以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、管理コンピュータ(部材準備装置、部材処理装置)の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を生産する機能と、実装基板の生産に使用する部材を管理し、メンテナンスする機能を有している。部品実装システム1は、管理コンピュータ2、生産計画装置3、部材管理エリア4、部品実装ライン5を主体として構成され、これらの各部は通信ネットワーク6によって接続されている。管理コンピュータ2は、実装基板の生産管理、実装基板の生産で使用する部材の管理、部材のメンテナンスの管理などを行う。生産計画装置3は、部品実装システム1において生産される実装基板の基板情報、部品情報、実装基板の生産計画などを収集し、整理して記憶している。
部材管理エリア4には、通信ネットワーク6に接続されている部材管理装置7、部材管理装置7に接続されている保守作業装置8、部材庫9が設置されている。部材庫9には、現在の実装基板の生産で使用されていない部材、メンテナンス作業待ちの部材などが保管されている。部材管理装置7は、部品実装システム1において実装基板の生産で使用されている部材、部材庫9に保管されている部材など部品実装システム1が保有する保有部材の所在や、部材の状態と品質で決まる部材ランクなどを管理する。保守作業装置8は、後述する吸着ノズル、テープフィーダ、実装ヘッドなどの部材のメンテナンス作業を実行する。なお、保守作業装置8は、通信ネットワーク6を介して部材管理装置7と接続するようにしてもよい。
図1において、部品実装ライン5は、ライン管理装置10、印刷機M1、実装機M2,M3を備えており、各装置は通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2に接続されている。印刷機M1は、印刷作業部によって上流側から搬入された基板にマスクを介してクリーム半田を印刷するはんだ印刷作業を実行する。実装機M2,M3は、印刷機M1によりクリーム半田が印刷された基板に、部品実装作業部によって部品を実装する部品実装作業を実行して実装基板を生産する。ライン管理装置10は、部品実装ライン5の各装置間の作業を管理する他、印刷機M1、実装機M2,M3において使用されている部材の使用状況、エラー率などの情報を収集する。
なお、部品実装ライン5は、印刷機M1や実装機M2,M3の前後に印刷状態や部品実装状態を検査する検査機をさらに備え、ライン管理装置10は、検査機の検査結果に基づくエラー率も収集してもよい。また、部品実装ライン5が備える実装機M2,M3は2台である必要はなく、1台でも3台以上であってもよい。また、部品実装システム1が備える部品実装ライン5は、一つである必要はなく、部品実装システム1が複数の部品実装ライン5を備える構成でもよい。部品実装システム1が複数の部品実装ライン5を備えている場合、部品実装ライン5毎にライン管理装置10を配置しても、複数の部品実装ライン5に共通の1台のライン管理装置10を配置してもよい。すなわち、ライン管理装置10が収集する情報が、各部品実装ライン5の各装置を特定する情報に紐付けられて記憶されればよい。
図1において、部材管理エリア4、部品実装ライン5などで各種作業を行う作業者は、携帯端末11を携帯している。携帯端末11は、管理コンピュータ2と無線で通信して情報の授受を行う端末側通信部12、表示機能と入力機能を有するタッチパネル13を備えている。携帯端末11は、管理コンピュータ2から受信した各種情報を表示処理してタッチパネル13に表示する。また、携帯端末11は、タッチパネル13から入力された各種情報などを管理コンピュータ2に送信する。
ここで図2を参照して、基板に部品を実装する実装機M2,M3の構成について説明する。基台14の上部には、上流側の印刷機M1から搬入された基板Bを搬送する基板搬送機構15がX方向(基板搬送方向)に配設されている。基板搬送機構15のY方向(水平面内でX方向と直交する方向)の側方には、部品供給部16が配設されている。部品供給部16には、着脱自在の複数のテープフィーダ17がX方向に並列に配置されている。テープフィーダ17は、部品Dを収納したキャリヤテープTをテープ送り方向にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによる部品取り出し位置に部品Dを供給する。キャリヤテープTは、リールRに巻回収納された状態で部品供給部16に保持されている。
基台14の上方には、実装ヘッド18と、装着された実装ヘッド18を水平方向(X方向、Y方向)に移動させるヘッド移動機構19が配設されている。実装ヘッド18は複数の吸着ユニット18aを備えており、吸着ユニット18aのそれぞれの下端には部品Dを吸着保持する吸着ノズル18bが着脱可能に装着されている。吸着ユニット18aは、吸着ノズル18bをZ方向(水平面に直交する方向)に昇降させる。実装ヘッド18は、吸着ノズル18bによってテープフィーダ17の部品取り出し位置に供給された部品Dを取り出し、基板搬送機構15に位置決めされた基板Bの実装位置に部品Dを実装する。
図2において、吸着ノズル18b、実装ヘッド18、テープフィーダ17(部品供給装置)などの部材は、基板Bに実装する部品Dの種別、隣接する部品Dとの間隔、実装精度などに応じて適宜選択され、実装機M2,M3に装着されて使用される。
実装機M2,M3において基板Bへの部品Dの実装が反復実行される際には、テープフィーダ17が部品Dを部品取り出し位置に正常に供給できない供給エラー、吸着ノズル18bが部品Dを正常に吸着できない吸着エラー、部品Dが基板Bの実装位置に正常に実装されない実装エラーなど各種エラーが発生する。このように実装作業中に発生する各種エラーは、ライン管理装置10が備えるライン情報収集部31a(図3参照)によって適宜収集されて、生産状況情報Ila(図3参照)として記憶される。
次に図3を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。生産計画装置3は、生産制御部21、生産記憶部22、通信部23を備えている。通信部23は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2との間で信号、情報の授受を行う。生産制御部21はCPU機能を備える演算装置であり、通信ネットワーク6に接続されるデータベース(図示省略)から各種情報を収集し、整理して生産記憶部22に記憶させる。生産記憶部22は記憶装置であり、基板情報Iba、部品情報Ida、生産計画情報Ipaなどを記憶する。
基板情報Ibaには、基板Bに実装される部品Dの種別と実装位置が含まれている。部品情報Idaには、実装基板に実装される部品Dの種別、形状、サイズの少なくともいずれかが含まれている。生産計画情報Ipaには、実装基板の生産枚数、生産時期などの生産計画が含まれている。
ここで図5を参照して、部品情報Ida(Idb)の一例について説明する。この例では、部品情報Idaには、「部品名」欄71に部品Dの種別、「形状」欄72に部品Dの形状、「サイズ」欄73に部品Dのサイズが含まれている。部品Dの形状には、略立方体の形状の「通常」と、略立方体の本体部から電極端子が外部に延伸する形状の「特殊」などが記憶される。
「要求部材ランク」欄74a〜76cには、「部品名」欄71の種別の部品Dを基板Bに実装する際に使用する部材に要求される部材ランクが指定されている。より具体的には、部品Dを吸着する吸着ノズル18bの要求部材ランクが、「Excellent」欄74a、「Good」欄74b、「Bad」欄74cにYes(使用可能)又はNo(使用不可能)で指定されている。同様に、部品Dを供給するテープフィーダ17の要求部材ランクが「Excellent」欄75a、「Good」欄75b、「Bad」欄75cに、部品Dを基板Bに実装する実装ヘッド18の要求部材ランクが「Excellent」欄76a、「Good」欄76b、「Bad」欄76cに指定されている。
図3において、ライン管理装置10は、ライン制御部31、ライン記憶部32、通信部33を備えている。通信部33は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2、部材管理装置7との間で信号、情報の授受を行う。ライン制御部31はCPU機能を備える演算装置であり、ライン情報収集部31aなどの内部処理部を有している。ライン記憶部32は記憶装置であり、生産状況情報Ilaなどを記憶する。ライン情報収集部31aは、印刷機M1、実装機M2,M3に装着されて実装基板の生産に使用されている部材(吸着ノズル18b、テープフィーダ17、実装ヘッド18など)の部品実装回数、使用期間、各種エラー(吸着エラー、供給エラー、実装エラーなど)の回数などを収集して生産状況情報Ilaとしてライン記憶部32に記憶する。
図3において、部材管理装置7は、部材制御部41、部材記憶部42、入力部43、表示部44、プリンタ45、通信部46、無線通信部47を備えている。入力部43は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部44は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部43による操作のための操作画面などの各種画面の他、各種情報を表示する。プリンタ45は、管理コンピュータ2より取得した準備指示、処理指示などを印刷する。通信部46は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2、ライン管理装置10との間で信号、情報の授受を行う。無線通信部47は、携帯端末11と無線で通信して情報の授受を行う。
部材制御部41はCPU機能を備える演算装置であり、情報取得部41a、評価取得部41b、ランク決定部41c、準備指示取得部41d、処理指示取得部41eなどの内部処理部を有している。部材記憶部42は記憶装置であり、保守情報Im、生産状況情報Ilb、ランク区分情報Ir、保有部材情報Ica、準備指示情報Peb、処理指示情報Pmbなどを記憶する。保守情報Imには、部材管理装置7に接続される保守作業装置8によって実行されるメンテナンス作業の情報であるメンテナンス回数、最終メンテナンス後の経過時間などが各部材に紐付けられて記憶されている。
図3において、情報取得部41aは、ライン管理装置10から生産状況情報Ilaを取得して生産状況情報Ilbとして部材記憶部42に記憶させる。ランク区分情報Irには、各部材の部材ランクを決定するための部材の状態、品質のランク区分が含まれる。
ここで図6を参照して、ランク区分情報Irの一例について説明する。部材ランクは、部材状態ランクと部材品質ランクに基づいて決定される。図6(a)には部材状態ランクのランク区分情報Ir1、図6(b)には部材品質ランクのランク区分情報Ir2を示す。
図6(a)において、部材状態ランクは、「項目」欄81に示される項目(a)累積使用時間、項目(b)メンテナンス回数、項目(c)最終メンテナンス後の経過時間、に基づいて決定される。累積使用時間は、生産状況情報Ilbに基づいて算出される。メンテナンス回数、最終メンテナンス後の経過時間は、保守情報Imに含まれている。「項目数」欄82には「部材状態ランク」欄83に示す部材状態ランクを決める内容が示されている。この例での部材状態ランクは、項目(a)〜(c)の「全項目が閾値内」の場合は「Excellent」、「1項目が閾値外」の場合は「Good」、「2項目が閾値外」の場合は「Bad」、「全項目が閾値外」の場合は「Disabled」と指定されている。
図6(b)において、部材品質ランクは、「項目」欄84に示される項目(d)部品実装回数あたりのエラー率、項目(e)使用期間あたりのエラー率、項目(f)部材の評価情報、に基づいて決定される。部品実装回数あたりのエラー率、使用期間あたりのエラー率は、生産状況情報Ilbに基づいて算出される。部材の評価情報は、設備の精度検証によって得られた工程能力指数や、設備の劣化状態に対する作業者の主観的判断などの情報をもとに、作業者によって入力される。「項目数」欄85には「部材品質ランク」欄86に示す部材品質ランクを決める内容が示されている。
この例での部材品質ランクは、項目(d)〜(f)の「全項目が閾値内」の場合は「Excellent」、「1項目が閾値外」の場合は「Good」、「2項目が閾値外」の場合は「Bad」、「全項目が閾値外」の場合は「Disabled」と指定されている。図6(a)、図6(b)において、項目(a)〜(f)の閾値は、実績や経験に基づいて決められる。また、部材状態ランク、部材品質ランクを決める項目は、上記の例に限定されることはなく、適宜、部材の種類や要求される実装品質などに応じて決められる。
図3において、評価取得部41bは、部材品質ランクを決めるための部材の評価情報を取得する。より具体的には、部材の外観や実装基板の生産におけるエラーの頻度などに基づいて、作業者が携帯端末11のタッチパネル13に入力した部材の評価情報を、評価取得部41bが無線通信部47を介して取得して保有部材情報Icaに記憶させる。
ランク決定部41cは、保守情報Im、生産状況情報Ilb、ランク区分情報Irに基づいて、実装基板の生産で使用可能な複数の保有部材の部材ランクを決定し、決定した部材ランクを各保有部材に紐付けた保有部材情報Icaを作成して部材記憶部42に記憶させる。すなわち、部材ランクは、部材の累積使用時間、メンテナンス回数、最終メンテナンス後の経過時間の少なくともひとつに基づいて設定された部材状態ランク(図6(a)参照)と、部材の部品実装回数あたりのエラー率、部材の使用期間あたりのエラー率、部材の評価情報の少なくともひとつに基づいて設定された部材品質ランク(図6(b)参照)に基づいて決定される。
ここで図7〜図9を参照して、保有部材情報Ica(Icb)について説明する。図7に、吸着ノズル18bの保有部材情報Ica1(Icb1)の一例を示す。吸着ノズル18bの保有部材情報Ica1(Icb1)には、「ノズル番号」欄91に部材番号、「ノズル種別」欄92に部材の種別、「対応部品形状」欄93に吸着可能な部品Dの形状、「対応部品サイズ」欄94に吸着可能な部品Dのサイズ、「対応実装間隔」欄95に基板Bに実装可能な隣接部品との最小間隔、「部材状態ランク」欄96に現在の部材状態ランク、「部材品質ランク」欄97に現在の部材品質ランク、「部材ランク」欄98に現在の部材ランクが含まれている。
図8に、テープフィーダ17の保有部材情報Ica2(Icb2)の一例を示す。テープフィーダ17の保有部材情報Ica2(Icb2)には、「フィーダ番号」欄101に部材番号、「フィーダ種別」欄102に部材の種別、「対応テープサイズ」欄103に装着可能なキャリヤテープTのサイズ、「部材状態ランク」欄104に現在の部材状態ランク、「部材品質ランク」欄105に現在の部材品質ランク、「部材ランク」欄106に現在の部材ランクが含まれている。
図9に、実装ヘッド18の保有部材情報Ica3(Icb3)の一例を示す。実装ヘッド18の保有部材情報Ica3(Icb3)には、「ヘッド番号」欄111に部材番号、「ヘッド種別」欄112に部材の種別、「ノズル数」欄113に実装ヘッド18に装着可能な吸着ノズル18bの数、「対応部品サイズ」欄114に実装可能な部品Dのサイズ、「部材状態ランク」欄115に現在の部材状態ランク、「部材品質ランク」欄116に現在の部材品質ランク、「部材ランク」欄117に現在の部材ランクが含まれている。これらの例では、ランク決定部41cは、部材状態ランクと部材品質ランクのうちの悪い方を部材ランクとして決定している。
図3において、準備指示取得部41dは、管理コンピュータ2より後述する実装基板の生産で使用する使用部材を準備するための準備指示を含む準備指示情報Peaを取得して、準備指示情報Pebとして部材記憶部42に記憶させる。処理指示取得部41eは、管理コンピュータ2より後述する要求部材ランクを満たさないランク未達部材をメンテナンスするための処理指示を含む処理指示情報Pmaを取得して、処理指示情報Pmbとして部材記憶部42に記憶させる。
図3において、管理コンピュータ2は、管理制御部51、管理記憶部52、入力部53、表示部54、通信部55、無線通信部56を備えている。入力部53は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部54は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部53による操作のための操作画面などの各種画面の他、各種情報を表示する。通信部55は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して生産計画装置3、部材管理装置7、ライン管理装置10との間で信号、情報の授受を行う。無線通信部56は、携帯端末11と無線で通信して情報の授受を行う。
管理制御部51はCPU機能を備える演算装置であり、生産情報取得部51a、要求ランク決定部51b、適合部材抽出部51c、使用部材選択部51d、部材準備指示部51e、未達部材抽出部51f、部材処理指示部51gなどの内部処理部を有している。管理記憶部52は記憶装置であり、基板情報Ibb、部品情報Idb、生産計画情報Ipb、保有部材情報Icb、要求ランク情報Ial、適合部材情報Iad、使用部材情報Isd、準備指示情報Pea、未達部材情報Iud、処理指示情報Pmaなどを記憶する。
図3において、生産情報取得部51aは、生産計画装置3から基板情報Iba、部品情報Ida、実装基板の生産計画を含む生産計画情報Ipaを、部材管理装置7から保有部材情報Icaを取得して、それぞれ基板情報Ibb、部品情報Idb、生産計画情報Ipb、保有部材情報Icbとして管理記憶部52に記憶させる。
要求ランク決定部51bは、生産情報取得部51aが取得した基板情報Ibbと部品情報Idb(図5参照)に基づいて、実装基板の生産に適した部材の要求部材ランクを決定して、要求ランク情報Ialとして管理記憶部52に記憶させる。その際、要求ランク決定部51bは、基板Bに実装される部品Dとその部品Dに隣接する部品Dとの間隔(実装間隔)に基づいて要求ランクを決定する。要求ランク決定部51bは、基板情報Ibbに含まれる実装基板における部品Dの実装位置と、部品情報Idbに含まれる部品Dの形状、サイズに基づいて、実装間隔を算出する。これによって、必要な実装品質を実現することができる部材を適切に準備することができる。
ここで図10を参照して、要求ランク情報Ialの一例について説明する。要求ランク情報Ialには、「部品名」欄121に実装基板に実装される部品Dの種別、「形状」欄122に部品Dの形状、「サイズ」欄123に部品Dのサイズ、「最小実装間隔」欄124に隣接する部品Dとの最小間隔、「部品数」欄125に実装基板に実装される部品Dの数、「吸着ノズル」欄126に部品Dを吸着する吸着ノズル18bの要求部材ランク、「テープフィーダ」欄127に部品Dを供給するテープフィーダ17の要求部材ランク、「実装ヘッド」欄128に部品Dを実装する実装ヘッド18の要求部材ランクが含まれている。ここでは、4つの種別の部品D(PA01、PA02、PA03、PA08)の要求ランクが含まれている。
図3において、適合部材抽出部51cは、生産情報取得部51aが取得した生産計画情報Ipbと保有部材情報Icb(図7〜図9参照)に基づいて、複数の保有部材の中から要求ランク決定部51bが決定した要求部材ランク(要求ランク情報Ial(図10参照))に適合する適合部材を抽出して、適合部材情報Iadとして管理記憶部52に記憶させる。
ここで図11〜図13を参照して、適合部材情報Iadについて説明する。図11に、吸着ノズル18bの適合部材情報Iad1の一例を示す。吸着ノズル18bの適合部材情報Iad1には、「部品名」欄131に実装基板に実装する部品Dの種別、「ノズル番号」欄132に部材番号、「ノズル種別」欄133に部材の種別、「要求部材ランク」欄134に部品Dを吸着する吸着ノズル18bの要求部材ランク、「部材ランク」欄135に吸着ノズル18bの現在の部材ランクが含まれている。ここでは、部品D(PA01)および部品D(PA02)を吸着する吸着ノズル18bとしてNA01とNA02、およびNA01とNA02とNB01と複数の適合部材が抽出されている。
図12に、テープフィーダ17の適合部材情報Iad2の一例を示す。テープフィーダ17の適合部材情報Iad2には、「部品名」欄141に実装基板に実装する部品Dの種別、「フィーダ番号」欄142に部材番号、「フィーダ種別」欄143に部材の種別、「要求部材ランク」欄144に部品Dを供給するテープフィーダ17の要求部材ランク、「部材ランク」欄145にテープフィーダ17の現在の部材ランクが含まれている。ここでは、各部品D(PA01〜PA03、PA08)を供給するテープフィーダ17として複数の適合部材(FA01〜FA04)が抽出されている。
図13に、実装ヘッド18の適合部材情報Iad3の一例を示す。実装ヘッド18の適合部材情報Iad3には、「部品名」欄151に実装基板に実装する部品Dの種別、「ヘッド番号」欄152に部材番号、「ヘッド種別」欄153に部材の種別、「要求部材ランク」欄154に部品Dを実装する実装ヘッド18の要求部材ランク、「部材ランク」欄155に実装ヘッド18の現在の部材ランクが含まれている。ここでは、部品D(PA08)を実装する実装ヘッド18としてHA01とHB01と複数(2つ)の適合部材が抽出されている。
なお、これらの例の適合部材抽出部51cが抽出する適合部材の部材ランクには、その部材を実装基板の生産に使用するために準備(部材庫9から払出)する時に予想される予想部材ランクが使用されている。より具体的には、その部材が対象実装基板の生産に使用されるまでにメンテナンスする予定がある場合は、予想部材ランクはメンテナンス後に予想される部材ランクが使用される。
また、その部材が対象実装基板の生産に使用される前に他の生産にも使用される場合は、予想部材ランクは生産に使用された後の累積使用時間などに基づいて予想される部材ランクが使用される。これによって、対象実装基板の生産開始までに時間がある場合であっても、より正確な部材ランクに基づいて、実装基板の生産で使用する部材を適切に準備することができる。
図3において、使用部材選択部51dは、適合部材抽出部51cが抽出した適合部材(図11〜図13参照)の中から実装基板の生産で使用する使用部材を選択して、使用部材情報Isdとして管理記憶部52に記憶させる。
ここで図14を参照して、使用部材情報Isdについて説明する。図14(a)に、吸着ノズル18bの使用部材情報Isd1の一例を示す。吸着ノズル18bの使用部材情報Isd1には、「ノズル番号」欄161に部材番号、「ノズル種別」欄162に部材の種別、「要求部材ランク」欄163に要求部材ランク、「部材ランク」欄164に現在の部材ランクが含まれている。
図14(b)に、テープフィーダ17の使用部材情報Isd2の一例を示す。テープフィーダ17の使用部材情報Isd2には、「フィーダ番号」欄165に部材番号、「フィーダ種別」欄166に部材の種別、「要求部材ランク」欄167に要求部材ランク、「部材ランク」欄168に現在の部材ランクが含まれている。図14(c)に、実装ヘッド18の使用部材情報Isd3の一例を示す。実装ヘッド18の使用部材情報Isd3には、「ヘッド番号」欄169に部材番号、「ヘッド種別」欄170に部材の種別、「要求部材ランク」欄171に要求部材ランク、「部材ランク」欄172に現在の部材ランクが含まれている。
図3において、部材準備指示部51eは、使用部材選択部51dが選択した使用部材を準備する指示を生成して、準備指示情報Peaとして管理記憶部52に記憶させる。
ここで図15を参照して、準備指示情報Pea(Peb,Pec)の一例について説明する。準備指示情報Peaには、「部材番号」欄181に準備する吸着ノズル18b、テープフィーダ17、実装ヘッド18などの部材の部材番号、「部材種別」欄182に部材の種別、「要求部材ランク」欄183に準備する部材の要求部材ランクが含まれている。
図3において、未達部材抽出部51fは、適合部材抽出部51cが実装基板の生産に必要な数の適合部材を抽出できない場合、複数の保有部材のうち、要求部材ランクを満たさないランク未達部材を抽出して、未達部材情報Iudとして管理記憶部52に記憶させる。
ここで図16を参照して、未達部材情報Iudについて説明する。図16(a)に、吸着ノズル18bの未達部材情報Iud1の一例を示す。吸着ノズル18bの未達部材情報Iud1には、「ノズル番号」欄191に部材番号、「ノズル種別」欄192に部材の種別、「要求部材ランク」欄193に要求部材ランク、「部材ランク」欄194に現在の部材ランクが含まれている。ここでは、吸着ノズル18bの使用部材情報Isd1(図14(a)参照)のうち、ノズル番号がNA02とND01の2つの吸着ノズル18bがランク未達部材として抽出されている。
図16(b)に、テープフィーダ17の未達部材情報Iud2の一例を示す。テープフィーダ17の未達部材情報Iud2には、「フィーダ番号」欄195に部材番号、「フィーダ種別」欄196に部材の種別、「要求部材ランク」欄197に要求部材ランク、「部材ランク」欄198に現在の部材ランクが含まれている。ここでは、テープフィーダ17の使用部材情報Isd2(図14(b)参照)のうち、フィーダ番号がFA02のテープフィーダ17がランク未達部材として抽出されている。
図16(c)に、実装ヘッド18の未達部材情報Iud3の一例を示す。実装ヘッド18の未達部材情報Iud3には、「ヘッド番号」欄199に部材番号、「ヘッド種別」欄200に部材の種別、「要求部材ランク」欄201に要求部材ランク、「部材ランク」欄202に現在の部材ランクが含まれている。ここでは、実装ヘッド18の使用部材情報Isd3(図14(c)参照)には、現在の部材ランクが要求部材ランクを満たさない実装ヘッド18が存在しないため、ランク未達部材は抽出されていない。
図3において、部材処理指示部51gは、未達部材抽出部51fが抽出したランク未達部材の現在の部材ランクが要求部材ランクを満たすためのメンテナンスなどの処理をする指示を生成して、処理指示情報Pmaとして管理記憶部52に記憶させる。また、部材処理指示部51gは、ランク未達部材の処理に要する時間などに基づいて、その部材が実装基板の生産に必要となる日時までにランク未達部材の処理が終了しないと判断した場合は、その旨を管理コンピュータ2の表示部54に報知させる。なお、その旨を携帯端末11または部材管理装置7に送信し、携帯端末11のタッチパネル13または部材管理装置7の表示部44に報知させるようにしてもよい。
ここで図17を参照して、処理指示情報Pma(Pmb,Pmc)の一例について説明する。処理指示情報Pmaには、「部材番号」欄211に処理をする吸着ノズル18b、テープフィーダ17、実装ヘッド18などの部材の部材番号、「部材種別」欄212に部材の種別、「要求部材ランク」欄213に処理後に期待される要求部材ランク、「部材ランク」欄214に現在の部材ランク、「終了予定日時」欄215に処理が終了することが期待される日時が含まれている。
次に図4を参照して、携帯端末11の制御系の構成について説明する。携帯端末11は、端末制御部61、端末記憶部62、端末側通信部12、タッチパネル13を備えている。端末側通信部12は、無線通信によって管理コンピュータ2、部材管理装置7との間で情報の授受を行う。端末制御部61はCPU機能を備える演算装置であり、指示取得部61a、表示処理部61bなどの内部処理部を有している。端末記憶部62は記憶装置であり、準備指示情報Pec、処理指示情報Pmcなどを記憶する。指示取得部61aは、管理コンピュータ2から準備指示情報Pea(図15参照)、処理指示情報Pma(図17参照)を取得して、準備指示情報Pec、処理指示情報Pmcとして端末記憶部62に記憶させる。
表示処理部61bは、準備指示情報Pecに基づいて、作業者が実装基板の生産に使用する部材を準備(払出)するための操作画面を作成してタッチパネル13に表示させる。また、表示処理部61bは、処理指示情報Pmcに基づいて、作業者がランク未達部材の部材ランクが要求部材ランクを満たすための部材の清掃、部材の調整、部材の評価情報の更新をするための操作画面を作成してタッチパネル13に表示させる。すなわち、部材処理指示部51gが指示する要求部材ランクを満たすための処理は、部材の清掃、部材の調整、部材の評価情報の更新の少なくともいずれかである。部材の清掃、調整(メンテナンス)によって、部材の状態を回復させて部品実装の品質、エラー率を適正な水準に保つことができる。
このように、管理コンピュータ2は、基板情報Iba(Ibb)と部品情報Ida(Idb)と生産計画情報Ipa(Ipb)と保有部材情報Ica(Icb)を取得する生産情報取得部51aと、実装基板の生産に適した部材(吸着ノズル18b、テープフィーダ17、実装ヘッド18)の要求部材ランクを決定する要求ランク決定部51bと、要求部材ランクに適合する適合部材を抽出する適合部材抽出部51cと、実装基板の生産で使用する使用部材を選択する使用部材選択部51dと、使用部材を準備する指示を生成する部材準備指示部51eを備える部材準備装置となる。この部材準備装置によって、実装基板の生産で使用する部材を必要な部材ランクに基づいて適切に準備することができる。
また、管理コンピュータ2は、基板情報Iba(Ibb)と部品情報Ida(Idb)と生産計画情報Ipa(Ipb)と保有部材情報Ica(Icb)を取得する生産情報取得部51aと、実装基板の生産に適した部材の要求部材ランクを決定する要求ランク決定部51bと、要求部材ランクに適合する適合部材を抽出する適合部材抽出部51cと、必要な数の適合部材を抽出できない場合、複数の所有部材のうち要求部材ランクを満たさないランク未達部材を抽出する未達部材抽出部51fと、ランク未達部材の部材ランクが要求部材ランクを満たすための処理をする指示を生成する部材処理指示部51gを備える部材処理装置となる。この部材処理装置によって、部材を実装基板の生産で使用するのに適切なタイミングでメンテナンスなどの処理をすることができる。
次に図18のフローに沿って、部品実装システム1における部材管理方法について説明する。まず管理コンピュータ2において、生産情報取得部51aは、基板情報Ibb、部品情報Idb、生産計画情報Ipb、保有部材情報Icbを取得する(ST1:生産情報取得工程)。次いで要求ランク決定部51bは、実装基板に実装される部品Dの実装位置を含む基板情報Ibbと、実装基板に実装される部品の部品情報Idb(図5参照)に基づいて、実装基板の生産に適した部材(吸着ノズル18b、テープフィーダ17、実装ヘッド18)の要求部材ランク(要求ランク情報Ial(図10参照))を決定する(ST2:要求ランク決定工程)。
次いで適合部材抽出部51cは、実装基板の生産計画(生産計画情報Ipb)と、実装基板の生産で使用可能な複数の保有部材のそれぞれに部材ランクを紐付けた保有部材情報Icb(図7〜図9参照)に基づいて、複数の保有部材の中から要求ランク決定工程(ST2)で決定された要求部材ランクに適合する適合部材(適合部材情報Iad(図11〜図13参照))を抽出する(ST3:適合部材抽出工程)。なお、適合部材抽出工程(ST3)で抽出される適合部材の部材ランクは、現在の部材ランクに限定されることなく、その部材を準備する時に予想される予想部材ランクであってもよい。これによって、部材を適切に準備、メンテナンス(処理)することができる。
図18において、次いで未達部材抽出部51fは、適合部材抽出工程(ST3)において実装基板の生産に必要な数の適合部材が抽出できたか否かを判断する(ST4:適合部材数判断工程)。実装基板の生産に必要な数の適合部材が抽出できない場合(ST4においてNo)、未達部材抽出部51fは、複数の保有部材のうち、要求部材ランクを満たさないランク未達部材(未達部材情報Iud(図16参照))を抽出する(ST5:ランク未達部材抽出工程)。次いで未達部材抽出部51fは、ランク未達部材のメンテナンスなどの処理がその部材の使用日時に間に合うか否かを判断する(ST6:納期判断処理)。
処理が使用日時に間に合わない場合(ST6においてNo)、処理が使用日時に間に合わない旨が管理コンピュータ2の表示部54、または携帯端末11のタッチパネル13、部材管理装置7の表示部44に報知される(ST7:報知工程)。処理が使用日時に間に合う場合(ST6においてYes)、部材処理指示部51gは、ランク未達部材抽出工程(ST5)で抽出されたランク未達部材の部材ランクが要求部材ランクを満たすための処理をする指示(処理指示情報Pma(図17参照))を生成する(ST8:部材処理指示工程)。
図18において、次いで部材管理エリア4において、処理指示(処理指示情報Pmb)を取得した部材管理装置7のプリンタ45が印刷した指示、処理指示(処理指示情報Pmc)を取得した携帯端末11のタッチパネル13に表示された指示などに従って、作業者によって部材の清掃、部材の調整のメンテナンスや、部材の評価情報の更新などの処理が実行される(ST9:処理実行工程)。これによって、ランク未達部材の部材ランクが要求部材ランクを満たす適合部材となる。
適合部材数判断工程(ST4)において実装基板の生産に必要な数の適合部材が抽出できたと判断された場合(ST4においてNo)、または、処理実行工程(ST9)が実行されてランク未達部材が適合部材となった場合、もしくは、処理実行工程(ST9)が実行される見込みがある場合は、実装基板の生産に必要な数の適合部材があることになる。そこで、使用部材選択部51dは、適合部材抽出工程(ST3)で抽出された適合部材の中から実装基板の生産で使用する使用部材(使用部材情報Isd(図14参照))を選択する(ST10:使用部材選択工程)。
次いで部材準備指示部51eは、使用部材選択工程(ST10)で選択した使用部材を準備する指示(準備指示情報Pea(図15参照))を生成する(ST11:部材準備指示工程)。次いで部材管理エリア4において、準備指示(準備指示情報Peb)を取得した部材管理装置7のプリンタ45が印刷した指示、準備指示(準備指示情報Pec)を取得した携帯端末11のタッチパネル13に表示された指示などに従って、作業者によって使用部材の準備(払出)が実行される(ST12:準備実行工程)。これによって、部材ランクが要求部材ランクを満たす実装基板の生産で使用される使用部材が準備(払出)される。
上記説明した部材管理方法において、要求ランク決定工程(ST2)、適合部材抽出工程(ST3)、使用部材選択工程(ST10)、部材準備指示工程(ST11)を含むフローは、使用部材を準備する部材準備方法となる。部材準備方法によって、実装基板の生産で使用する部材を必要な部材ランクに基づいて適切に準備することができる。
また、上記説明した部材管理方法において、要求ランク決定工程(ST2)、適合部材抽出工程(ST3)、ランク未達部材抽出工程(ST5)、部材処理指示工程(ST8)を含むフローは、ランク未達部材の部材ランクが要求部材ランクを満たすための処理をする部材処理方法となる。部材処理方法によって、部材を実装基板の生産で使用するのに適切なタイミングで処理することができる。