以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。
図1(a)、(b)は、画像表示装置20の使用形態を模式的に示す図である。図1(a)は、乗用車1の側方から乗用車1の内部を透視した模式図、図1(b)は、乗用車1の内部から走行方向前方を見た図である。
本実施の形態は、車載用のヘッドアップディスプレイに本発明を適用したものである。図1(a)に示すように、画像表示装置20は、乗用車1のダッシュボード11の内部に設置される。
図1(a)、(b)に示すように、画像表示装置20は、映像信号により変調されたレーザ光を、ウインドシールド12下側の運転席寄りの投射領域13に投射する。レーザ光は、投射領域13で反射され、運転者2の目の位置周辺の横長の領域(アイボックス領域)に照射される。これにより、運転者2の前方の視界に、虚像として所定の画像30が表示される。運転者2は、ウインドシールド12の前方の景色上に、虚像である画像30を重ね合わせて見ることができる。すなわち、画像表示装置20は、虚像である画像30をウインドシールド12の投射領域13の前方の空間に結像させる。
図1(c)は、画像表示装置20の構成を模式的に示す図である。
画像表示装置20は、照射光生成部21と、ミラー22とを備える。照射光生成部21は、映像信号により変調されたレーザ光を出射する。ミラー22は曲面状の反射面を有し、照射光生成部21から出射されたレーザ光をウインドシールド12に向けて反射する。ウインドシールド12で反射されたレーザ光は、運転者2の目2aに照射される。照射光生成部21の光学系とミラー22は、ウインドシールド12の前方に虚像による画像30が所定の大きさで表示されるように設計されている。
図2は、画像表示装置20の照射光生成部21の構成および照射光生成部21に用いる回路の構成を示す図である。
照射光生成部21は、光源101と、コリメータレンズ102a〜102cと、ミラー103と、ダイクロイックミラー104、105と、走査部106と、補正レンズ107と、スクリーン108と、駆動部109とを備える。
光源101は、3つのレーザ光源101a〜101cを備える。レーザ光源101a〜101cは、それぞれ、赤色波長帯、緑色波長帯および青色波長帯のレーザ光を出射する。本実施の形態では、画像30としてカラー画像を表示するために、光源101が3つのレーザ光源101a〜101cを備えている。画像30として単色の画像を表示する場合、光源101は、画像の色に対応する1つのレーザ光源のみを備えていてもよい。レーザ光源101a〜101cは、たとえば、半導体レーザからなっている。
レーザ光源101a〜101cから出射されたレーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ102a〜102cによって平行光に変換される。このとき、レーザ光源101a〜101cから出射されたレーザ光は、それぞれ、図示しないアパーチャによって、円形のビーム形状に整形される。なお、コリメータレンズ102a〜102cに代えて、レーザ光を円形のビーム形状に整形し且つ平行光化する整形レンズを用いてもよい。この場合、アパーチャは省略され得る。
その後、レーザ光源101a〜101cから出射された各色のレーザ光は、ミラー103と2つのダイクロイックミラー104、105によって光軸が整合される。ミラー103は、コリメータレンズ102aを透過した赤色レーザ光を略全反射する。ダイクロイックミラー104は、コリメータレンズ102bを透過した緑色レーザ光を反射し、ミラー103で反射された赤色レーザ光を透過する。ダイクロイックミラー105は、コリメータレンズ102cを透過した青レーザ光を反射し、ダイクロイックミラー104を経由した赤色レーザ光および緑色レーザ光を透過する。ミラー103と2つのダイクロイックミラー104、105は、レーザ光源101a〜101cから出射された各色のレーザ光の光軸を整合させるように配置されている。
走査部106は、ダイクロイックミラー105を経由した各色のレーザ光を反射する。走査部106は、たとえば、MEMS(micro electro mechanical system)ミラーからなっており、ダイクロイックミラー105を経由した各色のレーザ光が入射されるミラー106aを、駆動信号に応じて、Y軸に平行な軸とX軸に平行な軸の周りに回転させる構成を備える。このようにミラー106aを回転することにより、レーザ光の反射方向が、X−Z平面の面内方向およびY−Z平面の面内方向において変化する。これにより、後述のように、各色のレーザ光によってスクリーン108が走査される。
なお、ここでは、走査部106が、2軸駆動方式のMEMSミラーにより構成されたが、走査部106は、他の構成であってもよい。たとえば、Y軸に平行な軸の周りに回転駆動されるミラーと、X軸に平行な軸の周りに回転駆動されるミラーとを組み合わせて走査部106が構成されてもよい。
補正レンズ107は、走査部106によるレーザ光の振り角に拘わらず、各色のレーザ光をZ軸正方向に向かわせるように設計されている。スクリーン108は、レーザ光が走査されることにより画像が形成され、入射したレーザ光を運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス領域)に拡散させる作用を有する。スクリーン108の構成は、追って、図4(a)ないし図6(c)を参照して説明する。
駆動部109は、スクリーン108をレーザ光の進行方向に平行な方向(Z軸方向)に往復移動させる。駆動部109の構成は、追って、図3(a)、(b)を参照して説明する。
画像処理回路201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理ユニットやメモリを備え、入力された映像信号を処理してレーザ駆動回路202、ミラー駆動回路203およびスクリーン駆動回路204を制御する。レーザ駆動回路202は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、レーザ光源101a〜101cの出射強度を変化させる。ミラー駆動回路203は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、走査部106のミラー106aを駆動する。スクリーン駆動回路204は、画像処理回路201からの制御信号に応じて、スクリーン108を駆動する。画像表示動作時における画像処理回路201における制御については、追って、図4(b)を参照して説明する。
図3(a)は、駆動部109の構成を示す斜視図、図3(b)は、図3(a)に示す駆動部109をY軸方向の中央位置においてX−Z平面に平行な平面で切断した場合の、ホルダ303付近の断面図である。
駆動部109は、Y軸方向およびX軸方向に対称な構成を有する。駆動部109は、Z軸負側が開放された矩形状の筐体301と、筐体301のZ軸負側に装着される支持板302と、ホルダ303と、2つの板バネ304と、コイル305と、磁石306、307と、ヨーク308と、を備える。
支持板302は、X軸正側とX軸負側にそれぞれ内方に突出したT字状の支持部302aを備える。これら支持部302aに2つの板バネ304が装着されている。上側の板バネ304は、位置P1、P2において支持部302aに固定され、下側の板バネ304は、位置P3、P4において支持部302aの固定されている。2つの板バネ304は、それぞれX軸に平行に設置されている。
2つの板バネ304の長手方向の中間位置に、ホルダ303が固着されている。ホルダ303は、X軸方向の中間位置からY軸正方向およびY軸負方向にそれぞれ突出する2つの突部303aを備え、これら突部303aが板バネ304に固着されている。ホルダ303は、平面視において角が丸められた長方形の形状を有し、4つの角からそれぞれZ軸正方向に延びる脚部303bが形成されている。これら4つの脚部303bに巻回されるように、コイル305がホルダ303に装着されている。ホルダ303は、樹脂材料等の非磁性材料からなっている。
また、ホルダ303には、長方形の開口303cが設けられ、この開口303cにスクリーン108が装着されている。開口303cには、上側に段差303dが設けられ、この段差303dにスクリーン108が嵌め込まれて接着固定されている。また、筐体301の底面には、スクリーン108に対向する位置に開口301aが設けられている。スクリーン108をZ軸正方向に透過した光は、開口301aを通過して、ミラー22(図1(c)参照)へと至る。
図3(b)に示すように、ホルダ303の4つの脚部303bに矩形状に巻回固定されたコイル305を挟むように、磁石306、307が配置されている。筐体301の底面には、U字状のヨーク308が設置され、このヨーク308の内側面に磁石306、307が装着されている。
図3(b)には、矩形状に巻回されたコイル305の2辺の部分を挟む磁石306、307が図示されているが、コイル305の残り2辺の部分も、同様の構成により、2つの磁石によって挟まれている。磁石306、307および残りの磁石は、コイル305に電流を流すことによりZ軸正方向またはZ軸負方向の駆動力が生じるように磁極が調整されている。コイル305に流す電流の方向を切り替えることにより、ホルダ303の駆動方向が切り替わる。こうしてホルダ303が駆動されることにより、スクリーン108が、ホルダ303と一体的にZ軸方向に駆動される。
なお、駆動部109には、Z軸方向におけるホルダ303の位置、すなわち、Z軸方向におけるスクリーン108の位置を検出して、位置に関する信号を出力するエンコーダ(図示せず)が配置されている。エンコーダは、たとえば、ホルダ303に設置されホルダ303とともに移動するゲージと、筐体301に設置されゲージを光学的に検出するセンサとを備える構成とされ得る。Z軸方向におけるホルダ303の位置が検出可能であれば、他の構成を備えたエンコーダを用いてもよい。
図4(a)は、スクリーン108の構成を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態では、スクリーン108が、基材401と、マイクロレンズアレイ402と、ビーズ集合体403と、マスク500とからなっている。両面にそれぞれマイクロレンズアレイ402とビーズ集合体403が配された基材401と、マスク500とをスペーサ(図示せず)を介して一体化することにより、スクリーン108が構成される。
基材401は、平面視において矩形形状を有し、透明な材料からなっている。たとえば、基材401は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明な樹脂からなっている。
マイクロレンズアレイ402は、基材401のレーザ光出射側の面に配置される。マイクロレンズアレイ402は、たとえば、基材401の出射面に樹脂材料を塗布した後、樹脂材料をロール整形することにより形成される。
ビーズ集合体403は、基材401のレーザ光入射側の面に配置される。ビーズ集合体403は、樹脂を含ませたビーズを基材401の入射面に塗布することにより形成される。
マイクロレンズアレイ402およびビーズ集合体403の材料および形成方法は、上記に限らず、他の材料や形成方法であってもよい。たとえば、ビーズ403aは、樹脂に限らず、ガラスであってもよい。
図5(a)は、マイクロレンズアレイ402の一部をZ軸正側から撮像した画像である。
図5(a)に示すように、マイクロレンズアレイ402は、平面視において矩形のレンズ部402aが、X軸に平行な横方向とY軸に平行な縦方向に所定数ずつ並んだ構成となっている。各レンズ部402aの横方向の幅Wxは互いに同一であり、また、各レンズ部402aの縦方向の幅Wyも互いに同一である。幅Wx、Wyは、数10μm程度である。図5(a)の例では、幅Wxと幅Wyが互いに同一の寸法に設定されているが、幅Wxと幅Wyの寸法が異なっていてもよい。
各レンズ部402aは、X軸方向の曲率半径RxとY軸方向の曲率半径Ryが互いに異なっている。ここで、曲率半径Rxは曲率半径Ryよりも小さく、たとえば、Rx:Ry=1:2に設定される。従って、レンズ部402aは、X軸方向の曲率がY軸方向の曲率よりも大きくなっている。このようにレンズ部402aの曲率を設定することにより、各レンズ部402aを透過するレーザ光を、効率良く、運転者2の目2aの位置周辺の横長の領域(アイボックス領域)に導くことができる。レンズ部402aの曲率は、アイボックス領域の形状に応じて決定される。
図5(b)は、ビーズ集合体403の一部をZ軸負側から撮像した画像である。
図5(b)に示すように、ビーズ集合体403は、平面視においてビーズ403aが略隙間なく敷き詰められた構成となっている。ビーズ403aは、球形状の粒子からなっている。ここで、ビーズ403aは、粒径が不均一となっている。ビーズ403aの粒径が均一であると、ビーズ集合体403において、ビーズ403aが規則正しく並びやすくなり、このため、レーザ光がビーズ403aをそのまま突き抜けて、画像30上に輝点が生じるとの問題が起こり得る。これに対し、ビーズ403aの粒径を不均一に設定すると、図5(b)に示すようにビーズ403aが不規則に分布するため、レーザ光がビーズ403aをそのまま突き抜けることがなく、その結果、画像30上に輝点が生じることが抑制され得る。
図4(b)は、スクリーン108に対するレーザ光の走査方法を模式的に示す図である。
上記構成を有するスクリーン108のビーズ集合体403側の表面が、各色のレーザ光が重ねられたビームB1によって、X軸正方向に走査される。スクリーン108のビーズ集合体403側の表面に対して、予め、ビームB1が通る走査ラインL1〜Lnが、Y軸方向に一定間隔で設定されている。走査ラインL1〜Lnの開始位置と終了位置は、X軸方向において一致している。したがって、走査ラインL1〜Lnを囲む領域は長方形である。ビームB1の径は、たとえば、100μm程度に設定される。
映像信号により各色のレーザ光が変調されたビームB1により走査ラインL1〜Lnが高周波で走査されることにより、画像が構成される。こうして構成される画像が、スクリーン108と、ミラー22およびウインドシールド12(図1(c)参照)を介して、運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス)に投射される。これにより、運転者2は、ウインドシールド12の前方の空間に、虚像として画像30を視認する。
図6(a)は、マスク500の一部を正面(Z軸負側)から見た平面図、図6(b)は、庇502が形成される前のマスク500の一部を背面(Z軸正側)から見た斜視図、図6(c)は、庇502が形成された後のマスク500の一部を背面(Z軸正側)から見た斜視図である。便宜上、図6(a)には、マイクロレンズアレイ402の最上段のレンズ部402aが破線で示されている。
図6(b)に示すように、庇502が形成される前のマスク500には、光入射側(Z軸負側)の面に、X軸方向に延びる複数の溝500aが、Y軸方向に一定のピッチで形成されている。溝500aは、マスク500のX軸正側の側面からX軸負側の側面まで延びている。Y−Z平面で平行な平面で切断した溝500aの断面は、二等辺三角形である。マスク500は、たとえば、PET等の透明な樹脂材料からなっている。マスク500は、ガラス等の他の透明な材料からなっていてもよい。
図6(c)に示すように、それぞれの溝500aに、光を吸収する黒色の色素を埋め込むことによって、庇502が形成される。庇502の断面形状は、溝500aと同様、二等辺三角形である。また、Y軸方向に隣り合う2つの庇502の間に、光を透過する横長の開口部501が形成される。Z軸負側から開口部501に入射した光は、開口部501aを透過して、Z軸正側の面から出射される。また、Z軸負側から庇502に入射した光は、庇502によって吸収される。
図6(a)に示すように、上記構成のマスク500には、平面視において横長の矩形の開口部501が、縦方向に一定間隔で並ぶように配置されている。開口部501の横方向の幅は、横方向に並ぶ全てのレンズ部402aの範囲よりも広く設定されている。すなわち、開口部501は、横方向に並ぶレンズ部402a群の横方向の範囲をカバーする。
また、開口部501の縦方向の幅は、レンズ部402aの幅Wyよりも狭く設定されている。さらに、開口部501の縦方向の幅は、開口部501を通過するレーザ光に回折が生じない寸法に設定される。たとえば、上記波長帯のレーザ光源101a〜101cでは、開口部501の縦方向の幅が10μm以下になるとレーザ光に回折が生じる。このため、開口部501の縦方向の幅は、10μm以上に設定されればよい。庇502のX軸方向の長さは、開口部501のX軸方向の長さと同一である。
図7は、スクリーン108の作用を模式的に示す図である。
スクリーン108に入射したレーザ光(図4(b)のビームB1)は、ビーズ集合体403により拡散された後、マイクロレンズアレイ402に入射する。ここで、ビーズ集合体403により拡散されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ402の複数のレンズ部402aに入射して、レンズ部402aから光学作用を受ける。レンズ部402aは、透過するレーザ光を運転者2の目2aの位置周辺の領域(アイボックス)に導くための収束作用を、レーザ光に付与する。レンズ部402aの収束作用は、ミラー22およびウインドシールド12(図1(c)参照)の光学作用をも加味して設定されている。
その後、レーザ光は、マスク500の開口部501を通ってミラー22へと導かれる。このとき、開口部501を通過するレーザ光の大半は、庇502に入射することなく、ミラー22へと導かれる。しかしながら、開口部501を通過するレーザ光の一部は、図7に示すように、庇502に入射して庇502から光学作用を受ける。すなわち、庇502に浅い角度で入射したレーザ光は、庇502手前の溝500a(図6(b)参照)の界面で反射されてミラー22へと導かれる。また、庇502に深い角度で入射したレーザ光は、庇502手前の溝500a(図6(b)参照)の界面を通過して庇502へと至り、庇502で吸収される。
このように、庇502は、マイクロレンズアレイ402を透過した画像表示用のレーザ光の一部を、画像表示から除外する。しかし、その反面、庇502は、スクリーン108からミラー22およびウインドシールド12へと向かう光路を逆行して、外部からスクリーン108へと入射する自然光等の光(迷光)を、ビーズ集合体403に入射させずに遮光する作用を発揮する。
たとえば、マスク500が設けられていない場合、上記のように外部からスクリーン108へと入射する迷光は、マイクロレンズアレイ402を透過してビーズ集合体403に入射する。ここで、ビーズ集合体403は、種々の粒径のビーズ403aからなっているため、ビーズ集合体403に入射した迷光の一部は、ビーズ集合体403中のビーズ403aにより反射されて、マイクロレンズアレイ402へと向かうようになる。こうして、マイクロレンズアレイ402へと向けられた迷光は、マイクロレンズアレイ402を透過してミラー22へと導かれる。その結果、運転者2は、迷光による白くぼやけた画像が、映像信号に基づく画像に重畳された画像を、視認することになってしまう。こうなると、運転者2は、ウインドシールド12の前方の風景に、白くぼやけた領域が重ねられた不自然な画像を見ることになり、運転者2に違和感を与える結果となってしまう。
これに対し、本実施の形態にように、マイクロレンズアレイ402のZ軸正側にマスク500を配置すると、外部からの迷光がマスク500の庇502によって遮光される。よって、迷光による白くぼやけた画像が映像信号に基づく画像に重畳されることを抑制でき、運転者2に自然な画像を提供することができる。
なお、迷光を遮光する観点からは、庇502のZ軸方向の高さが高い方が望ましいと言える。しかしながら、庇502の高さを高くすると、マイクロレンズアレイ402を透過した映像信号に基づくレーザ光が庇502によって遮光される量が多くなり、運転者2に提供される画像30の輝度が低下する。よって、庇502の高さは、画像30に対する迷光重畳の抑制と、画像30の輝度確保とを考慮して、適正な値に設定する必要がある。たとえば、図6(c)に示すように、庇502の断面形状が二等辺三角形である場合、庇502の高さは、開口部501のY軸方向の幅の3〜5倍であることが望ましい。
なお、本実施の形態では、上記のように庇502の断面形状が二等辺三角形となっているが、これは以下の理由による。
すなわち、機械的強度を保って庇502を高精度に形成するには、庇502の底辺部分の幅を所定寸法以上に確保する必要がある。ここで、仮に、底辺部分の幅のままZ軸正方向に庇502を突出させると、レンズ部402aを透過した映像信号に基づくレーザ光のうち、庇502に入射するレーザ光の割合が大きくなり、運転者2に提供される画像30の輝度が低下する。これに対し、庇502の断面形状を、先端に向かうに従って幅が小さくなる形状にすれば、映像信号に基づくレーザ光が庇502に入射する量を少なくでき、運転者2に提供される画像30の輝度を高めることができる。
このように、庇502は、機械的強度を保って庇502を高精度に形成するとの観点と、映像信号に基づくレーザ光が庇502で遮光される量を少なくするとの観点から、先端に向かうに従って幅が狭くなる断面形状、すなわち、二等辺三角形の断面形状とされている。
なお、庇502の断面形状は、先端に向かうに従って幅が狭くなる形状であれば、二等辺三角形に限らず、他の形状であってもよい。たとえば、庇502の断面形状は、二等辺三角形の2辺が内方へと円弧状にやや凹んだ形状であってもよく、あるいは、台形であってもよい。また、機械的強度を保って庇502を高精度に形成できるのであれば、庇502の断面形状は、Z軸負側の底辺部分の幅をさらに縮めた長方形であってもよい。
以上のように、マスク500は、外部からスクリーン108へと入射する迷光を遮光する作用を発揮する。これにより、ビーズ集合体403に迷光が入射することによる画像30の画質低下を抑制できるとの効果が奏される。
図8(a)は、スクリーン108の移動工程の一例を示す図、図8(b)は、スクリーン108を移動させることにより表示される画像の一例を示す図である。図8(a)の移動工程は、図8(b)のような画像を表示する場合のスクリーン108の移動工程である。
図8(a)に示すように、スクリーン108は、時刻t0〜t4を1サイクルとして移動が繰り返される。時刻t0〜t1の間に、スクリーン108は、初期位置Ps0から最遠位置Ps1へと移動され、時刻t1〜t4の間に、スクリーン108は、最遠位置Ps1から初期位置Ps0へと戻される。スクリーン108の移動周期、すなわち、時刻t0〜t4の時間は、たとえば、1/60秒である。スクリーン108は、図3(b)に示すコイル305に印加する電流を変化させることにより、図8(a)に示すように移動される。
時刻t0〜t1は、図8(b)において、奥行き方向に広がる奥行き画像M1を表示するための期間であり、時刻t1〜t4は、図8(b)において、鉛直方向に広がる鉛直画像M2を表示するための期間である。図8(b)の例において、奥行き画像M1は、ナビゲーション機能により乗用車1が道路R1を曲がるべき方向を運転者2に示唆するための矢印であり、鉛直画像M2は、歩行者H1が居ることを運転者2に注意喚起するためのマーキングである。たとえば、奥行き画像M1と鉛直画像M2は、互いに異なる色で表示される。
時刻t0〜t1において、スクリーン108は、初期位置Ps0から最遠位置Ps1まで線形に移動される。スクリーン108が移動すると、これに伴い、ウインドシールド12前方の虚像が結像する位置が奥行き方向に移動する。したがって、奥行き画像M1の奥行き方向の各位置にスクリーン108が在るときに、奥行き画像M1に対応する走査ライン上の、奥行き画像M1に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a〜101cを発光させることにより、ウインドシールド12の投射領域13の前方に、図8(b)に示すような奥行き画像M1を虚像として表示させることができる。
一方、鉛直画像M2は、奥行き方向には変化せず、鉛直方向のみに広がっているため、スクリーン108を、鉛直画像M2に対応する位置に固定して、虚像の生成を行う必要がある。図8(a)の停止位置Ps2は、鉛直画像M2の奥行き位置に対応するスクリーン108の位置である。スクリーン108は、最遠位置Ps1から初期位置Ps0に戻る間に、停止位置Ps2において、時刻t2〜時刻t3の間、停止される。この間に、鉛直画像M2に対応する走査ライン上の、鉛直画像M2に対応するタイミングにおいて、レーザ光源101a〜101cを発光させることにより、ウインドシールド12の投射領域13の前方に、図8(b)に示すような鉛直画像M2を虚像として表示させることができる。
以上の制御は、図2に示す画像処理回路201によって行われる。この制御により、時刻t0〜時刻t4の間に、奥行き画像M1と鉛直画像M2が虚像として表示される。上記の制御では、奥行き画像M1の表示タイミングと鉛直画像M2の表示タイミングにずれが生じるが、このずれは極めて短時間であるため、運転者2は、奥行き画像M1と鉛直画像M2を重ねた画像を認識する。こうして、運転者2は、投射領域13の前方に、映像信号に基づく画像(奥行き画像M1、鉛直画像M2)を、道路R1および歩行者H1を含む風景に重ねて見ることができる。
なお、図8(b)では、鉛直画像M2が1つであったため、図8(a)の工程において、スクリーン108の停止位置Ps2が1つに設定されたが、鉛直画像M2が複数あれば、それに応じて、図8(a)の工程において、停止位置が複数設定される。ただし、図8(a)の工程において、時刻t0〜t4の時間は一定であり、時刻t4は不変であるため、停止位置の数の増減に応じて、停止位置前後のスクリーン108の移動速度(図8(a)の波形の傾き)が変更されることになる。
次に、スクリーン駆動回路204の回路構成について説明する。
まず、図9(a)に、比較例に係るスクリーン駆動回路204の回路構成を示す。
比較例に係るスクリーン駆動回路204は、カウンタ211と、比較回路212と、電流制御回路213とを備える。スクリーン108の移動位置に対応するパルス数のパルス信号Ptが、画像処理回路201からカウンタ211に入力される。比較回路212は、カウンタ211から入力される信号(スクリーン108の目標位置)と、駆動部109のエンコーダから入力される信号(スクリーン108の現在位置)とを比較し、両信号の差分に応じた信号を電流制御回路213に出力する。電流制御回路213は、比較回路212から入力される信号に基づき、駆動部109の位置をカウンタ211のカウント値に対応する位置に収束させるように、駆動部109のコイル305に印加する駆動信号Sdを調整する。これにより、スクリーン108は、画像処理回路201により指定された位置に追従しながら移動する。
このとき、画像処理回路201は、たとえば、図8(a)に示す波形に応じてスクリーン108を移動させるパルス信号Ptをカウンタ211に出力する。この場合、比較例に係るスクリーン駆動回路204は、時刻t1〜t2の間に移動するスクリーン108を時刻t2において急速に停止させ、その後、時刻t3までスクリーン108を停止状態に維持する制御を行う。
しかしながら、この制御の場合、スクリーン108を駆動する駆動部109には、スクリーン108が停止位置Ps2をオーバランした後、スクリーン108を停止位置Ps2に戻し、その後、次第にスクリーン108を停止位置Ps2に収束させる駆動信号Sdが供給される。したがって、この制御では、時刻t2からスクリーン108が停止位置Ps2に停止するまでの間、スクリーン108が停止位置付近で振動する。このような振動は、奥行き方向に広がりのない鉛直画像M2(図8(b)参照)の画質を低下させる。具体的には、画像の輪郭がぼやけてしまい、視認性に欠けた映像となる。また、画質の低下を抑制するために、スクリーン108の振動を短時間で収束させようとすると、図3(a)に示すように板バネ304によってスクリーン108が弾性支持されている場合に、スクリーン108が共振し、スクリーン108が停止位置に収束することなく大きく発振することが起こり得る。こうなると、最早、奥行き方向に広がりのない鉛直画像M2を適正に表示することができなくなる。
このような問題を解消するため、本実施の形態に係るスクリーン駆動回路204は、図9(b)に記載の構成を備えている。
図9(b)に示すように、スクリーン駆動回路204は、電流制御回路221と、駆動信号テーブル222とを備えている。駆動信号テーブル222には、スクリーン108を所定周期で往復移動させる駆動信号を生成するための情報群が格納されている。駆動信号テーブル222に格納された各情報は、それぞれ、スクリーン108の往復移動の範囲において、スクリーン108を異なる停止位置および停止期間で停止させるための駆動信号を生成するための情報となっている。電流制御回路221は、画像処理回路201からの制御信号Csに従って、駆動信号テーブル222から、表示画像に対応する情報を選択し、選択した情報により生成した駆動信号を駆動部109に供給する。
具体的には、図9(b)の構成において、まず、画像処理回路201が、駆動信号テーブル222に保持された情報のうち、表示画像に適する情報を特定する。画像処理回路201には、表示画像に適する情報を特定するための選択テーブルが保持されている。画像処理回路201は、この選択テーブルに基づいて、表示画像に適する情報を特定する。画像処理回路201は、こうして特定した情報を指定する制御信号Csを電流制御回路221に出力する。これを受けて電流制御回路221は、指定された情報を駆動信号テーブル222から選択する。そして、電流制御回路221は、選択した情報に基づいて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動部109に供給する。こうして、スクリーン108が、表示画像に適するように往復移動する。
図10(a)は、画像処理回路201に保持された選択テーブルの構成を示す図である。また、図10(b)は、スクリーン駆動回路204に保持された駆動信号テーブル222の構成を示す図である。
図10(a)を参照して、画像処理回路201に保持された選択テーブルでは、復路においてスクリーン108を停止させる回数と、その停止位置および停止期間とにより停止パターンが規定されている。そして、各停止パターンに対応付けて、当該停止パターンに対し適用されるべき駆動信号を特定する駆動信号番号が、選択テーブルに保持されている。
ここで、停止位置は、たとえば、図8に示す初期位置Ps0と最遠位置Ps1との間の範囲を細かく区分することにより設定される。また、停止期間は、図8(a)の復路期間において鉛直画像M2を表示するための期間として段階的に設定される。それぞれの停止パターンでスクリーン108を停止させるための駆動信号が、シミュレーションにより予め設定される。
図10(b)を参照して、本実施の形態では、シミュレーションにより設定された各駆動信号を生成するための生成情報が、駆動信号番号とともに、スクリーン駆動回路204の駆動信号テーブル222に保持されている。ここで、生成情報は、たとえば、駆動信号の波形を特定するためのパラメータ値とされる。この場合、電流制御回路221は、このパラメータ値に基づいて、駆動信号を生成する。駆動信号テーブル222に保持される生成情報は、駆動信号を生成可能であれば、他の情報であってもよい。このように、スクリーン駆動回路204側の駆動信号テーブル222に保持された図10(b)の生成情報は、駆動信号番号によって、画像処理回路201側の選択テーブルに規定された図10(a)の停止パターン(停止回数、停止位置、停止期間)に紐づけられている。
なお、図10(b)の駆動信号テーブル222には、復路においてスクリーン108を停止させない場合の駆動信号のための生成情報も保持されている。復路においてスクリーン108を停止させずに単調に移動させる場合は、この生成情報に基づいて駆動信号が生成される。
図11(a)は、スクリーン108を単調に往復移動させる場合にスクリーン108の駆動部109に供給される駆動信号の波形と、この駆動信号によって駆動されるスクリーン108の移動位置のシミュレーション結果を示す図である。
図11(a)において、「電流値」は、駆動部109のコイル305に供給される駆動信号を示している。また、図11(a)において、「目標値」は、スクリーン108の移動目標位置を示し、「実測値」は、「電流値」の駆動信号が駆動部109のコイル305に供給された場合のスクリーン108の実際の移動位置を示している。横軸は時間、左側の縦軸はスクリーン108の位置、右側の縦軸は電流値を示している。
復路においてスクリーン108を停止させない場合、電流制御回路221は、駆動信号テーブル222から取得した生成情報に基づいて、図11(a)に示す電流値の駆動信号(電流値)を生成し、生成した駆動信号(電流値)を駆動部109のコイル305に印加する。これにより、図11(a)に示すように、スクリーン108を略目標値の位置に追従させながら移動させることができる。
図11(a)の駆動パターンでは、正の振幅の波形信号A11によってスクリーン108の往路の移動が起動され、正の振幅の波形信号A12によってスクリーン108が定速移動される。また、負の振幅の波形信号A13によってスクリーン108の移動方向が復路方向に反転され、負の振幅の波形信号A14によってスクリーン108が定速移動される。
図11(b)は、スクリーン108を復路の1カ所で停止させる場合に駆動部109に供給される駆動信号の波形と、この駆動信号によって駆動されるスクリーン108の移動位置のシミュレーション結果を示す図である。
このように復路の1カ所でスクリーン108を停止させる場合、電流制御回路221は、駆動信号テーブル222から取得した生成情報に基づいて、図11(b)に示す電流値の駆動信号(電流値)を生成し、生成した駆動信号(電流値)を駆動部109のコイル305に印加する。これにより、図11(b)に示すように、スクリーン108を所定の位置で一時停止させながら、略目標値の位置に追従させることができる。
図11(b)の駆動パターンでは、正の振幅の波形信号A21によってスクリーン108の往路の移動が起動され、正の振幅の波形信号A22によってスクリーン108が定速移動される。また、負の振幅の波形信号A23によってスクリーン108の移動方向が復路方向に反転された後、スクリーン108が定速移動される。さらに、正の波形信号A24によってスクリーン108に制動力が付与され、波形信号A25によりスクリーン108が停止される。これにより、スクリーン108は、期間T1において停止する。その後、負の振幅の波形信号A26によりスクリーン108の復路の移動が再度起動され、負の振幅の波形信号A27によってスクリーン108が定速移動される。
図11(c)は、スクリーン108を復路の3カ所で停止させる場合に駆動部109に供給される駆動信号の波形と、この駆動信号によって駆動されるスクリーン108の移動位置のシミュレーション結果を示す図である。
このように復路の3カ所でスクリーン108を停止させる場合、電流制御回路221は、駆動信号テーブル222から取得した生成情報に基づいて、図11(c)に示す電流値の駆動信号(電流値)を生成し、生成した駆動信号(電流値)を駆動部109のコイル305に印加する。これにより、図11(c)に示すように、スクリーン108を3カ所の位置で一時停止させながら、略目標値の位置に追従させることができる。
図11(c)では、図11(b)と同様、波形信号A31、A32によってスクリーン108の往路の移動が起動された後、定速移動され、波形信号A33によってスクリーン108の移動方向が復路方向に反転される。その後、正の波形信号A34によってスクリーン108が期間T2において停止され、波形信号A35によって復路の移動が再度起動される。続いて、正の波形信号A36によってスクリーン108が期間T3において停止され、波形信号A37によって復路の移動が再度起動される。さらに、正の波形信号A38によってスクリーン108が期間T4において停止され、波形信号A39によって復路の移動が再度起動される。
なお、図11(b)、(c)には、スクリーン108の停止位置が1つおよび3つであり、且つ、停止期間がT1〜T4である停止パターンの例を示したが、スクリーン駆動回路204の駆動信号テーブル222には、図11(b)、(c)の停止パターン以外にも、様々な停止パターンに適用される生成情報が保持されている。
画像処理回路201は、表示する画像に含まれる鉛直画像M2の数、位置および長さに最も適する停止パターンを特定し、特定した停止パターンに対応付けられた駆動信号番号を図10(a)の選択テーブルから抽出する。画像処理回路201は、こうして抽出した駆動信号番号を、制御信号Csとともに電流制御回路221に出力する。電流制御回路221は、受信した駆動信号番号に対応付けられた生成情報を図10(b)の駆動信号テーブル222から抽出し、抽出した生成情報により駆動信号を生成する。電流制御回路221は、こうして生成した駆動信号を、駆動部109のコイル305に印加する。これにより、スクリーン108が、表示画像に適するように往復移動される。
本実施の形態に係るスクリーン駆動回路204によれば、駆動信号テーブル222から画像の表示に対応する生成情報が選択され、選択された生成情報により生成された駆動信号が駆動部109に供給される。このため、比較例のように停止位置付近でスクリーン108が過度に振動することがなく、スクリーン108を円滑に停止位置に位置付けることができる。したがって、図3(a)に示すように板バネ304によってスクリーン108が弾性支持されている構成においても、停止の際にスクリーン108が共振することはなく、スクリーン108が停止位置で大きく発信することもない。よって、スクリーン108の停止期間において、奥行き方向に広がりのない鉛直画像M2を良好に表示させることができる。
なお、本実施の形態に係るスクリーン駆動回路204では、駆動信号の1周期期間において、スクリーン108の実際の移動位置が駆動信号の生成にフィードバックされないため、外乱等の影響により、スクリーン108の往路の終点位置または復路の終点位置にずれが生じることが想定され得る。このように、スクリーン108の往路の終点位置または復路の終点位置にずれが生じると、スクリーン108が正規のストローク範囲で移動されなくなってしまう。
たとえば、図12(a)に示すように、スクリーン108に復路期間において、外乱Dsによりスクリーン108の復路の終点位置が、初期位置Ps0からΔPだけ最遠位置Ps1側に変位したとする。この場合、次の周期におけるスクリーン108の移動は、正規の初期位置Ps0からΔPだけずれた位置Ps0’から開始される。このため、次の周期における往路の終点位置および復路の終点位置は、それぞれ、正規の最遠位置Ps1および初期位置Ps0からΔPだけ離れた位置となり、また、停止位置も正規の停止位置Ps2からΔPだけ離れた位置となる。これらの位置ずれは、その後の駆動信号の周期においても受け継がれる。この問題は、往路期間において外乱によりスクリーン108の往路の終点位置がずれた場合も同様に生じる。
このような問題を解消するため、往路の終点位置または復路の終点位置が最遠位置Ps1または初期位置Ps0からずれた場合に、このずれを補正するための駆動信号波形の生成情報が、駆動信号テーブル222に予め保持されていてもよい。
この場合、駆動部109のエンコーダから出力される位置信号が、電流制御回路221に入力され、電流制御回路221において、スクリーン108の往路の終点位置と復路の終点位置が監視される。そして、スクリーン108の往路の終点位置または復路の終点位置が、正規の最遠位置Ps1または初期位置Ps0からずれていると、電流制御回路221は、そのずれを是正する生成情報を駆動信号テーブル222から選択し、選択した生成情報に基づいて駆動信号を生成する。すなわち、電流制御回路221は、駆動部109から取得した位置信号のピーク値(往路の終点位置)およびボトム値(復路の終点位置)がスクリーン108の往復移動のストローク範囲の境界に整合するか否かに基づいて、駆動信号の波形を調整する。
たとえば、図12(a)のように外乱Dsによって復路の終点位置が正規の初期位置Ps0からΔPだけずれた場合、電流制御回路221は、次の周期において、このずれの解消に最適の波形の生成情報を駆動信号テーブル222から選択して駆動信号を生成する。これにより、図12(b)に示すように、次の周期におけるスクリーン108の往路の終点位置が、正規の最遠位置Ps1に整合し、スクリーン108の復路の終点位置が、正規の初期位置Ps0に整合する。また、スクリーン108の停止位置も、正規の停止位置Ps2に整合する。
こうして、ずれが解消された後、電流制御回路221は、通常の場合と同様の波形の信号を出力する。その後、電流制御回路221は、引き続き、駆動部109のエンコーダから出力される位置信号を監視し、スクリーン108の往路の終点位置または復路の終点位置にずれが生じたことを検出するごとに、上記と同様の補正動作を実行する。
<実施形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
駆動信号テーブル222から画像の表示に対応する駆動信号の生成情報が選択され、選択された生成情報により生成した駆動信号が駆動部109に供給されるため、スクリーン108が停止位置付近で過度に振動することがない。よって、高速で移動中のスクリーン108を、発振させることなく円滑に停止位置に位置付けることができ、奥行き方向に広がりのない鉛直画像M2を良好に表示させることができる。
また、図8(a)の時刻t0〜t1の往路期間を、スクリーン108を単調に移動させて奥行き画像M1を表示させる期間に設定し、時刻t0〜t1の復路期間を、スクリーン108を随時停止させて鉛直画像M2を表示させる期間に設定しているため、奥行き画像M1および鉛直画像M2の表示を簡易な処理により円滑に行うことができる。
また、図8(a)に示すように、スクリーン108を停止させない往路期間よりもスクリーン108を停止させる復路期間の方が長く設定されている。このため、復路期間に対し、スクリーン108を停止させる停止期間をより多く設定でき、表示画像中により効果的に鉛直画像M2を配置することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、スクリーン108を往復移動させるときの往路において奥行き画像M1を表示し、復路においてスクリーン108を一時停止させて鉛直画像M2を表示したが、往路においてスクリーン108を一時停止させて鉛直画像M2を表示し、復路においてスクリーン108を単調に移動させながら奥行き画像M1を表示してもよい。この場合、駆動信号テーブル222には、往路期間においてスクリーン108を停止させるための波形に応じた生成情報が保持され、電流制御回路221は、路期間においてスクリーン108を停止させるための駆動信号を生成する。
また、上記実施の形態では、スクリーン108が、マイクロレンズアレイ402およびビーズ集合体403と、開口部501および庇502とを備える構成であったが、スクリーン108は、レーザ光が走査されることにより画像が生成され、生成された画像を虚像として結像させ得る構成であれば、他の構成であってもよい。たとえば、スクリーン108がマイクロレンズアレイ402のみを備えていてもよく、また、複数のマイクロレンズアレイ402を組み合わせた構成であってもよい。
ただし、スクリーン108を上記実施の形態のように構成した場合、光源101からのレーザ光は、ビーズ集合体403によりランダムに拡散された後、マイクロレンズアレイ402に入射する。このため、マイクロレンズアレイ402を透過した後のレーザ光は、光学パスが分離され、互いの位相が揃いにくくなる。よって、干渉によるスペックルノイズの発生をより効果的に抑制することができる。また、ビーズ集合体403によりレーザ光を拡散させる構成であるため、ビーズ集合体403とマイクロレンズアレイ402との位置関係を厳密に調整する必要がない。よって、組立時の作業を簡易なものとすることができる。なお、ビーズ403aの粒径を小さくするほど、スペックルノイズをより効果的に抑制できる。上記のように、ビーズ403aの粒径は不均一であることが望ましい。
また、上記実施の形態では、本発明を乗用車1に搭載されるヘッドアップディスプレイに適用した例を示したが、本発明は、車載用に限らず、他の種類の画像表示装置にも適用可能である。
また、画像表示装置20および照射光生成部21の構成は、図1(c)および図2に記載された構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。また、スクリーン108を移動させる駆動部109の構成も、図3(a)、(b)に示す構成に限られるものではなく、適宜、変更可能である。
なお、上記実施の形態では、画像処理回路201とスクリーン駆動回路204とが別々に示されたが、これらが一つの制御部からなっていてもよい。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。