の締結に要するボルトの本数を少なくすることができる。これによって、排出管31と導入管61との接続に要する工程数を減らすことができる。
本実施形態では、各フランジ33,63の厚さは、軸線Cを中心とする径方向で軸線Cに接近するほど厚くなっている。そして、こうした第1フランジ33及び第2フランジ63を軸線Cの延伸方向に並べた状態で締結具80によって締結しているため、Vバンド81によって各フランジ33,63を締め付けるほど、Vバンド81の弾性変形量が多くなる。すなわち、調節ボルトによってVバンド81の内径を調節することによって各フランジ33,63に作用させる上記締結力を容易に調節することができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、排出管31の凸部37を導入管61の凹部67に嵌合させているため、排出管31と導入管61との位置ずれが生じにくくなっている。また、凹部67及び凸部37は、第2筒状部62の内側の導入通路621及び第1筒状部32の内側の排出通路321を外側から囲むような形状となっている。そのため、特に導入通路621と排出通路321との位置ずれの抑制効果をより高めることができる。
なお、排出管31と導入管61とを接続する際には、相補的な凸部37と凹部67とを嵌め合わせるように位置合わせを行えばよい。そのため、いくつもの凸部と凹部とを嵌め合わせるように位置合わせを行う場合や、各フランジに設けた複数のボルト挿通孔が重なるように位置合わせを行う場合と比較して位置合わせが容易である。そのため、排出管31と導入管61とを接続する作業効率を高めることができる。
また、排出管31と導入管61とを接続した状態にあっては、凹部67と凹部67に嵌合されている凸部37とによって、排出管31と導入管61との境界にラビリンス構造を設けることができる。これによって、排出管31と導入管61との接続部分のシール性を向上させることができる。
本実施形態では、図2に示すように、車載状態において、各過給機20,50が鉛直方向に並んでおり、排出管31の先端面35と導入管61の先端面65との双方が水平になる。そして、鉛直方向下側に配置されている高圧側過給機20の排出管31は、その先端面35で、鉛直方向上側に配置されている低圧側過給機50の荷重を導入管61を介して受けることとなる。これによって、低圧側過給機50の自重を利用して、先端面65を先端面35に押し付けることができるため、排出管31と導入管61との接続部分のシール性をより向上させることができる。
なお、低圧側過給機50の質量は高圧側過給機20の質量よりも大きい。このように質量の大きい低圧側過給機50を、質量の小さい高圧側過給機20よりも鉛直方向上側に配設しているため、高圧側過給機20を低圧側過給機50よりも鉛直方向上側に配置する場合と比較して排出管31の先端面35が受ける荷重が大きくなる。これによって、排出管31と導入管61との接続部分のシール性をより向上させることができる。
さらに、鉛直方向上側に配置されている低圧側過給機50の自重を鉛直方向下側に配置されている高圧側過給機20の排出管31における先端面35で受けるため、低圧側過給機50の自重が締結具80に作用することを抑制できる。
本実施形態では、Vバンド81が当接しており、締結具80による付勢力が直接作用する第1フランジ33にシール部材84を設け、シール部材84を第2フランジ63に密接させている。そのため、シール部材84を効率よく第2フランジ63に押し付けることができる。そのため、排出管31と導入管61との接続部分のシール性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、凸部37や凹部67が第1筒状部32や第2筒状部62に設けられているが、仮に、凸部37や凹部67が第1フランジ33や第2フランジ63に配設されているとした場合には、収容溝39やシール部材84が本実施形態の場合よりも径方向外側に配設されることとなる。そのため、本実施形態の場合と比較し、シール部材84の径方向寸法が大きくなりやすい。この点、本実施形態では、凸部37や凹部67が第1筒状部32や第2筒状部62に設けられているため、シール部材84の径方向寸法の拡大を抑制することができる。
図4に示すように、第1筒状部32のうち、先端部位32Aよりも基端側の部位は厚肉部位32Bとなっているとともに、第2筒状部62のうち、先端部位62Aよりも基端側の部位は厚肉部位62Bとなっている。これによって、特に応力が集中しやすい各フランジ33,63の付け根の部分の剛性、すなわち第1筒状部32から第1フランジ33が膨出する部分における剛性、及び、第2筒状部62から第2フランジ63が膨出する部分における剛性を高くすることができる。
なお、第1フランジ33は、収容溝39が設けられていることによって、収容溝39の分だけ厚さが薄くなる部分を有している。本実施形態では、図4に示すように、軸線Cの延伸方向において、第1フランジ33の寸法H1max及び寸法H1midのいずれもが第2フランジ63の寸法H2よりも大きい。これによって、第1フランジ33について、傾斜面34から収容溝39の溝底までの厚さを確保しやすい。すなわち、第1フランジ33に収容溝39を設けていることに起因して第1フランジ33の剛性が不足してしまうことを抑制できる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・排出管31の先端面35と導入管61の先端面65とを向かい合わせにした状態で締結具80によって各フランジ33,63を締結することができるのであれば、排出管31の先端面35と導入管61の先端面65とが当接していなくてもよい。例えば、排出管31の先端面35と導入管61の先端面65とを向かい合わせにした状態で、排出管31の先端面35と導入管61の先端面65との間にガスケットを挟んで締結具80によって締結固定してもよい。凸部37が貫通可能な連通孔がガスケットに設けられていれば、ガスケットを介在させたとしても凸部37と凹部67とを嵌合させることができる。また、このように排出管31の先端面35と導入管61の先端面65との間にガスケットを介在させるのであれば、シール部材84及び、シール部材84を収容する収容溝39を省略してもよい。
・締結具80によって各フランジ33,63を締結することができるのであれば、軸線Cを中心とする径方向において、第1フランジ33又は第2フランジ63の厚さを一定としてもよい。
・第1フランジ33の寸法H1maxと寸法H1midとを第2フランジ63の寸法H2よりも大きくしたが、第1フランジ33の寸法H1maxと寸法H1midと第2フランジ63の寸法H2との大小関係は、これに限られるものではない。
・上記実施形態では、収容溝39と凸部37とが軸線Cを中心とする径方向において隣接しており、収容溝39の内周側の壁面と凸部37の外周側の面とが連続している。これに限らず、前記径方向において収容溝39と凸部37とを離間させた位置に設け、収容溝39の内周側の壁面が凸部37の外周側の面よりも径方向外側に位置するように、収容溝39及び凸部37を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、収容溝39の内周側の壁面が第1筒状部32内に位置しているが、収容溝39の内周側の壁面が第1フランジ33内に位置するように収容溝39を設けるようにしてもよい。
・凸部37の内周面38が排出管31の内周面36よりも径方向外側に位置するように、凸部37を設けてもよい。
・締結具80によって第1フランジ33及び第2フランジ63が締結されているのであれば、高圧側過給機20と低圧側過給機50とを鉛直方向に並べて配設する過給装置に限らず適用することができる。
・排出管31と導入管61との位置ずれを抑制するように凹部67に嵌合可能な凸部37であれば、凸部37は凹部67と相補的な形状でなくてもよい。
・凹部67は環状でなくてもよい。凹部と凸部とが嵌合することによって位置合わせを行うことができる形状であればよい。例えば、環状の一部が途切れている略環状の凹部を採用し、こうした凹部に嵌合する凸部を採用することもできる。また、フランジの周方向に沿って複数の凹部を配設し、これら複数の凹部に複数の凸部をそれぞれ嵌合させるようにしてもよい。
・過給装置は、低圧側過給機50を高圧側過給機20よりも鉛直方向下側に配設したものであってもよい。
・図5に示すように、導入管61に収容溝139を設け、この収容溝139にシール部材84を収容するようにしてもよい。この場合、排出管31と導入管61とが接続されている状態では、シール部材84が排出管31の先端面35に密接することとなる。
・図5に示すように、排出管31に凹部137を設け、凹部137に嵌合される凸部167を導入管61に設けるようにしてもよい。
・各フランジ33,63を締結具80によって締結することができるのであれば、導入管61及び排出管31のいずれにも、凹部と当該凹部に嵌合される凸部とを設けなくてもよい。
・鉛直方向下側に位置する過給機の質量が、鉛直方向上側に位置する過給機の質量よりも大きくてもよい。
10…過給装置、20…高圧側過給機(第1過給機)、21…タービン、22…コンプレッサ、23…タービンシャフト、24…ベアリングハウジング、25…コンプレッサハウジング、26…導入管、27…排出管、30…タービンハウジング、31…排出管、32…第1筒状部、33…第1フランジ、34…傾斜面、35…先端面、36…内周面、37…凸部、38…内周面、39…収容溝、41…導入管、50…低圧側過給機(第2過給機)、51…タービン、52…コンプレッサ、53…タービンシャフト、54…ベアリングハウジング、55…コンプレッサハウジング、56…導入管、57…排出管、60…タービンハウジング、61…導入管、62…第2筒状部、63…第2フランジ、64…傾斜面、65…先端面、67…凹部、71…排出管、80…締結具、81…Vバンド、82…環状溝、84…シール部材、91…燃焼室、92…吸気通路、93…排気通路、100…内燃機関、137…凹部、139…収容溝、167…凸部、321…排出通路、621…導入通路。

Claims (7)

  1. 排気タービン式の第1過給機と、排気タービン式の第2過給機と、を備え、
    前記第1過給機は当該第1過給機の内部の排気を排出する排出管を有し、該排出管は、内側を排気が通過する第1筒状部と、該第1筒状部の先端に設けられている環状の第1フランジと、を備え、
    前記第2過給機は当該第2過給機の内部に排気を導入する導入管を有し、該導入管は、内側を排気が通過する第2筒状部と、該第2筒状部の先端に設けられている環状の第2フランジと、を備え、
    前記排出管の前記第1フランジと前記導入管の前記第2フランジとが接続されており、前記第1筒状部と前記第2筒状部とが連通している車両用の過給装置であって、
    前記第1フランジと前記第2フランジとを締結する締結具を備え、
    前記締結具は、溝底に向かって幅が狭くなる環状溝を備え、前記各フランジを該環状溝に収容するように該各フランジの周方向に沿って巻きつけられており、前記締結具によって、前記各フランジを、互いに他方のフランジ側へ付勢して締結しており、
    前記第1フランジ及び前記第2フランジのいずれか一方のフランジには、収容溝が設けられており、
    前記収容溝は、前記排出管及び前記導入管のうち前記一方のフランジを備える管における排気の通路を囲むように環状に形成されており、
    前記収容溝には環状のシール部材が配設されており、
    前記第1フランジ及び前記第2フランジのうち、前記収容溝が設けられていない他方のフランジに前記シール部材が密接しており、
    前記各フランジが並ぶ方向を軸方向とするとき、前記各フランジの径方向における前記収容溝の配置位置において、前記第1フランジ及び前記第2フランジのうち、前記収容溝が設けられている前記一方のフランジの前記軸方向の寸法が、当該収容溝が設けられていない前記他方のフランジの前記軸方向の寸法よりも大きい車両用の過給装置。
  2. 前記排出管及び前記導入管のいずれか一方の管の先端には該一方の管の先端面に凹部が設けられており、他方の管の先端には前記凹部と嵌合する凸部が設けられている
    請求項1に記載の車両用の過給装置。
  3. 前記凹部は、前記一方の管における排気の通路を囲むように環状に形成されており、
    前記凸部は、前記他方の管における排気の通路を囲むように環状に形成されている
    請求項2に記載の車両用の過給装置。
  4. 当該過給装置が車両に搭載される状態において、前記第1過給機と前記第2過給機とが鉛直方向の上下に並んだ状態になり、互いに向かい合わせになっている前記排出管の先端面及び前記導入管の先端面の双方が水平である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用の過給装置。
  5. 前記凸部が前記排出管に設けられているとともに、前記凹部が前記導入管に設けられており、
    当該過給装置が車両に搭載される状態において、前記第1過給機が、前記第2過給機よりも鉛直方向の下側に位置する状態になり、互いに向かい合わせになっている前記排出管の先端面及び前記導入管の先端面の双方が水平である
    請求項2又は3に記載の車両用の過給装置。
  6. 前記凸部が前記第1筒状部に設けられているとともに、前記凹部が前記第2筒状部に設けられており、
    前記凸部の内周面が前記第1筒状部の内周面と連続している
    請求項5に記載の車両用の過給装置。
  7. 前記第2過給機の質量が前記第1過給機の質量よりも大きい
    請求項5又は6に記載の車両用の過給装置。
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