JP6494348B2 - 電子写真用転写部材及び電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンタの如き電子写真方式の画像形成装置(以下「電子写真装置」と称す)において用いられる電子写真用転写部材及び電子写真装置に関する。
電子写真装置では、無機又は有機材料から形成されている静電荷像担持体上を帯電し、帯電した静電荷像担持体を露光して静電潜像が形成される。その後、摩擦帯電したトナーにより静電潜像が現像され、トナー像が紙の如き記録媒体へ転写されることにより、記録媒体にトナー像が定着されることにより所望の画像を記録媒体に形成している。
電子写真装置の転写方式としては、静電荷像担持体上の未定着のトナー像を中間転写体へ1次転写し、改めてこの未定着のトナー像を前記中間転写体から記録媒体へ2次転写する、中間転写方式が用いられている。このような中間転写方式は、特にカラー電子写真装置において、中間転写体上に4色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を順次転写し、得られた合成像を記録媒体に一括して転写するので、記録媒体の厚みや表面特性の影響が小さく、高品質な画像が得られるといった利点を持つ。中間転写方式において更なる高画質を実現するためには、中間転写体の表面のトナー離型性を高め、トナー像の記録媒体への転写効率を向上させることが重要である。
特許文献1には、記録媒体への転写効率を効果的に向上させることのできる中間転写ベルトとして好適に使用される導電性エンドレスベルトが開示されている。すなわち、特許文献1には、パーフルオロアルキル基を含有する紫外線硬化樹脂を用いて形成された、鉛筆硬度が4H以上、n−ドデカンの接触角度が20°以上のハードコート層を有する導電性エンドレスベルトが記載されている。
特開2009−192901号公報
近年、電子写真装置に求められる印刷速度の高速化や、トナー転写効率の更なる向上のために、2次転写時の印加電圧(以下「2次転写電圧」と称す)が高くなってきており、そのため、2次転写時に、中間転写体の表面と転写ローラとの間に放電現象が生じやすくなってきている。
本発明者らの検討の結果、中間転写体の表面と転写ローラとの間に生じる放電によって、中間転写体の表面に存在する有機化合物が分解又は変質し、中間転写体の表面特性が変化する場合があることが分かっている。以後、このような放電に起因する中間転写体の表面特性の低下を「放電劣化」と記載する。
ここで、本発明者らは、特許文献1に係る中間転写ベルトについて検討したところ、ハードコート層中のパーフルオロアルキル基は、紫外線硬化樹脂に化学的に結合しているため、ハードコート表面への有機化合物の過剰な浸み出し(ブリード)は、殆んど観察されなかった。
一方、ハードコートの表面における化学組成をX線光電子分光法(ESCA)により測定したところ、初期においては、表面のフッ素原子量が10原子%から60原子%であった。しかしながら、1000枚以上の電子写真画像を形成した後には、表面のフッ素原子量が数原子%以下になっていた。このことは、放電劣化の発生を裏付けるものである。即ち、特許文献1に係る中間転写ベルトは、良好なトナー離型性を長期間にわたって維持することが困難であることが判明した。
そこで、本発明の目的は、長期に亘って、安定したトナー離型性を維持することのできる電子写真用転写部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真装置を提供することにある。
本発明によれば、基体と表面層とを有する電子写真用転写部材であって、該表面層は、水酸基を有するアクリル系樹脂と、下記式(2)で示される構造を有するフッ素化合物と、を有する電子写真用転写部材が提供される:
Figure 0006494348

[式(2)中、pは0以上7以下の整数、qは2以上20以下の整数、R は水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。]。
また、本発明によれば、基体と表面層とを有する電子写真用転写部材であって、
該表面層は、
水酸基を有するアクリル系樹脂と、
少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された、炭素数が1以上8以下のアルキル基と、下記式(1)で示される構成単位とを有するフッ素化合物と、
を有し、該フッ素化合物の重量平均分子量(Mw)が、400以上、1000以下である電子写真用転写部材が提供される:
Figure 0006494348

[式(1)中、nは1以上3以下の整数を表す。]
また、本発明によれば、上記電子写真用転写部材を具備していることを特徴とする電子写真装置が提供される。
本発明の電子写真用転写部材は、放電劣化によるトナー離型性の低下が少なく、過剰なブリードの発生を抑制することが可能である。また、本発明の電子写真用転写部材を電子写真装置の中間転写体として用いることにより、画像品質の低下を抑えることが可能である。
本発明に係る電子写真用転写部材の一実施形態の断面概略図である。 本発明に係る電子写真装置の一実施形態の概略断面図である。
本発明に係る電子写真用転写部材は、基体と表面層とを有する電子写真用転写部材であって、該表面層は、水酸基を有するアクリル系樹脂と、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された、炭素数が1以上8以下のアルキル基と、下記式(1)で示される構成単位とを有するフッ素化合物とを有している。
Figure 0006494348

[式(1)中、nは1以上3以下の整数を表す。]
このような構成を備えた電子写真用転写部材は、フッ素化合物の表面へのブリードが抑制される。また、長期間に亘る電子写真画像の形成に供した場合にも、トナー離型性の低下が抑えられる。その結果として高品位な電子写真画像の形成に資するものである。
本発明の電子写真用転写部材が、上記したような効果を奏する理由を本発明者らは以下のように推察している。
本発明に係るフッ素化合物は、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された、炭素数が1以上8以下のアルキル基を有する。かかるフッ素化合物が、電子写真用転写部材のトナー像を担持する表面上および表面層中の表面近傍の少なくとも一方に存在することによって、当該電子写真用部材の、トナー像を担持する表面におけるトナーの離型性が良好となる。
フッ素原子を分子内に有している化合物を、アクリル骨格を有する結着樹脂中へ含有させることは、その相溶性の低さから困難であることが多い。しかしながら、本発明に係るフッ素化合物は、基本骨格が、nが1〜3の短い炭化水素鎖と酸素原子とを有する構成単位を有しているため、弱い親水性を有している。また、アクリル系樹脂が水酸基を有しているため、本発明に係るフッ素化合物と、本発明に係るアクリル系樹脂とは親和性が高い。このため、表面層中における該フッ素化合物の保持性が高まり、ブリードが抑制されているものと考えられる。このことは、水酸基を有しないアクリル系樹脂に本発明に係るフッ素化合物を加えて表面層を形成した場合、表面層中の該フッ素化合物が最表面にブリードする、という実験事実からも裏付けられる。
また、本発明に係るフッ素化合物はアクリル系樹脂中に非共有結合性の親水性相互作用によって表面層中に保持されている。このため、表面層の表面近傍に存在する該フッ素化合物が、放電によって分解、消失し、トナー離型性が一時的に低下したとしても、表面層の内部に保持された該フッ素化合物が最表面へ移動することができ、トナー離型性を回復することが可能となっている。
一般に、フッ素原子を分子内に有する化合物の如き表面エネルギーの小さい化合物は、表面層の表面に偏在することが知られる。これは、系のエネルギーを最小にするために最もエネルギーが不安定化する空気との界面に該化合物が集合するためと考えられている。表面に偏在したフッ素化合物が放電によって失活すると、最表面の表面エネルギーが上昇する。このため、系のエネルギーを再安定化するために表面層の内部からフッ素化合物が供給され、トナー離型性が回復するものと考えられる。
一方、特許文献1に記載されているように、化学的な結合により表面層を構成する樹脂に固定されたフッ素化合物は、最表面のフッ素化合物が放電によって分解した場合においても、内部からはフッ素化合物が供給され難い。そのため、トナー離型性が放電によって失われると、表面のトナーの離型性が修復されず、長期に亘る安定したトナー離型性の維持が困難であると考えられる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1に本発明の一実施形態に係る電子写真用転写部材の断面概略図を示す。本発明の電子写真用部材は基体1に表面層2が積層した構造である。基体1上に表面層2を形成した後の電子写真用転写部材の電気抵抗としては、通常、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましい。また、表面層2側から測定した表面抵抗率は、1.0×10Ω/□以上1.0×1013Ω/□以下であることが好ましい。電子写真用転写部材の電気抵抗を上記のような半導電領域内に設定することによって、低湿環境下や連続駆動時のチャージアップに伴う転写バイアス不足による転写画像の不良を抑制することができる。また、高湿環境下においての転写バイアスのリークによる転写画像の不良を抑制することができる。なお、基体1と表面層2の間には別の層があってもよい。
〔基体〕
先ず、本発明の電子写真用転写部材における基体について説明する。基体の形態としては、代表的には、樹脂に導電剤を含有させた半導電性のフィルム若しくは円筒状のエンドレスベルト、及び、金属シャフトを芯金とする半導電性のローラ状物が挙げられる。樹脂は熱硬化性、熱可塑性いずれの樹脂を使用することも可能である。熱可塑性樹脂として、例えば、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ乳酸(PLLA)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリアミド酸。また、熱硬化性樹脂として例えば、以下のものが挙げられる。熱硬化性ポリイミド、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フッ素変性樹脂。これらは単一のものでも良く、ブレンド、アロイされた混合体として使用することもできる。
基体の形成方法は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、インフレーション成形、押出し成形、延伸成形、ブロー成形、トランスファー成形、圧縮成形、カレンダー成型の如き成形方法を適宜選択して、電子写真用転写部材の基体を得ることができる。
導電剤としては、電子伝導性物質、イオン電導性物質を用いることが可能である。電子伝導性物質としてはカーボンブラック、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンの如き導電性高分子が使用可能である。イオン電導性物質としては、過塩素酸ナトリウム、リチウム、カチオン性あるいはアニオン性のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、オキシアルキレン繰り返しユニットを持つオリゴマー、ポリマー化合物も使用可能である。また、基体中には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、PH調整剤、架橋剤、顔料を添加することができる。
基体は、例えば、ポリイミドの如き熱硬化性樹脂の場合、導電剤であるカーボンブラックを、ポリイミド前駆体もしくは可溶性ポリイミド及び溶剤とともにワニスとして分散し、遠心成型の如き装置を用いてコーティングし、焼成工程を経てシームレスベルトとして成型することができる。ベルト状の電子写真用転写部材の場合、基体の厚みは、10μm以上500μm以下、特には30μm以上150μm以下が好ましい。また、樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、導電剤であるカーボンブラックと樹脂、必要であれば添加剤を混合し、2軸の混練装置で溶融混練して半導電性のペレットを作製する。次に該ペレットを溶融押出しによりシート、フィルムあるいはシームレスベルト形状に押出す方法により半導電性フィルムを得ることが出来る。熱プレス、射出成型を使用して成形することもでき、また、成形したプリフォームを延伸ブローによって半導電性フィルムを得ることもできる。また、本発明の電子写真用転写部材の一つである転写ベルトの製造方法には、特に限定は無く、他のどのような製造方法を用いても良い。
〔表面層〕
次に表面層について説明する。表面層は、特定の結着樹脂と特定のフッ素化合物を含有している。かかる表面層によれば、電子写真プロセスにおいて発生しうる放電劣化に起因するトナーの離型性の低下を抑制することができる。また、表面層からのフッ素化合物の過剰なブリードを抑制し得る。以下に詳細に説明する。
〈結着樹脂〉
結着樹脂として、水酸基を有するアクリル系樹脂が挙げられる。これらの結着樹脂は、水酸基を有する(メタ)アクリレートをモノマーとして得られる重合体又は共重合体である。表面層の硬度制御を目的として、水酸基を有しない(メタ)アクリレートと共重合しても良い。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが挙げられる。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート。
水酸基を有しない(メタ)アクリレートとしては、以下のものが挙げられる。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングルコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグルコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート。
アクリル系樹脂を形成するモノマーの水酸基価(mgKOH/g)としては、10以上120以下であることが好ましく、より好ましくは30以上100以下である。水酸基価を上記範囲に設定することで、ブリードの発生を良好に抑制するとともに、トナーの離型性の修復速度(フッ素化合物の表面層中での移動速度)への影響がより少なく、良好なトナーの離型性を付与することができる。
ここでいう水酸基価は、一定量秤量した濃度既知の無水酢酸(アセチル化試薬)を用いて、被測定物であるモノマー中の水酸基をアセチル化し、アセチル化に使われなかった無水酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定することで求めることができる。このとき、試料1g中に含まれる水酸基の量を、滴定に要した水酸化カリウムのmg数で表している。また、前記アクリル系樹脂を形成するモノマーが複数種ある場合、モノマーの水酸基価とは、複数種のモノマーの混合物の水酸基価を指す。水酸基価の詳細な測定方法は後述する。
〈フッ素化合物〉
フッ素化合物は、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された、炭素数が1以上8以下のアルキル基と、下記式(1)で示される構成単位とを有している。
Figure 0006494348

[式(1)中、nは1以上3以下の整数を表す。]
そのため、該フッ素化合物は、上記した結着樹脂との相溶性が高く、また、上記した結着樹脂を含む表面層中への保持性を高めることができる。その結果、表面層の表面へのブリードを抑制しつつ、表面層への添加量の増量を図ることが可能となっている。また、結着樹脂への更なる相溶性の向上、及び、表面層中への保持性の向上のため、該フッ素化合物として、分子内にさらに水酸基を有しているものを用いることがより好ましい。
また、表面層のトナーの離型性を高めるため、フッ素化合物中の上記アルキル基は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されていることが好ましい。また、フッ素化合物中の上記アルキル基の個数は少なくとも1つである。
本発明に係る電子写真用転写部材においては、表面層の表面及び表面近傍に存在するフッ素化合物が放電によって分解、消失しても、表面層の内部に存在するフッ素化合物が供給され、トナーの離型性が回復しているものと考えられる。そのため、前記フッ素化合物は、表面層中の主材である結着樹脂との共有結合を形成するような反応性官能基を有していないものが好ましい。ここで、反応性官能基の例としては、不飽和結合を有するアクリル基やメタクリル基が挙げられる。
前記フッ素化合物の表面層中における含有量は、表面層の全質量を基準として、10質量%以上が好ましい。更にトナーの離型性の低下を抑制するためには、前記フッ素化合物を20質量%以上とすることが好ましい。また、前記フッ素化合物の含有量を、40質量%以下とすることで、表面層の主材である結着樹脂の相対的な含有量を維持することができるため、一定の表面硬度を得られる。これにより、電子写真装置に搭載された際に、他の摺動部材(例えば、クリーニングブレード)との摺動、及び、これらの部材と表面層との間に介在するトナーやトナーの外添剤による表面の摩耗を抑制することができる。
前記フッ素化合物は下記式(2)で示される構造を有することが好ましい。
Figure 0006494348
[式(2)中、pは0以上7以下の整数、qは2以上20以下の整数、Rは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。]
とりわけ、結着樹脂への更なる保持性の向上のため、該フッ素化合物のRが水素原子であるものがより好ましい。この場合、前記フッ素化合物の末端が水酸基となるため、結着樹脂との更なる親水性相互作用が得られ、保持性が高まる。
前記フッ素化合物の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましくは400以上1000以下の範囲内である。前記フッ素化合物の重量平均分子量が400以上であると、表面層のトナーの離型性がより発現しやすい。前記フッ素化合物の重量平均分子量(Mw)が1000以下であることで、高分子量である場合と比較して前記フッ素化合物が表面へ移動しやすく、自己修復速度がより速くなる。
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布の測定方法を用いて測定することができる。GPCによる分子量分布の測定方法は、後述する実施例にて詳細に説明する。
かかるフッ素化合物としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル「N−1287」、「N−1386−1」、「N−1386−2」(いずれも商品名)が挙げられる。なお、「N−1287」、「N−1386−1」及び「N−1386−2」の重量平均分子量Mwおよび上記式(2)におけるp及びqの値ならびにRに構造については、後述する実施例の表2に示した。
前記表面層は、バーコビッチ型圧子を使用したナノインデンター測定法において、最表面から厚み方向の10%以上20%以下の領域の平均硬度が0.10GPa以上、0.40GPa以下の範囲であることが好ましく、更には0.20GPa以上、0.30GPa以下であることが好ましい。
表面層の硬度の測定は、微小押込み硬さ試験機(商品名:ナノインデンターG200型、Agilent Technologies,Inc社製)を用いて、バーコビッチ型圧子を用いて測定することができる。なお測定領域は表面層の最表面から厚み方向の10%以上20%以下の領域の平均硬度を算出する。
これは、最表面付近である表面層の膜厚の10%以内の領域は圧子の振動といった測定環境の影響を受け易く、また表面層の膜厚の20%以上の領域は、基体の影響を受け易いため、これらの領域を計算から除外し算出するものである。表面層の平均硬度を上記の範囲に設定することで、電子写真装置に搭載された摺動部材(例えば、クリーニングブレード)との摺動や、これらの部材と表面層との間に介在するトナーやトナーの外添剤による摩耗や損耗といった物理的劣化の発生を抑制することができる。
前記フッ素化合物の分子構造は、適切な手段により表面層からフッ素化合物を単離し、熱分解GC/MSやNMR、IR、元素分析の如き手法を用いることにより同定することができる。また、表面層中の前記フッ素化合物の含有量は表面層から抽出する際の量比関係で判断することができる。抽出に用いる溶媒としては、前記フッ素化合物と反応しない溶媒を選択する必要がある。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)や酢酸エチル、メチルエチルケントン(MEK)の如き溶媒が好適に使用できる。その後の単離精製方法としては、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、各種クロマトグラフィーにより単離する方法が挙げられる。
[電子写真用転写部材の製造方法]
以下に本発明に係る電子写真用転写部材の具体的な製造方法を、ベルト状の中間転写体を例にとり説明する。
アクリル系樹脂を形成するモノマーと、前記式(1)で示される構成単位を有するフッ素化合物、添加剤、重合開始剤、溶媒を混合し、十分に攪拌を行うことで、混合分散液を得る。ここで、重合開始剤としては、光重合開始剤であるイルガキュア(チバガイギ社)を適宜使用することが出来る。また、添加剤としては、導電剤、フィラー粒子、着色剤、レベリング剤を用いることができる。得られた混合分散液を、リングコート、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコートの如き塗布手段によって、ベルト状の基体上へ塗布する。その後、塗膜を60℃から90℃の温度で乾燥し溶媒を留去したのち、紫外線あるいは、電子線の如き活性エネルギー照射装置によって塗膜を硬化して表面層を形成することにより本発明の中間転写体を得ることができる。
表面層の膜厚については、成膜条件、例えば混合分散液の固形分濃度、成膜速度の如き成膜条件を調整することにより適宜所望の膜厚を形成することが可能である。表面層の膜厚は、実機耐久条件での摩耗、損耗を考慮すると、少なくとも1μm以上が好ましく、ベルトを張架したときの耐屈曲性を考慮すると10μm以下が好ましい。また、更なる耐屈曲性が必要となる場合には5μm以下であることが好ましい。
〔電子写真装置〕
本発明の電子写真用転写部材は電子写真装置の中間転写体として好適に使用することができる。
図2は、本発明の電子写真装置の一実施形態の概略断面図である。電子写真装置100は、中間転写体としてエンドレスベルト形状を有する中間転写ベルトを用いた、電子写真方式のカラー電子写真装置(カラーレーザープリンタ)である。電子写真装置100には、中間転写体である中間転写ベルト7の表面に沿って、その移動方向に順に、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分の画像形成部である画像形成ユニットPY、PM、PC、PKが配設されている。ここで、1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ電子写真感光体、2Y、2M、2C、2Kはそれぞれ帯電ローラ、3Y、3M、3C、3Kはそれぞれレーザー露光装置、4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ現像器、5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ1次転写ローラを示す。各画像形成ユニットの基本的な構成は同一であるので、画像形成ユニットの詳細については、イエロー画像形成ユニットPYについてのみ説明する。
イエロー画像形成ユニットPYは、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」又は「第1の画像担持体」とも称する)1Yを有する。感光ドラム1Yは、アルミニウム製のシリンダを基体として、その上に電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順に積層して形成したものである。
また、イエロー画像形成ユニットPYは、帯電手段としての帯電ローラ2Yを備えている。帯電ローラ2Yに帯電バイアスを印加することで、感光ドラム1Yの表面は一様に帯電される。
感光ドラム1Yの上方には、画像露光手段としてのレーザー露光装置3Yが配設されている。レーザー露光装置3Yは、一様に帯電された感光ドラム1Yの表面を画像情報に応じて走査露光して、イエロー色成分の静電潜像をその感光ドラム1Y表面に形成する。
感光ドラム1Yに形成された静電潜像は、現像手段としての現像器4Yによって現像剤であるトナーによって現像される。つまり、現像器4Yは、現像剤担持体である現像ローラ4YA、現像剤量規制部材である規制ブレード4YBを備えており、また現像剤であるイエロートナーを収容している。イエロートナーが供給された現像ローラ4YAは、現像部において感光ドラム1Yと軽圧接されており、感光ドラム1Yと順方向に速度差を持って回転される。現像ローラ4YAによって現像部に搬送されたイエロートナーは、現像ローラ4YAに現像バイアスを印加することで、感光ドラム1Yに形成された静電潜像に付着する。これにより、感光ドラム1Yに可視像(イエロートナー画像)が形成される。
中間転写ベルト7は、駆動ローラ71、テンションローラ72、従動ローラ73に張架されており、感光ドラム1Yと接触して図中矢印の方向に移動(回転駆動)される。そして、1次転写部TYに到達した感光ドラム上に形成されたイエロートナー画像は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1Yに対向して圧接されている1次転写ローラ5Yによって、中間転写ベルト7上に1次転写される。
同様に、以上の作像動作を、中間転写ベルト7の移動に伴ってマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各ユニットPM、PC、PKにおいて行い、中間転写ベルト7上にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー画像を積層する。4色のトナー層は中間転写ベルト7の移動に従って搬送され、2次転写部T’において、2次転写手段としての2次転写ローラ8により、所定のタイミングで搬送されてくる転写材S(以下、「第2の画像担持体」とも称する)上に一括転写される。このような2次転写においては通常十分な転写率を確保するために数kVの転写電圧を印加するが、その際に転写ニップ近傍において放電が発生することがある。なお、この放電が転写部材の化学劣化の一因となっている。
転写材Sは、転写材Sの収納部であるカセット12に収納されており、ピックアップローラ13によって機内に分離供給される。機内では、転写材Sは、搬送ローラ対14、レジストローラ対15によって中間転写ベルト7に転写された4色のトナー画像と同期をとられて2次転写部T’まで搬送される。
転写材Sに転写されたトナー画像は、定着器9によって定着されて、例えばフルカラーの画像となる。定着器9は、加熱手段を備えた定着ローラ91と加圧ローラ92とを有し、転写材S上の未定着トナー画像を加熱、加圧することで定着する。その後、転写材Sは搬送ローラ対16、排出ローラ対17によって機外に排出される。
中間転写ベルト7のクリーニング手段でありクリーニングブレード11が、中間転写ベルト7の駆動方向の2次転写部T’の下流に配設されており、2次転写部T’において転写材Sに転写されずに中間転写ベルト7に残った転写残トナーを除去する。
上説明したように感光体から中間転写ベルト、中間転写ベルトから転写材へトナー画像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の転写材へ記録を繰り返すことで電気的転写プロセスが更に繰り返し行われることになる。
以下、本発明を実施例および比較例を用いて説明する。実施例及び比較例において、混合分散液の材料としては、溶剤により希釈・分散されているものがあるが、各材料の使用量(質量%)は、特に示さない限り不揮発分に関する量であって、溶剤(揮発分)が除かれた量を意味する。実施例に先立って、まず、電子写真用転写部材及び電子写真用転写部材の作製に用いた化合物の評価方法を説明する。
〔評価1.表面層の硬度の測定〕
表面層の硬度は、微小押し込み硬さ試験機(商品名:ナノインデンターG200型;Agilent Technologies,Inc製)を用いて、バーコビッチ型圧子を使用して測定した。なお測定領域は表面層の最表面から厚み方向の10%から20%とし、この領域の平均硬度を算出した。
〔評価2.水酸基価の測定〕
結着樹脂の原料化合物の水酸基価は、日本工業規格(JIS) K 0070(アセチル化法)を参考に酸価を求め、指示薬滴定法による水酸基価滴定分析を行い、下記計算式(1)より算出した。
計算式(1)
水酸基価(mgKOH/g)=
{(V−V)×f×0.5×56.11}/S+酸価
上記計算式(1)において、
:採取試料の質量(g)
:空試験で要した0.5mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の量(mL)
:本試験で要した0.5mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の量(mL)
:0.5mol/L水酸化カリウムのアルコール溶液のファクター(1.005)
酸価(mgKOH/g)={(V−V)×f×0.1×56.11}/S
:採取試料の質量(g)
:空試験で要した0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の量(mL)
:本試験で要した0.1mol/L水酸化カリウムアルコール溶液の量(mL)
:0.1mol/L水酸化カリウムのアルコール溶液のファクター(1.006)である。
水酸基価滴定分析について、以下に詳細を述べる。
200mLの三角フラスコに、測定対象の試料約2gとアセチル化試薬を5mL加えた後、空冷管を取り付け100℃の油浴で1時間反応させる。室温にて放冷後、水を1mL加える。再度10分間100℃の油浴で加熱する。放冷後にエタノールで空冷管内部とフラスコ内壁面を洗い流す。溶液をピリジン30mLで希釈する。指示薬に1%フェノールフタレイン溶液を用い、0.5mol/L水酸化カリウムのアルコール溶液(f=1.005)で滴定を行い、薄く赤色に着色した時点を終点とする。
同様の方法で空試験も行い、上記式より水酸基価を算出する。尚、アセチル化試薬は、無水酢酸20gをフラスコに秤量した後、ピリジンを加えて100mLとしたものを使用する。
酸価滴定分析について、以下に詳細を述べる。
100mLの三角フラスコに試料約2gとエタノール30mLと2−ブタノン30mLを投入し、室温で溶解させる。指示薬に1%フェノールフタレイン溶液を用い、0.1mol/L水酸化カリウムのアルコール溶液(f=1.006)で滴定を行い、薄く赤色に着色した時点を終点とする。同様の方法で空試験も行い、上記式より酸価を算出する。
なお、上記評価2に基づく、後述する各実施例及び各比較例に係る中間転写ベルトの表面層の形成に用いた結着樹脂の原料化合物の水酸基価を表1に示す。
〔評価3.重量平均分子量(Mw)の測定〕
本発明に係るフッ素化合物1〜3の重量平均分子量(Mw)を、以下の条件で測定した。
温度40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに溶媒としてトルエンを毎分1mLの流速で流した。試料濃度として0.3質量%に調製したフッ素化合物のトルエン試料溶液を100μL注入した。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、10種の単分散ポリスチレン標準試料(商品名:TSKgel標準ポリスチレン「005202」〜「005211」、東ソー社製)により作製された検量線の対数値とリテンションタイムとの関係から算出した。測定に用いた装置およびカラムは以下である。
GPC装置:「GPC ゲル浸透クロマトグラフ分析装置」(商品名:HLC−8220、東ソー社製)
カラム:ポリスチレンジェルカラム(商品名:Shodex GPC LF−804、昭和電工社製)×3本
検出器:示差屈折率検出器(商品名:RI−8020、東ソー社製)
なお、上記評価3に基づく、後述する各実施例に係る中間転写ベルトの表面層の形成に用いたフッ素化合物1〜3の重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
〔評価4.ブリードの評価〕
実施例及び比較例に係る中間転写ベルトの各々について、X線光電子分光法(ESCA)を用いて、各中間転写ベルトを作製直後(以下、「初期時」ともいう)、及び各中間転写ベルトをブリードの発生しやすい高温高湿(温度40℃、相対湿度95%)の条件下に24時間放置後(以下、「加速試験後」ともいう)の、表面のフッ素化合物中のフッ素原子量を測定した。そして、下記の基準に従って、初期時及び加速試験との各中間転写ベルトの表面のフッ素原子量の変化(増大)が、5原子%以上であった場合を「ブリード発生有り」と評価した。
ランクA:ブリードの発生無し。
ランクC:ブリードの発生有り。
〔評価5.耐久性の評価〕
電子写真画像形成装置(商品名:Image RUNNER ADVANCE C5051、キヤノン社製)に備え付けられているポリイミド製の中間転写ベルトを取り外して、その代わりに下記実施例及び比較例の各々に係る中間転写ベルトを装着した。
そして、A4サイズの普通紙(商品名:CS814、キヤノン社製)上に、白ベタ画像を10,000枚出力した(以下「通紙試験」ともいう)。表面のフッ素原子量は、X線光電子分光法(ESCA)により表面層の表面の化学組成を測定して求めた。
なお、通紙試験は、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)環境下で行った。
〔評価6.画像評価〕
実施例1〜8に係る中間転写ベルトNo.1〜8について、電子写真画像形成装置(商品名:Image RUNNER ADVANCE C5051、キヤノン社製)に備え付けられているポリイミド製の中間転写ベルトを取り外して、その代わりに下記実施例及び比較例の各々に係る中間転写ベルトを装着した。
そして、A4サイズの普通紙(商品名:CS814、キヤノン社製)上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字濃度2%となるように形成された画像(以下、「E文字画像」と称する)を10,000枚出力した。なお、画像の形成には、上記電子写真画像形成装置のプリントカートリッジに搭載されているブラック現像剤を用いた。また、画像の出力は、常温常湿(温度25℃、相対湿度55%)環境下で行った。
前記画像出力後、シアンとマゼンダの現像剤を用いて2次色のベタ画像を1枚出力し、得られたベタ画像を次の手順で評価した。ベタ画像をスキャナー(商品名:CanoScan 9000F、キヤノン社製)を用い、読み取り解像度600dpi、画像補正処理OFFで画像を読み込み、2,550×2,550ピクセル(およそ10.8×10.8cm)の範囲でトリミングを行った。得られた画像を表示倍率200%で目視により観察し、画像ムラが見られるか否かを下記の基準により評価した。
ランクA:画像にムラが認められず良好。
ランクB:Aに準じて良好。
ランクC:画像にムラが認められる。
〈実施例1〉
基体として、電子写真画像形成装置(商品名:Image RUNNER ADVANCE C5051、キヤノン社製)のポリイミド製中間転写ベルトを用いた。
次いで、水酸基を有するジペンタエリスリトールペンタアクリレートと水酸基を有しないジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物である「ライトアクリレートDPE−6A」(商品名、共栄社化学株式会社製;水酸基価52mgKOH/g)90質量部、及び、ポリオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル(商品名:N−1287、第一工業製薬株式会社製;重量平均分子量Mw=640)10質量部を混合し、樹脂固形分濃度が20%となるようにメチルイソブチルケトンで希釈した。
更に、前記樹脂成分の合計100質量部に対して、導電性金属酸化物として、ガリウムドープ酸化亜鉛(CIKナノテック社製)25質量部、および光重合開始剤(商品名:イルガキュアー184、チバガイギー社製)3質量部を混合して攪拌し、混合分散液を得た。
この混合分散液を上記基体上にスリットコート法でコーティングして塗膜を形成し、温度60℃で2分間乾燥させた後、紫外線を照射して硬化させ、表面層を形成した。尚、紫外線源として紫外線照射装置(UE06/81−3、アイグラフィック製)を用い、積算光量が1200mJ/cmになるまで紫外線を照射した。こうして得た中間転写ベルトNo.1を上記評価1、3〜4に供した。評価結果は表3〜4に示す。
中間転写ベルトNo.1では、ブリード評価が良好であり、かつ、10,000枚の通紙試験においても表面におけるフッ素原子量が維持されていた。これは、表面層中にフッ素化合物が保持されつつ、表面近傍のフッ素化合物が放電により分解し消失しても内部に存在するフッ素化合物が移動して補うためと考えられる。
〈実施例2〜8〉
実施例1において、混合分散液を調製する際に、表1〜2に示す種類の化合物及び含有量で調製したこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.2〜8を得た。得られた中間転写ベルトNo.2〜8について、上記評価1、3〜4に供した。評価結果を表3〜4に示す。
〈比較例1〉
実施例1に係る混合分散液の調製において、「ライトアクリレートDPE−6A」を、水酸基を有しないペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学社製;水酸基価0mgKOH/g)に変更した以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.9を得た。この中間転写ベルトNo.9を、上記評価1、3〜4に供した。評価結果を表3〜4に示す。
中間転写ベルトNo.9は、ブリード評価において、表面へのフッ素化合物の過剰なブリードが発生した。なお、表3において、10,000枚の通紙試験直後の、中間転写ベルトNo.9の表面におけるフッ素原子量が0%となっているのは、ブリードしたフッ素化合物が、紙及びクリーナーにより回収されているためと推測している。
〈比較例2〜3〉
実施例1に係る混合分散液の調製において、変性フッ素化合物を、表2に示す、反応性官能基としてアクリル基を有するフッ素化合物4〜5に変えたこと以外は実施例1と同様にして、中間転写ベルトNo.10〜11を得た。これら中間転写ベルトNo.10〜11を、上記評価1、3〜4に供した。評価結果を表3〜4に示す。
中間転写ベルトNo.10では、フッ素化合物が化学的な結合により表面層中の結着樹脂に固定化されているため、表3に示したように、表面へのフッ素化合物のブリードは認められなかった。また、10,000枚目の通紙試験後には、表面のフッ素化合物の量が減少していた。これは、表面のフッ素化合物の放電劣化によるものと考えられる。
Figure 0006494348
Figure 0006494348
Figure 0006494348
Figure 0006494348
〔評価7.トナー離型性の回復性の評価〕
上記評価4に供した、実施例1及び実施例3、並びに比較例1及び比較例2に係る中間転写ベルトNo.1、3、9及び10について、10,000枚の通紙試験後の、表面のトナー離型性の経時的な回復の程度を、ヘキサデカンに対する接触角(以下、「ヘキサデカン接触角」ともいう)により評価した。
ヘキサンデカン接触角は、接触角計(商品名:Dropmaster500、協和界面科学株式会社製)を用いて測定し、液滴法(θ/2法)により算出した。具体的には、液量1000μLを測定サンプルに着滴させ、針先から液滴が離れてから1秒後を測定値とした。1つの中間転写ベルトについて、無作為に選択した3箇所におけるヘキサデカン接触角を算出し、それらの算術平均値を、その中間転写ベルトのヘキサデカン接触角として採用した。測定は、10,000枚の白ベタ画像の出力終了から1時間以内、6時間後、12時間後、24時間後及び72時間後に行った。その結果を、表5に示す。
Figure 0006494348
上記表5に示したように、実施例1、3に係る中間転写ベルトNo.1、3については、表面のトナーの離型性が、10,000枚の通紙試験後から時間の経過とともに、成膜直後の状態に回復していくことが分かった。
一方、比較例1に係る中間転写ベルトNo.9については、トナーの離型性の回復は認められなかった。これは、表面層中に含まれていたフッ素化合物がブリードし、通紙試験の際に紙等によって除去されてしまった結果、トナーの離型性を回復させられるだけの量のフッ素化合物が表面層中に保持されていなかったためであると考えられる。
さらに、中間転写ベルトNo.10についても、表5に示したように、10,000枚の通紙試験後には、表面のヘキサデカン接触角の回復が認められなかった。これは、フッ素化合物が化学的な結合により表面層中の結着樹脂に固定化されているため、表面に存在していたフッ素化合物が放電劣化した後に、表面層の内部からフッ素化合物が供給されにくいためであると考えられる。
1 基体
2 表面層

Claims (12)

  1. 基体と表面層とを有する電子写真用転写部材であって、
    該表面層は、
    水酸基を有するアクリル系樹脂と、
    記式()で示される構造を有するフッ素化合物と、を有することを特徴とする電子写真用転写部材
    Figure 0006494348

    [式(2)中、pは0以上7以下の整数、qは2以上20以下の整数、R は水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基を表す。]。
  2. が水素原子である請求項1に記載の電子写真用転写部材。
  3. 前記フッ素化合物の前記表面層中の含有量が、10質量%以上、40質量%以下である請求項1または2に記載の電子写真用転写部材。
  4. 前記フッ素化合物の前記表面層中の含有量が、20質量%以上、40質量%以下である請求項3に記載の電子写真用転写部材。
  5. 前記アクリル系樹脂を形成するモノマーの水酸基価(mgKOH/g)が10以上、120以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子写真用転写部材。
  6. 前記アクリル系樹脂を形成するモノマーの水酸基価(mgKOH/g)が30以上、100以下である請求項5に記載の電子写真用転写部材。
  7. 前記フッ素化合物の重量平均分子量(Mw)が400以上、1000以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子写真用転写部材。
  8. 前記表面層は、バーコビッチ型圧子を使用したナノインデンター測定法において、最表面から厚み方向に10%から20%の領域の平均硬度が0.10GPa以上、0.40GPa以下の範囲である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子写真用転写部材。
  9. エンドレスベルト形状を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子写真用転写部材。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子写真用転写部材を具備していることを特徴とする電子写真装置。
  11. 前記電子写真装置が、
    電子写真感光体と、
    該電子写真感光体に形成された未定着のトナー像が1次転写される中間転写体と、
    該中間転写体に転写されたトナー像を転写材に2次転写させるための2次転写手段と、
    を備えており、
    該中間転写体が前記電子写真用転写部材である請求項10に記載の電子写真装置。
  12. 基体と表面層とを有する電子写真用転写部材であって、
    該表面層は、
    水酸基を有するアクリル系樹脂と、
    少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された、炭素数が1以上8以下のアルキル基と、下記式(1)で示される構成単位とを有するフッ素化合物と、
    を有し、該フッ素化合物の重量平均分子量(Mw)が、400以上、1000以下であることを特徴とする電子写真用転写部材:
    Figure 0006494348

    [式(1)中、nは1以上3以下の整数を表す。]。
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