ドラム内のごみの量が満量になれば、ドラムからごみを排出すると共に、排出したごみを収集車に積み替える。電気モータは、排出口からごみを排出するときも、ドラムを回転させる。ドラムが回転することに伴い、ドラム内のごみは、開いた排出口を通じてドラムの外に排出される。排出口には、シュートやコンベヤが接続される。排出口から排出されたごみは、シュートやコンベヤを介して直接、収集車に投入される。ドラム式ごみ貯留装置によって、収集作業者の安全性や、利便性も高くなる。
ドラム内にごみを貯留し過ぎると、ドラムからごみを排出するときに、ドラムを回転させることができなくなる、又は、回転させることが困難になる。そのため、ドラム式ごみ貯留装置においては、ドラム内の、おおよそのごみの量を把握しておかなければならない。
そこで、従来は、ドラム内へのごみの投入回数を計数しておき、投入回数が、予め定めた満量回数に到達したときには、ドラム内のごみの量が満量になったと判断していた。この構成によって、ドラム内のごみの重量を計測する重量計等を用いない安価な構成によって、ドラム内のごみの量が満量になったか否かの判断を行うことが可能になる。
しかしながら、ドラム内に投入する1回当たりのごみの量は一定ではない。このため、ドラム内へのごみの投入回数を計数する構成では、投入回数が所定回数に到達してもドラム内のごみの量が満量よりも、かなり少なかったり、逆に投入回数が所定回数に到達したときにはドラム内のごみの量が多すぎてしまったりする虞がある。ドラム内のごみの量が少ない状態でドラム内が満量であると判断してしまうと、ごみの収集を何度も行わなければならなくなるため、ごみの収集効率が悪くなる。また、ドラムの最大貯留量を満足することなく、ごみ貯留装置を使用することにもなる。一方、ドラム内のごみの量が多すぎる状態でドラム内が満量であると判断してしまうと、前述のように、ドラムからごみを排出するときに、例えば電気モータの能力を超えてしまい、ドラムを回転させることができなくなる、又は、回転させることが困難になる。
また、ごみの投入回数を計数する構成では、ドラム内のごみを収集車に積み替えたときに、ドラム内の全てのごみを排出したとみなして投入回数をリセットし、投入回数を新たに計数し始める。しかしながら、例えば収集車が満杯になってしまった等、様々な理由で、ドラム内のごみを収集車に積み替えた後に、ドラム内にごみの一部が残ってしまうことも起こり得る。ドラム内に、ごみの一部が残ってしまうと、新たに計数し始めた投入回数が所定の満量回数に到達する前に、ドラム内の実際のごみの量が満量になってしまったり、投入回数が所定の満量回数に到達したときには、ドラム内のごみの量が多すぎたりする問題が生じる。
このように、ドラム内へのごみの投入回数を計数することによって、ドラム内のごみの量を判断しようとする従来の構成は、判断精度が低いため、様々な問題を招く。
この問題点に関して、前述した特許文献1では、ドラムが惰性で回転をする量に基づいて、ドラム内のごみの量が満量になったことを判定する構成が提案されている。具体的に特許文献1に記載されている構成は、電気モータによってドラムが回転している状態から、電気モータへの電力供給をオフにした後の電気モータの発電電流を検出し、その検出電流をドラムの惰性回転量に変換する。そうして検出した惰性回転量が設定値となれば、ドラム内のごみの量が満量になったと判定する。しかしながら、電気モータの発電電流は、ドラムの回転状態や、外乱等の様々な影響によって瞬間的に変動することがあるため、不安定である。この提案のようにドラムの惰性回転中の発電電流に基づいて、ドラム内のごみの量の満量を判定しようとする構成は、発電電流の不安定さに起因して、ごみの量を誤判定してしまう虞がある。
また、特許文献1において提案されている構成は、電気モータへの電力供給をオフにしかつ、ドラムの惰性回転が停止した後になってようやく、ドラム内のごみの量が満量であるか否かを判定することが可能になる。特許文献1において提案されている構成は、ドラム内のごみの量を判定することができるタイミングが遅い。ドラム式ごみ貯留装置では、惰性回転であってもドラムが回転をしている間は、ごみは排出口の方に向かって送られている。ドラム内のごみの量が満量に近い状態でドラムを回転させ過ぎると、排出口の方にごみを送り込み過ぎることにもなる。特にドラム内のごみの量が満量に近いことによってドラムの重量が大きいと、惰性による回転量が増える。そのため、ドラム内のごみの量が満量に近いときには、惰性回転によって、排出口の方にごみが過剰に送り込まれやすい。その結果、排出口の付近でごみが過剰に圧縮した状態になってしまい、ドラムからごみを排出しようとするときに、ドラムを回転させただけではごみが排出されなかったり、排出し難くなったりすることも起こり得る。
特許文献1に記載されている技術は、ドラム内のごみの量の満量判定にのみ着目しており、ドラム内でのごみの状態や、ドラムからごみをスムースに排出する点については何ら考慮されていない。
また、特許文献1に記載されている技術において、ごみが過剰に圧縮した状態になることを回避しようとすれば、ドラム内のごみの量が満量であると判断する基準を、ドラムの容量に対して十分に余裕をもたせて、少なめに設定しなければならない。しかしながら、こうした対策は、ドラムの最大貯留量を満足することなく、ごみ貯留装置を使用することになる。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドラム式ごみ貯留装置において、ドラム内のごみの量の判定を適切に行うことにある。
ここに開示する技術は、ドラム式ごみ貯留装置に係る。ドラム式ごみ貯留装置は、ごみが投入される投入口と、ごみが排出される排出口とを有しかつ、内部にごみを貯留するように構成されたドラムと、前記排出口に向かって前記ごみを搬送するように、前記ドラムを回転させるよう構成された電気モータと、直流電力から交流電力を生成するインバータ回路を有すると共に、前記交流電力を前記電気モータに供給するよう構成された電力変換部と、前記電力変換部から前記電気モータに供給する前記交流電力を調整することによって、前記ドラムの回転を制御するよう構成された制御部と、を備える。
そして、前記制御部は、前記電力変換部から前記電気モータに前記交流電力を供給することに伴い前記ドラムが回転している最中の、前記電力変換部内の直流出力電圧に基づいて、前記ドラム内のごみの量を判定する貯留量判定部を有している。
この構成によると、電力変換部は、インバータ回路によって直流電力から交流電力を生成し、交流電力を電気モータに出力する。電気モータは交流電力を受けて回転する。電気モータが回転することによって、ドラムは回転する。
本願発明者等は、電気モータに交流電力を供給することに伴いドラムが回転している最中の、電力変換部内において、インバータ回路に供給される直流出力電圧と、ドラム内のごみの量との間に相関があることに気づいた。
そこで、前記の構成のドラム式ごみ貯留装置においては、貯留量判定部は、電力変換部から電気モータに交流電力を供給することに伴いドラムが回転している最中の、電力変換部内の直流出力電圧に基づいてドラム内のごみの量を判定する。
この構成は、ごみの投入回数に基づいてドラム内のごみの量を判定する従来構成と比較して、ごみの量の判定精度が高くなる。また、電力変換部内の直流出力電圧は、電気モータの回転中は、瞬間的な変動が起こり難く、比較的安定している。このことによって、ごみの量の誤判定が抑制される。
また、前記の構成では、電力変換部から電気モータに交流電力を供給している間のドラムが回転している最中に、ドラム内のごみの量を判定する。つまり、ごみの量の判定は、電力変換部から電気モータに交流電力を供給している間に行う。ごみの量の判定を早いタイミングで行うことが可能になる。従って、特許文献1に記載されている構成とは異なり、電気モータへの電力供給を停止した後、ドラムの惰性回転が停止するまで、ごみの量の判定を待たなくてもよい。これにより、ドラム内で、ごみを圧縮しすぎてしまうことが回避される。また、ドラム内のごみの量が満量であると判断する基準を、ドラムの最大貯留量近くに設定することが可能になる。その結果、ドラムの最大貯留量を満足させながら、ごみ貯留装置を使用することが可能になる。
前記貯留量判定部は、前記電力変換部から前記電気モータに前記交流電力を供給することに伴い前記電気モータを起動させるときの、前記電力変換部内の前記直流出力電圧の初期電圧を検知すると共に、前記電気モータの起動完了後の前記ドラムの回転中の、前記電力変換部内の前記直流出力電圧を検知しかつ、前記ドラムの回転中の前記直流出力電圧が前記初期電圧から低下した低下量に基づいて、前記ドラム内のごみの量を判定する、としてもよい。
ここで、直流出力電圧の初期電圧は、モータを起動する時に、例えば電力変換部内におけるコンデンサに蓄えられている電圧である。ドラム内のごみの量が多いときには、モータの起動時の初期電圧に対する、モータの起動完了後のドラムの回転中における直流出力電圧の低下量が大きくなり、ドラム内のごみの量が少ないときには、初期電圧に対する直流出力電圧の低下量が小さくなる。従って、ドラムの回転中の直流出力電圧が、初期電圧に対して低下した低下量に基づいて、ドラム内のごみの貯留量を精度良く判定することが可能になる。
初期電圧は、直流出力電圧の低下量の基準となる電圧であるが、前記の構成では、モータを起動する度に初期電圧を検知している。
電気モータを起動する度に初期電圧を検知することによって、直流出力電圧の低下量の基準となる電圧を、電気モータの起動毎に設定し直すことになる。直流出力電圧の低下量は、ドラムの回転中における直流出力電圧と比較して小さい。例えばドラムの回転中における直流出力電圧が600V程度であるときに、直流出力電圧の低下量は、ドラム内のごみの量が満量であるときでも、10V程度である。また、電気モータを起動するときの初期電圧は、ドラム内のごみの量の多い少ないに関わらず、ほぼ同じ値になるが、初期電圧は、不安定であり、電気モータの起動毎に、その値は多少上下に振れる場合がある。そこで、直流出力電圧の低下量の基準となる電圧を、電気モータの起動の度に設定し直すことによって、直流出力電圧の低下量を精度良く検知することが可能になる。その結果、ドラム内のごみの量の判定精度が高まる。
前記貯留量判定部は、前記電力変換部から前記電気モータに前記交流電力を供給することに伴い前記ドラムが回転している最中の、前記電気モータへの出力電流をさらに検知すると共に、前記電力変換部内の前記直流出力電圧と、前記電気モータへの前記出力電流とに基づいて、前記ドラム内のごみの量を判定する、としてもよい。
電気モータへの出力電流は、ドラム内のごみの量が増えるほど高くなる。そこで、この構成では、電力変換部内の直流出力電圧と、電気モータへの出力電流との2つのパラメータに基づいて、ドラム内のごみの量を判定する。例えば、電気モータへの出力電流が、予め設定した設定値を超えかつ、電力変換部内の直流出力電圧の低下量が、予め設定した設定値を超えたときに、ドラム内のごみの量が満量になったと判定してもよい。電力変換部内の直流出力電圧と、電気モータへの出力電流との2つのパラメータを利用して判定を行うことによって、ドラム内のごみの量を、さらに精度良く判定することが可能になる。
前記貯留量判定部は、前記電力変換部から前記電気モータに前記交流電力を供給することに伴い前記ドラムが回転している最中の、前記電気モータへの交流出力電圧をさらに検知すると共に、前記電力変換部内の前記直流出力電圧と、前記電気モータへの前記交流出力電圧とに基づいて、前記ドラム内のごみの量を判定する、としてもよい。
電気モータへの交流出力電圧は、ドラム内のごみの量が増えるほど高くなる。そこで、この構成では、電力変換部内の直流出力電圧と、電気モータへの交流出力電圧との2つのパラメータに基づいて、ドラム内のごみの量を判定する。例えば、電気モータへの交流出力電圧が、予め設定した設定値を超えかつ、電力変換部内の直流出力電圧の低下量が、予め設定した設定値を超えたときに、ドラム内のごみの量が満量になったと判定してもよい。電力変換部内の直流出力電圧と、電気モータへの交流出力電圧との2つのパラメータを利用して判定を行うことによって、ドラム内のごみの量を、さらに精度良く判定することが可能になる。
前記貯留量判定部は、前記電力変換部から前記電気モータに前記交流電力を供給することに伴い前記ドラムが回転している最中の、前記電気モータへの出力電流と交流出力電圧とをさらに検知すると共に、前記電力変換部内の前記直流出力電圧と、前記電気モータへの前記出力電流と、前記電気モータへの前記交流出力電圧とに基づいて、前記ドラム内のごみの量を判定する、としてもよい。
例えば、電気モータへの出力電流が、予め設定した設定値を超えると共に、交流出力電圧が、予め設定した設定値を超えかつ、電力変換部内の直流出力電圧の低下量が、予め設定した設定値を超えたときに、ドラム内のごみの量が満量になったと判定してもよい。電力変換部内の直流出力電圧と、電気モータへの出力電流と、電気モータへの交流出力電圧との3つのパラメータを利用してドラム内のごみの量を判定することによって、その判定精度を、より一層、高めることが可能になる。
前記制御部は、前記ドラムへのごみの投入回数を計数する計数部をさらに有し、前記制御部は、前記計数部が計数したごみの投入回数が、予め設定した所定の満量回数を超えたときに、前記ドラム内のごみの量が満量になったと判定する、としてもよい。
つまり、前述した電力変換部内の直流出力電圧に基づいて、ドラム内のごみの量を判定する他に、ごみの投入回数の計数値に基づいて、ドラム内のごみの量が満量になったことを判定する。例えば直流出力電圧に基づく、ごみの量の判定が正確に行い得なかったような場合においても、ドラム内のごみの量が満量になったことを判定することが可能になる。その結果、ドラム内のごみの量が許容される貯留量を超えてしまうことや、ドラム内のごみの量が多すぎて電気モータの過負荷を招くこと等を、確実に回避することが可能になる。
前記ドラム式ごみ貯留装置は、前記貯留量判定部が判定した前記ドラム内のごみの量を報知するよう構成された報知部をさらに備えている、としてもよい。
こうすることで、ドラム式ごみ貯留装置の管理をする管理者は、ドラム内のごみの量を知ることができる。管理者は、ドラム内のごみが満量になる時期を予測することができる。管理者は、ドラム内のごみを収集車に積み替えるための、収集車の収集スケジュールを設定することが可能になる。
以上説明したように、前記のドラム式ごみ貯留装置によると、電気モータに交流電力を供給する電力変換部内の直流出力電圧に基づいて、ドラム内のごみの量を判定することによって、安定的にかつ、精度良くごみの量を判定することが可能になる。また、電気モータに電力を供給している最中に、速やかに、ごみの量の判定を行うことが可能になるため、ドラム内で、ごみを圧縮しすぎてしまうことを回避することができ、ドラム式ごみ貯留装置の運用をスムースに行うことができる。また、ドラムの最大貯留量を満足させながら、ごみ貯留装置を使用することができる。
以下、ドラム式ごみ貯留装置の実施形態について、図を参照しながら説明をする。尚、以下の説明は、例示である。図1は、ドラム式ごみ貯留装置の構成を、概念的に示している。ドラム式ごみ貯留装置(以下、単にごみ貯留装置と呼ぶ場合がある)1は、ごみを貯留するドラム2と、ドラム2を回転する電気モータ3と、ごみ貯留装置1の制御装置4と、を備えている。
ドラム2は円筒状である。ドラム2は、筒軸Xが水平方向に延びるように配設されている。ドラム2の一端部(図1における紙面右側の端部)には、ごみをドラム2内に投入するための投入口21が設けられている。投入口21は、開閉可能に構成される。
ドラム2の投入口21からごみを投入する方式は、様々な方式を採用することが可能である。ごみの投入方式には、具体的には、定容量投入方式、反転投入方式、片扉方式、及び、上部階投入方式等がある。各方式についての詳細な説明は、公知であるため省略する。
ドラム2の他端部(図1における紙面左側の端部)には、ごみをドラム2内から排出するための排出口22が設けられている。排出口22には、開閉部23が取り付けられている。開閉部23は、図1において実線で示すように排出口22を閉じた状態と、二点鎖線で示すように排出口22を開いた状態とに切り替える。図示は省略するが、排出口22には、コンベア又はシュートが接続される。コンベア又はシュートは、排出口22から排出されたごみを、図示を省略する収集車に、直接投入する。
ドラム2の内周面には、図1においては破線によって概念的に示しているが、らせん状のブレード24が取り付けられている。ブレード24は、投入口21から排出口22に向かって、筒軸Xの方向に延びている。ドラム2を、筒軸Xを中心として回転したときに、ドラム2内のごみはブレード24によって、排出口22に向かって送られる。ドラム2は、ごみの投入を待つ間は停止している。
電気モータ3は、例えば三相モータである。電気モータ3とドラム2とは、互いに連結されている。電気モータ3が回転すると、ドラム2は筒軸Xを中心として回転する。
制御装置4は、電力変換部41と、制御部42と、を備えている。電力変換部41は、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ回路411と、直流電力を平滑化する平滑回路412と、平滑化された直流電力を、電気モータ3を回転させるための所望の周波数の交流電力に変換しかつ出力するインバータ回路413と、を有している。これらコンバータ回路411、平滑回路412、及びインバータ回路413の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
制御部42は、この実施形態では、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)によって構成されている。制御部42と電力変換部41とは互いに接続されている。制御部42は、電力変換部41に各種の信号を出力する。制御部42は、電力変換部41を介して電気モータ3の回転を制御する。また、制御部42は、電力変換部41から送信された各種の信号を受信する。制御部42が受信する信号には、電力変換部41から電気モータ3に供給した電流(つまり、出力電流)及び交流電圧(つまり、交流出力電圧)、並びに、電力変換部41内の平滑回路412からインバータ回路413に出力した直流電圧(つまり、直流出力電圧)が、少なくとも含まれる。
前記の構成の制御装置4は、磁束ベクトル制御(つまり、負荷電流に併せて出力電圧を制御)によって電気モータ3の回転を制御する。
制御部42には、投入起動スイッチ43が接続されている。投入起動スイッチ43は、投入口21の付近に配設されている。投入起動スイッチ43は、ドラム2内にごみを投入する使用者がオン操作をしたときに、制御部42にオン信号を出力する。制御部42は、投入起動スイッチ43からのオン信号を受けて、電力変換部41を通じて電気モータ3を起動させる。これによって、ごみが投入されたドラム2が回転し始める。制御部42は、ドラム2が所定量だけ回転をすれば、電気モータ3を停止させ、それによってドラム2を停止させる。制御部42はまた、投入起動スイッチ43からのオン信号に基づいて、ごみの投入回数を計数するカウンター(つまり、計数部)421を有している。
制御部42には、投入禁止ランプ44が接続されている。投入禁止ランプ44も、投入口21の付近に配設されている。投入禁止ランプ44は、後述するように、制御部42が、ドラム2内のごみの量が満量であると判定したときに、制御部42が出力する点灯信号によって点灯をする。投入禁止ランプ44は、ごみを投入しようとする使用者に対し、ドラム2内のごみの量が満量であるため、ごみの投入ができないことを報知する。
制御部42は、詳細は後述するが、ドラム2内のごみの貯留量を判定する貯留量判定部422を有している。制御部42にはさらに、ドラム2内のごみの量を、ごみ貯留装置1の管理者に報知する貯留量インジケータ45が接続されている。貯留量インジケータ45は、この実施形態では、複数個のランプによって構成されている。後述するように、制御部42は、貯留量判定部422が推定したごみの貯留量に基づいて、点灯するランプの個数を変更する。例えば、ドラム2が満量のときには全てのランプを点灯し、ドラム2が空のときには全てのランプを点灯しないとして、ドラム2内のごみの貯留量に応じて点灯するランプの数を決定する。ごみ貯留装置1の管理者は、貯留量インジケータ45において点灯しているランプの個数によって、ドラム2内のごみの量を知ることが可能になる。
加えて、制御部42には、外部ユニット46が脱着可能に接続される。外部ユニット46は、制御部42のプログラムの書き換えを行ったり、制御部42から各種のデータ(例えば、ごみ貯留装置1の運転データ)を取得したりすることが可能に構成されている。
次に、このドラム式ごみ貯留装置1の貯留量判定部422による、ドラム2内のごみの貯留量を判定する手法について、図2を参照しながら説明をする。図2は、電力変換部41から電気モータ3に交流電力を供給することによって電気モータ3を起動し、ドラム2を回転し始めるときの、電力変換部41内における平滑回路412とインバータ回路413との間の直流出力電圧の変化を例示している。図2における横軸は時間であり、「0(ゼロ)」は、電力変換部41から電気モータ3に交流電力を供給することによって電気モータ3を起動する時点に相当する。
図5は、停止中のドラム2を回転させたときのドラム2内の状態の遷移を概念的に示す図である。尚、理解容易のために、図5においてはドラム2内のブレード24の図示を省略している。図5における工程P1は、ドラム2が停止しているときを示している。ドラム2内のごみ6は、ドラム2の下部に溜まっている。図5に黒矢印で示すように、停止しているドラム2が回転を開始すると、ドラム2の下部に溜まっているごみ6は、ブレード24によって持ち上げられる(工程P2)。その後、工程P3〜P5に示すように、ドラム2内のごみ6が所定の角度になれば、持ち上げられたごみ6の一部は、下方に滑り落ちると共に、別のごみ6が持ち上げられる。ドラム2の回転中は、工程P3、P4及びP5を繰り返すようになる。一部のごみ6の滑り落ちと、一部のごみ6の持ち上げとを繰り返しながら、ドラム2内のごみは、所定の角度を維持するようになる。
電気モータ3の起動時に、直流出力電圧は、所定の初期電圧となる(図2参照)。この初期電圧は、電気モータ3の起動の際に、平滑回路412に含まれるコンデンサに蓄えられている電圧である。初期電圧は、ドラム2の重量、つまりドラム2内のごみ6の貯留量の多い少ないに関わらず、ほぼ一定となる。但し、初期電圧は不安定であり、電気モータ3の起動毎に、多少上下に振れる場合がある。
図5を参照しながら説明したように、ドラム2内のごみ6は、電気モータ3の起動時に所定の角度まで持ち上げられる。ドラム2の回転が開始したときに、直流出力電圧は、ドラム2の重量、つまりドラム2内のごみ6の貯留量に応じて変化する。つまり、ドラム2内のごみの貯留量が多いときには、ごみ6を所定の角度まで持ち上げる負荷が相対的に高いため、直流出力電圧が相対的に大きく低下し、ドラム2内のごみの貯留量が少ないときには、直流出力電圧の低下は相対的に小さくなる。直流出力電圧の低下は、一時的である。ドラム1内のごみが持ち上げられるに従って、一時的に低下した直流出力電圧は復帰する。
ここで、本願発明者等は、電気モータ3の起動完了後(図2においては二点鎖線よりも右側に相当する)、ドラム2が回転している最中に、電力変換部41内の直流出力電圧は、ドラム2の重量に対応するように、初期電圧から低下する点に気づいた。つまり、ドラム2内のごみの貯留量が多いときには、直流出力電圧の低下量が大きくなり、ドラム2内のごみの貯留量が少ないときには、直流出力電圧の低下量が小さくなる。ドラム2内が空であれば、直流出力電圧は、ほぼ初期電圧と同じになる。つまり、直流出力電圧の低下量は、ほぼ0である。これは、ドラム2内のごみの貯留量が多く、ドラム2の重量が重いほど、ドラム2の回転中における電力変換部41から電気モータ3への供給電力が増えるためと考えられる。
そこで、ここに開示するドラム式ごみ貯留装置1では、制御部42が、電気モータ3の起動時における直流出力電圧の初期電圧と、電気モータ3の起動完了後、ドラム2が回転している最中の直流出力電圧との差、つまり、直流出力電圧の低下量ΔVに応じて、ドラム2内のごみの貯留量を判定するように構成されている(図2参照)。具体的に、制御部42は、電気モータ3の起動時における直流出力電圧の初期電圧を検知しかつ記憶すると共に、電気モータ3の起動完了後の、ドラム2が回転している最中の直流出力電圧の変化を監視する。
図5の工程P3〜P5に示すように、回転しているドラム2内では、持ち上げられたごみ6の一部が下方に滑り落ちると共に、別のごみ6が持ち上げられることが繰り返される。これにより、ドラム2の回転負荷は変動する。ドラム2が回転している最中の直流出力電圧は、ほぼ一定であるが、ドラム2の回転負荷の変動によって多少、上下する。制御部42は、ドラム2の回転中における直流出力電圧の最低値を検知し、直流出力電圧の最低値と、記憶している初期電圧との差を低下量ΔVとする。そうして、制御部42は、低下量ΔVが、予め設定した設定値ΔVth以上になったときには、(後述するように他の条件も成立することを条件として)ドラム2内のごみの量が満量であると判断する。
ここで、前述した特許文献1(特開平8−217252号公報)においては、電気モータへの電力供給を止めた後、惰性で回転する(惰性回転)時に、電気モータに発生する回生電流値を計測していた。惰性回転時に計測をするのは、積極的な電力供給によって回転している「積極回転」と比較して、他の電気信号等が一切なく電気的な外乱が少ないためと推測する。しかしながら、この惰性回転は、ドラム内のごみの偏りによって回転速度が非定常的になるため、その非定常的な回転によって生じる回生電流値も変動し易い。
また、ごみの圧縮に必要なドラムの回転制御は主に「積極回転」によって行われる点を考慮すると、「積極回転」後の「惰性回転」によって、ごみが圧縮されることで、ごみが過度に圧縮され、ドラムからごみを排出することが阻害される虞がある。そのため、「惰性回転」時に検知を行うには、満量であると判断する基準を少なめにしなければならない。これに対し、本実施形態のドラム式ごみ貯留装置は、電力を供給してドラムを回転させる「積極回転」時の電気的数値(電流値や電圧値)の計測に着目した技術である。
さらに、電気モータの負荷電流は、ごみの量に左右される相関関係を有することから、本実施形態では、その負荷電流に併せて周波数だけでなく出力電圧を制御できる磁束ベクトル制御を用いている。非定常的な偏心回転(ドラムの重心が回転中心からずれて回転をすること)を行うドラムにおいて、逐次変化するドラムの周波数や回転速度を一定にするために、その逐次変化に合わせて電気的数値が大きく変動する制御とは異なり、磁束ベクトル制御は、安定的な電力脈動(波形)を得ることができる。
具体的に図4の直流電圧値のグラフのように、左から二つ目の谷への勾配が大きく変わり明確になるので、磁束ベクトル制御では、直流電圧値のΔVの値が読み取り易い。
さらに本実施形態のドラム式ごみ貯留装置は、「積極回転」中にドラム内のごみの量を検知するので、「積極回転」において予め設定されている所定回数が完了する前に、ドラムの回転を中止することもできる。
従って、本実施形態のドラム式ごみ貯留装置は、ドラム内に貯留するごみが過度に圧縮されず、ドラムの回転時の消費電力は省エネでありかつ、電気モータへの負荷が少なくなる。
尚、電力変換部41内の直流出力電圧は、図2に仮想線で示すように、ドラム2が停止しようとするときの回生エネルギによって、再び上昇をする。
この実施形態におけるごみ貯留装置1は、電力変換部41内の直流出力電圧の低下量ΔVだけでなく、電力変換部41が電気モータ3に出力する出力電流と交流出力電圧とを検知する。ドラム2内のごみの貯留量の判定精度をさらに高めるために、貯留量判定部422は、これら出力電流及び交流出力電圧も、ごみの貯留量の判定に利用する。
具体的に、制御部42は、電気モータ3の起動完了後、ドラム2が回転している最中の、出力電流の変化を監視し、出力電流が、予め設定した設定値Ith以上になったか否かを判定する。制御部42はまた、ドラム2を回転している最中の、交流出力電圧の変化を監視し、交流出力電圧が、予め設定した設定値Eth以上になったか否かを判定する。ドラム2内のごみの貯留量が多いときには、電力変換部41から電気モータ3に供給される交流電力が増える。このため、出力電流及び交流出力電圧は共に、高くなる。ドラム2内のごみの貯留量が少ないときには、電力変換部41から電気モータ3に供給される交流電力が減る。このため、出力電流及び交流出力電圧は共に、低くなる。
制御部42は、出力電流が予め設定した設定値Ith以上になりかつ、交流出力電圧が予め設定した設定値Eth以上になると共に、前述した電力変換部41における直流出力電圧の低下量ΔVが、予め設定した設定値ΔVth以上になったときには、ドラム2内のごみの貯留量が満量になったと判定する。このように、3つの条件を全て満足したときに、ドラム2内のごみの貯留量が満量になったと判定する。このことによって、ドラム2内のごみの量が少ないにも関わらず満量になったと誤判定をしたり、満量を判定する前に、ドラム2内の実際のごみの量が満量を超えてしまったりすることを回避することができる。
電力変換部41から電気モータへの出力電流や、交流出力電圧は、瞬間的に変動することがある。そのため、ドラム2内のごみの貯留量が少ないにも関わらず、出力電流が予め設定した設定値Ith以上になることや、交流出力電圧が予め設定した設定値Eth以上になることは、起こり易い。これら出力電流及び交流出力電圧に基づいて、ドラム2内のごみの貯留量を判断しようすると、誤判定を招く虞がある。
一方で、電力変換部41内の直流出力電圧の低下量ΔVは、ドラム2の回転中における直流出力電圧と比較して小さい。例えばドラム2の回転中における直流出力電圧が600V程度であるときに、直流出力電圧の低下量ΔVは、ドラム2内のごみの量が満量であるときでも10V程度である。従って、直流出力電圧のみに基づいて、ドラム2内のごみの貯留量を判断することも判定精度の低下を招く虞がある。
このごみ貯留装置1の制御部42は、電力変換部41から電気モータ3への出力電流及び交流出力電圧、並びに、電力変換部41内の直流出力電圧の3つに基づいて、ドラム2内のごみの貯留量を判定する。このことによって、ドラム2内のごみの量を判定するにあたり、誤判定を回避すると共に、判定精度を高めることが可能になる。
ここで、前述した各設定値ΔVth、Ith、及びEthは制御部42に記憶されている。各設定値ΔVth、Ith、及びEthは、制御部42に接続される外部ユニット46によって、書き換えられる。ドラム式ごみ貯留装置1を施工したときのテスト動作の結果や、その他の情報に基づいて、当該ごみ貯留装置1に適した各設定値ΔVth、Ith、及びEthを個別に決定し、決定した各設定値を、外部ユニット46を利用することによって、制御部42に記憶させることが可能である。尚、ドラム式ごみ貯留装置1のテスト動作の結果等から、制御部42が自動的に、最適な設定値ΔVth、Ith、及びEthを演算し、設定するようにしてもよい。一旦、設定した設定値ΔVth、Ith、及びEthは、適宜、修正することも可能である。
制御部42はまた、ドラム2内のごみの貯留量が満量になったか否かを判定することとは別に、ドラム2の回転中に監視をした出力電流、交流出力電圧、又は、直流出力電圧のいずれかに基づいて、ドラム2内のごみの貯留量を判定し、その判定結果に応じて貯留量インジケータ45の点灯制御を行う。具体的に、制御部42は、出力電流と設定値Ithとの偏差、交流出力電圧と設定値Ethとの偏差、又は、直流出力電圧の低下量ΔVと設定値ΔVthとの偏差に応じて、貯留量インジケータ45において点灯するランプの数を決定し、決定した数のランプが点灯するように、貯留量インジケータ45に信号を出力する。
次に、図3に示すフローチャートを参照しながら、ごみ貯留装置1におけるごみの満量判定について説明をする。先ずスタート後のステップS31では、ドラム2内にごみの投入を行う。このステップS31において、投入起動スイッチ43がオン操作される。ステップS32では、電力変換部41から電気モータ3に交流電力を供給することによって電気モータ3を起動させる。これによって、ドラム2を正転、つまり、ごみを排出口22に向かって送る方向に、ドラム2の回転を開始する。尚、ステップS31及びS32においては、ドラム2の回転中に、ごみをドラム2内に投入するようにしてもよいし、ごみをドラム2内に投入した後に、ドラム2の回転を開始してもよい。電気モータ3の起動時には、電力変換部41内の直流出力電圧の初期電圧が記憶される。
ステップS33では、電気モータ3の起動完了後、電気モータ3の回転によってドラム2が回転している最中に、電力変換部41から電気モータ3に供給している出力電流が、設定値Ith未満であるか否かを判定する。ステップS33の判定がYESのときには、ステップS37に移行する。一方、ステップS33の判定がNOのときには、ステップS34に移行する。
ステップS34では、電気モータ3が回転することによってドラム2が回転している最中に、電力変換部41から電気モータ3に供給している交流出力電圧が、設定値Eth未満であるか否かを判定する。ステップS34の判定がYESのときには、ステップS37に移行する。一方、ステップS34の判定がNOのときには、ステップS35に移行する。
ステップS35では、電気モータ3が回転することによってドラム2が回転している最中に、電力変換部41内における直流出力電圧の低下量ΔVが、設定値ΔVth未満であるか否かを判定する。ステップS35の判定がYESのときには、ステップS37に移行する。一方、ステップS35の判定がNOのときには、ステップS36に移行する。
ステップS36では、前述した出力電流が予め設定した設定値Ith以上になったこと、交流出力電圧が予め設定した設定値Eth以上になったこと、及び、直流出力電圧の低下量ΔVの最大値が、予め設定した設定値ΔVth以上になったこと、の3つの条件が全て満足するため、貯留量判定部422は、ドラム2内のごみの量は満量であると判定する。ステップS36において、制御部42は、投入禁止ランプ44を点灯すると共に、貯留量インジケータ45のランプを全て点灯する。フローはその後、ステップS37に移行をする。
一方、前述の通り、ステップS33、ステップS34及びステップS35のいずれかの判定がYESであれば、ドラム2内のごみの量は満量でないと判定する。よって、フローは、ステップS36に移行せずに、ステップS37に移行することになる。
ステップS37では、ドラム2の回転を停止し、続くステップS38では、ドラム2内のごみの量が満量になったか否かを判定する。満量になっていないときには、ステップS31に戻り、次回のごみの投入を待つ。一方、満量になったときには、フローを終了する。この場合、次回のごみの投入は禁止される。
図3に示すフローではまた、ステップS31において投入起動スイッチ43がオン操作されれば、ステップS39において、カウンター421が、ごみの投入回数を計数する。続くステップS310では、カウンター421が、予め設定をした設定値以上になったか否かを判定する。カウンター421が設定値未満のときには、そのままステップS31に戻る。一方、カウンター421が設定値以上になったときには、ステップS36に移行をすることによって、ステップS33〜S35の判定結果に関わらず、投入禁止ランプ44の点灯、及び、貯留量インジケータ45の全ランプの点灯を行う。ここでの設定値は、ドラム2内のごみの量が、明らかに満量となるような設定値(つまり、ドラム2内のごみの量が、明らかに満量となるような、ごみの投入回数)として、予め設定される。ごみの投入回数の計数を、ステップS33〜S35に示す、電気モータ3への出力電流等の監視と並行して行うことによって、仮に、直流出力電圧等に基づく、ごみの量の判定を正確に行うことができなかった場合においても、ドラム2内のごみの貯留量が多くなり過ぎることで電気モータ3が過負荷となってしまうことを未然に回避したり、ドラム2内に想定以上のごみが貯留してしまうような事態を未然に回避したりすることが可能になる。
ドラム2内のごみの量が満量になれば、ごみの投入が禁止される。ドラム2内のごみは、収集車に積み替えられる。それによって、ドラム2が空になれば、ごみの投入が再び可能になる。
図4は、実際に計測をした、電力変換部41から電気モータ3への出力電流の時間変化(上図)、電力変換部41から電気モータ3への交流出力電圧の変化(中図)、及び、電力変換部41における直流出力電圧の変化(下図)を示している。各図における横軸は時間であり、「0(ゼロ)」は、電気モータ3への電力供給を開始するタイミングである(つまり、電気モータ3の起動時)。尚、図4に示す例は、電気モータ3の起動完了後、ドラム2を回転させている最中にドラム2内にごみを投入したときの、出力電流、交流出力電圧、及び、直流出力電圧の各変化を示している(図4における「ごみ投入」の矢印を参照)。
また、各図において、実線はドラム2内のごみの量が多いとき、二点鎖線はドラム2内のごみの量が少ない(ほとんど無い)とき、点線はドラム2内のごみの量が中程度のときを示している。
電気モータ3の起動時には、出力電流及び交流出力電圧が共に高まる。電気モータ3の起動時の出力電流及び交流出力電圧に基づいて、ドラム2内のごみの貯留量を判断してしまうと、誤判定となり得る。そこで、出力電流、交流出力電圧、及び直流出力電圧はそれぞれ、図4に一点鎖線で示すように、電気モータ3の起動が完了した後から監視を開始する。
但し、電気モータ3の起動時における、直流出力電圧の初期電圧は、記憶しておく。図4の下図に示すように、初期電圧は、ドラム2内のごみの量の多い少ないに関わらずほぼ同じになるが、電気モータ3の起動毎に多少上下に振れる場合がある。前述したように、電力変換部41内の直流出力電圧の低下量ΔVは、直流出力電圧と比較して小さい(直流出力電圧が600V程度であるときに、直流出力電圧の低下量ΔVは、ドラム2内のごみの量が満量であるときでも、10V程度である)。そのため、直流出力電圧の低下量ΔVの基準となる初期電圧を、電気モータ3を起動する度に検知して記憶しておくことにより、直流出力電圧の低下量ΔVを精度良く検知することが可能になる。その結果、ドラム2内のごみの量の判定精度が高まる。
図4から明らかなように、ドラム2が回転している最中において、出力電流、及び、交流出力電圧は、ドラム2内のごみの量が多いほど高くなる。一方、直流出力電圧は、ドラム2内のごみの量が多いほど低くなる。また、前述したように、ドラム2の回転中は、回転負荷が変動することに起因して、出力電流、交流出力電圧、及び直流出力電圧は、多少変動する。制御部42は、ドラム2の回転中に、出力電流及び交流出力電圧の変動を監視し、出力電流が、一時的にでも、設定値Ith以上になると、出力電流は設定値Ith以上であると判定し、交流出力電圧が、一時的にでも、設定値Eth以上になると、交流出力電圧は設定値Eth以上であると判定する。従って、図4の上図における実線は設定値Ith以上であると判定される。また、図4の中図に示す実線も設定値Eth以上であると判定される。
このときに、図4の下図における実線の低下量ΔV(前述したように、低下量ΔVは、直流出力電圧の最低値と、記憶している初期電圧との差である)が、設定値ΔVth以上であれば、ドラム2内のごみの量は満量であると判定される。一方、図4の下図における実線の低下量ΔVが、設定値ΔVth未満であれば、ドラム2内のごみの量は満量でないと判定される。
図4における点線は、上図及び中図に示すように、設定値Ith及び設定値Eth以上となっていない。同様に、図4における二点鎖線も、設定値Ith及び設定値Eth以上となっていない。従ってこれらの場合には、ドラム2内のごみの量は満量でないと判定される。
尚、図4に示すようにドラム2の回転中にごみを投入するのではなく、ドラム2が停止しているときにごみが投入され、その後、ドラム2の回転が開始する場合でも、図4と同様に、ドラム2内のごみの量が多いほど、出力電流及び交流出力電圧は高くなると共に、直流出力電圧の低下量は大きくなる。ドラム2内のごみの貯留量に対する直流電流、交流出力電圧、及び、直流出力電圧の特性は、ドラム2が停止しているときにごみが投入され、その後、ドラム2の回転が開始する場合も同じである。従って、ごみの投入タイミングに関わらず、出力電流が設定値Ith以上でかつ、交流出力電圧が設定値Eth以上であると共に、直流出力電圧の低下量ΔVが、設定値ΔVth以上であるときに、ドラム2内のごみの量は満量であると判定することで、満量の判定を正確に行うことができる。
以上、説明したように、この構成のドラム式ごみ貯留装置1によると、電力変換部41内における直流出力電圧に基づいて、より詳細には、電気モータ3の起動時の初期電圧に対する、電気モータ3に電力を供給してドラム2が回転している最中の、直流出力電圧の低下量ΔVに基づいて、ドラム2内のごみの量を判断している。これにより、ごみの投入回数に基づいて、ドラム2内のごみの量を判断することよりも、ごみの量の判断精度が高まる。特に、ドラム2内のごみを収集車に積み替えたときに、ドラム2内にごみの一部が残ってしまった後でも、ドラム2内のごみの量を誤判定することがない。
また、電力変換部41内における直流出力電圧は、電力変換部41から電気モータ3への出力電流や、交流出力電圧とは異なり、瞬間的な変動が起き難く、ドラム2の回転中は安定している。直流出力電圧の低下量ΔVに基づいてドラム2内のごみの量を判断することによって、判断精度を高めることが可能になる。
この実施形態に記載しているごみ貯留装置1ではまた、直流出力電圧の低下量ΔVのみに基づいて、ドラム2内のごみの量を判定するのではなく、さらに、電力変換部41が電気モータ3に出力する出力電流、及び、交流出力電圧に基づいて、ドラム2内のごみの量を判定している。これにより、ごみの貯留量の判定精度を、より一層、高めることが可能になる。
また、このごみ貯留装置1は、電気モータ3が回転することによってドラム2が回転している最中に、ごみの量の判定を行っているため、ごみの量の判定を速やかに行うことが可能になる。従って、特許文献1に記載されている構成とは異なり、電気モータ3への電力供給を停止した後、ドラム2の惰性回転が停止するまで、ごみの量の判定を待たなくてもよい。これにより、ドラム2内で、ごみを圧縮しすぎてしまうことが回避される。その結果、ドラム2からごみを排出するときには、ドラム2を回転させることだけで、スムースにかつ、確実に、ごみを排出することが可能になる。また、ドラム内のごみの量が満量であると判断する基準(つまり、Ith、Eth、及びΔVth)を、ドラムの最大貯留量近くに設定することが可能になる。その結果、ドラムの最大貯留量を満足させながら、ごみ貯留装置を使用することが可能になる。
前記のごみ貯留装置1は、電気モータ3に供給する電流値や電圧値等に基づいて、ドラム2内のごみの量を判断するだけでなく、ドラム2へのごみの投入回数をカウントすることによっても、ごみの量が満量になったか否かを判断するようにしている。これにより、ドラム2内のごみの貯留量が多すぎて電気モータ3の過負荷を招く事態を未然に回避したり、ドラム2内に想定以上のごみが貯留してしまう事態を未然に回避したりすることが可能になる。
前記のごみ貯留装置1は、ドラム2内のごみの量を報知する貯留量インジケータ45を設けている。ごみ貯留装置1の管理者は、ドラム2内のごみの量を知ることが可能になる。管理者は、ドラム2内のごみが満量になる時期、言い換えると、ドラム2内のごみを、収集車に積み替える時期を予測することができる。管理者は、収集車の収集スケジュールを設定することが可能になる。
尚、前記の構成では、電力変換部41内の直流出力電圧と、電気モータ3への出力電流と、交流出力電圧との3つに基づいて、ドラム2内のごみの量の判定を行っているが、直流出力電圧と出力電流との2つに基づいて、ドラム2内のごみの量の判定を行うようにしてもよい。また、直流出力電圧と交流出力電圧との2つに基づいて、ドラム2内のごみの量の判定を行うようにしてもよい。さらに、直流出力電圧のみに基づいて、ドラム2内のごみの量の判定を行うようにしてもよい。
また、前記の構成では、ドラム2内のごみの量が満量であると判断したときには、それ以上のごみの投入を禁止するようにしているが、ごみの投入は(ある程度の回数は)、許容する一方で、ごみを投入してもドラム2を回転させないように構成してもよい。こうすることで、ドラム2内のごみの量が満量、又は、満量近くであっても、ごみの投入が可能になるため、利用者の利便性が高まる。一方で、ドラム2を回転させないことによって、ドラム2内でごみが過剰に圧縮されてしまうことを回避することが可能になる。