〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態の管内面処理装置は、管の内面を回転研削部材にて処理としての例えば研削処理するものである。すなわち、管としての例えば鋳鉄管を製造した場合には、酸化被膜が管の内面に付着しており、凹凸部分や皺も生じている。この酸化被膜は、管の内面を塗装する場合には、塗膜の付着力の低下を招き、障害となる。そこで、管の酸化被膜を回転研削部材にて研削処理する必要があり、本実施の形態の管内面処理装置が管の酸化被膜の研削処理に供される。尚、本実施の形態では、処理としての例えば研削処理を行うが、本発明の処理としては必ずしも研削処理に限らず、例えば研磨処理等の他の処理でもよい。また、本実施の形態では、管としての例えば鋳鉄管の内面における酸化被膜の研削処理に供されるが、管は必ずしも鋳鉄管に限らない。さらに、管の酸化被膜の研削処理に限らず、単に管の内面の凹凸部又は皺の研削処理であってもよい。さらに、本実施の形態では、管の内径は例えば500〜1600mm等であり、中口径管又は大口径管が対象となっている。ただし、必ずしもこれに限らず、小口径管又は特大口径管であってもよい。
本実施の形態における管内面処理装置1Aの全体構成について、図1に基づいて説明する。図1は、本実施の形態における管内面処理装置1Aの全体構成を示す正面図である。
本実施の形態の管内面処理装置1Aは、図1に示すように、管軸方向に進退走行可能な走行台車10と、走行台車10から延びて片持支持された、回転研削部材としての複数の回転砥石24を含むアタッチメント装置20Aとを備えている。
走行台車10は、図1に示すように、車輪11・11を有し、車輪11・11にてレール2上に沿って進退移動して、例えば鋳鉄管等の管30の内部にアタッチメント装置20Aを挿入可能となっている。
走行台車10には、アタッチメント装置20Aの回転軸21を回転駆動させる回転軸駆動モータ12と、車輪11・11を駆動する車輪駆動モータ13と、前記回転軸駆動モータ12及び車輪駆動モータ13の回転駆動を制御する制御装置(図示せず)とが設けられている。尚、制御装置には、リモートコントローラが設けられており、このリモートコントローラによって、制御装置を直接操作しなくても遠隔操作できるようになっている。
走行台車10における回転軸駆動モータ12の管30側には前方立設柱15が立ち上がっている一方、反対側には、後方立設柱16が立ち上がっている。前方立設柱15及び後方立設柱16は、後述する支持部材としての対抗部材29を片持支持している。
次に、アタッチメント装置20Aの構成について説明する。
アタッチメント装置20Aは、図1に示すように、管30に挿入可能な回転軸21、回転軸21の例えば先端部に設けられて管30の内面に接する回転研削部材としての回転砥石24、回転軸21の回転を回転砥石24に伝達する駆動力連繋部材23、及び対抗部材29等を有している。
回転軸21は、走行台車10の回転軸駆動モータ12にて回転駆動されるものであり、回転軸21の回転が駆動力連繋部材23を介して回転砥石24に伝達されることにより、回転砥石24が回転するようになっている。回転軸21は、本実施の形態では例えば1〜10mの長さを有している。
回転軸21は、走行台車10における、第1軸受け14aを有する支持柱14に固定端として片持支持されている。このため、回転軸21の先端側が不安定となる。そこで、本実施の形態では、走行台車10の支持柱14から支持部材としての上ガイド部材22a及び下ガイド部材22bが、回転軸21と平行に片持状態に延びて設けられている。上ガイド部材22a及び下ガイド部材22bは、自由端側では回転軸21を回転自在に支持する第2軸受け22cに固定されている。
この結果、回転軸21は、固定端側では走行台車10の第1軸受け14aを有する支持柱14に支持固定されていると共に、自由端側において上ガイド部材22a及び下ガイド部材22b並びに第2軸受け22cによって支持されていることになる。
尚、本実施の形態では、前述したように、上ガイド部材22a及び下ガイド部材22bを設けて、回転軸21を支持している。しかし、上ガイド部材22a及び下ガイド部材22bのように、別体で形成するのではなく、例えば、管のように一体に形成したガイド管とし、ガイド管の自由端側に第2軸受け22cを設けることも可能である。
次に、本実施の形態の回転砥石24への回転駆動力の伝達経路について、図2〜4に基づいて説明する。図2は、本実施の形態の管内面処理装置1Aにおけるアタッチメント装置20Aの構成を示す側面図である。図3は、アタッチメント装置20Aに取り付けられた駆動力連繋部材23としての正回転用ギヤボックス23aの構成を示す平面図である。図4は、アタッチメント装置20Aに取り付けられた駆動力連繋部材23としての逆回転用ギヤボックス23bの構成を示す平面図である。
本実施の形態の管内面処理装置1Aでは、回転軸21の回転駆動力を回転砥石24に伝達するために、駆動力連繋部材23が設けられている。この駆動力連繋部材23は、本実施の形態では、複数のギヤを格納したギヤボックスを備えたものからなっている。尚、駆動力連繋部材23は、複数のギヤにより回転軸21の回転駆動力を回転砥石24に伝達するものとなっている。しかし、駆動力伝達方法は、必ずしもこれに限らず、例えばプーリと無端ベルトとからなっていてもよい。これによっても、回転軸21の回転駆動力を回転砥石24に伝達することが可能となる。
ここで、本実施の形態のアタッチメント装置20Aでは、図2に示すように、回転砥石24は、回転軸21の下側に複数としての2組設けられている。ただし、本発明の一態様においては、回転砥石24は必ずしも複数でなくてもよい。詳細には、回転砥石24である回転砥石24a・24bの各砥石回転軸AXが回転軸21の下側に位置するようにして2組の回転砥石24a・24bが設けられている。回転砥石24a・24bの各組は、砥石回転軸AXの方向に並ぶ1つ以上の(ここでは複数の)砥石を含む(図1参照)。そして、回転砥石24a・24bの各々は、管30の回転によって該2つの回転砥石24a・24bが揃って時計回り又は反時計回りのいずれか一方に回転するのを抑制するために、互いに逆回転するようになっている。尚、互いに逆回転は、回転砥石24aが時計回りかつ回転砥石24bが反時計回りか、又は回転砥石24aが反時計回りかつ回転砥石24bが時計回りのいずれであっても構わない。ただし、自由端側から見て、回転砥石24aが時計回りかつ回転砥石24bが反時計回りである方が好ましい。具体的に以下に説明する。
すなわち、回転軸21の中心を含む平面に対し、回転砥石24aは一方側に設けられており、回転砥石24bは他方側に設けられている。回転砥石24aの回転方向は、回転砥石24bの回転方向とは逆方向である。これにより、回転軸に対する回転砥石24a・24bの相対位置を安定して保持することができる。よって、管30の内面を安定して研削することができる。各回転砥石24a・24bは、管30の内面に接触している側において管30の最底部30a(管30における回転砥石24aと回転砥石24bとの中間位置)に向かうように回転する。これにより、各回転砥石24a・24bが、管30の内面に接触している側において管30の最底部30aに向かうように回転するため、各回転砥石24a・24bが管30の最底部30aに向かう方向とは反対方向に向かおうとする。この結果、回転軸21に対する各回転砥石24a・24bの相対位置をより安定して保持することができる。また、この回転により回転砥石24aには最底部30aから上向きに移動する力が発生するが、その力を対抗部材29で効果的に抑えることができる。このため、安定して研削処理することが可能となる。尚、回転砥石24aの軸の位置と回転砥石24bの軸の位置とは互いに異なる。
また、管内面処理装置1Aは、回転砥石24を複数備えているため、回転砥石が1つの場合と比べて、管30と回転砥石24との接触面積が大きくなる。これにより、管30の研削時間を短縮することができる。
尚、駆動力連繋部材23は、回転軸21と各回転砥石24a・24bとをそれぞれ接続する。また、回転砥石24a・24bの砥石回転軸AXが回転軸21の下側に設けられていることにより、回転砥石24a・24bは、管30の中心角180°未満の範囲の内面に接する。これにより、内径が異なる複数の管の内面を研削することができる。つまり、管30を内径が異なる別の管に変更しても、管内面処理装置1Aを変更する必要がない。よって、内径が異なる管ごとに管内面処理装置を用意する必要がないため、管内面処理にかかるコストを削減することができる。
前述したように、本実施の形態のアタッチメント装置20Aでは、互いに逆回転する2組の回転砥石24a・24bが設けられている。
この結果、本実施の形態では、図3に示すように、駆動力連繋部材23のうちの一方の正回転用ギヤボックス23aは例えば3つのギヤGを有しており、他方の逆回転用ギヤボックス23bは4つのギヤGを有している。
これにより、駆動力連繋部材23としての正回転用ギヤボックス23aと逆回転用ギヤボックス23bとを使用することにより、2組の回転砥石24a・24bを互いに逆回転させることが可能となっている。尚、駆動力連繋部材23としてプーリと無端ベルトとを使用する場合には、無端ベルトをクロスさせて逆回転させることが考えられる。
また、本実施の形態の管内面処理装置1Aでは、図2に示すように、2つの回転砥石24の各砥石回転軸AXの間には、軸間距離固定部材50が設けられている。これによって、複数の砥石回転軸AXの間の距離が変動するのを防止することができる。
ここで、本実施の形態では、回転研削部材としての回転砥石24は、例えば、砥粒を樹脂で固めたレジノイド砥石を使用している。砥粒の材質としては、例えば、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)等である。ただし、本発明の一態様における回転研削部材としては、必ずしも砥石に限らず、例えば、ワイヤブラシ、研磨紙、ブレード、研磨ドラム等を使用することができる。
また、本実施の形態では、回転砥石24の組は、図1に示すように、例えば3列の砥石となっている。3列の各砥石の間に例えばスペーサが設けられていてもよい。これによって、管30の長手方向の研削面積が増加するので、1つの管30の研削処理時間を短縮することができる。また、管30の長手方向に複数の回転砥石24を並べることによって、回転砥石24の接触面と管30の内面との平行度を高めることが可能となり、回転砥石24の角縁が管30の内面に接触(所謂片当たり)するのを防止することができる。また、スペーサが設けられている場合、回転砥石24の放熱性が向上すると共に、研削で生じた研削屑が回転砥石24から除去し易くなるため、研削効率が向上する。
次に、本実施の形態の当接部材25について、図2及び図5に基づいて説明する。図5は、アタッチメント装置20Aに取り付けられた当接部材25の構成を示す正面図である。
図2に示すように、アタッチメント装置20Aは、回転軸21に対する各回転砥石24の相対位置を固定するために、高さ調整部材28を介して対抗部材29から延びて各駆動力連繋部材23に当接する当接部材25を備えている。これにより、当接部材25によって回転軸21に対する回転砥石24の相対位置が固定されているため、回転砥石24が、回転軸21の周りを管30の周方向に回転することを防ぐことができる。よって、回転砥石24の位置を安定して保持させることにより、管30の内面を安定して研削することができる。
尚、当接部材25は、駆動力連繋部材23における回転軸21から離れた箇所を押さえる。これにより、回転軸21から離れた箇所が押さえられるため、回転砥石24を管30の内面に向かってより大きな力(トルク)で押圧することができる。
また、図5に示すように、当接部材25は、上ステー25a、下ステー25b、弾性部材としてのバネ25c、及び当接部25dを備えている。上ステー25aと下ステー25bとは、2つのバネ25cを介して接続されている。尚、バネ25cの内部に、上ステー25a及び下ステー25bに取り付けられたダンパーを設けてもよい。これにより、バネ25cの動きを抑制することができ、バネ25cの振動を減少させることができる。また、バネ25cは、例えば空気バネまたは板バネであってもよく、バネ25cの代わりに油圧ダンパーであってもよい。
図2に示すように、上ステー25aは、中心から管30の内面に向かって両外側に延びる水平部分と、水平部分から続く折れ曲がり部分とを有している。水平部分は高さ調整部材28の下端に当接していると共に、折れ曲がり部分は駆動力連繋部材23の上面と平行になっている。
下ステー25bは、上ステー25aと同様に、水平部分と折れ曲がり部分とを有しており、これによって、下ステー25bは上ステー25aと平行になっている。
上ステー25aの折れ曲がり部分の下面と下ステー25bの折れ曲がり部分の上面との間には、バネ25cが取り付けられている。バネ25cは、駆動力連繋部材23に対して管30の内面に向かう弾性力を付与する。
下ステー25bの両外側部分の下面には、当接部25dがそれぞれ取り付けられており、当接部25dは、駆動力連繋部材23の上面と当接している。当接部25dは、例えば、弾性を有するゴム等の弾性を有するものであることが好ましい。ただし、当接部25dは、剛体であってもよい。
ここで、下ステー25bの平行部分にはガイド棒27が立設固定されており、ガイド棒27は上ステー25aの図示しない開口に遊嵌されている。これにより、上ステー25aが、下ステー25bに対して水平方向に大きく移動しないようになっている。
次に、本実施の形態の対抗部材29について、図1及び図2に基づいて説明する。
従来では、回転研削部材が接触している管の内面との対向位置の内面に接する回転ローラ又は研削ローラを設けて回転研削部材の反力に対向する力を得ていた。この構成が簡易かつ安価に該反力に対向する力を得ることができるためである。
しかしながら、このような構成とした場合には、管の内径が変化した場合には、回転研削部材の反力に対向する力を得ることができない。例えば、管の内径が大きくなった場合には、回転ローラ又は研削ローラが管の内面に接しないので、反力に対向する力を得ることができない。一方、管の内径が小さくなった場合には、回転研削部材及び回転ローラ又研削ローラを管に挿入することができなくなるためである。
また、管は必ずしも真円となっていない場合があり、真円でない場合には、反力に対向する一定の力を得ることができず、延いては、研削ローラを管の内面に一定圧力で押し当てることができなくなり、研削精度が低下するという問題もあった。また、研削ローラを管の内面に押しつけ過ぎると、回転軸が折れる場合もある。さらに、研削ローラがバウンドしたりすることもあった。
そこで、本実施の形態における管内面処理装置1Aでは、図1に示すように、回転砥石24からの反力に対抗する力を加える対抗部材29は管30に挿入される。そして、図2にも示すように、対抗部材29は、管30の内面に非接触に設けられている。
すなわち、本実施の形態の対抗部材29は、管30に挿入可能に片持支持された例えばH鋼からなる片持梁部材を含むと共に、後述する高さ調整部材28、及び一部に弾性部材としての前述したバネ25cを有する当接部材25を含んでいる。尚、片持梁部材は必ずしもH鋼に限らず、角状断面を有する鋼であってもよい。
対抗部材29の片持梁部材は、走行台車10における前方立設柱15及び後方立設柱16の例えば上端に固定されており、固定部分は、片持梁部材の固定端となっている。
また、対抗部材29の片持梁部材の自由端側には、図2に示すように、高さ調整部材28を介して当接部材25が固定されている。高さ調整部材28は、対抗部材29の片持梁部材の自由端と当接部材25との間を連続させるべく補充するものであり、片持梁部材の自由端と当接部材25との間の距離に応じて高さ調整された部材からなっている。
前述した構成を有する管内面処理装置1Aにて管30の内面を研削処理する動作について、以下に説明する。
まず、図1及び図2に示すように、管30を2つの回転ローラ32の上に載置する。この回転ローラ32は、回転ローラ用モータ31によって回転すると共に、載置された管30を回転させるようになっている。
次いで、回転軸21及び回転砥石24が管30の内径内に収まるように、バネ25cの伸縮範囲内で、走行台車10に設けられた図示しない昇降装置で回転軸21の高さを調整する。すなわち、回転砥石24を管30の中へ挿入する場合には、昇降装置にて回転軸21の高さを上げる。このとき、バネ25cが圧縮され、対抗部材29と回転軸21との距離が近づく。挿入した後、回転砥石24を管30の内面に接触させるため、昇降装置にて回転軸21の高さを下げる。これにより、バネ25cが伸びて、対抗部材29と回転軸21との距離が離れる。このように、本実施の形態では、バネ25cの伸縮範囲内で回転軸21が昇降できるようになっている。尚、本実施の形態では、回転軸21の高さを調整しているが、必ずしもこれに限らず、管30の高さを調整することも可能である。
その後、走行台車10を管30側に進出移動させ、回転砥石24を管30の内部に挿入する。
次に、回転軸21を回転させると共に、回転砥石24が管30の内面に接触するように、再度、前記昇降装置にて回転軸21の高さを精密に調整する。そして、管30が回転しながら、回転砥石24が管30の内面に接触している状態を維持しながら、走行台車10を管30の方向へ低速で送り込んで行く。これにより、管30は回転ローラ32にて回転しているので、管30の長手方向の一部の内面が研削処理されると共に、走行台車10の進出移動によって、管30の内面の長手方向が研削処理される。
この研削処理中においては、回転砥石24が接する管30の内面からの反力に対抗する力を該回転砥石24に作用させる対抗部材29は、管30の内面に非接触となっている。このため、例えば、管30が真円でなくても、対抗部材29は回転砥石24を管30の内面に一定圧力で押し当てることができ、研削精度が低下するのを抑制することができる。
このような、管30の内面の研削処理が終了して、回転砥石24が管30の長手方向の奥端から外方に突出すると、回転軸21及び回転砥石24の回転を停止し、昇降装置にて、回転軸21の高さを調整して、走行台車10を後退移動させる。これにより、回転砥石24を管30の内面に接触させずに引き抜くことができる。
次いで、次の管30の研削処理を行う。この場合、管30の内径が前回の管30の内径と異なっていても、本実施の形態の管内面処理装置1Aでは、対抗部材29は、管30の内面に非接触に設けられている。この結果、対抗部材29は、管30の内径の如何を問わず、前回と同様の処理にて、回転砥石24からの反力に対抗する力を作用させることができる。
したがって、内径が異なる管30についても、大きさの異なる回転砥石24に取り替える作業等をする必要なく、管内面を研削処理し得る管内面処理装置1Aを提供することができる。
尚、本実施の形態において、管30の研削処理中に管30からの反力により走行台車10が浮き上がりを生じることも考えられる。その場合には、走行台車10にバランスウェイトを備えたり、レール2と車輪11との離間を防ぐための機構を備えたりすることが可能である。
このように、本実施の形態の管内面処理装置1Aでは、片持支持され、かつ管30に挿入される箇所に軸受けとしての第2軸受け22cを有する支持部材としての上ガイド部材22a及び下ガイド部材22bと、管30に挿入される箇所を第2軸受け22cに支持された回転軸21と、回転軸21によって駆動され、かつ管30の内面に接する回転研削部材としての回転砥石24と、管30の内面に非接触に設けられ、かつ回転砥石24に接する管30の内面からの反力に対抗する力を回転砥石24に作用させる、第2軸受け22cを有する上ガイド部材22a及び下ガイド部材22bとは異なる対抗部材29とを備えている。
この結果、対抗部材29は、管30の内径の如何を問わず、回転砥石24からの反力に対抗する力を作用させることができる。したがって、内径が異なる管30についても管内面を研削処理し得る管内面処理装置1Aを提供することができる。
また、本実施の形態における管内面処理装置1Aでは、対抗部材29は、管30に挿入可能に片持支持された片持梁部材を含む。これにより、対抗部材29の具体的構成を提供することができる。
また、本実施の形態における管内面処理装置1Aでは、対抗部材29は、弾性部材としてのバネ25cを含み、バネ25cを介して回転砥石24に弾性力を付与する。この結果、回転砥石24が管30の内周に沿って相対移動するときに、管30の内面の凹凸により、回転砥石24の研削処理中に大きな負荷が掛かって回転砥石24における、管30の内周に沿う移動が停止又は抑制されるということがない。
また、本実施の形態における管内面処理装置1Aでは、弾性部材としてのバネ25cは、複数としての2個設けられていると共に、複数のバネ25cは、回転軸21を含む垂直面を挟むように設けられており、かつ該複数のバネ25cの弾性力は、向きが該垂直面側となる分力を有している。
これにより、回転砥石24の反力が作用する方向と対抗部材29における該反力に対向する力が作用する方向とにずれが生じるのを抑制することができる。この結果、回転砥石24に対して、対抗部材29における該反力に対向する力を効率よく作用させることが可能となる。
また、本実施の形態における管内面処理装置1Aでは、回転砥石24は、回転軸21の下側に設けられている。これにより、回転砥石24に重力が作用するので、対抗部材29での反力を小さくすることができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図6は、本実施の形態における管内面処理装置1Bのアタッチメント装置20Bの構成を示す側面図である。
本実施の形態の管内面処理装置1Bのアタッチメント装置20Bは、図6に示すように、前記実施の形態1の管内面処理装置1Aにおける当接部材25の上ステー25a及び下ステー25bに比べて腕(つまり両外側に延びる距離)の長い上ステー45a及び下ステー45bに変更されている点が相違している。
すなわち、本実施の形態の管内面処理装置1Bでは、管内面処理装置1Aと比べて、バネ45cの位置が回転軸21からより遠くなる。また、バネ45cの下側には、下ステー45b及び当接部45dを介して、駆動力連繋部材23における回転軸21よりも砥石回転軸AXに近い方の部分が位置している。これにより、バネ45cが当接部45dを介して駆動力連繋部材23に付与する弾性力(トルク)がさらに大きくなる。
また、当接部45dは、バネ45cの下側において下ステー45bを介して位置しているため、駆動力連繋部材23における回転軸21よりも砥石回転軸AXに近い方の部分に当接している。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図7は、本実施の形態の管内面処理装置1Cにおけるアタッチメント装置20Cの構成を示す側面図である。
本実施の形態の管内面処理装置1Cのアタッチメント装置20Cは、図7に示すように、前記実施の形態1の管内面処理装置1Aにおけるアタッチメント装置20Aに比べて、高さ調整部材28が存在していない点が相違している。
すなわち、本実施の形態の管内面処理装置1Cのアタッチメント装置20Cは、前記実施の形態1の管内面処理装置1Aにおけるアタッチメント装置20Aに存在していた高さ調整部材28が存在していない。このように、対抗部材29の下端面の高さが当接部材25の上端面の高さに一致していれば、高さ調整部材28を設ける必要がない。これにより、部品点数を少なくして、構造の簡略化を図ることができる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図8は、本実施の形態の管内面処理装置1Dにおけるアタッチメント装置20Dの構成を示す側面図である。
本実施の形態の管内面処理装置1Dのアタッチメント装置20Dは、図8に示すように、前記実施の形態1〜3のアタッチメント装置20A〜20Cの当接部材25・45に比べて、当接部材62の形状が相違しており、弾性部材としてのバネ60cの取り付け位置が相違している。
すなわち、本実施の形態の管内面処理装置1Dのアタッチメント装置20Dは、当接部材25に代えて、当接部材62を備えている。当接部材62は、下ステー62a及び当接部65dを備えている。下ステー62aは、第3軸受け60dに取り付けられており、折り曲げ部分が駆動力連繋部材23の上面と平行になるようになっている。当接部65dは、下ステー62aの両外側部分の下面に取り付けられている。
また、本実施の形態では、弾性部材としてのバネ60cを備えている。本実施の形態では、バネ60cは、第3軸受け60dに取り付けられた下側支持部60bと、下側支持部60bの上側に設けられた上側支持部60aとの間に取り付けられている。
さらに、上側支持部60aの上面には対抗部材69の片持梁部材が取り付けられている。図8では、対抗部材69は角状断面を有する鋼からなる片持梁部材を含んでいるが、前記実施の形態1の対抗部材29と同様に、H鋼からなる片持梁部材を含んでいてもよい。
このように、アタッチメント装置20Dは、対抗部材69と当接部材62との間に、駆動力連繋部材23に対して管30の内面に向かう弾性力を付与するバネ60cを備えている。したがって、バネ60cによって駆動力連繋部材23に対して管30の内面に向かう弾性力を付与することにより、回転砥石24a・24bは管30の内面に向かって押圧される。これにより、回転砥石24a・24bがバウンドすることを低減することができ、回転砥石24a・24bを管30の内面に向かって、より一定に近い力で押圧することができる。
〔補足〕
本発明の一態様における管内面処理装置は、管に挿入可能な回転軸と、前記管に挿入可能に片持支持された支持部材と、前記回転軸によって駆動され、前記管の内面にそれぞれ接し、かつ、軸の位置が互いに異なる複数の回転研削部材と、前記回転軸と各前記回転研削部材とをそれぞれ接続する複数の駆動力連繋部材と、前記回転軸に対する各前記回転研削部材の相対位置を固定するために、前記支持部材から延びて各前記駆動力連繋部材に当接する当接部材とを備えていることを特徴としている。
前記構成によれば、管内面処理装置は、回転研削部材を複数備えているため、回転研削部材が1つの場合と比べて、管と回転研削部材との接触面積が大きくなる。これにより、管の研削時間を短縮することができる。また、当接部材によって回転軸に対する回転研削部材の相対位置が固定されているため、回転研削部材が、回転軸の周りを管の周方向に回転することを防ぐことができる。よって、回転研削部材の位置を安定して保持させることにより、管の内面を安定して研削することができる。
本発明の一態様における管内面処理装置では、前記支持部材と前記当接部材との間には、前記駆動力連繋部材に前記管の内面に向かう弾性力を付与する弾性部材をさらに備えていることが好ましい。
前記構成によれば、弾性部材によって駆動力連繋部材に管の内面に向かう弾性力を付与することにより、回転研削部材は管の内面に向かって押圧される。これにより、回転研削部材がバウンドすることを低減することができ、回転研削部材を管の内面に向かって、より一定に近い力で押圧することができる。
本発明の一態様における管内面処理装置では、前記当接部材は、前記駆動力連繋部材における前記回転軸から離れた箇所を押さえることが好ましい。
前記構成によれば、回転軸から離れた箇所が押さえられるため、回転研削部材を管の内面に向かってより大きな力で押圧することができる。
本発明の一態様における管内面処理装置では、前記回転軸を含む平面に対し、一方側に設けられている前記回転研削部材の回転方向は、他方側に設けられている前記回転研削部材の回転方向とは逆方向であることが好ましい。
前記構成によれば、回転軸を含む平面に対し、一方側に設けられている回転研削部材の回転方向は、他方側に設けられている回転研削部材の回転方向とは逆方向であるため、回転軸に対するこれらの回転研削部材の相対位置を安定して保持することができる。よって、管の内面を安定して研削することができる。
本発明の一態様における管内面処理装置では、前記複数の回転研削部材は、前記管の中心角180°未満の範囲の内面に接することが好ましい。
前記構成によれば、複数の回転研削部材は、管の中心角180°未満の範囲の内面に接するため、内径が異なる複数の管の内面を研削することができる。つまり、内径が異なる別の管に変更しても、管内面処理装置を変更する必要がない。よって、内径が異なる管ごとに管内面処理装置を用意する必要がないため、管内面処理にかかるコストを削減することができる。
本発明の一態様における管内面処理装置は、管に挿入可能な回転軸と、前記回転軸によって駆動され、前記管の内面にそれぞれ接し、かつ、軸の位置が互いに異なる複数の回転研削部材とを備え、前記回転軸を含む平面に対し、一方側に設けられている前記回転研削部材の回転方向は、他方側に設けられている前記回転研削部材の回転方向とは逆方向であり、各前記回転研削部材は、前記回転軸の下側に設けられており、各前記回転研削部材が、前記管の内面に接触している側において前記管の最底部に向かうように回転することを特徴としている。
前記構成によれば、前述したように、管内面処理装置は、回転研削部材を複数備えているため、回転研削部材が1つの場合と比べて、管と回転研削部材との接触面積が大きくなる。これにより、管の研削時間を短縮することができる。また、回転軸を含む平面に対し、一方側に設けられている回転研削部材の回転方向は、他方側に設けられている回転研削部材の回転方向とは逆方向であるため、回転軸に対するこれらの回転研削部材の相対位置を安定して保持することができる。よって、管の内面を安定して研削することができる。
さらに、各回転研削部材が、管の内面に接触している側において管の最底部に向かうように回転するため、これらの回転研削部材が管の最底部に向かう方向とは反対方向に向かおうとするこれにより、回転軸に対するこれらの回転研削部材の相対位置をより安定して保持することができる。
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。