JP6497351B2 - 排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
自動車等の内燃機関から排出される排ガスには、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)などの有害成分が含まれており、これらの有害成分は排ガス浄化用触媒によって浄化されてから大気中に放出されている。有害成分を浄化する排ガス浄化用触媒としては、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの触媒金属をアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア、セリアなどの金属酸化物担体に担持した三元触媒が広く知られている。
このような三元触媒について、担体として利用する金属酸化物に複数種の金属酸化物の固溶体や混合物を使用することで、触媒活性を向上しようとする研究が行われている。例えば、排ガス中の酸素濃度が高い時には酸素を吸蔵し、排ガス中の酸素濃度が低い時には酸素を放出する酸素吸蔵能(以下、OSC:Oxygen Storage Capacityともいう)を有するセリアには耐熱性が低いという問題点があるが、この問題点は、セリアをジルコニア及び/又はアルミナと固溶化及び/又は混合することによって改良される。
このような金属酸化物を製造する方法として、例えば、特許文献1には、40℃より高い温度でセリウム(IV)化合物及びジルコニウム(IV)化合物をアルミニウム酸化物のスラリーと合わせて、反応スラリーを製造すること、前記反応スラリーを沈殿剤と接触させて、前記アルミニウム酸化物上に不溶性のセリウム及びジルコニウム化合物を沈殿させ、セリウム−ジルコニウム−アルミニウム酸化物粒子を形成すること、及び前記セリウム−ジルコニウム−アルミニウム酸化物粒子をか焼して、セリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を製造することを含むセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物(セリア−ジルコニア固溶体とアルミナの混合物)の製造方法が記載されている。
特表2014−534156号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法により製造されたセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物中のアルミナは、比表面積の大きいγ−アルミナ又はθ−アルミナであり、当該セリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物に触媒金属を担持することにより調製された排ガス浄化用触媒では、高温下で繰返し使用された場合に、担持された触媒金属同士のシンタリングが起こり、触媒活性が低下してしまうという問題点があった。
したがって、本発明は、高温下で繰返し使用しても担持された触媒金属同士のシンタリングが抑制され、良好な触媒活性を維持することができる排ガス浄化用触媒を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、排ガス浄化用触媒を、(i)溶媒中でセリア、ジルコニア及び任意の金属酸化物の原料を混合するステップ、(ii)(i)で調製した混合溶液から沈殿を形成させるステップ、(iii)(ii)で形成させた沈殿と、特定のアルミナ前駆体とを混合するステップ、(iv)(iii)で調製した混合物を特定の温度で焼成するステップ、及び(v)(iv)で形成させた複合酸化物に触媒金属を担持するステップを経る方法によって製造したところ、得られた排ガス浄化用触媒において、高温下で繰返し使用した場合における触媒金属同士のシンタリングが抑制され、良好な触媒活性が維持されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物及び前記セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に担持された触媒金属を含む排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
(i)溶媒中で、セリア原料と、ジルコニア原料と、任意の金属酸化物原料とを混合して、混合溶液を調製するステップ、
(ii)(i)のステップで調製した前記混合溶液と、沈殿剤とを混合して、沈殿を形成させるステップ、
(iii)(ii)のステップで形成させた前記沈殿と、ダイアスポアとを混合して、混合物を調製するステップ、
(iv)(iii)のステップで調製した前記混合物を1000℃以下で焼成して、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を形成させるステップ、及び
(v)(iv)のステップで形成させた前記セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に触媒金属を担持するステップ
を含む前記方法。
本発明の方法により製造された排ガス浄化用触媒では、高温下で繰返し使用することによる触媒金属同士のシンタリングが抑制され、良好な触媒活性が維持される。
サンプル評価における、活性評価のパターンを示す図である。 サンプル評価における、OSC評価のパターンを示す図である。 評価結果における、比較例1〜3及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の、比表面積維持率(%)に対するHC50%浄化温度(℃)を示す図である。 評価結果における、比較例1〜4及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の、HC50%浄化温度(℃)を示す図である。 評価結果における、実施例1で調製した排ガス浄化用触媒のOSCを100とした場合の、比較例1〜4及び実施例2〜3で調製した排ガス浄化用触媒のOSC相対比を示す図である。 評価結果における、比較例1〜4及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の、熱耐久処理後の触媒金属Pdの結晶子径(nm)を示す図である。 評価結果における、比較例1で調製した排ガス浄化用触媒のXRDピークパターンを示す図である。 評価結果における、実施例1で調製した排ガス浄化用触媒のXRDピークパターンを示す図である。 評価結果における、比較例1で調製した排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXを示す図である。 評価結果における、実施例1で調製した排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXを示す図である。 従来の方法により得られる排ガス浄化用触媒中の触媒金属と、本発明の方法により得られた排ガス浄化用触媒中の触媒金属の、推定されるシンタリングメカニズムを示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物及び前記セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に担持された触媒金属を含む排ガス浄化用触媒を製造する方法であって、(i)溶媒中でのαアルミナ前駆体以外の酸化物原料の混合ステップ(混合溶液の生成)、(ii)混合溶液からの沈殿形成ステップ(沈殿の生成)、(iii)沈殿とαアルミナ前駆体との混合ステップ(混合物の生成)、(iv)混合物の焼成ステップ(セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の生成)及び(v)触媒金属のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物への担持ステップ、を含む、前記方法に関する。
以下に(i)〜(v)の各ステップについて説明する。
(i)αアルミナ前駆体以外の酸化物原料の混合ステップ
本発明の(i)のステップでは、セリア原料と、ジルコニア原料と、任意の金属酸化物原料とを混合して、混合溶液を調製する。
ここで、溶媒としては、以下に限定されないが、水、水とアルコールの混合物などを使用することができる。溶媒の量は、限定されないが、溶媒以外の原料が、混合溶液総量の、通常1重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、より好ましくは20重量%〜30重量%となるように調整される。
セリア原料としては、セリウムイオンを形成して溶媒中に溶解する化合物、例えば、以下に限定されないが、硝酸セリウム、硝酸二アンモニウムセリウム、炭酸セリウム及びハロゲン化セリウムなどの各種セリウム塩、水酸化セリウム、酸化セリウムなどがあり、溶媒に不溶性の化合物は、適宜酸や塩基などにより溶解して使用することができる。本発明に用いられるセリア原料は、水溶性である硝酸二アンモニウムセリウムを使用することが好ましい。
ジルコニア原料としては、ジルコニウムイオンを形成して溶媒中に溶解する化合物、例えば、以下に限定されないが、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物、ハロゲン化ジルコニウム及び酢酸ジルコニウムなどの各種ジルコニウム塩、水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウムなどがあり、溶媒に不溶性の化合物は、適宜酸や塩基などにより溶解して使用することができる。本発明に用いられるジルコニア原料は、水溶性であるオキシ硝酸ジルコニウム二水和物を使用することが好ましい。
セリア原料及びジルコニア原料の量は、限定されないが、最終的に得られる排ガス浄化用触媒中に、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の総量に対して、セリア−ジルコニア固溶体として、通常20重量%〜89重量%、好ましくは31重量%〜78重量%、より好ましくは42重量%〜71重量%含まれるように調整される。セリア−ジルコニア固溶体では、セリア:ジルコニアのモル比は、通常10:90〜80:20、好ましくは20:80〜70:30、より好ましくは20:80〜50:50である。
任意の金属酸化物原料は、最終的に得られる排ガス浄化用触媒のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物中に含むことができる金属酸化物原料であり、当該金属酸化物としては、例えば、以下に限定されないが、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジムなどの希土類酸化物があり、当該金属酸化物原料としては、金属イオンを形成して溶媒中に溶解する化合物、例えば、以下に限定されないが、当該金属の硝酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物及び有機酸塩などの各種金属塩、水酸化物、酸化物などがあり、溶媒に不溶性の化合物は、適宜酸や塩基などにより溶解して使用することができる。本発明に用いられる任意の金属酸化物原料は、水溶性である硝酸ランタン六水和物及び硝酸イットリウム六水和物を使用することが好ましい。任意の金属酸化物原料の量は、限定されないが、最終的に得られる排ガス浄化用触媒中に、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の総量に対して、任意の金属酸化物全体として、通常1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜9重量%、より好ましくは4重量%〜8重量%含まれるように調整される。
本発明の(i)のステップでは、各材料の添加順序、添加温度、混合方法、混合時間などは制限されず、溶媒中、各原料が均一に溶解するよう混合される。例えば、本発明の(i)のステップでは、1℃〜30℃の室温において、反応容器中に溶媒となる水を加え、その後、撹拌機により撹拌しながら、セリア原料として硝酸二アンモニウムセリウム、ジルコニア原料としてオキシ硝酸ジルコニウム二水和物、任意の金属酸化物原料として硝酸ランタン六水和物及び硝酸イットリウム六水和物を順に加え、各原料が水中に溶解し、溶液が均質になるまで混合して、混合溶液を調製してもよい。
(ii)混合溶液からの沈殿形成ステップ
本発明の(ii)のステップでは、(i)のステップで得られた混合溶液と、沈殿剤とを混合して、沈殿を形成させる。
ここで、沈殿剤としては、(i)のステップで得られた混合溶液と混合することによって、沈殿を形成させることができるものであり、逆共沈法や、共沈法などにより沈殿を形成させる場合は、(i)のステップで得られた混合溶液が酸性であれば、従来使用することができる塩基、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの有機塩基、など、(i)のステップで得られた混合溶液が塩基性であれば、従来使用することができる酸、例えば塩酸、硫酸及び硝酸などの無機酸、例えば酢酸などの有機酸など、である。有機塩基や有機酸を使用する場合には、有機塩基及び有機酸の有機部分が金属イオンと錯イオンを形成してしまい沈殿を形成しないこともあるので注意が必要である。本発明に用いられる沈殿剤としては、無機塩基及び無機酸が好ましく、特に逆共沈法の場合のアンモニアが好ましい。沈殿剤の量は、通常(i)のステップにおいて導入された金属酸化物の原料全ての金属イオンが共沈するpHに依存して異なる。例えば、(i)のステップで得られた混合溶液中に、セリア原料、ジルコニア原料、並びに任意の金属酸化物原料として酸化ランタン原料及び酸化イットリウム原料が含まれる場合、(i)のステップで得られた混合溶液と、沈殿剤とを混合することにより、最終的にpHを、通常7.0〜9.0、好ましくは7.5〜8.5、より好ましくは8.0に調整する。
本発明の(ii)のステップでは、混合溶液と沈殿剤の添加順序、添加温度、添加方法、添加時間、熟成温度や時間、などは制限されない。例えば、本発明の(ii)のステップでは、1℃〜30℃の室温において、撹拌機により撹拌しながら、セリア原料として硝酸二アンモニウムセリウム、ジルコニア原料としてオキシ硝酸ジルコニウム二水和物、任意の金属酸化物原料として硝酸ランタン六水和物及び硝酸イットリウム六水和物を含む混合溶液中に、沈殿剤としてのアンモニア水溶液を添加してpHを8.0に調整し、沈殿剤添加後、1℃〜30℃の室温において、1時間〜48時間熟成させてもよい。
沈殿は、その後、ろ過され、水などにより洗浄されて、沈殿から沈殿中に含まれる原材料や沈殿剤などを十分に除去する。
なお、沈殿は、乾燥してから次のステップで使用しても、乾燥せずに次のステップで使用してもよい。沈殿は、乾燥による凝集を防ぐため乾燥せずに次のステップで使用することが好ましい。
本発明の(ii)のステップにおいて、セリア原料、ジルコニア原料、及び任意の金属酸化物原料は、例えば水酸化物、炭酸塩、又は酸化物などの形態(以下、それぞれの金属の沈殿を、セリア前駆体、ジルコニア前駆体、任意の金属酸化物前駆体ともいう)になって、沈殿中に均質に存在する。
(iii)沈殿とαアルミナ前駆体との混合ステップ
本発明の(iii)のステップでは、(ii)のステップで得られた沈殿と、ダイアスポアとを混合して、混合物を調製する。
ここで、ダイアスポアとは、ジアスポアとも称され、アルミニウムの水酸化物であり、アルミナの一水塩(AlO(OH)又はAl・HO)である。ダイアスポアは、600℃〜700℃で焼成することにより脱水してαアルミナへと転移する。ダイアスポアには、天然由来の鉱物が存在するが、本発明では、従来公知の方法により合成されたダイアスポアを使用することが好ましい。従来公知の方法としては、例えばAltaf H. Carim、Gregory S. Rohrer、Neal R. Dando、Shih−Ying Tzeng、Cathy L. Rohrer、Anthony J. Perrotta、「Conversion of Diaspore to Corundum: A New α−Alumina Transformation Sequence」、J.Am.Ceram.Soc.、80、[10]、2677〜80(1977)(以下、参考文献Aともいう)を参照されたい。参考文献Aには、ダイアスポアは、300℃の温度で、3.45×10Pa(500psi)の圧力で、72時間以上水熱処理することによって合成することができると記載されている。ダイアスポアの量は、限定されないが、最終的に得られる排ガス浄化用触媒中に、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の総量に対して、αアルミナとして、通常10重量%〜70重量%、好ましくは20重量%〜60重量%、より好ましくは25重量%〜50重量%含まれるように調整される。
αアルミナ前駆体としてダイアスポア以外のアルミナ前駆体、例えばトーダイト、ギブサイト、バイヤライト、ノルドストランダイト、ベーマイトなどを使用する場合、これらは1300℃以上の高温の焼成温度でなければαアルミナを形成させることができない。したがって、ダイアスポア以外のアルミナ前駆体を焼成することによって調製したαアルミナは、高温の焼成温度による焼結によって、低い比表面積(すなわち、大きな粒径)を有する。これに対し、αアルミナ前駆体としてダイアスポアを使用する場合、ダイアスポアは前記のように1300℃よりも低い焼成温度でαアルミナへと転移する。したがって、αアルミナ前駆体としてダイアスポアを使用して、以下の(iv)のステップにおいて焼成温度を調整することで、焼結を抑えた高い比表面積(すなわち、小さな粒径)、例えば20m/g〜80m/gの比表面積を有するαアルミナを調製することができる。
本発明の(iii)のステップでは、沈殿とダイアスポアとの混合順序、混合温度、混合方法、混合時間などは制限されず、沈殿とダイアスポアとを均質に混合させる。例えば、本発明の(iii)のステップでは、1℃〜30℃の室温において、水中に、(ii)のステップで得られたケーキ状の沈殿と、水熱合成により得られたダイアスポアとを添加し、撹拌機により撹拌しながら、均質に分散させ、その後、ろ過、風乾や真空乾燥などの乾燥、場合により粉砕を行うことにより混合物を調製してもよい。粉砕には従来の粉砕技術、例えば乳鉢、ハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ローラーミルなど、乾式、湿式を問わず用いることができ、粉砕により、以下の(iv)のステップにおいて、混合物をムラなく、均一に焼成することができる。
本発明の(iii)のステップにおいて、沈殿とダイアスポアとが均質に混合されることによって、以下の(iv)のステップにおいて、各固溶体及び金属酸化物がナノレベルまで均質なセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を形成させることができる。
(iv)混合物の焼成ステップ
本発明の(iv)のステップでは、(iii)のステップで得られた混合物を1000℃以下で焼成して、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を形成させる。
本発明において、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物は、セリア−ジルコニア固溶体及びαアルミナを含む混合物を示し、任意の金属酸化物は、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の中で、セリア−ジルコニア固溶体及び/又はαアルミナ中に固溶化される。
ここで、焼成温度は、セリア前駆体及びジルコニア前駆体がセリア−ジルコニア固溶体を形成し、任意の金属酸化物前駆体が酸化物を形成するか又はセリア−ジルコニア固溶体及び/又はαアルミナ中に固溶化し、ダイアスポアがαアルミナを形成する温度であり、本発明では、1000℃以下であり、好ましくは600℃〜1000℃、より好ましくは850℃〜950℃である。
焼成温度を前記のように設定することによって、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物において、セリア前駆体及びジルコニア前駆体は効率よく固溶化され、任意の金属酸化物前駆体は効率よく金属酸化物へと転移されるか又はセリア−ジルコニア固溶体及び/又はαアルミナ中に固溶化され、ダイアスポアは効率よくαアルミナへと転移される。さらに、前記の低い焼成温度により、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に含まれるセリア−ジルコニア固溶体、任意の金属酸化物及びαアルミナは、触媒金属の担体として適した比表面積及び/又は粒径を有し、それぞれの粒子において、焼成温度が高すぎることによる起こり得る焼結が抑制される。
本発明の(iv)のステップでは、例えばガス雰囲気、昇温時間、焼成時間、冷却時間、ガス流量など、その他の焼成条件は制限されない。例えば本発明の(iv)のステップでは、混合物を、大気中、0.5時間〜3時間で焼成温度まで昇温し、焼成温度に到達後、1時間〜5時間かけて室温まで冷却してもよい。
得られたセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物は、必要に応じて粉砕することができる。粉砕には従来の粉砕技術、例えば乳鉢、ハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ローラーミルなど、乾式、湿式を問わず用いることができる。セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を粉砕することによって、以下の(v)のステップにおいて、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に触媒金属をムラなく、均質に担持することができる。
(v)触媒金属のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物への担持ステップ
本発明の(v)のステップでは、(iv)のステップで得られたセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に触媒金属を担持する。
ここで、触媒金属としては、当該技術分野において公知である触媒金属を使用することができ、HC及びCOを酸化する触媒並びにNOxを還元することができる触媒であればよく、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等の貴金属、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の遷移金属、その他従来のこの種の用途に用いられる触媒金属から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
触媒金属の量は、特に限定されず、また、使用する金属の種類に依存して異なり得るが、触媒活性、コスト面等を考慮して、例えば、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の総量に対して、通常0.05重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%である。
触媒金属は、従来の担持方法によりセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に担持することができる。触媒金属は、例えば1℃〜30℃の室温において、水中に、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物と、触媒金属の塩酸塩や硝酸塩などの触媒金属前駆体とを添加し、撹拌機により撹拌しながら、均一に分散させ、その後、蒸発乾固などの乾燥、場合により粉砕、さらに大気中において、例えば400℃〜600℃で1時間〜3時間焼成を行うことによりセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に担持される。粉砕には従来の粉砕技術、例えば乳鉢、ハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ローラーミルなど、乾式、湿式を問わず用いることができる。
前記方法により得られた排ガス浄化用触媒中のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に含まれるセリア−ジルコニア固溶体は、触媒金属の担体として機能し、さらに、高温下においてOSCを有し、酸素を吸放出することによりミクロな空間で空燃比(A/F)を制御し、排ガス組成変動に伴う浄化率の低下を抑制する。
前記方法により得られた排ガス浄化用触媒中のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に含まれる任意の金属酸化物は、前記セリア−ジルコニア固溶体中に固溶化及び/又は混合されることによって、前記セリア−ジルコニア固溶体のOSCのさらなる改善や、前記セリア−ジルコニア固溶体同士の焼結による粒成長抑制などに役立ち得る。
前記方法により得られた排ガス浄化用触媒中のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に含まれるαアルミナは、触媒金属の担体として機能し、さらに、セリア−ジルコニア固溶体同士の焼結による粒成長抑制などの役目を有する。また、αアルミナは、他の結晶構造を有するアルミナと比較して、高温下でより安定である。
前記方法により得られた排ガス浄化用触媒では、触媒金属は、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物において、αアルミナと比較して相互作用の強いセリア−ジルコニア固溶体上に担持されると考えられる。排ガス浄化用触媒が高温下で繰返し使用された場合、αアルミナ上に担持された触媒金属は担体上で拡散されてシンタリングするが、相互作用の強いセリア−ジルコニア固溶体上に担持された触媒金属は担体上で拡散されにくくシンタリングしにくい。結果として、本発明の排ガス浄化用触媒では、高温下で繰返し使用されても、良好な触媒活性が維持される。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.サンプル調製
比較例1 900℃で焼成した従来のセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造
(1)溶媒中で、アルミナ原料と、セリア原料と、ジルコニア原料と、任意の金属酸化物原料とを混合して、混合溶液を調製するステップ
撹拌子を入れたビーカーに溶媒としてイオン交換水を添加して撹拌した。酸化物原料として硝酸アルミニウム九水和物(ナカライテスク製)と、オキシ硝酸ジルコニウム二水和物(キシダ化学製)と、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(ナカライテスク製)と、硝酸ランタン(III)六水和物(ナカライテスク製)と、硝酸イットリウム(III)六水和物(ナカライテスク製)とを、最終的に得られるセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物の組成が表1に記載する通りになるよう秤量し、撹拌しながらビーカーに添加し、混合液を調製した。混合液を酸化物原料が溶解するまで撹拌して、混合溶液を調製した。
(2)(1)のステップで調製した混合溶液と、沈殿剤とを混合して、沈殿を形成させるステップ
(1)のステップで調製した混合溶液に、撹拌しながら、ピペットを用いて、28%アンモニア水(ナカライテスク製)を少量ずつ滴下し、混合溶液のpHを8.0に調整して、沈殿を形成させた。その後、ビーカーに蓋をして、室温で12時間撹拌した。得られた懸濁液を吸引ろ過して沈殿とろ液に分離し、沈殿をイオン交換水により洗浄した。洗浄後、沈殿を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。乾燥させた沈殿を乳鉢に入れ、乳棒を使用して解砕し、粉末状の沈殿を得た。
(3)(2)のステップで形成させた沈殿を900℃で焼成して、セリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を形成させるステップ
(2)のステップで形成させた沈殿を、電気炉を使用して、大気中、900℃で5時間焼成して、セリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を形成させた。
(4)(3)のステップで形成させたセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物に触媒金属を担持するステップ
(3)のステップで形成させたセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を秤量し、イオン交換水と撹拌子を入れたビーカーに添加し、撹拌した。硝酸パラジウム溶液をパラジウムとしての担持量がセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物の総量に対して0.5重量%になるように秤量し、撹拌しながら、ビーカーに加えた。撹拌を続けながら、懸濁液を加熱し、その後水分がなくなるまで蒸発乾固させた。得られた固体を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。乾燥後、固体を乳鉢に入れ、乳棒を使用して解砕し、粉末状固体を得た。電気炉を使用して、粉末状固体を、大気中、500℃で2時間焼成した。焼成後、焼成粉体をペレット状に成形して、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例2 950℃で焼成した従来のセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造
比較例1の(3)沈殿の焼成ステップにおいて、焼成温度を900℃から950℃に変更した以外は、比較例1と同様にして排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例3 1000℃で焼成した従来のセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造
比較例1の(3)沈殿の焼成ステップにおいて、焼成温度を900℃から1000℃に変更した以外は、比較例1と同様にして排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例4 従来のセリア−ジルコニア固溶体とαアルミナとを混合した混合物(セリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物)を含む排ガス浄化用触媒の製造
(1)溶媒中で、セリア原料と、ジルコニア原料と、任意の金属酸化物原料とを混合して、混合溶液を調製するステップ
撹拌子を入れたビーカーに溶媒としてイオン交換水を添加して撹拌した。酸化物原料としてオキシ硝酸ジルコニウム二水和物(キシダ化学製)と、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(ナカライテスク製)と、硝酸ランタン(III)六水和物(ナカライテスク製)と、硝酸イットリウム(III)六水和物(ナカライテスク製)とを、最終的に得られるセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物の組成が表1に記載する通りになるよう秤量し、撹拌しながらビーカーに添加し、混合液を調製した。混合液を酸化物原料が溶解するまで撹拌して、混合溶液を調製した。
(2)(1)のステップで調製した混合溶液と、沈殿剤とを混合して、沈殿を形成させるステップ
(1)のステップで調製した混合溶液に、撹拌しながら、ピペットを用いて、28%アンモニア水(ナカライテスク製)を少量ずつ滴下し、混合溶液のpHを8.0に調整して、沈殿を形成させた。その後、ビーカーに蓋をして、室温で12時間撹拌した。得られた懸濁液を吸引ろ過して沈殿とろ液に分離し、沈殿をイオン交換水により洗浄した。洗浄後、沈殿を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。乾燥させた沈殿を乳鉢に入れ、乳棒を使用して解砕し、粉末状の沈殿を得た。
(3)(2)のステップで形成させた沈殿を900℃で焼成して、セリア−ジルコニア固溶体を形成させるステップ
(2)のステップで形成させた沈殿を、電気炉を使用して、大気中、900℃で5時間焼成して、セリア−ジルコニア固溶体を形成させた。
(4)(3)のステップで形成させたセリア−ジルコニア固溶体と、αアルミナとを混合して、セリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物を調製するステップ
(3)のステップで形成させたセリア−ジルコニア固溶体と、最終的に得られるセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物の組成が表1に記載する通りになるよう秤量したαアルミナ(和光純薬工業製)とを乳鉢に入れ、乳棒を使用して混合して、セリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物を調製した。
(5)(4)のステップで調製したセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物に触媒金属を担持するステップ
(4)のステップで調製したセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物を秤量し、イオン交換水と撹拌子を入れたビーカーに添加し、撹拌した。硝酸パラジウム溶液をパラジウムとしての担持量がセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物の総量に対して0.5重量%になるように秤量し、撹拌しながら、ビーカーに加えた。撹拌を続けながら、懸濁液を加熱し、その後水分がなくなるまで蒸発乾固させた。得られた固体を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。乾燥後、固体を乳鉢に入れ、乳棒を使用して解砕し、粉末状固体を得た。電気炉を使用して、粉末状固体を、大気中、500℃で2時間焼成した。焼成後、焼成した粉体をペレット状に成形して、排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例1 セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造1
(1)溶媒中で、セリア原料と、ジルコニア原料と、任意の金属酸化物原料とを混合して、混合溶液を調製するステップ
撹拌子を入れたビーカーに溶媒としてイオン交換水を添加して撹拌した。酸化物原料としてオキシ硝酸ジルコニウム二水和物(キシダ化学製)と、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(ナカライテスク製)と、硝酸ランタン(III)六水和物(ナカライテスク製)と、硝酸イットリウム(III)六水和物(ナカライテスク製)とを、最終的に得られるセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の組成が表1に記載する通りになるよう秤量し、撹拌しながらビーカーに添加し、混合液を調製した。混合液を酸化物原料が溶解するまで撹拌して、混合溶液を調製した。
(2)(1)のステップで調製した混合溶液と、沈殿剤とを混合して、沈殿を形成させるステップ
(1)のステップで調製した混合溶液に、撹拌しながら、ピペットを用いて、28%アンモニア水(ナカライテスク製)を少量ずつ滴下し、混合溶液のpHを8.0に調整して、沈殿を形成させた。その後、ビーカーに蓋をして、室温で12時間撹拌した。得られた懸濁液を吸引ろ過して沈殿とろ液に分離し、沈殿をイオン交換水により洗浄した。
(3)(2)のステップで形成させた沈殿と、ダイアスポアとを混合して、混合物を調製するステップ
(1)のステップで形成させた洗浄後のケーキ状の沈殿と、最終的に得られるセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の組成が表1に記載する通りになるよう秤量した、参考文献Aを参照して水熱合成により調製したダイアスポアとを、撹拌により3時間混合して混合物を調製した。混合物を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。乾燥させた混合物を乳鉢に入れ、乳棒を使用して解砕し、粉末状の混合物を得た。
(4)(3)のステップで調製した混合物を1000℃以下で焼成して、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を形成させるステップ
(3)のステップで形成させた混合物を、電気炉を使用して、大気中、900℃で5時間焼成して、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を形成させた。
(5)(4)のステップで形成させたセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に触媒金属を担持するステップ
(4)のステップで形成させたセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を秤量し、イオン交換水と撹拌子を入れたビーカーに添加し、撹拌した。硝酸パラジウム溶液をパラジウムとしての担持量がセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の総量に対して0.5重量%になるように秤量し、撹拌しながら、ビーカーに加えた。撹拌を続けながら、懸濁液を加熱し、その後水分がなくなるまで蒸発乾固させた。得られた固体を120℃の乾燥機で12時間乾燥させた。乾燥後、固体を乳鉢に入れ、乳棒を使用して解砕し、粉末状固体を得た。電気炉を使用して、粉末状固体を、大気中、500℃で2時間焼成した。焼成後、焼成した粉体をペレット状に成形して、排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例2 セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造2
実施例1の(1)混合溶液の調製ステップ及び(3)混合物の調製ステップにおいて、各原料の添加量を最終的に得られるセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の組成が表1に記載する通りになるように変更した以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例3 セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造3
実施例1の(1)混合溶液の調製ステップ及び(3)混合物の調製ステップにおいて、各原料の添加量を最終的に得られるセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の組成が表1に記載する通りになるように変更した以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例1〜4及び実施例1〜3において調製した排ガス浄化用触媒中のセリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物の組成は、表1に記載する通りである。
Figure 0006497351
2.サンプル評価
比較例1〜4及び実施例1〜3において調製した排ガス浄化用触媒について、1100℃において、リッチ雰囲気{2%CO+10%HO+残N}とリーン雰囲気{5%O+10%HO+残N}を各5分間隔で変動させ、5時間の耐久処理(熱耐久処理)を行った。
2.1 活性評価
熱耐久処理後の排ガス浄化用触媒の活性評価を、モデルガス装置を用いて行った。
評価条件
サンプル:各2g
ガス流量:15L/分
ガス組成[%]:
NO/CO/C/CO/O/HO/N
=0.15/0.65/0.1/10/0.66/3/バランス
浄化率は、以下の式を用いて計算した。
浄化率(%)
=(触媒の入りガス濃度−触媒の出ガス濃度)/触媒の入りガス濃度×100
活性評価のパターンを図1に示す。
2.2 OSC評価
熱耐久処理後の排ガス浄化用触媒のOSC評価を、モデルガス装置を用いて行った。
評価条件
サンプル:各2g
ガス流量:15L/分
モデルガスの組成を表2に示す。
Figure 0006497351
OSC評価のパターンを図2に示す。
OSCは以下の式を用いて計算した。
Figure 0006497351
2.3 触媒金属Pdの結晶子測定
熱耐久処理後の排ガス浄化用触媒中の触媒金属Pdについて、Rint 2500(株式会社リガク製)を使用して、結晶子径(nm)を測定した。
2.4 比表面積(SSA)評価
熱耐久処理前及び熱耐久処理後の排ガス浄化用触媒について、比表面積をBET法(装置名:Macsorb HM model−1208(株式会社マウンテック製)、JIS R 1626:1996)により測定した。
2.5 XRD評価
実施例1及び比較例1で調製した排ガス浄化用触媒について、XRD分析(装置名:Rint 2500(株式会社リガク製)、JIS H 7805:2005)を行った。
2.6 STEM−EDX評価
実施例1及び比較例1で調製した排ガス浄化用触媒について、STEM−EDX分析(装置名:Tecnai(FEI製))を行った。
3.評価結果
3.1 活性評価結果
図3に、比較例1〜3及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の、比表面積維持率(%)に対するHC50%浄化温度(℃)を示し、図4に、比較例1〜4及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒のHC50%浄化温度(℃)を示す。図3及び図4より、実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒は、比較例1〜4で調製した排ガス浄化用触媒と比較して、HC50%浄化温度が低い、すなわち排ガス浄化触媒の活性が高いことが理解される。
なお、比較例4のセリア−ジルコニア固溶体と従来のαアルミナとを物理的に混合(ミクロンレベルの混合)して調製したセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物を含む排ガス浄化用触媒では、実施例1〜3のような優れた活性が得られなかった。
3.2 OSC評価結果
図5に、実施例1で調製した排ガス浄化用触媒のOSCを100とした場合の、比較例1〜4及び実施例2〜3で調製した排ガス浄化用触媒のOSC相対比を示す。図5より、実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒は、比較例1〜4で調製した排ガス浄化用触媒と比較して、OSCが優れていることが理解される。
なお、前記の活性評価同様、比較例4のセリア−ジルコニア固溶体と従来のαアルミナとを物理的に混合して調製したセリア−ジルコニア固溶体−αアルミナ混合物を含む排ガス浄化用触媒では、実施例1〜3のような優れたOSCが得られなかった。
3.3 触媒金属Pdの結晶子測定結果
図6に、比較例1〜4及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の、熱耐久処理後の触媒金属Pdの結晶子径を示す。図6より、実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒中の触媒金属Pdの結晶子径は、熱耐久処理後であっても、小さいまま維持されていることが理解される。
3.4 比表面積評価結果
表3に、比較例1〜4及び実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の、熱耐久処理前(初期)及び熱耐久処理後の比表面積並びに熱耐久処理前からの熱耐久処理後の比表面積維持率を示す。
Figure 0006497351
表3より、実施例1〜3で調製した排ガス浄化用触媒の比表面積は、比較例1〜2で調製した排ガス浄化用触媒の比表面積より小さいが、従来のαアルミナを使用した比較例4で調製した排ガス浄化用触媒の比表面積よりも大きいことが確認される。
3.5 XRD評価
図7及び図8に、比較例1及び実施例1で調製した排ガス浄化用触媒のXRDピークパターンを示す。図7より、比較例1で調製した排ガス浄化用触媒中のアルミナは結晶性が低く、図8より、実施例1で調製した排ガス浄化用触媒中のアルミナはαアルミナとして存在することが確認される。
3.6 STEM−EDX評価
図9及び図10に、比較例1及び実施例1で調製した排ガス浄化用触媒のSTEM−EDXを示す。図9及び図10において、(i)の写真の白い(色の薄い)部分はAlの存在領域を示し、(ii)の写真の白い(色の薄い)部分はZrの存在領域を示し、(iii)の写真の白い(色の薄い)部分はPdの存在領域を示し、(iv)の写真の白い(色の薄い)部分はCeの存在領域を示し、(i)〜(iv)の写真の白線で囲った円形又は楕円形部分はPdの存在領域を示す。図9及び図10より、比較例1で調製した排ガス浄化用触媒中のPdはAl、Ce、Zr上に存在しており、実施例1で調製した排ガス浄化用触媒中のPdはCe、Zr上に存在していることを確認することができる。
以上の結果から、図11に記載されるような触媒金属のシンタリングメカニズムが推定される。
本発明の排ガス浄化用触媒中の触媒金属のアルミナ上とセリア−ジルコニア固溶体上の存在比(アルミナ/セリア−ジルコニア固溶体)は、本発明の排ガス浄化用触媒中に含まれるαアルミナと比較して高比表面積であるθアルミナやδアルミナを含む従来の排ガス浄化用触媒中の該存在比と比較して小さい。つまり、本発明の排ガス浄化用触媒中の触媒金属は、従来の排ガス浄化用触媒中の触媒金属と比較して、セリア−ジルコニア固溶体上に多く存在すると考えられる。
一方で、セリア−ジルコニア固溶体上と触媒金属との相互作用は、アルミナと触媒金属との相互作用よりも強い。これは、セリア−ジルコニア固溶体が高温下における触媒金属の拡散を抑制し、触媒金属同士のシンタリングもまた抑制することを示している。
これより、本発明の排ガス浄化用触媒中の触媒金属が従来の排ガス浄化用触媒中の触媒金属と比較してセリア−ジルコニア固溶体上に多く存在することは、本発明の排ガス浄化用触媒中の触媒金属が従来の排ガス浄化用触媒中の触媒金属と比較してシンタリングしにくくなることを示し、その結果、本発明の排ガス浄化用触媒は、高温下で繰返し使用しても良好な触媒活性を維持する。

Claims (1)

  1. セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物及び前記セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に担持された触媒金属を含む排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    (i)溶媒中で、セリア原料と、ジルコニア原料と、任意の金属酸化物原料とを混合して、混合溶液を調製するステップ、
    (ii)(i)のステップで調製した前記混合溶液と、沈殿剤とを混合して、沈殿を形成させるステップ、
    (iii)(ii)のステップで形成させた前記沈殿と、ダイアスポアとを混合して、混合物を調製するステップ、
    (iv)(iii)のステップで調製した前記混合物を1000℃以下で焼成して、セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物を形成させるステップ、及び
    (v)(iv)のステップで形成させた前記セリア−ジルコニア−αアルミナ複合酸化物に触媒金属を担持するステップ
    を含む前記方法。
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