JP6493876B2 - インク用バインダー組成物、インク用バインダー、インク用材料セット及びインク - Google Patents

インク用バインダー組成物、インク用バインダー、インク用材料セット及びインク Download PDF

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Description

本発明は、インク用バインダー組成物、インク用バインダー、インク用材料セット及びインクに関する。
自動車、電化製品、スマートフォンなどの携帯電話、携帯端末等の部材には加飾された射出成形品が使用されている。これらの射出成形品は、例えば、透明フィルムの裏面に樹脂を含むインクを印刷することでインク層を形成して加飾フィルムとし、加飾フィルムを圧縮成形にて曲面、凸凹又は平面を有する形状に加工した後に金型に装着し、加飾フィルムのインク面に向けて溶融した樹脂を射出して、樹脂の表面と加飾フィルムとを一体化させる射出成形により製造される。
また、加飾フィルムのインク層は、射出成形の際、溶融した高温の樹脂と接触したり、200℃〜300℃程度の高温に加温された金型に保持されたりするなど、過酷な環境に曝される。そのため、加飾フィルムのインク層形成に使用されるインクは、高温下に曝されたとしても、インク層が流動化することによりインクが流れる現象である、インク流れが生じることなく、高い耐熱性を有することが要求される。
インクの耐熱性は、インクに使用される樹脂の耐熱性に左右されるため、耐熱性に優れるポリカーボネート樹脂を用いたインクが開発されている。例えば、ポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いる耐熱性印刷インキが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、ポリカーボネート樹脂は耐候性に劣るという問題があるため、耐候性に優れたアクリル樹脂を用いたインクが開発されている。例えば、結合剤として少なくとも115℃のビカー軟化温度VST(ISO306B)を有するポリ(メタ)アクリレートを使用するインクが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、食品用トレー用のフィルムに印刷されるインクとして、バインダー樹脂と、架橋剤として金属キレート化合物とを含むインクが開発されている。例えば、メタクリル酸アルキル−メタクリル酸エステル共重合物、メタクリル酸アルキル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂などのアクリル樹脂と、チタンキレート化合物などの金属キレート化合物と、エポキシ基を有するポリエステルポリオール化合物とを含む印刷インキ組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。
他にも、鏡面光沢又はカラー鏡面光沢を備えた印刷物の製造に用い、スクリーン印刷適性に優れた高輝度鏡面スクリーンインキが開発されている。例えば、蒸着アルミニウム箔顔料、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどのバインダー成分及びアルミキレート化合物を含有する高輝度鏡面スクリーンインキが知られている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、蒸着金属膜を粉砕して金属片とした光輝性顔料を面状に配向させた塗膜を得ることができる光輝性塗料組成物が開発されている。例えば、ガラス転移温度0〜45℃、水酸基価20〜80mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)200,000〜1,000,000であるアクリル樹脂と、メラミン樹脂などの硬化剤と、蒸着金属膜を粉砕して金属片とした光輝性顔料と、溶剤とを含む光輝性塗料組成物が知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開2004−67838号公報 特表2005−501161号公報 特開2004−285245号公報 特開2008−138193号公報 特開2006−169416号公報
しかしながら、特許文献1に記載の耐熱性印刷インキでは、ポリカーボネート樹脂を用いているため、耐候性に劣るという問題がある。また、特許文献2に記載のインクでは、耐熱性を高めるために高い軟化温度を有するアクリル樹脂を使用しているが、高い軟化温度を有するアクリル樹脂は硬くて脆くなる傾向があるため、このインクを用いて形成したインク層を有するフィルムでは、圧縮成形で加工する際に屈曲、延伸することで、インク層にクラックが生じるおそれがあり、加工性に劣るという問題がある。
また、特許文献3に記載の印刷インキ組成物では、バインダー樹脂としてメタクリル酸アルキル−メタクリル酸エステル共重合物、メタクリル酸アルキル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂などのアクリル樹脂を用いているが、これらの樹脂を用いてインク層を形成した場合、高温時におけるインク層の弾性及び粘性が不十分であり、耐熱性及び加工性に劣るという問題がある。さらに、特許文献4に記載の高輝度鏡面スクリーンインキでは、バインダー成分としてポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどを用いているが、ポリエステルを用いてインク層を形成した場合、インク層は耐熱性に劣るため、インク流れが発生するおそれがあり、ポリ(メタ)アクリル酸エステルを用いてインク層を形成した場合、耐熱性は向上するもののインク流れ抑制の点では十分でなく、また、加工性に劣るという問題がある。
また、特許文献5に記載の光輝性塗料組成物では、アクリル樹脂、及びメラミン樹脂などの硬化剤を用いているが、これらを用いて塗膜を形成した場合、耐熱性及び加工性を両立することができず、特に塗膜が硬くなりすぎてしまい、加工性に劣るという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、インク層を形成した際、耐熱性に優れ、さらに圧縮成形時の加工性に優れたインク用バインダー組成物、インク用バインダー、インク用材料セット及びインクを提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> (メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーと、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部の金属キレート化合物と、を含むインク用バインダー組成物。
<2> 前記構成単位(B)に対する前記構成単位(C)の含有比率が、モル基準で0.5〜2.0である<1>に記載のインク用バインダー組成物。
<3> 前記金属キレート化合物が、アルミニウムキレート化合物である<1>又は<2>に記載のインク用バインダー組成物。
<4> 前記アルミニウムキレート化合物がアルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)である<3>に記載のインク用バインダー組成物。
<5> 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−40℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びホモポリマーとしたときのガラス転移温度が50℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク用バインダー組成物。
<6> 前記カルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーとして、アミノ基を有するモノマーを含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク用バインダー組成物。
<7> 前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が60℃以下である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインク用バインダー組成物。
<8> (メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、かつ前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む、射出成形に用いられるインク用バインダー。
<9> (メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、かつ前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む第1の材料と、金属キレート化合物を含む第2の材料と、を有するインク用材料セット。
<10> <1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク用バインダー組成物又は<9>に記載のインク用材料セットにおける前記第1の材料及び前記第2の材料と、有機溶媒とを含有するインク。
<11> さらに着色剤を含有する<10>に記載のインク。
<12> 射出成形用のフィルムに用いられる<10>又は<11>に記載のインク。
本発明によれば、インク層を形成した際、耐熱性に優れ、さらに圧縮成形時の加工性に優れたインク用バインダー組成物、インク用バインダー、インク用材料セット及びインクを提供することができる。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質を複数種併用する場合には、特に断らない限り、その成分に該当する複数種の物質の合計量を意味する。
更に(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
更に(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
更にインク用バインダー組成物とは、(メタ)アクリル系ポリマーと金属キレート化合物との架橋反応が終了する前の組成物であって、例えば、液状、ペースト状又は粉末状の組成物を意味する。
更にインク層とは、(メタ)アクリル系ポリマーと金属キレート化合物との架橋反応が終了した後の層であって、例えば、固形状の層を意味する。また、インク層は、顔料、染料などの着色剤を含む着色された層であってもよく、着色されていない層であってもよい。
〔インク用バインダー組成物〕
本発明におけるインク用バインダー組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーと、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部の金属キレート化合物と、を含む。
本発明におけるインク用バインダー組成物は、好ましくは、射出成形に用いられるものであり、例えば、自動車、電化製品、スマートフォンなどの携帯電話、携帯端末等の部材として用いられる射出成形品を製造する際に用いられる。具体的には、射出成形品は、透明フィルムの裏面に本発明におけるインク用バインダー組成物を含有するインクを印刷することでインク層を形成して加飾フィルムとし、加飾フィルムを圧縮成形にて曲面、凸凹又は平面を有する形状に加工した後に金型に装着し、加飾フィルムのインク面に向けて溶融した樹脂を射出して、樹脂の表面と加飾フィルムとを一体化させる射出成形により製造される。
本発明におけるインク用バインダー組成物は、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む。金属キレート化合物との反応点であるカルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)と、カルボキシ基よりも金属キレート化合物との反応性が低い、あるいは、金属キレート化合物と反応しない極性官能基(カルボキシ基以外の極性官能基)を有するモノマーに由来の構成単位(C)とが、(メタ)アクリル系ポリマーに所定量含まれていることにより、インク層を形成した際、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。
具体的には、(メタ)アクリル系ポリマーにて構成単位(B)の含有率が、全構成単位に対して3モル%以上であることにより、金属キレート化合物との反応点を十分に確保することができるため、架橋時における架橋密度を高めてインク流れの発生を抑制できる。よって、インク層を形成した際に耐熱性に優れたインク用バインダー組成物を提供できる。
さらに、(メタ)アクリル系ポリマーにて構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対して3モル%以上であることにより、インク層を形成した際に粘性が高くなり、圧縮成形時の加工性に優れ、インク層におけるクラックの発生を抑制することができる。さらに、インク層と、透明フィルムなどの被印刷基材との密着性を高め、被印刷基材からの剥がれを抑制できる。
また、(メタ)アクリル系ポリマーにて構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であることにより、インク層を形成した際に、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。
なお、本明細書において、全構成単位とは、構成単位(A)、構成単位(B)、構成単位(C)及びその他の共重合性モノマーに由来する構成単位の合計を意味する。
また、本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上である。ガラス転移温度が20℃以上であることにより、インク流れの発生を抑制でき、耐熱性に優れる。
本発明におけるインク用バインダー組成物は、(メタ)アクリル系ポリマーとともに、金属キレート化合物を含み、金属キレート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部である。
金属キレート化合物を用いて(メタ)アクリル系ポリマーを架橋することにより、インク層を形成した際、高温時の弾性及び粘性を高め、耐熱性と加工性とを両立できる。金属キレート化合物以外の架橋剤を用いた場合、粘性に比べて弾性が高くなりすぎる、すなわち、インク層が硬くなりすぎる傾向があるため、圧縮成形時の加工性を確保できず、インク層にてクラックが発生しやすい。
また、金属キレート化合物以外の架橋剤を用いた場合、架橋剤を添加した時点から架橋が始まるため、ポットライフが短いという問題があり、さらに、架橋剤の量が増えるほどポットライフが短くなってしまうという問題がある。一方、金属キレート化合物を架橋剤として用いた場合、架橋剤を添加した時点から架橋が始まらず、ポットライフが長くなる。
さらに、金属キレート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部であるため、インク層を形成した際、耐熱性と加工性とを両立できる。
具体的には、金属キレート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部以上であるため、架橋時における架橋密度を高めてインク流れの発生を抑制できる。よって、インク層を形成した際に耐熱性に優れたインク用バインダー組成物を提供できる。
さらに、金属キレート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して20質量部以下であるため、架橋時における架橋密度が高くなりすぎず、インク層が硬くなりすぎることが抑制される。これにより、インク層を形成した際に粘性が確保され、圧縮成形時の被印刷基材の変形にインク層が好適に追従する。したがって、圧縮成形時の加工性に優れ、インク層におけるクラックの発生を抑制できる。
[(メタ)アクリル系ポリマー]
本発明におけるインク用バインダー組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む。これにより、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)>
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)を含む。この構成単位(A)は、(メタ)アクリル系ポリマーの主成分である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基が直鎖、分枝又は環状のいずれである(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
アルキル基が直鎖又は分枝である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、より好ましくはアルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
アルキル基が直鎖又は分枝である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。
アルキル基が環状である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、芳香環構造又は脂環構造を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
アルキル基が環状である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド(EO)変性クレゾール、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド(EO)変性ノニルフェノール、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−40℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びホモポリマーとしたときのガラス転移温度が50℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位を(メタ)アクリル系ポリマーが含むことにより、インク層を形成した際の耐熱性と加工性とのバランスが良好となるように、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度を調整できる。ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−40℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル(−57℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(−76℃)が挙げられ、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が50℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル(103℃)が挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける構成単位(A)の含有率は、特に限定されないが、インク層を形成した際の耐熱性と加工性とのバランスをとる点から、全構成単位に対して50モル%〜92モル%であることが好ましく、55モル%〜80モル%であることが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。例えば、構成単位(A)は、前述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1つに由来の構成単位であってもよい。
<カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)>
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)を含み、構成単位(B)の含有率は全構成単位に対して3モル%以上である。
カルボキシ基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)の含有率は、インク層を形成した際の耐熱性をより高める点から、全構成単位に対して4モル%以上であることが好ましく、7モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることがさらに好ましい。また、構成単位(B)の含有率は、3モル%以上であれば特に限定されないが、インク層を形成した際の加工性を好適に維持し、かつ他の構成単位、特に構成単位(C)とのバランスをとる点から、30モル%以下であることが好ましく、26モル%以下であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。例えば、構成単位(B)は、前述したカルボキシ基を有するモノマーから選択される少なくとも1つに由来の構成単位であってもよい。
<カルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)>
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、構成単位(C)の含有率は全構成単位に対して3モル%以上である。
カルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーとしては、例えば、水酸基を有するモノマー、窒素原子を有するモノマー、グリシジル基を有するモノマーが挙げられ、好ましくは、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー、窒素原子を有する(メタ)アクリル系モノマー、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、他のモノマーとの相溶性及び共重合性が良好である点、並びに透明フィルムなどの被印刷基材との密着性が良好である点から、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが好ましく、炭素数2〜5のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルがより好ましく、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルがさらに好ましい。
水酸基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール、メタリルアルコールが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
窒素原子を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
窒素原子を有するモノマーの中でも、インク層を形成した際、被印刷基材に対する密着性がより高まる点から、アミノ基を有するモノマーが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピルが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルが好ましい。
グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、カルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)の含有率は、インク層と、透明フィルムなどの被印刷基材との密着性を高める点から、全構成単位に対して5モル%以上であることが好ましく、8モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることがさらに好ましい。また、構成単位(C)の含有率は、3モル%以上であれば特に限定されないが、他の構成単位、特に構成単位(B)とのバランスをとる点から、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、窒素原子を有するモノマー(好ましくは、アミノ基を有するモノマー)に由来の構成単位(C’)の含有率は、インク層を形成した際の加工性をより高める点から、全構成単位に対して0.3モル%以上であることが好ましく、0.5モル%以上であることがより好ましい。また、構成単位(C’)の含有率は、重合時の作業性およびインクとした際の粘度調整の容易さの点から、1.0モル%以下であることが好ましく、0.8モル%以下であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計は、全構成単位に対して8モル%以上である。これにより、インク層を形成した際に、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。さらに、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計は、インク層を形成した際の耐熱性及び加工性を好適に維持し、かつ構成単位(A)、構成単位(B)及び構成単位(C)のバランスをとる点から、全構成単位に対して50モル%以下であることが好ましく、45モル%以下であることがより好ましい。
また、本発明のインク用バインダー組成物では、構成単位(B)に対する構成単位(C)の含有比率(構成単位(C)/構成単位(B))が、モル基準で0.5〜2.0であることが好ましい。これにより、インク層を形成した際、延伸時のインク層の追従が良好となり、耐熱性及び加工性がより高まる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、その他の共重合性モノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。その他の共重合性モノマーとしては、例えば、芳香族ビニルモノマー、シアン化ビニルモノマー、カルボン酸ビニルモノマー、これらの各種誘導体が挙げられる。芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジンが挙げられ、シアン化ビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられ、カルボン酸ビニルモノマーとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名、ネオデカン酸ビニル)が挙げられる。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、とくに制限はないが、インク層を形成した際の耐熱性を高める点から、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、50000以上がさらに好ましい。また、前記重量平均分子量(Mw)は、インク層を形成した際の耐熱性と加工性とのバランスをとる点から、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましく、300000以下がさらに好ましい。重量平均分子量は、重合反応温度、時間、有機溶媒の量などにより調整することができる。
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を剥離フィルムに塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーを得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーをテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー株式会社製〕
カラム:TSK−GEL GMHXL4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/min
カラム温度:40℃
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、20℃以上である。このため、本発明のインク用バインダー組成物は、インク層を形成した際に、インク流れの発生を抑制でき、耐熱性に優れる。また、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、インク層を形成した際に、インク流れの発生をより好適に抑制し、耐熱性をより高める点から、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、インク層を形成した際、延伸時のインク層の追従がより良好となることで加工性がより高まる点から、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、下記式の計算により求められる絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算した値である。なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。

式中、Tg、Tg、・・・・・及びTgは、モノマー1、モノマー2、・・・・・及びモノマーnそれぞれのモノマーをホモポリマーとしたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。m、m、・・・・・及びmは、それぞれのモノマーのモル分率である。
なお、「ホモポリマーとしたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、そのモノマーを単独で重合して製造したホモポリマーの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。ホモポリマーのガラス転移温度は、そのホモポリマーを、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を、ホモポリマーのガラス転移温度としたものである。
本発明で用いる(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法でモノマーを重合して製造できる。なお、製造後に本発明におけるインク用バインダー組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単かつ短時間で行えることから、溶液重合が好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、モノマー、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる等の方法を使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、例えば、反応温度、時間、溶媒量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の値に調整できる。
(メタ)アクリル系ポリマーの製造に用いられる重合用の有機溶媒としては、芳香族炭化水素化合物、脂肪系又は脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、アルコール化合物などが挙げられる。これらの有機溶媒はそれぞれ1種単独でも、2種以上混合して用いてもよい。また、重合開始剤としては、例えば、通常の重合方法で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。
[金属キレート化合物]
本発明におけるインク用バインダー組成物は、上述の(メタ)アクリル系ポリマーとともに、金属キレート化合物を含み、金属キレート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部である。これにより、金属キレート化合物を用いてアクリル系ポリマーを架橋することにより、高温時の弾性及び粘性を高め、耐熱性と加工性とを両立できる。
金属キレート化合物としては、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、コバルトキレート化合物が挙げられる。中でも、アルミニウムキレート化合物が好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が挙げられる。中でも、インク層とした際の耐熱性と加工性とのバランスをより良好にする点から、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
また、アルミニウムキレート化合物としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、川研ファインケミカル株式会社製のアルミキレートD、アルミキレートA、ALCH−TRが挙げられる。
本発明におけるインク用バインダー組成物では、金属キレート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部であれば特に限定されないが、インク層とした際の耐熱性をより高める点から、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して5質量部〜20質量部であることが好ましく、7質量部〜20質量部であることが好ましい。
[有機溶媒]
また、本発明におけるインク用バインダー組成物は、透明フィルムなどの被印刷基材に対する塗布性向上のために有機溶媒が添加されていてもよい。有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンに代表される炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパンに代表されるハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコールに代表されるアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランに代表されるエーテル類、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンに代表されるケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸エチルに代表されるエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに代表されるポリオール類、これらの誘導体といった有機溶媒が挙げられる。
[その他の成分]
本発明におけるインク用バインダー組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー、金属キレート化合物、有機溶媒の他に、本発明の効果が得られる範囲において、シランカップリング剤、金属キレート化合物以外の架橋剤、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤等を適宜含有してもよい。
本発明におけるインク用バインダー組成物では、架橋時における架橋密度を高めてインク流れの発生を抑制する点から、架橋後におけるゲル分率は、73%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。なお、架橋後におけるゲル分率は、酢酸エチルを抽出溶媒に用いて測定される、溶媒不溶分の割合であり、以下の実施例に記載する方法により測定される値である。
本発明におけるインク用バインダー組成物では、インク層とした際の耐熱性をより高めるため、架橋後における250℃の貯蔵弾性率(E’)は、4.0×10Pa以上が好ましく、5.0×10Pa以上がより好ましく、6.0×10Pa以上がさらに好ましい。また、本発明におけるインク用バインダー組成物では、架橋後における250℃の貯蔵弾性率(E’)は、3.0×10Pa以下が好ましく、2.0×10Pa以下がより好ましい。なお、貯蔵弾性率(E’)は、以下の実施例に記載する方法により測定される値である。
本発明におけるインク用バインダー組成物では、インク層とした際の加工性をより高めるため、架橋後における250℃の損失弾性率(E’’)は、3.0×10Pa以上が好ましく、3.5×10Pa以上がより好ましく、4.0×10Pa以上がさらに好ましい。また、本発明におけるインク用バインダー組成物では、架橋後における250℃の損失弾性率(E’’)は、9.0×10Pa以下が好ましく、8.0×10Pa以下がより好ましい。なお、損失弾性率(E’’)は、以下の実施例に記載する方法により測定される値である。
本発明におけるインク用バインダー組成物では、インク層とした際の耐熱性及び加工性のバランスをとる点から、架橋後における250℃の損失正接(tanδ=E’’/E’)は、2.0×10−2〜2.0×10−1が好ましく、2.0×10−2〜9.5×10−2であることが好ましい。
〔射出成形に用いられるインク用バインダー〕
本発明における射出成形に用いられるインク用バインダーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、かつ前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む。これにより、前述の金属キレート化合物と、射出成形に用いられるインク用バインダーとを用いてインク層を形成した際、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。この発明は、射出成形に用いられ、かつ金属キレート化合物を含んでいない点で、前述の本発明におけるインク用バインダー組成物と相違する。
〔インク用材料セット〕
本発明におけるインク用材料セットは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、かつ前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対してそれぞれ3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む第1の材料と、金属キレート化合物を含む第2の材料と、を有する。前述の(メタ)アクリル系ポリマーを含む第1の材料と、金属キレート化合物を含む第2の材料とを用いてインク層を形成した際、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。この発明は、(メタ)アクリル系ポリマーを含む材料と、金属キレート化合物を含む材料との2つを含む点で、前述の本発明におけるインク用バインダー組成物と相違する。
〔インク〕
本発明におけるインクは、前述のインク用バインダー組成物又は前述のインク用材料セットにおける第1の材料及び第2の材料と、有機溶媒と、を含有する。これにより、インク層を形成した際、高温時の弾性及び粘性をともに高くすることができ、耐熱性と加工性とを両立できる。本発明におけるインクは、射出成形用のフィルムに用いられるものであってもよく、例えば、射出成形用のフィルムに印刷され、射出成形品を製造するために用いられるものであってもよい。
本発明におけるインクは、前述のインク用バインダー組成物と同様に、その他の成分を含んでいてもよい。また、本発明におけるインクは、顔料、染料などの着色剤を含む着色インクであってもよく、着色剤を含まないクリアインクであってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<(メタ)アクリル系ポリマーの製造>
(製造例1)
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えた反応器内に、メタクリル酸メチル(MMA)12.2質量部、アクリル酸n−ブチル(BA)11.5質量部、アクリル酸(AA)5.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA)5.5質量部、ブチルセロソルブアセテート100質量部、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.02質量部を入れて混合し、反応器内を窒素置換した。その後、得られた混合物を撹拌しながら80℃まで昇温した。その温度を0.5時間保った後、メタクリル酸メチル(MMA)23.3質量部、アクリル酸n−ブチル(BA)22質量部、アクリル酸(AA)9.9質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA)10.5質量部、ブチルセロソルブアセテート45質量部、及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.15質量部の混合液を2.5時間にわたって逐次滴下した。滴下終了後、1時間重合反応を行い、さらにブチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)15質量部及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.34質量部の混合液を1時間逐次滴下した。滴下終了後、さらに1.5時間重合反応を行った。重合反応終了後の反応混合物をブチルセロソルブアセテートで希釈し、ポリマー固形分を30質量%に調整した。このようにして(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
(製造例2)
製造例2では、(メタ)アクリル系ポリマーを製造する際、以下の表1に示すモノマー組成とし、表1に示すガラス転移温度及び表2に示す重量平均分子量となるように重合条件を調整したこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。なお、製造例2では、重合条件を調整することにより、表2に示すように重量平均分子量がそれぞれ異なる(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。
(製造例3〜製造例24)
製造例3〜製造例24では、(メタ)アクリル系ポリマーを製造する際、以下の表1に示すモノマー組成とし、表1に示すガラス転移温度及び表2に示す重量平均分子量となるように重合条件を調整したこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
なお、表1において、nBMAはメタクリル酸n−ブチル、EAはアクリル酸エチル、2EHAはアクリル酸2−エチルヘキシル、MAAはメタクリル酸、2HEAはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、4HBAはアクリル酸4−ヒドロキシブチル、DEMAはメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、DMMAはメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、GMAはメタクリル酸グリシジルを表す。また、表1において、M5300は、ω−カルボキシポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(東亞合成株式会社製 製品名:アロニックス M−5300)を表す。
ここで、製造例1〜製造例21では、(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率がそれぞれ3モル%以上であり、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計が8モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上であった。
一方、製造例22では、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計が8モル%未満であり、製造例23では、構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率がともに3モル%未満であり、かつ構成単位(B)の含有率及び構成単位(C)の含有率の合計が8モル%未満であった。
さらに、製造例24では、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が20℃未満であった。
製造例1〜24にて(メタ)アクリル系ポリマーを製造する際のモノマー組成(モル%)ならびに製造例1〜24にて製造された(メタ)アクリル系ポリマーのTgを、以下の表1に示す。
<バインダー組成物の調製>
(実施例1)
前記製造例1で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液333質量部(ポリマー固形分30質量% 100質量部)と、金属キレート化合物としてアルミキレートD(川研ファインケミカル株式会社製アルミニウムキレート:アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)76質量%イソプロパノール溶液)9.6質量部と、アセチルアセトン9.6質量部とを充分に撹拌混合して、バインダー組成物を調製した。なお、バインダー組成物中の金属キレート化合物の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して7.3質量部である。
(実施例2〜7)
実施例2〜7では、前記製造例1で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液の代わりに前記製造例2〜4で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液をそれぞれ用いた点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(実施例8)
実施例8では、金属キレート化合物としてアルミキレートDの代わりにアルミキレートA(川研ファインケミカル株式会社製アルミニウムキレート:アルミニウムトリス(アセチルアセトネート))を用いた点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(実施例9)
実施例9では、金属キレート化合物としてアルミキレートDの代わりにALCH−TR(川研ファインケミカル株式会社製アルミニウムキレート:アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート))を用いた点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(実施例10〜23、26〜28)
実施例10〜23、26〜28では、前記製造例1で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液の代わりに前記製造例5〜21で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液をそれぞれ用いた点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(実施例24、25)
実施例24では、バインダー組成物中の金属キレート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2.3質量部となるように金属キレート化合物の量を調整した点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
また、実施例25では、バインダー組成物中の金属キレート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して19.7質量部となるように金属キレート化合物の量を調整した点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(比較例1)
比較例1では、金属キレート化合物であるアルミキレートDの代わりに、イソシアネート化合物であるコロネートL−45E(日本ポリウレタン工業株式会社製TDI系イソシアネート)を用い、かつバインダー組成物中のイソシアネート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して10.0質量部となるようにイソシアネート化合物の量を調整した点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(比較例2)
比較例2では、金属キレート化合物であるアルミキレートDの代わりに、エポキシ化合物であるTETRAD−CS(三菱ガス化学株式会社製エポキシ系架橋剤)を用い、かつバインダー組成物中のエポキシ化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2.5質量部となるようにエポキシ化合物の量を調整した点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(比較例3)
比較例3では、バインダー組成物中の金属キレート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して1.8質量部となるように金属キレート化合物の量を調整した点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(比較例4)
比較例4では、バインダー組成物中の金属キレート化合物の含有量が(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して22.0質量部となるように金属キレート化合物の量を調整した点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
(比較例5〜7)
比較例5〜7では、前記製造例1で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液の代わりに前記製造例22〜24で得た(メタ)アクリル系ポリマーの溶液をそれぞれ用いた点以外は、実施例1と同様にしてバインダー組成物を調製した。
<バインダーシートの作製>
上記で得られた各実施例及び各比較例のバインダー組成物を用い、以下の手順でバインダーシートを作製した。まず、シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルムの離型剤処理面に、乾燥後の塗布量が30g/mになるようにバインダー組成物を塗布した。次いで、バインダー組成物塗布後の剥離フィルムを、熱風循環式乾燥機を用いて80℃で1時間乾燥させ、剥離フィルム上にバインダー層を形成し、バインダーシートを作製した。
以下の表2に、実施例1〜28、比較例1〜7にて用いた(メタ)アクリル系ポリマーのMw及びTgならびに実施例1〜28、比較例1〜7にてバインダーシートの測定結果及び評価結果を示す。なお、表2に記載の質量部は固形分換算の値であり、(メタ)アクリル系ポリマーのMw及びTgは、前述の方法により求めた。
<ゲル分率の測定方法>
下記(1)から(3)の操作を行ない、下記式からバインダー組成物のゲル分率(質量%)を算出した。
(式)ゲル分率(質量%)=[(Z−X)/(Y−X)]×100
X:金網の質量(g)、Y:抽出用試料の質量(金網及びバインダーの総質量)(g)、Z:浸漬後、乾燥させた抽出用試料の質量(金網及びバインダーの不溶分の総質量)(g)
(1)上述のバインダーシートの片面の剥離フィルムを剥離した後、バインダー約0.5gを精秤した250メッシュの金網(100mm×100mm)で包み、抽出用試料とした。この抽出用試料の質量(金網及びバインダーの総質量)を精密天秤にて測定した。
(2)抽出溶媒として酢酸エチル80gが入ったガラス瓶の中に、抽出用試料を入れて3日間浸漬した。
(3)浸漬終了後、抽出用試料を取り出して少量の酢酸エチルで洗浄し、120℃で24時間乾燥させた。この乾燥後の抽出用試料の質量(金網及びバインダーの不溶分の総質量)を精密天秤にて測定した。
<粘弾性(E’、E’’)の測定方法>
上述のバインダーシートよりバインダーを10mm×20mm幅でカットし、カットしたバインダーを二つ折りにして5mm幅にした試料を株式会社ユービーエム製動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000にて、以下の条件で貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E’’)を測定し、損失正接(tanδ=E’’/E’)を求めた。表2には、温度が250℃のときのE’、E’’及びtanδを示している。
測定長さ:10mm
測定モード:引っ張り
温度条件:10℃〜280℃
昇温速度:5℃/min
周波数:10Hz
<耐熱性及び加工性の評価方法>
上述の測定方法により得られた貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E’’)を用い、耐熱性及び加工性を以下の基準で評価した。なお、評価C以上であれば、耐熱性、加工性に優れていると判断した。
≪耐熱性≫
A:250℃のE’が6.0×10Pa以上である
B:250℃のE’が5.0×10Pa以上6.0×10Pa未満である
C:250℃のE’が4.0×10Pa以上5.0×10Pa未満である
D:250℃のE’が4.0×10Pa未満である
≪加工性≫
A:250℃のE’’が4.0×10Pa以上である
B:250℃のE’’が3.5×10Pa以上4.0×10Pa未満である
C:250℃のE’’が3.0×10Pa以上3.5×10Pa未満である
D:250℃のE’’が3.0×10Pa未満である
<ポットライフの測定方法>
上述のようにして調製した直後のバインダー組成物を測定サンプルとし、測定サンプルの粘度をB型粘度計にて測定した。その後、測定サンプルを密閉し、23℃で24時間静置した後、再びB型粘度計にて測定サンプルの粘度を測定した。初期粘度に対する24時間静置後の粘度の比率を用いて、下記基準でポットライフを評価した。
≪ポットライフ≫
A:1.2倍以下
B:1.2倍より大きく、2倍以下
C:2倍より大きい
[結果]
実施例1〜28では、耐熱性及び加工性の両方において、評価C以上であり、耐熱性及び加工性に優れていた。一方、比較例1〜7では、耐熱性及び加工性のいずれかにおいて、評価Dであり、耐熱性及び加工性のいずれかが不十分であった。

Claims (11)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、前記構成単位(B)の含有率が、全構成単位に対して10モル%以上であり、前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対して3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して13モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上であり、重量平均分子量が50000以上である(メタ)アクリル系ポリマーと、
    前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して2質量部〜20質量部の金属キレート化合物と、
    を含むインク用バインダー組成物。
  2. 前記構成単位(B)に対する前記構成単位(C)の含有比率が、モル基準で0.5〜2.0である請求項1に記載のインク用バインダー組成物。
  3. 前記金属キレート化合物が、アルミニウムキレート化合物である請求項1又は請求項2に記載のインク用バインダー組成物。
  4. 前記アルミニウムキレート化合物がアルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)である請求項3に記載のインク用バインダー組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−40℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びホモポリマーとしたときのガラス転移温度が50℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク用バインダー組成物。
  6. 前記カルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーとして、アミノ基を有するモノマーを含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク用バインダー組成物。
  7. 前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が60℃以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク用バインダー組成物。
  8. (メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構成単位(A)、カルボキシ基を有するモノマーに由来の構成単位(B)、及びカルボキシ基以外の極性官能基を有するモノマーに由来の構成単位(C)を含み、かつ前記構成単位(B)の含有率が、全構成単位に対して10モル%以上であり、前記構成単位(C)の含有率が、全構成単位に対して3モル%以上であり、前記構成単位(B)の含有率及び前記構成単位(C)の含有率の合計が、全構成単位に対して13モル%以上であり、ガラス転移温度が20℃以上であり、重量平均分子量が50000以上である(メタ)アクリル系ポリマーを含む第1の材料と、
    金属キレート化合物を含む第2の材料と、
    を有するインク用材料セット。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク用バインダー組成物、又は請求項に記載のインク用材料セットにおける前記第1の材料及び前記第2の材料と、
    有機溶媒と、
    を含有するインク。
  10. さらに着色剤を含有する請求項に記載のインク。
  11. 射出成形用のフィルムに用いられる請求項又は請求項10に記載のインク。
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