JP2020024298A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】虚像の粒状感を低減可能なヘッドアップディスプレイ装置の提供。【解決手段】HUD装置は、車に設けられたウィンドシールドへの光の投影により、運転者によって視認可能な虚像を表示する。HUD装置は、光学的に離散的であり且つ周期的な構造を有するスクリーン部材30と、スクリーン部材30の移動により、スクリーン部材30の状態を複数のうちで周期的に切り替える加振機構50とを備えている。以上の構成にて、同期制御部は、プロジェクタがスクリーン部材30に元画像IMを描画する描画周期と、加振機構50がスクリーン部材30の状態を切り替える状態周期と、を同期させる。そして、同期制御部は、スクリーン部材30における一つの状態下で、一つの元画像IMが描画されるように制御する。【選択図】図3
Description
この明細書による開示は、虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置に関する。
従来、例えば特許文献1には、車両等の移動体に設けられたフロントガラス等への光の投影により、二次元のカラー画像を拡大虚像として表示するヘッドアップディスプレイ装置(以下、「HUD装置」)が開示されている。このHUD装置は、微細凸レンズを配列してなるマイクロレンズアレイと、カラー画像の光である画素表示用ビームをマイクロレンズアレイに照射する光源部とを備えている。
特許文献1のマイクロレンズアレイは、光学的に離散的であり且つ周期的な構造を有している。その結果、画素表示用ビームの照射によってマイクロレンズアレイに描画されるカラー画像は、アレイに生じる微小な輝点であって、各アレイよりも小さい輝点の集合として形成される。このように、HUD装置によって表示される虚像が輝点の集光として表示される構成では、輝点間に生じる空白域のために、虚像の粒状感が乗員に認識され易くなり得た。
本開示は、虚像の粒状感を低減可能なHUD装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、移動体(A)に設けられる投影部材(WS)への光の投影により、移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(Vi)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、光学的に離散的であり且つ周期的な構造を有するスクリーン部材(30,630,1030,1130,130a〜130d)と、スクリーン部材の移動により、スクリーン部材の状態を複数のうちで周期的に切り替える移動機構(50,450,550,1050,1150)と、虚像として結像される元画像(IM)の光をスクリーン部材に投影するプロジェクタ(20)と、プロジェクタがスクリーン部材に元画像を描画する描画周期(DC)と、移動機構がスクリーン部材の状態を切り替える状態周期(SC)と、を同期させ、スクリーン部材における一つの状態下で一つの元画像が描画されるように制御する同期制御部(73)と、を備えるHUD装置とされる。
この態様では、スクリーン部材に元画像を描画する描画周期と、移動機構がスクリーン部材の状態を切り替える状態周期とが同期されるため、一つの元画像は、スクリーン部材における一つの状態下で、当該スクリーン部材に描画される。そして、各元画像の描画に合わせて、スクリーン部材の状態が周期的に切り替えられると、元画像の輝点は、周期的な移動を繰り返す。こうした短時間での輝点の移動は、乗員には知覚困難である。故に乗員には、複数の状態での輝点の重ね合わせにより、元画像における輝点間の空白域が埋められたような表示が認識され得る。その結果、虚像の粒状感の低減が可能になる。
また開示された一つの態様は、移動体(A)に設けられる投影部材(WS)への光の投影により、移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(Vi)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、光学的に離散的であり且つ周期的な構造の表示スクリーン(1231,1331)を有し、虚像として結像される元画像(IM)の光を表示スクリーンから射出する表示ユニット(1230,1330)と、表示ユニットの構成に生じさせる移動により、表示スクリーンの状態を複数のうちで周期的に切り替える移動機構(1250,1350)と、表示ユニットが表示スクリーンに元画像を描画する描画周期(DC)と、移動機構が表示スクリーンの状態を切り替える状態周期(SC)と、を同期させ、表示スクリーンにおける一つの状態下で一つの元画像が描画されるように制御する同期制御部(73)と、を備えるHUD装置とされる。
この態様でも、一つの元画像は、表示スクリーンにおける一つの状態下で、当該表示スクリーンに描画される。そして、各元画像の描画に合わせて、表示スクリーンの状態が周期的に切り替えられる。故に乗員には、複数の状態での輝点の重ね合わせにより、元画像における輝点間の空白域が埋められたような表示が認識され得る。その結果、虚像の粒状感の低減が可能になる。
さらに開示された一つの態様は、移動体(A)に設けられる投影部材(WS)への光の投影により、移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(Vi)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、光学的に離散的であり且つ周期的な構造を有するスクリーン部材(30)と、虚像として結像される元画像(IM)の光をスクリーン部材に投影するプロジェクタ(20)と、スクリーン部材に描画された元画像の光が投影部材に到達するまでの光路(PL)に設けられた投影光学系(1440)と、投影光学系の構成に生じさせる移動により、投影光学系の状態を複数のうちで周期的に切り替える移動機構(1450)と、プロジェクタがスクリーン部材に元画像を描画する描画周期(DC)と、移動機構が投影光学系の状態を切り替える状態周期(SC)と、を同期させ、投影光学系における一つの状態下で一つの元画像が描画されるように制御する同期制御部(73)と、を備えるHUD装置とされる。
この態様でも、一つの元画像は、投影光学系における一つの状態下で、スクリーン部材に描画される。そして、各元画像の描画に合わせて、投影光学系の状態が周期的に切り替えられる。故に乗員には、複数の状態での輝点の重ね合わせにより、元画像における輝点間の空白域が埋められたような表示が認識され得る。その結果、虚像の粒状感の低減が可能になる。
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
図1に示す本開示の第一実施形態によるHUD装置100は、車両Aに搭載され、車両Aに関連する各種の情報を、車両Aの乗員(例えば運転者D)に提供する。HUD装置100は、運転者Dの着座する運転席の前方に配置されており、車両AのインスツルメントパネルISPに収容されている。
図1に示す本開示の第一実施形態によるHUD装置100は、車両Aに搭載され、車両Aに関連する各種の情報を、車両Aの乗員(例えば運転者D)に提供する。HUD装置100は、運転者Dの着座する運転席の前方に配置されており、車両AのインスツルメントパネルISPに収容されている。
HUD装置100は、表示像の光をウィンドシールドWSの投影領域PAに投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、投影領域PAによって運転者D側へ向けて反射され、運転者Dの頭部周辺に予め規定されたアイリプスに到達する。アイリプスは、運転席に着座した運転者DのアイポイントEPが存在可能な空間領域である。アイリプスにアイポイントEPを位置させた運転者Dは、表示像の光を、前景に重畳された虚像Viとして視認可能となる。
ウィンドシールドWSは、ガラス等の透光性を有する材料により、湾曲した板状に形成されている。ウィンドシールドWSは、車両Aの水平方向及び鉛直方向に対して傾斜した姿勢で配置されている。ウィンドシールドWSは、虚像Viを結像させるための光学系の一つとして機能する。ウィンドシールドWSの車室内側の面に規定された投影領域PAは、車両Aのデザインに関連して、横方向及び縦方向のいずれにも連続的に変化する曲率で、凹面状に湾曲している。尚、投影領域PAは、ウィンドシールドWSに貼り付けられた構成、例えば光の反射率を高めるための蒸着膜又はフィルム等によって形成されていてもよい。
HUD装置100によって表示される虚像Viは、アイポイントEPよりも前方の区間中に結像される。虚像Viを表示可能な範囲は、横長の矩形状となっている。虚像Viとして表示されるコンテンツには、AR(Augmented Reality)コンテンツ及び非ARコンテンツが含まれていてもよい。
HUD装置100は、図1及び図2に示すように、プロジェクタ20、スクリーン部材30、凹面鏡40、加振機構50及び制御回路70等によって構成されている。これらの構成は、HUD装置100のハウジング60に収容されている。
プロジェクタ20は、虚像Viとして結像される元画像IMの光をスクリーン部材30に投影し、スクリーン部材30に元画像IMを描画する。プロジェクタ20による元画像IMの描画は、制御回路70によって制御される。プロジェクタ20は、レーザ光を二次元方向に走査させるレーザ方式のプロジェクタであり、レーザ発振部21及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナ22を有している。
レーザ発振部21は、互いに色相の異なる複数のレーザ光、具体的には、赤色、緑色及び青色の各色のレーザ光を発振する。レーザ発振部21は、三色のレーザ光の加色混合により、種々の発光色を再現可能である。各色のレーザ光は、集光レンズによって集光され、MEMSスキャナ22へ向けて伝播する。
MEMSスキャナ22は、レーザ発振部21から伝播したレーザ光の走査により、スクリーン部材30に元画像IMを描画する。MEMSスキャナ22には、ミラー部22aがアルミニウムの蒸着等によって形成されている。ミラー部22aは、円形状且つ平面状の鏡面であり、レーザ発振部21から伝播するレーザ光を、スクリーン部材30へ向けて反射する。加えてミラー部22aは、互いに実質直交する二つの回動軸Ax,Ayまわりに、所定の振動数で振動可能である。MEMSスキャナ22は、ミラー部22aの振動によってレーザ光の投射方向を連続的に変化させ、二次元方向の走査を実現する。尚、MEMSスキャナ22の走査方式は、ラスタースキャン方式であってもよく、リサージュスキャン方式であってもよい。また、回転軸の姿勢及び振動周波数が互いに異なる二つのMEMSスキャナを組み合わせて、レーザ光の二次元方向の走査が実現されてもよい。
スクリーン部材30は、合成樹脂及びガラス等からなる基材の表面に、アルミニウムを蒸着させてなる反射型のスクリーンである。スクリーン部材30は、多数のマイクロミラー31を有するマイクロミラーアレイである。スクリーン部材30は、光学要素としての多数のマイクロミラー31により、光学的に離散的であり、且つ、光学的に周期的な構造を有している。スクリーン部材30は、多数のマイクロミラー31によって形成される投射領域30aを、MEMSスキャナ22に向けた姿勢にて、加振機構50を介してハウジング60に保持されている。
マイクロミラー31は、sx方向及びsy方向のそれぞれに沿って二次元配列されている。sx方向及びsy方向は、スクリーン部材30の板面方向に沿う方向である。隣り合うマイクロミラー31間の間隔であるピッチpは、sx方向及びsy方向において、互いに同一である。加えて、マイクロミラー31のsx方向(行方向)におけるピッチpの位相は、sy方向(列方向)おいて互いに揃えられている。マイクロミラー31のピッチpは、レーザ光の回折干渉を防ぐため、プロジェクタ20から出力されるレーザ光のビーム径よりも大きな値に設定されている。
マイクロミラー31は、複数(四つ)の辺34によって囲まれた多角形状(正方形状)の開口32を形成している。各辺34は、互いに隣接する開口32を区分けする境界線である。開口32は、レーザ光を反射させるミラー面であり、周囲の各辺34に対して中心32aを突出させた凸湾曲面状に形成されている。故に、開口32の中心32aは、マイクロミラー31の頂点33となる。各辺34が交差する開口32の角32bは、複数(四つ)の頂点33の中心位置であり、且つ、重心位置35である。
開口32は、レーザ光により描画される元画像IMの光を、凹面鏡40へ向けて反射する。開口32によってレーザ光を拡散させる光拡散方式のマイクロミラー31では、開口32よりも小さな輝点LPが頂点33に発生する。輝点LPは、ミラー部22aの像(反射像)である。尚、各図面に示されたマイクロミラー31等の光学素子は、スクリーン部材30に設けられた一部を拡大したものである。
凹面鏡40は、合成樹脂又はガラス等からなる基材の表面に、アルミニウム等を蒸着させた反射鏡である。凹面鏡40の蒸着面は、凹面状に湾曲した拡大反射面41を形成している。凹面鏡40は、投射領域30a及び投影領域PAの両方に拡大反射面41を向けた姿勢にて、ハウジング60に支持されている。凹面鏡40は、投射領域30aから入射するレーザ光を拡大反射面41によって拡大しつつ、投影領域PAへ向けて反射する。凹面鏡40は、投射領域30aに描画された元画像IMの光を、投影領域PAに拡大投影する拡大光学系として機能する。
加振機構50は、図1〜図3に示すように、スクリーン部材30と一体的に設けられており、ハウジング60に対してスクリーン部材30を相対的に保持している。加振機構50は、二値を高速に切り替え可能な駆動部として、例えばピエゾ素子又は電磁石を用いたアクチュエータを有している。駆動部は、制御回路70から入力される駆動信号に基づき、スクリーン部材30をハウジング60に対して直線状に往復移動させる。スクリーン部材30の移動方向を規定する可動軸Amは、個々のマイクロミラー31が正方形状である場合、スクリーン部材30の板面方向に沿っており、且つ、sx方向及びsy方向のそれぞれに対して45°傾斜した姿勢である。
加振機構50は、可動軸Amに沿った往復移動により、スクリーン部材30の状態を複数(二つ)のうちで周期的に切り替える。便宜的に、スクリーン部材30の二つの状態を、それぞれ第一状態(図3 実線参照)及び第二状態(図3 破線参照)とする。加振機構50は、例えば0.2μ秒程度の時間で、第一状態及び第二状態を相互に高速切り替え可能である。加振機構50によるスクリーン部材30の可動量MLは、少なくともマイクロミラー31のピッチpの20%以上とされ、第一実施形態では、ピッチpの(√2)/2倍(≒約0.7倍)に設定される。
以上によれば、開口32の中心32aは、状態の切り替えに伴い、開口32の角32bへ向けて斜め方向に移動し、切り替え開始前に角32bがあった位置に到達する。故に、第一状態における開口32の中心32aの位置は、第二状態における開口32の角32bの位置と実質的に一致し、第一状態における開口32の角32bの位置は、第二状態における開口32の中心32aの位置と実質的に一致する。換言すれば、切り替え前の第一状態におけるマイクロミラー31の頂点33の重心位置35に、切り替え後の第二状態におけるマイクロミラー31の頂点33が位置する。
制御回路70は、図1,図2及び図4に示すように、HUD装置100による虚像Viの表示を制御する回路である。制御回路70は、プロセッサ、RAM及び記憶媒体等を有するマイクロコントローラを主体に構成されている。制御回路70には、信号入力部71、描画制御部72及び同期制御部73等の機能ブロックが設けられている。制御回路70は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せにより、各機能ブロックの機能を提供可能である。
信号入力部71は、車両Aに搭載された映像生成装置と電気的に接続されている。映像生成装置は、車両Aに搭載された他のHMIデバイスを統合的に制御する制御装置であって、HUD装置100によって虚像表示させる映像の映像信号を、制御回路70へ向けて出力する。信号入力部71は、映像生成装置にて生成された毎秒60フレームの映像信号を取得する。
描画制御部72は、信号入力部71に入力された映像信号に基づき、レーザ発振部21及びMEMSスキャナ22を制御し、スクリーン部材30への元画像IMの描画をプロジェクタ20に実施させる。プロジェクタ20は、描画制御部72の制御に基づき、毎秒60フレームの描画周期DCにて、元画像IMの描画を実施する。
描画周期DCには、描画期間PD及び非描画期間PNが含まれている。プロジェクタ20は、描画期間PDと非描画期間PNとを毎秒60回のサイクルで交互に繰り返す。描画期間PDでは、MEMSスキャナ22によるレーザ光の走査により、1フレームに相当する一つの元画像IMが投射領域30aに描画される。非描画期間PNは、二つの描画期間PDの間に設定される。非描画期間PNでは、元画像IMの描画が中断される。非描画期間PNでは、走査終了位置から走査開始位置まで、MEMSスキャナ22の状態を戻す制御が描画制御部72によって実施される。描画期間PD及び非描画期間PNの長さの比は、例えば15:1程度とされる。
同期制御部73は、加振機構50の駆動部へ向けた駆動信号の出力により、加振機構50の作動、ひいてはスクリーン部材30の状態を制御する。同期制御部73は、加振機構50がスクリーン部材30の状態を第一状態及び第二状態の間で切り替える状態周期SCを、元画像IMの描画周期DCに同期させる。
状態周期SCには、維持期間PM及び遷移期間PTが含まれている。加振機構50は、第一状態の維持期間PM及び遷移期間PTと、第二状態の維持期間PM及び遷移期間PTとを、それぞれ毎秒30回のサイクルで交互に繰り返す。維持期間PMにて、同期制御部73及び加振機構50は、スクリーン部材30の状態を、第一状態又は第二状態に維持する。維持期間PMは、描画期間PDと一致するように設定される。その結果、毎秒60回のサイクルにて、スクリーン部材30における一つの状態下で、一つの元画像IMが投射領域30aに描画される。
一方、遷移期間PTは、非描画期間PNと一致するように、二つの維持期間PMの間に設定されている。遷移期間PTにて、同期制御部73及び加振機構50は、スクリーン部材30の状態を、第一状態及び第二状態の一方から他方へと遷移させる。同期制御部73は、遷移期間PTが非描画期間PNに収まるように、加振機構50を制御する。詳記すると、遷移期間PTの開始タイミングは、非描画期間PNの開始タイミング以後に設定される。さらに、遷移期間PTの終了タイミングは、描画期間PDの開始タイミング以前に設定される。
ここで、スクリーン部材30は、慣性等の要因により、状態遷移後に直ちに完全な静止状態とはなり難い。そのため、同期制御部73及び加振機構50による制御上では静止状態ではあるものの、僅かな振動状態を継続する残響期間PRが不可避的に生じ得る。各維持期間PMの冒頭には、こうした残響期間PRが発生してもよい。尚、残響期間PRが描画期間PDの開始タイミング以前に収束するように、同期制御部73は、遷移期間PTの終了タイミングを、描画期間PDの開始タイミングに対して十分に早期に設定してもよい。
ここまで説明した第一実施形態では、スクリーン部材30に元画像IMを描画する描画周期DCと、加振機構50がスクリーン部材30の状態を切り替える状態周期SCとが同期される。そのため、一つの元画像IMは、スクリーン部材30における一つの状態下で、当該スクリーン部材30に描画される。そして、各元画像IMの描画に合わせて、スクリーン部材30の状態が周期的に切り替えられると、元画像IMの輝点LPも、周期的な移動を繰り返す。
こうした短時間での輝点LPの移動は、虚像Viを視認する運転者Dには知覚困難である。そのため、複数の状態が描画に同期して交互に切り替わることで、輝点LPの位置をシフトさせた複数の元画像IMの重ね合わせにより、輝点LPの密度、換言すれば、輝点LPの空間への充填率を高めた表示が実現される。こうした複数状態での輝点LPの重ね合わせにより、運転者Dには、一つの元画像IMの輝点LP間の空白域が、他の元画像IMの輝点LPによって埋められたように認識され得る。その結果、虚像Viの粒状感の低減が可能になる。
具体的に第一実施形態では、図5に示すように、スクリーン部材30を斜め方向に(√2p)/2分ずらした二つの状態の重ね合わせにより、輝点LPの密度が実質的に二倍化されている。故に、例えば斜め方向に延伸する線は、単一の状態で表示されるものよりも、外縁の凹凸の低減によって滑らかな形状となり得る。こうして、高精細な虚像Viの表示が実現可能となる。
また第一実施形態のように、レーザ光によって元画像IMを描画する構成では、レーザ光のビーム径よりもマイクロミラー31のピッチpを狭めると、レーザ光の干渉に起因する色むらが発生し得る。そのため、マイクロミラー31のピッチpを小さくして、輝点LPの間隔を狭めることには制約がある。故に、時間的なぼかしによって見かけ上で輝点LPの密度を上昇させることは、レーザ方式のプロジェクタ20を採用したHUD装置100における虚像Viの高精細化に、特に有効となる。
加えて第一実施形態では、状態周期SCの遷移期間PTが描画周期DCの非描画期間PNに収まるように、同期制御部73は、スクリーン部材30の状態の切り替えを制御する。故に、一つの元画像IMが描画されているときに、個々の輝点LPがぶれてしまう事態は、生じ難くなる。以上のように、輝点LPの滲み発生の回避によれば、時間的なぼかしによって見かけ上での輝点LPの密度を増加させたとしても、虚像Viの鮮明さが維持され得る。
また第一実施形態での可動軸Amは、各マイクロミラー31が並ぶsx方向及びsy方向に対して斜め方向に規定されている。故に、マイクロミラー31の頂点33は、状態遷移に伴い、状態遷移前にて各頂点33の重心位置35であった角32bへ向けて移動する。こうした頂点33の重心位置35は、輝点LPの間に生じる空白域の中心と実質一致する。故に、上述のような可動軸Amの設定によれば、状態遷移の前後における各輝点LPは、相互の空白域を埋めるように位置し易くなる。その結果、加振機構50によるスクリーン部材30の移動量に対して、虚像Viの粒状感を低減する効果が、効率的に獲得される。
さらに第一実施形態では、状態を切り替える前(第一状態)における頂点33の重心位置35に、状態を切り替えた後(第二状態)における頂点33が位置する(図3参照)。換言すれば、第一状態における各開口32の中心32aの位置は、第二状態における開口32の角32bの位置と実質的に一致する。以上によれば、第一状態のおける各輝点LPは、第二状態における各空白域の中心に位置し、第二状態における各輝点LPは、第一状態における空白域の各中心に位置する。故に、二つの状態における各輝点LPは、相互に実質均等且つ最も離れた位置関係で重ね合わされる。その結果、虚像Viの粒状感の低減と共に、虚像Viの輝度の均一化が可能になる。
尚、第一実施形態では、マイクロミラー31が「光学要素」に相当し、加振機構50が「移動機構」に相当し、車両Aが「移動体」に相当し、ウィンドシールドWSが「投影部材」に相当する。
(第二実施形態)
図6に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態のHUD装置では、加振機構50に規定された可動軸Amの方向が、第一実施形態とは異なっている。第二実施形態の可動軸Amは、マイクロミラー31の配列方向の一つであるsx方向に沿って規定されている。加振機構50は、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsx方向に沿って振動させる。加振機構50によるスクリーン部材30の可動量MLは、ピッチpの半分(p/2)に設定されている。以上により、第一状態における開口32の中心32aの位置は、第二状態における辺34の中点34aと実質的に一致する。同様に、第二状態における開口32の中心32aの位置は、第一状態における辺34の中点34aと実質的に一致する。
図6に示す本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態のHUD装置では、加振機構50に規定された可動軸Amの方向が、第一実施形態とは異なっている。第二実施形態の可動軸Amは、マイクロミラー31の配列方向の一つであるsx方向に沿って規定されている。加振機構50は、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsx方向に沿って振動させる。加振機構50によるスクリーン部材30の可動量MLは、ピッチpの半分(p/2)に設定されている。以上により、第一状態における開口32の中心32aの位置は、第二状態における辺34の中点34aと実質的に一致する。同様に、第二状態における開口32の中心32aの位置は、第一状態における辺34の中点34aと実質的に一致する。
ここまで説明した第二実施形態のように、スクリーン部材30をsx方向に往復移動させる構成であっても、第一実施形態と同様の効果を奏し、見かけ上での輝点LPの密度が増加する。故に、虚像の粒状感の低減が可能になる。
加えて第二実施形態では、一つの状態における開口32の中心32aの位置が、他の状態における辺34の中点34aと重なるように、スクリーン部材30が移動される。以上によれば、一つの状態における各輝点LPは、他の状態における二つの輝点LPの中間に位置する。その結果、見かけ上での輝点LPの密度を、特にsx方向において、効果的に高めることが可能になる。
(第三実施形態)
図7に示す本開示の第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。第三実施形態の加振機構50の可動軸Amは、マイクロミラー31の配列方向の一つであるsy方向に沿って規定されている。加振機構50は、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsy方向に沿って振動させる。加振機構50によるスクリーン部材30の可動量MLは、ピッチpの半分未満とされている。その結果、第一状態での輝点LPと第二状態での輝点LPとは、互いに重ならない程度にずれて位置する。
図7に示す本開示の第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。第三実施形態の加振機構50の可動軸Amは、マイクロミラー31の配列方向の一つであるsy方向に沿って規定されている。加振機構50は、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsy方向に沿って振動させる。加振機構50によるスクリーン部材30の可動量MLは、ピッチpの半分未満とされている。その結果、第一状態での輝点LPと第二状態での輝点LPとは、互いに重ならない程度にずれて位置する。
ここまで説明した第三実施形態のように、二つの状態における輝点LPのずれが僅かであっても、第二実施形態と同様の効果を奏し、第一状態での輝点LPと第二状態での輝点LPとが重ね合わされた表示が実現される。このように、見かけ上での輝点LPの密度の増加によれば、虚像の粒状感が低減される。
(第四実施形態)
図8に示す本開示の第四実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第四実施形態における加振機構450は、回転軸Rmを中心として、回転軸Rmまわりにスクリーン部材30を回転させる。回転軸Rmの軸方向は、スクリーン部材30の厚さ方向に沿っている。回転軸Rmは、例えばスクリーン部材30の四隅のうちの一つ又は投射領域30aを通過する位置に規定されている。
図8に示す本開示の第四実施形態は、第一実施形態の別の変形例である。第四実施形態における加振機構450は、回転軸Rmを中心として、回転軸Rmまわりにスクリーン部材30を回転させる。回転軸Rmの軸方向は、スクリーン部材30の厚さ方向に沿っている。回転軸Rmは、例えばスクリーン部材30の四隅のうちの一つ又は投射領域30aを通過する位置に規定されている。
加振機構450は、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsy方向に沿って往復回動させる。加振機構450によるスクリーン部材30の可動角度MAは、第一状態及び第二状態の各輝点LPがスクリーン部材30の全体で極力重ならないように設定される。加振機構450は、回転軸Rmまわりの往復変位により、スクリーン部材30の状態を、第一状態及び第二状態の間で交互に切り替える。
以上の第四実施形態のように、回転移動によってスクリーン部材30の状態を切り替える加振機構450が採用された形態であっても、第一実施形態と同様の効果を奏し、第一状態での輝点LPと第二状態での輝点LPとが重ね合わされた表示が実現される。このように、見かけ上での輝点LPの密度の増加によれば、虚像の粒状感の低減が可能になる。尚、第四実施形態では、加振機構450が「移動機構」に相当する。
(第五実施形態)
図9に示す本開示の第五実施形態は、第二実施形態の別の変形例である。第五実施形態の信号入力部71は、映像生成装置から毎秒120フレームの映像信号を取得する。描画制御部72は、プロジェクタ20の制御により、描画期間PDと非描画期間PN(図4参照)とを毎秒120回のサイクルで交互に繰り返させる。
図9に示す本開示の第五実施形態は、第二実施形態の別の変形例である。第五実施形態の信号入力部71は、映像生成装置から毎秒120フレームの映像信号を取得する。描画制御部72は、プロジェクタ20の制御により、描画期間PDと非描画期間PN(図4参照)とを毎秒120回のサイクルで交互に繰り返させる。
同期制御部73は、加振ユニット550と接続されている。加振ユニット550は、二つの加振機構550x,550yを有している。加振機構550xの可動軸Amxは、sx方向に沿って規定されている。加振機構550xは、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsx方向に沿って振動させる。一方、加振機構550yの可動軸Amyは、sy方向に沿って規定されている。加振機構550yは、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材30をsy方向に沿って振動させる。
同期制御部73は、各加振機構550x,550yの各駆動部へ向けた駆動信号の出力により、加振ユニット550の作動、ひいてはスクリーン部材30の状態を制御する。同期制御部73は、各加振機構550x,550yを交互に作動させる制御により、スクリーン部材30の状態を、第一状態、第二状態、第三状態及び第四状態へと、順に切り替える。
一例として、第二状態では、加振機構550xの作動により、スクリーン部材30は、第一状態(図9 実線参照)に対して、可動量MLx分、sx方向に移動する。次の第三状態では、加振機構550yの作動により、スクリーン部材30は、第二状態に対して、可動量MLy分、sy方向に移動する。次の第四状態では、加振機構550xの作動により、スクリーン部材30は、第三状態に対して、可動量MLx分、sx方向に移動する。そして、加振機構550yの作動によってsy方向に可動量MLyだけ移動することにより、スクリーン部材30の状態は、第一状態に戻される。以上の各可動量MLx,MLyは、互いに同一であり、それぞれピッチpの半分の値に設定される。
同期制御部73は、第一〜第四状態の各維持期間PM及び各遷移期間PT(図4参照)を、それぞれ毎秒30回のサイクルで、加振ユニット550に順に実施させる。その結果、毎秒120回のサイクルにて、スクリーン部材30における一つの状態下で、一つの元画像IMが描画される。
ここまで説明した第五実施形態のように、スクリーン部材30の四つの状態における各輝点LPを重ね合わせた表示を行う構成であっても、第一実施形態と同様の効果を奏し、見かけ上での輝点LPの密度が増加する。したがって、虚像の粒状感の低減が可能になる。
加えて第五実施形態では、各加振機構550x,550yの移動のストロークが一定であるため、同期制御部73による状態切替の制御は、容易となる。加えて、四つの状態を重ね合わせたとき、各輝点LPの間の間隔は、互いに実質一定となる。故に、虚像の輝度の均一化が可能になる。尚、第五実施形態では、加振ユニット550が「移動機構」に相当する。
(第六実施形態)
図10に示す本開示の第六実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第六実施形態のスクリーン部材630は、多数のマイクロレンズ631を有するマイクロレンズアレイである。スクリーン部材630は、光学要素としての多数のマイクロレンズ631により、光学的に離散的であり、且つ、光学的に周期的な構造を有している。スクリーン部材630は、透過型のスクリーンとして機能する。
図10に示す本開示の第六実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第六実施形態のスクリーン部材630は、多数のマイクロレンズ631を有するマイクロレンズアレイである。スクリーン部材630は、光学要素としての多数のマイクロレンズ631により、光学的に離散的であり、且つ、光学的に周期的な構造を有している。スクリーン部材630は、透過型のスクリーンとして機能する。
マイクロレンズ631は、sx方向及びsy方向のそれぞれに沿って二次元配列されている。マイクロレンズ631のsy方向(列方向)におけるピッチpyの位相は、sx方向(行方向)において互いに半ピッチ分ずつずらされている。マイクロレンズ631は、複数(六つ)の辺634によって囲まれた多角形状(六角形状)の開口632を形成している。開口632は、スクリーン部材630に照射されたレーザ光を射出させる射出面である。開口632は、周囲の各辺634に対して中心32aを突出させた凸湾曲面状に形成されている。開口632の中心32aは、マイクロレンズ631の頂点33となる。マイクロレンズ631においても、開口632よりも小さな輝点LPが頂点33に生じる。
加振機構50は、一軸方向への稼動のみで、スクリーン部材630の状態を切り替える構成である。加振機構50の可動軸Amは、sx方向に沿って規定されている。加振機構50は、同期制御部73の制御に基づき、スクリーン部材630をsx方向に沿って振動させ、スクリーン部材630の状態を、三つの状態のうちで順に切り替えていく。
一例として、第一状態(図10 破線参照)から第二状態(図10 実線参照)への切り替えでは、スクリーン部材630は、所定の可動量MLだけsx方向に移動する。このとき、第二状態における輝点LPは、第一状態での角32bの位置に到達する。同様に、第二状態から第三状態(図10 一点鎖線参照)への切り替えでも、スクリーン部材630は、所定の可動量MLだけsx方向に移動する。第三状態における輝点LPは、第二状態での角32bの位置に到達する。そして、スクリーン部材630は、これまでとは逆方向に可動量MLの二倍分移動することにより、第三状態から第一状態となる。尚、可動量MLは、行方向のピッチpxの三分の二の値である。
ここまで説明した第六実施形態のように、六角形状のマイクロレンズ631を配列してなるスクリーン部材630を採用した構成であっても、加振機構50による状態遷移の実施により、見かけ上での輝点LPの密度が増加し得る。このようにして第一実施形態と同様の効果を奏することで、虚像の粒状感の低減が可能になる。
加えて第六実施形態のように、六角形状のマイクロレンズ631が配列された構成では、三つの状態の重ね合わせによってなる表示にて、各輝点LPの間の間隔が互いに実質一定となり得る。その結果、虚像の粒状感の低減に加えて、輝度の均一化が達成可能となる。尚、第六実施形態では、マイクロレンズ631が「光学要素」に相当する。
(第七実施形態)
本開示の第七実施形態は、第六実施形態の変形例である。第七実施形態では、スクリーン部材630の状態を切り替える順序が、第六実施形態とは異なっている。第七実施形態の同期制御部73は、加振機構50と協動し、スクリーン部材630の状態を、第二状態、第一状態、第二状態、第三状態・・・の順で切り替えていく。スクリーン部材630は、第二状態での位置を基準として、sx方向に沿った両側への移動を順に繰り返す。その結果、一回の遷移期間PT(図4参照)におけるスクリーン部材630の移動量が、実質一定とされる。
本開示の第七実施形態は、第六実施形態の変形例である。第七実施形態では、スクリーン部材630の状態を切り替える順序が、第六実施形態とは異なっている。第七実施形態の同期制御部73は、加振機構50と協動し、スクリーン部材630の状態を、第二状態、第一状態、第二状態、第三状態・・・の順で切り替えていく。スクリーン部材630は、第二状態での位置を基準として、sx方向に沿った両側への移動を順に繰り返す。その結果、一回の遷移期間PT(図4参照)におけるスクリーン部材630の移動量が、実質一定とされる。
一方、スクリーン部材630が第二状態に維持される維持期間PM(図4参照)の長さは、スクリーン部材630が第一状態及び第三状態に維持される維持期間PMの長さに対して二倍となる。故に、描画制御部72(図2参照)は、第二状態にて描画される元画像IMの輝度を、第一,第三状態にて描画される元画像IMの輝度の半分に設定する。以上によれば、三つの状態の重ね合わせによってなる表示にて、各輝点LPの輝度が概ね均一化され得る。その結果、粒状感の低減と相俟って、虚像の表示品質向上が可能となる。
(第八実施形態)
図11に示す本開示の第八実施形態は、第六実施形態の別の変形例である。第八実施形態の同期制御部73は、第五実施形態と実質同一の加振ユニット550と接続されている。同期制御部73は、各加振機構550x,550yの各駆動部へ向けた駆動信号の出力により、スクリーン部材630の状態を、第一状態、第二状態、第三状態・・・へと、順に切り替える。
図11に示す本開示の第八実施形態は、第六実施形態の別の変形例である。第八実施形態の同期制御部73は、第五実施形態と実質同一の加振ユニット550と接続されている。同期制御部73は、各加振機構550x,550yの各駆動部へ向けた駆動信号の出力により、スクリーン部材630の状態を、第一状態、第二状態、第三状態・・・へと、順に切り替える。
一例として、第一状態(図11 実線参照)から第二状態(図11 破線参照)への切り替えでは、加振機構550xの作動により、スクリーン部材630は、所定の可動量ML(=px/2)だけsx方向に移動する。第二状態における輝点LPは、第一状態での角32bの位置に到達する。そして、第二状態から第三状態(図11 一点鎖線参照)への切り替えでは、二つの加振機構550x,550yの作動により、スクリーン部材630は、sx方向に対して60°傾斜した方向に、所定の可動量ML(=px/2)だけ移動する。第三状態における輝点LPも、第二状態での角32bの位置に到達する。さらに、第三状態から第一状態への切り替えでも、二つの加振機構550x,550yの作動により、スクリーン部材630は、所定の可動量ML(=px/2)だけ斜め方向に移動する。その結果、第一状態における輝点LPも、第三状態における角32bに到達する。
ここまで説明した第八実施形態でも、加振ユニット550による状態遷移の実施により、見かけ上での輝点LPの密度が増加し得る。その結果、第一実施形態と同様の効果を奏し、虚像の粒状感の低減が可能になる。さらに、第八実施形態のように、正三角形を描くようにスクリーン部材630を移動させれば、各遷移期間PTにおける可動量MLが実質一定となるため、制御が容易となる。加えて、三つの状態の重ね合わせたとき、各輝点LPの間の間隔は、互いに実質一定となる。故に、虚像の輝度の均一化が実現される。
(第九実施形態)
図12に示す本開示の第九実施形態は、第八実施形態の変形例である。第九実施形態の同期制御部73は、スクリーン部材630の状態を、四つの状態のうちで順に切り替える。同期制御部73は、三つの辺634の各中点34aを輝点LPが巡るように、第一状態、第二状態、第三状態、第四状態・・・の順に、ひし形状にスクリーン部材630を移動させる。同期制御部73は、それぞれの遷移期間PT(図4参照)にて、二つの加振機構550x,550yを共に作動させ、スクリーン部材630を斜め方向に、所定の可動量MLずつ移動させていく。このような加振ユニット550による状態遷移によれば、四つの状態が重ね合わせられた表示が形成される。その結果、見かけ上での輝点LPの密度がいっそう増加するので、虚像の粒状感が低減可能になる。
図12に示す本開示の第九実施形態は、第八実施形態の変形例である。第九実施形態の同期制御部73は、スクリーン部材630の状態を、四つの状態のうちで順に切り替える。同期制御部73は、三つの辺634の各中点34aを輝点LPが巡るように、第一状態、第二状態、第三状態、第四状態・・・の順に、ひし形状にスクリーン部材630を移動させる。同期制御部73は、それぞれの遷移期間PT(図4参照)にて、二つの加振機構550x,550yを共に作動させ、スクリーン部材630を斜め方向に、所定の可動量MLずつ移動させていく。このような加振ユニット550による状態遷移によれば、四つの状態が重ね合わせられた表示が形成される。その結果、見かけ上での輝点LPの密度がいっそう増加するので、虚像の粒状感が低減可能になる。
(第十実施形態)
図13及び図14に示す本開示の第十実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第十実施形態のHUD装置は、スクリーン部材1030及びローラ機構1050を備えている。
図13及び図14に示す本開示の第十実施形態は、第一実施形態のさらに別の変形例である。第十実施形態のHUD装置は、スクリーン部材1030及びローラ機構1050を備えている。
スクリーン部材1030は、可撓性を有するシート状の部材によって形成されている。スクリーン部材1030は、筒状に形成されている。スクリーン部材1030の外表面には、マイクロミラー等の微小な光学素子が二次元配列されている。スクリーン部材1030は、外表面を反射型スクリーンとして機能させる。
ローラ機構1050は、一対のスクリーンローラ1050a,1050bを有している。スクリーンローラ1050a,1050bは、それぞれ円柱状に形成されており、スクリーン部材1030の内周側に配置されている。各スクリーンローラ1050a,1050bは、互いに離間する方向の張力をスクリーン部材1030に作用させている。こうした張力により、スクリーン部材1030の一部は、投射領域30aとして機能可能な平面状を維持する。
二つのスクリーンローラ1050a,1050bのうち少なくとも一方(スクリーンローラ1050a)は、同期制御部73の制御に基づき、周方向に回転可能である。ローラ機構1050は、スクリーンローラ1050aの回転により、シート状のスクリーン部材1030を稼動させる。ローラ機構1050は、スクリーンローラ1050aを停止させる維持期間PM(図4参照)と、スクリーンローラ1050aを回転させる遷移期間PT(図4参照)とを、同期制御部73の制御に基づき、交互に設定する。
ここまで説明したように、スクリーン部材1030の状態を遷移させる機構は、加振機構に限定されず、第十実施形態のようなローラ機構1050であってもよい。ローラ機構1050を採用しても、状態周期SCを描画周期DCと同期させ(図4参照)、スクリーン部材1030における一つの状態下で一つの元画像IMが描画されるように制御されれば、第一実施形態と同様の効果を奏し、見かけ上での輝点の密度が増加する。その結果、虚像の粒状感の低減が可能になる。尚、第十実施形態では、ローラ機構1050が「移動機構」に相当する。
(第十一実施形態)
図15に示す本開示の第十一実施形態は、第十実施形態の変形例である。第十一実施形態では、スクリーン部材と移動機構とが一体的に構成されている。具体的に、第十一実施形態のHUD装置には、円柱状スクリーン1130が設けられている。円柱状スクリーン1130の外周の円筒面1130cには、第一実施形態のマイクロミラーに相当する光学素子が配列されている。円柱状スクリーン1130は、円筒面1130cの一部を投射領域30aとする反射型スクリーンとして機能する。
図15に示す本開示の第十一実施形態は、第十実施形態の変形例である。第十一実施形態では、スクリーン部材と移動機構とが一体的に構成されている。具体的に、第十一実施形態のHUD装置には、円柱状スクリーン1130が設けられている。円柱状スクリーン1130の外周の円筒面1130cには、第一実施形態のマイクロミラーに相当する光学素子が配列されている。円柱状スクリーン1130は、円筒面1130cの一部を投射領域30aとする反射型スクリーンとして機能する。
円柱状スクリーン1130には、回転機構1150が設けられている。回転機構1150は、同期制御部の制御に基づき、円柱状スクリーン1130を停止させる維持期間PM(図4参照)と、円柱状スクリーン1130を回転させる遷移期間PT(図4参照)とを交互に設定する。
ここまで説明した第十一実施形態のように、円柱状スクリーン1130の回転及び停止を描画周期と同期させる構成であっても、第一実施形態と同様の効果を奏し、見かけ上での輝点の密度が増加する。その結果、虚像の粒状感の低減が可能になる。尚、第十一実施形態では、円柱状スクリーン1130が「スクリーン部材」に相当し、回転機構1150が「移動機構」に相当する。
(第十二実施形態)
図16に示す本開示の第十二実施形態によるHUD装置1200は、表示ユニット1230及び加振機構1250を備えている。表示ユニット1230は、プロジェクタ1220及び表示スクリーン1231を含む構成であり、虚像Viとして結像される元画像IMの光を、表示スクリーン1231から射出する。表示スクリーン1231は、第一実施形態のスクリーン部材30(図3参照)と実質同一のマイクロミラーアレイであり、光学的に離散的且つ周期的な構造を有している。
図16に示す本開示の第十二実施形態によるHUD装置1200は、表示ユニット1230及び加振機構1250を備えている。表示ユニット1230は、プロジェクタ1220及び表示スクリーン1231を含む構成であり、虚像Viとして結像される元画像IMの光を、表示スクリーン1231から射出する。表示スクリーン1231は、第一実施形態のスクリーン部材30(図3参照)と実質同一のマイクロミラーアレイであり、光学的に離散的且つ周期的な構造を有している。
プロジェクタ1220には、DLP(Digital Light Processing,登録商標)プロジェクタ又は液晶プロジェクタ等が採用されている。プロジェクタ1220は、レーザ方式のプロジェクタとは異なり、投射領域30aの全体に同時に光を照射する作動により、表示スクリーン1231に元画像IMを描画する。
加振機構1250は、第一実施形態と実質同一の構成であり、表示ユニット1230の構成のうちで、表示スクリーン1231と一体的に設けられている。加振機構1250は、ヒトの認知速度に基づき規定された映像のフレーム更新速度以上で、表示スクリーン1231を振動させ、表示スクリーン1231の状態を複数(例えば二つ)のうちで周期的に切り替える。加振機構1250は、表示スクリーン1231の状態を切り替える作動により、複数フレーム分の元画像IMを重ね合わせてなる虚像Viを、乗員に視認させる。
尚、加振機構1250による表示スクリーン1231の振幅は、表示スクリーン1231に設けられた光学要素(マイクロミラー)のピッチの10%以上であることが望ましい。また、DLPプロジェクタを用いる場合、一連のRGBの発光が終了するまで、表示スクリーン1231の一つの状態が維持される。
ここまで説明した第十二実施形態でも、同期制御部73は、表示スクリーン1231に元画像IMが描画される描画周期DCに、表示スクリーン1231の状態を切り替える状態周期SCを同期させる(図4参照)。その結果、表示スクリーン1231における一つの状態下で、一つの元画像IMが描画されるようになる。以上によれば、第一実施形態と同様の効果を奏し、見かけ上での輝点の密度が増加する。その結果、虚像Viにおける粒状感の低減が可能になる。尚、第十二実施形態では、加振機構1250が「移動機構」に相当する。
(第十三実施形態)
図17に示す本開示の第十三実施形態によるHUD装置1300は、表示ユニット1330及び加振機構1350を備えている。表示ユニット1330は、表示スクリーン1331を有する液晶表示装置である。表示ユニット1330は、虚像Viとして結像される元画像IMの光を、表示スクリーン1331の表示面から射出する。
図17に示す本開示の第十三実施形態によるHUD装置1300は、表示ユニット1330及び加振機構1350を備えている。表示ユニット1330は、表示スクリーン1331を有する液晶表示装置である。表示ユニット1330は、虚像Viとして結像される元画像IMの光を、表示スクリーン1331の表示面から射出する。
表示スクリーン1331は、液晶パネル及びバックライトを含む構成である。バックライトは、拡散板及び多数の発光ダイオード等によって構成されている。液晶パネル及びバックライトの拡散板の少なくとも一方は、光学的に離散的且つ周期的な構造を有している。表示ユニット1330は、映像信号に基づく液晶パネルの各画素の駆動制御により、表示スクリーン1331に元画像IMを描画する。
加振機構1350は、表示ユニット1330の構成のうちで、バックライトの拡散板と一体的に設けられている。加振機構1350は、表示ユニット1330における映像のフレーム更新速度以上で拡散板を振動させ、表示スクリーン1331の状態を複数(例えば二つ)のうちで周期的に切り替える。加振機構1350は、表示スクリーン1331の状態を切り替える作動により、複数フレーム分の元画像IMを重ね合わせてなる虚像Viを、乗員に視認させる。
ここまで説明した第十三実施形態でも、同期制御部73は、表示スクリーン1331に表示される元画像IMが更新される描画周期DCに、表示スクリーン1331の状態を切り替える状態周期SCを同期させる(図4参照)。その結果、表示スクリーン1331における一つの状態下で、一つの元画像IMが描画されるようになる。以上によれば、見かけ上での輝点の密度増加により、虚像Viにおける粒状感の低減が可能になる。尚、第十三実施形態では、加振機構1350が「移動機構」に相当する。
(第十四実施形態)
図18に示す本開示の第十四実施形態は、第一実施形態のさらに別の実施形態である。第十四実施形態によるHUD装置1400は、第一実施形態と実質同一のプロジェクタ20、スクリーン部材30及び制御回路の同期制御部73に加えて、投影光学系1440及び加振機構1450を備えている。
図18に示す本開示の第十四実施形態は、第一実施形態のさらに別の実施形態である。第十四実施形態によるHUD装置1400は、第一実施形態と実質同一のプロジェクタ20、スクリーン部材30及び制御回路の同期制御部73に加えて、投影光学系1440及び加振機構1450を備えている。
投影光学系1440は、透過型光学素子1441、凸面鏡1442、凹面鏡1443及び防塵シート1444を有している。投影光学系1440の各構成は、スクリーン部材30以降の光路PLであって、スクリーン部材30に描画された元画像IMの光がウィンドシールドWSの投影領域PAに到達するまでの光路PLに設けられている。
透過型光学素子1441は、スクリーン部材30と凸面鏡1442との間に位置し、虚像Viに生じる光学的な影響のうちで、凸面鏡1442及び凹面鏡1443での反射では補正できない影響を補正する。凸面鏡1442は、透過型光学素子1441を透過した光を凹面鏡1443へ向けて反射する。凹面鏡1443は、第一実施形態の凹面鏡40(図1参照)と実質同一の構成であり、凸面鏡1442から入射する光を投影領域PAへ向けて反射する。防塵シート1444は、ハウジングに設けられた開口を塞ぐ蓋部材である。防塵シート1444は、透光性材料によって形成されており、凹面鏡1443にて反射された光を、投影領域PAへ向けて透過させる。
加振機構1450は、投影光学系1440の構成のうちの少なくとも一つと一体的に設けられている。第十四実施形態の加振機構1450は、一例として透過型光学素子1441と連結されている。加振機構1450は、同期制御部73の制御に基づき、光路PLを規定する軸線の直交方向に透過型光学素子1441を振動させる。加振機構1450は、透過型光学素子1441に生じさせる移動により、投影光学系1440の状態を複数のうちで周期的に切り替える。
ここまで説明した第十四実施形態でも、同期制御部73は、スクリーン部材30に元画像IMが描画される描画周期DCに、投影光学系1440の状態を切り替える状態周期SCを同期させる(図4参照)。その結果、投影光学系1440における一つの状態下で、一つの元画像IMが描画されるようになる。以上によれば、第一実施形態と同様の効果を奏し、見かけ上での輝点の密度が増加する。その結果、虚像Viにおける粒状感の低減が可能になる。
尚、第十四実施形態では、加振機構1450が「移動機構」に相当する。加えて、加振機構1450によって振動される投影光学系1440の構成は、透過型光学素子1441以外であってもよい。例えば、凸面鏡1442、凹面鏡1443及び防塵シート1444のうちの少なくとも一つが、加振機構1450によって加振されてよい。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記第六実施形態では、三つの状態が重ね合わされていた。しかし、変形例1,2のように、開口形状が六角形状のスクリーン部材630を採用していても、重ね合わされる状態は、二つであってもよい。二つの状態の重ね合わせで細密な充填を行うため、図19に示す変形例1では、加振機構50の可動軸Amがsx方向に設定されている。加振機構50は、スクリーン部材630をsx方向に沿って振動させる。加振機構50の可動量MLは、sx方向のピッチpxと実質同一である。そのため、第二状態における輝点LPは、第一状態にて辺634の中点34aであった位置まで移動する。
また図20に示す変形例2では、加振機構50の可動軸Amがsy方向に設定されている。加振機構50は、スクリーン部材630をsy方向に沿って振動させる。加振機構50の可動量MLは、sy方向のピッチpyの半分である。そのため、第二状態における輝点LPは、第一状態にて辺634の中点34aであった位置まで移動する。以上の変形例2では、変形例1よりも、可動量MLを小さくできる。故に、高速な状態遷移が実現され易くなる。
上記実施形態における光学素子の開口は、四角形又は六角形であった。こうした光学素子の開口形状及び配列は、適宜変更可能である。例えば、図21〜図23に示す変形例3〜5のスクリーン部材130a〜130cでは、上記第一実施形態と同様に、各光学素子のピッチの位相が、sx方向及びsy方向にて共に揃えられている。
具体的に、図21に示す変形例3のスクリーン部材130aにおいて、光学素子131aの開口32は、円形状に形成されている。また図22に示す変形例4のスクリーン部材130bにて、光学素子131bの開口32は、六角形状に形成されている。さらに図23に示す変形例5のスクリーン部材130cにて、光学素子131cの開口32は、三角形状に形成されている。
一方、図24〜図26に示す変形例6〜8のスクリーン部材130d〜130fでは、上記第六実施形態と同様に、各光学素子のピッチの位相が、一列毎に半ピッチずつずらされている。図24に示す変形例6のスクリーン部材130dでは、変形例3と同様に、円形状の開口32を有する光学素子131dが、二次元配列されている。また図25に示す変形例7のスクリーン部材130eでは、第一実施形態と同様に、正方形状の開口32を有する光学素子131eが、二次元配列されている。さらに図26に示す変形例8のスクリーン部材130fでは、変形例5と同様に、三角形状の開口32を有する光学素子131fが、二次元配列されている。
さらに、光学素子のsx方向のピッチpxとsy方向のピッチpyとは、異なっていてもよい。二方向のピッチが異なる場合、個々の光学要素は、長方形状や楕円形状となる。以上のように、個々の光学要素は、正多角形や真円状である必要はない。例えば、元画像に対する虚像の倍率は、縦方向及び横方向において相互に異なる場合がある。こうした形態では、縦横の倍率差を吸収し、同一のpitch/degreeとなるように、二方向のピッチpx,pyが設定されてよい。尚、二方向のピッチpx,pyが異なる場合でも、加振機構は、スクリーン部材を対角方向に振動させるとよい。
上記各実施形態及び各変形例のスクリーン部材を構成する個々の光学要素は、マイクロミラーであってもよく、マイクロレンズであってもよい。そのためスクリーン部材は、マイクロミラーアレイであってもよく、マイクロレンズアレイであってもよい。さらに、スクリーン部材は、GRIN(Gradient Index)レンズを光学素子として有する構成であってもよい。尚、光学的に離散的とは、個々に光学的な機能を有する光学要素が並ぶ構成により、光学的な特性の変化が非連続的であることを示している。また、光学的に周期的とは、光学的な特性が特定のパターンで変化していることを示している。
描画周期と状態周期とを同期させる制御の詳細は、適宜変更可能である。また、映像の更新速度は、30ヘルツ以上であることが望ましく、60ヘルツ以上であるとより望ましい。スクリーン部材は、映像が60ヘルツであれば二つのパターンを繰り返し、映像が120ヘルツであれば四つのパターンを繰り返す。即ち、各パターンが30ヘルツで実施される。以上のように、重ね合わされる状態の数、及び状態遷移に伴うスクリーン部材の可動量は、充填後の輝点の配列が最良状態となり、見かけ上の解像度の増加が達成できるように、適宜変更されてよい。さらに、プロジェクタ及び表示ユニットは、プログレッシブ方式で元画像を描画(走査)してもよく、インターレース方式で元画像を描画してもよい。
加振機構による振動方向は、sx方向及びsy方向より規定される仮想面に沿っていれば、適宜変更されてよい。また加振機構は、スクリーン部材を円運動又は楕円運動させる作動を行ってもよい。加えて、スクリーン部材の可動量も、光学素子のピッチの20%程度が確保されており、且つ、状態切替の前後で輝点の位置が実質重複しなければ、適宜変更されてよい。こうした可動量は、例えばピッチの0.4倍〜0.8倍程度が好ましい。
但し、加振機構による高速運動が可能であれば、基準となる可動量に、特定数のピッチ分の値を加算した値が、スクリーン部材の実際の可動量として用いられてもよい。一例として、光学要素が正方形であり、可動軸が斜め方向の場合、基準となるピッチの約0.707倍の可動量に、1.414N(Nは任意の整数)倍の値を加算した値が、スクリーン部材の実際の可動量であってもよい。
上記各実施形態及び変形例から明らかなように、矩形状の光学要素を採用し、二つの状態のパターンを持つ場合、複数の光学要素の交点に輝点を移動させるのがベストであり、二つの光学要素の境界となる辺の中点に輝点を移動させるのが次善となる。また、四つの状態のパターンを持つ場合、交点と二辺の中点を輝点が巡るように移動する形態が、ベストとなる。
さらに、六角形を細密充填させたスクリーン部材を採用した場合、二つの状態のパターンしか持たなくても、辺の中点へ輝点を移動させる加振により、表示を成立させることは可能である。一方で、六角形の二つの頂点に輝点を移動させるような三つの状態のパターンを持つ場合が、ベストとなる。
上記実施形態では、スクリーン部材及び投影光学系の一方のみが、描画周期と同期するかたちで、状態を切り替えられていた。しかし、スクリーン部材及び投影光学系の両方の状態が切り替え可能であってもよい。
上記実施形態のHUD装置は、車両から比較的遠方に虚像を結像させる構成であった。しかし、HUD装置は、例えば車両のボンネットの先端近傍に虚像を結像させてもよい。さらに、HUD装置は、焦点位置の異なる複数の虚像を表示する二焦点方式の構成であってもよい。
上記実施形態のHUD装置は、虚像をカラー表示可能であった。しかし、HUD装置は、単色の虚像を表示する構成であってもよい。さらに、虚像のサイズ、投影領域のサイズ等は、適宜変更されてよい。また、ウィンドシールドに替えて、透光部材によって板状に形成されたコンバイナ等が、投影部材として用いられてもよい。さらに、HUD装置を搭載する移動体は、車両以外の船舶、航空機、及び輸送機器等であってもよい。
A 車両(移動体)、D 運転者(乗員)、DC 描画周期、PD 描画期間、PN 非描画期間、SC 状態周期、PM 維持期間、PT 遷移期間、PR 残響期間、IM 元画像、LP 輝点、PL 光路、Vi 虚像、WS ウィンドシールド(投影部材)、20,1220 プロジェクタ、30,630,1030,130a〜130d スクリーン部材、1130 円柱状スクリーン(スクリーン部材)、1230,1330 表示ユニット、31 マイクロミラー(光学要素)、631 マイクロレンズ(光学要素)、1231,1331 表示スクリーン、32,632 開口、32a 中心、32b 角、33 頂点、34,634 辺、34a 中点、35 重心位置、1440 投影光学系、50,450,1250,1350,1450 加振機構(移動機構)、550 加振ユニット(移動機構)、1050 ローラ機構(移動機構)、1150 回転機構(移動機構)、1450 加振機構(移動機構)、73 同期制御部、100,1200,1300,1400 HUD装置(ヘッドアップディスプレイ装置)
Claims (8)
- 移動体(A)に設けられる投影部材(WS)への光の投影により、前記移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(Vi)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
光学的に離散的であり且つ周期的な構造を有するスクリーン部材(30,630,1030,1130,130a〜130d)と、
前記スクリーン部材の移動により、前記スクリーン部材の状態を複数のうちで周期的に切り替える移動機構(50,450,550,1050,1150)と、
前記虚像として結像される元画像(IM)の光を前記スクリーン部材に投影するプロジェクタ(20)と、
前記プロジェクタが前記スクリーン部材に前記元画像を描画する描画周期(DC)と、前記移動機構が前記スクリーン部材の状態を切り替える状態周期(SC)と、を同期させ、前記スクリーン部材における一つの状態下で一つの前記元画像が描画されるように制御する同期制御部(73)と、を備えるヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記プロジェクタは、前記スクリーン部材に前記元画像を描画する描画期間(PD)と、前記元画像の描画を中断する非描画期間(PN)とを、前記描画周期として繰り返し、
前記同期制御部は、前記スクリーン部材の状態を維持する維持期間(PM)と、前記スクリーン部材の状態を遷移させる遷移期間(PT)とを、前記状態周期として繰り返し、
前記遷移期間は、前記非描画期間に収まる請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記スクリーン部材は、二次元配列された複数の光学要素(31,631,130a〜130d)を有し、
前記移動機構は、一つの状態における各前記光学要素の頂点(33)を、複数の前記頂点の重心位置(35)へ向けて移動させる請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記スクリーン部材は、二次元配列された複数の光学要素(31,631,130a〜130d)を有し、
前記移動機構は、切り替え前の状態における各前記光学要素の頂点(33)の重心位置(35)に、切り替え後の状態における前記頂点を位置させる請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記光学要素は、多角形状の開口(32,632)を形成し、
一つの状態における前記開口の中心(32a)の位置は、他の一つの状態における前記開口の角(32b)の位置と実質的に一致する請求項3又は4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記光学要素は、複数の辺(34,634)によって囲まれた多角形状の開口(32,632)を形成し、
一つの状態における前記開口の中心(32a)の位置は、他の一つの状態における前記辺の中点(34a)の位置と実質的に一致する請求項3又は4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 移動体(A)に設けられる投影部材(WS)への光の投影により、前記移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(Vi)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
光学的に離散的であり且つ周期的な構造の表示スクリーン(1231,1331)を有し、前記虚像として結像される元画像(IM)の光を前記表示スクリーンから射出する表示ユニット(1230,1330)と、
前記表示ユニットの構成に生じさせる移動により、前記表示スクリーンの状態を複数のうちで周期的に切り替える移動機構(1250,1350)と、
前記表示ユニットが前記表示スクリーンに前記元画像を描画する描画周期(DC)と、前記移動機構が前記表示スクリーンの状態を切り替える状態周期(SC)と、を同期させ、前記表示スクリーンにおける一つの状態下で一つの前記元画像が描画されるように制御する同期制御部(73)と、を備えるヘッドアップディスプレイ装置。 - 移動体(A)に設けられる投影部材(WS)への光の投影により、前記移動体の乗員(D)によって視認可能な虚像(Vi)を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
光学的に離散的であり且つ周期的な構造を有するスクリーン部材(30)と、
前記虚像として結像される元画像(IM)の光を前記スクリーン部材に投影するプロジェクタ(20)と、
前記スクリーン部材に描画された前記元画像の光が前記投影部材に到達するまでの光路(PL)に設けられた投影光学系(1440)と、
前記投影光学系の構成に生じさせる移動により、前記投影光学系の状態を複数のうちで周期的に切り替える移動機構(1450)と、
前記プロジェクタが前記スクリーン部材に前記元画像を描画する描画周期(DC)と、前記移動機構が前記投影光学系の状態を切り替える状態周期(SC)と、を同期させ、前記投影光学系における一つの状態下で一つの前記元画像が描画されるように制御する同期制御部(73)と、を備えるヘッドアップディスプレイ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018148762A JP2020024298A (ja) | 2018-08-07 | 2018-08-07 | ヘッドアップディスプレイ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018148762A JP2020024298A (ja) | 2018-08-07 | 2018-08-07 | ヘッドアップディスプレイ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020024298A true JP2020024298A (ja) | 2020-02-13 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018148762A Pending JP2020024298A (ja) | 2018-08-07 | 2018-08-07 | ヘッドアップディスプレイ装置 |
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Country | Link |
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2018
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