JP6498060B2 - 工業炉の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工業炉の制御方法に関するものである。特に、炉内に導入された被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行うバッチ式や連続式の工業炉において、炉内に導入された被処理物を加熱させた後、このように加熱された被処理物を冷却させるにあたり、被処理物を冷却させる際における炉内の熱を有効に利用して、消費エネルギーを少なくしながら、加熱された被処理物を効率よく短時間で冷却させるようにした点に特徴を有するものである。
従来から、工業炉においては、炉内に導入された被処理物を加熱させた後、加熱された被処理物を冷却させて、被処理物を熱処理することが行われている。
ここで、このような工業炉としては、炉内に導入された被処理物を搬送させずに、前記の被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行うようにしたバッチ式の工業炉や、炉内に導入された被処理物を加熱部から冷却部に向けて順々に搬送させて、前記の被処理物を加熱部において加熱させた後、加熱された被処理物を冷却部において冷却させるようにした連続式の工業炉が用いられている。
そして、これらの工業炉において、炉内において加熱された被処理物を冷却させるにあたっては、一般に、炉内における高温のガスを炉内から導出させて熱交換器に導くと共に、この熱交換器に冷水等の冷却用媒体を導き、この熱交換器において高温のガスと冷却用媒体との間で熱交換させて高温のガスを冷却させ、このように冷却させたガスを炉内に戻して、加熱された被処理物を冷却させるようにしていた。
ここで、前記のように熱交換器により、炉内におけるガスを冷却用媒体との間で熱交換させて冷却させ、冷却されたガスを炉内に戻して加熱された被処理物を冷却させる場合において、炉内における温度が有る程度低下すると、炉内におけるガスと冷却用媒体との温度差が減少して、前記の熱交換器によって炉内におけるガスを十分に冷却させることが困難になり、被処理物を所定温度以下に冷却させるのに多くの時間を要するという問題があった。
また、従来においては、特許文献1に示されるように、半田付けを行うリフロー炉において、本加熱部を2層設け、この2層の本加熱部のうちワーク入口より遠い方の本加熱部にペルチェ素子等の冷却装置を設けるようにしたものが提案されている。
しかし、特許文献1に示されるものは、ワーク入口より遠い方の本加熱部にペルチェ素子等の冷却装置を設け、冷却部におけるワークの冷却効果を助長すると共に、隣接する本加熱部に対する昇温を助長させるものであり、前記の工業炉のように、炉内から導出されたガスを、熱交換器により冷却用媒体との間で熱交換させて冷却させ、冷却されたガスを炉内に戻して、加熱された被処理物を炉内において冷却させるにあたり、炉内における温度がある程度低下した後において、被処理物を所定温度以下に冷却させるのに多くの時間を要するという問題を解決することはできなかった。
また、特許文献2においては、ワークを搬送手段により複数の環境槽の送り方向に沿って搬送させて処理するにあたり、温度環境槽である第1槽〜第5槽のそれぞれに、温調器として、加熱を行うシーズヒータや、加熱・冷却を行うペルチェ素子などを設けるようにしたものが提案されている。
しかし、この特許文献2に示されるものも、前記の特許文献1に示されるものと同様に、炉内から導出されたガスを、熱交換器により冷却用媒体との間で熱交換させて冷却させ、冷却されたガスを炉内に戻して、加熱された被処理物を炉内において冷却させるにあたり、炉内における温度が有る程度低下した後において、被処理物を所定温度以下に冷却させるのに多くの時間を要するという問題を解決することはできなかった。
また、特許文献1,2に示されるものにおいて、ペルチェ素子等の冷却装置や、加熱・冷却を行うペルチェ素子などの温調器を用いて、炉内の温度等を冷却させるためには、これらを動作させるための電力が必要になり、ランニングコストが高くつくという問題があった。
特開2000−188466号公報 特開2007−85688号公報
本発明は、炉内に導入された被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行う工業炉において、炉内に導入された被処理物を加熱させた後、このように加熱された被処理物を冷却させる場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
すなわち、本発明における工業炉の制御方法は、バッチ式の工業炉や連続式の工業炉において、炉内に導入された被処理物を加熱させた後、このように加熱された被処理物を冷却させるにあたり、被処理物を冷却させる際における炉内の熱を有効に利用して、消費エネルギーを少なくしながら、加熱された被処理物を効率よく短時間で冷却できるようにすることを課題とするものである。
本発明に係る工業炉の制御方法においては、前記のような課題を解決するために、少なくとも炉内に導入された被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行う工業炉の制御方法において、熱電発電素子とペルチェ素子とを設け、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体とを前記の熱電発電素子とペルチェ素子とに導くようにし、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程で、前記の熱電発電素子により、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との温度差によって発電を行う一方、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程の後期の段階で、前記の熱電発電素子によって発電された電気を、前記のペルチェ素子に供給して炉内から導出されて循環されるガスを冷却させるようにした。
また、前記の工業炉の制御方法においては、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との間で熱交換させる熱交換器を、前記の熱電発電素子よりもガスの送り方向下流側に設けることができる。このように、熱交換器を熱電発電素子よりもガスの送り方向下流側に設けると、その上流側においては熱交換器によって熱交換される前の温度の高いガスが熱電発電素子に導かれ、冷却用媒体との温度差が大きい状態で維持され、熱電発電素子によって電気が効率よく発電されるようになると共に、熱電発電素子に導かれた後のガスが熱交換器に導かれ、この熱交換器において、ガスが冷却用媒体との間で熱交換されて冷却されるようになる。
そして、前記の工業炉としては、炉内に導入された被処理物を搬送させずに、前記の被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行うバッチ式の工業炉や、少なくとも加熱部と冷却部とが設けられ、炉内に導入された被処理物を前記の加熱部から冷却部に向けて順々に搬送させて、前記の被処理物を加熱部において加熱させた後、加熱された被処理物を冷却部において冷却させる連続式の工業炉を用いることができる。
ここで、工業炉が前記のバッチ式の工業炉の場合、前記の熱電発電素子によって発電された電気を蓄電させる蓄電装置を設け、この蓄電装置に蓄電された電気を前記のペルチェ素子に供給し、このペルチェ素子により、炉内から導出されたガスを冷却用媒体との間で冷却させるようにすることができる。
また、工業炉が前記のバッチ式の工業炉の場合、このようなバッチ式の工業炉を複数設け、1つのバッチ式の工業炉における前記の熱電発電素子によって発電された電気を、他のバッチ式の工業炉における前記のペルチェ素子に供給して、このペルチェ素子により、他のバッチ式の工業炉の炉内から導出されたガスを冷却用媒体との間で冷却させるようにすることができる。このようにすると、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程において、炉内におけるガスの温度が高い冷却工程の初期の段階にあるバッチ式の工業炉において、前記の熱電発電素子により電気を効率よく発電させる一方、このように発電された電気を、炉内におけるガスの温度が低下した冷却工程の後期の段階にある他のバッチ式の工業炉における前記のペルチェ素子に供給し、このペルチェ素子により、他のバッチ式の工業炉の炉内から導出されたガスを冷却用媒体との間で効率よく冷却させるようにすることができる。
また、工業炉が前記の連続式の工業炉の場合、加熱された被処理物を冷却部において冷却させるにあたり、加熱された被処理物を冷却させる前期の段階、すなわち前記の冷却部における被処理物の導入側において、熱電発電素子により、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との温度差により発電を行う一方、加熱された被処理物を冷却させる後期の段階、すなわち冷却部における被処理物の導出側において、前記のように発電された電気をペルチェ素子に供給し、このペルチェ素子により、炉内から導出されて循環されるガスを冷却用媒体との間で冷却させるようにすることができる。
本発明に係る工業炉の制御方法においては、前記のように炉内において加熱された被処理物を冷却させるにあたり、熱電発電素子とペルチェ素子とを設け、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体とを前記の熱電発電素子とペルチェ素子とに導くようにし、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程において、前記の熱電発電素子により、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との温度差によって発電を行う一方、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程の後期の段階で、前記の熱電発電素子によって発電された電気をペルチェ素子に供給して、炉内から導出されて循環されるガスをペルチェ素子に導かれた冷却用媒体との間で冷却させるようにした。
この結果、本発明に係る工業炉の制御方法においては、工業炉における熱を熱電発電素子により発電に有効に利用して、エネルギー消費を少なくしながら、炉内におけるガスの温度がある程度低下した冷却工程の後期の段階においても、このガスを前記のペルチェ素子によってさらに冷却させることができ、このように冷却されたガスによって被処理物を所定温度以下にまで速やかに効率よく冷却させることができるようになる。
バッチ式の工業炉を用いた本発明の実施形態1における工業炉の制御方法において、炉内に導入された被処理物を加熱させた後、このように加熱された被処理物を冷却させる構成を示した概略説明図である。 前記の実施形態1において、バッチ式の工業炉における炉内温度と、炉内に導入させた被処理物を所定の温度まで加熱させる加熱工程と、このように加熱された被処理物を所定の温度で維持させて均熱させる均熱工程と、このように所定の温度に加熱されて均熱された被処理物を所定の温度まで冷却させる冷却工程との関係を示した図である。 複数のバッチ式の工業炉を用いた本発明の実施形態2における工業炉の制御方法において、冷却工程の初期の段階にあるバッチ式の工業炉において熱電発電素子により電気を発電させ、このように発電させた電気を、冷却工程の後期の段階にあるバッチ式の工業炉におけるペルチェ素子に供給して、このペルチェ素子に導かれたガスを、ペルチェ素子に導かれた冷却用媒体との間でさらに冷却させて、このように冷却させたガスを冷却工程の後期の段階にある炉内に戻す状態を示した概略説明図である。 複数のバッチ式の工業炉を用いた前記の実施形態2における工業炉の制御方法において、その変更例を示した概略説明図である。 本発明の実施形態3における工業炉の制御方法において、被処理物を炉内において順々に搬送させて、被処理物を加熱部、均熱部、冷却部の順に導くようにした連続式の工業炉を用いる例を示した概略説明図である。 本発明の実施形態3における工業炉の制御方法において、所定の温度に加熱されて均熱された被処理物を冷却部において所定の温度まで冷却させる構成を示した概略説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る工業炉の制御方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る工業炉の制御方法は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
(実施形態1)
実施形態1においては、図1及び図2に示すように、被処理物Wを炉11内に導入させた後、この被処理物Wを炉11内において搬送させずに、被処理物Wを炉11内において加熱装置(図示せず)により所定の温度まで加熱させる加熱工程S1と、このように加熱された被処理物Wを所定の温度で維持させて均熱させる均熱工程S2と、このように所定の温度に加熱されて均熱された被処理物Wを所定の温度まで冷却させる冷却工程S3とを行うバッチ式の工業炉10を用いている。
ここで、この実施形態1においては、前記の冷却工程S3において、所定の温度に加熱されて均熱された被処理物Wを所定の温度まで冷却させるにあたり、炉11内から導出させた高温のガス(炉内雰囲気)を、ガス循環系路Gを通して熱電発電素子21と熱交換器22とペルチェ素子23との順に導いて炉11内に戻すようにする一方、冷却用媒体供給装置31から冷却用媒体を、冷却用媒体案内系路Cを通してそれぞれ熱電発電素子21と熱交換器22とペルチェ素子23とに導き、その後、熱電発電素子21と熱交換器22とペルチェ素子23とに導かれた冷却用媒体をそれぞれ冷却装置32に導いて冷却させ、このように冷却させた冷却用媒体を冷却用媒体供給装置31に戻すようにしている。
また、この実施形態1においては、前記の熱電発電素子21に蓄電装置24を接続させ、熱電発電素子21によって発電された電気をこの蓄電装置24に蓄電させるようにすると共に、この蓄電装置24に前記のペルチェ素子23を接続させ、蓄電装置24に蓄電された電気を適当なタイミングで前記のペルチェ素子23に供給させるようにしている。
ここで、この実施形態1においては、前記のように所定の温度に加熱されて均熱された被処理物Wを冷却させる冷却工程S3において、炉11内の温度が高い冷却工程S3の初期S3aの段階では、炉11内からガス循環系路Gを通して熱電発電素子21の温接点に導かれるガスの温度が高く、冷却用媒体供給装置31から冷却用媒体案内系路Cを通して熱電発電素子21の冷接点に導かれる冷却用媒体との温度差が大きくなって、熱電発電素子21によって発電される電気量が多くなる。そして、このように熱電発電素子21によって発電された電気を前記の蓄電装置24に蓄電させるようにする。
また、前記のように熱電発電素子21に導かれた後のガスを前記のガス循環系路Gを通して熱交換器22に導き、この熱交換器22において、前記のガスと冷却用媒体案内系路Cを通して熱交換器22に導かれる冷却用媒体との間で熱交換を行い、熱交換器22に導かれたガスを冷却させるようにする。
次いで、このように熱交換器22により熱交換されて冷却されたガスを前記のガス循環系路Gを通してペルチェ素子23に導いた後、このペルチェ素子23から炉11内に戻すようにしている。ここで、前記のように炉11内の温度が高い冷却工程S3の初期S3aの段階では、熱電発電素子21によって発電されて蓄電装置24に蓄電された電気をペルチェ素子23に供給せずに、熱交換器22によって冷却させたガスをそのまま炉11内に戻すようにしている。
そして、前記のように熱交換器22によって冷却させたガスを炉11内に戻すと、次第に炉11内の温度が低下し、炉11内の温度が有る程度低下した冷却工程S3の後期S3bの段階においては、熱交換器22に対して、炉11内からガス循環系路Gを通して導かれるガスと冷却用媒体案内系路Cを通して導かれる冷却用媒体との温度差が少なくなって、図2に点線L1で示すように、熱交換器22に導かれたガスを冷却用媒体との間で熱交換させて冷却させることが徐々に困難になる。
このため、この実施形態1においては、熱交換器22に導かれるガスと冷却用媒体との温度差が少なくなった冷却工程S3の後期S3bの段階において、図1に一点鎖線で示すように、前記の蓄電装置24から蓄電された電気を前記のペルチェ素子23に供給し、このペルチェ素子23により、熱交換器22からペルチェ素子23に導かれた前記のガスを、ペルチェ素子23によりさらに冷却(吸熱)させ、このように冷却させたガスを炉11内に戻すようにしている。なお、このとき冷却用媒体は、ペルチェ素子23の放熱を冷却するのに用いられる。
このようにすると、炉11内の温度が有る程度低下した冷却工程S3の後期S3bの段階においても、ペルチェ素子23によりガスがさらに低い温度に速やかに冷却されて炉11内に戻され、炉11内における被処理物Wを、図2に実線L2で示すように、所定温度以下にまで速やかに効率よく冷却させることができるようになる。
すなわち、この実施形態1においては、同じ温度の冷却用媒体が、熱電発電素子21に対しては冷接点として作用し、熱交換器22においては従来通りのガスの冷却用として使用され、ペルチェ素子23に対しては放熱の冷却用として作用するようになる。
また、この実施形態1において、冷却工程S3を初期S3aと後期S3bとに分けるようにしたが、初期S3aと後期S3bとに分けずに、冷却工程S3全般にわたって、熱電発電素子21で発電させた電気を、前記の蓄電装置24に蓄電させずに、そのまま前記のペルチェ素子23に供給させて、ガスを冷却させるようにすることもできる。
(実施形態2)
実施形態2においては、前記の実施形態1と同様のバッチ式の工業炉10を用いるようにしている。
ここで、この実施形態2においては、図3に示すように、前記のようなバッチ式の工業炉10を複数設ける一方、各工業炉10においては、前記の熱電発電素子21によって発電された電気を蓄電させる蓄電装置24を設けないようにしている。なお、図3においては、2つのバッチ式の工業炉10A,10Bを例にして説明する。
そして、この実施形態2においては、前記のバッチ式の工業炉10A,10Bにおいて、被処理物Wを炉11内において加熱処理させるタイミングをずらせるようにしている。
ここで、図3に示す状態において、1つのバッチ式の工業炉10Aは、加熱されて均熱された被処理物Wを冷却させる冷却工程S3の初期S3aの段階にあり、他のバッチ式の工業炉10Bは、加熱されて均熱された被処理物Wを冷却させる冷却工程S3の後期S3bの段階にある。
この場合、冷却工程S3の初期S3aの段階にあるバッチ式の工業炉10Aにおいては、炉11内の温度が高い状態にあり、この炉11内から高温のガスが前記のガス循環系路Gを通して熱電発電素子21に導かれ、冷却用媒体案内系路Cを通して熱電発電素子21に導かれる冷却用媒体との温度差により、熱電発電素子21によって発電される電気量が多くなっている。一方、加熱されて均熱された被処理物Wを冷却させる冷却工程S3の後期S3bの段階にあるバッチ式の工業炉10Bにおいては、炉11内の温度が低下し、熱交換器22に対して、炉11内からガス循環系路Gを通して導かれるガスと冷却用媒体案内系路Cを通して冷却用媒体との温度差が少なくなって、熱交換器22に導かれたガスを冷却用媒体との間で熱交換させて冷却させることが、前記の実施形態1の場合と同様に困難になっている。
そして、この実施形態2においては、前記のように冷却工程S3の初期S3aの段階にある炉11内の温度が高いバッチ式の工業炉10Aにおいて、熱電発電素子21によって発電された電気を、図3に一点鎖線で示すように、炉11内の温度が低下した冷却工程S3の後期S3bの段階にあるバッチ式の工業炉10Bにおけるペルチェ素子23に供給し、このペルチェ素子23により、熱交換器22からペルチェ素子23に導かれた前記のガスを、ペルチェ素子23に導かれた冷却用媒体との間でさらに冷却させ、このように冷却させたガスを炉11内に戻すようにしている。
このようにすると、前記の実施形態1の場合と同様に、前記のバッチ式の工業炉10Bのように炉11内の温度が有る程度低下した冷却工程S3の後期S3bの段階においても、ペルチェ素子23によりガスがさらに低い温度に速やかに冷却されて炉11内に戻され、炉11内における被処理物Wを所定温度以下にまで速やかに効率よく冷却させることができるようになる。
なお、この実施形態2においては、2つのバッチ式の工業炉10A,10Bを例にして説明したが、さらに多くのバッチ式の工業炉10を設け、前記のように冷却工程S3の初期S3aの段階にある適当なバッチ式の工業炉10において、熱電発電素子21によって電気を発電させ、このように発電された電気を、加熱されて均熱された被処理物Wを冷却させる冷却工程S3の後期S3bの段階にある適当なバッチ式の工業炉10におけるペルチェ素子23に供給し、このペルチェ素子23により、熱交換器22からペルチェ素子23に導かれたガスを、ペルチェ素子23に導かれた冷却用媒体との間でさらに冷却させ、このように冷却させたガスを炉11内に戻すようにすることができる。
また、この実施形態2においては、冷却工程S3の初期S3aの段階にある一方の工業炉10において熱電発電素子21によって発電された電気を、冷却工程S3の後期S3bの段階にある他方の工業炉10におけるペルチェ素子23に直接供給して、このペルチェ素子23により他方の工業炉10におけるガスを冷却させるようにしたが、図4に示すように、各工業炉10における熱電発電素子21によって発電された電気を蓄電させる蓄電装置24を設け、この蓄電装置24に蓄電された電気を、冷却工程S3の後期S3bの段階にある工業炉10におけるペルチェ素子23に供給させるようにすることもできる。
(実施形態3)
実施形態3においては、図5に示すように、炉110内に導入させた被処理物Wを炉110内において順々に搬送させて、この被処理物Wを加熱部111、均熱部112、冷却部113の順に導くようにした、連続式の工業炉100を用いている。
そして、この実施形態3においては、炉110内に導入させた被処理物Wを前記の加熱部111において所定の温度まで加熱させた後、このように加熱された被処理物Wを前記の均熱部112において所定の温度で維持させて均熱させ、その後、このように所定の温度に加熱されて均熱された被処理物Wを前記の冷却部113において所定の温度まで冷却させるようにしている。
ここで、この実施形態3においては、所定の温度に加熱されて均熱された被処理物Wを前記の冷却部113において所定の温度まで冷却させるにあたり、図5に示すように、前記の被処理物Wを均熱部112から冷却部113に導入させる冷却部113の導入側(冷却の初期)においては、炉110内から導出させたガスを、ガス循環系路Gを通して熱電発電素子21と熱交換器22との順に導いて炉11内に戻すようにする一方、冷却用媒体供給装置31から冷却用媒体を、冷却用媒体案内系路Cを通してそれぞれ熱電発電素子21と熱交換器22とに導き、その後、熱電発電素子21と熱交換器22とに導かれた冷却用媒体をそれぞれ冷却装置32に導いて冷却させ、このように冷却させた冷却用媒体を冷却用媒体供給装置31に戻すようにしたものを複数設けている。そして、前記の各熱電発電素子21に導かれたガスと冷却用媒体との温度差により、各熱電発電素子21において電気を発電させるようにしている。
一方、冷却部113において冷却された被処理物Wを冷却部113から導出させる冷却部113の導出側(冷却の後期)においては、炉110内から導出させたガスを、ガス循環系路Gを通して熱交換器22とペルチェ素子23との順に導いて炉11内に戻すようにする一方、冷却用媒体供給装置31から冷却用媒体を、冷却用媒体案内系路Cを通してそれぞれ熱交換器22とペルチェ素子23とに導き、その後、熱交換器22とペルチェ素子23とに導かれた冷却用媒体をそれぞれ冷却装置32に導いて冷却させ、このように冷却させた冷却用媒体を冷却用媒体供給装置31に戻すようにしている。
そして、この実施形態3においては、図6に一点鎖線で示すように、前記のように冷却部113の導入側における各熱電発電素子21において発電された電気を、それぞれ冷却部113の導出側に設けられたペルチェ素子23に供給し、このペルチェ素子23により、熱交換器22からペルチェ素子23に導かれたガスを、ペルチェ素子23に導かれた冷却用媒体との間でさらに冷却させて、冷却部113の導出側における炉110内に戻すようにしている。
このようにすると、炉110内の温度が有る程度低下した冷却部113の導出側においても、ガスがさらに低い温度に速やかに冷却されて、炉110内における被処理物Wを所定温度以下にまで速やかに効率よく冷却させることができるようになる。
なお、この実施形態3においては、冷却部113の導出側において、炉110内から導出させたガスを冷却させるにあたり、熱交換器22とペルチェ素子23との組み合わせを1つ設けるようにしただけであるが、熱交換器22とペルチェ素子23との組み合わせを複数並設させるようにすることもできる。
10、10A、10B :バッチ式の工業炉
11 :炉
21 :熱電発電素子
22 :熱交換器
23 :ペルチェ素子
24 :蓄電装置
31 :冷却用媒体供給装置
32 :冷却装置
100 :連続式の工業炉
110 :炉
111 :加熱部
112 :均熱部
113 :冷却部
C :冷却用媒体案内系路
G :ガス循環系路
S1 :加熱工程
S2 :均熱工程
S3 :冷却工程、S3a :初期、S3b :後期
W :被処理物

Claims (6)

  1. 少なくとも炉内に導入された被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行う工業炉の制御方法において、熱電発電素子とペルチェ素子とを設け、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体とを前記の熱電発電素子とペルチェ素子とに導くようにし、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程で、前記の熱電発電素子により、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との温度差によって発電を行う一方、加熱された被処理物を冷却させる冷却工程の後期の段階で、前記の熱電発電素子によって発電された電気を、前記のペルチェ素子に供給して炉内から導出されて循環されるガスを冷却させることを特徴とする工業炉の制御方法。
  2. 請求項1に記載の工業炉の制御方法において、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との間で熱交換させる熱交換器を、前記の熱電発電素子よりもガスの送り方向下流側に設けたことを特徴とする工業炉の制御方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の工業炉の制御方法において、前記の工業炉として、炉内に導入された被処理物を搬送させずに、前記の被処理物を加熱させる工程と、加熱された被処理物を冷却させる工程とを行うバッチ式の工業炉を用いたことを特徴とする工業炉の制御方法。
  4. 請求項3に記載の工業炉の制御方法において、前記の熱電発電素子によって発電された電気を蓄電させる蓄電装置を設け、前記の蓄電装置に蓄電された電気を、前記のペルチェ素子に供給して炉内から導出されたガスを冷却させることを特徴とする工業炉の制御方法。
  5. 請求項3に記載の工業炉の制御方法において、前記のバッチ式の工業炉を複数設け、1つのバッチ式の工業炉における前記の熱電発電素子によって発電された電気を、他のバッチ式の工業炉における前記のペルチェ素子に供給して、他のバッチ式の工業炉の炉内から導出されたガスを冷却させることを特徴とする工業炉の制御方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の工業炉の制御方法において、前記の工業炉として、少なくとも加熱部と冷却部とが設けられ、炉内に導入された被処理物を前記の加熱部から冷却部に向けて順々に搬送させて、前記の被処理物を加熱部において加熱させた後、加熱された被処理物を冷却部において冷却させる連続式の工業炉を用い、前記の冷却部における被処理物の導入側において、前記の熱電発電素子により、炉内から導出されて循環されるガスと冷却用媒体との温度差によって発電を行う一方、冷却部における被処理物の導出側において、前記のように発電された電気を前記のペルチェ素子に供給して、炉内から導出されて循環されるガスを冷却させることを特徴とする工業炉の制御方法。
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