本発明が適用された遊技機の実施例1としてのスロットマシンを図面を用いて説明すると、本実施例のスロットマシン1は、図1に示すように、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
本実施例のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bの略中央に設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図3参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
前面扉1bの各リール2L、2C、2Rの手前側(遊技者側)の位置には、液晶表示器51(図1参照)の表示領域51aが配置されている。液晶表示器51は、液晶素子に対して電圧が印加されていない状態で透過性を有する液晶パネルを有しており、表示領域51aの透視窓3に対応する透過領域51b及び透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。また、表示領域51aの裏面には、裏面側から表示領域51aを照射するための導光板(図示略)が設けられているとともに、さらにその裏面には、表示領域51aのうち透過領域51bを除く領域に内部を隠蔽する隠蔽部材(図示略)が設けられている。液晶表示器51は、液晶素子を、導光板により照射された光を通過させる状態と通過させない状態とのいずれかに制御することにより、表示態様を変化させることが可能な表示装置である。
前面扉1bの上部には、図1に示すように、横手長方形の平面状に形成された平面部59aとキャラクタ等の立体形状に造形された立体部59bとを有する被投影体59が設けられている。被投影体59の平面部59a及び立体部59bは、共に、後述するプロジェクタ57から投影された映像を投影側とは反対側に透過させる透過性を有する透過型スクリーンからなり、後述するプロジェクタ57から投射された映像や画像が遊技者側から視認できるようになっている。
前面扉1bには、図1に示すように、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、後述のメダルセレクタ29内に詰まったメダルを排出させる際に操作される返却スイッチ26が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
尚、本実施例では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。
また、前面扉1bには、図1に示すように、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図3参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図3参照)がそれぞれ設けられている。
前面扉1bの内側には、所定のキーによる後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、所定の契機に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、所定の契機に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30(図3参照)、後述する後通路板145を開放するための返却ソレノイド27、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31(図3参照)を有するメダルセレクタ29、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図3参照)が設けられている。
筐体1a内部には、図2に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R(図3参照)、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図3参照)からなるリールユニット2が設けられているとともに、後述の表示制御回路92から出力される出力映像に基づく映像を前述の被投影体59に投影するプロジェクタ57、プロジェクタ57により投射された投射光を被投影体59の内側に向けて反射させる反射板58(図5参照)、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000(図3参照)、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b(図3参照)、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34c(図3参照)からなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
プロジェクタ57は、被投影体59に映像を投影する投影装置57a(図3参照)と、投影装置57aにより投影されて被投影体59に表示されている表示映像を撮影する撮影装置57b(図3参照)と、投影装置57aと撮影装置57bとを制御する投影制御装置57c(図3参照)と、投影制御装置57cを筐体1aの外部から操作するためのリモコン装置57d(図3参照)と、から構成される。投影制御装置57cは、表示制御回路92からの出力映像に基づいて投影装置57aにより投影させる投影映像を生成して、投影映像を投影装置57aに対して出力し、投影装置57aに投影映像を投影させるように制御するとともに、投影制御装置57cは、投影映像を生成する際に、後述する補正データを用いて出力映像を所定の関係性を維持しつつ変換することで投影映像を補正できるようになっている。また、投影制御装置57cは、後述する自動補正処理において、撮影装置57bを制御して、被投影体59に表示されている表示映像を撮影できるようになっている。また、リモコン装置57dは、プロジェクタ57本体とは別体として構成されており、筐体1aの外部に持ち出し可能であるとともに、複数のボタンを備えており、操作されたボタンに応じた無線信号を投影制御装置57cに対して送信可能となっている。
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な満タンセンサ35a(図3参照)が設けられている。
電源ボックス100の前面には、図2に示すように、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては入賞の発生を許容するか否かを決定する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
尚、電源ボックス100は、筐体1aの内部に設けられており、さらに前面扉1bは、前述のように店員等が所持する所定のキー操作により開放可能な構成であるため、これら電源ボックス100の前面に設けられた設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39は、キーを所持する店員等の者のみが操作可能とされ、遊技者による操作ができないようになっている。また、所定のキー操作により検出されるリセットスイッチ23も同様である。特に、設定キースイッチ37は、キー操作により前面扉1bを開放したうえで、さらにキー操作を要することから、遊技場の店員のなかでも、設定キースイッチ37の操作を行うキーを所持する店員のみ操作が可能とされている。また、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36bも、筐体1aの内部に設けられており、遊技場の店員によるキー操作により前面扉1bを開放しなければ操作できないことから、遊技場に設置されている場合に、遊技場の店員のみが操作可能とされ、遊技者が操作することはできないようになっている。
また、図1に示すように、前面扉1bの正面視右側の略中央位置には、前面扉1bを開放するためのキー(図示略)が挿入可能な鍵穴部117が配設されているとともに、前面扉1b内部にはキーシリンダ(図示略)が設けられ、前面扉1bが筐体1aの開口を閉塞した状態ではキーシリンダにより施錠され、開放不能とされるとともに、鍵穴部117に挿入された所定のキーによる解錠操作により解錠されることで、前面扉1bを開放可能とされている。
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインLN(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組み合わせが入賞図柄の組み合わせであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図1に示すように、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインLNのみが入賞ラインとして定められている。尚、本実施例では、1本の入賞ラインのみを適用しているが、複数の入賞ラインを適用しても良い。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、予め定められた図柄の組み合わせ(以下、役とも呼ぶ)が、入賞ラインLN上に各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。また、入賞ラインLN上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組み合わせが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組み合わせに応じた遊技状態に移行するようになっている。
尚、本実施例では、スタートスイッチ7の操作が有効な状態でスタートスイッチ7の操作が検出されたときにゲームが開始し、全てのリールが停止したときにゲームが終了する。また、ゲームを実行するための1単位の制御(ゲーム制御)は、前回のゲームの終了に伴う全ての制御が完了したときに開始し、当該ゲームの終了に伴う全ての制御が完了したときに終了する。
また、本実施例では、3つのリールを用いた構成を例示しているが、リールを1つのみ用いた構成、2つのリールを用いた構成、4つ以上のリールを用いた構成としても良く、2以上のリールを用いた構成においては、2以上の全てのリールに導出された表示結果の組み合わせに基づいて入賞を判定する構成とすれば良い。また、本実施例では、物理的なリールにて可変表示装置が構成されているが、液晶表示器などの画像表示装置やプロジェクタなどの映像表示装置にて可変表示装置が構成されていても良い。
また、本実施例におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
このため、例えば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの中段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、前述したMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、返却スイッチ26、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、返却中LED28、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、返却ソレノイド27、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、メイン制御部41、制御用クロック生成回路42、乱数用クロック生成回路43、スイッチ検出回路44、モータ駆動回路45、ソレノイド駆動回路46、LED駆動回路47、電断検出回路48、リセット回路49が搭載されている。
メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
制御用クロック生成回路42は、メイン制御部41の外部にて、所定周波数の発振信号となる制御用クロックCCLKを生成する。乱数用クロック生成回路43は、メイン制御部41の外部にて、制御用クロックCCLKの発振周波数とは異なる所定周波数の発振信号となる乱数用クロックRCLKを生成する。
スイッチ検出回路44は、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を取り込んでメイン制御部41に伝送する。モータ駆動回路45は、メイン制御部41から出力されたモータ駆動信号をリールモータ32L、32C、32Rに伝送する。ソレノイド駆動回路46は、メイン制御部41から出力されたソレノイド駆動信号を流路切替ソレノイド30、返却ソレノイド27に伝送する。LED駆動回路47は、メイン制御部41から出力されたLED駆動信号を遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDに伝送する。電断検出回路48は、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する。リセット回路49は、電源投入時または電源遮断時などの電源が不安定な状態においてメイン制御部41にシステムリセット信号を与える。
本実施例においてメイン制御部41は、サブ制御部91に各種のコマンドを送信する。メイン制御部41からサブ制御部91へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、サブ制御部91からメイン制御部41へ向けてコマンドが送られることはない。
演出制御基板90には、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、演出用スイッチ56、プロジェクタ57等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
尚、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、演出用スイッチ56、プロジェクタ57等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
また、本実施例では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、演出用スイッチ56、プロジェクタ57を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置なども演出装置として適用しても良い。
演出制御基板90には、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51及びプロジェクタ57の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
次に、前面扉1bに設けられた被投影体59の詳細な構造について説明する。図4(a)は、被投影体59の正面図であり、図4(b)は、被投影体59の背面図であり、図4(c)は、図4(a)におけるA−A部分の断面図である。図5は、被投影体59が前面扉1bに取り付けられ、プロジェクタ57から被投影体59に映像が投影されている態様を示す側断面図である。
被投影体59は、上述のように平面部59aと立体部59bとを有しており、平面部59aは、図4(a)、(b)に示すように、被投影体59の略中央から下方にわたって形成されるとともに、図4(c)に示すように、平面部59aの上部側ほど遊技者に近づくように前側に傾斜して形成されている。また、平面部59aの前面側には、平面部59aの周囲を囲うように枠部59fが前面側に突出して形成されており、平面部59aの背面側には、図4(b)に示すように、平面部59aの4つの角部に対応する位置に上述の撮影装置57bにより撮影可能なマーカ59eが設けられている。一方で、立体部59bは、図4(a)、(c)に示すように、表情の無いキャラクタや背景物等の輪郭形状や起伏形状が立体的に形成されている。そして、被投影体59は、図4(c)に示すように、その内部が空洞状に形成され、平面部59a及び立体部59bと対向する背面側に開口部59cが設けられている。
図5に示すように、被投影体59は、開口部59cが筐体1aの前面の開口と対向するように前面扉1bの透視窓3の上方に設置される。一方で、プロジェクタ57は、投影装置57aから投射される投射光を筐体1aの背面側方向に投射するように配置され、リールユニット2の上部に固定されている。また、筐体1aの内部において、筐体1aを構成する背面板には、投影装置57aからの投射光を反射する反射板58が設けられている。反射板58は、プロジェクタ57からの投射光を被投影体59の内面に向けて反射させるように、その屈折角や反射率、形状、設置角度等が調整されて、投射光の光軸上の対応する位置に設置されている。これにより、前面扉1bが筐体1aに対して閉じられた状態で、プロジェクタ57の投影装置57aから反射板58に向けて投射された投射光が、反射板58により反射されて平面部59a及び立体部59bに達することで、図6に示すように、平面部59a及び立体部59bにプロジェクタ57から投射された映像が投影されるようになっている。
図6に示すように、プロジェクタ57は、投影パターンに基づいて出力される表示制御回路92からの制御信号に応じて、平面部59aに投影される主演出映像と立体部59bに投影される副演出映像とを投射可能である。主演出映像は、演出内容(色、キャラクタ等)の違いにより内部抽選で当選している可能性の高い役を示唆する当選役示唆演出、遊技者にとって有利となる停止順を報知するナビ演出などの演出映像であり、副演出映像は、立体部59bに形成されたキャラクタの表情やキャラクタ背景の色彩、模様などの演出映像である。一方、液晶表示器51では、表示制御回路92からの制御信号に応じて、表示領域51aに映像を表示可能である。これにより、本実施例のスロットマシン1では、プロジェクタ57と液晶表示器51とにより映像による演出を実行できるようになっている。
このように本実施例では、プロジェクタ57により立体物(被投影体59)に対して映像を投影するようになっており、例えば、立体物の模様、色等を変えることにより同じキャラクタを模した立体物であっても異なるキャラクタに見せたりすること、立体物に形成された顔の表情を変えたり、手、足などのパーツが動いているように見せることも可能である。また、本実施例では、投影対象となる被投影体59が固定された構成であるが、これら投影対象物が移動可能となる構成としても良く、このような構成の場合には、投影対象物の移動に合わせて映像を投影することにより、移動する立体物内の模様、色等を変えたり、顔の表情を変えたり、手、足などのパーツが動いているように見せることも可能となる。
図7に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41から送信されたコマンドに基づいてドア開放検出スイッチ25がOFFの状態となり前面扉1bの開放状態が検出されると、直ちにプロジェクタ57による投射を停止させ、ドア開放検出スイッチ25がONの状態となり前面扉1bの閉鎖状態が検出された後に、プロジェクタ57による投射を再開するようになっている。また、サブ制御部91は、前面扉1bの開放状態が検出されているときには、前面扉1bが開放状態にある旨を示すドア開放報知を行うようになっている。ドア開放報知では、サブ制御部91が液晶表示器51や演出効果LED52、スピーカ53、54を制御することで、図8に示すように、前面扉1bが開放状態にある旨を示す映像やメッセージを液晶表示器51に表示させたり、前面扉1bが開放状態にある旨を示す音声等をスピーカ53、54から出力させたりすることで前面扉1bが開放状態にある旨を報知する。
また、サブ制御部91は、ホッパーエンプティやメダル満タン、メダル詰まり等のエラーが発生している場合には、プロジェクタ57と液晶表示器51とによる映像と、エラー報知音をスピーカ53、54から出力させることによってエラー報知を行うとともに、前面扉1bの開放状態が検出されると、直ちにプロジェクタ57による投射を停止させる一方、液晶表示器51による映像と、エラー報知音の出力と、によってエラー報知を継続し、ドア開放検出スイッチ25がONの状態となり前面扉1bの閉鎖状態が検出された後も、エラーが継続している場合には、再びプロジェクタ57と液晶表示器51とによる映像と、エラー報知音をスピーカ53、54から出力させることによってエラー報知を行うようになっている。尚、エラー報知をプロジェクタによる映像を用いずに液晶表示器51による映像やエラー報知音等だけで報知する構成でも良い。
本実施例のサブ制御部91は、電断から復帰した際に、被投影体59に投影された映像の表示態様が予め定められた特定の表示態様からずれている場合、または、プロジェクタ57のリモコン装置57dにより所定の操作が行われた場合に、被投影体59に投影された映像の表示態様を特定の表示態様に補正するための補正モードを開始させることが可能となっている。以下、サブ制御部91による補正モードに関する制御について図9〜12に基づいて説明する。
サブ制御部91は、電断からの復帰時に行われる復帰処理において、電断から復帰した旨を示す復帰フラグをRAM91cに設定し、その後、定期的に実行されるタイマ割込処理(サブ)において補正モードを開始するための補正処理を実行する。
図9に示すように、補正処理では、まず、RAM91cを参照して復帰フラグが設定されているか否かに基づいて、電断復帰時であるか否かを判定する(Sa01)。復帰フラグが設定されており、電断復帰時であると判定した場合には、RAM91cの復帰フラグをクリアしたうえで、特定の表示態様に対し、被投影体59に投影されている映像の表示態様のずれを検知するずれ検知処理をプロジェクタ57に実行させる(Sa02)。その後、プロジェクタ57の投影制御装置57cから出力されるずれ検知結果信号に基づいて、ずれが検知されたか否かを判定する(Sa03)。
ずれ検知処理では、プロジェクタ57の投影制御装置57cが、撮影装置57bにより撮影された被投影体59の内側の複数の画像に基づいて、投影装置57aにより投影される投影領域と被投影体59とのずれを検知する。投影制御装置57cは、上下左右の位置ズレ、上下左右の歪が無い状態で平面部59a上に特定の形状で投影される特定形状画像Pを、投影装置57aに投射させるように制御する。本実施例では、特定形状画像Pは、横長の長方形であり、上下左右位置、上下左右の歪を補正する必要が無い場合に、長方形状の画像の各頂点が上述の各マーカ59e上の特定の点と一致するようになっている。
投影制御装置57cは、投影装置57aに特定形状画像Pを投射させている状態で、撮影装置57bにより被投影体59の内面を撮影させ、得られた撮影画像に基づいて、特定形状画像Pの各頂点の位置を検出する。その後、投影制御装置57cは、投影装置57aによる投射を一旦停止させ、投射が停止された状態で撮影装置57bにより被投影体59の内面を撮影させ、得られた撮影画像に基づいて、平面部59aの角部に設けられた各マーカ59eの位置を検出する。そして、投影制御装置57cは、検出された特定形状画像Pの各頂点が各マーカ59e上の特定の点から所定距離内にあるか否かを判定し、少なくとも1つの特定形状画像Pの頂点がマーカ59e上の特定の点から所定距離以上離れている場合には、特定形状画像Pにより特定されるプロジェクタ57の投影領域と被投影体59とにずれが生じており、ずれを検知した旨を示すずれ検知結果信号をサブ制御部91に対して出力する。一方、特定形状画像Pの頂点がマーカ59e上の特定の点から所定距離以上離れていない場合には、特定形状画像Pにより特定されるプロジェクタ57の投影領域と被投影体59とにずれが生じておらず、ずれを検知しなかった旨を示すずれ検知結果信号をサブ制御部91に対して出力する。
Sa03のステップにおいて、ずれが検知されたと判定した場合には、補正モードを開始するか否かを確認する補正モード開始確認を実行する(Sa05)。補正モード開始確認では、図10(a)(b)に示すように、投影位置がずれている旨を示すとともにリモコン装置57dが操作されることで補正モードを開始する旨を示すメッセージをプロジェクタ57により被投影体59に投影させるとともに、一定時間にわたって演出効果LED52を点灯させつつ、スピーカ53、54からずれが検知された旨を示す音声を出力して、ずれが検知された旨を報知するずれ検知報知を実行する。また、図10(a)に示すように、被投影体59に投影されている映像の表示態様にずれが生じていない場合に、被投影体59の枠部59fの角部に一致するマーカ画像Mを被投影体59に投影させる。そして、この状態でリモコン装置57dに設けられている補正モード開始ボタンが操作されるまで待機する。
補正モード開始確認の状態で待機し、リモコン装置57dの補正モード開始ボタンが操作されると、補正モード開始する要求ありと判定して(Sa06)、補正モードを開始する(Sa07)。一方で、リモコン装置57dの補正モード開始ボタンが操作されることなく終了する旨の操作が行われると、補正モード開始する要求なしと判定して(Sa06)、当該補正処理の制御を終了させる。
Sa07のステップにおいて、補正モードを開始させた場合には、図10(c)に示すように、投影されている映像の位置等をプロジェクタ57により自動的に補正する自動補正を行うか、投影されている映像の位置等をリモコン装置57dの操作者による手動で補正する手動補正を行うかを、リモコン装置57dの操作により選択可能な旨を示すメッセージを表示して、リモコン装置57dの操作を促す。
そして、リモコン装置57dに設けられた自動補正ボタンが操作されたか手動補正ボタンが操作されたかを判定する。自動補正ボタンが操作されて、自動補正要求ありと判定した場合には(Sa08)、自動補正処理を実行する(Sa09)。
自動補正処理では、プロジェクタ57の投影制御装置57cが、撮影装置57bにより撮影された被投影体59の内側の複数の画像に基づいて、投影装置57aにより投影される投影映像の上下左右位置、上下左右の歪、フォーカスを補正する。
詳しくは、自動補正処理が開始されると、図11、図12に示すように、投影制御装置57cは、ずれ検知処理おいて用いられたものと同様の特定形状画像Pを、投影装置57aに投射させるように制御する。そして、ずれ検知処理と同様に、投影装置57aに特定形状画像Pを投射させている状態で撮影して得られた撮影画像に基づいて、特定形状画像Pの各頂点の位置を検出した後、投射が停止された状態で撮影して得られた撮影画像に基づいて、平面部59aの角部に設けられた各マーカ59eの位置を検出する。そして、投影制御装置57cは、検出された特定形状画像Pの各頂点と各マーカ59e上の特定の点とがそれぞれ一致するように特定形状画像Pを変換するための変換データを作成して、新たな補正データとして設定する。そして、変換データに基づいて投影装置57aから被投影体59に投影する全体映像を補正する補正データを作成し、新たな補正データとして設定する。設定された補正データは、投影装置57aにより投影される投影映像の全体に対して適用されるようになっており、被投影体59において特定形状画像Pが投影される範囲以外、すなわち立体部59bに投影される映像についても補正処理が行われる。
また、投影制御装置57cは、投影装置57aに含まれるレンズユニット(図示略)を制御して焦点位置の移動量を変化させつつ、投影装置57aに特定形状画像Pを投射させるとともに、撮影装置57bにより被投影体59の内面を複数回撮影させ、得られた複数の撮影画像における明度及び解像度の差分量に合わせて焦点位置の移動量を調整することで、投影装置57aのレンズユニットのフォーカスを最適値に設定する。
投影制御装置57cは、新たな補正データ及びフォーカスの最適値を設定すると、自動補正処理を終了する。
一方、Sa08のステップにおいて、手動補正ボタンが操作されて、自動補正要求ありと判定しなかった場は、手動補正処理を実行する(Sa10)。手動補正処理では、プロジェクタ57のリモコン装置57dの操作に基づいて、投影装置57aにより投影される投影映像の上下左右位置、上下左右の歪、フォーカスを補正する。
詳しくは、手動補正処理が開始されると、図10(d)に示すように、投影制御装置57cは、リモコン装置57dを操作することにより投影映像の上下左右位置、上下左右の歪、フォーカスを補正できる旨を示す案内画像を上述のマーカ画像Mとともに投影させる。案内画像では、リモコン装置57dの操作に応じて、補正を行っている補正項目と補正の度合いが表示されるようになっており、案内画像は、リモコン装置57dの操作が行われるごとに更新されるようになっている。投影制御装置57cは、リモコン装置57dが操作される毎に、その操作に基づいて被投影体59に投影する全体映像を補正する補正データを作成し、新たな補正データとして設定する。設定された補正データは、自動補正処理の場合と同様に、投影装置57aにより投影される投影映像の全体に対して適用されるようになっており、被投影体59においてマーカ画像Mが投影される範囲以外、すなわち立体部59bに投影される映像についても補正処理が行われる。
そして、投影制御装置57cは、設定された補正データに基づいて表示制御回路92からの出力映像を変換して投影装置57aにより投影映像を投影させるように制御する。これにより、リモコン装置57dの操作に基づいて補正されることで、当該操作に応じて移動された投影映像が被投影体59に表示され、補正結果を、リモコン装置57dの操作者が視認できるようになっている。そして、表示された補正結果に応じて、リモコン装置57dを繰り返し操作して、マーカ画像Mを被投影体59の枠部59fに一致させることで、投影映像を適切に補正できるようになっている。
投影制御装置57cは、リモコン装置57dにより手動補正処理を終了させる旨の操作
が行われることで、その操作時点での補正データを、新たな補正データとして設定し、手動補正処理を終了する。
自動補正処理及び手動補正処理の終了以後は、投影制御装置57cは、自動補正処理及び手動補正処理にて設定された新たな補正データを用いて表示制御回路92からの出力映像を変換して投影映像として投影装置57aに出力することとなる。
そして、サブ制御部91は、投影制御装置57cによる自動補正処理及び手動補正処理が終了すると、補正処理の制御を終了させる。また、サブ制御部91は、Sa01のステップにおいて、復帰フラグが設定されておらず、電断復帰時でないと判定した場合、及びSa03のステップにおいて、ずれが検知されていないと判定した場合には、リモコン装置57dが操作されたか否かを判定し(Sa11)、リモコン装置57dが操作された場合には、補正モード開始要求ありとしてSa06のステップを経てSa07のステップに移行し、補正モードを開始させる。一方で、Sa11のステップにおいてリモコン装置57dが操作されていないと判定した場合には、当該補正処理の制御を終了する。
以上のように、サブ制御部91により補正処理が行われることで、図11(a)、図12(a)に示すように、プロジェクタ57により投影される投影映像の位置が、正常な場合の位置や形状等からずれていた場合には、自動補正処理または手動補正処理により補正データが作成されることとなり、作成された新たな補正データを用いて投影制御装置57cが表示制御回路92からの出力映像を補正して生成した投影映像を投影装置57aに投影させることで、図11(b)、図12(b)に示すように、特定形状画像Pが平面部59a上に予め定められた特定の形状で表示されるようになり、プロジェクタ57により投影される投影映像を被投影体59に適切な態様で投影できる。
本実施例では、スロットマシン1の本体である筐体1aの前面に前面扉1bが取り付けられており、映像を投影するプロジェクタ57と、プロジェクタ57から投影された映像を投影側とは反対側に透過させるスクリーンからなる被投影体59とを備え、プロジェクタ57は、筐体1aに設けられるとともに、被投影体59は、前面扉1bに設けられており、前面扉1bを閉じた状態でプロジェクタ57から投影された映像が被投影体59に投影されるようになっている。
このような構成において、前面扉1bの開閉に伴い前面扉1bを支えている部材の劣化等により、プロジェクタ57が投影する映像の領域とスクリーンである被投影体59とのずれが生じる可能性があり、映像を正しい領域に投影できなくなる可能性がある。
これに対して、本実施例では、スロットマシン1は、プロジェクタ57が投影する映像の領域とスクリーンである被投影体59とにずれが生じている場合に、該ずれを補正する補正モードを備えており、プロジェクタ57を筐体1aに設け、被投影体59を前面扉1bに設け、前面扉1bを閉じた状態でプロジェクタ57から投影された映像が被投影体59に投影される構成であっても、映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
また、本実施例では、プロジェクタ57は、投影装置57a、撮影装置57b、投影制御装置57cを備えており、投影制御装置57cは、撮影装置57bにより撮影された被投影体59の内側の複数の画像に基づいて、投影装置57aにより投影される投影領域と被投影体59とのずれを検知するずれ検知処理を実行可能であり、投影装置57aから映像が投影される領域と被投影体59とのずれを自動で補正する自動補正処理を実行可能であり、ずれ検知処理によるずれの検知結果に基づいて、自動補正処理を実行させることで、投影装置57aから映像が投影される領域と被投影体59とのずれを自動で補正することができる。
また、本実施例では、プロジェクタ57は、投影装置57a、撮影装置57b、投影制御装置57cを備えており、投影制御装置57cは、撮影装置57bにより撮影された被投影体59の内側の複数の画像に基づいて、投影装置57aにより投影される投影領域と被投影体59とのずれを検知するずれ検知処理を実行可能であり、ずれ検知処理の結果に基づいてずれを補正するための補正データを作成し、当該補正データを投影装置57aにより投影される投影映像の全体に対して適用するようになっており、投影装置57aから映像が投影される領域の全体と被投影体59の全体、すなわち平面部59a及び立体部59bとのずれを自動で補正することができる。
また、本実施例では、プロジェクタ57は、リモコン装置57dを備えており、手動補正処理において、筐体1aの外部からのリモコン装置57dの操作に基づいて、投影装置57aにより投影される投影映像の上下左右位置を移動させることが可能であり、前面扉1bを閉鎖した状態で投影領域と映像が投影される被投影体59とのずれを確認しつつ手動で補正することができる。
尚、本実施例では、プロジェクタ57のリモコン装置57dは、筐体1aの外部から無線信号を送信して投影制御装置57cに対して指示可能な構成としているが、リモコン装置57dは外部からプロジェクタ57に対して指示可能な構成であれば良く、例えば、スロットマシンに設けられたMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7やストップスイッチ8L、8C、8R等の操作部を利用して指示する構成や、有線にてプロジェクタ57に対して信号を送信するリモートコントローラ等の操作部を利用して指示する構成であっても良い。
また、本実施例では、スロットマシン1は、筐体1aの内部に、リール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33L、33C、33Rからなるリールユニット2が設けられているとともに、前面扉1bの略中央にリール2L、2C、2Rを視認可能な透視窓3が設けられており、プロジェクタ57は、リールユニット2の上部に取り付けられ、被投影体59は、前面扉1bにおける透視窓3の上方に設けられている。このように、プロジェクタ57がリールユニット2の上部に取り付けられることで、筐体1aに対して安定的に取り付けられる。
また、本実施例では、プロジェクタ57は、筐体1aの背面側方向に映像を投射するように配置されるとともに、筐体1aの内部において、筐体1aを構成する背面板、すなわち筐体1aの背面側には、反射板58が設けられ、被投影体59には、プロジェクタ57から投影され、反射板58に反射した映像が投影されるようになっており、プロジェクタ57から被投影体59までの距離を稼ぐことが可能となり、比較的サイズの大きい被投影体59に対して映像を投影することが可能となる。
また、本実施例では、サブ制御部91は、プロジェクタ57により投影される投影領域と被投影体59とのずれをプロジェクタ57の投影制御装置57cに検知させるずれ検知処理を実行可能であり、投影領域と被投影体59とのずれが検知され場合に、投影位置がずれている旨を示すメッセージをプロジェクタ57により被投影体59に投影させるとともに、演出効果LED52を点灯させ、スピーカ53、54から補正モードを開始する旨を示す音声を出力して、ずれが検知された旨を報知するずれ検知報知を実行するようになっており、投影領域と被投影体とのずれが検知されたことを店員に認識させることで、適宜に補正作業を行うことが可能となる。
また、本実施例では、サブ制御部91は、電断から復帰した旨を示す復帰フラグが設定されている場合、すなわち電断からの復帰時に、プロジェクタ57により投影される投影領域と被投影体59とのずれをプロジェクタ57の投影制御装置57cに検知させるずれ検知処理を実行するようになっており、スロットマシン1の設置される店舗において、営業中にずれ検知報知が行われることで遊技者に煩わしさを与えることを防止することができる。
また、本実施例では、サブ制御部91は、リモコン装置57dが操作された場合には、補正モード開始要求ありとして、補正モードを開始させることが可能となっており、営業中にプロジェクタ57により投影される投影領域と被投影体59とのずれが生じた場合であっても、投影領域と被投影体59とのずれを補正することができる。
また、本実施例では、サブ制御部91は、ドア開放検出スイッチ25がOFFの状態、すなわち前面扉1bが開放している状態では、プロジェクタ57による映像の投影を停止させるようになっており、プロジェクタ57による映像の投影が、店員が前面扉1bを開放して作業する際の妨げとなることを防止できる。
また、本実施例では、スロットマシン1は、演出装置としてプロジェクタ57とは別に液晶表示器51を備えており、サブ制御部91は、前面扉1bの開放状態が検出されているときには、前面扉1bが開放状態にある旨を示すドア開放報知を行うようになっており、ドア開放報知では、前面扉1bが開放状態にある旨を示す映像やメッセージを液晶表示器51に表示させて報知するので、前面扉1bが開放しており、プロジェクタ57による映像によって報知できない状況であっても、前面扉1bが開放していることを店員に認識させることができる。
また、サブ制御部91は、前面扉1bの開放状態が検出されているときには、エラー報知についても液晶表示器51に表示させて報知するので、前面扉1bが開放しており、プロジェクタ57による映像によって報知できない状況であっても、エラーが発生していることを店員に認識させることができる。
また、本実施例では、投影制御装置57cは、ずれ検知処理及び自動補正処理において、投影装置57aによる投射を一旦停止させ、投射が停止された状態で撮影装置57bにより被投影体59の内面を撮影させて得られた撮影画像に基づいて、被投影体59に設けられた各マーカ59eの位置を検出するようになっており、投影装置57aにより投影される投影映像による影響を受けることなく、各マーカ59eの位置を検出することができる。これにより、マーカ59eは、投影装置57aによる投射を停止させた状態で、撮影装置57bにより撮影可能であり、かつ投影制御装置57cにより検出可能であれば良く、投影装置57aによる投射を行っている状態においてマーカ59の視認性を抑えることができる。また、投影装置57aによる投射を行っている状態において、投影されている投影映像におけるキャラクタや背景等の模様や色彩等にマーカ59eが紛れる構成としても良い。このような構成とした場合にも、ずれ検知処理及び自動補正処理において投影制御装置57cがマーカ59eを検出可能となるとともに、投影装置57aによる投射を行っている状態では、遊技者からのマーカ59eの視認性を抑えることができる。
本実施例では、プロジェクタ57の投影制御装置57cは、撮影装置57bにより被投影体59に設けられたマーカ59eを撮影し、その撮影画像からマーカ59eを検出して、ずれの検知や自動補正に用いるように構成しているが、マーカ59eは、撮影装置57bにより撮影可能であり、かつ投影制御装置57cにより検出可能であれば良く、例えば、赤外光等の不可視光を反射する塗料等でマーカを記して、遊技者等からは視認できないものの、撮影装置57bにより撮影可能であり、かつ投影制御装置57cにより検出可能なるように構成しても良いし、遊技中には演出の映像が重なることで遊技者等による視認性が低いものの、撮影装置57bによる撮影時に投影装置57aにより映像が投影されないことまたは特定の映像が投影されることにより視認性が高まり、撮影装置57bにより撮影可能であり、かつ投影制御装置57cにより検出可能なるように構成しても良い。また、マーカ59eは、撮影装置57bにより撮影可能であり、かつ投影制御装置57cにより検出可能であれば良く、塗料等で記されたマーカに替えて、例えば、被投影体の所定位置にLEDを設け、当該LEDを撮影装置57bによる撮影時に点灯させることで、マーカとして利用するようにしても良い。また、被投影体の一部を特定形状に形成し、撮影装置57bにより特定形状部分を含む被投影体を撮影し、投影制御装置57cにより特定形状を検出可能に構成することで、被投影体の一部をマーカとして利用するようにしても良い。また、被投影体の一部(例えば、被投影体においてキャラクタの目部分等)を特定形状に形成し、特定形状の部分を含む被投影体を撮影装置57bにより撮影し、投影制御装置57cにより特定形状を検出する構成とすることで、被投影体の一部をマーカとして利用するようにしても良い。また、被投影体におけるマーカの位置は、撮影装置による撮影範囲内にあれば良く、被投影体の平面部に限らず、キャラクタ等の立体形状に形成された立体部に設ける構成としても良い。これらの構成であっても、マーカとなる部分が撮影装置57bにより撮影されて、投影制御装置57cにより検出されることで、ずれの検知や自動補正を実行することが可能となり、投影領域と被投影体59とのずれを補正することができる。
また、本実施例では、ずれ検知処理及び補正処理においてプロジェクタ57の投影制御装置57cは、撮影装置57bにより被投影体59を撮影させ、撮影された撮影画像からマーカ59eを検出するとともに、撮影画像から特定形状画像の角部を検出し、検出されたマーカ59eの位置と特定形状画像の角部の位置とを比較することで、撮影装置57bにより投影された投影領域と被投影体59とのずれを検知するように構成しているが、ずれを検知する方法はこのような構成に限らず、例えば、特定の格子状に設けられた線の映像を被投影体に投影した状態を撮影して、得られた撮影画像における格子形状を特定の格子形状と比較することで、投影装置により投影された投影領域と被投影体とのずれを検知するように構成しても良い。このような構成とすることで、被投影体59にマーカ等を設けることなく、投影装置により投影され映像のみに基づいて、投影装置により投影された投影領域と被投影体とのずれを検知することができる。
尚、本実施例では、プロジェクタ57の投影制御装置57cは、自動補正処理において撮影装置57bにより撮影された撮影画像に基づいて作成した補正データを適用し、投影装置57aから投影される投影画像自体を補正することで、被投影体59に表示される表示画像が適切な態様で表示されるように構成しており、簡素な構成にて補正できることから好ましいが、投影制御装置57cにより位置や角度などを制御可能なアクチュエータをプロジェクタの投影装置や反射板に設置し、撮影装置57bにより撮影された撮影画像に基づいて投影制御装置57cがアクチュエータを駆動させて、被投影体に対するプロジェクタと反射板との位置や角度を補正することで、投影装置57aから投影される投影画像自体を補正することなく、被投影体59に表示される表示画像が適切な態様で表示されるように構成しても良い。これにより、投影制御装置57cにより投影画像自体を補正する構成と同様に、ずれの検知結果に基づいて映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
また、本実施例では、プロジェクタ57の投影制御装置57cは、撮影装置57bにより撮影された撮影画像に基づいて投影装置57bにより投影された投影領域と被投影体59とのずれ検知する構成であるが、撮影画像以外の手段に基づいて投影領域と被投影体59とのずれ検知し、その結果に基づいて補正する構成であっても良く、例えば、プロジェクタ57から被投影体までの距離を測定するための距離測定装置(例えば、超音波センサや赤外線センサ等)を設けて、距離測定装置による測定結果に基づいてプロジェクタの投影装置と被投影体との間の投射距離を算出し、投射距離に基づいて投影映像の投影領域と被投影体59とのずれを検知し、その結果に基づいて補正する構成しても良い。例えば、鉛直方向に対する傾きを検出するための傾き検出装置(角度センサ等)をプロジェクタ及び被投影体にそれぞれも設けて、プロジェクタ及び被投影体のそれぞれの傾き角に基づいて投影映像の投影領域と被投影体とのずれを検知するように構成しても良い。
また、本実施例では、サブ制御部91は、電断からの復旧後のタイマ割込処理(サブ)において、ずれ検知処理を実行し、ずれが検知された場合には、補正モード開始確認の状態で待機し、補正モードを開始する旨のリモコン装置57dが操作されることで、補正モードを開始して自動補正を実行するように構成しているが、サブ制御部91は、自動的に自動補正を開始する構成としても良く、例えば、電断からの復旧時にずれが検知された場合には、補正モード開始確認を行うことなく、自動補正を実行するように構成しても良い。これにより、スロットマシン1の設置される店舗において、営業開始時に自動補正を実行させるための操作を行う煩わしさを店員等に与えることを防止することができる。
また、本実施例では、サブ制御部91は、電断からの復旧の際のタイマ割込処理(サブ)においてずれが検知され、リモコン装置57dが操作された場合、ずれが検知されていない場合であってもリモコン装置57dが操作された場合に、補正モードを開始して自動補正を実行するように構成しているが、定期的、例えば、6時間毎にリモコン装置57dが操作されたか否かにかかわらず、自動補正を実行するように構成しても良い。これにより、営業中にプロジェクタ57により投影される投影領域と被投影体59とのずれが生じた場合であっても、投影領域と被投影体59とのずれを補正することができる。また、この場合には、遊技が行われていないときに自動補正を実行することが好ましく、これにより、営業中に自動補正が実行されても遊技に支障をきたすことがない。
また、本実施例では、プロジェクタ57は、反射板58に向けて投影し、反射板58により反射された映像が、被投影体59に表示されるように構成しているが、プロジェクタ57は、被投影体59に向けて映像を直接投影する構成としても良い。このような構成では、前面扉1bの開閉に伴い前面扉1bを支えている部材の劣化等により、プロジェクタ57が投影する映像の領域とスクリーンである被投影体59とのずれが生じる可能性があるが、スロットマシン1は、ずれを補正する補正モードを備えており、本実施例における構成、すなわち反射板58により反射された映像が、被投影体59に表示される構成と同様に、映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
また、本実施例では、プロジェクタ57から投影された映像を被投影体59の裏側から投影し、表側に映像が表示される構成であるが、プロジェクタ57から投影された映像を被投影体の表側に直接投影する構成としても良い。このような構成であっても、プロジェクタ57が筐体1aまたは前面扉1bの一方に配置され、被投影体が筐体1aまたは前面扉1bの他方に配置される構成においては、スロットマシン1がずれを補正する補正モードを備えることで、本実施例における構成、すなわちプロジェクタ57を筐体1aに設け、被投影体59を前面扉1bに設ける構成と同様に、映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
また、本実施例では、プロジェクタ57及び反射板58を筐体1a側に設ける一方で、被投影体59を前面扉1b側に設ける構成としているが、プロジェクタ57及び被投影体59を前面扉1b側に設けるとともに反射板58を筐体1a側に設ける構成としても良い。この構成では、前面扉1bの開閉に伴い前面扉1bを支えている部材の劣化等により、プロジェクタ及び被投影体に対する反射板の位置や角度が相対的にずれることで、プロジェクタ57が投影する映像の領域とスクリーンである被投影体59とのずれが生じる可能性があるが、スロットマシン1がずれを補正する補正モードを備えることで、本実施例における構成、すなわちプロジェクタ57を筐体1aに設け、被投影体59を前面扉1bに設ける構成と同様に、映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
また、本実施例では、サブ制御部91は、補正モードを開始する旨のリモコン装置57dが操作されることで、補正モードを開始するように構成しているが、サブ制御部91は、遊技の実行中(リールの回転中)以外では、リモコン装置57dによる操作を有効に受け付けて補正モードを開始するものの、遊技の実行中には、リモコン装置57dによる操作を有効に受け付けずに、補正モードを開始させないように構成しても良い。これにより、遊技中に補正モードが開始されることが防止され、遊技に支障をきたすことを防止できる。
また、本実施例では、スロットマシン1は、1つのプロジェクタ57と1つの被投影体59を備え、プロジェクタの投影領域と被投影体とのずれを検出するために被投影体に1組のマーカを備える構成であるが、プロジェクタ及び被投影体はそれぞれ複数設けられる構成であっても良く、このような構成において、各被投影体に設けられるマーカは、各プロジェクタに対応するように複数組のマーカを設けるようにしても良いし、複数のプロジェクタに対して共通のマーカを1組設けるようにしても良い。
本実施例では、プロジェクタ57及び被投影体59をスロットマシン1に適用しているが、例えば、図20に示すように、パチンコ遊技機2001に適用して、パチンコ遊技機2001の前面枠2101に対して開閉可能に設けられているガラス扉枠2102に上述のマーカ2159eを有する被投影体2159を設けるとともに、前面枠2101にプロジェクタ2057を取り付けて、ガラス扉枠2102が前面枠2101に対して閉じられた状態で、プロジェクタ2059により被投影体2159の背面側から映像を投影するように構成しても良い。
図20に示すように、パチンコ遊技機2001の前面枠2101に対して開閉可能に設けられているガラス扉枠2102に被投影体2159を設けるとともに、前面枠2101にプロジェクタ57を取り付けることで、ガラス扉枠2102の開閉に伴いガラス扉枠2102を支えている部材の劣化等により、プロジェクタ2057が投影する映像の領域とスクリーンである被投影体59とのずれが生じる可能性があり、映像を正しい領域に投影できなくなる可能性があるが、ガラス扉枠2102が前面枠2101に対して閉じられた状態で、上述の実施例と同様に、補正モードで自動補正処理を実行し、撮影された撮影画像に基づいてマーカ2159eの位置と特定形状画像Pの角部の位置とを検出させることで、スロットマシン1に適用した場合と同様に、プロジェクタ2057が投影する映像の領域と被投影体2159とのずれを検知することが可能であり、ずれの検知結果に基づいてプロジェクタ2057が投影する映像を補正して、映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
また、パチンコ遊技機2001の前面枠2101に対して開閉可能に設けられている下扉枠2200に被投影体を設けるとともに、前面枠2101にプロジェクタを取り付けて、下扉枠2200が前面枠2101に対して閉じられた状態で、プロジェクタにより被投影体2159の背面側から映像を投影するように構成しても良いし、パチンコ遊技機2001の外枠2100に対して開閉可能に設けられている前面枠2101に被投影体を設けるとともに、外枠2100にプロジェクタを取り付けて、前面枠2101が外枠2100に対して閉じられた状態で、プロジェクタにより被投影体の背面側から映像を投影するように構成しても良い。これらの場合にも、上述の実施例と同様に、補正モードで自動補正処理を実行することで、プロジェクタが投影する映像の領域と被投影体とのずれを検知することが可能であり、ずれの検知結果に基づいてプロジェクタが投影する映像を補正して、映像を被投影体59の正しい領域に投影することができる。
本実施例のリール2L、2C、2Rには、各外周部に、一面に複数種類の図柄が所定の順番で配列された帯状のリールシート400が貼付されることで、互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。以下に、本実施例のリールシート400について図13〜図19に基づいて説明する。尚、左リール2Lのリールシート400Lと、他のリール2C、2Rのリールシート400C、400Rの構成は同様である。
本実施例においてリールシート400は、図13に示すように、環状に湾曲可能な帯状の透明部材に対して、図柄が印刷された帯状の図柄シートが長手方向に沿って接着されることにより形成される。リールシート400の図柄については、有色インク等で印刷され(例えば、ベル図柄であれば黄色で印刷され)、図柄以外の部分については、所定の色(本実施例では白色)インクなどで印刷されている。つまり、白色を背景とし、所定間隔で図柄が描かれたリールシート400が形成される。
さらに、本実施例では、「7」図柄(赤7、青7、白7)に、透過部602が設けられる。本実施例の透過部602は星形形状である。透過部602は、透過部602以外の部分よりも、透過率(透過度)が高くなる処理が施されている(図17参照)。したがって、リールLED55から照射された光の透過する光量は、透過部602の方が、透過部602以外の部分よりも多くなる。このため、「7」図柄に照射されたときには、透過部602が光っているように、遊技者に視認させることができる。
さらに、透過部602は縮み印刷により形成されている。縮み印刷とは、図柄の表面にシワを発生させることにより、光の乱反射を生じさせる印刷手法である。したがって、リールLED55から透過部602に光が照射されることにより、当該光が乱反射され透過部602を輝かせて(つまり、星がキラキラするように)遊技者に視認させることができる。透過部602については、透過部602以外の部分よりも透過率が高ければ良く、縮み印刷を施さないようにしても良い。
リールシート400Lの両端のうち、図柄番号が「2」の図柄(「スイカ」図柄)側の端を「一端605」とし、図柄番号が「1」の図柄(「ベル」図柄)側の端部を「他端604」とする。また、リールシート400の全領域は、全体図柄領域612と余り領域608Xとを含む。全体図柄領域612は、図柄が印刷される範囲内の領域である。また、余り領域608Xは、リールシート400の全領域のうち、一端605側の領域である。本実施例では、余り領域608Xは、図柄が印刷されていない領域である。
次に、各図柄の図柄領域について説明する。図柄領域は、各図柄が描かれる仮想的な(つまり、遊技者などからは視認できない)領域である。図柄領域は、全体図柄領域612の長手方向において、図柄の総数(本実施例では21個)で分割した矩形上の領域であり、全ての図柄領域は、同一の形状である。図柄領域の横辺の長さはリールシート400の幅となり、図柄領域の縦辺の長さは、全体図柄領域612の長手方向の長さを図柄の総数で分割した長さとなる。図柄シートの各図柄領域の中央に各図柄が形成されることで、各図柄を均等に(つまり、隣接する図柄間の距離を同一に)印刷することができる。
図13に示すように、例えば、図柄番号1のベル図柄の図柄領域は、図柄領域613Xである。また、リールシート400のうち、余り領域608Xを有する箇所を「余り部608」とし、図柄領域613Xを有する箇所を「他端部613」とする。尚、図柄領域613Xの下辺を示す線は図柄領域613Xを特定しやすくするために、記載したものであり、実際には線は描かれていない。
次に、余り領域608Xの詳細について説明する。余り領域608Xは、他端604側に設けられた着色領域608Cと、一端605側に設けられた透明領域608Dとを含む。着色領域608Cは、全体図柄領域612における装飾と同じ装飾が施された領域であり、つまり、図柄そのものが形成されている領域以外の領域の色(白色)と同一の色が着色(装飾)されている領域である。また、透明領域608Dは着色(装飾)されておらず、透明となっている。該透明領域608Dは、透明部材の一部である。また、図柄シートの図柄が印刷されている領域は、全体図柄領域612と着色領域608Cに相当する。つまり、図柄シートの長手方向の長さを、透明部材の長手方向の長さよりも短くすることができるので、該図柄シートのコストを削減できる。また、透明部材の長手方向の長さは、図柄シートの長手方向の長さ以上であれば良い。
また、全体図柄領域612と着色領域608Cとの境界線を「第1ライン608A」とし、着色領域608Cと透明領域608Dとの境界線を「第2ライン608B」という。尚、第1ライン608Aおよび第2ライン608Bは、着色領域608Cと、透明領域608Dとを特定しやすくするために記載したものであり、実際には第1ライン608Aおよび第2ライン608Bは描かれていない。
また、互いに隣接する図柄と図柄の間(例えば、隣接する図柄領域において一致する辺上)であり、かつリールシート400Lの側方には、図柄とは別の装飾図柄606が印刷されている。図13の例では、装飾図柄606は、黒塗りされた菱形である。また、リールシート400Lの他端604には、装飾図柄606の下半分である第1装飾図柄606aが印刷されている。第1装飾図柄606aは、装飾図柄606の下半分であることから、三角形状である。図13の例では、該三角形状の一辺が、他端604の辺上に位置するように第1装飾図柄606aは印刷されている。また、着色領域608Cには、装飾図柄の上半分である第2装飾図柄606bが印刷されている。第1装飾図柄606aは、装飾図柄606の下半分であることから、三角形状である。図13の例では、該三角形状の一辺が、第2ライン608B上に位置するように第2装飾図柄606bは印刷されている。
次に、図14を用いて、リールシート400の巻き付け方について説明する。リールシート400の巻き付けは、作業員が手作業で実行するようにしても良く、巻き付け装置により自動的に実行するようにしても良い。本実施例では、作業員により手作業でリールシート400の巻き付けを行う一例について説明する。また、リールシート400の長手方向に沿って、両側方の縁であって、保持枠401、402に接着される位置に接着部が設けられている。ここで、接着部とは、接着剤や、両面テープなどである。
次に、リールシート400の巻き付け処理の流れについて説明する。まず、作業台の上に、全体図柄領域612の面が下向きになるようにリールシート400を広げて載置する。そして、保持枠401の環状部401bに付加された目印401d(図14参照)と、一端605とを一致させて、リールシート400の一側方と、環状部401bの外周部分とが、接着部により接着されるように、作業員が、リールシート400の延伸方向に保持枠401を転動させる。また、保持枠401を転動させることで、保持枠402も一体的に転動することから、リールシート400の他側方に設けられた接着部により、リールシート400の他側方と、保持枠402の環状部分とも接着される。
そして、図14に示されるように、他端部613が余り部608よりも外側(上側)になるように、該他端部613と余り部608とが重ねられてリールシート400Lは巻かれる。つまり、図柄領域に描かれた図柄が外向きになるように、リールシート400はリール枠に対して環状に巻かれる。他端部613の図柄領域に描かれたベル図柄は、外側に臨むようになる。また、「余り部608の両面のうち、他端部613と対向する面(余り領域608Xの面)」、および「他端部613の両面のうち、ベル図柄が描かれている面と反対側の面」のうち少なくとも一方に接着部が設けられる。本実施例では、透明領域608Dに接着部が形成されて、該接着部により、図柄領域613Xが余り領域608Xと接着されて、リールシート400は、の保持枠401、402に巻かれる。
次に、各リール2L、2C、2Rの位置ずれの検査方法について説明する。図15、図16は、リールシート400と、該リールシート400が環状に巻かれた保持枠401、402との側面図、斜視図である。リールシート400には、図15に示すように、該リールシート400の余り部608と他端部613とが重ねられることにより継ぎ目400aおよび重複部分422が形成される。
また、リールシート400は、保持枠401、402に対してその継ぎ目400aが特定の位置となるように取り付けられる。詳しくは、図15に示すように、保持枠401をリール取付盤405に相対回動不能に取り付け、さらにリール取付盤405をリールモータ32Lのロータ32dに相対回動不能に取り付け、リールユニット2を構成するリールボックス351に組み付けられた状態で、リール2Lが、リールセンサ33Lによってリール2Lの特定箇所(切欠部408)が検出される基準状態になった場合に、前面扉1bに形成された透視窓3を透して継ぎ目400aが視認可能となる位置となるようにリールシート400が保持枠401、402に対して取り付けられる。
リール2Cについても同様であり、保持枠401をリール取付盤405に相対回動不能に取り付け、さらにリール取付盤405をリールモータ32Cのロータ32dに相対回動不能に取り付け、リールユニット2を構成するリールボックス351に組み付けられた状態で、リール2Cが、リールセンサ33Cによってリール2Lの特定箇所(切欠部408)が検出される基準状態になった場合に、前面扉1bに形成された透視窓3を透して継ぎ目400aが視認可能となる位置となるようにリールシート400が保持枠401、402に対して取り付けられる。
リール2Rについても同様であり、保持枠401をリール取付盤405に相対回動不能に取り付け、さらにリール取付盤405をリールモータ32Rのロータ32dに相対回動不能に取り付け、リールユニット2を構成するリールボックス351に組み付けられた状態で、リール2Rが、リールセンサ33Rによってリール2Rの特定箇所(切欠部408)が検出される基準状態になった場合に、前面扉1bに形成された透視窓3を透して継ぎ目400aが視認可能となる位置となるようにリールシート400が保持枠401、402に対して取り付けられる。
このため、図16に示すように、リール2L、2C、2Rがそれぞれ基準状態になった場合に、リール2L、2C、2Rそれぞれの継ぎ目400aが、リールボックス351に被覆されることなく視認可能となる位置であり、かつリールユニット2を筐体1aに取り付けて、前面扉1bによりその開放面を閉塞した状態において、前面扉1bに形成された透視窓3を透して視認可能となる位置に、一直線上に並ぶようになっている。
次に、リールシート400の位置ずれを発見するための検査方法について説明する。スロットマシン1の製造工程においてリールユニット2を筐体1aに取り付ける前にリールシート400と保持枠401、402との位置ずれを検査する場合には、リール2L、2C、2Rをリールボックス351に組み付けた状態で、リールセンサ33L、33C、33Rと、リール取付盤405の切欠部408と、を一致させる。すなわちリール2L、2C、2Rの継ぎ目400aが特定の位置となるようにリール2L、2C、2Rを移動させる。この際、リールセンサ33L、33C、33Rにより切欠部408が検出されるまでリールモータ32L、32C、32Rに対して駆動信号を入力させることによりリールセンサ33L、33C、33Rと、リール取付盤405の切欠部408と、を一致させることができる。
そして、上記のリールユニット2を規定の位置に配置し、レーザーラインを照射する。この際、レーザーラインは、リールユニット2に組み付けられたリール2L、2C、2Rが、リールセンサ33L、33C、33Rと、リール取付盤405の切欠部408と、を一致させた場合にその継ぎ目400aが位置すべき位置を直線上に照射するようになっており、継ぎ目400aの位置と、レーザーラインが照射する位置と、を比較することにより、一致しなければリールシート400と保持枠401、402との位置ずれが生じていることを発見できる。
次に、第1ライン608Aおよび第2ライン608Bについて説明する。本実施例では、作業員の手作業により、各リール2L、2C、2Rのリールシートが保持枠401、402に巻かれるとして説明した。したがって、作業員の技量により、リールシート400を適切に巻けない場合がある。図17(A)は、リールシート400が適切に巻けられた場合の継ぎ目400a付近を示した図であり、図17(B)は、リールシート400が適切に巻けなかった場合の継ぎ目400a付近を示した図である。
本実施例では、図17(A)に示すように、リールシート400の適切な巻き方は、リールシートの他端604と、第1ライン608Aとが一致するような巻き方である。このような適切な巻き方がされることにより、隣接する図柄間の間隔を全て等しくすることができる。しかし、作業レベルが低い作業員によっては、適切に巻けない場合がある(不適切に巻く場合がある)。例えば、リールシートの他端604と、第1ライン608Aとが一致せずに、リールシート400が巻かれる場合がある。例えば、リールシート400不適切な巻き方として、該他端604と第2ライン608Bとが一致して巻かれる場合がある。このように不適切な巻き方がされた場合であっても、図17(B)に示すように全体図柄領域612と同一の着色が施されている着色領域608Cが露出されることから、リールシート400が不自然に見えることを防止できる。
尚、他端604と第2ライン608Bとが一致して、リールシート400が巻かれた場合には、図柄番号1のベル図柄と図柄番号2のスイカ図柄との距離と、他の図柄番号の隣接する図柄間の距離とが異なるようになる。しかしながら、他端604と第2ライン608Bとが一致して、リールシート400が巻かれた場合には、第1装飾図柄606aと第2装飾図柄606bとが組み合わせられることにより、装飾図柄606が形成される。したがって、不適切な巻き方がされた場合であっても、このような距離が異なる事象により生じる不自然さを軽減できる。
尚、図17(A)に示すように、リールシート400が適切に巻かれた場合には、第2装飾図柄606bのみが露出されず、第1装飾図柄606aのみが露出される。遊技者は通常、リールの図柄に対して注目し、装飾図柄606については注目しない。したがって、リールシート400が適切に巻かれて、第2装飾図柄606bのみが露出されず、第1装飾図柄606aのみが露出されたとしても、リールシート400が不自然に見えることを防止できる。
また、他端604と、第1ライン608Aとが一致せず、他端604が、着色領域608C内に位置するようにリールシート400が巻き付けられたとしても、該他端604から第1ライン608Aまでの着色領域が露出されることになるから、リールシート400が不自然に見えることを防止できる。
次に、図18を用いて、リールLED55から照射された光を透過させるための加工について説明する。図11(A)は、透過部602を有する「7」図柄を裏側から見た図であり、図18(B)は、透過部602を有さない図柄である「ベル」図柄を裏側から見た図である。
図18(A)に示すように、「7」図柄が描かれた全領域のうち、透過部602の領域については、フレーム650が施されていないが、透過部602以外の領域については、フレーム650が施されている。フレーム650とは、リールLED55からの光の透過率を下げる部材である。したがって、透過部602の領域では、当該透過部602以外の領域よりも光の透過率を向上させることができる。また、透過部602については、縮み印刷が施されていることから、リールLED55から照射された光を透過部602において乱反射させることができ、透過部602を輝かせて遊技者に視認させることができる。一方、「7」図柄以外の図柄(図18(B)の例では、ベル図柄)は、透過部602を有さないことから、全ての領域においてフレーム650が施される。
尚、フレーム650の施し方については、まず、図柄シートの全体図柄領域612に対して、図柄を印刷した後に、図柄シートを反転させて、各図柄の輪郭をかたどったフレーム650を該図柄と同座標に印刷する(各図柄の裏側をフレームで被覆する)ようにしても良い。また、図柄の印刷とフレームの印刷を同時に行う(つまり、図柄とフレームとの両面印刷)ようにしても良い。また、図柄シートの全体図柄領域612に対して、図柄を印刷した後に、作業員などによる手作業で、各図柄の輪郭をかたどったフレーム650を張り付ける(各図柄の裏側をフレームで被覆する)ようにしても良い。また、図18の例では、各図柄の輪郭をかたどったフレーム650を用いた例を説明しているが、例えば、1のフレームで全ての図柄を被覆するようにしても良い。
1のフレームとは、例えば、全体図柄領域612と同一の形状のフレームである。また、透明部材をフレームとして、図柄シートを貼り付けるようにしても良い。これらの構成であっても、該フレームをくり抜くなどをして透過部602を形成するようにしても良い。
また、本実施例では、フレームを形成することにより、光の透過率を低下させるとして説明したが、光の透過率を向上させるようなフレームを形成させるようにしても良い。
次に、図19を用いて、リールシート400の重複部分422において、図柄領域613Xと余り領域608Xの関係について説明する。図19において、太線は、リールシート400の重複部分422を示している。本実施例では、図19(A)に示すように図柄領域613Xの面積と余り領域608Xの面積とが等しく設計されている。また、本実施例では、余り領域608Xの全領域に接着部が形成されて、該接着部により、余り部608が他端部613に接着される。
本実施例では、図14に示されるように、余り部608(余り領域608X)の上に、他端部613(図柄領域613X)が重なるように、リールシート400は、保持枠401および402に巻かれる。環状に巻かれたリールシート400のうち、重複部分422については、余り部608および他端部613の二重構造になっていることから、重複部分422とは異なる部分(重複されていない部分)よりも光の透過率が低い。そこで、本実施例においては、重複部分422を形成している他端部613(図柄領域613X)には、透過部602を有さない図柄であるベル図柄610が描かれている。したがって、リールLED55から光を照射させたときの効果を損なわれることを防止することができる。
また、重複部分422以外の箇所(つまり、重複部分422よりも透過率が高い箇所)の所定位置には、透過部602を有する図柄(「7」図柄)が描かれている。したがって、透過部602を有する図柄に対して、リールLED55から光が照射されたときには、高い透過率で透過部602から当該光を透過させることができるので、「7」図柄を遊技者に綺麗に視認させることができ、リールLED55からの光を有効に活用することができる。さらに、本実施例では、透過部602については、縮み印刷で印刷されている。したがって、透過部602を輝かせて視認させることができる。
本実施例では、図19(A)に示すように、図柄領域613Xの面積と余り領域608Xの面積とが等しく設計されており、余り領域の全領域に接着部が形成される。したがって、リールシート400の他端部613と余り部608とを堅固に固定することができる。
本実施例では、透過部602を有する「7」図柄が描かれている領域の面積(つまり、「7」図柄の大きさ)は、透過部602を有さない図柄(「7」図柄以外の図柄)が描かれている領域の面積(つまり、「7」図柄以外の図柄の大きさ)よりも大きい。したがって、透過部602を有する図柄の方を、透過部602を有さない図柄よりも、遊技者に目立たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
尚、図柄が描かれている領域とは、図柄そのものの領域としても良い。図柄そのものの領域とは、該図柄の輪郭形状の領域であり、例えば、ベル図柄そのものの領域とは、ベルの輪郭形状の領域である。
本実施例では、リールシート400の一端605を目印401dに一致させて、リールシート400は環状に巻きつけられる。したがって、例えば、作業員による手作業によりリールシートの巻き付け処理が実行されるときには、リールシート400の巻き付け開始位置を作業員に容易に認識させることができるので、リールシートの巻き付け処理の負担を軽減することができる。
また、リールシート400の一端605を目印401dに一致させて、リールシート400は環状に巻きつけられることにより、リール2L、2C、2Rそれぞれが基準状態であるときに、リール2L、2C、2Rそれぞれの継ぎ目400aを一直線上に並ぶように視認させることができる。したがって、位置ずれの検査方法の結果の信頼性を高めることができる。
本実施例の余り領域608Xは、着色領域608Cと透明領域608Dとを含む。したがって、リールシート400を適切に巻けなかったとしても(他端604と第2ライン608Bとが一致するように巻かれたとしても)、着色領域608Cが露出され得ることから、リールシート400が不自然に見えることを防止できる。また、リールシート400を適切に巻けなかったとしても、リールが基準状態になったときは、継ぎ目400aが視認可能となる位置となるように設計されることが好ましい。
また、余り領域608Xにおいて、着色領域608Cには装飾が施されている一方、透明領域608Dには、装飾が施されていない。したがって、装飾コストを削減することができる。
本実施例では、各リール2L、2C、2Rが基準状態のときには、各リール2L、2C、2Rの継ぎ目400aが、一直線上となって(図15参照)、表示窓3から視認可能となる。したがって、該一直線上となった継ぎ目400aと、レーザーラインにて特定される正常位置とを比較することでリールシート400と保持枠401、402との位置ずれを容易に発見することができる。
尚、本実施例では、複数種類の図柄において、透過部602の有無により、透過度合いの差を設けるとして説明した。以下では、透過度合いが高い図柄を「透過度高図柄」とし、透過度合いが低い図柄を「透過度低図柄」とする。また、図柄領域613Xに描かれる図柄を「特定図柄」という。本実施例では、透過度高図柄は「7」図柄であるとし、透過度低図柄は「7」図柄以外の図柄であり、特定図柄は、透過度低図柄のうちから、所定の図柄(本実施例では図柄番号20の「ベル」図柄)であるとして説明した。しかし、複数種類の図柄において、透過度合いの差を設ける手法として以下の手法を用いるようにしても良い。
第1の手法として、図柄全体での透過率により、透過度合いの差を設けるようにしても良い。例えば、透過度高図柄は図柄の全体的に透過率が高い図柄であり、透過度低図柄は図柄の全体的に透過率が低い図柄としても良い。例えば、透過度高図柄は、透過率が高くなるような所定のインクで印刷するようにしても良く、また、図柄の裏に形成されるフレームの量(厚さ)を少なくしても良い。また、透過度低図柄は、透過率が低くなるような所定のインクで印刷するようにしても良く、また、図柄の裏に形成されるフレームの量(厚さ)を多くしても良い。つまり、第1の手法を用いた場合には、全体的に透過率が低い図柄(透過度低図柄)が、他端部613に描かれ、全体的に透過率が高い図柄(透過度高図柄)が、図柄領域613X以外の全体図柄領域に描かれる。
また、透過率の高低は、所定の透過率よりも高いか否かにより決定しても良く、一の図柄の透過率と他の図柄の透過率とを比較して高いか否かを決定するようにしても良い。また、透過率が高いか否かの判断は、リールLED55により図柄に対して光を照射して、検査員により目視で判断するようにしても良く、当該照射された光を測定して測定結果から判断するようにしても良い。
尚、透過度低図柄は、透過率が0%である図柄(つまり、リールLED55からの光が全く透過されない図柄)としても良い。また、透過度高図柄は、透過率が100%である図柄(つまり、リールLED55からの光が全て透過される図柄)としても良い。
第2の手法として、透過部の合計面積により、透過度合いの差を設けるようにしても良い。例えば、透過度高図柄は透過部の合計面積が大きい図柄であり、透過度低図柄は透過部の合計面積が小さい図柄である。つまり、第2の手法を用いた場合には、透過部の合計面積が小さい図柄(透過度低図柄)が、他端部613に描かれ、透過部の合計面積が大きい図柄(透過度高図柄)が、図柄領域613X以外の全体図柄領域に描かれる。
また、第3の手法として、透過部の数により、透過度合いの差を設けるようにしても良い。例えば、透過度高図柄は透過部の数が多い図柄であり、透過度低図柄は透過部の数が少ない図柄である。つまり、第3の手法を用いた場合には、透過部の数が少ない図柄(透過度低図柄)が、他端部613に描かれ、透過部の数が多い図柄(透過度高図柄)が、図柄領域613X以外の全体図柄領域に描かれる。
また、第1〜第3の手法、および、本実施例で説明した「透過部の有無」で判断した手法のうち、少なくとも2つを組み合わせた手法により、透過度低図柄および透過度高図柄を決定するようにしても良い。この場合には、検査員などが目視などにより、光の透過具合を判断して、透過度低図柄および透過度高図柄を決定するようにしても良い。
また、本実施例においては、特定図柄(他端部613に描かれる図柄)は、透過度合いが低い図柄(本実施例では、透過部602を有さない図柄)であるとして説明した。しかしながら、特定図柄は、透過度合いの大小に関わらず、縮み印刷がされていない図柄としても良い。例えば、複数種類の図柄が、透過部を有し、かつ縮み印刷がされている図柄と、透過部を有するが縮み印刷がされていない図柄とを含む場合には、特定図柄は、透過部を有するが縮み印刷がされていない図柄としても良い。特定図柄が透過部を有するが縮み印刷がされていない図柄としても、リールLED55から光を照射させたときの効果を損なわないようにすることができる。
また、本実施例では、透過度高図柄は、「7」図柄であるとして説明した。しかし、透明度高図柄は、他の図柄(例えば、「7」図柄)であっても良い。さらに、透明度高図柄は、導出されることで遊技者にとって有利な特典が付与される図柄であることが好ましい。ここで、該特典とは、遊技者にとって有利な遊技状態に制御する権利、所定役(メダルの払出を伴う小役など)の当選確率が向上するボーナス状態への移行など、遊技を行なうために用いる遊技用価値(賭けられたメダル枚数、打ち込まれた遊技球)に対し、遊技者に付与される遊技用価値の占める付与割合(メダルあるいは遊技球の払出率)に直接影響を及ぼす価値の付与としても良い。その他の特典としては、遊技の進行上において遊技者にとって有益となる価値であっても良い。例えば、有利な遊技状態ではないものの遊技な遊技状態に移行する権利をすでに獲得しており有利な遊技状態に制御されることが確定しているいわゆる潜伏中であるか否かを特定するための情報を報知するもの、あるいは報知されたときに所定の信頼度で実際に潜伏中となるように実行される情報(すなわち潜伏中を示唆する潜伏示唆情報)を報知するものであっても良い。
また、特典としては、特典演出の実行(特別キャラクタ出現など)、遊技者に対する有利度として設定されている設定値を示唆するための設定値示唆演出の実行、一定数を集めることで遊技機が設置された遊技店において定めたサービスと交換可能なポイント付与、特典映像や特典情報を所定のWebサイトにてダウンロードすることが可能なQRコード(登録商標)を表示などであっても良い。
また、本実施例においては、図19(A)に示したように、余り領域608Xの面積と、図柄領域613Xの面積とを同一として、余り部608と他端部613とを重複させるとして説明した。しかしながら、図19(A)に限られず、図19(B)または(C)に示すような重複のさせ方であっても良い。尚、太線は重複部分422を示す。
図19(B)は、余り領域608Xの面積を、図柄領域613Xの面積よりも小さくした場合を示す図である。図19(B)に示すように、余り部608と他端部613とが重ねられた場合には、ベル図柄610の下(裏側)に、一端605が存在することになる。図19(B)に示すような重複の手法により、図12(A)の場合と比較して、余り部608を小さくすることができ、リールシート400のコストを削減することができる。
図19(C)は、余り領域の面積を、図柄領域613Xの面積よりも大きくした場合を示す図である。図12(B)に示すような重複の手法により、図19(A)の場合と比較して、重複部分422の面積を大きくすることができ、より堅固に固定することができる。
また、本実施例においては、重複部分422を形成する他端部613に透過度合いの低い図柄を描くとして説明した。しかしながら、重複部分422を形成する他端部613に透過度合いの高い図柄を描いても良い。この場合には、重複部分422を形成する他端部613に、該透過度合いの高い図柄のうち透過度合いが高い部分(例えば、透過部602)を描かないようにし、透過度合いが低い部分を描くようにすれば良い。具体的には、図19(B)に示すベル図柄610が透過部を有する場合には、該透過部を重複部分には、描かずに、重複部分とは異なる部分(重複しない部分)に描くようにする。このような構成により、リールLED55から光を照射させたときの効果を損なわないようにすることができるとともに、図柄の配列の自由度を高めることができる。
また、透過度合いが高い部分(例えば、透過部602)が、重複部分422上に描かれた場合には、該透過度合いが高い部分の裏側の重複部分422に対して、透過率を高める後処理を実行するようにしても良い。該後処理とは、例えば、該透過度合いが高い部分の裏側の重複部分422をくり抜く処理などである。このような後処理を行うことで、リールLED55から光を照射させたときの効果を損なわないようにすることができるとともに、図柄の配列の自由度を高めることができる。
また、本実施例においては、リールシート400の巻き方として、余り部608と他端部613とを重複させるとして説明した。しかしながら、このような重複をさせずに、リールシート400を巻くようにしても良い。具体的には、余り部608を設けないようにする。つまり、リールシート400の一端は、605ではなく、608Aとなる。リールシート400を巻くときには、608Aと他端604とが当接するようにし、当該当接を維持するように、リールシート400の裏側に接着部を設ける。該接着部は、具体的には、所定方向に延伸している接着部材(例えば、矩形上の接着テープなど)である。具体的には、該当接している箇所(つまり、継ぎ目400a)を跨ぐように、該接着部材が接着される。これにより、余り部608を設けなくても、リールシート400を環状に巻くことができ、リールシート400のコストを削減することができる。
また、このような接着部材を用いた場合には、重複部分422は形成されないものの、該接着部材が設けられている箇所は、該接着部材とリールシート400とで二重構造が形成される。そこで、該二重構造の箇所(つまり、接着部材が施されている箇所)には、透過度合いが高い図柄を描かないか、もしくは、透過度合いが高い部分を描かないようにすることが好ましい。これにより、余り部608を設けずに、かつ、リールLED55から光を照射させたときの効果を損なわないようにすることができる。
また、該接着部材とリールシート400とで二重構造が形成された箇所に、透過度合いが高い図柄、もしくは透過度合いが高い部分が描かれた場合には、後処理として、該透過度合いが高い図柄、または透過度合いが高い部分の裏側の二重構造の箇所をくり抜く処理を行えば良い。
また、本実施例において、余り領域608Xの全領域に接着部を設けて、該余り部608と他端部613とを接着させることにより、重複部分422を形成するとして説明した。しかしながら、余り領域508Xの接着部を設ける領域は、余り領域608Xの一部の領域であっても良い。例えば、余り領域608Xの一端605側の縁に接着部を設けて、該余り部608と他端部613とを接着させるようにしても良い。このような構成によれば、接着部のコストを削減することができる。
また、本実施例においては、装飾図柄は菱形であるとして説明した。しかしながら、装飾図柄の形状は、菱形に限らず、他の形状(例えば、三角形状)であっても良い。また、装飾図柄は、隣接する各図柄の間に描かれるとして説明したがこれに限られるものではない。例えば、所定個(例えば、2個)の図柄おきに、装飾図柄を描くものでも良く、所定の図柄に対応して描かれるものでも良い。また、本実施例においては、装飾図柄は、リールシート400の一側方に描かれるとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、リールシート400の両側方に描かれるものであっても良い。
また、本実施例では、透明部材に、透明部材の長手方向の長さよりも短い長さの図柄シートが接着されることから、透明領域608Dが形成されるとして説明した。しかしながら、図柄シートが接着される対象は、透明部材でなくとも、環状に湾曲可能な帯状の部材であれば如何なる部材であっても良い。例えば、模様が入った部材(以下、「模様部材」という。)を用いても良い。このような模様部材に対して図柄シートが接着された場合には、透明領域608Dの部分は、当該模様部材の模様が描かれた領域となる。このように、図柄シートが接着される対象は、透明部材に限られないことから、リールシートの製造工程の自由度を高めることができる。また、模様部材を用いて、模様が付された領域608Dが設けられたとしても、着色領域608Cが形成されていることから、リールシート400を適切に巻けなかったとしても、着色領域608Cが露出され得ることから、リールシート400が不自然に見えることを防止できる。また、模様部材を用いたとしても、図柄シートを短くできることから、図柄シートのコストや、装飾コストを低減することができる。
また、本実施例の余り部608には、図柄は描かれないとして説明した。しかしながら、余り部608に、図柄を描くようにしても良い。余り部608は他端部613に重ねられることから、該図柄は、露出されることがない。したがって、余り部608に、図柄を描かれたとしても、リールシートの巻き付け処理においては、何ら支障はない。
また、本実施例においては、図柄番号2の図柄を、透過度合いが低いスイカ図柄として説明した。しかしながら、図柄番号2の図柄は、透過度合いが高い図柄を描くようにしても良い。
また、本実施例において、リールシート400が巻かれたリールは、所定の役に入賞したことを遊技者に認識させるリールとして用いられるとして説明した。しかしながら、所定の役に入賞したことを遊技者に認識させるためのリールではなく、例えば、演出のために用いられるリール(いわゆるサブリール)として用いるようにしても良い。
また、本実施例において、「各々が識別可能な複数種類の識別情報」は図柄であるとして説明した。しかしながら、識別情報は、他の情報であっても良く、例えば、記号、数字、文字、キャラクタなど如何なるものであっても良い。識別情報が図柄以外のものであっても、透過度合いが特定の識別情報よりも低い所定の識別情報が、図柄領域613Xに描かれることにより、本実施例と同様の効果を奏する。
また、本実施例において、リールシート400の形状は、帯状でありかつ矩形状であるとして説明したが、これに限られるものではない。リールシート400の形状は、帯状であり、かつ環状に巻かれるものであれば、如何なる形状であっても良い。本実施例においては、一端605および他端604は直線状であるとして説明したが、一端605および他端604のうち少なくとも一方は、曲線であっても良い。
また、本実施例において、回転軸がスロットマシン1の幅方向となるように、それぞれのリールが回転する(つまり、遊技者からは、上から下に図柄が変動するように見える)として説明した。しかしながら、該回転軸は、幅方向となることに限られず、高さ方向となる(つまり、遊技者からは、右から左、または左から右に図柄が変動するように見える)ようにしても良い。また、リールの回転軸は、スロットマシン1の幅方向や高さ方向となることに限られず、他の方向となっても良い。
また、本実施例において、リールは一重構造であるとして説明した。しかしながら、リールは二重構造や三重構造としても良い。例えば、リールの二重構造とは、外側のリールと、該外側のリールの径よりも小さい内側のリールとにより構造である。このように二重構造のリールのうち、少なくとも1つのリールに対して、本実施例の思想を適用することができる。
また、本実施例の保持枠401、402に付され、リールシート400の一端605が位置する箇所を特定するための情報としての目印401dは三角形状であるとして説明した。しかしながら、該目印401dは、リールシート400の巻き付け作業を行う作業員などにより、巻き付け開始位置が特定できれば、他の情報(記号のみならず文字)であっても良い。
また、本実施例の目印401dは、リールシート400の一端605が一致するものであるとして説明した。しかしながら、該目印401dは、リールシートの他の箇所と一致されるものであるとしても良い。また、当該他の箇所は、作業員により容易に特定可能な個所であることが好ましい。例えば、他の箇所を「第2ライン608B」としても良い。第2ライン408Bは、着色領域608Cと、透明領域608Dの境界線であることから、作業員によって容易に特定できる箇所である。また、該目印401dは、特定の図柄番号(例えば、0)の図柄が一致する箇所としても良い。このように、目印401dが他の箇所と一致するようなものであっても、リールシート400が適切に巻かれたことを条件に、リールが基準状態になったときには、継ぎ目400aが視認されるような位置関係にすることが好ましい。
また、目印401dの箇所を他の形状としても良い。例えば、目印401dを凸形状としても良い。この場合には、該目印401dと一致されるリールシート400の箇所を切欠き部とすれば良い。このような構成によれば、作業員は、該目印401dと該切欠き部とを係合させることにより、容易に、リールシート400と保持枠401、402との位置合わせを行うことができる。
また、本実施例の、リールシート400を保持する部材は、保持枠401、402であるとして説明した。しかしながら、保持枠の形状はこの形状に限られない。例えば、保持枠は、略円柱形上であり、該円柱形上の外周に、リールシート400が巻かれるものとしても良い。また、保持枠401、402の形状によっては、リールシート400が外周に巻かれる形状でないようにしても良い。また、リールシート400を環状に巻いて、図柄が露出されるように、円形部材で挟み込むようにしても良い。
また、本実施例では、上記のリール2L、2C、2Rやリールユニット2の構成をスロットマシン1に適用しているが、例えば、パチンコ遊技機に適用しても良い。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
前記実施例では、本発明を遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるスロットマシンに適用した例について説明したが、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンに適用しても良い。遊技球を遊技用価値として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、前記実施例で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
さらに、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のうちいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものではなく、例えば、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値を併用できるものであっても良い。すなわち、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンを適用しても良い。
また、前記実施例では、本発明をスロットマシンに適用しているが、遊技領域に遊技球を発射させて遊技を行うパチンコ遊技機に適用しても良い。